(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】ヘルスケアシステム、および、ヘルスケアプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/20 20180101AFI20240807BHJP
G06Q 10/1057 20230101ALI20240807BHJP
【FI】
G16H50/20
G06Q10/1057
(21)【出願番号】P 2020093884
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】396026569
【氏名又は名称】勤次郎株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】加村 稔
(72)【発明者】
【氏名】加村 建史
(72)【発明者】
【氏名】石谷 慎悟
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-186402(JP,A)
【文献】特開2012-120597(JP,A)
【文献】特開2017-068656(JP,A)
【文献】特開2016-200955(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘルスケア対象者ごとに割り振られた個人コードを保持した屋内情報管理装置又は車内情報管理装置から前記ヘルスケア対象者の在宅時および乗車時における健康状態を示す健康状態データを含む直近データ
が提供され、
前記個人コードに関連付けて管理する直近データ記憶部と、
前記ヘルスケア対象者の健診結果を示す
健診結果登録部によって健診結果テーブルに記録される健診結果データ、前記ヘルスケア対象者のストレスチェック結果を示す
ストレスチェック結果登録部によってストレスチェック結果テーブルに記録されるストレスチェック結果データ、
生活データ登録部によって生活データテーブルに記録される前記ヘルスケア対象者の生活データ、前記ヘルスケア対象者の就業状態を示す
就業データ登録部によって就業状態テーブルに記録される就業状態データ、
服薬履歴登録部によって服薬履歴テーブルに記録される前記ヘルスケア対象者の服薬履歴データ、
個人メディカルレコード登録部によって個人メディカルレコードテーブルに記録される前記ヘルスケア対象者の個人メディカルレコードを含む個人メディカルレコードデータ、および
個人属性登録部によって個人属性テーブルに記録される前記ヘルスケア対象者ごとの個人属性データを含む蓄積データを、前記個人コードに関連付けて管理する蓄積データ記憶部と、
前記ヘルスケア対象者の健康状態を判定するための判定条件および判定結果に応じた前記ヘルスケア対象者に対するアクションが記述された判定条件ファイルを記憶する判定条件記憶部と、
を備え、
前記屋内情報管理装置又は前記車内情報管理装置は、前記判定条件記憶部から前記判定条件ファイルを取得しており、
更に、前記個人コードおよび前記判定条件ファイル
に含まれる判定を開始するための起動トリガー
の指定に従って判定処理を開始し、前記直近データおよび前記蓄積データを前記判定条件に当てはめ、前記判定結果に従って前記ヘルスケア対象者に対する前記アクションを出力する判定部
を備えるヘルスケアシステム。
【請求項2】
ヘルスケア対象者ごとに割り振られた個人コードを保持した屋内情報管理装置又は車内情報管理装置から前記ヘルスケア対象者の在宅時および乗車時における健康状態を示す健康状態データを含む直近データ
が提供され、
前記個人コードに関連付けて管理する直近データ記憶部と、
前記ヘルスケア対象者の健診結果を示す
健診結果登録部によって健診結果テーブルに記録される健診結果データ、前記ヘルスケア対象者のストレスチェック結果を示す
ストレスチェック結果登録部によってストレスチェック結果テーブルに記録されるストレスチェック結果データ、
生活データ登録部によって生活データテーブルに記録される前記ヘルスケア対象者の生活データ、前記ヘルスケア対象者の就業状態を示す
就業データ登録部によって就業状態テーブルに記録される就業状態データ、
服薬履歴登録部によって服薬履歴テーブルに記録される前記ヘルスケア対象者の服薬履歴データ、
個人メディカルレコード登録部によって個人メディカルレコードテーブルに記録される前記ヘルスケア対象者の個人メディカルレコードを含む個人メディカルレコードデータ、および
個人属性登録部によって個人属性テーブルに記録される前記ヘルスケア対象者ごとの個人属性データを含む蓄積データを、前記個人コードに関連付けて管理する蓄積データ記憶部と
、
前記ヘルスケア対象者の健康状態を判定するための判定条件および判定結果に応じた前記ヘルスケア対象者に対するアクションが記述された判定条件ファイルを記憶する判定条件記憶部と、を備えたコンピュータに、
前記屋内情報管理装置又は前記車内情報管理装置が、前記判定条件記憶部から前記判定条件ファイルを取得している状態で、
前記個人コードおよび
前記判定条件ファイル
に含まれる判定を開始するための起動トリガー
の指定に従って判定処理を開始し、前記ヘルスケア対象者の健康状態を判定するための
前記判定条件に
前記直近データおよび前記蓄積データを当てはめ、前記ヘルスケア対象者の健康状態を判定し、
前記判定結果に従って、前記判定条件および前記判定結果に関連付けられている前記ヘルスケア対象者に対する
前記アクションを出力するステップを実行させる
ヘルスケアプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルスケア対象者の健康状態を管理するヘルスケアシステム、および、ヘルスケアプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを通じて人の健康状態を把握、判定するネットワークシステムが提案されている。例えば、特許文献1には、建物内や車両での生体情報や行動情報を取得し、これら取得した健康管理データを、ネットワークを介してサーバに送信し、健康状態指標を算出するシステムについて記載されている。このシステムでは、建物内にいる場合、および、車両にいる場合の何れでも生体情報や行動情報を取得して、対象者の健康状態を判定することができる。
【0003】
また、特許文献2には、運転中に取得した最新の運転情報および運転者情報に加え、蓄積した過去の運転情報および運転者情報を利用することで、運転中における情報だけでなく、過去の蓄積情報および運転前の情報に基づいて運転者の体調および運転挙動を判定している。
【0004】
なお、特許文献3には、運転者の状態に応じて、運転者の活性状態等を精度良く検出して、適切なタイミングで警報が可能な運転者状態検出装置が記載されている。特許文献4には、生体情報に加え、建物内や屋外の環境情報を取得して、当該情報を基に生活管理設備の制御を行い、生活に関するアドバイスを行う生活管理システムが記載されている。特許文献5には、家庭で健康管理を手軽に行うための床荷重センサや手摺荷重センサを用いた健康管理システムについて記載されている。特許文献6には、いくつかの特徴量を用いて個人を特定する個人認識技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5210686号公報
