(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】ディスプレイデバイスおよび関連付けられた方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/08 20100101AFI20240806BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20240806BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240806BHJP
H01L 33/06 20100101ALI20240806BHJP
H01L 33/24 20100101ALI20240806BHJP
H01L 33/22 20100101ALI20240806BHJP
【FI】
H01L33/08
G09F9/33
G09F9/00 338
H01L33/06
H01L33/24
H01L33/22
(21)【出願番号】P 2022548525
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(86)【国際出願番号】 US2021017515
(87)【国際公開番号】W WO2021163231
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-11-07
(32)【優先日】2020-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホー,ガン
【審査官】百瀬 正之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-028287(JP,A)
【文献】国際公開第2019/126728(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0097157(US,A1)
【文献】特表2018-521516(JP,A)
【文献】特開2014-241397(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0129009(KR,A)
【文献】特開2010-166036(JP,A)
【文献】国際公開第2019/135606(WO,A1)
【文献】特表2016-522585(JP,A)
【文献】特開平07-007223(JP,A)
【文献】特開2003-158296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
H01S 5/00-5/50
H01L 21/205
H01L 21/31
H01L 21/365
H01L 21/469
H01L 21/86
G09F 9/30-9/46
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイデバイスであって、
基板を備え、前記基板は、その上に第1の発光体と第2の発光体とを含み、
前記第1の発光体は、第1のスペクトル範囲にわたる第1の発光スペクトルを有する第1の下部アクティブ量子井戸(QW)領域を含み、
前記第2の発光体は、(i)前記第1のスペクトル範囲とは別の第2のスペクトル範囲にわたる第2の発光スペクトルを有する上部アクティブQW領域と、(ii)前記第1の発光スペクトルを有し、前記上部アクティブQW領域と前記基板との間に位置する第2の下部アクティブQW領域と、(iii)前記第2の下部アクティブQW領域の発光を抑制するための、前記第2の下部アクティブQW領域と前記上部アクティブQW領域との間のバリア層とを含み、
前記基板の上面に対する前記第1の発光体の高さが増加するにつれて、前記第1の発光体の断面積が減少
し、
前記第1の発光体及び前記第2の発光体の各々は、複数のファセット面を有し、
前記第2の発光体の前記複数のファセット面間の幅は、前記第1の発光体の前記複数のファセット面間の幅よりも広い、ディスプレイデバイス。
【請求項2】
前記第1および第2の下部アクティブQW領域の各々は、格子パラメータの第1の組によって特徴付けられ、前記上部アクティブQW領域は、前記格子パラメータの第1の組のそれぞれのパラメータとは5%未満異なる格子パラメータの第2の組によって特徴付けられる、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項3】
前記第2の下部アクティブQW領域と前記上部アクティブQW領域との間に配置されている正孔ブロック層をさらに備える、請求項2に記載のディスプレイデバイス。
【請求項4】
前記正孔ブロック層は、n型半導体材料を含む、請求項3に記載のディスプレイデバイス。
【請求項5】
前記バリア層は、n型半導体材料を含む、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項6】
前記第1の発光体は、前記基板の前記上面に対して第1の高さを有し、
前記基板は、前記基板の中に延在する凹部を規定し、前記第2の発光体は、前記上面に
対する前記第2の発光体の高さが前記第1の高さに等しいように前記凹部の中に少なくとも部分的に含まれる、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項7】
前記上面に対する前記凹部の深さは、前記第1の高さに実質的に等しい、請求項6に記載のディスプレイデバイス。
【請求項8】
前記基板は、前記基板の中に延在するさらなる凹部を規定し、前記第1の発光体は、前記さらなる凹部の中に少なくとも部分的に含まれる、請求項6に記載のディスプレイデバイス。
【請求項9】
前記第2の発光体は、前記基板の上面に平行な第1の方向において前記第1の発光体に隣接しており、
前記第2の発光体は、
前記第2の下部アクティブQW領域の幅が前記第1の方向において前記第1の下部アクティブQW領域の幅を超える、および
前記上面に平行な平面における前記第2の下部アクティブQW領域の断面積が前記第1の下部アクティブQW領域の断面積を超える、のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項10】
前記第1の発光体とともに第1の発光体のアレイを形成する複数のさらなる第1の発光体と、
前記第2の発光体とともに第2の発光体のアレイを形成する複数のさらなる第2の発光体とをさらに備え、前記第2の発光体のアレイは、前記第1の発光体のアレイと交互配置されている、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項11】
前記第1の発光体および前記第2の発光体は、(i)それぞれのpドープ半導体層および(ii)それぞれのオーミック接触層のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項12】
前記基板の上面に対する前記第2の発光体の高さが増加するにつれて、前記第2の発光体の断面積が減少する、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項13】
複数の発光体を形成する方法であって、
基板の上に第1の凹部を形成するステップを備え、前記第1の凹部は、第1の幅および第1の深さを有し、前記方法はさらに、
前記基板の上に第2の凹部を形成するステップを備え、前記第2の凹部は、第2の幅および第2の深さを有し、前記第2の幅および前記第2の深さのうちの少なくとも1つは、それぞれ前記第1の幅および第1の深さよりも大きく、前記方法はさらに、
前記基板の上に第1のn型バリア材料を堆積させるステップと、
前記第1のn型バリア材料の上に第1のアクティブ量子井戸(QW)構造を作製するステップと、
前記第1のアクティブQW構造の上に第2のn型バリア材料を堆積させるステップと、
前記第2のn型バリア材料の上に第2のアクティブQW構造を作製するステップと、
前記第2のアクティブQW構造の上に第3のn型バリア材料を堆積させるステップとを備え、
前記第1の凹部の前記第1の幅および第1の深さは、前記第1の凹部における前記第2のアクティブQW構造の形成を防止することによって、前記第1のn型バリア材料、前記第1のアクティブQW構造および前記第2のn型バリア材料が第1の発光体を形成するように構成され、
前記第2の凹部の前記第2の幅および第2の深さは、第2の発光体を形成するために、
前記第2の凹部内の、および前記第2の凹部の中に少なくとも部分的に含まれる前記第1のn型バリア材料、前記第1のアクティブQW構造、前記第2のn型バリア材料、前記第2のアクティブQW構造および前記第3のn型バリア材料を支持するように構成される、方法。
【請求項14】
前記第1のn型バリア材料を堆積させるステップの後であって、前記第1のアクティブQW構造を作製するステップの前に、前記第1のn型バリア材料の上に第1のn型正孔ブロック層(HBL)を堆積させるステップをさらに備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2のn型バリア材料を堆積させるステップの後であって、前記第2のアクティブQW構造を作製するステップの前に、前記第2のn型バリア材料の上に第2のn型HBLを堆積させるステップをさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のn型バリア材料を堆積させるステップの後であって、前記第2のアクティブQW構造を作製するステップの前に、前記第2のn型バリア材料の上にn型正孔ブロック層(HBL)を堆積させるステップをさらに備える、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の凹部が前記第1の発光体を支持する一方で前記第2の凹部が前記第2の発光体を支持することにより、前記第1の発光体が前記第2の発光体から電気的に分離されるように、前記第1の凹部を前記第2の凹部から電気的に分離するステップをさらに備える、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
