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特許7534547シーリングガス漏れ回収及びシーリングガス昇圧システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】シーリングガス漏れ回収及びシーリングガス昇圧システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 41/00 20060101AFI20240806BHJP
   F04B 41/06 20060101ALI20240806BHJP
【FI】
F04B41/00 B
F04B41/06
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023528225
(86)(22)【出願日】2021-11-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-06
(86)【国際出願番号】 EP2021025466
(87)【国際公開番号】W WO2022117227
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-05-31
(31)【優先権主張番号】102020000029783
(32)【優先日】2020-12-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517029381
【氏名又は名称】ヌオーヴォ・ピニォーネ・テクノロジー・ソチエタ・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】Nuovo Pignone Tecnologie S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】チプリアーニ、セルジョ
(72)【発明者】
【氏名】バッサーニ、シモーネ
(72)【発明者】
【氏名】バガーリ、リカルド
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-018293(JP,U)
【文献】特開2004-162714(JP,A)
【文献】国際公開第97/001053(WO,A1)
【文献】特表2015-501903(JP,A)
【文献】米国特許第05765998(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 41/00
F04B 41/06
F04D 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機構成(1)であって、
吸込側(3S)、送出側(3D)、及び少なくとも1つのドライガスシール(7)を有する主圧縮機(3)と、
前記主圧縮機(3)の前記送出側(3D)からシーリングガスを受け取り、前記シーリングガスを前記少なくとも1つのドライガスシール(7)に供給するように適合されたシーリングガス供給回路(9)と、
前記主圧縮機(3)の前記送出側(3D)からのシーリングガスをシーリングガス入口(29)を通じて受け取るように適合された第1の圧縮機セクション(32D、32C、32D)及び前記少なくとも1つのドライガスシール(7)から排出されたシーリングガスを受け取るように適合された第2の圧縮機セクション(32A、32B、32C)を含む補助圧縮機(26)を備えた、補助圧縮機ユニット(25)を備え
前記補助圧縮機ユニット(25)は、前記シーリングガス供給回路(9)において前記シーリングガス圧力を上昇させてシーリングガス出口(27)を通じて送出するように適合される、圧縮機構成(1)。
【請求項2】
前記第1の圧縮機セクション(32D、32C、32D)は、シーリングガス入口圧力で前記シーリングガス供給回路(9)からシーリングガスを受け取り、前記シーリングガス入口圧力よりも高い、シーリングガス出口圧力で前記シーリングガスを前記シーリングガス供給回路(9)に戻すように適合され、前記第2の圧縮機セクション(32A、32B、32C)は、少なくとも1つの追加ダクト(14、101、101X、101Y)を通じて前記少なくとも1つのドライガスシール(7)から排出されたシーリングガスを受け取るように構成されている、請求項1に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項3】
前記第1の圧縮機セクション(32D、32C、32D)は、前記第1の圧縮機セクション(32D、32C、32D)の送出側(32DD)と吸込側(32DS)との間の流体接続を確立するリサイクルライン(57)を備える、請求項1又は2に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項4】
前記補助圧縮機ユニット(25)は、前記主圧縮機(3)の停止後に前記主圧縮機(3)からプロセスガスを除去して、前記主圧縮機(3)を減圧するように適合される、請求項1~3のいずれか一項に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項5】
前記補助圧縮機ユニット(25)は、前記少なくとも1つのドライガスシール(7)から排出されたシーリングガスを回収し、前記回収されたシーリングガスを前記補助圧縮機ユニット(25)に供給するように適合された一次ベント回収ダクト(14)を通して前記主圧縮機(3)に結合され、前記補助圧縮機ユニット(25)は、前記回収されたシーリングガスを加圧し、前記加圧された回収されたシーリングガスを前記主圧縮機(3)に向かって戻すように適合される、請求項1~4のいずれか一項に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項6】
前記補助圧縮機ユニット(25)は、前記加圧された回収されたシーリングガスを前記シーリングガス供給回路(9)に送出するように適合される、請求項5に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項7】
前記補助圧縮機ユニット(25)は、往復圧縮機(26)を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項8】
前記補助圧縮機(26)は、多段往復圧縮機である、請求項7に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項9】
前記補助圧縮機(26)は、複数の複動圧縮機シリンダ(26A、26B)を備える、請求項7又は8に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項10】
前記複動圧縮機シリンダ(26A、26B)のうちの少なくとも1つは、前記少なくとも1つのドライガスシール(7)から排出されたシーリングガスを処理し、前記シーリングガス供給回路(9)からのシーリングガスの圧力を上昇させるように適合される、請求項9に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項11】
