(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】ロボットを用いた容器詰め装置、容器詰め方法、容器詰め治具
(51)【国際特許分類】
B65B 35/40 20060101AFI20240807BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20240807BHJP
B65B 5/06 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
B65B35/40
B25J13/00 Z
B65B5/06
(21)【出願番号】P 2020198363
(22)【出願日】2020-11-30
【審査請求日】2023-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】伊庭 歩美
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-016386(JP,A)
【文献】特開2019-001497(JP,A)
【文献】特開2015-013741(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第00734949(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 35/40
B25J 13/00
B65B 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットを用いて複数のワークをまとめて容器に詰める容器詰め装置であって、
多関節型のロボットと、
前記ロボットを制御するコントローラと、
形状が異なるものを含む複数のワークを仮置きするものであって、仮置きされた状態におけるワークの位置を前記容器の開口部分の領域内となるように規定する仮置き部材と、
前記仮置き部材に対して相対移動可能に設けられ、前記仮置き部材に仮置きされた複数のワークを前記容器の開口部分に向けて押し出す押出部材と、を備え、
前記押出部材は、上下方向に延びて形成されている壁部と、前記壁部の下方から押し出し方向に延びて形成されていて、前記仮置き部材に仮置きされた状態において最下方となるワークの少なくとも端部が載置される載置部とを有しており、
前記コントローラは、前記ロボットに、複数のワークを前記仮置き部材に仮置きさせ、前記押出部材を前記容器に向けて移動させることによって仮置きされた複数のワークをまとめて前記容器に詰めさせる
ものであり、複数のワークを仮置きさせる際、最も下部側に配置されるワークの少なくとも端部が前記載置部上となるように仮置きする容器詰め装置。
【請求項2】
ロボットを用いて複数のワークをまとめて容器に詰める容器詰め装置であって、
多関節型のロボットと、
前記ロボットを制御するコントローラと、
形状が異なるものを含む複数のワークを仮置きするものであって、仮置きされた状態におけるワークの位置を前記容器の開口部分の領域内となるように規定する仮置き部材と、
前記仮置き部材に対して相対移動可能に設けられ、前記仮置き部材に仮置きされた複数のワークを前記容器の開口部分に向けて押し出す押出部材と、を備え、
前記容器は、開口した状態において、前記開口部分の下端が幅方向における中央側で下方に湾曲する曲線状になるものであり、
前記仮置き部材は、前記開口部分の下端の形状に対応して幅方向における中央側が下方に湾曲する曲線状に形成されており、
複数のワークには、平板状に形成されていて外力が加えられると弾性的に変形する平板状のものが少なくとも1つ含まれており、
前記コントローラは、前記ロボットに、複数のワークを前記仮置き部材に仮置きさせ、前記押出部材を前記容器に向けて移動させることによって仮置きされた複数のワークをまとめて前記容器に詰めさせる
ものであり、平板状のワークを前記仮置き部材の形状に沿って沿って湾曲した状態で仮置きさせ、当該平板状のワークが湾曲することによって形成される空きスペースに他のワークを仮置きさせ、積層した状態に仮置きされた複数のワークを前記押出部材により一括して押し出させることにより、複数のワークを前記容器にまとめて詰める容器詰め装置。
【請求項3】
ロボットを用いて複数のワークをまとめて容器に詰めるための容器詰め方法であって、
多関節型のロボットを用い、仮置きされた状態における当該ワークの位置および仮置きされた状態における当該ワークの形状のうち少なくともとも一方を規定可能な仮置き部材に順次仮置きし、
前記仮置き部材に対して相対移動可能に設けられてい
て、上下方向に延びて形成されている壁部と、前記壁部の下方から押し出し方向に延びて形成されていて、前記仮置き部材に仮置きされた状態において最下方となるワークの少なくとも端部が載置される載置部とを有する押出部材を移動させ、当該仮置き部材に仮置きされた形状が異なるものを含む複数のワークを前記容器の開口部分に向けて押し出すことにより、複数のワークを当該開口部分から前記容器内に位置させ、
ワークが前記容器内に位置している状態において前記押出部材を前記容器とは逆向きに移動させて複数のワークを当該容器内に残留させることにより、複数のワークを前記容器にまとめて詰める
とき、前記ロボットに、複数のワークを前記仮置き部材に仮置きさせ、前記押出部材を前記容器に向けて移動させることによって仮置きされた複数のワークをまとめて前記容器に詰めさせるものであって、複数のワークを仮置きさせる際、最も下部側に配置されるワークの少なくとも端部が前記載置部上となるように仮置きする容器詰め方法。
【請求項4】
ロボットを用いて複数のワークをまとめて容器に詰めるための容器詰め方法であって、
前記容器は、開口した状態において、前記開口部分の下端が幅方向における中央側で下方に湾曲する曲線状になるものであり、
複数のワークには、平板状に形成されていて外力が加えられると弾性的に変形する平板状のものが少なくとも1つ含まれており、
多関節型のロボットを用い、仮置きされた状態における当該ワークの位置および仮置きされた状態における当該ワークの形状のうち少なくともとも一方を規定可能
