(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】フィルタエレメント及びフィルタエレメントを備えるフィルタモジュール
(51)【国際特許分類】
B01D 29/50 20060101AFI20240807BHJP
B01D 39/14 20060101ALI20240807BHJP
B01D 39/16 20060101ALI20240807BHJP
B01D 39/18 20060101ALI20240807BHJP
B01D 29/07 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
B01D29/24 H
B01D39/14 A
B01D39/14 C
B01D39/14 D
B01D39/16 A
B01D39/18
B01D29/06
B01D29/26
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019158676
(22)【出願日】2019-08-30
【審査請求日】2022-08-29
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596064112
【氏名又は名称】ポール・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Pall Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ゲアハルト シュトローム
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ホイスライン
【審査官】太田 一平
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-508734(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0059422(US,A1)
【文献】米国特許第05736044(US,A)
【文献】特開昭61-092647(JP,A)
【文献】特開2017-029974(JP,A)
【文献】特表平10-508343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 24/00 - 35/04
B01D 35/08 - 37/08
B01D 39/00 - 41/04
B32B 1/00 - 43/00
B01D 46/00 - 46/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体透過性シート材料(14)からなる2つ以上の流体透過性シート材料層(42、44、46)であって、それぞれが平行に配置された第1の表面(48、50、52)及び第2の表面(49、51、53)を有する2つ以上の流体透過性シート材料層(42、44、46)と、
前記流体透過性シート材料(14)からなる前記流体透過性シート材料層(42、44、46)の前記第1の表面(48、50、52)及び/又は前記第2の表面(49、51、53)を完全に覆うように前記流体透過性シート材料層(42、44、46)の前記第1の表面(48、50、52)及び前記第2の表面(49、51、53)の少なくとも一方と液密接触状態で配置された、ポリマー材料の流体不透過性層(20a、20b、20c)と、
1つ以上の第1の縁部及び1つ以上の第2の縁部であって、前記第1の縁部及び前記第2の縁部が予め定められた距離を置いて配置され、前記流体透過性シート材料(14)の予め定められた領域によって互いに隔てられている、1つ以上の第1の縁部及び1つ以上の第2の縁部と、
前記第1の表面(48、50、52)及び前記第2の表面(49、51、53)に制限されかつ前記第1の表面(48、50、52)及び前記第2の表面(49、51、53)に平行に、前記流体透過性シート材料(14)からなる前記流体透過性シート材料層(42、44、46)のそれぞれの中を前記第1の縁部から前記第2の縁部まで延びる流体流路(64、65、66)であって、前記第1の縁部及び前記第2の縁部がそれぞれ、前記流体流路(64、65、66)の上流側端部及び下流側端部に流体取入れ口及び流体排出口を有する、流体流路(64、65、66)と
を備える、フィルタエレメント(40)であって、
前記流体不透過性層(20a、20b、20c)が、不規則に構造化された表面を埋め合わせて平らにすることができる条件の下で、前記流体透過性シート材料(14)の表面に液密状態で実質的に接合されている、フィルタエレメント(40)。
【請求項2】
前記流体不透過性層(20a、20b、20c)がフィルムの形をとる、請求項1に記載のフィルタエレメント(40)。
【請求項3】
前記流体不透過性層(20a、20b、20c)が、前記流体透過性シート材料(14)からなる前記流体透過性シート材料層(42、44、46)の前記第1の表面(48、50、52)及び/又は前記第2の表面(49、51、53)に積層されている、請求項1又は2に記載のフィルタエレメント(40)。
【請求項4】
前記流体不透過性層(20a、20b、20c)が熱可塑性ポリマー材料で作られている、請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(40)。
【請求項5】
前記熱可塑性ポリマー材料が、ポリオレフィン、ポリエステル及びポリイミドのうちから選択される、請求項4に記載のフィルタエレメント(40)。
【請求項6】
前記ポリオレフィンが、ポリエチレン又はポリプロピレンから選択される、請求項5に記載のフィルタエレメント(40)。
【請求項7】
前記流体透過性シート材料(14)が、繊維状材料である、請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(40)。
【請求項8】
前記繊維状材料が、セルロース繊維及びポリマー繊維のうちから選択された繊維を含む、請求項7に記載のフィルタエレメント(40)。
【請求項9】
前記流体透過性シート材料(14)が、繊維、針及び/又は粒の形をとる有機材料及び/又は無機材料のうちから選択された1つ以上の添加物を含み、
任意選択的に、前記添加物が、粒子の形をとる、珪藻土、パーライト、PVPP及びシリカゲルから選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(40)。
【請求項10】
粒子の形をとる前記添加物が、取り囲む前記流体透過性シート材料の母材に前記流体透過性シート材料層の他の成分に適合する樹脂で接合される、請求項9に記載のフィルタエレメント(40)。
【請求項11】
前記1つ以上の添加物が、前記流体透過性シート材料(14)に、前記流体透過性シート材料(14)の80重量%以下の量で含まれる、請求項9又は10に記載のフィルタエレメント(40)。
【請求項12】
第1の流体不透過性層(20a)が前記流体透過性シート材料(14)からなる前記流体透過性シート材料層(42)の前記第1の表面(48)上に配置され、第2の流体不透過性層(20b)が前記流体透過性シート材料(14)
からなる前記流体透過性シート材料層(42)の前記第2の表面(49)上に配置される、請求項1~11のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(40)。
【請求項13】
前記第1の流体不透過性層(20a)及び前記第2の流体不透過性層(20b)が
、ポリマー材料で作られ、互いに直接接合されている、請求項12に記載のフィルタエレメント(40)。
【請求項14】
前記流体不透過性層(20a、20b、20c)が、前記流体透過性シート材料(14)からなる前記流体透過性シート材料層に、前記流体透過性シート材料(14)の前記表面に垂直な方向の前記流体透過性シート材料(14)の剥離強度以上の接合強度で接合され、
任意選択的に、前記流体透過性シート材料(14)からなる前記流体透過性シート材料層(42、44、46)のうちの1つの前記第1の表面(48、50、52)及び前記第2の表面(49、51、53)に接合された前記流体不透過性層(20a、20b、20c)が、前記流体不透過性層(20a、20b、20c)のうちの1つから前記流体透過性シート材料(14)からなる前記流体透過性シート材料層を通って前記流体不透過性層(20a、20b、20c)のうちの他の1つまで延びる複数の結合要素によって互いに接合され、前記結合要素が、前記流体透過性シート材料(14)からなる前記流体透過性シート材料層の前記領域全体にわたって規則的に分散され、
前記流体透過性シート材料(14)の表面に平行な平面内の前記結合要素の断面積の合計が、前記流体透過性シート材料(14)からなる前記流体透過性シート材料層の表面積の10%以下である、請求項1~13のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(40)。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のフィルタエレメント(406、408)を1つ以上備えるフィルタモジュール(400)であって、
前記フィルタモジュール(400)が、前記フィルタエレメント(406、408)の前記流体取入れ口と流体的に連通した状態で配置された流体入口(430)と、前記フィルタエレメント(406、408)の前記流体排出口と流体的に連通する流体出口とを有する、フィルタモジュール(400)。
【請求項16】
前記フィルタモジュール(400)が、各層の前記第1の縁部が互いに流体的に連通した状態で設けられ、前記第2の縁部が互いに流体的に連通した状態で設けられ、任意選択的に互いに直接接合されるように、スタック内に配置された前記フィルタエレメント(406、408)のうちの2つ以上をさらに備え、
任意選択的に、前記スタック内の前記フィルタエレメント(406、408)が前記流体透過性シート材料の前記第1の表面上にのみ流体不透過性層を備え、前記流体透過性シート材料の前記第2の表面が、隣接するフィルタエレメント(406、408)の流体不透過性層に液密状態で接合され、前記スタックの下部又は上部上のフィルタエレメント(406、408)が、任意選択的に、前記フィルタエレメント(406、408)の前記流体透過性シート材料の前記第2の表面に接合された第2の流体不透過性層を備える、請求項15に記載のフィルタモジュール(400)。
【請求項17】
前記フィルタモジュール(400)が、前記スタックの上部及び/又は下部上にそれぞれ第1の端板(420)及び第2の端板(422)の形をとる流体不透過性層を備え、