前記往復圧縮機(26)は、膨張機モードで動作するように適合され、圧縮ガス源に流体結合された少なくとも1つのシリンダ(26G)を備える、請求項7~9のいずれか一項に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項12】
前記主圧縮機(3)からガス流を受け入れるように適合され、前記補助圧縮機ユニット(25)に流体結合された蓄積容積(23)を更に備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項13】
前記補助圧縮機ユニット(25)の送出ダクト(48、45)を前記蓄積容積(23)に流体接続する戻りライン(49、73)を更に備えた、請求項12に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項14】
前記補助圧縮機ユニット(25)は、前記シーリングガスを前記少なくとも1つのドライガスシール(7)に送出する前に前記シーリングガス供給回路(9)に入るシーリングガスの流れを膨張させるように適合された、膨張機として選択的に動作するように構成されたセクション(32D)を備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の圧縮機構成(1)。
【請求項15】
圧縮機構成(1)であって、吸込側(3S)、送出側(3D)、及び少なくとも1つのドライガスシール(7)を有する主圧縮機(3)と、前記主圧縮機(3)の前記送出側(3D)からシーリングガスを受け取り、前記シーリングガスを前記少なくとも1つのドライガスシール(7)に供給するように適合されたシーリングガス供給回路(9)と、補助圧縮機ユニット(25)とを備える、前記圧縮機構成(1)を動作させる方法であって、前記方法は、
前記シーリングガス供給回路(9)から前記少なくとも1つのドライガスシール(7)にシーリングガスを供給するステップと、
前記少なくとも1つのドライガスシール(7)から排気されたシーリングガスを回収するステップと、
前記補助圧縮機ユニット(25)において前記回収されたシーリングガスを加圧し、前記主圧縮機(3)に向かって前記加圧された回収されたシーリングガスを戻すステップと、
前記補助圧縮機ユニット(25)を用いて前記シーリングガス供給回路(9)におけるシーリングガス圧力を上昇させるステップと、を含む方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つのドライガスシール(7)から排出されたシーリングガスを回収する前記ステップが、前記補助圧縮機ユニット(25)に流体結合された蓄積容積(23)に前記排出されたシーリングガスを収集するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記補助圧縮機ユニット(25)は、少なくとも第1の圧縮機セクション(32D、32C、32D)及び第2の圧縮機セクション(32A、32B、32C)を含む補助圧縮機(26)を備え、前記回収されたシーリングガスを加圧する前記ステップは、前記第2の圧縮機セクション(32A、32B、32C)において少なくとも部分的に実行され、前記シーリングガス圧力をさせる前記ステップは、前記第1の圧縮機セクション(32D、32C、32D)において実行される、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記補助圧縮機(26)が、多段往復圧縮機(26)を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
圧縮機(3)の運転停止時に、前記補助圧縮機ユニット(25)を用いて前記主圧縮機(3)からプロセスガスを除去するステップ、を含む、請求項15~18のいずれか一項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、ドライガスシールを備えるガス圧縮機構成、及びそのような装置を動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化石燃料は、依然として、発電を含むいくつかの産業プロセスにおいて必要とされる熱出力の生成のための主要なエネルギー源である。このエネルギー資源の環境への影響を低減する試みがなされてきた。最もクリーンな化石燃料は天然ガスであり、メタンの燃焼は他の炭化水素よりも大量の熱エネルギーを発生し、環境への影響に寄与する二酸化炭素及び他の汚染物質の生成が著しく少ないので、大きな環境上の利点を提供するので、主にメタンからなる。
【0003】
それにもかかわらず、天然ガスの抽出及び輸送は、未燃焼ガス、主にメタンの大気中への放出を引き起こす。メタンは気候変動に寄与し、特に温室効果を有するので、これは環境への影響に関して深刻な影響を有する。実際、二酸化炭素と同様に、メタンも大気中の熱を捕捉する。100年の期間におけるメタンの地球温暖化係数(GWP)、温室効果ガスが特定の時間軸までに大気中にどの程度の熱を捕捉するかの尺度は、二酸化炭素のそれよりも約28倍高い。
【0004】
したがって、天然ガスの抽出、輸送及び使用の全プロセスにおいて、大気中に放出される天然ガスの量を低減する努力がなされてきた。
【0005】
このアプローチにおける主な役割は、ガス圧縮機の回転シールによって果たされる。ドライガスシールは、遠心圧縮機又は他のターボ機械からのプロセスガスの漏れを効率的に低減するための非接触シールとしてますます普及してきている(Stahley、John S.「Dry Gas Seals Handbook」、Copyright 2005 by Pennwell Corporation、ISBN 1-59370-062-8)。ドライガスシールは、プロセスガスの流れを使用して、回転シャフトと固定シールとの間に効率的な非接触シーリングを提供する。ドライガスシールは、動作するためにクリーンなドライガスの流れを必要とする。通常、圧縮機によって処理されるのと同じガスがシーリングガスとして使用される。シーリングガスは、圧縮機の送出側から取り出され、圧縮機は、十分に加圧されたシーリングガスを提供するように動作するものとする。
【0006】
天然ガスを処理するための圧縮機において、例えばガスパイプラインでは、ドライガスシールからの天然ガス漏れは、通常、フレアで燃焼され、これは、天然ガスを大気中に排出することを回避するが、いずれにせよ、温室効果ガス(二酸化炭素)を生成し、ある量の貴重な供給原料を破壊する。
【0007】
したがって、ドライガスシールから漏れるガスを回収することが提案されてきた。ドライガスシールを使用する遠心圧縮機システムにおける炭化水素回収のための回路は、Sergio Cipriani et al:「Turbomachinery Hydrocarbon Loss recovery Systems」、the Gas Turbines for Energy Network Symposium、Banff、Alberta、Canada、2019年10月、に開示されている。
【0008】
