(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20240807BHJP
H05B 47/11 20200101ALI20240807BHJP
H05B 45/12 20200101ALI20240807BHJP
H05B 45/22 20200101ALI20240807BHJP
H05B 47/165 20200101ALI20240807BHJP
【FI】
F24F7/06 101Z
H05B47/11
H05B45/12
H05B45/22
H05B47/165
(21)【出願番号】P 2020113136
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 裕太
(72)【発明者】
【氏名】土屋 雄汰
【審査官】広瀬 雅治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0321905(US,A1)
【文献】特開2017-180851(JP,A)
【文献】特開2013-104618(JP,A)
【文献】特開2009-216307(JP,A)
【文献】特開2014-157823(JP,A)
【文献】特開2008-091301(JP,A)
【文献】実開昭58-188532(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第108282949(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
H05B 47/11
H05B 45/12
H05B 45/22
H05B 47/165
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱調理器の上方に配され、調理により発生した油煙を吸い込む開口部を有するフード部と、
前記開口部から油煙を吸い込むための吸引力を発生させる送風機と、
前記フード部の開口部側に設けられ前記フード部よりも加熱調理器側に照射角範囲を持つ照明部と、
前記照明部の発光制御を行う発光制御部と、
を備えるレンジフードにおいて、
前記レンジフードの周囲光の
色情報を検知する第1センサーをさらに備え、
前記第1センサーは、前記照明部の照射角範囲外のみを検知領域とし、
前記発光制御部は前記第1センサーが検知する周囲光の
色情報に基づいて、前記第1センサーが検知した周囲光の
色情報に近づくように、前記照明部の調色制御を行う、
ことを特徴とするレンジフード。
【請求項2】
加熱調理器の上方に配され、調理により発生した油煙を吸い込む開口部を有するフード部と、
前記開口部から油煙を吸い込むための吸引力を発生させる送風機と、
前記フード部の開口部側に設けられ前記フード部よりも加熱調理器側に照射角範囲を持つ照明部と、
前記照明部の発光制御を行う発光制御部と、
を備えるレンジフードにおいて、
前記レンジフードの周囲光の情報を検知する第1センサーと、
前記照明部の近傍に設けられ、前記照明部から照射される照射光の情報を検知する第2センサーと、
をさらに備え、
前記第1センサーは、前記照明部の照射角範囲外のみを検知領域とし、
前記発光制御部は、前記第1センサーが検知した周囲光の情報および前記第2センサーが検知した照射光の情報に基づいて、前記第1センサーが検知した周囲光の情報に近づくように、前記照明部の調色制御を行う、
ことを特徴とするレンジフード。
【請求項3】
前記第1センサーは、カラーセンサーから構成され、
前記発光制御部は、前記第1センサーが検知したRGB値に基づいて、前記第1センサーが検知したRGB値に近づくように、前記照明部の照明色を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載のレンジフード。
【請求項4】
前記第1センサーおよび第2センサーは、カラーセンサーから構成され、
前記発光制御部は、前記第1センサーおよび前記第2センサーが検知したRGB値に基づいて、前記第1センサーが検知したRGB値に近づくように、前記照明部の照明色を制御する、
ことを特徴とする請求項2に記載のレンジフード。
【請求項5】
前記発光制御部は、前記第1センサーが検知したRGB値のうちの少なくとも2つの色の色比率値を算出するとともに、前記第2センサーが検知したRGB値のうち前記第1センサーと同一の色の前記色比率値を算出し、算出した前記色比率値を比較することにより、前記第1センサーが検知したRGB値に近づくように、前記照明部の照明色を制御する、
ことを特徴とする請求項4に記載のレンジフード。
【請求項6】
前記フード部の天面部側に前記第1センサーを載置するセンサー載置部を設けた、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のレンジフード。
