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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】検査支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/277 20060101AFI20240807BHJP
【FI】
G06F11/277
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023005630
(22)【出願日】2023-01-18
(62)【分割の表示】P 2020103767の分割
【原出願日】2020-06-16
(65)【公開番号】P2023052461
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2023-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2019148337
(32)【優先日】2019-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314003786
【氏名又は名称】Network Engineering株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205084
【弁理士】
【氏名又は名称】吉浦 洋一
(72)【発明者】
【氏名】前原 彩乃
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-088124(JP,A)
【文献】特開2008-304228(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0361805(US,A1)
【文献】特開2007-065417(JP,A)
【文献】特開2002-034022(JP,A)
【文献】野田 幾子,マックOS 9.2.1対応 コンパネ決め技・効かせ技!! 気づかなかったエッセンスが満載,Mac People Vol.7 No.19 ,日本,株式会社アスキー,2001年10月01日,第7巻,52,CS-ND-2003-01129-001
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/277
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工場から市場に出荷された後のコンピュータの検査を支援する検査支援システムであって、
前記検査支援システムは、
前記コンピュータの入力装置での入力に対応する信号を検出する入力信号検出処理部と、
前記コンピュータの表示装置の全部または一部を、少なくともサブピクセルで用いる色で表示させるドット抜け処理部と、
左右の音バランスを変更し、その音バランスによって、前記コンピュータの音出力装置から音を出力させる音出力処理部と、
を有することを特徴とする検査支援システム。
【請求項2】
前記検査支援システムは、
仮想的な入力装置の表示領域を含む検査画面を表示する表示処理部、を有しており、
前記表示処理部は、
前記検査画面の一部または全部を画像形式で保存可能とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の検査支援システム。
【請求項3】
工場から市場に出荷された後のコンピュータの検査を支援する検査支援システムであって、
前記検査支援システムは、
前記コンピュータの入力装置での入力に対応する信号を検出する入力信号検出処理部と、
前記コンピュータの表示装置の全部または一部を、少なくともサブピクセルで用いる色で表示させるドット抜け処理部と、
左右の音バランスを変更し、その音バランスによって、前記コンピュータの音出力装置から音を出力させる音出力処理部と、
仮想的な入力装置の表示領域を含む検査画面を表示する表示処理部と、を有しており、
前記表示処理部は、
前記検査画面の一部または全部を画像形式で保存可能とし、
前記検査画面において、日付若しくは日時および/または検査担当者入力欄を表示しており、
前記検査画面の一部または全部を画像形式で保存する操作を受け付けると、前記日付若しくは日時および/または検査担当者入力欄に入力された検査担当者の特定情報を、前記検査画面の一部または全部とともに画像形式で保存する、
ことを特徴とする検査支援システム。
【請求項4】
工場から市場に出荷された後の検査対象のコンピュータを、
前記コンピュータの入力装置での入力に対応する信号を検出する入力信号検出処理部、
前記コンピュータの表示装置の全部または一部を、少なくともサブピクセルで用いる色で表示させるドット抜け処理部、
