(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
H01F 27/29 20060101AFI20240807BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
H01F27/29 123
H01F17/04 F
H01F27/29 F
(21)【出願番号】P 2019207239
(22)【出願日】2019-11-15
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】大久保 等
(72)【発明者】
【氏名】小沼 健栄
(72)【発明者】
【氏名】荒田 正純
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 政太郎
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 耕平
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-106482(JP,A)
【文献】特開2019-145840(JP,A)
【文献】特開2014-036149(JP,A)
【文献】特開2018-107346(JP,A)
【文献】特開2012-119373(JP,A)
【文献】特開2006-147790(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0182537(US,A1)
【文献】特開2019-125689(JP,A)
【文献】特開2019-192748(JP,A)
【文献】特開2009-099572(JP,A)
【文献】特開2006-128608(JP,A)
【文献】特開2005-159064(JP,A)
【文献】特開平10-116740(JP,A)
【文献】特開2001-267131(JP,A)
【文献】特開2019-041032(JP,A)
【文献】特開2012-244150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 27/29
H01F 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に配線が設けられた素体と、該素体の表面に設けられるとともに前記配線と電気的に接続された端子電極と、前記端子電極を覆う絶縁被覆層とを備える電子部品であって、
前記素体が、金属磁性粉含有樹脂で構成されており、実装基板に対向される実装面と、該実装面に対して交差する方向に延びる矩形状かつ平坦な端面とを有し、
前記端子電極が、導電性樹脂で構成されており、前記素体の前記実装面と前記端面とを連続的に覆い、
前記端面において、前記端子電極は前記実装面に対応する辺以外の3辺全てから離間し、前記端面が前記端子電極から露出するU字状の露出領域が形成されており、
前記絶縁被覆層が、樹脂材料で構成されており、前記端面において前記端子電極と前記露出領域とを一体的に覆っており、
前記絶縁被覆層の厚さは、前記実装面を基準にした前記素体の高さ位置の中間位置における
前記端子電極上の厚さが該中間位置に対して上側および下側の位置における
前記端子電極上の厚さより薄く、かつ、前記中間位置に対して上側および下側の位置における
前記端子電極上の厚さが前記端面の露出領域を覆う部分の厚さより薄い、電子部品。
【請求項2】
前記素体の端面の表面粗さが前記端子電極の表面粗さより大きい、請求項1に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術に係る電子部品として、たとえば下記特許文献1には、セラミック素体の端面に焼き付けられた焼付層を含む端子電極と、その端子電極を覆うように設けられた絶縁被覆層とを備える電子部品が開示されている。このような電子部品によれば、表面実装する際のはんだフィレットが、素体端面側に形成されることを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らは、はんだフィレットの形成を抑制する絶縁被覆層について研究を重ね、絶縁被覆層の素体に対する密着力を高めることができる技術を新たに見出した。
【0005】
本発明は、素体と絶縁被覆層との密着力の向上が図られた電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る電子部品は、内部に配線が設けられた素体と、該素体の表面に設けられるとともに配線と電気的に接続された端子電極と、端子電極を覆う絶縁被覆層とを備える電子部品であって、素体が、金属磁性粉含有樹脂で構成されており、実装基板に対向される実装面と、該実装面に対して交差する方向に延びる矩形状の端面とを有し、端子電極が、導電性樹脂で構成されており、素体の実装面と端面とを連続的に覆い、端面において、端子電極は実装面に対応する辺以外の3辺全てから離間し、端面が端子電極から露出するU字状の露出領域が形成されており、絶縁被覆層が、樹脂材料で構成されており、端面において端子電極と露出領域とを一体的に覆っている。
