(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】直流電源装置および電源ラインのノイズ抑制方法
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20240807BHJP
【FI】
H02M3/155 E
(21)【出願番号】P 2020093471
(22)【出願日】2020-05-28
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】栃谷 浩司
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-186583(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0068771(US,A1)
【文献】特開2002-304893(JP,A)
【文献】実開昭58-10118(JP,U)
【文献】特開平6-168043(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング電源装置
と、前記スイッチング電源装置
の前段に設けられた電流安定化回路
と、を備え、
前記電流安定化回路は、
電流入力端子と電流出力端子との間に直列に接続された抵抗素子およびトランジスタと、
前記電流出力端子に接続され前記スイッチング電源装置のスイッチング周波数成分を遮断し、前記スイッチング電源装置のサーボ制御周波数成分を通過させるように時定数が設定されているローパスフィルタと、
前記抵抗素子とトランジスタとの接続ノードの電圧と前記ローパスフィルタの出力電圧との電位差に応じて前記トランジスタを制御して負荷急変時に当該トランジスタに定電流を流す制御回路と、
を備えていることを特徴とする直流電源装置。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記抵抗素子とトランジスタとの接続ノードの電圧を一方の入力端子の入力電圧とする演算増幅回路と、
前記電流入力端子と前記演算増幅回路の他方の入力端子との間に接続された電圧制御電圧源回路と、
前記電流入力端子の電位を安定化させるコンデンサと、を備え、
前記電圧制御電圧源回路は、
一対の制御端子を備え、前記一対の制御端子の電位差に対応する電圧を生成するように構成され、前記一対の制御端子のうち一方の端子の電位が前記コンデンサによって安定化され、前記一対の制御端子のうち他方の端子に前記ローパスフィルタの出力電圧が印加されていることを特徴とする請求項
1に記載の
直流電源装置。
【請求項3】
前記電流入力端子と前記コンデンサとの間に定電圧源が接続され、
前記電圧制御電圧源回路は、前記定電圧源により持ち上げられた電圧を基準にして、前記ローパスフィルタの出力電圧に応じた電圧を前記演算増幅回路の他方の入力端子に供給するように構成されていることを特徴とする請求項
2に記載の
直流電源装置。
【請求項4】
抵抗調整用抵抗と前記抵抗調整用抵抗と直列に接続された切替え素子から成る抵抗調整器を複数有し、
前記抵抗調整器を前記抵抗素子と並列に接続するための前記切替え素子を切り替える切替え手段を有し、
出力電流の大きさに応じて前記抵抗調整器の並列接続数を切替え可能に構成されていることを特徴とする請求項
3に記載の
直流電源装置。
【請求項5】
前記スイッチング電源装置の
前段に、前記電流安定化回路を複数有し、
前記複数の電流安定化回路の接続を切り替える切替え手段と、
前記切替え手段の切替え信号を生成するロジック回路と、
を備え、出力電流の大きさに応じて前記電流安定化回路の並列接続数を切替え可能に構成されていることを特徴とする
請求項1~4のいずれかに記載の直流電源装置。
【請求項6】
前記スイッチング電源装置の出力端子には出力電流を電圧に変換する電流センス抵抗が接続され、
前記ロジック回路は前記電流センス抵抗の電圧に応じて前記切替え手段の切替え信号を生成することを特徴とする請求項
5に記載の直流電源装置。
【請求項7】
前記ロジック回路は、切替え電流値にちょうど合致した負荷電流の時に頻繁に切替えを繰り返さないよう、ロジック回路はヒステリシスを有していることを特徴とする請求項
6に記載の直流電源装置。
【請求項8】
スイッチング電源装置を備え
、直流電源から供給される直流入力電圧を変換して異なる電位の直流電圧を負荷へ供給する直流電源供給システムにおけ
る電源ラインより放出される輻射ノイズを抑制するノイズ抑制方法であって、
前記電源ラインを介して前記スイッチング電源装置に流れる電流を