左右の音バランスを変更し、その音バランスによって、前記コンピュータの音出力装置から音を出力させる音出力処理部、
として機能させることを特徴とする検査支援プログラム。
【請求項5】
工場から市場に出荷された後の検査対象のコンピュータを、
前記コンピュータの入力装置での入力に対応する信号を検出する入力信号検出処理部、
前記コンピュータの表示装置の全部または一部を、少なくともサブピクセルで用いる色で表示させるドット抜け処理部、
左右の音バランスを変更し、その音バランスによって、前記コンピュータの音出力装置から音を出力させる音出力処理部、
仮想的な入力装置の表示領域を含む検査画面を表示する表示処理部、として機能させる検査支援プログラムであって
前記表示処理部は、
前記検査画面の一部または全部を画像形式で保存可能とし、
前記検査画面において、日付若しくは日時および/または検査担当者入力欄を表示しており、
前記検査画面の一部または全部を画像形式で保存する操作を受け付けると、前記日付若しくは日時および/または検査担当者入力欄に入力された検査担当者の特定情報を、前記検査画面の一部または全部とともに画像形式で保存する、
ことを特徴とする検査支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
コンピュータの簡易的な検査の支援を行う検査支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータが出荷される場合、コンピュータの組立工場において、そのコンピュータが正常に動作するかの検査が行われた上で、市場に出荷されている。そのため、正常に作動しない不良品については、市場に出荷されないことが原則となっている。そしてこの動作の検査は、たとえばキーボード、表示装置(モニタ)のドット抜け、スピーカなどに対しても行われている。
【0003】
キーボードであればボタンを押下したときに正常に入力が検知されるか、表示装置であればドット抜けがないか、スピーカであれば正常に音が出力されるか、などが検査の対象となる。
【0004】
キーボードに関する検査を行う従来技術の一例を下記特許文献1に、表示装置に関する検査を行う従来技術の一例を下記特許文献2に、スピーカに関する検査を行う従来技術の一例を下記特許文献3に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭53-54417号公報
【文献】特開2008-304228号公報
【文献】特開平6-311579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コンピュータで利用するキーボード、表示装置、スピーカに関する検査は、上述の各特許文献に示すように、専用の検査機能や検査装置を用いて検査されている。そのため、すでに市場に流通しているコンピュータで利用するキーボード、表示装置、スピーカについての初期不良の可能性は低い。
【0007】
その一方、工場における出荷時の検査では見過ごされる不良が必ずしもないとはいえない。また、出荷時には正常であったものの、販売店までへの輸送中など、何らかの理由によって、コンピュータで利用するキーボード、表示装置、スピーカが購入者に納品されたときには正常に動作しない場合もある。
【0008】
また、特に表示装置のドット抜けについては、メーカは一定数以下のドット抜けは、商品特性上、初期不良としていない場合もある。しかし、メーカが初期不良としていないドット数以下のドット抜けであっても、コンピュータの購入者がドット抜けを好まない場合もあり、販売店に対して交換を要求する場合もある。このような交換要求に対しては、販売店としては顧客サービスの一環として交換をする場合もある。
【0009】
しかし、販売店では、メーカが工場出荷時に使用するような専用の検査機能や検査装置を有していないこともあり、キーボードや表示装置、スピーカに関する検査は行われていないことが一般的である。そのため、上記のような状況があった場合、販売店としては、購入者からのクレームなどによってそれを把握し、その都度対応することとなるが、そもそもクレームがあること自体が販売店にとって好ましくない。
【0010】
そこで、販売店においても簡易的な検査が行えるような支援システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は上記課題に鑑み、コンピュータの簡易的な検査の支援を行う検査支援システムに関する。
【0012】