【請求項7】
前記フード部よりも上方に前記第1センサーを載置するセンサー載置部を設けた、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のレンジフード。
【請求項8】
前記フード部の外周側面部に前記第1センサーを載置するセンサー載置部を設けた、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲の照明色に応じて調色する照明を備えたレンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、住宅の寝室、リビング、キッチンなどの宅内空間には、その空間の環境やユーザーの好みに応じて、種々のタイプの最適な照明色の照明が取り付けられる。
【0003】
しかし、一般的には、宅内空間には窓が設けられているので、窓から日光や外部照明の外光が差し込み、宅内空間の光環境は、季節や時刻によって大きく変化する。
【0004】
したがって、宅内空間の光環境をユーザーの好みの光環境に維持しようとした場合には、照明の照度と照明色とをこまめに調整する必要がある。
【0005】
この調整を自動的にできる発明として特許文献1に開示されているような発明がある。この発明では、照明の照度や照明色などの光環境を測定し、宅内空間の光環境をユーザーの好みの光環境に自動的に調整できるようにしている。
【0006】
一方、宅内空間のキッチンにはレンジフードが設置されることから、キッチンの場合では、少なくとも、天井吊の照明とレンジフードの下に設けられる加熱調理器を照らすレンジフード照明(RH照明)の2つの照明が存在する。
【0007】
近年多く採用されているアイランドキッチンの場合では、天井吊の照明とRH照明とに加え、リビングに配置されているリビング照明や床に配置されている間接照明も存在する。
【0008】
キッチン空間は、宅内における占有領域が広く、人の滞在時間も長い。このため、宅内照明をコーディネイトするには、天井吊の照明、リビング照明、間接照明などを含むキッチン照明、およびRH照明のすべての照明を含めた照明設計が必要となる。
【0009】
特許文献2に開示されている発明では、ユーザーが操作する加熱調理器と連動してRH照明をオンオフさせるとともに、RH照明の照度が一定の照度となるように、照度センサーの検知結果に基づいてRH照明の照度を変更している。
【0010】
しかし、特許文献2に開示されている発明においても、宅内照明全体を見てレンジフード照明のコーディネイトを行うことや、天井吊の照明とRH照明との2つの照明の照明色を考慮して、キッチンの光環境に統一感を持たせることは行われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2013-041718号公報
【文献】特許5151016号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
一般的に、調理環境下で使用されるレンジフードにおいては、照度センサーの検知結果が、油煙、調理炎、ユーザーの影などによる外部ノイズの影響を受けることが多い。
【0013】
特に、特許文献2に開示されている発明のように、照度センサーを加熱調理器の天板上に設置した場合には、照度センサーの検出結果が外部ノイズの影響を大きく受けるため、RH照明の照度を正確に検知できない。
【0014】
このため、キッチンを含む宅内の光環境に統一感を持たせるためには、特許文献1および特許文献2の発明を応用するだけではなく、さらに、RH照明に特別な工夫を加えたレンジフードを設置する必要がある。
【0015】
そこで、キッチンを含む宅内の光環境に統一感を持たせるため、調理環境下のような外部ノイズの影響を受け易い環境下であっても、外部ノイズを受けることなく、周囲の照明色に応じて調色する照明を備えたレンジフードの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成する本発明のレンジフードは、加熱調理器の上方に配され、調理により発生した油煙を吸い込む開口部を有するフード部と、開口部から油煙を吸い込むための吸引力を発生させる送風機と、フード部の開口部側に設けられフード部よりも加熱調理器側に照射角範囲を持つ照明部と、照明部の発光制御を行う発光制御部と、を備えるレンジフードにおいて、レンジフードの周囲光の情報を検知する第1センサーをさらに備え、第1センサーは、照明部の照射角範囲外のみを検知領域とし、発光制御部は第1センサーが検知する周囲光の情報に基づいて発光制御を行う。
【発明の効果】
【0017】
