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特許7534640プリント基板搭載装置及びプリント基板の実装方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】プリント基板搭載装置及びプリント基板の実装方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/14 20060101AFI20240807BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
H05K7/14 P
G06F1/16 312B
G06F1/16 312N
G06F1/16 312M
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021052882
(22)【出願日】2021-03-26
(65)【公開番号】P2022150319
(43)【公開日】2022-10-07
【審査請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】松本 吉生
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-340643(JP,A)
【文献】実開昭59-098694(JP,U)
【文献】特開2002-094251(JP,A)
【文献】特開平11-098694(JP,A)
【文献】実開昭53-024203(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2002/0044427(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/14
G06F 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板を含むプリント基板ユニットと、当該プリント基板ユニットが抜き差しされる筐体と、前記プリント基板ユニットに設けられ、当該プリント基板ユニットを前記筐体に固定するレバー部材と、前記筐体に設けられ、前記レバー部材が掛け止められる掛止部と、を備えるプリント基板搭載装置であって、
前記掛止部が設けられるとともに、前記筐体に設けられた軸部材の軸線回りに回動可能に設けられ、前記掛止部が設けられた部分の前記筐体内への侵入量を変化させるブラケットと、
前記掛止部が前記筐体の内側に移動するように前記ブラケットを付勢する弾性部材と、
前記ブラケットに設けられ、前記弾性部材に付勢された前記ブラケットの回転する量を規制するストッパ部と、
前記プリント基板ユニットに設けられ、前記プリント基板ユニットが前記筐体内へ挿し込まれた状態において、前記ブラケットと接触し、前記ブラケットの前記掛止部が設けられた部分を前記弾性部材の付勢力に抗して前記筐体の外側に向かって押圧する側板部と、
を、備えたプリント基板搭載装置。
【請求項2】
前記掛止部は、前記筐体の外側に向かって突出した形状を有する請求項1に記載のプリント基板搭載装置。
【請求項3】
前記掛止部は、ピン形状を有する請求項1または2に記載のプリント基板搭載装置。
【請求項4】
前記ブラケットは、回転して前記プリント基板ユニットの前記筐体への固定を解除する前記レバー部材の一部が当接する当接部をさらに備えた請求項1から3のいずれか一項に記載のプリント基板搭載装置。
【請求項5】
前記ブラケットは、本体部から前記筐体の外側に向かう方向に突出させた突出部を備え、前記掛止部は前記突出部の後縁部に設けられ、前記当接部は前記突出部の前縁部に設けられた請求項4に記載のプリント基板搭載装置。
【請求項6】
前記ブラケットは前端部分に前側に向かうほど外側に向かう傾斜面を備えた第1傾斜部を備え、前記側板部は後端部分に後側に向かうほど内側に向かう傾斜面を備えた第2傾斜部を備えた請求項1から5のいずれか一項に記載のプリント基板搭載装置。
【請求項7】
前記ブラケットは後端部分に後側に向かうほど外側に向かう傾斜面を備えた第3傾斜部を備え、前記側板部は前端部分に前側に向かうほど内側に向かう傾斜面を備えた第4傾斜部を備えた請求項1から6のいずれか一項に記載のプリント基板搭載装置。
【請求項8】
前記筐体の側壁部は、外側に向かって突出させて設けられ、前記軸部材を軸支する軸受フランジ部を備え、前記ストッパ部は、前記軸受フランジ部に当接して前記ブラケットの回転する量を規制する請求項1から7のいずれか一項に記載のプリント基板搭載装置。
【請求項9】
前記弾性部材は、コイルばねである請求項1から8のいずれか一項に記載のプリント基板搭載装置。
【請求項10】
前記弾性部材は、板ばねであり、当該板ばねは、前記ストッパ部に当接させて設けられた請求項1から8のいずれか一項に記載のプリント基板搭載装置。
【請求項11】
前記筐体は、外側壁部と内側壁部が対向配置された壁部を備え、前記ブラケットは、前記内側壁部に設けられた請求項1から10のいずれか1項に記載のプリント基板搭載装置。
【請求項12】
プリント基板を含むプリント基板ユニットに設けられたレバー部材を回転させ、当該レバー部材を筐体に設けられた掛止部に掛け止めて前記プリント基板ユニットを前記筐体に固定するプリント基板の実装方法において、
前記掛止部を有し、前記筐体に設けられた軸部材の軸線回りに回動可能に設けられるとともに、前記掛止部が前記筐体の内側に移動するように付勢されたブラケットを備えた前記筐体に対し、前記プリント基板ユニットを挿し込み、当該プリント基板ユニットが有する側板部を前記ブラケットに当接させて前記ブラケットを前記筐体の外側方向に向かって押圧しつつ、前記プリント基板ユニットをさらに押し込む工程と、
前記レバー部材を回転させ、前記レバー部材を前記ブラケットが有する前記掛止部に掛け止めて前記プリント基板ユニットを前記筐体に固定する工程と、
