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特許7534480現場での伸び測定を行うための方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】現場での伸び測定を行うための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20240806BHJP
   G01B 5/00 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
G01B5/00 A
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023075968
(22)【出願日】2023-05-02
(62)【分割の表示】P 2020540457の分割
【原出願日】2018-12-21
(65)【公開番号】P2023099585
(43)【公開日】2023-07-13
【審査請求日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】62/709,458
(32)【優先日】2018-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520264106
【氏名又は名称】イー-ロンゲーション エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】クック,ブラッドレイ,ウェイン
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04805877(US,A)
【文献】特開昭58-195664(JP,A)
【文献】特開2016-075073(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0266441(US,A1)
【文献】特開2008-070205(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0284111(US,A1)
【文献】特開2006-287317(JP,A)
【文献】特開2006-071575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/00-13/045,99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造体のポケット内部に設けられる一組のくさび及びアンカーによって囲まれるポストテンション緊張材の現場での伸び測定を行う方法であって、
マーキング装置の位置決めヘッドが、前記アンカーと多点接触し、前記くさびと接触することなく前記緊張材上に静止するように、前記構造体の前記ポケット内に位置決めされる非破壊的マーキング装置により前記緊張材をマーキングするステップと、
前記緊張材から前記マーキング装置を取り外すステップと、
前記緊張材上に測定装置を配置するステップと、
張力により前記緊張材に荷重をかけるステップと、
前記測定装置の位置決めヘッドが前記アンカーと多点接触し、前記くさびと接触することなく前記緊張材上に静止するように、前記構造体の前記ポケット内に位置決めされる前記測定装置により前記緊張材を測定するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記マーキング装置が前記アンカーと多点接触する前記ステップは、前記マーキング装置が前記アンカーと面一に当接するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マーキング装置が前記アンカーと多点接触する前記ステップは、前記マーキング装置が前記アンカーと磁気多点接触するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記マーキング装置が前記アンカーと多点接触する前記ステップは、前記くさびの、前記アンカーから外に延在する部分の周囲に、前記マーキング装置のヘッド本体のくさびポケットを位置決めするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記マーキング装置を前記緊張材上に位置決めし、且つ部分的に前記コンクリート構造体の前記ポケット内に位置決めするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記マーキング装置を前記緊張材上に位置決めする前記ステップは、前記マーキング装置内に形成されたチャネルを前記緊張材の周囲に位置決めするステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記緊張材をマーキングする前記ステップは、前記マーキング装置の位置に基づき基準マークを前記緊張材に塗布するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記基準マークを前記緊張材に塗布する前記ステップは、前記マーキング装置上に配設されたスプレー塗料塗布器を使用するステップを含む、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する優先権
この出願は、2018年1月19日に出願された米国仮特許出願第62/709,458号の利益を主張し、その全てを本明細書中に引用して組み込む。
【0002】
本発明は、一般に、ポストテンション方式のコンクリート構造体に関し、特に、ポストテンション緊張材の伸びの測定に関する。
【背景技術】
【0003】
ポストテンション工法とは、コンクリートを鋼製ケーブルで補強する方法である。鉄骨鉄筋コンクリートは、従来のコンクリートよりもシア力に対して強度を有する複合材料であり、予想される建築物の荷重に対して反力を印加する方法で鉄筋に応力を付加する場合、更に強度を高めることができる。