本発明のレンジフードによれば、照明部の照射角範囲外のみを検知領域とする第1センサーによりレンジフードの周囲光の情報を検知し、第1センサーが検知する周囲光の情報に基づいて発光制御を行うので、調理環境下のような外部ノイズの影響を受け易い環境下であっても、外部ノイズを受けることなく、照明部の照明色を周囲の照明色と調和させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態1のレンジフードをキッチンに設置した場合の正面図である。
【
図2】実施形態1のレンジフードをキッチンに設置した場合の右側断面図である。
【
図3】実施形態1のレンジフードの照明部を示す図である。
【
図4】実施形態1のレンジフードのセンサー載置部を示す図である。
【
図6】
図3の照明部とは異なる形態の照明部を示す図である。
【
図7】
図3および
図6の照明部とは異なる形態の照明部を示す図である。
【
図8】
図4とは異なる位置のセンサー載置部を示す図である。
【
図9】
図4および
図8とは異なる位置のセンサー載置部を示す図である。
【
図10】実施形態1のレンジフードの制御系のブロック図である。
【
図12】実施形態2のレンジフードの照明部の構造と第2センサーの取り付け位置とを示す図である。
【
図13】
図12とは異なる構造の照明部と第2センサーの取り付け位置とを示す図である。
【
図14】実施形態2のレンジフードの制御系のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明のレンジフードの実施形態を、実施形態1と実施形態2とに分けて、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明のレンジフードは、以下の実施形態1、2に記載した構成のみには限定されない。なお、各図面は説明の便宜上誇張されて表現されている。したがって、各図面における各構成要素の寸法比率は実際とは異なることがある。また、図面において同一の要素には同一の符号を付し、明細書において重複する説明は省略する。
【0020】
[実施形態1]
(レンジフードの構成)
図1は、実施形態1のレンジフードをキッチンに設置した場合の正面図である。
図2は、実施形態1のレンジフードをキッチンに設置した場合の右側断面図である。
【0021】
図1および
図2に示すように、本実施形態のレンジフード100は、加熱調理器200の上部に設置される。レンジフード100は加熱調理器200の調理時に生じる臭い、煙、油などを含む臭気や油煙を吸い込み外部に排気する。例示している加熱調理器200は2つの熱源210を有する。なお、本明細書において、熱源210は、ガス用の加熱調理器200に対してはバーナーやバーナー付近にある五徳を、IH用の加熱調理器200に対してはヒーターを、それぞれ意味する。
【0022】
レンジフード100は、加熱調理器200の調理により発生した油煙を吸い込むフード部120を有する。フード部120の下面側には開口部110が形成されている。開口部110は、加熱調理器200の調理時に生じる臭い、煙、油などを含む油煙を吸い込む。フード部120の中央部の上面側には送風機ボックス115が設けられている。送風機ボックス115内には送風機130が配置される。送風機130は、開口部110から油煙を吸い込むための吸引力を発生させ、吸い込んだ油煙を外部に排気させる。フード部120の前面側にはレンジフード100の動作に必要なスイッチ部125を備えている。スイッチ部125には照明部150を点灯させるための照明スイッチ(図示せず)が設けられている。なお、照明スイッチを所定時間押し下げることによって自動調色モードに移行する。
【0023】
開口部110と送風機130との間には、開口部110から吸い込んだ油煙から油分を除去するためのフィルター140が設けられる。送風機130が回転している時にはフィルター140も回転する。なお、レンジフード100は、回転しない固定式のフィルターを備えていても良いし、フィルターが備えられていなくても良い。
【0024】
レンジフード100は、加熱調理器200の上面を照らす照明部150を有する。照明部150は、照度と照明色とが変更できるLED照明である。照明部150は、フード部120の開口部110側かつフード部120の前面側の中央部に設けられる。照明部150は、照明部150から下側に向けて広がる点線のように(
図1および
図2参照)、加熱調理器200側に照射角範囲を持つ。本明細書における照射角範囲とは、照射光の光線が広がっている角度範囲であり、照度が一定量まで落ちない、乱反射した戻り光を含まない、角度範囲を意味する。したがって、照射角範囲とは、たとえば、下向きの垂線から周囲45度の範囲のみに限定される角度範囲を意味するものではない。
【0025】
レンジフード100天面部側には、レンジフード100の周囲光の情報を検知する第1センサー160が設けられる。第1センサー160は、フード部120の上面側かつフード部120の前面側の左側に設けられる。レンジフード100の周囲光の情報とは、レンジフード100が設置されているキッチンの天井吊の照明の照明色、波長、照度、色温度等、光の特性としての情報である。第1センサー160は、第1センサー160から上側に向けて広がる点線のように(