任意選択的に、前記第1の端板(420)が、前記フィルタモジュールの前記流体入口から前記フィルタエレメントの前記流体取入れ口までの流体流路を備える流体分配デバイスとして設計され、かつ/又は、前記第2の端板(422)が、前記フィルタエレメントの前記流体排出口から前記フィルタモジュールの前記流体出口までの流体流路を備える流体回収デバイスとして設計され、前記端板(420、422)が前記スタックの前記上部及び前記下部上に設けられる場合、任意選択的に、前記端板(420、422)の一方が流体分配デバイスの形をとり、前記端板の他方が流体回収デバイスの形をとる、請求項16に記載のフィルタモジュール(400)。
【請求項18】
前記第1の端板(420)及び前記第2の端板(422)が、流体分配デバイス及び流体回収デバイスとして設計され、中空室を備えるとともに、中心開口の周囲に内側リムを有し、外周縁に外側リムを有し、前記内側リムと前記外側リムの一方が、前記端板の内部の前記中空室へのかつ前記中空室からの流体的に連通を可能にする複数の開口を備えるのに対して、前記内側リムと前記外側リムの他方が前記中空室を環境に対して密封するために閉鎖されている、請求項17に記載のフィルタモジュール(400)。
【請求項19】
前記第1の端板(420)及び前記第2の端板(422)が流体分配デバイス及び流体回収デバイスとして設計され、前記端板の一方が中心開口の周囲に内側リムを有し、前記端板の他方が外周縁に外側リムを有し、前記内側リム及び前記外側リムが、前記端板から、前記フィルタエレメントのスタックに液密的に接触する当該表面から離れる方向に延びている、請求項17に記載のフィルタモジュール(400)。
【請求項20】
前記1つ以上のフィルタエレメント(502)の前記
流体透過性シート材料が、外周面及び内周面を有するスパイラルロール(502)を形成するように巻軸線の周りに多巻数で巻き付けて設けられ、前記内周面が前記スパイラルロール(502)の中心チャンネル(512)を画定し、前記
流体透過性シート材料(504)には、前記第1の縁部を画定するとともに、前記第1の縁部が前記スパイラルロール(502)内に半径方向に延びる1つ以上の第1のチャンネル(520)を形成するように配置される第1組の貫通孔が設けられ、前記
流体透過性シート材料(504)には、前記第2の縁部を画定するとともに、前記第2の縁部が前記第1のチャンネルから半径方向に延びかつ離間された1つ以上の第2のチャンネルを形成するように配置される第2組の貫通孔がさらに設けられ、前記第1のチャンネルと前記第2のチャンネルの一方が、前記スパイラルロール(502)の前記外周面で開放し、前記スパイラルロール(502)の前記内周面で閉鎖され、
前記第1のチャンネルと前記第2のチャンネルの他方が、前記スパイラルロール(502)の前記外周面で閉鎖され、前記スパイラルロール(502)の前記内周面で開放し、
任意選択的に、前記フィルタエレメントの前記スパイラルロールの後続の巻数の隣り合う表面領域が互いに接合され、更に任意選択的に液密的に密封される、請求項15に記載のフィルタモジュール(500)。
【請求項21】
前記フィルタモジュール(500)が、前記スパイラルロール(502)の上部前端及び下部前端にそれぞれ装着された第1の端板(532)及び/又は第2の端板(538)を備える、請求項20に記載のフィルタモジュール(500)。
【請求項22】
ハウジングと請求項15~21のいずれか一項に記載の1つ以上のフィルタモジュールとを備えるフィルタシステムであって、前記ハウジングが、前記フィルタモジュールの前記流体入口と流体的に連通する入口開口と、前記入口開口から流体的に分離されかつ前記フィルタモジュールの前記流体出口と流体的に連通する出口開口とを備える、フィルタシステム。
【請求項23】
請求項1~14のいずれか一項に記載のフィルタエレメントを製造するプロセスであって、
流体透過性シート材料が提供され、
流体不透過性層が、不規則に構造化された表面を埋め合わせて平らにすることができる条件の下で、少なくとも前記流体透過性シート材料の前記第1の表面又は前記第2の表面に液密状態で接合され、
前記第1の縁部及び前記第2の縁部が事前定義された距離を置いて設けられ、前記流体透過性シート材料の事前定義された領域によって互いに隔てられる、プロセス。
【請求項24】
前記流体透過性シート材料がコイルの形で提供され、
前記第1の縁部及び前記第2の縁部がパンチングによって設けられる、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
前記流体不透過性層が、フィルムとして、任意選択的にはコイルの形で提供される、又は前記流体透過性シート材料の前記第1の表面及び前記第2の表面の一方上にその場生成され、
かつ/又は、前記流体不透過性層が、前記流体透過性シート材料層の前記第1の表面及び前記第2の表面の両方に接合される、請求項23又は24に記載のプロセス。
【請求項26】
前記流体透過性シート材料層の前記第1の表面及び/又は前記第2の表面に前記流体不透過性層を接合するステップがカレンダ処理ステップで行われる、請求項23~25のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項27】
前記流体透過性シート材料には、前記流体不透過性層の付着前に前記流体透過性シート材料層の表面領域にわたって規則的に分散された複数の小貫通孔が設けられ、
任意選択的に、前記流体透過性シート材料の前記第1の表面及び前記第2の表面上の前記流体不透過性層が、前記小貫通孔を介して互いに接合される、請求項23~26のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項28】
前記流体不透過性層(20a、20b、20c)が、真空条件下で前記流体透過性シート材料(14)からなる前記流体透過性シート材料層(42、44、46)の前記第1の表面(48、50、52)及び/又は前記第2の表面(49、51、53)に接合される、請求項23~27のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項29】
前記流体不透過性層(20a、20b、20c)が、前記流体不透過性層(20a、20b、20c)を形成するために粒状ポリマー材料及び/又は繊維状ポリマー材料を付着し、前記粒状ポリマー材料及び/又は繊維状ポリマー材料を処理することにより、前記流体透過性シート材料(14)の前記第1の表面(48、50、52)及び/又は前記第2の表面(49、51、53)にその場生成されている、請求項23~27のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタエレメント及びかかるフィルタエレメントを1つ以上備えるフィルタモジュールに関する。本発明はさらに、本発明のフィルタエレメントを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多孔質デプスフィルタ材料を含むフィルタエレメントがよく知られている。デプスフィルタ材料は、多くの場合にシート材料の形で提供される。濾過されるべき流体はシート材料の上流側表面に向けられるのに対して、濾液はシート材料の反対側又は下流側表面から排出される。シート材料の縁部は、濾過されるべき流体をシート材料に上流側表面に対して本質的に垂直な方向に通し、シート材料の縁部での流体の漏れを妨げるために、一般に圧縮封止されるか又はその他の方法でシールされる。
【0003】
近年、いわゆるエッジフロー構成にデプスフィルタ材料を用いたフィルタエレメントが国際公開第98/35740号パンフレットから知られるようになり、濾過されるべき流体はデプスフィルタ材料の積層円形シートの第1のエッジ面に向けられ、流体の流れは、個々のシートの表面に対して本質的に平行なデプスフィルタ材料内に起こる。濾液は、第1のエッジ面から離間された第2のエッジ面でデプスフィルタ材料から出て行く。
【0004】
さらに、積層円形シート材料の使用に代わる手段として、Diemerらの米国特許第8,464,877号明細書では、シート材料がスパイラルロール(spiral roll)を形成するように巻かれるエッジフロー構成が提案されている。シート材料には多数の開口が設けられ、開口の境界面は貫流面として働く。スパイラルロールの後続層のシート材料の開口は重ねて配置され、それによって複数の半径方向に延びるチャンネルと、入口チャンネルとして働く1つのチャンネル群と、出口チャンネルとして働く別のチャンネル群とを形成する。
【0005】
この種のフィルタエレメントは、様々な用途で、特に濾過用途に関して食品及び飲料の分野で、例えば、特に高い細菌除去効率が重要となるバイオテクノロジー及び医薬の分野で有用であるが、この種のフィルタエレメントはすべての要件を満たすわけではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、特に、高い細菌除去効率が求められる用途向けのフィルタエレメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は、請求項1に記載のフィルタエレメントによって解決される。処理されるべき流体は一般に液体であるが、ガスでもよい。
【0008】
本発明の基本的概念によれば、フィルタエレメントは、実質的に平行に配置された第1の表面及び第2の表面を有する流体透過性シート材料(fluid-pervious sheet material)からなる層を1つ以上備える。流体不透過性層(fluid-impervious layer)が、前記流体透過性シート材料層の第1の表面及び/又は第2の表面を実質的に完全に覆うように前記流体透過性シート材料層の前記第1の表面及び前記第2の表面と液密接触状態で配置される。フィルタエレメントは、1つ以上の第1の縁部及び第2の縁部をさらに備え、前記第1の縁部及び前記第2の縁部は、事前定義された距離を置いて配置され、流体透過性シート材料の事前定義された領域によって互いに隔てられる。それによって、前記流体透過性シート材料層のそれぞれの第1及び第2の表面に限定されかつ第1及び第2の表面に本質的に平行に、第1の縁部から第2の縁部まで延びる画定された流体流路が設けられる。上記層の前記第1の縁部及び前記第2の縁部はそれぞれ、前記流体流路の上流側端部及び下流側端部に流体取入れ口及び流体排出口を提供する。流体透過性シート材料は、一般にデプスフィルタ材料として設計される。
【0009】
意外にも、本発明のフィルタエレメントは、液体が処理されかつ高細菌除去率が得られるべき用途に特に適している。さらに、本発明のフィルタエレメントは、流体透過性シート材料の個々の層によって提供される体積内にのみ広がるように流体流路を限定することを可能にし、したがって、特に細菌汚染物質の事前定義された除去率が保証されなければならない場合にも改善された除去効率を提供する。
【0010】
単純な一実施形態では、フィルタエレメントは、1つの第1の縁部又は1つの第2の縁部だけを有することができる。対応する第2の縁部及び第1の縁部の数はそれぞれ、異なることができる。一実施形態では、1つの第1の縁部及び1つの第2の縁部だけがあればよく、これらの縁部は同心に配置されてもよく、フィルタエレメントは中空円筒の形をとることができる。