【0004】
ポストテンション工法において、コンクリートを流し込む前に、弛緩させた鋼製緊張材をコンクリート打設内に設ける。ポストテンション緊張材は、腐食から保護し、コンクリートへの定着を防ぐよう、グリースで満たされ、緊張材の周りに堅く纏着されるか又は鋳込まれるプラスチック製シース内に封入されている。緊張材は、緊張材の両端がそれらのアンカーに繋止されるまで、そのシース内部で横方向の動きの自由度を有している。被覆緊張材は、コンクリートが固化し、緊張材に張力を付加した後、所望の力を作用させるよう設計された位置及び寸法形状で、予め形成されたコンクリート打設領域内部に設置されるか又は定着される。これらの緊張材は、通常、構造体に設置されると予想される全ての荷重における圧縮力を分散させ、その割れを防止し、その効果を打ち消すよう配置されている。
【0005】
緊張材の一端は、緊張材がコンクリート打設領域を出ないように、打設用型枠に定着されたアンカーに固定されてもよく、このようにアンカー固定された一端は、「デッドエンド」と称される。緊張材は、アンカー内の緊張材及び台座の周囲に「くさび」と呼ばれる複数の半円錐形把持装置を固定することによってアンカーに固定される。くさびは、適切なゲージ圧をかけると、アンカーに繋止される。
【0006】
代替として、緊張材の一端は、最初、そのアンカーを通って、後に張力を付加するための打設用型枠を超えて延在する「テール」を残してもよく、かかる端部は、「ライブエンド」又は「応力エンド」と称される。長い緊張材は、往々にして、両端をライブ又は応力エンドとして有する。
【0007】
コンクリートが流し込まれると、打設用型枠内部のシース緊張材は、ライブエンドテールのみが曝露されて、コンクリートによって完全に囲まれた状態となる。アンカーは、その外面の一部がコンクリート構造体の外面に設けられるプラスチック製ポケットフォーマによって作成されるネガティブスペースの「ポケット」内側に曝露された状態で、コンクリート内に打設され、大部分がそれによって囲まれている。緊張材のライブエンドのテールは、コンクリート構造体から延在している。コンクリートが固化すると、打設用型枠及びポケットフォーマが取り外され、グリースが、マーキング工程(以下で検討する)に備えて、曝露した緊張材から拭き取られる。応力エンドは、緊張材の周囲に着座し、部分的にアンカー内に入るくさびにより「予め固定」されている。予め固定されたくさびは、十分な張力が印加されると、張力を付加している間にアンカーに繋止され、完全に着座される。くさびが繋止されるまで、それらは部分的にアンカーの外に延在し、完全に着座した後にアンカーの外側に延在する可能性がある。
【0008】
コンクリートが許容できる強度に固化した後、キップで測定されるような所望の張力が緊張材に荷重をかけられる。これは、通常、「ジャッキ」又は「ラム」と互換的に称する油圧ジャッキによって行われる。米国特許第4,805,877号に開示された装置等の多数のジャッキが市販されている。緊張材は、流し込みから24~72時間以内に部分的な荷重(一般的には30%)により「プレストレス」をかけるか、又はコンクリートが7~10日間固化された後若しくはそうでなければ指定された最小コンクリート強度を達成した後に引張力により完全に荷重をかけるかのいずれかを行うことができる。ラムはそのノーズピースをポケットに嵌合し、その歯でケーブルを掴持する。ラムは、掴持された緊張材をアンカー内に位置するくさびに対して引っ張って、所望の力(略33キップ)で緊張材に荷重をかける。ラムは、アンカー内に前方に圧入されるくさびに対して押圧する。ジャッキは、直近に較正されたメータ又はゲージで測定されたような(キップでの)所望量の力を印加する。理想的には、この測定された力の量は、緊張材に伝達され、緊張材が弛緩しようとする際に、コンクリートに伝達される。
【0009】
しかし、幾つかの理由により、ラムのゲージが緊張材に伝達される力を確実に示すことを妨げている。これらの理由には、シーティングロス、クリープ、アンカー歪み、不適切なゲージ較正、破損緊張材、不良緊張材材料、コンクリートへの定着又は不十分なシーティングに起因する異常な量の摩擦、及び人為的ミスが含まれるが、これらに限定されない。これら及び他のリスクのため、現場での伸び測定は標準的な品質管理手順となっており、ポストテンション協会等の専門家及び業界団体によって要求されている。
【0010】
現場での伸び測定は、一般に以下のように行われる。張力を付加する前に、基準マークをポケット領域の外側の各「ライブエンド」の緊張材「テール」に作成する。このマークは、ラムが緊張材を掴持する点に対してマークが横方向に設置されることを保証するコンクリートの外面に対して、ガイド、通常は2×4板を設置することによって作成されている。ガイドを基準として用いて、マークはスプレー塗料又は他の方法で緊張材上に作成される。この基準マークが作成され、くさびがアンカーに予め固定されると、ラムは所望量の張力で緊張材に荷重をかける。これにより、マークをその初期位置から緊張材の伸びに等しい距離だけ変位させる。ラムは次いで取り外され、同等の長さのガイド、好ましくは初期マークを作成するために用いられたものと同じガイドをコンクリートの面に対して設置し、ガイドの縁部から基準マークまでの距離をL字型定規で測定する。
【0011】
緊張材の理論的な伸びを計算するための式は、その分野においてよく理解されている。第三者による伸びの測定を行い、理論値に対して考察する。理論値からの逸脱は、緊張材が不十分な量の張力で荷重がかけられていること又は緊張材が損傷しているか若しくは欠陥があることを示している可能性がある。理論(通常は緊張材1フィートあたり0.078インチ)及び観測値の間に不一致があり、それが許容できる閾値(通常は7%~10%)よりも大きい場合、構造工学技術者は、現場での伸び報告自体がユーザエラーではないことを確認するために現場を再訪する必要がある。報告に転写及び測定エラーがないことが確認されるか、又は矛盾が解消されない場合、技術者は、問題の緊張材の伸びを確認するために、リフトオフ試験及び又は再引張を指示してもよい。この試験は、張力を付加する行為が張力の損失につながる可能性があるため、及び、くさびの歯が各引張及びそのくさびの再着座の際に緊張材を損傷させる可能性があるので、張力付加プロセスが緊張材に対して完全に非破壊的ではないため、3回行うことはほとんどない。
