(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】放電回路
(51)【国際特許分類】
H02M 3/00 20060101AFI20240807BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
H02M3/00 C
H02J1/00 306L
(21)【出願番号】P 2020073898
(22)【出願日】2020-04-17
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(72)【発明者】
【氏名】廣田 陽
(72)【発明者】
【氏名】井熊 俊明
【審査官】白井 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-027870(JP,A)
【文献】国際公開第2015/075883(WO,A1)
【文献】特開2005-252909(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0266044(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00~ 3/44
H02M 7/00~ 7/98
H02J 1/00- 1/16
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源の直流電圧を放電させる放電用抵抗を有する放電回路であって、
前記放電用抵抗と前記放電用抵抗に電気的に直列に接続された電磁接触器とを有し、且つ、電気的に直列に接続された複数の放電部と、
前記複数の放電部における前記電磁接触器に対して、それぞれ、電気的に並列に接続された複数のコンデンサと、
を備える、放電回路。
【請求項2】
直流電源の直流電圧を放電させる放電用抵抗を有する放電回路であって、
前記放電用抵抗と前記放電用抵抗に電気的に直列に接続された電磁接触器とを有し、且つ、電気的に直列に接続された複数の放電部と、
電気的に直列に接続され、且つ、前記複数の放電部に対して、それぞれ、電気的に並列に接続され
た複数のコンデンサと、
を備える、放電回路。
【請求項3】
請求項1に記載の放電回路において、
前記複数のコンデンサは、前記複数の放電部における前記電磁接触器に対して、それぞれ、電気的に並列に接続され、且つ、前記複数の放電部における前記放電用抵抗に対して、それぞれ電気的に直列に接続されている、放電回路。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一つに記載の放電回路において、
前記電磁接触器は、直流電磁接触器である、放電回路。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載の放電回路において、
前記放電部は、前記放電用抵抗を複数、有し、
前記複数の放電用抵抗は、電気的に直列に接続されている、放電回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電源の直流電圧を放電する放電回路に関する。
【背景技術】
【0002】
電源の直流電圧を放電する放電回路として、放電用抵抗と、前記放電用抵抗に流す電流を制御する電磁接触器とを有する構成が知られている。このような構成を有する放電回路として、例えば特許文献1には、放電用抵抗及び交流電磁接触器が電気的に直列に接続された回路が、直流電源部及び平滑用コンデンサに対して電気的に並列に接続されている直流出力回路のコンデンサ放電回路が開示されている。
【0003】
前記特許文献1に開示されているコンデンサ放電回路では、前記直流電源部に電気的に接続された正極ラインにおいて、前記直流電源部と前記平滑コンデンサとの間にスイッチが設けられている。前記コンデンサ放電回路では、前記スイッチがオフ状態のときに、前記交流電磁接触器をオン状態にする一方、前記平滑用コンデンサの端子間電圧が前記交流電磁接触器の遮断可能電圧以下に低下したときに、前記交流電磁接触器をオフ状態にする。
【0004】
これにより、遮断する直流電圧が高電圧の場合でも、高価で且つ大型である、耐電圧の高い直流電磁接触器を用いることなく、安価で小型な交流電磁接触器を使用してコンデンサ放電回路を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、放電する直流電圧が高電圧の場合には、前記特許文献1の構成以外にも、例えば、電磁接触器及び放電用抵抗が電気的に直列に接続された回路(以下では、放電部という)を、複数、電気的に直列に接続する構成が考えられる。これにより、高電圧の直流電圧を放電する際に、複数の放電部の各電磁接触器に印加される電圧を低下させることができる。そのため、放電回路で高電圧の直流電圧を放電する場合でも、耐電圧があまり高くない電磁接触器を用いることができる。
【0007】
