(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】育毛用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9783 20170101AFI20240807BHJP
A61Q 7/00 20060101ALI20240807BHJP
A61K 36/48 20060101ALI20240807BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20240807BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
A61K8/9783
A61Q7/00
A61K36/48
A61P17/14
A61P43/00 111
(21)【出願番号】P 2019077368
(22)【出願日】2019-04-15
【審査請求日】2022-04-14
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000162021
【氏名又は名称】共栄化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】澤木 茂
(72)【発明者】
【氏名】澤木 茂豊
(72)【発明者】
【氏名】岩野 英生
(72)【発明者】
【氏名】早川 夏姫
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-105745(JP,A)
【文献】国際公開第01/076614(WO,A1)
【文献】特開平05-213721(JP,A)
【文献】特開2015-199680(JP,A)
【文献】特開2019-014669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K36/00-36/05
A61K36/07-36/9068
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
Science Direct
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
黒大豆
種子の抽出物の
蛋白分解酵素及び脂質分解酵素による加水分解物を有効成分とする
毛乳頭細胞の肝細胞増殖因子産生促進剤。
【請求項2】
黒大豆種子の抽出物の蛋白分解酵素及び脂質分解酵素による加水分解物を有効成分とする毛周期の成長期移行促進剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体安全性にすぐれた育毛用組成物であって、肝細胞増殖因子(HGF)効果を有するものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、加齢、ストレス又は紫外線等の様々な要因により、頭皮がダメージを受け、男性だけでなく女性も毛髪のトラブルを抱える人が増加しており、これに対応して様々な毛髪化粧料が提案されている。従来、毛髪のトラブルとして、男性型脱毛症(壮年性脱毛症)や女性型脱毛症(女性に生じた男性型脱毛症)の研究が行われ、これらの脱毛症に男性ホルモンが関与していることが明らかとなり、毛髪トラブルの改善剤として様々な抗男性ホルモン剤が提案されている。
【0003】
以上のような頭皮の老化、不健全化を防ぎ、かつ、若々しい状態に保持するため、さらには、上述した頭皮ダメージや抜け毛のメカニズムの研究に基づいて、様々な育毛・養毛剤、脱毛抑制剤(育毛剤等と称する)が提案されている。育毛・養毛の効果を発揮する有効成分として、例えば、ミノキシジルやアデノシンが知られており、これらの成分を配合した育毛剤等が提案されているものの、さらに、天然物由来の育毛用成分が求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、かかる従来技術の問題点に鑑みて、天然物由来の新たな有効成分を見出すべく鋭意研究を行った。その結果、大豆の加水分解物が、毛乳頭細胞に対して、すぐれた肝細胞増殖因子(HGF)合成促進効果を有し、成長期、退行期、休止期を繰り返す毛サイクルを成長期へ促し、育毛、養毛用の組成物として有用であることを新たに見出した。
【0005】
従来、大豆の加水分解物が抗酸化効果、美白効果、抗炎症効果及び体毛成長抑制効果等を有することは特許文献1により知られていたが、大豆の加水分解物が上述した本発明に係る効果を有することは知られていなかった。
【文献】特開2006-290742号
【文献】特開2019-014669号
