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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】ケーブルコネクタ及びその組立て方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/405 20060101AFI20240807BHJP
   H01R 13/502 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
H01R13/405
H01R13/502 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021043120
(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公開番号】P2022142875
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100172096
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 理太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悟
(72)【発明者】
【氏名】上原 省吾
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-069378(JP,A)
【文献】特開2018-014212(JP,A)
【文献】特開平08-031492(JP,A)
【文献】特開2015-022949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/405
H01R 13/502
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電線からなるケーブルの各電線がそれぞれ接続される複数のコンタクトと、該複数のコンタクトが保持されるインシュレータとを備えたケーブルコネクタにおいて、
前記インシュレータは、側面部が互いに接合される複数の分割体からなるフロントインシュレータと、該フロントインシュレータの後方に接続され、前記分割体を連結するリアインシュレータとを備え、
前記コンタクトは、前記分割体の後端面より前記電線が接続される接続部が突出した状態で前記分割体に一体に組み込まれていることを特徴とするケーブルコネクタ。
【請求項2】
前記接続部は、コンタクト基部より延出した基台部と、該基台部の側縁に支持され、先端側が前記基台部側に加締められた圧着片とを備え、前記基台部と前記圧着片との間に挿入された前記電線の芯線が前記両圧着片によって前記基台部に圧着され、前記圧着片側が前記分割体の接合面側又は該接合面とは反対側の外側面側に向けられている請求項1に記載のケーブルコネクタ。
【請求項3】
前記フロントインシュレータは、前記分割体間に跨って形成されたキー溝部を備え、
前記リアインシュレータは、前端面より突出し、前記キー溝部と嵌合する連結キー部を備え、
該連結キー部の側面又は前記キー溝部の内側面の一方には、その側面又は内側面より突出し、前記キー溝部の内側面又は前記連結キー部の側面に形成された係合凹部と係合する係合凸部を備えている請求項1又は2に記載のケーブルコネクタ。
【請求項4】
前記リアインシュレータは、外側面に開口し、前記接続部がそれぞれ収容される接続部収容部を備え、該接続部収容部間が遮断壁によって隔てられている請求項1~3の何れか一に記載のケーブルコネクタ。
【請求項5】
複数の電線からなるケーブルの各電線がそれぞれ接続される複数のコンタクトと、該複数のコンタクトが保持されるインシュレータとを備えたケーブルコネクタの組み立て方法において、
後端面より前記電線が接続される接続部が突出した状態で複数のコンタクトが一体化された複数の分割体を形成しておき、
該各分割体のコンタクトにそれぞれ前記電線を接続した後、該分割体を互いに離間する方向に移動させた状態で前記分割体の後方にリアインシュレータを配置した後、互いに接合させた複数の分割体に前記リアインシュレータを連結し、前記分割体を一体化させることを特徴とするケーブルコネクタの組み立て方法。
【請求項6】
