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特許7534773ビールサーバーにおける異物混入防止構造
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  • 特許-ビールサーバーにおける異物混入防止構造 図1
  • 特許-ビールサーバーにおける異物混入防止構造 図2
  • 特許-ビールサーバーにおける異物混入防止構造 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】ビールサーバーにおける異物混入防止構造
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20240807BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020122628
(22)【出願日】2020-07-17
(65)【公開番号】P2022019064
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】595151121
【氏名又は名称】株式会社ヰゲタ
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】井上 智広
(72)【発明者】
【氏名】三輪 清剛
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-217306(JP,A)
【文献】特開2014-223943(JP,A)
【文献】特開2005-263327(JP,A)
【文献】特開2010-137910(JP,A)
【文献】特開2003-063595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コック本体に取付けられたコックレバーを操作してビールを注出するビールサーバーにおいて、前記コック本体の上方から前記コックレバーに挿通する挿通孔が形成された受板と、該受板の下方において前記挿通孔を覆う外形を有する円盤に前記コックレバーに嵌入される嵌入孔を形成したパッキンとを備え
前記コックレバーは袋ナットを介して前記コック本体の円筒状支持部に取付けられ、前記パッキンを前記円筒状支持部に嵌入した状態で前記袋ナットにより抜け止めし、
前記袋ナットの一部は、前記挿通孔内に位置することを特徴としたビールサーバーにおける異物混入防止構造。
【請求項2】
前記パッキンは柔軟なゴムからなる請求項1に記載のビールサーバーにおける異物混入防止構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コックレバーを操作してビールを注出するビールサーバーにおいて、コックレバー付近で生じた異物が容器に混入することを防止する構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲食店などに設置されている一般的なビールサーバーは、注出コック本体に取付けられたコックレバー(タップやタップハンドルとも称される)を手前側に傾倒操作することでビールを注出し、その後、コックレバーを奥側に傾倒操作すれば泡を後注ぎできるようになっている。
【0003】
また、このようなビールサーバーに対してコックレバーを自動操作する駆動装置を備えたものも公知である(例えば特許文献1)。特許文献1のような駆動装置は、手動でも自動でもビールを注出できるように、ビールサーバーに対して着脱可能に取付けられる。すなわち、手動でビールを注出するビールサーバーをベースとして、注出自動化のための駆動装置を後付けできるようになっている。このため、駆動装置はコックレバーを前後に傾倒操作するアクチュエータを備え、モータとギアの組み合わせによってアクチュエータを駆動するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-96899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、アクチュエータは、コックレバーを挿通する貫通穴を形成した板状のスライダであったり、コックレバーの前後に設けたL字状のアームであったり、様々な構成が考えられるが、いずれにしてもアクチュエータはコックレバーと接触して、モータの動力をコックレバーに伝達するものである。
【0006】
このため、ビールや泡の注出時に、アクチュエータとコックレバーが接触する部分が不可避に擦れてしまう。特にアクチュエータとコックレバーとがともにステンレスで成型されている場合は、アクチュエータにおけるコックレバーとの接触部分が鋭いエッジとなって、その駆動時にコックレバーを切削して微細な切粉が生じることがある。
【0007】
このような切粉が容器に混入することは絶対に避けなければならないが、アクチュエータの下方に切粉の落下を食い止める受板を設けたとしても、この受板には駆動装置を着脱可能に取り付けるのに必要なコックレバーの挿通孔を設けなければならないため、この挿通孔を通して切粉が容器に落下することまでは防止できない。
【0008】