ドライガスシールは、回転機械の効率的なシーリングを提供するのに特に有効であるが、複雑な支持システムを必要とし、このことは、そのような種類のシールを使用する圧縮機構成のコストに悪影響を及ぼす。他の機能の中でも、支持システムは、圧縮機が停止状態にあるとき、又は圧縮機の始動時にも、すなわち圧縮機自体が十分に加圧されたシーリングガスを提供することができないときにも、加圧されたシーリングガスを提供するものとする。
【0009】
上述したような、大気中へのプロセスガスの放出を低減することを目的とした特別な手段の必要性は、支持システムの複雑さを増す。
【0010】
ガスパイプラインにおける遠心圧縮機などの圧縮機は、保守及び他の介入を必要とする。保守又は他の目的のために圧縮機を開く前に、圧縮機内に含まれるプロセスガスを除去しなければならない。停止後に圧縮機内に含まれるガスは、圧縮機を開く前に大気中に排出されることが多い。これは炭化水素の損失を意味し、また環境に悪影響を及ぼす。
【0011】
したがって、シール効率を維持し、大気中への汚染物質放出を低減しながら、ドライガスシール支持システムを簡略化することが有益であろう。
【発明の概要】
【0012】
一態様によれば、吸込側と、送出側と、少なくとも1つのドライガスシールとを有する主圧縮機を備える、圧縮機構成が開示される。主圧縮機は、主圧縮機の送出側からシーリングガスを受け取り、シーリングガスをドライガスシールに供給するように適合されたシーリングガス供給回路を更に含む。
【0013】
本明細書に開示される実施形態では、圧縮機構成は、シーリングガス供給回路に流体結合されたシーリングガス入口及びシーリングガス出口を含む補助圧縮機ユニットを更に備える。補助圧縮機ユニットは、主圧縮機の送出側で利用可能なガス圧力が不十分であるか又は全くないとき、例えば、主圧縮機の停止中、又は始動及び停止過渡状態中に、シーリングガス昇圧機能を実行するように適合される。
【0014】
補助圧縮機ユニットは、シーリングガス入口圧力でシーリングガス入口を通してシーリングガス供給回路からシーリングガスを受け取り、シーリングガス入口圧力よりも高い、シーリングガス出口圧力でシーリングガスをシーリングガス供給回路に戻すように適合される。
【0015】
本明細書に開示される実施形態では、補助圧縮機ユニットは更に、主圧縮機からガス流を受け取り、当該ガス流を処理するように適合される。ガス流は、主圧縮機のドライガスシールから排出されるシーリングガスを含んでもよい。したがって、補助圧縮機ユニットは、排気されたシーリングガスを回収するように構成され、排気されたシーリングガスの環境中への放出又は排気されたシーリングガスのフレア中での燃焼を回避する。
【0016】
主圧縮機からガス流を受け取るように適合された、追加のダクトを設けることができる。いくつかの実施形態では、ドライガスシールから排出されたシーリングガスに加えて、又はその代わりに、主圧縮機からのガス流は、圧縮機停止後に主圧縮機から除去されたプロセスガスを含んでもよく、プロセスガスを環境に放出することなく主圧縮機を開くことができる。
【0017】
圧縮機構成の更なる有利な特徴及び実施形態、並びに関連する動作方法を以下に概説する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
ここで、添付図面を簡単に参照する。
【0019】
図1】本開示による圧縮機構成の簡略化された概略図である。
図2】一実施形態における補助圧縮機ユニットの図を示す。
図3】更なる実施形態における補助圧縮機ユニットの図を示す。
図4】また更なる実施形態における補助圧縮機ユニットの図を示す。
図5】本開示による圧縮機構成を動作させるための方法のフローチャートを示す。
図6】本開示による圧縮機構成を動作させるための方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書で開示される実施形態によれば、圧縮機構成は、1つ以上のドライガスシールを有する少なくとも1つの主圧縮機を含む。主圧縮機によって処理されたガスは、ドライガスシールのためのシーリングガスとして使用される。シーリングガスは、シーリングガス供給回路によって各ドライガスシールに供給される。シーリングガスベント回収システムは、ドライガスシールの一次ベントに流体結合される。シーリングガス回収システムは、ドライガスシールから漏れるシーリングガスを低圧から、回収されたシーリングガスをシーリングガス供給回路又は主圧縮機の吸込側に注入するように適合された圧力値に加圧することを目的とする補助圧縮機を含む。
【0021】
補助圧縮機は更に、主圧縮機が停止した場合、並びに停止又は始動過渡状態中に、シーリングガス供給回路におけるシーリングガスの圧力を上昇させるために使用される。これは、主圧縮機送出側で利用可能なガス圧力がないか又は不十分であるときの圧縮機停止及び過渡状態中のドライガスシールの汚損を防止する。同じ補助圧縮機を使用して、圧縮機の停止又は再始動/停止過渡状態中にドライガスシールの一次ベントを回収し、シーリングガスの圧力を上昇させることによって、圧縮機構成の複雑さ、特にドライガスシールの支持システムの複雑さが大幅に低減される。
【0022】
本明細書で開示される更なる実施形態によれば、圧縮機構成は、1つ以上のドライガスシールを有する少なくとも1つの主圧縮機を含む。主圧縮機によって処理されたガスは、ドライガスシールのためのシーリングガスとして使用される。シーリングガスは、シーリングガス供給回路によって各ドライガスシールに供給される。主圧縮機が停止した場合、又は始動/停止過渡状態中に、主圧縮機の送出側で不十分な圧力が利用可能であるか又は全く利用可能でないときに、シーリングガス供給回路における圧力を上昇させることを目的として、補助圧縮機が設けられる。これにより、主圧縮機の停止中及び過渡状態中にもドライガスシールの汚損が防止される。同じ補助圧縮機はまた、主圧縮機の運転停止後であって主圧縮機を開く前に、例えば保守目的などのために、主圧縮機からプロセスガスを除去するように適合される。同じ補助圧縮機を使用して、圧縮機停止中又は再始動/停止過渡状態中にシーリングガス圧力を上昇させることによって、並びに主圧縮機の停止時に主圧縮機からプロセスガスを排出することによって、圧縮機構成の複雑さ、特にドライガスシールのための支持システムの複雑さが大幅に低減される。
【0023】
ここで図面を参照すると、図1は、一実施形態による圧縮機構成1の概略図を示す。図2は、図1のシーリングガスベント回収システムの拡大図を示す。
【0024】
圧縮機構成1は、吸込側3S及び送出側3Dを有する主圧縮機3を備える。主圧縮機3は、共通の軸線に沿って1つ以上の圧縮機を含む圧縮機列(図示せず)の一部であってもよい。電動機、ガスタービンエンジン、蒸気タービンなどのドライバ(図1にDで概略的に示す)が、主圧縮機3を回転駆動する。主圧縮機3は、入口ダクト5A及び出口ダクト5Bを含む配管システム5に流体結合される。第1の低圧のプロセスガスは、入口ダクト5Aを通って主圧縮機3の吸込側3Sに供給される。第2のより高い圧力のプロセスガスは、主圧縮機3の送出側3Dを通って配管システム5の出口ダクト5Bに送出される。隔離弁5C及び5Dは、それぞれ、入口ダクト5A及び出口ダクト5Bに沿って配置することができる。隔離弁5C、5Dは、例えば保守、修理又は交換の目的で、主圧縮機3を配管システム5から隔離するために閉じることができる。
