(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】かつら、かつらの製造方法及びヘアー材
(51)【国際特許分類】
A41G 3/00 20060101AFI20240807BHJP
【FI】
A41G3/00 H
A41G3/00 D
(21)【出願番号】P 2022177398
(22)【出願日】2022-11-04
(62)【分割の表示】P 2022076359の分割
【原出願日】2022-05-03
【審査請求日】2022-11-04
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520014730
【氏名又は名称】株式会社バンガードエンタープライズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001782
【氏名又は名称】弁理士法人ライトハウス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 修
【合議体】
【審判長】北村 英隆
【審判官】西 秀隆
【審判官】関口 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-321008(JP,A)
【文献】特開2014-122440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41G3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアー材と、第1ベース部とを備えるかつらであって、
ヘアー材が、第1ベース部の裏側から表側へ向かって、第1ベース部の2つの異なる点を挿通しており、
第1ベース部の裏側に存在するヘアー材の少なくとも一部の表面が、ヘアー材の他の表面と比べ、接着性に優れた状態であり、かつ、第1ベース部の裏側に存在するヘアー材近傍の第1ベース部の表面が、第1ベース部の他の表面と比べ、接着性に優れた状態であり、
第1ベース部の裏側に存在するヘアー材と、第1ベース部とが接着されて
おり、
前記ヘアー材の一部の表面の表面粗さが、ヘアー材の他の表面の表面粗さよりも大きく、
前記第1ベース部の表面に、熱処理が施されている、かつら。
【請求項2】
第1ベースの表側に第2ベース部を備え、
ヘアー材が、第2ベース部の裏側から表側へ向かって挿通している、請求項1に記載のかつら。
【請求項3】
該ヘアー材の一部の表面が、表面処理され
ている、請求項1又は2に記載のかつら。
【請求項4】
表面処理が熱処理である、請求項
3に記載のかつら。
【請求項5】
第1ベース部の裏面に粘着層を有するものを除く、請求項1又は2に記載のかつら。
【請求項6】
第1ベース部の一の点に、表側から裏側へ向かってヘアー材を挿通させ、他の点からヘアー材を引き出す挿通ステップと、
第1ベース部の裏側に存在するヘアー材の少なくとも一部の表面
に熱処理を施すことで、該ヘアー材の一部の表面を、ヘアー材の他の表面と比べ、接着性に優れた状態とする第1表面処理ステップと、
第1ベース部の裏側に存在するヘアー材近傍の第1ベース部の表面
に熱処理を施すことで、該第1ベース部の表面を、第1ベース部の他の表面と比べ、接着性に優れた状態とする第2表面処理ステップと、
処理されたヘアー材の表面と処理された第1ベース部の表面とを接着させる接着ステップと
を有
し、
前記ヘアー材の一部の表面の表面粗さが、ヘアー材の他の表面の表面粗さよりも大きい、かつらの製造方法。
【請求項7】
第
1表面処理ステップと第
2表面処理ステップとが同時に行われる、請求項
6に記載のかつらの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かつら及びかつらの製造方法に関する。また、本発明は、ヘアー材に関する。
【背景技術】
【0002】
多くのかつら等は、かつらベースに人毛又は人工毛等の毛髪が植毛された構成を有している。かつらベースに毛髪を植毛する際には、毛髪をかつらベースに結び付けることが行われているが、毛髪の根元に結び目ができてしまい、かつらの外観が不自然になってしまう問題があった。
【0003】