各前記第1および第2のLED構造の上にp型層を堆積させるステップと、
各前記第1および第2のLED構造の上にp型オーミック接触を形成するステップとをさらに備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
堆積させるステップおよび作製するステップの各々は、単一エピタキシャル成長工程で実行される、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
ディスプレイデバイスであって、
基板を備え、前記基板は、その上に第1の発光体と第2の発光体とを含み、
前記第1の発光体は、第1のスペクトル範囲にわたる第1の発光スペクトルを有する第1の下部アクティブ量子井戸(QW)領域を含み、
前記第2の発光体は、(i)前記第1のスペクトル範囲とは別の第2のスペクトル範囲にわたる第2の発光スペクトルを有する上部アクティブQW領域と、(ii)前記第1の発光スペクトルを有し、前記上部アクティブQW領域と前記基板との間に位置する第2の下部アクティブQW領域と、(iii)前記第2の下部アクティブQW領域の発光を抑制するための、前記第2の下部アクティブQW領域と前記上部アクティブQW領域との間のバリア層とを含み、
前記第1の発光体は、前記基板の上面に対して第1の高さを有し、
前記基板は、前記基板の中に延在する凹部を規定し、前記第2の発光体は、前記上面に対する前記第2の発光体の高さが前記第1の高さに等しいように前記凹部の中に部分的に含まれ、
前記上面と直交する方向において、前記第2の発光体の全体の寸法は、前記第1の発光体の全体の寸法よりも大き
く、
前記第1の発光体及び前記第2の発光体の各々は、複数のファセット面を有し、
前記第2の発光体の前記複数のファセット面間の幅は、前記第1の発光体の前記複数のファセット面間の幅よりも広い、ディスプレイデバイス。
【請求項21】
前記上面に対する前記凹部の深さは、前記第1の高さに実質的に等しい、請求項20に記載のディスプレイデバイス。
【請求項22】
前記基板は、前記基板の中に延在するさらなる凹部を規定し、前記第1の発光体は、前
記さらなる凹部の中に少なくとも部分的に含まれる、請求項20に記載のディスプレイデバイス。
【請求項23】
前記第2の発光体は、前記基板の前記上面に平行な第1の方向において前記第1の発光体に隣接しており、
前記第2の下部アクティブQW領域の幅が前記第1の方向において前記第1の下部アクティブQW領域の幅を超える、および前記上面に平行な平面における前記第2の下部アクティブQW領域の断面積が前記第1の下部アクティブQW領域の断面積を超える、のうちの少なくとも1つである、請求項20に記載のディスプレイデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年2月10日に出願された米国仮特許出願番号第62/972,206号から利益を得、米国仮特許出願番号第62/972,206号に対する優先権を主張し、米国仮特許出願番号第62/972,206号の開示内容は、全文が引用によって本明細書に援用される。
【0002】
背景
本開示の局面は、一般にさまざまなタイプのディスプレイと関連付けて使用され得る発光素子に関し、より具体的にはモノリシック多色発光ダイオード(LED)に関する。
【背景技術】
【0003】
よりよいユーザエクスペリエンスを提供して新たなアプリケーションを可能にするために、ディスプレイで使用される発光要素(たとえば、画素)の数が増加し続けているので、ますます多くの発光要素を追加することは設計および製造の両方の観点から難しくなっている。個数も密度も増やす目的で発光要素をさらに小さくすることは、小さなLEDの使用の可能性をより魅力的にする。しかし、カラーディスプレイに必要なさまざまな色(たとえば、赤色、緑色、青色)を作り出すことができる小さなLEDを大量に高密度で製造するための有効かつ効率的な技術は、広く行き渡っておらず、実際に存在する技術は、煩雑で、時間がかかり、コストがかかる傾向がある。また、これらの小さなLEDを、ライトフィールドディスプレイおよびマイクロディスプレイなどの、性能およびサイズの両方の点で要求がより厳しいさらに高度なディスプレイアーキテクチャで使用することは、かなり至難の業になる。
【0004】
したがって、多数の多色LEDの有効かつ効率的な設計および製造を可能にする技術および装置が望ましい。
【発明の概要】
【0005】
実施形態の概要
以下に、1つまたは複数の局面の基本的理解が得られるようにこのような局面の簡単な概要を示す。この概要は、意図されている全ての局面の広範囲にわたる概略ではなく、全ての局面の重要なまたは不可欠な要素を識別するよう意図されたものではなく、いずれかまたは全ての局面の範囲を描写するよう意図されたものでもない。その目的は、以下に示されるさらに詳細な説明の前置きとして、簡略化した形式で1つまたは複数の局面のいくつかの概念を提示することである。
【0006】
第1の局面において、ディスプレイデバイスは、基板を含み、上記基板は、その上に第1の発光体と第2の発光体とを含む。上記第1の発光体は、第1のスペクトル範囲にわたる第1の発光スペクトルを有する第1の下部アクティブ量子井戸(QW)領域を含む。上記第2の発光体は、(i)上記第1のスペクトル範囲とは別の第2のスペクトル範囲にわたる第2の発光スペクトルを有する上部アクティブQW領域と、(ii)上記第1の発光スペクトルを有し、上記上部アクティブQW領域と上記基板との間に位置する第2の下部アクティブQW領域と、(iii)上記第2の下部アクティブQW領域の発光を抑制するための、上記第2の下部アクティブQW領域と上記上部アクティブQW領域との間のバリア層とを含む。
【0007】
第2の局面において、複数の発光体を形成する方法は、以下の列挙されるステップ(i)~(vii)を含む。ステップ(i)は、基板の上に第1の凹部を形成するステップを含み、上記第1の凹部は、第1の幅および第1の深さを有する。ステップ(ii)は、上記基板の上に第2の凹部を形成するステップを含み、上記第2の凹部は、第2の幅および第2の深さを有し、上記第2の幅および上記第2の深さのうちの少なくとも1つは、それぞれ上記第1の幅および第1の深さよりも大きい。ステップ(iii)は、上記基板の上に第1のn型バリア材料を堆積させるステップを含む。ステップ(iv)は、上記第1のn型バリア材料の上に第1のアクティブ量子井戸(QW)構造を作製するステップを含む。ステップ(v)は、上記第1のアクティブQW構造の上に第2のn型バリア材料を堆積させるステップを含む。ステップ(vi)は、上記第2のn型バリア材料の上に第2のアクティブQW構造を作製するステップを含む。ステップ(vii)は、上記第2のアクティブQW構造の上に第3のn型バリア材料を堆積させるステップを含む。上記第1の凹部の上記第1の幅および第1の深さは、上記第1の凹部における上記第2のアクティブQW構造の形成を防止することによって、上記第1のn型バリア材料、上記第1のアクティブQW構造および上記第2のn型バリア層が第1の発光体を形成するように構成される。上記第2の凹部の上記第2の幅および第2の深さは、第2の発光体を形成するために、上記第2の凹部内の、および上記第2の凹部の中に少なくとも部分的に含まれる上記第1のn型バリア材料、上記第1のアクティブQW構造、上記第2のn型バリア材料、上記第2のアクティブQW構造および上記第3のn型バリア材料を支持するように構成される。
【0008】
添付の図面は、いくつかの実現例を示しているに過ぎず、したがって範囲を限定するものと考えられるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一般的に実現されるマイクロLED構造を示す図である。
【
図2】本開示の局面に係る、ディスプレイで使用されるアレイの一部としての複数のマイクロLED構造の上面図である。
【
図3】本開示の局面に係る、アクティブ多重量子井戸(MQW)領域を含むマイクロLED構造の一例を示す図である。
【
図4】本開示の局面に係る、選択的領域成長(SAG)開口幅によるLED色選択の一例を示す図である。
【
図5】本開示の局面に係る、SAG開口幅および深さによるLED色選択の一例を示す図であって、本開示の局面に係る、エッチング分離による単一連続SAGの一例を示す図である。
【
図6】本開示の局面に係る、SAG開口深さによるLED色選択の一例を示す図であって、本開示の局面に係る、エッチング分離による単一連続SAGの一例を示す図である。
【
図7】本開示の局面に係る、ペデスタル(pedestal)幅によるLED色選択の一例を示す図であって、本開示の局面に係る、エッチング分離による単一連続SAGの一例を示す図である。
【
図8】
図4のディスプレイデバイスの一例であるディスプレイデバイスの概略断面図である。
【
図9】
図4のディスプレイデバイスの一例であるディスプレイデバイスの概略断面図である。
【
図10】
図4のディスプレイデバイスの一例であるディスプレイデバイスの概略断面図である。
【
図11】本開示の局面に係る、均一な高さを有する単一SAGの一例を示す図である。
【
図12】本開示の局面に係る、均一な高さを有する単一SAGの一例を示す図である。
【
図13】本開示の局面に係る、複数の発光体を形成する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態の詳細な説明
