(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長方法及び装置
(51)【国際特許分類】
C30B 29/36 20060101AFI20240807BHJP
C30B 23/06 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
C30B29/36 A
C30B23/06
(21)【出願番号】P 2022580948
(86)(22)【出願日】2022-10-10
(86)【国際出願番号】 CN2022124446
(87)【国際公開番号】W WO2023082913
(87)【国際公開日】2023-05-19
【審査請求日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】202111349816.1
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522501982
【氏名又は名称】スーチョウ ユーキング セミコンダクター テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU UKING SEMICONDUCTOR TECHNOLOGY Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】A6 # Plant, No. 555, Dujuan Road, Kunshan Development Zone, Suzhou, Jiangsu, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン チエンミン
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ユアンホイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ホンユイ
【審査官】本多 仁
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第210194036(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0361580(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第113502541(CN,A)
【文献】国際公開第2021/217191(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0034812(KR,A)
【文献】米国特許第6652649(US,B1)
【文献】韓国公開特許第2011-0080527(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 29/00-29/68
C30B 23/00-23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置であって、
キャビティ(1)と、キャビティ(1)の内側壁に近接して配置された保温層組立体と、を備え、
前記保温層組立体の内部には、複数の加熱器組立体が離間して配置され、前記加熱器組立体の内部空間には、複数の独立した成長チャンバ(2)が構成され、各成長チャンバ(2)内には、独立成長組立体が配置されており、
前記独立成長組立体は、黒鉛坩堝(3)と、黒鉛坩堝(3)の天井部に配置された種結晶トレイ(4)と、を備える、
複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置。
【請求項2】
前記成長チャンバ(2)の水平断面形状は、円形である、
請求項1に記載の複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置。
【請求項3】
前記成長チャンバ(2)の水平断面形状は、対称多角形であり、且つ辺数が4以上である、
請求項1に記載の複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置。
【請求項4】
各前記黒鉛坩堝(3)の底部にはそれぞれの駆動組立体が連結されており、駆動組立体は、黒鉛坩堝(3)が成長チャンバ(2)内で移動するように駆動させるために用いられる、
請求項2又は3に記載の複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置。
【請求項5】
前記駆動組立体は、昇降機構(5)と、回転機構(6)と、を備え、
前記昇降機構(5)は、黒鉛坩堝(3)の底部に摺動可能に連結された中空昇降ロッド(7)と、キャビティ(1)の底部に固定され、且つ中空昇降ロッド(7)の底端に連結された昇降モータ(8)と、を備え、
前記回転機構(6)は、中空昇降ロッド(7)内に固定されたステッピングモータ(11)と、ステッピングモータ(11)の出力軸に同軸に固定連結された回転ロッド(12)と、を備え、前記回転ロッド(12)は、黒鉛坩堝(3)の底部に固定連結されている、