しかしながら、前記電磁接触器は、コイルに電流を流した際に生じる電磁力によってリレーを駆動させることにより接点の開閉を行う機器である。そのため、複数の電磁接触器に同じタイミングで信号を入力した場合でも、コイルによって生じる電磁力の大きさが各電磁接触器で異なる。よって、上述のように複数の放電部を電気的に直列に接続した場合、前記複数の放電部の電磁接触器をオン状態に切り替える際に、複数の電磁接触器でタイミングのずれが生じる。
【0008】
上述のように、電気的に直列に接続された複数の放電部の電磁接触器において、オン状態のタイミングがずれると、前記複数の放電部の電磁接触器のうち一部の電磁接触器のみに電圧が印加される。そうすると、上述のように高電圧の直流電圧を放電する放電回路では、一部の電磁接触器に、該電磁接触器の耐電圧よりも高い直流電圧が印加される場合がある。そのため、前記一部の電磁接触器が損傷を受ける可能性がある。
【0009】
本発明の目的は、電気的に直列に接続された電磁接触器及び放電用抵抗を有する放電部が、電気的に直列に複数接続された放電回路において、前記電磁接触器に耐電圧を超えるような高い直流電圧が印加されない構成を、安価で且つ簡単な構成によって実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係る放電回路は、直流電源の直流電圧を放電させる放電用抵抗を有する放電回路である。この放電回路は、前記放電用抵抗と前記放電用抵抗に電気的に直列に接続された電磁接触器とを有し、且つ、電気的に直列に接続された複数の放電部と、前記複数の放電部における前記電磁接触器に対して、それぞれ、電気的に並列に接続された複数のコンデンサと、を備える(第1の構成)。
【0011】
この構成により、電気的に直列に接続された複数の放電部の各電磁接触器でオン状態のタイミングが異なる場合でも、前記各電磁接触器に対して電気的に並列に接続されたコンデンサによって、オン状態になるタイミングが遅い電磁接触器の直流電圧の上昇を遅らせることができる。すなわち、前記複数の放電部の電磁接触器のうち一部の電磁接触器におけるオン状態のタイミングが、他の電磁接触器のオン状態のタイミングよりも遅い場合には、前記一部の電磁接触器に対して電気的に並列に接続されたコンデンサによって、前記一部の電磁接触器における急激な電圧上昇を抑制できる。これにより、前記一部の電磁接触器に対して、耐電圧を超えるような高い直流電圧が印加されることを防止できる。
【0012】
なお、前記コンデンサは、前記複数の電磁接触器のうちオン状態のタイミングが早い電磁接触器がオン状態になってから、前記複数の電磁接触器のうちオン状態のタイミングが遅い電磁接触器がオン状態になるまでに、該タイミングの遅い電磁接触器が耐電圧を超えないような電気容量に設定される。
【0013】
以上の構成により、電気的に直列に接続された電磁接触器及び放電用抵抗を有する放電部が、電気的に直列に複数接続された放電回路において、前記電磁接触器に耐電圧を超えるような高い直流電圧が印加されない構成を容易に実現できる。しかも、放電回路に耐電圧が高い電磁接触器を用いる必要がないため、放電回路を安価な構成によって実現できる。
【0014】
前記第1の構成において、前記複数のコンデンサは、電気的に直列に接続され、且つ、前記複数の放電部に対して、それぞれ、電気的に並列に接続されている(第2の構成)。
【0015】
これにより、放電回路のコンデンサを、電源側の平滑用コンデンサと兼用することができる。よって、放電回路専用のコンデンサを設ける必要がない。
【0016】
前記第1の構成において、前記複数のコンデンサは、前記複数の放電部における前記電磁接触器に対して、それぞれ、電気的に並列に接続され、且つ、前記複数の放電部における前記抵抗に対して、それぞれ電気的に直列に接続されている(第3の構成)。
【0017】
これにより、放電回路のコンデンサとして、電磁接触器を保護するための専用のコンデンサを用いることができる。よって、電源側の回路構成に影響を受けることなく、電源回路に対して放電回路を容易に設けることができる。しかも、放電回路のコンデンサを電源側の平滑用コンデンサと兼用する構成に比べて、安価なコンデンサを用いることができるため、放電回路を安価に構成することができる。
【0018】
前記第1から第3の構成のうちいずれか一つの構成において、前記電磁接触器は、直流電磁接触器である(第4の構成)。
【0019】
耐電圧の高い直流電磁接触器は、高価で大型である。これに対し、放電回路を上述の各構成のように構成することで、耐電圧の高い直流電磁接触器を用いることなく、安価で小型な、耐電圧の低い直流電磁接触器を用いて放電回路を構成することができる。
【0020】