添付の図面と関連付けて以下に記載される詳細な説明は、さまざまな構成の説明として意図されており、本明細書に記載されている概念が実施され得る構成のみを表すよう意図されているわけではない。詳細な説明は、さまざまな概念の十分な理解が得られるように具体的な詳細を含んでいる。しかし、これらの具体的な詳細がなくてもこれらの概念を実施できるということは当業者に明らかであろう。いくつかの例において、このような概念を曖昧にすることを回避するために、周知の構成要素はブロック図の形式で示されている。
【0011】
上記の問題に鑑みて、単一エピタキシ(たとえば、単一エピタキシャル成長工程)多色LEDアレイの使用が非常に望ましい。その理由は、ディスプレイを含むがそれに限定されない多くの用途が複数の色の発光体を必要とするからである。さまざまな色の複数のアレイのハイブリッド組み立ては、高価であり、密度が制限される一方で、さまざまなエピタキシャル工程を使用するモノリシック製造は高価であろう。これらの問題に対処するために、本開示は、ファセット依存エピタキシャル成長を利用することによって単一エピタキシステップで(または、限られた数のエピタキシステップで)実現することができる多色LEDアレイについて記載している。p-ファセット成長はほぼ完全に抑制することができるが、特定の成長条件下ではc-ファセットが成長する。p-ファセット成長は、他の成長条件下で可能にされ得る。p-ファセットは、高さおよび層が素子成長領域のサイズに依存する角錐を形成することによって成長を終了させるのに使用され得る。
【0012】
すなわち、本開示は、エピタキシャル成長中に生じるファセットを利用することを提案する。上記のように、選択領域方法によってエピタキシを成長させる際(たとえば、選択的領域成長(SAG)マスクを使用する際)、エピタキシはファセットで成長することになり、これは、ファセットベースの成長を利用して、構造に関連付けられた光色を生成するのに望ましい量子井戸のみを成長させるように特定の構造(たとえば、LED)を制限するという発想である。したがって、本開示は、エピタキシャル構造を成長させる際に選択的領域成長のファセット依存成長特性を使用して特定の画素を自己終端させることにより、さまざまな画素が成長のさまざまな部分で終端して、これらの画素が適切な光色を生成するのに必要な量子井戸のみを含むようにすることについて記載している。
【0013】
図1は、LED構造100の一部の概略断面図であり、LED構造100は、1つまたは複数のバルクまたはプレップ(prep)層120を支持する半導体基板またはテンプレート110を含む。バルクまたはプレップ層120の上にはアクティブ量子井戸(QW)領域130が形成されている。バルクまたはプレップ層120は、たとえば、格子不整合および/または熱膨張係数不整合および/または半導体テンプレート110からアクティブQW領域130までの欠陥のフィルタリングの影響を減少させるように構成された1つの材料からなる厚い層または2つもしくはそれ以上の材料からなる構造である。実施形態において、アクティブQW領域は、複数の量子井戸を含む。
【0014】
バルクまたはプレップ層120の材料組成を調整することによって、アクティブQW領域130のための材料選択におけるより高い柔軟性を得ることができ、そのため、所望の発光特性を有するアクティブ領域の形成が可能になる。最後に、アクティブQWの上に、p-nダイオードを形成してLED構造100との電子的接触を提供するための1つまたは複数のp-層140が堆積される。p-層140は、pドープ層および/または接触層を含む。次いで、LED構造100は、指定の用途のための所望のマイクロLEDフォームファクタを形成するようにエッチングまたは成形されることができる。
【0015】
図2は、本開示の局面に係る、ディスプレイで使用されるアレイの一部としての複数のマイクロLED構造を含むLEDアレイ200の一部の平面図である。
図2に示されるように、LEDアレイ200は、基板240上に支持され、一例としてそれぞれ赤色波長、緑色波長および青色波長で発光する複数のマイクロLED構造210,220および230を含む。マイクロLED構造210,220および230の各々は、LED構造100の例である。
図2にはLEDの4×4アレイのみが示されているが、LEDアレイ200は、たとえばディスプレイを形成する発光体のより大きなアレイの一部であってもよく、画素の配置、それらの形状、それらの個数、それらのサイズ、およびそれらの対応する波長発光は、特定の用途に合わせて調整可能である。ディスプレイは、ライトフィールド用途で使用されるものなどの高解像度高密度ディスプレイであってもよい。
【0016】
特に、発光体の高密度または互いに近接した所定の数の発光体のアレイを実現するために、マイクロLED構造210,220および230をモノリシックに集積された態様で同一基板上に形成できることが望ましいであろう。すなわち、各タイプのマイクロLED構造を別々の基板上に(たとえば、1つまたは複数の赤色発光マイクロLEDを第1の基板上に、1つまたは複数の緑色発光マイクロLEDを第2の基板上に、および1つまたは複数の青色発光マイクロLEDを第3の基板上に)形成し、次いで、各マイクロLEDを第4の基板に移動させて、ディスプレイとして使用されるマイクロLEDアレイを形成するのではなく、3つ全てのタイプのマイクロLEDのアレイを単一の基板上に直接形成する。言い換えれば、マイクロLED210,220および230の各色を別々のウェハ上に形成し、各LEDを別の基板に移動させて、
図2に示されるLEDアレイ200を形成するのではなく、最初からマイクロLED構造210,220および/または230を単一の基板上に形成することによって、より高密度のLEDアレイを実現することができる。
【0017】
図3は、アクティブMQW領域330を含むマイクロLED構造300の概略断面図である。アクティブMQW領域330を含むマイクロLED構造300は、LED構造100およびアクティブMQW領域130のそれぞれの例である。マイクロLED構造300は、バリア層334(たとえば、GaNまたはInGaNバリア層)によって分離されたアクティブQW領域332を含むアクティブMQW領域330を含む。各アクティブQW領域332は、1つの材料からなる単一の層、または異なる材料からなる2つもしくはそれ以上の層を含み得る。アクティブMQW領域330内にアクティブQW領域332とバリア層334とのスタックの繰り返しが4組示されているが、所望の発光性能に応じて、より少ない数のスタックまたはより多い数のスタックが含まれていてもよい。
【0018】
図4は、本開示の局面に係る、選択的領域成長(SAG)開口幅によるLED色選択の一例であるディスプレイデバイス400の概略断面図である。ディスプレイデバイス400は、基板405を含み、その上に発光体401および402が支持されている。実施形態において、ディスプレイデバイス400は、発光体403も含む。発光体401は、第1のスペクトル範囲の照明(たとえば、青色の光)を生成する第1のタイプのLEDを含む。発光体402は、第2のスペクトル範囲の照明(たとえば、緑色の光)を生成する第2のタイプのLEDを含む。発光体403は、第3のスペクトル範囲の照明(たとえば、赤色の光)を生成する第3のタイプのLEDを含む。
【0019】
実施形態において、発光体401,402および403は、単一エピタキシャル成長工程を使用してエピタキシャル成長される。発光体401,402および403は、基板405の上に設置されたSAGマスク430を使用して開口を規定することによって成長され、基板405は、たとえば半導体ウェハまたはLED作製プロセスに適合した別の基板であってもよい。SAGマスク430は、アパーチャ431および432を含む。本明細書において、SAGマスクにおける開口およびアパーチャという語は同義で用いられる。実施形態において、SAGマスク430はアパーチャ433も含み、この場合、ディスプレイデバイスは発光体403も含む。
【0020】
基板405は、バッファ層410を含み、正孔ブロック層(HBL)420も含み得て、それらの各々は、n型半導体材料で形成され得る。実施形態において、正孔ブロック層420は、AlGaInNで形成される。正孔ブロック層420は、アクティブQW領域間で発生し得るクロストークの量を減少させるように機能する。
【0021】
実施形態において、エピタキシャル成長は、バリア層441、アクティブQW領域443、バリア層444、アクティブQW領域452およびバリア層453の堆積を含む。実施形態において、エピタキシャル成長は、正孔ブロック層442および451のうちの少なくとも1つの堆積も含む。ディスプレイデバイス400が発光体403を含む場合には、エピタキシャル成長は、アクティブQW領域462およびバリア層463の堆積を含む。実施形態において、エピタキシャル成長は、正孔ブロック層461の堆積も含む。層441,442,444,451および461のうちの少なくとも1つは、n型半導体で形成され得る。いくつかの実現例では、任意のn型正孔ブロック層と量子井戸のうちのいずれかとの間にn型バリアが配設されてもよい。
【0022】
実施形態において、SAGマスク430は、隣接する発光体間に堆積材料が蓄積することを防止し、それにより、上記のエピタキシャル堆積物は、アパーチャ431~433などのSAGマスク430のアパーチャによって露出された基板405の領域にのみ付着する。したがって、層441,442、アクティブQW領域443および層444の堆積は、
図4に示されるようなアパーチャ431~433内のまたはアパーチャ431~433と整列されたそれぞれの層441(1,2,3)~444(1,2,3)をもたらす。また、層451、アクティブQW領域452および層453の堆積は、