【0007】
上記電子部品においては、素体が金属磁性粉含有樹脂で構成されているため、素体の端面に樹脂成分が出現している。また、端子電極が導電性樹脂で構成されているため、端子電極の表面にも樹脂成分が出現している。そのため、樹脂材料で構成された絶縁被覆層が、端子電極を跨ぐようにして素体の端面に接することで、絶縁被覆層は素体の端面と端子電極と高い密着力で一体的に覆っている。
【0008】
他の側面に係る電子部品は、素体の端面の表面粗さが端子電極の表面粗さより大きい。この場合、絶縁被覆層は素体の端面との間の高い密着力を実現することができ、かつ、跨ぐようにして覆う端子電極からの剥離が抑制される。
【0009】
他の側面に係る電子部品は、絶縁被覆層の厚さは、実装面を基準にした素体の高さ位置の中間位置における厚さが、該中間位置に対して上側および下側の位置における厚さより薄い。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、素体と絶縁被覆層との密着力の向上が図られた電子部品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電子部品の概略斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す電子部品のIII-III線断面図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す電子部品のIV-IV線断面図である。
【
図5】
図5は、本体部の端面における外部端子電極の形成領域を示した図である。
【
図6】
図6は、外部端子電極および絶縁被覆層の断面を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0013】
図1~4を参照しつつ、実施形態に係る電子部品として、電子部品の一種であるコイル部品の構造について説明する。説明の便宜上、図示のようにXYZ座標を設定する。すなわち、コイル部品の厚さ方向をZ方向、外部端子電極の対面方向をX方向、Z方向とX方向とに直交する方向をY方向と設定する。
【0014】
コイル部品10は、平面コイル素子であり、直方体形状を呈する本体部12(素体)と、本体部12の表面に設けられた一対の外部端子電極14A、14Bと、外部端子電極14A、14Bを覆う一対の絶縁被覆層16A、16Bとによって構成されている。本体部12は、X方向において対向する一対の矩形状の端面12a、12bと、Z方向において対向する一対の矩形状の主面12c、12dと、Y方向において対向する一対の矩形状の側面12e、12fを有する。コイル部品10は、一例として、長辺2.5mm、短辺2.0mm、高さ0.8~1.0mmの寸法で設計される。
【0015】
本体部12は、絶縁基板20と、絶縁基板20に設けられたコイルCと、磁性体26とを含んで構成されている。より詳しくは、磁性体26で構成された本体部12の内部に、コイルC(配線)が設けられている。
【0016】
絶縁基板20は、非磁性の絶縁材料で構成された板状部材であり、その厚さ方向から見て略楕円環状の形状を有している。絶縁基板20の中央部分には、楕円形の貫通孔20cが設けられている。絶縁基板20としては、ガラスクロスにエポキシ系樹脂が含浸された基板で、板厚10μm~60μmのものを用いることができる。なお、エポキシ系樹脂のほか、BTレジン、ポリイミド、アラミド等を用いることもできる。絶縁基板20の材料としては、セラミックやガラスを用いることもできる。絶縁基板20の材料としては、大量生産されているプリント基板材料が好ましく、特にBTプリント基板、FR4プリント基板、あるいはFR5プリント基板に用いられる樹脂材料が最も好ましい。
【0017】
コイルCは、絶縁基板20の一方面20a(
図2における上面)に設けられた平面空芯コイル用の第1導体パターン23Aが絶縁被覆された第1コイル部22Aと、絶縁基板20の他方面20b(
図2における下面)に設けられた平面空芯コイル用の第2導体パターン23Bが絶縁被覆された第2コイル部22Bと、第1導体パターン23Aと第2導体パターン23Bとを接続するスルーホール導体25とを有する。
【0018】
