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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】処理システム
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20240806BHJP
【FI】
B25J19/00 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2023197765
(22)【出願日】2023-11-21
【審査請求日】2023-12-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)令和5年3月22日に、経済産業省&日本機械工業連合会 2022年度成果報告会にて公開 (2)令和5年6月6日に、FOOMA JAPAN 2023にて公開 (3)令和5年3月23日に、日刊工業新聞にて公開 (4)令和5年3月23日に、日本食糧新聞にて公開 (5)令和5年3月24日に、Impress Watchにて公開 (6)令和5年3月28日に、日刊工業新聞にて公開 (7)令和5年3月28日に、MONOistにて公開 (8)令和5年3月30日に、食品新聞にて公開 (9)令和5年3月28日に、https://www.youtube.com/watch?v=GZjYx9GFS4cにて公開 (10)令和5年3月29日に、https://www.youtube.com/watch?v=9y9iCfa5WC0にて公開 (11)令和5年6月8日に、https://www.youtube.com/watch?v=xdnywSp4FKgにて公開 (12)令和5年6月26日に、https://www.youtube.com/watch?v=oWb5pRHxWz0にて公開 (13)令和5年6月26日に、https://www.sbbit.jp/article/st/116633にて公開 (14)令和5年7月5日に、https://www.youtube.com/watch?v=v2gASx30Fw0にて公開 (15)令和5年9月20日に、惣菜・デリカJAPAN(SDJ)2023にて公開 (16)令和5年9月25日に、https://www.youtube.com/watch?v=Fy0IMKm72v8にて公開 (17)令和5年9月25日に、https://www.youtube.com/watch?v=SARPG1vHipIにて公開 (18)令和5年9月25日に、https://www.youtube.com/watch?v=Y38tp9Z1tJMにて公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518106124
【氏名又は名称】コネクテッドロボティクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127384
【弁理士】
【氏名又は名称】坊野 康博
(74)【代理人】
【識別番号】100152054
【弁理士】
【氏名又は名称】仲野 孝雅
(72)【発明者】
【氏名】加藤 靖也
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-203343(JP,A)
【文献】特開2021-154395(JP,A)
【文献】特開2019-076972(JP,A)
【文献】特開2021-126770(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理装置と、基台と、を備えた処理システムであって、
前記処理装置は、搬送装置の搬送面に隣接する位置で前記基台に配置され、
前記基台は、
前記処理装置が配置されると共に、地面と接することで前記処理装置を支持する本体部と、
前記本体部から離間した位置に向かって延在して、前記搬送面の鉛直下方に存在する空間において地面と接することで前記本体部を支持する脚部と、
前記本体部から離間した位置であって、前記本体部の前記搬送面に隣接する側とは反対側の位置において地面と接することで前記本体部を支持する支持部と、
を備え、
前記処理装置は、前記処理装置の少なくとも一部分が前記搬送面の搬送方向に交わる方向へ往復運動する処理を行う、
とを特徴とする処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な分野において、ロボットの導入が進められている。従来からロボットが用いられている工業製品の製造分野はもちろんのことながら、例えば、食品の盛り付けを行う分野等でもロボットの導入が進められている。
このような盛り付けを行うロボットに関する技術の一例が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許7109054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているように、ロボット等の処理装置で処理(例えば、盛り付け)を行う場合、処理対象物(例えば、容器)をベルトコンベア等の搬送装置で搬送することが広く行われている。この場合、処理装置は、搬送装置の搬送面に隣接した位置に配置されることが一般的である。
しかしながら、このような配置とした場合、処理装置の処理動作に伴う振動や、作業者の接触などが原因となり処理装置を支持する基台が揺れてしまうおそれがあった。それに伴い基台又は処理装置と搬送装置とが接触し、処理装置による処理が失敗する、処理対象物が搬送面上で意図しない姿勢となる、処理対象物に解放したもの(例えば、食品)が搬送面上に落下する、あるいは、処理装置や搬送装置が転倒するといった種々の問題が生じてしまう。
特に特許文献1に開示の技術のように、処理の過程において処理装置の一部(例えば、把持対象の物品の収容容器)を、搬送面の幅方向に移動させる構成の場合、この幅方向への動きが基台に作用することで、このような問題はより顕著になる。
【0005】
また、このような問題は、処理装置の行う処理が食品の盛り付けである場合に限られるものではない。例えば、工業製品の製造に代表されるような、処理装置によって行われる様々な処理全般に共通するものである。
以上のように、従来の技術では、処理装置を搬送装置の搬送面に隣接した位置に配置する場合に、処理装置を支持することについて未だ改善の余地があった。
【0006】
本発明の課題は、処理装置を搬送装置の搬送面に隣接した位置に配置する場合に、処理装置をより適切に支持することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態に係る処理システムは、
処理装置と、基台と、を備えた処理システムであって、
前記処理装置は、搬送装置の搬送面に隣接する位置で前記基台に配置され、
前記基台は、
前記処理装置が配置された場合に、前記処理装置を支持する本体部と、
前記処理装置が配置された場合に、前記本体部から前記搬送面側に向かって延在する脚部と、を備える、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、処理装置を搬送装置の搬送面に隣接した位置に配置する場合に、処理装置をより適切に支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る処理システム1の構成を模式的に示す模式図である。
図2】制御装置10のハードウェア構成を示す模式図である。
図3】制御装置10の機能的構成を示すブロック図である。
図4】ハンド31の先端に設置される把持部材31aの形状例を示す模式図である。
図5】把持動作等の動作を実行する場合の、収容容器20の収容空間、ハンド31、把持部材31a、ロボットアーム32、及び具材の位置関係について示す図である。
図6】一対の把持部材31aの開閉について示す図である。
図7】検出部40の近傍を拡大して示す斜視図である。
図8】移送位置P1及び解放位置P2の近傍を示す模式図である。
図9】移送位置P1及び解放位置P2の近傍を鉛直上方から俯瞰した図である。
図10】ベルトコンベア2に隣接する方向から基台60の構成をみた斜視図である。
図11】ベルトコンベア2の下流方向から基台60の構成をみた平面図である。
図12】ベルトコンベア2に隣接する方向に反対側の方向から基台60の構成をみた斜視図である。
図13】処理システム1が実行する具材盛り付け処理の流れを示すフローチャートである。
図14】処理システム1の各構成要素を遮蔽する遮蔽構造70を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[実施形態]
[全体構成]
図1は、本発明に係る処理システム1の構成を模式的に示す模式図である。
ここで、処理システム1は、食材を盛り付けるシステムに本発明を適用することを想定したものである。そのため、以下の説明においては、処理システム1が、惣菜等の具材を把持し、この把持した具材を、惣菜の容器に盛り付ける場合を例に挙げて説明する。
【0011】
ただし、これは説明のための一例に過ぎず、本発明の適用範囲を限定する趣旨ではない。本発明は、ロボットに代表される処理装置によって、様々な処理を行うシステム全般に対して適用可能である。例えば、処理装置によって、加熱や冷却により調理を行うシステムや、切断や粉砕等により加工をするシステムといった、様々な処理を行うシステムに対して適用することが可能である。また、この場合に、処理の対象も食品や容器には限定されず、例えば、電子機器等の工業製品を対象として、切削加工等の機械加工を行うシステムに適用することも可能である。
すなわち、本発明は、処理装置による処理を実行するシステム全般に適用することが可能な発明である。
【0012】
