IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 学校法人早稲田大学の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】異物探知システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/34 20060101AFI20240807BHJP
   G01S 13/87 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
G01S13/34
G01S13/87
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021023621
(22)【出願日】2021-02-17
(65)【公開番号】P2022125818
(43)【公開日】2022-08-29
【審査請求日】2023-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】川西 哲也
(72)【発明者】
【氏名】奥田 和徳
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-003453(JP,A)
【文献】特開2020-134280(JP,A)
【文献】特開2021-009028(JP,A)
【文献】特開2020-204513(JP,A)
【文献】特表2014-517253(JP,A)
【文献】国際公開第2014/125958(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - 7/64
G01S 13/00 - 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線信号を出力する第1の出力部(3)と,
第1の無線信号に基づく第1の反射波を受信する第1の受信部(5)と,
第1の受信部が受信した第1の反射波を用いて異物の有無を分析する第1の異物分析部(7)と,
を有する第1のレーダ(9)を含む異物探知システム(1)であって,
第1の無線信号は,第1の信号と,第1の信号と周波数変化パターンが同じで,出力タイミングが異なる第2の信号とを含み,
第1の反射波は,第1の信号に基づく第1の反射信号と,第2の信号に基づく第2の反射信号とを含み,
第1の異物分析部(7)は,第1の反射信号について,第1の信号をローカル信号とした場合のPPI画像と,第2の反射信号について,第2の信号をローカル信号とした場合のPPI画像とに,AND処理を行うことによって,干渉により生ずる偽像を除去する,
異物探知システム。
【請求項2】
請求項1に記載の異物探知システムであって,
第1の信号と第2の信号とは,周波数変調連続波(FMCW)である,異物探知システム。
【請求項3】
請求項1に記載の異物探知システムであって,
第1の異物分析部(7)は,
第1の信号と第2の信号のいずれかをローカル信号として,異物の有無を分析する,
異物探知システム。
【請求項4】
請求項1に記載の異物探知システムであって,
第1の異物分析部(7)は,
第1の反射信号と第2の反射信号に共通する位置に存在すると分析される信号を異物由来の信号とし,
第1の反射信号と第2の反射信号において異なる位置に存在すると分析される信号を前記偽像由来の信号とする,
異物探知システム。
【請求項5】
請求項1に記載の異物探知システムであって,
第2のレーダ(11)をさらに含み,
第2のレーダ(11)は,
第2の無線信号を出力する第2の出力部(13)と,
第2の無線信号に基づく第2の反射波を受信する第2の受信部(15)と,
第2の受信部が受信した第2の反射波を用いて異物の有無を分析する第2の異物分析部(17)と,
を有し,
第2の無線信号は,
第1の信号と周波数変化パターンが同じ第3の信号と,
第3の信号と周波数変化パターンが同じで,出力タイミングが異なる第4の信号とを含み,
第1の信号と第2の信号との出力タイミングの差をΔtd1とし,第3の信号と第4の信号との出力タイミングの差をΔtd2としたときに,Δtd1とΔtd2は異なる,
