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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】検体検査および健康支援システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/00 20180101AFI20240807BHJP
【FI】
G16H50/00
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2022212244
(22)【出願日】2022-12-28
(65)【公開番号】P2024095163
(43)【公開日】2024-07-10
【審査請求日】2023-03-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003823
【氏名又は名称】弁理士法人柳野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安田 多賀子
(72)【発明者】
【氏名】川井 康弘
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-171263(JP,A)
【文献】特開2020-183958(JP,A)
【文献】国際公開第2012/090995(WO,A1)
【文献】特開2022-171275(JP,A)
【文献】特開2017-023093(JP,A)
【文献】特開2021-010343(JP,A)
【文献】特開2019-067302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 -33/98
C12M 1/34
G16H 50/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のi~iiiを検査項目に含む、全身の健康維持や増進に対する有用な情報を提供するための検体検査。
i)口腔内細菌およびカンジタ菌からなる群から選ばれる1種または2種以上の微生物に関連する抗体検査
ii)血糖値および/またはヘモグロビンa1c値の検査
iii)LDL値およびHDL値の検査
【請求項2】
口腔内細菌に少なくともポルフィロモナス属(Porphyromonas )に属する細菌から選ばれる単独または2つ以上が含まれる、請求項1に記載の検体検査。
【請求項3】
口腔内細菌に少なくともPorphyromonas gingivalisが含まれる、請求項2に記載の検体検査。
【請求項4】
口腔内細菌に少なくとも異なる2種又は3種以上のPorphyromonas gingivalisの菌株が含まれる、請求項3に記載の検体検査。
【請求項5】
口腔内細菌に少なくともStreptococcus mutansが含まれる、請求項1に記載の検体検査。
【請求項6】
口腔内細菌に少なくともStreptococcus intermediusが含まれる、請求項1に記載の検体検査。
【請求項7】
口腔内細菌に少なくともフゾバクテリウム属(Fusobacterium)に属する細菌から選ばれる単独または2つ以上が含まれる、請求項1に記載の検体検査。
【請求項8】
口腔内細菌に少なくともプレボテラ属(Prevotella)に属する細菌から選ばれる単独または2つ以上が含まれる、請求項1に記載の検体検査
【請求項9】
口腔内細菌およびカンジタ菌からなる群から選ばれる1種若しくは2種以上の微生物に関連する抗原検査および/または核酸検査を検査項目に含む、請求項1に記載の検体検査。
【請求項10】
被験者の口腔に関する情報の提供を検査項目に含む、請求項1に記載の検体検査。
【請求項11】
被験者の口腔に関する情報に、歯科診察の推奨情報、歯科保健指導の推奨情報、口腔の健康状態に関する情報、口腔の健康におけるリスク要因に関する情報、口腔衛生に関する情報、および推奨する口腔ケア商品に関する情報の何れかに含まれる情報が含まれる、請求項10に記載の検体検査。
【請求項12】
口腔内細菌および/またはカンジタ菌に関連する抗体検査の結果情報および、下記の(i)または(ii)の情報を利用して被験者の疾病予防・治療や口腔および全身の健康維持・増進に有用な情報を作成し、被験者や医療機関、医療従事者に提供する、健康支援システム。
(i)血糖値、ヘモグロビンa1c値、酸化HDL値、C―反応性タンパク値、プロカルシトニン値および赤血球沈降速度値からなる群から選ばれる単独または2以上の検査項目を含む検体検査の結果情報
(ii)少なくとも歯科診察の推奨情報、歯科保健指導の推奨情報、被験者自身の性別、年齢、身長、体重、腹囲長、BMI、ウェスト長・ヒップ長比率、血族近縁者の病歴情報の一般属性情報、口腔や全身の健康状態に対する自覚情報、治療履歴情報、口腔機能に関する情報、口腔衛生習慣、食生活や生活習慣・運動習慣・飲酒習慣・喫煙習慣の実態情報、就寝時行動情報および心理状態情報の何れかに含まれる1つ又は2以上の情報を含む、被験者情報
【請求項13】
口腔内細菌および/またはカンジタ菌に関連する抗体検査の結果情報、下記の(i)の情報および(ii)の情報、の3つの情報を利用して被験者の疾病予防・治療や口腔および全身の健康維持・増進に有用な情報を作成し、被験者や医療機関、医療従事者に提供する、健康支援システム。
(i)血糖値、ヘモグロビンa1c値、酸化HDL値、C―反応性タンパク値、プロカルシトニン値および赤血球沈降速度値からなる群から選ばれる単独または2以上の検査項目を含む検体検査の結果情報
(ii)少なくとも歯科診察の推奨情報、歯科保健指導の推奨情報、被験者自身の性別、年齢、身長、体重、腹囲長、BMI、ウェスト長・ヒップ長比率、血族近縁者の病歴情報の一般属性情報、口腔や全身の健康状態に対する自覚情報、治療履歴情報、口腔機能に関する情報、口腔衛生習慣、食生活や生活習慣・運動習慣・飲酒習慣・喫煙習慣の実態情報、就寝時行動情報および心理状態情報の何れかに含まれる1つ又は2以上の情報を含む、被験者情報
【請求項14】
口腔内細菌に少なくともポルフィロモナス属(Porphyromonas )に属する細菌から選ばれる単独または2つ以上が含まれる、請求項12に記載の健康支援システム。
【請求項15】
口腔内細菌に少なくともPorphyromonas gingivalisが含まれる、請求項14に記載の健康支援システム。
【請求項16】
口腔内細菌に少なくとも異なる2種又は3種以上のPorphyromonas gingivalisの菌株が含まれる、請求項15に記載の健康支援システム。
【請求項17】
口腔内細菌に少なくともStreptococcus mutansが含まれる、請求項12に記載の健康支援システム。
【請求項18】
口腔内細菌に少なくともStreptococcus intermediusが含まれる、請求項12に記載の健康支援システム。
【請求項19】
口腔内細菌に少なくともフゾバクテリウム属(Fusobacterium)に属する細菌から選ばれる単独または2つ以上が含まれる、請求項12に記載の健康支援システム。
【請求項20】
口腔内細菌に少なくともプレボテラ属(Prevotella)に属する細菌から選ばれる単独または2つ以上が含まれる、請求項12に記載の健康支援システム。
【請求項21】