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、大豆の抽出物の加水分解物を有効成分とする育毛用組成物である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、生体安全性にすぐれ、かつ、すぐれたHGF産生促進効果を有し、育毛、養毛用として有用な組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
また、本発明において、「大豆」とは、マメ科(Fabaceae)ダイズ属(Glycine)の大豆(Glycine max)であって、黒大豆、白大豆、赤大豆、緑大豆の何れでも良い。
【0009】
大豆の加水分解物は、大豆を溶媒で抽出して抽出物を調製する際もしくは抽出後に、抽出物に酵素等による加水分解処理を行うことによって調製することができる。
【0010】
大豆の抽出物の調製に当たって、大豆の抽出部位には特に限定はなく、例えば種子、果実、葉、茎、根、全草など適宜の部分を用いることができるが、種子の使用が好ましい。また、抽出物の調製は、大豆の抽出対象部位を、必要ならば予め水洗して異物を除いた後、これをそのままもしくは乾燥し、さらに必要ならば細切或いは粉砕した上、浸漬法、向流抽出法など常法に従って抽出溶媒と接触せしめることによって行うことができる。又場合によっては、超臨界抽出法を採用してもよい。
【0011】
抽出溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;エチルエーテル、イソプロピルエーテルなどのエーテル類;n-ヘキサン、トルエン、クロロホルムなどの炭化水素系溶媒などが挙げられ、それらは単独でもしくは二種以上混合して用いられる。本発明においては、幅広い製品への適用が可能であるという点からも、水、或いは低級アルコール類、多価アルコール類などの親水性の溶媒が好適に用いられる。抽出溶媒の好ましい例としては、例えば水もしくは低級アルコール類(特にエタノール)の単独使用、水と低級アルコール類(特にエタノール)との混合溶媒或いは水と多価アルコール類(特に1,3-ブチレングリコールもしくはプロピレングリコール)との混合溶媒の使用等が挙げられる。
【0012】
混合溶媒を用いる場合、各溶媒の混合比は、例えば水とエタノールとの混合溶媒であれば、重量比(以下同じ)で1:5~25:1、水と1,3-ブチレングリコールとの混合溶媒であれば、1:5~15:1、又水とプロピレングリコールとの混合溶媒であれば、1:5~15:1の範囲とすることが好ましい。
【0013】
抽出物の調製に当たって、抽出液のpHに特に制限はないが、一般にはpH4~9の範囲とすることが好ましい。加水分解物を調製するに当たって、加水分解処理を抽出と同時に行う場合には、該処理は、酸やアルカリよりも酵素を用いて行うことが望ましく、又この酵素による加水分解処理を抽出と同時に行う場合にあっては、抽出液のpHを酵素の至適pH付近に保持することが好ましい。pHの調整は、前記した抽出溶媒中に、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ性調整剤や、クエン酸、塩酸、リン酸、硫酸などの酸性調整剤等を配合することによって行うことができる。
【0014】
抽出温度、時間等の抽出条件は、用いる溶媒の種類やpH、或いは大豆の抽出部位・細切度等によっても異なるが、例えば水を抽出溶媒とする浸漬法の場合であれば、抽出温度は、一般に4~100℃、好ましくは4~80℃の範囲であり、又抽出時間は、4℃の冷温抽出の場合で1時間~50日間、特に24時間~20日間、40℃の中温抽出の場合で1時間~20日間、特に3時間~5日間、80℃の高温抽出の場合で10分~8時間、特に30分~3時間の範囲とするのがよい。浸漬法の場合、浴比は重量比で、大豆に対して溶媒が一般に1~200倍量、好ましくは1~100倍量の範囲となるようにするのがよい。
【0015】
以上のようにして調製される大豆の加水分解処理は、上記の抽出と同時かもしくはより好適には抽出終了後に、酵素や酸或いはアルカリを用いて行うことができる。
【0016】
酵素により加水分解処理を行う場合は、蛋白分解酵素、澱粉分解酵素、繊維素分解酵素及び脂肪分解酵素から選ばれた1種又は2種以上の使用が挙げられるが、蛋白分解酵素又は蛋白分解酵素と脂肪分解酵素の組み合わせが好ましい。
【0017】