前記スイッチング電源装置の前段に設けられた電流安定化回路で制御し、かつ前記電流安定化回路が備える、前記スイッチング電源装置のサーボ制御周波数成分を通過させるように時定数が設定されているローパスフィルタの機能で、前記スイッチング電源装置のスイッチング周波数成分を遮断することによって、前記スイッチング電源装置のスイッチング動作に伴うノイズが前記電源ラインに伝達するのを抑制することを特徴とする電源ラインのノイズ抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷へ直流電圧を供給する直流電源装置およびそれに用いる電流安定化回路並びに電源ラインのノイズ抑制方法に関し、例えばバッテリーから比較的長いケーブル等の電源ラインを介して負荷へ直流電圧を供給するシステムに利用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライブレコーダーのように、バッテリーから比較的長い電源ケーブルを介して負荷へ直流電圧を供給するシステムにおいては、電圧低下を防止するとともに効率を良くするため、機器側にスイッチング電源(DC-DCコンバータ)を設けている。このように、長い電源ケーブルでバッテリーからスイッチング電源へ電流を供給するシステムにおいては、電源側のスイッチング動作に伴い電源ケーブルから輻射ノイズが放出され、テレビ放送受信機等他の電子機器へ悪影響を及ぼすという課題がある。
【0003】
従来、電源ラインの輻射ノイズを低減するための技術として、フェライトビーズインダクタを電源ラインへ挿入する技術が知られている。例えば、AV機器に組み込まれるデジタルアンプのようなノイズ対策が必要とされる電子機器において、D級ドライバの電源ラインに大容量コンデンサと小容量コンデンサを並列接続するとともに、両コンデンサ間にフェライトビーズを接続して低ノイズ化を実現するようにした発明が提案されている(特許文献1)。
また、ケーブルをシールド化して輻射ノイズを低減する技術もあるが、ドライブレコーダーのような電子機器を備えた車載システム等においては、ケーブルの量が増加する傾向があり、ケーブルのシールド化はコストおよび重量の増加を招くため、シールド化によるノイズ対策は適切でない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-262121号公報
【文献】特開2010-207013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
比較的長い電源ケーブルを介して負荷へ直流電圧を供給するシステムであって負荷側に直流電源装置(DC-DCコンバータ)を備えるシステムにおいては、DC-DCコンバータでのスイッチング動作に伴い電源ケーブルを流れる電流が激しく変動することが輻射ノイズの原因となる。また、フェライトビーズのインピーダンスは通常数百Ωであるため、フェライトビーズを電源ケーブルの途中に挿入しても電流変化が上流へ伝わるのを有効に抑制することができず、輻射ノイズを充分に低減できないとともに、最適なビーズの選定は煩雑で設計負担が大きい上、使用する部品等の見直しが必要になって変更する場合も多くの手間を要し時間がかかるという課題がある。
【0006】
ところで、従来、バッテリーの電源電圧を負荷となる電子機器に必要な電圧に変換して供給する直流電源装置には、スイッチング制御方式のDC-DCコンバータまたはシリーズレギュレータのようなリニアレギュレータのいずれかが使用されている。このうちリニアレギュレータはノイズが出ないという利点を有するものの、効率が悪く発生する熱が多いというデメリットがある。一方、DC-DCコンバータは効率が良いという利点を有するものの、ノイズが発生するというデメリットがある。そこで、低ノイズを優先したい場合にはリニアレギュレータを使用し、効率を優先したい場合にはDC-DCコンバータを使用するというように、電源の使い分けが行われていた。
【0007】
本発明者は、スイッチングノイズを発生するDC-DCコンバータの上流側にリニアレギュレータを設けることで電源ケーブルから放出される輻射ノイズを減らせるのではないかと考え、詳細な検討を行なった。その結果、電源ケーブルの輻射ノイズをある程度は減らせるものの、バッテリー電圧の変化で効率が大きく変わる、レギュレータのサーボ帯域を上げないとノイズ低減効果が出にくいがサーボ帯域を上げるとレギュレータが発振し易くなる、DC-DCコンバータの入力コンデンサの最適容量値とリニアレギュレータの出力コンデンサの最適容量値とが一致しないことが多くそれによって発振やリップル電流の増加などのトラブルが起こり易い、といった問題点があることが明らかとなった。
【0008】
また、本発明者は、電源ケーブルの輻射ノイズを低減するため、DC-DCコンバータの下流側にリニアレギュレータを設けることも考えた。従来、DC-DCコンバータの後段にレギュレータを接続するようにした発明として、特許文献2に記載されているものがある。しかしながら、特許文献2の発明は、DC-DCコンバータの出力端子と負荷との間に設けられる大容量コンデンサへの突入電流の発生を防止することを課題とするもので、電源ラインの輻射ノイズを低減することを課題とするものでなく、かかる方法による輻射ノイズの低減効果は充分でないことが分かった。
【0009】
