(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】増幅装置
(51)【国際特許分類】
H03F 1/02 20060101AFI20240807BHJP
H03F 3/20 20060101ALI20240807BHJP
H03F 3/181 20060101ALN20240807BHJP
【FI】
H03F1/02
H03F3/20
H03F3/181
(21)【出願番号】P 2017239906
(22)【出願日】2017-12-14
【審査請求日】2020-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】720009479
【氏名又は名称】オンキヨー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中西 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】竹村 進
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106131750(CN,A)
【文献】特開2010-016440(JP,A)
【文献】特開2003-235250(JP,A)
【文献】特開2008-048262(JP,A)
【文献】特開2011-024373(JP,A)
【文献】特開2017-120949(JP,A)
【文献】特開2014-128093(JP,A)
【文献】特開平08-162854(JP,A)
【文献】特開平07-202576(JP,A)
【文献】特開平09-065646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 1/02
H03F 3/20
H03F 3/181
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単電源から供給される電源電圧から正負の両電源電圧を生成し、生成した正負の両電源電圧を
昇圧する
スイッチングレギュレータと、
前記
スイッチングレギュレータからの正負の両電源電圧からノイズを除去し、前記
スイッチングレギュレータからの正負の電源電圧を
降圧する
リニアレギュレータと、
前記
リニアレギュレータからの電源電圧が供給される増幅器と、
ボリューム値の指示を受け付けるための操作部と、
前記
操作部により受け付けたボリューム値に応じて、前記
スイッチングレギュレータ、及び、前記
リニアレギュレータから出力される電源電圧を変化させる制御部と、
を備え
、
前記スイッチングレギュレータは、接続された抵抗の抵抗値に応じて、出力される電源電圧を変化させ、
前記制御部は、
前記操作部により受け付けたボリューム値が大きくなればなるほど、前記スイッチングレギュレータ、及び、前記リニアレギュレータから出力される電源電圧を大きくさせ、
前記スイッチングレギュレータに接続された前記抵抗の抵抗値を変化させることで、前記スイッチングレギュレータから出力される電源電圧を変化させることを特徴とする増幅装置。
【請求項2】
単電源から供給される電源電圧から正負の両電源電圧を生成し、生成した正負の両電源電圧を昇圧するスイッチングレギュレータと、
前記スイッチングレギュレータからの正負の両電源電圧からノイズを除去し、前記スイッチングレギュレータからの正負の電源電圧を降圧するリニアレギュレータと、
前記リニアレギュレータからの電源電圧が供給される増幅器と、
ボリューム値の指示を受け付けるための操作部と、
前記操作部により受け付けたボリューム値に応じて、前記スイッチングレギュレータ、及び、前記リニアレギュレータから出力される電源電圧を変化させる制御部と、
を備え、
前記リニアレギュレータは、接続された抵抗の抵抗値に応じて、出力される電源電圧を変化させ、
前記制御部は、
前記操作部により受け付けたボリューム値が大きくなればなるほど、前記スイッチングレギュレータ、及び、前記リニアレギュレータから出力される電源電圧を大きくさせ、
前記リニアレギュレータに接続された前記抵抗の抵抗値を変化させることで、前記スイッチングレギュレータから出力される電源電圧を変化させることを特徴とする増幅装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記
スイッチングレギュレータから出力される電源電圧と、前記
リニアレギュレータから出力される電源電圧と、の電位差が小さくなるように、前記
スイッチングレギュレータから出力される電源電圧と、前記
リニアレギュレータから出力される電源電圧と、を連動して変化させることを特徴とする請求項1又は2に記載の増幅装置。
【請求項4】
2つの前記
リニアレギュレータのうち、一方の前記
