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  • 特許-充電設備用の切替装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】充電設備用の切替装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240807BHJP
【FI】
H02J7/00 301E
H02J7/00 P
H02J7/00 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2024502358
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 JP2022007839
(87)【国際公開番号】W WO2023162123
(87)【国際公開日】2023-08-31
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】王 相国
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-213424(JP,A)
【文献】特開2012-70479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車に対応した直流電力の供給を行うための複数の電源と、前記電気自動車との接続に用いられる複数の充電スタンドと、を備えた充電設備に用いられ、前記複数の電源のそれぞれと前記複数の充電スタンドのそれぞれとの接続を選択的に切り替える充電設備用の切替装置であって、
前記複数の電源のそれぞれと前記複数の充電スタンドのそれぞれとの接続の切り替えを行う切替部と、
前記切替部による接続の切り替えを制御する制御部と、
を備え、
前記切替部は、
前記複数の電源のそれぞれに対応して設けられた複数の第1スイッチング素子と、
前記複数の第1スイッチング素子のそれぞれと前記複数の充電スタンドのそれぞれとの間に設けられ、前記複数の電源から前記複数の第1スイッチング素子を介して供給される直流電力を前記複数の充電スタンドのそれぞれに選択的に供給できるようにする複数の第2スイッチング素子と、
を有し、
前記複数の第1スイッチング素子の定格電圧は、前記複数の電源のうちの対応する電源の定格電圧以上であり、
前記複数の第1スイッチング素子の定格電流は、前記対応する電源の定格電流以上であり、
前記複数の第2スイッチング素子の定格電圧は、前記複数の第1スイッチング素子の定格電圧よりも低く、
前記複数の第2スイッチング素子の定格電流は、前記対応する電源の定格電流以上であり、
前記制御部は、前記複数の第1スイッチング素子及び前記複数の第2スイッチング素子のそれぞれのスイッチングを制御することにより、前記切替部による接続の切り替えを制御し、前記複数の電源のうちの所定の電源から前記複数の充電スタンドのうちの所定の充電スタンドに電力を供給する場合に、前記所定の電源と前記所定の充電スタンドとの間に設けられた前記第2スイッチング素子を開放状態から投入状態に切り替えた後に、前記所定の電源と前記所定の充電スタンドとの間に設けられた前記第1スイッチング素子を開放状態から投入状態に切り替える充電設備用の切替装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記所定の電源から前記所定の充電スタンドへの電力供給を停止する場合に、前記所定の電源と前記所定の充電スタンドとの間に設けられた前記第1スイッチング素子を投入状態から開放状態に切り替えた後に、前記所定の電源と前記所定の充電スタンドとの間に設けられた前記第2スイッチング素子を投入状態から開放状態に切り替える請求項1記載の充電設備用の切替装置。
【請求項3】
前記複数の電源と前記複数の充電スタンドとの間の直流電源経路は、高電位側の経路と、低電位側の経路と、を有し、
前記複数の第2スイッチング素子は、前記高電位側の経路を開閉する接点と、前記低電位側の経路を開閉する接点と、の一対の接点を有し、
前記複数の第1スイッチング素子は、前記高電位側の経路のみを開閉する請求項1記載の充電設備用の切替装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、充電設備用の切替装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車に搭載された蓄電デバイスの充電を行う充電設備において、マルチ出力式急速充電器の導入が進められている。マルチ出力式の充電設備は、電気自動車に対応した直流電力の供給を行うための複数の電源と、電気自動車を接続するための複数の充電スタンドと、複数の電源と複数の充電スタンドとの接続を選択的に切り替える切替装置と、を備える。こうしたマルチ出力式の充電設備では、1つの電源の出力を複数の充電スタンドに対してパワーシェアすることができ、設備の利用効率を高めることができる。