【0012】
ポストテンション構造の性質上、一般に、任意の所定時間に応力がかかるコンクリート構造体内には、多数の緊張材が存在する。全ての伸び測定は一度に行われる傾向があり、結果はデータシートに手書きで書き込まれ、後に手動でデジタル化された形式に転写され、再検討のために技術者に送信される。転写エラー、測定エラー、順序から外れた報告エラー、及び1回限りの省略は一般的であり、記録が技術者によって再検討される可能性がある前に、伸びの報告を正確に修正しようと試みるために2回目の現場訪問を保留にする緊張材の伸びの再検討の遅れにつながる。
【0013】
現在の方法の問題は、標準的なガイドがないことが原因である。マーキングステップ中に用いられる基準ガイドは、測定時に用いられる装置とは異なるのが一般的である。この違いは、同じガイドの異なる軸を用いることによるか又は2つの異なるガイドが共通の長さを共有していると誤って仮定することによって結果として生じる可能性があり、その理由は、変形が通常、呼び寸法の2×4板間で生じるからである。
【0014】
現在の方法による追加の問題は、ポケットにおけるコンクリートの外面又は外周における不完全性又は角度に起因する。緊張材ポケットの外周は完全に面一ではなく、外周の幾つかの縁部は、他のものよりもコンクリートの平面近傍又はそれから遠くに延在することができる。その結果、ガイドによって作成されるマークは、ポケットのどの縁部に対して、ガイドが設置されているかに応じて異なる。
【0015】
現在の方法による追加の問題は、平坦なガイドと丸い緊張材との間の小さな境界面から生じる。塗装ガイドと緊張材との境界面が小さく、結果としてその最上部のみが縮れて拡散したマークを生じる。緊張材にはグリースが付着しており、適切に清浄にしないと、グリースがマークを変形させる可能性がある。マークが読めなくなるリスクは、マークが作成されてから伸びの最終的な検討までの時間と共に増加し続ける。
【0016】
現在の試験プロセスは時間がかかるため、エラーが発生した場合又は再度応力をかけることが必要な場合、現場の再訪問が必要となる。エラーは、一般的に、試験チームがプロジェクト現場を離れるまで発見されず、往々にして、作業を進めることができる前に2回目の現場訪問を必要とする。
【発明の概要】
【0017】
既存の方法によるこれら及び他の問題点に対する解決策として、本発明は、現場での伸び測定を行うための改良された方法及び装置である。その現在の実施形態において、装置は、「マーキング装置」及び「測定装置」等の装置と称する複数の操作部に分割されている。装置としての操作部への言及は、発明の限定として読み取るべきではない。何も一般的には、文脈がそれ以外の場合にそれを必要としない状態では、装置の操作部分を物理的に別個の装置として具現化することを必要としない。
【0018】
装置を用いる前に、型枠、ポケット空隙、及びグリースは、拭き取り、破片を除去しなければならない。装置は、ポケット内で緊張材の周囲に直接設置され、アンカーと多点磁気接触を行う標準化された位置決めヘッド(好ましくは長さ4インチ)を含む。ヘッドは、その中央を通り、緊張材の上に嵌合し、着座するチャネルを有する。ヘッドは、そのアンカーエンドに設けられ、アンカーに予め固定され、そこから部分的に延在するくさびの周囲に嵌合し、それとの接触を避けるよう設計される凹みを有する。
【0019】
ヘッドの接触面は、ヘッドがアンカーに対して垂直に通り、緊張材と面一に着座することを保証する複数の点でアンカーと磁気的に接続される。ヘッドがアンカーと磁気的に接触し、緊張材がチャネルの頂部に対して着座すると、装置の残りの部分はアンカー及び緊張材に対して適切な位置に整列するようになる。
【0020】
マーキング装置は、位置決めヘッド及びマーキングツールを備える。マーキング装置は、緊張材がヘッドの尾側縁部から出る横断面を画成する基準マークを作成するために用いられる。マークは、スプレー塗装及びシールド等の任意の非破壊的マーキング手段によって、又は符号化された識別タグ又はテープを緊張材に固定することによって、アンカーから標準化された距離(好ましくは4インチ)に作成される。
【0021】
緊張材は、次いで、ラム型装置等の標準的な手段によって張力がかけられる。ラムは、基準マークの内側であり、アンカーの側方にある点において緊張材を掴持するか、又はそうでなければ張力を印加しなければならない。張力が緊張材にかけられると、アンカー及びくさびが共に着座して緊張材が緩むのを防ぐ。
【0022】
測定装置は、位置決めヘッド及び測定ツールを含む。測定装置の位置決めヘッドは、マーキング装置のヘッドと同一であるよう設計されている。この対称性は、測定装置が緊張材の上でポケットに着座し、アンカーと面一に当接し、マーキング装置上の位置決めヘッドと同じ位置を保持することを保証する。測定装置の尾側面は、基準マークを固定するために用いられる尾側面と同一である。
【0023】
測定装置の好ましい型は、順に測定本体に接続される脊柱に接続されるその位置決めヘッドを有する。この実施形態において、脊柱は、測定装置の位置決めヘッドに取り付けられ、本体が脊柱に沿って横方向に摺動することを可能にするような方法で測定本体を通過する。この型の測定本体の底部は、本体を緊張材に着座させることを可能にする着座チャネルを有する。測定装置のヘッドがアンカーとの接触を維持する間、本体は緊張材及び脊柱に沿って横方向に摺動する自由を有する。操作中、本体は、その頭側縁部が基準マークの真上に来るまで、緊張材に沿って摺動する。一旦所定位置につくと、測定装置は、基準マークの現在及び元の位置の間の距離を測定することによって伸びを特定する。