この発明は上記のような背景の下になされたもので、その目的とするところは、バッテリーから比較的長い電源ラインを介して負荷へ直流電圧を供給するシステムにおける電源ラインの輻射ノイズを抑制することができる直流電源装置およびそれに用いる電流安定化回路並びに電源ラインのノイズ抑制方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、バッテリー電圧の変化で効率が大きく変わったり、レギュレータが発振し易くなったり、リップル電流が増加したりすることなく電源ラインの輻射ノイズを抑制することができる直流電源装置およびそれに用いる電流安定化回路並びに電源ラインのノイズ抑制方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本出願に係る第1の発明は、
スイッチング電源装置と、前記スイッチング電源装置の前段に設けられた電流安定化回路と、を備え、
前記電流安定化回路は、
電流入力端子と電流出力端子との間に直列に接続された抵抗素子およびトランジスタと、
前記電流出力端子に接続され前記スイッチング電源装置のスイッチング周波数成分を遮断し、前記スイッチング電源装置のサーボ制御周波数成分を通過させるように時定数が設定されているローパスフィルタと、
前記抵抗素子とトランジスタとの接続ノードの電圧と前記ローパスフィルタの出力電圧との電位差に応じて前記トランジスタを制御して負荷急変時に当該トランジスタに定電流を流す制御回路と、を備えているようにしたものである。
【0011】
上記のような構成の直流電源装置によれば、スイッチング電源装置(DC-DCコンバータ)と電源ラインとの間に接続された電流安定化回路によって、スイッチング電源装置のスイッチング動作により発生したノイズが電源ラインに伝達するのを防止することができ、それによって電源ラインの電流が大きく変動して電源ラインから輻射ノイズが放出されるのを抑制することができる。
また、バッテリー電圧の変化で効率が大きく変わったり、レギュレータが発振し易くなったり、リップル電流が増加したりすることなく電源ラインの輻射ノイズを抑制することができる。
【0012】
また、上記構成によれば、比較的高い周波数の負荷電流変動に対しては前後の電位差の低周波成分に応じた定電流を維持するように電流安定化回路が働くため電源ラインの輻射ノイズを抑制しつつ、比較的低い周波数の負荷電流変動に対しては当該直流電源装置の負荷における電流の増減に応じた電流を電流安定化回路より流すことができる。
【0013】
さらに、上記構成によれば、スイッチング電源装置のスイッチング動作により発生したノイズが電源ラインに伝達するのを有効に防止するとともに、スイッチング電源装置のサーボ制御に伴う電流の増減に応答した電流を電流安定化回路により流すことができる。
【0014】
さらに、望ましくは、前記制御回路は、
前記抵抗素子とトランジスタとの接続ノードの電圧を一方の入力端子の入力電圧とする演算増幅回路と、
前記電流入力端子と前記演算増幅回路の他方の入力端子との間に接続された電圧制御電圧源回路と、
前記電流入力端子の電位を安定化させるコンデンサと、を備え、
前記電圧制御電圧源回路は、
一対の制御端子を備え、前記一対の制御端子の電位差に対応する電圧を生成するように構成され、前記一対の制御端子のうち一方の端子の電位が前記コンデンサによって安定化され、前記一対の制御端子のうち他方の端子に前記ローパスフィルタの出力電圧が印加されているように構成する。
かかる構成によれば、コンデンサによってノイズを低減させ、電流入力端子側の電位変動により電流安定化回路が流す電流が変動するのを防止することができる。
【0015】
さらに、望ましくは、前記電流入力端子と前記コンデンサとの間に定電圧源が接続され、
前記電圧制御電圧源回路は、前記定電圧源により持ち上げられた電圧を基準にして、前記ローパスフィルタの出力電圧に応じた電圧を前記演算増幅回路の他方の入力端子に供給するように構成する。
かかる構成によれば、トランジスタのエミッタ・コレクタ間の電位差が低くなって電流安定化回路が動作しない期間が生じるのを回避することができる。
【0016】
本出願の他の発明に係る電流安定化回路は、
電流入力端子と電流出力端子との間に直列に接続された抵抗素子およびトランジスタと、
前記電流出力端子に接続されたローパスフィルタと、
前記抵抗素子とトランジスタとの接続ノードの電圧と前記ローパスフィルタの出力電圧との電位差に応じて前記トランジスタを制御して負荷急変時に当該トランジスタに定電流を流す制御回路と、を備えているように構成したものである。
上記のような構成を有する電流安定化回路によれば、電流出力端子側の高周波ノイズが電流入力端子側へ伝達するのを抑制しつつ、比較的低い周波数では入力側と出力側の電位差に応じた電流を流すことができる。
【0017】
ここで、望ましくは、前記制御回路は、
前記抵抗素子とトランジスタとの接続ノードの電圧を一方の入力端子の入力電圧とする演算増幅回路と、
