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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】給湯装置、及び、遠隔通話システム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20240807BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20240807BHJP
   F24H 9/20 20220101ALI20240807BHJP
   F24H 15/176 20220101ALI20240807BHJP
   F24H 15/196 20220101ALI20240807BHJP
   F24H 15/265 20220101ALI20240807BHJP
   F24H 15/281 20220101ALI20240807BHJP
   F24H 15/30 20220101ALI20240807BHJP
   F24H 15/395 20220101ALI20240807BHJP
   F24H 15/45 20220101ALI20240807BHJP
   F24H 15/457 20220101ALI20240807BHJP
   F24H 15/464 20220101ALI20240807BHJP
【FI】
H04Q9/00 301D
H04M11/00 302
F24H9/20 A
F24H15/176
F24H15/196 301W
F24H15/265
F24H15/281
F24H15/30
F24H15/395
F24H15/45 101
F24H15/457
F24H15/464
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020105374
(22)【出願日】2020-06-18
(65)【公開番号】P2021197713
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 貴仁
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-220758(JP,A)
【文献】特開2003-214638(JP,A)
【文献】特開2004-080379(JP,A)
【文献】特開2020-067244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B37/00-37/78
F24D18/00
F24H1/00
1/18-1/20
4/00-4/06
9/20-9/28
15/00-15/493
H03J9/00-9/06
H04L12/28
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-11/10
H04Q9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源機と、
前記熱源機のリモートコントローラと、
前記リモートコントローラの周囲の人の存在を検知するための人検知手段と、
前記リモートコントローラに設けられた通話装置とを備え、
前記リモートコントローラは、前記リモートコントローラの外部の通話端末からの前記通話装置を用いた通話要求が入力された場合に、前記人検知手段によって前記人の存在が検知されると前記通話端末との間の音声通信回線を形成し、
前記リモートコントローラには前記通話装置による通話をユーザがオンオフ操作するための操作器が更に設けられ、
前記リモートコントローラは、前記通話要求が入力された場合に、前記人検知手段によって前記人の存在が検知されないときには、前記操作器の操作に応じて前記音声通信回線を形成する待機状態に設定される、給湯装置。
【請求項2】
前記リモートコントローラは、前記通話要求が入力された場合には、前記人検知手段の検知結果に基づいて、通話先における通話相手者の存在又は不在を報知するための情報を前記通話端末に送信する、請求項1記載の給湯装置。
【請求項3】
熱源機と、
前記熱源機のリモートコントローラと、
前記リモートコントローラの周囲の人の存在を検知するための人検知手段と、
前記リモートコントローラに設けられた通話装置とを備え、
前記リモートコントローラは、前記リモートコントローラの外部の通話端末からの前記通話装置を用いた通話要求が入力された場合に、前記人検知手段によって前記人の存在が検知されると前記通話端末との間の音声通信回線を形成し、
前記リモートコントローラは、前記通話要求が入力された場合には、前記人検知手段の検知結果に基づいて、通話先における通話相手者の存在又は不在を報知するための情報を前記通話端末に送信する、給湯装置。
