(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】電子機器、電子機器の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/00 20060101AFI20240807BHJP
G06F 13/14 20060101ALI20240807BHJP
G06F 13/38 20060101ALI20240807BHJP
G06F 13/10 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
G06F3/00 V
G06F13/14 330D
G06F13/38 320A
G06F13/38 350
G06F13/10 310E
(21)【出願番号】P 2023018169
(22)【出願日】2023-02-09
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴善
【審査官】田中 啓介
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107480086(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/26-3/00
G06F13/10-13/14
G06F13/38-13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
USB Type-Cケーブルを接続する電子機器において、
接続された前記USB Type-Cケーブルを介して取得する電圧に基づいて、前記電子機器が前記USB Type-Cケーブルに接続された順序を決定する決定部と、
前記順序に基づいて、前記電子機器に表示させる出力画面を切り換える制御部と、
を備える電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、
前記USB Type-Cケーブルが最初に前記電子機器に接続された場合、前記出力画面をプライマリ画面に切り替える制御を行い、
前記USB Type-Cケーブルが最初に前記電子機器に接続されていない場合、前記出力画面をセカンダリ画面に切り替える制御を行う、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
USB Type-Cケーブルを接続する電子機器において、実行される電子機器の制御方法であって、
接続された前記USB Type-Cケーブルを介して取得する電圧に基づいて、前記電子機器が前記USB Type-Cケーブルに接続された順序を決定する過程と、
前記順序に基づいて、前記電子機器に表示させる出力画面を切り換える過程と、
を備える電子機器の制御方法。
【請求項4】
USB Type-Cケーブルを接続する電子機器のコンピュータに、
接続された前記USB Type-Cケーブルを介して取得する電圧に基づいて、前記電子機器が前記USB Type-Cケーブルに接続された順序を決定
し、
前記順序に基づいて、前記電子機器に表示させる出力画面を切り換えることと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、電子機器の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、広く使用されるようになったデスクトップ型、ラップトップ型、タブレット型等のPC(以下、PC端末)は、USB Type-Cのインタフェースを標準的に持ち合わせている。例えば、PC端末とモニタ等、電子機器間との接続は、USB Type-Cケーブルで接続できる形態も普及してきている。
【0003】
加えて、近年のテレワークスタイルの拡大により一人がモバイル端末を複数台もつケースも多くなっている(据え置き用とモバイル用で1台ずつ等)。PC端末はそれぞれが独立して動作しているため、画面拡張や電源供給等は、PC端末間のUSBホスト同士をUSBケーブル接続して、一方のPC端末をモニタとして使用したり、またキーボード/マウス操作共有(以下、PC連携)したり、PC端末の電源を接続された他方のPC端末への電源供給を可能にしたりする技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
PC端末側にUSBケーブルを接続後、ユーザでPC端末側での設定を手動で切り替える必要があり、設定作業に対し手間が掛かることや、また、例えば、ITリテラシーが低いユーザにとって、その設定作業のハードルが高いため、更なる改善が求められている。
【0006】
例えば、従来技術において、PC端末側のUSBコネクタにUSBケーブルの接続順序検出するための専用信号ピンをケーブルに搭載(専用ケーブル)し、USBケーブル検出用の専用信号ピンを設けることで、ケーブルの先に機器が接続された場合と機器は接続されずケーブルのみ接続された場合で動作を切り替えることを実現している。しかしながら、ケーブルが専用であることは、利用者が自由にケーブルを選ぶことができず、例えば利用に適した長さのケーブルを使用できないなど制限がある。
【0007】