【0011】
流体透過性シート材料の単一層が発明的なフィルタエレメントに使用される場合、このシート材料の両面に流体不透過性層が設けられる。
【0012】
流体透過性シート材料の複数層が互いに積層されるか又はスパイラルロールに巻かれる、本発明によるフィルタエレメントの場合、流体不透過性材料の単一層が、第1の流体透過性シート材料層の第1の表面及び隣接する流体透過性シート材料層の第2の表面を覆うために使用され得る。
【0013】
したがって、スタック又はスパイラルロールは異なる方法で組み立てることができる。
【0014】
第1の実施形態によれば、複数の流体透過性シート材料層が、流体透過性シート材料層の1つの表面上にのみ流体不透過性層を設けられ、流体透過性シート材料のスタックの端面(上部若しくは下部)又は流体透過性シート材料のスパイラルロールの端面(内面若しくは外面)にのみ別の流体不透過性層が設けられる。
【0015】
別の実施形態では、スタックの流体透過性シート材料層には、両表面上に流体不透過性層が交互に設けられてもよく、スタックの上部と下部(端面)の両方に別の流体不透過性層が設けられるという条件では流体不透過性層が設けられなくてもよい。
【0016】
加えて、流体不透過性層は、流体不透過性層をスタックに組み付ける前に個々の層の表面上に液密状態で付着される必要がないことに留意されたい。したがって、一実施形態によれば、流体不透過性層と流体透過性層の交互組立体がスタックの形で提供され得るのに対して、流体不透過性層と流体透過性層の表面との液密的な接触は、スタックが組み立てられた時点でのみ続いて確立される。
【0017】
好適には、本発明によれば、流体透過性シート材料は、多種多様の流体透過性材料から選択することができ、隣り合う層又は積み重ねられたフィルタエレメントの密封接触部を設けるために弾性である必要がない。液密接触部は流体不透過性層を使用することにより設けられるからである。
【0018】
さらに、本発明は、流体透過性シート材料の平坦面を必要としないが、これらの表面の一方又は両方が不規則な構造を有することができる。それにもかかわらず、流体透過性シート材料の一方又は両方の表面上に流体不透過性層を液密接触状態で付着することにより、濾過中の信頼できる結果がもたらされる。
【0019】
本発明はさらに、請求項13に記載されているようにフィルタエレメントを1つ以上備えるフィルタモジュールに関する。
【0020】
前記モジュールは、フィルタエレメントの流体取入れ口と流体的に連通した状態で配置された流体入口と、フィルタエレメントの排出口と流体的に連通する流体出口と、を有する。
【0021】
フィルタモジュールは、請求項20に記載されているフィルタシステムに組み込まれてもよい。
【0022】
本発明の別の態様が、請求項21に記載されている本発明のフィルタエレメントを準備する方法に存在する。
【発明の説明】
【0023】
本発明によれば、流体透過性シート材料は、繊維状デプスフィルタ材料で作製され得る。あるいは、焼結粒子、特にセラミック粒子で作製された流体透過性シート材料が使用され得る。さらに、開放多孔質膜が流体透過性シート材料として使用され得る。
【0024】
本発明に有用な繊維状デプスフィルタ材料の典型的な例が、Schroderの米国特許第4,676,904号明細書及び独国実用新案第8713306号明細書に記述されており、共に参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものとする。
【0025】
繊維状デプスフィルタ材料は、天然繊維及び/又はポリマー繊維、より具体的にはセルロース繊維及びポリエチレン繊維若しくはポリプロピレン繊維を組み込むことができる。加えて、いわゆるステップインデックスファイバが使用されてもよく、好ましくは、コア部がポリプロピレン系ポリマー材料で作製され、外層はポリエチレン系ポリマー材料で作製される。
【0026】
流体不透過性層は一般に、ポリマー材料、特に熱可塑性ポリマー材料で作製されたフィルムとして提供され得る。また、多層フィルムが使用されてもよい。好ましい多層フィルムは、例えばポリプロピレン系材料で作製され得るコア層と、例えばポリエチレン系材料で作製され得るカバー層とを含む。多層フィルムは、前もって作られてもよく、あるいは例えば要求に応じて3つの個々のフィルムから組み立てられてもよい。
【0027】
本発明のフィルタエレメントの好ましい一実施形態では、流体不透過性層は、流体透過性シート材料の表面に隣接し接触するだけでなく、流体透過性シート材料の表面に液密状態で実質的に接合される。
【0028】
シート材料の形をとる流体不透過性層を流体透過性シート材料の表面に接合するのは、好ましくは、前記流体不透過性層を流体透過性シート材料層の第1の表面及び/又は第2の表面上に積層することにより行うことができる。
【0029】
流体不透過性層は、本発明の一実施形態に従って前もって作られたフィルムの形で提供され得る。
【0030】
代替実施形態では、流体不透過性層は、フィルムの形をとる流体透過性シート材料の表面上に押し出される。
【0031】
好ましくは、流体不透過性層は、流体透過性シート材料層の第1の表面及び/又は第2の表面に積層される。
【0032】
別の実施形態によれば、流体不透過性層は、真空条件下で流体透過性シート材料層の第1の表面及び/又は第2の表面に接合され得る。
【0033】
本発明の別の代替実施形態では、流体不透過性層は、例えば繊維及び/又は粒の形をとる粒状成分からその場(in situ)生成することができ、粒状成分は、流体透過性シート材料の表面上に直接付着され、次いで、流体透過性シート材料の表面に液密的に接触する流体不透過性層を形成するように処理され得る。
【0034】
好適には、流体不透過性層は、ポリマー材料、好ましくは熱可塑性ポリマー材料で作られ、前記熱可塑性ポリマー材料は、ポリオレフィン、特にポリエチレン若しくはポリプロピレン、並びにポリエステル及びポリイミドから選択される。
【0035】
流体透過性シート材料層は、様々なシート材料から選択され得る。流体透過性シート材料層は、好ましくは、例えば繊維構造の形をとるデプスフィルタ材料から選択される。この種の繊維構造は、好ましくは、セルロース繊維及びポリマー繊維又はこれらの繊維の混合物を含む。好ましいポリマー繊維は、熱可塑性繊維、特にポリオレフィン繊維である。この種の好ましい流体透過性シート材料は、上述のように、例えば、Schroderの米国特許第4,676,904号明細書及び独国実用新案第8713306号明細書に開示されている。
【0036】
本発明の別の態様によれば、流体透過性シート材料は、流体不透過性層が作られている材料に適合するポリマー繊維を含んでいてもよく、したがって、流体透過性シート材料層の表面への流体不透過性層の接合を容易にしかつ強化する。
【0037】
流体透過性層をもたらす前記流体透過性シート材料は、特に繊維、針及び粒の形をとる有機材料及び/又は無機材料から選択された1つ以上の添加物をさらに含んでいてもよい。
【0038】
好ましい添加物は、好ましくは粒子の形をとる珪藻土、パーライト、ポリビニルピロリドン(PVPP)及びシリカゲルから選択され、好ましくは、取り囲む流体透過性シート材料の母材に流体透過性層の他の成分に適合する樹脂で接合され得る。
【0039】
前記1つ以上の添加物の量は、流体透過性シート材料の重量を基準にして、約80重量%以下に限定されることが好ましい。
【0040】
別の好ましい実施形態によれば、2つの隣り合う流体透過性シート材料層の間に配置される流体不透過性層は、流体透過性シート材料の表面粗さ又は表面の凹凸と実質的に同等以上の厚さを有する。したがって、2つの隣り合う流体透過性材料層への液密的な接触が容易にされ得る。
【0041】
本発明のフィルタエレメントの機械的安定性を高めるために、流体透過性シート材料の反対表面上に配置される流体不透過性層は、適合性材料、より好ましくは同一材料から作製されることが好ましい。
【0042】
特に好ましい一実施形態では、流体透過性層の反対表面上の流体不透過性層は、好ましくは例えば針状の微細ボンドによって、流体透過性シート材料層の本体全体にわたって互いに接合される。
【0043】
この種のボンドは、流体不透過性層を構成するポリマー材料が流体透過性層の本体に浸透し、反対表面上の流体不透過性層の間に複数のボンドを確立することを可能にする、流体透過性シート材料の一方の表面から他方の表面まで延びる例えばピンホール又は狭いスロットの形をとる複数の微細な開口を設けることによって容易に生成することができる。これらのボンドは、個々の層並びにフィルタエレメントの機械的安定性を全体的に高める。ボンドを形成したときのポリマー材料の浸透は、流体透過性シート材料が乾燥状態で提供されるときに著しく促進される。
【0044】
第1の態様によれば、ボンドは、ボンドが流体透過性シート材料層の本体内の流体流路に沿った流体の流れに著しく影響を及ぼさないように、流体透過性シート材料の表面に平行の小断面積で設計され得る。好ましくは、ボンドの断面積の和は、流体透過性層の表面積の約2%~約10%、より好ましくは約3%~約7%である。
【0045】
第2の態様によれば、ボンドは、拡張した狭いスロットに沿って設けられてもよく、流体の流れをそらすために、さらに、流体流路を第1の縁部から第2の縁部まで実質的に延長するために使用され得る。したがって、ボンドは、フィルタエレメントの濾過特性を改変しかつこの濾過特性に適応する働きをし得るが、濾過能力は本質的に影響を受けないままである。
【0046】
本発明の好ましい一実施形態では、第1の流体不透過性層が流体透過性シート材料層の第1の表面に配置され、第2の流体不透過性層が流体透過性シート材料の第2の表面に配置され、前記第1の流体不透過性層及び前記第2の流体不透過性層は、好ましくは適合性材料、特にポリマー材料で作られ、より好ましくは、前記第1の流体不透過性層及び前記第2の流体不透過性層がフィルタエレメントのスタック内で互いに接触した状態にされるときに互いに直接接合され得る。
【0047】
概して、前記流体不透過性層は、流体透過性シート材料層に、流体透過性シート材料の表面に垂直な方向の流体透過性シート材料の剥離強度以上の接合強度で実質的に接合されるのであれば好ましい。繊維状流体シート材料は、一般に約1N/mm2以下の湿潤強度を有する。
【0048】
本発明の別の態様によれば、本発明によるフィルタエレメントを1つ以上備えるフィルタモジュールが提供され、フィルタモジュールは異なる方法でセットアップされ得る。
【0049】
本発明の一態様によれば、フィルタモジュールは、スタック内に配置されかつ互いに直接接合されたフィルタエレメントのうちの2つ以上を備える。より好ましくは、流体不透過性材料層はボンドを提供する。
【0050】