であり、前記開口部分の下端の形状に対応して幅方向における中央側が下方に湾曲する曲線状に形成されている仮置き部材に順次仮置きし、
前記仮置き部材に対して相対移動可能に設けられている押出部材を移動させ、当該仮置き部材に仮置きされた形状が異なるものを含む複数のワークを前記容器の開口部分に向けて押し出すことにより、複数のワークを当該開口部分から前記容器内に位置させ、
ワークが前記容器内に位置している状態において前記押出部材を前記容器とは逆向きに移動させて複数のワークを当該容器内に残留させることにより、複数のワークを前記容器にまとめて詰める
とき、前記ロボットに、平板状のワークを前記仮置き部材の形状に沿って沿って湾曲した状態で仮置きさせ、当該平板状のワークが湾曲することによって形成される空きスペースに他のワークを仮置きさせ、積層した状態に仮置きされた複数のワークを前記押出部材により一括して押し出させることにより、複数のワークを前記容器にまとめて詰める容器詰め方法。
【請求項5】
ロボットを用いて複数のワークをまとめて容器に詰めるための容器詰め治具であって、
多関節型のロボットによって仮置きされる形状が異なるものを含む複数のワークを、仮置きされた状態における当該ワークの位置および仮置きされた状態における当該ワークの形状のうち少なくともとも一方を規定可能な仮置き部材と、
前記ロボットによって移動させれるものであって、前記仮置き部材に対して相対移動可能に設けられ、上下方向に延びて形成され、前記仮置き部材に仮置きされた複数のワークを前記容器の開口部分に向けて押し出す壁部、および前記壁部の下端側から押し出し方向に延びて形成され、仮置きされた状態において最下方となるワークの少なくとも端部が載置される載置部を有する押出部材と、を備える容器詰め治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットを用いて複数のワークをまとめて容器に詰める容器詰め装置、容器詰め方法、容器詰め治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生産ライン等において、複数のワークをまとめて容器に詰める作業を自動化することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、いわゆる6軸ロボットや4軸ロボットのような多関節型のロボットは、プログラムによって作業内容を変更することが可能であることから、ワークの種類や形状が異なる場合にも対応することができる。そのため、例えば少量多品種の生産現場などにおいては、ロボットの汎用性を活かすことにより、複数のワークを容器に詰める容器詰め作業の効率を改善することができると考えられる。
【0005】
ところで、ワークの種類や形状が異なる場合には、各ワークは、個別の供給経路で供給されると考えられる。その場合、単純に言えば、各ワークを順次容器に詰めることにより、複数のワークを容器詰めすることができると考えられる。
【0006】
しかしながら、ワークを個別に容器に詰めようとすると、先に詰めたワークと後から詰めるワークとが干渉してワークが変形したり、先に詰めたワークがスペースを占有して他のワークを詰めることができなくなったりするおそれがある。そして、その状況を回避するためには、ワークを詰めるロボット以外に、先に詰めたワークの位置を確認するための例えばカメラのようなセンサや詰めたワークの位置を直すための別のロボットが必要となる。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロボットを用いて容器詰めを行う際、複数のワークを容器に適切に詰めることができる容器詰め装置、容器詰め方法、容器詰め治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載した発明では、容器詰め装置は、ロボットを用いて複数のワークをまとめて容器に詰めるものであり、多関節型のロボットと、ロボットを制御するコントローラと、形状が異なるものを含む複数のワークを仮置きするものであって、仮置きされた状態におけるワークの位置を容器の開口部分の領域内となるように規定する仮置き部材と、仮置き部材に対して相対移動可能に設けられ、仮置き部材に仮置きされた複数のワークを容器の開口部分に向けて押し出す押出部材とを備えている。
【0009】
これにより、対象となるワークを仮置き部材に仮置きすることにより、まず、ワークを容器への詰め込みが可能な配置とすることができる。つまり、容器詰め装置は、取得した複数のワークを直接容器に詰めるのではなく、まずは、容器詰めのための事前準備をする。そして、容器詰め装置は、ロボットに、複数のワークを仮置き部材に仮置きさせ、押出部材を容器に向けて移動させることによって仮置きされた複数のワークをまとめて容器に詰めさせる。
【0010】
これにより、先に詰め込んだワークの位置を確認するためのセンサ類やそのワークの位置を修正する他のロボットなどを設けることなく、形状が異なるものを含む複数のワークであっても、各ワークを取得するところから容器に詰め終わるまでの作業を1台のロボットにより行うことが可能となる。したがって、ロボットを用いて容器詰めを行う際、複数のワークを容器に適切に詰めることができる。
【0011】
また、容器詰め装置は、上下方向に延びて形成されている壁部と、壁部の下方から押し出し方向に延びて形成されていて、仮置き部材に仮置きされた状態において最下方となるワークの少なくとも端部が載置される載置部とを有する押出部材を用いて、複数のワークを仮置きさせる際、最も下部側に配置されるワークの少なくとも端部が載置部上となるように仮置きする。
【0012】
これにより、複数のワークを移動させる際、最下方のワークは下側から載置部によって支えられた状態で、且つ、壁部によって押し出し方向に向かって押し出されることで、複数のワークを押出部材の移動から取りこぼすことなく移動つまりは容器詰めすることができる。
【0013】