【請求項4】
前記リモートコントローラは、浴室内に配設される、請求項1~3のいずれか1項に記載の給湯装置。
【請求項5】
前記給湯装置は、互いに通信接続された複数個の前記リモートコントローラを備え、
前記複数個のリモートコントローラのうちの第1のリモートコントローラは、浴室の内部に配設され、
前記複数個のリモートコントローラのうちの第2のリモートコントローラは、前記浴室の外部に配設されて、前記給湯装置の外部のインターフェイス機器との間で通信可能に構成され、
前記通話端末は、前記インターフェイス機器を経由して前記リモートコントローラと通信接続される、請求項1~3のいずれか1項に記載の給湯装置。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1項に記載の給湯装置と、
外部通信網を介して前記給湯装置に通信接続されるサーバとを備え、
前記通話端末は、前記サーバに予めペアリングが登録された前記給湯装置の前記リモートコントローラと、前記外部通信網を経由して通信接続される、遠隔通話システム。
【請求項7】
遠隔通話システムであって、
給湯装置と、
外部通信網を介して前記給湯装置に通信接続されるサーバとを備え、
前記給湯装置は、
熱源機と、
前記熱源機のリモートコントローラと、
前記リモートコントローラの周囲の人の存在を検知するための人検知手段と、
前記リモートコントローラに設けられた通話装置とを含み、
前記リモートコントローラは、前記リモートコントローラの外部の通話端末からの前記通話装置を用いた通話要求が入力された場合に、前記人検知手段によって前記人の存在が検知されると前記通話端末との間の音声通信回線を形成し、
前記通話端末は、前記サーバに予めペアリングが登録された前記給湯装置の前記リモートコントローラと、前記外部通信網を経由して通信接続され、
前記サーバは、前記外部通信網を介して前記給湯装置から前記人検知手段による検知結果を収集し、
前記通話端末は、前記予めペアリングが登録された前記給湯装置に対する前記通話要求の発生に際して、当該給湯装置の前記人検知手段による前記検知結果に基づく情報を前記サーバから受信する、遠隔通話システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置、及び、遠隔通話システムに関し、より特定的には、リモートコントローラ(リモコン)を用いた通話機能を有する給湯装置、及び、当該給湯装置を含む遠隔通話システムに関する。
【背景技術】
【0002】
浴室及び台所等に設置されるリモコンにマイクロフォン及びスピーカによる通話装置を設けることで、リモコン間で通話が可能な給湯装置での通話システムが、特許第3778144号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
特許文献1に記載された通話システムでは、リモコン間での通話において、通話スイッチの操作により相手局を一定時間呼び出した後に当該相手局との間に音声通話回線を自動的に開く通話方式(トークバック方式)が適用される。更に、呼び出しを受けてから音声通話回線を開くまでの所要時間として、長短二種類の接続応答時間を設けることが記載されている。
【0004】
特に、特許文献1では、当該二種類の接続応答時間は、直近の通話終了時からの次の呼び出しの受付時までの所要時間、発呼者側での通話スイッチの所定操作の有無、又は、端末近傍の人体が存在するか否かを検出する人検出手段の検出結果に応じて、切り替えることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3778144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の通話システムによれば、呼び出しを受けた相手局はリモコン等の操作を要することなく、いわゆるハンズフリーで通話することができる。しかしながら、発呼者側では、通話呼び出し先の端末(リモコン)の近傍に通話相手者が居る場合にも、音声通信回線が形成されるまでに一定の待ち時間が常に発生することになる。
【0007】
一方で、特許文献1とは異なり、通話呼び出し先でのボタン操作によって音声通信回線を形成するようにすると、通話相手者が居る場合の待ち時間が短縮される一方で、当該ボタン操作が必要となる。このため、例えば、ユーザが浴室内で洗髪中であるタイミング等では、対応が困難になることが懸念される。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、給湯装置の通話システムにおける、通話要求の発生に応じて音声通信回線を形成する際のユーザ利便性の低下を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある局面では、給湯装置は、熱源機と、熱源機のリモートコントローラと、リモートコントローラの周囲の人の存在を検知するための人検知手段と、リモートコントローラに設けられた通話装置とを備える。リモートコントローラは、リモートコントローラの外部の通話端末からの、通話装置を用いた通話要求が入力された場合に、人検知手段によって、人の存在が検知されると、通話端末との間の音声通信回線を形成する。
