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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】積層半導体及びウェハ積層体
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20240807BHJP
   H01L 25/065 20230101ALI20240807BHJP
   H01L 25/18 20230101ALI20240807BHJP
   H10B 80/00 20230101ALI20240807BHJP
【FI】
H01L25/08 C
H01L25/08 B
H10B80/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023083650
(22)【出願日】2023-05-22
(62)【分割の表示】P 2021551002の分割
【原出願日】2019-10-09
(65)【公開番号】P2023101602
(43)【公開日】2023-07-21
【審査請求日】2023-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】515225518
【氏名又は名称】ウルトラメモリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(72)【発明者】
【氏名】梶谷 一彦
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-023138(JP,A)
【文献】特表2010-507254(JP,A)
【文献】特開2013-033999(JP,A)
【文献】特開2013-182972(JP,A)
【文献】特開2007-134731(JP,A)
【文献】特開2012-089137(JP,A)
【文献】特開2016-062901(JP,A)
【文献】特開2007-036104(JP,A)
【文献】特表2002-518848(JP,A)
【文献】特表2002-533928(JP,A)
【文献】特表平09-503622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H10B 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチップが積層されて構成される積層半導体であって、
論理チップと、
前記論理チップに積層されるメモリ部であって、前記論理チップと通信可能な複数のメモリチップを有するメモリ部と、
を備え、
前記複数のメモリチップの各々は、
メモリ回路を有するメモリ本体であって、積層方向に交差する方向に並設される少なくとも2つのメモリ本体と、
前記メモリ本体の間に所定の幅で設けられ、並設される前記複数のメモリ本体のそれぞれを連接する連接部と、
を有し、
前記複数のメモリチップにおける少なくとも1つのメモリチップにおける前記少なくとも2つのメモリ本体は、前記複数のメモリチップにおける他のメモリチップにおける前記少なくとも2つのメモリ本体と異なる種類であり、
平面視において、前記論理チップの4辺の位置と前記メモリ部の4辺の位置とは揃っている、
積層半導体。
【請求項2】
前記複数のメモリチップは、積層方向に積層されている、請求項1に記載の積層半導体。
【請求項3】
前記複数のメモリチップは、積層方向に交差する方向に併設されている、請求項1に記載の積層半導体。
【請求項4】
前記種類が異なるメモリ本体では、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、MRAM、ReRAM、FeRAM、PCRAMのいずれかが異なる、請求項1に記載の積層半導体。
【請求項5】
前記種類が異なるメモリ本体では、集積度、バンド幅、アクセス時間のいずれかが異なる、請求項1に記載の積層半導体。
【請求項6】
積層方向において前記論理チップと前記メモリチップとに跨って配置される通信部をさらに備える請求項1に記載の積層半導体。
【請求項7】
複数の前記メモリチップは、並設される前記メモリ本体のそれぞれを他の前記メモリチップの前記メモリ本体と積層方向に重ねて積層され、
前記通信部は、前記論理チップと複数の前記メモリ本体とのそれぞれにおいて、積層方向に位置を合わせて配置される請求項に記載の積層半導体。
【請求項8】
前記論理チップと前記メモリ部は、ウェハ接合技術を用いて積層された、請求項1に記載の積層半導体。
【請求項9】
前記ウェハ接合技術は、表面活性化接合、又は親水接合である、請求項に記載の積層半導体。