図1に示すように、処理システム1は、制御装置10と、収容容器20と、多関節ロボット30と、検出部40と、移送機構50と、基台60と、を備えている。この内、制御装置10、多関節ロボット30、検出部40、及び移送機構50は、有線又は無線によって通信接続されており、相互に通信可能となっている。また、制御装置10、多関節ロボット30、検出部40、及び移送機構50は、基台60の天面に配置されると共に、基台60によって支持される。
【0013】
また、処理システム1に隣接して、総菜の容器を上流から下流に向かって自動的に運搬するベルトコンベア2が設置されている。ベルトコンベア2は、容器を運搬するための搬送面を有しており、容器はこの搬送面に載置された状態で搬送される。図1では、破線の矢印で図示するように、紙面の左側がベルトコンベア2における搬送の上流であり、紙面の右側がベルトコンベア2における搬送の下流となる。
なお、処理システム1のさらなる上流にて容器をベルトコンベア2の搬送面に供給する作業は、人手によって行われてもよいし、容器の供給装置によって行われてもよい。
【0014】
また、図1では、収容容器20、多関節ロボット30、検出部40、及び移送機構50、からなる組を一組のみ示しているが、これに限られない。本実施形態では、一台のベルトコンベア2の搬送方向に沿って、これらの組が複数組設置されており、複数の多関節ロボット30が協働して作業することを想定する。
【0015】
制御装置10は、PC(Personal Computer)又はプログラマブルコントローラ等の情報処理装置によって構成され、各種プログラムを実行することにより、処理システム1全体を制御する。例えば、制御装置10は、多関節ロボット30が収容容器20から具材を把持して、惣菜の容器に解放することで具材を盛り付ける動作等を制御する。より詳細には、制御装置10は、多関節ロボット30の駆動を制御することで、多関節ロボット30のハンド31を予め設定された所定位置に所定ルート及び所定速度で移動させる動作や、ハンド31のアクチェータの駆動を制御することで、ハンド31による具材の把持や解放をする動作を実現する。他にも、例えば、制御装置10は、検出部40の検出結果に基づいて、移送機構50の動作を制御する。
【0016】
収容容器20は、処理システム1において盛り付けられる惣菜等の具材を収容する収容空間を備えている。収容容器20は、例えば、大型のバットやトレイ等の汎用の収容容器により実現される。そして、収容容器20の収容空間には、例えば、例えば、ポテトサラダ等の練りサラダ(粘性や粘着性を有する具材を含むサラダ)、卯の花(おから)、切り干し大根、なます、ひじき、煮豆、バターコーン等の惣菜が収容される。本実施形態において、この収容空間には、1種類の具材が複数食分(例えば、数十食分~数百食分)収容されているものとする。そして、複数の処理システム1が何れかの惣菜等の具材を、対応する惣菜の容器に盛り付けることで、惣菜の盛り付け作業を完了させることができる。収容容器20は、作業者が手作業によって、又は、多関節ロボット30が自動的に交換することが可能である。
【0017】
多関節ロボット30は、例えば、水平多関節ロボットあるいは垂直多関節ロボット等によって構成され、盛り付けられる具材を把持可能なハンド31と、可動範囲において任意の位置にハンド31を移動させるロボットアーム32と、を備えている。
また、多関節ロボット30のハンド31を保持する関節には、ハンド31が把持した具材の物理量を取得する手段の一例として、把持した具材の重量を計測する重量センサ30Aが設置されている。また、多関節ロボット30のハンド31を保持する関節には、ハンド31が具材に接触したことを検出する手段の一例として、接触した具材からの反力(表面に接触されることで得られる力覚を含む)を計測する力センサ30Bが設置されている。重量センサ30Aによって計測された具材の重量(すなわち、把持された具材の重量)のデータや、力センサ30Bによって計測された具材からの反力(すなわち、具材への接触の検出結果)のデータは、制御装置10に出力される。
【0018】
さらに、ハンド31を保持する関節は、ロボットアーム32に対してハンド31を捻り方向に回転させる軸を備えている。そのため、ハンド31が具材を把持する際に、ハンド31の向きを変化させることで、ハンド31が開閉する方向を調整することができる。これにより、ハンド31が容器の内壁面近傍に達した際に、収容容器20の収容空間の内壁面と平行な方向にハンド31が開閉するようにハンド31の向きを変更することが可能となり、容器内壁面近傍の具材を把持し易くなる。
【0019】
検出部40は、ベルトコンベア2にて搬送中の容器に関する検出を行う複数の光センサを備える。例えば、検出部40は、ベルトコンベア2にて運搬中の容器の位置を検出するセンサと、容器に盛り付けられている具材を検出するセンサを備える。これらのセンサによって検出された容器の位置のデータや、具材が盛り付けられているか否かのデータは、制御装置10に出力される。
制御装置10は、検出部40に含まれるこれらのセンサの検出結果に基づいて、移送機構50の動作を制御する。検出部40に含まれるこれらのセンサの位置関係や、検出結果に基づいた制御装置10による移送機構50の動作制御の詳細については、後述する。
【0020】
移送機構50は、対象物(ここでは、容器)を移送する機構である。移送機構50は、ベルトコンベア2により移送位置P1まで搬送された容器を、具材が解放される位置である解放位置P2に移送する。その後、解放位置P2で具材の容器への盛り付けが完了すると、移送機構50は、容器を解放位置P2から再度移送位置P1に移送する。
その後、この具材が盛り付けられた容器はベルトコンベア2により更に下流に搬送され、後処理(例えば、容器への蓋閉め)が行われることとなる。
このように、移送機構50が移送を行うことにより、ベルトコンベア2の搬送面にある移送位置P1等ではなく、多関節ロボット30の近傍に設けられた解放位置P2にて具材を解放して盛り付けを行うことができる。これにより、解放した具材がベルトコンベア2の搬送面に落下してしまうことを防止できる。
【0021】
基台60は、収容容器20、多関節ロボット30、検出部40、及び移送機構50を支持する台座として機能する。これら、処理システム1の構成要素は、合計して数百[kg]の重量を有しているが、基台60はこれらが天面に配置されても、これを支持できる剛性を有する構造となっている。
以上が、処理システム1の全体構成である。
【0022】
[制御装置10のハードウェア構成]
図2は、制御装置10のハードウェア構成を示す模式図である。
図2に示すように、制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)711と、ROM(Read Only Memory)712と、RAM(Random Access Memory)713と、バス714と、入力部715と、出力部716と、記憶部717と、通信部718と、ドライブ719と、を備えている。
【0023】
CPU711は、ROM712に記録されているプログラム、又は、記憶部717からRAM713にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM713には、CPU711が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0024】
CPU711、ROM712及びRAM713は、バス714を介して相互に接続されている。バス714には、入力部715、出力部716、記憶部717、通信部718及びドライブ719が接続されている。
【0025】
入力部715は、マウスやキーボード等の入力装置を備え、制御装置10に対する各種情報の入力を受け付ける。なお、入力部715としてマイクを備え、作業者の音声入力によって各種情報の入力を受け付けることとしてもよい。
出力部716は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、画像や音声を出力する。
記憶部717は、ハードディスクあるいはDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各サーバで管理される各種データを記憶する。
通信部718は、ネットワークを介して他の装置との間で行う通信を制御する。
【0026】
ドライブ719には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、あるいは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア731が適宜装着される。ドライブ719によってリムーバブルメディア731から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部717にインストールされる。
なお、上記ハードウェア構成は、制御装置10の基本的構成であり、一部のハードウェアを備えない構成としたり、付加的なハードウェアを備えたり、ハードウェアの実装形態を変更したりすることができる。
【0027】
[機能的構成]
次に、制御装置10の機能的構成について説明する。
図3は、制御装置10の機能的構成を示すブロック図である。
図3に示すように、処理システム1の動作を制御するためのプログラムを実行することにより、制御装置10のCPU711においては、センサ情報取得部151と、具材状態判定部152と、具材量判定部153と、多関節ロボット制御部154と、移送機構制御部155と、記録制御部156と、が機能する。また、記憶部717には、パラメータ記憶部171と、履歴データベース(履歴DB)172と、が形成される。
【0028】
