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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】引戸装置の清掃具
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/06 20060101AFI20240807BHJP
   E06B 7/28 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
E05D15/06 107
E05D15/06 117
E06B7/28 K
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020104917
(22)【出願日】2020-06-17
(65)【公開番号】P2021195832
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000137959
【氏名又は名称】株式会社ムラコシ精工
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】100167863
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 恵
(72)【発明者】
【氏名】横山 辰朗
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-14022(JP,A)
【文献】特開2008-25300(JP,A)
【文献】登録実用新案第3138243(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/06-15/14
E06B 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
引戸の上側または下側に設置された戸車に取り付けられ、前記戸車の上側または下側に付着した塵埃を清掃する清掃手段を備えた引戸装置の清掃具であって、
上下方向に延在し、前記戸車の回転軸と係合する回転軸挿入穴を有し、当該清掃具を上側または下側から押し込んで取り付けた状態で、前記戸車を弾性で挟むようにして前後方向の両端部で前記戸車の回転軸と前記回転軸挿入穴とが係合する弾性壁部を備え、
前記弾性壁部には、その上端部から前記回転軸挿入穴まで連続し、前記弾性壁部の上部を左右に分断するスリットが設けられていることを特徴とする引戸装置の清掃具。
【請求項2】
引戸の上側または下側に設置された戸車に取り付けられ、前記戸車の上側または下側に付着した塵埃を清掃する清掃手段を備えた引戸装置の清掃具であって、
上下方向に延在し、前記戸車の回転軸と係合する回転軸挿入穴を有し、当該清掃具を上側または下側から押し込んで取り付けた状態で、前記戸車を弾性で挟むようにして前後方向の両端部で前記戸車の回転軸と前記回転軸挿入穴とが係合する弾性壁部を備え、
前記弾性壁部の下部には、前記弾性壁部を前後方向の内側に押圧したときに前記弾性壁部の上部が前後方向の外側に開く押圧部が設けられていることを特徴とする引戸装置の清掃具。
【請求項3】
前記戸車の内側面と当接して、当該清掃具の回動を防止する係合突起を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の引戸装置の清掃具。
【請求項4】
前記弾性壁部の上端には、外側から内側に向けて斜め下側に傾斜するテーパーが形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の引戸装置の清掃具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引戸装置に用いられ、下ガイドレール或いは床面に付着する塵埃を除去するための清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
建屋に用いられる引戸装置は、引戸の下側に取り付けられたローラーが下ガイドレール(或いは床面)の上を走行することで開閉する。この下ガイドレールに塵埃が溜まると、走行中のローラーがこの塵埃に乗り上げて、引戸の移動を妨げたり異音を発生させることがある。そのため、引戸の開閉移動に合わせてガイドレール(或いは床面)上を清掃することができる清掃具が種々考案されている。
【0003】
例えば、特許文献1および特許文献2の技術では、引戸の走行に伴って常時床面に配置したレールを清掃して常に引戸の円滑な開閉を可能にするものである。また、引戸に対する車輪の高さ位置を調節しても、清掃具も一緒に高さ方向に移動することで、確実に清掃機能を発揮することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-25300号公報