【0024】
本発明は、先行方法に関連する多くの問題を解決する。装置の標準化されたヘッドは、アンカーと直接当接することにより、ポケットの外縁部によって画成される点から緊張材をマーキングすることに関連する問題を回避する。他のポストテンションツールはポケットと相互作用するが、これらのツールは、緊張材に張力を印加することによってアンカーに対してそれら自体を固定するか、及び/又はくさびに押し付けるか若しくはそうでなければ相互作用するかのいずれかである。マーキング装置の好ましい型は、緊張材の表面の上半分と当接して、緊張材の円周の少なくとも40%以上に鮮明なマークを残し、先行方法によって作成される小さく、不鮮明で拡散するマークを改善する。
【0025】
測定装置の幾つかの型は、各測定時にその位置を特定する任意の手段を含んでいる。これらの型において、測定本体の頭側縁部に位置するアンテナは、測定が行われる場合に測定装置の位置を特定するために用いられる。測定装置の位置は、GPS又は三角測量システム等の任意の市販の測定方法によって特定されてもよい。この型の測定装置は、測定時のその位置を緊張材の既知の位置と比較することによって測定される緊張材の識別情報を確認する。伸びデータは、緊張材識別コードと照合し、測定装置に保存した。このデータファイルは、コンピュータ又は実質的に類似した装置に転送され、より正確な伸びの寸法を正確に識別された緊張材に結びつけて、人為的ミスの主要な原因を低減する伸び報告を生成するために用いられる。
【0026】
本発明及びその利点のより完全な理解のために、ここで添付図面と共に取られる以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1A図1Aは、その部品の一般的な配向を示すマーキング装置の一実施形態の斜視背面図である。
図1B図1Bは、緊張材周囲の設置を示すマーキング装置の一実施形態の斜視正面図である。
図2A図2Aは、部品の一般的な配向及び設置を示す内部の部分ワイヤフレーム図を有するマーキング装置の代替実施形態の斜視側面図である。
図2B図2Bは、装置及びIDタグ又はテープの適切な設置を示す内部の部分ワイヤフレーム図を有するマーキング装置の代替実施形態の斜視側面図である。
図3図3は、ポケット内部の位置決めヘッドの設置及び操作を示すマーキング装置の断面図である。
図4A図4Aは、ポケット内部の部品の一般的な配向を示す測定装置の斜視側面図である。
図4B図4Bは、測定装置の適切な設置及び使用を示す断面図である。
図5A図5Aは、マーキング装置の代替実施形態の位置を特定する任意の基点の斜視図である。
図5B図5Bは、測定装置の一実施形態の位置を特定することを示す任意の基点の立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
上記発明の概要及び以下で主張するような発明の詳細な説明において、並びに添付図面において、発明の特定の特徴(方法ステップを含む)に対して参照を行う。この明細書における発明の開示は、かかる特定の特徴の全ての可能な組み合わせを含むことは言うまでもない。例えば、特定の特徴が、発明の特定の態様若しくは実施形態、又は特定の特許請求の範囲の文脈において開示されている場合、その特徴は、また、可能な範囲で、発明の他の特定の態様及び実施形態と組み合わせて及び/又はその文脈において、並びに、広く発明において、用いることができる。
【0029】
用語「備える」及びその文法的均等物は、本明細書中で、他の構成部品、成分、ステップ、等が任意に存在することを意味するために用いられる。例えば、構成部品A、B、及びCを備える(又は「構成される」)物品は、構成部品A、B、及びCからなる(すなわち、それらのみを含む)ことができ、又は構成部品A、B、及びCだけでなく、1つ以上の他の構成部品を含むことができる。
【0030】
本明細書中で、2つ以上の定義されるステップを含む方法について言及している場合、定義されたステップは任意の順序で又は同時に実施することができ(文脈がその可能性を除外する場合を除く)、方法は、定義されたステップのいずれかの前に、2つの定義されたステップの間に、又は定義された全てのステップの後に実施される1つ以上の他のステップを含むことができる(文脈がその可能性を除外される場合を除く)。
【0031】
数字が後に続く用語「少なくとも」は、本明細書中で、その数字で始まる範囲の開始を表すために用いられる(定義されている変数に応じて、上限を有するか又は上限のない範囲であってもよい)。例えば、「少なくとも1つ」とは、1以上を意味する。
【0032】
解剖学的用語は、様々な構造、表面、及び構成要素の位置を示すために用いられる。用語「上位」及び/又は「頭側」とは、装置の上位又は頭側最上部分がアンカー側接触面である装置のヘッドに近接しているか又は接近している部分を指す。用語「下位」及び/又は「尾側」とは、ヘッドから離れた又はそれから離れる方向における部分を指す。用語「横方向」とは、前記装置又は緊張材の中心から離れて移動する装置又は緊張材の部分を指す。緊張材の最横方向部分がテールの先端である。用語「内側」とは、装置又は緊張材の中心に向いている部分を指す。緊張材の最も内側の部分はコンクリート構造体の中央にある。用語「頂部」、「上部」、及び/又は「背側」とは、アンテナ、ハンドル、ディスプレイ、又は基点の方向にある装置又は緊張材の部分を指す。用語「下部」、「底部」、及び/又は「腹側」とは、アンテナ、ハンドル、ディスプレイ、又は基点の方向から一般的に離れている装置の部分を指す。用語「横断面」とは、頭側及び尾側面を隔てる平面を説明している。用語「長手方向」軸とは、対象物の長さを通る軸を指す。2つ以上の値、特徴、又は構成要素の類似性若しくは同等性を修正するために用いられる場合の用語「実質的に」とは、当業者によって理解されるように、その置換が初期の値、特徴、又は構成要素の機能を本質的に変更しない類似の値、特徴、又は構成要素を含むことを意味する。