したがって、本発明が解決する課題の一例は、USB Type-Cケーブルを接続する電子機器において、ケーブルの利用制限等なく、シームレスにPC接続・連携を実現することが可能な電子機器、電子機器の制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様は、USB Type-Cケーブルを接続する電子機器において、接続された前記USB Type-Cケーブルを介して取得する電圧に基づいて、前記電子機器が前記USB Type-Cケーブルに接続された順序を決定する決定部と、前記順序に基づいて、前記電子機器に表示させる出力画面を切り換える制御部と、を備える。
【0009】
また、本発明の第2態様は、USB Type-Cケーブルを接続する電子機器において、実行される電子機器の制御方法であって、接続された前記USB Type-Cケーブルを介して取得する電圧に基づいて、前記電子機器が前記USB Type-Cケーブルに接続された順序を決定する過程と、前記順序に基づいて、前記電子機器に表示させる出力画面を切り換える過程と、を備える。
【0010】
さらに、本発明の第3態様は、USB Type-Cケーブルを接続する電子機器のコンピュータに、接続された前記USB Type-Cケーブルを介して取得する電圧に基づいて、前記電子機器が前記USB Type-Cケーブルに接続された順序を決定し、前記順序に基づいて、前記電子機器に表示させる出力画面を切り換えることと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、USB Type-Cケーブルを接続する電子機器において、シームレスにPC接続・連携を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理システムのシステム構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る電子機器のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る電子機器の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る電子機器が取得するCC1及びCC2の電圧値の一例を示すテーブルである。
【
図5】
図5は、実施形態に係る電子機器が処理する状態の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る電子機器で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る電子機器で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、変形例1に係る電子機器が処理する状態の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、変形例2に係る電子機器が処理する状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明の実施形態は、電子機器と、USBType-Cケーブルが接続された表示装置との間で、表示画面の切り替えを行う形態について説明する。ただし、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、実施形態で明示しない種々の変形例や技術の適用を排除する意図はない。すなわち、本実施形態を、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、各図は、図中に示す構成要素のみを備えるという趣旨ではなく、他の機能等を含むことができる。
【0014】
図1は、本実施形態に係る電子機器1を含む情報処理システム100の構成図である。情報処理システム100は、電子機器1と、USB(Universal Serial Bus) Type-Cケーブル3を介して接続する表示装置2で構成される。電子機器1は、いわゆる、クラムシェル型のパーソナルコンピュータとして構成されている。
【0015】
電子機器1は、PD(Power Delivery)コントローラもしくはそれに準じたコントローラを備える。PDコントローラは、プログラムに従って各種処理を行うCPU等を含む集積回路である。PDコントローラは、電子機器1に接続された、USB Type-CコネクタのCC1とCC2の電圧を取得する。なお、電子機器1は、上記例には限定されず、例えば、デスクトップ型のパーソナルコンピュータ、オールインワン型のパーソナルコンピュータ、タブレット端末、映像電子機器、テレビジョン受像機及びゲーム機等であってもよい。
【0016】
表示装置2は、電子機器1から出力された映像信号を表示する表示装置、又は電子機器1に対して映像信号を入力する映像入力装置である。例えば、映像入力装置は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置である。表示装置2は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等である。表示装置2は、映像入力端子として、USB Type―Cを用いる。
【0017】
USB Type-Cケーブル3は、電子機器1と、表示装置2と、を接続し、表示装置2をモニタとして使用したり、またキーボード/マウス操作共有(以下、PC連携)したり、PC端末の電源を接続された他方のPC端末への電源供給を可能にするケーブルである。USB Type-Cケーブル3は、Type-Cコネクタを有する。Type-Cコネクタは、USB3.1規格において制定されたコネクタ規格に準拠したコネクタであり、その動作は「Universal Serial Bus Type-C Cable and Connector Specification」に準じている。
