(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-05
(45)【発行日】2024-08-14
(54)【発明の名称】スケーラブル電力インバータ
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240806BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
(21)【出願番号】P 2023536554
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 US2021059071
(87)【国際公開番号】W WO2022139975
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2024-02-01
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンドリス、エリック エム.
(72)【発明者】
【氏名】スギダラン、ジョンソン ディ.
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-167876(JP,A)
【文献】特開2013-230054(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0166995(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0172997(US,A1)
【文献】特開2008-193867(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0076663(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0349661(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力インバータであって、
インバータユニットであって、
メインコンパートメントおよび前記メインコンパートメントに隣接する第一の側方コンパートメントを画定するハウジングであって、前記メインコンパートメントが、
直流(DC)電力を交流(AC)電力出力に変換するように構成されたインバータ電力モジュールと、
前記インバータ電力モジュールを駆動するための駆動信号を提供するように構成されたインバータ駆動モジュールと、
前記インバータ駆動モジュールに制御信号を提供して前記AC電力出力を制御するように構成されたインバータ制御モジュールと、
前記DC電力に結合するためのコンデンサであって、前記インバータ電力モジュール、前記インバータ駆動モジュール、または前記インバータ制御モジュールのうちの少なくとも一つの上またはその上方に配置されている、コンデンサと、を備えるハウジング、および、
前記ハウジングがその上に位置するベースであって、前記インバータ電力モジュール、前記インバータ駆動モジュール、または前記インバータ制御モジュールのうちの一つまたは複数から熱を奪うように構成されたヒートシンクを備える、ベースと、を備える、インバータユニットを備える、電力インバータ。
【請求項2】
前記コンデンサが、空洞を画定し、前記インバータ制御モジュール、前記インバータ駆動モジュール、および前記インバータ電力モジュールのうちの少なくとも一部分が、前記空洞内に配置されている、
請求項1に記載の電力インバータ。
【請求項3】
前記インバータユニットが、
前記第一の側方コンパートメントの外面に取り付けられた複数のACケーブルコネクタであって、AC負荷または電源に接続するように構成されている複数のACケーブルコネクタと、
前記第一の側方コンパートメント内に配置された複数のACケーブルラグであって、前記複数のACケーブルコネクタにそれぞれ接続されている複数のACケーブルラグと、をさらに含み、
前記複数のACケーブルラグが、前記インバータ電力モジュールに電気的に接続される、
請求項1に記載の電力インバータ。
【請求項4】
前記インバータユニットが、前記第一の側方コンパートメント内に配置された複数の端子ブロックをさらに含み、前記複数の
ACケーブルラグが前記複数の端子ブロックに接続される、
請求項3に記載の電力インバータ。
【請求項5】
前記インバータユニットが、
前記第一の側方コンパートメントの外面に取り付けられた一組のDCケーブルコネクタであって、複数のDCケーブルコネクタがDCリンクに接続するように構成されている一組のDCケーブルコネクタと、
前記第一の側方コンパートメント内に配置された一組のDCケーブルラグであって、前記一組のDCケーブルコネクタにそれぞれ接続されている一組のDCケーブルラグと、をさらに含む、
請求項3に記載の電力インバータ。
【請求項6】
前記インバータユニットが、前記第一の側方コンパートメント内に配置されたDCバスバーをさらに含み、前記DCバスバーが前記DCケーブルラグを前記インバータ電力モジュールに電気的に結合し、前記コンデンサが前記DCバスバーに結合される、
請求項5に記載の電力インバータ。
【請求項7】
前記DCバスバーが、前記インバータユニットの前面にある前記DCケーブルラグから前記インバータ
ユニットの後面に延在し、前記DCバスバーが前記後面で前記インバータ電力モジュールに電気的に結合する、
請求項6に記載の電力インバータ。
【請求項8】
前記ハウジングが、前記メインコンパートメントに隣接し、かつ前記第一の側方コンパートメントの反対側に第二の側方コンパートメントをさらに画定し、前記第二の側方コンパートメントが、前記第二の側方コンパートメントの外面に取り付けられた複数のDCケーブルコネクタを有し、
前記インバータユニットが、前記第二の側方コンパートメントに配置され、前記DCケーブルコネクタに結合するDCバスバーをさらに含み、前記コンデンサが前記DCバスバーに結合される、
請求項3に記載の電力インバータ。
【請求項9】
前記インバータユニットが、前記メインコンパートメント内に配置されたセンサモジュールをさらに含み、前記センサモジュールが、前記インバータ
電力モジュールの電力出力を感知し、前記感知された電力出力に関する情報を前記インバータ制御モジュールに提供するように構成される、
請求項1に記載の電力インバータ。
【請求項10】
前記ハウジングが、前記メインコンパートメントを前記第一の側方コンパートメントから分離する壁をさらに含み、前記センサモジュールが前記壁に、または壁上に配置される、
請求項9に記載の電力インバータ。
【請求項11】
第二のインバータユニットをさらに備え、前記第二のインバータユニットが、