【請求項10】
請求項1からのいずれかに記載の論理チップがマトリクス状に配置される論理ウェハと、
請求項1からのいずれかに記載のメモリ部であって、前記論理チップと同じか略同じサイズのメモリ部がマトリクス状に配置され、前記論理ウェハに積み重ねられるメモリウェハと、
を備えるウェハ積層体。
【請求項11】
前記論理ウェハと前記メモリウェハは、ウェハ接合技術を用いて積層された、請求項10に記載のウェハ積層体。
【請求項12】
前記ウェハ接合技術は、表面活性化接合、又は親水接合である、請求項11に記載のウェハ積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層半導体及びウェハ積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、記憶装置としてDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリ(RAM)が知られている。DRAMには、演算装置(以下、論理チップという)の高性能化やデータ量の増大に耐えうる大容量化が求められている。そこで、メモリ(メモリセルアレイ、メモリチップ)の微細化及びセルの平面的な増設による大容量化が図られてきた。一方で、微細化によるノイズへの惰弱性や、ダイ面積の増加等により、この種の大容量化は限界に達してきている。
【0003】
そこで、昨今では、平面的なメモリを複数積層して3次元化(3D化)することで、大容量化を実現する技術が開発されている。また、インタフェースダイ上に複数個のダイスタック(DRAM)を積層した装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2012-524519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、まず、4つのダイスタックがそれぞれ製造される。その後、4つのダイスタックのそれぞれは、1つのインタフェースダイの上に、位置決めしながら積層される。そのため、組み立て工数がかかり、製造コストが高くなるという課題がある。
【0006】
本発明は、製造コストを抑制可能な積層半導体及びウェハ積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数のチップが積層されて構成される積層半導体であって、論理チップと、前記論理チップに積層されるメモリ部であって、前記論理チップと通信可能な少なくとも1つのメモリチップを有するメモリ部と、を備え、前記メモリチップは、メモリ回路を有するメモリ本体であって、積層方向に交差する方向に並設される少なくとも2つのメモリ本体と、前記メモリ本体の間に所定の幅で設けられ、並設される前記複数のメモリ本体のそれぞれを連接する連接部と、を有する積層半導体に関する。
【0008】
平面視において、前記論理チップの4辺の位置と前記メモリ部の4辺の位置とは揃っている。
【0009】
また、積層半導体は、積層方向において前記論理チップと前記メモリ本体とに跨って配置される通信部をさらに備えてもよい。
【0010】
また、複数の前記メモリチップは、並設される前記メモリ本体のそれぞれを他の前記メモリチップの前記メモリ本体と積層方向に重ねて積層され、前記通信部は、前記論理チップと複数の前記メモリ本体とのそれぞれにおいて、積層方向に位置を合わせて配置されてもよい。
【0011】
また、前記論理チップと前記メモリ部は、ウェハ接合技術を用いて積層されたものであってもよい。
【0012】
また、前記ウェハ接合技術は、表面活性化接合、又は親水接合であってもよい。
【0013】
また、本発明は、上記の論理チップがマトリクス状に配置される論理ウェハと、上記のメモリ部であって、前記論理チップと同じか略同じサイズのメモリ部がマトリクス状に配置され、前記論理ウェハに積み重ねられるメモリウェハと、を備えるウェハ積層体に関する。
【0014】
また、前記論理ウェハと前記メモリウェハは、ウェハ接合技術を用いて積層されたものであってもよい。
【0015】
また、前記ウェハ接合技術は、表面活性化接合、又は親水接合であってもよい。
【0016】
また、本発明は、複数のチップが積層されて構成される積層半導体の製造方法であって、複数のメモリ本体をマトリクス状に配置したメモリウェハと、前記メモリ本体のそれぞれに重ねて配置される複数の論理チップをマトリクス状に配置した論理ウェハとを積み重ねてウェハ積層体としてスタックするスタック工程と、少なくとも2つの前記メモリ本体及び1つの前記論理チップの組を含むメモリ区画を決定する区画決定工程と、決定した前記メモリ区画にしたがって、前記ウェハ積層体をダイシングするダイシング工程と、を備える積層半導体の製造方法に関する。
