(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョン及びその調製のための方法
(51)【国際特許分類】
C09J 183/06 20060101AFI20240806BHJP
C09J 183/02 20060101ALI20240806BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20240806BHJP
C09J 183/04 20060101ALI20240806BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20240806BHJP
【FI】
C09J183/06
C09J183/02
C09J11/06
C09J183/04
C09J7/38
(21)【出願番号】P 2022569584
(86)(22)【出願日】2020-05-27
(86)【国際出願番号】 CN2020092554
(87)【国際公開番号】W WO2021237499
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】イェン、チアンチアン
(72)【発明者】
【氏名】クオ、ユンロン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ウェンチエ
(72)【発明者】
【氏名】ティン、リー
(72)【発明者】
【氏名】カオ、ポン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、イェン
(72)【発明者】
【氏名】リウ、チーホア
【審査官】藤田 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-526760(JP,A)
【文献】特表2005-504165(JP,A)
【文献】特表2006-515383(JP,A)
【文献】特表2002-514475(JP,A)
【文献】特開平10-77459(JP,A)
【文献】特開2000-169705(JP,A)
【文献】米国特許第6495158(US,B1)
【文献】特表2002-513347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00- 13/08
C08L 1/00-101/14
C09J 1/00- 5/10
C09J 7/00- 7/50
C09J 9/00-201/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンを調製するための方法であって、
1)
A
)0
重量%より多く且つ55重量%
より少ない量の過酸化ベンゾイルと、
B)0
~25重量%の水と、
C)1-フェノキシ-2-プロパノール及び2-フェノキシエタン-1-オールからなる群から選択される
、20重量%より多い量のフェノキシ官能性アルコールと、を含む分散液を調製することと、
2)前記分散液を、
D)ビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンガムと、
E)ポリオルガノシリケート樹脂と、
F)アルコールエトキシレート界面活性剤と、
G)追加の水と、
任意選択的に、H)
10,000cst~100,000cstの粘度を有するビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンポリマーと、
任意選択的に、I)溶剤と、
任意選択的に、J)殺生物剤と、を含む、出発材料と組み合わせることと、を含む、方法。
【請求項2】
i)D)及びE)と、任意選択的にH)及び/又はI)と、を含む、出発材料を混合することと、
ii)出発材料F)を工程i)の生成物に添加し、混合することと、
iii)出発材料G)を工程ii)の生成物に添加し、乳化することと、その後、
iv)工程1)からの前記分散液を工程iii)の生成物に添加することと、を更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記分散液が、20%~50%のA)過酸化ベンゾイルと、2%~25%のB)水と、25%~78%の1-フェノキシ-2-プロパノールと、を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記分散液が、20%~50%のA)過酸化ベンゾイルと、2%~25%のB)水と、25%~78%の2-フェノキシエタン-1-オールと、を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
出発材料D)が、前記エマルジョンの重量に基づいて7重量%~30重量%の量で存在し、出発材料D)が、式
【化1】
を有し、式中、各R
1は、独立して選択された一価炭化水素基であり、添字aは、前記ガム
に300,000g/mol
以上の数平均分子量を与えるのに十分な値を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
出発材料E)が、0.5~2.0の出発材料E)/[出発材料D)+出発材料H)][樹脂/(ガム+ポリマー)比]の重量比を提供するのに十分な量で存在し、出発材料E)が、
E-1)単位式:(R
M
3SiO
1/2)
z(SiO
4/2)
oX
2
p
で表されるキャップ樹脂(式中、各R
Mは、独立して選択された一価ヒドロカルビル基であり、各X
2は、加水分解性置換基であり、添字z及びoは、o
は1
より大きな値及
びzは4
より大きな値を有し、量(o+z)は、前記キャップ樹脂に1500g/mol~5,000g/molのMnを与えるのに十分な値を有し、添字pは、前記キャップ樹脂に0
から2%
未満の加水分解性基含有量を与えるのに十分な値を有する);
E-2)単位式(R
M
3SiO
1/2)
z’(SiO
4/2)
o’X
2
p’
で表される非キャップ樹脂(式中、添字z’及びo’は、o’
は1
より大きな値及
びz’
は4
より大きな値を有し、量(o’+z’)は、前記
非キャップ樹脂に1,500g/mol~5,000g/molのMnを与えるのに十分な値を有し、添字p’は、前記非キャップ樹脂
に2%~10
%の加水分解性基含有量を与えるのに十分な値を有する)からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
出発材料F)が、前記硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンの重量に基づいて、5%~10%の量で存在し、出発材料F)が、ポリエーテル修飾ポリオルガノシリケート樹脂及び有機アルコールエトキシレートからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
出発材料G)が、前記硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンの重量に基づいて、20重量%~40重量%の量で添加される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
H)前記ビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンポリマーが、前記硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンの10重量%~15重量%の量で存在し、前記ビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンポリマーが、式
【化2】
を有し、式中、各R
1は、独立して選択の一価ヒドロカルビル基であり、添字bは、前記ビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンポリマー
に200,000
cst以下の粘度を与えるのに十分な値を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
出発材料I)が、0重量%
より多く且つ20重量%
以下の量で存在し、芳香族炭化水素の混合物を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
出発材料J)が、0.1%~5%の量で存在する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
前記硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンを脱揮することを更に含み、前記方法が、工程2)の間、及び/又は工程2)のG)前記水を添加することが完了する前に行われる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項13】