第二のメインコンパートメントおよび前記第二のメインコンパートメントに隣接する第二の側方コンパートメントを画定する第二のハウジングであって、前記第二のハウジングの第二のメインコンパートメントが、
直流(DC)電力を交流(AC)電力に変換するように構成された第二のインバータ電力モジュールと、
前記第二のインバータ電力モジュールを駆動するための駆動信号を提供するように構成された第二のインバータ駆動モジュールと、
制御信号を前記第二のインバータ駆動モジュールに提供するように構成された第二のインバータ制御モジュールと、
前記第二のインバータ電力モジュール、前記第二のインバータ駆動モジュール、または前記第二のインバータ制御モジュールのうちの少なくとも一つの上またはその上方に配置される第二のコンデンサと、を含む、第二のハウジングを含む、
請求項1に記載の電力インバータ。
【請求項12】
前記インバータユニットが、第一のインバータユニットであり、前記第一のインバータユニットが、前記ベースの第一の表面上に位置し、前記第二のインバータユニットが、前記第一の表面と反対側の前記ベースの第二の表面上に位置し、前記ベースが、前記第二のインバータ電力モジュール、前記第二のインバータ駆動モジュール、または前記第二のインバータ制御モジュールのうちの一つまたは複数から熱を奪うようにさらに構成される、
請求項11に記載の電力インバータ。
【請求項13】
前記インバータユニットが、第一のインバータユニットであり、前記第一のインバータユニットが、前記第二のインバータユニットに隣接し、前記第一および第二のインバータユニットが、前記ベースの第一の表面上に位置し、ベースが、前記第二のインバータ電力モジュール、前記第二のインバータ駆動モジュール、または前記第二のインバータ制御モジュールのうちの一つまたは複数から熱を奪うようにさらに構成される、
請求項11に記載の電力インバータ。
【請求項14】
前記ベースを貫通する一つまたは複数の冷却通路をさらに含む、
請求項1に記載の電力インバータ。
【請求項15】
機械であって、
電源、
前記電源に機械的に結合され、交流(AC)電力を生成するように構成される発電機、前記発電機から交流(AC)電力を受け取り、整流された出力を提供するように結合された整流器、
前記整流された出力を受け取り、DC電力出力を提供するように構成される直流(DC)リンク、および、
インバータユニットであって、
メインコンパートメントおよび前記メインコンパートメントに隣接する第一の側方コンパートメントを画定するハウジングであって、前記メインコンパートメントが、
前記DC電力出力をAC電力出力に変換するように構成されたインバータ電力モジュールと、
前記インバータ電力モジュールを駆動するための駆動信号を提供するように構成されたインバータ駆動モジュールと、
前記インバータ駆動モジュールに制御信号を提供して前記AC電力出力を制御するように構成されたインバータ制御モジュールと、
前記DC電力に結合するためのコンデンサであって、前記インバータ電力モジュール、前記インバータ駆動モジュール、または前記インバータ制御モジュールのうちの少なくとも一つの上またはその上方に配置されている、コンデンサと、を備えるハウジング、および、
前記ハウジングがその上に位置するベースであって、前記インバータ電力モジュール、前記インバータ駆動モジュール、または前記インバータ制御モジュールのうちの一つまたは複数から熱を奪うように構成されたヒートシンクを備える、ベースを備える、インバータユニットを備える、機械。
【請求項16】
前記コンデンサが、空洞を画定し、前記インバータ制御モジュール、前記インバータ駆動モジュール、および前記インバータ電力モジュールのうちの少なくとも一部分が、前記空洞内に配置されている、
請求項15に記載の機械。
【請求項17】
前記インバータユニットが、
前記第一の側方コンパートメントの外面に取り付けられた複数のACケーブルコネクタであって、AC負荷または電源に接続するように構成されている複数のACケーブルコネクタと、
前記第一の側方コンパートメント内に配置された複数のACケーブルラグであって、前記複数のACケーブルコネクタにそれぞれ接続されている複数のACケーブルラグと、をさらに含み、
前記複数のACケーブルラグが、前記インバータ電力モジュールに電気的に接続される、
請求項15に記載の機械。
【請求項18】
電力インバータであって、
第一のインバータユニットであって、
第一のメインコンパートメントおよび前記メインコンパートメントに隣接する第一の側方コンパートメントを画定する第一のハウジング部分であって、前記第一のメインコンパートメントが、
直流(DC)電力を交流(AC)電力出力に変換するように構成された第一のインバータ電力モジュールと、
前記
第一のインバータ電力モジュールを駆動するための駆動信号を提供するように構成された第一のインバータ駆動モジュールと、
前記インバータ駆動モジュールに制御信号を提供して前記AC電力出力を制御するように構成された第一のインバータ制御モジュールと、
前記DC電力に結合するための第一のコンデンサであって、前記
第一のインバータ電力モジュール、前記インバータ駆動モジュール、または前記インバータ制御モジュールのうちの少なくとも一つの上またはその上方に配置されている、第一のコンデンサと、を備える、第一のハウジング部分を備える、第一のインバータユニット、および、
第二のインバータユニットであって、
第二のメインコンパートメントおよび前記第二のメインコンパートメントに隣接する第二の側方コンパートメントを画定する第二のハウジング部分であって、前記第二のメインコンパートメントが、
前記DC電力をAC電力に変換するように構成された第二のインバータ電力モジュールと、
前記第二のインバータ電力モジュールを駆動するための駆動信号を提供するように構成された第二のインバータ駆動モジュールと、
制御信号を前記第二のインバータ駆動モジュールに提供するように構成された第二のインバータ制御モジュールと、
前記DC電力に結合するための第二のコンデンサであって、前記第二のインバータ電力モジュール、前記第二のインバータ駆動モジュール、または前記第二のインバータ制御モジュールのうちの少なくとも一つの上またはその上方に配置されている、第二のコンデンサと、を備える第二のハウジング部分を備える、第二のインバータユニット、および、
前記第一および第二のハウジングがその上に位置するベースであって、前記第一および第二の
インバータ電力モジュール、前記第一および第二のインバータ駆動モジュール、または前記第一および第二のインバータ制御モジュールのうちの一つまたは複数から熱を奪うように構成されたヒートシンクを備える、ベースを備える、
電力インバータ。
【請求項19】