【0033】
本発明の原理及びその利点は、同様の数字が同様の部品を示す添付図面に描かれた装置の図示の実施形態を参照することによって最良に理解される。以下の説明において、周知の構成要素は、本発明を不必要な詳細において不明瞭にしないために、詳細な説明なく示されている。大部分に対して、発明の完全な理解を得るために不必要な詳細は、かかる詳細が当業者の技能範囲内である限り、省略されている。
【0034】
位置決めヘッド
標準化された位置決めヘッド(「ヘッド」)100は、マーキング装置200及び測定装置400と称する装置の操作部分と共通である。図3及び4Aを参照すると、測定装置のヘッド100は、マーキング装置のヘッド100と同一でなければならない。マーキング装置の位置決めヘッドは、同じ構成部品要素、形状、寸法を有し、測定装置における位置決めヘッドと同じ方法でアンカーに接続される。
【0035】
図1A及び図3を参照すると、ヘッドは、標準化された長さ(好ましくは4インチ)104であり、チャネル108、接触面101、1つ以上の磁気面102A、及びくさびポケット103を備えている。接触面101は、ヘッドの頭側最上部における平坦面として画成される。接触面101は、接触面と実質的に同一平面上にある1つ以上の磁気面102A、102B、102Cからなるか、又はそれらに差し込まれる。くさびポケット103は、ヘッドが、アンカー内になければならない一組のくさび004と当接することなく、接触面がアンカーと磁気的に接触することを可能にするよう十分な凹み深さ(好ましくは1/2インチ)のヘッド本体107の頭側端部に内側に設けられる凹みである。背景技術欄で述べたように、「予め固定された」くさびは、アンカーから外に部分的に延在し、それらがゲージ圧によりアンカーに「繋止」された後でさえもアンカーから突出し続ける可能性があり、いずれの場合も、くさびは、ヘッドと物理的に接触することなく、くさびポケットによって囲まれる(図3を参照)。
【0036】
好ましい型のヘッドは、円筒形のヘッド本体107と、緊張材001の周囲に着座するよう設計されたその腹側面に設けられる「U」字形のチャネル108とを備える。この実施形態におけるヘッド本体は、使用に伴って変形しない硬質プラスチックからできているが、任意の実質的に類似した材料が代用されてもよい。ヘッドが適切な位置にある場合、緊張材はチャネル上の頂部に対して着座し、接触面はアンカー003との磁気多点接触を行う(図3を参照)。この位置において、接触面は緊張材の長手方向軸に対して垂直になる。
【0037】
図1Bは更に、チャネルの背側面がチャネル内で前記緊張材の上面の少なくとも40%と当接し、チャネルの残りの部分が外側に向かって広がるように、緊張材001の周囲に同軸上に着座するのに十分な大きさ及び深さのチャネル108の好ましい実施形態を示している。好ましい実施形態が、図示のように、円筒形ヘッド本体の腹側面を通って続くチャネルを有する一方で、チャネルがヘッド本体によって完全に囲まれることを本質的に妨げるものは何もない。以下の実施形態において検討するように、ヘッドは、マーキング又は測定ツール等のツール部材に取り付けられる。操作中、アンカー及び緊張材に対するヘッドの適切な設置は、ツール部材及びその被加工物の適切な整列を保証する。
【0038】
マーキング装置
図1A及び図1Bは、切り離され、コンクリート構造体002のポケット006内部に設けられたポケット006内部に設置される型のマーキング装置200を示している。マーキング装置は、標準化された位置決めヘッドと、緊張材に基準マークを非破壊的に作成するための手段とを備えている。マーキング装置の好ましい実施形態は、任意のハンドル201及び塗料シールド202に接続される標準化された位置決めヘッド100と共に示されている。任意のハンドル201は、操作者の使いやすさのために、ヘッド100の背側面に固定されて示されている。
【0039】
図1A及び図1Bは、塗料シールドの尾側面がヘッドの尾側面106と同一平面上にあるような方法で、塗料シールド202がヘッド100に取り付けられることを示している。塗料シールドは、緊張材001の境界204及びヘッドのチャネル108の尾側縁部に沿ってスプレー塗装(図示せず)を向けるよう設計されたヘッドの尾側面106に接続される表面を備える。塗料は、境界204によって画成される横断面に基準マーク205を作成し、大きく明確な基準マークを作成するこの平面内で緊張材の円周の少なくとも40%を覆うことが好ましい。図1A及び図1Bは、塗料を緊張材上に向け、拡散した塗料を捕捉するように配向されるシールド203A、203Bに斜角に取り付けられる任意の翼を示している。
【0040】
測定装置
測定装置は、位置決めヘッドと、基準マーク及びヘッドの尾側面の直線距離を特定するための手段とを備えている。次に、図4A及び図4Bを参照すると、位置決めヘッド100と、ヘッドのチャネル108に平行な測定本体内の矩形経路406を横方向に通る剛性矩形脊柱401によって接続される測定本体411とを備える測定装置400の好ましい実施形態の斜視図及び断面図を示している。脊柱は、鋼、アルミニウム、プラスチック、又はその形状を失わないその他の実質的に類似した材料からできていてもよい。この実施形態において、脊柱401は、位置決めヘッドの尾側面106に定着され、測定本体が脊柱に沿って前後に摺動する自由を許容する一方で、緊張材と一直線上に残るように回転を禁止するような方法で、測定本体411を横方向に通る囲まれた矩形経路406の内部でそれを通過する。
【0041】
マーキング装置のこの実施形態において、ヘッド本体の尾側面106は、脊柱401及び測定ターゲット105に取り付けられている。測定ターゲットは、位置決めヘッドの尾側面に設けられるか、又はそうでなければ同一平面上にある。
【0042】
