(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】GRPR陽性ガンの検出、診断及び治療のためのGRPRアンタゴニスト
(51)【国際特許分類】
C07K 7/06 20060101AFI20240806BHJP
A61K 51/08 20060101ALN20240806BHJP
A61P 1/00 20060101ALN20240806BHJP
A61P 11/00 20060101ALN20240806BHJP
A61P 13/08 20060101ALN20240806BHJP
A61P 15/00 20060101ALN20240806BHJP
A61P 25/00 20060101ALN20240806BHJP
A61P 35/00 20060101ALN20240806BHJP
A61P 35/04 20060101ALN20240806BHJP
A61P 1/18 20060101ALN20240806BHJP
【FI】
C07K7/06 ZNA
A61K51/08 100
A61K51/08 200
A61P1/00
A61P11/00
A61P13/08
A61P15/00
A61P25/00
A61P35/00
A61P35/04
A61P1/18
(21)【出願番号】P 2023115231
(22)【出願日】2023-07-13
(62)【分割の表示】P 2021154188の分割
【原出願日】2013-09-25
【審査請求日】2023-07-13
(32)【優先日】2012-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515081420
【氏名又は名称】アドヴァンスド アクセレレーター アプリケーションズ ユー・エス・エイ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Advanced Accelerator Applications USA, Inc.
【住所又は居所原語表記】The Empire State Building, 350 5th Avenue, Suite 6902, New York, NY 10118 , United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】シオドシア マイナ-ノック
(72)【発明者】
【氏名】バートホールド アーチャー ノック
(72)【発明者】
【氏名】マリオン デ ヨング ヘンドリクス
【審査官】上村 直子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6562838(JP,B2)
【文献】特表2006-528644(JP,A)
【文献】米国特許第05028692(US,A)
【文献】米国特許第05019647(US,A)
【文献】特開平02-250898(JP,A)
【文献】米国特許第05620955(US,A)
【文献】特表平04-502629(JP,A)
【文献】Chemistry A European Journal,2010年,Vol.16,p.2115-2124
【文献】Clinical Cancer Researech,2009年,Vol.15, No.16,p.5240-5249
【文献】Bioconjugate Chemistry,2008年,Vol.19,p.2040-2048
【文献】Journal of Medicinal Chemistry,1991年,Vol.34,p.2102-2107
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式の化合物:
【化1】
【請求項2】
放射標識化合物の合成における中間体として、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項3】
前記放射標識化合物が、ガンの治療のための医薬の製造のためのものである、請求項2に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2012年9月25日に出願された米国仮出願番号第61/705,513号の関連出願であり、ここで、参照をもってその全体を本明細書に組込まれたものとする。
【0002】
背景技術
ガン細胞は、広範囲の循環ベクターのための認識部位、例えばペプチドリガンドとして供給されてよい、種々の特異的な生体分子、例えばペプチド受容体を発現することを示している。標的受容体の発現が周りの健康な組織におけるよりも悪性の細胞で高い場合に、その機会は、これらの2つの分子の存在の相互作用を利用するために生じる。診断画像又は標的化治療適用のために、天然のペプチドリガンドを改良して、診断用又は治療用の放射性核種、例えば放射性金属又は放射性ハロゲンを安定に結合してよい。
【0003】
多くの場合、二官能キレート剤は、カルボキシル官能性により、ペプチドリガンドのN末端アミンに共有結合して、ペプチド結合を形成する。生物学的安定性、親水性、受容体結合親和性及び/又は内在化効果を増加するために、天然の受容体リガンドのさらなる改良、例えばペプチド鎖における戦略的なアミノ酸置換を試みる。代わりに、キレート剤とペプチド受容体認識部位又はヘテロ/ホモペプチド多量体化との間への適したスペーサーの導入は、全体の薬物動態及び放射性プローブの標的蓄積を最終的に改良する多くの生物学的パラメータの有利な改良を等しく導いてよい。
【0004】