前記第一のインバータユニットが前記ベースの第一の表面上に位置し、前記第二のインバータユニットが前記第一の表面と反対側の前記ベースの第二の表面上に位置する、または
前記第一のインバータユニットが前記第二のインバータユニットに隣接し、前記第一および第二のインバータユニットが前記第一の表面上に位置する、
請求項18に記載の電力インバータ。
【請求項20】
前記第一のインバータユニットのDCコネクタを前記第二のインバータユニットのDCコネクタに電気的に結合するDCバスバーと、
前記第一のインバータユニットのACコネクタを前記第二のインバータユニットのACコネクタに電気的に結合するACバスバーと、をさらに含む、
請求項18に記載の電力インバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力インバータ、特にスケーラブル電力インバータを対象とする。
【背景技術】
【0002】
インバータは、パワーエレクトロニクスを利用して、複数の用途や負荷に様々なAC電気出力を供給する。可変速発電セットシステムでは、内燃エンジンまたは他の可変速機械動力源が発電機を機械的に駆動し、可変AC電気出力を提供する。これらの発電セットシステムは、通常、、パワーエレクトロニクスを使用してAC出力を利用・応用する。
【0003】
インバータは、150kWなどの特定の最大電力出力を有する。しかし、用途によって必要なパワーは異なる。例えば、オフハイウェイ機械の用途では、通常、150kW~1,200kWの範囲の電力が必要となる。所与の電力需要を満たすのに十分なインバータを見つけること、電力需要を満たすインバータの組み合わせを収集すること、または特定の用途を処理するためにカスタムインバータを構築することは、困難および/または費用が嵩み得る。
【0004】
インバータ電力を拡大するソリューションが開発されている。例えば、米国特許第9,722,510号(以下、’510特許)は、「モジュラー」プリント回路基板を有するインバータプラットフォームについて記載する。プリント回路基板に取り付けられる構成要素は、所望の量とタイプの出力を提供するために、異なる物理的構成の間で切り替えることができる。例えば、回路基板は、コンデンサバンクのフットプリントを有し、異なるコンデンサの組み合わせを整流器やインバータブリッジに接続することができる。
【0005】
’510特許のソリューションは、ある程度のインバータ構成可能性およびスケーラビリティを提供するが、特定の欠点を有し得る。例えば、究極的には、スケーラビリティと構成可能性は、プリント回路基板のフットプリントと、そのフットプリントに組み込まれる可能性のある特定の構成要素によって制限される。
【0006】
本開示は、既存の技術における一つまたは複数の改良を対象とする。
【発明の概要】
【0007】
一態様は、電力インバータを対象とする。電力インバータは、メインコンパートメントおよびメインコンパートメントに隣接する第一の側方コンパートメントを画定するハウジングを備えたインバータユニットを有し得る。メインコンパートメントは、直流(DC)電力を交流(AC)電力出力に変換するように構成されたインバータ電力モジュール、インバータ電力モジュールを駆動するための駆動信号を提供するように構成されたインバータ駆動モジュール、AC電力出力を制御するための制御信号をインバータ駆動モジュールに提供するように構成されたインバータ制御モジュール、およびDC電力に結合するためのコンデンサを含み得る。コンデンサは、インバータ電力モジュール、インバータ駆動モジュール、またはインバータ制御モジュールの少なくとも一つの上またはその上方に配置され得る。さらに、電力インバータは、ハウジングが位置するベースを有し得、ベースは、インバータ電力モジュール、インバータ駆動モジュール、またはインバータ制御モジュールのうちの一つまたは複数から熱を奪うように構成されたヒートシンクを備える。
【0008】
別の態様は、電源と、電源に機械的に結合され、交流(AC)電力を生成するように構成された発電機と、発電機から交流(AC)電力を受け取り、整流された出力を提供するように結合された整流器と、整流された出力を受け取り、DC電力出力を提供するように構成された直流(DC)リンクを有する機会に関する。機械はまた、メインコンパートメントおよびメインコンパートメントに隣接する第一の側方コンパートメントを画定するハウジングを有するインバータユニットを有し得る。メインコンパートメントは、DC電力出力をAC電力出力に変換するように、またはその逆を行うように構成されたインバータ電力モジュール、インバータ電力モジュールを駆動するための駆動信号を提供するように構成されたインバータ駆動モジュール、およびAC電力出力を制御するための制御信号をインバータ駆動モジュールに提供するように構成されたインバータ制御モジュールを含み得る。さらに、メインコンパートメントは、DC電力に結合するためのコンデンサを有し得、コンデンサは、インバータ電力モジュール、インバータ駆動モジュール、またはインバータ制御モジュールのうちの少なくとも一つの上またはその上方に配置されている。インバータユニットは、ハウジングが位置するベースを有し得、ベースは、インバータ電力モジュール、インバータ駆動モジュール、またはインバータ制御モジュールのうちの一つまたは複数から熱を奪うように構成されたヒートシンクを備える。
【0009】
別の態様は、電力インバータに関する。電力インバータは、第一のメインコンパートメントを画定する第一のハウジング部分、および第一のメインコンパートメントに隣接する第一の側方コンパートメントを有する第一のインバータユニットを含み得る。第一のメインコンパートメントは、直流(DC)電力を交流(AC)電力出力に変換するように構成された第一のインバータ電力モジュール、インバータ電力モジュールを駆動するための駆動信号を提供するように構成された第一のインバータ駆動モジュール、AC電力出力を制御するための制御信号をインバータ駆動モジュールに提供するように構成された第一のインバータ制御モジュール、およびDC電力に結合するためのコンデンサであって、インバータ電力モジュール、インバータ駆動モジュール、もしくはインバータ制御モジュールのうちの少なくとも一つの上、またはその上方に配置されている、コンデンサを含み得る。
【0010】