【0003】
切替装置は、複数のスイッチング素子を有し、複数のスイッチング素子のスイッチングにより、複数の電源の出力先を選択的に切り替える。切替装置の複数のスイッチング素子は、電源の定格出力に耐える必要がある。このため、複数のスイッチング素子には、高電圧・大電流に耐える部品を使用する必要がある。
【0004】
複数のスイッチング素子の個数は、充電スタンドの個数に電源の個数を乗じた個数が必要となる。しかしながら、高電圧・大電流に対応可能なスイッチング素子は、低電圧のスイッチング素子などと比べて高額であり、複数のスイッチング素子のそれぞれを高電圧・大電流に対応可能なスイッチング素子とすることは、充電設備の設備費用の増加の要因の一つとなっている。
【0005】
また、電気自動車においては、利便性を高めるため、電気自動車に搭載される蓄電デバイスの大容量化や高電圧化が進められており、これにともなって充電設備の高出力化も進められている。さらには、充電スタンドの個数も増加の傾向にある。このため、切替装置のスイッチング素子においては、今後益々の耐圧性能の上昇や数の増加が見込まれ、これによる充電設備の設備費用の増加が懸念される。
【0006】
このため、充電設備に用いられる切替装置においては、設備費用の増加を抑制しつつ、出力先を適切に切り替えられるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2015-82867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の実施形態は、設備費用の増加を抑制しつつ、出力先を適切に切り替えられる充電設備用の切替装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態によれば、電気自動車に対応した直流電力の供給を行うための複数の電源と、前記電気自動車との接続に用いられる複数の充電スタンドと、を備えた充電設備に用いられ、前記複数の電源のそれぞれと前記複数の充電スタンドのそれぞれとの接続を選択的に切り替える充電設備用の切替装置であって、前記複数の電源のそれぞれと前記複数の充電スタンドのそれぞれとの接続の切り替えを行う切替部と、前記切替部による接続の切り替えを制御する制御部と、を備え、前記切替部は、前記複数の電源のそれぞれに対応して設けられた複数の第1スイッチング素子と、前記複数の第1スイッチング素子のそれぞれと前記複数の充電スタンドのそれぞれとの間に設けられ、前記複数の電源から前記複数の第1スイッチング素子を介して供給される直流電力を前記複数の充電スタンドのそれぞれに選択的に供給できるようにする複数の第2スイッチング素子と、を有し、前記複数の第1スイッチング素子の定格電圧は、前記複数の電源のうちの対応する電源の定格電圧以上であり、前記複数の第1スイッチング素子の定格電流は、前記対応する電源の定格電流以上であり、前記複数の第2スイッチング素子の定格電圧は、前記複数の第1スイッチング素子の定格電圧よりも低く、前記複数の第2スイッチング素子の定格電流は、前記対応する電源の定格電流以上であり、前記制御部は、前記複数の第1スイッチング素子及び前記複数の第2スイッチング素子のそれぞれのスイッチングを制御することにより、前記切替部による接続の切り替えを制御し、前記複数の電源のうちの所定の電源から前記複数の充電スタンドのうちの所定の充電スタンドに電力を供給する場合に、前記所定の電源と前記所定の充電スタンドとの間に設けられた前記第2スイッチング素子を開放状態から投入状態に切り替えた後に、前記所定の電源と前記所定の充電スタンドとの間に設けられた前記第1スイッチング素子を開放状態から投入状態に切り替える充電設備用の切替装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、設備費用の増加を抑制しつつ、出力先を適切に切り替えられる充電設備用の切替装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る充電設備を模式的に表すブロック図である。
図2図2(a)及び図2(b)は、実施形態に係る切替装置の動作の一例を模式的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0013】