検体検査の検査結果の一部若しくは全てと、検体検査の検査結果から作成された被験者の疾病予防・治療や健康の維持・増進に有用な情報を、電子カルテ若しくは被験者の健康管理に使用するデータベースに記憶し、被験者の被験者の疾病予防や・治療、健康の維持や増進に活用する、請求項12に記載の健康支援システム。
【請求項22】
口腔内細菌およびカンジタ菌からなる群から選ばれる1種若しくは2種以上の微生物に関連する抗原検査および/または核酸検査を検査項目に含む、請求項12に記載の健康支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
全身における疾患や不具合の一因となっている可能性が明らかになりつつある口腔の衛生状態や健康状態などの口腔関連の情報を前記の全身における疾患や不具合と関連する検体検査情報を組み合わせて検査することで、全身疾患の治療だけでなく予後のケア時や特に高齢者や弱者などの全身の健康維持や増進などに対する有用な情報を提供し得る検査およびその検査を活用した被験者の健康を支援するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、口腔の衛生状態や健康状態が全身における疾患や不具合の一因となっている可能性が明らかになりつつあり、全身疾患の治療だけでなく予後のケア時や特に高齢者や弱者などの全身の健康維持や増進においても参考とすべき重要な情報になりつつある。しかし、口腔に関する情報は取得される期間が少なく、取得された場合でも歯科医院などの取得した機関内に情報がとどまっており他機関での活用はなされていない問題がある。特に医科領域での医療機関に対して情報が共有化されることは極めて稀であり、口腔外科が存在する総合病院であっても医科と歯科の情報は互いに共有されていない場合が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
人のQOLの維持・向上に密接な関係がある口腔の状態に関する情報を口腔の状態との関連が考えられる全身に関する情報とを把握できる検査を提供する。さらには、口腔の機能や口腔の衛生状態と全身の健康との関係についての知見を、被験者の全身に対する疾患や不具合の予防や治療、予後のケア、健康の維持・増進を支援する健康支援システムをも提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は、前述の状況に鑑み鋭意検討した結果解決しようとするところは、全身に影響を与え得る口腔内に存在する微生物の状態や口腔内の衛生状態や感染の有無などの情報と口腔と関連性があるとされる血糖値などの検体検査項目を組み合わせた検査を提供する。さらには、前記検査を活用することにより、一般的な血液検査だけの場合に比べて被験者において、健康維持・増進や効果的な疾病予防や医療措置が受けることが可能な健康支援のシステムを提供する。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、被験者や検査実施者等に労力や費用などの大きな負担をかけることなく、被験者の口腔や咽喉の状態を把握するとともに全身の健康状態を把握したうえで、被験者の健康を維持するために有用な情報を提供するとともに、被験者の日常生活の改善や衛生状態の改善、効果的な医療措置の提供や予後措置、健常人における健康の維持や増進に貢献できる健康支援システムを構築することにより、被験者の高いQOLの実現と維持を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の代表的実施形態に係る支援システムの構成を示す説明図。
図2】同じく支援システムにおける支援サーバの構成を示すブロック図。
図3】同じく支援システムにおける支援サーバの別の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
すなわち本発明は、以下の発明を包含する。
項1:下記のi~iiiを検査項目に含む、検体検査。
i)口腔内細菌およびカンジタ菌からなる群から選ばれる1種または2種以上の微生物に関連する抗体検査
ii)血糖値および/またはヘモグロビンa1c値の検査
iii)LDL値およびHDL値の検査
項2:口腔内細菌に少なくともポルフィロモナス属(Porphyromonas )に属する細菌から選ばれる単独または2つ以上が含まれる、項1に記載の検体検査。
項3:口腔内細菌に少なくともPorphyromonas gingivalisが含まれる、項2に記載の検体検査。
項4:口腔内細菌に少なくとも異なる2種又は3種以上のPorphyromonas gingivalisの菌株が含まれる、項3に記載の検体検査。
項5:口腔内細菌に少なくともStreptococcus mutansが含まれる、項1~4の何れか1項に記載の検体検査。
項6:口腔内細菌に少なくともStreptococcus intermediusが含まれる、項1~5の何れか1項に記載の検体検査。
項7:口腔内細菌に少なくともフゾバクテリウム属(Fusobacterium)に属する細菌から選ばれる単独または2つ以上が含まれる、項1~6の何れか1項に記載の検体検査。
項8:口腔内細菌に少なくともプレボテラ属(Prevotella)に属する細菌から選ばれる単独または2つ以上が含まれる、項1~7の何れか1項に記載の検体検査。
項9:口腔内細菌に関連する抗体検査と、C-反応性タンパク検査、プロカルシトニン検査、および赤血球沈降速度検査から選ばれる単独または2つ以上の検査を検査項目に含む、検体検査。
項10:口腔内細菌にスタフィロコッカス属(Staphylococcus)に属する1種または2種以上の細菌、およびストレプトコッカス属(Streptococcus)に属する1種または2種以上の細菌が含まれる、項9に記載の検体検査。
項11:口腔内細菌およびカンジタ菌からなる群から選ばれる1種若しくは2種以上の微生物に関連する抗原検査および/または核酸検査を検査項目に含む、項1~10の何れか1項に記載の検体検査。
項12:被験者の口腔に関する情報の提供を検査項目に含む、請求項1~11の何れか1項に記載の検体検査。
項13:被験者の口腔に関する情報に、歯科診察の推奨情報、歯科保健指導の推奨情報、口腔の健康状態に関する情報、口腔の健康におけるリスク要因に関する情報、口腔衛生に関する情報、および推奨する口腔ケア商品に関する情報の何れかに含まれる情報が含まれる、項12に記載の検体検査。
項14:口腔内細菌および/またはカンジタ菌に関連する抗体検査の結果情報および、下記の(i)または(ii)の情報を利用して被験者の疾病予防・治療や口腔や全身の健康維持・増進に有用な情報を作成し、被験者や医療機関、医療従事者などに提供する、健康支援システム。
(i)血糖値、ヘモグロビンa1c値、酸化HDL値、C―反応性タンパク値、プロカルシトニン値および赤血球沈降速度値からなる群から選ばれる単独または2以上の検査項目を含む検体検査の結果情報
(ii)少なくとも歯科診察の推奨情報、歯科保健指導の推奨情報、被験者自身の性別、年齢、身長、体重、腹囲長、BMI、ウェスト長・ヒップ長比率、血族近縁者の病歴情報などの一般属性情報、口腔や全身の健康状態に対する自覚情報、治療履歴情報、口腔機能や口腔状態に関する情報、口腔衛生習慣、食生活や生活習慣・運動習慣・飲酒習慣・喫煙習慣の実態情報、就寝時行動情報および心理状態情報の何れかに含まれる1つ又は2以上の情報を含む、被験者情報