リニアレギュレータに正側の電源電圧が供給され、他方の前記
リニアレギュレータに負側の電源電圧が供給されることを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の増幅装置。
【請求項5】
前記一方の
リニアレギュレータ、及び、前記他方の
リニアレギュレータから出力される電源電圧を変化させるためのスイッチ回路をさらに備えることを特徴とする請求項
4に記載の増幅装置。
【請求項6】
前記スイッチ回路は、
第5抵抗を介して、正側の電源電圧に接続されたエミッタ端子と、
前記制御部に接続されたベース端子と、
第6抵抗を介して、負側の電源電圧に接続されたコレクタ端子と、を有するpnp型の第1バイポーラトランジスタと、
第7抵抗と第8抵抗とを介して、前記一方の
リニアレギュレータの出力に接続されたドレイン端子と、
前記第5抵抗と前記エミッタ端子との間に接続されたゲート端子と、
基準電位に接続されたソース端子と、を有するN型の第1MOSトランジスタと、
第9抵抗と第10抵抗とを介して、前記他方の
リニアレギュレータの出力に接続されたドレイン端子と、
前記第6抵抗と前記コレクタ端子との間に接続されたゲート端子と、
基準電位に接続されたソース端子と、を有するP型の第2MOSトランジスタと、
一端が、前記第7抵抗と前記第8抵抗との間に接続され、他端が、基準電位に接続された第11抵抗と、
一端が、前記第9抵抗と前記第10抵抗との間に接続され、他端が、基準電位に接続された第12抵抗と、
を備え、
前記制御部は、前記第1バイポーラトランジスタの前記ベース端子の電位を制御することで、前記一方の
リニアレギュレータ、及び、前記他方の
リニアレギュレータから出力される電源電圧を変化させることを特徴とする請求項
5に記載の増幅装置。
【請求項7】
前記スイッチ回路は、
第13抵抗を介して、正側の電源電圧に接続されたエミッタ端子と、
前記制御部に接続されたベース端子と、
第14抵抗を介して、負側の電源電圧に接続されたコレクタ端子と、を有するpnp型の第2バイポーラトランジスタと、
前記第7抵抗と第15抵抗とを介して、前記一方の
リニアレギュレータの出力に接続されたドレイン端子と、
前記第13抵抗と前記エミッタ端子との間に接続されたゲート端子と、
基準電位に接続されたソース端子と、を有するN型の第3MOSトランジスタと、
前記第9抵抗と第16抵抗とを介して、前記他方の
リニアレギュレータの出力に接続されたドレイン端子と、
前記第14抵抗と前記コレクタ端子との間に接続されたゲート端子と、
基準電位に接続されたソース端子と、を有するP型の第4MOSトランジスタと、
をさらに備え、
前記制御部は、前記第1バイポーラトランジスタ及び前記第2バイポーラトランジスタの前記ベース端子の電位を制御することで、前記一方の
リニアレギュレータ、及び、前記他方の
リニアレギュレータから出力される電源電圧を変化させることを特徴とする請求項
5に記載の増幅装置。
【請求項8】
前記
スイッチングレギュレータから出力される電源電圧を変化させるための電源調整回路をさらに備えることを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載の増幅装置。
【請求項9】
前記
スイッチングレギュレータは、
正側出力端子と、正側帰還端子と、負側出力端子と、負側帰還端子と、を備え、
前記電源調整回路は、
前記正側出力端子と正側基準電位との間に接続された第1抵抗及び第2抵抗と、
前記第2抵抗に並列に接続された第1デジタルポテンショメータと、
前記負側出力端子と負側基準電位との間に接続された第3抵抗及び第4抵抗と、
前記第3抵抗に並列に接続された第2デジタルポテンショメータと、を備え、
前記正側帰還端子は、前記第1抵抗と前記第2抵抗との間に接続されており、
前記負側帰還端子は、前記第3抵抗と前記第4抵抗との間に接続されており、
前記
スイッチングレギュレータは、
前記第1抵抗の抵抗値、及び、前記第2抵抗と前記第1デジタルポテンショメータとの合成抵抗値に基づいて、正側出力電圧を決定し、
前記第3抵抗と前記第2デジタルポテンショメータとの合成抵抗値、及び、前記第4抵抗値に基づいて、負側出力電圧を決定し、
前記制御部は、前記第1デジタルポテンショメータ及び前記第2デジタルポテンショメータの抵抗値を変化させることで、前記
スイッチングレギュレータから出力される電源電圧を変化させることを特徴とする請求項