本発明のフィルタモジュールの好ましい実施形態では、スタック内のフィルタエレメントは流体透過性シート材料の第1の表面上にのみ流体不透過性層を備え、流体透過性シート材料の第2の表面は、隣接するフィルタエレメントの流体不透過性層に特に液密状態で接合され、スタックの下部又は上部(端面を構成する)上のフィルタエレメントの一方が、前記フィルタエレメントの流体透過性シート材料の第2の表面に接合された第2の流体不透過性層を備えることができる。
【0051】
上述したように、各層の前記第1の縁部及び前記第2の縁部は同心配置で設けられ得る、すなわち、流体透過性シート材料は輪の形状で設けられる。互いに積層された多数の層は、中空円筒の形をとるモジュールの多層フィルタエレメントをもたらす。
【0052】
別の好ましい実施形態によれば、本発明のフィルタモジュールは、スパイラルロールを形成するように巻軸線の周りに多巻数で巻き付けられた1つ以上のフィルタエレメントのシート材料を備え、好ましくは、フィルタエレメントの巻数の隣り合う表面領域(流体不透過性層あるいは流体透過性層及び流体不透過性層)が互いに液密的に接触して、好ましくは実質的に接合される。
【0053】
典型的には、本発明によるフィルタモジュールは、フィルタエレメントの入口と流体的に連通する入口開口と、流体入口開口から流体的に分離され/隔てられかつフィルタモジュールの出口と流体的に連通する出口開口と、を有するハウジングをさらに備える。
【0054】
本発明のモジュールは、各層の前記第1の縁部が互いに流体的に連通した状態で設けられ、前記第2の縁部が互いに流体的に連通した状態で設けられ、好ましくはフィルタエレメントが互いに直接接合されるように、スタック内に配置されたフィルタエレメントのうちの2つ以上をさらに備えることができ、任意選択的に、スタック内のフィルタエレメントは流体透過性シート材料の第1の表面上にのみ流体不透過性層を備え、流体透過性シート材料の第2の表面は、隣接するフィルタエレメントの流体不透過性層に特に液密状態で接合され、スタックの下部又は上部上のフィルタエレメントが好ましくは、前記フィルタエレメントの流体透過性シート材料の第2の表面に接合された第2の流体不透過性層を備える。
【0055】
ある実施形態では、フィルタモジュールは、スタックの上部及び/又は下部上にそれぞれ第1の端板及び第2の端板の形をとる体不透過性層を備え、任意選択的に、前記第1の端板は、モジュールの流体入口からフィルタエレメントの流体取入れ口までの流体流路を備える流体分配デバイスとして設計され、かつ/又は、前記第2の端板は、フィルタエレメントの流体排出口からモジュールの流体出口までの流体流路を備える流体回収デバイスとして設計され、端板がスタックの上部及び下部上に設けられる場合、好ましくは端板の一方が流体分配デバイスの形をとり、他方の端板が流体回収デバイスの形をとる。
【0056】
加えて、フィルタモジュールの特定の実施形態では、前記第1の端板及び前記第2の端板は、流体分配デバイス及び流体回収デバイスとして設計され、中空室を備え、中心開口の周囲に内側リムを備え、外周縁に外側リムを備え、前記リムの一方は、端板の内部の中空室へのかつ中空室からの流体的な連通を可能にする複数の開口を備えるのに対して、他方のリムは、前記中空室を環境に対して密封するように閉鎖される。
【0057】
他の特定の実施形態では、フィルタモジュールは前記第1の端板及び前記第2の端板を備え、前記第1の端板及び前記第2の端板は流体分配デバイス及び流体回収デバイスとして設計され、端板の一方は中心開口の周囲に内側リムを有し、端板の他方は外周縁に外側リムを有し、前記リムは、端板から、フィルタエレメントのスタックに液密的に接触する当該表面から離れる方向に延びる。
【0058】
本発明のフィルタモジュールの別の実施形態によれば、1つ以上のフィルタエレメントのシート材料は、外周面及び内周面を有するスパイラルロールを形成するように巻軸線の周りに多巻数で巻き付けて設けられ、前記内周面はスパイラルロールの中心チャンネルを画定し、シート材料には、第1の縁部を画定するとともに、第1の縁部が前記スパイラルロール内に半径方向に延びる1つ以上の第1のチャンネルを形成するように配置される第1組の貫通孔が設けられ、シート材料には、第2の縁部を画定するとともに、第2の縁部が第1のチャンネルから半径方向に延びかつ離間された1つ以上の第2のチャンネルを形成するように配置される第2組の貫通孔がさらに設けられ、前記第1のチャンネル又は前記第2のチャンネルは、スパイラルロールの外周面で開放し、スパイラルロールの内周面で閉鎖され、
前記第1のチャンネル及び前記第2のチャンネルの前記他方は、スパイラルロールの外周面で閉鎖され、スパイラルロールの内周面で開放し、好ましくは、フィルタエレメントのスパイラルロールの後続の巻数の隣り合う表面領域が互いに接合され、特に液密的に密封される。
【0059】
フィルタモジュールは、かなり頻繁に、スパイラルロールの上部前端及び下部前端にそれぞれ装着された第1の端板及び/又は第2の端板を備える。
【0060】
本発明の様々な実施形態の説明に関連して上述した端板は、フィルタエレメントのスタック又はスパイラルロールに液密状態で、好ましくは同端板をフィルタエレメント又はスパイラルロールに実質的に接合することにより装着され得る。
【0061】
フィルタエレメントのスタックに装着されるとき、端板は(端板が流体分配デバイス又は流体回収デバイスとして働く場合も)、流体不透過性層が間に配置される必要なしに、流体透過性材料層の表面に直接接合され得る。
【0062】
概して、実質的に接合することは、異なる方法で、例えば接着材料を塗布して行われてもよい。好ましくは、実質的に接合することは、フィルタエレメント又はスパイラルロールの上端部又は下端部に当接するように設計された端板の表面を例えば赤外線放射で加熱して、端板が軟化又は表面融解し、続いてスタック又はスパイラルロールの表面を端板に接触させるようにすることにより行われる。
【0063】
さらに、本発明の別の態様は、ハウジングと上述した1つ以上のフィルタモジュールとを備えるフィルタシステムに関し、前記ハウジングは、フィルタモジュールの流体入口と流体的に連通する入口開口と、流体入口開口から流体的に分離されかつフィルタモジュールの流体出口と流体的に連通する出口開口と、を備える。
【0064】
さらに本発明の別の態様によれば、発明的なフィルタエレメントを製造するプロセスが提供される。
【0065】
本発明によるフィルタエレメントを製造するプロセスは以下のステップ、すなわち
流体透過性シート材料が好ましくはコイルの形で提供されるステップ、
流体不透過性層が、少なくとも流体透過性シート材料の第1の表面又は第2の表面に接合されるステップ、及び
好ましくはパンチングによって、第1の縁部及び第2の縁部が事前定義された距離を置いて設けられ、流体透過性シート材料の事前定義された領域によって互いに隔てられるステップを含む。
【0066】
本発明によるプロセスでは、流体不透過性層は、第1の実施形態により、好ましくはコイルの形をとる好ましくは前もって作られたフィルムとして提供される、又は別の実施形態に従って流体透過性シート材料の第1の表面及び第2の表面の一方上にその場生成される。
【0067】
流体不透過性層は、流体透過性層の第1の表面と第2の表面の両方に液密的に又は封止可能に接合され得る。
【0068】
流体透過性層を第1の表面及び/又は第2の表面に流体不透過性層に接合することはカレンダ処理ステップで行われ得る。
【0069】
流体透過性シート材料は、流体不透過性層の付着前に流体透過性シート材料層の表面領域にわたって規則的に分散された、貫通孔、例えばピンホール又は狭いスロットの形をとる複数の小開口を設けられ、任意選択的に、流体透過性シート材料の第1の表面及び第2の表面上の流体不透過性層は、前記小開口を介して互いに接合され得る。
【0070】
本発明及び本発明の様々な態様の利点について、添付図面による特定の諸実施形態に関連してより詳細に論じる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1】本発明のフィルタエレメントの第1の実施形態を示す図である。
【
図2】本発明のフィルタエレメントの別の実施形態を示す図である。
【
図3】参照用に従来技術のフィルタエレメントを示す図である。
【
図5】本発明によるフィルタエレメントの様々な実施形態を示す図である。
【
図6】本発明の2つの他の実施形態を示す図である。
【
図7】本発明のフィルタエレメントを生産する第1の方法を示す図である。
【
図8】本発明のフィルタエレメントを生産する別の実施形態を示す図である。
【
図9】本発明によるフィルタエレメントを製造するための別の実施形態を示す図である。
【
図10】本発明によるフィルタエレメントを製造するための別の実施形態を示す図である。
【
図11】発明的なフィルタエレメントを組み込んだ発明的なフィルタモジュールの一実施形態を示す図である。
【
図11A】
図11のフィルタモジュールの2つの詳細の一方を示す図である。
【
図11B】
図11のフィルタモジュールの2つの詳細の他方を示す図である。
【
図12】コイル巻き形態の発明的なフィルタエレメントを組み込んだ発明的なフィルタモジュールの別の実施形態を示す図である。
【
図13A】積層形態の発明的なフィルタエレメントをベースとする発明的なフィルタモジュールの別の実施形態を示す図である。
【
図13B】積層形態の発明的なフィルタエレメントをベースとする発明的なフィルタモジュールの別の実施形態を示す図である。
【
図14】
図11のフィルタモジュールを組み込んだ発明的フィルタシステムの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
図1は、実質的に平行に配置された第1の表面16及び第2の表面18を有する、流体透過性シート材料14からなる層12を1つ備えるフィルタエレメント10の形をとる本発明の第1の実施形態を示す。第1の表面16上には、流体不透過性層20が第1の表面16を実質的に完全に覆うように液密接触状態で装着される。フィルタエレメント10は貫通孔22及び24をさらに備え、貫通孔22及び24はそれぞれ、互いに事前定義した距離を隔てて第1の縁部及び第2の縁部を提供する。
【0073】
フィルタエレメントとして使用される場合、流体が、矢印26で示されているように貫通孔又はチャンネル22に入り、矢印27で示されているように第1の縁部から流体透過性シート材料14の本体の中へかつ本体内を移動し、矢印28で示されているように第2の縁部及び貫通孔若しくはチャンネル24においてフィルタエレメント10から出て行く。
【0074】
フィルタエレメント10は、貫通孔又はチャンネル22、24が例えば一列に並んで流体的に連通した状態でフィルタエレメント10を互いに積層するだけで、様々なフィルタ容量のフィルタモジュールに容易に組み付けることができる。この種の実施形態では、流体不透過性層20は、モジュールのスタック内の後続フィルタエレメントの第2の表面18に封止可能に、すなわち液密的に当接し、さらに前記表面18に実質的に接合され得ることが好ましい。