請求項2に記載した発明では、容器詰め装置は、開口した状態において、開口部分の下端が幅方向における中央側で下方に湾曲する曲線状になる容器を対象とし、開口部分の下端の形状に対応して幅方向における中央側が下方に湾曲する曲線状に形成されている仮置き部材を用い、平板状に形成されていて外力が加えられると弾性的に変形する平板状のものが少なくとも1つ含まれている複数のワークを対象とし、ロボットに、平板状のワークを仮置き部材の形状に沿って沿って湾曲した状態で仮置きさせ、当該平板状のワークが湾曲することによって形成される空きスペースに他のワークを仮置きさせ、積層した状態に仮置きされた複数のワークを押出部材により一括して押し出させることにより、複数のワークを容器にまとめて詰める。
【0014】
これにより、各ワークを仮置き部材の幅方向の範囲内、つまりは、容器の開口部分の正面視における領域内に配置することが可能となる。換言すると、複数のワークを容器詰めが可能となる範囲内に位置決めした状態で仮置きすることができる。これにより、複数のワークを確実に容器詰めすることができる。
【0015】
請求項3、4に記載した発明では、容器詰め方法は、ロボットを用いて複数のワークをまとめて容器に詰めるための方法であって、多関節型のロボットを用い、仮置きされた状態における当該ワークの位置および仮置きされた状態における当該ワークの形状のうち少なくともとも一方を規定可能な仮置き部材に順次仮置きし、仮置き部材に対して相対移動可能に設けられている押出部材を移動させ、当該仮置き部材に仮置きされた形状が異なるものを含む複数のワークを容器の開口部分に向けて押し出すことにより、複数のワークを当該開口部分から容器内に位置させ、ワークが容器内に位置している状態において押出部材を容器とは逆向きに移動させて複数のワークを当該容器内に残留させることにより、複数のワークを容器にまとめて詰める。
【0016】
このような方法を用いることにより、形状が異なるものを含む複数のワークについて、各ワークの取得から容器に詰め終わるまでの作業を1台のロボットにより行うことが可能となる。したがって、ロボットを用いて容器詰めを行う際、複数のワークを容器に適切に詰めることができるなど、上記した容器詰め装置と同様の効果を得ることができる。
【0017】
請求項5に記載した発明では、容器詰め治具は、ロボットを用いて複数のワークをまとめて容器に詰めるためのものであって、多関節型のロボットによって仮置きされる形状が異なるものを含む複数のワークを、仮置きされた状態における当該ワークの位置および仮置きされた状態における当該ワークの形状のうち少なくともとも一方を規定可能な仮置き部材と、ロボットによって移動させれるものであって、仮置き部材に対して相対移動可能に設けられ、上下方向に延びて形成され、仮置き部材に仮置きされた複数のワークを容器の開口部分に向けて押し出す壁部、および、壁部の下端側から押し出し方向に延びて形成され、仮置きされた状態において最下方となるワークの少なくとも端部が載置される載置部を有する押出部材と、備える。
【0018】
このような治具を用いることにより、形状が異なるものを含む複数のワークについて、各ワークの取得から容器に詰め終わるまでの作業を1台のロボットにより行うことが可能となる。したがって、ロボットを用いて容器詰めを行う際、複数のワークを容器に適切に詰めることができるなど、上記した容器詰め装置と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態の箱詰め装置の構成例を模式的に示す図
【
図7】ワークの収容状態と、個別に収容する際の問題点とを説明するための図
【
図10】ワークの端部を載置部に載置した状態を模式的に示す図
【
図12】他の形状例、他の仮置き例、他の開口例を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に平面図にて模式的に示すように、本実施形態の容器詰め装置1は、ロボット2、コントローラ3、容器詰め治具4に相当する仮置き部材5および押出部材6などを備えている。以下、
図1に矢印F1にて示す向きを押し出し方向とも称し、矢印F2にて示す向きを幅方向とも称し、紙面に垂直となる向きを上下方向とも称する。また、押し出し方向に視た状態を正面視と称し、幅方向に視た状態を側面視と称する。
【0021】
ロボット2は、多関節型のものであり、例えば垂直多関節型のいわゆる6軸や7軸の構成や水平多関節型のいわゆる4軸の構成を採用することができる。本実施形態では、ロボット2して、設置面に設置されるベース2a、ベース2aに対して相対回転可能に設けられているショルダ2b、ショルダ2bに対して相対回転可能に設けられている下アーム2c、下アーム2cに対して相対回転可能に設けられている第1上アーム2d、第1上アーム2dに対して同軸で相対回転可能に設けられている第2上アーム2e、第2上アーム2eの先端に設けられているフランジ2fを有する垂直多関節型のものを採用している。このフランジ2fにはハンド7が取り付けられている。
【0022】
コントローラ3は、CPUやROMおよびRAMなどで構成された図示しない制御部を有しており、プログラムを実行することによりロボット2に設けられている図示しないモータを駆動してロボット2の姿勢や動作を制御する。ただし、本実施形態では、ロボット2による作業内容は予め教示されているものとする。また、ロボット2に対する教示については周知であるためここでは詳細な説明は省略するが、ワークが載置されている位置やワークを把持する位置やタイミング、ハンド7を移動させる通過点や経路などが教示されている。
【0023】
仮置き部材5および押出部材6は、ロボット2を用いて複数のワークをまとめて詰めるための容器詰め治具4を構成している。仮置き部材5は、例えば金属材料や樹脂材料により形成されている。仮置き部材5は、
図2に示すように、幅方向における中央部分が下方に湾曲したいわゆる軒どいのような形状に形成されている。
【0024】
仮置き部材5の幅W1、押し出し方向への長さL1、上端から下端までの深さH1および湾曲の程度は、
図5に示す容器8の形状や、