【0025】
図1の実施形態では、主圧縮機3は、中間軸受遠心圧縮機であり、1つ以上のインペラ4と、主圧縮機3の駆動端に1つ及び非駆動端に1つの2つのシーリング装置6とを有する。図示されていない他の実施形態では、例えば、主圧縮機がオーバーハング構成を有するとき、主圧縮機は、1つのみのシーリング装置6を有してもよい。図1の概略図では、各シーリング装置6は、ドライガスシール7と、内側ラビリンスシール8と、ドライガスシール7とそれぞれの軸受(図示せず)との間に配置された外側バリアシール10とを備える。
【0026】
ドライガスシール7は、シーリングガス供給回路9に流体結合されており、シーリングガス供給回路9は、配管システム5からプロセスガスを受け取り、プロセスガスを処理してシーリングガスとしてドライガスシール7に供給するように適合されている。ドライガスシール7に送られる前に、プロセスガスは適切に濾過され、加熱される。フィルタは11で概略的に示され、ヒータは13で概略的に示される。フィルタ11及びヒータ13は、プロセスガスから汚染物質を除去し、水分の凝縮を防止するためにシーリングガスを露点より高い温度にすることを目的としている。シーリングガス供給回路9に沿ったフィルタ11及びヒータ13の位置は、逆にすることができる。
【0027】
図1の実施形態では、一例として、フィルタ11は、2つのフィルタ部材11A、11Bを並列に二重構成で含む。ヒータ13とドライガスシール7との間には、圧力制御弁15が、圧力制御弁15の下流のオリフィス17A及び17Bとともに配置されて、2つのドライガスシール7に向かうシーリングガス流をバランスさせる。上記の構成は単なる例であり、当業者であれば、異なる構成が可能であることを理解するであろう。例えば、ヒータ13を省略してもよい。更に、フィルタ及びヒータの順序は異なっていてもよい。オリフィス17A、17B及び弁15は、並列の2つの弁によって置き換えられてもよい。
【0028】
シーリングガス供給回路9は、主圧縮機3の下流の配管システム5、すなわち出口ダクト5Bに流体結合され、主圧縮機3の送出圧力のプロセスガスがシーリングガス供給回路9に入るようになっている。
【0029】
ドライガスシール7に送出されるシーリングガスの一部は、実質的に周囲圧力、例えば1~1.5barAで、一次及び二次ベントを通って漏れる。当該技術分野で使用されるように、測定単位barAは、バールで測定される絶対圧力を示す。排出されたシーリングガスが環境中に排出されるのを防止するために、圧縮機構成1は、一次ベント回収ダクト14を通してドライガスシール7から少なくとも一次ベントを回収するように適合された、シーリングガスベント回収システム21を備える。図1に示されるシーリングガスベント回収システム21は、ドライガスシール7に流体結合されてそこから排出するシーリングガスを収集する蓄積容積23を概略的に備える。蓄積容積23は、弁アクチュエータ排気、ガスタービン燃料ガス暖機排気、空気圧ガスタービンスタータ排気など(図示せず)の圧縮機構成1の他の構成要素からのほぼ周囲圧力での更なる漏れを収集するように、又は往復圧縮機(後述)のロッドのロッドパッキンリングからのベントをシーリングするように適合させることができる。
【0030】
添付の図面に示された実施形態では、蓄積容積23は専用の構成要素として表されているが、関連する流量は非常に小さいので、蓄積容積23は、1つ以上の接続ダクト又はパイプの内部容積だけからなってもよいことに留意されたい。
【0031】
シーリングガスベント回収システム21は、25で概略的に示される補助圧縮機ユニットを更に備え、補助圧縮機ユニットは、第1のガス入口24を通して蓄積容積23に流体結合され、更に、シーリングガス供給回路9に、及び任意選択で主圧縮機3の吸込側3Sに、説明されるように流体結合される。シーリングガスベント回収システム21及び補助圧縮機ユニット25のより詳細な図が図2に示されている。
【0032】
補助圧縮機ユニット25は、補助圧縮機26を含む。補助圧縮機26は、往復圧縮機を含むことができる。補助圧縮機26は、複数の段及び複数のシリンダを含んでもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、蓄積容積23は補助圧縮機26の内部に埋め込まれてもよく、すなわち、蓄積容積23は補助圧縮機26の一部であってもよい。
【0034】
図1及び図2の概略図では、往復圧縮機26は、第1のシリンダ26A及び第2のシリンダ26Bを含む2シリンダ往復圧縮機である。各シリンダは、シリンダにおいて往復運動するピストンを備える。
【0035】
往復動圧縮機26は、複動式往復動圧縮機であり、各シリンダはそれぞれのピストンによって2つの圧縮チャンバに分割され、プロセスガスが交互に吸入、圧縮、排出される。以下の説明から明らかになるように、各シリンダの2つのチャンバは、直列又は並列に配置することができ、1つの同じ圧縮機段の一部を形成することができ、又は通常は直列に配置される、2つの異なる圧縮機段に属してもよい。
【0036】
主圧縮機3の通常動作中、主圧縮機3の送出側3Dからの加圧ガスの流れは、シーリングガス供給回路9に入り、シーリングガスとして主圧縮機3のドライガスシール7に供給される前に処理(濾過及び加熱)される。ドライガスシール7に送出されたシーリングガスの大部分は、主圧縮機3においてラビリンスシール8を通って流れ、主圧縮機3の吸込側3Sに入るプロセスガスの主流と共に処理される。シーリングガスの一部(通常、約5%~約10%)は、ドライガスシール7から漏れ、ほぼ周囲圧力で、一般に約1barA~約2barAの圧力で、蓄積容積23において収集され、そこから、漏れたシーリングガス(一次ベント)が回収され、補助圧縮機ユニット25を通して加圧され、シーリングガス供給回路9及び/又は主圧縮機3の吸込側3Sに戻される。上述の圧力値は、例としてのものであり、本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではない。より低い又はより高い圧力値、例えば約4.5barAが可能である。
【0037】
より具体的には、以下でより詳細に説明するように、補助圧縮機ユニット25は、ドライガスシール7から漏れて蓄積容積23に集められたシーリングガスを、ほぼ周囲圧力から、回収されたシーリングガスをシーリングガス供給回路又は主圧縮機3の吸込側3Sに供給するように適合された圧力、すなわち蓄積容積23内の圧力よりも実質的に高い圧力まで加圧するように適合される。
【0038】
低圧シーリングガスは、蓄積容積23から第1のガス入口24を通って補助圧縮機ユニット25に入り、出口ライン27又は27Xを通ってシーリングガス供給回路9に戻される。参照符号27Aは、シーリングガス供給回路9と出口ライン27(又は27X)との間の接続点を示す。代替的に又はそれと組み合わせて、ドライガスシール7から排出された回収されたシーリングガスは、接続ライン30を通して配管システム5の入口ダクト5Aに戻すことができる。いくつかの実施形態では、回収されたシーリングガスを、接続ライン30を通して配管システム5に向けて、又は出口ライン27を通してシーリングガス供給回路9に向けて選択的に迂回させるために、弁システム34をライン27及び30に関連付けることができる。図1及び図2では、弁システム34は三方弁を備える。