項15:口腔内細菌および/またはカンジタ菌に関連する抗体検査の結果情報、下記の(i)の情報および(ii)の情報、の3つの情報を利用して被験者の疾病予防・治療や口腔や全身の健康維持・増進に有用な情報を作成し、被験者や医療機関、医療従事者などに提供する、健康支援システム。
(i)血糖値、ヘモグロビンa1c値、酸化HDL値、C―反応性タンパク値、プロカルシトニン値および赤血球沈降速度値からなる群から選ばれる単独または2以上の検査項目を含む検体検査の結果情報
(ii)少なくとも歯科診察の推奨情報、歯科保健指導の推奨情報、被験者自身の性別、年齢、身長、体重、腹囲長、BMI、ウェスト長・ヒップ長比率、血族近縁者の病歴情報などの一般属性情報、口腔や全身の健康状態に対する自覚情報、治療履歴情報、口腔機能や口腔状態に関する情報、口腔衛生習慣、食生活や生活習慣・運動習慣・飲酒習慣・喫煙習慣の実態情報、就寝時行動情報および心理状態情報の何れかに含まれる1つ又は2以上の情報を含む、被験者情報
項16:口腔内細菌に少なくともポルフィロモナス属(Porphyromonas )に属する細菌から選ばれる単独または2つ以上が含まれる、項14または項15に記載の健康支援システム。
項17:口腔内細菌に少なくともPorphyromonas gingivalisが含まれる、項16に記載の健康支援システム。
項18:口腔内細菌に少なくとも異なる2種又は3種以上のPorphyromonas gingivalisの菌株が含まれる、項17に記載の健康支援システム。
項19:口腔内細菌に少なくともStreptococcus mutansが含まれる、項14~18の何れか1項に記載の健康支援システム。
項20:口腔内細菌に少なくともStreptococcus intermediusが含まれる、項14~18の何れか1項に記載の健康支援システム。
項21:口腔内細菌に少なくともフゾバクテリウム属(Fusobacterium)に属する細菌から選ばれる単独または2つ以上が含まれる、項14~20の何れか1項に記載の健康支援システム。
項22:口腔内細菌に少なくともプレボテラ属(Prevotella)に属する細菌から選ばれる単独または2つ以上が含まれる、項14~21の何れか1項に記載の健康支援システム。
項23:検体検査の検査結果の一部若しくは全てと、検体検査の検査結果から作成された被験者の疾病予防・治療や健康の維持・増進に有用な情報を、電子カルテ若しくは被験者の健康管理に使用するデータベースに記憶し、被験者の被験者の疾病予防や・治療、健康の維持や増進に活用する、項14~18の何れか1項に記載の健康支援システム。
項24:口腔内細菌およびカンジタ菌からなる群から選ばれる1種若しくは2種以上の微生物に関連する抗原検査および/または核酸検査を検査項目に含む、項14~23の何れか1項に記載の健康支援システム。
【0008】
本発明の検査対象である口腔内細菌とは、400~800種類以上と言われる口腔や咽喉に存在する細菌を意味する。口腔内常在菌を構成する細菌の種類は被験者毎に異なり、特定の被験者においても年齢や口腔衛生の状況、全身疾患や代謝などの変化により変動することが知られている。歯周病や齲蝕など罹患の有無は歯科の検診や歯科診療において判断されているが、本発明の技術により簡便な方法でそれらを推定することができるだけでなく、口腔感染症の罹患や再発のリスクや口腔感染時の重症化の発生し易さなどの口腔感染リスクや、標準的な口腔感染症に対する治療方法や予防手段の効果が得られにくい体質の有無やその程度を推定出来る情報を提供することができる。したがって、本発明の検体検査対象の口腔内細菌としては口腔の健康に影響を与えうることが知られている細菌が好ましく、特に疾患の罹患や進行などに影響を与える可能性がある細菌を対象とすることがさらに好ましい。また、細菌以外においては真菌であるカンジタ菌(Candida albicans)も口腔感染症の原因菌として知られていることから検体検査対象とすることが好ましい。口腔の健康に悪影響を与えうる細菌としては、例えば、歯周病に関連するレッドコンプレックスと呼ばれるPorphyromonas gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジバリス)、Treponema denticola(トレポネーマ・デンティコラ)、Tannerella forsythia(タンネレラ・フォーサイシア)の3種類の細菌のほか、Aggregatibacter actinomycetemcomitans(アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンス:旧学名はActinobacillus actinomycetemcomitans)、オレンジコンプレックスと呼ばれる、Prevotella intermedia(プレボテラ・インターメディア)、Eubacterium nodatum(ユーバクテリウム・ノダタム)、Fusobacterium nucleatum(フゾバクテリウム・ヌクレアータム)、Fusobacterium polymorphum(フゾバクテリウム・ポリモルファム)、Prevotella nigrescens(プレボテラ・ニグレッセンス)、Peptostreptococcus micros(ペプトストレプトコッカス・ミクロス)、Campylobactor rectus(カンピロバクター・レクタス)、Campylobacter showaeCampylobacter gracilis(カンピロバクター・グラシリス)、Streptococcus constellatus(ストレプトコッカス・コンステラータス)、など。その他、齲蝕との直接的・間接的な関係があると知られている、Streptococcus mutans(ストレプトコッカス・ミュータンス)、Streptococcus sobrinus(ストレプトコッカス・ソブリナス)、Actinomyces naeslundii(アクチノマイセス・ネスランディ)、Actinomyces viscosus(アクチノマイセス・ビスコサス)、Actinomyces odontolyticus(アクチノマイセス・オドントリティカス)、Actinomyces oris(アクチノマイセス・オリス)、その他には歯垢形成との関係が知られているCorynebacterium matruchotii(コリネバクテリウム・マトルコティ)、顎放線菌症との関連性が知られているActinomyces israelli(アクチノマイセス・イスラエリィ)、高齢者の侵襲性感染症との関連性が知られている Streptococcus agalactiae(ストレプトコッカス・アガラクチア)などが挙げられる。
【0009】
「口腔内細菌およびカンジタ菌からなる群から選ばれる1種または2種以上の微生物に関連する」とは、検体検査の対象が、口腔内細菌およびカンジタ菌からなる群から選ばれる1種または2種以上の微生物に由来する核酸、抗原および抗体若しくは前記の由来する遺伝子、抗原および抗体と同等の反応性を示す核酸、抗原および抗体であることを意味する。具体的には、核酸検査の場合には検体検査対象とする全ての口腔内細菌やカンジタ菌に各々対応する核酸、抗原検査の場合には検体検査対象とする全ての口腔内細菌やカンジタ菌に各々対応する抗原、抗体検査の場合には検体検査対象とする全ての口腔内細菌やカンジタ菌に各々対応する抗体、およびそれらと同等の反応性を示す物質、が検査の対象であることを意味する。