第1導体パターン23A(第1の平面コイルパターン)は、平面空芯コイルとなる平面渦巻状パターンであり、Cuなどの導体材料でめっき形成されている。第1導体パターン23Aは、絶縁基板20の貫通孔20c周りに巻回するように形成されている。第1導体パターン23Aは、より詳しくは、
図2に示すように、上方向(Z方向)から見て外側に向かって右回りに3ターン分だけ巻回されている。第1導体パターン23Aの高さ(絶縁基板20の厚さ方向における長さ)は全長に亘って同一である。
【0019】
第1導体パターン23Aの外側の端部23aは、本体部12の端面12aにおいて露出し、端面12aを覆う外部端子電極14Aと接続されている。第1導体パターン23Aの内側の端部23bは、スルーホール導体25に接続されている。
【0020】
第2導体パターン23B(第2の平面コイルパターン)も、第1導体パターン23A同様、平面空芯コイルとなる平面渦巻状パターンであり、Cuなどの導体材料でめっき形成されている。第2導体パターン23Bも、絶縁基板20の貫通孔20c周りに巻回するように形成されている。第2導体パターン23Bは、より詳しくは、上方向(Z方向)から見て外側に向かって左回りに3ターン分だけ巻回されている。すなわち、第2導体パターン23Bは、上方向から見て、第1導体パターン23Aとは反対の方向に巻回されている。第2導体パターン23Bの高さは全長に亘って同一であり、第1導体パターン23Aの高さと同一に設計し得る。
【0021】
第2導体パターン23Bの外側の端部23cは、本体部12の端面12bにおいて露出し、端面12bを覆う外部端子電極14Bと接続されている。第2導体パターン23Bの内側の端部23dは、第1導体パターン23Aの内側の端部23bと、絶縁基板20の厚さ方向において位置合わせされており、スルーホール導体25に接続されている。
【0022】
スルーホール導体25は、絶縁基板20の貫通孔20cの縁領域に貫設されており、第1導体パターン23Aの端部23bと第2導体パターン23Bの端部23dとを接続する。スルーホール導体25は、絶縁基板20に設けられた孔と、その孔に充填された導電材料(たとえばCu等の金属材料)とで構成され得る。スルーホール導体25は、絶縁基板20の厚さ方向に延びる略円柱状または略角柱状の外形を有する。
【0023】
また、
図3および
図4に示すように、第1コイル部22Aおよび第2コイル部22Bはそれぞれ樹脂壁24A、24Bを有する。第1コイル部22Aの樹脂壁24Aは、第1導体パターン23Aの線間、内周および外周に位置している。同様に、第2コイル部22Bの樹脂壁24Bは、第2導体パターン23Bの線間、内周および外周に位置している。本実施形態では、導体パターン23A、23Bの内周および外周に位置する樹脂壁24A、24Bは、導体パターン23A、23Bの線間に位置する樹脂壁24A、24Bよりも厚くなるように設計されている。
【0024】
樹脂壁24A、24Bは、絶縁性の樹脂材料で構成されている。樹脂壁24A、24Bは、第1導体パターン23Aや第2導体パターン23Bを形成する前に絶縁基板20上に設けることができ、この場合には樹脂壁24A、24Bにおいて画成された壁間において第1導体パターン23Aや第2導体パターン23Bがめっき成長される。樹脂壁24A、24Bは、第1導体パターン23Aや第2導体パターン23Bを形成した後に絶縁基板20上に設けることができ、この場合には第1導体パターン23Aおよび第2導体パターン23Bに樹脂壁24A、24Bが充填や塗布等により設けられる。
【0025】
第1コイル部22Aおよび第2コイル部22Bは、第1導体パターン23Aおよび第2導体パターン23Bと樹脂壁24A、24Bとを上面側から一体的に覆う絶縁層27をそれぞれ有する。絶縁層27は、絶縁樹脂または絶縁磁性材料で構成され得る。絶縁層27は、第1コイル部22Aの導体パターン23Aおよび第2コイル部22Bの導体パターン23Bと磁性体26との間に介在して、導体パターン23A、23Bと磁性体26に含まれる金属磁性粉との間の絶縁性を高めている。
【0026】
磁性体26は、絶縁基板20およびコイルCを一体的に覆っている。より詳しくは、磁性体26は、絶縁基板20およびコイルCを上下方向から覆うとともに、絶縁基板20およびコイルCの外周を覆っている。また、磁性体26は、絶縁基板20の貫通孔20cの内部およびコイルCの内側領域を充たしている。磁性体26は、本体部12の全ての表面、すなわち、端面12a、12b、主面12c、12d、側面12e、12fを構成している。
【0027】