図1および
図2参照)、照明部150の照射角範囲外のみを検知領域とする。第1センサー160はカラーセンサーであり、キッチンの天井吊の照明の照明色をRGB値として検知する。
【0026】
このように、第1センサー160の検知領域は、照明部150の照射角範囲外に設定している。照明部150の照射角範囲に第1センサー160の検知領域が含まれると、第1センサー160は、キッチンの天井吊の照明の照明色のみならず、照明部150の照明色も周囲光の情報として検知してしまうからである。
【0027】
照明部150の照明色は、第1センサーが検知する周囲光の情報に基づいて、図示しない発光制御部によって制御される。なお、発光制御部はレンジフード100内に設けられる。
【0028】
図3は、実施形態1のレンジフードの照明部を示す図である。照明部150は、フード部120の開口部110側かつフード部120の前面側の中央部に、フード部120の前面側でフード部120の中央から左右に一定の長さ延びるようにして配置される。したがって、照明部150は、加熱調理器200(
図1および
図2参照)の上面を含む領域に照射光を照射する。
【0029】
図4は、実施形態1のレンジフードのセンサー載置部を示す図である。
図5は、
図4のセンサー載置部の詳細図である。
【0030】
図4に示すように、センサー載置部170は、レンジフード100のフード部120の前面側の中央部よりも左端にオフセットした位置に設けられる。したがって、第1センサー160は、レンジフード100のフード部120の前面側の左端に配置される。これにより、第1センサー160は、レンジフード100の周囲光の情報として、フード部120の上方の照明色(キッチンの天井吊の照明の色味)が検知できる。第1センサー160は、
図5に示すようにフード部120に内蔵される。
【0031】
第1センサー160は、センサー基板162、センサーカバー164、およびセンサーボックス166によって構成される。センサー基板162の上面には第1センサー160の要部となる検知部163が形成されている。センサーカバー164の上面には透明の窓部165が設けられている。
【0032】
センサー基板162は、図に示すように、検知部163がセンサーカバー164の窓部165に位置されるように、センサーカバー164に収納される。センサー基板162が収納されたセンサーカバー164はセンサーボックス166に取り付けられる。センサーカバー164が取り付けられたセンサーボックス166は、センサーカバー164の窓部165がフード部120の開口部168に臨むようにしてフード部120内に取り付けられる。これにより、第1センサー160は、開口部168と窓部165を介してフード部120の上方の照明色を検出できる。
【0033】
図4に示すような位置にセンサー載置部170を設けると、調理時に発生する油煙、調理炎、ユーザーの影などによる外部ノイズの影響を受け難くなり、フード部120の上方の照明色を正確に検知できるようになる。また、センサー載置部170がフード部120の上方に隠れることになるので、レンジフード100のデザイン性が向上する。
【0034】
図6は、
図3の照明部とは異なる形態の照明部を示す図である。
図7は、
図3および
図6の照明部とは異なる形態の照明部を示す図である。
【0035】
図6では照明部150を送風機ボックス115の側面に設け、
図7では、照明部150をフード部120の上部に設けている。
図6および
図7に示す照明部150は、図のようなスリット光152を照射して間接照明とする点で、直接照明としている
図3の照明部150とは異なっている。
【0036】
図6に示すように、照明部150を送風機ボックス115の側面に設け、照明部150から天井に向けてスリット光152を照射すると、照明部150をコーブ照明とすることができる。コーブ照明は、光を天井に直接当てることでその反射した光を照明にするものである。コーブ照明は、一般的には、ホテルのロビーや寝室などで使われる照明であり、光環境に高級感を漂わせることができる。
【0037】
したがって、
図6の照明部150を採用したレンジフードをアイランドキッチンに設置した場合には、キッチンの光環境に高級感を付与することができる。
【0038】
図7に示すように、照明部150をフード部120の上部に設け、照明部150から壁面に向けてスリット光152を照射すると、照明部150をコーニス照明とすることができる。コーニス照明は光を壁面に直接当てて壁面を明るく照らし、その反射した光を照明にするものである。このため、壁の凹凸模様によって美しい光の陰影を作り出すことができる。コーニス照明は、壁面を明るくさせることで、空間をより広く感じさせる効果がある。