を、含むプリント基板の実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板搭載装置及びプリント基板の実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラック内にプリント基板ユニットを挿脱するプラグイン方式が知られており、プリント基板のラック(筐体)に対する抜け止め構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、プリント基板ユニット側に設けたレバー部材をラック側に掛け止めしたり、取り外したりする構造が提案されている(例えば、特許文献2参照)。これらの構造は、プリント基板ユニットの前面側にレバー状の部材を回動可能に設け、このレバー状の部材を操作することで、プリント基板ユニットをラックに固定したり、取り外したりすることが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-210977号公報
【文献】特開2005-268626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ラック装置に搭載されるプリント基板ユニットは、そのフロントパネルにI/F(Interface)コネクタを装備することがある。ラック装置の高密度実装化の進展に伴って、I/Fコネクタもフロントパネルの広い範囲を占めるようになってきている。このため、レバー状の部材が回動する軸の方向によっては、レバー状の部材とI/Fコネクタとが干渉することも想定される。また、レバー状の部材を用いてプリント基板ユニットをラックに固定したり、取り外したりする場合、ラック側にレバー状の部材が掛け止される部分や、穴等の構造が設けられる。これらの構造は、その配置位置や形状によっては、ラック装置の高密度実装化の妨げとなったり、基板の実装面積の確保に影響を与えたりすることがある。特許文献1や特許文献2の提案は、これらの点において、改善の余地があった。
【0005】
1つの側面では、本明細書開示のプリント基板搭載装置及びプリント基板の実装方法は、ラック装置に搭載されるプリント基板ユニットにおけるプリント基板の実装面積の増大を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの態様では、プリント基板搭載装置は、プリント基板を含むプリント基板ユニットと、当該プリント基板ユニットが抜き差しされる筐体と、前記プリント基板ユニットに設けられ、当該プリント基板ユニットを前記筐体に固定するレバー部材と、前記筐体に設けられ、前記レバー部材が掛け止められる掛止部と、を備えるプリント基板搭載装置であって、前記掛止部が設けられるとともに、前記筐体に設けられた軸部材の軸線回りに回転可能に設けられ、前記掛止部が設けられた部分の前記筐体内への侵入量を変化させるブラケットと、前記掛止部が前記筐体の内側に移動するように前記ブラケットを付勢する弾性部材と、前記ブラケットに設けられ、前記弾性部材に付勢された前記ブラケットの回転量を規制するストッパ部と、前記プリント基板ユニットに設けられ、前記プリント基板ユニットが前記筐体内へ挿し込まれた状態において、前記ブラケットと接触し、前記ブラケットの前記掛止部が設けられた部分を前記弾性部材の付勢力に抗して前記筐体の外側に向かって押圧する側板部と、を備えている。
【0007】
他の態様では、プリント基板の実装方法は、プリント基板を含むプリント基板ユニットに設けられたレバー部材を回転させ、当該レバー部材を筐体に設けられた掛止部に掛け止めて前記プリント基板ユニットを前記筐体に固定するプリント基板の実装方法において、前記掛止部を有し、前記筐体に設けられた軸部材回りに回動可能に設けられるとともに、前記掛止部が前記筐体の内側に移動するように付勢されたブラケットを備えた前記筐体に対し、前記プリント基板ユニットを挿し込み、当該プリント基板ユニットが有する側板部を前記ブラケットに当接させて前記ブラケットを前記筐体の外側方向に向かって押圧しつつ、前記プリント基板ユニットをさらに押し込む工程と、前記レバー部材を回転させ、前記レバー部材を前記ブラケットが有する前記掛止部に掛け止めて前記プリント基板ユニットを前記筐体に固定する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本明細書開示のプリント基板搭載装置及びプリント基板の実装方法によれば、ラック装置に搭載されるプリント基板ユニットにおけるプリント基板の実装面積を増大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態のラック装置の一部を示す斜視図である。
図2図2は第1実施形態のラック装置に含まれるラック本体を前側から観た斜視図である。
図3図3は第1実施形態のラック装置に含まれるラック本体に設けられたブラケットの周辺をラック本体の内側方向から観た状態を拡大して示す斜視図である。
図4図4(A)から図4(F)は第1実施形態のラック装置が備えるブラケットの6面図であり、図4(A)は正面図、図4(B)は平面図、図4(C)は底面図、図4(D)は右側面図、図4(E)は左側面図、図4(F)は背面図である。
図5図5は第1実施形態のラック装置が備える内側壁部に設けられたブラケットの周辺を示す斜視図である。
図6図6は第1実施形態のラック装置が備える内側壁部に設けられたブラケットの周辺を、図5とは異なる方向から観た状態を示す斜視図である。
図7図7は第1実施形態のラック装置に含まれるプリント基板ユニットの平面図である。
図8図8(A)は第1実施形態のラック装置に含まれるのプリント基板ユニットの正面図であり、図8(B)は図8(A)におけるA-A線断面図である。
図9図9は第1実施形態のラック装置に含まれるプリント基板ユニットに設けられた第1レバー部材の周辺を示す斜視図である。
図10図10(A)から図10(F)は第1実施形態のラック装置が備える第1レバー部材の6面図であり、図10(A)は正面図、図10(B)は平面図、図10(C)は底面図、図10(D)は右側面図、図10(E)は左側面図、図10(F)は背面図である。
図11図11は第1実施形態のラック装置に含まれるラック本体にプリント基板ユニットを対向させて配置した状態を示す斜視図である。
図12図12は第1実施形態のラック装置に含まれるラック本体にプリント基板ユニットの後端部を挿し込んだ状態を示す斜視図である。