【文献】特許第5668410号公報
【文献】特許第4595377号公報
【文献】特許第5684468号公報
【文献】特許第4661440号公報
【文献】特許第5008269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、企業に勤務する従業員は、就業先で、健康診断などを受診していることが多い。これらの情報は、健康状態を管理する上で重要な要因であるにもかかわらず、上述した特許文献1および特許文献2は、在宅時や乗車時における現在および過去の生体情報や行動情報を利用して健康状態を把握しているだけで、健康診断の結果などを利用していない。
【0007】
本発明は、より多くのデータに従って乗車時や在宅時の健康状態を判定することを可能としたヘルスケアシステムおよびヘルスケアプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するヘルスケアシステムは、ヘルスケア対象者の在宅時または乗車時における健康状態を示す健康状態データを含む直近データを、前記ヘルスケア対象者ごとに割り振られた個人コードに関連付けて管理する直近データ記憶部と、前記ヘルスケア対象者の健診結果を示す健診結果データ、前記ヘルスケア対象者の生活データ、前記ヘルスケア対象者の服薬履歴データのうちの少なくとも1つを含む蓄積データを、前記個人コードに関連付けて管理する蓄積データ記憶部と、前記ヘルスケア対象者の健康状態を判定するための判定条件および判定結果に応じた前記ヘルスケア対象者に対するアクションが記憶された判定条件記憶部と、前記直近データおよび前記蓄積データを前記判定条件に当てはめ、前記判定結果に従って前記ヘルスケア対象者に対する前記アクションを出力する判定部とを備える。
【0009】
上記構成によれば、在宅時または乗車時における健康状態を判定するにあたって、ヘルスケア対象者の直近データに加え、健診結果データ、生活データ、服薬履歴データなどの蓄積データを考慮して判定することができる。
【0010】
上記ヘルスケアシステムにおいて、前記蓄積データは、前記ヘルスケア対象者のストレスチェック結果を示すストレスチェック結果データをさらに含むようにしてもよい。上記構成によれば、在宅時または乗車時における健康状態を、さらにストレスチェック結果データを考慮して判定することができる。
【0011】
上記ヘルスケアシステムにおいて、前記蓄積データは、前記ヘルスケア対象者の就業状態を示す就業状態データをさらに含むようにしてもよい。上記構成によれば、在宅時または乗車時における健康状態を、さらに就業状態データを考慮して判定することができる。
【0012】
上記ヘルスケアシステムにおいて、前記蓄積データは、前記ヘルスケア対象者の個人メディカルレコードを含む個人メディカルレコードデータをさらに含むようにしてもよい。上記構成によれば、在宅時または乗車時における健康状態を、さらに個人メディカルレコードデータを考慮して判定することができる。
【0013】
本発明に係るヘルスケアプログラムは、ヘルスケア対象者の在宅時または乗車時における健康状態を示す健康状態データを含む直近データを、前記ヘルスケア対象者ごとに割り振られた個人コードに関連付けて管理する直近データ記憶部と、前記ヘルスケア対象者の健診結果を示す健診結果データ、前記ヘルスケア対象者の生活データ、前記ヘルスケア対象者の服薬履歴データのうちの少なくとも1つを含む蓄積データを、前記個人コードに関連付けて管理する蓄積データ記憶部とを備えたコンピュータに、前記ヘルスケア対象者の健康状態を判定するための判定条件に上記直近データおよび前記蓄積データを当てはめ、前記ヘルスケア対象者の健康状態を判定し、判定結果に従って、前記判定条件前記判定結果に関連付けられている前記ヘルスケア対象者に対するアクションを出力するステップを実行させる。上記プログラムは、光ディスク、USBメモリなどのリムーバル記録媒体やネットワークを介してコンピュータにインストールされ処理が実行される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、より多くのデータに従って乗車時や在宅時の健康状態を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】(a)は、在宅時健康状態テーブルを示す図、(b)は、乗車時健康状態テーブルを示す図、(c)は、健診結果テーブルを示す図。
【
図4】(a)は、ストレスチェック結果テーブルを示す図、(b)は、生活データテーブルを示す図、(c)は、就業状態テーブルを示す図。
【
図5】(a)は、服薬履歴テーブルを示す図、(b)は、個人メディカルレコードテーブルを示す図、(c)は、個人属性テーブルを示す図。
【
図8】乗車時における判定部の処理を示すフローチャート。
【
図10】在宅時における判定部の処理を示すフローチャート。
【
図11】在宅時における判定条件の他の例を示す図。
【
図12】在宅時における判定条件の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明が適用されたヘルスケアシステムについて、
図1~
図12を参照して説明する。
〔全体構成〕
図1に示すように、本発明が適用されたヘルスケアシステムは、ヘルスケア対象者の住宅に設置される屋内情報管理装置10と、ヘルスケア対象者などに異常を知らせる住宅警告装置11と、外部機器と通信を行う住宅通信機器12とを備えている。また、ヘルスケアシステムは、ヘルスケア対象者が利用する車両に設けられた車内情報管理装置20と、運転者となったヘルスケア対象者などに異常を知らせる車内警告装置21と、外部機器と通信を行う車両通信機器22とを備えている。さらに、ヘルスケアシステムは、ヘルスケア対象者の情報を総合的に管理するヘルスケアサーバ100を備えている。
【0017】
屋内情報管理装置10は、ヘルスケア対象者の健康状態を収集する検出装置または計測装置であって、体重計、体脂肪計、血圧計、体表面温度計、心拍計(脈拍計)、アルコール検出器、くしゃみや咳の監視システムなどである。そして、検出装置または計測装置で検出したまたは測定した健康状態データを生成し出力する。なお、屋内情報管理装置10は、血圧、心拍数、体温、咳やくしゃみの回数をスマートフォン、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置から入力するものであってもよい。住宅警告装置11は、ヘルスケア対象者とのインターフェースとなる表示装置やスピーカであって、屋内情報管理装置10や住宅通信機器12と接続されている。住宅警告装置11は、健康状態に異常があったときなどに、居住者に警告するための表示を表示装置にしたり、スピーカより音声で警告を行う。住宅警告装置11は、スマートスピーカであってもよいし、スマートフォンなどであってもよい。さらに、住宅警告装置11は、緊急連絡先となる、遠方にいる家族の端末13やかかりつけ医の所属する医療機関などの端末14に異常情報を送信する。住宅通信機器12は、外部機器と通信するための通信インターフェースであって、モデム、ルータ、通信端末などである。