請求項4に記載の複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置。
【請求項6】
前記中空昇降ロッド(7)は、キャビティ(1)の底部を貫通している、
請求項5に記載の複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置。
【請求項7】
前記黒鉛坩堝(3)の底端には、環状スライド溝(9)が開設され、中空昇降ロッド(7)の頂端には、環状スライド溝(9)に適合するスライドローラ(10)が取り付けられている、
請求項5に記載の複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置。
【請求項8】
前記加熱器組立体は、黒鉛坩堝(3)の外周を囲んで配置された第1の加熱器(13)及び第2の加熱器(14)と、黒鉛坩堝(3)の底部に固定された第3の加熱器(15)と、を備える、
請求項6又は7に記載の複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置。
【請求項9】
黒鉛坩堝(3)の高さをMと定義し、前記第1の加熱器(13)と第2の加熱器(14)は、いずれも黒鉛坩堝(3)の外周を囲んで配置されており、第1の加熱器(13)は、黒鉛坩堝(3)の上縁から黒鉛坩堝(3)の高さの1/4Mまでの間に配置され、第2の加熱器(14)は、黒鉛坩堝(3)の高さの3/4Mから黒鉛坩堝(3)の下縁までの間に配置され、且つ、第2の加熱器(14)の高さは、炭化ケイ素原料の高さを超えない、
請求項8に記載の複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置。
【請求項10】
請求項4乃至9のいずれか一項に記載の成長装置を用いて炭化ケイ素結晶の同期成長を行う複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長方法であって、
予備加熱段階(S1)、結晶成長段階(S2)、及び成長終了段階(S3)を含み、
前記予備加熱段階(S1)では、
黒鉛坩堝(3)、駆動組立体及び炭化ケイ素原料を取り付けた後、キャビティ(1)内の気密性を検査し、キャビティ(1)内の圧力が0.1~5Paの範囲内になるまで真空排気し、キャビティ(1)内の圧力が10
-2~10
-5Paの範囲内になるまでさらに真空排気し、キャビティ(1)内の温度が500~700℃の範囲内に達するように加熱器組立体の電力を上げ、キャビティ(1)内に窒素ガス/水素ガス及び不活性ガスを含む混合ガスを充填し、キャビティ(1)内の温度が1500℃より高いことを検出した後、キャビティ(1)内の圧力を調整して10000~70000Paの範囲内に維持させ、黒鉛坩堝(3)の温度が2100℃に上昇するまで、加熱器組立体の電力を上げ続け、
前記結晶成長段階(S2)では、
黒鉛坩堝(3)の底部の温度が黒鉛坩堝(3)の上部の温度より10~100℃高くなるように、加熱器組立体の電力比率を調整し、駆動組立体によって黒鉛坩堝(3)の位置を調整して、黒鉛坩堝(3)内の炭化ケイ素原料の温度を種結晶の温度より15~80℃高くし、キャビティ(1)内の圧力を下げて50~2500Paの範囲内に維持させ、結晶成長段階に入り、
前記成長終了段階(S3)では、
結晶成長が終了した後、キャビティ(1)内の圧力を調整して2500~10000Paの範囲内に維持させ、加熱器組立体の電力を下げて黒鉛坩堝(3)の底部と黒鉛坩堝(3)の上部との温度差を20℃以内に縮小させ、加熱器組立体の電力がゼロになるまで電力を徐々に下げ続ける、
複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長方法。
【請求項11】
複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置であって、
キャビティ(1)と、キャビティ(1)の内側壁に近接して配置された保温層組立体と、を備え、
前記保温層組立体は、キャビティ(1)内を複数の独立した成長チャンバ(2)に分割し、各成長チャンバ(2)内には、独立成長組立体が配置されており、
前記独立成長組立体は、黒鉛坩堝(3)と、前記黒鉛坩堝(3)の天井部に配置された種結晶トレイ(4)と、前記黒鉛坩堝(3)の外周に配置された加熱器組立体と、を備える、
複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置。
【請求項12】
前記成長チャンバ(2)の水平断面形状は、円形である、
請求項11に記載の複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置。
【請求項13】
前記成長チャンバ(2)の水平断面形状は、対称多角形であり、且つ辺数が4以上である、
請求項11に記載の複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置。
【請求項14】
各前記黒鉛坩堝(3)の底部にはそれぞれの駆動組立体が連結されており、駆動組立体は、黒鉛坩堝(3)が成長チャンバ(2)内で移動するように駆動させるために用いられる、