前記接続部は、コネクタ本体より延出した基台部と、該基台部の両側縁に支持された一対の圧着片とを備え、該両圧着片間の開口部を前記分割体の一方の外側面側に開口させておき、各分割体のコンタクトを構成する複数の接続部に前記電線の芯線を同時に圧着させる請求項5に記載のケーブルコネクタの組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機器等の電子機器とケーブルとを接続するケーブルコネクタ及びその組立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載カメラモジュール等の電子機器と複数の電線からなるケーブルとの接続には、ケーブルコネクタが用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この種のケーブルコネクタは、各電線が接続されるコンタクトと、各コンタクトが保持されるインシュレータとを備え、各電線の芯線をコンタクトに圧着した後、各コンタクトをインシュレータに圧入することによって、複数のコンタクトがインシュレータに保持されるようになっている。
【0004】
また、この種のケーブルコネクタでは、コンタクトが端面に対し縦横方向に並列に配置される場合、複数のコンタクトを同時に圧着することが困難であるため、コンタクト毎に各電線の芯線を圧着し、圧着後にそれぞれインシュレータに圧入するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-107239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の如き従来の技術では、コンタクト毎に電線の芯線を圧着し、それをインシュレータに挿入するため、コンタクト数が増えると組立工数が増え、作業効率が悪いという問題があった。
【0007】
また、この種の従来のケーブルコネクタでは、コンタクト毎に電線を圧着し、それをインシュレータに圧入するため、組立上のバラツキが生じ、コンタクト間、ケーブル圧着部間の距離が安定せず、伝送性能に個体差が生じるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、効率的に組み立てることができ、且つ、ケーブルとコンタクトとを安定した状態で圧着でき、伝送性能の優れたケーブルコネクタ及びその組立て方法の提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、複数の電線からなるケーブルの各電線がそれぞれ接続される複数のコンタクトと、該複数のコンタクトが保持されるインシュレータとを備えたケーブルコネクタにおいて、前記インシュレータは、側面部が互いに接合される複数の分割体からなるフロントインシュレータと、該フロントインシュレータの後方に接続され、前記分割体を連結するリアインシュレータとを備え、前記コンタクトは、前記分割体の後端面より前記電線が接続される接続部が突出した状態で前記分割体に一体に組み込まれていることにある。
【0010】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記接続部は、コンタクト基部より延出した基台部と、該基台部の側縁に支持され、先端側が前記基台部側に加締められた圧着片とを備え、前記基台部と前記圧着片との間に挿入された前記電線の芯線が前記両圧着片によって前記基台部に圧着され、前記圧着片側が前記分割体の接合面側又は該接合面とは反対側の外側面側に向けられていることにある。
【0011】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記フロントインシュレータは、前記分割体間に跨って形成されたキー溝部を備え、前記リアインシュレータは、前端面より突出し、前記キー溝部と嵌合する連結キー部を備え、該連結キー部の側面又は前記キー溝部の内側面の一方には、その側面又は内側面より突出し、前記キー溝部の内側面又は前記連結キー部の側面に形成された係合凹部と係合する係合凸部を備えていることにある。
【0012】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1~3の何れか一の構成に加え、前記リアインシュレータは、外側面に開口し、前記接続部がそれぞれ収容される接続部収容部を備え、該接続部収容部間が遮断壁によって隔てられていることにある。
【0013】
請求項5に記載の発明の特徴は、複数の電線からなるケーブルの各電線がそれぞれ接続される複数のコンタクトと、該複数のコンタクトが保持されるインシュレータとを備えたケーブルコネクタの組み立て方法において、後端面より前記電線が接続される接続部が突出した状態で複数のコンタクトが一体化された複数の分割体を形成しておき、該各分割体のコンタクトにそれぞれ前記電線を接続した後、該分割体を互いに離間する方向に移動させた状態で前記分割体の後方にリアインシュレータを配置した後、互いに接合させた複数の分割体に前記リアインシュレータを連結し、前記分割体を一体化させることにある。
【0014】