異物探知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,レーダを用いた異物探知システムに関する。より詳しく説明すると,この発明は,レーダ間の干渉を抑圧したレーダを用いた異物探知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開2020-262535号パンフレットには,異物探知システムが記載されている。この異物探知システムは,一つの信号源から複数のレーダへの光ファイバ長を異ならせることで,信号の到達時間を相違させ,これによりレーダ間の干渉を防止するというものである。この異物探知システムは,光ファイバ長を切り替える際のタイムラグが生じるという問題がある。特に,この異物探知システムは,光ファイバを切り替える間に目標がメインローブの範囲外になる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2020-262535号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この明細書に記載される発明は,従来の異物探知システムにおける光ファイバ長を切り替える際のタイムラグによる問題が生じない,異物探知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は,基本的には,2つの信号のうちいずれかの信号をローカル信号とする2周波レーダを用いることにより,受信信号にAND処理を行うことで偽像由来の信号を除去できるという実施例による知見に基づく。
【0006】
最初の発明は,異物探知システムに関する。異物探知システム1は,第1のレーダ9を含む。
【0007】
第1のレーダ9は,第1の出力部3と,第1の受信部5と,第1の異物分析部7とを含む。
【0008】
第1の出力部3は,第1の無線信号を出力するための要素である。第1の無線信号は,第1の信号と,第1の信号と周波数変化パターンが同じで,出力タイミングが異なる第2の信号とを含む。第1の信号と第2の信号は,周波数変調連続波FMCWであることが好ましい。
【0009】
第1の受信部5は,第1の無線信号に基づく第1の反射波を受信するための要素である。第1の反射波は,第1の信号に基づく第1の反射信号と,第2の信号に基づく第2の反射信号とを含む。
【0010】
第1の異物分析部7は,第1の受信部が受信した第1の反射波を用いて異物の有無を分析するための要素である。第1の異物分析部7は,第1の反射信号と第2の反射信号とを用いて,干渉により生ずる偽像を除去する。第1の異物分析部7は,第1の信号と第2の信号のいずれかをローカル信号として,異物の有無を分析するものであることが好ましい。
第1の異物分析部7は,第1の反射信号と第2の反射信号に共通する位置に存在すると分析される信号を異物由来の信号とし,
第1の反射信号と第2の反射信号において異なる位置に存在すると分析される信号を偽像由来の信号とするものが好ましい。
【0011】
異物探知システム1は,複数のレーダを含むものであってもよい。
例えば,この異物探知システム1は,第2のレーダ11をさらに含む。
そして,第2のレーダ11は,
第2の無線信号を出力する第2の出力部13と,
第2の無線信号に基づく第2の反射波を受信する第2の受信部15と,
第2の受信部が受信した第2の反射波を用いて異物の有無を分析する第2の異物分析部17と,を有する。
この場合,第2の無線信号は,
第1の信号と周波数変化パターンが同じ第3の信号と,
第3の信号と周波数変化パターンが同じで,出力タイミングが異なる第4の信号とを含む。
そして,第1の信号と第2の信号との出力タイミングの差をΔtd1とし,第3の信号と第4の信号との出力タイミングの差をΔtd2としたときに,Δtd1とΔtd2は異なる。
【発明の効果】
【0012】
従来の異物探知システムにおける光ファイバ長を切り替える際のタイムラグによる問題が生じない,異物探知システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は,異物探知システムを説明するための概略図である。
図2図2は,異物探知システムにおける各種信号を示す概念図である。
図3図3は,異物探知システムが偽像由来のピークを除去する処理を説明するための概念図である。
図4図4は,2周波FMCWレーダの概要を示す概念図である。
図5図5は,送信信号1をローカル信号とした時の送信信号及び反射信号の概要を示す図である。
図6図6は,送信信号2をローカル信号とした時の送信信号及び反射信号の概要を示す図である。
図7図7は,Δtが0.5マイクロ秒であり,送信信号1をローカル信号としたPPI画像を示す図面に代わるPPI(平面位置表示)画像である。縦軸及び横軸は距離(m)を示す。
図8図8 は,Δtが0.5マイクロ秒であり,送信信号1をローカル信号とした際のスペクトルを示す図面に代わるスペクトルである。縦軸は強度(dBm),横軸は距離(m)を示す。
図9図9は,Δtが0.5マイクロ秒であり,送信信号2をローカル信号とした際のシミュレーション結果を示す図面に代わるPPI画像である。縦軸及び横軸は距離(m)を示す。
図10図10 は,Δtが0.5マイクロ秒であり,送信信号2をローカル信号とした際のスペクトルを示す図面に代わるスペクトルである。縦軸は強度(dBm),横軸は距離(m)を示す。
図11図11は,Δtが0.25マイクロ秒であり,送信信号1をローカル信号とした際のシミュレーション結果を示す図面に代わるPPI画像である。縦軸及び横軸は距離(m)を示す。