【0017】
また、前記スタック工程は、それぞれ異なる種類の前記メモリ本体が配置されたメモリウェハを複数積み重ねるのが好ましい。
【0018】
また、本発明は、複数のメモリ本体をマトリクス状に配置したメモリウェハと、前記メモリ本体のそれぞれに重ねて配置される複数の論理チップをマトリクス状に配置した論理ウェハとを積み重ねたウェハ積層体について、取得した複数の注文に応じて複数の積層半導体に切り分ける支援を実行する支援装置であって、前記メモリ本体の個数を含む複数の注文情報を取得する注文情報取得部と、前記メモリ本体の配置位置を示す配置情報を取得する配置情報取得部と、取得した注文情報及び配置情報に基づいて、複数の前記メモリ本体からなるメモリチップ及び前記論理チップの区画を決定する区画決定部と、を備える支援装置に関する。
【0019】
また、本発明は、複数のメモリ本体をマトリクス状に配置したメモリウェハと、前記メモリ本体のそれぞれに重ねて配置される複数の論理チップをマトリクス状に配置した論理ウェハとを積み重ねたウェハ積層体について、取得した複数の注文に応じて複数の積層半導体に切り分ける支援を実行する支援装置としてコンピュータを動作させるプログラムであって、前記コンピュータを、前記メモリ本体の個数を含む複数の注文情報を取得する注文情報取得部、前記メモリ本体の配置位置を示す配置情報を取得する配置情報取得部、取得した注文情報及び配置情報に基づいて、複数の前記メモリ本体からなるメモリチップ及び前記論理チップの区画を決定する区画決定部、として機能させるプログラムに関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、製造コストを抑制可能な積層半導体及びウェハ積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態のウェハ積層体の論理ウェハ及びメモリウェハを示す斜視図である。
図2】第1実施形態の論理ウェハを示す平面図である。
図3】第1実施形態の積層半導体の第1メモリチップを示す平面図である。
図4】第1実施形態の積層半導体の第2メモリチップを示す平面図である。
図5】第1実施形態の積層半導体の第3メモリチップを示す平面図である。
図6】第1実施形態の積層半導体を示す側面図である。
図7】第1実施形態の積層半導体の論理チップを示す平面図である。
図8】第1実施形態の積層半導体のメモリ本体における第1通信部を示す平面図である。
図9】第1実施形態の積層半導体のメモリ本体における第2通信部を示す平面図である。
図10】第1実施形態の積層半導体のメモリ本体における第3通信部を示す平面図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る支援装置を示す概略構成図である。
図12】第2実施形態の支援装置を示すブロック図である。
図13】変形例の論理ウェハを示す平面図である。
図14】変形例の積層半導体の配置を示す平面図である。
図15】変形例の積層半導体のサイズと容量との関係を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の各実施形態に係る積層半導体1、ウェハ積層体100、支援装置200、及びプログラムについて、図1から図15を参照して説明する。
各実施形態に係る積層半導体1は、例えば、図1及び図6に示すように、論理チップ11とメモリチップ21とを積層したモジュールである。積層半導体1は、複数のウェハを積層したウェハ積層体100をダイシングすることで得られる。積層半導体1は、図3に示すように、メモリチップ21に配置されるメモリ回路を有するメモリ本体211,212,213,214を少なくとも2個含む。積層半導体1は、ダイシング位置の変更によって含まれるメモリ本体211,212,213,214の数を変更することで、異なる容量の積層半導体1を得ることができる。
【0023】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態に係る積層半導体1及びウェハ積層体100について、図1から図10を参照して説明する。
【0024】
ウェハ積層体100は、複数のウェハを積み重ねることで形成される。ウェハ積層体100は、例えば、図1に示すように、論理ウェハ10と、メモリウェハ20と、を備える。
【0025】
論理ウェハ10は、例えば、シリコン基板であり、円板状に形成される。論理ウェハ10は、図2に示すように、マトリクス状に配置される複数の論理チップ11を有する。論理チップ11については後述する。