【0010】
抗体検査の検査対象となる抗体とは、菌体自体、菌体の一部分および菌に由来する化合物による抗原刺激により産生される抗原と特異的に結合する活性を有するたんぱく質を意味する。抗体と反応する検査抗原としては、菌体自体、菌体の一部分および菌に由来する化合物以外に、同様の反応性を有する抗原ペプチドやその組み合わせなども含まれる。2以上の菌に関連する抗体を検査する場合、各々の抗体に対応する別個の抗原構造を有する抗原を活用した抗原抗体反応を利用する。この場合、各々の抗原抗体反応間や検体中に含まれる他の細菌に対する抗体と実質上交差反応を示さないことが望ましい。ここにおいて、実質上交差反応を示さないとは、検査対象の各々の菌の抗体の存在の判別が可能な程度であれば、若干の交差反応が生じたとしても交差反応は示さないとみなすことを意味する。また、抗体検査は抗体の有無を判断する定性的な検査でも良いが、抗体価を測定し得る検査であることが感染の程度や時期などを推察し得る情報となることから好ましい。
【0011】
口腔の衛生の状態や歯周病と糖尿病や動脈硬化症との間に密接な関連があることが判明している。口腔の衛生の状態と血糖値の変動との間には関連性があり、口腔内の衛生状態を管理することで糖尿病の病態管理において非常に重要な血糖値の制御が可能との報告もなされている。しかし、医科領域と歯科領域の連携は殆どなされていないことから、開業医だけでなく、口腔外科を有する総合病院であっても両者の領域に於ける医療情報は共有化されておらず、医療行為も互いに独立している状況にある。口腔内細菌の抗体検査は口腔内細菌が体内に侵入して産生される抗体の有無やその抗体の由来となる微生物の情報が得られ、口腔内の状態や、体内に侵入した口腔内の微生物の感染の程度などが把握できる。この検体検査を糖代謝の指標である血糖値やヘモグロビンa1c値、動脈硬化症の発症の主要因である脂質代謝の指標であるLDL値およびHDL値の検査結果従来の血糖値などの検査と併せて実施することにより、歯周病などの口腔疾患の治療を行ったり口腔内の衛生状態が不良の人に歯科保健指導などを実施することで、糖尿病などの疾患の治療効果を高めたり、血糖値管理などの病態管理を効果的に実施することが可能となることから、これらの情報を併せて提供できる本発明の検体検査は非常に有効である。
【0012】
血糖値、ヘモグロビンa1c値、LDL値およびHDL値の検査と抗体検査に供する検査サンプルは同一でも異なっていても良いが、サンプルの採取時期は同時期である必要がある。サンプリング時期が同日だけでなく数日程度異なっていても「同時期」に該当するが、同日にサンプリングすることがより好ましい。サンプリング時期が相違すると被験者の状態が変化する可能性があり、被験者の情報を正確に把握することが困難になるリスクを生じるため好ましくない。抗体検査の検査サンプルは口腔内や咽喉内、若しくは口腔内組織内からの採取によって得ることができる血液(血液成分を含む)、歯肉溝滲出液、歯垢、舌苔、唾液を用いることができるが、健康診断や医療機関での血液検査の際に採取される血液を用いることが好ましい。血糖値、ヘモグロビンa1c値、LDL値、HDL値および抗体検査で異なる検査サンプルを使用する場合には、サンプルの採取時期は同時期である必要がある。サンプリング時期が同日だけでなく数日程度異なっていても「同時期」に該当するが、同日にサンプリングすることがより好ましい。サンプリング時期が相違すると被験者の状態が変化する可能性があり、被験者の情報を正確に把握することが困難になるリスクを生じるため好ましくない。
【0013】
前記の通り歯周病に関連する細菌が全身の疾患と関連する事実が判明しつつあり、医療現場においても外科手術などの予後において患者の口腔衛生の状態が悪いと感染症などを併発するなどの問題が発生することが認知されつつあり、外科手術の事前措置として口腔内の衛生状態を改善したり、歯周病の症状の改善措置を講じたりする事例が報告されている。特に歯周病は口腔内の細菌が増殖したり、歯周組織内に侵入することで炎症を引き起こし、歯肉や歯槽骨などの歯周組織を損壊する疾病であるが、歯周組織中には多数の毛細血管が存在していることから、口腔内の細菌が血液中に入り込み、全身の組織に影響を与える可能性がある。現在までにいくつかの全身疾患との深い関連性が研究により明らかになっており、歯周病に関連する口腔内細菌の生体感染の状態を把握することは全身の健康を管理する上で重要な事項と言える。歯周病の病態を説明するうえで、Red Complexと呼ばれる細菌が中心的な役割を果たしている。そのうちPorphyromonas gingivalisは最も重要な役割を果たしている。一方、口腔内に存在するポルフィロモナス属の細菌は全身疾患との関連性が指摘されている。例えばポルフィロモナス属の細菌が関連していると考えられている全身疾患として、病巣から検出された細菌の研究や動物試験結果などから関連が報告されている動脈硬化症、マーカーとして使用されている抗シトルリン化タンパクを生成する酵素(ぺプチジルアルギニン・ディミナーゼ)を産生することや歯周病治療効果と症状変化との観察情報などから関連が報告されている関節リュウマチ、糖尿病、非アルコール性脂肪肝などが挙げられる。その中でもPorphyromonas gingivalisは特に関連性が深いことが知られており、感染症をもたらす影響だけでなくPorphyromonas gingivalisが産生するジンジパインやリポサッカライド(LPS)が認知症患者の脳組織から検出されていることから認知症の発症や症状の進行において関連性があるとの報告もある。また、同じPorphyromonas gingivalisに属していても菌株によって口腔や全身の健康状態に及ぼす影響が大きく異なることも知られつつある。したがって、本発明における口腔内細菌の検査対象としては、少なくともPorphyromonas gingivalisを含んでいることが好ましく、菌種だけでなく菌株の情報まで把握できる内容の検査であることがより好ましい。このほか、口腔内の全細菌の総数に対するRed Complexに属する細菌の総数が占める比率は、インスリン抵抗性の改善に働くアディポネクチンの分泌量と優位な相関関係にあることから糖尿病との関連性が考えられるとの報告もある。更には前記の比率は、血中の炎症性サイトカインであるIL-1βやTNF-αの値とも相関性が確認されていることから、炎症性疾患である動脈硬化症や糖尿病などと何らかの関連があるとの報告もある。さらに、早産や低体重児出産における妊婦の血清中に高いPorphyromonas gingivalisのIgG抗体価を示し、それら妊婦の口腔内ではPorphyromonas gingivalisTannerella forsythiaAggregatibacter actinomycetemcomitans、などが有意に多く検出されていることから、口腔内細菌が胎児や胎盤などに対して何らかの影響を与えているとの報告がある。特殊な疾患ではあるが、閉塞性動脈硬化症・閉塞性血栓性血管炎(バージャー病)においてはRed Complexの3種の細菌やCampylobactor rectusなどとの関連が報告されている。したがって、Porphyromonas gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジバリス)だけでなくRed Complexに属するTreponema denticolaTannerella forsythiaについても検体検査の対象として重要であり、血液や口腔内から採取した検体における核酸検査、抗原検査、および抗体検査などを目的に応じて適宜組み合わせて検査することが好ましい。したがって、これらの細菌を検査対象とすることが好ましい。