図4A及び図4Bは、更に、この型の測定装置が測定本体の腹側面に設けられる「U」字形チャネル(「本体着座チャネル」)407を有する様子を示している。本体着座チャネル407は、ヘッド100に設けられるチャネル108と一直線上にあり、それと同じ最背側点を有し、それと実質的に類似した形状を有している。図4Bは、アイユニット403を収容する型の測定本体を示している。図4A及び図4Bは、測定本体411が緊張材001に着座する様子を示している。本体は、ヘッドと一直線になるように回転することなく緊張材及び脊柱に沿って横方向に摺動する自由度を有している。操作中、ヘッドはアンカーに磁気的に接続されたままである一方で、測定本体は緊張材に沿って摺動する。
【0043】
代替実施形態において広範囲にカバーされているように、線形変位を測定するための測定装置のツールは、測定本体の頭側縁部と基準マーク205との間の距離を測定することができる任意の公知の技術を用いてもよい。好ましい型の測定装置は、測定本体411の頭側面に設けられるアイユニット403を備える。アイユニットは、信号を発し、受信し、結果を解釈することによって線形距離を特定する装置である。アイユニットは、例えば、市販の飛行時間型モジュールの業界において周知である任意の数の標準的な測定装置を組み込んでいてもよい。
【0044】
好ましい型の測定本体は、アイユニットに電子的に接続され、測定本体内部に収容される信号処理モジュール404を追加として備える。信号処理モジュールは、代替実施形態において検討したアイユニット又は他のツールからのデータを処理し、解釈し、操作するようなされている。この型の測定本体は、信号処理、計算、データ格納及び操作のためのメモリ、操作者と通信する装置のためのディスプレイ408、操作者の捕捉及び装置のメモリに格納されたデータを介してナビゲートするための複数のボタン410を追加として備えている。
【0045】
任意の型の測定装置は、基点501と通信するために本体の頭側縁部402から延在する伸縮式アンテナ503Aを追加として備える。伸縮式アンテナは、以下で検討して設けられる基点の水準に達するのに十分な長さのものである。
【0046】
基点
図5A及び図5Bは、測定が行われた時に測定装置の位置を特定するためにある特定の型の測定装置と共に用いられる任意の基点501を示している。この実施形態において、基点は、コンクリート構造体002に打ち込まれる凹み005に設けられ、その位置がデジタルマップに記録される。基点の定着位置と緊張材001との間の距離は、現場固有の設置図面から計算されてもよい。基点は、基点と測定装置のアンテナとの間の距離502を測定するために用いられてもよい信号を発する及び/又は受信する。測定装置の伸縮式アンテナ503Aが測定装置の上方の既知の高さ、好ましくは基点の水平面まで上昇すると、測定装置は定着された基点からその位置を測定する。
【0047】
操作
上で開示した装置は、以下のようにして、改善された精度及び最小のユーザエラーを有する現場での伸び測定を実行するために用いられる。
【0048】
コンクリート002が打設された後且つ緊張材001に応力をかける前に、緊張材を拭いて、ポケットから破片を除去する。くさび004は、緊張材の周囲に且つアンカー003内に部分的に予め固定される。次に、マーキング装置200のヘッドは、その接触面101がアンカーと面一に、磁気的に、多点接触し、緊張材の背側面がヘッドのチャネル108の背側面と当接する際にくさび004との接触を避けるように、緊張材001の周囲に、アンカー003に対して、ポケット006内に設置される(図3及び図4Bを参照)。操作者は、緊張材とチャネルとの間の境界204を最大化し、緊張材が張力で荷重をかけられた後の位置と同じ位置にあることを保証するよう、弛緩した緊張材を手動で持ち上げる必要がある可能性がある。この位置において、緊張材は、それ自体がヘッドの尾側面106と平行であるアンカーから横方向に、且つそれと垂直な標準化された距離(好ましくは4インチ)104においてヘッドから出る。操作者は、次いで、位置決めヘッドの尾側縁部106によって画成される平面に緊張材をマーキングする。好ましい実施形態において、操作者は、以前に検討したように、緊張材の境界204にスプレー塗料を塗布する。
【0049】
緊張材001は、次いで、発明の背景欄に記載されているように、油圧ジャッキ(図示せず)等の従来の方法によって荷重がかけられる。
【0050】
測定装置のヘッド100は、接触面101がアンカーと多点磁気接触するように、緊張材001の周囲のポケット006内に、アンカー003に対して設置される。ヘッドは、ヘッドのチャネル108及び測定本体の着座チャネル407が緊張材の上に着座し、静止するように、くさびポケット103に封入されるくさび004と接触することなく、アンカーと磁気的に接触する(図4Bを参照)。ヘッドが所定位置にある状態で、測定装置のターゲット105は、伸び106の前に作成される初期基準マークと同じ横断面106内で、アンカー104から同じ距離に位置する。
【0051】
操作者は、ヘッドとアンカーとの間の磁気的接触を壊すことなく、測定本体の頭側縁部402が基準マークの上に直接来るまで、測定本体411を緊張材に沿って摺動させる。測定本体は、脊柱401に沿って摺動し、緊張材001がアイユニット403とターゲット105との間の直線経路409を維持するように、ヘッドと一直線上に留まる。測定本体が所定位置にある場合、装置は伸び測定のデータ取り込みを開始する。データ取り込みは、操作者が取り込みボタン410を押した場合に手動で開始されてもよいか又は自動プロセスであってもよい。取り込まれたデータは、測定装置のメモリに保存されてもよい。任意に、測定装置は、伸びの長さと測定される緊張材の識別の両方を特定し、値を単一の観測として格納することによって結果を照合する。
【0052】