【0026】
メモリウェハ20は、例えばシリコン基板であり、論理ウェハ10と同じ又は略同じ径で円板状に形成される。メモリウェハ20は、論理ウェハ10に積層される。本実施形態において、メモリウェハ20は、複数設けられ、論理ウェハ10に積み重ねられる。メモリウェハ20は、例えば、論理ウェハ10に、表面活性化接合、親水接合等のウェハ接合技術で積層される。また、メモリウェハ20同士も同様に、表面活性化接合、親水接合等のウェハ接合技術で積層される。メモリウェハ20は、後述する単位サイズのメモリ本体を2個以上含んでマトリクス状に配置される複数のメモリチップ21を有する。メモリチップ21については後述する。
【0027】
次に、積層半導体1について説明する。
積層半導体1は、図3から図6に示すように、複数のチップが積層されて構成される。積層半導体1は、図3から図10に示すように、論理チップ11と、メモリ部22と、通信部30と、電源部40と、を備える。本実施形態において、積層半導体1は、平面視矩形であり、平面視において、論理チップ11と同じ又は略同じ大きさで形成される。
【0028】
論理チップ11は、例えば、平面視矩形のチップである。論理チップ11のそれぞれには、例えば、メモリコントローラ及びメモリインタフェース、論理回路、電源回路、並びに外部インタフェース等が形成される。論理チップ11は、例えば、8×4(mm2)から12×12(mm2)の大きさに形成される。本実施形態において、論理チップ11は、8×8(mm2)の大きさで構成される。
【0029】
メモリ部22は、例えば、少なくとも1つのメモリチップ21を有する。メモリ部22は、論理チップ11に積層される。メモリ部22は、論理チップ11と通信可能に構成される。
【0030】
メモリチップ21は、平面視矩形のチップである。メモリチップ21は、少なくとも2つのメモリ本体211,212,213,214と、連接部50と、を備える。
【0031】
メモリ本体211,212,213,214は、例えば、平面視矩形に構成される。メモリ本体211,212,213,214は、メモリ回路を有する。メモリ本体211,212,213,214は、積層方向に交差する方向に並設される。
【0032】
連接部50は、メモリ本体211,212,213,214の間に所定の幅で儲けられる。連接部50は、並設される複数のメモリ本体211,212,213,214のそれぞれを連接する。連接部50は、例えば、メモリウェハ20に設けられるダイシング可能な領域のうち、ダイシングされずに残された領域で構成される。
【0033】
以上のメモリチップ21、メモリ本体211,212,213,214、及び連接部50によれば、メモリ本体211,212,213,214は、所定の単位サイズ(本実施形態では4×4mm2)で形成される。本実施形態においてはこの所定の単位サイズを1×1サイズと表記する。メモリ本体211,212,213,214は、例えば、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、MRAM、ReRAM、FeRAM、PCRAM等のいずれかの種類のメモリである。メモリ本体211,212,213,214は、論理チップ11と通信可能になっている。本実施形態において、1×1サイズのメモリ本体211,212,213,214は、例えば、図3に示すように、4つのメモリ本体(A、B、C、D)で2×2サイズ(8×8mm2)の大きさのメモリチップ21を構成する。そして、メモリチップ21は、図2に示す8×8mm2(2×2サイズ)の論理チップ11に積層される。メモリチップ21は、4つのメモリ本体211,212,213,214と、面内方向に伸びる連接部50と、を有した状態で論理チップ11に積層される。すなわち、メモリチップ21は、4つの単位サイズのメモリ本体211,212,213,214を有して構成される。そして、メモリ本体211,212,213,214は、1つのレチクル(例えば4×4サイズ)に16個配置される。本実施形態おいて、メモリ部22は、一例として、図3から図6に示すように、所定種類の第1メモリ本体211a,212a,213a,214aを有する第1メモリチップ21aと、第1メモリ本体211a,212a,213a,214aとは種類の異なる第2メモリ本体211b,212b,213b,214bを有する第2メモリチップ21bと、第1メモリ本体211a,212a,213a,214a及び第2メモリ本体211b,212b,213b,214bとは異なる種類の第3メモリ本体211c,212c,213c,214Cを有する第3メモリチップ21cと、を備える。第1メモリチップ21a、第2メモリチップ21b及び第3メモリチップ21cは、同じメモリウェハ20内の異なる所定位置に形成されても良いし、それぞれが異なるメモリウェハ20内に形成されても良い。図6は、論理チップ11に、第1メモリチップ21a、第2メモリチップ21b及び第3メモリチップ21cが、この順番に積層された積層半導体1の断面図を示す。