そこで、毛髪の結び目が、かつらの表面から視認できないようにした、自然な外観を有するかつらを得ることを目的として、毛髪の途中にかつらベースとの係止部が設けられ、係止部がかつらベースの裏面側に位置し、毛髪の両端側のそれぞれがかつらベースの表面側に位置し、毛髪が結着されることなくかつらベースに植毛された、かつらが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方で、かつらベースに毛髪を植毛する際に、毛髪をかつらベースに結び付けることなく、植毛する方法もある。この場合、かつらベースの裏面にて毛髪を接着剤に接着させることが行われるが、かつらの使用時に、かつらベースから毛髪が抜けてしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものである。すなわち、本発明は、自然な外観を有し、毛髪が抜けにくいかつらを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題は、
[1]ヘアー材と、第1ベース部とを備えるかつらであって、ヘアー材が、第1ベース部の裏側から表側へ向かって、第1ベース部の2つの異なる点を挿通しており、第1ベース部の裏側に存在するヘアー材の少なくとも一部の表面が、ヘアー材の他の表面と比べ、接着性に優れた状態であり、及び/又は、第1ベース部の裏側に存在するヘアー材近傍の第1ベース部の表面が、第1ベース部の他の表面と比べ、接着性に優れた状態であり、第1ベース部の裏側に存在するヘアー材と、第1ベース部とが接着されている、かつら;
[2]第1ベースの表側に第2ベース部を備え、ヘアー材が、第2ベース部の裏側から表側へ向かって挿通している、前記[1]に記載のかつら;
[3]該ヘアー材の一部の表面の表面粗さが、他の表面の表面粗さよりも大きい、前記[1]又は[2]に記載のかつら;
[4]該ヘアー材の一部の表面が、表面処理されている、前記[1]~[3]のいずれかに記載のかつら;
[5]表面処理が熱処理である、前記[4]に記載のかつら;
[6]第1ベース部の一の点に、表側から裏側へ向かってヘアー材を挿通させ、他の点からヘアー材を引き出すステップと、第1ベース部の裏側に存在するヘアー材の少なくとも一部の表面を処理するステップと、処理された表面と第1ベース部とを接着させるステップとを有する、かつらの製造方法;
[7]一部の表面の表面粗さが、該一部の表面とは異なる他の表面の表面粗さよりも大きい、ヘアー材;
により解決される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、自然な外観を有し、毛髪が抜けにくいかつらを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態にかかるかつらの断面図である。
【
図2】本発明の実施の形態にかかるかつらの斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態にかかる、第1ベース部におけるヘアー材を植毛するポイントを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について説明をするが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明は以下の実施の形態に限定されない。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態にかかるかつらのヘアー材の根元を拡大した断面図である。以下、かつら1において、頭にかぶせる側を裏側、ヘアー材が伸びる側を表側と定義する。
図1の断面図は、裏側から表側に向かう方向を含む平面を断面とするものである。かつら1は、頭全体にかぶせる全頭用、部分的に装着する部分用のいずれのかつらであってもよい。かつら1は、ヘアー材2と、第1ベース部3とを少なくとも備える。
【0012】
ヘアー材2は、毛髪に相当するものである。ヘアー材2は、第1ベース部3の裏側から表側へ向かって、第1ベース部3の2つの異なる網目を挿通している。つまり、ヘアー材2は、第1ベースの一の網目、及び、一の網目と異なる他の網目を挿通しており、ヘアー材2の両端側は、第1ベース部3の表側に位置する。
【0013】