請求項6に記載の発明の特徴は、請求項5の構成に加え、前記接続部は、コネクタ本体より延出した基台部と、該基台部の両側縁に支持された一対の圧着片とを備え、該両圧着片間の開口部を前記分割体の一方の外側面側に開口させておき、各分割体のコンタクトを構成する複数の接続部に前記電線の芯線を同時に圧着させることにある。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るケーブルコネクタは、請求項1の構成を具備することによって、コンタクトをインシュレータに圧入することが不要となるとともに、コンタクト間、接続部間の距離を安定させることができ、伝送性能の向上を図ることができる。
【0016】
また、本発明において、請求項2の構成を具備することによって、各分割体と一体に埋設された複数のコンタクトと電線とを同時に圧着することができ、組み立て工数の削減を図ることができる。
【0017】
さらに、本発明において、請求項3の構成を具備することによって、分割体同士を好適に連結することができるとともに、フロントインシュレータとリアインシュレータとを一体化させることができる。
【0018】
さらにまた、本発明において、請求項4の構成を具備することによって、接続部間を好適に遮断することができる。
【0019】
また、本発明において、請求項5の構成を具備することによって、複数のコンタクトを分割体と一体化させた状態でコンタクトに電線を接続することができ、コンタクトをインシュレータに圧入することが不要となるとともに、コンタクト間、接続部間の距離を安定させることができ、伝送性能の向上を図ることができる。
【0020】
さらに、本発明において、請求項6の構成を具備することによって、各分割体と一体に埋設された複数のコンタクトと電線とを同時に圧着することができ、組み立て工数の削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係るケーブルコネクタの一例を示す斜視図である。
図2】同上の外部カバーを取り外した状態を示す斜視図である。
図3】同上のシールド部材を取り外したコネクタ本体を示す斜視図である。
図4図3中のコネクタ本体の分解斜視図である。
図5】(a)は図4中のリアインシュレータを示す正面図、(b)は同平面図、(c)は同側面図、(d)は同底面図である。
図6】(a)は図4中のフロントインシュレータを構成する分割体を示す前面側から見た斜視図、(b)は同後面側から見た斜視図、(c)は分割体を接合してなるフロントインシュレータの後端面の状態を示す図である。
図7図6(b)中の同上のコンタクトを示す拡大斜視図である。
図8】本発明に係るケーブルコネクタの組み立て方法における各工程を示す正面図である。
図9図8(a)に示す電線とコンタクトとの圧着作業の状態を示す側面図、(b)は同A-A線矢視拡大断面図である。
図10図8(c)の部分拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明に係るケーブルコネクタの実施態様を図1図7に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号1はケーブルコネクタである。
【0023】
尚、本実施例においては、便宜上、ケーブルコネクタ1の相手方コネクタ側を前、ケーブル2が接続される側を後とし、前端面を基準にその面の一方向を縦、それと直交する方向横と定義して説明する。
【0024】
このケーブルコネクタ1は、複数の電線21,21…からなるケーブル2の各電線21,21…がそれぞれ接続される複数のコンタクト4,4…と、複数のコンタクト4,4…が保持されるインシュレータ5とからなるコネクタ本体3を備え、コネクタ本体3及びコネクタ本体3に接続されたケーブル2端部の外側がシールド部材6に覆われた状態で外部カバー7に収容されている。
【0025】
ケーブル2は、図4に示すように、複数の電線21,21…(本実施例では4本)が外被22によって束ねられ、先端部の外被22が剥離され、露出した各電線21,21…の先端部の被覆が剥離され、芯線23の先端部が露出し、芯線23がコンタクト4,4…に接続される。
【0026】
外部カバー7は、合成樹脂によって成形され、シールド部材6に覆われたコネクタ本体3が収容される中空箱状のカバー本体71と、カバー本体71の後端を封鎖するパッキン(図示せず)と、カバー本体71の後端に嵌合されるリアカバー72とを備えている。
【0027】
カバー本体71は、前端面に開口したコネクタ収容部711と、コネクタ収容部711と連通し、後端側に開口したパッキン収容部(図示せず)と、外周面より張り出したフランジ部712とを備え、コネクタ収容部711にシールド部材6に覆われたコネクタ本体3が収容され、パッキン収容部にケーブル2の外側に嵌合されたパッキンが収容され、パッキン収容部の後端開口がリアカバー72によって封鎖される。
【0028】