図13図13は第1実施形態のラック装置が備える第1レバー部材がピン形状の掛止部に掛け止られた状態を示す説明図である。
図14図14は第1実施形態のラック装置に含まれる第1レバー部材がピン形状の掛止部から外れ、プリント基板ユニットがラック本体から抜き取られる状態を示す説明図である。
図15図15は比較例におけるピン形状の掛止部を示す斜視図である。
図16図16は比較例におけるピン形状の掛止部の周辺を前側から観た状態を示す説明図である。
図17図17は第2実施形態のラック装置が備える内側壁部に設けられたブラケットの周辺を示す斜視図である。
図18図18(A)から図18(F)は第2実施形態のラック装置が備えるブラケットの6面図であり、図18(A)は正面図、図18(B)は平面図、図18(C)は底面図、図18(D)は右側面図、図18(E)は左側面図、図18(F)は背面図である。
図19図19は第2実施形態のラック装置が備える第1レバー部材がピン形状の掛止部に掛け止られた状態を示す説明図である。
図20図20は第2実施形態のラック装置に含まれる第1レバー部材がピン形状の掛止部から外れ、プリント基板ユニットがラック本体から抜き取られる状態を示す説明図である。
図21図21は第3実施形態のラック装置が備える内側壁部に設けられたブラケットの周辺を示す斜視図である。
図22図22(A)から図22(F)は第3実施形態のラック装置が備えるブラケットの6面図であり、図22(A)は正面図、図22(B)は平面図、図22(C)は底面図、図22(D)は右側面図、図22(E)は左側面図、図22(F)は背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては、説明の都合上、実際には存在する構成要素が省略されていたり、寸法が実際よりも誇張されて描かれていたりする場合がある。
【0011】
(実施形態)
[ラック装置]
まず、図1から図10を参照して、第1実施形態のラック装置1について説明する。以下の説明では、ラック装置1の前後左右方向を図1に示すように設定して説明する。まず、ラック装置1の概略構成について説明する。ラック装置1は、プリント基板搭載装置に相当する。図1を参照すると、ラック装置1は、プリント基板ユニット40とラック本体10を備える。ラック本体10は、筐体に相当する。ラック本体10は図2に示すように前側が開放されており、図1図2における矢示2aのように、プリント基板ユニット40が挿入されたり、抜去されたりする。ラック本体10は、図2に示すようにその奥側に概ね垂直に立てた状態で設けられたバックプレーン19を備えている。バックプレーン19にはバックプレーン側コネクタ19aが設けられている。バックプレーン側コネクタ19aには、ラック本体10内に挿し込まれるプリント基板ユニット40が備える後端側コネクタ46(図7参照)が嵌合される。本実施形態におけるラック本体10は規格に基づく19インチラックであり、プリント基板ユニット40もこの規格に適合する外形寸法を備えている。プリント基板ユニット40の高さは、規格に基づいて1U=44.45mmに設定されている。
【0012】
ラック本体10は、プリント基板ユニット40に設けられた第1レバー部材50が掛け止められる掛止部25を備える。プリント基板ユニット40は、ラック本体10に挿し込まれ、第1レバー部材50が掛止部25に掛け止られることでラック本体10に固定される。なお、第1レバー部材50は、プリント基板ユニット40の左側の前端部に設けられており、プリント基板ユニット40の右側の前端部には、第2レバー部材60が設けられている。プリント基板ユニット40のラック本体10への固定には、第1レバー部材50とともに第2レバー部材60も用いられる。以下、ラック本体10とプリント基板ユニット40について、それぞれ詳細に説明する。
【0013】
<ラック本体>
図2を参照すると、ラック本体10の前側は開放されている。ラック本体10は、その左側に前後方向に延びる二重側壁部11を備えている。二重側壁部11は、対向配置された外側壁部12と内側壁部13を備えている。外側壁部12と内側壁部13との間は、空洞となっており、前面には、前壁部14が設けられている。二重側壁部11は、ラック本体10の強度を確保するために採用されている。内側壁部13の内側面には、前後方向に延びるガイドレール15が上下方向に複数段設けられている。ガイドレール15は、プリント基板ユニット40を案内するとともに支持する。
【0014】
ラック本体10は、その右側に、二重側壁部11と対向させて設けられた側壁部16と柱部材17とを備えている。側壁部16は、ラック本体10の最外部に設けられており、柱部材17は、側壁部16よりも内側に配置されている。なお、図2には、描画の都合上、前側に配置された1本の柱部材17のみが描かれているが、ラック本体10の奥側にも柱部材は配置されている。柱部材17の内側面には、内側壁部13と同様にガイドレール15が設けられている。最も前側に配置されている柱部材17の前面には後に説明する第2レバー部材60が備える掛止ピン部62(図7参照)が掛け止められるピン掛止溝17aが設けられている。
【0015】
ラック本体10において、内側壁部13と柱部材17との間が電子機器を収納する空間となる。本実施形態のラック本体10は、その空間を上下方向に分割する第1仕切板18aが設けられており、第1仕切板18aの下側に形成された第1収納部Ar1にプリント基板ユニット40が抜き挿しされる。ラック本体10は、第1仕切板18aの上側の領域を左右方向に分割し、第2収納部Ar2と第3収納部Ar3を形成する第2仕切板18bを備えている。第2収納部Ar2と第3収納部Ar3には、プリント基板ユニット40以外の他の電子機器を収納することができる。ラック本体10は、側壁部16と柱部材17との間に第4収納部Ar4を備えている。第4収納部Ar4には、ラック装置1の電源などを収納することができる。
【0016】