図12図12 は,Δtが0.25マイクロ秒であり,送信信号1をローカル信号とした際のスペクトルを示す図面に代わるスペクトルである。縦軸は強度(dBm),横軸は距離(m)を示す。
図13図13は,Δtが0.25マイクロ秒であり,送信信号2をローカル信号とした際のシミュレーション結果を示す図面に代わるPPI画像である。縦軸及び横軸は距離(m)を示す。
図14図14 は,Δtが0.25マイクロ秒であり,送信信号2をローカル信号とした際のスペクトルを示す図面に代わるスペクトルである。縦軸は強度(dBm),横軸は距離(m)を示す。
図15図15は,2周波FMCWレーダのAND処理結果を示すPPI画像である。
図16図16は,送信信号1をローカル信号とした場合の2周波FMCWリニアセルレーダの送信信号及び反射信号の概要を示す図である。縦軸は周波数,横軸は時間を示す。
図17図17 は,送信信号2をローカル信号とした場合の2周波FMCWリニアセルレーダの送信信号及び反射信号の概要を示す図である。縦軸は周波数,横軸は時間を示す。
図18図18は,リニアセルレーダ実験系を示す概念図である。
図19図19は,図18を横から見た図である。
図20図20 は,送信信号1をローカル信号としたときのシミュレーション結果を示すPPI画像である。縦軸及び横軸は距離(m)を示す。
図21図21は,送信信号1をローカル信号とした際のスペクトルを示す図面に代わるスペクトルである。縦軸は強度(dBm),横軸は距離(m)を示す。
図22図22は,送信信号2をローカル信号としたときのシミュレーション結果を示すPPI画像である。縦軸及び横軸は距離(m)を示す。
図23図23は,送信信号2をローカル信号とした際のスペクトルを示す図面に代わるスペクトルである。縦軸は強度(dBm),横軸は距離(m)を示す。
図24図24は,2つのPPI画像(図20及び図22)をAND処理した結果を示す図面に代わるPPI画像である。
図25図25は,RAU1のΔtが0.5マイクロ秒,RAU2のΔtが0.25マイクロ秒であり,送信信号1をローカル信号とした際のシミュレーション結果を示す図面に代わるPPI画像である。縦軸及び横軸は距離(m)を示す。
図26図26は,RAU1のΔtが0.5マイクロ秒,RAU2のΔtが0.25マイクロ秒であり,送信信号1をローカル信号とした際のスペクトルを示す図面に代わるスペクトルである。縦軸は強度(dBm),横軸は距離(m)を示す。
図27図27 は,RAU1のΔtが0.5マイクロ秒,RAU2のΔtが0.25マイクロ秒であり,送信信号2をローカル信号とした際のシミュレーション結果を示す図面に代わるPPI画像である。縦軸及び横軸は距離(m)を示す。
図28図28は,RAU1のΔtが0.5マイクロ秒,RAU2のΔtが0.25マイクロ秒であり,送信信号2をローカル信号とした際のスペクトルを示す図面に代わるスペクトルである。縦軸は強度(dBm),横軸は距離(m)を示す。
図29図29は,2つのPPI画像(図25及び図27)をAND処理した結果を示す図面に代わるPPI画像である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下,図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。本発明は,以下に説明する形態に限定されるものではなく,以下の形態から当業者が自明な範囲で適宜修正したものも含む。
【0015】
図1は,異物探知システムを説明するための概略図である。図1に示されるように,異物探知システム1は,第1のレーダ9を含む。
【0016】
異物探知システム1は,例えば,飛行機の滑走路21に存在する異物を探知するためのシステムに関する。異物の例は,飛行機の進行の妨げとなる障害物など,正常な状態では,滑走路に存在しない物であって,飛行機の安全な運転の妨げになるか,妨げになる恐れがある物を意味する。航空機の例では,異物は滑走路に存在する。つまり,異物は,通常,乗物が通常運転をする際に通過する可能性がある領域に存在する物である。以下,飛行機の滑走路の異物探知システムを中心に説明を行う。もちろん,この異物探知システム1は,道路の異物探知システムや,航海における異物探知システムといった様々な用途に用いることができる。このシステムは,また,道路に設置されることで,自動運転車両に対し,異物の存在を通知するために用いることができる。
【0017】
第1のレーダ9は,第1の出力部3と,第1の受信部5と,第1の異物分析部7とを含む。なお,出力部と受信部は,物理的に同じものであってもよい。
【0018】