シールド部材6は、導電性材料によって前端が開口した角筒状に形成され、その周壁の後縁にケーブル2の外被22を把持する固定部材61が支持されている。
【0029】
インシュレータ5は、図4に示すように、互いに接合される複数(本実施例では一対)の分割体81,81からなるフロントインシュレータ8と、フロントインシュレータ8の後方に接続され、分割体81,81を連結するリアインシュレータ9とを備え、分割体81,81に複数のコンタクト4,4がそれぞれ一体に保持されている。
【0030】
リアインシュレータ9は、図5に示すように、絶縁性合成樹脂によって一体に形成され、直方体状の胴部91と、胴部91の前端面、即ち、フロントインシュレータ8側面に突出した連結キー部92とを備えている。
【0031】
胴部91は、横方向側面、即ち、両分割体81,81が互いに分離可能な方向の外側面に開口し、前後に貫通した凹溝状の接続部収容部93,93を備え、各接続部収容部93,93間が胴部91の肉部を構成する遮断壁によって隔てられている。
【0032】
連結キー部92は、図5(d)に示すように、横方向、即ち、分割体81,81間方向に長い平板状に形成され、横方向両端部の側面部より突出した係合凸部94,94を備え、断面横向きI字状を成している。
【0033】
係合凸部94,94は、側面部より縦方向、即ち、分割体81,81間方向と直交する方向に突出し、前後方向に連続する突条状に形成されている。
【0034】
分割体81,81は、図6に示すように、それぞれフロントインシュレータ8を縦割りにした縦長の直方体状に形成され、インサート成形によって各分割体81,81の縦方向に複数のコンタクト4,4…が一体に組み込まれている。
【0035】
両分割体81,81は、互いに前端面と直交する内側の側面部が接合され、立方体状のフロントインシュレータ8を成し、フロントインシュレータ8に前端面に対し縦横にそれぞれ複数段(本実施例では2段)ずつ複数のコンタクト4,4…(本実施例では4個)が配置されるようになっている。
【0036】
また、各分割体81,81は、それぞれ後端部中央に横方向、即ち、分割体81,81間方向に向けた凹状の溝用凹部82a,82aが形成され、両分割体81,81が接合されることによって両溝用凹部82a,82aが接続され、分割体81,81間に跨るキー溝部82が形成されるようになっている。
【0037】
このキー溝部82は、連結キー部92の突出高さと同じ又は稍深い深さに形成され、フロントインシュレータ8にリアインシュレータ9を連結した際、フロントインシュレータ8の後端面にリアインシュレータ9の前端面が当接するようになっている。
【0038】
よって、フロントインシュレータ8は、リアインシュレータ9が連結されることによって、両分割体81,81の前端面が同一平面を成すように位置決めされ、それに伴い各分割体81,81に保持されたコンタクト4,4…も所定の位置に位置決めされる。
【0039】
一方、キー溝部82の両端、即ち、各溝用凹部82a,82aの外側端部内側面部には、係合凸部94,94と嵌合する係合凹部83,83が形成され、キー溝部82が連結キー部92の形状に対応した断面横I字状に形成されている。
【0040】
この係合凹部83,83は、縦方向、即ち、キー溝部82の内側面と直交する方向に凹み、キー溝部82の深さ方向に連続する溝状に形成されている。
【0041】
そして、連結キー部92がキー溝部82と嵌合し、係合凸部94,94が係合凹部83,83と係合することによって、横方向で対向する係合凸部94,94間に両分割体81,81が挟持され、両分割体81,81が分離する方向への移動が規制され、接合された状態で一体化される。
【0042】
コンタクト4,4…は、図7に示すように、導電性金属板材によって一体に成形され、分割体81に埋設されるコンタクト基部41と、コンタクト基部41の一端に支持された接触部42と、コンタクト基部41の他端に支持された接続部43とを備えている。
【0043】
このコンタクト4,4…は、互いに縦方向に隣り合う対称形状のもので一組を成し、この一組のコンタクト4,4がインサート成形によって分割体81に組み込まれ、接触部42が分割体81,81の前端面に露出するとともに、接続部43が分割体81,81の後端面より突出した状態でコンタクト基部41が分割体81,81内に埋設されている。
【0044】
コンタクト基部41は、細長板状の本体片411と、本体片411の一端から本体片411と同一平面上で縦斜め方向に延出した支持片412,413とを備え、接触部42が支持片412,413を介して支持されている。
【0045】
一組のコンタクト4,4の各支持片412,413は、接触部42側が互いに離間する方向に延出され、接触部42が縦方向で隣り合うように支持されている。
【0046】