本発明は上述した課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、コックレバー付近で生じた切粉等の異物が容器に混入することを確実に防止するビールサーバーの異物混入防止構造を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために本発明では、コック本体に取付けられたコックレバーを操作してビールを注出するビールサーバーにおいて、前記コック本体の上方から前記コックレバーに挿通する挿通孔が形成された受板と、該受板の下方において前記挿通孔を覆う外形を有する円盤に前記コックレバーに嵌入される嵌入孔を形成したパッキンとを備えるという手段を用いた。
【0010】
上記手段によれば、上述した駆動装置によりコックレバーを操作したときに生ずる切粉は、受板によって下方への落下が防止され、仮に切粉が受板の挿通孔を通過したとしても、それはパッキンによってさらなる落下を食い止めることができ、最終的にコックレバー付近で生じた異物が容器に混入することを防止することができる。
【0011】
コックレバーは袋ナットを介してコック本体の円筒状支持部に取付けられ、パッキンを前記円筒状支持部に嵌入した状態で前記袋ナットにより抜け止めすることで、パッキンを簡単にコック本体に装着することができる。
【0012】
また、パッキンを柔軟なゴムから成型することで、その柔軟性によりコック本体への装着が楽になるとともに、仮に注出操作時にコックレバーがパッキンに干渉するとしても、当該操作を阻害することがない。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、受板とパッキンとによって、コックレバー付近で生じた切粉等の異物が容器に混入することを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る要部拡大断面図
図2】同、コック本体とコックレバーの説明図
図3】同、受板とパッキンの下方から見た説明図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。図1は、本発明の一実施形態に係り、その要部である注出コック周辺の拡大断面図である。注出コックは、コックレバー1とコック本体2とを備え、図示しない冷却装置やディスペンスヘッドを介してビール樽に接続される。図中の3は受板を指し、中央部にはコックレバー1が挿通する挿通孔3aが形成されている。なお、挿通孔3aはコックレバー1を注出操作するときの可動域に合わせた形状としている。さらに、4は柔軟なゴム板等からなるドーナツ状のパッキンであり、円盤の中心にコックレバーが嵌入する嵌入孔4aが形成されている。
【0016】
注出コックは、コックレバー1を図2の実線で示すように手前側(図面上、左側)に傾倒操作すれば、コック本体1の底部に設けたビール注出部2aからビールが液状で注出され、奥側(図面上、右側)に傾倒すれば、泡注出部2bから泡化されたビール泡が注出されるもので、当該構成は公知のものを採用することができる。この実施形態では、コックレバー1はコック本体2の上部前寄りに上向きに突設した円筒状支持部2cに袋ナット1aによって取付けられている。
【0017】
このような注出コックに対してパッキン4は、コックレバー1の取付前にコック本体2の円筒状支持部2cに密に嵌入され、コックレバー1とともに袋ナット1aによって抜け止めされた状態で装着される。その後、受板3をコックレバー1に上方から挿通すれば、すべての部材のセッティングが完了する。
【0018】
このような構成によれば、受板3よりも上方、すなわちコックレバー1付近で生じた異物は受板3で受け取られる。この受板3は、例えばビールの自動注出化のための駆動装置を着脱可能に備えたものにあっては、そのケーシングに取付けられる。そして、異物としては、駆動装置のアクチュエータがコックレバー1を注出操作する際に生ずる切粉が該当する。このような異物が仮に受板3の挿通孔3aをくぐり抜けたとしても、パッキン4によって捕捉され、それ以上の落下を許さない。このように、コックレバー1付近で生じた異物は、受板3とパッキン4に捕捉され、その下方にセットされる容器への混入が防止される。なお、異物は、注出自動化の駆動装置によって生ずる切粉だけを指すものではなく、手動操作式としても、浮遊ゴミやコックレバー1についた汚れを異物として捕捉することができる。
【0019】
上記実施形態では、パッキング4をコック本体2の円筒状支持部2cに嵌入し、袋ナット1aにより抜け止めすることで、パッキン4を注出コックと一体化したが、コックレバー1の操作やビールと泡の注出が阻害されないものであれば、他の部位に嵌入する構成を採用することも可能である。
【0020】
パッキン4は柔軟なゴムであることが注出コックへの装着性の面から好ましいが、やはりコックレバー1の操作等が確実に担保されるものであれば、他の素材からパッキン4を成形することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 コックレバー
2 コック本体
2a ビール注出部
2b 泡注出部
2c 円筒状支持部
3 受板
3a 挿通孔
4 パッキン
4a 嵌入孔
図1
図2
図3