図6に示す対象となるワーク9の大きさや、ワーク9を積み上げた状態に仮置きした際に想定される高さなどに応じて適宜設定することができる。
【0025】
ただし、本実施形態では、仮置き部材5の幅W1は、容器8の開口部分8aの幅W3よりも小さく形成されているとともに、仮置き部材5の長さL1は、
図6に示す仮置きされるワーク9の押し出し方向への長さL4よりも大きく設定されている。これにより、仮置き部材5にワーク9を仮置きした状態において、正面視における容器8の開口部分8aの領域内にワーク9が収まるようにしている。
【0026】
仮置き部材5の幅方向における両端には、それぞれ爪部5aが設けられている。本実施形態では、爪部5aは、押し出し方向において離間した位置で2か所ずつ設けられている。爪部5aは、仮置き部材5の表面との間に隙間が設けられた状態で中央側に向かって延びている。この爪部5aの隙間は、平板状に形成されていて外力が加えられると弾性的に変形する平板状のワーク9の端部を挿入可能な大きさに形成されている。この爪部5aは、平板状のワーク9の位置決めおよび変形した状態を維持する部材として機能する。
【0027】
そのため、詳細は後述するが、仮置き部材5に平板状のワーク9を仮置きする際、平板状のワーク9の端部を爪部5aの隙間に挿入することによって、平板状のワーク9の幅方向における位置決めと、仮置き部材5の表面に沿って湾曲するように変形した状態の保持とが行われる。すなわち、仮置き部材5は、仮置きされた状態におけるワーク9の位置、および仮置きされた状態におけるワーク9の形状のうち少なくともとも一方、本実施形態では双方を、容器8の開口部分8aの領域内に収まるように規定している。
【0028】
また、
図2に示すように、仮置き部材5の幅方向における一方の端部には、爪部5aの間に位置して、切り欠き部5bが形成されている。この切り欠き部5bは、側面視にも示すように、仮置き部材5の上端から表面に沿って一部を切り欠いた状態で設けられている。この切り欠き部5bは、
図3に示すように、平板状のワーク9を仮置きする際、平板状のワーク9を把持しているハンド7が、仮置き部材5の上端位置(Y1)よりも下方となる位置(Y2)まで移動可能な大きさに形成されている。
【0029】
より詳細に言えば、切り欠き部5bは、平板状のワーク9の把持されている側の端部位置(Y3)が、爪部5aの開放側の端部位置(Y4)よりも下方となる位置まで移動できる大きさに形成されている。換言すると、切り欠き部5bは、平板状のワーク9の端部を爪部5aの隙間に挿入する際のクリアランスを確保できる大きさに設定されている。
【0030】
押出部材6は、
図4に示すように、正面視における中心角が概ね180度の扇形状部に形成されていて下部が湾曲している板状の壁部6aと、壁部6aの下端側に設けられいて押し出し方向に延びて形成されている平板状の載置部6bと、壁部6aの上端側において押し出し方向と逆側に延びて形成されている把持部6cとを有している。なお、
図4では壁部6aや載置部6bを明瞭にするための意図的に厚みを強調して示しているが、壁部6aや載置部6bの厚みは適宜設定することができる。
【0031】
壁部6aは、下部の形状が仮置き部材5の表面に沿った形状に形成されており、仮置き部材5の表面に沿って押し出し方向およびその逆方向に移動可能になっている。つまり、押出部材6は、仮置き部材5に対して相対的移動に設けられている。この壁部6aの押し出し方向側の面は、押出部材6を移動させる際にワーク9に当接可能な大きさに形成されている。
【0032】
載置部6bは、壁部6aの下端側であって幅方向における中央部分に設けられている。そのため、複数のワーク9を仮置きした際には、仮置きされた状態において最下方となるワーク9の押し出し方向に沿った端部が少なくとも載置部6bに載置される。そのため、押出部材6を移動させた場合には、ワーク9の端部が載置部6bに載置された状態で、且つ、仮置きされた他のワーク9も含めて壁部6aに押される形で、各ワーク9が仮置き部材5に対して相対的に移動する。
【0033】
また、この載置部6bを設けたことにより、押出部材6は、壁部6aが上下方向に沿った状態においては、壁部6aが若干載置部6b側に傾く状態となる。そして、押出部材6は、後述するようにワーク9を載置する際には載置部6bの少なくとも一部が仮置き部材5上に位置する状態に配置される。
【0034】
そのため、押出部材6は、ワーク9を仮置きする際には載置部6bが仮置き部材5の表面と接触することにより、壁部6aが上下方向に概ね沿った自立した状態になる。なお、壁部6aの下部に、載置部6bと反対側となる位置に壁部6aを支える支持部を設けて自立させる構造とすることもできる。
【0035】
このとき、押出部材6の幅W2は、仮置き部材5の幅W1、より厳密に言えば、幅方向における両端の爪部5aの間隔よりも小さく設定されている。また、押し出し方向への長さL2、上端から下端までの深さH2、載置部6bの幅W2a、載置部6bの長さL2a、載置部6bの設置高さH2aは、対象となるワーク9の大きさや、ワーク9を積み上げた状態に仮置きした際に想定される高さ、ワーク9を詰める容器8の形状に応じて適宜設定することができる。
【0036】
ただし、本実施形態では、押出部材6の長さL2aを
図5に示す容器8の奥行L3よりも小さく設定するとともに、高さH2aを容器8の開口部分8aの高さH3よりも小さく設定することにより、押出部材6の少なくとも壁部6aの全体が容器8内に挿入される構成としている。
【0037】
把持部6cは、ロボット2のハンド7によって把持される部位である。ロボット2は、把持部6cを把持した状態で押出部材6を移動させることにより、仮置きしたワーク9を容器8に詰める。なお、本実施形態では把持部6cを壁部6aから延びる柱状に形成しているが、壁部6aの上端を折り曲げてフランジ2f状にしたり、把持部6cを設けずに壁部6aをハンド7で直接的に押す構成としたりすることもできる。
【0038】
そして、本実実施形態では、例えば