レーダ9として,公知のレーダを適宜採用できる。レーダは,同期信号(例えば光信号)を受信して,受信した同期信号を信号変換器により無線信号に変換,もしくは同期信号に同期した発信器で信号生成し,無線出力部から無線信号を放出できる。また,レーダは,その無線受信部により無線信号を受信し,受信した無線信号を信号変換部により信号(例えば光信号)に変換し,受信信号出力部から出力できる。レーダは,連続波(FMCW)レーダであっても,パルスレーダであってもよい。FMCWレーダでは,送信波と受信波を解析装置内のミキサに入力して,それらの周波数差を測定することで,レーダから異物の距離を算出できる。無線信号を光ファイバへ重畳するファイバ無線技術を採用してもよい。この場合,同期信号は,レーダ信号波形そのもので光を変調したものとなる。同期信号は,レーダ信号波形の発生プロセスの途中にある中間周波数帯波形を利用してもよい。複数のレーダに送信される同期信号は,同期がとられており,これによりタイミングを調整できる。ファイバ無線用ユニット及びファイバ無線用システムは,再表2010/001438号公報に記載されているとおり公知である。信号源は,このような公知のシステムを用いて同期信号を発生させ,出力させればよい。
【0019】
図1に示されるように,レーダは,滑走路を挟む両端側に所定間隔にて設置されているものが好ましい。レーダによっては,乗物(飛行機,自動車,オートバイ,自転車,ヘリコプター,ドローン)に設置されているものがある。レーダ9が,地上に設置されたレーダであるものが好ましい。この場合,レーダ群は,飛行機が滑走する部分を避けた滑走路付近に存在すればよい。例えば,滑走路の一方の端側に存在するレーダ群(第1のレーダ群)を,RAU1j(jは,1,2,・・・・),滑走路の他方の端側に存在するレーダ群(第2のレーダ群)をRAU2i(iは,1,2,・・・・)とも表記する。それぞれの群に存在するレーダの距離の例は,1m以上5km以下であり,10m以上1km以下でもよいし,100m以上1km以下でもよいし,200m以上1km以下でもよいし,10m以上100m以下でもよい。
【0020】
第1の出力部3は,第1の無線信号を出力するための要素である。第1の無線信号は,第1の信号と,第1の信号と周波数変化パターン(周波数が変化するパターン:波形)が同じで,出力タイミングが異なる第2の信号とを含む。この2つの無線信号は,物理的にひとつの出力装置(例えばアンテナ)から出力されてもよいし,物理的に複数の出力装置から出力されてもよい。もっとも,2つの無線信号は1つの出力装置から出力されるものが好ましい。
【0021】
第1の信号と第2の信号は,周波数変調連続波(FMCW)であることが好ましい。第1の信号と第2の信号は,ひとつの送信波として送信されることが好ましい。信号は,時間に対して周波数が三角波状に変化するものであってもよいし,時間に対して周波数がのこぎり波状に変化するものであってもよい。第1の信号と第2の信号との出力タイミングの差をΔtd1とし,それぞれの信号の周期又は掃引幅をΔTとする。すると,Δtd1はΔTの1/100000以上1/2以下が好ましく,ΔTの1/10000以上1/100以下でもよく,ΔTの1/5000以上1/500以下でもよいし,ΔTの1/3000以上1/500以下でもよいし,ΔTの1/3000以上1/1000以下でもよい。Δtd1の例は,0.01マイクロ秒以上10マイクロ秒以下であり,0.1マイクロ秒以上1マイクロ秒以下でもよい。
【0022】
出力部3は,信号源及び信号源の出力を制御するコンピュータにより制御されてもよい。信号源と出力部3とは,光ファイバによって接続されていてもよい。1つの信号源が,光ファイバネットワークにより複数のレーダと接続され,ある信号源由来の光が,複数のレーダの出力を制御してもよい。
【0023】
コンピュータは,入力部,出力部,制御部,演算部及び記憶部を有しており,各要素は,バスなどによって接続され,情報の授受を行うことができるようにされている。例えば,記憶部には,制御プログラムが記憶されていてもよいし,各種情報が記憶されていてもよい。入力部から所定の情報が入力された場合,制御部は,記憶部に記憶される制御プログラムを読み出す。そして,制御部は,適宜記憶部に記憶された情報を読み出し,演算部へ伝える。また,制御部は,適宜入力された情報を演算部へ伝える。演算部は,受け取った各種情報を用いて演算処理を行い,記憶部に記憶する。制御部は,記憶部に記憶された演算結果を読み出して,出力部から出力する。このようにして,各種処理が実行される。
【0024】
第1の受信部5は,第1の無線信号に基づく第1の反射波を受信するための要素である。第1の反射波は,第1の信号に基づく第1の反射信号と,第2の信号に基づく第2の反射信号とを含む。
【0025】