前記硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンを基材上に塗布して、硬化させることを含む技術によって接着剤物品を形成することを更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項14】
工業用テープ又はパーソナルケア製品のために前記接着剤物品を使用することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ヘルスケア製品のために前記接着剤物品を使用することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
なし。
【0002】
本発明は、硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョン及びその調製のための方法に関する。硬化性の感圧接着剤エマルジョンは、過酸化物開始剤を含有し、良好な接着性を有し、高温に曝露してからステンレス鋼基材から除去した後に残留物を残さないか又は少ししか残留物を残さないような感圧接着剤を形成するように硬化され得る。
【0003】
序論
シリコーン感圧接着剤エマルジョンは、白金触媒付加反応、過酸化物開始フリーラジカル反応、又はアミノシラン触媒縮合反応を介して硬化し得る。しかしながら、白金触媒系は、高価であるという欠点を抱え得、アミノシラン触媒系は、不安定な接着性又は不十分な凝集性の欠点を抱え得る。溶剤型PSAの場合、過酸化ベンゾイルが使用され得る。しかしながら、過酸化ベンゾイルは、結晶性固形物であり、水に溶解又は分散するのが困難であり、したがって、水性シリコーン感圧接着剤での使用が困難である。
【発明の概要】
【0004】
硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンを調製するための方法が開示される。この方法は、
1)
A)>0~<55重量%の過酸化ベンゾイルと、
B)0~≦25重量%の水と、
C)1-フェノキシ-2-プロパノール及び2-フェノキシエタン-1-オールからなる群から選択される>20重量%のフェノキシ官能性アルコールと、を含む分散液を調製することと、
2)分散液を、
D)ビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンガムと、
E)ポリオルガノシリケート樹脂と、
F)アルコールエトキシレート界面活性剤と、
G)追加の水と、を含む、出発材料と組み合わせることと、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本明細書に記載の硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンは、過酸化ベンゾイル分散液で作製され得る。分散液は、A)過酸化ベンゾイルと、任意選択的にB)水と、C)1-フェノキシ-2-プロパノール及び2-フェノキシエタン-1-オールからなる群から選択されるフェノキシ官能性アルコールとを含む。
【0006】
A)過酸化ベンゾイル
出発材料A)、過酸化ベンゾイルは、式
【化1】
及びCAS#94-36-0を有する。過酸化ベンゾイルは、例えば、St.Louis,Missouri,USAのMilliporeSigmaから商品名LUPEROX(商標)で市販されている。LUPEROX(商標)製品は、75%~98%の過酸化ベンゾイル及び2%~25%のB)水を含有し得る。分散液を調製するために使用される過酸化ベンゾイルの量は、分散液の重量に基づいて、<55%、代替的に≦50%、代替的に≦38%を提供するのに十分である。同時に、過酸化ベンゾイルの濃度は、分散液の重量に基づいて、≧15%、代替的に≧20%、代替的に≧37%を提供するのに十分である。代替的に、過酸化ベンゾイルの量は、分散液の重量に基づいて、>0~<55%、代替的に15%~<55%、代替的に20%~50%、代替的に37%~50%の過酸化ベンゾイル固形物であり得る。分散液の残りは、B)水(過酸化ベンゾイル固形物と共に導入され得るか、又は別々に添加され得るか、又はそれらの両方)、及びC)フェノキシ官能性アルコールを含み得る。
【0007】
(B)水
出発材料B)は、水である。水は、任意選択的であり、一般には限定されず、未希釈であり(すなわち、いかなる担体ビヒクル/溶剤も不在)、かつ/又は純粋(すなわち、ミネラル及び/若しくは他の不純物を含まないか又は実質的に含まない)なものが利用され得る。例えば、水は、上記の分散液に添加される前に、処理され得るか又は未処理であり得る。水を精製するために使用され得るプロセスの例としては、蒸留、濾過、脱イオン化、及びそれらの2つ以上の組み合わせが挙げられ、これによって、水に対して脱イオン化、蒸留、及び/又は濾過を行い得る。代替的に、水は、未処理であり得る(例えば、水道水、すなわち、都市水系の水、又は更なる精製なしで使用される井戸水であり得る)。存在する場合、水の全て又は一部分は、過酸化ベンゾイル固形物と共に導入され得る。
【0008】
水は、分散液の重量に基づいて、0~40%の任意の量で利用され得、正確な量は、様々な要因、例えば、硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンを調製するために使用される機器及びスケールに応じて、当業者によって選択され得る。代替的に、水は、分散液の重量に基づいて、2%~25%の量で存在し得る。
【0009】
C)フェノキシ官能性アルコール
分散液中の出発材料C)は、1-フェノキシ-2-プロパノール及び2-フェノキシエタン-1-オールからなる群から選択されるフェノキシ官能性アルコールである。
1-フェノキシ-2-プロパノールは、式
【化2】
及びCAS#770-35-4を有する。2-フェノキシエタン-1-オールは、式
【化3】
及びCAS#122-99-6を有する。1-フェノキシ-2-プロパノール及び2-フェノキシエタノールは両方とも、例えば、St.Louis,Missouri,USAのSigma-Aldrichから市販されている。フェノキシ官能性アルコールは、上記の分散液の残りであり得、例えば、分散液中のフェノキシ官能性アルコールの量は、分散液の重量に基づいて、>20%~78%であり得るか、代替的に、フェノキシ官能性アルコールの量は、分散液の重量に基づいて、25%~78%、代替的に25%~70%、代替的に37%~50%であり得る。
【0010】
上記の分散液は、出発材料A)及びC)を含む。代替的に、分散液は、出発材料A)、B)、及びC)を含み得るか、代替的に、分散液は、出発材料(A)、(B)、及び(C)から本質的になり得るか、代替的に、この分散液は、出発材料A)、B)、及びC)からなり得る。分散液を、硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンを調製するために使用される任意の他の出発材料と組み合わせる前に、分散液は、ポリオルガノシロキサン成分、例えば、トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン油を含まない場合がある。理論に拘束されることを望まないが、シリコーン油は、過酸化ベンゾイルの活性に有害であり得ると考えられる。
【0011】
分散液は、混合などの任意の簡便な手段によって形成され得る。出発材料A)、B)、及びC)は、二軸スクリュー押出機などの撹拌機又は連続混合機器を備えたバッチケトルなどの任意の簡便な機器を使用して、周囲条件下で又は加熱しながら任意の順序で組み合わされ得る。
【0012】
硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンを形成するために、上記の過酸化ベンゾイル分散液は、D)ポリジオルガノシロキサンガムと、E)ポリオルガノシリケート樹脂と、F)アルコールエトキシレート界面活性剤と、G)追加の水と、を含む、出発材料と組み合わされ得る。硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンは、任意選択的に、H)ポリジオルガノシロキサンポリマー、I)溶剤、及びJ)殺生物剤のうちの1つ以上を更に含み得る。
【0013】
D)ガム
硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョン中の出発材料D)は、ビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンガム(ガム)である。ガムは、≧300,000g/molのMnを有し得る。ガムは、式:
【化4】
を有し得、式中、各R