【0034】
通信部30は、積層方向において論理チップ11とメモリチップ21とに跨って配置される。具体的には、通信部30は、積層方向において、論理チップ11の一領域とメモリチップ21の一領域との積層部分として配置される。通信部30は、例えば、図7から図10に示すように、論理チップ11に積層されるメモリチップ21の種類ごとに異なる領域として構成される。通信部30は、第1通信部31と、第2通信部32と、第3通信部33と、を備える。それぞれの通信部30内には、論理チップ11とメモリチップ12との間で積層方向に通信を行うための通信路(図示せず)が設けられる。
【0035】
第1通信部31は、論理チップ11と第1メモリ本体211a,212a,213a,214aとに配置される。第1通信部31は、図7及び図8に示すように、通信部30の一端側に配置される。
【0036】
第2通信部32は、論理チップ11と第2メモリ本体211b,212b,213b,214bとに配置される。第2通信部32は、図7及び図9に示すように、通信部30の中央に配置される。すなわち、第2通信部32は、積層方向に交差する方向において、第1通信部31とは異なる位置に配置される。
【0037】
第3通信部33は、論理チップ11と第3メモリ本体211c,212c,213c,214cとに配置される。第3通信部33は、図7及び図10に示すように、通信部30の他端側に配置される。すなわち、第3通信部33は、積層方向に交差する方向において、第1通信部31及び第2通信部32とは異なる位置に配置される。これにより、論理チップ11に第1メモリチップ21a、第2メモリチップ21b及び第3メモリチップ21cのそれぞれから構成される3種類のメモリチップ21を積層しても、それぞれのメモリチップ21は他のメモリチップ21に妨げられずに論理チップ11と通信することができる。一方、論理チップ11に、例えば第1メモリチップ21aのみを複数個積層する場合には、論理チップ11は第1通信部31のみを備えるようにしても良い。
【0038】
電源部40は、積層方向に伸び、第1メモリチップ21a(第1メモリ本体211a,212a,213a,214a)、第2メモリチップ21b(第2メモリ本体211b,212b,213b,214b)、及び第3メモリチップ21c(第3メモリ本体211c,212c,213c,214c)の電源ラインとして共有される。本実施形態において、電源部40には、通信部30に沿って積層方向に伸びる電源ライン用のTSV等が配置される。また、電源部40は、通信部30を挟んで一対に配置されても良い。また、通信部30の領域を取り囲むように配置されても良いし、通信部30とは離れた場所に配置されても良い(図示せず)。
【0039】
次に、積層半導体1の製造方法について説明する。
積層半導体1の製造方法は、スタック工程と、ダイシング位置決定工程と、ダイシング実行工程と、を備える。
【0040】
まず、スタック工程において、論理チップ11を配置した論理ウェハ10に、メモリチップ21(メモリ本体211,212,213,214)を配置したメモリウェハ20が積み重ねられる。スタック工程では、通信部30及び電源部40を積層方向で位置合わせした状態で、論理ウェハ10及びメモリウェハ20が積み重ねられる。また、本実施形態において、異なる種類のメモリチップ21(メモリ本体211,212,213,214)が配置された3つのメモリウェハ20が、論理チップ11に積み重ねられる。
【0041】
次いで、ダイシング位置決定工程において、論理ウェハ10及びメモリウェハ20のダイシング位置が決定される。ダイシング位置決定工程では、例えば、隣接するメモリ本体211,212,213,214のうち、1つの積層半導体1に含めるメモリ本体211,212,213,214の数に応じてダイシング位置が決定される。ダイシング位置は、通常は論理チップ11の1個分の大きさで決定されるが、複数個をまとめたサイズで決定して積層半導体1として構成しても良い。
【0042】
次いで、ダイシング実行工程において、決定されたダイシング位置がダイシングされる。これにより、積層半導体1が製造される。
【0043】
以上の、積層半導体1及びウェハ積層体100によれば、以下の効果を奏する。