【0039】
したがって、
図7の照明部150を採用したレンジフードをアイランドキッチンに設置した場合には、キッチンの空間をより広く感じさせることができる。
【0040】
図8は、
図4とは異なる位置のセンサー載置部を示す図である。
図9は、
図4および
図8とは異なる位置のセンサー載置部を示す図である。
図8ではセンサー載置部170をフード部120よりも上方に設け、
図8ではセンサー載置部170をフード部120の外周側面部(ダクトカバー)に設けている。なお、センサー載置部170に配置する第1センサー160の構成は、
図5に示したものと同一である。
【0041】
図8に示すように、センサー載置部170をフード部120よりも上方、たとえば、送風機ボックス115の側面に設けると、調理時に発生する油煙、調理炎はフード部120によって遮られ、ユーザーの影などによる外部ノイズの影響も受け難くなる。このため、第1センサー160は、フード部120の上方の照明色を正確に検知できるようになる。また、第1センサー160は、油煙による汚れが付着しにくくなる。
【0042】
フード部120よりも上方とは、
図8に示す位置に限られず、レンジフード100の幕板、送風機本体ボックスなど、様々な位置が含まれる。
【0043】
図9に示すように、センサー載置部170をフード部120の外周側面部、たとえば、スイッチ部125の横側に設けるようにすると、
図9に示すような位置だけではなく、スイッチ部125内に第1センサー160を組み込むこともでき、体裁よく第1センサー160を配置させることができる。
【0044】
(レンジフードの動作)
図10は、実施形態1のレンジフードの制御系のブロック図である。また、
図11は、
図10の発光制御部の動作フローチャートである。
【0045】
図10に示すように、発光制御部180には第1センサー160と照明部150とが接続されている。第1センサー160と照明部150の構成は、上記の通りである。発光制御部180は、フード部120に内蔵され、第1センサー160が検知する周囲光の情報に基づいて照明部150の照射光を調色するための発光制御を行う。
【0046】
図11の動作フローチャートはスイッチ部125(
図1参照)に設けられている照明スイッチを所定時間押し下げることによって処理され、自動調色モードに移行する。自動調色モードに移行すると、発光制御部180は次のように周囲光の色見の検知および照明部150のLEDの発光制御を行う。
【0047】
図11に示すように、発光制御部180は、まず、第1センサー160によって周囲光の情報を検知する(S100)。周囲光の情報とは、たとえば、キッチンの天井吊の照明の照明色、波長、照度、色温度等、光の特性としての情報である。第1センサー160はカラーセンサーであるので、照明色は、RGB値として検出される。
【0048】
次に、発光制御部180は、第1センサー160が検知した周囲光の情報に基づいて、照明部150の発光を制御する。すなわち、発光制御部180は、第1センサー160が検知したRGB値に近づくように、照明部150が照射する照射光の色味を変化させる(S110)。
【0049】
発光制御部180は、このような発光制御を行うため、第1センサー160が検知した周囲光の情報と照明部150が照射する照射光の色味とを対応付けたルックアップテーブルを持っている。発光制御部180は、このルックアップテーブルを参照して、照明部150が照射する照射光の照明色がキッチンの天井吊の照明の照明色に近づくようにしている。
【0050】
発光制御部180がこのような発光制御を行うことによって、キッチンの光環境に統一感を持たせることができる。
【0051】
[実施形態2]
(レンジフードの構成)
実施形態2のレンジフード100の構成は、実施形態1の
図1~
図9に示したレンジフード100の構成とほぼ同一である。ただ、実施形態2のレンジフード100は、実施形態1のレンジフード100と比較すると、照明部150の近傍に第2センサー190が設けられていることと、発光制御部180の発光制御が、第1センサー160と第2センサー190との検出値に基づいて行われることとが異なる。
【0052】
図12は、実施形態2のレンジフードの照明部の構造と第2センサーの取り付け位置とを示す図である。図に示すように、照明部150は、複数のLED155が一定の間隔で線上に並べられて構成されている。第2センサー190は、ガラス基板158上に照明部150の照射方向に対峙するような位置に取り付けられている。
【0053】