内側壁部13には、前端部に近い位置に開口部13aが設けられている。ラック本体10は、開口部13aの位置に合わせて板金製のブラケット20が取り付けられている。図3を参照すると、ブラケット20は、その上端側が開口部13aを通じてラック本体10の内側に迫り出すように内側壁部13に設けられている。ブラケット20は、後に詳細に説明するように、ラック本体10に設けられたブラケット軸部材30回りに回動可能に設けられている。ブラケット20は、図1に示す第1軸線AX1回りに、いずれの方向にも回転することができ、その姿勢によって掛止部25が設けられた部分のラック本体10内への侵入量を変化させる。
【0017】
ここで、図4(A)から図(F)を参照して、ブラケット20の形状について詳細に説明する。図4(A)から図4(F)は、ブラケット20の6面図であるが、ブラケット20がラック本体10に装着された状態でラック本体10の左側面に表れる面を正面としている。
【0018】
ブラケット20は、平板状の本体部21を備える。本体部21の上下方向の中間部よりも下側に正面側に突出させて設けられた第1軸受部22a及び第2軸受部22bを備えている。第1軸受部22aは、ブラケット20がラック本体10に装着された状態となるときに、前側に位置する。第2軸受部22bは、ブラケット20がラック本体10に装着された状態となるときに、後側に位置する。第1軸受部22aと第2軸受部22bとは、平行に設けられている。第1軸受部22aには、軸穴22a1が設けられ、第2軸受部22bには、軸穴22b1が設けられている。
【0019】
本体部21の前端部分には、本体部21の上下方向寸法の概ね中間部に前側に向かうほど外側に向かう傾斜面を備えた第1傾斜部23が設けられている。第1傾斜部23は、後に説明する第1側板部44(図7参照)が備える第2傾斜部44a(図7参照)に対応させて設けられている。
【0020】
本体部21の後端部分には、本体部21の上下方向寸法の概ね中間部に後側に向かうほど外側に向かう傾斜面を備えた第3傾斜部24が設けられている。第3傾斜部24は、後に説明する第1側板部44(図7参照)が備える第4傾斜部44b(図7参照)に対応させて設けられている。
【0021】
本体部21の正面側の上端部に近い位置には、本体部21の前後方向寸法の概ね中間部に、ラック本体10の外側に向かって突出した形状を有している掛止部25が設けられている。本実施形態の掛止部25は、ピン形状を有している。掛止部25には、プリント基板ユニット40が備える第1レバー部材50(図1参照)が掛け止めされる。掛止部25は、ラック本体10の外側に向かって突出しているため、プリント基板ユニット40の挿し込みの邪魔にならない。
【0022】
本体部21の上端部かつ前端部には、正面側に突出させて設けられた当接部26が設けられている。当接部26には、プリント基板ユニット40をラック本体10から抜き取るときに、後に説明する第1レバー部材50が備える押圧部54(図10(A)や図14参照)が当接する。
【0023】
本体部21の下端部には、正面側に突出させるとともに、前後方向に延びた形状を有するストッパ部27が設けられている。ストッパ部27は、後に説明する軸受フランジ部13b(図5参照)に当接することで、ブラケット20の回転する量を規制する。
【0024】
このようなブラケット20は、図5図6に示すように、ラック本体10が備える内側壁部13に取り付けられる。なお、図5図6は、外側壁部12を取り外した状態を示している。
【0025】
内側壁部13は、開口部13aと、この開口部13aの下側に外側に向かって突出させた一対の軸受フランジ部13bを備えている。また、内側壁部13は、コイルばね31の線材一端部31aを掛け止める折返し部13cを備えている。このような内側壁部13に対し、ブラケット20は、ブラケット軸部材30を介して第1軸線AX1回りに回動可能に装着されている。第1軸線AX1は、プリント基板ユニット40が抜き挿しされる方向に沿って延びている。ブラケット20は、第1軸受部22aが前側の軸受フランジ部13bと重なり、第2軸受部22bが後側の軸受フランジ部13bと重なるように配置される。そして、これらの軸受部及び軸受フランジ部を挿通するブラケット軸部材30が設けられている。このとき、ブラケット20の下端部に設けられているストッパ部27は、軸受フランジ部13bの下側に位置している。
【0026】
ブラケット20は、ブラケット軸部材30を介して、その上端側が開口部13aを通じてラック本体10内へ出没可能な状態で内側壁部13に取り付けられている。コイルばね31は、このような状態のブラケット20の本体部21の上端側をラック本体10の内側に位置させるようにブラケット20を付勢する。つまり、ブラケット20は、コイルばね31によって掛止部25が設けられている本体部21の上端側がラック本体10の内側に移動するように付勢されている。なお、コイルばね31は、弾性部材の一例である。
【0027】
コイルばね31の線材一端部31aは、内側壁部13に設けられた折返し部13cに掛け止められている。また、コイルばね31の線材他端部31bは、ブラケット20の下端部に掛け止められている。線材他端部31bは、ブラケット20のラック本体10の内側に向いた面に掛け止められている。これにより、ブラケット20は、掛止部25が設けられた部分がラック本体10の内側に位置するように付勢されている。これにより、プリント基板ユニット40が概ねラック本体10内に挿し込まれた後、掛止部25は、第1レバー部材50が掛け止めることができる位置まで移動することができる。
【0028】
ブラケット20は、外側壁部12と内側壁部13との間の空間内に配置されるように内側壁部13に取り付けられるので、プリント基板ユニット40の移動の妨げとなることがない。さらに、ブラケット20は、プリント基板ユニット40が移動状態にあるときに、外側に移動するので、プリント基板ユニット40が占める範囲を広くすることができる。つまり、プリント基板41の実装面積を増大することができる。
【0029】
<プリント基板ユニット>
つぎに、プリント基板ユニット40について説明する。図7を参照すると、プリント基板ユニット40は、プリント基板41の前側にフロントパネル42を備える。フロントパネル42には、複数のI/Fコネクタ43が設けられている。図8(A)を参照すると、I/Fコネクタ43は、左右方向に並列させて設けられているだけでなく、上下2段に設けられている。
【0030】