図2は,異物探知システムにおける各種信号を示す概念図である。なお,図2において第1の信号及び第2の信号は,1周期分のみ描画している。しかし,実際には,各信号は連続波であってもよい。図2の例では,送信タイミングだけが異なる2つのFMCW信号を1つの送信波として出力する。この送信波に対し,目標(例えば異物)からの反射波も2つのFMCW信号となる。反射波のうち一方は所望信号となり,もう一方の信号によって偽像が発生する。2つのFMCW信号のいずれをローカル信号とするかにより,偽像は異なる位置に発生するように分析される。一般的にレーダシステムでは,受信信号と局部発信器からのローカル信号との差周波数を求める。この明細書に記載される発明は,例えば,送信波に含まれるいずれかの信号由来の信号をローカル信号として用い,送信波に含まれる残りの信号由来の信号との差周波数を求める。
【0026】
第1の異物分析部7は,第1の受信部が受信した第1の反射波を用いて異物の有無を分析するための要素である。第1の異物分析部7は,受信部5と接続されたコンピュータにより実装されてもよい。第1の異物分析部7は,第1の反射信号と第2の反射信号とを用いて,干渉により生ずる偽像を除去する。干渉は,出力に2つの信号を含むことに起因するものでもよいし,異物以外のものに起因するものであってもよい。
【0027】
第1の異物分析部7は,第1の信号と第2の信号のいずれかをローカル信号として,異物の有無を分析するものであることが好ましい。第1の異物分析部7は,第1の反射信号と第2の反射信号に共通する位置に存在すると分析される信号を異物由来の信号とし,第1の反射信号と第2の反射信号において異なる位置に存在すると分析される信号を偽像由来の信号とするものが好ましい。
【0028】
図3は,異物探知システムが偽像由来のピークを除去する処理を説明するための概念図である。図3(a)は,第1の信号をローカル信号とした場合のPPI画像を示す概念図である。図3(b)は,第2の信号をローカル信号とした場合のPPI画像を示す概念図である。図3(c)は,図3(a)と図3(b)とをAND処理(双方のPPI画像に共通するピークのみを抽出する処理)を行った場合に得られるPPI画像を示す概念図である。PPI画像(平面位置表示画像)は,例えば,あるレーダからの平面位置においてある物体の存在を表示するための画像である。図3に示されるように,2つの信号のうち一方をローカル信号とした場合に得られるPPI画像と,残りをローカル信号とした場合に得られるPPI画像との両方に存在するピークのみを表示するPPI画像を得ることにより,異物由来の信号(所望信号)のみを抽出できる。図3(a)及び図3(b)に示される通り,PPI画像における所望信号(異物由来のピーク)は,2つのPPI画像においてその位置が共通する。一方,図3(a)及び図3(b)に示される通り,PPI画像における偽像由来の信号(ピーク)は,2つのPPI画像においてその位置が異なる。このため,図3(c)に示される通り,上記の画像処理(AND処理)を行うことで,偽像由来のピークを除去できる。
【0029】
図1に示されるように,異物探知システム1は,複数のレーダを含むものであってもよい。例えば,この異物探知システム1は,第2のレーダ11を含む。先に説明した通り,異物探知システム1は,複数のレーダが滑走路を挟む両端側に所定間隔にて設置されているものが好ましい。第2のレーダ11は,第2の無線信号を出力する第2の出力部13と,第2の無線信号に基づく第2の反射波を受信する第2の受信部15と,第2の受信部が受信した第2の反射波を用いて異物の有無を分析する第2の異物分析部17と,を有する。これらは,先に説明した第1のレーダのものと同様である。
【0030】
この場合,第2の無線信号は,第1の信号と周波数変化パターンが同じ第3の信号と,第3の信号と周波数変化パターンが同じで,出力タイミングが異なる第4の信号とを含む。第3の信号と第1の信号とは,同じタイミングで出力されてもよいし,異なるタイミングで出力されてもよい。そして,第1の信号と第2の信号との出力タイミングの差をΔtd1とし,第3の信号と第4の信号との出力タイミングの差をΔtd2としたときに,Δtd1とΔtd2は異なるものが好ましい。この場合も得られるPPI画像に対して,AND処理を行えばよい。このようにすれば,隣接するレーダ由来の偽像をも除去できる。
【0031】
図1に示されるように,異物探知システムが複数のレーダを含む場合,少なくとも隣接するレーダにおいて,2つの信号の出力タイミング差が異なるものであることが好ましい。また,図1に示される例では,対向する2つのレーダにおいて,2つの信号の出力タイミング差が異なるものであることが好ましい。このようにすれば,他のレーダによる干渉を避けることができ,他のレーダ由来の信号に由来する偽像を抑圧できる。もっとも,異物探知システムが複数のレーダを含む場合,すべてのレーダについて,2つの信号の出力タイミング差を異ならせなくてもよい。
【実施例
【0032】
2周波FMCWレーダの概要
以下,2周波FMCWレーダを提案し,シミュレーションにて検討する。まず2周波FMCWレーダの概要を紹介する。次に,実際に2周波FMCWレーダを用いたシミュレーションの結果を紹介する。その後,2周波FMCWレーダをリニアセルレーダに組み込んだ系について検討し,2周波FMCWリニアセルレーダのシミュレーションを行う。