1は、独立して選択された一価炭化水素基であり、添字aは、ガムに≧300,000g/mol、代替的に300,000g/mol~1,000,000g/mol、代替的に300,000g/mol~400,000g/mol、代替的に500,000g/mol~800,000g/molの数平均分子量(Mn)を与えるのに十分な値を有する。ガムのMnは、本明細書に記載の技術に従ってGPCによって測定した。
【0014】
ガムの式において、各R1は、独立して選択された一価炭化水素基である。一価炭化水素基は、1~18個の炭素原子を有し得る。一価炭化水素基は、脂肪族不飽和を含まない場合がある。代替的に、各R1は、1~12個の炭素原子、代替的に1~6個の炭素原子、を有し得る。R1に好適な一価炭化水素基は、例えば、アリール基及びアラルキル基などのアルキル基及び芳香族基によって例示される。アルキルは、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、並びにデシル、並びに炭素原子6個以上の分岐状アルキル基;並びにシクロペンチル及びシクロヘキシルなどの環状アルキル基によって例示されるが、これらに限定されない。アリールは、シクロペンタジエニル、フェニル、トリル、キシリル、アントラセニル、ベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、及びナフチルによって例示されるが、これらに限定されない。代替的に、各R1は、アルキル及びアリールからなる群から独立して選択され得る。代替的に、各R1は、メチル及びフェニルから独立して選択され得る。代替的に、各R1は、アルキルであり得る。代替的に、各R1は、メチルであり得る。
【0015】
ガムは、当該技術分野で既知であり、対応するオルガノハロシランの加水分解及び縮合、又は環式ポリジオルガノシロキサンの平衡化などの方法によって調製され得る。硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンで使用するのに好適なガムは、
i)ビス-ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン、
ii)ビス-ヒドロキシル末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニル)シロキサン、
iii)ビス-ヒドロキシル末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニル)シロキサン、
iv)フェニル、メチル、ヒドロキシル-シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、及び
v)i)~iv)のうちの2つ以上の組み合わせによって例示される。代替的に、ポリジオルガノシロキサンガムは、i)、ii)、及びiii)からなる群から選択され得る。代替的に、ポリジオルガノシロキサンガムは、i)であり得る。
【0016】
エマルジョンに使用されるガムの量は、選択されたガムの分子量を含む様々な要因に依存する。しかしながら、ガムは、エマルジョンの重量に基づいて、少なくとも7%のガムを提供するのに十分な量で添加され得る。同時に、ガムの量は、エマルジョンの重量に基づいて、最大30%であり得る。代替的に、ガムの量は、同じ基準で、7.5%~25%、代替的に8%~22%であり得る。
【0017】
E)樹脂
硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョン中の出発材料(E)は、ポリオルガノシリケート樹脂である。ポリオルガノシリケート樹脂は、式RM
3SiO1/2の一官能性単位(「M」単位)、及び式SiO4/2の四官能性単位(「Q」単位)を含み、ここで、各RMは独立して選択された一価ヒドロカルビル基である。RMとして好適な一価ヒドロカルビル基は、1~20個の炭素原子、代替的に1~12個の炭素原子、代替的に1~8個の炭素原子、代替的に1~4個の炭素原子、代替的に1~2個の炭素原子を有し得る。代替的に、RMのヒドロカルビル基は、アルキル基、アルケニル基及びアリール基からなる群、代替的にアルキル及びアリールからなる群、代替的にアルキル及びアルケニルからなる群、代替的にアルキルからなる群から選択され得る。アルキル基及びアリール基は、R1について上記の通りである。代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂中の各RMは、アルキル、アルケニル、及びアリールからなる群から独立して選択され得る。代替的に、各RMは、メチル、ビニル、及びフェニルから選択され得る。代替的に、RM基の少なくとも3分の1、代替的に少なくとも3分の2は、メチル基である。代替的に、M単位は、(Me3SiO1/2)、(Me2PhSiO1/2)、及び(Me2ViSiO1/2)によって例示され得る。ポリオルガノシリケート樹脂は、液体炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ヘプタン、及びそれらの2つ以上の組み合わせによって例示される、本明細書に記載されるものなどの溶剤中に可溶性であるか、又は低粘度の線状及び環状ポリジオルガノシロキサンなどの液体有機ケイ素化合物中で可溶性である。
【0018】
調製されたとき、ポリオルガノシリケート樹脂は上記のM及びQ単位を含み、また、ポリオルガノシリケート樹脂は、シラノール(ケイ素結合ヒドロキシル)基を有する単位を更に含み、また、式Si(OSiRM
3)4のネオペンタマーを含み得、ここで、RMは、上記の通りである。米国特許第9,593,209号の欄32、参考例2に記載されているように、Si29核磁気共鳴(NMR)分光法は、M単位とQ単位とのモル比を測定するために使用され得、当該比は、{M(樹脂)+(M(ネオペンタマー)}/{Q(樹脂)+Q(ネオペンタマー)}として表され、ポリオルガノシリケート樹脂の樹脂部及びネオペンタマー部分のトリオルガノシロキシ基(M単位)の総数と、樹脂部及びネオペンタマー部分のシリケート基(Q単位)の総数とのモル比を表す。
【0019】
ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、存在するRMによって表されるヒドロカルビル基の種類を含む様々な要因に依存する。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、ネオペンタマーを表すピークが測定から除外される場合、米国特許9,593,209号の欄31の参考例1における手順に従ってGPCを使用して測定される数平均分子量を表す。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、少なくとも1,500g/molであり得る。同時に、ポリオルガノシリケートのMnは、最大15,000g/molであり得る。代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、3,000g/mol超~8,000g/molであり得る。代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、4,500g/mol~7,500g/molであり得る。
【0020】
米国特許第8,580,073号の3欄5行目~4欄31行目は、本明細書で使用するのに好適なポリオルガノシリケート樹脂であるシリコーン樹脂を開示していることについて、参照により本明細書に組み込まれる。ポリオルガノシリケート樹脂は、対応するシランの共加水分解又はシリカヒドロゾルキャッピング法などの任意の好適な方法によって調製することができる。ポリオルガノシリケート樹脂は、Daudtらの米国特許第2,676,182号、Rivers-Farrellらの米国特許第4,611,042号、及びButlerらの米国特許第4,774,310号に開示されるものなどのシリカヒドロゾルキャッピングプロセスによって調製され得る。上記のDaudtらの方法は、酸性条件下でシリカヒドロゾルと、トリメチルクロロシランなどの加水分解性トリオルガノシラン、ヘキサメチルジシロキサンなどのシロキサン又はこれらの混合物とを反応させることと、M単位及びQ単位を有するコポリマーを回収することと、を伴う。得られるコポリマーは、概して、2~5重量パーセントのヒドロキシル基を含む。
【0021】
ポリオルガノシリケート樹脂を調製するために使用される中間体は、トリオルガノシラン及び4つの加水分解性置換基を含むシラン又はアルカリ金属シリケートであり得る。トリオルガノシランは、式、RM
3SiX1、を有し得、式中、RMは、上記の通りであり、X1は、加水分解性置換基を表す。4つの加水分解性置換基を有するシランは、式SiX2
4を有し得、式中、各X2は、ハロゲン、アルコキシ、又はヒドロキシルである。好適なアルカリ金属シリケートとしては、ナトリウムシリケートが挙げられる。
【0022】