前記第1から第4の構成のうちいずれか一つの構成において、前記放電部は、前記放電用抵抗を複数、有する。前記複数の放電用抵抗は、電気的に直列に接続されている(第5の構成)。これにより、放電部によって直流電源の直流電圧をより効率良く放電することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一実施形態に係る放電回路によれば、放電用抵抗と前記放電用抵抗に電気的に直列に接続された電磁接触器とを有し、且つ、電気的に直列に接続された複数の放電部と、前記複数の放電部における前記電磁接触器に対して、それぞれ電気的に並列に接続された複数のコンデンサとを備える。これにより、前記複数の放電部の電磁接触器でオン状態になるタイミングが異なる場合でも、オン状態になるタイミングが遅い電磁接触器に耐電圧を超えるような高い直流電圧が印加されることを防止できる。よって、前記放電回路において、前記電磁接触器の耐電圧を超えるような高い直流電圧が印加されない構成を安価で且つ簡単な構成によって実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る放電回路の概略構成を示す回路図である。
【
図2】
図2は、放電回路の動作の様子を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、放電回路に放電回路用コンデンサを設けない場合において、前記放電回路における2つの直流電磁接触器のうち一方の直流電磁接触器がオン状態になったときの前記2つの直流電磁接触器の電圧の変化を示す図である。
【
図4】
図4は、放電回路に放電回路用コンデンサを設けた場合において、前記放電回路における2つの直流電磁接触器のうち一方の直流電磁接触器がオン状態になったときの前記2つの直流電磁接触器の電圧の変化を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態2に係る放電回路の概略構成を示す
図1相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中の同一または相当部分については同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
【0024】
[実施形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態1に係る放電回路1の概略構成を示す回路図である。放電回路1は、直流電源2の直流電圧を放電する。放電回路1は、例えば、直流電源2に対して出力側に設けられる。直流電源2は、例えば、バッテリーを模擬するバッテリーシミュレータ装置である。なお、直流電源2は、一般的な直流電源装置であってもよいし、交流電圧を直流電圧に変換するコンバータを備えた電源装置であってもよい。
【0025】
本実施形態の放電回路1は、直流電源2の出力側に設けられた平滑用コンデンサ3を放電させる。放電回路1は、負荷4に対して直流電力を供給する直流電源2、及び、直流電源2から出力される直流電力を平滑化する平滑用コンデンサ3に対して、電気的に並列に接続されている。
【0026】
放電回路1は、電気的に直列に接続された一対の放電部11,21を有する。一対の放電部11,21は、同じ構成を有する。よって、以下では、放電部11のみについて説明する。
【0027】
放電部11は、直流電磁接触器12と、電気的に直列に接続された一対の放電用抵抗13,14とを有する。放電部11において、直流電磁接触器12及び一対の放電用抵抗13,14は、電気的に直列に接続されている。放電部11は、一対の放電用抵抗13,14で直流電力を消費することにより、平滑用コンデンサ3に蓄電された直流電圧を放電する。
【0028】
直流電磁接触器12は、図示しない制御装置から入力される制御信号に応じて、オン状態またはオフ状態に切り替えられる。本実施形態の直流電磁接触器12は、耐電圧があまり高くない安価な電磁接触器である。直流電磁接触器12は、例えば、コイルに電流を流した際に生じる電磁力によって動作するリレーを有する。直流電磁接触器12の構成は、一般的な電磁接触器の構成と同様であるため、詳しい説明を省略する。
【0029】
放電用抵抗13,14は、直流電圧を放電させるための抵抗器である。本実施形態では、放電回路1は、電気的に直列に接続された一対の放電用抵抗13,14を有する。
【0030】
放電部21は、直流電磁接触器22と、電気的に直列に接続された一対の放電用抵抗23,24とを有する。
【0031】
上述の構成を有する放電回路1において、図示しない制御装置から直流電磁接触器12,22に対して制御信号が入力されると、直流電磁接触器12,22はそれぞれオン状態になる。そうすると、放電回路1における放電用抵抗13,14,23,24にそれぞれ直流電流が流れる。
【0032】
ところで、既述のとおり、直流電磁接触器12,22は、それぞれ、コイルに電流を流した際に生じる電磁力によって動作するリレーを有する。そのため、直流電磁接触器12,22で電気的特性が異なる。したがって、直流電磁接触器12,22に対して同じタイミングで制御信号を入力しても、各直流電磁接触器のリレーが動作するタイミングがずれる。そうすると、直流電磁接触器12,22がオン状態になるタイミングがずれて、後からオン状態になる直流電磁接触器に耐電圧を超えるような高い直流電圧が印加される可能性がある。なお、高電圧は、例えば、750V以上である。