【0033】
AND処理を行うレーダ像に必要な条件は以下の3つである。
条件1:2つのレーダ像において,目標の出現位置(送信波と所望波の関係)が変わらないこと
条件2:2つのレーダ像において,偽像の出現位置が変わっていること
条件3:AND処理を行うための2つのレーダ像を同時に取得すること
これらの条件を2周波FMCWレーダが満たしているかを検討する。2周波FMCWレーダで使用する信号の概要を図4に示す。
【0034】
図4において,縦軸は周波数,横軸は時間を示す。図4において,frequencyは周波数,transmitted1は送信信号1,transmitted2は送信信号2,Reflected1は反射信号1,Reflected2は反射信号2,Desired Signalは所望信号,Undesired Signalは偽像を含む非所望信号を意味する。これらの語は,以下においても同様である。なお,RADはレーダ(又はレーダヘッド)を意味する。Interference1は干渉信号1,Interference2は干渉信号2を意味する。
【0035】
図4は,2周波FMCWレーダの概要を示す概念図である。図4に示すように,2周波FMCWレーダでは送信波に2種類のFMCW信号を合成した信号を使用する。これらのFMCW信号の各パラメータは掃引開始のタイミングを除き,すべて同様である。この送信波によって,目標からの反射波も2種類のFMCW信号となる。したがって,2周波FMCWレーダでは狭帯域干渉による偽像が必ず発生する。
まず,条件1について検討する。送信波の2つのFMCW信号のうち,どちらをローカル信号とするかによって反射波のFMCW信号の一方は所望信号となり,もう一方の信号によって狭帯域干渉による偽像が発生する。図5に送信信号1をローカル信号と考えた時の概要図,図6に送信信号2をローカル信号と考えた時の概要図をそれぞれ示す。
【0036】
すなわち,図5は,送信信号1をローカル信号とした時の送信信号及び反射信号の概要を示す図である。図6は,送信信号2をローカル信号とした時の送信信号及び反射信号の概要を示す図である。
【0037】
図5に示されるように,送信信号1をローカル信号と考えると反射信号1が所望信号である。一方,図6に示されるように,送信信号2をローカル信号と考えると反射信号2が所望信号である。送信信号1を送信してから反射信号1を受信するまでの時間をΔtとする。すると,送信信号2を送信してから反射信号2を受信するまでの時間も同じくΔtである。したがって,送信信号1と送信信号2は送信開始タイミングを除きすべて同様の信号である。よって,どちらをローカル信号とした場合でも,送信信号と所望信号の差周波も同じ周波数となり,目標の像が現れる距離は同じとなる。また,この時の送信信号と所望信号の差周波(ビート周波数)fは式(1)で表される。
【0038】
=2f×Δt/ΔT (1)
ここで,f及びΔTは,それぞれ周波数掃引幅及び掃引時間である。
【0039】
次に,条件2について検討する。まず送信信号1をローカル信号と考えると,反射信号2によって偽像が発生する。送信信号1と送信信号2の遅延時間をΔtとすると,送信信号1を送信してから反射信号2を受信するまでの時間Δtは式(2)で表される。
【0040】
Δt=Δt+Δt (2)
【0041】
したがって,送信信号1と反射信号2の差周波fb1は式(3)で表される。
【0042】
b1=2f×(Δt+Δt)/ΔT (3)
【0043】
式(1)と式(3)より,fb1はfよりも大きくなる。このため,偽像は目標よりも遠い位置に出現する。一方,送信信号2をローカル信号と考えると,反射信号1によって偽像が発生する。送信信号2を送信してから反射信号1を受信するまでの時間Δtは式(4)で表される。
【0044】
Δt=Δt-Δt (4)
【0045】
したがって,送信信号2と反射信号1の差周波fb2は式(5)で表される。
b2=2f×(Δt-Δt)/ΔT (5)
【0046】
式(.1)と式(.5)より,fb2は fよりも小さくなる。このため,偽像は目標よりも近い位置に出現する。これらの式(3)と式(5)から,ローカル信号によって偽像は異なる位置に現れることが分かる。
【0047】
最後に条件3について検討する。2周波FMCWレーダでは2つのFMCW信号を合わせて1つの反射波として受信する。つまり,1つの受信波に2つのレーダ像の情報が含まれているため,条件1,2で検討したローカル信号について受信機側で2つ同時に処理できるようにすれば,ファイバ長の異なる2つのレーダ像を同時に取得できることと等価になる。以上から,2周波FMCWレーダは,光ファイバ長の切り替えの課題点を解決できる3つの条件を満たし,受信機で信号を観測すると同時にAND処理による干渉抑圧を行うことが可能である。
【0048】
2周波FMCWレーダシミュレーション