上記のように調製されたポリオルガノシリケート樹脂は、非キャップであり、典型的には、ケイ素結合ヒドロキシル基、すなわち、式、HOSi3/2及び/又は(HO)xRM
(3-x)SiO1/2を有するものを含有し、式中、添字xは、1、2、又は3である。ポリオルガノシリケート樹脂は、最大2%のケイ素結合ヒドロキシル基を含み得る。ポリオルガノシリケート樹脂中に存在するケイ素結合ヒドロキシル基の濃度は、ASTM標準E-168-16に従ってFTIR分光法を用いて判定され得る。ある特定の用途では、ケイ素結合ヒドロキシル基の量は、0.7%未満、代替的に0.3%未満、代替的に1%未満、代替的に0.3%~0.8%であることが望ましい場合がある。ポリオルガノシリケート樹脂の調製中に形成されるケイ素結合ヒドロキシル基は、キャッピング、例えば、ポリオルガノシリケート樹脂を、適切な末端基を含有するシラン、ジシロキサン、又はジシラザンと反応させることが既知のプロセスによって、トリヒドロカルビルシロキサン基、又は異なる加水分解性基に変換され得る。加水分解性基を含むシランを、ポリオルガノシリケート樹脂におけるケイ素結合ヒドロキシル基と反応させるのに必要な量過剰なモル量で添加することにより、キャップ樹脂を形成し得る。
【0023】
1つ以上のポリオルガノシリケート樹脂を組み合わせ、硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンで使用し得る。例えば、比較的多量のヒドロキシル基を含む非キャップ樹脂は、非キャップ樹脂よりもヒドロキシル基の量が少ないキャップ樹脂と組み合わせて使用され得る。代替的に、使用される1つ以上の種類の樹脂は、キャップされ得る。
【0024】
したがって、ポリオルガノシリケート樹脂は、(E-1)上記のキャップ樹脂、及び(E-2)上記の非キャップ樹脂を含み得る。キャップ樹脂は、単位式、(RM
3SiO1/2)z(SiO4/2)oX2
p、を有し得、式中、RM及びX2は、上記の通りであり、添字z及びoは、o>1、z>4であり、量(o+z)がキャップ樹脂に上記のMn(例えば、1,500g/mol~5,000g/mol、代替的に2,000g/mol~5,000g/mol、代替的に2,500g/mol~4,900g/mol、代替的に2,500g/mol~4,700g/mol、代替的に2,900g/mol~4,700g/mol)を与えるのに十分な値であり、添字pは、キャップ樹脂に上記の加水分解性基含有量(例えば、0~<2%、代替的に0~1.5%、代替的に0~1.0%)を与えるのに十分な値である。出発材料(E-2)の非キャップ樹脂は、単位式、(RM
3SiO1/2)z’(SiO4/2)o’X2
p’、を有し得、式中、RM及びX2は、上記の通りであり、添字z’及びo’は、o’>1、z’>4であり、量(o’+z’)がキャップ樹脂に上記のMn(例えば、1,500g/mol~5,000g/mol、代替的に2,000g/mol~5,000g/mol、代替的に2,500g/mol~4,900g/mol、代替的に2,500g/mol~4,700g/mol、代替的に2,700g/mol~4,700g/mol)を与えるのに十分な値を有し、添字p’は、非キャップ樹脂に上記の加水分解性基含有量(例えば、≧2%~10%)を与えるのに十分な値を有する。
【0025】
ポリオルガノシリケート樹脂の量は、出発材料D)/出発材料E)の重量比を提供するのに十分であり得る(出発材料H)が存在する場合)。これは、0.2~2.0、代替的に0.5~2.0の値を有し得る[樹脂/(ガム+ポリマー)]比と称される。代替的に、E)ポリオルガノシリケート樹脂の量は、硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンの重量に基づいて、少なくとも20%、代替的に≧24%であり得る。同時に、量は、同じ基準で、最大30%、代替的に≦27%のポリオルガノシリケート樹脂を提供するのに十分であり得る。
【0026】
(F)界面活性剤
硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョン中の出発材料F)は、アルコールエトキシレート界面活性剤である。アルコールエトキシレート界面活性剤は、硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョン中の全ての出発材料の合計重量に基づいて、≧5%の量で存在し得る。同時に、アルコールエトキシレート界面活性剤は、硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョン中の全ての出発材料の合計重量に基づいて、≦10%の量で存在し得る。代替的に、アルコールエトキシレート界面活性剤は、硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョン中の全ての出発材料の合計重量に基づいて、5%~7%の量で存在し得る。
【0027】
アルコールエトキシレート界面活性剤は、ポリエーテル修飾ポリオルガノシリケート(modified polyorganosilicate、MQ)樹脂であり得る。そのような樹脂は、式RE
3SiO1/2のM単位及び式SiO4/2のQ単位を含み得、式中、各REは独立して、1~20個の炭素原子のポリエーテル基及びアルキル基、例えば、RMについて上記のアルキル基から選択される。ポリエーテル修飾MQ樹脂は既知であり、例えば、国際出願公開WO2015/196400A1号に開示されている。ポリエーテル修飾MQ樹脂は、例えば、米国特許第9,732,191号中中に記載されているように、出発材料E)として上記のポリオルガノシリケート樹脂をポリエーテル官能基でキャッピングすることによって調製され得る。
【0028】
代替的に、アルコールエトキシレート界面活性剤は、非イオン性である有機アルコールエトキシレートであり得る。例としては、The Dow Chemical Companyから商品名ECOSURF(商標)EH-6で市販されている2-エチルヘキサノールエチレンオキシドプロピレンオキシドが挙げられる。代替的に、アルコールエトキシレート界面活性剤は、ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、アルファ-[3,5-ジメチル-1-)2-メチルプロピル)ヘキシル]-オメガヒドロキシ-を含む。有機アルコールエトキシレート界面活性剤は、水(最大10%)、アルコールエトキシレート、例えば、ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル)、アルファ-[3,5-ジメチル-1-)2-メチルプロピル)ヘキシル]-オメガヒドロキシ-(少なくとも87%)、及びポリ(エチレンオキシド)(最大3%)を含む混合物であり得る。この混合物は、The Dow Chemical CompanyからTERGITOL(商標)TMN-6として市販されている。
【0029】
G)追加の水
出発材料G)は、追加の水であり、出発材料B)について上記の通りであり得る。追加の水の量は、1つ以上のアリコートで添加され得る。2つ以上のアリコートが添加されると、各添加間に混合が行われ得る。添加される水の総量は、エマルジョンの重量に基づいて、少なくとも20%、代替的に≧24%の水を有する硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンを提供するのに十分であり得る。同時に、添加される水の総量は、最大40%、代替的に≦35%であり得る。代替的に、エマルジョン中の水(B及びG)の総量は、硬化性のシリコーン感圧接着剤の重量に基づいて、>20%~<40%、代替的に24%~36%であり得る。
【0030】
H)ポリマー
D)ガムに加えて、硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンは、任意選択的に、H)ビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンポリマー(ポリマー)を更に含み得る。ポリマーは、以下の式を有し得る。
【化5】
式中、R
1は、上記の通りであり、添字b<添字aである。添字bは、下記の参考例15に記載されるように測定された≦200,000cstの粘度をポリマーに与えるのに十分な値を有する。代替的に、添字bは、ポリマーに、10,000cst~100,000cst、代替的に20,000cst~95,000cst、代替的に30,000cst~90,000cst、代替的に40,000cst~85,000cst、代替的に50,000cst~80,000cst、の粘度を与えるのに十分な値を有し得る。
【0031】