診断又は治療用の放射性核種(放射性ペプチド)で標識付けした後に得られたペプチドキレート共役体が、患者に投与される。放射性ペプチドは、標的分子、すなわち、腫瘍に対して高く発現させたその同種のペプチド受容体との特定の相互作用により、1つ又は複数のガン部位に選択的に蓄積する。従って、診断用放射性核種の場合、腫瘍及び転移は、外部画像装置を使用して放射性崩壊が生じる部位を画像化することにより局在化される。ペプチドキレート共役体が治療用放射性核種で標識付けされる場合に、放射性毒物の負荷が、原発腫瘍及びその転移に特異的にもたらされる。従って、治療用放射性核種は、1つ又は複数のガン部位で崩壊して、小体エネルギーを放出し、病変を殺す又は病変(の成長)を低減する。
【0005】
この戦略は、ソマトスタチン及びその受容体の範囲で簡潔に開発される。後者は、種々のヒト腫瘍で、及び特に神経内分泌腫瘍(NET)で多量に発現される。成功したNETの診断画像についての臨床診療におけるOctreoScan(登録商標)([111In-DTPA]オクトレオチド)の出現の後に、ガンマカメラでの従来の画像のためだけでなく、PETのためにも、最も重要なことには放射性核種治療のために有用な、広範囲の医学的に適切な放射性金属で標識付けした多くの新たな改良されたソマスタチン類似体がすぐに続いた。進行中の臨床試験は、これらの新たな放射性ペプチドの治療的有効性を明らかにしている。
【0006】
ペプチド受容体及びそれらのリガンドは、ガン診断及びガン治療における興味深い分子ツールとして明らかになっている。例えば、ガストリン放出ペプチド受容体(GRPR)の高密度での発現は、いくつかの頻繁に生じるヒト腫瘍において、例えば前立腺ガン、乳ガン及び肺ガンにおいて報告されている。従って、GRPRは、近年、核腫瘍学の診断及び治療の手段(arsenal)の水準を上げる目的の、放射標識したボンベジン様ペプチドのための好ましい分子標識としての勢いを得ている。
【0007】
ボンベジン(BBN)は、最初にヨーロッパスズガエル(Bombina bombina)の皮膚から単離されたテトラデカペプチドである。ボンベジン及びその関連するペプチドは、ヒトにおいて特定の受容体に結合した後の、体温調整及び摂食に作用する。これらの受容体は、哺乳動物において3つの亜類型、NMBについて高い親和性を有するニューロメジンB受容体(NMBR又はBB1R)、GRPに高い親和性を有するGRPR(又はBB2R)、及びまだ同定されていない公知でないリガンドを有するオーファン受容体であるBB3Rを含む。両生類BBNは、高い親和性を有するNMBR及びGRPR亜型に結合する。NMB及びGRPは、両生類BBNの哺乳動物の対象物であり、構造において全て関連している。
【0008】
ヒト腫瘍の分子画像及び放射性核種治療のために開発された大多数の照射標識されたBBN様ペプチドは、天然のBBNに、又はまだGRPRを結合できるそのC末端のオクタペプチド断片に基づいている。前述の改良したこれらの類似体は、典型的に、アゴニスト特性を呈し、かつGRPRに結合した後に悪性細胞の細胞内領域で内在化する。この特性は、GRPR+病変で放射標識の高い蓄積に置き換えられ、それにより、診断感受性又は治療効力を高める。
【0009】
残念ながら、BBN様ペプチドは、強力なGRPRアゴニストであり、少量でさえ、ヒトに静脈内(iv)投与された場合に、胃腸運動性及び体温調節に関連する有害作用を生じる。さらに、BBN様ペプチドは分裂促進性がある。前記特性は、放射標識したボンベジンを基礎とするいくつかの有望なアゴニストの完全な臨床確認及び/又は最終的な工業用の開発を制限している。これは、標的とされる放射性核種治療の場合に特に関連があり、それにより、より多い量のペプチドが、患者にiv投与されることを必要とする。
【0010】
放射標識したBBNアゴニストと異なり、ソマスタチン受容体を発現する悪性細胞中へ等しく十分に内在化される、放射標識したソマスタチンアゴニストは、ヒトにiv投与した後に、所望でない生理学的作用を生じない。この事実は、放射性核種での腫瘍治療の領域においてでさえいくつかの有望な放射標識したソマスタチンの拡張した及び組織的な臨床確認を促進している。
【0011】
放射性トレーサー([99mTc]Demobesin 1、[99mTc-N4’]DPhe-Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His-Leu-NHEt)が公知であり、ヒト前立腺ガンOC-3異種移植を有するマウスにおいて使用され、その際、[99mTc]Demobesin 1は、同様のアフィンボンベジンを基礎とするアンタゴニスト、例えば[99mTc]Demobesin 3~6とは対照的に、極めて優れた薬物動態特性を示した。その著しく高い腫瘍蓄積に加えて、[99mTc]Demobesin 1は、マウスの体、及びGRPRに強く陽性である臓器の膵臓から非常に早く取り除かれる。
【0012】
限定数の前立腺ガン患者における最初の研究は、放射性トレーサーの優れた耐容性を確認したが、それらの研究は、診断画像ツールとしてさらに拡大させた臨床適用を妨げるヒトにおける最適以下の薬物動態プロフィールを明らかにした。より詳述すれば、[99mTc]Demobesin 1は、その急速な体及び膵臓からの取り出し、及びそのどちらかと言えば良好なin vivo安定性にもかかわらず、放射標識したBBN様アゴニストと比較して、ヒトにおける悪性領域での不十分な保持を呈した。さらに、[99mTc]Demobesin 1は、従来のガンマカメラ又はSPECTを使用する診断画像のために設計され、PET又は放射性核種治療適用のためには適していなかった。PET放射性核種94mTcでの標識付けは、非環式N4系により実施できるが、この放射性核種の医学的使用は、最適以下の核特性及び不便な製造の双方により制限される。反対に、治療の選択は、N4キレート剤が核医学において使用される大部分の二価及び三価の放射性金属に安定して結合することができないために、186/188Reに制限される。