【0014】
歯周病と並ぶ代表的な口腔内の疾患として齲蝕が挙げられる。齲蝕の原因菌としてはStreptococcus mutansが広く知られているが、ポルフィロモナス属の細菌と同じく全身疾患との関連性が指摘されている。例えばStreptococcus mutansの特に血清型κ型との関連が報告されている感染性心内膜症、心臓弁膜症、脳出血、誤嚥性肺炎がある。特に、Cnmと呼ばれる特殊なたんぱく質を菌体の表層で発現しているCnm陽性のStreptococcus mutansは脳の微小出血や認知症との関連が指摘されている。また、同じストレプトコッカス属のStreptococcus constellatusには肝臓においる膿瘍形成との関係があるとの報告がある。したがって、これらの細菌を検査目的とすることは好ましい。
【0015】
Streptococcus intermediusは口腔内で歯垢の形成と深い関係を有する細菌である。口腔内細菌として多数のストレプトコッカス属の細菌が確認されているが、Streptococcus intermediusは脳や肝臓において膿瘍を形成する特性が知られている。また、口腔内常在菌でもあるストレプトコッカス属とスタフィロコッカス属は、感染性心内膜炎の患者の血液培養から検出される80-90%を占めており、遺伝子検索による同定においても前記培養中の細菌と被験者の口腔内の細菌の同一性が確認されたという報告があり、Staphylococcus epidermidisStreptococcus mitisが検知されている。したがって、口腔内細菌にスタフィロコッカス属(Staphylococcus)に属する1種または2種以上の細菌、およびストレプトコッカス属(Streptococcus)に属する1種または2種以上の細菌が含まれる抗体検査をC-反応性タンパク検査、プロカルシトニン検査、および赤血球沈降速度検査と併せて実施することは非常に有用である。加えてStreptococcus sanguisには感染性心疾患との関係が報告されている。したがって、これらの細菌を検査対象とすることが好ましい。
【0016】
フゾバクテリウム属(Fusobacterium)は人の口腔・咽頭・腸管に常在する偏性嫌気性無芽胞グラム陰性桿菌であるが、全身疾患との関連性も知られつつある。Fusobacterium necrophorumFusobacterium nucleatumは肝膿瘍や誤嚥性肺炎との関連性が報告され、これら2種の細菌は正常妊婦ではあるが妊婦の口腔内と胎盤の両方から検出されており、胎児に何らかの影響を与えている可能性を示唆する報告もある。また、食道がんや大腸がんなどの消化器がんとの関係の報告もある。したがって、これらの細菌を検査対象とすることが好ましい。
【0017】
プレボテラ属(Prevotella)は生体内では主として腸内で発見されるが口腔内にも常在菌として見いだされる。慢性呼吸器疾患においてはPrevotella pallens、早産や低体重児出産においてはPrevotella intermedi、バージャー病においてはPrevotella intermediaPrevotella nigrescensが何らかの関連があるとの報告がある。したがって、これらの細菌を検査対象とすることが好ましい。
【0018】
その他、高齢者、口腔乾燥の自覚がある人、ステロイド投薬や化学療法を受けている人や義歯装着者で、口腔内から採取した検査サンプルからCandida albicans(カンジタ・アルビカンス)が検出された場合、口腔カンジタ症に罹患している、若しくは罹患する可能性を推測できる。また、歯周組織中から採取した検査サンプルにおける核酸検査・抗原検査や、抗体検査において、Streptococcus constellatus(ストレプトコッカス・コンステラータス)とPrevotella intermedius(プレボテラ・インターメディアス)の混合感染を示唆する検査結果が得られた場合は、口腔内に閉鎖性膿瘍が発生している可能性を推測できる。したがって、これらの微生物を検査対象とすることが好ましい。
【0019】
C-反応性タンパク検査、プロカルシトニン検査、および赤血球沈降速度検査は何れも生体内の何れかの部位で炎症反応が生じている可能性や炎症の程度を推察し得る情報などを提供する検体検査であり、口腔内細菌などの抗体検査の結果から口腔領域に於ける炎症性の疾患の可能性を把握できるとともに、強い炎症反応が疑われる結果であれば口腔細菌が何らかの形で関与する口腔領域以外の部位における炎症性の疾患が発症している可能性も把握できることから、口腔内の微生物に関連する抗体検査と血糖値などの検査に加えて実施することで、検査結果の解析や被験者の身体状態の推定などに対して重要な情報を提供できる。
【0020】
抗原検査の検査対象となる抗原とは、菌体自体、菌体の一部分および菌に由来する化合物のうち抗原構造を有するものをいう。2以上の菌に関連する抗原を同時に検査する場合、各々の菌に対応する別個の抗体を活用した抗原検査を組み合わせて実施する。この場合、各々の抗原検査に使用する抗体は、少なくとも検体中に含まれる他の細菌に対して実質上の交差反応を示さないことが望ましい。ここにおいて、実質上の交差反応を示さないとは、検査対象の各々の菌の抗原の存在の判別が可能な程度であれば、若干の交差反応が生じたとしても交差反応は示さないとみなすことを意味する。
【0021】
核酸検査として用いることのできる検査方法は核酸を活用した検査であれば特に限定されるものではなく、検査目的に応じて最適は方法が採用し得る。例えば、Conventional PCR、Real-time PCR、Reverse transcription PCR、Nested PCR、Hot start PCR、Multiplex PCR、Quantitative PCR、Quantitative Real-time PCR、Touchdown PCR、Inverse PCR、GC-rich PCR、2-step PCR、loop-mediated isothermal amplification、digital PCR、Whole Genome AmplificationなどのMultiple Displacement Amplification、Strand displacement amplification、Nicking Enzyme Amplification Reaction、Helicase-dependent amplification、Recombinase Polymerase Amplification、Strand-Invasion Based Amplification、Nucleic Acid Sequences Based Amplification、Transcription Mediated Amplificationなどを活用した検査方法が挙げられる。