出発材料H)として使用するのに好適なポリマーは、当該技術分野において既知であり、対応するオルガノハロシランの加水分解及び縮合、又は環状ポリジオルガノシロキサンの平衡化などの方法によって調製され得る。出発材料H)として使用するのに好適なポリマーは、
i)ビス-ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン、
ii)ビス-ヒドロキシル末端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルフェニルシロキサン)、
iii)ビス-ヒドロキシル末端ポリ(ジメチルシロキサン/ジフェニルシロキサン)、
iv)フェニル、メチル、ヒドロキシル-シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
v)i)~iv)のうちの2つ以上の組み合わせによって例示される。代替的に、出発材料H)は、i)、ii)、及びiii)からなる群から選択され得る。代替的に、出発材料H)は、i)であり得る。
【0032】
出発材料H)の量は、硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンの重量に基づいて、0~20%、代替的に0~<13%であり得る。代替的に、出発材料H)は、使用される場合、硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンの重量に基づいて、10%~15%、代替的に11%~13%の量で添加され得る。
【0033】
I)溶剤
出発材料I)は、任意選択的な溶剤である。溶剤は、エマルジョンの調製中に添加して、例えば、1つ以上の出発材料の混合及び送達を補助することができる。例えば、D)ガム及び/又はE)樹脂は、他の出発材料と組み合わせて、硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンを作製する前に溶剤に溶解され得る。溶剤は、炭化水素、ケトン、酢酸エステル、エーテルなどの有機溶剤であり得る。溶剤に好適な炭化水素は、エチルベンゼン、ベンゼン、トルエン、若しくはキシレンなどの芳香族炭化水素;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、若しくはイソ-パラフィンなどの脂肪族炭化水素;又はそれらの組み合わせであり得る。代替的に、溶剤は、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテルなどのグリコールエーテルであり得る。好適なケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトンが挙げられる。好適な酢酸エステルとしては、酢酸エチル又は酢酸イソブチルが挙げられる。好適なエーテルとしては、ジイソプロピルエーテル又は1,4-ジオキサンが挙げられる。代替的に、溶剤は、トルエン、キシレン、ヘプタン、エチルベンゼン、及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0034】
溶剤の量は、選択される溶剤の種類、並びに他の出発材料の量及び種類を含む様々な要因に依存する。しかしながら、溶剤の量は、エマルジョン中の全ての出発材料の合計重量に基づいて、0%~20%、代替的に0%~15%、代替的に0%~10%、代替的に5%~15%、代替的に5%~10%であり得る。溶剤の全て又は一部分は、他出発物質のうち1つ以上と共に添加され得る。例えば、ポリオルガノシリケート樹脂及び/又は触媒は、硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョン中の他の出発材料と組み合わせる前に溶剤中に溶解され得る。溶剤の全て又は一部分は、エマルジョンの油相のために出発材料を組み合わせた後、及びそれと共に水相を形成する出発材料を組み合わせる前に、任意選択的に除去され得る。
【0035】
J)殺生物剤
出発材料J)は、硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンに任意選択的に添加され得る殺生物剤である。殺生物剤は、当該技術分野において既知であり、かつ市販されている。例えば、殺生物剤は、BIOBAN(商標)の製品群などの防腐剤、又は5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン及び2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンを含む水性防腐剤であるKATHON(商標)製品であり得る。代替的に、殺生物剤は、殺藻剤、例えば、KLARIX(商標)の殺藻剤、例えば、BIOBAN(商標)、KATHON(商標)、KLARIX(商標)を含み得、他の殺生物剤は、Midland,Michigan,USAのThe Dow Chemical Companyから市販されている。殺生物剤は、硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンの重量に基づいて、0~5%、代替的に0.1%~5%の量で添加され得る。
【0036】
エマルジョンを作製する方法
上記の硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンを調製するための方法は、
1)
A)>0~<55重量%の過酸化ベンゾイルと、
B)0~≦25重量%の水と、
C)1-フェノキシ-2-プロパノール及び2-フェノキシエタン-1-オールからなる群から選択される>20重量%のフェノキシ官能性アルコールと、を含む、上記の分散液を調製することと、
2)分散液を、
D)ポリジオルガノシロキサンガムと、
E)ポリオルガノシリケート樹脂と、
F)アルコールエトキシレート界面活性剤と、
G)追加の水と、
任意選択的に、H)ポリジオルガノシロキサンガムと、
任意選択的に、I)溶剤と、
任意選択的に、J)殺生物剤と、を含む、出発材料と組み合わせ、それによって、エマルジョンを形成することと、を含む。
【0037】
本明細書に記載の方法によって調製された硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンは、水中の油(oil in water、o/w)型エマルジョンであり、すなわち、エマルジョンは、水相中に分散された油相を含む。油相は、D)、E)、及びF)、かつ存在する場合、H)及びI)を含む、出発材料を含む。出発材料D)、E)、F)、H)、及びI)のうちの2つ以上は、工程1)で分散液を調製する前、その間、又はその後、及び工程1)で調製された分散液を工程2で出発材料と組み合わせる前に任意の順番で互いに組み合わされ得る。
【0038】
例えば、出発材料D)、E)、F)、H)、及びI)は、任意の順序で、かつ高粘度材料を混合するための任意の簡便な手段によって混合することによって組み合わされ得る。均質混合物を形成するための混合は、均質化とも称される。出発材料を組み合わせるための方法は、同時に起こり得るか、又は複数の工程プロセスで行われ得る。例えば、出発材料D)、E)、並びに存在する場合H)及びI)は、組み合わされ得、続いて以下に記載の技術のいずれかを介して混合され得る。代替的に、出発材料D)及び/又はE)は、最初に組み合わされ、I)溶剤と混合され、その後、得られた溶液は、工程2)の前に1つ以上の他の出発材料と混合され得る。代替的に、出発材料G)は、出発材料D)、E)、及びF)(及び存在する場合、H)及び/又はI)と組み合わされ得、かつ得られた混合物は、工程1からの分散液を添加する前に乳化され得る)。当業者は、使用される量の選択及び出発材料を組み合わせるために利用される特定の混合技術に応じて、エマルジョンの油相を含む、組み合わせ及び混合のための出発材料D)、E)、F)、G)、H)、及びI)の量を選択することができるであろう。
【0039】
工程2では、工程1)で調製された分散液は、出発材料を乳化する条件下で残りの出発材料と組み合わされる。出発材料G)の追加の水は、工程2)の前及び/又はその間に1つ以上のアリコートに添加され得、2つ以上のアリコートが使用される場合、この方法は、添加の間に混合することを含み得る。
【0040】