(1) 複数のチップが積層されて構成される積層半導体1であって、論理チップ11と、論理チップ11に積層されるメモリ部22であって、論理チップ11と通信可能な少なくとも1つのメモリチップ21を有するメモリ部22と、を備え、メモリチップ21は、メモリ回路を有するメモリ本体211,212,213,214であって、積層方向に交差する方向に並設される少なくとも2つのメモリ本体211,212,213,214と、メモリ本体211,212,213,214の間に所定の幅で設けられ、並設される複数のメモリ本体211,212,213,214のそれぞれを連接する連接部50と、を有するこれにより、装置ごとにメモリチップ21を必要な個数回に分けて積層する必要がない。したがって、積層半導体1の製造コストを抑制することができる。
(2) 積層半導体1は、層方向において論理チップ11とメモリチップ21とに跨って配置される通信部30をさらに備える。また、複数のメモリチップ21は、並設されるメモリ本体211,212,213,214のそれぞれを他のメモリチップ21のメモリ本体211,212,213,214と積層方向に重ねて積層され、通信部30は、論理チップ11と複数のメモリ本体211,212,213,214とのそれぞれにおいて、積層方向に位置を合わせて配置される。また、複数のメモリチップ21は、所定種類の第1メモリ本体211a,212a,213a,214aを有する第1メモリチップ21aと、第1メモリチップ21aとは種類の異なる第2メモリ本体211b,212b,213b,214bを有する第2メモリチップ21bと、を備え、通信部30は、論理チップ11と第1メモリ本体211a,212a,213a,214aとに配置される第1通信部31と、論理チップ11と第2メモリ本体211b,212b,213b,214bとに配置される第2通信部32と、を備える。また、第1通信部31は、積層方向に交差する方向において、第2通信部32と異なる位置に配置される。これにより、異なる種類のチップが用いられていたとしても、それぞれ別々に通信することができる。
【0044】
(3) メモリ本体211,212,213,214のそれぞれは、並設される他のメモリ本体211,212,213,214と同じ種類である。また、メモリ本体211,212,213,214のそれぞれは、積層される他のメモリ本体211,212,213,214と異なる種類である。これにより、積層半導体1に多くのバリエーションを持たせることができる。
【0045】
(4)論理チップ11とメモリチップ21とのそれぞれは、重ねて配置される電源部40を備える。電源部40を共有できるので、よりコストを低減することができる。
(5)積層半導体1の製造方法は、複数のチップが積層されて構成される積層半導体の製造方法であって、複数のメモリ本体211,212,213,214をマトリクス状に配置したメモリウェハ20と、メモリ本体211,212,213,214のそれぞれに重ねて配置される複数の論理チップ11をマトリクス状に配置した論理ウェハ10とを積み重ねてウェハ積層体としてスタックするスタック工程と、少なくとも2つのメモリ本体211,212,213,214及び1つの論理チップ11の組を含むメモリ区画を決定する区画決定工程と、決定したメモリ区画にしたがって、ウェハ積層体をダイシングするダイシング工程と、を備える。これにより、積層半導体1ごとに必要な個数のメモリ本体211,212,213,214を位置合わせして積層する必要がないので、製造コストを抑制することができる。
【0046】
(6)ウェハ積層体100は、上記の論理チップ11がマトリクス状に配置される論理ウェハ10と、上記のメモリ本体211,212,213,214がマトリクス状に配置され、論理ウェハ10に積み重ねられるメモリウェハ20と、を備える。これにより、ダイシング前に論理チップ11及びメモリ本体211,212,213,214を位置合わせできるので、製造コストを抑制することができる。
【0047】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る支援装置200及びプログラムについて、図11及び図12を参照して説明する。第2実施形態の説明にあたって、前述の実施形態と同一の構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
まず、第2実施形態に係る支援装置200及びプログラムについて、概要を説明する。
【0048】
「マルチプロジェクト・ウェハ方式」あるいは「シャトル方式」と呼ばれるLSI試作サービスが知られている。このサービスでは、複数の顧客が1枚のウェハに相乗りしてLSIを得ることができる。これにより、LSI試作の費用を削減することができる。