図6に示すように形状が異なる複数のワーク9a、ワーク9b、ワーク9cを容器8に詰めることを想定している。ただし、ワーク9の種類や形状あるいは数は一例であり、他の形状のものや数が異なることも想定される。また、本実施形態では、ワーク9cのように平板状のワーク9が少なくとも1つ含まれていることを想定している。
【0039】
ワーク9aは、円筒状の梱包物10aを梱包材11で梱包したものであり、押し出し方向における長さがL4a、正面視における外形が概ね円形であってその幅W4aのものを想定している。ただし、ワーク9aの長さL4aおよび幅W4aは、容器8に収容可能な範囲内になっていることは勿論である。
【0040】
本実施形態では、梱包材11として気泡緩衝材を想定しており、
図6では正面視における形状を簡略化した円形に示しているが、実際には外周部に凹凸が形成されている。このため、仮置き部材5に載置した場合には、仮置きした位置から多少移動することは想定されるものの、次のワーク9を仮置きするまでには静止した状態になると想定される。また、本実施形態では、人が手作業により梱包することを想定しており、同じワーク9aであっても外形が多少異なるものが混在することを想定している。これは、ワーク9bについても同様である。
【0041】
ワーク9bは、柱状の梱包物10bを梱包材11で梱包したものであり、押し出し方向における長さがワーク9aよりも短いL4bであり、正面視における外形が概ね円形であって、その幅W4bがワーク9aの幅W4aよりも小さいものを想定している。ただし、ワーク9bの長さL4bおよび幅W4bは、容器8に収容可能な範囲内になっていることは勿論である。
【0042】
ワーク9cは、複数枚の紙や取扱説明書のような平板状の梱包物10cを袋詰めしたものであり、押し出し方向における長さが各ワーク9で最長のL4cであり、その正面視における外形が概ね長方形でその幅W4cのものを想定している。ワーク9cの長さL4cは容器8に収容可能な範囲内になっていることは勿論であるが、本実施形態では、ワーク9cとして、その幅W4cが、容器8の開口部分8aの幅W3よりは小さいものの幅W3に近いもの、例えば概ね幅W3の半分以上であるものを想定している。
【0043】
このようなワーク9は、例えば梱包物10aが製品、梱包物10bが付属品、梱包物10cが取扱説明書や保証書といった場合に想定される。これらのワーク9は、形状や種類が異なることから、
図1に示すように個別の供給経路12a、供給経路12bおよび供給経路12cから所定の位置および所定の向きでそれぞれ供給される。なお、ワーク9の種類によっては、いわゆるバッチ式の供給経路12で供給されるものを対象とすることができる。
【0044】
仮置き部材5および押出部材6は、載置テーブル13上の所定の位置に配置されている。仮置き部材5は、載置テーブル13上に固定的に配置された状態、あるいは、押し出し方向に沿って容器8の開口部分8aの位置あるいは容器8内となる位置まで移動可能な例えば直動型の図示しない移動機構上に配置されている。
【0045】
押出部材6は、ワーク9を載置する際には、載置部6bの少なくとも一部が仮置き部材5と幅方向および押し出し方向において重なるように配置されている。以下、ワーク9を載置する際における押出部材6の位置を、待機位置と称する。
【0046】
ワーク9が詰められる容器8は、本実施形態では例えば厚紙や段ボールなどで形成された紙製のものを想定している。この容器8は、
図1に示すように供給テーブル14上の所定の位置に開口した状態で固定されて供給される。つまり、容器8の位置は予め定められており、ワーク9を詰める際には開口した状態になっているものとする。このとき、容器8の開口部分8aは、
図5に示すように、上下方向よりも幅方向のほうが広い幅広であって、幅方向の両端に上側と下側との接続部分となる稜線を有するの概ね楕円形に形成されている。ただし、容器の形状は一例である。
【0047】
ただし、容器8は、2枚の紙を貼り合わせたような状態で供給し、容器詰めが実施されるまでの期間に供給テーブル14上で開口した状態とする構成であってもよい。また、開口した状態の容器8を、仮置き部材5側に移動可能として仮置き部材5との隙間を少なくする、あるいは、隙間を無くす構成とすることもできる。また、紙製に限らずビニールなどの合成樹脂製であってもよい。
【0048】
そして、容器詰め装置1は、コントローラ3からの指令に基づいてロボット2を動作させることにより、複数のワーク9を容器8に詰める容器詰め作業を実施する。このとき、各ワーク9にはバーコードやQRコード(登録商標)のような二次元コード15が添付されている。
【0049】
また、載置テーブル13には、取り換え用のハンド7が用意されており、ワーク9の大きさに応じてハンド7を取り換えることが可能となっている。ただし、1つのハンド7で各ワーク9を把持できる場合にはハンド7を取り換える必要はない。
【0050】
また、載置テーブル13には、二次元コード15を読み取るコードリーダ16が配置されている。このコードリーダ16は、コントローラ3や図示しない管理装置に接続されており、容器8に詰める際にコードリーダ16でデータが読み取ることで、容器詰めの対象となるワーク9であるか否かの確認や、全てのワーク9が容器詰めされたか否かの確認などが行われる。
【0051】
次に、上記した構成の作用について説明する。
前述のように、プログラムによって作業内容を変更可能なロボット2の汎用性を活かすことにより、例えば比較的少量生産の現場や多品種のワーク9を扱う必要がある現場において、複数のワーク9を容器8に詰める容器詰め作業の効率を改善することができると考えられる。その一方で、本実施形態のように1台のロボット2を用いて作業を行うことを想定している場合には、形状が異なるものを含む複数のワーク9を詰める際に課題が発生することがある。
【0052】
例えば、上記したワーク9a~ワーク9cは、
図7に収容状態として示すように容器8内に収容されることになる。この場合、人が手作業で詰めるのであれば、どのワーク9から詰めたとしても、ワーク9の位置をずらしたり変形させたりすることにより各ワーク9a~ワーク9cを適切に容器8に詰めることができると考えられる。