【0018】
車内情報管理装置20も、車両運転時において、ヘルスケア対象者の健康状態を収集する検出装置または計測装置であって、血圧計、体表面温度計、心拍計(脈拍計)、アルコール検出器、くしゃみや咳の監視システムなどである。そして、検出装置または計測装置で検出したまたは測定した健康状態データを生成し出力する。さらに、運転者の視線、車両の速度、加速度あるいは操舵角度など、車両の挙動を示す運転情報を検出する検出装置を備えている。そして、検出装置または計測装置で検出したまたは測定した運転状態データを生成し出力する。車内警告装置21は、ヘルスケア対象者とのインターフェースとなる表示装置やスピーカであって、車内情報管理装置20や車両通信機器22と接続されている。車内警告装置21は、健康状態に異常があったときなどに、同乗者に警告するための表示を表示装置にしたり、スピーカより音声で警告を行う。車内警告装置21は、スマートスピーカであってもよいし、スマートフォンなどであってもよい。さらに、車内警告装置21は、緊急連絡先となる、遠方にいる家族の端末13やかかりつけ医の所属する医療機関などの端末14に異常情報を送信する。車両通信機器は、外部機器と通信するための通信インターフェースであって、モデム、ルータ、通信端末などである。
【0019】
さらに、医療機関端末30がヘルスケアサーバ100と接続されている。医療機関端末30は、ヘルスケア対象者のかかりつけ医などの所属する医療機関であって、服薬履歴や既往歴などのデータをヘルスケアサーバに提供する。
【0020】
<ヘルスケアサーバ100>
ヘルスケアサーバ100は、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、通信インターフェースなどを備えたサーバなどのコンピュータシステムにコンピュータプログラムをインストールすることによって実現される。
【0021】
図2に示すように、ヘルスケアサーバ100は、在宅時健康状態登録部111と、直近データ記憶部としての在宅時健康状態データベース112とを備えている。在宅時健康状態登録部111は、屋内情報管理装置10から提供された在宅時の健康状態データを在宅時健康状態データベース112に記録する。具体的に、
図3(a)に示すように、在宅時健康状態データベース112は、在宅時健康状態テーブル212を備え、在宅時健康状態テーブル212は、ヘルスケア対象者ごとに割り振られた固有の識別データである個人コードごとに在宅時健康状態レコード212aが記録されている。各在宅時健康状態レコード212aには、記録日時、心拍数(脈拍数)、呼吸数、体表面温度、血圧、呼気中のアルコール濃度、咳の回数、くしゃみの回数といった在宅時健康状態データ(直近データ)が記録される。
【0022】
ヘルスケアサーバ100は、乗車時健康状態登録部121と、直近データ記憶部としての乗車時健康状態データベース122とを備えている。乗車時健康状態登録部121は、車内情報管理装置20から提供された乗車時の健康状態データを乗車時健康状態データベース122に記録する。具体的に、
図3(b)に示すように、乗車時健康状態データベース122は、乗車時健康状態テーブル222を備え、乗車時健康状態テーブル222は、個人コードごとに乗車時健康状態レコード222aが記録されている。乗車時健康状態レコード222aには、記録日時、心拍数(脈拍数)、呼吸数、体表面温度、血圧、呼気中のアルコール濃度、咳の回数、くしゃみの回数といった健康状態データ(直近データ)が記録される。さらに、運転者の視線、車両の速度、加速度あるいは操舵角度など、車両の挙動などのデータは運転状態データ(直近データ)が記録される。
【0023】
ヘルスケアサーバ100は、健診結果登録部131と、蓄積データ記憶部としての健診結果データベース132とを備えている。健診結果登録部131は、本人、企業の健康管理担当者、または、指定された代行者が操作する端末からヘルスケア対象者の従業員の健診結果データを健診結果データベース132に記録する。具体的に、
図3(c)に示すように、健診結果データベース132は、健診結果テーブル232を備え、健診結果テーブル232は、個人コードごとに健診結果レコード232aが記録されている。健診結果レコード232aには、受診日、健康診断の項目ごとの検査値、および、判定結果が健診結果データとして記録される。具体的に、健診結果レコード232aには、体重、身長、腹囲、BMI、血圧(収縮期血圧と拡張期血圧)、尿酸、尿蛋白、LDLコレステロール、空腹時血糖、γ-GTP、GOT(AST)、GPT(ALT)といった検査値データに加え、検査値データを基にしたメタボリックシンドローム判定、高血圧症リスク判定、脂質異常症リスク判定、糖尿病リスク判定、高尿酸血症リスク判定、肝機能障害リスク判定、といった健診結果データが記録される。
【0024】
また、ヘルスケアサーバ100は、ストレスチェック結果登録部133と、蓄積データ記憶部としてのストレスチェック結果データベース134とを備えている。ストレスチェック結果登録部133は、本人、企業の健康管理担当者、または、指定された代行者が操作する端末からヘルスケア対象者の従業員のストレスチェック結果データをストレスチェック結果データベース134に記録する。具体的に、
図4(a)に示すように、ストレスチェック結果データベース134は、ストレスチェック結果テーブル234を備え、ストレスチェック結果テーブル234は、個人コードごとにストレスチェック結果レコード234aが記録されている。具体的に、ストレスチェック結果レコード234aには、受検日、総合判定、仕事の負荷判定、仕事の資源判定(作業レベル、部署、事業所)、職場環境判定、仕事の質的負担、身体的負担、職場での対人関係、職場環境、抑うつ感、仕事満足度といった項目別のストレスチェック結果データが記録される。また、これらの結果に基づいて計算された心身のストレス反応、仕事のストレス要因といった合計点、高ストレス者か否か、メンタル不調者か否か、メンタル休職者か否かなどの判定結果として総合評価(5段階・2段階)などがストレスチェック結果データとして記録される。
【0025】
ヘルスケアサーバ100は、生活データ登録部135と、蓄積データ記憶部としての生活データデータベース136とを備えている。生活データ登録部135は、本人、または、ウェアラブルデバイスや生体情報計測機器から入力された生活データを生活データデータベース136に記録する。具体的に、
図4(b)に示すように、生活データデータベース136は、生活データテーブル236を備え、生活データテーブル236は、個人コードごとに生活データレコードが記録されている。具体的に、生活データレコード236aには、記録日時、歩数、運動量、消費カロリーなどの活動データや、体重、体脂肪率、血圧などの身体データや、食事摂取時刻、食事摂取回数、摂取カロリーなどの食事データや、飲酒量、喫煙量などの習慣データなどが生活データとして記録される。