請求項12又は13に記載の複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置。
【請求項15】
前記駆動組立体は、昇降機構(5)と、回転機構(6)と、を備え、
前記昇降機構(5)は、黒鉛坩堝(3)の底部に摺動可能に連結された中空昇降ロッド(7)と、キャビティ(1)の底部に固定され、且つ中空昇降ロッド(7)の底端に連結された昇降モータ(8)と、を備え、
前記回転機構(6)は、中空昇降ロッド(7)内に固定されたステッピングモータ(11)と、ステッピングモータ(11)の出力軸に同軸に固定連結された回転ロッド(12)と、を備え、前記回転ロッド(12)は、黒鉛坩堝(3)の底部に固定連結される、
請求項14に記載の複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置。
【請求項16】
前記中空昇降ロッド(7)は、キャビティ(1)の底部を貫通している、
請求項15に記載の複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置。
【請求項17】
前記黒鉛坩堝(3)の底端には、環状スライド溝(9)が開設され、中空昇降ロッド(7)の頂端には、環状スライド溝(9)に適合するスライドローラ(10)が取り付けられている、
請求項15に記載の複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置。
【請求項18】
前記加熱器組立体は、黒鉛坩堝(3)の外周を囲んで配置された第1の加熱器(13)及び第2の加熱器(14)と、黒鉛坩堝(3)の底部に固定された第3の加熱器(15)と、を備える、
請求項16又は17に記載の複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置。
【請求項19】
黒鉛坩堝(3)の高さをMと定義し、前記第1の加熱器(13)と第2の加熱器(14)は、いずれも黒鉛坩堝(3)の外周を囲んで配置されており、第1の加熱器(13)は、鉛坩堝(3)の上縁から黒鉛坩堝(3)の高さの1/4Mまでの間に配置され、第2の加熱器(14)は、黒鉛坩堝(3)の高さの3/4Mから黒鉛坩堝(3)の下縁までの間に配置され、且つ、第2の加熱器(14)の高さは、炭化ケイ素原料の高さを超えない、
請求項18に記載の複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年11月15日に出願された「複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長方法及び装置」という発明の名称の中国特許出願202111349816.1の優先権を主張し、当該出願の全ての内容は引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長方法及び装置に関し、炭化ケイ素結晶の技術分野に属する。
【背景技術】
【0003】
炭化ケイ素結晶は、性能が優秀な第三世代のワイドバンドギャップ半導体材料であり、ワイドバンドギャップ、高キャリア飽和濃度、高臨界破壊電界、高熱伝導率、高い化学的安定性などの特徴を有し、高周波、高出力、高密度、高温、耐放射線などの集積電子デバイスを製造するのに最適な材料であるが、現在の炭化ケイ素結晶の成長条件が厳しく、成長速度が遅いため、炭化ケイ素結晶の成長コストが非常に高く、炭化ケイ素結晶は高付加価値の電子コンポーネントにしか応用できない。
【0004】
炭化ケイ素結晶の工業的成長は、主に物理気相輸送(PVT)法を使用し、即ち2100℃以上で加熱して黒鉛坩堝内に収容された炭化ケイ素原料を昇華し分解させて生成されたガスを種結晶に輸送して再結晶化させ、面積の大きい炭化ケイ素(SiC)単結晶を得る。
【0005】
現在、業界では一般的に誘導加熱のPVT法によって炭化ケイ素結晶を成長させており、誘導コイルは黒鉛坩堝に渦電流を発生させて直接的に発熱させており、渦電流は主に黒鉛坩堝の表面に集中され、坩堝内部の温度の径方向勾配が大きくなるため、結晶の成長過程において温度の径方向勾配が大きく、結晶の内部の応力が大きすぎて割れやすく、特に大きいサイズの結晶を成長させる時に、結晶成長段階の歩留まりが相対的に低い。また、従来のPVT成長装置は、一つのキャビティ内に一つの坩堝を設置して、ある期間内に一つの炭化ケイ素結晶しか成長できないが、炭化ケイ素結晶の成長温度が高く、成長速度が遅く、装置が高価であるなどの特徴により、炭化ケイ素結晶の成長コストはケイ素単結晶のコストより遥かに高く、炭化ケイ素結晶の応用範囲が大きく制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
関連技術に存在する不足に対して、本願の目的の一つは、複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長方法及び装置を提供して、上記の背景技術において提起された問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の第1の目的を実現するために、複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置を提供し、本願は、以下の技術的解決手段により実現される。