蛋白分解酵素は、動物由来酵素、植物由来酵素、及び微生物由来の酵素のいずれでも良い。例えば、アクチナーゼ類、ペプシンなどのペプシン類、トリプシンなどのトリプシン類、パパイン、キモパパインなどのパパイン類、グリシルグリシンペプチターゼ、カルボキシペプチターゼ、アミノペプチターゼなどのペプチターゼ類、ブロメラインなどが挙げられる。また、澱粉分解酵素としては、グルコアミラーゼ、α-アミラーゼ等が挙げられる。また、繊維素分解酵素としては、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ等が挙げられる。また、脂肪分解酵素としてはリパーゼ等が挙げられる。使用する酵素としては、いずれかの酵素群から選ばれた1種又は2種以上を用いても、それらの酵素群からそれぞれ選ばれた1種又は2種以上の酵素を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
酵素による加水分解処理は、大豆抽出物液中の固形分に対して、一般に0.001~3重量%、好ましくは0.01~1重量%の酵素を用い、好適には使用する酵素の至適pH及び至適温度付近で行われる。処理時間は、酵素加水分解処理を抽出と同時に行う場合は抽出時間と同一であって差し支えないが、該処理を抽出後に行う場合には、30分~10時間の範囲とするのがよい。
【0019】
酵素加水分解処理に代えて酸又はアルカリによる加水分解処理を行う場合、それらの処理は一般には抽出後に行われ、酸加水分解処理であれば、前述した酸性調整剤を用いてpHを3以下に調整した水性媒体中、20~90℃で1~6時間、又アルカリ加水分解処理であれば、同じく前述したアルカリ性調整剤を用いてpHを8.5以上に調整した水性媒体中、20~90℃で1~6時間処理することによって、目的の抽出物加水分解物を得ることができる。
【0020】
上記処理により得られる大豆の加水分解物溶液は、一般にはpHを4~8に調整し、又必要ならば希釈或いは濃縮により適宜の濃度とした上、濾過等により不溶物を除去し、化粧料、医薬部外品又は外用医薬品(以下「化粧料等」という)の配合剤として利用することができる。また、場合によっては、スプレードライ法、凍結乾燥法など常法に従って粉末化してもよい。
【0021】
本発明に係る大豆の加水分解物を配合可能な化粧料等としては、例えば、育毛用シャンプー、育毛用トニック等が挙げられるが、勿論これらに限定されるものではない。
【0022】
化粧料等に配合する本発明の加水分解物の量は、その固形分として、育毛用化粧料の場合は、抽出物の固形分として、一般的には0.00001~5.0重量%であり、好ましくは、0.0001~3.0重量%である。
【0023】
また、本発明に係る大豆抽出物の加水分解物と、他の育毛用成分を併用することで、育毛の相乗効果を得ることが示唆される。例えば、育毛・養毛効果の相乗効果が期待できる成分としては、ミノキシジル、シプロテロンアセテート、ペンタデカン酸グリセリド、6-アミノベンジルプリン(サイトプリン)、アデノシン、トランス-3,4'-ジメチル3-ヒドロキシフラバノン(t-フラバノン)、センブリエキス、ヒノキチオール、感光素、パントテン酸及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、ニコチン酸誘導体(ニコチン酸アミド等)、塩化カルプロニウム、女性ホルモン類(エチニルエストラジオール、エストロン等)、サリチル酸、グリチルリチン酸ジカリウム、ヒノキチオール、塩化ベンザルコニウム、イソプロピルメチルフェノール、l-メントール、塩酸ピリドキシン(ビタミンB6)、チオキソロン、カンファー、レゾルシン、タマサキツヅラフジ根の抽出物、タマサキツヅラフジから得られるビス型アルカロイド、甘草エキス、センブリエキス、マイマイ花エキス、カミツレエキス、ローヤルゼリー発酵物、ハスの種子発酵物、イチョウエキス、パルダルコ樹皮エキス、ゲンチアナエキス、オタネニンジンエキス、豆乳発酵液、アッケシソウエキス、タケノコエキス、葛根エキス、ゴボウエキス、ミツイシコンブエキス、チョウジエキス、コラーゲン、アミノ酸類、及びビタミン類等が挙げられ、それらのいずれか1種又は2種以上を配合してもよい。
【0024】
さらに、本発明に係る加水分解物を含む毛髪化粧料(医薬部外品も含む)には、上述の成分のほかに、通常、毛髪化粧料(医薬部外品も含む)に用いられる成分、例えば油性成分、界面活性剤(合成系、天然物系)、保湿剤、増粘剤、防腐・殺菌剤、粉体成分、紫外線吸収剤、抗酸化剤、キレート剤、ph調整剤、色素、香料等を必要に応じて適宜配合することができる。また、本発明に係る有効成分の有効性、特長を損なわない限り、他の生理活性成分を組み合わせて配合することも何ら差し支えない。
【0025】