接触部42は、支持片412,413の先端部より支持片412,413と直交する方向に折り曲げられた被支持片421と、被支持片421に支持された矩形板状の接触片422とを備え、分割体81,81に組み込まれた際にその前端面と平行に露出するように配置されている。
【0047】
接続部43は、コンタクト基部41より延出した基台部431と、基台部431の側縁に支持された圧着片432,432とを備え、圧着片432,432が基台部431側に巻き込むように加締められ、基台部431と圧着片432,432との間に挿入された電線21,21…の芯線23が両圧着片432,432によって基台部431に圧着されるようになっている。
【0048】
この接続部43は、圧着片432,432側が分割体81の接合面側とは反対側の外側面側に向けられており、各分割体81,81に保持された一組のコンタクト4,4…の接続部43が同じ方向に向けて圧着片432,432間が開いている。
【0049】
即ち、分割体81,81に保持された一組のコンタクト4,4…は、同時に同じ方向から加締められるようになっている。
【0050】
次に、上述したケーブルコネクタの組み立て方法について、図8図10に基づいて説明する。尚、上述の実施例と同様の構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0051】
先ず、ケーブル2をリアカバー72に通した後、パッキン(図示せず)をケーブル2の外被22の外側に嵌合させ、作業がし易いようにリアカバー72及びパッキンをケーブル2の後方側に移動させておく。
【0052】
次に、ケーブル2の外被22を剥離し、各電線21,21…の先端部を露出させ、各電線21,21…先端部の被覆を剥離し、芯線23を露出させる。
【0053】
また、事前の準備として、前端面に接触部42が露出し、且つ、後端面より接続部43が突出した状態で複数のコンタクト4,4…が一体化された複数(本実施例では一対)の分割体81,81をインサート成形によって形成しておく。
【0054】
次に、図8(a)、図9に示すように、分割体81に保持されたコンタクト4,4に各電線21,21の芯線23を圧着し、電線21,21とコンタクト4,4とを接続する。
【0055】
具体的には、一方の分割体81に保持された一組のコンタクト4,4の基台部431を受け台(アンビル)11,11上に載置するとともに、圧着片432,432間に電線21,21…の芯線23を挿入する。尚、他の電線21,21…は、曲げる等して受け台11,11と干渉しない位置に配置しておく。
【0056】
次に、図9に示すように、圧着治具(クリンパ)12を降下させ、圧着治具(クリンパ)12で圧着片432,432を押圧して圧着片432,432を内側に巻き込み、両圧着片432,432によって芯線23を押さえて基台部431に圧着させる。
【0057】
その際、図9(b)に示すように、分割体81に保持された全てのコンタクト4,4の接続部43が同じ高さ、且つ、同じ向き(接合面とは反対側)に配置されているので、分割体81に保持された全てのコンタクト4,4の芯線23と接続部43との圧着作業を同時に行うことができる。
【0058】
次に、他方の分割体81に保持されたコンタクト4,4…に各電線21,21…の芯線23を同様に圧着し、電線21,21とコンタクト4,4とを接続する。
【0059】
次に、図8(b)に示すように、電線21,21が接続された分割体81,81を互いに離間する方向に移動させた状態で両分割体81,81の間から分割体81,81の後方に連結キー部92側をフロントインシュレータ8側に向けてリアインシュレータ9を挿し込む。
【0060】
そして、図8(c)、図10に示すように、リアインシュレータ9の胴部91に形成された各接続部収容部93,93に電線21,21…を嵌め込むとともに、両分割体81,81を互いに接合させる。
【0061】
フロントインシュレータ8は、分割体81,81が互いに接合されたことで、後端面部の溝用凹部82a,82aが接続され、横方向に連続したキー溝部82が形成される。
【0062】
その状態でリアインシュレータ9をフロントインシュレータ8側に押込み、連結キー部92をキー溝部82に嵌合させるとともに、胴部91の前端面を両分割体81,81の後端面に当接させる。
【0063】
そして、連結キー部92がキー溝部82に嵌合され、係合凸部94,94が係合凹部83,83と係合することによって、両分割体81,81が離間する方向への移動が規制され、両分割体81,81が一体化される。
【0064】
また、フロントインシュレータ8とリアインシュレータ9との連結に伴い、各分割体81,81の後端面より突出した各コンタクト4,4…の接続部43及び接続部43に接続された電線21,21…がリアインシュレータ9の胴部91に形成された接続部収容部93,93に収容される。