図4に示されるようなアパーチャ432および433内のまたはアパーチャ432および433と整列されたそれぞれの層451(1,2)~453(1,2)をもたらす。層461~463の各々は、この状態で堆積時に見られるような発光体403のみの一部であり、バリア層453の堆積後は、発光体401および402の各々は、いかなる追加の層の付着も支持するには狭すぎるようになる。
【0023】
実施形態において、エピタキシャル成長は、p型電子ブロック層471、p型層472およびオーミック接触層473の堆積も含む。層471(1,2,3)は、層471のそれぞれのセクションであり、層472(1,2,3)は、層472のそれぞれのセクションであり、層471(1,2,3)は、層473のそれぞれのセクションである。実施形態において、(i)発光体401~403がそれぞれの層471(1)~471(3)を含む、(ii)発光体401~403がそれぞれの層472(1)~472(3)を含む、および(iii)発光体401~403がそれぞれの層473(1)~473(3)を含む、のうちの少なくとも1つである。
【0024】
発光体402は、構造が終端する前に、n型バリア層441(2)と、正孔ブロック層442(2)(特定の実施形態)と、アクティブQW領域443(2)と、n型バリア層444(2)と、正孔ブロック層451(1)(特定の実施形態)と、アクティブQW領域452(1)と、バリア層453(1)とを含む。発光体402において、n型バリア層444(2)は、アクティブQW領域443(2)全体にわたる電流の流れを防止し、したがってそこからの発光を抑制する。
【0025】
実施形態において、アクティブQW領域443および452は、QW領域443および452を構成する材料および層のそれぞれの格子パラメータ(たとえば、格子定数および/または格子角度)が同様であるように単一エピタキシャル成長工程で形成される。実施形態において、アクティブQW領域443および452を構成する材料の対応する格子定数および/または格子角度は、5%未満異なっている。
【0026】
アクティブQW領域130および330は、アクティブQW領域443(1~3)およびアクティブQW領域452(1,2)の両方の例である。QW領域443は、第1のスペクトル範囲にわたる発光スペクトルを有する。QW領域452は、実施形態ではQW領域443の第1のスペクトル範囲とは異なる第2のスペクトル範囲にわたる発光スペクトルを有する。実施形態において、第1および第2のスペクトル範囲の各々は、可視電磁スペクトルの赤色領域、緑色領域および青色領域のうちの1つであるが、第1および第2のスペクトル範囲がともに赤色領域、緑色領域および青色領域のうちの2つにわたるように異なった領域でもある。
【0027】
発光体403は、構造が終端する前に、n型バリア層441(3)と、正孔ブロック層442(3)(特定の実施形態)と、アクティブQW領域443(3)と、n型バリア層444(3)と、正孔ブロック層451(2)(特定の実施形態)と、アクティブQW領域452(2)と、バリア層453(2)と、正孔ブロック層461と、アクティブQW領域462と、nバリア層463とを含む。発光体403において、n型バリア層444(3)は、アクティブQW領域443(3)全体にわたる電流の流れを防止し、したがってそこからの発光を抑制する。同様に、n型バリア層453(2)は、アクティブQW領域452(2)全体にわたる電流の流れを防止し、したがってそこからの発光を抑制する。
【0028】
アクティブQW領域130および330は、アクティブQW領域443(1~3)および451(1,2)の第1および第2のスペクトル範囲の各々とは異なり得る第3のスペクトル範囲にわたる発光スペクトルを有するアクティブQW領域462の例である。実施形態において、第1のスペクトル範囲は、電磁スペクトルの青色領域を含み、第2のスペクトル範囲は、電磁スペクトルの緑色領域を含み、第3のスペクトル範囲は、電磁スペクトルの赤色領域を含む。発光スペクトルの他の組み合わせも可能である。
【0029】
完全なエピタキシャル成長は、発光体403の構造に反映されており、発光体403は、アクティブQW領域443,452および461の成長前に終端しない。これに対して、発光体402の構造は、アクティブQW領域462が成長される前に(たとえば、さまざまな層のファセット成長メカニズムにより)終端する。同様に、発光体401の構造は、アクティブQW領域452および461の両方が成長される前に終端する。
【0030】
実施形態において、発光体401は、堆積後も残っている層471~473のそれぞれのセクションであるp型電子ブロック層471(1)、p型接触層472(1)および金属(オーミック)接触層473(1)のうちの少なくとも1つを含む。実施形態において、発光体402は、p型電子ブロック層471(2)、p型接触層472(2)および金属(オーミック)接触層473(2)のうちの少なくとも1つを含む。実施形態において、発光体403は、p型電子ブロック層471(3)、p型接触層472(3)および金属(オーミック)接触層473(3)のうちの少なくとも1つを含む。実施形態において、p型層471および472のうちの少なくとも1つは、pオーミック接触層473の下の部分を除いて、部分的にまたは完全に除去される。
【0031】
図4は、層群440(1~3),450(1,2),460および470(1~3)を示している。層群440(1~3)は、それぞれの層441(1~3),443(1~3),444(1~3)を含み、実施形態では層442(1~3)を含む。たとえば、層群440(1)は、層441(1),443(1),444(1)を含み、実施形態では層442(1)を含む。
図4は、それぞれの層441(1~3),443(1~3),444(1~3)を含み、実施形態では層442(1~3)を含む層群440(1~3)を示している。層群450(1)は、それぞれのアクティブ層452(1),453(1),454(1)を含み、実施形態では層451(1)を含む。層群450(2)は、それぞれのアクティブ層452(2),453(2),454(2)を含み、実施形態では層451(2)を含む。層群460は、アクティブアクティブQW領域462および層463を含み、実施形態では正孔ブロック層461を含む。
【0032】
ディスプレイデバイス400によって示されるように、SAGマスクは、さまざまなタイプのLEDのためのさまざまなサイズの開口を提供する。この例では、狭い開口(たとえば、青色LED用)、広い開口(たとえば、緑色LED用)、および最も広い開口(たとえば、赤色LED用)がある。エピタキシャル成長プロセスのエピタキシャル層は、SAGマスクの開口内で成長される。実施形態において、SAGマスク430は、SiO2またはSi3N4で形成される。
【0033】
この例における発光体401の場合のように開口が小さい場合、エピタキシャル成長に関連付けられたファセット角度のために、アクティブQW領域443(1)が成長された後であるがその上にアクティブQW領域452の一部が成長される前に終端点に到達するまでは、成長が進むにつれて成長の領域は縮小する。
【0034】
この例における発光体402の場合のようにアパーチャ432をアパーチャ431よりも大きくすることによって、アクティブQW領域443(2)およびアクティブQW領域452(1)の両方が成長された後に成長終端点が生じる。さらに、発光体403の場合のようにアパーチャ433をアパーチャ432よりも大きくすることによって、3つ全てのアクティブ量子井戸領域、すなわちアクティブQW領域443(3),451(2)および462が成長された後に成長終端点が生じる。
【0035】
このようにして、各々が異なるそれぞれのアクティブQW領域、すなわちアクティブQW領域443(1),451(1)および462をそれぞれ有する3つの異なる構造、たとえば発光体401~403を有することができる。構造が形成されると、次にこれら全ての構造の上にp型接触層472を成長させ、それに続いてオーミック接触層473を設置することができる。したがって、単一エピタキシャル成長工程を使用して形成され得る発光体401~403は、3つの異なるスペクトル領域、たとえば青色波長、緑色波長および赤色波長で発光するように構成される。
【0036】
図5は、LED色選択が各アパーチャの下の基板における凹部のSAGアパーチャ幅および深さを制御することによって実現されるディスプレイデバイス400の一例であるディスプレイデバイス500の概略断面図である。ディスプレイデバイス500は、基板505と、その上の発光体501および502とを含む。実施形態において、ディスプレイデバイス500は、発光体503も含む。基板505は、基板405の例であり、バッファ層510を含み、実施形態ではその上に正孔ブロック層520を含む。バッファ層510、正孔ブロック層520は、バッファ層410、正孔ブロック層420のそれぞれの例である。発光体501~503は、発光体401~403のそれぞれの例である。
図5は、基板505の上にSAGマスク530を含む。SAGマスク530は、SAGマスク430の例であり、ディスプレイデバイス500を作製するための選択的アパーチャエッチングプロセスで使用され得る。
【0037】
発光体501は、層541(1),543(1)および544(1)を含み、層541(1),543(1)および544(1)は、発光体401の層441(1),443(1)および444(1)のそれぞれの例である。実施形態において、発光体501は、層571(1)~573(1)のうちの少なくとも1つも含み、層571(1)~573(1)は、