油性成分としては、例えばオリーブ油、ホホバ油、ヒマシ油、大豆油、米油、米胚芽油、ヤシ油、パーム油、カカオ油、メドウフォーム油、シアーバター、ティーツリー油、アボガド油、マカデミアナッツ油、ニンジン油、オタネニンジン油、ベルガモット油、植物由来スクワラン等の植物由来の油脂類;ミンク油、タートル油等の動物由来の油脂類;ミツロウ、カルナウバロウ、ライスワックス、ラノリン等のロウ類;流動パラフィン、ワセリン、パラフィンワックス、スクワラン等の炭化水素類;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、エイコセン酸等の脂肪酸類;ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール等の高級アルコール類;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、2-エチルヘキシルグリセライド、高級脂肪酸オクチルドデシル(ステアリン酸オクチルドデシル等)等の合成エステル類及び合成トリグリセライド類等が挙げられる。
【0026】
界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤;脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン脂肪アミン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、α-スルホン化脂肪酸アルキルエステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル燐酸塩等のアニオン界面活性剤;第四級アンモニウム塩、第一級~第三級脂肪アミン塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、2-アルキル-1-アルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリニウム塩、N,N-ジアルキルモルフォルニウム塩、ポリエチレンポリアミン脂肪酸アミド塩等のカチオン界面活性剤;N,N-ジメチル-N-アルキル-N-カルボキシメチルアンモニオベタイン、N,N,N-トリアルキル-N-アルキレンアンモニオカルボキシベタイン、N-アシルアミドプロピル-N′,N′-ジメチル-N′-β-ヒドロキシプロピルアンモニオスルホベタイン等の両性界面活性剤等を使用することができる。
【0027】
乳化剤又は乳化助剤としては、酵素処理ステビア等のステビア誘導体、サポニン又はその誘導体、カゼイン又はその塩(ナトリウム等)、糖と蛋白質の複合体、ショ糖又はそのエステル、ラクトース、大豆由来の水溶性多糖、大豆由来蛋白質と多糖の複合体、ラノリン又はその誘導体、コレステロール、ステビア誘導体(ステビア酵素処理物等)、ケイ酸塩(アルミニウム、マグネシウム等)、炭酸塩(カルシウム、ナトリウム等)、サポニン及びその誘導体、レシチン及びその誘導体(水素添加レシチン等)、乳酸菌醗酵米、乳酸菌醗酵発芽米、乳酸菌醗酵穀類(麦類、豆類、雑穀等)等を配合することもできる。
【0028】
保湿剤としては、例えばグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等があり、さらにトレハロース等の糖類、ムコ多糖類(例えば、ヒアルロン酸及びその誘導体、コンドロイチン及びその誘導体、ヘパリン及びその誘導体等)、エラスチン及びその誘導体、コラーゲン加水分解物、NMF関連物質、乳酸、尿素、高級脂肪酸オクチルドデシル、海藻抽出物、シラン根(白及)抽出物、各種アミノ酸及びそれらの誘導体が挙げられる。
【0029】
増粘剤としては、例えばアルギン酸、寒天、カラギーナン、フコイダン等の褐藻、緑藻又は紅藻由来成分;シラン根(白及)抽出物;ペクチン、ローカストビーンガム、アロエ多糖体、アルカリゲネス産生多糖体等の多糖類;キサンタンガム、トラガントガム、グアーガム等のガム類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸共重合体等の合成高分子類;ヒアルロン酸及びその誘導体;ポリグルタミン酸及びその誘導体等が挙げられる。
【0030】
防腐・殺菌剤としては、例えば尿素;パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等のパラオキシ安息香酸エステル類;フェノキシエタノール、ジクロロフェン、ヘキサクロロフェン、塩酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、サリチル酸、エタノール、ウンデシレン酸、フェノール類、ジャマール(イミダゾデイニールウレア)、プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、各種精油類、樹皮乾留物、大根発酵液、サトウキビ等の植物由来のエタノール又は1,3-ブチレングリコール等がある。
【0031】