第1の発明は、工場から市場に出荷された後のコンピュータの検査を支援する検査支援システムであって、前記検査支援システムは、前記コンピュータの入力装置での入力に対応する信号を検出する入力信号検出処理部と、前記コンピュータの表示装置の全部または一部を、少なくともサブピクセルで用いる色で表示させるドット抜け処理部と、左右の音バランスを変更し、その音バランスによって、前記コンピュータの音出力装置から音を出力させる音出力処理部と、を有する検査支援システムである。
【0013】
本発明の検査支援システムを用いることによって、工場から出荷された後、販売店などにおいて、コンピュータの簡易的な検査を行うことができる。とくに、出荷後のコンピュータの入力装置、表示装置、音出力装置について、専用の検査装置を用いずに、まとめて簡易的な検査を行うことができる。
【0014】
上述の発明において、前記検査支援システムは、仮想的な入力装置の表示領域を含む検査画面を表示する表示処理部、を有しており、前記表示処理部は、前記検査画面の一部または全部を画像形式で保存可能とする、検査支援システムのように構成することができる。
【0015】
検査の結果を画像形式で保存可能とすることで、記録として残せることが好ましい。
【0016】
第3の発明は、工場から市場に出荷された後のコンピュータの検査を支援する検査支援システムであって、前記検査支援システムは、前記コンピュータの入力装置での入力に対応する信号を検出する入力信号検出処理部と、前記コンピュータの表示装置の全部または一部を、少なくともサブピクセルで用いる色で表示させるドット抜け処理部と、左右の音バランスを変更し、その音バランスによって、前記コンピュータの音出力装置から音を出力させる音出力処理部と、仮想的な入力装置の表示領域を含む検査画面を表示する表示処理部と、を有しており、前記表示処理部は、前記検査画面の一部または全部を画像形式で保存可能とし、前記検査画面において、日付若しくは日時および/または検査担当者入力欄を表示しており、前記検査画面の一部または全部を画像形式で保存する操作を受け付けると、前記日付若しくは日時および/または検査担当者入力欄に入力された検査担当者の特定情報を、前記検査画面の一部または全部とともに画像形式で保存する、検査支援システムである。
【0017】
日付若しくは日時、検査担当者の特定情報は、画像ファイルのメタ情報からも特定することができなくはないが、改変も容易である。そのため、画像形式で保存できることが好ましい。
【0018】
第1の発明の検査支援システムは、本発明のプログラムを、検査対象とするコンピュータに読み込ませて実行することで、当該コンピュータの簡易的な検査を実現することができる。すなわち、工場から市場に出荷された後の検査対象のコンピュータを、前記コンピュータの入力装置での入力に対応する信号を検出する入力信号検出処理部、前記コンピュータの表示装置の全部または一部を、少なくともサブピクセルで用いる色で表示させるドット抜け処理部、左右の音バランスを変更し、その音バランスによって、前記コンピュータの音出力装置から音を出力させる音出力処理部、として機能させる検査支援プログラムである。
第3の発明の検査支援システムは、本発明のプログラムを、検査対象とするコンピュータに読み込ませて実行することで、当該コンピュータの簡易的な検査を実現することができる。すなわち、工場から市場に出荷された後の検査対象のコンピュータを、前記コンピュータの入力装置での入力に対応する信号を検出する入力信号検出処理部、前記コンピュータの表示装置の全部または一部を、少なくともサブピクセルで用いる色で表示させるドット抜け処理部、左右の音バランスを変更し、その音バランスによって、前記コンピュータの音出力装置から音を出力させる音出力処理部、仮想的な入力装置の表示領域を含む検査画面を表示する表示処理部、として機能させる検査支援プログラムであって前記表示処理部は、前記検査画面の一部または全部を画像形式で保存可能とし、前記検査画面において、日付若しくは日時および/または検査担当者入力欄を表示しており、前記検査画面の一部または全部を画像形式で保存する操作を受け付けると、前記日付若しくは日時および/または検査担当者入力欄に入力された検査担当者の特定情報を、前記検査画面の一部または全部とともに画像形式で保存する、検査支援プログラムである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の検査支援システムを用いることで、専門的な装置を用いずとも、コンピュータの簡易的な検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の検査支援システムの全体の構成の一例を模式的に示すブロック図である。
図2】本発明の検査支援システムで用いるコンピュータのハードウェア構成の一例を模式的に示すブロック図である。
図3】本発明の検査支援システムの処理プロセスの一例を示すフローチャートである。
図4】検査画面の一例を示す図である。