【0022】
核酸検査と抗原検査は検査目的によって核酸検査または抗原検査の一方か両方を適宜選択し実施することが好ましい。核酸検査や抗原検査はともに、検査時点における検査サンプル中に口腔内細菌またはカンジタ菌、若しくはその断片などが存在することを把握できる。前者は核酸の存在を検知するものであるのに対して、後者は抗原の存在を検知するものであることから、両者の検査結果は完全に一致するとは言い切れないため、実施する検査の原理や具体的な試験条件などを加味したうえで、検査結果の解析を行う必要がある。検出精度や検査所用時間などでも核酸検査と抗原検査は相違する。核酸検査において、EMA(Ethidium bromide monoazide)やPMA(Propidium monoazide)を活用した方法を用いると生菌状態の菌の存在の可能性を把握することができる。したがって、検査の実施に際しては、検査目的や検査費用、検査環境などを総合的に検討したうえで、単独、或いは複数の最適な方法を採用して実施する。
【0023】
核酸検査や抗原検査の検査結果としては、検出された細菌の菌種や菌数、全体に対する占有比率(対総菌数比率)、特定の菌株で検出された種類などであり、検査目的などを勘案しつつこれらから適宜選択し検査結果とできる。抗体検査の検査結果としては、特定の菌種や菌株に由来する抗体の存在の有無やそれらの抗体価(中和抗体価、凝集抗体価など)などであり、検査目的などを勘案しつつこれらから適宜選択し検査結果とできる。さらに、前記の検査結果(細菌の菌種の組合せやその存在比率、検出された検査項目や検査サンプルなど)を総合的に検討し、口腔内の健康状態に関して推測を行ない、前記の検査結果に包含させることもできる。これらに関連する技術が記載されている特許公報の事例としては、特開2009―52945号(免疫クロマトグラフィー法による歯周疾患の検査または診断方法)、特開2022-96817号、特開2022-96815号、特開2022-96814号、特開2022-96812号、特開2017-111095号(以上、歯周病原菌に対する抗体価測定に関連する技術情報)などが挙げられるがこれらの記載に限定されるものではない。
【0024】
被験者の口腔に関する情報の提供を検査項目に含めることで、被験者が自身の口腔内の状態を認識し、口腔衛生への意識の向上や具体的な口腔衛生の実施、被験者が必要とする歯科医療措置や歯科保健指導などの実施につなげられることから有用である。被験者の口腔に関する情報としては、例えば、歯周病、齲蝕、歯垢、口臭・舌炎・味覚異常などの原因となる舌苔の付着状態などの情報や、口腔内の疾病の罹患が疑われる場合は歯科診察の推奨情報、口腔内の衛生状態が不良と推定できる場合には歯科保健指導の推奨情報、その他の口腔の健康状態に関する情報、口腔の健康における口腔内や口腔以外の生体部位におけるリスク要因に関する情報、口腔衛生の重要性や具体的な口腔衛生の方法などに関する情報、および被験者に対して推奨できる口腔ケア商品やサービスの提供に関する情報などが挙げられる。
【0025】
本発明は、被験者や医療機関、医療従事者などに対して被験者の疾病予防・治療や健康の維持・増進に有用な情報を提供する、健康支援システムも提供する。これにより、被験者は自身の口腔ケア意識を高め、口腔ケアに関する知識やスキルを会得したり、日常の口腔ケア行動を改善したりすることで口腔や全身の健康状態の維持・向上を実現させたり、医療機関等では、被験者に対する医療措置におけるリスクを回避・軽減できるだけでなく、治療などの措置の効率や効果を向上させることが出来る。
【0026】
本発明の健康支援システムは、口腔内細菌およびカンジタ菌からなる群から選ばれる1種または2種以上の微生物に関連する抗体検査の結果情報を必須とし、下記の(i)と(ii)に記載する何れか一方、好ましくはその両方に属する情報と併せて解析などの検討を行うことにより「被験者の疾病予防・治療や口腔や全身の健康維持・増進に有用な情報」を作成し被験者や医療機関、医療従事者などに提供するものである。ここで、(i)とは「血糖値、ヘモグロビンa1c値、酸化HDL値、C―反応性タンパク値、プロカルシトニン値および赤血球沈降速度値からなる群から選ばれる単独または2以上の検査項目を含む検体検査の結果情報」であり、(ii)とは「少なくとも歯科診察の推奨情報、歯科保健指導の推奨情報、被験者自身の性別、年齢、身長、体重、腹囲長、BMI、ウェスト長・ヒップ長比率、血族近縁者の病歴情報などの一般属性情報、口腔や全身の健康状態に対する自覚情報、治療履歴情報、口腔衛生習慣、食生活や生活習慣・運動習慣・飲酒習慣・喫煙習慣の実態情報、就寝時行動情報および心理状態情報の何れかに含まれる1つ又は2以上の情報」である。前者は糖尿病、動脈硬化症、炎症性の疾患と関連が深い指標であり、後者は、生活習慣病と関連が深い遺伝的情報や日々の生活習慣に関する事項と口腔の状態の把握や推察において有用な情報など被験者自身で把握できる情報である。
【0027】
前記(ii)の被検者情報は、被験者の自己申告や端末機器を使用したモニタリング、電子カルテなどから取得することができる。自己申告の方法としては、例えば特定健診における被験者情報を活用できる。特定健診では既往歴や自覚症状に関する被験者情報を把握する。特定健診における既往歴情報の一部や自覚症状の一部は問診票のような被験者に対する質問形式で取得されている。例えば既往歴以外では、喫煙習慣、運動習慣、食生活習慣、飲酒習慣、睡眠習慣などの項目が存在するのが一般的であり、それらの情報を活用することができる。被検者情報の具体例としては、被験者自身の性別、年齢、身長、体重、腹囲長、BMI、ウェスト長・ヒップ長比率、血族近縁者の病歴情報などの一般属性情報、口腔や全身の健康状態に対する自覚情報、治療履歴情報、口腔機能に関する情報、口腔衛生習慣、食生活や食の嗜好性、生活習慣(ライフサイクル)・運動習慣・飲酒習慣・喫煙習慣の実態情報、就寝時行動情報および心理状態情報などが挙げられる。これらに加え、必要があれば、歯科診察の推奨情報、歯科保健指導の推奨情報も有用情報として提供する。
【0028】
本発明における「口腔や全身の健康維持・増進」には「健全な口腔機能の維持・向上」の意味も含む。口腔機能と全身の機能との間には関連性があると言われている。口腔機能が衰えると、握力や歩行能力などの運動能力が低下したり、咀嚼機能の低下などが認知症の症状の進行度などに関連したり、咀嚼能力や嚥下能力の著しい低下により栄養不良が発生し全身の健康状態に悪影響を及ぼしたりすることから、全身の健康を維持向上させるためには、口腔機能の維持・向上は欠かせない要素である。したがって、「被験者の口腔を健全な状態に維持・向上に必要な情報」には「被験者の口腔機能を健全な状態に維持・向上に必要な情報」が含まれる。口腔機能とは、捕食(食べ物を口に取り込むこと)、咀嚼、食塊の形成と移送、嚥下、構音、味覚、触覚、唾液の分泌などに関わり、人が社会のなかで健康な生活を営むための必要な基本的機能であり、前記理由から、これら状態の情報を把握することは非常に有用である。
【0029】