【0010】
本発明の他のある局面では、遠隔通話システムは、上記給湯装置と、外部通信網を介して、給湯装置に通信接続されるサーバとを備える。通話端末は、サーバに予めペアリングが登録された給湯装置のリモートコントローラと、外部通信網を経由して通信接続される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、リモートコントローラに対して外部の通話端末からの通話要求が入力された場合に、当該リモートコントローラの周囲に人の存在が検知されると、通話端末との間の音声通信回線を自動的に形成するので、ユーザ利便性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態に係る給湯装置及び遠隔通話システムの構成を説明する概略図である。
図2図1に示された給湯装置のリモコンの音声通信回線に関する制御構成を説明するブロック図である。
図3】給湯装置のリモコンの音声通信回線に関する制御処理を説明するフローチャートである。
図4】給湯装置のリモコンの音声通信回線に関する制御処理の変形例を説明するフローチャートである。
図5】給湯装置のリモコンの音声通信回線の制御に関する構成の変形例を説明するブロック図である。
図6】水位センサの検出値を用いた入退浴の検知を説明する概念図である。
図7】本実施の形態に係る遠隔通話システムの構成の第1の変形例を説明する概略図である。
図8図7に示された遠隔通話システムにおいて送受信される情報を説明する概念図である。
図9】本実施の形態に係る遠隔通話システムの構成の第2の変形例を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では図中の同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰返さないものとする。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る給湯装置及び遠隔通話システムの構成を説明する概略図である。
【0015】
図1を参照して、給湯装置100は、熱源機10と、コントローラ11と、熱源機10を操作するためのリモコン30,50とを備える。熱源機10は、導入された低温水を加熱するための加熱機構(図示せず)を含むように構成される。加熱機構は、例えば、ガスや石油等の燃料の燃焼熱を用いる加熱、及び、発電時の排熱又はヒートポンプによる加熱の何れを利用する構成であってもよい。又、熱源機10は、加熱された高温水がそのまま出湯される構成の他、加熱された高温水を貯留する貯湯式の構成であってもよい。熱源機10は、図示しない給湯栓等に加えて、浴室200に設置された浴槽20を給湯先に含む。
【0016】
更に、熱源機10は、浴槽20内の浴槽アダプタ25と接続される、浴槽20の湯水21(以下、浴槽水21とも称する)を循環加熱するための追焚回路(図示せず)を更に含む。当該追焚回路は、図示しない循環ポンプの作動によって形成された循環経路を通流する浴槽水21を加熱することで、浴槽水21の温度を上昇させる追焚運転を実行することができる。
【0017】
更に、給湯装置100は、浴槽水21の水位(以下、単に「浴槽水位」とも称する)を検知するための水位センサ(図示せず)を、熱源機10の筐体内に備える。水位センサ28は、例えば、圧力センサによって構成される。
【0018】
コントローラ11は、例えば、マイクロコンピュータを含んで構成することができる。コントローラ11は、リモコン30及びリモコン50と通信可能に接続されている。尚、これらの機器間の通信は、公知のいかなる規格に従ったものであってもよく、又、有線であっても無線であってもよい。一般的には、コントローラ11と、リモコン30及びリモコン50との間は、2心通信線によって接続される。
【0019】
リモコン30は、浴室200の壁面に設置されており、給湯装置100を操作するためのものである。リモコン30は、情報を表示するための表示部31と、ユーザ等の入力設定操作を受け付けるための操作部32とを含む。表示部31は、代表的には、液晶パネルによって構成されており、浴槽設定水位、給湯設定温度、及び、ふろ設定温度を表示可能に構成されている。