前記電流入力端子と前記演算増幅回路の他方の入力端子との間に接続された電圧制御電圧源回路と、
前記電流入力端子の電位を安定化させるコンデンサと、を備え、
前記電圧制御電圧源回路は、
一対の制御端子を備え、前記一対の制御端子の電位差に対応する電圧を生成するように構成され、前記一対の制御端子のうち一方の端子の電位が前記コンデンサによって安定化され、前記一対の制御端子のうち他方の端子に前記ローパスフィルタの出力電圧が印加されているように構成する。
かかる構成によれば、コンデンサによってノイズを低減させ、電流入力端子側の電位変動により電流安定化回路が流す電流が変動するのを防止することができる。
【0018】
さらに、望ましくは、前記電流入力端子と前記コンデンサとの間に定電圧源が接続され、前記電圧制御電圧源回路は、前記定電圧源により持ち上げられた電圧を基準にして、前記ローパスフィルタの出力電圧に応じた電圧を前記演算増幅回路の他方の入力端子に供給するように構成する。
かかる構成によれば、トランジスタのエミッタ・コレクタ間の電位差が低くなって電流安定化回路が動作しない期間が生じるのを回避することができる。
【0019】
さらに、抵抗調整用抵抗と前記抵抗調整用抵抗と直列に接続された切替え素子から成る抵抗調整器を複数有し、
前記抵抗調整器を前記抵抗素子と並列に接続するための前記切替え素子を切り替える切替え手段を有し、
出力電流の大きさに応じて前記抵抗調整器の並列接続数を切替え可能に構成する。
【0020】
さらに、望ましくは、
前記スイッチング電源装置の前段に、前記電流安定化回路を複数有し、前記複数の電流安定化回路の接続を切り替える切替え手段と、前記切替え手段の切替え信号を生成するロジック回路とを備え、出力電流の大きさに応じて前記電流安定化回路の並列接続数を切替え可能に構成したものである。
このような構成を有する直流電源装置によれば、サーボ制御帯域を変化させることなく、抵抗による電圧降下が大きくなるのを回避することができる。
【0021】
また、望ましくは、前記スイッチング電源装置の出力端子には出力電流を電圧に変換する電流センス抵抗が接続され、
前記ロジック回路は前記電流センス抵抗の電圧に応じて前記切替え手段の切替え信号を生成するように構成する。
これにより、出力電流の大きさに応じた切替え手段の切替え信号を簡単に生成することができる。
【0022】
さらに、望ましくは、 前記ロジック回路は、切替え電流値にちょうど合致した負荷電流の時に頻繁に切替えを繰り返さないよう、ロジック回路はヒステリシスを有しているように構成する。
これにより、負荷電流が切替え電流値付近で頻繁に切り替わるのを防止することができる。
【0023】
本出願のさらに他の発明は、
スイッチング電源装置を備え、直流電源から供給される直流入力電圧を変換して異なる電位の直流電圧を負荷へ供給する直流電源供給システムにおける電源ラインより放出される輻射ノイズを抑制するノイズ抑制方法において、
前記電源ラインを介して前記スイッチング電源装置に流れる電流を前記スイッチング電源装置の前段に設けられた電流安定化回路で制御し、かつ前記電流安定化回路が備える、前記スイッチング電源装置のサーボ制御周波数成分を通過させるように時定数が設定されているローパスフィルタの機能で、前記スイッチング電源装置のスイッチング周波数成分を遮断することによって、前記スイッチング電源装置のスイッチング動作に伴うノイズが前記電源ラインに伝達するのを抑制するようにしたものである。
上記のような方法によれば、電源ラインから輻射ノイズが放出されるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の直流電源装置およびそれに用いる電流安定化回路並びに電源ラインのノイズ抑制方法によれば、バッテリーから比較的長い電源ライン(電源ケーブル)を介して負荷へ直流電圧を供給するシステムにおける電源ラインの輻射ノイズを抑制することができる。また、バッテリー電圧の変化で効率が大きく変わったり、レギュレータが発振し易くなったり、リップル電流が増加したりすることなく電源ラインの輻射ノイズを抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の直流電源装置を適用した電源供給システムの一実施形態を示すシステム構成図である。
【
図2】
図1の電源供給システムを構成するスイッチング電源装置としてのDC-DCコンバータの具体例を示す回路構成図である。
【
図3】
図1の電源供給システムを構成する電流安定化回路の第1の実施形態を示す回路構成図である。
【
図4】電流安定化回路を簡略化した回路の例を示す回路構成図である。
【
図5】電流安定化回路にビーズを組み込んだ回路の例を示す回路構成図である。
【
図6】電流安定化回路の第2の実施形態を示す回路構成図である。
【
図7】本発明の直流電源装置を適用した電源供給システムの他の構成例を示すシステム構成図である。
【