8に記載の増幅装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声信号を増幅する増幅装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポータブル型のデジタルオーディオプレーヤーにおいて、バッテリーを長持ちさせるために、機器の省エネ化が求められている。特に、デジタルオーディオプレーヤーに含まれる、音声信号を増幅する増幅器は、バイアス電流が大きいため、省エネ化が求められる。従来、増幅器に供給される電源電圧を小さくすることで、省エネ化を図る技術がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、増幅器に供給される電源電圧を小さくすると、出力電力を取り出せなくなるデメリットがある。また、電源電圧を可変することで、小信号時には、電源電圧を小さく、大信号時には、電源電圧を大きくすることで、上記デメリットを解決することができるが、電源電圧を可変することに起因するノイズにより、音質が劣化するという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、高音質と省エネルギーとを両立させることが可能な増幅装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明の増幅装置は、電源から供給される電源電圧を変圧するスイッチングレギュレータと、前記スイッチングレギュレータからの電源電圧からノイズを除去し、前記スイッチングレギュレータからの電源電圧を変圧するリニアレギュレータと、前記リニアレギュレータからの電源電圧が供給される増幅器と、前記増幅器の最大出力に応じて、前記スイッチングレギュレータ、及び、前記リニアレギュレータから出力される電源電圧を変化させる制御部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明では、制御部は、増幅器の最大出力に応じて、スイッチングレギュレータ、及び、リニアレギュレータから出力される電源電圧を変化させる。これにより、増幅器の最大出力に応じて、増幅器に供給される電源電圧が変化する。このため、省エネルギーを達成することができる。また、ノイズ除去のために、スイッチングレギュレータの後段に、リニアレギュレータが配置されている。これにより、スイッチングレギュレータからの電源電圧からノイズを除去して、高音質を達成することができる。このように、本発明によれば、高音質と省エネルギーとを両立させることができる。
【0008】
第2の発明の増幅装置は、第1の発明の増幅装置において、前記制御部は、前記最大出力が大きくなればなるほど、前記スイッチングレギュレータ、及び、前記リニアレギュレータから出力される電源電圧を大きくさせることを特徴とする。
【0009】
第3の発明の増幅装置は、第1又は第2の発明の増幅装置において、前記制御部は、前記スイッチングレギュレータから出力される電源電圧と、前記リニアレギュレータから出力される電源電圧と、の電位差が小さくなるように、前記スイッチングレギュレータから出力される電源電圧と、前記リニアレギュレータから出力される電源電圧と、を連動して変化させることを特徴とする。
【0010】
第4の発明の増幅装置は、第1~第3のいずれかの発明の増幅装置において、ボリューム値の指示を受け付けるための操作部をさらに備え、前記制御部は、前記最大出力を決定する、前記操作部により受け付けたボリューム値に応じて、前記スイッチングレギュレータ、及び、前記リニアレギュレータから出力される電源電圧を変化させることを特徴とする。
【0011】
増幅器の最大出力は、ボリュームによって決まる。このため、本発明では、制御部は、増幅器の最大出力を決定する、操作部により受け付けたボリューム値に応じて、スイッチングレギュレータ、及び、リニアレギュレータから出力される電源電圧を変化させる。
【0012】
第5の発明の増幅装置は、第1~第4のいずれかの発明の増幅装置において、前記スイッチングレギュレータは、単電源から正負の両電源電圧を生成し、2つの前記リニアレギュレータのうち、第1リニアレギュレータに正側の電源電圧が供給され、第2リニアレギュレータに負側の電源電圧が供給されることを特徴とする。
【0013】
第6の発明の増幅装置は、第5の発明の増幅装置において、前記第1リニアレギュレータ、及び、前記第2リニアレギュレータから出力される電源電圧を変化させるためのスイッチ回路をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