第1ベース部3の裏側に存在するヘアー材2の少なくとも一部の表面が、ヘアー材2の他の表面と比べ、接着剤により接着する際の接着性に優れた状態であることが好ましい。第1ベース部3の裏側に存在するヘアー材2の一部の表面が、ヘアー材2の他の表面と比べ、接着性に優れた状態であるためには、ヘアー材2の一部の表面の表面粗さが、他の表面の表面粗さよりも大きいことが好ましい。
【0014】
ヘアー材2は、繊維で構成されており、例えば、ポリエステル系繊維、ナイロン系繊維、塩化ビニル系繊維又はアクリル系繊維を用いることができる。これらの中でも、ヘアー材2として、ポリエステル系繊維を用いることが好ましい。ヘアー材の線径は、60μm以上であることが好ましく、120μm以下であることがより好ましい。
【0015】
第1ベース部3の裏側に存在するヘアー材2の少なくとも一部の表面を、ヘアー材2の他の表面と比べ、接着性に優れた状態とするための方法としては、該ヘアー材2の一部の表面を表面処理する方法があげられる。表面処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、表面処理剤等を用いてヘアー材2の表面を処理する方法、コーティング剤をヘアー材2の表面にコーティングすることにより表面を処理する方法、ヘアー材2の表面を熱処理する方法があげられる。なかでも、ヘアー材2の表面を熱処理する方法が好ましい。ヘアー材2の一部の表面を熱処理することにより、ヘアー材2の一部の表面の表面粗さが、他の表面の表面粗さよりも大きいことが好ましい。
【0016】
熱処理は、第1ベース部3の裏側に存在するヘアー材2の少なくとも一部の表面だけでなく、ヘアー材2近傍の第1ベース部3の裏側表面に施すこともできる。これらの両方が熱処理されていることにより、良好な接着性を得ることができる。
【0017】
ヘアー材及び第1ベース部3の素材がポリエステルである場合は、接着剤を使用せずに、これらを熱で融着させることもできる。ヘアー材2又はヘアー材2近傍の第1ベース部3の裏側表面を融着させる際の温度は、使用するポリエステルの融点よりも高い温度であることが好ましい。
【0018】
第1ベース部3は、薄い層状の形状を有する。第1ベース部3としては、特に限定されないが、柔軟性、通気性を有するものであることが好ましい。また、第1ベース部3の素材は、かつら1として頭部に装着した際に目立たない色を有するものであること、軽いものであることが好ましい。第1ベース部3の色は、装着する人の肌の色にあわせて染色してもよい。第1ベース部3は、ヘアー材2を固定する機能を有するものである。第1ベース部3は、例えば、微細な網目を有する布帛から構成されている。
【0019】
第1ベース部3を構成する素材は特に限定されないが、ポリエステル又はナイロンであることが好ましい。
【0020】
第1ベース部3が有する網目の大きさは、100#~200#であることが好ましい。また、網目を構成する線径は、30μm以上であることが好ましい。
【0021】
第1ベース部3の裏側に存在するヘアー材2近傍の第1ベース部3の裏側表面が、第1ベース部3の他の表面と比べ、接着性に優れた状態であることが好ましい。ヘアー材2近傍の第1ベース部3の裏側表面を、第1ベース部3の他の裏側表面と比べ、接着性に優れた状態とするための方法としては、ヘアー材2近傍の第1ベース部3の裏側表面を、表面処理する方法があげられる。表面処理の方法としては、特に限定されないが、熱処理する方法が好ましい。
【0022】
ヘアー材2は、固着部5において、第1ベース部3に接着されている。ヘアー材2の接着方法は特に限定されないが、ヘアー材2の素材に応じて、適宜変更することができる。ヘアー材2の接着方法としては、接着剤により接着する方法があげられる。接着剤は、UV硬化型接着剤であることが好ましい。ディスペンサーを使用して、第1ベース部3及び/又はヘアー材2にUV硬化型接着剤を塗布し、紫外線を照射する方法を用いることで、かつら1の量産も可能となる。
【0023】
第2ベース部4は、薄い層状の形状を有する。第2ベース部4としては、特に限定されないが、柔軟性、通気性を有するものであることが好ましい。また、第2ベース部4の素材は、かつら1として頭部に装着した際に目立たない色を有するものであること、軽いものであることが好ましい。第2ベース部4の色は、装着する人の肌の色にあわせて染色してもよい。第2ベース部4は、ヘアー材2を毛立たせる機能、及び、第1ベース部3とヘアー材2との接着部分を隠す機能を有する。第2ベース部4は、例えば、微細な網目を有する布帛から構成されている。