口腔機能を健全な状態に維持・向上に必要な情報は、たとえば、センサーを用いて口腔機能の状態を測定したり、口腔内や咀嚼などの口腔に関連した動作における画像や映像を撮影したり、動作音などの音を録音したりすることで取得する。また、口腔機能を健全な状態に維持・向上に必要な情報は、前記の取得した情報だけでなく、それら情報を解析・評価して得られる2次情報なども含まれる。対象となる「口腔機能の状態」は、たとえば咀嚼、嚥下、その他咀嚼に関連する機能(咬合性、咬合力、咀嚼時の舌の運動機能、義歯装着時の機能評価)、唾液分泌、開口性、食物の口内への取り込み時の動作(特に下顎の動き方)などが挙げられる。
【0030】
被験者や医療機関、医療従事者、被験者の雇用者などに提供する「被験者の疾病予防・治療や口腔や全身の健康維持・増進に有用な情報」としては、被験者の疾病の治療や予後管理などに有用な情報や疾病の予防、全身の健康維持・増進と口腔の状態との関連性に関する啓蒙のための諸情報;口腔機能の把握や維持・向上に有用な情報;口腔機能を維持・向上させるために必要な口腔関連の疾病治療や再発予防に関する情報;適正でない歯磨や歯ブラシなどの商品を使用した場合に生じる問題と適正な商品の選択基準や選択方法、各種オーラルケア商品に関する情報(原料情報、誤った使用方法の際に生じる問題点と正しい使用方法など)、決めた期間(たとえば1週間)における具体的な最適な口腔ケア方法、年齢や性別の違いや、妊産婦、乳幼児、要介護者により生じるオーラルトラブルとその予防や対処方法、最新のオーラル関連研究の紹介、義歯やインプラントに関する基礎知識、義歯に生じやすいトラブルとその予防方法などの口腔ケア情報;口腔ケアに関するサービスおよび口腔ケア商品やサービスの提供申入れの情報;口腔や全身の健康維持増進を目的とした情報交換やエクササイズを行う場としての掲示板やコミュニティなどの紹介情報などが挙げられる。
【0031】
本実施形態に係る健康支援システムは、図1に示すように、支援サーバ1と検査結果を入力するための端末2、検査結果等を被験者や医療従事者などに伝達するための情報出力するための端末5がインターネットなどのネットワークNを通じて接続され各種情報の送受信が行われるとともに、支援サーバ1は、ネットワークNを通じて通信接続され、各種情報などの送受信が行われる。必要に応じて、検査結果や必要な情報を基に被験者の口腔や全身の健康状態やそれらの関連性などを推測するとともに、必要に応じて支援サーバ以外で口腔の健康状態の維持・向上や全身の健康の維持・改善・治療に関して、個々の被験者や医療従事者などに提供する適切な情報の作成や選定をするための演算装置3、被験者の口腔や全身の健康状態を推測するために必要な検査結果以外の諸情報や被験者に提供する口腔や全身の健康状態の維持・向上に関する有用な情報の選択や作成に必要とする、支援サーバ1に記憶されていない諸情報を入手するためのシステム外サーバ4、がインターネットなどのネットワークNを通じて接続される。システム外サーバにはマイナンバー制度を活用したデータベースや電子記録タイプの健康保険証、医療機関やデータ管理機関等が管理する電子カルテなども含まれ、システム外サーバから被験者等の情報を取得して活用することや、本発明の健康支援システムで取得した情報や作成した情報を前記システム外サーバに転送し、前記システム内で活用することもできる
【0032】
前記の実施形態に係る健康支援システムにおいて、支援サーバ1は2つ若しくは3つ以上に分割されていても良い。この場合、分割されているサーバは互いにローカルネットワークなどのインターネットを介さない接続手段で各種情報の送受信を可能にしてもよいし、インターネットなどのネットワークNを通じて接続されることで各種情報の送受信が行われてもよいし、その両方を備えていても良い。複数の支援サーバが存在する場合、システムを運営するに際して最適な方法で記録やデータ処理(演算)などの分担やデータやシステムのバックアップなどを各々の支援サーバに行わせることができる。複数の支援サーバが存在する場合は、少なくとも、何れか1つの支援サーバ1に、検査結果や、口腔・全身の健康を向上若しくは維持するために有用な情報などを選択し、指定された端末に前記の有用な情報などを送信する機能を有していることが必要である。検査結果や被験者の属性情報などは個人情報であることから、秘密保持の観点からそれらに関する情報を送受信する頻度は少ないほど好ましい。情報のデータ入力端末2の設置場所が支援サーバ1と地理的に離れている場合には、情報のデータ入力端末2と同じ場所に別の支援サーバ1を設定し、インターネットなどのネットワークを使用せずに両者を接続したうえで取得や入力した情報を支援サーバ1に記録させておく。これによりインターネットを介した個人情報の送受信の回数を大幅に減らすことができるため、個人情報などの秘密情報の漏洩リスクを軽減させることができる。また、情報処理能力などの理由から支援サーバ1の処理装置の有用情報生成部において処理できない若しくは処理しきれない場合にはシステム外の演算装置を利用することもできる。
【0033】
支援サーバ1は、図2に示すように、通信制御部12を備えた処理装置10と記憶手段11とを備える単または複数のコンピュータで構成され、具体的には、処理装置10を中心に、記憶手段11、通信制御部12、図示しない入力操作手段としてポインティングデバイスやキーボード、ディスプレイなどよりなる従来から汎用されているコンピュータ装置を用いることができる。
【0034】
処理装置10は、マイクロプロセッサなどのCPUを主体に構成され、図示しないRAM、ROMからなる記憶部を有して各種処理動作の手順を規定するプログラムや処理データが記憶される。記憶手段11は、支援サーバ1内外のメモリやハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、リムーバルディスクエクスチェンジシステム(RDX)、リダンダント・アレイ・オブ・インエクスペンシブ・ディスクズ(RAID)などから選択し得る。支援サーバ1に通信接続された他のコンピュータのメモリやハードディスクなどで一部又は全部の記憶部の内容を記憶してもよい。
【0035】
処理装置10は、機能的には、システムの運用に必要な情報を取得し、指定された支援サーバの記憶手段に記憶させる「情報収取・記録機能」と被験者毎に被験者に提供する検査結果情報や被験者の口腔や全身の健康を向上若しくは維持するために有用な情報などの生成に必要な情報を記録手段から取得し有用情報を作成し出力する端末5に情報を送信する「情報生成・送信機能」の2つに大別される。具体的には、記録される個々の情報は入力すべき情報を入手した段階で順次端末2から入力され記録手段に記録される。この場合、例えば、複数の支援サーバが存在する場合、入力すべき情報項目ごとに情報を記録する記録手段を指定する場合もあれば、被験者単位で情報を記録する記録手段を指定する場合も可能である。記録される情報を活用する「情報生成・送信機能」の利便性や情報漏洩防止などの観点から最適な方法を採用することが望ましい。被験者に情報を提供する場合、提供する検査結果と必要に応じて被験者の口腔や全身の健康を向上若しくは維持するために有用な情報を生成しそれら情報を纏めて端末5に送信することで行う。端末5においてはディスプレイなどへの表示や印刷だけでなく被験者や医療機関、医療従事者の所有するコンピュータ、スマートホンや記録媒体などに端末5を通じて情報を転送することも含まれる。この場合、支援システムの端末5が被験者の保有するコンピュータなどであり、支援サーバ1から端末5すなわち被験者などが保有するコンピュータなどに直接情報を送信することもできる。