【0049】
この方式では、LSIは、ロジックプロセスを用いて試作される。そのため、この方式は、大容量のメモリ又は大容量かつ高速なメモリを用いたシステムLSIを試作することが困難であるという課題がある。また、3次元LSIの試作サービスは提供されてこなかった。本実施形態に係る支援装置200及びプログラムは、シャトル方式で積層半導体1を製造する際の支援装置200である。
【0050】
支援装置200は、例えば、サーバである。支援装置200は、図11に示すように、ユーザ端末300と通信可能に接続される。支援装置200は、複数のメモリ本体211,212,213,214をマトリクス状に配置したメモリウェハ20とメモリ本体211,212,213,214のそれぞれに重ねて配置される複数の論理チップ11をマトリクス状に配置した論理ウェハ10とを積み重ねたウェハ積層体100について、取得した複数の注文に応じて複数の積層半導体1に切り分ける支援を実行する。支援装置200は、図12に示すように、注文情報取得部201と、注文情報格納部202と、配置情報格納部203と、配置情報取得部204と、区画決定部205と、出力部206と、を備える。
【0051】
注文情報取得部201は、例えば、CPUが動作することにより実現される。注文情報取得部201は、メモリ本体211,212,213,214の個数を含む複数の注文情報を取得する。注文情報取得部201は、例えば、ユーザ端末300から、製造する積層半導体1のメモリ本体211,212,213,214の数(容量)及びメモリの種類等の情報を注文情報としてユーザ端末300から取得する。
【0052】
注文情報格納部202は、例えば、ハードディスク等の二次記憶媒体である。注文情報格納部202は、取得された注文情報を格納する。
【0053】
配置情報格納部203は、例えば、ハードディスク等の二次記憶媒体である。配置情報格納部203は、メモリ本体211,212,213,214の配置位置を示す配置情報を格納する。
【0054】
配置情報取得部204は、例えば、CPUが動作することで実現される。配置情報取得部204は、メモリ本体211,212,213,214の配置位置を示す配置情報を取得する。本実施形態において、配置情報取得部204は、配置情報格納部203から、配置情報を取得する。
【0055】
区画決定部205は、例えば、CPUが動作することにより実現される。区画決定部205は、取得した注文情報及び配置情報に基づいて、複数のメモリ本体211,212,213,214からなるメモリチップ21及び論理チップ11の区画を決定する。区画決定部205は、例えば、メモリウェハ20上に配置されるメモリチップ21について、注文情報に対してメモリ本体211,212,213,214を割り当てることで区画を決定する。また、区画決定部205は、レチクルのサイズを考慮して区画を決定してもよい。
【0056】
出力部206は、例えば、ディスプレイ等の出力装置である。出力部206は、決定された区画を出力する。
【0057】
次に、支援装置の動作について説明する。
注文情報取得部201は、ユーザ端末300から注文情報を取得する。注文情報取得部201は、取得した注文情報を注文情報格納部202に格納する。
【0058】
次いで、区画を決定する場合、区画決定部205は、注文情報取得部201を介して注文情報格納部202から注文情報を読み出す。また、配置情報取得部204は、配置情報格納部203から配置情報取得する。配置情報取得部204は、取得した配置情報を区画決定部205に送る。
【0059】
区画決定部205は、注文情報及び配置情報から、積層半導体の区画を決定する。区画決定部205は、例えば、注文情報に含まれるメモリ本体211,212,213,214の数に基づいて、メモリチップ21の区画を決定する。
出力部206は、決定された区画を外部に出力する。
【0060】
次に、プログラムについて説明する。
支援装置200に含まれる各構成は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせによりそれぞれ実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0061】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、SSD(Solid State Drive)、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0062】
本実施形態の支援装置200及びプログラムによれば、以下の効果を奏する。