第7の発明の増幅装置は、第6の発明の増幅装置において、前記スイッチ回路は、第5抵抗を介して、正側の電源電圧に接続されたエミッタ端子と、前記制御部に接続されたベース端子と、第6抵抗を介して、負側の電源電圧に接続されたコレクタ端子と、を有するpnp型の第1バイポーラトランジスタと、第7抵抗と第8抵抗とを介して、前記第1リニアレギュレータの出力に接続されたドレイン端子と、前記第5抵抗と前記エミッタ端子との間に接続されたゲート端子と、基準電位に接続されたソース端子と、を有するN型の第1MOSトランジスタと、第9抵抗と第10抵抗とを介して、前記第2リニアレギュレータの出力に接続されたドレイン端子と、前記第6抵抗と前記コレクタ端子との間に接続されたゲート端子と、基準電位に接続されたソース端子と、を有するP型の第2MOSトランジスタと、一端が、前記第7抵抗と前記第8抵抗との間に接続され、他端が、基準電位に接続された第11抵抗と、一端が、前記第9抵抗と前記第10抵抗との間に接続され、他端が、基準電位に接続された第12抵抗と、を備え、前記制御部は、前記第1バイポーラトランジスタの前記ベース端子の電位を制御することで、前記第1リニアレギュレータ、及び、前記第2リニアレギュレータから出力される電源電圧を変化させることを特徴とする。
【0015】
第8の発明の増幅装置は、第7の発明の増幅装置において、前記スイッチ回路は、第13抵抗を介して、正側の電源電圧に接続されたエミッタ端子と、前記制御部に接続されたベース端子と、第14抵抗を介して、負側の電源電圧に接続されたコレクタ端子と、を有するpnp型の第2バイポーラトランジスタと、前記第7抵抗と第15抵抗とを介して、前記第1リニアレギュレータの出力に接続されたドレイン端子と、前記第13抵抗と前記エミッタ端子との間に接続されたゲート端子と、基準電位に接続されたソース端子と、を有するN型の第3MOSトランジスタと、前記第9抵抗と第16抵抗とを介して、前記第2リニアレギュレータの出力に接続されたドレイン端子と、前記第14抵抗と前記コレクタ端子との間に接続されたゲート端子と、基準電位に接続されたソース端子と、を有するP型の第4MOSトランジスタと、をさらに備え、前記制御部は、前記第1バイポーラトランジスタ及び前記第2バイポーラトランジスタの前記ベース端子の電位を制御することで、前記第1リニアレギュレータ、及び、前記第2リニアレギュレータから出力される電源電圧を変化させることを特徴とする。
【0016】
第9の発明の増幅装置は、第1~第8のいずれかの発明の増幅装置において、前記スイッチングレギュレータから出力される電源電圧を変化させるための電源調整回路をさらに備えることを特徴とする。
【0017】
第10の発明の増幅装置は、第9の発明の増幅装置において、前記スイッチングレギュレータは、正側出力端子と、正側帰還端子と、負側出力端子と、負側帰還端子と、を備え、前記電源調整回路は、前記正側出力端子と正側基準電位との間に接続された第1抵抗及び第2抵抗と、前記第2抵抗に並列に接続された第1デジタルポテンショメータと、前記負側出力端子と負側基準電位との間に接続された第3抵抗及び第4抵抗と、前記第3抵抗に並列に接続された第2デジタルポテンショメータと、を備え、前記正側帰還端子は、前記第1抵抗と前記第2抵抗との間に接続されており、前記負側帰還端子は、前記第3抵抗と前記第4抵抗との間に接続されており、前記スイッチングレギュレータは、前記第1抵抗の抵抗値、及び、前記第2抵抗と前記第1デジタルポテンショメータとの合成抵抗値に基づいて、正側出力電圧を決定し、前記第3抵抗と前記第2デジタルポテンショメータとの合成抵抗値、及び、前記第4抵抗値に基づいて、負側出力電圧を決定し、前記制御部は、前記第1デジタルポテンショメータ及び前記第2デジタルポテンショメータの抵抗値を変化させることで、前記スイッチングレギュレータから出力される電源電圧を変化させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、高音質と省エネルギーとを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る増幅装置の構成を示す図である。
【
図2】出力調整回路、スイッチ回路等を示す回路図である(第1実施形態)。
【
図3】スイッチングレギュレータから出力される電源電圧と、リニアレギュレータから出力される電源電圧と、を示す図である。
【
図4】スイッチ回路等を示す回路図である(第2実施形態)。
【
図5】電源電圧とスピーカーから出力される音声レベルとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る増幅装置1の構成を示す図である。増幅装置1は、マイクロコンピュータ2と、操作部3と、ボリューム調整回路4と、増幅器5と、バッテリー6と、スイッチングレギュレータ7と、リニアレギュレータ8、9と、電源調整回路10と、スイッチ回路11と、を備える。マイクロコンピュータ2は、増幅装置1を構成する各部を制御する。
【0021】