【0033】
本実施形態では、上述のように直流電磁接触器12,22のオン状態のタイミングがずれた場合でも、後からオン状態になる直流電磁接触器に耐電圧を超えるような高い直流電圧が印加されないように、放電回路1は、放電部11,21に対してそれぞれ設けられた放電回路用コンデンサ15,25を有する。放電回路用コンデンサ15,25は、直流電磁接触器12,22に対して電気的に並列に接続されている。
【0034】
このように、放電回路1が直流電磁接触器12,22に対して電気的に並列に接続された放電回路用コンデンサ15,25を有することにより、直流電磁接触器12,22のうち後からオン状態になる直流電磁接触器に対して電気的に並列に接続された放電回路用コンデンサに、直流電流を流して直流電圧を印加することができる。これにより、前記後からオン状態になる直流電磁接触器が、耐電圧を超えるような高い直流電圧によって損傷を受けるのを防止できる。
【0035】
具体的には、
図2に示すように、例えば直流電磁接触器12が早くオン状態になった場合、直流電磁接触器12に電流が流れるとともに、オフ状態である直流電磁接触器22に対して電気的に並列に接続された放電回路用コンデンサ25に直流電流が流れる(
図2の実線矢印参照)。その後、直流電磁接触器22がオン状態になると、直流電磁接触器22に直流電流が流れる。
【0036】
なお、放電回路用コンデンサ15,25は、直流電磁接触器12,22のうちオン状態になるタイミングが早い電磁接触器がオン状態になってから、直流電磁接触器12,22のうちオン状態になるタイミングが遅い直流電磁接触器がオン状態になるまでに、該タイミングの遅い直流電磁接触器が耐電圧を超えないような電気容量に設定される。
【0037】
図3は、放電回路1に放電回路用コンデンサを設けない場合において、放電回路1における2つの直流電磁接触器12,22のうち一方の直流電磁接触器がオン状態になったときの2つの直流電磁接触器12,22の電圧の変化を示す図である。上述の例では、例えば、
図3(a)が直流電磁接触器22の電圧の変化を示す図であり、
図3(b)が直流電磁接触器12の電圧の変化を示す図である。
図3(b)に示すように直流電磁接触器12が直流電磁接触器22よりも先にオン状態になると、
図3(a)に示すように直流電磁接触器22の電圧が急激に上昇する。
【0038】
図4は、放電回路1に放電回路用コンデンサ15,25を設けた場合において、放電回路1における2つの直流電磁接触器12,22のうち一方の直流電磁接触器がオン状態になったときの2つの直流電磁接触器12,22の電圧の変化を示す図である。上述の例では、例えば、
図4(a)が直流電磁接触器22の電圧の変化を示す図であり、
図4(b)が直流電磁接触器12の電圧の変化を示す図である。
図4(b)に示すように直流電磁接触器12が直流電磁接触器22よりも先にオン状態になっても、
図4(a)に示すように放電回路用コンデンサ25に直流電流が流れるため、直流電磁接触器22の電圧は緩やかに上昇する。
【0039】
以上より、本実施形態の放電回路1は、直流電源2の直流電圧を放電させる放電用抵抗13,14,23,24を有する放電回路1である。この放電回路1は、放電用抵抗13,14,23,24と放電用抵抗13,14,23,24に電気的に直列に接続された直流電磁接触器12,22とを有し且つ電気的に直列に接続された複数の放電部11,21と、複数の放電部11,21における直流電磁接触器12,22に対して、それぞれ、電気的に並列に接続された複数の放電回路用コンデンサ15,25と、を備える。
【0040】
この構成により、電気的に直列に接続された複数の放電部11,21の各直流電磁接触器12,22におけるオン状態のタイミングが異なる場合でも、各直流電磁接触器12,22に対して電気的に並列に接続された放電回路用コンデンサ15,25によって、オン状態になるタイミングが遅い直流電磁接触器の直流電圧の上昇を遅らせることができる。すなわち、複数の放電部11,21の直流電磁接触器のうち一方の直流電磁接触器におけるオン状態のタイミングが、他方の直流電磁接触器のオン状態のタイミングよりも遅い場合には、前記一方の直流電磁接触器に対して電気的に並列に接続された放電回路用コンデンサによって、前記一方の直流電磁接触器における急激な電圧上昇を抑制できる。これにより、前記一方の直流電磁接触器に対して、該直流電磁接触器の耐電圧を超えるような高い直流電圧が印加されることを防止できる。
【0041】
以上の構成により、電気的に直列に接続された直流電磁接触器12,22及び放電用抵抗13,14,23,24を有する放電部11,21が、電気的に直列に複数接続された放電回路1において、直流電磁接触器12,22の耐電圧を超えない構成を容易に実現できる。しかも、耐電圧が高い直流電磁接触器を用いる必要がないため、安価な構成によって実現できる。