【0013】
従って、本発明の目的は、選択的に、原発及び転移の双方のGRPR+ガンに対する診断用及び治療用の放射標識を高く取り込み、かつ保持することを達成することである。
【0014】
発明の要約
本発明は、ガストリン放出ペプチド受容体(GRPR)を発現するガンの、検出、画像化、診断、標的化、治療等における使用のためのプローブに関する。かかるプローブは、有利には、ガンマ画像及びSPECTによる、又は陽電子放射断層撮影(PET)もしくは磁気共鳴画像診断(MRI)もしくは蛍光分光法もしくは任意の画像化法による検出に適した成分である検出可能な標識に接合された分子であってよい。かかるプローブは、抗ガン薬に、又は治療用放射性核種を含有する部分に接合された分子であってもよく、かつ細胞毒性負荷物、例えば細胞毒性薬物又は治療用放射性核種を疾患の部位で提供できる。
【0015】
本発明のある実施態様は、一般式:
【化1】
[式中、
- 少なくとも1つの(放射性)金属(M)及び安定してMを結合するキレート剤(C);代わりにMCは、(放射性)ハロゲンを運搬するTyr基又は補欠分子族を示してよく;
Sは、P及びCのN末端に共有結合する任意のスペーサーであり、(放射性)ハロゲン化のための手段を提供するために選択されてよく、
Pは、一般式:
Xaa
1-Xaa
2-Xaa
3-Xaa
4-Xaa
5-Xaa
6-Xaa
7-Z
[式中、Xaa
1は、存在しないか、又はアミノ酸残基であるAsn、Thr、Phe、3-(2-チエニル)アラニン(Thi)、4-クロロフェニルアラニン(Cpa)、α-ナフチルアラニン(α-Nal)、β-ナフチルアラニン(β-Nal)、1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸(Tpi)、Tyr、3-ヨード-チロシン(o-I-Tyr)、Trp、ペンタフルオロフェニルアラニン(5-F-Phe)(全てL-異性体又はD-異性体)からなる群から選択され、
Xaa
2は、Gln、Asn、Hisであり、
Xaa
3は、Trp、1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸(Tpi)であり、
Xaa
4は、Ala、Ser、Valであり、
Xaa
5は、Val、Ser、Thrであり、
Xaa
6は、Gly、サルコシン(Sar)、D-Ala、β-Alaであり、
Xaa
7は、His、(3-メチル)ヒスチジン(3-Me)Hisであり、
Zは、-NHOH、-NHNH
2、-NH-アルキル、-N(アルキル)
2、又は-O-アルキル、又は
【化2】
[式中、Xは、NH(アミド)又はO(エステル)であり、かつR1及びR2は、同一又は異なり、プロトン、(置換された)アルキル、(置換された)アルキルエーテル、アリール、アリールエーテル又はアルキル置換、ハロゲン置換、ヒドロキシ置換もしくはヒドロキシアルキル置換した芳香族基から選択される]から選択される]のGRP受容体ペプチドアンタゴニストである]のGRPRアンタゴニストに関する。
【0016】
ある実施態様において、本発明のGRPRアンタゴニストは、前記したものであり、その際、Zが、有利には、以下の式の1つから選択され、Xは、NH又はOである:
【化3】
【0017】
さらに、ある実施態様において、GRPRアンタゴニストは、前記したものであり、かつR1がR2と同一である。
【0018】
前記したある実施態様のいずれかにおいて、本発明は、Pが
【表1】
からなる群から選択されるものに関する。
【0019】
前記したある実施態様のいずれかにおいて、本発明は、放射性核種の金属M又は放射性ハロゲンが、診断使用又は治療使用に、特に画像化又は放射性核種治療に適しており、かつ
【表2】
からなる群から選択されるものに関する。
【0020】
前記したある実施態様のいずれかにおいて、本発明は、金属キレート剤Cが、二価及び三価の金属のための金属キレート剤であるものに関する。
【0021】
前記したある実施態様のいずれかにおいて、本発明は、二価及び三価の金属のための金属キレート剤が、DTPA、NOTA、DOTA、もしくはTETAを基礎とするキレート剤、又はそれらの一官能性もしくは二官能性の誘導体であるものに関する。
【0022】
前記したある実施態様のいずれかにおいて、本発明は、金属キレート剤Cは、
【化4】
からなる群から選択されるものに関する。
【0023】
前記したある実施態様のいずれかにおいて、本発明は、金属キレート剤Cが、テクネチウム又はレニウムのための金属キレート剤であるものに関する。
【0024】
前記したある実施態様のいずれかにおいて、本発明は、Cが、P2S2供与体原子、N2S2供与体原子及びN3S供与体原子の集団並びにそれらの一官能性及び二官能性誘導体を含有する、非環式テトラアミンキレート剤、シクラムキレート剤、PnAOキレート剤、もしくは四座キレート剤、又はHYNIC/コ-リガンドを基礎とするキレート剤、又はトリカルボニル技術により有機金属錯体を形成する二座キレート剤及び三座キレート剤から選択されるものに関する。
【0025】
前記したある実施態様のいずれかにおいて、本発明は、Cは、
【化5】
又は
【化6】
からなる群から選択されるものに関する。
【0026】
前記したある実施態様のいずれかにおいて、本発明は、スペーサーSが、PとCとの共有結合により連結され、かつ(放射性)ヨウ素化の方法を提供するために選択されてよいものに関する。
【0027】
前記したある実施態様のいずれかにおいて、本発明は、Sが、
a) 式
【化7】