図1は、実施形態に係る充電設備を模式的に表すブロック図である。
図1に表したように、充電設備2は、複数の電源4と、複数の充電スタンド6と、切替装置10と、を備える。
【0014】
複数の電源4は、電気自動車に対応した直流電力の供給を行うための電源である。複数の電源4は、より詳しくは、電気自動車に搭載された蓄電デバイスに応じた直流電力の供給を行う。電気自動車の蓄電デバイスは、例えば、蓄電池やコンデンサなどである。蓄電デバイスは、直流電力を蓄積可能な任意のデバイスでよい。
【0015】
複数の電源4は、例えば、AC/DCコンバータである。複数の電源4は、例えば、交流の電力系統に接続され、電力系統から供給された交流電力を電気自動車の蓄電デバイスに応じた直流電力に変換し、変換後の直流電力を電気自動車に供給する。複数の電源4は、例えば、DC/DCコンバータなどでもよい。複数の電源4は、例えば、共通のAC/DCコンバータを介して交流の電力系統に接続され、AC/DCコンバータから供給された直流電力を電気自動車の蓄電デバイスに応じた別の直流電力に変換し、変換後の直流電力を電気自動車に供給する構成などでもよい。
【0016】
複数の電源4の定格電圧は、例えば、電気自動車の蓄電デバイスの総電圧以上である。電気自動車の蓄電デバイスの総電圧は、例えば、400V程度である。この場合、複数の電源4の定格電圧は、400V以上に設定される。なお、複数の電源4の定格電圧は、必ずしも同じでなくてもよい。複数の電源4の構成は、上記に限ることなく、電気自動車の蓄電デバイスに応じた直流電力を供給し、電気自動車の蓄電デバイスを適切に充電することができる任意の構成でよい。
【0017】
複数の充電スタンド6は、電気自動車との接続に用いられる。充電設備2は、複数の充電スタンド6のいずれかを介して電気自動車と接続される。従って、充電設備2では、充電スタンド6の個数に応じた台数の電気自動車の充電を行うことができる。充電スタンド6は、換言すれば、電気自動車に設けられた充電用ソケットに着脱可能に接続される充電プラグである。なお、充電スタンド6の個数は、電源4の個数と同じでもよいし、異なってもよい。電源4の個数及び充電スタンド6の個数は、任意の個数でよい。
【0018】
切替装置10は、複数の電源4のそれぞれと複数の充電スタンド6のそれぞれとの接続を選択的に切り替える。換言すれば、切替装置10は、複数の電源4のそれぞれの出力を複数の充電スタンド6のそれぞれに対して選択的に供給できるようにする。
【0019】
これにより、充電設備2は、1つの電源4の出力を複数の充電スタンド6に分配して供給し、複数台の電気自動車を同時に充電するパワーシェアリングを可能にする。また、充電設備2では、複数の充電スタンド6のうちのどの充電スタンド6に電気自動車が接続された場合でも、複数の電源4のそれぞれの出力を電気自動車と接続された充電スタンド6に供給することができ、複数の電源4の利用効率を高めることができる。
【0020】
切替装置10は、切替部12と、制御部14と、を備える。切替部12は、複数の電源4のそれぞれと複数の充電スタンド6のそれぞれとの接続の切り替えを行う。制御部14は、切替部12による接続の切り替えを制御する。
【0021】
制御部14は、複数の電源4及び複数の充電スタンド6と接続され、複数の電源4及び複数の充電スタンド6と通信を行う。制御部14は、複数の充電スタンド6を介して充電スタンド6に接続された電気自動車と通信を行い、電気自動車から充電電流の指令値を受信する。制御部14は、受信した指令値に応じた直流電流を出力するように複数の電源4の一部又は全部に指令値を送信するとともに、複数の電源4の一部又は全部から出力された直流電流を対応する電気自動車に供給するように、切替部12による接続の切り替えを制御する。これにより、電気自動車からの指令値に応じた直流電流が、対応する電気自動車に供給され、電気自動車の蓄電デバイスが、所望の充電電流で充電される。
【0022】
なお、制御部14の構成は、上記に限定されるものではない。制御部14は、必ずしも複数の電源4及び複数の充電スタンド6と通信を行わなくてもよい。制御部14は、例えば、上位の制御装置と通信を行い、上位の制御装置からの指示に基づいて、切替部12による接続の切り替えを制御してもよい。
【0023】
充電設備2は、例えば、複数の電源4、複数の充電スタンド6、及び切替装置10のそれぞれの動作を統括的に制御する制御装置をさらに備えてもよい。すなわち、電気自動車からの指令値の受信及び複数の電源4への指令値の送信は、制御装置で行ってもよい。また、切替装置10の制御部14は、例えば、上位の制御装置に設けてもよい。換言すれば、制御部14は、上位の制御装置に組み込んだ構成としてもよい。制御部14の構成は、少なくとも切替部12による接続の切り替えを制御可能な任意の構成でよい。