【0008】
複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置であって、キャビティと、キャビティの内側壁に近接して配置された保温層組立体と、を備え、前記保温層組立体の内部には、複数の加熱器組立体が離間して配置され、前記加熱器組立体の内部空間には、複数の独立した成長チャンバが構成され、各成長チャンバ内には、独立成長組立体が配置されており、前記独立成長組立体は、黒鉛坩堝と、黒鉛坩堝の天井部に配置された種結晶トレイと、を備える。当該配置方式は、キャビティの周囲が保温層により完全に覆われることを確保するだけでなく、保温層の内部に離間して配置された複数の加熱器組立体の内部空間が複数の成長チャンバを構成することができ、複数の成長チャンバは互いに干渉せず、炭化ケイ素結晶の同期成長を実現し、炭化ケイ素結晶の成長効率を向上することができる。
【0009】
選択的に、前記成長チャンバの水平断面形状は、円形である。
【0010】
選択的に、前記成長チャンバの水平断面形状は、対称多角形であり、且つ辺数が4以上である。
【0011】
選択的に、前記黒鉛坩堝の底部にはそれぞれの駆動組立体が連結されており、駆動組立体は、黒鉛坩堝が成長チャンバ内で移動するように駆動させるために用いられる。
【0012】
選択的に、前記駆動組立体は、昇降機構と、回転機構と、を備え、前記昇降機構は、黒鉛坩堝の底部に摺動可能に連結された中空昇降ロッドと、キャビティの底部に固定され、且つ中空昇降ロッドの底端に連結された昇降モータと、を備え、前記回転機構は、中空昇降ロッド内に固定されたステッピングモータと、ステッピングモータの出力軸に同軸に固定連結された回転ロッドと、を備え、前記回転ロッドは、黒鉛坩堝の底部に固定連結されている。回転機構は、昇降機構の内部に配置されているが、両者のそれぞれの作用は互いに干渉することなく、一方では、駆動組立体による黒鉛坩堝の位置調整の精度を確保し、他方では、黒鉛坩堝の高さと角度を独自に調整することが比較的簡単で便利になる。
【0013】
選択的に、前記中空昇降ロッドは、キャビティの底部を貫通している。
【0014】
選択的に、前記黒鉛坩堝の底端には、環状スライド溝が開設され、中空昇降ロッドの頂端には、環状スライド溝に適合するスライドローラが取り付けられている。
【0015】
選択的に、前記加熱器組立体は、黒鉛坩堝の外周を囲んで配置された第1の加熱器及び第2の加熱器と、黒鉛坩堝の底部に固定された第3の加熱器と、を備える。
【0016】
選択的に、黒鉛坩堝の高さをMと定義し、前記第1の加熱器と第2の加熱器は、いずれも黒鉛坩堝の外周を囲んで配置されており、第1の加熱器は、黒鉛坩堝の上縁から黒鉛坩堝の高さの1/4Mまでの間に配置され、第2の加熱器は、黒鉛坩堝の高さの3/4Mから黒鉛坩堝の下縁までの間に配置され、且つ、第2の加熱器の高さは、炭化ケイ素原料の高さを超えない。
【0017】
第2の目的を実現するために、複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長方法を提供し、本願は、以下の技術的解決手段により実現される。
【0018】
上記の成長装置を用いて炭化ケイ素結晶の同期成長を行う複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長方法であって、
予備加熱段階(S1)、結晶成長段階(S2)、及び成長終了段階(S3)を含み、
前記予備加熱段階(S1)では、
黒鉛坩堝、駆動組立体及び炭化ケイ素原料を取り付けた後、キャビティ内の気密性を検査し、キャビティ内の圧力が0.1~5Paの範囲内になるまで真空排気し、キャビティ内の圧力が10-2~10-5Paの範囲内になるまでさらに真空排気し、キャビティ内の温度を500~700℃の範囲内に達するように加熱器組立体の電力を上げ、キャビティ内に窒素ガス/水素ガス及び不活性ガスを含む混合ガスを充填し、キャビティ内の温度が1500℃より高いことを検出した後、キャビティ内の圧力を調整して10000~70000Paの範囲内に維持させ、黒鉛坩堝の温度が2100℃に上昇するまで、加熱器組立体の電力を上げ続け、
前記結晶成長段階(S2)では、
黒鉛坩堝の底部の温度が黒鉛坩堝の上部の温度より10~100℃高くなるように、加熱器組立体の電力比率を調整し、駆動組立体によって黒鉛坩堝の位置を調整して、黒鉛坩堝内の炭化ケイ素原料の温度を種結晶の温度より15~80℃高くし、キャビティ内の圧力を下げて50~2500Paの範囲内に維持させ、結晶成長段階に入り、
前記成長終了段階(S3)では、
結晶成長が終了した後、キャビティ内の圧力を調整して2500~10000Paの範囲内に維持させ、加熱器組立体の電力を下げて黒鉛坩堝の底部と黒鉛坩堝の上部との温度差を20℃以内に縮小させ、加熱器組立体の電力がゼロになるまで電力を徐々に下げ続ける。
【0019】