[式中、PABAはp-アミノ安息香酸であり、PABZAはp-アミノベンジルアミンであり、PDAはフェニレンジアミンであり、かつPAMBZAはp-(アミノメチル)ベンジルアミンである]のアリール含有残基;
b) ジカルボン酸、ω-アミノカルボン酸、α,ω-二アミノカルボン酸又は式
【化8】
[式中、DIGはジグリコール酸であり、かつIDAはイミノ二酢酸である]のジアミン;
c) 種々の鎖長のPEGスペーサー、特に式
【化9】
から選択されるPEGスペーサー;
c) α-アミノ酸及びβ-アミノ酸、種々の鎖長の単鎖又は相同鎖又は種々の鎖長の非相同鎖、特に
【化10】
又は
d) a、b及びcの組合せ
からなる群から選択されるものに関する。
【0028】
前記したある実施態様のいずれかにおいて、本発明は、式
【化11】
[式中、MC及びPは、前記のいずれかにおいて定義したものである]の化合物からなる群から選択されるGRPRアンタゴニストからなる。
【0029】
ある実施態様において、本発明は、薬剤として使用するための、前記実施態様のいずれかにおいて記載されたGRPRアンタゴニストに関する。
【0030】
ある実施態様において、本発明は、原発及び/又は転移のGRPR+ガンを検出、診断又は治療するための診断剤又は治療剤として使用するための、前記実施態様のいずれかにおいて記載されたGRPRアンタゴニストに関する。
【0031】
ある実施態様において、本発明は、前記実施態様のいずれかにおいて記載されたGRPRアンタゴニストに関し、その際、ガンは、前立腺ガン、乳ガン、肺小細胞ガン、結腸癌腫、消化管間質性腫瘍、ガストリン産生腫瘍、腎細胞癌腫、胃腸膵管系神経内分泌腫瘍、食道扁平上皮腫瘍、神経芽細胞腫、頭頸部扁平上皮癌腫、並びにGRPR+である新形成に関連する血管系を示す卵巣、子宮内膜及び膵臓における腫瘍から選択される。
【0032】
ある実施態様において、本発明は、前記実施態様のいずれかにおいて記載されたGRPRアンタゴニストに関し、その際ガンはヒトのガンである。
【0033】
ある実施態様において、本発明は、前記実施態様のいずれかにおいて記載されたGRPRアンタゴニストを含有する治療組成物、及び治療的に容認性の付形剤に関する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1A】PC-3腫瘍(hGRPR
+)を有するメスのSCIDマウスにおける、[
111In]NeoBOMB-1(
111In-DOTA-(p-アミノベンジルアミン-ジグリコール酸)-[D-Phe
6,His-NHCH[(CH
2CH(CH
3)
2]
2
12,des-Leu
13,des-Met
14]BBN(6-14))の生体内分布を示す図。
【
図1B】[
111In]NeoBOMB-1の注射の5分後の、ex-vivoでのマウスの血液のラジオクロマトグラムを示す図。
【
図1C】PC-3腫瘍(hGRPR
+)を有するメスのSCIDマウスにおける、[
177Lu]NeoBOMB-1(
177Lu-DOTA-(p-アミノベンジルアミン-ジグリコール酸)-[D-Phe
6,His-NHCH[(CH
2CH(CH
3)
2]
2
12,des-Leu
13,des-Met
14]BBN(6-14))の生体内分布を示す図。
【
図1D】[
177Lu]NeoBOMB-1の注射の5分後の、ex-vivoでのマウスの血液のラジオクロマトグラムを示す図。
【
図1E】PC-3腫瘍(hGRPR
+)を有するメスのSCIDマウスにおける、[
67Ga]NeoBOMB-1(
67Ga-DOTA-(p-アミノベンジルアミン-ジグリコール酸)-[D-Phe
6,His-NHCH[(CH
2CH(CH
3)
2]
2
12,des-Leu
13,des-Met
14]BBN(6-14))の生体内分布を示す図。
【
図1F】[
67Ga]NeoBOMB-1の注射の5分後の、ex-vivoでのマウスの血液のラジオクロマトグラムを示す図。
【
図2A】PC-3腫瘍(hGRPR
+)を有するメスのSCIDマウスにおける、[
99mTc]NeoBOMB-2(
99mTc-N
4-(p-アミノベンジルアミン-ジグリコール酸)-[D-Phe
6,His-NHCH[(CH
2-CH(CH
3)
2]
2
12,des-Leu
13,des-Met
14]BBN(6-14))の生体内分布を示す図。
【
図2B】[
99mTc]NeoBOMB-2の注射の5分後の、ex-vivoでのマウスの血液のラジオクロマトグラムを示す図。
【0035】
発明の詳細な説明
本発明を導く研究は、ソマトスタチン陽性腫瘍の有効なin vivo標的のための代替経路、すなわちソマスタチン受容体アンタゴニストの使用を思いがけず明らかにしている。最も驚くべきことに、及び内在化に対するそれらの不能性に対して、かかる類似体は、動物の異種移植片における非常に高い取り込み及び保持を示し、かつ背景組織からの非常に急速な洗い出しを示している。
【0036】
ソマスタチン受容体アンタゴニストのより高い腫瘍取り込みのための仮説は、それらの内在化するアゴニスト対応物よりもガン細胞の細胞膜上で入手できる著しく多い数の全体のソマスタチン受容体群に結合するそれらの能力である。
【0037】
本発明に従って、GRPRアンタゴニストは、それらが安定して結合する診断用及び/又は治療用の放射性核種を蓄積するために化学的に改質される。ヒト又は動物の患者における投与後に、それらは、原発GRPR+腫瘍及びその転移に対してX線診断シグナル及び/又は放射性毒負荷物を移すための分子媒体として提供される。
【0038】
