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▶ シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲーの特許一覧

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  • 特許-骨組構造を有するセラミック転動体 図1
  • 特許-骨組構造を有するセラミック転動体 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】骨組構造を有するセラミック転動体
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/32 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
F16C33/32
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022547229
(86)(22)【出願日】2021-02-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 US2021016037
(87)【国際公開番号】W WO2021158473
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-08-03
(31)【優先権主張番号】62/969,938
(32)【優先日】2020-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/158,297
(32)【優先日】2021-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ペリー ホレン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-フランソワ マスブー
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/091728(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/082740(WO,A1)
【文献】特開2003-322154(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 19/00-19/56,33/30-33/66
C04B 35/56-35/599,38/00-38/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受用の転動体(10’)であって、
球形の外面(16)を有する連続した外側シェル(12)と、
前記外側シェル内で格子内のオープンスペースを含む骨組フレームワークを有する格子構造のコアと、を備え、
前記外側シェル(12)及び前記コア(18)はセラミックで作製されている、転動体。
【請求項2】
前記コアは、前記外側シェルの内面に結合されている、請求項1に記載の転動体。
【請求項3】
前記コアは、前記外側シェルと一体的に形成されている、請求項2に記載の転動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年2月4日に出願された米国特許仮出願第62/969,938号および2021年1月26日に出願された米国特許出願第17/158,297号に対する優先権を主張するものであり、それらの開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、軸受転動体構造に関する。より具体的には、本開示は、格子状内部コアを有する転がり軸受に関する。
【背景技術】
【0003】
軸受は、互いに対して動くことを目的とした構成要素間の摩擦を、特に力が構成要素のうちの1つから別の構成要素に伝達されるときに、低減させる。転がり軸受では、2つの構成要素のそれぞれに軸受軌道が形成され、一連の要素が軸受軌道内に含まれており、それら構成要素を分離している。要素と軸受軌道との間の接触は、滑り接触ではなく主に転がり接触であり、それによって相対運動に対する抵抗を劇的に減少させる。一部の用途では、転動体は、ケージによって互いに相対的に離間されてもよい。転動体は、ボール、円筒形ローラ、テーパ状ローラ、または球面ローラであってもよい。
【0004】
転動体は、用途に応じて、金属、セラミック、またはその他の材料で作製されてもよい。一部の用途では、セラミック転動体は、それに対応する鋼製転動体に比べて利点がある。ほとんどのセラミック(特に、窒化ケイ素Si)の密度は、鋼よりも低く、非常に強くて軽い部品になり、良好な熱放散を可能にする。また、一部の用途において価値のある電気絶縁特性も提供する。軽量化は、遠心力を低減し、かつシステム効率を向上させることにより、高速の用途においてもまた有益である。
【0005】
現在の中実セラミック転動体の主な問題は、材料のコストおよびそのような製品を製造するために必要な時間の長さである。典型的な製造プロセスは、セラミック粉末を結合剤と混合することによってブランクを作製することと、次いでその混合物をダイに押し込むことと、を含む。得られたブランクは、焼結前に機械加工されるか、または焼結直後にいくつかの処理工程を行うかのいずれかで、最終的な寸法および表面仕上げに到達することができる。セラミック粒子がダイから除去された後にその形状を保持するためには、結合材料が必要である。転動体を作製するには結合材料が必要であるが、取り得る最高レベルの粒子密度を持つ純粋なセラミック製品を製造するには、硬化プロセス中に結合材料を除去する必要がある。セラミック硬化中に結合材料を熱して取り除くには、極度の熱が必要である。転動体が大きいほど、処理時間が長くなり、収縮による歪みが発生する可能性が高くなる。