【0042】
また、放電回路用コンデンサ15,25は、複数の放電部11,21における直流電磁接触器12,22に対して、それぞれ、電気的に並列に接続され、且つ、複数の放電部11,21における放電用抵抗13,14,23,24に対して、それぞれ電気的に直列に接続されている。
【0043】
これにより、放電回路1のコンデンサとして、直流電磁接触器12,22を保護するための専用の放電回路用コンデンサ15,25を用いることができる。よって、直流電源2側の回路構成に影響を受けることなく、放電回路1を容易に設けることができる。しかも、放電回路用コンデンサ15,25を電源側の平滑用コンデンサと兼用する構成に比べて、安価なコンデンサを用いることができるため、放電回路1を安価に構成することができる。
【0044】
[実施形態2]
図5は、実施形態2に係る放電回路101の概略構成を示す回路図である。この実施形態2の放電回路101は、一対の放電部に設けられたコンデンサが電気的に直列に接続されていて、それらのコンデンサが平滑用コンデンサとしても機能している点で、実施形態1の放電回路1とは異なる。以下では、実施形態1と同様の構成には同一の符号を付して説明を省略し、実施形態1と異なる部分についてのみ説明する。
【0045】
図5に示すように、放電回路101は、電気的に直列に接続された一対の放電部111,121を有する。放電回路101は、直流電源2の出力側に設けられている。
【0046】
放電部111は、直流電磁接触器12と、電気的に直列に接続された一対の放電用抵抗13,14とを有する。直流電磁接触器12及び一対の放電用抵抗13,14は、電気的に直列に接続されている。放電回路101は、放電部111に対して電気的に並列に接続されたコンデンサ115を有する。
【0047】
放電部121は、直流電磁接触器22と、電気的に直列に接続された一対の放電用抵抗23,24とを有する。直流電磁接触器22及び一対の放電用抵抗23,24は、電気的に直列に接続されている。放電回路101は、放電部121に対して電気的に並列に接続されたコンデンサ125を有する。
【0048】
コンデンサ115,125は、実施形態1の放電回路用コンデンサ15,25と同様、直流電磁接触器12,22においてオン状態になるタイミングにずれが生じている際に、後からオン状態になる直流電磁接触器に耐電圧を超えるような高い直流電圧が印加されることを抑制する。
【0049】
コンデンサ115,125は、電気的に直列に接続されている。電気的に直列に接続されたコンデンサ115,125は、直流電源2に対して電気的に並列に接続されている。これにより、コンデンサ115,125は、直流電源2の平滑用コンデンサとしても機能する。
【0050】
このように、本実施形態では、コンデンサ115,125は、電気的に直列に接続され、且つ、放電部111,121に対して、それぞれ、電気的に並列に接続されている。
【0051】
これにより、放電回路101のコンデンサ115,125を、直流電源2側の平滑用コンデンサと兼用することができる。よって、放電回路101に専用のコンデンサを設ける必要がない。したがって、電源回路に放電回路101をよりコンパクトに設けることができる。
【0052】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0053】
前記実施形態1では、放電回路1は、電気的に直列に接続された一対の放電部11,21を有する。同様に、前記実施形態2では、放電回路101は,電気的に直列に接続された一対の放電部111,121を有する。しかしながら、放電回路は、電気的に直列に接続された3つ以上の放電部を有していてもよい。
【0054】
前記各実施形態では、放電部11,111は、それぞれ、一対の放電用抵抗13,14を有し、放電部21,121は、一対の放電用抵抗23,24を有する。しかしながら、放電部は、1つの放電用抵抗を有していてもよいし、3つ以上の放電用抵抗を有していてもよい。
【0055】
前記実施形態1では、放電回路1は、放電部11,21に対してそれぞれ設けられた放電回路用コンデンサ15,25を有する。前記実施形態2では、放電回路101は、電気的に直列に接続され、且つ、放電部111,121に対して、それぞれ、電気的に並列に接続されたコンデンサ115,125を有する。しかしながら、放電回路は、各放電部に対して複数のコンデンサを有していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、直流電源の直流電圧を放電可能な放電回路に利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1、101 放電回路
2 直流電源
3 平滑用コンデンサ
4 負荷
11、111 放電部
12、22 直流電磁接触器
13、14、23、24 放電用抵抗
14 放電用抵抗
15、25 放電回路用コンデンサ
21、121 放電部
115、125 コンデンサ