工程1)では分散液を調製すること、並びに工程2)の前及びその間で分散液及び出発材料を組み合わせることが、バッチ、半バッチ、又は連続プロセスで混合することによって起こり得る。混合は、例えば、中/低剪断によるバッチ混合機器、例えば、チェンジキャンミキサ(change-can mixers)、ダブルプラネタリーミキサ、円錐スクリューミキサ、リボンブレンダ、ダブルアームミキサ、又はシグマブレードミキサを使用して起こり得る。代替的に、高剪断及び/又は高速分散機を有するバッチ機器を、工程1)及び/又は工程2)で使用することができ、これらとしては、Charles Ross&Sons(NY)、Hockmeyer Equipment Corp.(NJ)によって作製される機器、バッチ混合機器(例えば、Speedmixer(商標)の商品名で販売されているもの)、及びバンバリー型(CW Brabender Instruments Inc.、NJ)及びヘンシェル型(Henschel mixers America、TX)を含む、高剪断作用を行うバッチ機器のような機器が挙げられる。連続ミキサ/コンパウンダの実際の例としては、Krupp Werner&Pfleiderer Corp(Ramsey、NJ)及びLeistritz(NJ)によって製造されているものなどの、単軸押出機、二軸押出機、及び多軸押出機、共回転押出機、二軸逆回転押出機、二段階押出機、二軸回転式連続ミキサ、動的又は静的ミキサ、又はこれらの機器の組み合わせなどの押出機が挙げられる。
【0041】
この方法は、任意選択的に、硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンを脱揮することを更に含み得る。脱揮は、真空下でエマルジョンを加熱することなどの任意の簡便な手段によって行われ得る。脱揮は、水添加中、又は水の最後のアリコートを添加する前に行われて、脱揮中に除去され得るいかなる水をも補い得る。脱揮は、例えば、脱揮押出機(devolatilizing extruder)を用いて行われ得る。
【0042】
使用方法
上記のように調製された硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンは、接着剤物品、例えば、基材上に硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンをコーティングして、硬化させることよって調製されるシリコーン感圧接着剤を形成するために使用され得る。
【0043】
硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンを基材に塗布することは、任意の簡便な手段によって行うことができる。例えば、硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンは、グラビアコーター、コンマコーター、オフセットコーター、オフセットグラビアコーター、ローラーコーター、リバースローラーコーター、エアナイフコーター、又はカーテンコーターによって基材上に塗布され得る。
【0044】
基材は、感圧接着剤組成物を硬化させて、基材上に感圧接着剤を形成するために使用される硬化条件(以下に記載)に耐えることができる任意の材料であり得る。例えば、180℃以上、代替的に150℃以上の温度での熱処理に耐えることができる任意の基材が好適である。このような基材に好適な材料の例としては、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリアリレート、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルフィド(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエチレン(PE)、又はポリプロピレン(PP)などのポリマーフィルムが挙げられる。代替的に、基材は、ガラスであり得る。基材の厚さは重要ではないが、この厚さは、5μm~300μm、代替的に50μm~250μm、代替的に100μm~300μm、代替的に100μm、代替的に50μmであり得る。代替的に、基材は、PET、TPU、PC、及びガラスからなる群から選択され得る。代替的に、基材は、PETなどのポリマー基材であり得る。
【0045】
フィルム又はテープなどの接着剤物品は、上記のような硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンを基材上に塗布して、硬化させることによって調製され得る。接着剤物品を調製するための方法は、硬化の前及び/又は硬化中に水の全て又は一部分を除去することを更に含み得る。水溶剤の除去は、完全には硬化させずに水を気化させる温度で加熱すること、例えば、70℃~90℃、代替的に50℃~<100℃、代替的に70℃~80℃の温度で、水の全て又は一部分を除去するのに十分な時間(例えば、30秒~1時間、代替的に1分~5分)加熱することなどの任意の簡便な手段によって行われ得る。
【0046】
硬化は、硬化させるのに十分な時間(例えば、30秒間~1時間、代替的に1分間~5分間)、80℃~200℃、代替的に90℃~180℃、代替的に100℃~180℃、代替的に110℃~180℃、の温度で加熱することによって行われ得る。硬化は、基材を炉内に入れることにより行われ得る。基材に塗布する硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンの量は、具体的な用途に依存するが、硬化後に感圧接着剤の厚さが5μm~100μmになり得、保護フィルムの場合、厚さが5μm~50μm、代替的に10μm~40μm、代替的に15μm~40μmになり得るのに十分な量であり得る。
【0047】
本明細書で記載される方法は、任意選択的に、例えば、接着剤物品の使用前のシリコーン感圧接着剤を保護するために、基材の反対側のシリコーン感圧接着剤に取り外し可能な剥離ライナーを適用すること、を更に含み得る。接着剤物品は、ディスプレイデバイスに使用するための保護フィルムであり得る。代替的に、接着剤物品は、工業用テープであり得る。代替的に、シリコーン感圧接着剤は、ヘルスケア又はパーソナルケア用途において有用であり得る。
【実施例】
【0048】
以下の実施例において使用した出発材料を表1に記載する。
【表1】
【0049】
この参考例1では、エマルジョン1を以下のように調製した。8.5部のガム1及び12.6部のポリマー1を、16.4部の溶剤型非キャップ樹脂1及び23.1部の溶剤型キャップ樹脂1と混合した。得られた混合物を6部のOCSと混合して、均質な混合物を得た。次いで、6部の水を高剪断で添加して、濃厚(thick)なO/W(oil in water)(水中油)相を形成した。この相を希釈するために27.4部の水を添加して、エマルジョン1を得た。エマルジョン1の平均粒径は、0.3~0.4umであった。
【0050】
この参考例2では、エマルジョン2を以下のように調製した。21.1部のガム1を、16.4部の溶剤型非キャップ樹脂1及び23.1部の溶剤型キャップ樹脂1と混合した。得られた混合物を6部のOCSと混合して、均質な混合物を得た。次いで、6部の水を高剪断で添加して、濃厚(thick)なO/W(水中油)相を形成した。この相を希釈するために27.4部の水を添加し、エマルジョン2を形成した。エマルジョン2の平均粒径は、1.5umであった。
【0051】
この参考例3では、エマルジョン3を以下のように調製した。21.1部のガム1を、42.1部の溶剤型キャップ樹脂2と混合した。得られた混合物を6.4部のOCSと混合して、均質な混合物を得た。次いで、6.4部の水を高剪断で添加して、濃厚(thick)なO/W(水中油)相を形成した。この相を希釈するために24部の水を添加して、エマルジョン3を得た。エマルジョン3の平均粒径は、1.3umであった。
【0052】
この参考例4では、エマルジョン4を以下のように調製した。21.1部のガム1を、17.7部の溶剤型非キャップ樹脂2及び23.1部の溶剤型キャップ樹脂1と混合した。得られた混合物を6.2部のOCSと混合して、均質な混合物を形成した。次いで、6.2部の水を高剪断で添加して、濃厚(thick)なO/W(水中油)相を形成した。この相を希釈するために25.7部の水を添加して、エマルジョン4を得た。エマルジョン4の平均粒径は、1.5umであった。
【0053】
この参考例5では、エマルジョン5を以下のように調製した。21.1部のガム1を、37.8部の溶剤型キャップ樹脂1と混合した。得られた混合物を6部のOCSと混合して、均質な混合物を得た。次いで、6部の水を高剪断で添加して、濃厚(thick)なO/W(水中油)相を形成した。この相を希釈するために29.1部の水を添加して、エマルジョン5を得た。エマルジョン5の平均粒径は、1.7umであった。
【0054】
この参考例6では、エマルジョン6を以下のように調製した。8.5部のガム1及び12.6部のポリマー1を、16.4部の溶剤型非キャップ樹脂1及び23.1部の溶剤型キャップ樹脂1と混合した。得られた混合物を6部の有機界面活性剤1と混合して、均質な混合物を得た。次いで、6部の水を高剪断で添加して、濃厚(thick)なO/W(水中油)相を形成した。この相を希釈するために27.4部の水を添加して、エマルジョン6を得た。エマルジョン6の平均粒径は、0.2~0.3umであった。
【0055】