2周波FMCWレーダを使用し,偽像の発生位置だけを制御できるかをシミュレーションにより確認した。2つの信号源を同じ位置に配置した。2つの信号源からは同様の信号が送信されるものの,片方のみ信号を遅延させることによって2周波FMCW信号を模擬できる。まず送信信号の2つのFMCW信号の時間差を,光ファイバを100m追加した時と同じ0.5us(マイクロ秒)とし,送信源から目標までの距離を200mとした。それ以外のパラメータは,以下の表1に示す通りとした。図5のように送信信号1をローカル信号とした場合のシミュレーション結果を図7図8に示す。図6のように送信信号2をローカル信号とした場合のシミュレーション結果を図9図10にそれぞれ示す。また,2周波FMCWレーダにおいても光ファイバ長の遅延時間によって偽像の位置が変化するかを調べるために,光ファイバを50m追加したときと同様の0.25us遅延させた信号によるシミュレーションも行った。その結果を図11図14に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
図7は,Δtが0.5マイクロ秒であり,送信信号1をローカル信号としたPPI画像を示す図面に代わるPPI(平面位置表示)画像である。縦軸及び横軸は距離(m)を示す。
図8 は,Δtが0.5マイクロ秒であり,送信信号1をローカル信号とした際のスペクトルを示す図面に代わるスペクトルである。縦軸は強度(dBm),横軸は距離(m)を示す。
図9は,Δtが0.5マイクロ秒であり,送信信号2をローカル信号とした際のシミュレーション結果を示す図面に代わるPPI画像である。縦軸及び横軸は距離(m)を示す。
図10 は,Δtが0.5マイクロ秒であり,送信信号2をローカル信号とした際のスペクトルを示す図面に代わるスペクトルである。縦軸は強度(dBm),横軸は距離(m)を示す。
図11は,Δtが0.25マイクロ秒であり,送信信号1をローカル信号とした際のシミュレーション結果を示す図面に代わるPPI画像である。縦軸及び横軸は距離(m)を示す。
図12 は,Δtが0.25マイクロ秒であり,送信信号1をローカル信号とした際のスペクトルを示す図面に代わるスペクトルである。縦軸は強度(dBm),横軸は距離(m)を示す。
図13は,Δtが0.25マイクロ秒であり,送信信号2をローカル信号とした際のシミュレーション結果を示す図面に代わるPPI画像である。縦軸及び横軸は距離(m)を示す。
図14 は,Δtが0.25マイクロ秒であり,送信信号2をローカル信号とした際のスペクトルを示す図面に代わるスペクトルである。縦軸は強度(dBm),横軸は距離(m)を示す。
【0051】
これらの結果から,理論通り送信信号1をローカル信号とした場合の偽像は目標の像よりも遠い位置に発生し,送信信号2をローカル信号とした場合の偽像は目標の像よりも近い位置に発生することを確認した。また,どちらをローカル信号にした場合でも所望信号のビート周波数と偽像が現れる周波数の差の絶対値は同じであるため,200mの目標の像を境目にして同じ距離だけ送信源に近い位置と遠い位置に偽像が出現することを確認できた。なお,PPI(plan position indicator:平面位置表示)画像上の偽像の大きさが異なっている。これはアンテナのビームの広がりによるものである。
次に,図7図11を比較してみると,遅延時間の違いによって偽像の現れる位置が変化していることが分かる。したがって,2周波FMCWレーダにおいても,光ファイバ長の追加による偽像の発生位置の移動と同様の制御が可能である。
また,図7図9においてAND処理を行った結果を図15に示す。
【0052】
図15は,2周波FMCWレーダのAND処理結果を示すPPI画像である。
図15では目標の像だけが残り,偽像だけを除去できていることが分かる。したがって,2周波FMCWレーダにおいても干渉抑圧処理を行うことができることが確認できた。
以上のことから,2周波FMCWレーダは,従来の系の課題点を解決できる系であるといえる。
【0053】
2周波FMCWリニアセルレーダ概要
上記した2周波FMCW信号を,複数のRAU(レーダ)を含むリニアセルレーダ系に適用した場合を検討する。この計では,すべてのRAUが2周波FMCW信号を送信することになるため,干渉波として観測される信号も2周波FMCW信号となる。送信信号1,送信信号2をローカル信号とした場合について,図16図17にそれぞれ示す。
【0054】
図16は,送信信号1をローカル信号とした場合の2周波FMCWリニアセルレーダの送信信号及び反射信号の概要を示す図である。縦軸は周波数,横軸は時間を示す。
図17 は,送信信号2をローカル信号とした場合の2周波FMCWリニアセルレーダの送信信号及び反射信号の概要を示す図である。縦軸は周波数,横軸は時間を示す。
【0055】