【0039】
補助圧縮機ユニット25は更に、以下で説明する目的のために、第2のガス入口29を通してシーリングガス供給回路9に流体結合される。
【0040】
主圧縮機3が停止状態にあるとき、又は停止若しくは再始動過渡状態中に、主圧縮機3の送出側3Dに加圧プロセスガスの流れはなく、そこからシーリングガスを取り出すことができる。しかしながら、主圧縮機3が再び始動されるときにドライガスシール7の汚損及びその起こり得る損傷を防止するために、シーリングガス流は、主圧縮機3の停止中、又は停止若しくは再始動過渡状態中にも維持されなければならない。
【0041】
シーリングガスの連続流を提供するために、補助圧縮機ユニット25は、上述の第2のガス入口29を通してシーリングガス供給回路9に流体結合される。プロセスガスは、シーリングガス供給回路9を通して主圧縮機3の下流の配管システム5から抽出され、第2のガス入口29を通して補助圧縮機ユニット25に供給され、出口ライン27(又は27X)を通してより高い圧力でシーリングガス供給回路9に戻され、ドライガスシール7に送出される。
【0042】
したがって、同じ補助圧縮機ユニット25は、次の二重の機能を提供する、すなわち、ドライガスシール7(一次ベント)から漏れるシーリングガスを回収すること、並びに、主圧縮機3の停止中及び/又は停止及び再始動過渡中にシーリングガスの圧力を上昇させ、したがってシーリングガスの連続流をドライガスシール7に提供することである。
【0043】
図2は、補助圧縮機ユニット25の構成、及び補助圧縮機ユニット25とシーリングガス供給回路9との間の流体接続の構成に関する更なる詳細を示す。
【0044】
補助往復圧縮機26の第1のシリンダ26Aは、シリンダ26Aで往復運動する、第1のピストン26Cを含む。第2のシリンダ26Bは、シリンダ26Bで往復運動する、第2のピストン26Eを含む。クランクケース(図示せず)に回転可能に支持された単一のクランクシャフトが、2つのピストン26C及び26Eを、例えば電気モータ(図示せず)などのドライバに駆動可能に接続する。
【0045】
第1のピストン26Cは、第1のシリンダ26Aを第1の圧縮チャンバ32Aと第2の圧縮チャンバ32Bとに分割する。第2のピストン26Eは、第2のシリンダ26Bを第3の圧縮チャンバ32Cと第4の圧縮チャンバ32Dとに分割する。各チャンバ32A、32B、32C、32Dの吸込側及び送出側は、チャンバの同じ参照番号に吸込側の文字「S」及び送出側の文字「D」を付して参照される。したがって、例えば、参照符号32CS及び32CDは、チャンバ32Cの吸込側及び送出側を示す。チャンバ32A、32B及び32Cは、直列に配置され、ドライガスシール7から排出された回収されたシーリングガスを圧縮するように適合された、往復圧縮機26の3つの段を表す。第4のチャンバ32Dは、後でより詳細に説明されるように、主圧縮機3の停止又は始動及び停止過渡状態中にシーリングガス圧力を上昇させるために使用される。
【0046】
蓄積容積23は、第1のガス入口24を通して第1のシリンダ26Aの第1のチャンバ32Aの吸込側32ASと流体結合される。第1のチャンバ32Aの送出側32ADは、第2のチャンバ32Bの吸込側32BSと流体接続している。中間冷却器43は、チャンバ32Aの送出側32ADとチャンバ32Bの吸込側32BSとを互いに流体接続するライン41に沿って配置することができる。第2のチャンバ32Bの送出側32BDは、送出ダクト45を介して第3のチャンバ32Cの吸込側32CSと流体結合され、送出ダクト45に沿って更なる中間冷却器47を配置することができる。
【0047】
図2の実施形態では、第4のチャンバ32Dの吸込側32DSは、補助圧縮機ユニット25の第2のガス入口29に流体結合される。
【0048】
補助圧縮機ユニット25の動作についての以下の説明から明らかになるように、第1のチャンバ32A、第2のチャンバ32B、及び第3のチャンバ32Cは、蓄積容積23から排出されたシーリングガスを加圧するように適合された補助圧縮機セクションを構成し、第4のチャンバ32Dは、主圧縮機3が停止しているとき、又は主圧縮機3の始動若しくは停止過渡状態中にシーリングガスの圧力を上昇させるように適合された補助圧縮機セクションを構成する。
【0049】
図2に示すように、第3のチャンバ32Cの送出側32CDは、送出ダクト48を通して出口ライン27に、したがってシーリングガス供給回路9に流体結合される。実施形態では、補助圧縮機ユニット25と主圧縮機3の吸込側3Sとの間の流体接続が、ライン30などを通して提供されるとき、送出ダクト48は、上述のように弁システム34を介してシーリングガス供給回路9にではなく、主圧縮機3の吸込側3Sに流体結合することができる。
【0050】
実施形態では、図2に示すように、圧力制御弁51を含む戻りライン49が、第3のチャンバ32Cの送出側32CDを蓄積容積23に流体結合して、補助圧縮機ユニット25の出力流量が、シーリングガス供給回路9を通るドライガスシールによって必要とされるシーリングガスよりも高い場合に、補助圧縮機ユニット25によって加圧されたシーリングガスを蓄積容積23に戻すことができるようにする。冷却器53を戻りライン49に沿って配置して、蓄積容積23に収集されたガスの過熱を防止することができる。
【0051】
第4のチャンバ32Dの送出側32DDは、ダクト55を介して出口ライン27に結合され、それにより、第4のチャンバ32Dを通って処理されたシーリングガスを、後で詳細に説明するように、ドライガスシール7に供給することができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、第4のチャンバ32Dから出口ライン27に向かう流量が必要とされない場合、第4のチャンバ32Dで処理されたガスを閉ループで循環させることができるように、リサイクルライン57を第4のチャンバ32Dと逆並列に設けることができる。リサイクル弁59が、リサイクルライン57に沿って設けられている。リサイクル弁59は、必要に応じて、かつ動作条件に応じて、リサイクルライン57を選択的に開閉する。更に、冷却器61をリサイクルライン57に沿って設けて、その中を循環する流体を冷却し、それによってその過熱を防止することができる。更なる弁60をダクト55と出口ライン27との間に配置することができる。この構成では、チャンバ32Dにおけるガスは、選択的に処理され、(リサイクル弁59が閉じられ、弁60が開かれた状態で)出口ライン27に送出されるか、又は(弁60を閉じ、リサイクル弁59を開くことによって)リサイクルライン57において再循環させることができる。
【0053】
図1及び図2は2シリンダ往復圧縮機26を示しているが、異なる数の往復圧縮機シリンダ及び関連する段、例えば1つ、3つ、又はそれ以上のシリンダを、中間冷却の有無にかかわらず設けることができる。一般に、少なくとも1つの往復圧縮機段は、ドライガスシール7の一次ベントからのシーリングガスを処理するために、並びにシーリングガス供給回路9におけるシーリングガスの圧力を上昇させるために使用することができる。