パラメータ記憶部171には、処理システム1が動作する際に用いられる各種パラメータが記憶されている。例えば、パラメータ記憶部171には、収容容器20の収容空間の位置、惣菜の容器内における具材を盛り付ける領域の位置、具材を把持する際のハンド31の具材への差し込み量と把持される具材の重量との関係(関数あるいはテーブル形式のデータ等)、多関節ロボット30の動作パターンを定義するパラメータ等が記憶される。本実施形態において、ハンド31の具材への差し込み量は、具材の重量(物理量)を推定する指標となっている。すなわち、ハンド31の具材への差し込み量と把持される具材の重量との関係から、把持された具材の実際の重量(目標とする把持重量)は、ハンド31の具材への差し込み量に基づいて推定される。
【0029】
履歴DB172には、処理システム1が動作した際に取得される制御に関するパラメータ、あるいは処理システム1で盛り付けられた具材の重量の計測データが履歴として記憶される。また、履歴DB172には、収容容器20の収容空間における具材の状態を示す具材状態マップも記憶される。この具材状態マップの詳細については、具材状態マップを作成及び更新する記録制御部156の説明と共に後述する。
【0030】
センサ情報取得部151は、処理システム1や検出部40に設置された各種センサによって検出された情報であるセンサ情報を取得する。例えば、センサ情報取得部151は、多関節ロボット30の関節に設置された重量センサ30Aによって計測された具材の重量のデータや、力センサ30Bによって計測された具材からの反力のデータや、検出部40に含まれるセンサによって検出された容器の位置のデータや、具材が盛り付けられているか否かのデータをセンサ情報として取得する。これらセンサ情報は、制御装置10の各機能ブロックにより適宜利用される。
【0031】
具材状態判定部152は、力センサ30Bによって計測された具材からの反力のデータに基づいて、具材の状態を認識する。例えば、具材状態判定部152は、力センサ30Bによって計測された具材からの反力のデータから、収容容器20の収容空間内の具材の深さ(収容容器20の収容空間内の具材表面から収容容器20の収容空間底面までの深さ)、表面の平坦度合(表面がどの程度荒れているか)を認識する。本実施形態では、カメラを用いた画像解析で具材の状態を判定するといった手法ではなく、力センサ30Bを用いた反力に基づいて具材の状態を測定するといった手法を用いる。そのため、例えば、カメラの導入コストや管理コストを削減できると共に、カメラの死角等を考慮する必要がないので、多関節ロボット30と収容容器20の収容空間の位置等の配置をより柔軟に選択することができる。また、カメラを用いないことから、具材から生じる湯気や照明による撮影への影響を考慮する必要もない。
【0032】
また、具材状態判定部152は、具材の深さ及び表面の平坦度合を認識すると、これらが具材を把持するための条件に適合しているか否か(例えば、具材の深さ及び平坦度合が設定された閾値以上であるか否か)を判定する。なお、具材の表面の平坦度合は、例えば、表面が有する凹凸の大きさの絶対値等に基づいて定義することができ、具材の表面が平坦であるほど大きい値となるように定義することができる。また、具材の表面の部分毎に平坦度合を判定することとしてもよい。また、具材状態判定部152は、収容容器20の収容空間内の具材の状態が、一度の把持動作で規定量の具材を把持可能であるか否かを判定する。
【0033】
具材量判定部153は、多関節ロボット30の重量センサ30Aによって計測された具材の重量のデータに基づいて、規定量の具材が把持されたか否かを判定する。
【0034】
多関節ロボット制御部154は、多関節ロボット30の動作を制御し、処理システム1において定義されている動作パターンに従って、具材を盛り付けるための一連の動作を多関節ロボット30に実行させる。例えば、多関節ロボット制御部154は、多関節ロボット30を制御することにより、把持部材31aによって具材を把持する把持動作や、把持した具材が規定量でない場合にその場で具材を解放して再把持する把持量調整動作や、把持部材31aに付着した具材を除去する除去動作や、具材を把持した把持部材31aを惣菜の容器上に移送する移送動作や、移送の途中に鉛直方向を回転軸として把持部材31aを回転させる回転動作や、把持部材31aが把持している具材を容器上で解放する解放動作や、盛り付け後の解放具材の表面を整形する整形動作等を多関節ロボット30に実行させる。
【0035】
移送機構制御部155は、検出部40に含まれるセンサによって検出された容器の位置のデータや、具材が盛り付けられているか否かのデータに基づいて、移送機構50による容器を移送する動作(容器移送動作)を制御する。
【0036】
記録制御部156は、処理システム1が把持動作した際に取得された制御に関するパラメータ及び処理システム1で盛り付けられた具材の重量の計測データを履歴DB172に記憶する。また、記録制御部156は、収容容器20の収容空間における具材の状態を示す具材状態マップを作成及び更新すると共に、この具材状態マップについても履歴DB172に記憶する。より詳細には、記録制御部156は、処理システム1が把持動作をした際に取得された具材の重量及び具材の反力の計測データや、後述の具材状態判定部152による判定結果や、処理システム1で盛り付けられた具材の重量の計測データに基づいて、収容容器20の収容空間の水平面において区分された複数の領域の具材の状態を検出し、各領域を識別する識別情報(例えば、多関節ロボット30を制御するための座標の値)に紐づけて記憶することで、具材状態マップを生成する。
【0037】
この場合、具材の状態とは、各領域における具材の残量や、後述の具材状態判定部152が判定した具材の深さや平坦度合である。また、収容容器20の収容空間内の具材が盛り付けられた後に、収容容器20の収容空間が新たに交換された場合には、予め定められた所定量の具材(例えば、収容容器20の収容空間に対して充分な量の具材)が、所定の状態(例えば、表面が平坦な状態)で収容されているものとして具材状態マップが更新される。
【0038】
[ハンド31の構成]
次に、ハンド31、及びハンド31に設置される把持部材31aの構成の詳細について説明をする。
図4は、ハンド31の先端に設置される把持部材31aの形状例を示す模式図である。
なお、図4においては、一対で用いられる把持部材31aの一方のみが示されている。
図4に示すように、本実施形態における把持部材31aは、天板部と、主板部と、第1側板部と、第2側板部と、により構成されている。天板部は、長方形状の平面を有している。また、主板部は、天板部の有する平面を水平な状態とした場合に、この平面の長手方向の一端から、この平面の長手方向の他端の鉛直下方の離間した位置に向かって傾斜して延在している。さらに、第1側板部と第2側板部は、天板部の有する平面を水平な状態とした場合に、この平面の両端それぞれから鉛直下方に向かって延在している。
なお、以下の説明において、これら一対の把持部材31aのそれぞれを区別することなく説明する際は、単に「把持部材31a」と称する。
【0039】
図5は、把持動作等の動作を実行する場合の、収容容器20の収容空間、ハンド31、把持部材31a、ロボットアーム32、及び具材の位置関係について示す図である。図5では、鉛直方向をZ方向と称し、このZ方向と直交する第1の水平方向(紙面と直交する方向)をY方向と称し、これらZ方向及びY方向のそれぞれと直交する第2水平方向をX方向と称する。すなわち、Z方向、Y方向、及びX方向はそれぞれ互いに直行する方向である。
【0040】
ハンド31は、ロボットアーム32の先端に配置される。また、把持部材31aは、結合部材により、このハンド31に結合されることで、ハンド31に支持される。そして、このハンド31及びこれに結合された把持部材31aは、制御装置10の制御するロボットアーム32の動作に従って、X方向、Y方向、及びZ方向の各方向における、可動範囲内に移動することが可能である。また、ハンド31は、不図示のアクチュエータによって、一対の把持部材31aをY方向に開閉することで、把持動作を実現する。
また、ハンド31及びこれに結合された把持部材31aは、Z方向を回転軸として回転することが可能である。
このような構成により、本実施形態では、ハンド31及び把持部材31aの、位置や向きを任意に変化させることができ、これにより様々な動きで把持動作や解放動作等の動作を適切に実行することが可能となる。
【0041】
図6は、一対の把持部材31aの開閉について示す図である。図4に示す把持部材31aは、結合部材により、それぞれの開口部が対向するようにハンド31に結合される。また、図6におけるX方向、Y方向、及びZ方向の各方向は、図5において定義した各方向と同一である。一対の把持部材31aは、図6(a)に示すように開閉方向(Y方向)に沿って、開く動作を行うことで、開状態となる。また、一対の把持部材31aは、把持動作を行うにあたって、図6(b)に示すように開閉方向(Y方向)に沿って、閉じる動作を行うことで、閉状態となる。
【0042】
そして、一対の把持部材31aが閉状態となり、把持部材31a同士が当接することで、少なくとも先端及び側板部が閉じた内面が具材を把持するための容器形状となる。このような把持部材31aの形状の場合、練りサラダ等の具材に対して、把持部材31aの先端を表面から垂直に差し込み、所定の深さで一対の把持部材31aを閉じて具材を持ち上げることで、ほぼ一定量の具材を把持して収容容器20の収容空間から取り出すことができる。
また、把持をした一対の把持部材31aを解放位置P2の惣菜の容器の上に移送した後に、一対の把持部材31aが開状態となり、容器形状の開口部が露出することで、把持により取り出した具材が解放され、惣菜の容器にほぼ一定量の具材を盛り付けることができる。
【0043】
[検出部40の構成]
次に、検出部40の構成の詳細について説明をする。
図7は、検出部40の近傍を拡大して示す斜視図である。図7では、図1と同様に、紙面の左側がベルトコンベア2における搬送の上流であり、紙面の右側がベルトコンベア2における搬送の下流となる。
【0044】
図7に示すように、検出部40は、容器検出センサ41,42と、リフレクタ配置部43と、具材検出センサ44と、を含む。