電力インバータは、第二のメインコンパートメントを画定する第二のハウジング部分、および第二のメインコンパートメントに隣接する第二の側方コンパートメントを有する第二のインバータユニットを含み得る。第二のメインコンパートメントは、DC電力をAC電力出力に変換するように、またはその逆を行うように構成された第二のインバータ電力モジュール、第二のインバータ電力モジュールを駆動するための駆動信号を提供するように構成された第二のインバータ駆動モジュール、制御信号を第二のインバータ駆動モジュールに提供するように構成された第二のインバータ制御モジュール、およびDC電力に結合するための第二のコンデンサであって、第二のインバータ電力モジュール、第二のインバータ駆動モジュール、もしくは第二のインバータ制御モジュールのうちの少なくとも一つの上、またはその上方に配置されている、第二のコンデンサを含み得る。さらに、電力インバータは、第一および第二のハウジング部分がその上に位置するベースを有し得、ベースは、第一および第二の電力モジュール、第一および第二のインバータ駆動モジュール、または第一および第二のインバータ制御モジュールのうちの一つまたは複数から熱を奪うように構成されたヒートシンクを備える。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、機械の例示的な電気駆動システムを示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1の電気駆動システムに関連するインバータのブロック図である。
【
図3】
図3は、開示された実施形態と一致する、
図2のインバータのインバータユニットの一実施形態を示す。
【
図4】
図4は、
図3の二つのインバータユニットを、横並びの組み合わせで示す。
【
図5】
図5は、
図3の二つのインバータユニットを、積重ねの組み合わせで示す。
【
図6】
図6は、
図3の四つのインバータユニットを、横並びと積重ねの両方の組み合わせで示す。
【
図8】
図8は、インバータユニットの第二の実施形態を示す。
【
図10】
図10は、
図8に示すインバータユニットの特定の構成要素を示す部分的透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、例が添付図面に図示される特定の実施形態または特徴を詳細に参照する。可能であれば、対応するまたは類似の参照番号を図面全体にわたって使用して、同じまたは対応する部品を参照する。
【0013】
図1は、機械(図示せず)の例示的な電気駆動システム100を示すブロック図である。機械は、例えば、鉱山、建設、農業、運輸、林業、資材取扱、または任意の他の産業作業などの産業活動に使用されるオンハイウェイまたはオフハイウェイ車両であり得る。機械は、電気駆動システム100を支持するためのフレーム(図示せず)を含み得る。電気駆動システム100は、ホイール、トラック、トレッド、または機械を前進させるための他の装置などの、機械の地面係合装置(図示せず)を駆動するようにさらに構成され得る。機械は、機械の一つまたは複数の操作を制御するための様々なオペレータ入力装置およびインターフェースを取り囲むオペレータステーション(図示せず)をさらに含み得る。
【0014】
図示の通り、電気駆動システム100は、内燃エンジンなどの電源104を有する発電セット103を含み得る。発電セット103内で、電源104は、発電機106に機械的に結合され、発電機106を駆動し得る。発電機106は、電源104から受信した機械的電力入力を可変周波数交流電流(AC)出力に変換するように構成され得る。
【0015】
図1に示すように、発電機106は、例えば、電気的結合を介して、整流器108にAC出力を供給する。整流器108は、AC出力を直流(DC)電力出力に変換し得る。整流器108は、DCリンク112を介してインバータ110にさらに結合されて、インバータ110にDC電力出力を供給し得る。インバータ110は、整流器108から受け取ったDC電力出力をAC電力出力に変換するように構成され得る。インバータ110は、一つまたは複数の電気モータ114にさらに電気的に結合され、機械の動作上の要求に基づいて、可変周波数AC電力出力を電気モータ114に供給するようにさらに構成され得る。
【0016】
電気モータ114は、地面係合装置に結合されて、インバータ110からのAC出力を使用して地面係合装置を駆動し得る。また、電気モータ114は、地面係合装置に作用する重力または運動量が電気モータ114を駆動するために電力を供給する場合など、電力回生イベントの間にDCリンク112を介して電力を供給し得ることも企図される。一実施形態では、発電機106から、または電力回生から生成された電気エネルギーの少なくとも一部を貯蔵するために、バッテリなどのエネルギー貯蔵装置(図示せず)が提供され得る。
【0017】
一部の実施形態では、機械は、一つまたは複数の外部電気装置(図示せず)に電力を供給するように構成された補助電力変換ユニット(図示せず)を有し得る。補助電力変換ユニットは、DCリンク112に電気的に接続され、整流器108からDC出力を受け取り得る。補助電力変換ユニットは、DCリンク112に電気的に接続されるように構成された補助インバータ(図示せず)を含み得る。補助インバータはまた、整流器108から受け取ったDC出力をAC出力に変換するように構成され得る。そのAC出力はさらに、電動工具、溶接機器などの外部電気装置の電力品質要件を満たすために、AC出力中の望ましくない高調波コンテンツを低減することによってAC出力の品質を高めるように構成されたフィルタユニット(図示せず)に伝達され得る。
【0018】
図2は、インバータ110のブロック図表現を示す。インバータ110は、インバータ電力モジュール200、インバータ駆動モジュール202、インバータ制御モジュール204、およびセンサモジュール206を含み得る。
【0019】
インバータ電力モジュール200は、構成に応じて、DC電力をAC電力に変換するか、またはその逆に変換するように構成され得る。インバータ電力モジュール200は、DCリンク112および一つまたは複数の電気モータ114(または他の負荷)に、潜在的にフィルタまたは他の構成要素を介して結合され得る。インバータ電力モジュール200は、DCリンク112からDC電力を受け取り、インバータ駆動モジュール202からの駆動信号に基づいてそれをAC電力に変換し、一つまたは複数の電気モータ114(または他の負荷)にAC電力出力を提供し得る。さらに、インバータ電力モジュール200は、電気モータ114が発電機として機能する電力回生イベント中などに、一つまたは複数の電気モータ114(またはその他の電源)からAC電力を受け取り、AC電力をDC電力に変換し、DC電力をDCリンク112に連結し得る。
【0020】
インバータ電力モジュール200は、半導体ブリッジ回路(図示せず)を含み得る。例えば、回路は、実装に応じて、シリコン絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)または電界効果トランジスタ(FET)の組み合わせを含み得る。あるいは、回路は、炭化ケイ素または窒化ガリウムトランジスタなどのワイドバンドギャップトランジスタの組み合わせを含み得る。また、例としては、トランジスタをマルチレベルインバータブリッジとして構成し、ブリッジの各レッグに中間電圧レベルを提供することにより、出力の電圧制御や入出力の高電圧利用を可能とし得る。