【0026】
ヘルスケアサーバ100は、就業データ登録部137と、蓄積データ記憶部としての就業状態データベース138とを備えている。就業データ登録部137は、本人、企業担当者、または、指定された代行者が操作する端末からヘルスケア対象者の就業データを就業状態データベース138に記録する。具体的に、就業状態データベース138は、就業状態テーブル238を備え、就業状態テーブル238は、個人コードごとに就業状態レコード238aが記録されている。具体的に、
図4(c)に示すように、就業状態レコード238aには、レコード年月日、出退勤データ(日時)、日次の出退勤データ、残業時間月次データ、深夜勤務時間(例えば午後10時から午前5時まで)月次データ、有給休暇取得日数月次/年次データ、遅刻回数月次/年次データ、欠勤日数月次/年次データなどが就業状態データとして記録される。
【0027】
ヘルスケアサーバ100は、服薬履歴登録部139と、蓄積データ記憶部としての服薬履歴データベース140とを備えている。服薬履歴登録部139は、本人、医療機関担当者、または、指定された代行者が操作する医療機関端末30からヘルスケア対象者の服薬履歴データを服薬履歴データベース140に記録する。具体的に、
図5(a)に示すように、服薬履歴データベース140は、服薬履歴テーブル240を備え、服薬履歴テーブル240は、個人コードごとに服薬履歴レコード240aが記録されている。具体的に、服薬履歴レコード240aには、調剤年月日、医療機関名称、医師氏名、薬局名、薬品名称、調剤数量、服用方法などが服薬履歴データとして記録される。
【0028】
ヘルスケアサーバ100は、個人メディカルレコード登録部141と、蓄積データ記憶部としての個人メディカルレコードデータベース142とを備えている。個人メディカルレコード登録部141は、本人、医療機関担当者、または、指定された代行者が操作する医療機関端末30からヘルスケア対象者の個人メディカルレコードデータを個人メディカルレコードデータベース142に記録する。具体的に、
図5(b)に示すように、個人メディカルレコードデータベース142は、個人メディカルレコードテーブル242を備え、個人メディカルレコードテーブル242は、個人コードごとに個人メディカルレコード242aが記録されている。具体的に、個人メディカルレコード242aには、通院日、かかりつけ医療機関名または介護事業所名、かかりつけ医師名または介護事業所担当者名、アレルギー歴、緊急連絡先氏名、緊急連絡先電話番号、医療保険番号などが個人メディカルレコードデータとして記録される。
【0029】
ヘルスケアサーバ100は、個人属性登録部143と、蓄積データ記憶部としての個人属性データベース144とを備えている。個人属性登録部は、本人、企業担当者、または、指定された代行者が操作する端末からヘルスケア対象者の個人属性データを個人属性データベース144に記録する。具体的に、
図5(c)に示すように、個人属性データベース144は、個人属性テーブル244を備え、個人属性テーブル244は、個人コードごとに個人属性レコード244aが記録されている。具体的に、個人属性レコード244aには、氏名、性別、生年月日、住所、複数の緊急連絡先などが個人属性データとして記録される。
【0030】
健診結果テーブル232に記憶される健診結果データ、ストレスチェック結果テーブル234に記憶されるストレスチェック結果データ、生活データテーブル236に記憶される生活データ、就業状態テーブル238に記憶される就業状態データ、服薬履歴テーブル240に記憶される服薬履歴データ、個人メディカルレコードテーブル242に記憶される個人メディカルレコードデータ、個人属性テーブル244に記憶される個人属性データが蓄積データである。
【0031】
また、ヘルスケアサーバ100は、判定条件登録部152と、判定条件記憶部153とを備えている。判定条件登録部152は、システム管理者、企業担当者、または、指定された代行者が操作する端末からアップロードされた判定条件を記録した判定条件ファイルを判定条件記憶部153に記録する。この判定条件ファイルには、複数の判定のための条件を記述し定義することができる。また、判定結果に対するアクションが記述されている。
【0032】
図6は、乗車時における判定条件ファイルである。判定条件ファイルは、ヘルスケア対象者である運転者が運転に好ましくない状態であるか否かを判定するための条件などが設定される。具体的に、乗車時における判定条件ファイルは、判定条件識別コードに関連付けて、判定条件名、起動トリガー(乗車時/始動時/発車時/走行中(5分間隔)/停車時/停止時/降車時など)、条件として、データ区分(個人属性/健診結果/ストレスチェック/生活データ/就業状態/乗車時健康状態/在宅時健康状態など)、アクション種別(警告通知/案内通知/強制停車など)などが記録される。
【0033】
また、
図7は、在宅時における判定条件ファイルを示す。判定条件ファイルは、ヘルスケア対象者である住人が在宅時に好ましくない状態であるか否かを判定するための条件などが設定される。具体的に、在宅時における判定条件ファイルは、判定条件識別コードに関連付けて、判定条件名、起動トリガー(帰宅時/在宅時(毎時00分/10分/20分/30分/40分/50分など)/外出時など)、条件として、データ区分(個人属性/健診結果/ストレスチェック/生活データ/就業状態/乗車時健康状態/在宅時健康状態など)、対象項目(年齢/性別/メタボリックシンドローム判定/体重/BMI/高ストレス判定など)、アクション種別(警告通知/緊急連絡など)などが記録される。
【0034】
なお、判定条件ファイルは、各種医療情報機関から示される新たな統計情報に基づき、随時定義内容を見直すことが好ましい。
図6および
図7は、判定条件ファイルの一例であり、JSON形式、XML形式、YAML形式などの他形式であってもよい。
【0035】
<乗車時>
ヘルスケアサーバ100は、判定部151を備えている(
図2参照)。判定部151は、
図6や
図7に示したような判定条件ファイルに定義された判定条件に従って、ヘルスケア対象者である運転者や住人の健康状態を判定する。乗車時の場合、判定部151は、自動車の車内情報管理装置20から個人コードおよび乗車時トリガー(乗車時/始動時/発車時/走行中(5分間隔)/停車時/停止時/降車時など)を受信することで処理を開始する。
【0036】
自動車の車内情報管理装置20は、判定条件記憶部153から運転時の判定条件ファイル(
図6参照)を取得している。車内情報管理装置20は、起動トリガー指定に従い、各種検出装置または計測装置から直近データである乗車時健康状態データを取得し、乗車時健康状態登録部121に送信する。乗車時健康状態登録部121は、乗車時健康状態テーブル222に受信したデータを保存する。判定部151は、車内情報管理装置20に含まれる個人
コード起動トリガーを受信して、判定処理を開始する。
【0037】
図8に示すように、判定部151は、ステップS1において、車内情報管理装置20からパラメータとして渡される判定条件識別コードに該当する判定条件を判定条件記憶部153から取得する。