容器検出センサ41,42は、ベルトコンベア2にて運搬中の容器の位置を検出するセンサである。容器検出センサ41,42は、例えば、光センサにより構成される。容器検出センサ41は、ベルトコンベア2にて搬送中の容器が、移送位置P1に運搬される直前であることを検出する。また、容器検出センサ42は、ベルトコンベア2にて搬送中の容器が、移送位置P1に運搬されたことを検出する。
また、リフレクタ配置部43は、容器検出センサ41,42が検出を行うために投光する光を反射するリフレクタが、容器検出センサ41,42と対向する面に配置された部材である。
【0045】
図示するように、検出部40はベルトコンベア2の搬送面上を跨ぐようにして、リフレクタ配置部43を所定位置に設置する。そして、容器検出センサ41,42が投光する光は、リフレクタ配置部43に配置されたリフレクタにより反射して、容器検出センサ41,42により受光される。これにより、容器検出センサ41,42は、容器の位置を検出することができる。図中では、これら投光及び受光される光の経路を、それぞれ光路L1及び光路L2として図示する。
【0046】
また本実施形態では、リフレクタ配置部43を検出部40の本体の開口部分に挿抜可能な構造となっており、搬送面の幅方向において長さを調整することができる。これにより、ベルトコンベア2の機種によって異なる搬送面の幅方向の長さの違いを吸収して、リフレクタ配置部43を所定位置に設置することができる。ここで、一般的にベルトコンベア2の搬送面は、その機構上、搬送に伴い上下方向等にうねりが生じる。そのため、この影響を避けるべく、所定位置として搬送面の外側の枠部分(すなわち、搬送面ではない部分)にリフレクタ配置部43を設置するとよい。これによりリフレクタ配置部43は、搬送面における上下方向のうねりの影響を受けることなく、具材を盛り付ける容器を検出するために適切な高さに常に固定された状態となる。
【0047】
ここで、容器の高さ(ここでは、搬送面を基準とした相対的な高さ)は、一般的にそれほど高いものではないため、センサ及びリフレクタを数センチないし数ミリ単位の範囲で適切な位置に配置することが望まれる。この点、本実施形態では、このようにリフレクタ配置部43によりリフレクタの位置を所定の位置に固定することで、容器の高さに応じた適切な高さを検出対象範囲として、搬送されている容器の位置を適切に検出することができる。
なお、惣菜等の容器としては、色を有している容器が利用されることもあるが、透明な容器も一般的に利用されている。容器検出センサ41,42は、このように色を有している容器や透明の容器の何れについても検出することが可能である。
【0048】
また、リフレクタは、受光したことを検出する受光器ではなく、単なる反射板である。そのため、リフレクタを、他の構成要素と電気的に接続する必要はない。従って、リフレクタ配置部43及びリフレクタを、簡易な構成によって実現することが可能となる。
【0049】
このような構成で、容器検出センサ41,42は、ベルトコンベア2にて搬送中の容器の位置を精度高く検出する。また、容器検出センサ41,42によって検出された容器の位置のデータは、制御装置10に出力される。
そして、制御装置10は、容器検出センサ41,42によって検出された容器の位置のデータに基づいて、容器の位置を把握するのみならず、容器の搬送速度も把握することができる。すなわち、容器検出センサ41と容器検出センサ42の離間している距離を、容器検出センサ41が容器を検出した時刻と容器検出センサ42が容器を検出した時刻との差分で除算することで、搬送速度を算出して把握することができる。
これにより、制御装置10の移送機構制御部155は、搬送速度も考慮した適切なタイミングで移送機構50を制御することができる。例えば、移送位置P1まで搬送された容器が移送されてきた瞬間を逃すことなく、適切なタイミングで解放位置P2に移送する動作を実行することができる。
【0050】
具材検出センサ44は、容器に盛り付けられている具材を検出するセンサである。具材検出センサ44は、容器検出センサ41,42と同様に、例えば、光センサにより構成される。具材検出センサ44は、容器検出センサ41,42が位置を検出した容器に具材が盛り付けられているか否かを検出する。そして、具材検出センサ44が投光する光は、鉛直下方に投光され、ベルトコンベア2の搬送面、容器に盛り付けられた具材の天面、あるいは、具材が盛り付けられていない容器の底面の何れかに反射して、具材検出センサ44により受光される。これにより、具材検出センサ44は、容器に具材が盛り付けられているか否かを検出することができる。図中では、これら投光及び受光される光の経路を、光路L3として図示する。
【0051】
上述したように、検出部40はベルトコンベア2の搬送面上を跨ぐようにして設置されることから、ベルトコンベア2の鉛直上方の具材を検出するのに適切な高さ(例えば、搬送面から15[cm]程度の高さ)に具材検出センサ44を配置することができる。すなわち、具材検出センサ44についても、所定位置(ここでは、検出部40と容器及び具材の高さと相対的な位置)に固定されることにより、容器に具材が盛り付けられているか否かを、精度高く検出することができる。具材検出センサ44によって検出された具材が盛り付けられているか否かのデータは、制御装置10に出力される。
【0052】
このように、検出部40は、特徴的な構造を有していると共に、ベルトコンベア2の搬送面上を跨ぐように設置されることで、各種センサやリフレクタを、検出のために最適な位置に配置することができる。
【0053】
[移送機構50の構成]
次に、移送機構50の構成の詳細について説明をする。
図8は、本実施形態における移送位置P1及び解放位置P2の近傍を示す模式図である。この図8では、ベルトコンベア2における搬送の下流方向を紙面の下側として、ベルトコンベア2、多関節ロボット30、及び移送機構50を示す。
【0054】
図8に示すように、移送機構50は、アクチュエータ51と、スライド部材52と、連結部53と、第1移送部材531と、第2移送部材532と、容器載置部材54と、を含む。また、図1に示したのと同様に、移送位置P1はベルトコンベア2の搬送面であり、解放位置P2は多関節ロボット30の側面部分に設けられた作業台の上となる。
【0055】
アクチュエータ51は、ベルトコンベア2の鉛直上方に配置され、ベルトコンベア2の進行方向と直交する方向(紙面における左右方向)に直線運動をするアクチュエータである。アクチュエータ51は、例えば、電気式のシリンダ(ロボシリンダ)や、エアシリンダにより実現される。
【0056】
スライド部材52、及び連結部53は、アクチュエータ51の駆動部と連結されており、アクチュエータ51の直線運動に伴って、ベルトコンベア2の搬送方向と直交する方向(紙面における左右方向)に直線運動をする。
連結部53は、さらに、第1移送部材531や第2移送部材532にも連結されており、アクチュエータ51の直線運動は、結果として第1移送部材531や第2移送部材532にも伝達されることから、第1移送部材531や第2移送部材532もアクチュエータ51と同様の直線運動をする。このように、本実施形態の移送機構50は、比較的簡単な構成で駆動機構を実現することができる。
【0057】
図9は、本実施形態における移送位置P1及び解放位置P2の近傍を鉛直上方から俯瞰した図である。図9には、ベルトコンベア2、収容容器20、多関節ロボット30、連結部53、第1移送部材531、第2移送部材532、及び容器載置部材54を図示する。
【0058】
容器載置部材54は、一端がベルトコンベア2の搬送面に設置され、他端が解放位置P2の存在する作業台の天面に設置される。これにより、容器載置部材54を介して、ベルトコンベア2の搬送面と作業台の天面とが接続される。そして、移送機構50は、アクチュエータ51の水平方向への直線運動を利用して、搬送面の移送位置P1から作業台の天面の解放位置P2まで容器をスライドさせることで容器を移送する。また、逆方向に容器をスライドさせることで、解放位置P2から移送位置P1まで容器を移送する。
【0059】
具体的には、図9(a)に示すように、移送機構制御部155は、移送位置P1に空の容器が搬送されると、移送機構50を移動させ、第1移送部材531の端(紙面における右側の端)で容器に当接しながら、容器を移送位置P1から解放位置P2に移送する。また、移送機構制御部155は、多関節ロボット30により具材が解放されると、第2移送部材532の端(紙面における左側の端)で容器に当接しながら、容器を解放位置P2から移送位置P1に移送する。
【0060】
このように、移送機構50が移送を行うことにより、ベルトコンベア2の搬送面にある移送位置P1等ではなく、多関節ロボット30の近傍に設けられた解放位置P2にて具材を解放して盛り付けを行うことができる。これにより、解放した具材がベルトコンベア2の搬送面に落下してしまうことを防止できる。
また、収容容器20で把持した後に、近傍の解放位置P2にて盛り付けができるので、多関節ロボット30の移動距離を短縮し、処理時間を短縮することや、移動に伴う具材の飛散を抑制することもできる。さらに、近傍の解放位置P2にて盛り付けができるので、ロボットアーム32を伸ばして遠方で盛り付けを行う場合と比べて、より精度の高い動きが実現でき、適切な盛り付けを実現できる。
【0061】
加えて、移送機構50が移送を行うことから、容器を上流から搬送して供給すればよく、多関節ロボット30の近傍に容器供給装置や容器のストックを配置する必要はない。そのため、省スペース化できるのみならず、収容容器20や、多関節ロボット30の配置位置の自由度を高めることができる。さらに、具材が解放された容器を同じベルトコンベア2の搬送面に再度移送することから、例えば、盛り付け前の容器を搬送する第1ベルトコンベアと、盛り付け後の容器を搬送する第2ベルトコンベアと、のように複数のベルトコンベアを用意する必要もない。