【0075】
かかるスタックの端面18には追加の流体不透過性材料層を液密的に装着することができ、したがって、フィルタモジュールは、容易に取り扱うことができ、例えば、濾過プロセスを実行するのに必要な流体入口及び出口と他の機能性とを提供するハウジング内に組み込むことができる。
【0076】
図2は、流体透過性シート材料14の3つの層42、44及び46を備える本発明によるより複雑なフィルタエレメント40を示し、3つの層42、44及び46はそれぞれ、第1の表面48、50及び52上に流体不透過性層20a、20b及び20cで覆われている。
図2の表現は、これらの3つの層42、44、46を分解図で示しているが、実際にはこれらの3つの層は互いに液密接触状態で配置されており、流体不透過性層20b及び20cはそれぞれ、層42の第2の表面49及び層44の第2の表面51に当接している。
【0077】
フィルタエレメント40の使用を容易にするために、層42、44及び46のスタックの端面53も層20a、20b、20cと同様又は同一の流体不透過性層で覆われてもよい。この場合も、このような層(図示せず)は表面53に液密状態で装着されることになる。
【0078】
運転中、矢印INで示されているように、濾過されるべき流体が、流れチャンネルを形成しかつ第1の縁部を提供する第1の一連の貫通孔61、62、63に供給される。次いで、流体は、層42、44及び46の第1の表面及び第2の表面に本質的に平行な矢印64、65、66で示されている流体流路に沿って一連の貫通孔67、68、69(流れチャンネルとして配置される)によって提供される第2の縁部まで移動し、全体的に矢印OUTで示されているようにフィルタエレメントから出て行く。
【0079】
もちろん、未濾過液流体は、フィルタエレメント40内に形成されたチャンネルの両端から、すなわちフィルタエレメント40の上部及び下部から整列された貫通孔61、62、63の中に供給されてもよい。
【0080】
同様に、濾液の排出は、整列された貫通孔67、68、69によって提供されたチャンネルからフィルタエレメント40の両側で行われてもよい。
【0081】
図1の実施形態と
図2の実施形態の比較から、本発明のフィルタエレメントの濾過能力は、既に上述したようにさらに多数の層を積み重ねることによって容易に高められ得ることが容易に明らかになる。隣り合う層の間の液密的な接触により、流体の漏出を回避するとともに濾過プロセスの信頼できる結果を保証するために過大な圧縮力は不要である。
【0082】
図3は、繊維状材料で作られた流体透過性シート材料が使用されるときに従来技術で遭遇する問題を例示するために提供される。実際には、この種のシート材料は、表面の一方だけが本質的に平坦であるのに対して、反対側の表面は実質的に不規則構造になっている。この種の構造は、かかる繊維状材料の製造プロセスによるものである。同様の問題は、不規則な表面構造のために他種の流体透過性シート材料で遭遇することがある。
【0083】
2つ以上の層70a、70bが、流体透過性シート材料の上面及び下面の液密的な接触をもたらすように
図3の下方部分に示されている多層構成82で組み立てられる場合、部分X及び部分Yに例示的に示されているように問題が生じ得る。部分X及び部分Yの数及び延長は、多層構成82に実質的な圧力を加えることにより減少させることができる。
【0084】
縁部74a/b、75a/b、76a/bは、濾過されるべき流体が流体透過性シート材料の本体に入る/から出ることを可能にする流体流れチャンネルを提供する。例えば、チャンネル75が入口チャンネルとして使用される場合、濾過されるべき流体は、多かれ少なかれ妨げられない、すなわち流体透過性シート材料70a、70bの本体を通って移動せずに、出口チャンネル76まで流れることがあるのに対して、出口チャンネル74の方向に移動する流体は、少なくともある程度まで、流体透過性シート材料70a、70bを通って移動し、濾過されなければならない。したがって、部分X及びYは、濾液の品質に悪影響を及ぼす流体の漏出、すなわち不規則な濾過結果を引き起こしている。
【0085】
流体透過性シート材料の表面を流体不透過性層で液密状態で覆うことにより、本発明は
図4に示されているような難点を回避する。
【0086】
流体不透過性層は一般にプラスチック材料で作られ、プラスチック材料は、不規則に構造化された表面を補償しかつ平らにすることを可能にする条件下で流体透過性シート材料の当該表面に付着され得る。したがって、通常の繊維状流体透過性シート材料は、これらの材料が他の濾過目的で非常によく使用されるので、本発明に従って使用され得る。同じことは、上記の通り、他種の流体透過性シート材料にも当てはまる。
【0087】
図4は、上方部分に、
図3の流体透過性シート材料70a及び70bに対応する流体透過性シート材料70c、70dの2つのまだ別々の層を示す。
【0088】
しかしながら、シート材料70c及び70dは、両表面がこのとき実質的に平坦な水平構造を有するように、シート材料70cの第1の表面78c及びシート材料70dの第1の表面78d上に流体不透過性層82c、82dで覆われる。これは、2つの層を
図4の下方部分に示されている多層構成84に組み立てるのを容易にし、この構成では、入口チャンネルを形成しかつ第1の縁部を提供する貫通孔75c、75dに入る流体は、それぞれ流体透過性材料70c及び70dの層の本体を通って強制的に移動せざるを得ない。したがって、貫通孔74c、74d及び貫通孔76c、76dがそれぞれ出口チャンネルを形成することによって提供される第2の縁部で、濾液の一様で信頼できる品質が得られる。
【0089】
部分X’及びY’に示されているように、層70dの上面の特に平坦でない部分は、流体不透過性層82dによって完全に覆われかつ平らにされ、したがって、
図3に示されている部分X及びY内で起こる漏出は過大な圧力を加えることなく安全に回避することができる。
【0090】
図5は、基本的なセットアップにおける発明的なフィルタエレメントの様々な実施形態を模式的に示す。
【0091】
図5Aでは、流体透過性層100が、例えば
図1に示されている構造をもたらすように、流体透過性層100の表面102の一方上で流体不透過性材料(一般にポリマー材料)の層104と組み合わされる。組み立てたときに、流体不透過性層は流体透過性層100の表面102と液密的に接触する。次いで、流体供給用の第1の縁部及び流体排出用の第2の縁部が、
図1に示されているように貫通孔の形で提供され得る。
【0092】
流体不透過性層104の典型的な層厚さは約100μm~約600μmであり、典型的な流体透過性シート材料の表面の凹凸に対処するのに十分である。流体透過性シート材料の厚さは広範に異なることがあり、約1mm~約10mm、好ましくは約3mm~約5mmであり得る。
【0093】
図5Bによる代替実施形態では、流体透過性シート材料100は、流体透過性シート材料100の両表面102、103上に、流体不透過性材料、例えばポリマー材料のシート104、106で覆われかつ液密的に接触する。この場合も、組み立てたときに、第1の縁部及び第2の縁部は、例えば貫通孔(図示せず)の形で生成され得る。
【0094】
図5Bの構造の変形形態が
図5Cに示されており、流体透過性シート材料100のシートには、流体透過性シート材料100を同材料100の第1の表面102から同材料100の第2の表面103へ突き抜けるピンホール108の形をとる微細な開口が設けられる。
【0095】
したがって、続いて流体不透過性層104、106が、流体不透過性層104、106の材料を十分に加熱することによりかつ適切な圧力を加えたときに、流体透過性シート材料100の表面102、103に付着されると、流体不透過性層104、106のポリマー材料は、ピンホール108に入ってピンホール108を満たし、2つの層104、106の間にシート100の開口108を貫通して延びるボンドを形成する。これらのボンドは、フィルタエレメントを機械的にさらに安定させ、したがって、フィルタエレメントはより容易に取り扱うことができ、さらにフィルタエレメントの耐圧性を全体的に高めることができる。意外にも、これらのボンドは、シート100の表面に対して平行なボンドの断面積及び垂直なボンドの断面積が限られているため、層104、106の流体不透過性特性を損なわずに生成され得る。
【0096】
流体不透過性材料が約130℃~約150℃の融解温度をもつポリエチレンである場合、
図5Cの組立済み多層構造を約160℃の温度に加熱することは、一般にボンドがピンホール108を介して確立されるのに十分である。典型的には、シート材料100が乾燥状態にあると、ピンホールを経由して流体透過性シート材料に入り流体透過性シート材料に浸透するのが容易になる。
【0097】
貫通孔(図示せず)は、
図1に示されているように、流体流路を画定する第1の縁部及び第2の縁部を形成するように設けられ得る。
【0098】
典型的には、ピンホールは、ポリマー材料で満たされて上方流体不透過性層104と下方流体不透過性層106との間のボンドになると、流体透過性シート材料内の流体流れに影響を及ぼすことはない。ボンドの断面積並びにシート材料100の表面102、103に平行なボンドの断面積の和は、流体透過性シート材料100の表面積の約5%以下に限定され得るからである。
【0099】
図5Cのフィルタエレメントの構造の別の代替構造が
図5Dに示されており、流体透過性シート材料100の層には、流体透過性シート材料100の第1の表面102から第2の表面103まで延びる狭い細長スロット110が設けられる。スロット110は、上方流体不透過性層104と下方流体不透過性層106との間にボンドを設けるために、ピンホール108をピンホール108の機能に置き換えることができる。
【0100】
ピンホール108を貫通して延びるボンドを形成するための既述したものと同じ手段は、流体不透過性材料の(ポリマー)材料が狭いスロット110に入り、層104と層106との間に狭いスロット119の延長部全体にわたってボンドを形成するようにするのに十分であろう。この場合も、フィルタエレメントの機械的安定性が改善される。
【0101】
スロット110の両側には、第1の縁部(チャンネル112)及び第2の縁部(チャンネル114)が互いに事前定義された距離を置いて設けられる。
【0102】
狭い長手方向スロット110の両側に2つの縁部又はチャンネル112、114を配置することにより、チャンネル112に入り流体透過性シート材料100の本体を通って移動する流体は、2つの層104、106を一体に接合するポリマー材料で満たされるスロット110の領域の周囲に流れざるを得ない。したがって、第1の縁部(チャンネル112)から第2の縁部(チャンネル114)までの流体の流体流路は、2つのチャンネル114、116のわずかな距離よりもかなり長い。この場合も、狭いスロット110を貫通して延びるボンドの断面積は、シート材料の表面積に比べて最小限に保つことができ、濾過能力に悪影響を及ぼさない。