この参考例7では、エマルジョン7を以下のように調製した。8.5部のガム1及び12.6部のポリマー1を、16.4部の溶剤型非キャップ樹脂1及び23.1部の溶剤型キャップ樹脂1と混合した。得られた混合物を6部の有機界面活性剤2と混合して、均質な混合物を得た。次いで、6部の水を高剪断で添加して、濃厚(thick)なO/W(水中油)相を形成した。この相を希釈するために27.4部の水を添加して、エマルジョン7を得た。エマルジョン7の平均粒径は、0.35umであった。
【0056】
この参考例8では、BPO分散液試料を以下のように調製した:触媒1を分散剤1又は分散剤2に添加し、次いで30分間混合した。BPO分散液試料を以下の表2に要約する。量は重量部で示される。
【表2】
【0057】
分散液IIIは、上記のように調製したエマルジョン1~7のいずれかに添加するには乾燥しすぎているペーストを形成した。
【0058】
この実施例8では、50重量部のエマルジョン1を、高速剪断で1.21重量部の触媒1と15分間混合した。得られた混合物を厚さ50umのPETフィルム上にコーティングし、80℃で2分間及び180℃で5分間硬化させた。得られたフィルムの外観及び凝集性は不良であり、冷剥離試験後に鋼板上に大量の残留物があった。各出発材料の量及び結果を以下の表3に要約する。
【0059】
この実施例9では、50重量部のエマルジョン1を、0.61重量部のアミノエチルアミノプロピルトリメトキシルシラン(硬化剤1)と混合して、試料9を形成した。混合物を厚さ50umのPETフィルム上にコーティングし、150℃で5分間硬化させた。180°剥離接着性は、25~30umの乾燥コーティング厚さで500g/インチであり、耐熱性の性能は、200℃の冷剥離に合格しなかった。更に、フィルムの外観は、劣っていた。各出発材料の量及び結果を以下の表3に要約する。
【0060】
この実施例10では、50重量部のエマルジョン1を、AkzoNobel(触媒2)からの1.82のBPOペーストと混合して、試料10を形成した。試料10を厚さ50umのPETフィルム上にコーティングし、80℃で2分間及び180℃で5分間硬化させた。試料10は、BPOペーストによって硬化されなかった。理論に拘束されることを望まないが、シリコーン油は、硬化プロセスを阻害したと考えられる。PSAの凝集性は、不良であった。更に、フィルムの外観は、劣っていた。各出発材料の量及び結果を以下の表3に要約する。
【0061】
この参考例11では、参考例1に記載されるように調製した50重量部のエマルジョン1を参考例8に記載されるように調製した分散液と混合することによって、試料11~14を調製した。次いで、各得られた試料を厚さ50umのPETフィルム上にコーティングし、80℃で2分間及び180℃で5分間硬化させた。180°剥離接着性、200℃冷剥離接着性、及び視覚的外観を各試料について測定した。各出発材料の量及び結果を以下の表3に示す。
【0062】
この参考例12では、参考例1に記載されるように調製した50重量部のエマルジョン1を、0.05重量部のKATHON LX-150及び参考例8に記載されるように調製した2.42重量部の分散液Iと混合することによって、試料15を調製した。次いで、得られた試料15を厚さ50umのPETフィルム上にコーティングし、80℃で2分間及び180℃で5分間硬化させた。180°剥離接着性、200℃冷剥離接着性、及び視覚的外観を測定した。各出発材料の量及び結果を以下の表3に示す。
【表3】
【0063】
試料11~15は、参考例8に従って調製した過酸化ベンゾイルと、水及びアルコールとの分散液を使用すると、PSAエマルジョンに改善された接着性及び冷剥離の結果の予想外の利点を提供し得ることを示す。試料11、12、及び15は、有機界面活性剤の代わりにOCSを使用する場合、優れた視覚的外観も得ることができることを更に実証する。
【0064】
この参考例13では、試料16~21を以下のように調製した。上記の参考例2~7のうちの1つに従って調製した50重量部のエマルジョンを、上記の参考例8に従って調製した分散液Iのある量と組み合わせて、硬化性のPSAエマルジョン試料を形成した。次いで、各試料を厚さ50umのPETフィルム上にコーティングし、80℃で2分間及び180℃で5分間硬化させた。180°剥離接着性、200℃冷剥離接着性、及び視覚的外観を各硬化された試料について測定した。各出発材料の量及び結果を以下の表4に示す。
【表4】
【0065】
参考例14-ガムの粘度の試験方法
ガム粘度を測定するための標準的な方法は、Alpha Technologies RAP 2000を使用した
1)100rpmでの1角度を使用して、これを50℃で実行し、1角度は、13.96%歪みに等しい。
2)5~5.5gのガムを0.023mmのポリエステルシートに充填した。
●ポリエステルシートの使用は、特により低いガム粘度で大きな効果を有するが、これによって洗浄がかなり容易になった。
3)試料を6分間分析し、2、3、4、5、及び6分後にソフトウェアを介してデータを記録した。これらを平均して、報告値を供した。場合によっては、試験時間を3分に低減し、2~3分の平均値を記録した。
【0066】
参考例15-ポリマーの粘度の試験方法
ブルックフィールド粘度計手順:
1)RVDV-1プライム粘度計をオンにし、トランスデューサをゼロにした。ガード脚を洗浄し、粘度計回動カップの後部に取り付けた。スピンドルを洗浄し、使用前に検査した。
2)液体試料を16オンスのポリプロピレンジャーに分配した。デジタル温度計のプローブステムを試料に挿入し、内容物を勢いよくではあるが、新しい気泡を取り込まない程度に撹拌するために使用した。撹拌は、測定プロセスにおける時間依存性を最小限に抑えるために、穏やかなチキソトロピーの内部ネットワークを破壊することを意図した。
3)新しい気泡を取り込まないように、スピンドルをある角度で沈めた。次いで、スピンドルを、左ランドねじを使用してスピンドルカップリングに取り付けた。RVDV-Iプライム粘度計のスピンドル速度を、0.3rpm~100rpmの範囲の固定増分から選択した。抵抗は、器具に表示されるように及ぼした。
4)これらの評価の過程で、単一ポイントQC方法が方法開発を受けていた。20rpmでRV4-スピンドルを使用する決定は、QC試験1%溶液の条件グアーガム産業による条件選定とは無関係に達成された。RV4-スピンドル及び20rpmの速度の組み合わせによって広がった粘度の全範囲は、1000の10000cstであった。したがって、標的範囲は、全範囲の中心近くのサブセットであった。標的粘度範囲内の器具トルクは、フルスケールの約50%であった(器具耐性は、10%フルスケールトルクでの11%から50%フルスケールトルクでの3%に減少する。50%~100%のフルスケールトルクは、2%の器具耐性の改善のみをもたらす)
【0067】
参考例16-接着性の試験方法
クレープ紙を、上記のように調製した硬化性のシリコーン感圧接着剤の組成物試料でコーティングし、硬化させた。コーティングしたクレープ紙を1インチ幅のテープに切断し、洗浄した標準鋼プレート上で接着させた。1kgのロールを2回適用した。得られた物品を室温で30分間エージングした。次いで、接着試験機(ChemInstruments AR-1500)を使用して、感圧接着剤を剥離し、剥離力を試験した。
【0068】
参考例17-200℃冷剥離のための試験方法。クレープ紙を、上記のように調製した硬化性のシリコーン感圧接着剤の組成物試料でコーティングし、硬化させた。コーティングしたクレープ紙を1インチ幅のテープ片に切断し、これを、洗浄した標準鋼プレート上で接着させた。得られた試料を室温で30分間エージングした。次いで、試料を200℃のオーブンに30分間置いた。次いで、試料をオーブンの外に置き、周囲条件下で室温に冷却した。テープを基材から剥離させ、残留物及び移動を視覚的に評価した。
【0069】
参考例18-各試料の視覚的外観を肉眼で評価した。
【0070】
用語の使用
発明の概要及び要約は、参照により本明細書に組み込まれる。全ての量、比、及び百分率は、明細書の文脈により別途指示のない限り、重量によるものである。明細書の文脈により別途指定がない限り、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、それぞれ1つ以上を指す。範囲の開示は、その範囲自体及び範囲内に包含される任意のもの、並びに端点を含む。例えば、20~50の範囲の開示は、20~50の範囲だけでなく、20、30、37.5、45、及び50も個別に含み、並びに範囲内に包含される任意の他の数も含む。更に、例えば、20~50の範囲の開示は、20~37、38~45、及び46~50のサブセット、並びにその範囲に包含される任意の他のサブセットを含む。同様に、マーカッシュ群の開示は、その群全体を含み、そこに包含される任意の個別の要素及び下位群も含む。例えば、マーカッシュ群、アルキル、アルケニル、及びアリールの開示は、その要素であるアルキルを個別に含み、下位群であるアルキル及びアリールを含み、かつマーカッシュ群に包含される任意の他の個々の要素及び下位群を含んでいる。