【0054】
上述したシーリングガスベント回収システム21の様々な動作条件を以下で詳細に説明する。以下で参照される様々なパラメータ(圧力、温度、及び流量など)の値は、圧縮機構成機能のより良い理解のために提供され、単なる例であり、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0055】
言及したように、主圧縮機3が動作していないときでも、シーリングガスはドライガスシール7に連続的に供給されて、ドライガスシール7の汚染を防止し、主圧縮機の始動時のドライガスシール7への深刻な損傷を回避する。主圧縮機3のシャフトが停止しており、したがってドライガスシール7が回転していないので、停止時のシーリングガス流量は、通常、全動作時よりも小さい。停止状態では主圧縮機3によって加圧プロセスガスが利用可能にされないので、シーリングガスベント回収システム21は、シーリングガス供給回路9によってドライガスシール7に送出されるシーリングガスの圧力を上昇させるために使用される。
【0056】
より具体的には、圧縮チャンバ32A~32Dのうちの1つ又はいくつかは、ドライガスシール7から排出されたシーリングガスを加圧し、排出されたシーリングガスをシーリングガス供給回路9又は主圧縮機3の吸込側3Sに戻すために使用される。同時に、圧縮チャンバ32A~32Dのうちの1つ又はいくつかは、シーリングガス供給回路9におけるシーリングガスの圧力を上昇させるために使用される。
【0057】
図2の例示的な実施形態では、第1の圧縮機シリンダ26Aの2つの圧縮チャンバ32A、32B、及び第2の圧縮機シリンダ26Bの2つの圧縮チャンバ32C、32Dのうちの1つ(チャンバ32C)は、ドライガスシール7の一次ベントからシーリングガスを回収し、排出されたシーリングガスを適切な圧力でシーリングガス供給回路9に戻すために使用される。同時に、第2の圧縮機シリンダ26Bの圧縮チャンバ32Dは、シーリングガス供給回路9からのシーリングガス圧力を上昇させるために使用される。
【0058】
実際には、主圧縮機3の停止中、補助圧縮機ユニット25は、蓄積容積23からほぼ周囲圧力(例えば、約1barA~約1.5barA)でドライガスシール7から排出されるシーリングガスを受け取り、更に、第2のガス入口29からより高い圧力でシーリングガスの追加の流れを受け取る。両方のシーリングガス流は、実質的に同じ圧力で加圧され、ドライガスシール7への送出に適した圧力でシーリングガス供給回路9に戻される。
【0059】
いくつかの実施形態では、非限定的な例として、約10m/hのシーリングガス流量を、第2のガス入口29から補助往復圧縮機26の第4の圧縮チャンバ32Dに送出することができる。圧力は約52barAに上昇し、ガスは出口ライン27を通ってシーリングガス供給回路9に戻され、そこからドライガスシール7に送出される。このようにして、補助圧縮機ユニット25は、主圧縮機3の停止中にシーリングガス圧力ブースタとして機能する。第2のガス入口29を通って補助圧縮機ユニット25の圧縮チャンバ32Dに送出されるガスの温度及び圧力は、主圧縮機3内の沈降状態に依存する。例えば、温度は約45℃とすることができ、圧力(沈降圧力)は約47.2barAとすることができる。
【0060】
同時に、例えば約1.3barAで約0.36Sm/hの小さい流量が、ドライガスシール7の一次ベントから回収され、ほぼ周囲温度で蓄積容積23に送出される。
【0061】
上記の圧力値及び流量値、並びに本明細書で言及される任意のパラメータ値は、単に例としてのものであり、それらは、圧縮機構成の構成に応じて、一貫して、例えば、一桁だけ変化してもよいことを理解されたい。
【0062】
主圧縮機3の始動中、補助圧縮機ユニット25は、依然として、一次ベント回収ダクト14を通して回収されたドライガスシール一次ベントを回収して加圧するために使用され、更に、主圧縮機3の送出側3Dにおけるガス圧力が、補助圧縮機ユニット25による更なる昇圧を必要とすることなく、適切な圧力でシーリングガス供給回路9にシーリングガスを提供するのに十分に高くなるまで、シーリングガス供給回路9におけるシーリングガスの圧力を上昇させるために使用される。図2の例示的な実施形態では、シーリングガス昇圧機能は、補助往復圧縮機26の第4の圧縮チャンバ32Dによって再び実行され、残りの圧縮チャンバ32A、32B、及び32Cは、一次ベント回収ダクト14からの使用済みシーリングガスを処理する。
【0063】
これらの動作条件において、出口ライン27におけるシーリングガス圧力は、約10m/hの流量で約52barAであることができる。第2のガス入口29からのプロセスガスの温度は、約47barAの圧力で約23.5℃であることができる。このステップでは、主圧縮機シャフト並びにドライガスシール7が増加する回転速度で回転しているので、一次ベント流量は、例えば、約2.352Sm/hから約3.36Sm/hに増加し、約1.3barA~約1.5barAの圧力を有してもよい。
【0064】
定格動作条件(通常の動作速度での主圧縮機3)において、主圧縮機3の送出側3Dにおける送出圧力は、約64barAであることができる。第2のガス入口29を通る流量が約0m/hになるように、補助圧縮機ユニット25を通るシーリングガスの圧力を上昇させることは、もはや必要とされない。約1.3~1.5barAの範囲の圧力の一次ベント回収ダクト14からの使用済みシーリングガスの流れは、蓄積容積23及び補助圧縮機ユニット25を通して回収される。例として、一次ベント流量は、約1.3barAにおける約2.352Sm/hから約1.5barAにおける約3.36Sm/hまでの範囲であることができる。
【0065】
主圧縮機3が定格動作状態にあるときには、圧縮チャンバ32Dのシーリングガス昇圧機能は必要とされないので、停止状態又は始動状態中は閉じた状態に維持されるリサイクル弁59が開いて、第4の圧縮チャンバ32Dに含まれるガスのリサイクルライン57を通る完全な再循環を可能にする。弁60は、圧縮チャンバ32Dから送出されたガスが出口ライン27に入るのを防止する。冷却器61は、再循環ガスの過熱を防止する。
【0066】
停止中又は主圧縮機3の始動若しくは停止過渡状態中に補助圧縮機ユニット25をシーリングガス圧力ブースタとして自動的に動作させるために、シーリングガス供給回路9への第2のガス入口29の接続点29Aとシーリングガス供給回路9への出口ライン27の接続点27Aとの間で、シーリングガス供給回路9に弁65(図1参照)を配置することができる。弁65は、例えば、制御弁、又は予荷重弁とすることができる。十分な圧力が主圧縮機3の送出側3Dで利用可能であるとき、弁65が開き、シーリングガスが、第2のガス入口29を通って補助圧縮機ユニット25に入ることなく、弁65を通ってドライガスシール7に向かって流れる。逆に、主圧縮機3の停止又は始動時など、主圧縮機3の送出側3Dで利用可能な圧力が不十分である場合、弁65が閉じ、シーリングガスが主圧縮機3の送出側3Dから第2のガス入口29を通って補助圧縮機ユニット25内に流れ、昇圧後に出口ライン27を通ってシーリングガス供給回路9に戻る。弁65は、出力ライン27から入口ライン29へのシーリングガスの逆流を防止する。