【0020】
操作部32は、代表的には、プッシュボタンやタッチボタンによって構成されており、浴槽水位及び温度等に関する設定操作を受け付け可能に構成される。更に、操作部32は、通話ボタン32aを含む。
【0021】
リモコン30には、更に、人感センサ34及び通話装置39が設けられる。人感センサ34は、浴室200内における人の存在を感知する機能を有する。例えば、赤外線センサ(焦電センサ)によって人感センサ34を構成することができる。通話装置39は、音声出力のためのスピーカ及び音声入力のためのマイクロフォンを内蔵して構成される。
【0022】
リモコン50は、浴室200の外部に設置されており、給湯装置100を操作するためのものである。リモコン50は、代表的には台所の壁面に設置されている。リモコン50は、情報を表示するための表示部51と、ユーザ等の入力設定操作を受け付けるための操作部52とを含む。
【0023】
表示部51は、代表的には、液晶パネルによって構成されており、給湯設定温度、及び、ふろ設定温度等を表示可能に構成されている。操作部52は、代表的には、プッシュボタンやタッチボタンによって構成されており、給湯装置100の運転に関する設定操作を受け付け可能に構成されている。リモコン50においても、リモコン30の人感センサ34及び通話装置39と同様の、人感センサ54及び通話装置59を設けることができる。又、操作部52は、通話ボタン32aと同様の通話ボタン52aを含む。通話ボタン32a,52aは、通話装置39,59による通話をユーザがオンオフするための「操作器」の一実施例に対応する。
【0024】
コントローラ11は、リモコン30,50からのユーザ等の入力設定操作に基づき、給湯装置100がユーザ指示に従って運転されるように、熱源機10の動作を制御する。当該制御の一例として、コントローラ11は、リモコン30,50の操作により、ふろ自動運転が指示されると、浴槽20への湯張り運転を実行する。当該湯張り運転は、熱源機10からの注湯により、浴槽20において、浴槽水位が設定水位に達し、かつ、図示しない温度センサによって検出される浴槽水温度がふろ設定温度に達すると終了される。
【0025】
給湯装置100では、ふろ湯張り運転の終了後、浴槽水21の温度及び水位を維持する自動モードを設定することが可能である。当該自動モードの選択時には、浴槽水温度が、ふろ設定温度に対応されて設定された基準温度(例えば、ふろ設定温度よりも2~3℃低く設定)よりも低下すると、保温制御のために追焚運転が自動的に起動される。更に、水位センサ28によって検出された浴槽水位が設定水位よりも低下すると、熱源機10から浴槽20へ追加的に注湯する足し湯運転が起動される。
【0026】
更に、給湯装置100では、リモコン30を用いて、浴室200内の入浴者が浴室外と会話するための音声通話機能が設けられる。例えば、リモコン30及び50の間で、通話装置39及び59への音声の入出力によって、ユーザ同士が会話することができる。
【0027】
或いは、本実施の形態に係る給湯装置は、給湯装置100の外部の機器との間で、遠隔通話システム101xを構成することも可能である。遠隔通話システム101xは、給湯装置100と、インターフェイス機器110と、インターフェイス機器110と通信接続可能な端末機器130とを備える。端末機器130は、例えば、スマートフォン又はタブレット端末によって構成される。
【0028】
給湯装置100は、宅内に配置された、インターフェイス機器110を含む他の機器との間での無線通信機能を有するように構成される。当該無線通信機能は、例えば、リモコン50に搭載される。インターフェイス機器110は、一定範囲内に存在する機器を、後述する外部通信網に通信接続するための通信中継器であり、例えば、インターネットに対してWi-Fi接続するための無線LAN(Local Area Network)ルータによって構成することができる。
【0029】
遠隔通話システム101xでは、インターフェイス機器110に通信接続した端末機器130と、給湯装置100のリモコン30又は50との間でユーザが会話することができる。以下では、浴室200に設けられたリモコン30に対して通話要求が入力された際の音声通信回線の制御について代表的に説明する。即ち、通話要求を発する、リモコン30外部の「通話端末」は、リモコン50及び端末機器130を含むものである。
【0030】
端末機器130が、通話要求元である「通話端末」である場合には、端末機器130及び給湯装置100(リモコン50)の間にインターフェイス機器110を経由して形成される無線通信経路と、給湯装置100内の通信経路(例えば、リモコン30及び50の間の2心通信線)とによって、端末機器130とリモコン30との間に音声通信回線を形成することができる。又、リモコン50が「通話端末」である場合には、給湯装置100内の通信経路(例えば、2心通信線)のみで、リモコン30及び50の間に音声通信回線を形成することができる。