【0024】
切替部12は、複数の第1スイッチング素子21と、複数の第2スイッチング素子22と、を有する。制御部14は、複数の第1スイッチング素子21及び複数の第2スイッチング素子22のそれぞれのスイッチングを制御することにより、切替部12による接続の切り替えを制御する。
【0025】
複数の第1スイッチング素子21は、複数の電源4のそれぞれに対応して設けられる。複数の第1スイッチング素子21のそれぞれは、複数の電源4のそれぞれの直流出力端子に接続される。従って、複数の第1スイッチング素子21の個数は、複数の電源4の個数と同じである。
【0026】
複数の第1スイッチング素子21の定格電圧は、複数の電源4のうちの対応する電源4の定格電圧以上である。複数の第1スイッチング素子21の定格電流は、複数の電源4のうちの対応する電源4の定格電流以上である。複数の第1スイッチング素子21は、例えば、高電圧・大電流のコンタクタである。但し、複数の第1スイッチング素子21は、コンタクタに限ることなく、対応する電源4の高電圧・大電流に対応可能な任意のスイッチング素子でよい。
【0027】
電源4の定格電圧とは、より詳しくは、電源4の通常の動作において出力され得る最大の電圧である。電源4の定格電流とは、より詳しくは、電源4の通常の動作において出力され得る最大の電流である。第1スイッチング素子21の定格電圧とは、より詳しくは、第1スイッチング素子21が適切にON-OFF動作し得る電圧で、回路印加電圧の最大電圧以上の電圧値である。第1スイッチング素子21の定格電流とは、より詳しくは、第1スイッチング素子21が適切に動作し得る電流で、最大通電電流以上の電流値である。
【0028】
複数の第2スイッチング素子22は、複数の第1スイッチング素子21のそれぞれと複数の充電スタンド6のそれぞれとの間に設けられ、複数の電源4から複数の第1スイッチング素子21を介して供給される直流電力を複数の充電スタンド6のそれぞれに選択的に供給できるようにする。
【0029】
複数の充電スタンド6の個数をN個とする時、1つの第1スイッチング素子21と複数の充電スタンド6のそれぞれとの間に、N個の第2スイッチング素子22が設けられる。これにより、N個の第2スイッチング素子22のそれぞれの投入状態(オン状態)及び開放状態(オフ状態)を切り替えることによって、1つの電源4から1つの第1スイッチング素子21を介して供給される直流電力を複数の充電スタンド6のそれぞれに選択的に供給することができる。
【0030】
従って、複数の第2スイッチング素子22の個数は、複数の第1スイッチング素子21の個数に複数の充電スタンド6の個数を乗じた数となる。換言すれば、複数の第2スイッチング素子22の個数は、複数の電源4の個数に複数の充電スタンド6の個数を乗じた数となる。但し、接続回路の組合せを減らすことで、第2スイッチング素子22の個数を減らすことも可能である。
【0031】
複数の第2スイッチング素子22の定格電圧は、複数の第1スイッチング素子21の定格電圧よりも低い物を使用することができる。換言すれば、複数の第2スイッチング素子22の定格電圧は、複数の電源4のうちの対応する電源4の定格電圧よりも低くて良い。複数の第2スイッチング素子22の定格電流は、複数の電源4のうちの対応する電源4の定格電流以上である。複数の第2スイッチング素子22は、例えば、低電圧・大電流開閉用のリレーである。但し、複数の第2スイッチング素子22は、リレーに限ることなく、対応する電源4の定格電圧よりも低い耐電圧を有し、かつ対応する電源4の定格電流に耐えることが可能な任意のスイッチング素子でよい。
【0032】
例えば、電気自動車の蓄電デバイスの最大充電電圧・電流が400V・100Aである場合、複数の第1スイッチング素子21及び複数の第2スイッチング素子22の定格電流は、直流100A以上が必要である。複数の第1スイッチング素子21の定格電圧は、直流400V以上が必要である。複数の第2スイッチング素子22の定格電圧は、直流30V以下でも構わない。このように、複数の第2スイッチング素子22の定格電圧は、例えば、複数の第1スイッチング素子21の定格電圧に比べ大幅に小さくできる。
【0033】