【文献】特開2015-227564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の清掃具は、戸車のローラーの回転軸に一体に取り付けられる。この清掃具は、回転軸をローラーから取り外さなければ着脱することができないため、取付や交換作業が容易ではない。
【0006】
また、特許文献2の清掃具は、ローラーの装着座に清掃具を取り付けるものであるが、この取付は折曲げ爪を曲げることによって行われる。しかしながら、狭いスペースでの折曲げ作業は容易ではなく、取付や交換作業に手間がかかる。また、折曲げ爪で固定する方法では、清掃具の取付位置がずれ易く、ずれてしまうと十分な清掃が行えないおそれがある。
【0007】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、戸車に取り付ける清掃具を容易に着脱することができる引戸装置の清掃具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述課題を解決するため、本発明の引戸装置の清掃具は、引戸の上側または下側に設置された戸車に取り付けられ、前記戸車の上側または下側に付着した塵埃を清掃する清掃手段を備えたものであり、上下方向に延在し、前記戸車の回転軸と係合する回転軸挿入穴を有し、当該清掃具を上側または下側から押し込んで取り付けた状態で、前記戸車を挟むようにして前後方向の両端部で前記戸車の回転軸と前記回転軸挿入穴とが係合する弾性壁部を備え、前記弾性壁部には、その上端部から前記回転軸挿入穴まで連続し、前記弾性壁部の上部を左右に分断するスリットが設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の引戸装置の清掃具は、引戸の上側または下側に設置された戸車に取り付けられ、前記戸車の上側または下側に付着した塵埃を清掃する清掃手段を備えたものであり、上下方向に延在し、前記戸車の回転軸と係合する回転軸挿入穴を有し、当該清掃具を上側または下側から押し込んで取り付けた状態で、前記戸車を挟むようにして前後方向の両端部で前記戸車の回転軸と前記回転軸挿入穴とが係合する弾性壁部を備え、前記弾性壁部の下部には、前記弾性壁部を前後方向の内側に押圧したときに前記弾性壁部の上部が前後方向の外側に開く押圧部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、前記戸車の内側側面と当接して、当該清掃具の回動を防止する係合突起を設けることもできる。
【0011】
さらに、前記弾性壁部の上端には、外側から内側に向けて斜め下側に傾斜するテーパーが形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る引戸装置の清掃具は、上下方向に延在し、前記戸車の回転軸と係合する回転軸挿入穴を有し、当該清掃具を下側から押し込んで取り付けた状態で、前記戸車を挟むようにして前後方向の両端部で前記戸車の回転軸と前記回転軸挿入穴とが係合する弾性壁部を備え、前記弾性壁部には、その上端部から前記回転軸挿入穴まで連続し、前記弾性壁部の上部を左右に分断するスリットが設けられているので、この弾性壁部の弾性を利用して清掃具をワンタッチで容易に着脱することができる。そのため、清掃具の取付・交換作業時に、戸車を引戸から取り外す必要がなく、作業時間を短縮することができる。また、回転軸と係合することで、清掃具の位置がずれにくく、確実に清掃を行うことができる。
【0013】
また、本発明に係る引戸装置の清掃具は、上下方向に延在し、前記戸車の回転軸と係合する回転軸挿入穴を有し、当該清掃具を下側から押し込んで取り付けた状態で、前記戸車を弾性で挟むようにして前後方向の両端部で前記戸車の回転軸と前記回転軸挿入穴とが係合する弾性壁部を備え、前記弾性壁部の下部には、前記弾性壁部を前後方向の内側に押圧したときに前記弾性壁部の上部が前後方向の外側に開く押圧部が設けられているので、上述した構成のものと同等の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る清掃具が取り付けられた引戸装置であって、戸車がガイドレールに載せられた状態を示す斜視概要図である。
図2図1の状態から、引戸を持ち上げた状態を示す斜視概要図である。
図3】戸車の単体を示す正面図であって、清掃具を取り付けた状態である。
図4図3を斜め下側から見た斜視図である。
図5図4から清掃具を取り外した状態を示す分解斜視図である。
図6図3のB-B断面図である。
図7】(A)は図3で示す戸車の右側面図、(B)は(A)のA-A断面図である。
図8】本発明の第1実施形態における清掃具の単体を右斜め上から見た斜視図である。