【0021】
インバータ駆動モジュール202は、インバータ電力モジュール200を駆動するための駆動信号を生成し得る。特に、インバータ駆動モジュール202は、インバータ制御モジュール204から制御信号を受け取り、それらの信号に基づいて、インバータ電力モジュール200の駆動ゲート端子へ信号を生成し得る。一実施形態では、インバータ駆動モジュール202は、駆動回路を有するプリント回路基板モジュールを含み得る。
【0022】
インバータ制御モジュール204は、センサモジュール206から、インバータ電力モジュール200のAC電力出力(または入力)の感知された電圧および/または電流に関する情報を含む信号を受信し得る。また、これらの信号に基づいて、インバータ制御モジュール204は、インバータ駆動モジュール202を制御して、所与のインバータ構成に対する所望のAC電力出力(または入力)を生成または変更するための信号を生成し得る。例えば、インバータ電力モジュール200は、単相出力、二相出力、三相出力、分割相出力、または別のタイプの出力用に構成され得る。インバータ制御モジュール204はまた、インバータ電力モジュール200が構成される特定のタイプの電力出力に従って制御信号を生成し得る。一実施形態では、インバータ制御モジュール204は、センサモジュール206から受信した信号を分析して、制御信号を出力として生成するように構成されたコンピューティングハードウェアおよび/またはソフトウェアを備えたプリント回路基板を具現化し得る。
【0023】
一部の実施形態では、インバータ制御モジュール204は、それぞれ、インバータ電力モジュール200が生成するように構成される、異なるタイプの電力出力にそれぞれ対応する、複数の選択可能な電力出力モードを提供し得る。インバータ制御モジュール204は、所望の出力モードを自動的に選択し得るか、またはモードは、インターフェースまたはフィールド診断/構成ツールを介してオペレータによって選択され得る。
【0024】
センサモジュール206は、AC出力(または入力)の電流および/または電圧を感知するように構成されたセンサを有し得る。例えば、センサモジュール206は、生成される(またはインバータ電力モジュール200によって受け取られる)AC電力出力(または入力)の各相のセンサを有し得る。さらに、センサモジュール206は、AC電力出力(または入力)の感知された電流および/または電圧に関する情報をインバータ制御モジュール204に提供し得る。インバータの他のモジュールと同様に、センサモジュール204は、例えば、AC出力または入力の電気的特性を感知し、感知された電気的特性を分析し、感知された電気的特性に関する情報をインバータ制御モジュール204に提供するための適切なハードウェア、ソフトウェア、および/またはセンサを有するプリント回路基板を備え得る。
【0025】
図3は、インバータ110の単一のインバータユニット300の一実施形態の表現を示す。以下で説明する通り、開示された実施形態に従い、インバータ110は、一つまたは複数のインバータユニット300を、一つまたは複数のインバータユニット300を単一のパッケージに組み合わせることによって、ある電力レベルの範囲にわたってスケーリングすることを可能にする、一つまたは複数のインバータユニット300を備え得る。
【0026】
図3に示すように、インバータユニット300は、第一の側方コンパートメント304、第二の側方コンパートメント306、およびメインコンパートメント308を有するハウジング302を備え得る。ハウジング302は、ヒートシンクであり得るベース309上に着座して取り付けられ得る。
図3に示す実施形態では、メインコンパートメント308は、第一の側方コンパートメント304と第二の側方コンパートメント306の間に中央位置を有し得る。第一の側方コンパートメント304および第二の側方コンパートメント306は、メインコンパートメント308に対して互いに対向し得る。
【0027】
一部の実施例では、ハウジング302は、押出アルミニウム、またはアルミニウム合金から作製され得、インバータユニット300に張力緩和を提供する。
図3は、オープンフレームとしてハウジング302を示すが、ハウジングは、設計目的に従って、または規制によって要求されるように、取り付けられたときに外部環境からインバータ110を密閉するカバー(図示せず)を備え得る。一実施形態では、ハウジング302は、立方体(すなわち、箱)形状を有し得る。
【0028】
第一の側方コンパートメント304は、インバータユニット300のAC接続構成要素を収容および/または支持し得る。例えば、
図3に示すように、ACケーブルコネクタ310は、第一の側方コンパートメント304の上面312に取り付けられ得る。上面312に固定された時に、ACケーブルコネクタ310は、第一の側方コンパートメント304の内部と外部環境との間に封止を形成し得る。動作中、一組の電気ケーブル(図示せず)の第一端は、ACケーブルコネクタ310に接続され得、一組の電気ケーブルの第二端は、用途に応じて、他の回路(例えば、フィルタ)を介して、電気モータ114などのAC負荷または電源に直接的または間接的に接続し得る。
図3では、ACケーブルコネクタ310がカバーを着けた状態で示される。カバーは、電気ケーブルを取り付けるために取り外され得る。
【0029】
第一の側方コンパートメント304内で、それぞれのACケーブルラグ314は、第一端でACケーブルコネクタ310に接続し、第二端に向かって、第一の側方コンパートメント304をメインコンパートメント308から分離する壁316を通過し得る。さらに、第一の側方コンパートメント304内のACバスバー(図示せず)は、それぞれのACケーブルラグ314および対応するACケーブルコネクタ310を並列に結合し得る。ACケーブルラグ314は、メインコンパートメント308の電力モジュール200からAC電力出力を受け取り、それをACケーブルコネクタ310に伝達する役割を果たし得る。あるいは、例えば電力回生中に、コネクタ310でAC電力が受け取られると、ACケーブルラグ314は、ACケーブルコネクタ310から入力されたAC電力をメインコンパートメント308の電力モジュール200に伝送し得る。封止を提供することに加えて、第一の側方コンパートメント304は、ACケーブルコネクタ310に及ぼされる力がインバータユニット300の内部構成要素に伝達されることを防止する張力緩和を提供し得る。
【0030】
第二の側方コンパートメント306は、インバータユニット300のDC接続構成要素を収容および/または支持し得る。例えば、