操作部3は、ボリューム値の指示を受け付けるためのものである。マイクロコンピュータ2は、操作部3により、ボリューム値の指示を受け付ける。マイクロコンピュータ2は、受け付けたボリューム値をボリューム調整回路4に出力する。ボリューム調整回路4は、マイクロコンピュータ2から出力されたボリューム値に基づいて、入力される音声信号のボリュームを調整する。ボリューム調整回路4は、ボリューム調整した音声信号を増幅器5に出力する。
【0022】
増幅器5は、ボリューム調整回路4から出力された音声信号を増幅する。増幅器5により増幅された音声信号は、ヘッドホン101に出力される。ヘッドホン101は、音声信号に基づいて、音声を再生する。スイッチングレギュレータ7は、バッテリー6(電源)からの電源電圧を昇圧(変圧)する。また、スイッチングレギュレータ7は、単電源から正負の両電源電圧を生成する。正側の電源電圧は、スイッチングレギュレータ7からリニアレギュレータ8に出力される。また、負側の電源電圧は、スイッチングレギュレータ7からリニアレギュレータ9に出力される。なお、ここでは、電源として、バッテリー6を例示しているが、電源は、バッテリー6に限られない。また、音声信号の出力先は、スピーカーであってもよい。
【0023】
リニアレギュレータ8(第1リニアレギュレータ)は、スイッチングレギュレータ7からの正側の電源電圧を降圧(変圧)する。リニアレギュレータ8は、スイッチングレギュレータ7からの正側の電源電圧からノイズを除去する。リニアレギュレータ9(第2リニアレギュレータ)は、スイッチングレギュレータ7からの負側の電源電圧を降圧(変圧)する。リニアレギュレータ8は、スイッチングレギュレータ7からの負側の電源電圧からノイズを除去する。リニアレギュレータ8からの正側の電源電圧、リニアレギュレータ9からの負側の電源電圧は、増幅器5に供給される。
【0024】
(第1実施形態)
図2は、電源調整回路10、スイッチ回路11等を示す回路図である。スイッチングレギュレータ7は、正側出力端子VPOSと、正側帰還端子FBPと、負側出力端子VNEGと、負側帰還端子FBNと、を備える。電源調整回路10は、デジタルポテンショメータDP1、DP2と、抵抗R1~R4と、を備える。抵抗R1(第1抵抗)、抵抗R2(第2抵抗)は、正側出力端子VPOSと正側基準電位との間に接続されている。デジタルポテンショメータDP1(第1デジタルポテンショメータ)は、抵抗R2に並列に接続されている。
【0025】
抵抗R3(第3抵抗)、抵抗R4(第4抵抗)は、負側出力端子VNEGと負側基準電位VREFとの間に接続されている。デジタルポテンショメータDP2(第2デジタルポテンショメータ)は、抵抗R3に並列に接続されている。正側帰還端子FBPは、抵抗R1と抵抗R2との間に接続されている。負側帰還端子FBNは、抵抗R3と抵抗R4との間に接続されている。スイッチングレギュレータ7は、抵抗R1の抵抗値、及び、抵抗R2とデジタルポテンショメータDP1との合成抵抗値RP1に基づいて、正側出力電圧を決定する。ここで、抵抗R2とデジタルポテンショメータDP1との合成抵抗値RP1は、R2・DP1/(R2+DP1)である。
【0026】
また、スイッチングレギュレータ7は、抵抗R3とデジタルポテンショメータDP2との合成抵抗値RP2、及び、抵抗R4の抵抗値に基づいて、負側出力電圧を決定する。ここで、抵抗R3とデジタルポテンショメータDP2との合成抵抗値RP2は、R3・DP2/(R3+DP2)である。
【0027】
デジタルポテンショメータDP1は、マイクロコンピュータ2に接続されている。マイクロコンピュータ2は、デジタルポテンショメータDP1の抵抗値を制御する。スイッチングレギュレータ7は、抵抗R1の抵抗値、及び、抵抗R2とデジタルポテンショメータDP1との合成抵抗値RP1に基づいて、正側出力電圧を決定するため、マイクロコンピュータ2は、デジタルポテンショメータDP1の抵抗値を変化させることで、スイッチングレギュレータ7から出力される正側の電源電圧を変化させる。
【0028】
デジタルポテンショメータDP2は、マイクロコンピュータ2に接続されている。マイクロコンピュータ2は、デジタルポテンショメータDP2の抵抗値を制御する。スイッチングレギュレータ7は、抵抗R3とデジタルポテンショメータDP2との合成抵抗値RP2、及び、抵抗R4の抵抗値に基づいて、負側出力電圧を決定するため、マイクロコンピュータ2は、デジタルポテンショメータDP2の抵抗値を変化させることで、スイッチングレギュレータ7から出力される負側の電源電圧を変化させる。また、デジタルポテンショメータDP1と、デジタルポテンショメータDP2と、には、マイクロコンピュータ2から、共通の信号線が接続されている。
【0029】
このように、本実施形態では、マイクロコンピュータ2からの共通信号により、スイッチングレギュレータ7から出力される正側の電源電圧と、負側の電源電圧と、が可変されている。これにより、半導体の数が多くなる問題を解消している。
【0030】