【0006】
上記のプロセスの欠点は、高価な材料(総コストの最大70%)および複数の非常に長い処理工程(典型的には150~500時間)のためにコストが高くなることである。この高いコストは、これらの製品の用途を、熱または速度が重要な因子であるニッチな分野に制限する。さらに、ブランクはダイで製造されるため、工具のコストおよび納期は、少量の用途にとって費用対効果を劇的に高める重要な因子である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
軸受用の転動体は、連続的な外側シェルと、外側シェル内の格子構造のコアと、を含む。シェルおよびコアは、セラミックで作製されてもよい。シェルは、球形の外面を有してもよい。コアは、例えば、外側シェルと一体的に形成されることによって、外側シェルの内面に結合されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】中空のボール転動体の断面図である。
図2】格子状コアを有する部分的に中空のボール転動体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の実施形態を、本明細書において説明する。異なる図面に現れる同様の図面番号は、同一または機能的に類似した構造要素を特定することを理解されたい。また、開示された実施形態は単なる例であり、他の実施形態は様々な代替形態を取ることができることを理解されたい。図は必ずしも縮尺どおりではなく、いくつかの特徴部は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張または最小化されていると考えられる。したがって、本明細書に開示する特定の構造的詳細および機能的詳細は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に、当業者に実施形態を様々に使用することを教示するための代表的な基準として解釈されるべきである。当業者が理解するように、図のいずれか1つを参照して図示され、かつ記載された様々な特徴部は、1つ以上の他の図に示す特徴部と組み合わせて、明示的に図示または記載されていない実施形態を生成することができる。図示する特徴部の組み合わせは、典型的な用途のための代表的な実施形態を提供する。しかしながら、特定の用途または実装のために、本開示の教示と一致する特徴部の様々な組み合わせおよび修正形態が所望されると考えられる。
【0010】
本明細書において使用される用語は、特定の態様を説明することのみを目的とし、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。他に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術的用語および科学的用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと類似または同等の任意の方法、装置、または材料を本開示の実施または試験に使用することができるが、以下の例示的な方法、装置、および材料がここで説明される。
【0011】
中空または部分的に中空の転動体の使用は、材料および幾何学的構成に関係なく、多くの用途において利点を与える。
【0012】
図1は、中空のボール転動体10を示す断面図である。ボール以外の転動体もまた中空であってもよい。ボールは、内側球面14および外側球面16を有するシェル12を含む。シェルは、設計荷重を支えるのに十分な厚さである必要がある。中空のセラミック転動体は、特に有利である。所与の転動体の直径に対して、中空の転動体は、実質的に少ない材料を使用し、コストおよび質量の両方を削減する。さらに、シェルから結合材料を排出することで、中実要素のコアから結合材料を除去するよりも必要な時間が実質的に短くなる。
【0013】
図2は、骨組状コア18を有する部分的に中空のボール転動体10’を示す断面図である。骨組フレームワークは、追加の強度を提供し、耐荷重を増加させるか、または特定の設計荷重に必要なシェルの厚さを減少させる。格子内のオープンスペースにより、格子材料からの結合材料が、焼結プロセス中にシェルの内面に容易に移動することができ、その結果、焼結時間は、中実体と比較して実質的に短縮される。
【0014】
従来の成形プロセスは、図1および図2のボールのブランクの製造には適していない。しかしながら、付加製造プロセス(3D印刷と呼ばれることもある)では、これらのブランクを製造することが可能である。
【0015】
例示的な実施形態を上で説明したが、これらの実施形態が、特許請求の範囲に含まれるすべての可能な形態を説明することは意図していない。本明細書で使用する用語は、限定ではなく説明のための用語であり、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることが理解される。前述のように、様々な実施形態の特徴部を組み合わせて、明示的に説明または図示していない可能性がある本開示の更なる実施形態を形成してもよい。様々な実施形態は、1つ以上の所望の特性に関して、利点を提供するもの、または他の実施形態または従来技術の実装形態よりも好ましいものと説明することはできたが、当業者は、1つ以上の特徴部または特性を妥協して特定の応用形態および実装形態に依存する所望の全体的なシステム属性を達成できることを認識する。したがって、任意の実施形態が1つ以上の特性に関して他の実施形態または従来技術の実装よりも望ましくないようになるまで、これらの実施形態は本開示の範囲外ではなく、特定の用途にとって望ましい可能性がある。
図1
図2