【0018】
Type-Cコネクタを有するUSB Type-Cケーブル3は、「Universal Serial Bus Type-C Cable and Connector Specification」の規格として、CC(Configuration Channel)1ピン(単にCC1とも呼ぶ)と、CC2ピン(単にCC2とも呼ぶ)と、が実装されており、また電源を供給する側をSource(ソース)と呼ぶ。一方で、電源を受電する側をSink(シンク)と呼ぶ。そのSource側で、CC1ピンとCC2ピンの電圧をチェック(検出)することで、ケーブルの接続状態を確認することができる。
【0019】
図2は、実施形態に係る電子機器1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。ここで例示する電子機器1は、汎用コンピュータと同様の構成を有し、CPU(Central Processing Unit)21、RAM(Random Access Memory)22、ROM(Read Only Memory)23、補助記憶装置24及び外部I/F25がバス26により相互に接続されている。
【0020】
CPU21は、ROM23や補助記憶装置24に記憶されたプログラムに従いRAM22をワーキングエリアとして所定の演算処理を行う。補助記憶装置24は、不揮発性メモリであり、CPU21の処理に必要な各種データを記憶する。補助記憶装置24は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)やSSD(Solid State Drive)等で構成される。外部I/F25は、例えば、USB Type-Cケーブル3を介して表示装置2と所定の規格に準じた通信を確立するためのデバイスである。外部I/F25は、USB Type―Cコネクタを用いる。
【0021】
図3は、実施形態に係る電子機器1の機能構成の一例を示すブロック図である。本実施形態に係る電子機器1は、取得部31、判定部32、決定部33及び制御部34を備える。取得部31、判定部32、決定部33及び制御部34は、例えば、
図2に例示するような電子機器1のハードウェア要素とソフトウェア要素(ROM23や補助記憶装置24に記憶されたプログラム等)との協働により構成され得る。また、本発明においては、本発明の機能を備える電子機器側をソースとし、接続する表示装置側をシンクとする、デバイスとする。なお、電子機器1の機能構成は上記に限定されるものではない。
【0022】
取得部31は、USB Type-Cケーブル3を介して、外部I/F25の電圧を取得する。具体的には、取得部31は、USB Type-Cケーブル3を介して、PDコントローラにより取得された、USB Type-CコネクタのCC1とCC2の電圧を取得する。ここで、取得部31が取得する電圧について
図4を用いて説明する。
図4は、実施形態に係る電子機器1が取得するCC1及びCC2の電圧値の一例を示すテーブルである。
【0023】
例えば、取得部31は、CC1及びCC2の電圧値がともにα[V]の場合、電子機器1は、USB Type-Cケーブル3が未接続の状態となる。また、例えば、取得部31は、CC1の電圧値がα[V]、CC2の電圧値がX[V]の場合、あるいは、CC1の電圧値がX[V]、CC2の電圧値がα[V]の場合は、電子機器1は、USB Type-Cケーブル3が接続状態となる。すなわち、USB Type-Cケーブル3は最初に電子機器1に接続された状態である。
【0024】
さらに、例えば、取得部31は、CC1の電圧値がα[V]、CC2の電圧値がY[V]の場合、あるいは、CC1の電圧値がY[V]、CC2の電圧値がα[V]の場合は、電子機器1は、デバイス(表示装置2)が接続状態となる。すなわち、USB Type-Cケーブル3は、表示装置2が接続された状態で、電子機器1に接続された状態である。
【0025】
ここで、電圧値α[V]、電圧値X[V]、電圧値Y[V]の値は、電子機器1がUSB Type-Cケーブルで扱える電流値仕様により「Universal Serial Bus Type-C Cable and Connector Specification」にて、定められている。例として、電子機器1がUSB Type-C仕様で5V/3Aを扱える場合、α[V]は5V、電圧値X[V]は0V、電圧値Y[V]は1.65Vになる。
【0026】
図3に戻る。判定部32は、CC1の電圧値(以下、CC1電圧ともいう)がα[V]と等しく、かつ、CC2の電圧値(以下、CC2電圧ともいう)がα[V]と等しいかを判定する。具体的には、判定部32は、取得部31が取得した、CC1の電圧値と、CC2の電圧値と、が、それぞれα[V]と等しいかを判定する。
【0027】
また、判定部32は、CC1の電圧値とCC2の電圧値が、α[V]とX[V]、X[V]とα[V]、α[V]とY[V]、Y[V]とα[V]のうちどちらであるかを判定する。具体的には、判定部32は、取得部31が取得した、CC1の電圧値とCC2の電圧値が、α[V]とX[V]、X[V]とα[V]、α[V]とY[V]、Y[V]とα[V]のうちどちらであるかを判定する。