図3に示すように、DCケーブルコネクタ318は、第二の側方コンパートメント306に、上面320に取り付けられ得る。DCケーブルコネクタ318は、上面320に固定されると、上面320を通って第二の側方コンパートメント306内に延び、第二の側方コンパートメント306の内部と外部環境との間に封止を形成し得る。動作中、一組の電気ケーブル(図示せず)の第一端は、DCケーブルコネクタ318に接続され得、一組の電気ケーブルの第二端は、用途に応じて、DCリンク112などのDC負荷または電源に直接的または間接的に接続され得る。
図3では、DCケーブルコネクタ318は、カバーを着けた状態で示されているが、カバーは電気ケーブルを取り付けるために取り外され得る。
【0031】
第二の側方コンパートメント306内で、DCケーブルコネクタ318はDCバスバー322に結合され得る。DCバスバー322は、DCケーブルコネクタ318からDC電力を受け取り、メインコンパートメント308内のインバータの内部回路にDC電力を提供する役割を果たし得る。
図3に示すように、DCバスバー322は、第二の側方コンパートメント306をメインコンパートメント308から分離する壁324に取り付けられ得る。DCバスバー322は、インバータユニット300の前面326からインバータユニット300の後面328まで延在し、DCケーブルコネクタ318を並列に接続し得る。
【0032】
電力が反対方向に流れる時、DCバスバー322は、内部インバータ回路からDC電力を受け取り、接続されたDC負荷に給電するためにDCケーブルコネクタ318にそれを渡す役割を果たし得る。封止を提供することに加えて、その上面320を含む第二の側方コンパートメント306は、DCケーブルコネクタ318に及ぼされる力がインバータユニット300の内部構成要素に伝達されることを防止する張力緩和を提供し得る。[Eric/Johnson-張力緩和について何か付け加えることは?ここに詳細を記入してください。必要に応じて見直し/修正することができます。〕
【0033】
実施例では、インバータユニット300の複数のインスタンスは、利用可能な総出力を増加させるために、単一のハウジング302内に並んでパッケージ化され得る。例えば、単一のインバータユニット300が150kWの最大電力出力を提供すると仮定する。利用可能な総電力出力を300kWに倍増させるために、二つのインバータユニット300を同じハウジング302内に並べてパッケージして単一のインバータ110とし得る。この構成を
図4に示す。
【0034】
図4に示すように、この構成では、一つのインバータユニット300の前面326は、隣接するインバータユニット300の後面328に隣接している。隣接するユニット300のDCバスバー322は、並列に結合され、例えば、単一のより長いバスバーを形成し得る。すなわち、一つのインバータユニット300のDCバスバー322は、そのインバータユニット300の前面326および/または後面328を超えて、隣接するインバータユニット300の第二の側方コンパートメント306内に引き続き延在し得、DCバスバー322は、隣接するインバータユニット300のDCケーブルコネクタ318に同様に結合する。隣接するインバータユニット300のACバスバーも同様に並列に結合し、隣接するユニット300のACケーブルコネクタ310を並列に結合し得る。
【0035】
この構成は、いくつかの利点を提供し得る。例えば、並列に接続されているため、ACケーブルコネクタ310の単一のセットおよび/またはDCケーブルコネクタ318の単一のセットを使用して、両方のインバータユニット300の電源にアクセスし、残りのコネクタ310および/または318は、未使用のまま、例えばカバーが着いたままであり得る。一方で、より大きな量の電力および/または電流を処理するために、コネクタ310および/または318の複数のセットを使用し得る。さらに、コネクタ310および/または318の追加のセットは、複数の電源(例えば、発電機)または複数の負荷(例えば、モータ)を、複数の電源または負荷をコネクタ310および/または318の同じセットに電気的に結合するために追加のハードウェアを必要とすることなく、同じ電気ノードにそれぞれ接続することを可能にし得る。さらに、示されるように、この並列構成では、複数のインバータユニット300は、同じベース309を共有し得る。
【0036】
別の実施例では、二つのインバータユニット300は、同じベース309を共有するように、スタック(すなわち、背中合わせ)で組み合わされ得る。この構成では、
図5に示すように、二つのインバータユニット300は、共通のDCバスバー322および共通のACバスバーを共有し得る。例えば、一つのユニット300のDCバスバー322は、第二の側方コンパートメント306の底部内面330の開口部を通って、ベース309の開口部を通って、下方の隣接するインバータユニット300の第二の側方コンパートメント306の底部内面330の開口部を通って延在し得る。DCバスバー322は、隣接するインバータユニット300の第二の側方コンパートメント306内に引き続き延在し得、DCバスバー322は同様に、隣接するインバータユニット300のDCケーブルコネクタ318に、第一のユニット300のものと並列に結合する。ACバスバーは、二つの積み重ねられたインバータユニット300のACケーブルコネクタ310を並列に接続するための同様の構成を有し得る。
【0037】
さらに他の実施形態では、二つのインバータユニット300の複数は、隣り合わせおよび背中合わせの両方(すなわち、シーケンスおよびスタックの両方)で組み合わされ得る。例えば、複数のインバータユニット300を隣り合わせおよび背中合わせで構成することにより、ユニット300を効果的に並列化しながら、異なる用途のための異なるフォームファクタまたはフットプリントに対応し得る。この構成は、
図6に示され、この方法で組み合わされた四つのインバータユニット300が図示される。これらの構成の各々は、共通のベース309と共通のバスバーを共有しながら、異なるフットプリントの下で出力のスケールアップを可能にする。特定の構成は、所与の用途におけるインバータに対する特定のサイズ/形状の制約を含む、様々な要因に基づいて選択され得る。
【0038】
図3に戻ると、メインコンパートメント308は、インバータユニット300の回路を収容し得る。特に、メインコンパートメント308は、インバータ電力モジュール200、インバータ駆動モジュール202、インバータ制御モジュール204、およびセンサモジュール206を含み得る。さらに、メインコンパートメント308は、他の構成要素の中でも特にコンデンサ332を含み得る。
【0039】