測定を実行する場合、測定装置の好ましい実施形態は、測定本体のアイユニット403内に位置するエミッタからヘッド上に位置するターゲット105への経路409において信号を送信し、ターゲットから反射されてアイユニット内に位置するレシーバに戻ってくる。測定本体内の信号処理モジュール404は、飛行時間型計算、位相解析、又は三角測量を含む任意の公知の技術を用いて信号を解析することによって、アイからターゲットの距離を特定する。アイとターゲットとの間の距離409は、伸び412の長さと同じ値である(図4Aを参照)。この距離値は、取り込まれた観測値として装置のメモリに格納されているデータの一部となる。
【0053】
好ましい実施形態において、基点501は、測定時の測定装置の位置を特定するために用いられる。この位置捕捉は任意であるが、基点を用いた場合、先ず、定着位置、好ましくはコンクリート構造体002に設けられた凹みに係合及び設置され、測定装置のアンテナ503Aにより較正されなければならない。この較正は、基点からの基準位置と、位置する全ての緊張材の始点とを設定する。測定装置は、伸びの長さを特定するのと同時に、測定される緊張材を識別するのに十分な精度でその位置を特定する。この任意の位置特定ステップは、GPS型衛星位置特定によって又はその既知の位置における基点と対話することによって実行されてもよい。図5A及び図5Bは、測定装置の頭側縁部に設けられた伸縮式アンテナ503Aに信号を送信する基点501を示している。アンテナは、コンクリート002の縁部の上の既知の高さまで、好ましくは基点501と同じ高さまで延長するべきである。測定装置は、基点からの信号の強さによって、アンテナまでのその直線距離502を特定する。
【0054】
この任意の位置特定ステップにおいて、アンテナから基点までの距離502及びアイユニットからアンカーまでの距離504は、緊張材の位置のデジタルマップと比較される。このデジタルマップは、本質的に表形式であり、現場固有の設置図面から入力され、装置のメモリにダウンロードされ、信号処理モジュールによって解析することができる。試験される各緊張材は識別され、緊張材識別コードが与えられる。緊張材識別コードは、物理空間内の位置と関連付けられる。取り込み時に、測定装置は、基点からのその観測距離502と、標準化されたヘッド長さ104に加えられたターゲット002までのその観測距離とを用いて、アンカーから基点までの距離を三角測量してもよい。この値をデジタルマップ内の値と比較し、緊張材の識別コードを特定するために用いる。識別コードは伸び測定値と照合され、取り込まれた観測値としてメモリ内に共に格納される。
【0055】
データが取り込まれた後、測定装置は、取り込まれた観測値をディスプレイ408上に視覚的に表示してもよい。測定装置は、コンピュータ又は携帯電話アプリケーション等の類似の装置を介して、リアルタイムのリモート閲覧及びコメントのためにクラウドベースのプラットフォームにエクスポートすることができる追加の観測値をメモリに格納し続ける。
【0056】
本発明を、特定の好ましい型を参照してかなり詳細に説明してきたが、例えば、以下の可能な他の型が存在する。
【0057】
マーキング装置の追加の実施形態は、塗料シールドの尾側面に接続される加圧スプレー塗料のためのハウジングを含む。前記ハウジングの腹側端部は、緊張材に塗料を噴霧するためのノズルを有する。この実施形態は、スプレー塗料ハウジングのノズルを押し下げるよう、レバー又は緊張線等のハンドルにおいて印加される圧力を伝達するための機械的部材を含む。この実施形態は、操作者が、片手で、身をかがめることなく、塗料シールドと緊張材との間の境界に塗料を遠隔で放出することを可能にすることによって、操作者の使用を容易にする。
【0058】
マーキング装置の追加の実施形態は、油性鉛筆、スタンプ、塗装ブラシ、又は塗料シールドの尾側面に位置する他の非破壊的マーキング部材等のマーカーのためのグリップを組み込んでいる。この実施形態は、マーカーを塗料シールドと緊張材との間の境界に対して押し付けるよう、レバー又は緊張線等のそのハンドルに印加される圧力を伝達するための手段を含む。
【0059】
マーキング装置の追加の実施形態は、任意の基点の高さに達するのに十分な長さの伸縮式アンテナ503B(図5Aを参照)、電源(図示せず)、及び操作者制御(図示せず)を追加として備える。使用前に、基点501は、マーキング装置のアンテナと係合させ、較正し、基地からの基準位置を特定しなければならない。この実施形態は、コンクリート構造体に対してマーキング装置の位置を特定するために市販のGPS又は関連技術において公知の任意の標準的な測定技術を用いて、マーキング装置を特定するよう、そのアンテナから信号を送信する。操作者は、緊張材に印を付けた時点でこの信号を送信する。この実施形態の基点は、緊張材識別コードと捕捉時間を特定する。このデータは、基準マークが正しいマーキング装置により正しい緊張材に作成された記録として格納される。
【0060】
マーキング装置300の代替実施形態は、図2A及び図2Bにおいて見て取ることができる。この型は、ヘッド100の尾側面106に取り付けられるタグ付け体301を追加として備える。タグ付け体は、複数のIDタグ又はテープ302を収容し、IDタグの頭側縁部がヘッドの尾側面106に対して基準マークとして機能するように、IDタグを緊張材に位置決めし、固着する。このマークは、緊張材に応力がかかる前に作成される。この実施形態は、IDタグ303をタグ付け体301から設置し、固定されたタグが緊張材に固着されていない任意の緩い材料を持たないように、張力部材、発熱体、又は接着部材を用いて緊張材001にそれを固着することによって操作する。IDタグは任意の材料に限定されず、テープ、ステッカー、コーティングから構成されていてもよい。IDタグは、加えて、バーコード等の光学的に符号化されるパターンの形で又はRFID等の誘導アンテナの形で位置情報を符号化してもよい。この種の多くのコードは、関連技術分野において公知であり、市販されている。IDタグの頭側縁部は、ヘッドの尾側縁部に設置されてもよい。タグの頭側縁部は、測定装置のための基準マークとして機能する。
【0061】