スイッチ回路11は、バイポーラトランジスタQ1、MOSトランジスタM1、M2、抵抗R5~R12、R17を有する。バイポーラトランジスタQ1(第1バイポーラトランジスタ)は、pnp型のバイポーラトランジスタである。バイポーラトランジスタQ1のエミッタ端子は、抵抗R5(第5抵抗)を介して、正側の電源電圧に接続されている。バイポーラトランジスタQ1のベース端子は、抵抗R17を介して、マイクロコンピュータ2に接続されている。バイポーラトランジスタQ1のコレクタ端子は、抵抗R6(第6抵抗)を介して、負側の電源電圧に接続されている。
【0031】
MOSトランジスタM1は、N型のMOSトランジスタである。MOSトランジスタM1のドレイン端子は、抵抗R7(第7抵抗)と抵抗R8(第8抵抗)とを介して、リニアレギュレータ8の出力に接続されている。MOSトランジスタM1のゲート端子は、抵抗R5とバイポーラトランジスタQ1のエミッタ端子との間に接続されている。MOSトランジスタM1のソース端子は、基準電位に接続されている。MOSトランジスタM2は、P型のMOSトランジスタである。MOSトランジスタM2のドレイン端子は、抵抗R9(第9抵抗)と抵抗R10(第10抵抗)とを介して、リニアレギュレータ9の出力に接続されている。MOSトランジスタM2のゲート端子は、抵抗R6とバイポーラトランジスタQ1のコレクタ端子との間に接続されている。MOSトランジスタM2のソース端子は、基準電位に接続されている。抵抗R11(第11抵抗)の一端は、抵抗R7と抵抗R8との間に接続されている。抵抗R11の他端は、基準電位に接続されている。抵抗R12(第12抵抗)の一端は、抵抗R9と抵抗R10との間に接続されている。抵抗R12の他端は、基準電位に接続されている。
【0032】
バイポーラトランジスタQ1は、ベース端子の電位がハイである場合、MOSトランジスタM1は、オンの状態となる。同時に、また、MOSトランジスタM2は、オンの状態となる。まとめると以下のとおりである。
バイポーラトランジスタQ1のベース端子:ハイ、MOSトランジスタM1:オン、MOSトランジスタM2:オン
【0033】
MOSトランジスタM1がオンの状態であると、リニアレギュレータ8の出力と基準電位との間に、抵抗R7、R8、R11が接続された状態となる。この場合、リニアレギュレータ8から出力される電源電圧は、A(1+(R7/(R8・R11/(R8+R11))))となる。また、MOSトランジスタM2がオンの状態であると、リニアレギュレータ9の出力と基準電位との間に、抵抗R9、R10、R12が接続された状態となる。この場合、リニアレギュレータ9から出力される電源電圧は、B(1+(R9/(R10・R12)/(R10+R12))))となる。AとBとは、リニアレギュレータ8、9の各々の出力電圧を決定するある一定の値である。
【0034】
バイポーラトランジスタQ1は、ベース端子の電位がローである場合、MOSトランジスタM1は、オフの状態となる。同時に、また、MOSトランジスタM2は、オフの状態となる。まとめると以下のとおりである。
バイポーラトランジスタQ1のベース端子:ロー、MOSトランジスタM1:オフ、MOSトランジスタM2:オフ
【0035】
MOSトランジスタM1がオフの状態であると、リニアレギュレータ8の出力と基準電位との間に、抵抗R7、R11が接続された状態となる。この場合、リニアレギュレータ8から出力される電源電圧は、A(1+(R7/R11))となる。また、MOSトランジスタM2がオフの状態であると、リニアレギュレータ9の出力と基準電位との間に、抵抗R9、R12が接続された状態となる。この場合、リニアレギュレータ9から出力される電源電圧は、B(1+(R9/R12))となる。尚、R8とR11の抵抗値は異なり、R10とR12の抵抗値は異なる。また、AとBは、リニアレギュレータ8、9の各々の出力電圧を決定する、ある一定の値である。
【0036】
上述のように、バイポーラトランジスタQ1のベース端子の電位により、リニアレギュレータ8、9から出力される電源電圧が変化する。従って、マイクロコンピュータ2は、バイポーラトランジスタQ1のベース端子の電位を制御することで、リニアレギュレータ8、9から出力される電源電圧を変化させる。このように、本実施形態では、マイクロコンピュータ2からの同一デジタル信号により、リニアレギュレータ8から出力される正側の電源電圧と、リニアレギュレータ9から出力される負側の電源電圧と、が可変されている。これにより、制御信号の数と、負側の電源では、一般的にレベルシフタ等で半導体の数と、が多くなる問題を解消している。
【0037】