再び、図7に戻ると、プリント基板41の左側には、第1側板部44が設けられている。プリント基板41の右側には、第2側板部45が設けられている。第1側板部44の後端部分には、第2傾斜部44aが設けられている。第2傾斜部44aは、後側に向かうほど内側に向かう傾斜面を備えている。第2傾斜部44aは、ブラケット20が備える第1傾斜部23に対応させて設けられている。つまり、第2傾斜部44aは、プリント基板ユニット40がラック本体10内に挿し込まれるときに、第1傾斜部23に当接し、コイルばね31の弾性力に抗してブラケット20を起き上がらせ、掛止部25を外側に移動させる。このように、掛止部25を外側に移動させることで、掛止部25がプリント基板ユニット40の挿し込みの邪魔にあることがない。このため、プリント基板41の実装面積を拡大することができる。
【0031】
第1側板部44の前端部分には、第4傾斜部44bが設けられている。第4傾斜部44bは、前側に向かうほど内側に向かう傾斜面を備えている。第4傾斜部44bは、ブラケット20が備える第3傾斜部24に対応させて設けられている。つまり、第4傾斜部44bは、プリント基板ユニット40がラック本体10内から抜き取られるときに、第3傾斜部24に当接し、コイルばね31の弾性力に抗してブラケット20を起き上がらせ、掛止部25を外側に移動させる。このように、掛止部25を外側に移動させることで、掛止部25がプリント基板ユニット40の抜き取りの邪魔になることがない。
【0032】
第1側板部44の第4傾斜部44bよりもさらに前側には、第1レバー部材50が装着されるレバー部材装着部44cが設けられている。第4傾斜部44bは、前側に向かうほど内側に向かって傾斜しているため、第4傾斜部44bよりも前側は、その後側と比較して内側に位置している。これにより、第4傾斜部44bの前側には、わずかに内側に広がるスペースが形成されている。このスペースがレバー部材装着部44cとして活用され、第1レバー部材50が装着される。プリント基板ユニット40がラック本体10内に挿し込まれ、第4傾斜部44bが掛止部25の位置を過ぎると、掛止部25は、コイルばね31の弾性力によってレバー部材装着部44c側へ倒れ込む。第1レバー部材50は、このような掛止部25に掛け止められる。なお、プリント基板ユニット40がラック本体10から抜き取られるとき、上記のように第4傾斜部44bが、第3傾斜部24に当接することで、ブラケット20が起き上がり、掛止部25は外側に移動する。
【0033】
つぎに、第1レバー部材50について説明する。第1レバー部材50は、図7図9に示すように、プリント基板ユニット40の左側の前端部に設けられている。第1レバー部材50は、第1レバー軸部材57によって、図9に示す第2軸線AX2回りに回動可能に設けられている。つまり、第1レバー部材50は、垂直面内で回動する。このため、第1レバー部材50は、フロントパネル42に設けられたI/Fコネクタ43と干渉することがない。また、第1レバー部材50は、掛止部25に掛け止められるものであるため、ラック本体10の最下段に用いられた場合であっても、ラック本体10の下側から突出することがなく、ラック装置1の上下方向寸法の拡大を抑制することができる。例えば、レバー部材が垂直面内で回動する形式であっても、ラック本体の底板に設けられた掛け止め穴に掛け止めるものであると、レバー部材の先端部がラック装置の下側から突出する。この結果、ラック装置の上下方向寸法が拡大してしまう。本実施形態のラック装置1であれば、このような状態となることを回避することができる。
【0034】
ここで、図10(A)から図10(F)を参照して、第1レバー部材50の形状について詳細に説明する。図10(A)から図10(F)は、第1レバー部材50の6面図であるが、第1レバー部材50がプリント基板ユニット40に装着された状態でプリント基板ユニット40の左側面に表れる面を正面としている。また、第1レバー部材50は、使用状態において、その姿勢を変化させるものであるが、図10(A)に示す正面図における上下方向、前後方向を第1レバー部材50の上下方向、前後方向として説明する。
【0035】
第1レバー部材50は、平板状の本体部51を備えている。本体部51の上下方向寸法の中間部より下側、かつ、前後方向寸法の中間部より前側には、軸穴52が設けられている。本体部51の上下方向寸法の中間部より下側、かつ、前後方向寸法の中間部より後側には掛止片53が設けられている。掛止片53は、ブラケット20に設けられた掛止部25(図5等参照)に掛け止められる部分である。掛止片53の前縁部は、下側に向かうほど前側に向かう傾斜を備えた傾斜縁部53aとなっている。
【0036】
第1レバー部材50は、軸穴52の下側に下方に突出した押圧部54を備えている。押圧部54は、プリント基板ユニット40をラック本体10から抜き取るときに、ブラケット20が備える当接部26(図5等参照)に当接し、第1レバー部材50の回転に伴って、プリント基板ユニット40を抜き取り方向へ移動させる。
【0037】
第1レバー部材50は、本体部51の前端部からその背面側、つまり、第1レバー部材50がプリント基板ユニット40に装着されたときに、フロントパネル42が延びる左右方向に沿う方向に突出させたロック部材取付部55を備えている。ロック部材取付部55には、ロック部材56が設けられている。ロック部材56は、図10(F)によく表れているように、摘み部56aとねじ部56bを備えている。ロック部材56は、図8(B)に模式的に示すように、フロントパネル42に設けられたねじ穴42aにねじ部56bが螺合することでロックされる。これにより、第1レバー部材50がフロントパネル42に拘束された状態となり、その回転が規制される。この結果、プリント基板ユニット40のラック本体10への固定状態を維持することができる。
【0038】
つぎに、図7及び図8を参照して、第2レバー部材60について説明する。第2レバー部材60は、プリント基板ユニット40の右側の前端部、つまり、第2側板部45の前端部に設けられている。第2レバー部材60は、板状の本体部61を備える。本体部61には、外側に向かって突出させた掛止ピン部62が設けられている。掛止ピン部62は、プリント基板ユニット40がラック本体10に対して固定状態とされるときに、柱部材17(図2参照)に設けられたピン掛止溝17aに掛け止めされる。