図5】「A」のキーが正常に動作することが表示された状態の検査画面の一例を示す図である。
図6】キーボードにおいて逐次、キーの入力が行われ、押下されたキーが正常に動作することが表示された状態の検査画面の一例を示す図である。
図7】同じ種別でも異なる位置にあるキーについて、どの位置のキーが押下されたかを識別して認識し、検査画面で表示した状態の一例を示す図である。
図8】実施例2において、テンキー、機能キー、特殊キーの入力がなされる前の検査画面の一例を示す図である。
図9】実施例2において、テンキーおよび機能キーの入力がなされた場合の検査画面の一例を示す図である。
図10】実施例2において、特殊キーの入力がなされた場合の検査画面の一例を示す図である。
図11】実施例3において、検査結果保存ボタンを備えた検査画面の一例を示す図である。
図12】実施例3において、検査結果保存ボタン107が選択されて保存された検査画面の画像の一例を示す図である。
図13】実施例3において、検査結果保存ボタン107が選択されて保存された検査画面の画像のほかの一例を示す図である。
図14】実施例4において、日付表示欄と検査担当者入力欄を設けた検査画面の一例を示す図である。
図15】実施例4において、保存された検査画面の画像の一例を示す図である。
図16】実施例4において、日時表示欄と検査担当者入力欄を設けた検査画面の一例を示す図である。
図17】実施例4において、保存された検査画面の画像の一例を示す図である。
図18】実施例5において、日本語キーボードが選択されている場合の検査画面の一例を示す図である。
図19】実施例5において、英字キーボードが選択されている場合の検査画面の一例を示す図である。
図20】実施例5において、Mac用のキーボードが選択されている場合の検査画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の検査支援システム1の全体の構成の一例を図1のブロック図に模式的に示す。また、本発明の検査支援システム1で用いるコンピュータ2のハードウェア構成の一例のブロック図を図2に示す。
【0022】
本発明の検査支援システム1は、本発明の各処理部の機能を実現するプログラムがコンピュータ2に読み込まれることで検査支援システム1を実現する。この際のコンピュータ2は、検査の対象となるコンピュータ2である。コンピュータ2は、プログラムの演算処理を実行するCPUなどの演算装置70と、情報を記憶するRAMやハードディスクなどの記憶装置71と、ディスプレイなどの表示装置72と、情報の入力を行うキーボードなどの入力装置73と、演算装置70の処理結果や記憶装置71に記憶する情報の通信をする通信装置74とスピーカなどの音出力装置75とを有している。なお、コンピュータ2がタッチパネルディスプレイを備えている場合には表示装置72と入力装置73とが一体的に構成されていてもよい。コンピュータ2とは、たとえばデスクトップ型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ(ノート型コンピュータ)のほか、タブレット型コンピュータなどがある。
【0023】
タッチパネルディスプレイは、そのディスプレイ上で、直接、所定の入力デバイス(タッチパネル用のペンなど)や指などによって入力を行える点で、表示装置72と入力装置73の機能が一体化した装置である。
【0024】
本発明の検査支援システム1における各手段は、その機能が論理的に区別されているのみであって、物理上あるいは事実上は同一の領域を為していてもよい。
【0025】
検査支援システム1では、工場から市場に出荷された後の検査対象とするコンピュータ2に本発明の検査支援システム1を実現するためのプログラム(検査支援プログラム)を読み込ませて、所定の方法でインストールを行う。このコンピュータ2には、OSがすでにインストールされており、OS上で機能するアプリケーションプログラムとして上述の検査支援プログラムをインストールする。これによって、検査対象とするコンピュータ2において、検査支援システム1を実現することができる。
【0026】
検査支援システム1は、表示処理部20と入力信号検出処理部21とドット抜け処理部22と音出力処理部23とを有する。
【0027】
表示処理部20は、コンピュータ2において所定の操作を受け付けることで、図4に示す検査画面100を表示装置72に表示する。検査画面100は、標準的なキーボードを仮想的に表現したキーボード表示領域101と、ドット抜け検査のためのドット抜けチェッカー表示領域102と、音出力検査のためのサウンドチェッカー表示領域103とを有する。なお、図4では、検査画面100が一つのウィンドウである場合を示したが、複数のウィンドウから構成されていてもよい。
【0028】