上記の第1の目的を実現するために、複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置をさらに提供し、本願は、以下の技術的解決手段により実現される。
【0020】
複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置であって、キャビティと、キャビティの内側壁に近接して配置された保温層組立体と、を備え、前記保温層組立体は、キャビティ内を複数の独立した成長チャンバに分割し、各成長チャンバ内には、独立成長組立体が配置されており、前記独立成長組立体は、黒鉛坩堝と、黒鉛坩堝の天井部に配置された種結晶トレイと、黒鉛坩堝の外周に配置された加熱器組立体と、を備える。当該配置方式は、キャビティの周囲が保温層により完全に覆われることを確保するだけでなく、キャビティを複数の成長チャンバに分割することができ、複数の成長チャンバは互いに干渉せず、炭化ケイ素結晶の同期成長を実現し、炭化ケイ素結晶の成長効率を向上することができる。
【0021】
選択的に、前記成長チャンバの水平断面形状は、円形である。
【0022】
選択的に、前記成長チャンバの水平断面形状は、対称多角形であり、且つ辺数が4以上である。
【0023】
選択的に、前記黒鉛坩堝の底部には駆動組立体が連結されており、駆動組立体は、黒鉛坩堝が成長チャンバ内で移動するように駆動させるために用いられる。
【0024】
選択的に、前記駆動組立体は、昇降機構と、回転機構と、を備え、前記昇降機構は、黒鉛坩堝の底部に摺動可能に連結された中空昇降ロッドと、キャビティの底部に固定され、且つ中空昇降ロッドの底端に連結された昇降モータと、を備え、前記回転機構は、中空昇降ロッド内に固定されたステッピングモータと、ステッピングモータの出力軸に同軸に固定連結された回転ロッドと、を備え、前記回転ロッドは、黒鉛坩堝の底部に固定連結される。回転機構は、昇降機構の内部に配置されているが、両者のそれぞれの作用は互いに干渉することなく、一方では、駆動組立体による黒鉛坩堝の位置調整の精度を確保し、他方では、黒鉛坩堝の高さと角度を独自で調整することが比較的簡単で便利になる。
【0025】
選択的に、前記中空昇降ロッドは、キャビティの底部を貫通している。
【0026】
選択的に、前記黒鉛坩堝の底端には、環状スライド溝が開設され、中空昇降ロッドの頂端には、環状スライド溝に適合するスライドローラが取り付けられている。
【0027】
選択的に、前記加熱器組立体は、黒鉛坩堝の外周を囲んで配置された第1の加熱器及び第2の加熱器と、黒鉛坩堝の底部に固定された第3の加熱器と、を備える。
【0028】
選択的に、黒鉛坩堝の高さをMと定義し、前記第1の加熱器と第2の加熱器は、いずれも黒鉛坩堝の外周を囲んで配置されており、第1の加熱器は、黒鉛坩堝の上縁から黒鉛坩堝の高さの1/4Mまでの間に配置され、第2の加熱器は、黒鉛坩堝の高さの3/4Mから黒鉛坩堝の下縁までの間に配置され、且つ、第2の加熱器の高さは、炭化ケイ素原料の高さを超えない。
【0029】
本願の有益な効果は、以下の通りである。
(1)本願は、複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置に関し、当該装置は、従来の誘導加熱方式の代わりに、多段式独自制御の黒鉛加熱器を用いて発熱させるため、坩堝の径方向及び縦方向の温度勾配をより正確に調整することができ、結晶の成長速度を速くするだけでなく、結晶の内部の応力を低減させることができる。
(2)本願は、複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置に関し、ここで、各坩堝は、いずれも独立した空間に位置し、従来の単一坩堝装置と類似する結晶成長環境を形成し、成長過程における異なる結晶の相互干渉を回避し、結晶の品質が単一坩堝の成長のレベルを下回らないことを確保する。
(3)本願は、複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置に関し、ここで、各坩堝は、いずれも独立した昇降機構及び回転機構を有し、各坩堝の径方向及び縦方向の温度勾配をより正確に調整することができ、異なる坩堝を異なる温度勾配に調整し、結晶成長プロセスの開発を高速化し、開発コストを低減させることもできる。
(4)本願は、複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置に関し、ここで、加熱器組立体は、独立して配置され且つ相互干渉しない第1の加熱器、第2の加熱器及び第3の加熱器を備え、第2の加熱器と第3の加熱器は、炭化ケイ素原料の温度を調整するために用いられ、特に、第2の加熱器は、炭化ケイ素原料の受熱温度に調整すると同時に種結晶トレイにおける炭化ケイ素種結晶への影響を極力回避することを確保することができ、炭化ケイ素原料と炭化ケイ素種結晶の温度をそれぞれ制御する目的を実現することができる。