第1実施形態では、マイクロコンピュータ2は、デジタルポテンショメータDP1、DP2の抵抗値を二段階に変化させることで、スイッチングレギュレータ7から出力される正負両側の電源電圧を二段階に変化させる。また、マイクロコンピュータ2は、バイポーラトランジスタQ1のベース端子の電位をロー/ハイとすることで、リニアレギュレータ8、9から出力される正負両側の電源電圧を二段階に変化させる。
【0038】
マイクロコンピュータ2は、増幅器5の最大出力に応じて、スイッチングレギュレータ7、リニアレギュレータ8、9から出力される電源電圧を変化させる。ここで、増幅器5の最大出力は、ボリュームによって決まる。従って、マイクロコンピュータ2は、増幅器5の最大出力を決定する、操作部3により受け付けたボリューム値に応じて、スイッチングレギュレータ7、リニアレギュレータ8、9から出力される電源電圧を変化させる。
【0039】
マイクロコンピュータ2は、
図3に示すように、スイッチングレギュレータ7から出力される電源電圧と、リニアレギュレータ8、9から出力される電源電圧と、の電位差が小さくなるように、スイッチングレギュレータ7から出力される電源電圧と、リニアレギュレータ8、9から出力される電源電圧と、を連動して変化させる(制御する)。
【0040】
(第2実施形態)
図4は、スイッチ回路11等を示す回路図である。出力調整回路10の回路構成は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。スイッチ回路11は、第1実施形態と比較して、バイポーラトランジスタQ2、MOSトランジスタM3、M4、抵抗R13~R16、R18をさらに備える。
【0041】
バイポーラトランジスタQ2(第2バイポーラトランジスタ)は、pnp型のバイポーラトランジスタである。バイポーラトランジスタQ2のエミッタ端子は、抵抗R13(第13抵抗)を介して、正側の電源電圧に接続されている。バイポーラトランジスタQ2のベース端子は、抵抗R18を介して、マイクロコンピュータ2に接続されている。バイポーラトランジスタQ2のコレクタ端子は、抵抗R14(第14抵抗)を介して、負側の電源電圧に接続されている。
【0042】
MOSトランジスタM3(第3MOSトランジスタ)は、N型のMOSトランジスタである。MOSトランジスタM3のドレイン端子は、抵抗R7と抵抗R15(第15抵抗)とを介して、リニアレギュレータ8の出力に接続されている。MOSトランジスタM3のゲート端子は、抵抗R13とバイポーラトランジスタQ2のエミッタ端子との間に接続されている。MOSトランジスタM3のソース端子は、基準電位に接続されている。
【0043】
MOSトランジスタM4(第4MOSトランジスタ)は、P型のMOSトランジスタである。MOSトランジスタM4のドレイン端子は、抵抗R9と抵抗R16(第16抵抗)とを介して、リニアレギュレータ9の出力に接続されている。MOSトランジスタM4のゲート端子は、抵抗R14とバイポーラトランジスタQ2のコレクタ端子との間に接続されている。MOSトランジスタM4のソース端子は、基準電位に接続されている。
【0044】
バイポーラトランジスタQ2は、バイポーラトランジスタQ1と、MOSトランジスタM3は、MOSトランジスタM1と、MOSトランジスタM4は、MOSトランジスタM2と同様の機能を有する。従って、
バイポーラトランジスタQ2のベース端子:ハイ、MOSトランジスタM3:オン、MOSトランジスタM2:オン
バイポーラトランジスタQ2のベース端子:ロー、MOSトランジスタM3:オフ、MOSトランジスタM4:オフ
【0045】
上述したように、バイポーラトランジスタQ1のベース端子の電位がローで、バイポーラトランジスタQ2のベース端子の電位がハイである場合、MOSトランジスタM3がオンの状態であるため、リニアレギュレータ8から出力される電源電圧は、A(1+(R7/(R15・R11/(R15+R11))))
となる尚、R15とR8とR11の抵抗値は異なる。
【0046】
バイポーラトランジスタQ1のベース端子の電位がローで、バイポーラトランジスタQ2のベース端子の電位がハイである場合、MOSトランジスタM4がオンの状態であるため、リニアレギュレータ9から出力される電源電圧は、B(1+(R9/(R16・R12/(R16+R12))))となる。尚、R16とR10とR12の抵抗値は異なる。
【0047】
まとめると、リニアレギュレータ8、9から出力される電源電圧は、以下のとおりである。
(1)バイポーラトランジスタQ1がロー、バイポーラトランジスタQ2のベース端子の電位がハイである場合
リニアレギュレータ8:A(1+(R7/(R15・R11/(R15+R11))))
リニアレギュレータ9:B(1+(R9/(R16・R12/(R16+R12))))
(2)バイポーラトランジスタQ1のベース端子の電位がハイ、バイポーラトランジスタQ2のベース端子の電位がローである場合