【0103】
したがって、フィルタエレメントの濾過特性は簡単で経済的な手段によって改変することができ、フィルタエレメントの濾過性は当該用途に適応することができる。
【0104】
図5Dに関連して論じた後者の態様について、
図6に示されている実施形態に関連して詳細に説明する。
【0105】
図6Aには、フィルタエレメント120が上面図で示されている。フィルタエレメント120には、3つの列122、124及び126に配置された複数の貫通孔121が設けられる。フィルタエレメント120は、
図5Bに例示的に示されているように、流体透過性シート材料と2つの流体不透過性層とでなる層状構造を有することができる。
【0106】
列124の個々の貫通孔は第1の縁部を提供し、流体入口として働くことができるのに対して、貫通孔の列122及び126は、濾液を排出するための第2の縁部を提供することができる。したがって、矢印128、129で示されているように、流体の流れが、貫通孔の列124から事実上直通のまっすぐな経路で貫通孔の列122及び126の第2の縁部にかけて生じることができる。
図5Cに模式的に示されているように流体透過性シート材料の上部及び下部にある流体不透過性層を一体に接合するためにピンホールが設けられる場合(図示せず)、流体流路128及び129は本質的に影響を受けないままである。
【0107】
図6Bには、フィルタエレメント140が示されおり、貫通孔141がフィルタエレメント140内に列142、144及び146に沿って配置される。貫通孔の列144は第1の縁部を提供する働きをすることができ、貫通孔の2つの列142及び146は、フィルタエレメント140の流体透過性シート材料を通る流体流路用の第2の縁部を提供することができる。フィルタエレメントは、
図5Bに例示的に示されているように、流体透過性シート材料と2つの流体不透過性層とでなる層状構造を有することができる。
【0108】
フィルタエレメント140を機械的に安定させるのに加えて濾過特性を改変するために、フィルタエレメント140の流体透過性シート材料には、貫通孔の列144及び142の間に配置された複数のU字形の狭いスロット構成150a、150b、150c、150d、150eが設けられ、貫通孔の列144及び146の間に配置された複数のU字形の狭いスロット構成152a、152b、152c、152d、152eが設けられている。
【0109】
貫通孔の列144と貫通孔の列142及び146との間に設けられた狭いスロットは、
図5Dに関連して説明したものと同様のフィルタエレメント140が組み立てられると、流体不透過性層の流体不透過性材料で満たされる。流体不透過性材料はスロットを満たすと、
図5Dに示されているように、フィルタエレメント140の上部及び下部上の流体不透過性層の間のボンドとして働く(図示せず)。
【0110】
加えて、これらのボンドは、流体透過性シート材料内での流体の流体流路に影響を及ぼしこの流体流路を方向付ける。列144の貫通孔によって提供された第1の縁部を経由して流体透過性シート材料に入るとき、流体は、列142及び146の貫通孔へ移動しなければならず、それぞれ、
図6Aに示されているものとは対照的に
図6Bに矢印154及び156で示されている曲がりくねった経路をたどることになる。
図6Bのこの実施形態での流体流路は、
図6Aの実施形態での流体経路の約3倍の長さである。
【0111】
前述のように、したがって、フィルタエレメントの一般構造は
図5Bのフィルタエレメントのものと同様のままであり得るが、フィルタエレメント140の濾過特性は非常に大きく改変され得る。
【0112】
以下の
図7~
図10では、本発明のフィルタエレメントを効率的に製造するための様々な装置について例示的に説明する。
【0113】
図7は、本発明によるフィルタエレメントを、本発明によるフィルタエレメントを製造するプロセルに従って製造するための装置200を模式図で示す。
【0114】
装置200は、流体透過性シート材料204用の供給ユニット202を備え、流体透過性シート材料204は一般に
図7に示されているようにコイルの形で提供される。別の供給ユニット206は流体不透過性層208を備え、流体不透過性層208もまた一般にコイルの形で提供される。供給ユニット202及び206は共に、
図7に位置210に示されているように、互いに当接する平行配向でシート材料を提供する。
【0115】
典型的には、流体透過性シート材料204は、例えばSchroderの米国特許第4,676,904号明細書に記載されているように、例えば3.8mmの厚さを有する繊維構造でよい。流体不透過性層208は一般に、ポリマーフィルム、例えば厚さ400μmのポリエチレンフィルムとして提供される。
【0116】
位置210の下流側の送り方向211にはカレンダ装置212が設けられ、カレンダ装置212は、2つのシート材料204及び208を互いに密着した状態にする働きをし、好ましくは、流体不透過性層208を、流体不透過性層208が流体透過性シート材料204に実質的にかつ液密的に接合する程度にまで加熱する。
【0117】
カレンダ装置212の下流側には、二重層材料に貫通孔を作るためのパンチングデバイス214が設けられ、貫通孔は、最終フィルタエレメント内に第1の縁部及び第2の縁部を設ける働きをする。
【0118】
続いて、二重層シート材料215は、不透過性層208を流体透過性シート材料204の表面にしっかりと接合するために、位置216で随意に加熱される。カレンダ装置212に、流体透過性シート材料204にピンホールを作るニードルローラ(図示せず)が装備されている場合、層208の流体不透過性材料は、設けられた微細な開口又はピンホールに貫入することができる。
【0119】
最終ステップで、二重層シート材料215は、いずれかエンドレスシート材料215を所定の個々のシートに切断し、個々のシートが互いに積層され、次いで最終多層フィルタエレメント220に組み立てられることにより、フィルタエレメントを形成するように処理される。あるいは、フィルタエレメントは、例えばDiemerらの米国特許第8,464,877号明細書に記述され、
図12に示されているものと同様の二重層シート材料をコイル巻きすることによって作製され得る。
【0120】
ピンホール又は狭いスロットが、例えばカレンダ装置212の追加機器(図示せず)により、流体透過性シート材料204を貫通して設けられてもよい。例えば、ニードルローラが、上述したようにカレンダ装置212の一部として設けられてもよく、あるいはカレンダ装置212の上流側又は下流側に別個のユニットとして配置されてもよい。
【0121】
別の代替実施形態では、パンチングデバイス214は、微細な開口若しくはピンホール又は狭いスロットを設けるために使用されてもよく、微細な開口若しくはピンホール又は狭いスロットは、流体不透過性シート208の溶融材料の一部を方向付けて流体透過性シート材料204に浸透させるとともに、例えばスタック220を形成するときに流体不透過性シート208を後続層に接合する働きをする。
【0122】
代替装置250が
図8に模式的に示されており、装置250は、流体透過性シート材料254用の供給ユニット252を備え、流体透過性シート材料254は一般にコイルの形で提供される。
【0123】
供給ユニット252の後にポリマー分配器デバイス256が設けられ、ポリマー分配器デバイス256は、カレンダユニット260における後続ステップで流体不透過性層を形成するために、流体透過性シート材料254の第1の表面上に、例えば繊維及び/又は粒の形をとる粒子材料(一般にポリマー材料)の薄層258を分配することができ、粒子ポリマー材料は、流体透過性シート材料254に緊密に接触する連続的な流体不透過性層を形成するために融解される。
【0124】
続いて、
図7の装置200に関連して既に説明したように、パンチングデバイス262が、二重層シート材料に貫通孔を打ち抜く又は切断する働きをし、それによって、生産されるべきフィルタエレメントに第1の縁部及び第2の縁部を形成する開口を提供する。
【0125】
最後に、加熱ユニット264は、流体不透過性層259と流体透過性シート材料254との間に密接な液密接触及びボンドを提供する。
【0126】
続いて、エンドレス二重層材料263は、積層フィルタエレメント268を構築するための形状に切断される。
【0127】
この場合も、前述のように、シート材料のスタックの代わりに、コイルがフィルタエレメントとして働くために形成されてもよい。
【0128】
別個のユニットにより、あるいは他の機能を
図7に関連して説明したものと同様のカレンダ装置260及び/又はパンチングデバイス262に組み込むことにより、流体透過性シート材料にピンホール又は狭いスロットが設けられてもよい。
【0129】
図9には、別の代替装置300が模式的に示されており、
図7の装置200と同様に、流体透過性シート材料304が供給ユニット302によって提供されるのに対して、流体透過性シート材料304は一般にコイルの形をとる。
【0130】
さらに、供給ユニット306がやはりコイル状シート材料308の形をとる流体不透過性層を提供し、流体不透過性層は流体透過性シート材料304と平行に配置され、カレンダ処理ユニット310内で液密接触状態にされる。続いて、二重層シート材料312はパンチング装置314に送り込まれ、パンチング装置314は二重層材料に貫通孔を提供し、貫通孔は、続いて形成されるフィルタエレメントの第1の縁部及び第2の縁部を提供する。
【0131】
二重層シート材料は所望の形状に切断され、スタック320に組み立てられ得る。次いで、スタック320は加熱ステーション324へ移送されてもよく、スタック320は、隣り合う二重層シート材料の密接な液密接触及び材料接合をもたらすために圧縮され加熱される。
【0132】
別個のユニットにより、あるいは
図7に関連して説明したものと同様のカレンダ装置310及び/又はパンチングデバイス314に他の機能を組み込むことにより、ピンホール又は狭いスロットが流体透過性シート材料に設けられてもよい。この場合も、スタック320を形成し、スタック320を圧縮し加熱するときに、ピンホール及び狭いスロットはそれぞれ流体不透過性層の材料によって浸透され、ボンドが上述したように形成されることになる。
【0133】
図10は別の装置350を示し、供給ユニット352が、一般にコイルの形をとる流体透過性シート材料354を提供する。
【0134】
流体透過性シート材料354の上流側には供給ユニット356が設けられ、供給ユニット356は、流体不透過性層358を、一般にコイルから、流体透過性シート材料354の層の上面に当接するように装置350に送り込む。
【0135】
供給ユニット352の下流側には別の供給ユニット360が設けられ、供給ユニット360は、流体不透過性シート材料362を、流体不透過性シート材料362が流体透過性シート材料354の下面に当接するように装置350に送り込む。
【0136】