より詳述すれば、本発明に従って、ある新規のGRPRアンタゴニストを基礎とする放射性リガンドの投与が、意外なことに、[99mTc]Demobesin 1と対照的に、マウスにおいてヒトGRPR+異種移植片の、前例のない高く特異的な取り込み及び著しく延びた保持をもたらした。さらに、それらの作用剤は、[99mTc]Demobesin 1と比較して、マウスにおける注射後に、著しく高い代謝安定性を示した。
【0039】
本発明のGRPRアンタゴニストは、本来の[99mTc]Demobesin 1モチーフに関して重要な構造の差異を有する。最初に、広範囲の二価及び三価の放射性金属での、しかしまた同様に99mTc及び186/188Reでのそれらの標識は、テトラアミンに関連するフレームワークに加えてそれらのN末端で適した二官能性キレートを結合することにより製造されることができる。この方法において、X線診断画像が、ガンマ放射体及び陽電子放射体を有するSPECT及びPETで可能である一方で、ベータ放射体、Auger放射体及びアルファ放射体での標識付けがよく適しており、治療適用のための機会を広げる。従って、特に腫瘍保持に関するそれらの代謝安定性及び薬物動態プロフィールが、詳細に示されたヒトPC-3異種移植片を有するメスのSCIDマウスにおける前臨床の生体内分布結果によって証明されるように、大いに改良されている。
【0040】
より詳述すれば、新たな類似体の構造は、次の部分を含む:
a) N末端に付着したキレート剤。このキレート剤は、非環式又は環状テトラアミン、HYNIC、N3Sキレート剤、及びそれらの誘導体、直鎖又は環状ポリアミン、及びポリアミノポリカルボキシレート、例えばDTPA、EDTA、DOTA、NOTA、NOTAGA、TETA及びそれらの誘導体等であってよい。さらに、放射性ハロゲンでの標識付けに適した群、例えば補欠分子族又はTyr基が、この位置で導入されてよい。
b) 放射性核種。この放射性核種は、i) 従来のガンマカメラ、SPECT又はハイブリッドSPECT/CT又はSPECT/MRIシステムでの画像化に適しているガンマ放射体、例えば99mTc、111In、67Ga、131I、125I等、ii) PET又はハイブリッドPET/CT又はPET/MRIでの画像化に適している、陽電子放射体、例えば68Ga、66Ga、64Cu、86Y、44Sc、124I、18F等、又はiii)放射性核種治療に適しているベータ放射体、Auger放射体又はアルファ放射体、例えば186Re、188Re、90Y、177Lu、111In、67Cu、212Bi、175Yb、47Sc、131I、125I等、であってよい。
c) 長さ、タイプ及び親油性において変動してよく、かつPEGx(x=0~20)、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、糖、アルキルアミノ残基又はそれらの組合せを含んでよい、キレート剤とペプチドモチーフとの間にあるスペーサー。
d) Dアミノ酸、非天然アミノ酸及び他の適した残基で始まる戦略的アミノ酸置換を有するペプチド鎖。
e) 天然BBN配列においてLeu13及びMet14-NH2の双方が省略されているC末端。末端のHis12は、アミド化型又はエステル型で存在し、それにより、アミド又はエステルが、いくつかのモノアルキルアミド、ジアルキルアミド、芳香族アミド、又は混合アルキル-アリールアミド、又はアルキルエステル及び/又はアリールエステルにより示されてよい。
【0041】
従って、本発明は、一般式:
【化12】
[式中、
MCは金属キレートであり、ここで、
- 少なくとも1つの(放射性)金属(M)及び安定してMを結合するキレート剤(C)を含み、
代わりにMCは、(放射性)ハロゲンを運搬するTyr基又は補欠分子族を示してよく;
Sは、P及びCのN末端に共有結合する任意のスペーサーであり、(放射性)ハロゲン化のための手段を提供するために選択されてよく、
Pは、一般式:
Xaa
1-Xaa
2-Xaa
3-Xaa
4-Xaa
5-Xaa
6-Xaa
7-Z
[式中、Xaa
1は、存在しないか、又はアミノ酸残基であるAsn、Thr、Phe、3-(2-チエニル)アラニン(Thi)、4-クロロフェニルアラニン(Cpa)、α-ナフチルアラニン(α-Nal)、β-ナフチルアラニン(β-Nal)、1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸(Tpi)、Tyr、3-ヨード-チロシン(o-I-Tyr)、Trp、ペンタフルオロフェニルアラニン(5-F-Phe)(全てL-異性体又はD-異性体)からなる群から選択され、
Xaa
2は、Gln、Asn、Hisであり、
Xaa
3は、Trp、1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸(Tpi)であり、
Xaa
4は、Ala、Ser、Valであり、
Xaa
5は、Val、Ser、Thrであり、
Xaa
6は、Gly、サルコシン(Sar)、D-Ala、β-Alaであり、
Xaa
7は、His、(3-メチル)ヒスチジン(3-Me)Hisであり、
Zは、-NHOH、-NHNH
2、-NH-アルキル、-N(アルキル)
2、又は-O-アルキル、又は
【化13】
[式中、Xは、NH(アミド)又はO(エステル)であり、かつR1及びR2は、同一又は異なり、プロトン、(置換された)アルキル、(置換された)アルキルエーテル、アリール、アリールエーテル又はアルキル置換、ハロゲン置換、ヒドロキシ置換もしくはヒドロキシアルキル置換した芳香族基から選択される]から選択される]のGRP受容体ペプチドアンタゴニストである]のGRPRアンタゴニストに関する。
【0042】
Zは、有利には、次の式
【化14】
[式中、XはNH又はOである]の1つから選択される。有利には、R1はR2と同一である。
【0043】
本発明のGRPRアンタゴニストにおいて、Pは、有利には、