【0039】
第2レバー部材60は、第2レバー軸部材63によって、第1レバー部材50と同様に、回動可能にプリント基板ユニット40に装着されている。つまり、第2レバー部材60は、垂直面で回動する。このため、第2レバー部材60は、フロントパネル42に設けられたI/Fコネクタ43と干渉することがない。
【0040】
また、第2レバー部材60は、第1レバー部材50が備えるロック部材56と同様のロック部材64を備えている。ロック部材64がフロントパネル42にロックされる態様は、第1レバー部材50が備えるロック部材56と同様であるので、ここでは、その詳細な説明は省略する。
【0041】
第2レバー部材60が備える掛止ピン部62は、外側に向かって突出しているため、プリント基板41の実装面積拡大の妨げとはならない。
【0042】
[プリント基板ユニットの抜き挿し作業]
つぎに、図11から図14を参照して、プリント基板ユニット40のラック本体10に対する抜き挿し作業について説明する。図11はラック本体10にプリント基板ユニット40を対向させて配置した状態を示している。図12はラック本体10にプリント基板ユニット40の後端部を挿し込んだ状態を示している。図13は第1レバー部材50が掛止部25に掛け止められた状態を示している。図14は第1レバー部材50が掛止部25から外れ、プリント基板ユニット40がラック本体10から抜き取られる状態を示している。なお、図13及び図14は、第1レバー部材50とブラケット20の状態を分かりやすく示すために、外側壁部12だけでなく、内側壁部13を省略し、内側壁部13に設けられている開口部13aを点線で描いている。
【0043】
プリント基板ユニット40をラック本体10に挿し込むときは、まず、図11に示すように、プリント基板ユニット40が備える第1側板部44の後端部に設けられている第2傾斜部44aを、ラック本体10の前側と対向させる。このとき、ブラケット20は、コイルばね31によって、掛止部25が設けられている部分がラック本体10の内側に侵入するように付勢されている。ただし、ストッパ部27により、その侵入量は一定に保たれている。
【0044】
この状態からプリント基板ユニット40を矢示2bのようにラック本体10内へ挿し込むと、第2傾斜部44aが第1傾斜部23と当接し、ブラケット20がラック本体10の外側に向かって押圧される。プリント基板ユニット40がさらに押し込まれ、第2傾斜部44aの位置が第1傾斜部23の位置を過ぎた後は、ブラケット20は、第1側板部44に当接した状態が維持され、これにより、ラック本体10の外側に押圧された状態が継続する。
【0045】
プリント基板ユニット40がさらに押し込まれ、ブラケット20が第4傾斜部44bを通過すると、コイルばね31によって付勢されているブラケット20は、図13に示すようにレバー部材装着部44c側へ倒れ込む。これにより、掛止部25が第1レバー部材50を掛け止めることができる位置に移動する。そして、図13において矢示2cで示すように第1レバー部材50を回転させると、掛止片53を掛止部25に掛け止めることができる。このとき、傾斜縁部53aがピン形状の掛止部25の外周曲面に沿って移動する。これにより、プリント基板ユニット40が最終的にラック本体10(図13では図示せず)内に押し込まれる。そして、この動作の際に、プリント基板ユニット40の後端部に設けられている後端側コネクタ46(図7参照)がバックプレーン側コネクタ19a(図2参照)と嵌合される。これにより、プリント基板ユニット40がラック本体10に固定される。そして、ロック部材56を操作することで、プリント基板ユニット40の固定状態が維持される。なお、掛止部25を、外周曲面を備えたピン形状とすることで、掛止部25に摺接する傾斜縁部53aを備えた掛止片53の動作を滑らかにすることができる。
【0046】
つぎに、図14を参照して、プリント基板ユニット40をラック本体10(図14では図示せず)から抜き取る操作について説明する。プリント基板ユニット40を抜き取るときは、まず、第1レバー部材50を図14における矢示2eのように回転させる。これにより、押圧部54がブラケット20に設けられている当接部26に当接する。プリント基板ユニット40は、押圧部54が当接部26を押すことで、矢示2dのように抜き取り方向に移動する。この動作により、プリント基板ユニット40の後端部に設けられている後端側コネクタ46(図7参照)とバックプレーン側コネクタ19a(図2参照)との嵌合が解除される。これにより、プリント基板ユニット40を引き出すことができる状態となる。プリント基板ユニット40を矢示2dの方向に引き出すと、第3傾斜部24が第4傾斜部44bに当接する。これにより、ブラケット20がラック本体10の外側に向かって押圧される。このように、ブラケット20がラック本体10の外側に退避することでプリント基板ユニット40をスムーズに抜き取ることができる。第2傾斜部44aがブラケット20を通過した後は、コイルばね31によって付勢されているブラケット20は、図11に示す元の状態に復帰する。
【0047】
なお、プリント基板ユニット40の抜き挿し作業には、第2レバー部材60の操作も伴うが、ここでは、その説明は省略する。
【0048】
[比較例]
ここで、図15及び図16を参照して、比較例について説明する。比較例は、実施形態のラック装置1と同様に、二重側壁部111を備え、この二重側壁部111は、内側壁部113を備えている。しかしながら、内側壁部113には、実施形態のラック装置1とは異なり、内側に突出した掛止ピン113aが設けられている。掛止ピン113aには、図16に示すようにレバー部材150が掛け止められるが、比較例のプリント基板ユニット140では、掛止ピン113aとの干渉を避けるため、その縁部を矢示2fで示すようにオフセットさせる必要がある。この結果、プリント基板ユニット140が備えるプリント基板141の幅を距離Sの分だけ縮小しなければならない。このため、比較例では、プリント基板141の実装面積が小さくなる。
【0049】