図4の層471(1)~473(1)のそれぞれの例である。発光体502は、層541(2),543(2),544(2),552(1)および553(1)を含み、層541(2),543(2),544(2),552(1)および553(1)は、発光体402の層441(2),443(2),444(2),452(1)および453(1)のそれぞれの例である。実施形態において、発光体502は、層571(2)~573(2)のうちの少なくとも1つも含み、層571(2)~573(2)は、
図4の層471(2)~473(2)のそれぞれの例である。発光体503は、層541(3),543(3),544(3),552(2),553(2),562および563を含み、層541(3),543(3),544(3),552(2),553(2),562および563は、発光体403の層441(3),443(3),444(3),452(3),453(3),462および463のそれぞれの例である。実施形態において、発光体503は、層571(3)~573(3)のうちの少なくとも1つも含み、層571(3)~573(3)は、
図4の層471(3)~473(3)のそれぞれの例である。実施形態において、発光体501~503は、それぞれの層542(1~3)を含み、層542(1~3)は、層442(1~3)のそれぞれの例である。実施形態において、発光体502および503は、それぞれの層551(1)および551(2)を含み、層551(1)および551(2)は、
図4の層451(1)および451(2)のそれぞれの例である。
【0038】
発光体501を作製する前に、深さ511および幅516を有する凹部513を形成するように基板505がエッチングされる。発光体501は、凹部513の中に少なくとも部分的に含まれることにより、凹部513は、正孔ブロック層520の上面529に対して発光体501の輪郭または高さを下げる。発光体502を作製する前に、深さ512および幅516を有する凹部514を形成するようにウェハまたは基板がエッチングされる。発光体502は、凹部514の中に少なくとも部分的に含まれることにより、凹部514は、上面529に対して発光体501および502のそれぞれの高さが実質的に等しい、たとえば5%以内であるように発光体502の輪郭または高さを下げる。また、発光体503を作製する前に、深さ512および幅518を有する凹部515を形成するように基板505がエッチングされる。発光体503は、凹部515の中に少なくとも部分的に含まれる。上面529に対して、発光体503の高さは、発光体501および502の高さを超える。
【0039】
実施形態において、幅517が幅516を超える、および深さ512が深さ511を超える、のうちの少なくとも1つである。実施形態において、幅518は幅517を超える。実施形態において、凹部の深さ511および512は等しい。
【0040】
この例によって示されるように、エピタキシャル成長が終了するまでに上面529上の発光体501および502の高さがおおよそ同じになるように、基板505において発光体502は発光体501よりも深い。したがって、発光体501および502のそれぞれの上面は同一平面上にあり、したがって、結果として得られる発光体の平坦化および他の基板への移動などの後続の処理が容易になる。第2の利点は、発光体502では、そのp型接触層572(2)および接触(オーミック)金属573(2)がアクティブQW領域543(2)に接触しないため、発光体502ではQW領域543(2)からの発光を引き起こす機会がさらに少なくなる、というものである。一方、ディスプレイデバイス400では、発光体402のp型接触層472(2)は、アクティブQW領域443(2)に隣接している。発光体402においてQW領域443(2)からの発光を非意図的に引き起こすことを回避するために、p型接触層472(2)のどの部分もアクティブQW領域443(2)に隣接しないようにp型接触層472(2)の一部が除去、たとえばエッチングされて除去される。
【0041】
図6は、本開示の局面に係る、SAG開口深さによるLED色選択の一例を示すディスプレイデバイス600の概略断面図である。ディスプレイデバイス600は、基板605と、その上の発光体601および602とを含む。実施形態において、ディスプレイデバイス600は、発光体603も含む。基板605は、基板405の例であり、バッファ層610を含み、実施形態ではその上に正孔ブロック層620を含む。バッファ層610および正孔ブロック層620は、バッファ層410および正孔ブロック層420のそれぞれの例である。発光体601~603は、発光体401~403のそれぞれの例である。
図6は、基板605の上にSAGマスク630を含む。SAGマスク630は、SAGマスク430の例であり、ディスプレイデバイス600を作製するための選択的アパーチャエッチングプロセスで使用され得る。
【0042】
発光体601は、層641(1),643(1)および644(1)を含み、層641(1),643(1)および644(1)は、発光体401の層441(1),443(1)および444(1)のそれぞれの例である。実施形態において、発光体601は、層671(1)~673(1)のうちの少なくとも1つも含み、層671(1)~673(1)は、
図4の層471(1)~473(1)のそれぞれの例である。発光体602は、層641(2),643(2),644(2),652(1)および653(1)を含み、層641(2),643(2),644(2),652(1)および653(1)は、発光体402の層441(2),443(2),444(2),452(1)および453(1)のそれぞれの例である。実施形態において、発光体602は、層671(2)~673(2)のうちの少なくとも1つも含み、層671(2)~673(2)は、
図4の層471(2)~473(2)のそれぞれの例である。発光体603は、層641(3),643(3),644(3),652(2),653(2),662および663を含み、層641(3),643(3),644(3),652(2),653(2),662および663は、発光体403の層441(3),443(3),444(3),452(3),453(3),462および463のそれぞれの例である。実施形態において、発光体603は、層671(3)~673(3)のうちの少なくとも1つも含み、層671(3)~673(3)は、
図4の層471(3)~473(3)のそれぞれの例である。実施形態において、発光体601~503は、それぞれの層642(1~3)を含み、層642(1~3)は、
図4の層442(1~3)のそれぞれの例である。実施形態において、発光体602および603は、それぞれの層651(1)および651(2)を含み、層651(1)および651(2)は、
図4の層451(1)および451(2)のそれぞれの例である。
【0043】
この例では、発光体601~603の各々は、最初にそれぞれの凹部613~615を基板605にエッチングすることによって成長され、凹部のそれぞれの深さ611~613は、各発光体601~603について異なっており、同一平面上の構造を提供する。たとえば、発光体601は、エッチング深さ611から成長され、エッチング深さ611は、発光体602で使用されるエッチング深さ612未満であり、エッチング深さ612は、発光体603のエッチング深さ613未満である。したがって、発光体601~603の各々は、発光体601~603のそれぞれの上面が同一平面上にあるように基板605内の異なるそれぞれの深さから成長される。したがって、発光体601~603の各々において、p型接触層672は、発光体の最上部アクティブQW領域、すなわち基板605の上面に垂直な垂直方向においてp-接触層672の最も近くにあるアクティブQW領域のみと接触しているか、または水平方向に隣接している。凹部613~615は、それぞれの幅616~618を有する。実施形態において、(i)幅618が幅617を超える、および(ii)深さ613が深さ612を超える、のうちの少なくとも1つである。
【0044】
さらにまたは代替的に、上記の発光体は、ペデスタル上に成長させることができる。これは、依然としてSAGマスクを使用して行うことができ、ここでは、バッファ層を成長させてたとえば結晶品質を向上させるためにペデスタルを成長させる必要があるだろう。
図7は、本開示の局面に係る、ペデスタル幅によるLED色選択の一例を示すディスプレイデバイス700の概略断面図である。ディスプレイデバイス700は、ディスプレイデバイス400の例であり、発光体701,702を含み、実施形態では発光体703を含み、これらの発光体701,702および703は、別々のペデスタル上に成長されている。発光体701~703は、発光体401~403のそれぞれの例である。
【0045】
発光体701は、基板705(1)および層群740(1)を含み、基板705(1)および層群740(1)は、
図4の基板405層群440(1)のそれぞれの例である。発光体702は、基板705(2)ならびに層群740(2)および750(1)を含み、基板705(2)ならびに層群740(2)および750(1)は、
図4の基板405、層群440(2)および450(1)のそれぞれの例である。発光体703は、基板705(3)ならびに層群740(3)および750(2)および760を含み、基板705(3)ならびに層群740(3)および750(2)および760は、
図4の基板405ならびに層群440(3)および450(2)および460のそれぞれの例である。実施形態において、発光体701~703は、それぞれの層771(1~3),772(1~3)および773(1~3)を含み、層771(1~3),772(1~3)および773(1~3)は、
図4の層群471(1~3),472(1~3)および473(1~3)のそれぞれの例である。
【0046】