【0031】
図2は、図1に示されたリモコン30の音声通信回線の制御に関する構成を説明するブロック図である。
【0032】
図2を参照して、リモコン30は、図1で説明した人感センサ34及び通話装置39に加えて、マイクロコンピュータ(マイコン)35と、通信部36とを有する。通信部36は、通信経路15を経由して、リモコン30の外部機器との間で通信データを双方向に授受する。リモコン30に対する直接の通信経路15は、上述の様に、2心通信線を用いることができる。
【0033】
通信部36は、通信データをマイコン35との間で授受する。通信データは、熱源機10のコントローラ11との間で授受される制御指示及び制御データに加えて、通話装置39に入出力される音声データを含む。マイコン35は、リモコン30の外部の通話端末との間で音声通信回線が形成(オン)されると、当該音声通信経路によってリモコン30に対して入力された音声データに従った音声を出力するように、通話装置39を制御する。反対に、マイコン35は、通話装置39に入力された音声に従った音声データを生成し、当該音声データが音声通信回線によって接続された通話端末に対して出力されるように、通信部36を制御する。このような、音声データの授受によって、音声通信回線によって接続されたリモコン30及び通話端末の間での通話が可能となる。
【0034】
人感センサ34による検知結果は、マイコン35に入力される。マイコン35は、人感センサ34の検知結果に基づき、リモコン30の周囲に人が居るか否かを判定することができる。
【0035】
更に、マイコン35には、通話ボタン32aの操作信号が入力される。例えば、通話ボタン32aが押圧されると、パルス信号がマイコン35に入力される。マイコン35は、音声通信回線の形成(オン)時に当該パルス信号が入力されると、当該音声通信回線をオフする。又、マイコン35は、音声通信回線のオフ状態で外部から通話要求が入力されたときに、当該パルス信号の入力を検知すると、当該通話要求に応じた音声通信回線を形成(オン)する。更に、通話ボタン32aの操作によって、リモコン30から他の通話端末への通話要求を発生することも可能である。
【0036】
図3は、リモコン30の音声通信回線に関する制御処理を説明するフローチャートである。図3の制御処理は、図2に示されたマイコン35によって実行することができる。
【0037】
図3を参照して、マイコン35は、ステップ(以下、単に「S」と表記する)110により、他の通話端末からの通話要求の有無を確認し、通話端末からの通話要求が入力された場合には(S110のYES判定時)には、S120以降の実行を起動する。この場合には、認識された通話端末(即ち、通話要求元)を特定する情報が、通話装置39(スピーカ)から出力される。
【0038】
一方で、通話要求の入力が無い場合(S110のNO判定時)には、S120以降の実行は待機される。即ち、S120以降の処理は、リモコン30に対する他の通話端末(リモコン50又は端末機器130)からの通話要求の入力に応答して実行される。
【0039】
マイコン35は、S120では、リモコン30の周囲に人が居るか否かの判定を実行する。上述の様に、リモコン30に設けられた人感センサ34の検知結果に基づいて、S120の判定を実行することができる。
【0040】
マイコン35は、リモコン30の周囲に人が検知されるとき(S120のYES判定時)には、S130により、通話要求元(S110)との間の音声通信回線を形成(オン)する。即ち、S130では、通話ボタン32a等のユーザ操作を伴うことなく、自動的に音声通信回線がオンされる。尚、この場合には、S150により、リモコン30の通話装置39(スピーカ)から、他の通話端末との間で音声通信回線が形成されたことを報知するメッセージを出力することが好ましい。当該メッセージには、通信端末(即ち、通話相手先)を示す情報を含むことができる。
【0041】
一方で、マイコン35は、リモコン30の周囲に人が検知されないとき(S120のNO判定時)には、S140により、通話ボタン32aの操作の待機状態となる。当該待機状態では、通話ボタン32aの操作が検知されると、通話要求元(S110)との間の音声通信回線が形成される一方で、通話ボタン32aが操作されないと、音声通信回線はオフのままに維持される。待機状態は、例えば、一定時間の経過、又は、通話要求元での通話要求の取り消しに応じて解除される。
【0042】