【0024】
第2ベース部4を構成する素材は特に限定されないが、ポリエステル又はナイロンであることが好ましい。
【0025】
第2ベース部4が有する網目の大きさは、100#~200#であることが好ましい。また、網目を構成する線径は、30μm以上であることが好ましい。
【0026】
ヘアー材2について、引張試験を行った場合の破断時の応力が高いかつらを得る方法としては、第1ベース部3の裏側に存在するヘアー材2の少なくとも一部の表面、及び/又は、第1ベース部3の裏側に存在するヘアー材2近傍の第1ベース部3の裏側表面について、熱処理等の表面処理を行い、接着剤により、ヘアー材2を第1ベース部3に固着する方法があげられる。
【0027】
従来のかつらベースにヘアー材を結び付ける方法では、結び目がヘアー材の約3倍の太さになるため、結び目が目立ってしまう。しかし、本発明では、第1ベース部3及び第2ベース部4にヘアー材2を挿通させ、ヘアー材2を第1ベース部3に固着しているため、頭皮から毛髪が直接生えているように見え、自然な生え際を実現することができる。
【0028】
従来のかつらベースにヘアー材を結び付ける方法では、櫛又は手櫛でヘアー材を梳くと、結んだ部分が輪になっているため、ヘアー材が輪に沿って寝てしまい、ふっくら感が損なわれてしまう。一方、本発明では、第1ベース部3及び第2ベース部4にヘアー材2を挿通させているため、植毛したヘアー材2の根元を2点で支えることができる。そのため、ヘアー材2の根元を1点のみで支えている場合と比べ、ヘアー材2の立ち方が強くなり、かつら1にふっくら感がでる。
【0029】
第1ベース部3及び第2ベース部4は、シート状であれば、特に問題なく使用できるが、網目状(ネット)の第1ベース部3及び第2ベース部4を使用することで、通気性を向上させ、使用時の爽快感を引き出すことができる。
【0030】
第2ベース部4を利用することで、ヘアー材2の立ち方が強くなるため、植毛量が少なくてもふんわり感をだすことができるため、かつら1の重量を軽くすることができる。
【0031】
次に、本発明のかつらの製造方法について、説明する。かつら1の製造方法は、網目を有する第1ベース部3の一の網目に、表側から裏側へ向かってヘアー材2を挿通させ、他の網目からヘアー材2を引き出すステップを有する。このステップにおいて、第1ベース部3だけでなく、第2ベース部4に対しても、ヘアー材2を挿通させてもよい。第1ベース部3及び第2ベース部4にヘアー材2を挿通させる方法としては、公知の方法を用いることができる。第1ベース部3及び第2ベース部4にヘアー材2を挿通させるのに、例えば、J字状のフック部と、フック部の基端にて回動自在でフック部を開閉できるベラ部を有するタッピを利用することができる。
【0032】
次に、第1ベース部3の裏側に存在するヘアー材2の少なくとも一部の表面を処理するステップを有する。この際に、第1ベース部3の裏側に存在するヘアー材2近傍の第1ベース部3の裏側表面に、同時に熱処理を施すこともできる。熱処理の方法としては、第1ベース部3の裏側に存在するヘアー材2、及び、ヘアー材2近傍の第1ベース部3の裏側表面に対して、同時に、局所的に熱プレスをする方法があげられる。
【0033】
次に、第1ベース部3とヘアー材2とを接着させるステップとを有する。第1ベース部3とヘアー材2とを接着させる方法としては、接着剤を用いることができる。例えば、第1ベース部3とヘアー材2とが接触している点にUV硬化型接着剤を塗布し、その後、紫外線を照射することで、UV硬化型接着剤を硬化させて、固着部5とすることができる。
【0034】
次に、ヘアー材2を第1ベース部3に植毛する際のピッチについて説明をする。ヘアー材2を植毛するポイントが直線状に規則正しく並んでいる場合、毛の生え際の位置が規則的になり、自然な毛髪とは異なり不自然さが発生する。一方で、ヘアー材2を植毛するポイントを完全に不規則な位置とすると、毛髪の濃さにムラが生じることになる。そこで、植毛するポイントを、完全な直線上に並べることなく、一定の規則性で配置することで、生え際の不自然さや毛髪の濃さのムラ等の問題を解消することができる。