このように、第2センサー190を照明部150に対峙させて設けると、第2センサー190は、照明部150から照射される照射光の情報を直接検知できるようになる。LED155は、特性上、光色や明るさにばらつきが生じることがある。このため、第2センサー190によって照明部150の照明色を直接検知するようにすると、実施形態1のように、第1センサー160のみを用いて照明部150の照明色を制御する場合に比較して、LED155の光色や明るさのばらつきに容易に対応できる。したがって、キッチンの天井吊の照明の照明色に照明部150の照明色を近づけることが容易となり、キッチンの空間に照射される光の色味に統一感を持たせることができる。
【0054】
第2センサー190は、必ずしも
図12に示すような位置に設ける必要はない。LED155から照射される照射光の情報を検知することができるような位置、すなわち
図13に示すように、照明部150の近傍に設けても良い。照明部150の近傍とは、少なくとも照明部150の照射角範囲内であって、照明部150が照射する光の照明色が一定以内の正確性をもって検知できる場所をいう。たとえば、照明部150の所定位置、照明部150から照射される照射光を直接検知できる位置、照明部150の照射空間を直接検知できる位置である。さらには、照明部150から照射される照射光を、空間を介して間接的に検出できる位置をも含む。照明部150は、直接照明または間接照明のどちらでも良い。第2センサー190は、第1センサー160と同一のカラーセンサーを用いることが好ましい。
【0055】
図13は、
図12とは異なる構造の照明部と第2センサーの取り付け位置とを示す図である。図に示すように、照明部150は、複数のLED155が一定の間隔で線上に並べられることにより構成されている。しかし、この態様では、第2センサー190は、
図12とは異なり、2つのLED155の間に挟まれる位置に設けられている。
【0056】
このように、第2センサー190を2つのLED155の間に挟まれる位置に設けると、照明部150から照射される照射光の情報を
図12のように直接ではなく、空間を介して検知できるようになる。
【0057】
なお、第2センサー190は、ユーザーから見えないように、隠すことが好ましいが、
図12の場合には、ガラス基板158上に第2センサー190を隠すような加工を施すことが好ましい。また、
図13の場合には、ガラス基板158の第2センサー190に対峙する部分に、樹脂カバーや反射加工を施すようにして、第2センサー190を隠すようにしても良い。
【0058】
(レンジフードの動作)
図14は、実施形態2のレンジフードの制御系のブロック図である。また、
図15は、
図14の発光制御部の動作フローチャートである。
【0059】
図14に示すように、発光制御部180には第1センサー160、第2センサー190と照明部150とが接続されている。第1センサー160、第2センサー190と照明部150の構成は、上記の通りである。発光制御部180は、フード部120に内蔵され、第1センサー160が検知した周囲光の情報および第2センサー190が検知した照射光の情報に基づいて、第2センサー190が検知した照射光の情報が、第1センサー160が検知した周囲光の情報に近づくように、照明部150の発光制御を行う。
【0060】
発光制御部180は、具体的には、第1センサー160および第2センサー190が検知したRGB値に基づいて、第2センサー190が検知したRGB値が第1センサー160が検知したRGB値に近づくように、照明部150の照明色を制御する。
【0061】
図15に示すように、発光制御部180は、まず、第1センサー160によって周囲光の情報を検知する(S200)。周囲光の情報とは、たとえば、キッチンの天井吊の照明の照明色である。第1センサー160はカラーセンサーであるので、照明色は、RGB値(例えば、R:251、G:249、B:241)として検出される。
【0062】
次に、発光制御部180は、第2センサー190によって照明部150の照明光の情報を検知する(S210)。照明光の情報とは、照明部150を構成するLED155から照射される光の照明色である。第2センサー190はカラーセンサーであるので、照明部150の照明色は、RGB値(例えば、R:207、G:224、B:226)として検出される。
【0063】
次に、発光制御部180は、第1センサー160が検知した照明色のRGB値と第2センサー190が検知した照明光のRGB値とに基づいて、第2センサー190が検知したRGB値が第1センサー160が検知したRGB値に近づくように、照明部150の発光を制御する。すなわち、発光制御部180は、第1センサー160が検知したRGB値と第2センサー190が検知したRGB値とが、同一のRGB値の照明色となるように、照明部150が照射する照射光の色味を変化させる(S220)。
【0064】
図15の動作フローチャートはスイッチ部125(
図1参照)に設けられている照明スイッチを所定時間押し下げることによって処理され、自動調色モードに移行する。自動調色モードに移行すると、発光制御部180は次のように周囲光および照明光の情報の検知および照明部150のLEDの発光制御を行う。