【表3】
からなる群から選択される。
【0044】
金属M又は放射性ハロゲンである放射性核種は、診断使用又は治療使用のために、特に画像化又は放射性核種治療のために適しており、かつ、有利には、
【表4】
からなる群から選択される。
【0045】
金属キレート剤Cは、有利には、二価及び三価の金属のための金属キレート剤であり、特に、DTPA、NOTA、DOTA、もしくはTETAを基礎とするキレート剤、又はそれらの一官能性もしくは二官能性の誘導体である。
【0046】
有利には、金属キレート剤Cは、
【化15】
からなる群から選択される。
【0047】
金属キレート剤がテクネチウム又はレニウムのための金属キレート剤である場合に、金属キレート剤は、有利には、P2S2供与体原子、N2S2供与体原子及びN3S供与体原子の集団並びにそれらの一官能性及び二官能性誘導体を含有する、非環式テトラアミンキレート剤、シクラムキレート剤、PnAOキレート剤、もしくは四座キレート剤、又はHYNIC/コ-リガンドを基礎とするキレート剤、又はトリカルボニル技術により有機金属錯体を形成する二座及び三座キレート剤から選択される。
【0048】
Cの適した例は、
【化16】
又は
【化17】
である。
【0049】
スペーサーSは、共有結合によってPとCとを結合し、かつ放射性ハロゲン、例えば(放射性)ヨウ素化を使用する方法を提供するために選択されてよい。スペーサーは、有利には、
a) 式
【化18】
[式中、PABAはp-アミノ安息香酸であり、PABZAはp-アミノベンジルアミンであり、PDAはフェニレンジアミンであり、かつPAMBZAはp-(アミノメチル)ベンジルアミンである]のアリール含有残基;
b) ジカルボン酸、ω-アミノカルボン酸、α,ω-二アミノカルボン酸又は式
【化19】
[式中、DIGはジグリコール酸であり、かつIDAはイミノ二酢酸である]のジアミン;
c) 種々の鎖長のPEGスペーサー、特に式
【化20】
から選択されるPEGスペーサー;
d) α-アミノ酸及びβ-アミノ酸、種々の鎖長の単鎖又は相同鎖又は種々の鎖長の非相同鎖、特に
【化21】
又は
e) a、b及びcの組合せ
からなる群から選択される。
【0050】
本発明のGRPRアンタゴニストは、有利には、式
【化22】
[式中、MC及びPは前記で定義されたものである]の化合物からなる群から選択される。
【0051】
本明細書において開示されている特定の化学構造は、本発明の種々の実施態様を説明する例であり、かつ一般式:MC-S-PのGRPRアンタゴニストが、提供される例の構造に制限されないことが理解される。
【0052】
本発明は、さらに、請求したGRPRアンタゴニストと、治療的に容認性の付形剤とを含む治療組成物に関する。
【0053】
本発明は、薬剤として使用するための、請求したGRPRアンタゴニストにも関する。薬剤は、有利には、原発及び/又は転移GRPR+ガン、例えば前立腺ガン、乳ガン、肺小細胞ガン、結腸癌腫、消化管間質性腫瘍、ガストリン産生腫瘍、腎細胞癌腫、胃腸膵管系神経内分泌腫瘍、食道扁平上皮腫瘍、神経芽細胞腫、頭頸部扁平上皮癌腫、並びに卵巣、子宮内膜及び膵臓の血管系における腫瘍、を診断又は治療するための診断剤又は治療剤である。
【0054】
本発明を続く実施例においてさらに詳述するが、それは、あらゆる方法で本発明を限定することを意図しない。
【0055】
実施例
本発明の化合物を、以下に記載したように製造し、試験した。以下に開示した実施態様は、種々の形で含まれてよい本発明の主な代表である。従って、以下の実施例において開示された特定の構造、官能基、及び方法の詳細は、限定されると理解すべきでない。
【0056】
材料及び方法
放射標識及びQC
111Inでの標識付け
50mMのHCl中で塩化インジウム(In-111)を、10~20mCi/mLの活性濃度で、Mallinckrodt Medical B.V., Petten(オランダ)から購入した。一般に、本発明のDOTAペプチド共役体を、DOTAペプチド共役体1nmolあたり0.1~0.2mCiのIn-111の特定の活性度で、インジウム-111で放射標識した。簡単に、水に溶解した3~15nmolのDOTAペプチド共役体を、2.5~12.5μLの1.0M及びpH4.6の酢酸ナトリウム緩衝液、1~5μLの水中で0.1Mのアスコルビン酸ナトリウム、及び30~150μLの111InCl3(0.3~3.0mCi)と混合した。放射標識反応混合物を、20~30分間沸騰水浴中でインキュベートした。品質管理のために、2μLアリコートの放射標識溶液を、28μLのNa2-EDTA酢酸緩衝溶液(5mM、pH4.6)で急冷した。成功した放射標識(95%より多くのペプチド結合放射活性)後に、Na2-EDTA(0.1M、pH4.6)を、1mMの最終濃度まで放射標識溶液に添加した。
【0057】
67Gaでの標識付け
塩化ガリウム(Ga-67)を、希釈HCl中で、498~743mCi/mLの活性濃度でNordion, Wesbrook Mall, Vancouver(カナダ)から、又は80mCi/mLの活性濃度でMallinckrodt Medical B.V., Petten(オランダ)から得た。
【0058】
一般に、本発明のDOTAペプチド共役体を、DOTAペプチド共役体1nmolあたり0.1~0.2mCiのGa-67の特定の活性度で、ガリウム-67で放射標識した。簡単に、水に溶解した3~15nmolのDOTAペプチド共役体を、50~125μLの1.0M及びpH4.0の酢酸ナトリウム緩衝液、及び5~15μLの67GaCl3(0.5~3.0mCi)と混合した。放射標識反応混合物を、30分間沸騰水浴中でインキュベートした。HPCL品質管理のために、2μLアリコートの放射標識溶液を、28μLのNa2-EDTA酢酸緩衝溶液(5mM、pH4.0)で急冷した。成功した放射標識(95%より多くのペプチド結合放射活性)後に、Na2-EDTA(0.1M、pH4.0)を、1mMの最終濃度まで標識溶液に添加した。