【0035】
図3は、本発明の実施の形態にかかる、第1ベース部におけるヘアー材を植毛するポイントを示す図である。
図3中、黒塗りしたポイントをPとし、白塗りしたポイントをQとする。P及びQはいずれも、ヘアー材2を植毛するポイントである。
図3中、最も左下にあるポイントをP
11とし、右側に移るにつれて、P
12、P
13・・・といったように、Pの文字に付された数字のうち右から1桁目の値が大きくなり、また、P11を基準の点とし、上側に移るにつれて、P
21、P
31・・・といったように、Pの文字に付された数字のうち右から2桁目の値が大きくなるものとする。よって、ポイントPのそれぞれは、P
nmと表示することができる(nは1以上の整数であり、右側に移動するにつれて、1ずつ数字が大きくなる。mは1以上の整数であり、右側に移動するにつれて、1ずつ数字が大きくなる)。
【0036】
Pn1、Pn3、Pn5・・・といったように、同じ行で、Pの文字に付された数字のうち右から1桁目が奇数のポイントは直線上に並んでいる(ここで、この直線により特定される方向を横方向と定義する)。また、Pn2、Pn4、Pn6・・・といったように、同じ行で、Pの文字に付された数字のうち右から1桁目が偶数のポイントは直線上に並んでいる。ここで、同じ行のPn1、Pn2、Pn3、Pn4・・・はジグザグ状に並んでいる。
【0037】
P1m、P3m、P5m・・・といったように、同じ列で、Pの文字に付された数字のうち右から2桁目が奇数のポイントは直線上に並んでいる(ここで、この直線により特定される方向を縦方向と定義する)。また、P2m、P4m、P6m・・・といったように、同じ列で、Pの文字に付された数字のうち右から2桁目が偶数のポイントは直線上に並んでいる。ここで、同じ列のP1m、P2m、P3m、P4m・・・はジグザグ状に並んでいる。
【0038】
ポイントQは、Q11を基準とし、ポイントPの並びと同一の並びを有する。つまり、Qn1、Qn3、Qn5・・・といったように、同じ行で、Qの文字に付された数字のうち右から1桁目が奇数のポイントは直線上に並んでいる(ここで、この直線により特定される方向を横方向と定義する)。また、Qn2、Qn4、Qn6・・・といったように、同じ行で、Qの文字に付された数字のうち右から1桁目が偶数のポイントは直線上に並んでいる。ここで、同じ行のQn1、Qn2、Qn3、Qn4・・・はジグザグ状に並んでいる。
【0039】
Q1m、Q3m、Q5m・・・といったように、同じ列で、Qの文字に付された数字のうち右から2桁目が奇数のポイントは直線上に並んでいる(ここで、この直線により特定される方向を縦方向と定義する)。また、Q2m、Q4m、Q6m・・・といったように、同じ列で、Qの文字に付された数字のうち右から2桁目が偶数のポイントは直線上に並んでいる。ここで、同じ列のQ1m、Q2m、Q3m、Q4m・・・はジグザグ状に並んでいる。
【0040】
隣接するPn(2k-1)、Pn(2k)は、1つの同じヘアー材2が挿通するポイントである(kはm/2以下の整数)。同様に、隣接するQn(2k-1)、Qn(2k)は、1つの同じヘアー材2が挿通するポイントである(kはm/2以下の整数)。
【0041】
ここで、P
n(m-1)、P
nmの横方向の距離をL2と定義し、P
n(m-1)、P
nmの縦方向の距離をL4と定義する。そして、P
(n-1)m、P
nmの縦方向の距離をL1と定義し、P
(n-1)m、P
nmの横方向の距離をL3と定義する。
図3では、例えば、L1を2とすると、L2は1.9、L3は0.1、L4は0.2とすることができる。また、この場合、Q
11は、P
11から横方向に沿って右側に0.95、縦方向に沿って上側に0.9ずれている。
【0042】
L2/L1は、0.9以上であることが好ましく、0.95以上であることがより好ましい。L2/L1は、1以下であることが好ましい。L3/L1は、0.04以上であることが好ましく、0.06以下であることが好ましい。L4/L2は、0.09以上であることが好ましく、0.11以下であることが好ましい。
【符号の説明】
【0043】
1 かつら
2 ヘアー材
3 第1ベース部
4 第2ベース部
5 固着部