【0065】
図15に示すように、発光制御部180は、まず、第1センサー160によって周囲光の情報を検知する(S200)。周囲光の情報とは、たとえば、キッチンの天井吊の照明の照明色、波長、照度、色温度等、光の特性としての情報である。第1センサー160はカラーセンサーであるので、照明色は、RGB値として検出される。
【0066】
次に、発光制御部180は、第2センサー190によって照明部150の照明光の情報を検知する(S210)。照明光の情報とは、照明部150を構成するLED155から照射される光の照明色、波長、照度、色温度等、光の特性としての情報である。第2センサー190はカラーセンサーであるので、照明部150の照明色は、RGB値として検出される。
【0067】
次に、発光制御部180は、第1センサー160が検知したRGB値のうちの2つの色の値の比率α1=G/Bを算出するとともに、第2センサー190が検知したRGB値のうちの2つの色の値の比率α2=G/Bを算出し、算出した2つの比率α1とα2とを比較することにより、第1センサー160が検知したRGB値に近づくように、照明部150の照明色を制御する(S220)。
【0068】
具体的には、第1センサー160が検知したGB値が(256,256)(白色系)であり、第2センサー190が検知したGB値が(128,64)(黄色系)であったとする。このときの第1センサー160のGB値の比率α1は256/256=1であり、第2センサー190のGB値の比率α1は128/64=2である。この場合、α1(周囲光)<α2(照明光)であるので、発光制御部180は、第2センサー190が検知している照明部150の黄色系の照明色がキッチンの天井吊の照明の白色系の照明色に近づくように、暖色固定出力値を下げ、昼色固定出力値を上げる。
【0069】
発光制御部180は、このような発光制御を行うため、第1センサー160が検知した周囲光の情報と第2センサー190が検知した周囲光の情報とを比較するコンパレーター機能を持っている。発光制御部180は、このコンパレーター機能を用いて、キッチンの空間の光の色味と照明部150が照射する照射光の色味のGB値の比率を比較し、照明部150が照射する照射光の色味を調色することで、照明部150が照射する照射光の照明色がキッチンの天井吊の照明の照明色に近づくようにしている。
【0070】
図16は、
図15とは異なる形態の動作フローチャートである。この動作フローチャートは
図14の発光制御部180によって処理される。
【0071】
図16の動作フローチャートもスイッチ部125(
図1参照)に設けられている照明スイッチを所定時間押し下げることによって処理が開始され、自動調色モードに移行する。自動調色モードに移行すると、発光制御部180は次のように周囲光および照射光の情報の検知および照明部150のLEDの発光制御を行う。
【0072】
図16に示すように、発光制御部180は、まず、第1センサー160によって周囲光の情報(R,G,B)を検知する(S300)。周囲光の情報とは、たとえば、キッチンの天井吊の照明の照明色、波長、照度、色温度等、光の特性としての情報である。第1センサー160はカラーセンサーであるので、照明色は、RGB値として検出される。
【0073】
次に、発光制御部180は、第2センサー190によって照明部150の照明光の情報(R,G,B)を検知する(S310)。照明光の情報とは、照明部150を構成するLED155から照射される光の照明色、波長、照度、色温度等、光の特性としての情報である。第2センサー190はカラーセンサーであるので、照明部150の照明色は、RGB値として検出される。
【0074】
発光制御部180は、取得した各センサー160、190のRGB値からGB比率値(α1, α2)を求める(S320)。なお、GB比率値(α1, α2)は色比率値である。比率値(α)を求める際には、センサーの感度レベルの設定に応じて比率値の計算方法を変更してもよい。具体的には、感度レベルが低く設定されている場合には、計測回数を増やしてその平均比率を比率値(α)としてもよい。たとえば、測定時間が20msの時は、計測回数6回の平均比率を比率値(α)としてもよい。一方、感度レベルが高く設定されている場合には、計測回数を減らして比率値(α)を求めてもよい。たとえば、測定時間が200msの時は、計測回数1回の比率を比率値(α)としてもよい。
【0075】
発光制御部180は、周囲光のGB比率値(α1)と照明光のGB比率値(α2)を比較する(S330)。GB比率値(α1)とGB比率値(α2)が同じ値の場合には(S330:YES)、S300のステップの処理に戻って周囲光の情報を検知する処理を行う。一方、GB比率値(α1)とGB比率値(α2)が同じ値でない場合には(S330 :NO)、次のS340のステップの処理に進む。