図8および
図9は、ディスプレイデバイス800A,800Bおよび900の概略断面図であり、ディスプレイデバイス800A,800Bおよび900の各々は、ディスプレイデバイス400の例である。ディスプレイデバイス800A,800Bおよび900は、本開示の局面に係る、エッチング分離による単一連続選択的領域成長の一例を示す。この例は、たとえば1回のエピタキシャルプロセスおよび2つのマスク(金属層を除く)を使用することによって実現することができ、ここでは、発光体の発光スペクトルは、SAGマスクのアパーチャの幅によって決定される。ディスプレイデバイス800A,800B,900および1000の各々は、
図4におけるディスプレイデバイス400の例である。
【0047】
ディスプレイデバイス800Aは、基板805と、その上の発光体801,802を含み、実施形態では発光体803を含む。基板805は、バッファ層810を含み、実施形態ではその上に正孔ブロック層820を含む。層810および820は、層410および420のそれぞれの例である。
図8は、基板805の上にSAGマスク830を含む。SAGマスク830は、SAGマスク430の例であり、ディスプレイデバイス800A,800Bおよび900を作製するための選択的アパーチャエッチングプロセスで使用され得る。
【0048】
発光体801は、層群840(1)および電子ブロック層871(1)を含み、層群840(1)および電子ブロック層871(1)は、
図4の層群440(1)および電子ブロック層471(1)のそれぞれの例である。発光体802は、層群840(2),850(1)および電子ブロック層871(2)を含み、層群840(2),850(1)および電子ブロック層871(2)は、
図4の層群440(2),450(1)および電子ブロック層471(2)のそれぞれの例である。発光体803は、層群840(3),850(2),860および電子ブロック層871(3)を含み、層群840(3),850(2),860および電子ブロック層871(3)は、
図4の層群440(3),450(2),460および電子ブロック層471(3)のそれぞれの例である。
【0049】
以下の説明は、ディスプレイデバイス800Aの実施形態が発光体803を含む、ディスプレイデバイス800Aおよび900をもたらすディスプレイデバイス800Aの実施形態の処理を含む。発光体803を含まないディスプレイデバイス800Aの実施形態に適用される同様のプロセスは、それに由来する発光体803を適宜含まない類似のディスプレイデバイス800Bおよび900をもたらす、ということが理解されるべきである。
【0050】
ディスプレイデバイス800Bは、オーミック接触層873(1~3)の堆積後、および実施形態ではパターニング後のディスプレイデバイス800Aであり、オーミック接触層873(1~3)は、オーミック接触層473(1~3)のそれぞれの例である。ディスプレイデバイス900は、それぞれの発光体901~903をもたらすために発光体801~803の側壁をエッチングした後のディスプレイデバイス800Bである。
【0051】
発光体901は、層群940(1)、電子ブロック層971(1)およびオーミック接触層973(3)を含み、層群940(1)、電子ブロック層971(1)およびオーミック接触層973(3)は、上記エッチング後の層群840(1)、電子ブロック層871(1)およびオーミック接触層873(3)である。発光体902は、層群940(2),950(1)および電子ブロック層971(2)を含み、層群940(2),950(1)および電子ブロック層971(2)は、上記エッチング後の層群840(2),850(1)および電子ブロック層871(2)である。発光体803は、層群940(3),950(2),960および電子ブロック層971(3)を含み、層群940(3),950(2),960および電子ブロック層971(3)は、上記エッチング後の層群840(3),850(2),860および電子ブロック層871(3)である。
【0052】
図10は、ディスプレイデバイス1000の概略断面図であり、ディスプレイデバイス1000は、ディスプレイデバイス400の例である。ディスプレイデバイス1000は、基板1005と、基板1005の上にデュアル発光体1001および1002とを含み、実施形態ではデュアル発光体1003を含む。発光体1001~1003は、発光体401~403のそれぞれの例である。基板1005は、基板405の例であり、バッファ層1010を含み、実施形態では正孔ブロック層1020を含む。
【0053】
デュアル発光体1001は、2つの層群1040(1A)および1040(1B)を含み、層群1040(1A)および1040(1B)の各々は、
図4の層群440(1)の例である。層群1040(1A)および1040(1B)は、共通の層1041(1)を共有しており、実施形態では共通の層1042(1)を共有しており、共通の層1041(1)および1042(1)は、層441(1)および442(1)のそれぞれの例である。層群1040(1A)は、アクティブQW領域1043(1A)および層1044(1A)も含み、アクティブQW領域1043(1A)および層1044(1A)は、アクティブQW領域443(1)および層444(1)のそれぞれの例である。層群1040(1B)は、アクティブQW領域1043(1B)および層1044(1B)も含み、アクティブQW領域1043(1B)および層1044(1B)は、アクティブQW領域443(1)および層444(1)のそれぞれの例である。層群1040(1A)および1040(1B)は、それらの上のそれぞれの層群1070(1A)および1070(1B)によって独立して制御されることができ、層群1070(1A)および1070(1B)の各々は、
図4の層群470(1)の例である。
【0054】
デュアル発光体1002は、層群1040(2)を含み、層群1040(2)は、
図4の層群440(2)の例である。デュアル発光体1002は、2つの層群1050(1A)および1050(1B)も含み、層群1050(1A)および1050(1B)の各々は、
図4の層群450(1)の例である。実施形態において、層群1050(1A)および1050(1B)は、共通の層1051(1)を共有しており、共通の層1051(1)は、層451(1)の例である。層群1050(1A)は、アクティブQW領域1052(1A)および層1053(1A)も含み、アクティブQW領域1052(1A)および層1053(1A)は、アクティブQW領域452(1)および層453(1)のそれぞれの例である。層群1050(1B)は、アクティブQW領域1052(1B)および層1053(1B)も含み、アクティブQW領域1052(1B)および層1053(1B)は、アクティブQW領域452(1)および層453(1)のそれぞれの例である。層群1050(1A)および1050(1B)は、それらの上のそれぞれの層群1070(2A)および1070(2B)によって独立して制御されることができ、層群1070(2A)および1070(2B)の各々は、
図4の層群470(2)の例である。
【0055】
デュアル発光体1003は、層群1040(3)および層群1050(2)を含み、層群1040(3)および層群1050(2)は、
図4の層群440(3)および450(2)のそれぞれの例である。デュアル発光体1003は、2つの層群1060(1)および1060(2)も含み、層群1060(1)および1060(2)の各々は、
図4の層群460の例である。実施形態において、層群1060(1)および1060(2)は、共通の正孔ブロック層1061を共有しており、正孔ブロック層1061は、
図4の正孔ブロック層461の例である。層群1060(1)は、アクティブQW領域1062(1)および層1063(1)も含み、アクティブQW領域1062(1)および層1063(1)は、
図4のアクティブQW領域462および層463のそれぞれの例である。層群1060(2)は、アクティブQW領域1062(2)および層1063(2)も含み、アクティブQW領域1062(2)および層1063(2)は、アクティブQW領域462および層463のそれぞれの例である。層群1060(1)および1060(2)は、それらの上のそれぞれの層群1070(3A)および1070(3B)によって独立して制御されることができ、層群1070(3A)および1070(3B)の各々は、
図4の層群470(3)の例である。
【0056】
個々の素子を分離するために後でエッチングされるストライプまたは細長い構造を使用して構造が形成される場合、
図10は、さまざまな色の個々のLEDを形成するためのストライプに沿った分離エッチングを示す。この例では、複数の異なる発光体1001が青色LEDストライプをエッチングすることによって形成され、複数の異なる発光体1002素子が緑色LEDストライプをエッチングすることによって形成され、複数の異なる発光体1003素子が赤色LEDストライプをエッチングすることによって形成される、ということが分かる。
【0057】
エッチングは、p型接触層と上面量子井戸の下に成長され得る量子井戸のうちのいずれかとの間のいかなる接続も回避するためにp型接触層を除去するのに使用され得る。p型接触層とそれらの量子井戸のうちのいくつかとの間の重複はいずれも、電流が通過して他の量子井戸を励起する可能性を有し得る。このタイプのエッチングを行うことによって、これらの望ましくない励起が起こらないようにすることができる。
【0058】
図11および
図12は、本開示の局面に係る、均一な高さを有する単一選択的領域成長の一例を示すディスプレイデバイス1100A,1100B,1100Cおよび1200の概略断面図を含む。この例は、たとえば1回のエピタキシャルプロセスおよび3つまたは4つのマスク(金属層を除く)を使用することによって実現することができ、ここでは、SAG開口幅および深さによって色が選択される。ディスプレイデバイス1100A,1100B,1100Cおよび1200の各々は、