(5)本願は、複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長方法に関し、ここで、異なる坩堝は、異なる直径の炭化ケイ素結晶を成長させることができるため、4インチ、6インチ及び8インチの結晶を単一の装置で同時に成長させることができ、製造タスクの需要を満たすことができる。
(6)本願は、複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長方法に関し、ここで、複数の坩堝で同時に成長させ、一つの炉で複数の結晶を成長させることができるため、単一の炉の生産性を大幅に向上させ、単位製品当たりのエネルギー、装置及び人件費を削減させ、単結晶ケイ素とのコストギャップを小さくすることにより、炭化ケイ素結晶の成長コストを大幅に低減させるだけでなく、単結晶インゴットの内部品質を確保し、炭化ケイ素結晶の応用分野を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
以下の図面を参照して非限定的な実施例に対する詳細な説明を読むことにより、本願の他の特徴、目的及び利点はより明らかになる。
【
図1】本願の複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置の平面構造図である。
【
図2】本願の複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置の正面構造図である。
【
図4】本願の他の複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置の平面構造図である。
【
図5】本願の他の複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置の正面構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本願の技術的解決手段、創造的な特徴、目的及び効果を理解し易くするために、特定の実施形態を参照して、本願をさらに説明する。
【0032】
実施例1
図1及び
図2に示すように、複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置は、キャビティ1と、キャビティ1の内側壁に近接して配置された保温層組立体と、を備え、保温層組立体は、上から下への順にキャビティ1の内側壁に近接する第1の保温層16、第2の保温層17及び第3の保温層18を備え、前記保温層組立体の内部には、複数の加熱器組立体が離間して配置され、前記加熱器組立体の内部空間には、複数の独立した成長チャンバ2が構成され、各成長チャンバ内には、独立成長組立体が配置されており、前記独立成長組立体は、黒鉛坩堝3と、黒鉛坩堝3の天井部に配置された種結晶トレイ4と、黒鉛坩堝3の底部に配置された駆動組立体と、を備え、加熱器組立体は、黒鉛坩堝3の外周を囲んで配置された第1の加熱器13及び第2の加熱器14と、黒鉛坩堝3の底部に固定された第3の加熱器15と、を備え、黒鉛坩堝3の高さをMと定義すると、本実施例において、炭化ケイ素原料は、黒鉛坩堝3の高さの1/2Mまで収容され、前記第1の加熱器13及び第2の加熱器14は、黒鉛坩堝3の外周を囲んで配置されており、第1の加熱器13は、黒鉛坩堝3の上縁から黒鉛坩堝3の高さの1/2Mまでの間に配置され、第2の加熱器14は、黒鉛坩堝3の高さの1/2Mから黒鉛坩堝3の下縁までの間に配置され、第2の加熱器14の上縁の高さが炭化ケイ素原料の高さを超えないようにする。各第1の加熱器13には、第1の電極19が固定され、各第2の加熱器14には、第2の電極20が固定され、且つ、各第3の加熱器15には、第3の電極21が固定され、第1の電極19、第2の電極20及び第3の電極21は、いずれもキャビティ1の外側に延在してコントローラに電気的に接続されており、第1の電極19は、第1の保温層16と第2の保温層17との間に嵌合され、第2の電極20は、第2の保温層17と第3の保温層18との間に嵌合され、第3の電極21は、第3の保温層18を貫通している。
【0033】
本実施例では、成長チャンバ2の水平断面形状は円形である。
【0034】
黒鉛坩堝3の底部には駆動組立体が連結されており、駆動組立体は、黒鉛坩堝3が成長チャンバ2内で移動するように駆動させるために用いられる。
【0035】
駆動組立体は、昇降機構5と回転機構6とを備える。前記昇降機構5は、黒鉛坩堝3の底部に摺動可能に連結された中空昇降ロッド7と、キャビティ1の底部に固定され、且つ中空昇降ロッド7の底端に連結された昇降モータ8と、を備え、中空昇降ロッド7は、キャビティ1の底部を貫通し、
図3に示すように、黒鉛坩堝3の底端には、環状スライド溝9が開設され、中空昇降ロッド7の頂端には、環状スライド溝9に適合するスライドローラ10が取り付けられており、前記回転機構6は、中空昇降ロッド7内に固定されたステッピングモータ11と、ステッピングモータ11の出力軸に同軸に固定連結された回転ロッド12と、を備え、前記回転ロッド12は、黒鉛坩堝3の底部に固定連結されている。
【0036】