【0071】
本明細書で使用される略語を、以下の表5の通り定義する。
【表5】
【0072】
ガム、及び他の出発材料(例えば、E)ポリオルガノシリケート樹脂及びH)ポリマー)のMnは、以下の技術に従ってGPCによって測定され得る。クロマトグラフィー機器は、真空デガッサを備えたWaters 2695 Separations ModuleとWaters 2414屈折率検出器であった。3つのStyragel(商標)HRカラム(300mm×7.8mm)(分子量分離範囲100~4,000,000)を使用し、その後にStyragel(商標)ガードカラム(30mm×4.6mm)を使用して分離を行った。溶離液として1.0mL/分で流れる認定グレードトルエンを使用して分析を行い、カラム及び検出器を両方とも45℃に加熱した。0.025gのニート試料を12mLガラスバイアルに量り取り、5mlのトルエンで希釈して、0.5%重量/体積の試料を調製した。試料溶液を、遠心分離又は0.45μmPTFEフィルタで濾過した後、ガラス製オートサンプラーバイアルに移した。100μLの注入量が使用され、データは38分間収集された。データの収集と分析は、Waters Empower GPCソフトウェアを使用して行った。370g/モル~1,270,000g/モルの分子量範囲をカバーするポリスチレン標準を使用して作成された較正曲線(3次)に対し、分子量平均を判定した。
【0073】
本発明の実施形態
第1の実施形態では、硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンを調製するための方法は、
1)
A)>0~<55重量%の過酸化ベンゾイルと、
B)0~≦25重量%の水と、
C)1-フェノキシ-2-プロパノール及び2-フェノキシエタン-1-オールからなる群から選択される>20重量%のフェノキシ官能性アルコールと、を含む分散液を調製することと、
2)分散液を、
D)ビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンガムと、
E)ポリオルガノシリケート樹脂と、
F)アルコールエトキシレート界面活性剤と、
G)追加の水と、
任意選択的に、H)ビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンポリマーと、
任意選択的に、I)溶剤と、
任意選択的に、J)殺生物剤と、を含む、出発材料と組み合わせることと、を含む。
【0074】
第2の実施形態では、第1の実施形態の方法は、
i)D)及びE)と、任意選択的にH)及び/又はI)と、を含む、出発材料を混合することと、
ii)出発材料F)を工程i)の生成物に添加し、混合することと、
iii)出発材料G)を工程ii)の生成物に添加し、乳化することと、その後、
iv)工程1)からの分散液を工程iii)の生成物に添加することと、を更に含む。
【0075】
第3の実施形態では、第1の実施形態又は第2の実施形態に記載の方法において、分散液は、20%~50%のA)過酸化ベンゾイルと、2%~25%のB)水と、25%~78%の1-フェノキシ-2-プロパノールと、を含む。
【0076】
第4の実施形態では、第1の実施形態又は第2の実施形態に記載の方法において、分散液は、20%~50%のA)過酸化ベンゾイルと、2%~25%のB)水と、25%~78%の2-フェノキシエタン-1-オールと、を含む。
【0077】
第5の実施形態では、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法において、出発材料D)は、エマルジョンの重量に基づいて7重量%~30重量%の量で存在し、出発材料D)は、式
【化6】
を有し、式中、各R
1は、独立して選択された一価炭化水素基であり、添字aは、ガムに≧300,000g/molの数平均分子量を与えるのに十分な値を有する。
【0078】
第6の実施形態では、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法において、出発材料E)は、0.5~2.0の出発材料E)/[出発材料D)+出発材料H)][樹脂/(ガム+ポリマー)比]の重量比を提供するのに十分な量で存在し、出発材料E)は、
E-1)単位式:(RM
3SiO1/2)z(SiO4/2)oX2
p(式中、各RMは、独立して選択された一価ヒドロカルビル基であり、各X2は、加水分解性置換基であり、添字z及びoは、o>1及び添字z>4となるような値を有し、量(o+z)は、キャップ樹脂に1500g/mol~5,000g/molのMnを与えるのに十分な値を有し、添字pは、キャップ樹脂に0~<2%の加水分解性基含有量を与えるのに十分な値を有する)のキャップ樹脂;
E-2)単位式(RM
3SiO1/2)z’(SiO4/2)o’X2
p’(式中、添字z’及びo’は、o’>1及び添字z’>4となるような値を有し、量(o’+z’)は、キャップ樹脂に1,500g/mol~5,000g/molのMnを与えるのに十分な値を有し、添字p’は、非キャップ樹脂に≧2%~10%、代替的に2,000の加水分解性基含有量を与えるのに十分な値を有する)の非キャップ樹脂からなる群から選択される。
【0079】
第7の実施形態では、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法において、出発材料F)は、硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンの重量に基づいて、5%~10%の量で存在し、出発材料F)は、ポリエーテル修飾ポリオルガノシリケート(MQ)樹脂及び有機アルコールエトキシレートからなる群から選択される。
【0080】
第8の実施形態では、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法において、出発材料G)は、硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンの重量に基づいて、20重量%~40重量%の量で添加される。
【0081】
第9の実施形態では、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法において、出発材料H)ビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンポリマーは、硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンの10重量%~15重量%の量で存在し、ビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンポリマーは、式
【化7】
を有し、式中、各R
1は、独立して選択の一価ヒドロカルビル基であり、添字bは、ビス-ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンポリマーに≦200,000csの粘度を与えるのに十分な値を有する。
【0082】
第10の実施形態では、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法において、出発材料I)は、>0重量%~20重量%の量で存在し、芳香族炭化水素の混合物を含む。
【0083】
第11の実施形態では、実施形態1~10のいずれか1つに記載の方法において、出発材料J)は、0.1%~5%の量で存在する。
【0084】
第12の実施形態では、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法は、硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンを脱揮することを更に含み、本方法は、工程2)の間、及び/又は工程2)のG)水を添加することが完了する前に行われる。
【0085】
第13の実施形態では、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法は、硬化性のシリコーン感圧接着剤のエマルジョンを基材上に塗布して、硬化させることを含む技術によって接着剤物品を形成することを更に含む。
【0086】
第14の実施形態では、第13の実施形態に記載の方法は、工業用テープのための接着剤物品を使用することを更に含む。
【0087】
第15の実施形態では、第13の実施形態に記載の方法は、パーソナルケア製品のために接着剤物品を使用することを更に含む。
【0088】
第16の実施形態では、第13の実施形態に記載の方法は、ヘルスケア製品のために接着剤物品を使用することを更に含む。