【0062】
[基台60の構成]
次に、基台60の構成の詳細について説明をする。
図10~12は、基台60の構成を示す図である。具体的に、図10は、ベルトコンベア2に隣接する方向から基台60の構成をみた斜視図である。図11は、ベルトコンベア2の下流方向から基台60の構成をみた平面図である。図12は、ベルトコンベア2に隣接する方向に反対側の方向から基台60の構成をみた斜視図である。換言すると、図10は正面図に準じるものであり、図11は側面図に準じるものであり、図12は背面図に準じるものである。
【0063】
図10に示すように、基台60は、本体部61と、脚部62と、支持板63と、を備える。また、本体部61は、本体側キャスター611と、ストッパ612と、を備える。さらに、脚部62は、脚部側キャスター621を備える。
また、図10には、収容容器20と、多関節ロボット30と、検出部40と、及び移送機構50も図示する。なお、図中では、これら多関節ロボット30等がそれぞれ2つ(つまり、2セット)配置されているが、これに限らず、1セットのみ配置されてもよく、3セット以上配置されてもよい。
さらに、図10には、ベルトコンベア2も図示する。ベルトコンベア2は、脚2aと、連結部材2bと、を備える。なお、基台60の構成を明確とするために、ベルトコンベア2は、透過した状態で破線により図示する。
【0064】
基台60は、収容容器20、多関節ロボット30、検出部40、及び移送機構50を支持する台座として機能する。これら多関節ロボット30等は、合計して数百[kg]の重量(例えば、600[kg]超の重量)を有しているが、基台60はこれらが天面に配置されても、これを支持できる剛性を有する構造となっている。
【0065】
本体部61は、その天面にこれら多関節ロボット30等が配置されると共に、その底面に本体側キャスター611を複数備えている。
この本体側キャスター611が地面と接することにより、基台60は多関節ロボット30等を支持する。また、この本体側キャスター611により、基台60は、多関節ロボット30等が配置された状態で、人の力で移動することが可能となっている。なお、本体側キャスター611は、多関節ロボット30等が配置された基台60の重量を支持できる耐荷重であればよく、一般的な汎用のキャスターを用いることができる。
【0066】
また、本体部61は、その底面に、ストッパ612を複数備えている。基台60が所定の位置に移動された後に、ストッパ612が地面に接して固定されることで、基台60が所定の位置に設置される。なお、本実施形態において、所定の位置とはベルトコンベア2の搬送面に隣接した位置である。
ストッパ612は、金属部材が地面に接して固定される構成で実現してもよいが、ストッパ機能を有しているキャスターによって実現することが望ましい。ストッパ機能を有しているキャスターであれば、基台60を移動する際に、床材が傷つくことを防止できるからである。
【0067】
なお、これら本体側キャスター611と、ストッパ612の個数について特に限定はないが、ここでは一例としてそれぞれ4つずつが、本体部61の底面に取り付けられていることを想定する。
【0068】
脚部62は、本体部61から離間した位置に向かって延在して地面と接することで本体部61を支持する。例えば、図示するように、ベルトコンベア2の搬送面の下方に存在する空間において地面と接することで本体部61を支持する。これにより、搬送面の鉛直下方の空間を有効活用できると共に、多関節ロボット30及び基台60をよりベルトコンベア2に近接して配置することができる。
【0069】
脚部62の先端には、脚部側キャスター621が備えられ、この脚部側キャスター621が地面と接することで支持を実現する。このように、本体側キャスター611と、脚部側キャスター621が、それぞれで支持を実現することから、多関節ロボット30の処理動作に伴う振動や、作業者の接触などが原因となり多関節ロボット30を支持する基台60が揺れてしまうことを抑制でき、多関節ロボット30を安定して支持することができる。
【0070】
なお、脚部側キャスター621は、ストッパ機能を有しているキャスターであってもよいが、ストッパ機能を有していないキャスターであってもよい。ストッパ機能を有しているキャスターであれば、水平方向への移動を抑制することが可能となる。ただし、作業者が過剰な勢いで接触した場合に、このストッパ機能を有しているキャスターが回転中心(すなわち、転倒モーメントの支点)となって基台60や多関節ロボット30が転倒するおそれがある。
そこで、ストッパ機能を有していないキャスターを用いる。この場合でも、通常の振動等を抑制することができる。また、作業者が過剰な勢いで接触した場合は、水平移動することになるので、ストッパ機能を有していないキャスターが回転中心となって基台60や多関節ロボット30が転倒することはない。すなわち、脚部側キャスター621を、ストッパ機能を有していないキャスターとすることで、転倒をより確実に防止することができる。
【0071】
ベルトコンベア2は、複数の脚2aにより支持される。また、脚2aは、連結部材2bと備えており、剛性を高めると共に、脚2aの間の距離を一定に維持することができる。脚部62は、ベルトコンベア2の搬送面に隣接した位置に設置された場合に、この連結部材2bと干渉しない形状に構成される。これにより、多関節ロボット30及び基台60をよりベルトコンベア2に近接して配置することができる。
【0072】
支持板63は、脚部62とは反対側の方向において、多関節ロボット30及び基台60の転倒を防止する。図10において支持板63の全体が観察できないため、支持板63の詳細は、図11図12において説明する。
【0073】
図11に示すように、基台60は、ベルトコンベア2の搬送面に隣接した位置に配置される。この場合に、多関節ロボット30は基台60の中心ではなく、搬送面寄りの位置に配置される。これにより、多関節ロボット30は、搬送面の鉛直上方の位置(すなわち、搬送面に乗り出す位置)に突出した状態になる。この搬送面の鉛直上方の位置は、本来何も存在しない空間であるので、多関節ロボット30をこのように配置することで、この空間を有効活用できる。
【0074】
しかしながら、このような配置とした場合、図示するように重心は基台60の中央ではなく、搬送面寄りの位置となる。ここで、転倒モーメント(すなわち、回転させて転倒させる力)に対する抵抗力(すなわち、転倒に抵抗する力)は、支点と重心との距離が離れるほど強くなる。つまり、支点と重心との距離が離れるほど転倒しにくくなる。
仮に、脚部62が存在しない一般的な基台の場合、基台の搬送面と隣接する側(紙面における左側)の反対側(紙面における右側)から、作業者が衝突するなどして転倒モーメントが作用すると、支点は第3の支点となる。重心と第3の支点の距離は短いため、転倒モーメントに対する抵抗力が低く、容易に転倒してしまう。
【0075】
これに対して、基台60には、脚部62が存在する。そのため、同じ状況で転倒モーメントが作用すると、支点は第1の支点となる。重心と第1の支点の距離は長いため、転倒モーメントに対する抵抗力が高くなり、容易に転倒することはない。また、重心と第1の支点の距離は長いため、より安定し、上述したように基台60が揺れてしまうことを抑制して支持することができる。
【0076】
また、基台の搬送面と隣接する側(紙面における左側)から作業者が衝突するなどして転倒モーメントが作用する場合についても考える。仮に、脚部62が存在しない一般的な基台の場合、この転倒モーメントが作用すると、支点は第4の支点となる。重心と第4の支点の距離は、重心と第3の支点よりは長いため、転倒モーメントに対する抵抗力が比較的高く、容易に転倒しない。しかしながら、転倒のおそれが残る。
これに対して、基台60には、支持板63が存在する。そのため、同じ状況で転倒モーメントが作用すると、支点は第2の支点となる。重心と第2の支点の距離は長いため、転倒モーメントに対する抵抗力が高くなり、容易に転倒することはない。
【0077】
また、ベルトコンベア2との位置関係であるが、図10でも示したように脚部62は連結部材2bを回避する形状となっている。そのため、脚部62が連結部材2bと干渉することはない。さらに、脚部62先端の脚部側キャスター621の位置は、搬送面における搬送方向の中央位置よりも、本体部61から離間している位置である。これにより、第1の支点をより離間することができ、多関節ロボット30をさらに安定して支持することができる。ただし、ベルトコンベア2の基台60と隣接していない側(紙面の左側)は、作業者が通路として使用することが考えられる。そのため、作業者の移動を阻害しないように、脚部62先端の脚部側キャスター621の位置は、ベルトコンベア2の延長下方に収まるようにする。例えば、ベルトコンベア2の脚2aと、脚部側キャスター621がほぼ同じ位置が並ぶようにする。
【0078】
このようなベルトコンベア2との位置関係により、また、多関節ロボット30が搬送面に乗り出す位置まで突出することにより、多関節ロボット30及び基台60をよりベルトコンベア2に近接して配置することができる。
これにより、搬送面の搬送方向に交わる方向へ移動する処理を行うことが容易となる。例えば、移送機構50が容器を移送する距離が短くなるため、移送時間を短縮したり、移送機構50を小型化したりすることも可能となる。また、例えば、多関節ロボット30が、仮に搬送面の搬送方向に交わる方向へ移動する処理を行うような処理装置だった場合も、搬送面への移動距離が短くなるので、処理時間を短縮したり、多関節ロボット30を小型化したりることも可能となる。
【0079】