【0053】
なお、本実施形態では、容器8は、正面視における収容部分の面積に対してワーク9が占有する面積が比較的大きく、各ワーク9a~ワーク9cが押し出し方向、幅方向あるいは上下方向の少なくとも1つの方向において互いに積み重なる状態で収容される程度の大きさのものを想定している。より平易に言えば、容器8は、現実的な観点から言って各ワーク9a~ワーク9cを収容可能であって過剰にならない大きさに形成されているものを想定している。
【0054】
その一方で、容器8の形状が中央部分において下方に湾曲し、幅方向における両端側で上方に反っている場合には、ワーク9が中央に寄りやすくなって他のワーク9の容器詰めを阻害するおそれもある。
【0055】
例えば、ワーク9を個別に容器8に詰める場合には、
図7に比較例その1として示すように、便宜的にハッチングを付している例えば正面視において相対的に直径が大きいワーク9aを最初に詰めると、ワーク9bを詰める際にはワーク9aを避けた位置に移動してから詰める必要があり、平板状のワーク9cを詰める際にはワーク9cを湾曲させて詰める必要がある。
【0056】
あるいは、
図7に比較例その2として示すように、便宜的にハッチングを付している平板状のワーク9cを最初に詰めると、そのワーク9cによってワーク9aやワーク9bを詰めるスペースが占有され、ワーク9cを湾曲させてスペースを確保してからワーク9aやワーク9bを詰める必要がある。
【0057】
つまり、複数のワーク9を個別に詰めようとすると、先に詰めたワーク9と後から詰めるワーク9とが干渉してワーク9が変形したり、先に詰めたワーク9がスペースを占有して他のワーク9を詰めることができなくなったりするおそれがある。
【0058】
そして、その状況を回避するためには、ワーク9を詰める作業を行うロボット2の他に、先に詰めたワーク9の位置を確認するための例えばカメラのようなセンサや、先に詰めたワーク9の位置や形状を変更するための別の装置などが必要になってしまう。
【0059】
そこで、本実施形態では、
図8に示す容器詰め処理を実行することにより、1台のロボット2を用いて複数のワーク9を容器8に適切に詰めることができるようにしている。容器詰め処理はコントローラ3によって実行されるものであり、コントローラ3からの指令に基づいてロボット2が動作することで容器詰めが行われるが、以下では、説明の簡略化のために容器詰め装置1を主体にして説明する。
【0060】
容器詰め装置1は、作業対象となる複数のワーク9のうち、まず平板状のワーク9cを取得する(S1)。具体的には、容器詰め装置1は、平板状のワーク9cをハンド7で挟むことにより対象となるワーク9を取得つまりは移動可能な状態に把持する。続いて、容器詰め装置1は、取得したワーク9の二次元コード15をコードリーダ16で読み取らせた後(S2)、平板状のワーク9cを仮置き部材5に仮置きする(S3)。
【0061】
このとき、容器詰め装置1は、
図9に開始状態として一例を示すように、ワーク9cを切り欠き部5bが形成されている側から斜めに傾けた状態とし、把持している側とは反対側のワーク9cの端部を仮置き部材5の表面に近づけた後、ハンド7を矢印V1にて示すように図示左方側且つ図示下方側に向かう移動軌跡で、ハンド7の向きつまりはロボット2の姿勢を制御しながら移動させる。
【0062】
これにより、ワーク9cは、図示左方側の端部が仮置き部材5の表面に沿って移動するとともに、全体として仮置き部材5の表面に沿って下方に湾曲した状態に弾性的に変形する。ただし、ハンド7の移動軌跡や向きの変化は一例であり、ワーク9cを同様の状態に仮置きすることが可能になるのであれば、異なる移動軌跡や向きの変化で移動させることができる。
【0063】
続いて、容器詰め装置1は、
図9にスライド状態として示すように、ワーク9cの図示左方側の端部が左方側の爪部5aに挿入されるまでハンド7を移動させた後、切り欠き部5bを利用してワーク9cの図示右方側の端部が爪部5aに挿入可能な位置に来るようにする。そして、容器詰め装置1は、その状態でワーク9の把持状態を解除してハンド7を矢印V2にて示すように離脱させる。
【0064】
これにより、ワーク9cは、
図9に配置状態として示すように、仮置き部材5の表面に沿って湾曲するように変形した状態であって、幅方向における両端が爪部5aに挿入されて仮置き部材5に対する位置が規定された状態で仮置きされる。なお、
図9では、理解し易くするために、爪部5aを意図的に拡大しているとともに、ワーク9cと仮置き部材5との間、および、ワーク9cと爪部5aとの間に意図的に隙間を設けて示している。
【0065】
また、
図9では押出部材6の図示を省略しているが、X-X線での断面視を示す
図10に示すように、ワーク9cは、押出部材6側の端部が載置部6bに載置された状態で仮置きされている。なお、
図9では説明のために、ワーク9c、仮置き部材5、載置部6bとの間に意図的に隙間を設けて示している。また、
図9では押出部材6の図示を省略しているが、ワーク9cの押出部材6側の端部が載置部6bに載置されていたとしても、ワーク9cの幅方向の端部を図示左方に移動させていくことにより、同様の状態に仮置きすることができる。
【0066】
このようにワーク9cを下方に湾曲させた状態で仮置きすることにより、ワーク9cの上方には、
図9の配置状態に示すように正面視においてワーク9cと干渉しない空きスペース(S)が、幅方向および押し出し方向に形成される。この空きスペース(S)は、ワーク9cが変形していない状態ではワーク9cによって遮られる位置を含んで形成される。換言すると、ワーク9cを変形させることにより、幅方向および押し出し方向において、ワーク9cの上方に他のワーク9を積み上げる形で配置するためのスペースを確保することができる。
【0067】
さて、平板状のワーク9を仮置きすると、容器詰め装置1は、形成された空きスペース(S)に残りのワーク9を仮置きする。具体的には、容器詰め装置1は、