図8】本発明の直流電源装置を適用した電源供給システムの変形例を示す構成図である。
【
図9】モータードライブ回路に電流安定化回路を応用した例を示す回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る直流電源装置を、バッテリーなどの直流電源からの電源電圧を、電源ケーブルを介して負荷に供給する電源供給システムに適用した場合の一実施形態の概略構成を示す。
図1の電源供給システムは、バッテリー10からの電源電圧を、電源ケーブル11を介して、本実施形態の直流電源装置20へ供給し、直流電源装置20は入力された電圧を負荷となる電子機器に適した電圧に変換して安定した出力電圧Voutを出力し、負荷へ電流Ioutを流す。
図1において、符号Lwは電源ケーブル11の有するインダクタンス成分を、符号RLは負荷となる電子機器の等価抵抗(負荷抵抗)を表わしている。
【0027】
本実施形態の直流電源装置20は、電源ケーブル11を介してバッテリー10からの電流を制御する電流安定化回路21と、電流安定化回路21の後段に設けられたスイッチング制御方式のDC-DCコンバータ22とから構成されている。特に制限されるものでないが、電流安定化回路21とDC-DCコンバータ22がプリント配線基板のような1つの基板上に実装される場合、電流安定化回路21とDC-DCコンバータ22との間は、基板に形成された2本のプリント配線パターンからなる電源ライン23によって接続される。なお、上記電源ケーブル11には、PoCケーブルのような信号と電源を同時に供給する同軸ケーブルが含まれる。
なお、従来、同軸ケーブルはシールドケーブルでもあるため低伝導ノイズ化は不要であったが、PoCケーブルはデジタル映像などの通信信号と電源を同時に供給するため、低伝導ノイズ化が必要となる。そこで、従来はインダクタとキャパシタから成るフィルタなどで低伝導ノイズ化を実現していたが、本発明に係る直流電源装置では、PoCケーブル接続前のフィルタを不要とする。
【0028】
図2には、DC-DCコンバータ22の具体的な回路例が示されている。
図2に示すように、本実施例のDC-DCコンバータ22は、
図1の電源ライン23が接続される一対の電圧入力端子IN1,IN2と、一対の電圧出力端子OUT1,OUT2を備えており、電圧出力端子OUT1,OUT2に負荷RLが接続されている。また、電圧入力端子IN2と電圧出力端子OUT2とは互いに接続され接地点に接続されるとともに、電圧出力端子OUT1とOUT2(接地点)との間には平滑用のコンデンサC1が接続されている。さらに、電圧出力端子OUT1とOUT2(接地点)との間には、DC-DCコンバータの出力電圧Voutを分圧する直列形態のブリーダ抵抗Rb1,Rb2が接続されている。
【0029】
また、DC-DCコンバータ22は、電圧入力端子IN1と電圧出力端子OUT1との間に直列に接続されたPチャネル形MOSFET(電界効果トランジスタ)からなるスイッチング素子としてのスイッチング・トランジスタM1とインダクタL1を備える。さらに、トランジスタM1とインダクタL1との接続ノードN1と電圧出力端子OUT2(接地点)との間に接続された同期整流トランジスタM2と、上記トランジスタM1,M2をオン、オフ制御する信号を生成するスイッチング制御回路としてのロジック回路LGCと、前記ブリーダ抵抗Rb1,Rb2により分圧された電圧がフィードバック電圧VFBとして反転入力端子が接続された誤差アンプAMP1を備える。
【0030】
誤差アンプAMP1の非反転入力端子には参照電圧Vrefが印加されており、誤差アンプAMP1はフィードバック電圧VFBと参照電圧Vrefとの電位差に応じた電圧をロジック回路LGCへ出力し、ロジック回路LGCは、誤差アンプAMP1の出力電圧に応じてスイッチング・トランジスタM1のオン時間を制御し、M2をオフ、M1をオンしてインダクタL1に電流を流してエネルギーを蓄積した後、M1をオフ、M2をオンしてインダクタL1の蓄積エネルギーを放出させて電圧出力端子OUT1へ向けて電流Ioutを流すとともに、入力電圧を変換して負荷へ直流電圧を供給する。
【0031】
本実施形態のDC-DCコンバータ22のロジック回路LGCにおけるスイッチング・トランジスタM1とM2のオン、オフ制御方式に関しては、例えば特開2012-139023号公報に記載されているように、従前より種々の制御方式が提案されており、本実施形態のDC-DCコンバータ22においては公知の制御方式を採用してロジック回路LGCを構成することができるので、具体例の説明は省略する。
なお、上記トランジスタM1,M2とロジック回路LGCと誤差アンプAMP1は、1個の半導体チップ上に半導体集積回路(IC)として構成されていても良い。
【0032】
図3には、電流安定化回路21の第1の実施形態が示されている。