入力信号検出処理部21は、当該コンピュータ2の入力装置73であるキーボードのキーが押下されることで出力される入力信号を監視して検出する。キーボードのキーが押下されることで出力される入力信号は、各キーによって相違している。そのため、入力信号の出力を監視して検出することで、入力装置73であるキーボードにおけるどのキーが押下されたかを認識できる。
【0029】
入力信号検出処理部21は、検出した入力信号に対応するキーを認識し、当該認識したキーの情報を表示処理部20に渡すことで、表示処理部20において、キーが押下されたことを示す所定の表示変更処理、たとえばキーの反転表示などをさせる。たとえば「A」のキーボードが押下された場合、検査画面100のキーボード表示領域101において、「A」を反転表示する。これを模式的に示すのが図5である。
【0030】
そして、逐次、キーボードにおけるキーが押下されることで、入力信号検出処理部21は、検出した入力信号に対応するキーを認識し、当該認識したキーの情報を表示処理部20に渡すことで、表示処理部20において、認識したキーの表示の変更処理を行わせる。これを模式的に示すのが図6である。このように、入力装置73におけるキーボードのキーが押下されることで、それが正常に動作していれば、検査画面100のキーボード表示領域101におけるキーの表示が変更されるので、検査担当者はキーの正常動作を容易に認識できる。
【0031】
また、シフトキー、Altキー、リターンキー(エンターキー)などのように、同じ種別のキーであっても、異なる位置に複数あるキーもある。この場合であっても、キー自体から出力される入力信号そのものを検出していることから、どの位置のキーが押下されたかを識別して認識し、検査画面100に表示することもできる。これを示すのが図7である。
【0032】
なお、入力信号検出処理部21は、検査画面100のウィンドウがアクティブとなっている間、コンピュータ2の入力装置73であるキーボードのキーが押下されることで出力される入力信号を監視して検出し、検出した入力信号に対応するキーを認識して、そのキーの表示の変更をおこなうことがよい。入力信号の検出は、検査画面100のウィンドウがアクティブとなっている間に限らず、検査画面100のウィンドウが非アクティブであっても行い、認識したキーの表示変更をアクティブとなっている間に限って行うようにしてもよい。
【0033】
さらに、検査画面100のウィンドウが非アクティブとなっている間についても、バックグラウンドでコンピュータ2の入力装置73であるキーボードのキーが押下されることで出力される入力信号を監視して検出し、検出した入力信号に対応するキーを認識して、そのキーの表示の変更をおこなってもよい。
【0034】
ドット抜け処理部22は、表示処理部20が表示する検査画面100において、ドット抜けチェッカー表示領域102の色が選択されたことを判定すると、表示装置72の全体または一部をその選択された色で表示させる。ドット抜けチェッカー表示領域102では、ドット(一画素)で用いる三原色(赤(R)、緑(G)、青(B))(サブピクセルで用いる各色)のほか、黒(K)の選択を行えてもよい。これを少なくとも三原色に対して行い、それを検査担当者が目視により確認することで、ドット抜けがあるかを検査担当者が目視により確認できる。なお、所定の操作、たとえばエスケープキーの選択を受け付けることで、ドット抜け処理部22は、表示装置72の表示を元の状態に戻す。なお、ドット抜けとは、表示装置72を構成する画素が点灯しない、あるいは常時点灯状態となるなどの事象である。
【0035】
音出力処理部23は、表示処理部20が表示する検査画面100において、サウンドチェッカー表示領域103が選択されたことを選択すると、その選択に応じて、スピーカなどの音出力装置75の音バランスを変更し、変更した音バランスにより所定の音を出力する。たとえば、「左スピーカ」が選択された場合、たとえばコンピュータ2のOSが管理するスピーカ設定において、「左スピーカ」のみから音が出力されるように音バランスを変更し、所定の音を出力させる。出力された音を検査担当者が聴取することで、スピーカなどの音出力装置75からの音出力を確認する。なお、所定の操作、たとえば入力装置73のマウスのクリックなどの操作を受け付けることで、音出力処理部23は、音の出力を中止し、音バランスを標準状態(変更前)に戻す。
【0036】
また、「右スピーカ」が選択された場合、たとえばコンピュータ2のOSが管理するスピーカ設定において、「右スピーカ」のみから音が出力されるように音バランスを変更し、所定の音を出力させ、所定の操作を受けることで、音の出力を中止し、音バランスを標準状態(変更前)に戻す。
【0037】