要約すると、本願の動作原理及び操作プロセスは以下の通りである。各成長チャンバ2内の黒鉛坩堝3内に炭化ケイ素原料22を充填し、炭化ケイ素種結晶23を種結晶トレイ4上に固定させ、キャビティ1内の気密性を検査し、キャビティ1及び黒鉛坩堝3が所望の圧力及び温度に達するまで真空排気及び昇温させ、炭化ケイ素結晶の同期成長を行い、成長プロセスにおいて、加熱器組立体及び各独立成長組立体の昇降機構5及び回転機構6を単独に調整し、黒鉛坩堝3の温度及び成長チャンバ2内の位置を調整する。
【0037】
実施例2
実施例1とは異なり、本実施例では、成長チャンバ2の水平断面形状は正八角形である。
【0038】
実施例3
本実施例の複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長方法は、実施例1に記載の成長装置を用いて炭化ケイ素結晶の同期成長を行う方法であって、以下のステップを含む。
【0039】
S1.予備加熱段階
黒鉛坩堝3、駆動組立体及び炭化ケイ素原料を取り付けた後、キャビティ1内の気密性を検査し、キャビティ1内の圧力が5Pa程度になるまで真空排気し、キャビティ1内の圧力が10-5Pa程度になるまでさらに真空排気し、真空排気のポンプは、従来の分子ポンプ又はドライスクロールポンプを使用することができ、ポンプは、真空管を介してキャビティ1に連結され(図示せず)、同期成長装置の底部に固定された回転モータをオンにし、キャビティ1内の温度が500℃になるように加熱器組立体の電力を上げ、キャビティ1内に窒素ガス及びアルゴンガスを含む混合ガスを充填し、キャビティ1内の温度が1500℃より高いことを検出した後、キャビティ1内の圧力を調整して10000Pa程度に維持させ、黒鉛坩堝3の温度が2100℃に上昇するまで、加熱器組立体の電力を上げ続ける。
【0040】
S2.結晶成長段階
黒鉛坩堝3の底部の温度が黒鉛坩堝3の上部の温度より10℃高くなるように、加熱器組立体の電力比率を調整し、駆動組立体によって黒鉛坩堝3の位置を調整して、黒鉛坩堝3内の炭化ケイ素原料の温度を種結晶の温度より15℃高くし、キャビティ1内の圧力を下げて50Pa程度に維持させて、導電型炭化ケイ素結晶の結晶成長段階に入る。
【0041】
S3.成長終了段階
結晶成長が終了した後、キャビティ1内の圧力を調整して10000Pa範囲内に維持させ、加熱器組立体の電力を下げて黒鉛坩堝3の底部と黒鉛坩堝3の上部との温度差を20℃以内に縮小させ、加熱器組立体の電力がゼロになるまで電力を徐々に下げ続ける。
【0042】
実施例4
本実施例の複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長方法は、実施例2に記載の成長装置を用いて炭化ケイ素結晶の同期成長を行う方法であって、成長チャンバ2の水平断面形状だけが異なる。
【0043】
実施例5
本実施例の複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長方法は、実施例1に記載の成長装置を用いて炭化ケイ素結晶の同期成長を行う方法であって、実施例3と同様のステップを含むが、実施例3との相違点は、本実施例において、ステップS1で充填するガスは、半絶縁型炭化ケイ素結晶を成長させるために用いられる水素ガス及びアルゴンガスの混合ガスであり、その他の条件は同じであることである。
【0044】
実施例6
本実施例の複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長方法は、ステップS1で充填するガスは、半絶縁型炭化ケイ素結晶を成長させるために用いられる水素ガス及びアルゴンガスの混合ガスであり、実施例5との相違点は、本実施例において、実施例2に記載の成長装置を用いて炭化ケイ素結晶の同期成長を行い、成長チャンバ2の水平断面形状は正八角形であることである。
【0045】
実施例7
図4及び
図5示すように、複数の坩堝における炭化ケイ素結晶の同期成長装置は、キャビティ1と、キャビティ1の内側壁に近接して配置された保温層組立体と、を備え、保温層組立体は、上から下への順にキャビティ1の内側壁に近接する第1の保温層16、第2の保温層17及び第3の保温層18を備え、前記保温層組立体は、キャビティ1内を複数の独立した成長チャンバ2に分割し、各成長チャンバ内には、個別成長組立体が配置されており、前記独立成長組立体は、黒鉛坩堝3と、黒鉛坩堝3の天井部に配置された種結晶トレイ4と、黒鉛坩堝3の外周に配置された加熱器組立体と、黒鉛坩堝3の底部に配置された駆動組立体と、を備え、加熱器組立体は、黒鉛坩堝3の外周を囲んで配置された第1の加熱器13及び第2の加熱器14と、黒鉛坩堝3の底部に固定された第3の加熱器15と、を備え、黒鉛坩堝3の高さをMと定義すると、本実施例において、炭化ケイ素原料は、黒鉛坩堝3の高さの1/2Mまで収容され、前記第1の加熱器13及び第2の加熱器14は、黒鉛坩堝3の外周を囲んで配置されており、第1の加熱器13は、黒鉛坩堝3の上縁から黒鉛坩堝3の高さの1/2Mまでの間に配置され、第2の加熱器14は、黒鉛坩堝3の高さの1/2Mから黒鉛坩堝3の下縁までの間に配置され、第2の加熱器14の上縁の高さが炭化ケイ素原料の高さを超えないようにする。各第1の加熱器13には、第1の電極19が固定され、各第2の加熱器14には、第2の電極20が固定され、且つ、各第3の加熱器15には、第3の電極21が固定され、第1の電極19、第2の電極20及び第3の電極21は、いずれもキャビティ1の外側に延在してコントローラに電気的に接続されており、第1の電極19は、第1の保温層16と第2の保温層17との間に嵌合され、第2の電極20は、第2の保温層17と第3の保温層18との間に嵌合され、第3の電極21は、第3の保温層18を貫通している。