【0067】
定格動作条件では、高圧(上述の例示的な実施形態では約64barA)で主圧縮機3の送出側3Dからシーリングガス供給回路9に入るシーリングガス流量は、通常、ドライガスシール7への供給に適した圧力に達するように積層される。積層による圧力低下は、エネルギーの損失を表す。いくつかの実施形態では、主圧縮機3が定格動作条件下で動作するとき、シーリングガスは、圧縮チャンバ32Dを通して処理され、圧縮チャンバ32Dを膨張機モードで動作させ、第2のガス入口29を通して補助圧縮機ユニット25に入るシーリングガスを膨張させ、有用な機械的エネルギーを発生させることができ、有用な機械的エネルギーは、圧縮チャンバ32A、32B、32Cで処理された回収された排出されたシーリングガスを圧縮するために使用されることができる。膨張機モードで動作する、圧縮チャンバ32Dにおけるシーリングガスの膨張によって発生した電力が、圧縮チャンバ32A、32B、32Cにおいて回収されたシーリングガスを圧縮するために必要な電力よりも高い場合、往復圧縮機26を駆動する電気モータは、発電機モードで動作することができ、それによって発生した電気エネルギーは、配電網(図示せず)上で分配することができる。
【0068】
これらの条件下で、約64barA及び約45.9℃で約10m/hのシーリングガス流量は、チャンバ32Dを通して50.3barAに膨張することができ、一次ベント回収ダクト14を通して回収され、補助往復圧縮機26の圧縮チャンバ32A、32B、及び32Cを通して処理されたシーリングガスとともに、出口ライン27を通してシーリングガス供給回路9に戻される。
【0069】
引き続き図1を参照すると、図3は、シーリングガスベント回収システム21の更なる実施形態を示す。図3のシーリングガスベント回収システム21は、図1に示すように、主圧縮機3及びシーリングガス供給回路9に接続することができる。図3において、図2に既に示され、上で説明される同一又は同等の要素には、同一の参照番号が示されており、再度詳細には説明はされていない。
【0070】
図3のシーリングガスベント回収システム21は、主に第2の圧縮機シリンダ26Bの補助圧縮機ユニット25の残りの部分への接続の点で、図2のシーリングガスベント回収システム21と異なる。より詳細には、図3の実施形態では、第3の圧縮チャンバ32C及び第4の圧縮チャンバ32Dの吸込側32CS及び32DSは、互いに接続される。同様に、圧縮チャンバ32C及び32Dの送出側32CD及び32DDは、2つの圧縮チャンバ32C及び32Dが並列に動作するように、互いに接続される。
【0071】
図3の補助圧縮機ユニット25の動作の説明から明らかになるように、この実施形態では、圧縮チャンバ32A、32Bは、ドライガスシール7から排出されたシーリングガスを加圧するように適合された圧縮機セクションの一部であり、圧縮チャンバ32C及び32Dは、ドライガスシール7から排出されたシーリングガスを加圧するとともに、主圧縮機3が停止状態にあるとき、又は主圧縮機3の始動若しくは停止過渡状態中にシーリングガス供給回路9からのシーリングガスの圧力を上昇させるように構成される。
【0072】
第2のガス入口29を通って補助圧縮機ユニット25に入るシーリングガスは、第1の圧縮機シリンダ26Aの第2の圧縮チャンバ32Bによって送出される流れと混合される。同様に、第2の圧縮機シリンダ26Bの第3の圧縮チャンバ32C及び第4のチャンバ32Dの両方によって送出される圧縮シーリングガスは、合流され、出口ライン27を通してシーリングガス供給回路9に送出される。リサイクル弁59及び冷却器61を伴うリサイクルライン57を設けて、第2の圧縮機シリンダ26Bにおけるガスを再循環させることができる。
【0073】
また、第2のガス入口29には、後述する目的で減圧弁71が設置されている。最後に、戻りライン73は、第2の圧縮チャンバ32Bの送出側32BDを蓄積容積23と流体連通させることができる。戻りライン73に沿って圧力制御弁75を配置して、戻りライン73を選択的に開閉することができる。
【0074】
図3の補助圧縮機ユニット25の動作は以下の通りである。以下に概説されるパラメータ値は、例としてのみであり、本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0075】
主圧縮機3の停止状態下では、第2のガス入口29からのシーリングガスは、例えば約10m/hの低減された流量で、沈降状態に依存する圧力及び温度、例えば約47barA及び45.9℃で、補助圧縮機ユニット25に入る。ドライガスシール7の一次ベントは、約1.3barAの圧力で約0.36Sm/hの流量を生成する。
【0076】
第1の圧縮機シリンダ26Aの送出圧力は、約18barとすることができる。したがって、第2のガス入口29を通して補助圧縮機ユニット25に送出されるシーリングガスの圧力は、減圧弁71を通した積層によって約47barAから約18barAに低減される。
【0077】
第2の圧縮機シリンダ26Bの送出圧力は、約52.2barAとすることができる。
【0078】
始動時に、ドライガスシール7から排出されるシーリングガスの流量は、主圧縮機3の回転速度に応じて、約1.3barAの圧力で約2.352Sm/hから約1.5barAの圧力で約3.36Sm/hまでの範囲とすることができる。第2のガス入口29に沿って補助圧縮機ユニット25に入るシーリングガスは、約47barAの圧力、約10m/hの流量、及び約23.5℃の温度を有することができる。出口ライン27の流量は、約52barAで約10m/hである。
【0079】
定格動作条件が達成されると、第2のガス入口29における流量は約0であり、蓄積容積23に入るドライガスシール7からの排気されたシーリングガスの流量は、1.3barAで約2.352Sm/hから1.5barで約3.36Sm/hの範囲である。この実施形態では、弁65は通常の動作状態中は閉じたままであり、シーリングガス全体が補助往復圧縮機26を通して処理される。弁65は、補助圧縮機26が故障した場合にのみ開くオンオフ弁とすることができる。
【0080】
上述で開示された例示的な実施形態では、停止中のシーリングガス供給回路9からのシーリングガスの圧力の昇圧は、第2の圧縮機シリンダ26Bによって提供されるが、更なる実施形態(図示せず)では、シーリングガス供給回路9における圧力を上昇させるために第1の圧縮機シリンダ26Aを使用することができる。
【0081】
更なる実施形態では、補助圧縮機26は、圧縮機又は膨張機モードで動作する1つ以上の追加の段を含んでもよい。例として、図4は、膨張機として動作する追加の往復機械段を含む、補助圧縮機ユニット25の更なる実施形態の図を示す。図4では、図3に示された同じ要素及び構成要素を示すために同じ参照番号が使用されており、それらについては再度説明しない。
【0082】