このような比較例に対し、本実施形態のラック装置1では、コイルばね31によって付勢され、プリント基板ユニット40の挿入状態に伴ってラック本体10内への侵入量が変化するブラケット20を備える。これにより、プリント基板41の実装面積を大きくすることができる。
【0050】
本実施形態によれば、掛止部25を、ラック本体10の外側に向かって突出した形状とすることで、プリント基板ユニット40の移動を妨げることがない。これにより、プリント基板41の実装面積を大きくすることができる。
【0051】
本実施形態によれば、掛止部25を、外周曲面を備えたピン形状とすることで、掛止部25に摺接する傾斜縁部53aを備えた掛止片53の動作を滑らかにすることができる。
【0052】
本実施形態によれば、第1傾斜部23と第2傾斜部44aを備えることで、プリント基板ユニット40をラック本体10に挿し込むときに、ブラケット20を外側に退避させることができる。これにより、ブラケット20がプリント基板ユニット40の移動を妨げることがなく、プリント基板41の実装面積を大きくすることができる。
【0053】
本実施形態によれば、第3傾斜部24と第4傾斜部44bを備えることで、プリント基板ユニット40をラック本体10から抜き取るときに、ブラケット20を外側に退避させることができる。これにより、ブラケット20がプリント基板ユニット40の移動を妨げることがなく、プリント基板41の実装面積を大きくすることができる。
【0054】
(第2実施形態)
つぎに、図17から図20を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態のブラケット20に代えて、ブラケット120を備えている。ブラケット20とブラケット120とは、形状が相違している。以下、この相違点を中心に説明する。第1実施形態と第2実施形態とで共通する構成要素には、図面中、同一の参照番号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0055】
ブラケット120は、本体部21の上端部に突出部125を備えている。突出部125は、第1実施形態のブラケット20が備える掛止部25と当接部26とに代えて設けられている。図18(A)から図18(F)を参照すると、突出部125は、本体部21の上端部から正面側に向かって突出させて設けられている。突出部125の前端部は、本体部21の前端部と概ね一致しており、突出部125の後端部は、本体部21の前後方向寸法の中間部よりも後側に位置している。これは、突出部125が掛止部25の機能と当接部26の機能を果たすことができるようにするためである。具体的に、突出部125の後縁部125aが、掛止部25に相当し、また、突出部125の前縁部125bが当接部26に相当する。
【0056】
図19を参照すると、矢示2cのように第1レバー部材50が回転すると、掛止片53の傾斜縁部53aは、突出部125の後縁部125aに掛け止められる。また、図20を参照すると、矢示2eのように第1レバー部材50が回転すると、押圧部54は、突出部125の前縁部125bに当接する。
【0057】
このように、第2実施形態であっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。第2実施形態のブラケット120は、一枚の板金から加工、成形することができ、ピン形状の掛止部25のように別部材を装着する工程が不要である。
【0058】
(第3実施形態)
つぎに、図21及び図22を参照して、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第2実施形態のブラケット120に代えて、ブラケット220を備えている。ブラケット120とブラケット220とは、形状が相違している。また、ブラケット軸部材30に代えてブラケット軸部材230を備えている。さらに、コイルばね31に代えて板ばね231を備えている。以下、これらの相違点を中心に説明する。第2実施形態と第3実施形態とで共通する構成要素には、図面中、同一の参照番号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0059】
ブラケット220は、ブラケット120が備えるストッパ部27に代えてストッパ部227を備えている。ストッパ部227は、ストッパ部27と比較して後側へ延ばされている。これは、コイルばね31に代えて板ばね231を設けたことに伴って、板ばね231をストッパ部227に当接させて、ブラケット220を付勢するためである。なお、ブラケット220は、ブラケット120と同様に突出部125を備えているが、第1実施形態のブラケット20と同様に掛止部25と当接部26を備えた形態とすることもできる。
【0060】
第3実施形態は、コイルばね31に代えて板ばね231を備えたことにより、内側壁部13に設けていた折返し部13c(図6等参照)が廃止されている。折返し部13cは、コイルばね31の線材一端部31aを掛け止めるために設けられているが、板ばね231では、これが不要だからである。この結果、内側壁部13の工作工程を簡略化することができる。
【0061】
このように、第3実施形態であっても、第1実施形態や第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0063】
なお、以上の実施形態の説明に関して、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
プリント基板を含むプリント基板ユニットと、当該プリント基板ユニットが抜き差しされる筐体と、前記プリント基板ユニットに設けられ、当該プリント基板ユニットを前記筐体に固定するレバー部材と、前記筐体に設けられ、前記レバー部材が掛け止められる掛止部と、を備えるプリント基板搭載装置であって、
前記掛止部が設けられるとともに、前記筐体に設けられた軸部材の軸線回りに回動可能に設けられ、前記掛止部が設けられた部分の前記筐体内への侵入量を変化させるブラケットと、
前記掛止部が前記筐体の内側に移動するように前記ブラケットを付勢する弾性部材と、
前記ブラケットに設けられ、前記弾性部材に付勢された前記ブラケットの回転する量を規制するストッパ部と、