図3に示すように、本実施形態の電流安定化回路21は、電源ケーブル11を介してバッテリー10から供給される直流電圧が印加される電流入力端子INと電流出力端子OUTとの間に設けられたPNPバイポーラ・トランジスタからなる電流制御用トランジスタQ1と、該トランジスタQ1のエミッタ端子と電流入力端子INとの間に接続された抵抗R1と、トランジスタQ1を制御するオペアンプ(演算増幅回路)AMP2と、該オペアンプAMP2の非反転入力端子に印加する電圧を生成する電圧制御電圧源回路VS1とを備えている。抵抗R1には、抵抗値が10Ω程度の低抵抗値の素子が使用される。
【0033】
また、電流安定化回路21は、上記電流出力端子OUTと電圧制御電圧源回路VS1のマイナス側制御端子(-)との間に設けられたローパスフィルタLPFを備えている。
電圧制御電圧源回路VS1は、一対の制御端子(+),(-)と一対の出力端子とを備えており、制御端子(+),(-)間の電位差に相当する電圧を出力端子間に発生する。これにより、本実施例では、電流入力端子INの電位よりも制御端子(+),(-)間の電位差に相当する電圧分だけ低い電圧が、オペアンプAMP2の非反転入力端子に印加されることとなる。電圧制御電圧源回路VS1は、例えばオペアンプやトランジスタなどにより構成された公知の電圧制御電圧源を使用することができる。
【0034】
ローパスフィルタLPFは、電流安定化回路21の電流出力端子OUTと電圧制御電圧源回路VS1のマイナス側制御端子(-)との間に接続された抵抗R2と、電圧制御電圧源回路VS1のマイナス側制御端子(-)と接地点との間に接続されたコンデンサC2とからなり、電流出力端子OUTの電圧変動成分のうち、後段のDC-DCコンバータ22のスイッチング周波数に相当する高周波成分を除去し、DC-DCコンバータ22のサーボ帯域(サーボ制御周波数)に相当する低周波成分を通過させるように時定数が設定される。
【0035】
これにより、ローパスフィルタLPFは、後段のDC-DCコンバータ22のサーボ制御に伴う電流出力端子OUTの電圧変動のみを、電圧制御電圧源回路VS1を介してオペアンプAMP2へ伝え、スイッチング制御に伴う電流出力端子OUTの電圧変動をオペアンプAMP2へ伝えないように働く。具体的には、例えばDC-DCコンバータ22のスイッチング周波数が2MHzで、サーボ制御周波数が2.4kHzである場合、抵抗R2として抵抗値が10数kΩの素子が使用され、コンデンサC2として容量値が数nFの素子が使用される。なお、電流安定化回路のサーボ制御はLPFだけではなく、オペアンプの帯域、抵抗R1、電流安定化回路出力端子のコンデンサなどが絡み合って決まることとなる。LPF部はセカンドポールを担っており、帯域そのものより、位相余裕に対して支配的に作用する。
【0036】
一方、電流安定化回路21の電流入力端子INと接地点との間には直列接続された定電圧源CVS1および抵抗R3があり、電圧制御電圧源回路VS1のプラス側制御端子(+)と接地点との間に接続されたノイズを低減するためのコンデンサC3が接続されているとともに、定電圧源CVS1と抵抗R3との接続ノードN3の電位が電圧制御電圧源回路VS1のプラス側制御端子(+)に印加されている。具体的には、抵抗R3として抵抗値が数MΩの素子が使用され、コンデンサC3として容量値が数μFの素子が使用される。
上記のような構成により、電流安定化回路21の電流入力端子INおよび電圧制御電圧源回路VS1のプラス側制御端子(+)の電位を安定化させ、前後すなわち電流入力端子INと電流出力端子OUTとの間の電位差の低周波成分を維持させるように動作することとなる。
【0037】
図4に、
図3の電流安定化回路21を簡略化した変形例を示す。この変形例においては、電流安定化回路21の電流入力端子INと接地点との間はコンデンサC3のみで構成され、定電圧源CVS1はオペアンプAMP2の非反転入力端子とローパスフィルタLPF間に接続されており、数dBほどノイズ低減効果が減少するが、
図3の回路とほぼ同等の効果が得られる。また、
図5には、
図3の電流安定化回路21において、抵抗R1と直列にビーズBDを追加した変形例を示す。ビーズBDを追加することで、更に30dBほどノイズ低減効果を上げることができる。
【0038】
また、定電圧源CVS1はバイポーラ・トランジスタのコレクタ・エミッタ間電圧VCEに相当する電圧(約0.2V)を発生するように構成されており、これによりバイポーラ・トランジスタが常時動作することが可能になるとともに、前記電圧が0.2V程度と小さくなるように構成することでバイポーラ・トランジスタの熱損失を抑制し、トランジスタで発生する損失を最小限にすることが可能となるという利点がある。また同時に電圧を小さくし過ぎないことでバイポーラ・トランジスタの寄生容量の増大を防いでいる。
【0039】
上記のような構成を有する本実施形態の電流安定化回路21は、電流制御用トランジスタQ1に流れるコレクタ電流をIc、電流入力端子INと電流出力端子OUTとの間の電位差をΔVとおくと、Ic=(ΔV-CVS1)/R1で表わされる電流を流すように動作する。