このように、本実施の形態に係る給湯装置では、リモコンに対する通話要求の入力時に、当該リモコン周囲に人が検出される場合には、ユーザ操作及び一定の待ち時間を伴うことなく自動的に音声通信回線をオンすることができる。この結果、通話要求の発生に応じて音声通信回線を形成する際のユーザ利便性の低下を抑制することができる。
【0043】
尚、図3に示した制御処理では、通話要求先(リモコン30)の周囲に人が検出されない場合には音声通信回線が形成されない状態が維持される(S140)ため、通話要求元(通話端末側)のユーザは通話相手者の不在を認識する迄に時間を要することが懸念される。
【0044】
図4は、リモコン30の音声通信回線に関する制御処理の変形例を説明するフローチャートである。図4の制御処理についても、図2に示されたマイコン35によって実行することができる。
【0045】
図4を参照して、マイコン35は、図3に示された制御処理に加えて、S120での判定結果を、通話要求元の通話端末に返信するためのS125,S135の処理を更に実行する。
【0046】
具体的には、マイコン35は、リモコン30の周囲に人が検知されるとき(S120のYES判定時)には、S130により音声通信回線を形成(オン)するとともに、S135により、音声通信回線をオンしたことを示す情報を、通話要求(S110)の発信元(通話端末)に対して送信する。
【0047】
一方で、マイコン35は、リモコン30の周囲に人が検知されないとき(S120のNO判定時)には、S125により、通話者が不在であることを示す情報を、通話要求(S110)の発信元(通話端末)に対して送信するとともに、S140により音声通信回線をオフのままに維持する。S125,S135以外の各ステップの処理は、図3と同様である。
【0048】
図4の制御処理によれば、通話要求先のリモコン周囲に人が検出されない場合には、リモコン側から送信された情報(S125)を用いて、通話要求元(通話端末側)のユーザに対して、通話相手者の不在を報知する情報を送信することができる。この結果、固定的な一定時間の経過を待つことなく、通話相手者の不在を速やかに認識できることにより、通話要求元のユーザの利便性を向上することができる。
【0049】
又、通話要求先のリモコン30の周囲に人が検出される場合には、リモコン側から送信された情報(S135)を用いて、通話要求元(通話端末側)のユーザに対して、通話相手者が存在しているため音声通信回線をオンしたことを報知する情報を出力することができる。この結果、仮に、通話要求先のユーザが洗髪中等で即座に会話できない状況であっても、通話相手者が存在していることを通話要求元で認識できる。これにより、通話要求元のユーザ利便性を向上することができる。
【0050】
(システム構成の変形例)
以下では、システム構成の変形例について、順次説明する。まず、図5を用いて、通話要求先が浴室20内のリモコン30であるときの人検知手段の変形例を説明する。
【0051】
図5は、給湯装置のリモコンの音声通信回線の制御に関する構成の変形例を説明するブロック図である。
【0052】
図5を参照して、水位センサ28は、熱源機10の筐体内において、浴槽水21を追焚回路に循環するための循環配管に取り付けられる。水位センサ28の検出値は、コントローラ11に取り込まれる。コントローラ11は、水位センサ28(図1)の検出値(浴槽水位H)に基づいて浴槽20への入退浴を検知することができる。マイコン35は、コントローラ11から送信された入退浴の検知情報に基づき、リモコン30の周囲に人が居るか否かの判定を実行することができる。
【0053】
図6は、水位センサの検出値を用いた入退浴の検知を説明する概念図である。
図6を参照して、浴槽20への湯張り運転の終了時には、水位センサ28によって検出される浴槽水位Hは、設定水位に達している。この状態が「退浴状態」として初期設定されると、以降では、単位時間当たりの浴槽水位Hの変化量ΔHがコントローラ11によって逐次算出される。
【0054】
退浴状態において、予め定められた判定値Hthを超える水位上昇(ΔH>0、かつ、|ΔH|>Hth)が検知されると、退浴状態から入浴状態への遷移、即ち、入浴が検知される。これに対して、入浴状態において、予め定められた判定値Hthを超える水位低下(ΔH<0、かつ、|ΔH|>Hth)が検知されると、入浴状態から退浴状態への遷移、即ち、退浴が検知される。判定値Hthは、湯張り運転による単位時間当たりの想定水位上昇量よりも大きく設定される。
【0055】
尚、判定値Hthは、浴槽20の断面積によって変わってくる。例えば、給湯装置100の施工時において、浴槽20の機種番号又はサイズ(上記断面積を特定できるデータ)を施工者が入力することで、コントローラ11が、当該入力値を用いて、判定値Hthを算出し、かつ、記憶することが可能である。