図9】本発明の第1実施形態における清掃具であって、(A)は底面図、(B)は正面図、(C)は右側面図である。
図10】本発明の第2実施形態における清掃具の単体を右斜め上から見た斜視図である。
図11】本発明の第2実施形態における清掃具であって、(A)は正面図、(B)は(A)の状態から清掃具をM方向に曲げた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る引戸装置の清掃具について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る清掃具20が取り付けられた引戸装置1の斜視図、図2は、図1の状態から、引戸2を持ち上げた状態を示す斜視図である。
【0016】
なお、本実施の形態で使用する前後、左右、上下方向とは、利用者が引戸装置1を正面から見たときの方向をいい、図1で示す方向をいうものとする。また、引戸2の開閉方向とは、左右方向をいうものとする。
【0017】
引戸装置1は、図1図2に簡略に示すように、左右方向に移動して開閉する引戸2を備えており、この引戸2の下側には、下ガイドレール3の上に載せられて、引戸2の荷重を受ける戸車10が取り付けられている。また、引戸2の上側にも、引戸2を開閉方向へ案内する上ガイドレール(図示せず)およびガイドローラー(図示せず)が設けられている。
【0018】
なお、本実施例の引戸装置1では、下ガイドレール3に戸車10のローラー15a(図3~5参照)が載せられる態様で組み付けられているが、下ガイドレール3を設けずに、建屋の床面上をローラー15aが直接に走行するものもある。また、上ガイドレールで引戸2の荷重を受け、下ガイドレール3と戸車10で少しの荷重と前後方向への位置を規制するものもある。
【0019】
(第1実施形態)
図3は、戸車10の単体を示す正面図であって、清掃具20を取り付けた状態であり、図4は、図3を斜め下側から見た斜視図である。また、図5は、図4から清掃具20を取り外した状態を示す分解斜視図、図6は、図3のB-B断面図である。さらに、図7(A)は、図3で示す戸車の右側面図、図7(B)は、図7(A)のA-A断面図である。
【0020】
戸車10は、戸車10の外側を形成する戸車取付部11と、この戸車取付部11の中央下側に取り付けられるローラーホルダー15とで構成されている。この戸車10は、引戸2の下側に設けられた円弧状の切り欠きに、後側から前側に向けて押し込むようにして嵌め込んだ後に、ねじを用いて固定される。
【0021】
戸車取付部11は、上述した切り欠き形状に対応し、下側が開口するコ字形状に形成された側面部11aと、前側部分に位置する化粧面11cとで構成されている。また、化粧面11cには、戸車10を引戸2に固定するための取付皿穴11bが設けられている。
【0022】
ローラーホルダー15は、略矩形状に形成されており、側面部11aの上述したコ字形状の内部に挿入される。このローラーホルダー15は、挿入された状態で、上下方向に摺動可能に取り付けられている。また、ローラーホルダー15には、前後方向に延びる回転軸15bが設けられ、この回転軸15bを中心に回転可能なローラー15aが取り付けられている。
【0023】
ローラーホルダー15は、図7(B)に示すように、高さ調整ねじ12を工具で回転させることで、上下の高さ位置が微調整できるようになっている。より詳細には、側面部11a側に設けられた駆動部13aが、ローラーホルダー15側に設けられた従動部13bを図示しないロッドを用いて引き上げる(引き下げる)ことで、ローラーホルダー15が上下に移動するようになっている。これにより、ローラー15aは、引戸2の下面に対して上下方向の位置が微調整される。このようにローラーホルダー15(ローラー15a)の高さ位置が微調整された状態では、ローラー15aの下側は、側面部11aの下側から突出するようになる。
【0024】
上述した戸車10は、従来から使用されているものであり、既設の建屋で一般的に使用されている。この戸車10が引戸2に取り付けられた状態で、本発明の清掃具20を下側から着脱自在に取り付けられる。なお、当然に、新たに設置される引戸装置1の戸車10に、本発明の清掃具20を取り付けることもできる。
【0025】
図8は、清掃具20の単体を右斜め上から見た斜視図である。また、図9(A)は、清掃具20の底面図、(B)は正面図、(C)は右側面図である。
【0026】
清掃具20は、上側に位置する取付部21と、この取付部21の下側に、左右方向に間隔を空けて(ローラー15aを左右方向に挟むように)取り付けられた2つのモヘア25(清掃手段)とで構成されている。この清掃具20は、戸車10の下側から垂直に押し込むことでワンタッチで取り付けられ、詳細は後述するF部を押圧しながら下側に引き抜くことで容易に取り外すことができるものである。
【0027】