前記プリント基板ユニットに設けられ、前記プリント基板ユニットが前記筐体内へ挿し込まれた状態において、前記ブラケットと接触し、前記ブラケットの前記掛止部が設けられた部分を前記弾性部材の付勢力に抗して前記筐体の外側に向かって押圧する側板部と、
を、備えたプリント基板搭載装置。
(付記2)
前記掛止部は、前記筐体の外側に向かって突出した形状を有する付記1に記載のプリント基板搭載装置。
(付記3)
前記掛止部は、ピン形状を有する付記1または2に記載のプリント基板搭載装置。
(付記4)
前記ブラケットは、回転して前記プリント基板ユニットの前記筐体への固定を解除する前記レバー部材の一部が当接する当接部をさらに備えた付記1から3のいずれか一項に記載のプリント基板搭載装置。
(付記5)
前記ブラケットは、本体部から前記筐体の外側に向かう方向に突出させた突出部を備え、前記掛止部は前記突出部の後縁部に設けられ、前記当接部は前記突出部の前縁部に設けられた付記4に記載のプリント基板搭載装置。
(付記6)
前記ブラケットは前端部分に前側に向かうほど外側に向かう傾斜面を備えた第1傾斜部を備え、前記側板部は後端部分に後側に向かうほど内側に向かう傾斜面を備えた第2傾斜部を備えた付記1から5のいずれか一項に記載のプリント基板搭載装置。
(付記7)
前記ブラケットは後端部分に後側に向かうほど外側に向かう傾斜面を備えた第3傾斜部を備え、前記側板部は前端部分に前側に向かうほど内側に向かう傾斜面を備えた第4傾斜部を備えた付記1から6のいずれか一項に記載のプリント基板搭載装置。
(付記8)
前記筐体の側壁部は、外側に向かって突出させて設けられ、前記軸部材を軸支する軸受フランジ部を備え、前記ストッパ部は、前記軸受フランジ部に当接して前記ブラケットの回転する量を規制する付記1から7のいずれか一項に記載のプリント基板搭載装置。
(付記9)
前記弾性部材は、コイルばねである付記1から8のいずれか一項に記載のプリント基板搭載装置。
(付記10)
前記弾性部材は、板ばねであり、当該板ばねは、前記ストッパ部に当接させて設けられた付記1から8のいずれか一項に記載のプリント基板搭載装置。
(付記11)
前記筐体は、外側壁部と内側壁部が対向配置された壁部を備え、前記ブラケットは、前記内側壁部に設けられた付記1から10のいずれか1項に記載のプリント基板搭載装置。
(付記12)
プリント基板を含むプリント基板ユニットに設けられたレバー部材を回転させ、当該レバー部材を筐体に設けられた掛止部に掛け止めて前記プリント基板ユニットを前記筐体に固定するプリント基板の実装方法において、
前記掛止部を有し、前記筐体に設けられた軸部材の軸線回りに回動可能に設けられるとともに、前記掛止部が前記筐体の内側に移動するように付勢されたブラケットを備えた前記筐体に対し、前記プリント基板ユニットを挿し込み、当該プリント基板ユニットが有する側板部を前記ブラケットに当接させて前記ブラケットを前記筐体の外側方向に向かって押圧しつつ、前記プリント基板ユニットをさらに押し込む工程と、
前記レバー部材を回転させ、前記レバー部材を前記ブラケットが有する前記掛止部に掛け止めて前記プリント基板ユニットを前記筐体に固定する工程と、
を、含むプリント基板の実装方法。
(付記13)
前記掛止部は、前記筐体の外側に向かって突出した形状を有する付記12に記載のプリント基板の実装方法。
(付記14)
前記掛止部は、ピン形状を有する付記12または13に記載のプリント基板の実装方法。
(付記15)
前記ブラケットは、回転して前記プリント基板ユニットの前記筐体への固定を解除する前記レバー部材の一部が当接する当接部を備えた付記12から14のいずれか一項に記載のプリント基板の実装方法。
(付記16)
前記ブラケットは、本体部から前記筐体の外側に向かう方向に突出させた突出部を備え、前記掛止部は前記突出部の後縁部に設けられ、前記当接部は前記突出部の前縁部に設けられた付記15に記載のプリント基板の実装方法。
(付記17)
前記ブラケットは前端部分に前側に向かうほど外側に向かう傾斜面を備えた第1傾斜部を備え、前記側板部は後端部分に後側に向かうほど内側に向かう傾斜面を備えた第2傾斜部を備えた付記12から16のいずれか一項に記載のプリント基板の実装方法。
(付記18)
前記ブラケットは後端部分に後側に向かうほど外側に向かう傾斜面を備えた第3傾斜部を備え、前記側板部は前端部分に前側に向かうほど内側に向かう傾斜面を備えた第4傾斜部を備えた付記12から17のいずれか一項に記載のプリント基板の実装方法。
(付記19)
前記筐体の側壁部は、外側に向かって突出させて設けられ、前記軸部材を軸支する軸受フランジ部を備え、前記ブラケットに設けられ、前記ブラケットの回転する量を規制するストッパ部は、前記軸受フランジ部に当接して前記ブラケットの回転する量を規制する付記12から18のいずれか一項に記載のプリント基板の実装方法。
(付記20)
前記ブラケットは、コイルばねによって付勢された付記12から19のいずれか一項に記載のプリント基板の実装方法。
(付記21)
前記ブラケットは、板ばねによって付勢された付記12から19のいずれか一項に記載のプリント基板の実装方法。
(付記22)
前記筐体は、外側壁部と内側壁部が対向配置された壁部を備え、前記ブラケットは、前記内側壁部に設けられた付記12から21のいずれか1項に記載のプリント基板の実装方法。
【符号の説明】
【0064】
1 ラック装置 10 ラック本体
11 二重側壁部 12 外側壁部
13 内側壁部 13a 開口部
13b 軸受フランジ部 17 柱部材
17a ピン掛止溝 19 バックプレーン
20、120、220 ブラケット 21 本体部
23 第1傾斜部 24 第3傾斜部
25 掛止部 26 当接部
27、227 ストッパ部 30、230 ブラケット軸部材
31 コイルばね 40 プリント基板ユニット
41 プリント基板 43 I/Fコネクタ
44 第1側板部 44a 第2傾斜部
44b 第4傾斜部 44c レバー部材装着部
45 第2側板部 46 後端側コネクタ
50 第1レバー部材 53 掛止片
53a 傾斜縁部 54 押圧部
125 突出部 125a 後縁部
125b 前縁部 231 板ばね
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22