【0059】
177Luでの標識付け
50mMのHCl中で塩化ルテチウム(Lu-177)を、100mCi/mLの活性濃度で、IDB Radiopharmacy(オランダ)から購入した。
【0060】
一般に、本発明のDOTAペプチド共役体を、DOTAペプチド共役体1nmolあたり0.5mCiのLu-177の特定の活性度に、ルテチウム-177で放射標識した。簡単に、水に溶解した3~15nmolのDOTAペプチド共役体を、4~16μLの1.0M及びpH4.6の酢酸ナトリウム緩衝液、及び15~75μLの67GaCl3(1.5~7.5mCi)と混合した。放射性分解を、0.2Mのアスコルビン酸ナトリウムで溶解した5μlのゲンチジン酸(80mM)を添加することにより最少化した。標識反応混合物を、30分間沸騰水浴中でインキュベートした。HPCL品質管理のために、2μLアリコートの放射標識溶液を、28μLのNa2-EDTA酢酸緩衝溶液(5mM、pH4.6)で急冷した。成功した放射標識(95%より多くのペプチド結合放射活性)後に、Na2-EDTA(0.1M、pH4.6)を、1mMの最終濃度まで標識溶液に添加した。
【0061】
99mTcでの標識付け
テトラアミン結合ペプチドを、50mMの酢酸/EtOH(8/2(v/v))で、最終的に1mMのペプチド濃度になるまで溶解した。それぞれのバルク溶液を、50μLアリコートでエッペンドルフ管に分配し、-20℃で貯蔵した。標識付けを、エッペンドルフバイアルで実施し、その際、次の溶液を連続して添加した:i)0.5Mのリン酸緩衝液(pH11.5)(50μL)、ii)0.1Mのクエン酸ナトリウム(5μL)、iii)[99mTc]NaTcO4ジェネレータ溶出液(415mL、10~20mCi)、iv)ペプチド共役体保存溶液(15μL、15nmol)、及びv)新しく製造したEtOHでのSnCl2溶液(30μg、15μL)。室温での反応の30分後に、1MのHCl(10μL)を添加することによりpHを~7にした。
【0062】
品質管理
HPLC分析を、600溶媒デリバリーシステムで効率的なWaters Chromatograph(Waters、Vienna、オーストリア)で実施し、(RSM Analytische Instrumente GmbH、ドイツ)クロマトグラフを、UV検出器(Waters996型又は2998型)及びGabiガンマ検出器を含む2軸検出装置に連結した。データ処理及びクロマトグラフィーを、Millennium又はEmpower 2 Software(Waters、USA)により制御した。それぞれ2cmのガードカラムに連結したXBridge Shield RP18カラム(5μm、4.6×150mm、Waters、アイルランド)を、1ml/分の流量で、10% Bから出発し、そして60分以内に70% Bに進む直線勾配で、溶剤A=0.1%水性トリフルオロ酢酸及び溶剤B=アセトニトリルで溶出した。
【0063】
マウスにおける代謝試験
放射性リガンドの注射及び採血
通常生理食塩溶液(100~150μL、ほぼ3nmol、200~500μCi)中で放射性リガンドを含むボーラスを、スイスアルビノマウスの尾静脈に注射した。動物を5分間ケージ内で給水しながら保持し、そして、穏やかなエーテル麻酔下で心臓穿刺により即座に安楽死させた。血液(500~900μL)を、心臓からシリンジで採取し、そして氷上で予め冷やしたエッペンドルフ管に移した。
【0064】
血漿分離及び試料製造
血液を遠心分離して、血球を取り出した(10分、2000g/4℃)。血漿を採取し、アセトニトリル(MeCN)と1/1(v/v)の割合で混合し、そして再度遠心分離した(10分、15000g/4℃)。その上澄みを小体積まで濃縮し(40℃での穏やかなN2流)、生理食塩水で希釈し(ほぼ400μL)、そしてMillex GVフィルタ(0.22μm)を通して濾過した。
【0065】
放射性代謝物の検出のためのHPLC分析
血漿試料のアリコート(前記のように製造した)を、Symmetry Shield RPMカラムに装填し、1.0mL/分の流量で、次の勾配で溶出した:10分間100%のA~90%のA、そして次に60分間90%のAから60%(A=0.1%の水性TFA(v/v)及びB=MeCN)。放射性成分の溶出をガンマ検出器によりモニタリングした。99mTc-放射性ペプチドについて、ITLC-SG分析を、少量のTcO4
-放出を検出するための溶出液としてアセトンを使用して平行して実施した(TcO4
-Rf=1.0)。
【0066】
GRPR+腫瘍を有するマウスにおける試験
腫瘍の誘発
通常生理食塩溶液中で新たに採取した1.5×107のヒトPC-3細胞の懸濁液を含むほぼ150μLのボーラスを、メスのSCIDマウスの横腹に皮下注射した。その動物を、無菌条件下に置き、そして2~3週間後に、接種部位で十分に明瞭な腫瘍を発達させた(80~150mg)。
【0067】
生体内分布及び結果の計算
実験の日に、選択した放射性ペプチドを、100μLのボーラス(1~2μCi、10pmolの合計ペプチド;9/1(v/v)の生理食塩水/EtOH中で)として腫瘍を有するマウスの尾静脈に注射した。その動物を、4つの群で、穏やかなエーテル麻酔下で、予め決めた時間でpi(後注射)で心臓穿刺により屠殺した。さらに3~4群の動物を、過剰な[Tyr4]BBN(ほぼ40nmol)で、試験用放射性ペプチドと一緒に混注し、そして4時間でpiで屠殺した(動物を窒息させた)。血液及び目的の組織の試料を、直ちに採取し、秤量し、そしてγ-計数器で放射活性について測定した。胃及び腸は、それらの内容物を空にせず、採取したままで測定した。生体内分布データを、組織1グラムあたりの注射した投与量の百分率(%ID/g)として、注射した投与量の適した標準を用いてMicrosoft Excelプログラムを使用して算出した。