したがって、供給ユニット360の下流側には、第1の流体不透過性シート358、流体透過性シート材料354及び別の流体不透過性材料362のサンドイッチ構造366が提供され、次いで、サンドイッチ構造366はカレンダユニット370を通過し、カレンダユニット370は組み立てられた層を互いに密着した状態にし、特に多層材料を提供し、多層材料は、下流側のパンチングユニット374において、第1の縁部及び第2の縁部を形成する貫通孔を設けられてもよい。
【0137】
パンチングユニット374の下流側には、加熱ユニット378、380を有する加熱装置が多層材料366の上面及び下面上に設けられ、層358、352及び362が液密接触状態にされる。
【0138】
最終ユニット384では、多層材料366が、組み立てられるべき個々のエレメントを積層フィルタエレメント386にするための形状に切断される。そうでない場合、多層材料366はコイル巻きされ得る(図示せず)。
【0139】
別個のユニットにより、あるいは
図7に関連して既に説明したものと同様のカレンダ装置370及び/又はパンチングデバイス374に他の機能を組み込むことにより、ピンホール又は狭いスロットが流体透過性シート材料354に設けられてもよい。
【0140】
スタック386を形成すると、又は任意選択的に加熱ユニット378、380を既に通過したとき、ピンホール又は狭いスロットは、流体不透過性シート358、362の材料で満たされ、流体透過性層354の表面に上下で接触する流体不透過性層の間にボンドを形成することができる。
【0141】
図11は、本発明によるフィルタモジュール400の例示的な一実施形態を示す。モジュール400は2つのフィルタエレメント402、404を備え、フィルタエレメント402、404は、流体透過性シート材料層406のスタックからなる。種々の流体透過性シート材料層406の間には流体不透過性材料層408が配置され、流体不透過性材料層408は、個々の流体透過性層406のそれぞれの表面と液密的に接触している。
【0142】
層406、408のスタックにはチャンネル410、412が設けられ、チャンネル410はチャンネル412より大きい直径を有し、未濾過液用の流体入口チャンネルとして働くのに対して、チャンネル412は、濾液を受け入れ排出する排水路として働く。
【0143】
個々の層406、408の貫通孔は、フィルタエレメント402、404の一つ一つに連続的な流体チャンネル410、412を設けるために、層のスタック構成に整列される。
【0144】
モジュール402、404は、それぞれの天板に流体分配デバイス420として設計された端板を備えるのに対して、スタックの下部には流体回収板422が設けられる。スタック402、404にはさらに中心入口チャンネル426が設けられ、中心入口チャンネル426は、フィルタモジュール400の入口ポート430と流体的に連通する。
【0145】
流体分配デバイス420は中心開口428も備え、中心開口428はチャンネル426と実質的に同じ幅を有することが好ましい。チャンネル426に面する表面上には、分配板420にいくつかの開口432が設けられ、開口432は、特に詳細A(
図11A)に示されているように未濾過液が分配デバイス420内の空間に入るのを可能にする。
【0146】
流体分配板420は流体分配板420の下面上に、スタック402のチャンネル410へのアクセスを提供する開口434が設けられる。
【0147】
したがって、未濾過液は、入口430からフィルタモジュール400に入り、チャンネル426内を上方へ流れ、開口432から流体分配板420に入る。次いで、未濾過液は、スタック402、404及びスタック402、404のそれぞれのチャンネル410に入る。次いで、流体は、積み重ねられた層406を半径方向に流れ、スタック402、404の排水チャンネル412内に濾液として回収される。
【0148】
スタック402、404のそれぞれの下部には濾液回収デバイス422が配置され、濾液回収デバイス422は、流体分配板420の構造と同様の円盤状の構造でもある。
【0149】
流体分配板420の構造とは対照的に、流体回収板422によって提供される容積は入口チャンネル426に対して密封されるのに対して、流体回収板422の外周縁には複数の開口440が設けられ(
図11B参照)、開口440は、チャンネル412からフィルタモジュール400の外側への濾過済み流体の排出を可能にし、そこで濾過済み流体は回収され、流体出口(
図11には示されていない)に向けられ得る。
【0150】
スタック402、404の内面は、一実施形態に従ってチャンネル426に対して密封され得る。しかしながら、これは極めて多くの用途には必要ないが、内面は、流体が中心チャンネル426から流体透過性シート材料406に直接浸透するのを可能にする別の第1の縁部として使用されてもよく、濾液は、チャンネル426に隣接する対応するスタック内の排水チャンネル412を通って排出される。
【0151】
同様に、スタック402、404の外面444は密封され得るが、非常に多くの用途で覆いのないままでもよく、一定量の濾液が個々の流体透過性材料層406からフィルタモジュール400の環境へ直接出て行くことが可能になる。端板450及び452の厚さは例えば約6~約7mmでよい。
【0152】
フィルタモジュール400は、好ましくは、フィルタモジュール400の上面上に、すなわち流体分配板420の上面上に別の端板450を備え、下端部に別の底板452を備え、これらの板は個々のスタックの機械構造をさらに安定させ、モジュール400を形成するときにスタックを取り扱うのを容易にする。
【0153】
モジュール400の上部には、モジュールの取扱い、例えばフィルタハウジング又は容器内へのモジュールの挿入及びモジュールの除去を容易にするために、ハンドル456を備える天板454が設けられる。天板454は、チャンネル426をチャンネル426の上端で閉鎖する。
【0154】
流体入口430には、フィルタモジュール400の下部にさらなる機械的安定性を与える板状の円形要素458が設けられてもよい。
【0155】
図11では流体透過性シート406、408のスタック402、404はそれぞれ上部層及び下部層408を有するが、各スタック402、404のこのような上部層及び下部層408は回避されてもよく、流体透過性材料の最上層及び最下層406はそれぞれ、流体分配板420及び濾液回収板422に直接接合されてもよいことに留意されたい。
【0156】
また、流体分配板420並びに流体排出板422は、流体分配板420な及び流体排出板422がフィルタモジュール400を組み立てるときにさらにいっそう簡略化した手順をもたらす天板450及び底板452の機能を組み入れるように設計され得る。
【0157】
図12はフィルタモジュール500を示し、例えば
図7、
図8及び
図9のいずれか1つに関連して説明したプロセスから得られる2層504の流体透過性シート材料及び流体不透過性シート材料が、フィルタモジュール500の中心チャンネル512の内径を画定する円筒支持構造510の周囲にコイル巻き形態に巻き上げられる。二重層材料504をスパイラルロール502に巻き上げる前に、二重層シート材料504には、上記のDiemerらの米国特許第8,464,877号明細書に記載されているのと同じようにスロット型開口520、522が設けられる(特に
図1及び
図3を参照)。コイル巻き形態のスパイラルロール502では、
図12から容易に分かるように、スロット520は、スパイラルロール502の外周縁で開放しており、スパイラルロール502の内端で閉鎖されているチャンネルを形成するのに対して、スロット型開口522は、スパイラルロール502の内周縁で開放しており、外周縁で閉鎖されているチャンネルを形成する。
【0158】
この場合も、フィルタモジュール500の下部で例えば流体入口530によってフィルタモジュール500に入る流体は、チャンネル512内を、ハンドル534を組み込んだ天板532によって閉鎖されたフィルタモジュール500の上部まで上方へ流れる。
【0159】
天板532はスパイラルロール502の全直径にわたって広がり得るが、天板532は、
図12に示されているように、流体入口530が装着され得る対象である下端板538と同様に構造化された円径端板536によって支持され得る。したがって、流体入口530から天板532まで上方に流れる流体は、次いで、チャンネル522に入ることを強いられ、チャンネル522は、この動作モードでは未濾過液用の入口チャンネルとして働き、次いで、フィルタモジュール500の長手方向に沿って上下に隣接して設けられた出口チャンネル520の中へ移動し、次いで、濾液がモジュール500から、一般にフィルタハウジング(図示せず)によって限定されるスパイラルロール502の周囲空間へ出て行く。
【0160】
本発明のフィルタエレメントのコイル巻き、すなわちスパイラルロール502は、互いに隣接している層が互いに対して直接液密接合され得るが、隣り合う巻線の間の付加的な圧縮封止要素及び/又は密封要素が不要であるという点で、前述したDiemerらの米国特許第8,464,877号明細書に記述されているものよりもずっと単純である。さらに、スパイラルロール502の後続層の液密的な接触は、高品質かつ高濾過効率がもたらされ得るように漏れが起こり得ないようにする。
【0161】
フィルタモジュール500の動作モードが反転され得ることは容易に分かる。次いで、濾過されるべき流体は、モジュール500の外周縁に送られ、チャンネル520に入り、スパイラルロール502の層504の流体透過性材料を通って移動し、濾液がチャンネル522を経由して中心チャンネル512に排出され得る。この場合、管状部530(上述した第1の動作モードでは流体入口と称される)はフィルタモジュール500の流体出口として働く。
【0162】
図13Aは本発明のフィルタモジュール550の別の実施形態を示し、この実施形態は、例えば、
図7~
図10のいずれか1つに関連して説明したプロセスで得られる多数の二重層の流体透過性層及び流体不透過性層によってセットアップされる。
【0163】
個々の二(又は三)重層552には、スタックに組み立てられるときに層材料552のスタックの上部から下部まで延びるチャンネル554、556を形成するために、貫通孔が設けられる。
【0164】
層552のスタックの上部には天板558が設けられ、天板558は、チャンネル554と一致して配置される貫通孔560を有する。層552のスタックの下部で、スタックの下部に底板564が装着され、底板564は、層552のスタックのチャンネル556と一列に並べられた多数の貫通孔566を有する。
【0165】
加えて、天板558は、輪状突出部570によって取り囲まれた中心開口568を有する。底板564は、層552のスタックの外周縁に対応する外周縁での輪状突出部572、及び中心開口574を有し、中心開口574の直径は天端板558の中心開口568の直径と同じである。
【0166】
加えて、開口568及び574の直径は、層552のスタックの中心に設けられた内側チャンネル576の直径に適合する。