2周波FMCWリニアセルレーダにおける全てのRAUで送信信号1と送信信号2の遅延時間Δtが同じだった場合,干渉波として観測される干渉信号1と干渉信号2の遅延時間もΔtとなる。その結果,送信信号1が送信されてから干渉信号1を観測するまでの時間と,送信信号2が送信されてから干渉信号2を観測するまでの時間が同じになり,それらの差周波も同じ値のfiとなる。すなわち,それらの信号による偽像の発生位置は同じであり,その偽像についてはレーダ像に対してAND処理を行っても除去できない。したがって,2周波FMCWリニアセルレーダにおいてAND処理による干渉抑圧を行うためには,送信波と干渉波の差周波をローカル信号によって異なる値にするために,少なくとも隣接するRAU間でΔtの値を変更することが好ましい。
【0056】
2周波FMCWリニアセルレーダシミュレーション
図18及び図19の実験系で2周波FMCW信号を用いた2周波FMCWリニアセルレーダについてシミュレーションを行った。まず,各RAUの遅延時間Δtがすべて0.25usの場合のシミュレーション結果を図20図24にそれぞれ示す。
【0057】
図18は,リニアセルレーダ実験系を示す概念図である。
図19は,図18を横から見た図である。
図20 は,送信信号1をローカル信号としたときのシミュレーション結果を示すPPI画像である。縦軸及び横軸は距離(m)を示す。
図21は,送信信号1をローカル信号とした際のスペクトルを示す図面に代わるスペクトルである。縦軸は強度(dBm),横軸は距離(m)を示す。
図22は,送信信号2をローカル信号としたときのシミュレーション結果を示すPPI画像である。縦軸及び横軸は距離(m)を示す。
図23は,送信信号2をローカル信号とした際のスペクトルを示す図面に代わるスペクトルである。縦軸は強度(dBm),横軸は距離(m)を示す。
図24は,2つのPPI画像(図20及び図22)をAND処理した結果を示す図面に代わるPPI画像である。
【0058】
図24から,遅延時間Δtが同じRAUを使用した2周波FMCWリニアセルレーダでは,ローカル信号を変えて取得した2つのレーダ像に対してAND処理を行っても,除去しきれない偽像が発生することを確認した。この偽像をAND処理によって抑圧できるようにするため,RAU1の遅延時間Δtを0.5us,RAU2の遅延時間Δtを0.25us(マイクロ秒)とした場合のシミュレーション結果を図25図29にそれぞれ示す。
【0059】
図25は,RAU1のΔtが0.5マイクロ秒,RAU2のΔtが0.25マイクロ秒であり,送信信号1をローカル信号とした際のシミュレーション結果を示す図面に代わるPPI画像である。縦軸及び横軸は距離(m)を示す。
図26は,RAU1のΔtが0.5マイクロ秒,RAU2のΔtが0.25マイクロ秒であり,送信信号1をローカル信号とした際のスペクトルを示す図面に代わるスペクトルである。縦軸は強度(dBm),横軸は距離(m)を示す。
図27 は,RAU1のΔtが0.5マイクロ秒,RAU2のΔtが0.25マイクロ秒であり,送信信号2をローカル信号とした際のシミュレーション結果を示す図面に代わるPPI画像である。縦軸及び横軸は距離(m)を示す。
図28は,RAU1のΔtが0.5マイクロ秒,RAU2のΔtが0.25マイクロ秒であり,送信信号2をローカル信号とした際のスペクトルを示す図面に代わるスペクトルである。縦軸は強度(dBm),横軸は距離(m)を示す。
図29は,2つのPPI画像(図25及び図27)をAND処理した結果を示す図面に代わるPPI画像である。
【0060】
図29から2周波FMCWリニアセルレーダではRAUごとに遅延時間Δtを変更することで送信波と干渉波の差周波をローカル信号によって異なる値にし,得られた2つのレーダ像に対してAND処理による干渉抑圧が可能であることが示された。
【0061】
2周波FMCWレーダでは従来の系における干渉回避の課題点であった光ファイバ長の切り替えによるレーダ像取得のタイムラグを解決し,2種類の異なるファイバ長のレーダ像を同時に取得することが可能であることを示した。シミュレーションにより2周波FMCWレーダの原理が正しいことを示し,2周波FMCWレーダによって得たレーダ像を用いたAND処理による干渉抑圧に成功した。さらに,2周波FMCW信号をリニアセルレーダに組み込む際の注意点について検討し,隣接するRAU間でΔtの値を変更することでAND処理による干渉抑圧が可能であることを示した。
【産業上の利用可能性】
【0062】
この明細書に記載される発明は,異物探知システムに関するので,例えば,情報通信産業,航空産業,自動車産業及び建築業において利用され得る。
【符号の説明】
【0063】
1 異物探知システム
3 第1の出力部
5 第1の受信部
7 第1の異物分析部
9 第1のレーダ
11 第2のレーダ
13 第2の出力部
15 第2の受信部
17 第2の異物分析部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29