【0038】
ステップS2において、判定部151は、判定条件に定義された条件の一つを読み出す。そして、ステップS3からステップS10を繰り返し、処理する条件が全てなくなったらステップS11に遷移する。
【0039】
ステップS3において、判定部151は、条件に定義されたデータ区分と対象項目に基づき、
図3~
図5に示すテーブル212,222,232,234,236,238,240,242,244から車内情報管理装置20から取得した個人コードの条件に定義された対象値確定期間に合致する対象項目の対象値を全て取得する。
【0040】
ステップS4において、判定部151は、取得した対象項目の対象値が複数ある場合、条件に定義された対象値確定方法(平均/最新/最高/最低)に従って対象確定値を求める。取得した対象値が単一の場合、その値を対象確定値とする。
【0041】
ステップS5において、判定部151は、条件に定義された比較対象が固定値の場合ステップS6に進み、条件に定義された比較値(固定値)項目の値を、比較確定値とする。過去値の場合ステップS7に進む。
【0042】
ステップS7において、判定部151は、過去の値を比較に使用する。具体的に、判定部151は、条件に定義された比較データ区分、比較対象項目に合致するテーブル212,222,232,234,236,238,240,242,244から、条件に定義された比較値確定期間に合致する、車内情報管理装置20から取得し個人コードに関連付けられた対象項目の比較値を取得する。
【0043】
ステップS8において、判定部151は、取得した比較対象項目の比較値が複数ある場合、条件に定義された比較値確定方法(平均/最新/最高/最低)の項目に基づき、ステップS7で取得した値から比較確定値を算出する。そして、取得した比較値が単一の場合、その値を比較確定値とする。
【0044】
ステップS9において、判定部151は、ステップS3~ステップS9で算出した対象確定値と比較確定値を、条件に定義された比較方法(等しい/等しくない/以上/以下/より大/より小)を使って比較する。ステップS10において、判定部151は、ステップS9での比較結果が「偽」の場合、処理を終了する。一方、判定部151は、「真」の場合ステップS11に遷移する。
【0045】
ステップS11において、判定部151は、判定条件に定義されたアクション種別に基づいて、車内警告装置21により運転者に対して案内または警告を行うか、または、車両に対して安全に停車することを指示する。
【0046】
更により具体的な
図8の例を
図9を参照して説明する。
車内情報管理装置20は、起動トリガー情報“走行中(5分間隔)”と、個人識別情報とを引数として、車両走行中に5分間隔で
図8の処理を起動する。
【0047】
ステップS1において、判定部151は、車内情報管理装置20からパラメータとして渡される判定条件識別コードに該当する判定条件を判定条件記憶部153から取得する。
ステップS2において、判定部151は、判定条件に設定されている最初の条件を読み出す。ステップS3において、判定部151は、データ区分が“健康診断結果”であることから、蓄積データである健診結果データを保存した
図2の健診結果テーブル232を検索対象テーブルとする。そして、対象値確定期間“1ヵ年”であることから現在から過去1年間の範囲を検索条件として、引数の1つである個人コードに一致するレコードを取得する。検索条件に一致するレコードがない場合は、判定条件の次の条件を処理するためステップS2に処理を遷移する。
【0048】
ステップS4において、判定部151は、対象値確定方法で指示されている“最新”に従い、ステップS3で取得したレコードが複数ある場合、その中から“最新”レコードを選択して、対象項目に指示された“高血圧症リスク判定”データを取得し、対象確定値とする。なお、ステップS3で取得したレコードが1件であれば、そのレコードの“高血圧症リスク判定”データを取得し、対象確定値とする。ここでは、決定された高血圧症リスク判定の対象確定値が“C”であったとする。
【0049】
ステップS5において、判定部151は、判定条件の比較対象が“固定値”であることから、次の処理としてステップS6に遷移する。ステップS6において、判定部151は、判定条件の比較値に設定されている“C”を比較確定値とする。
【0050】
ステップS9において、判定部151は、判定条件の比較方法に設定されている“以上”を比較演算子として、ステップS4で決定した対象値を比較演算子の左辺、ステップS6で決定した比較確定値を比較演算子の右辺におく。その演算結果は「真」となる(“C”≧“C”)。比較結果が「真」であることから、ステップS2に遷移し、次の条件の処理を行う。
【0051】
ステップS2において、判定部151は、判定条件に設定されている2つ目の条件を読み出す。
ステップS3において、判定部151は、データ区分で指定された“乗車時健康状態”に従い、直近データである乗車時健康状態データを保存した
図2の乗車時健康状態テーブル222を検索対象テーブルとする。そして、対象値確定期間が“1時間”であることから現在から過去1時間の範囲を検索条件として、引数の一つである個人コードに一致するレコードを取得する。
【0052】
ステップS4において、判定部151は、対象値確定方法に指定されている“平均”に従い、ステップS3で取得したレコードが1つまたは複数ある場合、各レコードから対象項目に指定されている“心拍数”データを取得し、全てを足し合わせ、その平均値を算出し、対象確定値とする。例えば、現在から過去1時間の個人識別情報に一致するレコードが6件あり、その“心拍数”データが次の6つの値(87、81、86、83、88、81)であった場合、対象確定値は84となる。
【0053】
(87+81+86+80+88+81)/6=84
ステップS5において、判定部151は、判定条件の比較対象が“過去値”であることから、次の処理としてステップS7に遷移する。
【0054】
ステップS7において、判定部151は、比較データ区分で指定された“生活データ”に従い、蓄積データである生活データを保存した
図2の生活データテーブル236を検索対象テーブルとする。そして、比較値確定期間が“7日”であることから現在から過去7日の範囲を検索条件として、引数の1つである個人識別情報に一致するレコードを取得する。
【0055】
ステップS8において、判定部151は、比較値確定方法に指定されている“平均”に従い、ステップS6で取得したレコードが1つまたは複数ある場合、各レコードから比較対象項目に指定されている“心拍数”データを取得し、全てを足し合わせ、その平均値を算出し、比較確定値とする。例えば、現在から過去7日の個人識別情報に一致するレコードが数百件あり、その“心拍数”データの平均が62であった場合、62を比較確定値とする。
【0056】
ステップS9において、判定部151は、判定条件の比較方法に設定されている“130%以上”を比較演算子として、ステップS4で決定した対象値を比較演算子の左辺、ステップS8で決定した比較確定値を比較演算子の右辺におく。その演算結果は「真」となる(84≧(62×1.3))。比較結果が「真」であることから、ステップS2に遷移し、次の条件の処理を行う。