図12に示すように、支持板63は、脚部62とは反対側の方向において、多関節ロボット30及び基台60の転倒を防止する。支持板63の機能としては、図11を参照して上述した通りである。また、支持板63が設置されている位置も作業者による通路として利用される。特に、図示するように、こちら側には収容容器20が載置される空間が設けられている。そのため、作業者は、空になった収容容器20を交換するために、基台60近傍で作業をする。また、収容容器20を台車で運搬する等の作業も行われる。
このような作業者の作業を阻害しないように、支持板63は板状の平坦な形状に構成される。これにより、作業者の作業を阻害することなく、基台60の転倒を防止することができる。
【0080】
なお、支持板63は、本体側キャスター611や脚部側キャスター621のようなキャスターではなく、基台60を移動する際に移動の妨げとなるおそれがある。そこで、支持板63を本体部61から着脱可能な構造としてもよい。そして、移動時には支持板63を取り外し、設置完了後に支持板63を取り付けるようにしてもよい。
【0081】
以上説明した基台60により、多関節ロボット30を搬送面に隣接する位置に配置できる。そして、この配置された多関節ロボット30を本体部61によって支持することができ、且つ、この本体部61を脚部62によってさらに支持することができる。この場合、本体部61から離間した位置に向かって延在して地面と接しているため、本体部61と脚部62は、互いに離間した2つの支点となり、基台60及びこれに配置された多関節ロボット30を支持することができる。そのため、多関節ロボット30の処理動作に伴う振動や、作業者の接触などが原因となり多関節ロボット30を支持する基台60が揺れてしまうことを抑制でき、多関節ロボット30を安定して支持することができる。
また、これにより基台60又は多関節ロボット30とベルトコンベア2とが接触することが防止でき、従来技術のような、多関節ロボット30による処理が失敗する、処理対象物が搬送面上で意図しない姿勢となる、処理対象物に解放したものが搬送面上に落下する、等の問題も生じない。また、多関節ロボット30及び基台60が転倒することも防止できる。
すなわち、処理システム1によれば、多関節ロボット30をベルトコンベア2の搬送面に隣接した位置に配置する場合に、多関節ロボット30をより適切に支持することができる。
【0082】
[全体動作]
次に、処理システム1の全体動作を説明する。
図13は、処理システム1が実行する具材盛り付け処理の流れを示すフローチャートである。具材盛り付け処理は、例えば、作業者によって具材盛り付け処理を開始させる操作が行われたことを契機として開始される。
【0083】
具材盛り付け処理が開始されると、ステップS11において、多関節ロボット制御部154は、具材盛り付け処理における一連の動作を実行するための動作用のデータ(動作パターンのデータ及びハンド31の差し込み量のデータ等)をパラメータ記憶部171から読み込むことで、具材を把持するための準備を行う。
【0084】
ステップS12において、多関節ロボット制御部154は、動作パターンのデータに従って、収容容器20の収容空間へ、ハンド31を移送する。
【0085】
ステップS13において、具材状態判定部152は、収容容器20の収容空間における具材の状態を示す具材状態マップを履歴DB172から読み込むことで、収容容器20の収容空間における具材の状態を認識する。具材状態判定部152は、その後も、センサ情報取得部151が取得した、力センサ30Bによって計測された具材からの反力のデータに基づいて、具材の状態の認識を継続する。
【0086】
ステップS14において、多関節ロボット制御部154は、ステップS11において読み込んだ動作パターンのデータと、ステップS13において認識した収容容器20の収容空間における具材の状態とに基づいて、具材に対して把持部材31aを差し込む深さを決定する。
ステップS15において、多関節ロボット制御部154は、決定された差し込み深さまで、具材に対して把持部材31aを差し込む。この場合、例えば、多関節ロボット制御部154は、多関節ロボット30の制御パラメータ(関節の回転角度等)から差し込み量を算出したり、ステップS12で具材の表面を検出して差し込みを開始してからの経過時間から差し込み量を算出したりすることが可能である。
ステップS16において、多関節ロボット制御部154は、把持部材31aを閉じて具材を把持する。
【0087】
ステップS17において、具材量判定部153は、把持している把持具材の重量(物理量)を計測し、規定量の具材が把持されているか否かを判定する。規定量の具材が把持されているとは、例えば、目標とする重量に対して、把持した具材の重量が所定誤差以内(±15%以内等)にあることをいう。ただし、把持部材31aに具材が粘着して解放されないケースを考慮し、把持した重量が規定量よりも多い場合の誤差を少ない場合の誤差よりも大きく設定することとしてもよい。
【0088】
規定量の具材が把持されている場合は、ステップS17においてYesと判定され、処理はステップS18に進む。なお、この場合に、必要であれば付着具材の除去動作を行ってからステップS18に進むようにしてもよい。一方で、規定量の具材が把持されていない場合は、ステップS17においてNoと判定され、処理はステップS14から再度行われる。この場合、把持している把持具材が規定量より超過しているのであれば、再度行われるステップS14において、差し込み深さはより浅くなるように再決定される。一方で、把持している把持具材が規定量より不足しているのであれば、再度行われるステップS14において、差し込み深さはより深くなるように再決定される。
【0089】
なお、ステップS14~ステップS17を繰り返す過程で、前回よりも把持部材31aを具材に深く差し込んだとしても、規定量の具材を把持できない場合(規定量を取るために必要な差し込み深さよりも、把持予定位置における具材の深さが浅い場合)等には、具材表面の複数箇所から具材を把持することにより、複数回で把持した合計の具材の量が規定量となるように制御することも可能である。この場合、例えば、具材の表面における複数箇所に把持部材31aを差し込む深さの合計(差し込み量の合計)が、一度で規定量の具材を把持する場合に把持部材31aを具材に差し込む深さと同一となるように制御することができる。また、例えば、2箇所目以降の把持を行う場合に、把持済みの具材を次の把持予定位置に一旦解放し、解放した具材が存在する具材の表面に対して、一度で規定量の具材を把持する場合に差し込む深さまで把持部材31aを具材に差し込み、規定量の具材を改めて一度で把持するように制御することも可能である。
【0090】
ステップS18において、移送機構制御部155は、容器検出センサ41,42の検出結果に基づいて、移送位置P1において容器が検出されたか否かを判定する。容器が検出された場合は、ステップS18においてYesと判定され、処理はステップS19に進む。一方で、容器が検出されていない場合は、ステップS18においてNoと判定され、処理はステップS18の判定を繰り返す。
【0091】
ステップS19において、移送機構制御部155は、具材検出センサ44の検出結果に基づいて、すでに具材が盛り付けられている容器であるか否かを判定する。具体的には、移送機構制御部155は、具材がすでに盛り付けられている場合を想定した、搬送面からの具材の高さについて閾値を設定する。そして、移送機構制御部155は、具材検出センサ44の検出結果に基づいて、一定時間この閾値を超える高さが検出され続けた場合に、具材がすでに盛り付けられていると判定する。
なお、例えば、空の容器のある程度の高さのある部分(例えば、容器の周縁部)が、仮にこの閾値を超えたとしても、それは、短時間に過ぎず一定時間未満となる。従って、この空の容器について、具材がすでに盛り付けられていると、誤って判定してしまうことを防止することができる。この場合、この一定時間の長さは、例えば、容器検出センサ41,42が容器を検出してから、この容器が搬送されて移送位置P1を通り過ぎてしまうまでの時間よりも短い時間の範囲で適宜設定することができる。
【0092】
すでに具材が盛り付けられている場合は、ステップS19においてYesと判定され、処理はステップS18に戻り、ステップS18の判定を再度行う。このようにステップS19においてYesと判定された場合、具材が盛り付けられている容器は、移送機構50第1移送部材531と第2移送部材532の間を通過して、そのままベルトコンベア2の下流に搬送される。一方で、具材が盛り付けられていない場合は、ステップS19においてNoと判定され、処理はステップS20に進む。
なお、この判定を行う理由であるが、上述したように、1つのベルトコンベア2に対して、複数の多関節ロボット30が配置され、これら複数の多関節ロボット30が協働して作業しているような場合に、すでに上流の多関節ロボット30によって具材が盛り付けられている容器が搬送されてくる可能性があるからである。
【0093】
ステップS20において、移送機構制御部155は、移送機構50を駆動させ、容器を移送位置P1から解放位置P2に移送させる。
【0094】
ステップS21において、多関節ロボット制御部154は、解放位置P2において容器への解放を実行する。
【0095】
ステップS22において、移送機構制御部155は、解放により具材が盛り付けられた容器を、移送位置P1に移送可能なタイミングか否かを判定する。この判定を行う理由であるが、単に多関節ロボット30による解放が終了したことのみを条件として、容器を移送位置P1に移送してしまうと、移送位置P1に運搬された他の容器(他の空容器又は他の多関節ロボット30が具材を盛り付け済みの容器)と衝突してしまう可能性があるからである。そこで、移送機構制御部155は、容器検出センサ41,42の検出結果に基づいて、他の容器が、移送位置P1に運搬されていないことや、移送位置P1に運搬される直前ではないことを確認できたこと条件として、容器を移送位置P1に移送可能なタイミングであると判定する。これにより容器同士の衝突という事態の発生を防止することができる。
【0096】