同様に、「左右スピーカ」が選択されることで、たとえばコンピュータ2のOSが管理するスピーカ設定において、「左右スピーカ」から50%ずつ音が出力されるように音バランスを変更し、所定の音を出力させ、所定の操作を受けることで、音の出力を中止し、音バランスを標準状態(変更前)に戻す。
【実施例1】
【0038】
つぎに本発明の検査支援システム1の処理プロセスの一例を図2のフローチャートを用いて説明する。
【0039】
工場から出荷され、販売店で販売されるコンピュータ2について、本発明の検査支援システム1によりコンピュータ2の簡易的な動作検査を行う場合、検査対象とするコンピュータ2に所定の方法で検査支援プログラムをインストールする。そして所定の操作をすることで起動し(S100)、表示処理部20が表示装置72に検査画面100を表示させる(S110)。
【0040】
検査画面100を表示後、所定の操作入力を受け付けることで(S120)、キーボードなどの入力装置73の動作検査、表示装置72のドット抜け検査、スピーカなどの音出力装置75の音出力検査などを、検査担当者は実行する。
【0041】
キーボードなどの入力装置73の動作検査を行う場合、コンピュータ2のキーボードにおけるキーを押下する。キーが押下されることでキーボードは、押下されたキーに対応する入力信号を出力するので、入力信号検出処理部21はそれを検出し(S130)、どのキーが押下されたかを認識する。そして入力信号検出処理部21は、押下されたキーを認識すると、その情報を表示処理部20に渡し、検査画面100におけるキーボード表示領域101のキーの表示を反転表示させるなどして、表示変更させる(S140)。そして検査対象とするキー、好ましくはキーボードなどの入力装置73におけるすべてのキーが押下されると、検査画面100におけるキーボード表示領域101のキーの表示がすべて反転表示されるので、すべてのキーが正常に動作することを検査担当者は認識できる。
【0042】
また、表示装置72のドット抜け検査を行う場合、検査画面100におけるドット抜けチェッカー表示領域102において、検査する色を選択すると、ドット抜け処理部22はその色の選択を受け付けることで、表示装置72の全体または一部を選択された色で表示する(S150)。
【0043】
たとえば「R」が選択された場合には、ドット抜け処理部22は、表示装置72の全体を「赤」で表示させることで、「赤」の画素のドット抜けを検査担当者は目視で行う。同様に、検査担当者は、「G」、「B」を選択することで、ドット抜け処理部22は、表示装置72の全体を「緑」、「青」で表示させることで、「緑」、「青」での画素のドット抜けを検査担当者は目視で行う。また、「K」を選択することで、「赤」、「緑」、「青」のすべての画素が非表示となった状態で「黒」が正常に表示されるかを検査担当者は目視で行う。
【0044】
以上のような処理で、検査担当者は、当該コンピュータ2の表示装置72のドット抜け検査が行える。
【0045】
さらに、スピーカなどの音出力装置75の音出力検査を行う場合、検査画面100におけるサウンドチェッカー表示領域103において、音出力するスピーカを選択すると、音出力処理部23は、その選択に応じて、OSが管理するスピーカ設定における音バランスを変更し(S160)、変更した音バランスで所定の音を出力させる(S170)。
【0046】
「左スピーカ」が選択された場合、OSが管理するスピーカ設定において、「左スピーカ」のみから音が出力されるように音バランスを変更し、所定の音を出力させる。出力された音を検査担当者が聴取することで、左側のスピーカから正常に音が出力されているかを確認する。また、「右スピーカ」が選択された場合、OSが管理するスピーカ設定において、「右スピーカ」のみから音が出力されるように音バランスを変更し、所定の音を出力させる。出力された音を検査担当者が聴取することで、右側のスピーカから正常に音が出力されているかを確認する。さらに、「左右スピーカ」が選択されることで、OSが管理するスピーカ設定において、「左右スピーカ」から50%ずつ音が出力されるように音バランスを変更し、所定の音を出力させる。出力された音を検査担当者が聴取することで、右側のスピーカから正常に音が出力されているかを確認する。
【0047】
以上のような処理で、検査担当者は、当該コンピュータ2のスピーカなどの音出力装置75の音出力検査が行える。
【0048】
なお、本発明の検査支援システム1の入力信号検出処理部21は、OSが管理するシステム情報から、キーボードやコンピュータ2の型式を識別する識別情報、メーカを識別する識別情報などの関連情報を取得することで、その型式やメーカ独特の特殊キーの動作検査をできるようにしてもよい。この場合、キーボードやコンピュータ2の型式やメーカと、その型式やメーカのキーボードのキーから出力される入力信号の情報、特に特殊キーの入力信号とを記憶しておくことで、標準的なキーボードには存在しない、独自の特殊キーについても対応することができる。また、キーボードやコンピュータ2の型式、メーカなどの関連情報と特殊キーの入力信号との対応関係を所定のウェブサイトなどからダウンロードして取得してもよい。