【0057】
ステップS2において、判定部151は、判定条件に設定されている3つ目の条件を読み出そうとするが、3つ目の条件は存在しないため、ステップS3からS10の繰り返し処理を終了し、ステップS11に遷移する。
【0058】
ステップS11において、判定部151は、2つの判定が共に「真」であるので、
図9の判定条件のアクション種別で指定された“警告通知”に従い、車内警告装置21に対し、運転者に対して
図9の判定条件の通知内容に設定された警告を通知するよう指示する。高血圧と心拍数は健康状態に関係があり、高血圧の者において、例えば運転などによるストレスで心拍数が高い状態が続くと心疾患の発症のおそれも生じる。そこで、判定部151は、「普段より心拍数が高くなっています。気分が悪い場合はいったん停車して、かかりつけ医に連絡してください。」といった警告アクションを通知する。
【0059】
<在宅時>
住居在宅時の場合、判定部151は、住宅の屋内情報管理装置10から起動トリガー(定時/ユーザ指示時など)を受信することで処理を開始する。
【0060】
住宅の屋内情報管理装置10は、判定条件記憶部153から在宅時の判定条件ファイル(
図7参照)を取得している。屋内情報管理装置10は、在宅時における
起動トリガー指定に従い、屋内の各種計測機器から直近データである生体情報(在宅時健康状態データ)を在宅時健康状態登録部111に送信する。在宅時健康状態登録部111は、在宅時健康状態テーブル212に受信したデータを保存する。判定部151は、屋内情報管理装置10に含まれる個人コードおよび起動トリガーを受信して判定処理を開始する。
【0061】
図10に示すように、判定部151は、ステップS101において、屋内情報管理装置10パラメータとして渡される判定条件識別コードに該当する判定条件ファイルを判定条件記憶部153から取得する(
図7参照)。
【0062】
ステップS102において、判定部151は、判定条件に定義された条件の一つを読み出す。そして、ステップS103からステップS110を繰り返し、処理する条件が全てなくなったらステップS111に遷移する。
【0063】
ステップS103において、判定部151は、条件に定義されたデータ区分と対象項目に基づき、在宅時健康状態テーブル212から車内情報管理装置20から取得した個人コードの条件に定義された対象値確定期間項目に合致する対象項目の値を全て取得する。
【0064】
ステップS104において、判定部151は、取得した対象項目の対象値が複数ある場合、条件に定義された対象値確定方法(平均)に従って対象確定値を求める。取得した対象値が単一の場合、その値を対象確定値とする。
【0065】
ステップS105において、判定部151は、条件に定義された比較対象項目により固定値の場合ステップS106に進み、条件に定義された比較値(固定値)項目の値を、比較確定値とする。過去値の場合ステップS107に進む。
【0066】
ステップS107において、判定部151は、過去の値を比較に使用する。具体的に、判定部151は、条件に定義された比較データ区分、比較対象項目に合致するテーブル212から、屋内情報管理装置10から渡された個人コードの、条件に定義された比較値確定期間に合致する、条件に定義された対象項目の値を全て取得する。
【0067】
ステップS108において、判定部151は、取得した比較対象項目の比較値が複数ある場合、条件に定義された比較値確定方法(平均)の項目に基づき、ステップS107で取得した値から比較確定値を算出する。そして、取得した比較値が単一の場合、その値を比較確定値とする。
【0068】
ステップS109において、判定部151は、ステップS103~ステップS109で算出した対象確定値と比較確定値を、条件に定義された比較方法(以上)を使って比較する。ステップS110において、判定部151は、ステップS109での比較結果が「偽」の場合、処理を終了する。一方、判定部151は、「真」の場合ステップS111に遷移する。
【0069】
ステップS111において、判定部151は、判定条件に定義されたアクション種別に基づいて、住宅警告装置11により居住者に対して助言、または、警告を行うか、または、緊急連絡先に自動的に連絡する。
【0070】
更により具体的な
図10の例を
図11および
図12を参照して説明する。
屋内情報管理装置10は、対象者が血糖値計測を実施すると、起動トリガー情報“血糖値計測”と、個人コードとを引数として、
図10の処理を起動する。
【0071】
ステップS101において、判定部151は、複数の判定条件の中から、起動トリガー項目値が、屋内情報管理装置10から渡された起動トリガー情報に合致する判定条件を取り出す。ここでは、
図11および
図12において、両方が血糖値計測で合致するので、これら2つの判定条件を処理する。
【0072】
先ず、
図11の判定条件を処理する。
ステップS102において、判定部151は、
図11の判定条件に設定されている最初の条件を読み出す。
【0073】
ステップS103において、判定部151は、データ区分が“服薬情報”であることから蓄積データである服薬履歴データを保存した
図5(a)の服薬履歴テーブル240を検索対象テーブルとする。そして、対象値確定期間“1ヵ月”であることから現在から過去1ヵ月の範囲を検索条件として、引数の1つである個人コードに一致するレコードを取得する。検索条件に一致するレコードがない場合は、判定条件の次の条件を処理するためステップS102に処理を遷移する。
【0074】
ステップS104において、判定部151は、対象値確定方法で指示されている“最新”に従い、ステップS103で取得したレコードが複数ある場合、その中から“最新”レコードを選択して、対象項目に指示された“薬品名称”データを取得し、対象確定値とする。なお、ステップS103で取得したレコードが1件であれば、そのレコードの“薬品名称”データを取得し、対象確定値とする。ここで、決定された対象確定値が“経口血糖降下剤”であったとする。
【0075】
ステップS105において、判定部151は、判定条件の比較対象が“固定値”であることから、次の処理としてステップS106に遷移する。ステップS106では、判定条件の比較値に設定されている“インスリンor経口血糖降下剤”を比較確定値とする。
【0076】
ステップS109において、判定部151は、判定条件の比較方法に設定されている“等しい”を比較演算子として、ステップS104で決定した対象値を比較演算子の左辺、ステップS106で決定した比較確定値を比較演算子の右辺におく。その演算結果は「真」となる(“経口血糖降下剤”=“インスリンor経口血糖降下剤”)。比較結果が「真」であることから、ステップS102に遷移し、次の条件の処理を行う。
【0077】
ステップS102において、判定部151は、判定条件に設定されている2つ目の条件を読み出す。
ステップS103において、判定部151は、データ区分で指定された“在宅時情報”に従い、直近データである在宅時健康状態データを保存した