【0056】
マイコン35は、図3及び図4のS120での判定を、コントローラ11によって検知された、図6の「入浴状態」及び「退浴状態」のいずれであるかの情報に基づいて実行することができる。即ち、「入浴状態」であるときに、外部機器から通話要求が入力された場合(S110のYES判定時)には、入浴者の存在に基づきS120をYES判定として、リモコン30の周囲に人が居ると判定することができる。反対に、「退浴状態」であるときに、通話端末から通話要求が入力された場合(S110のYES判定時)には、S120をNO判定とすることができる。
【0057】
又、水位センサ28の検出値による判定と、人感センサ34の検出結果による判定とを組み合わせて、S120の判定を実行することも可能である。一例として、人感センサ34による浴室200内の人の存在の検知、及び、水位センサ28に基づく「入浴状態」の検知の少なくとも一方が成立すると、S120をYES判定とすることが可能である。
【0058】
或いは、水位センサ28の検出値による「入浴状態」の検知と、所定時間の経過を計時するタイマとの組み合わせによって、S120の判定を実行することも可能である。例えば、退浴状態から入浴状態への遷移が検知されたタイミングを起点として、その後、当該入浴状態から退浴状態への遷移が検知されるタイミングから所定時間が経過するタイミングまでの間、S120をYES判定とし、それ以外ではS120をNO判定とすることができる。このように、人感センサ34が配置されていないリモコン30(浴室内)においても、図3及び図4による音声通信回線の制御の適用が可能となる。
【0059】
尚、本実施の形態では、リモコン30に対する通話要求に応答した音声通信回線の形成に係る制御を説明したが、同様の制御をリモコン50に適用することも可能である。即ち、浴室200以外(例えば、台所)に配設されたリモコン50においても、人感センサ54等の「人検知手段」を設けることにより、リモコン50に入力された通話要求に対する音声通信回線の形成に係る同様の制御を行うことが可能である。この場合には、図1において、リモコン30及び端末機器130が「通信端末」に含まれる。
【0060】
図7は、本実施の形態に係る遠隔通話システムの構成の第1の変形例を説明する概略図である。
【0061】
図7を参照して、第1の変形例に係る遠隔通話システム101yは、図1の遠隔通話システム101xの構成に加えて、外部通信網(代表的には、インターネット)40と接続されるサーバ150を更に備える。又、端末機器130は、宅外のルータ160、又は、基地局170を介して、外部通信網140と接続することにより、インターフェイス機器110と通信できない場所からでも、給湯装置100との間に音声通信回線を形成することができる。又、端末機器130は、外部通信網140を経由して、サーバ150との間で通信による情報の授受が可能である。給湯装置100の構成については、図1と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。
【0062】
図8は、遠隔通話システム101yにおいて送受信される情報を説明する概念図である。
【0063】
図8を参照して、サーバ150は、給湯装置100と端末機器130とのペアリング登録情報を予め記憶する。更に、サーバ150は、給湯装置100からユーザ情報を常時取得する。例えば、ユーザ情報は、リモコン30及び50の周囲での人の存在の検出結果に基づく在室情報を含む。一例として、浴室200に配置されたリモコン30の周囲での上記検出結果により浴室200の在室者の有無を示す情報がサーバ150に取得される。同様に、台所に配置されたリモコン50の周囲での上記検出結果により台所の在室者の有無を示す情報がサーバ150に取得される。
【0064】
端末機器130から給湯装置100(リモコン30又は50)に対する通話要求は、サーバ150に入力される。そして、上述したペアリング登録情報に基づき、当該端末機器130とペアリングされた給湯装置100のリモコン30又は50に対して、通話要求(図2図4)が入力される。
【0065】
尚、サーバ150は、端末機器130からの要求に応じて、通話要求先の給湯装置100に係る在室情報を当該端末機器130に送信することができる。端末機器130では、通話要求先の給湯装置100に係るメッセージを表示することができる。一例として、当該メッセージは、リモコン30及び50の設置場所(例えば、浴室200及び台所)における、人の存在の有無を示すものとすることができる(例えば、「浴室:人あり」、及び、「台所:人なし」等の表示)。これにより、端末機器130では、メッセージの内容に応じて、通話要求先の決定(例えば、リモコン30及び50の選択)を行うことができる。