リニアレギュレータ8:A(1+(R7/(R8・R11/(R8+R11))))
リニアレギュレータ9:B(1+(R9/(R10・R12/(R10+R12))))
(3)バイポーラトランジスタQ1、Q2のベース端子の電位がローである場合
リニアレギュレータ8:A(1+(R7/R11))リニアレギュレータ9:B(1+(R9/R12))
【0048】
上述のように、バイポーラトランジスタQ1、Q2のベース端子の電位により、リニアレギュレータ8、9から出力される電源電圧が変化する。従って、マイクロコンピュータ2は、バイポーラトランジスタQ1、Q2のベース端子の電位を制御することで、リニアレギュレータ8、9から出力される電源電圧を変化させる。
【0049】
第2実施形態では、マイクロコンピュータ2は、デジタルポテンショメータDP1、DP2の抵抗値を三段階に変化させることで、スイッチングレギュレータ7から出力される正負両側の電源電圧を三段階に変化させる。また、マイクロコンピュータ2は、バイポーラトランジスタQ1、Q2のベース端子の電位をロー/ハイとすることで、リニアレギュレータ8、9から出力される正負両側の電源電圧を三段階に変化させる(
図5参照。)。
【0050】
以上説明したように、本実施形態では、マイクロコンピュータ2は、増幅器5の最大出力に応じて、スイッチングレギュレータ7、及び、リニアレギュレータ8、9から出力される電源電圧を変化させる。これにより、増幅器5の最大出力に応じて、増幅器5に供給される電源電圧が変化する。このため、省エネルギーを達成することができる。また、ノイズ除去のために、スイッチングレギュレータ7の後段に、リニアレギュレータ8、9が配置されている。これにより、スイッチングレギュレータ7からの電源電圧からノイズを除去して、高音質を達成することができる。このように、本実施形態によれば、高音質と省エネルギーとを両立させることができる。
【0051】
また、増幅器5の最大出力は、ボリュームによって決まる。このため、本実施形態では、マイクロコンピュータ2は、増幅器5の最大出力を決定する、操作部3により受け付けたボリューム値に応じて、スイッチングレギュレータ7、及び、リニアレギュレータ8、9から出力される電源電圧を変化させる。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明を適用可能な形態は、上述の実施形態には限られるものではなく、以下に例示するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることが可能である。
【0053】
上述の実施形態においては、マイクロコンピュータ2は、デジタルポテンショメータDP1、DP2の抵抗値を二段階、三段階に変化させることで、スイッチングレギュレータ7から出力される正負両側の電源電圧を二段階、三段階に変化させている。これに限らず、マイクロコンピュータ2は、デジタルコンピュータ2は、デジタルポテンショメータDP1、DP2の抵抗値を四段階以上に変化させることで、スイッチングレギュレータ7から出力される正負両側の電源電圧を四段階以上に変化させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、音声信号を増幅する増幅装置に好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0055】
1 増幅装置
2 マイクロコンピュータ(制御部)
3 操作部
4 ボリューム調整回路
5 増幅器
6 バッテリー
7 スイッチングレギュレータ
8 リニアレギュレータ(第1リニアレギュレータ)
9 リニアレギュレータ(第2リニアレギュレータ)
10 電源調整回路
11 スイッチ回路
DP1 デジタルポテンショメータ(第1デジタルポテンショメータ)
DP2 デジタルポテンショメータ(第2デジタルポテンショメータ)
M1 MOSトランジスタ(第1MOSトランジスタ)
M2 MOSトランジスタ(第2MOSトランジスタ)
M3 MOSトランジスタ(第3MOSトランジスタ)
M4 MOSトランジスタ(第4MOSトランジスタ)
Q1 バイポーラトランジスタ(第1バイポーラトランジスタ)
Q2 バイポーラトランジスタ(第2バイポーラトランジスタ)
R1 抵抗(第1抵抗)
R2 抵抗(第2抵抗)
R3 抵抗(第3抵抗)
R4 抵抗(第4抵抗)
R5 抵抗(第5抵抗)
R6 抵抗(第6抵抗)
R7 抵抗(第7抵抗)
R8 抵抗(第8抵抗)
R9 抵抗(第9抵抗)
R10 抵抗(第10抵抗)
R11 抵抗(第11抵抗)
R12 抵抗(第12抵抗)
R13 抵抗(第13抵抗)
R14 抵抗(第14抵抗)
R15 抵抗(第15抵抗)
R16 抵抗(第16抵抗)
R17 抵抗(第17抵抗)
R18 抵抗(第18抵抗)