図3(a)の在宅時健康状態テーブル212を検索対象テーブルとする。そして、対象値確定期間が“1時間”であることから現在から過去1時間の範囲を検索条件として、引数の1つである個人コードに一致するレコードを取得する。
【0078】
ステップS104において、判定部151は、対象値確定方法で指示されている“最新”に従い、ステップS103で取得したレコードが1つまたは複数ある場合、その中から“最新”レコードを選択して、対象項目に指示された“血糖値”データを取得し、対象確定値とする。ここで、決定された対象確定値が“60mg/dl”であったとする。
【0079】
ステップS105において、判定部151は、判定条件の比較対象が“固定値”であることから、次の処理としてステップS106に遷移する。ステップS106において、判定部151は、判定条件の比較値に設定されている“140mg/dl”を比較確定値とする。
【0080】
ステップS109において、判定部151は、判定条件の比較方法に設定されている“以上”を比較演算子として、ステップS104で決定した対象値を比較演算子の左辺、ステップS106で決定した比較確定値を比較演算子の右辺におく。その演算結果は「偽」となる(“60”≧“140”)。すなわち、ここは、高血糖かどうかを判断しており、血糖値が60(高血糖ではない)なので「偽」となる。比較結果が「偽」であることから、在宅時情報判定処理を終了し、住宅警告装置11に何らアクションを指示しない。
【0081】
なお、「真」となる場合、判定部151は、住宅警告装置11に対し、アクション種別で指定された“警告通知”に従い、“通知内容”に設定された「血糖が高くなっています。食後2時間以内でなければ、血糖値を下げる投薬・処置を忘れていませんか?」といった警告アクションを通知する。
【0082】
続いて、起動トリガー“血糖値計測”に合致する、
図12の判定条件を処理する。
ステップS102において、判定部151は、
図12の判定条件に設定されている最初の条件を読み出す。そして、ステップS103からステップS110を繰り返し、処理する条件が全てなくなったらステップS111に遷移する。
【0083】
ステップS103において、判定部151は、データ区分が“服薬情報”であることから蓄積データである服薬履歴データを保存した
図5(a)の服薬履歴テーブル240を検索対象テーブルとする。そして、対象値確定期間“1ヵ月”であることから現在から過去1ヵ月の範囲を検索条件として、引数の1つである個人コードに一致するレコードを取得する。検索条件に一致するレコードがない場合は、判定条件の次の条件を処理するためステップS102に処理を遷移する。
【0084】
ステップS104において、判定部151は、対象値確定方法で指示されている“最新”に従い、ステップS103で取得したレコードが複数ある場合、その中から“最新”レコードを選択して、対象項目に指示された“薬品名称”データを取得し、対象確定値とする。なお、ステップS103で取得したレコードが1件であれば、そのレコードの“薬品名称”データを取得し、対象確定値とする。ここで、決定された対象確定値が“経口血糖降下剤”であったとする。
【0085】
ステップS105において、判定部151は、判定条件の比較対象が“固定値”であることから、次の処理としてステップS106に遷移する。ステップS106では、判定条件の比較値に設定されている“インスリンor経口血糖降下剤”を比較確定値とする。
【0086】
ステップS109において、判定部151は、判定条件の比較方法に設定されている“等しい”を比較演算子として、ステップS104で決定した対象値を比較演算子の左辺、ステップS106で決定した比較確定値を比較演算子の右辺におく。その演算結果は「真」となる(“経口血糖降下剤”=“インスリンor経口血糖降下剤”)。比較結果が「真」であることから、ステップS102に遷移し、次の条件の処理を行う。
【0087】
ステップS102において、判定部151は、
図12の判定条件に設定されている2つ目の条件を取り出す。
ステップS103において、判定部151は、データ区分が“在宅時健康状態”であることから直近データである在宅時健康状態データを保存した
図3(a)の在宅時健康状態テーブル212を検索対象テーブルとする。そして、対象値確定期間“1時間”であることから現在から過去1時間の範囲を検索条件として、引数の一つである個人コードに一致するレコードを取得する。
【0088】
ステップS104において、判定部151は、対象値確定方法で指示されている“最新”に従い、ステップS103で取得したレコードが複数ある場合、その中から“最新”レコードを選択して、対象項目に指示された“血圧(収縮期)”データを取得し、対象確定値とする。なお、ステップS103で取得したレコードが1件であれば、そのレコードの“血圧(収縮期)”データを取得し、対象確定値とする。ここで、決定された血圧(収縮期)の対象確定値が“105”であったとする。
【0089】
ステップS105において、判定部151は、判定条件の比較対象が“固定値”であることから、次の処理としてステップS106に遷移する。ステップS106において、判定部151は、判定条件の比較値に設定されている“100m/hg”を比較確定値とする。
【0090】
ステップS109において、判定部151は、判定条件の比較方法に設定されている“以上”を比較演算子として、ステップS104で決定した対象値を比較演算子の左辺、ステップS6で決定した比較確定値を比較演算子の右辺におく。その演算結果は「真」となる(“105”≧“100”)。比較結果が「真」であることから、ステップS102に遷移し、次の条件の処理を行う。
【0091】
ステップS102において、判定部151は、
図12の判定条件に設定されている3つ目の条件を取り出す。
ステップS103において、判定部151は、データ区分で指定された“在宅時健康状態”に従い直近データである在宅時健康状態データを保存した、
図3(a)の在宅時健康状態テーブル212を検索対象テーブルとする。そして、対象値確定期間が“1時間”であることから現在から過去1時間の範囲を検索条件として、引数の1つである個人コードに一致するレコードを取得する。検索条件に一致するレコードがない場合は、判定条件の次の条件を処理するためステップS102に処理を遷移する。
【0092】
ステップS104において、判定部151は、対象値確定方法で指示されている“最新”に従い、ステップS103で取得したレコードが1つまたは複数ある場合、その中から“最新”レコードを選択して、対象項目に指示された“血糖値”データを取得し、対象確定値とする。ここで、決定された対象確定値が“60mg/dl”であったとする。
【0093】
ステップS105において、判定部151は、判定条件の比較対象が“固定値”であることから、次の処理としてステップS106に遷移する。ステップS106では、判定条件の比較値に設定されている“70mg/dl”を比較確定値とする。
【0094】