【0028】
決定部33は、接続されたUSB Type-Cケーブル3を介して取得する電圧に基づいて、電子機器1がUSB Type-Cケーブル3に接続された順序を決定する。例えば、決定部33は、CC1の電圧値がα[V]と等しく、かつ、CC2の電圧値がα[V]と等しい場合、電子機器1にUSB Type-Cケーブル3が未接続状態であると決定する。具体的には、決定部33は、判定部32が、取得部31が取得した、CC1の電圧値がα[V]と等しく、かつ、CC2の電圧値がα[V]と等しいと判定すると、電子機器1にUSB Type-Cケーブル3が未接続状態であると決定する。
【0029】
また、例えば、決定部33は、CC1の電圧値とCC2の電圧値が、α[V]とX[V]、もしくは、X[V]とα[V]である場合、電子機器1に対して、最初にUSB Type-Cケーブル3を接続された状態であると決定する。具体的には、決定部33は、判定部32が、CC1の電圧値とCC2の電圧値が、α[V]とX[V]、もしくは、X[V]とα[V]であると判定すると、電子機器1に対して、最初にUSB Type-Cケーブル3を接続された状態であると決定する。すなわち、決定部33は、USB Type-Cケーブル3は最初に電子機器1に接続され、その後、表示装置2に接続された順序であると決定する。
【0030】
さらに、例えば、決定部33は、CC1の電圧値とCC2の電圧値が、α[V]とY[V]、もしくは、Y[V]とα[V]である場合、電子機器1に対して、後にUSB Type-Cケーブル3を接続された状態であると決定する。具体的には、決定部33は、判定部32が、CC1の電圧値とCC2の電圧値が、α[V]とY[V]、もしくは、Y[V]とα[V]であると判定すると、電子機器1に対して、後にUSB Type-Cケーブル3を接続された状態であると決定する。すなわち、決定部33は、USB Type-Cケーブル3は最初に表示装置2に接続され、その後、電子機器1に接続された順序であると決定する。
【0031】
制御部34は、電子機器1のPDコントローラをソースに設定するように制御を行う。また、制御部34は、PDコントローラに対して、BIOS等のF/W(Firmware)を経由して、CC1の電圧値及びCC2の電圧値を取得するように制御を行う。また、制御部34は、決定部33が決定した順序に基づいて、電子機器1に表示させる出力画面を切り換える制御を行う。
【0032】
ここで、
図5を用いて、制御部34が実行する処理について説明する。
図5は、実施形態に係る電子機器1が処理する状態の一例を示す図である。
【0033】
図5において、接続状態51は、USB Type-Cケーブル3が最初に電子機器1に接続され、表示装置2に接続されていない状態を示す。接続状態52は、USB Type-Cケーブル3が電子機器1に接続された状態で、その後、USB Type-Cケーブル3が表示装置2に接続されている状態を示す。
【0034】
接続状態51から接続状態52への変化について、決定部33は、USB Type-Cケーブル3は最初に電子機器1に接続され、その後、表示装置2に接続された順序であると決定する。制御部34は、決定部33が決定した順序に基づいて、電子機器1に表示させる出力画面をプライマリ(拡張)画面(画面1)に切り替える制御を行い、表示装置2に表示させる出力画面をセカンダリ(拡張)画面(画面2)に切り替える制御を行う。
【0035】
また、
図5において、接続状態53は、USB Type-Cケーブル3が最初に表示装置2に接続され、電子機器1に接続されていない状態を示す。接続状態54は、USB Type-Cケーブル3が表示装置2に接続された状態で、その後、USB Type-Cケーブル3が電子機器1に接続されている状態を示す。
【0036】
接続状態53から接続状態54への変化について、決定部33は、USB Type-Cケーブル3は最初に表示装置2に接続され、その後、電子機器1に接続された順序であると決定する。制御部34は、決定部33が決定した順序に基づいて、表示装置2に表示させる出力画面をプライマリ(拡張)画面(画面1)に切り替える制御を行い、電子機器1に表示させる出力画面をセカンダリ(拡張)画面(画面2)に切り替える制御を行う。
【0037】
これにより、USB Type-Cケーブル3が接続された順序に基づいて、電子機器1に表示させる出力画面が切り替わるため、シームレスにPC接続・連携を実現することができる。
【0038】
図6は、実施形態に係る電子機器1で実行される処理の一例を示すフローチャートである。制御部34は、電子機器1のPDコントローラをソースに設定するように制御を行う(ステップS61)。続いて、制御部34は、USB Type-Cケーブル3の接続状態を初期化するように制御を行う(ステップS62)。本処理が終了すると、電子機器1は、CC1/CC2の電圧を取得することが可能となる。
【0039】
図7は、実施形態に係る電子機器1で実行される処理の一例を示すフローチャートである。なお、本処理は、上述した
図6の処理が実行された後に開始する。
【0040】
取得部31は、USB Type-CコネクタのCC1の電圧とCC2の電圧を取得する(ステップS71)。続いて、判定部32は、CC1の電圧がα[V]と等しく、かつ、CC2の電圧がα[V]と等しいかを判定する(ステップS72)。ここで、判定部32が、CC1の電圧とCC2の電圧のうち、一つの電圧が、α[V]と異なると判定する(ステップS72:No)と、ステップS74へ進む。他方で、判定部32が、CC1の電圧がα[V]と等しく、かつ、CC2の電圧がα[V]と等しいと判定する(ステップS72:Yes)と、ステップS73へ進む。