図4では、往復圧縮機26は、シリンダ26Gで往復運動するように配置されたピストン26Hを含む、第3の圧縮機シリンダ26Gを備える。ピストン26Hは、シリンダ26Gを第1チャンバ32Eと第2チャンバ32Fとに分割する。圧縮機ユニット1が設置されるシステムにおいて圧縮ガスの流れが利用可能である場合、当該流れは、往復圧縮機26の第3の圧縮機シリンダ26Cにおいて膨張させることができ、往復圧縮機26は、エキスパンダとして動作し、したがって、往復圧縮機に駆動可能に結合された電気機械を介して電力に変換することができる有用な機械的動力を生成する。代替的に、生成された機械的動力は、補助往復圧縮機26のドライバによって必要とされる動力を低減するために使用することができる。
【0083】
図4では、膨張機機能は単一の複動圧縮機シリンダによって実行されるが、他の実施形態(図示せず)では、2つ以上の圧縮機シリンダ及び/又は1つ以上の単動圧縮機シリンダを膨張機モードで使用することができる。いくつかの実施形態では、複動圧縮機シリンダは、圧縮機モード(2つのチャンバのうちの一方において)及び膨張機モード(2つのチャンバのうちの他方において)の両方において使用されてもよい。
【0084】
圧縮機構成1の上述の実施形態は、主圧縮機3が停止状態にあるとき、又は始動若しくは停止過渡状態中に、シーリングガス昇圧機能を提供する。昇圧機能を提供する同じ補助圧縮機ユニット25は、ドライガスシール7から使用済みシーリングガスを回収するための一次ベント回収の機能も実行し、排出されたシーリングガスが環境に放出されるのを防止する。
【0085】
更なる実施形態によれば、補助圧縮機ユニット25は、圧縮機構成1の他の構成要素から、又は圧縮機ドライバDから低圧、すなわち減圧されたプロセスガス排出物を回収するなど、追加の動作を実行することができる。典型的には、低圧プロセスガスは、次のうちの1つ以上から排出されることができる、すなわち、主圧縮機3のドライバとして機能するガスタービンエンジンの空気圧スタータ、ガスタービンエンジンへの噴射前に燃料ガスを加熱するように適合された燃料ガス加熱システムである。上述の構成要素によって生成された低圧プロセスガスは、蓄積容積23に収集することができる。
【0086】
また更なる実施形態によれば、補助圧縮機ユニット25はまた、主圧縮機3の停止時に主圧縮機3からプロセスガスを除去するなど、追加の機能を実行することができる。圧縮機の停止は、例えば、保守、修理又は交換作業のために必要とされてもよい。主圧縮機3に含まれるプロセスガスは、停止後に排気される。
【0087】
排気は、それぞれ、入口ダクト5A及び出口ダクト5B上の隔離弁5C及び5Dを閉じることによって行われる。隔離弁5C及び5Dが閉じられると、補助圧縮機ユニット25を作動させ、圧縮機排気ダクト101におけるオンオフ弁102を開くことによって、プロセスガスを主圧縮機3の内部から除去することができる。圧縮機排気ダクト101は、シーリングガス供給回路9に接続することができる。他の実施形態では、圧縮機排気ダクト及び関連する弁102は、図1の101X及び102Xに示すように、隔離弁5Dの上流で、主圧縮機3の送出側3Dに直接接続することができる。更に他の実施形態では、圧縮機排気ダクト及び関連する弁は、図1に101Y及び102Yで示すように、隔離弁5Cの下流で、吸込側3Sに接続することができる。
【0088】
排気ダクト101(又は101X又は101Y)が開かれると、補助圧縮機26は、プロセスガスを主圧縮機3から圧送し、排気されたプロセスガスを隔離弁5Cの上流の入口ダクト5A内に、又は隔離弁5Dの下流の出口ダクト5B内に送出することができる。補助圧縮機26をより低い圧縮比で運転することができるので、第1の選択肢が好ましい。加圧された排気されたプロセスガスは、接続ライン30を通して入口ダクト5Aに送られる。プロセスガスの排気は、主圧縮機3内の予め設定された圧力値が達成されたときに終了し、その後、主圧縮機3を開くことができる。
【0089】
これまでに開示された実施形態では、補助圧縮機ユニット25は、選択的に又は組み合わせて実行するように適合され、場合によっては次のような場合である、すなわち、主圧縮機3の停止及び/又は始動又は停止過渡状態中のシーリングガス昇圧機能、ドライガスシール7からのシーリングガス一次ベント回収、圧縮機停止時の主圧縮機3からのプロセスガスの排出である。他の実施形態では、補助圧縮機ユニット25は、主圧縮機3の停止及び/若しくは始動及び停止の過渡状態中のシーリングガス昇圧機能、並びに停止時の主圧縮機3からのプロセスガスの排出、又はドライガスシール7から排出されたシーリングガスの回収のみを実行するように構成されてもよい。どちらの場合も、補助圧縮機ユニット25は、シーリングガス昇圧機能と、主圧縮機3からのプロセスガス回収機能とを果たす。
【0090】
図5及び図6は、これまでに説明した圧縮機構成1を動作させる方法のフローチャートを示す。
【0091】
より具体的には、図5は、圧縮機構成1を動作させる方法を示しており、補助圧縮機ユニット25は、主圧縮機3の送出側3Dにおいて利用可能な圧力が不十分であるときに、ドライガスシール7から排出されたシーリングガスを回収するために、及びシーリングガス供給回路9におけるシーリングガスの圧力を上昇させるためのブースタとして使用される。本方法は、シーリングガス供給回路9から主圧縮機3のドライガスシール7にシーリングガスを供給するステップ201を含む。ドライガスシール7から低圧で排出されたシーリングガスは、ステップ202で回収され、補助圧縮機ユニット25によって加圧され(ステップ203)、シーリングガス供給回路9を通してドライガスシール7に、又は主圧縮機3に戻すことができる。図5の方法は、例えば、主圧縮機3の停止時、又は始動若しくは停止過渡状態中に、シーリングガス供給回路9におけるシーリングガス圧力を上昇させるステップ(ステップ204)を更に含む。
【0092】
図6は、圧縮機構成1を動作させる方法を示しており、補助圧縮機ユニット25は、主圧縮機3の送出側3Dで利用可能な圧力が不十分であるときにシーリングガス供給回路9におけるシーリングガス圧力を上昇させ、圧縮機停止の場合に主圧縮機3からプロセスガスを除去するために使用される。図6の方法は、シーリングガス供給回路9から主圧縮機3のドライガスシール7にシーリングガスを供給するステップ(ステップ301)と、例えば、主圧縮機3の停止中又は必要なとき(停止又は始動過渡状態)にシーリングガス供給回路9におけるシーリングガス圧力を上昇させるステップ(ステップ302)とを含む。本方法は、例えば停止後に、主圧縮機3からプロセスガスを除去するステップ(ステップ303)を更に含む。
【0093】
図5及び図6のフローチャートに要約された2つの方法は両方とも、同じ補助圧縮機ユニット25によって実行することができることを理解されたい。
【0094】
例示的な実施形態は、上記で開示され、添付の図面に示されている。以下の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に具体的に開示されているものに、様々な変更、省略、及び追加を行ってもよいことが、当業者には理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6