図6のディスプレイデバイス600の例である。
【0059】
ディスプレイデバイス1100Aは、3つの異なる深さの凹部でSAGを使用して、3つの異なる範囲の電磁スペクトルで動作する3つの異なる発光体をもたらすことを示している。
図11の例において、3つの異なる発光体は、
図6で紹介した発光体601~603である。ディスプレイデバイス1100Bは、ディスプレイデバイス作製における金属堆積およびパターニングステップを示している。ディスプレイデバイス1100Cは、(SAGマスクが連続的である場合に)異なる素子または構造を分離するのに使用されて、エッチングされた基板1105をもたらす、基板605の分離エッチングを示している。
【0060】
個々の素子を分離するために後でエッチングされるストライプまたは細長い構造を使用して構造が形成される場合、ディスプレイデバイス1200は、
図10で紹介した発光体1001~1003を形成するためのストライプに沿った分離エッチングを示す。ディスプレイデバイス1200は、発光体1001~1003が基板1205内に異なる深さで形成されたディスプレイデバイス1000の例である。基板1205は、基板605の例であり、少なくとも層1210および1220を含み、層1210および1220は、層610および620のそれぞれの例である。実施形態において、複数の異なる発光体1001は、青色LEDストライプをエッチングすることによって形成され、複数の発光体1002は、緑色LEDストライプをエッチングすることによって形成され、複数の異なる発光体1003は、赤色LEDストライプをエッチングすることによって形成される。
【0061】
この例が示しているように、1つまたは複数の技術を一緒に使用することができる。たとえば、異なる深さでエッチングを行うこと、接触金属のみをエッチングすること、半導体基板にエッチングすること、またはこれらの何らかの組み合わせが可能である。
【0062】
図13は、基板上に支持された複数の発光体を形成する方法1300を示すフローチャートである。方法1300は、
図1~
図12のディスプレイデバイスのうちのいずれかを形成するために実行され得る。方法1300は、ステップ1310,1315,1320,1340,1350,1370および1380を含む。実施形態において、方法1300は、ステップ1330,1360,1390,1392および1394のうちの少なくとも1つも含む。実施形態において、方法1300の各ステップは、単一エピタキシャル成長工程で実行される。
【0063】
ステップ1310は、基板上に第1の凹部を形成するステップを含み、第1の凹部は、第1の幅および第1の深さを有する。ステップ1310の例では、凹部513が基板505に形成される(
図5)。ステップ1315は、基板上に第2の凹部を形成するステップを含む。第2の凹部は、第2の幅および第2の深さを有し、第2の幅および第2の深さのうちの少なくとも1つは、それぞれ第1の幅および第1の深さよりも大きい。ステップ1310の例では、凹部514が基板505に形成される。
【0064】
ステップ1320は、基板の上に第1のn型バリア材料を堆積させるステップを含む。ステップ1320の例では、n型バリア層541(1)および541(2)が基板505の上に堆積される。
【0065】
ステップ1330は、第1のn型バリア材料の上に第1のn型正孔ブロック層(HBL)を堆積させるステップを含む。ステップ1330の例では、正孔ブロック層542(1)および542(2)が層541(1)および541(2)の上にそれぞれ堆積される。
【0066】
ステップ1340は、第1のn型バリア材料の上に第1のアクティブ量子井戸(QW)構造を作製するステップを含む。ステップ1340の例では、アクティブQE領域543(1)および543(2)が(i)バリア層541(1)および541(2)の上にそれぞれ、または(ii)正孔ブロック層542(1)および542(2)の上にそれぞれ作製される。
【0067】
ステップ1350は、第1のアクティブQW構造の上に第2のn型バリア材料を堆積させるステップを含む。ステップ1350の例では、n型バリア層544(1)および544(2)がアクティブQE領域543(1)および543(2)の上にそれぞれ堆積される。
【0068】
ステップ1360は、第2のn型バリア材料の上に第2のn型HBLを堆積させるステップを含む。ステップ1360の例では、正孔ブロック層551(1)がバリア層544(2)の上に堆積される。
【0069】
ステップ1370は、第2のn型バリア材料の上に第2のアクティブQW構造を作製するステップを含む。ステップ1370の例では、アクティブQE領域552(1)がバリア層544(2)の上または正孔ブロック層551(1)の上に作製される。
【0070】
ステップ1380は、第2のアクティブQW構造の上に第3のn型バリア材料を堆積させるステップを含む。ステップ1380の例では、n型バリア層553(1)がアクティブQE領域552(1)の上に堆積される。
【0071】
ステップ1310,1315,1320,1340,1350および1370の結果として、第1の凹部の第1の幅および第1の深さは、第1の凹部における第2のアクティブQW構造の形成を防止することによって、第1のn型バリア材料、第1のアクティブQW構造および第2のn型バリア層が第1の発光体を形成するように構成される。第1の発光体の例としては、発光体401,501,601,701,801,901および1001が挙げられる。
【0072】
ステップ1310,1315,1320,1340,1350および1370の結果として、第2の凹部の第2の幅および第2の深さは、第2の発光体を形成するために、第2の凹部内の、および第2の凹部の中に少なくとも部分的に含まれる第1のn型バリア材料、第1のアクティブQW構造、第2のn型バリア材料、第2のアクティブQW構造および第3のn型バリア材料を支持するように構成される。第2の発光体の例としては、発光体402,502,602,702,802,902および1002が挙げられる。
【0073】
ステップ1390は、第1の凹部が第1の発光体を支持する一方で第2の凹部が第2の発光体を支持することにより、第1の発光体が第2の発光体から電気的に分離されるように、第1の凹部を第2の凹部から電気的に分離するステップを含む。ステップ1390の例に見られるように、ディスプレイデバイス1100Bの発光体601,602および603間の基板605の部分は除去、たとえば湿式または乾式エッチングされて、ディスプレイデバイス1100Cをもたらす。
【0074】
ステップ1392は、第1および第2のLED構造の各々の上にp型層を堆積させるステップを含む。ステップ1392の例では、p型層572(1)および572(2)が発光体501および502の上にそれぞれ堆積される。
【0075】
ステップ1394は、第1および第2のLED構造の各々の上にp型オーミック接触を形成するステップを含む。ステップ1394の例では、オーミック接触層573(1)および573(2)が発光体501および502の上にそれぞれ堆積される。
【0076】
本明細書に記載されている例は、限定としてではなく例示として提供されている、ということが理解されるべきである。量子井戸の順序は、図面に示されている順序とは異なっていてもよく、図面に示されている3つの量子井戸よりも多くてもよく、それよりも少なくてもよく、量子井戸は、図面に示されている色とは異なる色を有していてもよく、図面に示されている層以外の、LEDの性能の異なる側面を向上させることができるさらなる層が含まれていてもよい。いくつかの実現例では、青色LEDを小さくすることが有用であろう。なぜなら、青色の光は、ディスプレイによって生成される光の小さな成分を提供し、青色LEDはかなり効率的であるからである。このような実現例では、緑色LEDも効率的であり、青色LEDと同様のサイズまたはおそらくわずかに大きなサイズを有し得る。このような実現例では、赤色LEDは、青色LEDまたは緑色LEDほど効率的ではなく、最も大きな素子である必要があるだろう。
【0077】
図1~
図6Bと関連付けて上記した例に対するさらなる検討事項は、上部接触配置、エピタキシャルプロセス工程(たとえば、エピタキシャル工程)の数、幅、深さまたは幅と深さとの組み合わせに基づくLEDのための色の選択全般、および素子または構造(たとえば、さまざまな色の個々のLED)を分離するさまざまな方法を含む。
【0078】
素子分離は、SAGマスクの開口を使用して個々の素子を分離することによって実現することができる(たとえば、開口のアレイは、対応するLED素子のアレイの位置および分離を規定する)。言い換えれば、各素子または構造は、小さな開口を使用することによるSAGマスクにおける二次元的に分離された特徴であり、各開口は、LEDの構造を成長させるのに使用される。
【0079】
ストライプ(たとえば、細長い特徴)SAGを使用し、次いで分離エッチングを適用して、ストライプ構造からなる個々の素子を分離することも可能である(たとえば、
図5Bおよび
図9を参照)。たとえば、これらの素子は、ストライプ状に成長され、次いで、ストライプに垂直な方向にエッチングされて、分離される。さまざまな幅を有するストライプをその長さに沿って有することが可能であり得て、エッチングは、さまざまな色のLEDを同一のストライプから分離するようなものである。
【0080】
使用される素子分離のタイプは、分離型SAGであろうと分離エッチングによるストライプSAGであろうと、素子パッシベーションおよびパッキング密度に影響を及ぼし得る。