一実施形態では、インバータ電力モジュール200、インバータ駆動モジュール202、およびインバータ制御モジュール204のうちの一つまたは複数は、メインコンパートメント308内のスタック334に配置され得る。より明確にするために、
図7は、インバータユニット300の分解図でスタック334を特定している。
図7に示すように、インバータ電力モジュール200は、メインコンパートメント308の底部内面330上に着座して取付られ得る。インバータ駆動モジュール202は、インバータ電力モジュール200の上または上方に位置し得、インバータ制御モジュール204は、インバータ駆動モジュール202の上または上方に位置し得る。
【0040】
コンデンサ332は、インバータ制御モジュール204の上または上方に位置し得、DCバスバー322の正端子と負端子の間に結合され得る。一実施形態では、コンデンサ332は、その下面338に空洞336を含み得、この空洞は、例えば、下に積み重ねられた一つまたは複数のモジュール200~204を、少なくとも部分的に取り囲むなど、収容し得る。空洞336を形成するために、コンデンサ332は、底部内面330に向かって延在し、積み重ねられた一つまたは複数のモジュール200~204を横方向に封入する横方向突起340を有し得る。横方向突起340は、コンデンサのハウジングの一部であり得、または所望のアセンブリといずれかの構成のコスト上の利点に応じて、別個の取付式金具要素であり得る。図に示すように、コンデンサ332は、メインコンパートメント308の体積の大部分を充填し得る。
【0041】
コンデンサ332は、DCリンク112の正端子と負端子の間に結合され得る。動作中、コンデンサ332は、電源および/または負荷が変化する際のDCリンク112上の電圧変動の影響を低減し得る。開示された実施形態に従い、コンデンサ332は、高温および/または高密度のコンデンサであり得る。例えば、一実施形態では、コンデンサ332は、こうした電力インバータ用途で一般的に使用される従来的な標準的なポリプロピレンフィルムコンデンサと比較して、高温に対応可能なである新しいタイプのコンデンサ技術を具現化し得る。コンデンサ332は、こうした従来的なコンデンサの二倍のエネルギー密度を示し得る。この構成によって、コンデンサ332をインバータユニット300に配置する自由度を高めることができる。例えば、コンデンサ332を一つまたは複数のモジュール200~204上に直接配置することにより、電気的性能が向上し、パッケージ全体のサイズが縮小するため、ハウジング302に押出成形プロセスが使用できるようになり、さらにコストが削減可能となる。従来のフィルムコンデンサは、動作温度限界がおよそ115℃であり、ハウジング302の押出成形プロファイルの寸法制限内に収まらないため、一つまたは複数のモジュール200~204上に直接配置することができない場合がある。
【0042】
メインコンパートメント308はまた、センサモジュール206を含み得る。一実施形態では、センサモジュール206は、メインコンパートメント308を第一の側方コンパートメント304から分離する壁316の上または壁316に配置され得る。壁316を通過するACケーブルラグ314は、センサモジュール206へのそれぞれの接続を有し得る。
【0043】
ベース309は、インバータユニット300の構造的な支持体としての役目を果たし得る。インバータユニット300のハウジング302は、ベース309の上面342に着座して取り付けられ得る。ヒートシンクであり得るベース309は、インバータ電力モジュール200から、およびハウジング302から熱を奪い得る。ベース309は、ベース309の温度を制御するために流体冷却剤(例えば、水)を循環させる、ベース309を通って長さ方向に延在する一つまたは複数の冷却剤パイプ344を有し得る。複数のインバータユニット300が横並びにパッケージされている場合、冷却剤パイプ344は、共通ベース309内で複数のユニット300の長さまで延長し得る。
【0044】
複数のインバータユニット300が、
図5に示すように、背中合わせに積み重ねられる場合、一方のインバータユニット300は、ベース309の上面342に着座して取り付けられ得、他方のインバータユニット300は、ベース309の下面346に着座して取り付けられ得る。このように、積重ねられたインバータユニット300は、同じベース309を共有し得る。一実施形態では、ベース309は、押出成形アルミニウムまたはアルミ合金で作製され得る。
【0045】
図8は、カバー800を含む、分解されたハウジング302を有するインバータユニット300(三台を図示)の別の実施形態を示す。ハウジング302は、押出成形アルミニウムまたはアルミ合金から作製され得、立方体形状を有し、
図3について上で論じられたものと同様に、インバータユニット300の張力緩和と封止を提供する。この代替的な実施形態では、ハウジング302は、メインコンパートメント308を有するが、ただ一つの側方コンパートメント802を有し得、ACコネクタおよびDCコネクタは、インバータユニット300の同じ側、すなわち側方コンパートメント802の側面上に存在し得る。
【0046】
図8の実施形態の複数のインバータユニット300は、
図4および5に関して上述したように、横並びおよび/または背中合わせで組み合わされ、共通ベース309を共有し得る。したがって、開示されたインバータのスケーラビリティは、ベース309の単一の側面上のハウジング302内でスケーリングすること、ベース309の各側面上にある二つのハウジング302内でスケーリングすること、それらのDCバスバー322が外部で相互接続した状態で、同じハウジング302で複数のインバータユニット300を横並びに配置すること、および/または、それらのDCバスバー322が外部で相互接続した状態で、ベース309に対して複数のインバータユニット300を背中合わせに配置すること、によって達成され得る。
図8は、
図4の二つのインバータユニット300と同様、同じ断面形状を有し、共通のベース309上にある拡張ハウジング302内に、三つの同一のインバータユニット300が横並びに配置されていることを理解すべきである。
【0047】
側方コンパートメント802は、インバータユニット300のAC接続構成要素を収容および/または支持し得る。そのカバーが取り除かれた状態で
図8に示すACケーブルコネクタ804は、側方コンパートメント802の上面806に取り付けられ得る。上面806に固定された時に、ケーブルコネクタ804は、側方コンパートメント802の内部と外部環境との間に封止を形成し得る。動作中、一組の電気ケーブル(図示せず)の第一端は、ケーブルコネクタ804に接続され得、一組の電気ケーブルの第二端は、構成に応じて、AC負荷または電源に接続され得る。
【0048】