【0036】
記憶手段11は、支援サーバ1が一つの場合には、支援サーバ1は少なくとも、被検者一般属性情報取得部が取得した被検者属性情報を記憶する被検者属性情報記憶部、検査結果情報取得部が取得した検査結果情報を記憶する検査情報記憶部、被検者情報取得部が取得した被検者情報を記憶する被検者情報記憶部、有用情報生成部が生成した被験者の口腔を健全な状態に向上若しくは維持させるために有用な情報を記憶する有用情報記憶部を備えている。一方、複数の支援サーバ1が存在する場合には、前記の被検者属性情報記憶部、検査情報記憶部、被検者情報記憶部、および有用情報記憶部は必ず何れかの支援サーバ1に存在していることが必要となるが、例えば複数の支援サーバ1が前記記憶部の全てを備えていても差し支えなく、各々の記憶部が複数の支援サーバ1に存在していても差し支えない。これらに関してはシステムの運用の実態に即して自由に設計が可能である。
【0037】
被検者情報のうち、行動時の動作や行動習慣、食事内容などアンケート手法では客観性や精確性が不十分になりやすい事項に関しては、画像や映像の情報や各種センサーを活用した端末を用いて情報を取得する事が望ましい。これらの端末は、専用の測定機器(端末)を使用することが望ましいが、被験者が所有するスマートホンに代表される端末に情報を取得するために必要な付属機器を接続したり、測定用のアプリケーションをインストールすることで代用することが出来る。これら端末で取得した情報はそのままの1次情報、若しくは情報を加工した2次情報として最終的には支援サーバ1に記憶させる。端末からシステムに対する情報の送信方法としては、スマートホンのようなネットワークに直接接続可能な通信部を有している場合にはインターネットなどのネットワークを介して情報を支援サーバ1に送信する。前記のような通信部を有さない場合には、情報を取得した端末の無線・有線通信部から近距離無線通信(ANT+、Bluetooth(登録商標)、ZigBee、IrDAなど)を用いて取得した情報をコンピュータやスマートホンなどに情報と転送したのちに、インターネットなどのネットワークを介して情報を支援サーバ1に送信することで記憶させる。
以下の情報取得の具体例を挙げるが、これらの記載に限定されるものではない。
【0038】
咀嚼や嚥下の機能や状態の情報取得方法としては、被験者が実際に咀嚼している動作を映像情報として取得し、取得映像情報を解析することで咀嚼動作の詳細を把握する方法;唾液などを飲み込む際の喉部の動きを映像情報として取得し、取得映像情報を解析することで嚥下時の喉の動きの詳細を把握する方法;嚥下時の咽喉部分の動きを筋電位センサーや光電センサーを用いて取得した情報を解析し嚥下機能を把握する方法;「パ」「タ」「カ」の特定音を一定時間内に繰り返し発音する「オーラルディアドコキネシス」において取得した音声情報を解析することで、舌や口唇、軟口蓋などの運動の速度や巧緻性(巧みさ)を評価し口腔機能を把握する方法;圧電センサーを噛むことで咬合時の圧力変化や最大咬合力などを把握する方法;咀嚼時の顎やコメカミなどに筋電位センサーを取り付けて取得した筋電位情報から咬合機能を形跡する方法;咬合時の状態を画像情報として取得し、AIによる解析で咬合に関する評価を行う方法;咀嚼時の画像や映像、距離センサーによる位相差情報、咀嚼筋などの筋電位や加速度の情報などを用いて、顎の動きや咀嚼回数などを把握する方法;圧電センサーや圧力センサーの付いたプローブを舌と顎で挟んだ際の応力情報を解析することで舌圧能力を把握する方法;SpO2光電センサーの付いたプローブを舌に押し当てることで舌の血流量を測定する方法、などが挙げられる。
【0039】
咀嚼や嚥下以外の口腔機能や口腔状態に関する情報は以下の方法などを用いて把握することが可能である。例えば、pHセンサーが付いたプローブを備えるセンサーデバイスを用いてユーザが該プローブを口腔内に咥えることで取得できる唾液のpHや緩衝能の程度(pHを正常域に保つ性能)、唾液分泌量、口腔や咽喉領域の乾燥状態、口腔内細菌の血清抗体価、唾液中の諸分析(カルシウムイオン濃度、免疫グロブリンの種類と含有量、活性酸素量、アンモニア定量、ヘパラナーゼ定量、DNA/RNA分析、女性ホルモン定量、白血球定量、酸化ストレスマーカーの種類と定量)、口腔の粘つき、ガス・呼気センサーノズルを備えるセンサーデバイスを用いて、ユーザが該ノズルに呼気を吹きかけることで取得できる口臭の状態としての主なガスの種類や濃度、歯の状態としての歯間鼓形空隙の大きさ(開口面積)や歯牙表面色相、残歯数など、歯茎の状態としての色相や血流量、潜血の有無(たとえば、ヘモグロビンの触媒作用や免疫反応を応用した検査)、ユーザの口腔内フローラの状態などが挙げられる。
【0040】
口腔衛生習慣に関する情報としては、たとえば、使用している歯ブラシや歯磨き剤の種類、歯磨頻度や所要時間、歯磨時のブラッシング方法やスキルの程度などブラッシング行動に関する情報、歯間清掃具の使用の有無や使用頻度、使用している歯間清掃具の種類、洗口剤の使用の有無や使用している洗口剤の種類および使用頻度、その他の口腔清掃具(ワンタフトブラシ、ウォーターピックなど)の使用の有無などが挙げられる。これらの情報も被験者のアンケートだけでなく、各種センサーを用いた端末を用いて取得する事が出来る。例えば、ジャイロセンサーや加速度センサーなどを有する端末を歯ブラシに装着することで歯ブラシ動作の詳細を把握する方法、歯ブラシなどの口腔衛生時の行動の映像情報で把握する方法、ウェアブル端末やスマート洗面化粧台などのインターラクティブに動作する生活支援システムを使用して把握する方法などが挙げられる。
【0041】
治療履歴の情報としては、被験者が申告した情報のほか、医療機関や健康保険や労働組合などの機関、電子カルテシステムを管理する機関などが使用するシステム外サーバ4から取得することができる。取得できる情報の例としては、過去の健康診断や歯科検診の履歴情報、全身や歯科の疾患に対する治療情報、フッ素塗布・スケーリング・ルートプレーニングの履歴情報、インプラントの有無および施術履歴情報、食事指導・保健指導・歯科保健指導などの受診履歴などの情報が挙げられる。
【0042】
食生活の情報としては、たとえば通常の食事の回数、通常の食事の開始時間と摂食に要した時間、食事の内容、摂食介助の有無、間食の有無や摂取食品の種類・量、などが挙げられる。これらの情報は専用のデバイスなどを活用し、被験者が申告することなく自動的に取得できることが好ましい、例えば、情報提供が難しい食事の内容の情報は食事の写真を取得し送信することでAIが解析して食事の内容の情報に変換するなどの手法を用いることが好ましい。また、外食の回数や外食の食事の内容の情報、間食の有無やその内容、摂取した飲料の内容や摂取時間など被験者の飲食に関する諸情報をできうる限り取得することがより好ましい。さらに最近開発されているスプーンや箸に食味センサーを付属させ、摂食行動時に塩濃度や糖濃度などを直接測定する方法や食器トレイに質量センサーが付属され摂食前後の計測により実際に摂食した量を把握する方法なども好ましい事例である。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
1 支援サーバ
2 端末
3 システム外演算装置
4 システム外サーバ
5 端末
10 処理装置
11 記憶手段
12 通信制御部

図1
図2
図3