【0081】
上部接触面に関して、それはc-平面であってもよく、または非c-平面であってもよい。c-平面は、平坦な平面である上面である。いくつかの例では、接触はc-平面上であり、他の例では、接触は傾斜面である非c-平面上である。上部接触面の選択は、さまざまな色の相対的強度に影響を及ぼし得る。
【0082】
エピタキシャルプロセス工程(たとえば、エピタキシャル工程)の数に関して、上記の例は、さまざまな範囲の電磁スペクトルで動作する発光体を提供する単一エピタキシャル工程に対応する(たとえば、単一工程におけるエピタキシャル成長プロセスは、赤色、緑色および青色などの三色の光を生成することができる量子井戸を生成する)。他の実現例は、そのように実現された作製方法が各エピタキシャル工程について4つ以上の色を生成するようなものであってもよい。さらに他の実現例は、各エピタキシャル工程について三色の代わりに、各エピタキシャル工程について二色を生成してもよい。さらに他の実現例では、1つのエピタキシャル工程が一色を生成し、別のエピタキシャル工程が二色を生成して、合計三色を生成してもよい。このような実現例では、第1のエピタキシャル工程が一色または二色を生成してもよく、第2のエピタキシャル工程が1つまたは複数の他の色を生成してもよい。さらに別の実現例では、2つのエピタキシャル工程が使用されてもよく、各エピタキシャル工程が二色を生成して、合計四色を生成する。四色の解決策を使用して、よりよい色域および電力効率を提供することができる。2つ以上のエピタキシャル工程が使用される場合、エピタキシャル工程が適用されないことになっている領域を被覆するために何らかの形態のマスキングが適用されてもよい。
【0083】
色選択性に関して、幅の使用は、いつエピ自体が終了するかを決定する。色の深度制御の使用は、エッチングのためにプロセスをより複雑にするが、平面性および色分離を向上させることができる。上記で詳細に説明した幅、深さまたはそれら2つの組み合わせによる色の選択全般は、素子の平面性およびプロセス複雑さに影響を及ぼし得る。
【0084】
本開示は、全体として、同一の基板上でさまざまな色の光を生成する発光構造をモノリシックに統合することを可能にするさまざまな技術および装置について記載している。
【0085】
特徴の組み合わせ
(A1)ディスプレイデバイスは、基板を含み、上記基板は、その上に第1の発光体と第2の発光体とを含む。上記第1の発光体は、第1のスペクトル範囲にわたる第1の発光スペクトルを有する第1の下部アクティブ量子井戸(QW)領域を含む。上記第2の発光体は、(i)上記第1のスペクトル範囲とは別の第2のスペクトル範囲にわたる第2の発光スペクトルを有する上部アクティブQW領域と、(ii)上記第1の発光スペクトルを有し、上記上部アクティブQW領域と上記基板との間に位置する第2の下部アクティブQW領域と、(iii)上記第2の下部アクティブQW領域の発光を抑制するための、上記第2の下部アクティブQW領域と上記上部アクティブQW領域との間のバリア層とを含む。
【0086】
(A2)ディスプレイデバイス(A1)の実施形態において、上記第1および第2の下部アクティブQW領域の各々は、格子パラメータの第1の組によって特徴付けられる。上記上部アクティブQW領域は、上記格子パラメータの第1の組のそれぞれのパラメータとは5%未満異なる格子パラメータの第2の組によって特徴付けられる。
【0087】
(A3)ディスプレイデバイス(A2)の実施形態は、上記第2の下部アクティブQW領域と上記上部アクティブQW領域との間に正孔ブロック層をさらに含む。
【0088】
(A4)ディスプレイデバイス(A3)の実施形態において、上記正孔ブロック層は、n型半導体材料を含む。
【0089】
(A5)ディスプレイデバイス(A1)~(A4)のいずれか1つの実施形態において、上記バリア層は、n型半導体材料を含む。
【0090】
(A6)ディスプレイデバイス(A1)~(A5)のいずれか1つの実施形態において、上記第1の発光体は、上記基板の上面に対して第1の高さを有する。上記基板は、上記基板の中に延在する凹部を規定する。上記第2の発光体は、上記上面に対する上記第2の発光体の高さが上記第1の高さに等しいように上記凹部の中に少なくとも部分的に含まれる。
【0091】
(A7)ディスプレイデバイス(A6)の実施形態において、上記上面に対する上記凹部の深さは、上記第1の高さに実質的に等しい。
【0092】
(A8)ディスプレイデバイス(A6)および(A7)の実施形態において、上記基板は、上記基板の中に延在するさらなる凹部を規定し、上記第1の発光体は、上記さらなる凹部の中に少なくとも部分的に含まれる。
【0093】
(A9)ディスプレイデバイス(A1)~(A8)のいずれか1つの実施形態において、上記第2の発光体は、上記基板の上面に平行な第1の方向において上記第1の発光体に隣接しており、上記第2の発光体は、(i)上記第2の下部アクティブQW領域の幅が上記第1の方向において上記第1の下部アクティブQW領域の幅を超える、および(ii)上記上面に平行な平面における上記第2の下部アクティブQW領域の断面積が上記第1の下部アクティブQW領域の断面積を超える、のうちの少なくとも1つである。
【0094】
(A10)ディスプレイデバイス(A1)~(A9)のいずれか1つの実施形態は、(i)上記第1の発光体とともに第1の発光体のアレイを形成する複数のさらなる第1の発光体と、(ii)上記第2の発光体とともに第2の発光体のアレイを形成する複数のさらなる第2の発光体とをさらに含み、上記第2の発光体のアレイは、上記第1の発光体のアレイと交互配置されている。
【0095】
(A11)ディスプレイデバイス(A1)~(A10)のいずれか1つの実施形態において、上記第1の発光体および上記第2の発光体は、(i)それぞれのpドープ半導体層および(ii)それぞれのオーミック接触層のうちの少なくとも1つを含む。
【0096】
(B1)複数の発光体を形成する方法は、(i)基板の上に第1の凹部を形成するステップを含み、上記第1の凹部は、第1の幅および第1の深さを有し、上記方法はさらに、(ii)上記基板の上に第2の凹部を形成するステップを含み、上記第2の凹部は、第2の幅および第2の深さを有し、上記第2の幅および上記第2の深さのうちの少なくとも1つは、それぞれ上記第1の幅および第1の深さよりも大きく、上記方法はさらに、(iii)上記基板の上に第1のn型バリア材料を堆積させるステップと、(iv)上記第1のn型バリア材料の上に第1のアクティブ量子井戸(QW)構造を作製するステップと、(v)上記第1のアクティブQW構造の上に第2のn型バリア材料を堆積させるステップと、(vi)上記第2のn型バリア材料の上に第2のアクティブQW構造を作製するステップと、(vii)上記第2のアクティブQW構造の上に第3のn型バリア材料を堆積させるステップとを含む。上記第1の凹部の上記第1の幅および第1の深さは、上記第1のn型バリア材料、上記第1のアクティブQW構造および上記第2のn型バリア層が第1の発光体を形成するように上記第1の凹部内の上記第2のアクティブQW構造の形成を防止するように構成される。上記第2の凹部の上記第2の幅および第2の深さは、第2の発光体を形成するために、上記第2の凹部内の、および上記第2の凹部の中に少なくとも部分的に含まれる上記第1のn型バリア材料、上記第1のアクティブQW構造、上記第2のn型バリア材料、上記第2のアクティブQW構造および上記第3のn型バリア材料を支持するように構成される。
【0097】
(B2)方法(B1)の実施形態は、上記第1のn型バリア材料を堆積させるステップの後であって、上記第1のアクティブQW構造を作製するステップの前に、上記第1のn型バリア材料の上に第1のn型正孔ブロック層(HBL)を堆積させるステップをさらに含む。
【0098】
(B3)方法(B1)および(B2)のいずれか1つの実施形態は、上記第2のn型バリア材料を堆積させるステップの後であって、上記第2のアクティブQW構造を作製するステップの前に、上記第2のn型バリア材料の上にn型正孔ブロック層(HBL)を堆積させるステップをさらに含む。
【0099】
(B4)方法(B1)~(B3)のいずれか1つの実施形態は、上記第1の凹部が上記第1の発光体を支持する一方で上記第2の凹部が上記第2の発光体を支持することにより、上記第1の発光体が上記第2の発光体から電気的に分離されるように、上記第1の凹部を上記第2の凹部から電気的に分離するステップをさらに含む。
【0100】
(B5)方法(B4)の実施形態は、(i)各上記第1および第2のLED構造の上にp型層を堆積させるステップ、および(ii)各上記第1および第2のLED構造の上にp型オーミック接触を形成するステップのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0101】
(B6)方法(B1)~(B5)のいずれか1つの実施形態において、堆積させるステップおよび作製するステップの各々は、単一エピタキシャル成長工程で実行される。
【0102】
本実施形態の範囲から逸脱することがなければ、上記の方法およびシステムに変更が加えられてもよい。したがって、上記の説明に含まれるまたは添付の図面に示される事項は、例示的であるように解釈されるべきであり、限定的な意味で解釈されるべきではない、ということに留意されたい。本明細書において、別段の指示がない限り、「実施形態において」というフレーズは、「特定の実施形態において」というフレーズと等価であり、全ての実施形態を指すものではない。以下の特許請求の範囲は、本明細書に記載されている全ての一般的な特徴および具体的な特徴と、言語の問題としてその間に入ると言われるであろう本方法およびシステムの範囲の全ての記載とを包含するよう意図されている。