側方コンパートメント802内で、それぞれのケーブルラグ808は、一方の端でケーブルコネクタ804に接続され、他方の端で、AC端子ブロックアセンブリ810に固定され得る。これは、代替的な実施形態のインバータユニット300の分解図を示す、
図9で見ることができる。端子ブロックアセンブリ810は、側方コンパートメント802をメインコンパートメント308から分離する壁812に取り付けられ得る。
【0049】
ケーブルラグ808は、メインコンパートメント308の内部インバータ回路からAC電力出力を受け取り、それをACケーブルコネクタ804に伝達し得る。また、電力が他方向に流れる場合、ACケーブルラグ808は、ACケーブルコネクタ804からAC電力入力を受け取り、それをメインコンパートメント308のインバータ回路に渡し得る。封止を提供することに加えて、側方コンパートメント802は、ACケーブルコネクタ804に及ぼされる力がインバータユニット300の内部構成要素に伝達されることを防止する張力緩和を提供し得る。壁812上への端子ブロックアセンブリ810の取付によって、さらに、ケーブルコネクタ804にかかる力がメインコンパートメント308内に収容されたインバータの構成要素に伝達されるのを防ぐ構造的な支持体が提供される。
【0050】
メインコンパートメント308は、インバータユニット300の回路を収容し得る。特に、メインコンパートメント308は、インバータ電力モジュール200、インバータ駆動モジュール202、インバータ制御モジュール204、およびセンサモジュール206を含み得る。さらに、メインコンパートメント308は、コンデンサ332を含み得る。
【0051】
図3の実施形態と同様に、インバータ電力モジュール200、インバータ駆動モジュール202、およびインバータ制御モジュール204のうちの一つまたは複数は、メインコンパートメント308内で、コンデンサ332と共にスタック334で配置され得る。インバータ電力モジュール200は、メインコンパートメント308の底部内面330上に着座して取付けられ得る。インバータ駆動モジュール202は、インバータ電力モジュール200の上または上方に位置し得、インバータ制御モジュール204は、インバータ駆動モジュール202の上または上方に位置し得る。
【0052】
コンデンサ332は、インバータ制御モジュール204の上または上方に位置し得、DCバスバー322の正端子と負端子の間に結合され得る。
図10は、第二の実施形態のインバータユニットに対するDCバスバー322の構成を示す。側方コンパートメント802の側面において、DCバスバー322の第一端は、ケーブルコネクタ804のうちの二つのサブセット1000に対応する端子ブロック810に結合され得る。DCバスバー322は、側方コンパートメント810の側面から、ハウジング302の底部内面330に沿って、DCリンク112に接続するメインコンパートメント308の反対側の端部まで延在し得る。図に示すように、コンデンサ332は、メインコンパートメント308の体積の大部分を充填し得る。開示された実施形態に従い、コンデンサ332は、高温および/または高密度のコンデンサであり得る。
【0053】
メインコンパートメント308はまた、センサモジュール206を含み得る。一実施形態では、センサモジュール206は、メインコンパートメント308を側方コンパートメント802から分離する壁812の上または壁812に配置され得る。壁812を通過する端子ブロックアセンブリ810の後部は、センサモジュール206およびACバスバー1002へのそれぞれの接続を有し得る。
【産業上の利用可能性】
【0054】
開示された実施形態は、電力レベルの範囲にわたってインバータをスケーリングすることが望ましい環境で用途を見出すことができる。開示されたインバータユニット300は、単独で、またはより高い出力レベルのために追加のインバータユニット300と組み合わせられ得る。これにより、電力とコストの間、インバータの電力が大きくなるほどコストが高くなる非線形の関係ではなく、直線的な関係を有するカスタムソリューションが可能となり得る。この利点は、ハウジング302および/またはベース309を、所定の電力用途に必要なインバータユニットの数に対応する所望のサイズに押し出す能力に部分的に起因し得る。
【0055】
例えば、ある顧客は、単一のインバータユニット300が生産することのできる、150kWを必要とするアプリケーションを有し得る。この場合、ハウジング302およびベース309は、押出成形されて、単一のインバータユニット300のパッケージングを提供し得る。しかし、別の顧客は、八台のインバータユニット300(1,200/150=8)が必要となる、1,200kwを必要とするアプリケーションを有し得る。この場合、顧客は、スペースの制約などに応じて、八台のインバータユニット300に対して二つのパッケージオプション(またはスタック)のいずれかを選択し得る。例えば、顧客は、八つのユニット300が(
図4のように)配置される、ある特定の長さを有するパッケージを選択し得る。あるいは、顧客は、(
図6のように)八つのユニット300が、四つのユニット300を二つに積み重ねるように配置されたパッケージを顧客が選択してもよく、この場合、長さは約半分になるが、高さは大きくなる。共有ハウジング302とベース309を適宜押出成形することにより、これらのタイプのパッケージのいずれにも対応し得る。
【0056】
さらに、コンデンサ332およびモジュール200~204の一つまたは複数を含むインバータユニット300内のスタック334は、スケーラビリティを可能にするハウジング302内のインバータ構成要素の効率的な物理的パッケージングを可能にする。従来のインバータでは、このようにしてコンデンサをインバータモジュール上に積み重ねると、コンデンサ、および潜在的には一つまたは複数の電子モジュールが過熱し、インバータの故障につながる可能性があった。したがって、従来の知恵は、本明細書に記述されるインバータパッケージのタイプから遠ざかる。しかしながら、本明細書に開示される高エネルギー、高密度のコンデンサ332を使用することにより、熱的に実現可能であるため、本明細書に記載の構成要素の物理的に効率的な積み重ねが可能となる。
【0057】
本開示の態様は、上記の実施形態を参照しながら特に示され、かつ記述されてきたが、開示された内容の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な追加の実施形態が、開示された機械、システムおよび方法の修正によって企図されうることが当業者には理解されるであろう。こうした実施形態は、特許請求の範囲およびその任意の均等物に基づき決定される本開示の範囲内に収まることが理解されるべきである。