【0076】
発光制御部180は、GB比率値の比較結果に応じて、照明部150の暖色・昼光色出力値の変更制御を行う。つまり、発光制御部180は、算出したGB比率値α1とα2との比較結果により、GB比率値(α1)とGB比率値(α2)とが一致するように、照明部150の暖色・昼光色出力値の変更制御をする。
【0077】
具体的には、第1センサー160が検知したGB値が(256,256)(白色系)であり、第2センサー190が検知したGB値が(128,64)(黄色系)であったとする。このときの第1センサー160のGB比率値α1は256/256=1であり、第2センサー190のGB比率値α2は128/64=2である。この場合、α1(周囲光)<α2(照明光)であるので、発光制御部180は、第2センサー190が検知している照明部150の黄色系の照明色がキッチンの天井吊の照明の白色系の照明色となるように、暖色固定出力値を下げ、昼色固定出力値を上げる。
【0078】
本実施形態では、RGBの三値の比率値ではなく、GBの二値の比率値で照明部150の照明色を制御している。二値とすることによって、次のような効果が期待できる。
【0079】
レンジフード100に搭載する照明部150の照明が2700K~6500Kの色味(色温度)を出力するものである場合、2700K~6500Kの色味(色温度)をRGB値に変換すると、GB値しか変化しない。このため、照明色の制御を行う場合には、R値を考慮する必要はない。
【0080】
したがって、GB値のみの演算をすればよいので、不要な演算をする必要がなくなり、簡単な制御で色味を計測することが可能となる。
【0081】
発光制御部180がこのような発光制御を行うことによって、キッチンの光環境に統一感を持たせることができる。
【0082】
以上のように、実施形態1および2では、レンジフード100の照明部150から照射される光の色味がレンジフード100の周囲光の色味に近づくようにしているので、調理環境下のような外部ノイズの影響を受け易い環境下であっても、外部ノイズを受けることなく、照明部の照明色を周囲の照明色と調和させることでき、キッチンの光環境に統一感を持たせることができる。
【0083】
実施形態1において、第1センサー160がキッチンの天井吊の照明の照明色を検知するとした。しかし、第1センサー160が検知する照明色の対象は、これに限られず、たとえば、ダイニングの照明、リビングの照明、間接照明等、宅内の照明であれば、キッチンの天井吊の照明に限られない。
【0084】
レンジフード100は間接照明として機能させることも可能である。たとえば、
図6に示したように、レンジフード100の送風機ボックス115の側面に、照明光を射出するスリットを設けて光を天井に照射する。天井の反射光を間接照明として利用するいわゆるコーブ照明としてレンジフード100を使用することができる。
【0085】
また、
図7に示したように、レンジフード100の側面部や天面部に照明部150を配し、光を壁面に照射することで間接照明として機能させることも可能である。これにより壁面の反射光を間接照明として利用するいわゆるコーニス照明としてレンジフード100を使用することができる。
【0086】
また、第2センサー190は、周囲の照明色だけでなく壁や家具等のインテリアの色も検知することが可能である。これにより、発光制御部180は、たとえば、コンクリート壁のようなグレーを基調とした壁の色の場合は、昼色固定出力値を上げることにより部屋全体の柔らかみを演出するといったことが可能になる。
【0087】
また、レンジフード100は、ホームネットワークに接続されることにより宅内照明機器と連携させることも可能である。この場合、コントローラに各照明装置のRGB値が集約され、コントローラが宅内利用者の行動パターンや好みに応じてレンジフー100の照明部150を含む各照明装置の制御を一括制御することで宅内照明のデザインをより好適に行うことが可能になる。
【0088】
以上、本発明のレンジフードの実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、本実施形態で開示した内容に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0089】
100 レンジフード
110 開口部
115 送風機ボックス
120 フード部
125 スイッチ部
130 送風機
140 フィルター
150 照明部
152 スリット光
155 LED
158 ガラス基板
160 第1センサー
162 センサー基板
163 検知部
164 センサーカバー
165 窓部
166 サンサーボックス
168 開口部
170 センサー載置部
180 発光制御部
190 第2センサー
200 加熱調理器
210 熱源