【0066】
サーバ150は、端末機器130からの通話要求を、ペアリングされた給湯装置100(リモコン30又は50)に対して送信する。リモコン30又は50では、図3又は図4の制御処理によって、音声通信回線の形成を制御することができる。
【0067】
このように、遠隔通話システム101yによれば、給湯装置100が設置された住宅の外部(インターフェイス機器110による通信可能範囲の外部)からの通話要求に対しても、遠隔通話システム101xで説明したのと同様に、音声通信回線の形成を制御することができる。更に、サーバ150を含む遠隔通話システムを構成することで、サーバ150が収集したユーザ情報を組み合わせて、ユーザ利便性を更に高めることができる。
【0068】
図9は、本実施の形態に係る遠隔通話システムの構成の第2の変形例を説明する概略図である。
【0069】
図9を参照して、第2の変形例に係る遠隔通話システム101zは、異なる住宅200a,200bにそれぞれ設置された、給湯装置100a,100b及びインターフェイス機器110a,110bと、図7と同様のサーバ150とを備える。
【0070】
給湯装置100a及び100bの各々は、図1図8で説明した給湯装置100と同様に構成される。給湯装置100aは、リモコン30a,50aを含み、給湯装置100bは、リモコン30b,50bを含む。
【0071】
インターフェイス機器110a及び110bの各々は、外部通信網(インターネット)140と接続される。これにより、給湯装置100a及び100b、並びに、サーバ150は、外部通信網(インターネット)140を介して通信接続される。
【0072】
従って、第2の変形例に係る遠隔通話システム101zでは、異なる住宅200a,200bに配置されるリモコン間での音声通信回線を形成することが可能である。図7で説明したのと同様に、サーバ150には、異なる住宅の給湯装置100a及び100bの間でのペアリングを予め登録することができる。これにより、異なる住宅200a,200bの給湯装置100a,100b間での通話要求に対しても、遠隔通話システム101x及び100yで説明したのと同様に、音声通信回線の形成を制御することができる。同様に、住宅200bのインターフェイス機器110bと通信接続された端末機器130と、住宅200aの給湯装置100aとの間で音声通信回線を形成することも可能である。
【0073】
一例として、住宅200bのリモコン50bから、住宅200aのリモコン30aに対する通話要求が発せられた場合において、リモコン30a(通話要求先)で図3又は図4に示された制御処理を行うことにより、当該リモコン30aとリモコン50b(通話要求元)との音声通信回線を、ユーザ利便性を低下させることなく形成することができる。
【0074】
この際には、図8と同様に、通話要求先である給湯装置100aのユーザ情報(在室情報等)を、図7の端末機器130で表示されるメッセージと同様に、給湯装置100b側(例えば、リモコン50b)に表示して、ユーザ利便性を更に高めることも可能である。
【0075】
又、給湯装置100とインターフェイス機器110との間の通信接続について、図1では、浴室200の外部に配設されたリモコン50がインターフェイス機器110と通信可能であり、浴室200に配設されたリモコン30は、リモコン50を経由してインターフェイス機器110と通信接続される構成例を説明した。この場合には、リモコン30が「第1のリモートコントローラ」の一実施例に対応し、リモコン50が「第2のリモートコントローラ」の一実施例に対応するが、給湯装置100とインターフェイス機器110との間の通信接続は当該構成例に限定されるものではない。例えば、リモコン30が直接、インターフェイス機器110と通信接続可能であるように、給湯装置を構成することも可能である。
【0076】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0077】
10 熱源機、11 コントローラ、15 通信経路、20 浴槽、21 浴槽水、25 浴槽アダプタ、28 水位センサ、30,30a,30b,50,50a,50b リモコン、31,51 表示部、32,52 操作部、32a,52a 通話ボタン、34,54 人感センサ、35 マイコン、36 通信部、39,59 通話装置、100,100a,100b 給湯装置、101x,101y,101z 遠隔通話システム、110,110a,110b インターフェイス機器、130 端末機器、140 外部通信網、150 サーバ、160 ルータ、170 基地局、200 浴室、200a,200b 住宅。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9