容器を移送位置P1に移送可能なタイミングであると判定されない場合は、ステップS22においてNoと判定され、処理はステップS22の判定を繰り返す。一方で、容器を移送位置P1に移送可能なタイミングであると判定された場合は、ステップS22においてYesと判定され、処理はステップS23に進む。
【0097】
ステップS23において、移送機構制御部155は、移送機構50を駆動させ、容器を解放位置P2から移送位置P1に移送させる。容器(ここでは、具材を盛り付け済みの容器)は、移送位置P1に移送されると、ベルトコンベア2の搬送面に再度載置され、ベルトコンベア2の下流に向かって搬送される。
【0098】
ステップS24において、記録制御部156は、具材盛り付け処理において取得された制御に関するパラメータ及び盛り付けられた具材の重量の計測データ(履歴データ)を履歴DB172に記憶する。また、記録制御部156は、収容容器20の収容空間における具材の状態を示す具材状態マップを更新し、この更新後の具材状態マップも履歴DB172に記憶する。なお、この場合に、盛り付けられた具材の重量に過不足がある場合には、作業者に対してアラートを出力する等してもよい。
【0099】
ステップS25において、多関節ロボット制御部154は、具材盛り付け処理を終了する条件に適合したか否かを判定する。この場合、具材盛り付け処理を終了する条件としては、予定された数の惣菜の容器に具材を盛り付けたこと、あるいは、作業者によって具材盛り付け処理を終了させる操作が行われたこと等を定義することができる。
具材盛り付け処理を終了する条件に適合していない場合は、ステップS25においてNoと判定されて、処理はステップS12から再度行われる。一方で、具材盛り付け処理を終了する条件に適合している場合は、ステップS25においてYesと判定されて、具材盛り付け処理は終了する。
【0100】
以上のように、本実施形態に係る処理システム1は、上述した各処理と並行して、基台60により多関節ロボット30等の支持を継続する。そのため、多関節ロボット30の処理動作に伴う振動や、作業者の接触などが原因となり多関節ロボット30を支持する基台60が揺れてしまうことを抑制でき、多関節ロボット30を安定して支持することができる。
すなわち、処理システム1によれば、多関節ロボット30をベルトコンベア2の搬送面に隣接した位置に配置する場合に、多関節ロボット30をより適切に支持することができる。
【0101】
[変形例1]
上述した本実施形態において、脚部62は、本体部61と溶接又は一体形成されており、取り外すことなく使用していた。これに限らず、脚部62を、本体部61とは別体として形成し、本体部61から着脱可能としてもよい。
【0102】
この場合、例えば、別体として形成した脚部62を、本体部61の左右の側壁面にボルトとナットのような締結部品で固定することで取り付けるようにすればよい。なお、この場合における本体部61の左右の側壁面とは、基台60のベルトコンベア2の搬送面と隣接している面を正面とした場合の、左右の側壁面のことである。なお、固定方法は締結部品の締結に限らず、例えば、本体部61側壁面の取り付け部分と脚部62の取り付け部分とに同じ直径の穴を開けておき、そこに棒状のピン部材を差し込むことで固定するようにしてもよい。
【0103】
脚部62は本体部61から突出しているので、脚部62が取り付けられている状態では、基台60の移動の際に取り回しがしにくくなるという側面がある。しかし、本変形例のようにして、移動時には取り外すことで、取り回しがしやすくなる。また、サイズも小さくなるので、移動経路においてドアやエレベータがあった場合に、ドア幅等が狭くても搬入ができる。また、ベルトコンベア2の搬送面に隣接して設置する際に取り付けることによって、上述の実施形態と同様の効果を奏する。また、連結部材2bとの位置関係にもよるが、本体部61の高い位置から延在し、連結部材2bを跨ぐようにして、脚部62を取り付けることも可能となる。
【0104】
[変形例2]
上述した本実施形態において、検出部40は、リフレクタ配置部43にリフレクタを配置することで、容器検出センサ41,42との間で光路L1及び光路L2を形成していた。これに限らず、リフレクタを他の位置に配置するようにしてもよい。例えば、多関節ロボット30、検出部40といった処理システム1の各構成要素を外部から遮蔽するための、遮蔽構造にリフレクタを配置するようにしてもよい。
【0105】
図14は、処理システム1の各構成要素を遮蔽する遮蔽構造70を示す模式図である。遮蔽構造70は、処理システム1の各構成要素を外部から遮蔽するために、各構成要素が設置された領域の周囲を囲う板状部材で構成される。また、本変形例では、さらにベルトコンベア2についても、遮蔽構造70により遮蔽している。このように遮蔽構造70により遮蔽することで、処理システム1の動作に伴い飛散した具材が外部を汚してしまうことや、外部からの異物が具材に混入してしまうことを防止できる。
【0106】
この場合、遮蔽構造70を構成する板状部材は、例えば、ガラスや、アクリル等の樹脂といった透明な材料によって構成され、外部から処理システム1の稼動状況を視認することが可能とするとよい。また、遮蔽構造70が構成する側壁の一部には、開閉可能な扉を設置するとよい。そうすることで、収容容器20の収容空間の交換、あるいは処理システム1のメンテナンス等が行われる場合、作業者は遮蔽構造70の扉を開けることで各構成要素に対して接近し、これらの各種作業を行うことができる。
【0107】
本変形例では、図示するように、このような遮蔽構造70の内壁に壁面リフレクタ45を取り付ける。壁面リフレクタ45の取り付け方法としては、例えば、いわゆる両面テープで取り付けたり、接着剤による接着で取り付けたりすることが考えられる。容器検出センサ41,42が投光する光を適切に反射できる位置に壁面リフレクタ45を取り付けることで、容器検出センサ41,42との間で光路L1及び光路L2を形成することができる。これにより、上述の実施形態と同様に、搬送面の容器を適切に検出することができる。
また、検出部40は、具材検出センサ44だけを搬送面の鉛直上方に配置すればよく、検出部40をより簡易な形状とすることが可能になる。さらに、両面テープ等を利用して取り付けた場合、壁面リフレクタ45を貼り直すことができるので、適切に反射できる位置への微妙な位置調整等を、容易に行うことが可能となる。
【0108】
[変形例3]
上述した本実施形態では、多関節ロボット30は、容器の近傍にて盛り付けを行うことから、ロボットアーム32を伸ばして遠方で盛り付けを行う場合と比べて、より精度の高い動きが実現でき、適切な盛り付けを実現できる。そこで、多関節ロボット30は、このより精度の高い動きを利用して、容器に具材を解放した後に、さらに解放した具材を整形する動作や、解放後に把持部材31aに付着した具材を、容器に残さず解放する動作を行うようにしてもよい。
【0109】
この場合に、解放した具材を整形する動作としては、例えば、一度解放した具材を、容器から再度把持して、さらに再度容器に解放することでより安定した形状に整形する動作が考えられる。他にも、例えば、容器に解放した状態から把持部材31aを閉じながら上昇することで山型の形状に整形する動作が考えられる。他にも、例えば、把持部材31aの先端で解放した具材を突っつくことで、具材同士を強固に結合させ、解放した具材が崩れることを防止する整形動作が考えられる。
【0110】
また、解放後に把持部材31aに付着した具材を、容器に残さず解放する動作としては、例えば、把持部材31aを振動させ、これにより把持部材31aに付着した具材を落下させる動作が考えられる。また、容器の鉛直上方から下降し、その際に急停止することで、慣性力で把持部材31aに付着した具材を落下させる動作が考えられる。
【0111】
一般的な技術のように、ベルトコンベアの搬送面で盛り付けを行う場合には、このような動作を行うことは困難である。しかしながら、上述した本実施形態では、多関節ロボット30は、容器の近傍にて、停止している容器に対して動作を行うので、これら例示したような複雑な動作をさらに行うことが可能となる。
【0112】
[変形例4]
上述の実施形態において、一対の把持部材31a(すなわち、2つの把持部材31a)を用いることを想定したが、これに限られない。例えば、3つ以上の複数の把持部材31aを用いるようにしてもよい。そして、各把持部材31aの開口部を近づけることで把持動作を行い、各把持部材31aの開口部を遠ざけることで解放動作を行うような構成としてもよい。
この場合、例えば、3つの把持部材31aを用いるのであれば、鉛直上方から俯瞰した場合に、それぞれの中心角が120°の3つの把持部材31aの先端を中央に近づけたり遠ざけたりするようにする。
このようにしても、上述した各動作を実行することができる。
【0113】
[構成例]
以上のように、本実施形態における処理システム1は、多関節ロボット30と、基台60と、を備える。
多関節ロボット30は、ベルトコンベア2の搬送面に隣接する位置で基台60に配置される。
基台60は、本体部61と、脚部62と、を備える。
本体部61は、多関節ロボット30が配置されると共に、地面と接することで多関節ロボット30を支持する。
脚部62は、本体部61から離間した位置に向かって延在して地面と接することで本体部61を支持する。
これにより、多関節ロボット30を搬送面に隣接する位置に配置できる。そして、この配置された多関節ロボット30を本体部61によって支持することができ、且つ、この本体部61を脚部62によってさらに支持することができる。この場合、本体部61から離間した位置に向かって延在して地面と接しているため、本体部61と脚部62は、互いに離間した2つの支点となり、基台60及びこれに配置された多関節ロボット30を支持することができる。そのため、多関節ロボット30の処理動作に伴う振動や、作業者の接触などが原因となり多関節ロボット30を支持する基台60が揺れてしまうことを抑制でき、多関節ロボット30を安定して支持することができる。