(7) 支援装置200は、メモリ本体211,212,213,214の個数を含む複数の注文情報を取得する注文情報取得部201と、メモリ本体211,212,213,214の配置位置を示す配置情報を取得する配置情報取得部204と、取得した注文情報及び配置情報に基づいて、メモリチップ21及び論理チップ11の区画を決定する区画決定部205と、を備える。これにより、ユーザから得られる注文情報を集約して、積層半導体1を製造する際の区画を決定することができる。したがって、複数のユーザの注文を最適化した区画を構成することができ、製造コストを削減することができる。
【0063】
以上、本発明の積層半導体1、ウェハ積層体100、支援装置200、及びプログラムの好ましい各実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、上記実施形態において、論理ウェアに積み重ねられるメモリウェハ20の種類について、3種類のメモリチップ21をそれぞれ配置したメモリウェハ20を積み重ねるとしたが、これに制限されない。例えば、同じ種類のメモリチップ21が配置された2つ以上ウェハが積み重ねられてもよい。この場合、通信部30は、同じ種類のメモリ本体211,212,213,214が配置された2つ以上のウェハで共有されてもよい。例えば、第1メモリ本体211a,212a,213a,214aが複数設けられてもよく、第1通信部31は、論理チップ11と複数の第1メモリ本体211a,212a,213a,214aとの間に配置され、複数の第1メモリ本体211a,212a,213a,214aに共有されてもよい。
【0064】
また、上記実施形態において、支援装置200は、積層するメモリ本体211,212,213,214の種類を予め決定するメモリ種別決定部(図示せず)をさらに備えてもよい。メモリ種別決定手段は、例えば、ユーザからの注文を受けるために、次回製造されるウェハ積層体100に積層されるメモリ種別をユーザ端末300に送信してもよい。また、注文情報取得部201は、メモリ種別を含む注文情報をユーザ端末300から取得してもよい。区画決定部205は、メモリ種別が同じユーザごとに、注文情報と適合するウェハ積層体100に区画を決定してもよい。
【0065】
また、上記実施形態おいて、1つのレチクルにおいて、1×1サイズ(単位サイズ)のメモリ本体211,212,213,214を16個配置し、これを4個ずつ4個の論理チップ11に分配するとしたが、これに制限されない。例えば、図13及び図14に示すように、1つのレチクルにおいて、2×2サイズの論理チップ11を2つ、2×4サイズの論理チップ11を1つ配置するようにしてもよい。また、論理チップ11のサイズとチップ面積(Foot Print)に対応するメモリチップ12の配置数及び積層数とメモリ容量との関係を図15に例示する。図15において、1つのメモリ容量の欄に数値が4つ併記されているが、これは単位サイズのメモリ容量が異なるメモリ本体に対応したもので、左から順に2Gb、1.5Gb、0.6Gb、64Gbとなっている。このメモリ容量はそれぞれ、集積度を優先したDRAM、バンド幅を優先したDRAM、アクセス時間を優先したDRAM、NANDフラッシュメモリのメモリ容量の例である。
【0066】
また、上記実施形態において、論理ウェハ10上の論理チップ11のそれぞれは、種類又はサイズが異なっていてもよい。
また、上記実施形態において、ダイシングは、レーザダイシング又はプラズマダイシングが用いられてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 積層半導体
10 論理ウェハ
11 論理チップ
20 メモリウェハ
21 メモリチップ
21a 第1メモリチップ
21b 第2メモリチップ
21c 第3メモリチップ
22 メモリ部
30 通信部
31 第1通信部
32 第2通信部
33 第3通信部
40 電源部
50 連接部
100 ウェハ積層体
200 支援装置
201 注文情報取得部
202 注文情報格納部
203 配置情報格納部
204 配置情報取得部
205 区画決定部
206 出力部
211a,212a,213a,214a 第1メモリ本体
211b,212b,213b,214b 第2メモリ本体
211c,212c,213c,214c 第3メモリ本体
300 ユーザ端末
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11
図12
図13
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図15