【0041】
ステップS73において、決定部33は、電子機器1にUSB Type-Cケーブル3が未接続状態であると決定する(ステップS73)。ステップS74において、判定部32は、CC1の電圧とCC2の電圧が、α[V]とX[V]、X[V]とα[V]、α[V]とY[V]、Y[V]とα[V]のうちどちらかを判定する(ステップS74)。
【0042】
ここで、判定部32が、CC1の電圧とCC2の電圧が、α[V]とX[V]、もしくは、X[V]とα[V]であると判定する(ステップS74:αとX、もしくはXとαの場合)と、ステップS75へ進む。他方で、判定部32が、CC1の電圧とCC2の電圧が、α[V]とY[V]、もしくは、Y[V]とα[V]であると判定する(ステップS74:αとY、もしくはYとαの場合)と、ステップS76へ進む。
【0043】
ステップS75において、決定部33は、電子機器1に対して、最初にUSB Type-Cケーブル3を接続された状態であると決定する(ステップS75)。ステップS76において、決定部33は、後にUSB Type-Cケーブル3を接続された状態であると決定する(ステップS76)。ステップS73、ステップS75及びステップS76のうち、少なくとも1つのステップが終了すると、ステップS71へ進む。以後、取得部31がUSB Type-CコネクタのCC1とCC2の電圧値を取得する度に、本処理は電子機器1で実行される。
【0044】
以上、説明したように、本発明の一態様に係る電子機器1は、USB Type-Cケーブル3を接続する電子機器1において、接続されたUSB Type-Cケーブル3を介して取得する電圧に基づいて、電子機器1がUSB Type-Cケーブル3に接続された順序を決定する決定部と、を備える。
【0045】
これにより、本実施形態によれば、電子機器1がUSB Type-Cケーブル3に接続された順序が決定することで、例えば、ユーザは、USB Type-Cケーブル3を電子機器1及び表示装置2に接続する場合、接続された順序に基づいて、電子機器1に表示させる出力画面を切り替えることができる。したがって、ユーザにとって、ケーブルを接続する順番という直感的な操作で、機能設定(画面切り替え)することができ、電子機器1は、ケーブルの利用制限等なく、他のデバイスと、シームレスにPC接続・連携を実現することができる。
【0046】
(変形例1)
上述した実施形態では、電子機器1と、USB Type-Cケーブル3が接続された表示装置2と、の間で、表示画面の切り替えを行う形態について説明したが、これに限定されない。例えば、電子機器1と、他の電子機器間のUSBホスト同士をUSB Type-Cケーブル接続して、一方の電子機器を表示装置(モニタ)として使用する、表示画面の切り替えを行う形態について
図8を用いて説明する。
【0047】
図8は、変形例1に係る電子機器1が処理する状態の一例を示す図である。
図8において、電子機器1、USB Type-Cケーブル3及び他の電子機器11を示す。ここで、他の電子機器11とは、例えば、タブレット端末である。なお、他の電子機器11は、タブレット端末に限定されず、クラムシェル型のパーソナルコンピュータ、オールインワン型のパーソナルコンピュータ、タブレット端末、映像電子機器、テレビジョン受像機及びゲーム機等であってもよい。
【0048】
図8において、接続状態81は、USB Type-Cケーブル3が最初に電子機器1に接続され、他の電子機器11に接続されていない状態を示す。接続状態82は、USB Type-Cケーブル3が電子機器1に接続された状態で、その後、USB Type-Cケーブル3が他の電子機器11に接続されている状態を示す。
【0049】
接続状態81から接続状態82への変化について、決定部33は、USB Type-Cケーブル3は最初に電子機器1に接続され、その後、他の電子機器11に接続された順序であると決定する。制御部34は、決定部33が決定した順序に基づいて、電子機器1の画面を電子機器1にプライマリ(拡張)画面(画面1)を表示させる制御を行い、他の電子機器11にセカンダリ(拡張)画面(画面2)を表示させる制御を行う。
【0050】
また、
図8において、接続状態83は、USB Type-Cケーブル3が最初に他の電子機器11に接続され、電子機器1に接続されていない状態を示す。接続状態84は、USB Type-Cケーブル3が他の電子機器11に接続された状態で、その後、USB Type-Cケーブル3が電子機器1に接続されている状態を示す。
【0051】
接続状態83から接続状態84への変化について、決定部33は、USB Type-Cケーブル3は最初に他の電子機器11に接続され、その後、電子機器1に接続された順序であると決定する。制御部34は、決定部33が決定した順序に基づいて、他の電子機器11の画面を他の電子機器11にプライマリ(拡張)画面(画面1)を表示させる制御を行い、電子機器1にセカンダリ(拡張)画面(画面2)を表示させる制御を行う。
【0052】
これにより、USB Type-Cケーブル3が接続された順序に基づいて、電子機器1及び他の電子機器11に表示させる出力画面が切り替わるため、ケーブルの利用制限等なく、シームレスにPC連携を実現することができる。