ここで、電流入力端子INと電流出力端子OUTとの間の電位差ΔVは、上述したように、DC-DCコンバータ22の動作に伴う高周波成分を除去し低周波成分を維持するようにされるため、DC-DCコンバータ22のスイッチング動作で激しく変動する電流出力端子OUT側の電流変化を上流側の電源ケーブル11へ伝えない一方、DC-DCコンバータ22のサーボ制御に伴う電流変化には追従して変化する電流Icを流すことができるようになる。
【0040】
上述したように、本実施形態の直流電源装置20は、DC-DCコンバータ22により直流電圧を生成して負荷となる機器へ供給するため、リニアレギュレータのみからなる直流電源装置に比べて変換効率を高めることができる。また、DC-DCコンバータ22の前段に電流安定化回路21が設けられているため、DC-DCコンバータ22におけるスイッチング動作で発生したノイズが上流側の電源ケーブル11に伝わりにくくなり、電源ケーブル11から漏れる輻射ノイズ(放射ノイズ)を低減することができる。また、バッテリー電圧の変化で効率が大きく変わったり、レギュレータが発振し易くなったり、リップル電流が増加したりすることなく電源ラインの輻射ノイズを抑制することができる。さらに、電流安定化回路21によって電源投入時等に定格以上のラッシュ電流が負荷へ流れ込むのを防止することができる。
【0041】
次の表1には、DC-DCコンバータのみからなる直流電源装置(DCDC)と、DC-DCコンバータからなる直流電源装置にビーズを組み合わせた場合(DCDC+ビーズ)と、電流安定化回路21とDC-DCコンバータ22とからなる本実施形態の直流電源装置(DCDC+電流安定化回路)と、リニアレギュレータのみからなる直流電源装置(LDO)について、シミュレーションを行なって取得した変換効率と、線間が0.5mmで長さが4mの平行線からなるケーブル(UL規格AWG20)を電源ラインとして使用し、スイッチング周波数を2MHzとした場合の放射ノイズ(ケーブルから3m離れた位置の磁界強度)の値を示す。表1における「差分」は、DC-DCコンバータのみからなる直流電源装置の効率と磁界を基準とした場合の相対値である。なお、上記シミュレーションにおいては、Vin=5V, Vout=1.8V, Iout=200mA, fsw_dcdc=2MHzとした。
【0042】
【表1】
図5には電流安定化回路にビーズを組み込んだものを示すが、電流安定化回路を設けずにビーズを組み合わせた場合、上記表1より、放射ノイズの低下は3.62dBでほとんど期待できないとともに、リニアレギュレータのみからなる直流電源装置(LDO)は輻射ノイズを200dB近く下げられるものの効率が50%近く低下してしまうが、本実施形態の直流電源装置を使用することによって、13%の効率低下で、放射ノイズを65dB以上下げることができ、非常に効率が良いことが分かる。
【0043】
一方、本実施形態を適用することにより、パターンやケーブルからの輻射ノイズが低減するためセット内での高周波ノイズ伝搬を避けるために排除していた共通インピーダンスもある程度許容可能となる。また、例えば共通の電源から複数の負荷(電子機器)の近傍に設けられたDC-DCコンバータへそれぞれ電源を供給する複数のケーブルを平行に敷設する場合、センシティブな信号が通る線材をノイズ源のパターンから遠ざけるために行っていた複雑なスタイリングを量産管理する必要も減り、セットの小型化と安定性向上が実現する。さらに、基板を変更せずにEMIを改善することも可能となる。
【0044】
また、車載システムのような多くの電子機器を備えたシステムは高機能化に伴い複雑化が進み、ケーブルが指数関数的に増える傾向にあるので、ケーブルからの輻射ノイズを抑えることは喫緊の課題である。本実施形態の直流電源装置を使用すれば、サイズの大きなフェライトビーズやPoCフィルタを構成する部品を使用せずに電源ケーブルからの輻射ノイズを低減することができ、ケーブルのスリム化を図ることができる。また、実施形態の直流電源装置を使用すれば、電子機器のセット内のケーブルのスタイリング差で生じるノイズ干渉トラブルを抑え、機器全体の信頼性を向上させることも可能となる。
【0045】
ところで、
図3に示す電流安定化回路21は、負荷電流の変動幅が比較的小さいシステムに有効な回路であり、負荷電流の変動幅がある程度大きくなると対応することができないという課題がある。そこで、次に、負荷電流の変動幅がある程度大きくなったとしても対応することができる、つまり比較的大電流時においても負荷電流が高い周波数で変動する負荷急変時の場合には定電流を流すことができ、負荷電流が比較的低い周波数で変動する場合には単なる抵抗としての役割を果たす電流安定化回路について説明する。
図6には、そのような機能を有する電流安定化回路21の具体的な回路構成例(第2の実施形態)が示されている。
【0046】
図6に示すように、第2の実施形態の電流安定化回路21は、