粉体成分としては、例えばセリサイト、酸化チタン、タルク、カオリン、ベントナイト、酸化亜鉛、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、無水ケイ酸、雲母、ナイロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シルクパウダー、セルロース系パウダー、穀類(米、麦、トウモロコシ、キビ等)のパウダー、豆類(大豆、小豆等)のパウダー等がある。
【0032】
紫外線吸収剤としては、例えばパラアミノ安息香酸エチル、パラジメチルアミノ安息香酸エチルヘキシル、サリチル酸アミル及びその誘導体、パラメトキシ桂皮酸2-エチルヘキシル、桂皮酸オクチル、オキシベンゾン、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-ターシャリーブチル-4-メトキシベンゾイルメタン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、アロエ抽出物等がある。
【0033】
抗酸化剤としては、例えばブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、ビタミンE及びその誘導体(例えば、ビタミンEニコチネート、ビタミンEリノレート等)等がある。
【0034】
キレート剤としては、例えばエチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム、エデト酸又はその塩類、グルコン酸、フィチン酸、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ヒドロキシエタンジホスホン酸四ナトリウムなどがある。
【0035】
pH調整剤としては、例えばクエン酸又はその塩類、乳酸又はその塩類、グリコール酸、コハク酸、塩酸、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどがある。
【0036】
生理活性成分としては、例えば、胎盤抽出液、ソウハクヒ抽出物、ユキノシタ抽出物、シソ抽出物、米糠抽出物又はその加水分解物、白芥子抽出物又はその加水分解物、白芥子の発酵物、シャクヤク抽出物又はその加水分解物、ムラサキシキブ抽出物、ハス種子抽出物又はその加水分解物、党参抽出物又はその加水分解物、ハトムギ加水分解物、ハトムギ種子発酵物、酒粕抽出物又はそれに含まれるセラミド、酒粕発酵物、パンダヌス・アマリリフォリウス(Pandanus amaryllifolius Roxb.)抽出物、アルカンジェリシア・フラバ(Arcangelicia flava Merrilli)抽出物、イネの葉の抽出物又はその加水分解物、ナス(ベルガモット、長ナス、賀茂ナス、米ナス等)抽出物又はその加水分解物、アンズ果実の抽出物、カタメンキリンサイ等の海藻の抽出物、クラゲ水、米抽出物又はその加水分解物、米醗酵エキス、発芽米抽出物又はその加水分解物、発芽米発酵物、ダマスクバラの花の抽出物、リノール酸及びその誘導体もしくは抽出物(例えばリポソーム化リノール酸等)、動物又は魚由来のコラーゲン及びその誘導体、エラスチン及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、t-シクロアミノ酸誘導体、ビタミンA及びその誘導体、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、γ-アミノ-β-ヒドロキシ酪酸、ニンジン抽出物、紅参抽出物、ヘチマ抽出物、アナアオサ抽出物、モモ抽出物、桃仁抽出物、キウイ抽出物、ヒマワリ種子又は芽の抽出物、ジュアゼイロ(Zizyphus joazeiro)抽出物、萱草(デイリリー)抽出物または発酵物、ハイビスカスの花抽出物または発酵物、ハゴロモグサ抽出物、チェリモヤ抽出物、マンゴー抽出物、マンゴスチン抽出物、フノリ抽出物、烏龍茶抽出物、紅富貴抽出物、紫蘭抽出物、山椒果皮又は種皮の抽出物または加水分解物、ベニバナ花抽出物、カサブランカ抽出物、甘藷抽出物又はその発酵物、グアバ葉抽出物、ドクダミ抽出物、晩白柚抽出物、アロエ抽出物、イチジク花抽出物等がある。
【0037】
次に、製造例、処方例及び試験例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、以下において、部はすべて重量部を、また%はすべて重量%を意味する。
【0038】
製造例1.大豆加水分解物の調製(1)
黒大豆の種子の乾燥粉砕物10gに精製水200gを加え、80℃で1時間抽出した。得られた抽出液を粗ろ過したものをpH5に希塩酸を用いて調整した後、リパーゼ及びプロテアーゼ(パパイン)を0.01%の濃度となるように添加し、40℃で3時間作用させた。次に80℃で1時間処理して酵素を失活させた後ろ過し、淡褐色透明の黒大豆抽出物の加水分解物溶液(固形分濃度1.23%)167gを得た。