【0167】
したがって、流体がフィルタモジュール550の外周縁から供給されて、天板558の貫通孔560を経由してチャンネル554内に入り、層552の流体透過性シート材料を通って移動し、層552の流体透過性材料からチャンネル556内へ出て行くことができる。これらのチャンネル556から、流体は底板の開口566から排出され得る。
【0168】
図13Aに関連して説明したモジュール550は、
図13Bに示されているように大型フィルタリング実在物に容易に組み立てることができ、4つのフィルタモジュール550がそれぞれ、外側突出リム572及び輪状突出部570を介して互いに液密的に連結される。
【0169】
上部モジュール550aには、中心流体チャンネル582を閉鎖する封止キャップ580が設けられ、最下モジュール550dの開口568には流体出口管584が設けられる。
【0170】
図13Bに示されているように、流体は、フィルタモジュール550a~550dの外側から供給され、モジュール550a~550dの外周縁からモジュールに入り、モジュール550a~550dの端板558の開口560からもモジュールに入り、濾液は、個々のモジュール内のチャンネル556を経由して排出され、各モジュールの底板564によって提供された空間内に回収され、そして中心チャンネル576内に回収される。モジュール550a~550dのそれぞれ1つのチャンネル576は1つの連続チャンネル582に整列され、これにより、これらの4つのモジュールすべてから1つの共通出口590を経由して濾液を排出することが可能になる。
【0171】
この場合も、流体を濾過するための流体の流れは、濾過されるべき流体がチャンネル576(又は582)の中に送り込まれるように逆向きにされ得ることが、
図13A及び
図13Bから容易に明らかになるであろう。次いで、流体は、底板564によって複数のチャンネル566の中へ分配され、二重層(又は三重層)552の流体透過性層を通って移動して、チャンネル554内に濾液として回収され、開口560を経由して排出モジュール550から出て行く。
【0172】
両動作モードに関して、モジュール550の外周面及び/又は内周面は、密封されてもよく又は覆いのないままでもよく、後者の場合は濾過能力に寄与する。
【0173】
図14はハウジング602を備えるフィルタシステム600を示し、ハウジング602は、フィルタモジュール、例えば、
図11、
図11A及び
図11Bに関連して詳細に説明したフィルタモジュール400を収容する内部空間604を提供する。ハウジング602には、一般に、流体入口612及び流体出口614を備える底板610とフィルタモジュール400を収容する内部空間604を提供する上部616とが2部分形態で設けられる。
【0174】
ハウジング602の上端には通気開口618を設けることができ、通気開口618は、フィルタシステム600の運転の始めに、ハウジングに含まれている空気を抜いて漏れ出ることを可能にし、ハウジング602の内部604が濾過されるべき流体で満たされると、開口618は閉鎖され得る。
【0175】
フィルタシステム600の濾過運転中、流体は、例えば流体入口612の中に入り、フィルタモジュール400のスタック402、404の中心チャンネル426の中へ上方に流れ、スタック402、404の様々なチャンネル410内に分配され、次いでチャンネル412及びモジュールの濾液回収板を経由してフィルタモジュール400から出て、ハウジング602の内部604にたまり、流体出口614を経由して排出される。
【0176】
いくつかの実施形態では、ハウジング602の上部616が下方円筒部620及び別個の上部622に分割されることが好適であり得る。
【0177】
容易に理解されるように、フィルタシステム600及びフィルタモジュール400の動作は、管類614が供給入口として働き、濾液が管類612を経由して排出されるように逆向きにされ得る。
【0178】
本発明を説明する文脈での(特に下記の特許請求の範囲の文脈での)用語「a」、「an」、「the」、「at least one」及び類似指示対象の使用は、本明細書内に特に指示がない限り又は文脈により明瞭に矛盾しない限り、単数形と複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。その後に1つ以上の項目のリストが続く用語「at least one」(例えば「at least one of A and B」)の使用は、本明細書内に特に指示がない限り又は文脈により明瞭に矛盾しない限り、列挙項目(A又はB)から選択された1つの項目、あるいは列挙された項目(A又はB)のうちの1つ以上の任意組合せを意味すると解釈されるべきである。用語「comprising」、「having」、「including」、及び「containing」は、特に断りのない限り、非限定的用語(すなわち、「including,but not limited to」)と解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書内に特に指示がない限り、その範囲内にあるそれぞれ別々の値を個々に参照する略記法として機能することを意図しているにすぎず、それぞれ別々の値は、本明細書に個々に記載されているかのように本明細書に組み入れられる。本明細書に記載されている方法はすべて、本明細書内に特に指示がない限り又は文脈により明瞭に矛盾しない限り、任意適当な順序で実行され得る。本明細書に提供されるあらゆる例の使用、又は例示的な言い回し(例えば「such as」)は、本発明をより良く理解することを意図しているにすぎず、特に主張されない限り本発明の範囲に対する制限をもたらさない。本明細書内の言い回しは、任意の非請求の要素を本発明の実施に必須なものと指摘していると解釈されるべきではない。
【0179】
本発明の好ましい実施形態が、本発明を実施するための本発明人に知られる最良の形態を含めて、本明細書に記載されている。そうした好ましい実施形態の変形形態は、前述の説明を読んだときに当業者には明らかになり得る。本発明人は、当業者がかかる変形形態を必要に応じて使用することを期待し、本発明人は、本発明が本明細書に明確に記載されているものとは別の方法で実施されることを意図している。
【符号の説明】
【0180】
10…フィルタエレメント、12…層、14…流体透過性シート、16…第1の表面、18…第2の表面、端面、20…流体不透過性層、20a…流体不透過性層、20b…流体不透過性層、20c…流体不透過性層、22、24…貫通孔、チャンネル、40…フィルタエレメント、42、44、46…層、48…第1の表面、49…第2の表面、50…第1の表面、51…第2の表面、52…第1の表面、53…端面、表面、61、62、63、67、68、69…貫通孔、70a…層、流体透過性シート材料、70b…層、流体透過性シート材料、70c…流体透過性シート材料、70d…層、流体透過性シート材料、74…出口チャンネル、74a、74b…縁部、74c、74d…貫通孔、75…チャンネル、75a、75b…縁部、75c、75d…貫通孔、76…出口チャンネル、76a、76b…縁部、76c、76d…貫通孔、78c…第1の表面、78d…第1の表面、82…多層構成、82c、82d…流体不透過性層、84…多層構成、100…流体透過性シート材料層、流体透過性層、102…第1の表面、103…第2の表面、104…流体不透過性材料層、流体不透過性層、流体不透過性材料のシート、106…流体不透過性材料の層、流体不透過性層、流体不透過性材料のシート、108…ピンホール、開口、110…狭い細長スロット、112、114、116…チャンネル、120…フィルタエレメント、121…貫通孔、140…フィルタエレメント、141…貫通孔、150a、150b、150c、150d、150e、152a、152b、152c、152d、152e…スロット構成、200…装置、202…供給ユニット、204…流体透過性シート材料、206…供給ユニット、208…流体不透過性層、流体不透過性シート、212…カレンダ装置、214…パンチングデバイス、215…二重層シート材料、220…最終多層フィルタエレメント、250…代替装置、252…供給ユニット、254…流体透過性シート材料、256…ポリマー分配器デバイス、258…薄層、259…流体不透過性層、260…カレンダユニット(カレンダ装置)、262…パンチングデバイス、263…エンドレス二重層材料、264…加熱ユニット、268…積層フィルタエレメント、300…別の代替装置、302…供給ユニット、304…流体透過性シート材料、306…供給ユニット、308…コイル状シート材料、310…カレンダ処理ユニット(カレンダ装置)、312…二重層シート材料、314…パンチング装置、320…スタック、324…加熱ステーション、350…別の装置、352…供給ユニット、354…流体透過性シート材料、356…供給ユニット、358…流体不透過性層、360…別の供給ユニット、362…流体不透過性シート材料、366…サンドイッチ構造、多層材料、370…カレンダユニット、カレンダデバイス(カレンダ装置)、374…下流側パンチングユニット、378…加熱ユニット、380…加熱ユニット、384…最終ユニット、386…積層フィルタエレメント、400…フィルタモジュール、402、404…フィルタエレメント、スタック、406…流体透過性シート材料層、流体透過性シート、408…流体不透過性材料層、流体透過性シート、410…チャンネル、412…排水チャンネル、420…流体分配板、流体分配デバイス、422…流体回収板、濾液回収板、濾液回収デバイス、426…中心チャンネル、入口チャンネル、中心入口チャンネル、428…中心開口、430…入口ポート、流体入口、432、434、440…開口、444…外面、450…端板、天板、452…端板、底板、454…天板、456…ハンドル、458…板状の円形要素、500…フィルタモジュール、502…スパイラルロール、504…二重層シート材料、510…円筒支持構造、512…中心チャンネル、520…スロット型開口、スロット、出口チャンネル、522…スロット型開口、チャンネル、530…流体入口、管状部、532…天板、534…ハンドル、536…別個の円形端板、538…下端板、550…フィルタモジュール、排出モジュール、550a、550b、550c、550d…フィルタモジュール、552…二重(三重)層、層のスタック、554、556…チャンネル、558…天板、天端板、560…貫通孔、開口、564…底板、566…貫通孔、568…中心開口、570…環状突出部、572…環状突出部、外側突出リム、574…中心開口、576…内側チャンネル、580…封止キャップ、582…中心流体チャンネル、584…流体出口管、590…共通出口、600…フィルタシステム、602…ハウジング、604…内部空間、610…底板、612…流体入口、管類、614…流体出口、管類、616…上部、618…通気開口、620…下方円筒部、622…上部