【0049】
さらに、表示処理部20は、上述のキーボードやコンピュータ2の型式を識別する識別情報を取得した場合、検査画面において、前記取得した識別情報に基づいて、対応するキーボードの配列に応じた表示をキーボード表示領域101で行ってもよい。この場合、キーボードやコンピュータ2の型式を識別する識別情報と、キーボードの配列とを対応づけておくことでそれを検査画面100のキーボード表示領域101で行うことができる。
【0050】
入力装置73としてはキーボードのほか、マウスなどであってもよい。
【0051】
音出力装置75としては、スピーカの場合を説明したが、たとえばイヤホン、ヘッドフォンなどでも同様に実現できる。
【0052】
さらに、本発明の検査支援システム1では、キーボード、ドット抜け、音出力のいずれもが正常に完了した場合には、それを示す情報を検査画面100で入力すると、自動的に検査支援プログラムをアンインストールするように実行してもよい。たとえば、キーボード表示領域101のすべてのキーが反転表示され、ドット抜けチェッカー表示領域102に設けたドット抜けがないことを示す入力領域に正常に完了の入力がされ、サウンドチェッカー表示領域103に設けた音出力のアランスが正常であることを示す入力領域に正常に完了の入力がされた場合、それを検出すると、自動的に検査支援プログラムをアンインストールするように実行させてもよい。
【0053】
本発明の検査支援システム1は、OS上で動作するので、どの機種どのメーカのコンピュータ2であっても処理することができる。
【実施例2】
【0054】
本発明の別の実施態様として、テンキー、機能キーおよび/または特殊キーを最初はキーボード表示領域101で表示をしないようにしていてもよい。ノート型コンピュータの場合にはテンキーや機能キーはコンピュータ2のキーボードには存在していない場合がある。また、キーボードの種類によっては、標準的な配列のキーボードには存在しない特殊キーが存在している場合もある。
【0055】
この場合、本発明の検査支援システム1における表示処理部20は、検査画面100のキーボード表示領域101において、当初は、テンキー、機能キーおよび/または特殊キーは表示をせず、テンキー、機能キーおよび/または特殊キーの入力がなされたことにより、入力信号検出処理部21でそれを検出した場合に、テンキー表示領域104、機能キー表示領域105および/または特殊キー表示領域106に、当該入力がなされたテンキー、機能キーおよび/または特殊キーの表示を行ってもよい。この場合、入力がなされたテンキー、機能キーおよび/または特殊キーについては、反転表示した状態でテンキー表示領域104、機能キー表示領域105および/または特殊キー表示領域106で表示することがよい。
【0056】
テンキー、機能キーおよび/または特殊キーの入力がなされる前の検査画面100の一例を図8に示す。またテンキーおよび機能キーの入力がなされた場合の検査画面100の一例を図9に、特殊キーの入力がなされた場合の検査画面100の一例を図10に示す。
【0057】
なお、機能キーとは、プリントスクリーン、スクロールロック、ポーズ、インサート、ホーム、エンド、ページアップ、ページスクロールなどであって、あらかじめ何らかの操作が割り当てられたキーを意味する。機能キーの多くは標準的なキーボードには存在している。
【0058】
特殊キーは一種の機能キーであるが、標準的なキーボードでは存在しておらず、メーカが独自に機能を割り当てているキーである。とくにノート型コンピュータ(ラップトップ型コンピュータ)の場合に設けられることが多い。たとえばメディアの再生/停止を行う「MediaPlayPause」、音量を下げる「AudioVolumeDown」、音量を上げる「AudioVolumeUp」、消音する「AudioVolumeMute」などのキーがある。
【実施例3】
【0059】
本発明の別の実施態様として、検査結果の保存が行えるようにしてもよい。この場合、検査画面100に検査結果の保存を行うためのボタン(検査結果保存ボタン)107を設け、そのボタンが選択されることで、当該検査画面100をキャプチャし、画像形式で保存を行う。この際に、検査画面100をそのままキャプチャするのではなく、検査画面100におけるキーボード表示領域101をキャプチャし、画像形式で保存を行うとよい。検査結果保存ボタン107を備えた検査画面100の一例を図11に示す。また検査結果保存ボタン107が選択されて保存された検査画面100の画像200の一例を図12に示す。図12では、すべてのキーについて入力の検査が行われた場合(キーボード表示領域101ですべてのキーが反転表示された場合)を示している。そのため、検査結果保存ボタン107が選択された際に、すべてのキーの入力の検査が行われていない場合には、入力検査が行われたキーは反転表示、行われていないキーは通常表示または表示されない。この場合の検査結果100の画像200を模式的に示すのが図13である。