ステップS109において、判定部151は、判定条件の比較方法に設定されている“以下”を比較演算子として、ステップS104で決定した対象値を比較演算子の左辺、ステップS106で決定した比較確定値を比較演算子の右辺におく。その演算結果は「真」となる(“60”≦“70”)。比較結果が「真」であることから、ステップS102に遷移し、次の条件の処理を行う。
【0095】
ステップS102において、判定部151は、判定条件に設定されている4つ目の条件を読み出そうとするが、4つ目の条件は存在しないため、ステップS103からS110の繰り返し処理を終了し、ステップS111に遷移する。
【0096】
ステップS111において、判定部151は、判定条件のアクション種別で指定された“警告通知”に従い、住宅警告装置11に対し、対象者に
図12の判定条件の通知内容に設定された警告を通知するよう指示する。例えば、「低血糖のようです。食事がまだであれば食事を摂ってください。そうでなければ糖分を摂取してください。また、薬の量を間違えていたりたくさん飲んだり、インスリンを多く打ち過ぎたりしていませんか?かかりつけ医に緊急連絡しますか?」といったアクションを住宅警告装置11に対し指示する。
【0097】
さらに、他の判定条件ファイルを使用することで
図8および
図10のようなフローチャートに従えば次のような処理も実行できる。
・例えば、判定部151は、直近データである乗車時健康状態データを保存した乗車時健康状態テーブル222を参酌して、乗車時、心拍数(脈拍数)、呼吸数、体表面温度、血圧などを取得することができる。これにより、運転時における健康状態が適正であるかを判断することができ、適正でないときには運転者などに警告アクションを通知することができる。
【0098】
・判定部151は、直近データを保存した乗車時健康状態テーブル222に加え、蓄積データを保存した生活データテーブル236、就業状態テーブル238などを参酌することで、乗車時、長時間の運転(連続運行時間)や残業(就業情報の残業時間)が続いている状況を判定することができる。さらに、運転時の脈拍の低下、および体温の上昇、また、あくびの回数や瞬き回数の増加を判定できる。このような場合、車内警告装置21に警告などを発し、休憩を促すことができる。
【0099】
・判定部151は、直近データを保存した乗車時健康状態テーブル222に加え、蓄積データを保存したストレスチェック結果テーブル234、生活データテーブル236などを参酌して、乗車時、ストレスチェック(ストレス耐性)が低く、生活データの飲酒量や喫煙量が普段より多い状況を判定することができる。また、運転者データの血圧、脈拍が平常時(生活データの平均)と比較して大幅に高い状況を判定できる。そして、急加速、急ブレーキ、急ハンドルなどを繰り返している場合を判定できる。このような場合、車内警告装置21に注意や警告を発し、落ち着くように促し、さらに繰り返す場合は、ハザードなどを点灯し、自動的に停車させることができる。
【0100】
・判定部151は、直近データを保存した乗車時健康状態テーブル222に加え、蓄積データを保存した健診結果テーブル232、生活データテーブル236、個人メディカルレコードテーブル242、個人属性テーブル244などを参酌して、60歳以上で、直近(1年以内)の健診結果において高血圧症リスクおよび脂質異常症リスクが高く、毎日喫煙している状況を判定できる。そして、乗車時、運転者データの血圧、脈拍が予め設定された許容範囲から外れている場合を判定できる。このような場合には、脳卒中などの危険性があるため警告などを車内警告装置21に発し、休憩を促すことができる。また、てんかんなどの既往歴があり、運転者データの血圧、脈波が予め設定された時間内に、予め設定された割合より大きく上下した場合には発作が起きる可能性がある。そこで、車内警告装置21に警告を発することができる。さらに、血圧、脈波が予め設定された値を下回った場合には、意識を失った可能性があるためハザードなどを点灯し、自動的に停車させ、かかりつけ医または緊急連絡先にメールで緊急通知を行うことができる。
【0101】
・判定部151は、直近データを保存した在宅時健康状態テーブル212に加え、蓄積データを保存した個人メディカルレコードテーブル242、健診結果テーブル232、生活データテーブル236などを参酌して、住居者に在宅時、認識した居住者に狭心症や心筋梗塞などの既往歴があることを判定できる。そして、直近(1年以内)の健診結果において高血圧症リスクおよび脂質異常症リスクが高く、毎日喫煙しており、在宅時データの血圧、脈拍が予め設定された許容範囲から外れている場合を判定することができる。このような場合には、脳卒中や脳梗塞などの危険性があるため音声またはテキストによる警告などを住宅警告装置11に発することができる。また、その後、在宅時健康状態テーブル212を参酌して、在宅時データにおいて予め設定された時間以上動きがなかった場合、かかりつけ医や緊急連絡先に電話またはメールなどで緊急通知を行うことができる。
【0102】
・判定部151は、直近データを保存した在宅時健康状態テーブル212に加え、蓄積データを保存した就業状態テーブル238などを参酌して、居住者の残業(就業情報の残業時間)が続いている状況において、在宅時に、寝室以外の場所において予め設定された時間以上動きがなかった場合を判定することができる。このような場合、音声などによって警告を住宅警告装置11に発することができる。また、発火の可能性のある調理器具などが動作していた場合は停止させる。
【0103】
上記ヘルスケアシステムによれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)ヘルスケア対象者の在宅時または乗車時における健康状態を判断するにあたって、直近データである在宅時または乗車時における健康状態データに加え、健診結果テーブル232、生活データテーブル236、服薬履歴テーブル240の少なくとも何れかの蓄積データも参酌して、必要に応じて、ヘルスケア対象者など警告を発することができる。
【0104】
(2)さらに、ストレスチェック結果テーブル234のストレスチェック結果データ(蓄積データ)も参酌して、ヘルスケア対象者など警告を発することができる。
(3)加えて、就業状態テーブル238の就業状態データ(蓄積データ)も参酌して、ヘルスケア対象者など警告を発することができる。
【0105】
(4)加えて、個人メディカルレコードテーブル242の個人メディカルレコードデータ(蓄積データ)も参酌して、ヘルスケア対象者など警告を発することができる。
なお、上記ヘルスケアシステムは、以下のように適宜変更して実施することもできる。
【0106】
・蓄積データの中には、個人メディカルレコードデータを含んでいなくてもよい。
・蓄積データの中には、就業状態データを含んでいなくてもよい。
・第2データの中には、ストレスチェック結果データを含んでいなくてもよい。
【0107】
・蓄積データとしては、健診結果データ、生活データ、服薬履歴データの少なくとも1つで構成されていればよい。
【符号の説明】
【0108】
10…屋内情報管理装置
11…住宅警告装置
12…住宅通信機器
13,14…端末
20…車内情報管理装置
21…車内警告装置
22…車両通信機器
30…医療機関端末
100…ヘルスケアサーバ