【0068】
結果
種々の例証試験の結果を、以下に、対応する図に関連して記載する。以下の結果において開示された特定の構造、官能基、及び方法の詳細は、限定されると理解すべきでない。
【0069】
図1A:PC-3腫瘍(hGRPR
+)を有するメスのSCIDマウスにおける、[
111In]NeoBOMB-1(
111In-DOTA-(p-アミノベンジルアミン-ジグリコール酸)-[D-Phe
6,His-NHCH[(CH
2CH(CH
3)
2]
2
12,des-Leu
13,des-Met
14]BBN(6-14))の4時間及び24時間のpiでの生体内分布。バーは、平均を示し、少なくとも4個体の動物の1グラムあたりの%での注射した投与量(%ID/g)として標準偏差で取る;動物の追加の群は、4時間でpiで窒息させたin vivoでの受容体について過剰[Tyr
4]BN(100μg)を受ける。Bl=血液、Li=肝臓、He=心臓、Ki=腎臓、St=胃、In=腸、Sp=脾臓、Mu=筋、Lu=肺、Pa=膵臓、Fe=大腿部、及びTu=PC-3腫瘍。高い取り込み及び保持を、実験腫瘍において、4時間で28.6±6.0%ID/g及び24時間で25.9±6.6%ID/gで観察する。この取り込みの高いパーセンテージを、過剰量の天然のボンベジン類似体の混注により著しく低減させることができた。
【化23】
【0070】
図1B:[
111In]NeoBOMB-1の注入の5分後の、ex-vivoでのマウスの血液のラジオクロマトグラム。完全に残っている親ペプチドのパーセンテージは>91%である。
【0071】
図1C:PC-3腫瘍(hGRPR
+)を有するメスのSCIDマウスにおける、[
177Lu]NeoBOMB-1(
177Lu-DOTA-(p-アミノベンジルアミン-ジグリコール酸)-[D-Phe
6,His-NHCH[(CH
2CH(CH
3)
2]
2
12,des-Leu
13,des-Met
14]BBN(6-14))の4時間、24時間及び72時間のpiでの生体内分布。バーは、平均を示し、少なくとも4個体の動物の1グラムあたりの%での注射した投与量(%ID/g)として標準偏差で取る;動物の追加の群は、4時間でpiで窒息させたin vivoでの受容体について過剰[Tyr
4]BN(100μg)を受ける。Bl=血液、Li=肝臓、He=心臓、Ki=腎臓、St=胃、In=腸、Sp=脾臓、Mu=筋、Lu=肺、Pa=膵臓、Fe=大腿部、及びTu=PC-3腫瘍。膵臓の取り込みは、ますます高い腫瘍対膵臓の割合をもたらす腫瘍の取り込みよりも急速に、特に72時間のpiで、減少する。
【化24】
【0072】
図1D:[
177Lu]NeoBOMB-1の注入の5分後の、ex-vivoでのマウスの血液のラジオクロマトグラムが、>92%の親ペプチドが完全に残っていることを示す。
【0073】
図1E:PC-3腫瘍(hGRPR
+)を有するメスのSCIDマウスにおける、[
67Ga]NeoBOMB-1(
67Ga-DOTA-(p-アミノベンジルアミン-ジグリコール酸)-[D-Phe
6,His-NHCH[(CH
2CH(CH
3)
2]
2
12,des-Leu
13,des-Met
14]BBN(6-14))の4時間及び24時間のpiでの生体内分布。バーは、平均を示し、少なくとも4個体の動物の1グラムあたりの%での注射した投与量(%ID/g)として標準偏差で取る;動物の追加の群は、4時間でpiで窒息させたin vivoでの受容体について過剰[Tyr
4]BN(100μg)を受ける。Bl=血液、Li=肝臓、He=心臓、Ki=腎臓、St=胃、In=腸、Sp=脾臓、Mu=筋、Lu=肺、Pa=膵臓、Fe=大腿部、及びTu=PC-3腫瘍。高い腫瘍値(>30%ID/g)が、1時間及び4時間のpiで放射性トレーサーにより得られる。
【化25】
【0074】
図1F:[
67Ga]NeoBOMB-1の注入の5分後の、ex-vivoでのマウスの血液のラジオクロマトグラムが、>97%の親ペプチドが完全に残っていることを示す。
【0075】
図2A:PC-3腫瘍(hGRPR
+)を有するメスのSCIDマウスにおける、[
99mTc]NeoBOMB-2(
99mTc-N
4-(p-アミノベンジルアミン-ジグリコール酸)-[D-Phe
6,His-NHCH[(CH
2-CH(CH
3)
2]
2
12,des-Leu
13,des-Met
14]BBN(6-14))の1時間、4時間及び24時間のpiでの生体内分布。バーは、平均を示し、少なくとも4個体の動物の1グラムあたりの%での注射した投与量(%ID/g)として標準偏差で取る;動物の追加の群は、4時間でpiで窒息させたin vivoでの受容体について過剰[Tyr
4]BN(100μg)を受ける。Bl=血液、Li=肝臓、He=心臓、Ki=腎臓、St=胃、In=腸、Sp=脾臓、Mu=筋、Lu=肺、Pa=膵臓、及びTu=PC-3腫瘍。高い腫瘍値(~30%ID/g)が、1時間及び4時間のpiで放射性トレーサーにより得られ、24時間のpiで非常に高いままである(>25%ID/g)。
【化26】
【0076】
図2B:[
99mTc]NeoBOMB-2の注入の5分後の、ex-vivoでのマウスの血液のラジオクロマトグラムが、>88%の親ペプチドが完全に残っていることを示す。
【配列表】