取付部21は、図8および図9に示すように、前後方向に離間する2つの弾性壁部22、22と、この弾性壁部22、22の左右方向の外側にそれぞれ配置され、弾性壁部22、22を前後方向に連結する清掃手段取付部23、23とで構成されている。また、図9(A)に示すように、平面視において、2つの弾性壁部22、22および2つの清掃手段取付部23、23とで囲まれた内部空間21aの四隅には、上下方向に突出する4つの係合突起24が設けられている。
【0028】
この取付部21は、弾性を有する樹脂材料によって一体に成型されている。また、弾性を有する素材であれば、金属製であってもよく、弾性壁部22、22と清掃手段取付部23、23とを別体で構成してもよい。
【0029】
弾性壁部22は、図9(B)に示すように、正面から見て上側に突出する山形形状を成しており、その中央部に回転軸挿入穴22aが前後方向に貫通する態様でそれぞれ設けられている。この弾性壁部22、22は、図4および図5に示すように、清掃具20を取り付ける際に、戸車10を前後方向で挟み込むように取り付けられるとともに、回転軸挿入穴22a、22aは、戸車10の前後方向に若干突出する回転軸15bにそれぞれ係合する。このように回転軸15bに係合させることで、清掃具20は、その上下方向および左右方向の取付位置が規制されるとともに、清掃具20が戸車10に固定される。
【0030】
この弾性壁部22は、垂直、或いは内部空間21a側に若干傾くようにして形成されている。これにより、戸車10を挟むようにして清掃具20を取り付けた状態では、2つの弾性壁部22は、その弾性によって戸車10を挟持する。
【0031】
また、弾性壁部22の上縁部には、図8に示すように、弾性壁部22の前後方向の外側から内部空間21aに向けて下側に傾斜するテーパー22bが設けられている。このテーパー22bは、清掃具20を戸車10の下側から押し込んで取り付けるときに戸車10の回転軸15bに当接し、弾性壁部22の上部が前後方向の外側に開くことでワンタッチで容易に取り付けられるようになっている。
【0032】
さらに、弾性壁部22の下部には、回転軸挿入穴22aの下側に位置する押圧部Fが設けられている。この押圧部Fは、前後方向の外側から内側へそれぞれ押圧力を付加すると、弾性壁部22の弾性によって弾性壁部22の上側が前後方向の外側(押圧する方向と反対方向)にそれぞれ開くようになっている。この外側に開く量は、弾性壁部22の板厚を最適な寸法に設計することによって決定される。これにより、清掃具20を戸車10から取り外すときに、この押圧部Fを押すことによって、回転軸15bと回転軸挿入穴22aの係合が解除され、ワンタッチで容易に取り外せるようになる。
【0033】
係合突起24は、清掃具20を戸車10に取り付けた状態で、ローラーホルダー15の内側側面に接触し、かつ、ローラー15aとは接触しない位置に設けられている。これは、清掃具20を取り付ける際に、取付部21が回転軸15bにのみ係合するようにした場合、引戸2の開閉移動時に清掃具20が回転軸15bを中心に左右方向に回動してしまう。この係合突起24を設けることで、この回動する力(回転モーメント)に抗して清掃具20が回動せずに常に所定の位置に設置されるようにしている。
【0034】
この清掃具20を戸車10に取り付けた状態では、戸車10のローラー15aは、内部空間21aの下側開口から下側に突出し、下ガイドレール3の上を走行する。
【0035】
モヘア25は、清掃手段取付部23の下側に交換可能に取り付けられている。すなわち、モヘア25は、ローラー15aの左右方向の両側にそれぞれ配置され、下ガイドレール3と常時接することで、引戸2が左右方向のいずれに移動しても塵埃が取り除かれるようになっている。
【0036】
本発明の第1実施の形態に係る引戸装置の清掃具20によれば、上下方向に延在し、当該清掃具20が取り付けられた状態で、戸車10を挟むようにして前後方向の両端部で戸車10の回転軸15bと係合する弾性壁部22、22を備え、弾性壁部22、22の下部には、弾性壁部22、22を前後方向の内側に押圧したときに弾性壁部22、22の上部が前後方向の外側に開く押圧部Fが設けられているので、この弾性壁部22、22の弾性を利用して清掃具20をワンタッチで容易に着脱することができる。そのため、清掃具20の取付・交換作業時に、戸車10を引戸2から取り外す必要がなく、作業時間を短縮することができる。また、弾性壁部22、22が回転軸15bと係合することで、清掃具20の位置がずれにくく、確実に清掃を行うことができる。さらに、戸車10の高さ位置の調整を行った場合でも、回転軸15bの高さ位置に追従して清掃具20が移動するので、戸車10のローラー15aと清掃具20のモヘア25との高さ方向の位置を常に一定に保つことができる。そのため、下ガイドレール3からモヘア25までの距離についても一定に保つことができるので、より確実に清掃が行えるようになる。