【0065】
次に、図8(d)に示すように、シールド部材6をケーブル2が接続されたコネクタ本体3の外側に被せ、固定部材61にケーブル2の外被22を把持させ、シールド部材6をコネクタ本体3の外側に固定する。
【0066】
そして、シールド部材6に覆われたコネクタ本体3をカバー本体71のコネクタ収容部711内に挿入し、パッキンをケーブル2の前方に移動させてカバー本体71のパッキン収容部内に収容し、その後方をリアカバー72で閉鎖し、組み立てが完了する。
【0067】
このように構成されたケーブルコネクタ1は、分割体81,81毎に複数のコンタクト4,4…がインサート成形によって一体化されており、コンタクト4,4…をインシュレータ5に挿入する作業を省くことができ、その分の工数を減らすことができる。
【0068】
また、このケーブルコネクタ1では、前端面に対し縦横複数段に亘ってコンタクト4,4…が配置されるような場合であっても、フロントインシュレータ8が複数の分割体81,81に分割され、分割体81,81に保持されている全てのコンタクト4,4…の圧着片432,432側が分割体81,81の接合面とは反対側の外側面側に向けられているので、分割体81,81に保持されている各コンタクト4,4…に対する電線21,21…の圧着作業を同時に行うことができ、その分の工数を減らすことができる。
【0069】
また、このケーブルコネクタ1では、分割体81,81にインサート成形によって複数のコンタクト4,4…が組み込まれたことで、分割体81,81に保持された各コンタクト4,4…間の距離(縦方向の距離)が安定し、フロントインシュレータ8にリアインシュレータ9が連結され、接合された分割体81,81の分離する方向への移動が規制されることで各分割体81,81に保持されたコンタクト4,4…間の距離(横方向の距離)も安定する。
【0070】
さらに、このケーブルコネクタ1では、各分割体81,81の後端面にリアインシュレータ9の前端面を当接させたことで、両分割体81,81の前端面が同一平面上になるように位置決めされ、前後方向の相対位置が安定し、分割体81,81に保持されたコンタクト4,4…の前後方向の相対位置も安定する。
【0071】
よって、このケーブルコネクタ1では、インシュレータ5に保持される複数のコンタクト4,4…の相対位置関係が常に安定した状態とすることができ、伝送性能を安定させることができる。
【0072】
また、このケーブルコネクタ1では、分割体81,81の後端面より突出した各コンタクト4,4…の接続部43及び接続部43と接続された電線21,21…がリアインシュレータ9の胴部91に形成された接続部収容部93,93内に収容され、接続部収容部93,93間が遮断壁によって隔てられているので、各電線21,21…間の信号の干渉を抑えることができる。
【0073】
尚、上述の実施例では、コンタクト4,4…の接触部42が平板状に形成され、フロントインシュレータ8の前端面に露出したものを例に説明したが、接触部42の態様はこれに限定されず、例えば、ジャック状又はピン状のものであってもよい。
【0074】
また、上述の実施例では、フロントインシュレータ8とリアインシュレータ9との連結を連結キー部92及びキー溝部82との嵌合によって行う例について説明したが、連結部分の態様はこれに限定されず、例えば、リアインシュレータ9の胴部91前端面に複数のピン状の突起を突設し、当該突起を各分割体81,81の後端面に開口したピン孔に挿入するようにしたものであってもよい。
【0075】
さらに、上述の実施例では、コンタクト4,4…と電線21,21…とを圧着する場合について説明したが、コンタクト4,4…と電線21,21…との接続はこれに限定されず、例えば、半田付け、スポット溶接、導電性接着剤によって接続するものであってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 ケーブルコネクタ
2 ケーブル
21 電線
22 外被
23 芯線
3 コネクタ本体
4 コンタクト
41 コンタクト基部
411 本体片
412,413 支持片
42 接触部
421 被支持片
422 接触片
43 接続部
431 基台部
432 圧着片
5 インシュレータ
6 シールド部材
61 固定部材
7 外部カバー
71 カバー本体
711 コネクタ収容部
712 フランジ部
72 リアカバー
8 フロントインシュレータ
81 分割体
82 キー溝部
83 係合凹部
9 リアインシュレータ
91 胴部
92 連結キー部
93 接続部収容部
94 係合凸部
11 受け台(アンビル)
12 圧着治具(クリンパ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10