測定装置の代替実施形態は、更に、IDタグ上に符号化された情報を読み取るためのセンサ405を備える。図4Bに示すこのセンサの一実施形態は、チャネル407内部の測定本体411の腹側に、測定装置の頭側縁部402に向かって埋め込まれていることを示している。センサは、信号処理モジュールに電子的に接続されている。この実施形態において、センサは、図4Bに示すように、測定本体の頭側縁部がタグ303の頭側縁部の上に設置された場合に、IDタグに焦点を合わせるように配向される。センサは、光学式タグに対して光学式であってもよいか、又は誘導アンテナ式タグに対してエミッタ及びレシーバを含んでいてもよい。図4Bに示す測定装置の型におけるセンサ405は、測定本体の腹側にセンサを配置する一方で、センサは装置上のどこに位置してもよい。かかるタグ内で符号化された情報は、操作者がデータ取り込みを開始する場合に観測されるデータの一部として格納される。
【0062】
センサ405の追加実施形態は、測定装置の頭側縁部402が基準マークの上に適切に設置される場合を特定するためにセンサを用いてもよい。センサは、測定装置の頭側縁部がマークの上の適切な位置にあることを識別することができる他の任意の位置にあってもよい。センサは、装置の頭側縁部の直下の線に焦点を合わせるよう光学的になされていてもよい。かかるセンサが、緊張材001のマーキング205及び非マーキング部分から反射された光の違いを検出するか、又はそうでなければ、装置が適切な位置にあることを特定する場合、マーキング装置は、伸び及び位置データを自動的に取り込むか、又は視覚的若しくは聴覚的に操作者に取り込みを開始するよう促す。
【0063】
測定装置の追加の実施形態において、アイユニット403は、レーザ三角測量型センサを備える。この実施形態において、アイユニット内のレーザは、ターゲットから反射して、アイユニット内のエミッタに隣接する収集レンズに入射する信号を発する。収集レンズは、既知の角度の光を線形検出器に向ける。線形検出器によって受光された集光光の位置は、信号処理モジュール404によって解釈されてアイユニットからターゲットまでの長さを特定する。この種の範囲探知方法は、当技術分野において周知である。
【0064】
測定装置の追加の実施形態において、センサは、測定本体411内部の脊柱通路406内に位置する歯車又はスプロケットを備え、これらの歯は、測定本体がヘッドから前後に移動される際に脊柱401内の凹みと相互作用する。歯車又はスプロケットが回転するにつれて、角変位は、測定本体がヘッドから移動した距離に比例して、ばねの張力又はコンデンサ上の電荷として格納される。これは、表示及び取り込むことができる距離の測定値に変換される。かかる種類の測定装置は、当技術分野において周知であり、市販されている。
【0065】
測定装置の追加の実施形態は、更に、気泡管水準器又は加速度計等の水平であることを確認する手段を備える。
【0066】
測定装置の追加の実施形態は、矩形脊柱として目盛付き定規を用いる。定規は、他の手段により行われた測定を確認するために用いられてもよいか、又は操作者によって目視で観測され、手動で測定本体に入力されてもよい。
【0067】
測定装置の追加の実施形態は、使用及び保管を容易にするために、剛性脊柱及び通路を伸縮式の脊柱に置き換えている。
【0068】
測定装置の代替実施形態は、そのアンテナを用いて、GPS等の市販の衛星位置特定システムと通信して、測定本体の頭側縁部の位置を特定する。この位置特定方法は、他の任意の位置特定方法を補完するか又は置き換えることができる。位置特定データは、緊張材の識別を目的として、既知の緊張材の位置と比較される。
【0069】
装置の代替実施形態は、測定装置のアンテナの位置を三角測量するよう、コンクリート構造体の追加の凹みに設けられる1つ以上の基点を備える。これらの基点は、互いに同期し、測定装置によって送信されたような信号を受信する時刻を特定する。これらの時間は互いに比較され、装置の位置を特定するために用いられる。装置の位置、2つの基点間の距離は記録され、測定装置に送信されて最終的な応力の時間及び測定されている緊張材の識別を特定する。
【0070】
任意の基点装置の追加の実施形態は、スプール型巻き尺ディスペンサを含む。この巻き尺は、基点から引き出され、基点の位置から測定装置のアンテナ又は頭側縁部までの距離を測定するために用いることができる。これは、他の測定方法を確認又は較正するために用いられてもよいか、又は操作者によって目視で観測され、手動で測定本体に入力されてもよい。
【0071】
従って、添付特許請求の範囲の精神及び適用範囲は、本明細書中に含まれる好ましい型の説明に限定されるべきではない。
【0072】
上記の開示された方法及び装置は、以前の方法及び装置に関連する問題点を改善し、それに答えるものである。このマーキング装置は、全ての測定が、アンカーから測定することにより同じ平面から行われ、統一された基準マークを用いることを保証する。ヘッドはくさびとの接触を回避し、アンカーと同一平面上で当接し、緊張材がチャネル内に適切に着座することを保証する。このマーキング装置は、緊張材と塗装ガイドとの間の境界の面積を増加することによって、汚れ及び歪みに強い、より大きなマークを作成する。測定装置及び方法は、精度を保証する多数のデータ点を取り込み、データをリアルタイムでアップロードすることを可能にすることによって、エラー及び伸びの相違を発見する際の時間的な遅れの問題を大幅に削減する。これにより、記録する技術者は、リアルタイムでの対応を可能にする信頼できる現場伸びデータを即座に確認することができる。このリアルタイムの拒否又は承認は、数日ではなく、数時間以内に最終決定ステップ(切断、塗装、キャッピング、及びグラウト注入)をリアルタイムで承認する可能性を開く。これは、緊張材、アンカー、くさびが構成要素に曝露される時間を大幅に減少させることによって、構造体の完全性を保護する。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B