また、これにより基台60又は多関節ロボット30とベルトコンベア2とが接触することが防止でき、従来技術のような、多関節ロボット30による処理が失敗する、処理対象物が搬送面上で意図しない姿勢となる、処理対象物に解放したものが搬送面上に落下する、等の問題も生じない。また、多関節ロボット30及び基台60が転倒することも防止できる。
すなわち、処理システム1によれば、多関節ロボット30をベルトコンベア2の搬送面に隣接した位置に配置する場合に、多関節ロボット30をより適切に支持することができる。
【0114】
脚部62の先端は、搬送面の鉛直下方に存在する空間において地面と接することで本体部61を支持する。
これにより、搬送面の下方の空間を有効活用できると共に、多関節ロボット30及び基台60をよりベルトコンベア2に近接して配置することができる。
【0115】
脚部62が地面と接する位置は、少なくとも搬送面における搬送方向の中央位置よりも、本体部61から離間している位置である。
これにより、2つの支点をより離間することができ、多関節ロボット30をさらに安定して支持することができる。
【0116】
多関節ロボット30は、多関節ロボット30の少なくとも一部分が搬送面の搬送方向に交わる方向へ移動する処理を行う。
これにより、搬送方向に交わる方向へ移動する動きが基台60に作用してしまうような多関節ロボット30であっても、安定して支持することができる。また、上述したように、処理システム1は、多関節ロボット30及び基台60をよりベルトコンベア2に近接して配置できることから、このような処理を行うロボットアーム32や移送機構50の移動範囲を短くすると共に、これらを小型化することも可能となる。
【0117】
脚部62は、本体部61とは別体として形成されると共に、本体部61から着脱可能である。
これにより、基台60、多関節ロボット30、及びベルトコンベア2を所定の位置に配置してから、脚部62を取り付けることができる。そのため、これらを所定の位置に配置する作業を、脚部62が阻害することはない。また、搬送面の下方に存在する空間において、ベルトコンベア2を支持するための部材等が存在したとしても、これを回避して
できる。
【0118】
脚部62は、地面と接した状態で鉛直方向を回転軸として回動可能なキャスターにより構成される。
これにより、作業者が過剰な勢いで接触したとしても脚部62の先端が水平移動することになり、脚部62の先端が回転中心(すなわち、転倒モーメントの支点)となって基台60や多関節ロボット30が転倒することはない。すなわち、転倒をより確実に防止することができる。
【0119】
多関節ロボット30が基台60に配置された場合に、多関節ロボット30の重心は、基台60の中心よりも搬送面寄りである。
これにより、より搬送面側に転倒しやすい配置であっても、適切に転倒を防止することができる。
【0120】
<付記>
ところで、従来の課題として、搬送面の対象物(例えば、容器)を適切に検出するために、リフレクタを適切な位置に配置するのが困難であるという課題があった。特に、対象物(ここでは、容器)の高さ(ここでは、搬送面を基準とした相対的な高さ)は、一般的にそれほど高いものではないため、センサ及びリフレクタを数センチないし数ミリ単位の範囲で適切な位置に配置することが望まれる。
【0121】
そこで、課題として、搬送面の対象物を適切に検出できる配置構成を提供することが挙げられる。例えば、以下の構成にて、この課題は解決される。すなわち、搬送面の対象物を適切に検出できる配置構成を提供することができる。
【0122】
[付記1]
センサに対向して配置される反射板の配置構成であって、
搬送面による搬送の影響を受けない位置に設置された支持部と、
前記支持部に支持されると共に、前記センサが投光した光を反射する前記反射板と、
前記反射板に光を投光すると共に、前記反射板が反射した光を受光する前記センサと、
を備えることを特徴とする反射板の配置構成。
【0123】
[付記2]
前記支持部は、
前記搬送面に隣接する構造物から延在し、前記搬送面を跨ぐ第1部材と、
前記第1部材の先端に位置し、前記反射板を支持する第2部材と、
を備えることを特徴とする付記1に記載の反射板の配置構成。
【0124】
[付記3]
前記第2部材は、搬送装置の搬送面の外側の端部に設置されることで、前記反射板を支持する、
ことを特徴とする付記2に記載の反射板の配置構成。
【0125】
[付記4]
前記第1部材は、前記搬送面の幅方向に応じて伸縮可能に形成される、
ことを特徴とする付記1乃至3の何れか1に記載の反射板の配置構成。
【0126】
[付記5]
前記支持部は、前記搬送面を含んだ領域の周囲を囲う板状部材である、
ことを特徴とする付記1に記載の反射板の配置構成。
【0127】
なお、上述の実施形態及び変形例は、本発明の実施形態の一例であり、本発明の機能を実現する種々の実施形態が本発明の範囲に含まれる。
例えば、上述の実施形態及び変形例において、惣菜を盛り付ける処理システムに本発明を適用する場合を例に挙げて説明したが、本発明は、種々の対象物を把持するシステムに適用することができる。例えば、練ったモルタル、コンクリート、漆喰、粘土等、粘性あるいは粘着性が高い材料を把持するシステムに本発明を適用することができる。本発明は、作業温度又は室温において中粘度以上(5000mPa・s)以上の粘度を有する対象物を把持する際に好適である。
また、上述の実施形態に記載された例を適宜組み合わせて、本発明を実施することが可能である。
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図3の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。すなわち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が処理システム1に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図3の例に限定されない。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0128】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0129】
プログラムを記憶する記憶媒体は、装置本体とは別に配布されるリムーバブルメディア、あるいは、装置本体に予め組み込まれた記憶媒体等で構成される。リムーバブルメディアは、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスクあるいはフラッシュメモリ等により構成される。光ディスクは、例えば、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk),Blu-ray Disc(登録商標)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini-Disk)等により構成される。フラッシュメモリは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリあるいはSDカードにより構成される。また、装置本体に予め組み込まれた記憶媒体は、例えば、プログラムが記憶されているROMやハードディスク等で構成される。
【0130】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0131】
上記実施形態は、本発明を適用した一例を示しており、本発明の技術的範囲を限定するものではない。すなわち、本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができ、上記実施形態以外の各種実施形態を取ることが可能である。本発明が取ることのできる各種実施形態及びその変形は、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0132】
1 処理システム、2 ベルトコンベア、2a 脚、2b 連結部材、10 制御装置、20 収容容器、30 多関節ロボット、30A 重量センサ、30B 力センサ、31 ハンド、31a 把持部材、32 ロボットアーム、40 検出部、41、42 容器検出センサ、43 リフレクタ配置部、44 具材検出センサ、45 壁面リフレクタ、50 移送機構、51 アクチュエータ、52 スライド部材、53 連結部、531 第1移送部材、532 第2移送部材、54 容器載置部材、60 基台、61 本体部、611 本体側キャスター、612 ストッパ、62 脚部、621 脚部側キャスター、63 支持板、70 遮蔽構造、151 センサ情報取得部、152 具材状態判定部、153 具材量判定部、154 多関節ロボット制御部、155 移送機構制御部、156 記録制御部、171 パラメータ記憶部、172 履歴データベース(履歴DB)、711 CPU、712 ROM、713 RAM、714 バス、715 入力部、716 出力部、717 記憶部、718 通信部、719 ドライブ、731 リムーバブルメディア、L1、L2、L3 光路
【要約】
【課題】処理装置を搬送装置の搬送面に隣接した位置に配置する場合に、処理装置をより適切に支持することである。
【解決手段】処理システム1は、多関節ロボット30と、基台60と、を備える。多関節ロボット30は、ベルトコンベア2の搬送面に隣接する位置で基台60に配置される。基台60は、本体部61と、脚部62と、を備える。本体部61は、多関節ロボット30が配置されると共に、地面と接することで多関節ロボット30を支持する。脚部62は、本体部61から離間した位置に向かって延在して地面と接することで本体部61を支持する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14