但し、複数の第1スイッチング素子21及び複数の第2スイッチング素子22の電流電圧性能は、上記に限定されるものではない。複数の第1スイッチング素子21及び複数の第2スイッチング素子22の電流電圧性能は、電気自動車の蓄電デバイスの総電圧や複数の電源4の定格出力などに応じて適宜決定すればよい。複数の第2スイッチング素子22は、定格電圧は殆ど回路電圧を考慮する必要は無く、対応する電源4の定格電流に耐えることのみで部品選択が可能である。
【0034】
複数の第2スイッチング素子22は、対応する電源4と対応する充電スタンド6との間の直流電源経路のうちの高電位(+)側の経路を開閉する接点22pと、低電位(-)側の経路を開閉する接点22nと、の一対の接点22p、22nを有する。
【0035】
一方、複数の第1スイッチング素子21は、高電位(+)側の経路を開閉する1つの接点のみを有する。
【0036】
図2(a)及び図2(b)は、実施形態に係る切替装置の動作の一例を模式的に表す説明図である。
図2(a)及び図2(b)は、複数の電源4のうちの2つの電源4a、4bから複数の充電スタンド6のうちの1つの充電スタンド6aに電力を供給する場合の切替装置10の動作の一例を模式的に表している。なお、図2(a)及び図2(b)では、便宜的に切替装置10の一部の図示を省略している。
【0037】
複数の充電スタンド6のいずれにも電力の供給を行っていない状態においては、切替装置10の制御部14は、図1に表したように、複数の第1スイッチング素子21及び複数の第2スイッチング素子22のそれぞれを開放状態とする。
【0038】
電源4a、4bから充電スタンド6aに電力を供給する場合、制御部14は、図2(a)に表したように、まず、電源4aと充電スタンド6aとの間に設けられた第2スイッチング素子22、及び電源4bと充電スタンド6aとの間に設けられた第2スイッチング素子22を開放状態から投入状態に切り替える。制御部14は、より詳しくは、電源4aと充電スタンド6aとの間に設けられた第2スイッチング素子22の一対の接点22p、22nのそれぞれ、及び電源4bと充電スタンド6aとの間に設けられた第2スイッチング素子22の一対の接点22p、22nのそれぞれを開放状態から投入状態に切り替える。
【0039】
この後、制御部14は、図2(b)に表したように、電源4aと充電スタンド6aとの間に設けられた第1スイッチング素子21、及び電源4bと充電スタンド6aとの間に設けられた第1スイッチング素子21を開放状態から投入状態に切り替える。
【0040】
これにより、電源4aが第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22を介して充電スタンド6aと接続されるとともに、電源4bが第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22を介して充電スタンド6aと接続され、電源4a、4bから充電スタンド6aへの直流電力の供給が可能となる。
【0041】
制御部14は、電源4a、4bから充電スタンド6aへの電力供給を停止する場合には、電源4aと充電スタンド6aとの間に設けられた第1スイッチング素子21、及び電源4bと充電スタンド6aとの間に設けられた第1スイッチング素子21を投入状態から開放状態に切り替える。すなわち、制御部14は、図2(b)に表した状態から図2(a)に表した状態に戻す。
【0042】
この後、制御部14は、電源4aと充電スタンド6aとの間に設けられた第2スイッチング素子22、及び電源4bと充電スタンド6aとの間に設けられた第2スイッチング素子22を投入状態から開放状態に切り替える。制御部14は、より詳しくは、電源4aと充電スタンド6aとの間に設けられた第2スイッチング素子22の一対の接点22p、22nのそれぞれ、及び電源4bと充電スタンド6aとの間に設けられた第2スイッチング素子22の一対の接点22p、22nのそれぞれを投入状態から開放状態に切り替える。すなわち、制御部14は、図2(a)に表した状態から図1に表した状態に戻す。
【0043】
これにより、電源4aが第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22によって充電スタンド6aから切り離されるとともに、電源4bが第1スイッチング素子21及び第2スイッチング素子22によって充電スタンド6aから切り離され、電源4a、4bから充電スタンド6aへの電力供給を停止した状態となる。
【0044】
充電設備に用いられる切替装置において、複数の第1スイッチング素子21を設けることなく、複数の第2スイッチング素子22のみで複数の電源4のそれぞれと複数の充電スタンド6のそれぞれとの接続の切り替えを行う構成がある。この場合、複数の第2スイッチング素子22のそれぞれを高電圧・大電流に対応可能な素子としなければならず、充電設備の設備費用の増加の要因となってしまう可能性がある。