図3に示す第1の実施形態の電流安定化回路における抵抗R1及び抵抗R2を可変可能としたもので、その一例として抵抗R1と並列に抵抗R1a及び抵抗R1b(追加可能な数はこれに限らない)を追加可能な構成とし、抵抗R1が変化した時の電圧降下を低減することにより大電流時に飽和しないようにすることが出来る。なお、抵抗R1が変化することでサーボ帯域も変化してしまうため、ローパスフィルタLPFの抵抗R2も同時に変化させることでサーボ帯域が変化しないようにしている。なお、切替え信号を生成するために、出力電流Ioutを電圧に変換する電流検出抵抗Rsが接続されている。また、負荷電流が切替え電流値付近で頻繁に切替え動作を繰り返さないようにするため、ロジック回路にはヒステリシスを持たせるようにしてもよい。また、制御用ロジック回路に入力する電位を生成するために、DC-DCコンバータ出力後に、出力電流を電圧に変換する電流センス抵抗Rsが接続されている。
【0047】
次に本発明の第3の実施形態について説明する。上記第2の実施形態では、トランジスタスイッチで抵抗R1と並列に抵抗を追加していくことで電圧降下を抑制していたが、この場合にはサーボ制御帯域が大きく変化してしまうためその制御も必要となるため回路が煩雑となっていた。そこで、第3の実施形態では、
図7に示すように、電流安定化回路21を複数並列に設けるとともに、切替え手段(SW1,SW2)を設けて、出力電流に応じて切替え手段を切り替えることで順次並列接続数を増やすことができるように構成したものである。
なお、切替え信号を生成するために、出力電流Ioutを電圧に変換する電流検出抵抗Rsが接続されている。また、負荷電流が切替え電流値付近で頻繁に切替え動作を繰り返さないようにするため、ロジック回路にはヒステリシスを持たせるようにしてもよい。上記のような構成により、負荷電流を大きくした場合にシリーズ抵抗(トランジスタQ1のエミッタ端子と電流入力端子INとの間に接続された抵抗)での電圧降下を抑制することができる。
【0048】
(変形例)
次に、上記実施形態の直流電源装置20の変形例について説明する。
本変形例は、
図8に示すように、DC-DCコンバータ22の後段に電流安定化回路21を設けるようにしたものである。
一般に、車載システム等ではPOL(Point Of Load)の考え方で、負荷の近くに電源を置くのが望ましいとされているので、DC-DCコンバータから負荷までの間に長いケーブルや配線パターンがあるシステムは少ないが、パワーマネージメントICなどを使用して電源を集約し、占有面積を最小化したいというニーズもあるので、適用するシステムによっては
図8のような構成の電源装置が有効に働く場合が充分に考えられる。
【0049】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。例えば前記実施形態では、電流安定化回路21を構成するトランジスタとしてバイポーラ・トランジスタを使用したものを示したが、バイポーラ・トランジスタの代わりにMOSトランジスタを使用しても良い。さらに、前記実施形態では、本発明をDC-DCコンバータ22として同期整流方式のDC-DCコンバータを使用した直流電源装置に適用したものについて説明したが、本発明は
図2のスイッチング・トランジスタM2の代わりにダイオードを使用した非同期整流方式のDC-DCコンバータを使用した直流電源装置にも適用することができる。
また、
図2の実施例においては、電圧モード制御のDC-DCコンバータに適用したものを示したが、これに限定せず、電流モード制御またはヒステリシス制御のDC-DCコンバータでも良い。
【0050】
さらに、前記実施形態では、本発明を非絶縁型のDC-DCコンバータを直流電源装置とするシステムに適用した場合について説明したが、本発明は、トランスを備え一次側巻線に流す電流をスイッチング制御する絶縁型のDC-DCコンバータを直流電源装置とするシステムにも適用することができる。
また、前記実施形態では、バッテリーから負荷へ電源電圧を供給する電源ラインとして電源ケーブルを使用したシステムについて説明したが、プリント配線基板のような基板上に形成された配線パターンを電源ラインとして負荷へ電源電圧を供給するシステムにも適用することができる。
なお、本発明の電流安定化回路21は、スイッチング動作をして激しく電流変化するもの全てに対し有効であり、例えば
図9に示すようにスイッチング方式のモータードライバ(M1~M4)へ電源を供給する電源ケーブルからの輻射ノイズの低減や、Dクラスアンプへ電源を供給する電源ケーブルからの輻射ノイズの低減にも適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
10……バッテリー、11……電源ケーブル(電源ライン)、20……直流電源装置、21……電流安定化回路、22……DC-DCコンバータ、AMP1,AMP2……アンプ、LPF……ローパスフィルタ、VS1……電圧制御電圧源回路、CVS1……定電圧源、L1……インダクタ(コイル)、Q1……電流制御駆動用トランジスタ