【実施例4】
【0060】
本発明の別の実施態様として、検査を行った日付、検査を行った検査担当者の入力が行えてもよい。この場合の検査画面100の一例を図14に示す。この場合、検査を行った日付は、たとえば検査支援システム1がコンピュータ2で管理しているカレンダーなどの日付の情報を抽出して検査画面100の日付表示欄108に日付を表示する。また、検査担当者を特定する情報(氏名や検査担当者を示すコードなど)の入力欄109を検査画面100に設け、その入力欄109に入力を受け付ける。たとえば入力欄109に「山田 太郎」と入力したとする。
【0061】
検査担当者の入力欄109に検査担当者を特定する情報が入力された状態で、検査結果保存ボタン107が選択されると、当該検査画面100のキーボード表示領域101と、日付表示欄108、入力欄109に入力された検査担当者を特定する情報がキャプチャされ、画像形式で保存が行われる。保存された検査画面100の画像200の一例を図15に示す。
【0062】
図15に示す検査画面100の画像200では、検査を行った日付、検査担当者を特定する情報も画像形式で保存される。そのため、単に検査結果の画面を画像形式で保存したときに日付やコンピュータ2のユーザ名などが画像ファイルのメタ情報として保存される場合よりも、改ざんされにくくなる。そのため、検査結果の真正性を確保することができる。
【0063】
なお、日付以外にも、コンピュータ2が内蔵する時計などの日時の情報を抽出して日時を検査画面100に表示することで、画像200では日時が画像形式で保存されてもよい。日付はコンピュータ2で管理しているカレンダーなどの情報を読み出し、時刻はコンピュータ2に内蔵する時計から時刻情報を読み出すことでそれぞれ特定し、検査画面100の日時表示欄110に日時を表示する。この場合の検査画面100の一例を図16に示す。また、検査画面100の検査結果保存ボタン107が選択されると、当該検査画面100のキーボード表示領域101と、日時表示欄110、入力欄109に入力された検査担当者を特定する情報がキャプチャされ、画像形式で保存が行われる。保存された検査画面100の画像200の一例を図17に示す。
【実施例5】
【0064】
本発明の別の実施態様として、複数のキーボード形式がタブ111などによって切替可能となっていてもよい。日本語キーボード、英字キーボード、Mac用のキーボードではキーの配列などが相違する。そのため、これらを、検査画面100のタブ111などによって、切り替え可能とすることで、適切なキー配列のキーボード表示領域101で検査を行うことができる。タブ111において日本語キーボードが選択されている場合の検査画面100の一例を図18に、タブ111において英字キーボードが選択されている場合の検査画面100の一例を図19に、タブ111においてMac用のキーボードが選択されている場合の検査画面100の一例を図20に示す。
【0065】
本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜、設計変更が可能である。また処理は一例であり、その処理を異なる順番で実行することも可能である。さらに、画面の表示についても適宜、変更可能である。また、すべての機能を備えずとも、一部の機能のみを備えるのであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の検査支援システム1を用いることで、専門的な装置を用いずとも、コンピュータ2の簡易的な検査を行うことができる。
【符号の説明】
【0067】
1:検査支援システム
2:コンピュータ
20:表示処理部
21:入力信号検出処理部
22:ドット抜け処理部
23:音出力処理部
70:演算装置
71:記憶装置
72:表示装置
73:入力装置
74:通信装置
75:音出力装置
100:検査画面
101:キーボード表示領域
102:ドット抜けチェッカー表示領域
103:サウンドチェッカー表示領域
104:テンキー表示領域
105:機能キー表示領域
106:特殊キー表示領域
107:検査画面保存ボタン
108:日付表示欄
109:検査担当者入力欄
110:日時表示欄
111:キーボード形式を切り替えるタブ
200:保存された画像
図1
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図20