【0045】
これに対し、本実施形態に係る切替装置10では、切替部12が、複数の第1スイッチング素子21と、複数の第2スイッチング素子22と、を有する。図2(a)及び図2(b)に関して説明したように、制御部14は、複数の電源4のうちの所定の電源4から複数の充電スタンド6のうちの所定の充電スタンド6に電力を供給する場合に、所定の電源4と所定の充電スタンド6との間に設けられた第2スイッチング素子22を開放状態から投入状態に切り替えた後に、所定の電源4と所定の充電スタンド6との間に設けられた第1スイッチング素子21を開放状態から投入状態に切り替える。そして、制御部14は、所定の電源4から所定の充電スタンド6への電力供給を停止する場合に、所定の電源4と所定の充電スタンド6との間に設けられた第1スイッチング素子21を投入状態から開放状態に切り替えた後に、所定の電源4と所定の充電スタンド6との間に設けられた第2スイッチング素子22を投入状態から開放状態に切り替える。
【0046】
上記のように、複数の第1スイッチング素子21及び複数の第2スイッチング素子22を設けるとともに、複数の第1スイッチング素子21及び複数の第2スイッチング素子22のスイッチングを制御することにより、複数の電源4や電気自動車の蓄電デバイスの高い電圧が、複数の第2スイッチング素子22の両端に印加されてしまうことを抑制することができる。
【0047】
本実施形態に係る切替装置10では、複数の電源4や電気自動車の蓄電デバイスの高い電圧は、複数の第1スイッチング素子21の両端にのみ印加される。従って、切替装置10では、複数の第1スイッチング素子21にのみ高電圧・大電流の素子を適用すればよく、複数の第2スイッチング素子22には、安価な低電圧・大電流の素子を用いることができる。
【0048】
複数の第2スイッチング素子22の個数は、複数の第1スイッチング素子21の個数に複数の充電スタンド6の個数を乗じた分だけ、複数の第1スイッチング素子21の個数よりも多くなる。一方で、第2スイッチング素子22の費用は、例えば、第1スイッチング素子21の費用の1/10以下程度に抑えることができる。このため、複数の第2スイッチング素子22のみで切り替えを行う構成と比べて、複数の第1スイッチング素子21の分だけ部品点数が増加したとしても、切替装置10全体における費用の増加を抑制することができる。切替装置10では、例えば、充電スタンド6の数が増えるほど、設備費用の増加の抑制効果を高めることができる。
【0049】
以上、説明したように、本実施形態によれば、設備費用の増加を抑制しつつ、出力先を適切に切り替えられる充電設備用の切替装置10を提供することができる。
【0050】
また、充電設備2では、充電スタンド6への電力供給を行っていない電源4を充電スタンド6から完全に切り離すことが求められている。
【0051】
切替装置10では、複数の第2スイッチング素子22が、対応する電源4と対応する充電スタンド6との間の直流電源経路のうちの高電位(+)側の経路を開閉する接点22pと、低電位(-)側の経路を開閉する接点22nと、の一対の接点22p、22nを有し、複数の第1スイッチング素子21は、対応する電源4と複数の充電スタンド6との間の直流電源経路のうちの高電位(+)側の経路のみを開閉する。
【0052】
これにより、充電スタンド6への電力供給を行っていない電源4を複数の第2スイッチング素子22によって充電スタンド6から適切に切り離すことができるとともに、高価な複数の第1スイッチング素子21の接点の数を抑制し、設備費用の増加をより適切に抑制することができる。
【0053】
なお、複数の第1スイッチング素子21及び複数の第2スイッチング素子22の構成は、上記に限定されるものではない。複数の第1スイッチング素子21は、対応する電源4と複数の充電スタンド6との間の直流電源経路のうちの高電位(+)側の経路を開閉する接点と、低電位(-)側の経路を開閉する接点と、の一対の接点を有してもよい。
【0054】
複数の第1スイッチング素子21の構成及び複数の第2スイッチング素子22の構成は、複数の電源4のそれぞれと複数の充電スタンド6のそれぞれとの接続を適切に切り替えることができる任意の構成でよい。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
2…充電設備、 4…電源、 6…充電スタンド、 10…切替装置、 12…切替部、 14…制御部、 21…第1スイッチング素子、 22…第2スイッチング素子
図1
図2