【0037】
また、戸車10の内側側面と当接して、当該清掃具20の回動を防止する係合突起24を設けているので、戸車10の回転軸15bを中心に清掃具20が回転するのを防止することができる。そのため、引戸2を左右方向に移動させても、清掃具20がその移動方向に回転せず、より確実に清掃が行えるようになる。
【0038】
さらに、弾性壁部22、22の上端には、外側から内側に向けて斜め下側に傾斜するテーパー22b、22bが形成されているので、清掃具20を戸車10に押し込んで取り付ける際に、このテーパー22b、22bが回転軸15bの端部と当接して、弾性壁部22、22が前後方向の外側に開き易くなる。これにより、清掃具20を戸車10にワンタッチで容易に取り付けることができ、その清掃具20の取付作業時に、作業時間を短縮することができる。
【0039】
(第2実施形態)
図10は、本発明の第2実施形態における清掃具の単体を右斜め上から見た斜視図である。また、図11は、本発明の第2実施形態における清掃具であって、(A)は正面図、(B)は(A)の状態から清掃具をM方向に曲げた状態を示す正面図である。
なお、以下の説明および図10図11では、第1実施形態で説明した構成と同一のものであって、同一の作用・効果を奏するものは、同一の符号を付することによって、その構成の詳細な説明を省略する。
【0040】
第2実施形態に係る清掃具120は、図10図11で示すように、弾性壁部22、22の上部にスリット120c、120cがそれぞれ設けられている。このスリット120cは、弾性壁部22、22の上端から回転軸挿入穴22aまで連続しており、弾性壁部
22、22の上部を左右に分断(分離)している。
【0041】
このスリット120cは、弾性壁部22、22の上部が前後方向の外側により撓み易くなっており、清掃具120を戸車10の下側から押し込んで取り付けるときに戸車10の回転軸15bに当接し、弾性壁部22の上部が前後方向の外側に開くようになっている。すなわち、スリット120cを設けることで、第1実施形態の構成よりも、さらに外側へ開き易くなるようにしている。
【0042】
また、清掃具120を戸車10から下方向へ取り外す際には、図11(A)に示すように、左右の両側に位置する清掃手段取付部23、23をM方向へ下側に曲げ、図11(B)に示すように、スリット120cの左右方向の間隔を広げるようにする。これにより、回転軸15bと回転軸挿入穴22aとの係合が緩くなり、清掃具120を戸車10から取り外し易くなる。
【0043】
さらに、清掃手段取付部23、23をM方向に曲げると、弾性壁部22、22の上部は、前後方向の外側にそれぞれ開くようになる。これにより、清掃具120を戸車10から取り外すときに、この清掃手段取付部23、23をM方向に曲げることによって、回転軸15bと回転軸挿入穴22aの係合が解除され、ワンタッチで容易に取り外せるようになる。
【0044】
以上、本発明の実施の形態に係る引戸装置の清掃具20、120について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【0045】
例えば、本実施の形態では、清掃具20、120に清掃手段としてモヘア25を取り付けているが、これに限定されない。例えば、スポンジや刷毛のような、塵埃を確実に除去できるものであれば清掃手段として使用することができる。
【0046】
また、本実施例では、平面視で内部空間21aの四隅に1つずつ(都合4つ)の係合突起24を設けているが、これに限定されない。例えば、少なくともローラー15aを挟んで左右に1つずつ(都合2つ)であって、上述した四隅の対角に設けることで、清掃具20が左右に回動しないようにすることができる。
【0047】
さらに、本実施の形態では、引戸2の下側の戸車10に清掃具20、120を取り付ける態様で説明したが、当然に、引戸2の上側に取り付けられた戸車にも同様の手順で着脱可能に取り付けることができる。この場合、清掃具20、120は、戸車の上側から下側に向けて押し込むようにして取り付けられ、モヘア25が上ガイドレールの転動面に付着した塵埃を取り除くようになる。
【符号の説明】
【0048】
1 引戸装置
2 引戸
3 下ガイドレール
10 戸車
11 戸車取付部
11a 側面部
11b 取付皿穴
11c 化粧面
12 高さ調整ねじ
13a 駆動部
13b 従動部
15 ローラーホルダー
15a ローラー
15b 回転軸
20、120 清掃具
21 取付部
21a 内部空間
22 弾性壁部
22a 回転軸挿入穴
22b テーパー
23 清掃手段取付部
24 係合突起
25 モヘア(清掃手段)
120c スリット
F 押圧部
M 曲げ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11