図8に示すように、残りのワーク9を取得し、二次元コード15を読み取り、仮置き部材5に仮置きする(S4)。すなわち、容器詰め装置1は、取得した複数のワーク9を直接的に容器8に詰めるのではなく、まずは、容器詰めのための事前準備をする。
【0068】
このとき、ワーク9cは、爪部5aによって仮置き部材5に対して位置決めされている。また、ワーク9aおよびワーク9bは、仮置き部材5の幅方向の両端が上方に立ち上がっていることから、仮置き部材5の幅W1の範囲で仮置きされることになる。なお、ワーク9aとワーク9bは順不同で仮置きすればよいが、対象となるワーク9の形状に基づいて優先順位を決めて仮置きすることもできる。
【0069】
その結果、各ワーク9は、
図9に仮置き状態として示すように、ワーク9a~ワーク9cが容器8の開口部分8aの正面視における領域(R)内に配置される。つまり、容器詰め装置1は、1つのロボット2により、複数のワーク9を容器詰めが可能となる範囲内に位置決めした状態で仮置きすることができる。これにより、複数のワーク8を容器詰めするための事前準備が完了する。
【0070】
続いて、容器詰め装置1は、容器8に詰めるべきワーク9の仮置きが完了したか否かを判定し(S5)、完了していない場合には(S5:NO)、ステップS4に移行して仮置きを繰り返し、完了した場合には(S5:YES)、押出部材6を容器8側に向けて移動させる(S6)。
【0071】
押出部材6を移動させた場合には、最下方に仮置きされたワーク9cは、その端部が載置部6b上に位置していることから、下側から載置部6bによって支えた状態で壁部6aによって押し出し方向に押し出され、押出部材6の移動に取り残されることなく移動することになる。また、仮置き部材5に爪部5aを設けたことにより、ワーク9cは、湾曲した状態のまま移動する。また、ワーク9cに積み重なるように仮置きされたワーク9aとワーク9bは、壁部6aで押されることによって、あるいは、ワーク9cと間の摩擦によってワーク9cが移動することに伴って同時に移動する。
【0072】
このとき、容器詰め装置1は、
図1に示すように押出部材6の壁部6aが容器8内に位置するまで、押出部材6を移動させる。これにより、各ワーク9は、その全体が容器8内に位置することになる。その後、容器詰め装置1は、押出部材6を待機位置まで移動させることにより、押出部材6を容器8内から引き出す(S7)。
【0073】
これにより、
図7に収容状態として示したように、各ワーク9を容器8にまとめて詰めることができる。このように、容器詰め装置1は、ワーク9の取得から容器詰めまでの作業を1つのロボット2を用いて行っている。なお、
図8では説明のために終了する流れとしているが、実際には、次の容器詰めを行うために容器詰め処理が繰り返されることになる。
【0074】
以上説明した実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
容器詰め装置1は、ロボット2を用いて複数のワーク9をまとめて容器8に詰めるものであり、多関節型のロボット2と、ロボット2を制御するコントローラ3と、形状が異なるものを含む複数のワーク9を仮置きするものであって、仮置きされた状態におけるワーク9の位置を容器8の開口部分8aの領域内となるように規定する仮置き部材5と、仮置き部材5に対して相対移動可能に設けられ、仮置き部材5に仮置きされた複数のワーク9を容器8の開口部分8aに向けて押し出す押出部材6と、を備えている。
【0075】
これにより、対象となるワーク9を仮置き部材5に仮置きすることにより、まず、ワーク9を容器8への詰め込みが可能な配置とすることができる。つまり、容器詰め装置1は、取得した複数のワーク9を直接的に容器8に詰めるのではなく、まずは、容器詰めのための事前準備をする。そして、容器詰め装置1は、その事前準備が完了すると、ロボット2に、複数のワーク9を仮置き部材5に仮置きさせ、押出部材6を容器8に向けて移動させることによって仮置きされた複数のワーク9をまとめて容器8に詰めさせる。
【0076】
これにより、先に詰め込んだワーク9の位置を確認するためのセンサ類やそのワーク9の位置を修正する他のロボット2などを設けることなく、形状が異なるものを含む複数のワーク9であっても、各ワーク9を取得するところから容器8に詰め終わるまでの作業を1台のロボット2により行うことが可能となる。したがって、ロボット2を用いて容器詰めを行う際、複数のワーク9を容器8に適切に詰めることができる。
【0077】
また、容器詰め装置1は、上下方向に延びて形成されている壁部6aと、壁部6aの下方から押し出し方向に延びて形成されていて、仮置き部材5に仮置きされた状態において最下方となるワーク9の少なくとも端部が載置される載置部6bとを有する押出部材6を用いて、複数のワーク9を仮置きさせる際、最も下部側に配置されるワーク9の少なくとも端部が載置部6b上となるように仮置きする。
【0078】
これにより、複数のワーク9を移動させる際、最下方のワーク9を下側から載置部6bによって支えた状態で壁部6aによって押し出し方向に押し出すことが可能となり、複数のワーク9を取りこぼすことなく移動つまりは容器詰めすることができる。
【0079】
また、容器詰め装置1は、開口した状態において、開口部分8aの下端が幅方向における中央側で下方に湾曲する曲線状になる容器8を対象とし、開口部分8aの下端の形状に対応して幅方向における中央側が下方に湾曲する曲線状に形成されている仮置き部材5を用い、平板状に形成されていて外力が加えられると弾性的に変形する平板状のものが少なくとも1つ含まれている複数のワーク9を対象としている。
【0080】
そして、容器詰め装置1は、ロボット2に、平板状のワーク9を仮置き部材5の形状に沿って沿って湾曲した状態で仮置きさせ、当該平板状のワーク9が湾曲することによって形成される空きスペースに他のワーク9を仮置きさせ、積層した状態に仮置きされた複数のワーク9を押出部材6により一括して押し出させることにより、複数のワーク9を容器8にまとめて詰める。
【0081】