【0046】
本実施例では、成長チャンバ2の水平断面形状は円形である。
【0047】
黒鉛坩堝3の底部には駆動組立体が連結されており、駆動組立体は、黒鉛坩堝3が成長チャンバ2内で移動するように駆動させるために用いられる。
【0048】
駆動組立体は、昇降機構5と回転機構6とを備える。前記昇降機構5は、黒鉛坩堝3の底部に摺動可能に連結された中空昇降ロッド7と、キャビティ1の底部に固定され、且つ中空昇降ロッド7の底端に連結された昇降モータ8と、を備え、中空昇降ロッド7は、キャビティ1の底部を貫通し、
図3に示すように、黒鉛坩堝3の底端には、環状スライド溝9が開設され、中空昇降ロッド7の頂端には、環状スライド溝9に適合するスライドローラ10が取り付けられている。前記回転機構6は、中空昇降ロッド7内に固定されたステッピングモータ11と、ステッピングモータ11の出力軸に同軸に固定連結された回転ロッド12と、を備え、前記回転ロッド12は、黒鉛坩堝3の底部に固定連結される。
【0049】
要約すると、本願の動作原理及び操作プロセスは以下の通りである。各成長チャンバ2内の黒鉛坩堝3内に炭化ケイ素原料22を充填し、炭化ケイ素種結晶23を種結晶トレイ4上に固定させ、キャビティ1内の気密性を検査し、キャビティ1及び黒鉛坩堝3が所望の圧力及び温度に達するまで真空排気及び昇温させ、炭化ケイ素結晶の同期成長を行い、成長プロセスにおいて、各独立成長組立体の加熱器組立体、昇降機構5及び回転機構6を単独に調整し、黒鉛坩堝3の温度及び成長チャンバ2内の位置を調整する。
【0050】
比較例1
出願公開番号CN110129880Aの発明特許に記載された単結晶成長装置及びその成長方法を用いる。
【0051】
比較例2
出願公開番号CN104364428Aの発明特許に記載された単結晶成長装置及びその成長方法を用いる。
【0052】
試験例1
比較例1及び比較例2に係る単結晶成長装置及び対応する成長方法を対照組として選択して、炭化ケイ素結晶の成長状況を観察し統計して、本願の実施例3乃至実施例6に記載した成長方法と比較する。
○:炭化ケイ素結晶の成長効率が高い。
□:炭化ケイ素結晶の成長効率が一般的である。
×:炭化ケイ素結晶の成長効率が低い。
【0053】
試験例2
比較例1及び比較例2に係る単結晶成長装置及び対応する成長方法を対照組として選択して、調製された炭化ケイ素結晶の形態を観察し統計して、本願の実施例3乃至実施例6に記載した成長方法と比較する。
○:炭化ケイ素結晶の形態が完全で、表面が滑らかである。
□:炭化ケイ素結晶の形態が完全であるが、表面にひび割れがある。
×:炭化ケイ素結晶の形態が不良である。
【0054】
上記試験例1及び試験例2の試験結果は、表1に示す通りである。
【0055】
【0056】
実施例3乃至実施例6における各試験結果を比較すると、当該成長装置及び当該成長方法により調製された炭化ケイ素単結晶は、従来の一般的な方法で成長された炭化ケイ素単結晶に比べて、表面がより滑らかで、内部の応力がより低く、割れ率が大幅に低下し、結晶成長の歩留まりが顕著に向上されたことがわかる。
【0057】
上記では、本願の基本原理、主要な特徴及び本願の利点を示して説明したが、本願は上記例示的な実施例の詳細に限定されるものではなく、本願の要旨又は基本的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で本願を実現することができることは、当業者にとって明らかである。したがって、実施例は例示的なものであり、非限定的であるとみなされるべきであり、本願の範囲は、上記の説明ではなく添付の特許請求の範囲によって限定されるため、請求項の同等要件の意味及び範囲内に含まれる全ての変形を本願内に含めることを意図する。
【0058】
また、理解すべきことは、本明細書は実施形態に基づいて説明されているが、各実施形態が一つの独立した技術的解決手段のみを含むわけではなく、単に明細書の明確化のために記載されているので、当業者は明細書を全体として扱うべきであり、各実施例における技術的解決手段を適切に組み合わせて、当業者が理解できる他の実施形態を形成することもできる。
【符号の説明】
【0059】
1 キャビティ
2 成長チャンバ
3 黒鉛坩堝
4 種結晶トレイ
5 昇降機構
6 回転機構
7 中空昇降ロッド
8 昇降モータ
9 環状スライド溝
10 スライドローラ
11 ステッピングモータ
12 回転ロッド
13 第1の加熱器
14 第2の加熱器
15 第3の加熱器
16 第1の保温層
17 第2の保温層
18 第3の保温層
19 第1の電極
20 第2の電極
21 第3の電極
22 炭化ケイ素原料
23 炭化ケイ素種結晶