【0039】
製造例2.大豆加水分解物の調製(2)
製造例1において、黒大豆の種子に代えて、白大豆の種子を用いる他は、製造例1と同様の操作により、淡黄色透明の大豆抽出物の加水分解物溶液(固形分濃度1.09%)158gを得た。
【0040】
処方例1.育毛料
[成分] 部
アデノシン 1.0
製造例1の加水分解物 2.0
1,3-ブチレングリコール 10.0
フェノキシエタノール 0.2
エタノール 20.0
精製水 全量が100部となる量
上記の成分を十分攪拌混合して育毛料を得た。
【0041】
処方例2.育毛料
処方例1の成分中、アデノシンに代えて、ミノキシジルを用いるほかは処方例1と同様にして育毛料を得た。
【0042】
処方例3.育毛料
処方例1の成分中、アデノシンに代えて6-ベンジルアミノプリンを用いるほかは処方例9と同様にして育毛料を得た。
【0043】
処方例4.育毛料
[成分] 部
l-メントール 0.8
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
製造例1の加水分解物 1.0
大豆レシチン 0.2
1,3-ブチレングリコール 10.0
エタノール 20.0
タケノコ皮エキス 3.0
褐藻エキス 3.0
ローヤルゼリー発酵エキス 3.0
ゴボウエキス 3.0
葛根エキス 3.0
精製水 全量が100部となる量
【0044】
処方例5.育毛料
処方例4において、製造例2の加水分解物を用いる他は、処方例4と同様にして育毛料を得た。
【0045】
処方例6.育毛用クリーム
[成分] 部
流動パラフィン 15.0
ワセリン 15.0
サラシミツロウ 2.0
製造例1の加水分解物 1.0
褐藻エキス 0.3
カルボキシビニルポリマー 0.1
キサンタンガム 0.1
グリセリン 5.0
1、3-ブチレングリコール 2.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 3.0
キレート剤 0.1
防腐剤 0.1
香料 0.1
色素 0.01
精製水 全量が100部となる量
【0046】
処方例7.育毛用シャンプー
[成分] 部
N-ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム 10.0
ポリオキシエチレン(3)アルキルエーテル硫酸ナトリウム 20.0
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 10.0
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0
メチルパラベン 0.1
クエン酸 0.1
製造例1の加水分解物 2.0
コラーゲン 5.0
アマモエキス 5.0
アッケシソウエキス 5.0
葛根エキス 5.0
ゴボウエキス 5.0
1,3-ブチレングリコール 2.0
精製水 全量が100部となる量
【0047】
処方例8.ヘアシャンプー
処方例7の成分中、製造例1の加水分解物に代えて製造例2の加水分解物を用いる他は処方例7と同様にしてヘアシャンプーを得た。
【0048】
実施例9.ヘアリンス
[A成分] 部
ポリオキシエチレン(10)硬化ヒマシ油 1.0
塩化ジステアリルジメチルアンモニウム 1.5
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.0
2-エチルヘキサン酸グリセリル 1.0
セタノール 3.2
ステアリルアルコール 1.0
メチルパラベン 0.1
製造例1の加水分解物 2.0
1,3-ブチレングリコール 5.0
精製水 全量が100部となる量
【0049】
試験例1.肝細胞増殖因子(HGF)産生促進効果
ヒト毛乳頭細胞HFDPCを、培地を入れた96穴マイクロプレートに1×104個/穴播種し、37℃,5.0%CO2の条件下に1日間プレ培養した後、製造例1の加水分解物を2%の濃度(溶液として)となるように培地に添加し、同条件でさらに3日間培養した。次に、各培養上清をとり、「Human HGF ELISA KIT(RayBiotech,USA))を用いて、培養上清中のHGFの測定を行った。試料溶液に代えてPBS(-)を添加した試料無添加の場合(対照)についても上記と同様の操作を行い、ここに得られたHGF量に対する各試料添加時のHGF量の相対値を求め、HGF合成促進率(%)とした。
【0050】
【0051】
表1に示すように、本発明に係る加水分解物は、すぐれた肝細胞増殖因子(HGF)産生促進効果を有することが確認され、これにより、成長期、退行期、休止期を繰り返す毛サイクルを成長期へ促し、育毛、養毛用の組成物として有用であることが示唆される。