これにより、各ワーク9を仮置き部材5の幅方向の範囲内、つまりは、容器8の開口部分8aの正面視における領域(R)内に配置することが可能となる。換言すると、複数のワーク9を容器詰めが可能となる範囲内に位置決めした状態で仮置きすることができる。これにより、複数のワーク9を確実に容器詰めすることができる。
【0082】
また、容器詰め方法は、ロボット2を用いて複数のワーク9をまとめて容器8に詰めるための方法であって、多関節型のロボット2を用い、仮置きされた状態における当該ワーク9の位置および仮置きされた状態における当該ワーク9の形状のうち少なくともとも一方を規定可能な仮置き部材5に順次仮置きする。
【0083】
そして、仮置き部材5に対して相対移動可能に設けられている押出部材6を移動させ、当該仮置き部材5に仮置きされた形状が異なるものを含む複数のワーク9を容器8の開口部分8aに向けて押し出すことにより、複数のワーク9を当該開口部分8aから容器8内に位置させ、ワーク9が容器8内に位置している状態において押出部材6を容器8とは逆向きに移動させて複数のワーク9を当該容器8内に残留させることにより、複数のワーク9を容器8にまとめて詰める。
【0084】
このような容器詰め方法によっても、形状が異なるものを含む複数のワーク9について、各ワーク9の取得から容器8に詰め終わるまでの作業を1台のロボット2により行うことが可能となる。したがって、ロボット2を用いて容器詰めを行う際、複数のワーク9を容器8に適切に詰めることができるなど、上記した容器詰め装置1と同様の効果を得ることができる。
【0085】
また、容器詰め治具4は、ロボット2を用いて複数のワーク9をまとめて容器8に詰めるためのものであって、多関節型のロボット2によって仮置きされる形状が異なるものを含む複数のワーク9を、仮置きされた状態における当該ワーク9の位置および仮置きされた状態における当該ワーク9の形状のうち少なくともとも一方を規定可能な仮置き部材5と、ロボット2によって移動させれるものであって、仮置き部材5に対して相対移動可能に設けられ、上下方向に延びて形成され、仮置き部材5に仮置きされた複数のワーク9を容器8の開口部分8aに向けて押し出す壁部6a、および、壁部6aの下端側から押し出し方向に延びて形成され、仮置きされた状態において最下方となるワーク9の少なくとも端部が載置される載置部6bを有する押出部材6と、備える。
【0086】
このような構成の治具を採用することにより、形状が異なるものを含む複数のワーク9について、各ワーク9の取得から容器8に詰め終わるまでの作業を1台のロボット2により行うことが可能となる。したがって、ロボット2を用いて容器詰めを行う際、複数のワーク9を容器8に適切に詰めることができるなど、上記した容器詰め装置1と同様の効果を得ることができる。
【0087】
また、本発明は上記した、或いは、図面に記載した実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で例えば以下のように変形又は拡張することができる。
【0088】
実施形態では仮置き部材5の幅方向における一方の端部に切り欠き部5bを設けた構成を例示したが、仮置き部材5の幅方向における両方の端部に設ける構成とすることができる。また、切り欠き部5bは、対象となるワーク9に応じて大きさが異なるものを押し出し方向に複数設けたり、幅方向の両端に異なる形状のものを設けたりする構成とすることもできる。
【0089】
実施形態では壁部6aの下部を正面視において円弧状に形成した例を示したが、放物線の一部や二次曲線の一部などの他の曲線状に形成したり、一部に直線部分を設けたりすることもできる。
【0090】
実施形態では押出部材6の載置部6bを平板状に形成した例を示したが、例えば
図11に示すように、壁部6aの下端に沿って湾曲した状態で押し出し方向に延びて形成されている載置部6bを設ける構成とすることができる。
【0091】
このような構成によっても、最下方に仮置きされるワーク9が実施形態のようなワーク9cほど幅広でない場合であっても、仮置きされた状態におけるワーク9の位置決めを行うことができる。例えば、ジェルやゴム製のように平板状に形成されてはいるものの自重によって湾曲するようなワーク9に適用することができる。
【0092】
すなわち、仮置きされた状態における当該ワーク9の位置、および仮置きされた状態におけるワーク9の形状のうち少なくとも一方を規定可能な仮置き部材5を設ける構成とすることができる。
【0093】
対象となるワーク9は、
図12に他の形状例として示すように、正面視において概ね矩形となるワーク9d、楕円形となるワーク9e、三角形となるワーク9fなど、他の形状のワーク9を対象とする場合にも適用することができる。
【0094】
また、実施形態では押し出し方向に長いワーク9を例示したが、
図12に他の仮置き例として示すように、押し出し方向の長さが比較的短いワーク9gを複数個配置し、それらをまとめて容器詰めする場合にも適用することができる。
【0095】
また、実施形態では概ね楕円状に開口する容器8の例を示したが、
図12に他の開口例その1として示すように開口部分8aの正面視が矩形状のものや、開口例その2として示すように開口部分8aの正面視が三角形のものを対象とすることができる。あるいは、図示は省略するが開口部分8aの正面視が単純な円形や五角形以上の多角形のものを対象とすることができる。
【0096】
また、例えば容器8の幅W3よりも平板状のワーク9の幅W4のほうが広く、容器詰めする際にワーク9を開口部分8aの下部と側部とに沿って湾曲させたり、折り曲げたりする必要があるワーク9を対象とすることもできる。このように容器8の形状やワーク9の形状が実施形態とは異なる場合であっても、仮置き部材5を利用して実施形態と同様の手法を採用することにより、複数のワーク9を1台のロボット2で容器詰めすることができる。
【符号の説明】
【0097】
図面中、1は容器詰め装置、2はロボット、4は容器詰め治具、5は仮置き部材(治具)、6は押出部材(治具)、6aは壁部、6bは載置部、8は容器、8aは開口部分、9、9a~9gはワークを示す。