【0053】
(変形例2)
また、例えば、電子機器1は、USB Type-Cケーブル3に接続された、他の電子機器11について、電源(電力)の入出力の切り替えを行う形態について、
図9を用いて説明する。
図9に示す電子機器1、USB Type-Cケーブル3及び他の電子機器11は、
図8に加え、他の電子機器11は、モバイルバッテリを含む。また、
図9に示す電子機器1及び他の電子機器11は、電源の入出力(給電/充電:Dual-Role-Power)に対応しているデバイスである。制御部34は、電源(電力)の入出力の切り替えを行う場合、電子機器1のPDコントローラをソースあるいはシンクに設定するように制御を行う。
【0054】
具体的には、制御部34は、電子機器1が他の電子機器11に電源を供給する場合、また、PDコントローラをソース(給電)に設定するように制御を行う。また、制御部34は、電子機器1が他の電子機器11に電源を受電する場合、PDコントローラをシンク(受電)に設定するように制御を行う。さらに、制御部34は、PDコントローラに対して、BIOS等のF/W(Firmware)を経由して、コネクタのVBUSから電源の入出力を行うように制御を行う。
【0055】
図9において、接続状態91は、USB Type-Cケーブル3が最初に電子機器1に接続され、他の電子機器11に接続されていない状態を示す。接続状態92は、USB Type-Cケーブル3が電子機器1に接続された状態で、その後、USB Type-Cケーブル3が他の電子機器11に接続されている状態を示す。
【0056】
接続状態91から接続状態92への変化について、決定部33は、USB Type-Cケーブル3は最初に電子機器1に接続され、その後、他の電子機器11に接続された順序であると決定する。制御部34は、決定部33が決定した順序に基づいて、PDコントローラをソース(給電)に設定するように制御を行う。また、制御部34は、電子機器1から電源を出力する(給電する)制御を行う。
【0057】
また、
図9において、接続状態93は、USB Type-Cケーブル3が最初に他の電子機器11に接続され、電子機器1に接続されていない状態を示す。接続状態94は、USB Type-Cケーブル3が他の電子機器11に接続された状態で、その後、USB Type-Cケーブル3が電子機器1に接続されている状態を示す。
【0058】
接続状態93から接続状態94への変化について、決定部33は、USB Type-Cケーブル3は最初に他の電子機器11に接続され、その後、電子機器1に接続された順序であると決定する。制御部34は、決定部33が決定した順序に基づいて、PDコントローラをシンク(受電)に設定するように制御を行う。また、制御部34は、電子機器1に電源を入力する(受電する)制御を行う。
【0059】
これにより、USB Type-Cケーブル3が接続された順序に基づいて、電子機器1の電源の入出力が切り替わるため、ケーブルの利用制限等なく、シームレスにPC接続を実現することができる。
【0060】
(変形例3)
上記機能を実現するプログラムは、例えば、CPU21に搭載された記憶素子に予め記憶された状態で提供され得るが、これに限定されるものではない。プログラムは、例えば、CD-ROM等の適宜な記憶媒体に記憶された状態で提供されてもよいし、インターネット等のコンピュータネットワークを介して提供されてもよい。
【0061】
なお、上述した実施形態は、上述した装置が有する構成の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係るいくつかの変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については詳細な説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0062】
(変形例4)
上述の実施形態では、
図3においては単一のプロセッサにて、機能的構成要素31~34を実現するものとして説明したが、これに限られないものとする。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて機能的構成要素31~34を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしてもよい。
【0063】
以上、本発明の実施形態及び変形例を説明したが、実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1…電子機器、2…表示装置、3…USB Type-Cケーブル、
21…CPU、22…RAM、23…ROM、24…補助記憶装置、25…外部I/F 31…取得部、32…判定部、33…決定部、34…制御部
【要約】
【課題】ケーブルの利用制限等なく、シームレスにPC接続・連携を実現することが可能な電子機器、電子機器の制御方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】実施形態の電子機器は、USB Type-Cケーブルを接続する電子機器において、接続された前記USB Type-Cケーブルを介して取得する電圧に基づいて、前記電子機器が前記USB Type-Cケーブルに接続された順序を決定する決定部と、を備える。
【選択図】
図3