磁性体26は、金属磁性粉含有樹脂で構成されている。金属磁性粉含有樹脂は、金属磁性粉体がバインダ樹脂により結着された結着粉体である。磁性体26を構成する金属磁性粉含有樹脂の金属磁性粉は、少なくともFeを含む磁性粉(たとえば鉄ニッケル合金(パーマロイ合金)、カルボニル鉄、アモルファス、非晶質または結晶質のFeSiCr系合金、センダスト等)を含んで構成されている。バインダ樹脂は、たとえば熱硬化性のエポキシ樹脂である。本実施形態では、結着粉体における金属磁性粉体の含有量は、体積パーセントでは80~92vol%であり、質量パーセントでは95~99wt%である。磁気特性の観点から、結着粉体における金属磁性粉体の含有量は、体積パーセントで85~92vol%、質量パーセントで97~99wt%であってもよい。磁性体26を構成する金属磁性粉含有樹脂の磁性粉は、1種類の平均粒径を有する粉体であってもよく、複数種類の平均粒径を有する混合粉体であってもよい。磁性体26を構成する金属磁性粉含有樹脂の金属磁性粉が混合粉体の場合、平均粒径が異なる磁性粉の種類やFe組成比は、同一であってもよく、異なっていてもよい。一例として、3種類の平均粒径を有する混合粉体の場合、最大の平均粒径を有する磁性粉(大径粉)の粒径が15~30μm、最小の平均粒径を有する磁性粉(小径粉)の粒径が0.3~1.5μm、大径粉と小径粉との間の平均粒径を有する磁性粉(中間粉)が3~10μmとすることができる。混合粉体100重量部に対して、大径粉は60~80重量部の範囲、中径粉は10~20重量部の範囲、小径粉は10~20重量部の範囲で含まれてもよい。
【0028】
磁性粉の平均粒径は、粒度分布における積算値50%での粒径(d50、いわゆるメジアン径)で規定され、以下のようにして求められる。磁性体26の断面のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を撮影する。撮影したSEM写真をソフトウェアにより画像処理をおこない、磁性粉の境界を判別し、磁性粉の面積を算出する。算出した磁性粉の面積を円相当径に換算して粒子径を算出する。たとえば100個以上の磁性粉の粒径を算出し、これらの磁性粉の粒度分布を求める。求めた粒度分布における積算値50%での粒径を平均粒径d50とする。磁性粉の粒子形状は、特に制限されない。
【0029】
外部端子電極14A、14Bは、
図3、5、6に示すように、端面12a、12bに設けられた第1部分14aと、実装基板50に対向される実装面である主面12dに設けられた第2部分14bとを有し、端面12a、12bと主面12dとを連続的に覆っている。外部端子電極14A、14Bは、端面12a、12bと主面12dとに直交する断面(X-Z断面)においてL字状を呈する。
【0030】
外部端子電極14A、14Bは、第1部分14aにおいて、本体部12の内部に設けられたコイルC(具体的には、導体パターン23A、23Bの外側の端部23a、23c)と電気的に接続されている。第2部分14bは、実装基板50の端子52とはんだ接続される部分であり、その表面にめっき層18が形成されている。めっき層18は、単層で構成されていてもよく、複数層で構成されていてもよい。
図6に示すように、本実施形態では、めっき層18は、外部端子電極に近い方からNiめっき層18a、Snめっき層18bが並ぶ2層で構成されている。なお、第1部分14aには、めっき層18は形成されておらず、第1部分14aと絶縁被覆層16Aとは直接接している。
【0031】
一方の外部端子電極14Aは、
図5に示すように、端面12a上において略矩形状を呈する。外部端子電極14Aは、矩形状の端面12aにおいて、主面12dに対応する辺において主面12d側に回りこんでおり、主面12dに対応する辺以外の3辺(すなわち、主面12cに対応する辺、側面12e、12fに対応する辺)の全てから離間している。そのため、端面12aにおいて、外部端子電極14Aから端面12aが露出するU字状の露出領域Sが形成されている。他方の外部端子電極14Bについても、外部端子電極14Aと同様の形態で、端面12bを覆っている。
【0032】
外部端子電極14A、14Bは、樹脂中に導体粉が分散された導電性樹脂で構成された電極(いわゆる樹脂電極)である。外部端子電極14A、14Bを構成する導体粉には、Ag粉等の金属粉を用いることができる。外部端子電極14A、14Bを構成する樹脂には、エポキシ系樹脂を用いることができる。
【0033】
外部端子電極14A、14Bの表面粗さ(算術平均粗さRa)は、一例として3μmである。本体部12の端面12a、12bの表面粗さは、一例として10μmであり、外部端子電極14A、14Bの表面粗さよりも大きくなるように設計されている。
【0034】
絶縁被覆層16A、16Bは、
図1、3、6に示すように、端面12a、12bを覆っている。具体的には、端面12a、12bと、端面12a、12bに設けられた部分の外部端子電極14A、14Bとを一体的に覆っている。上述したとおり、端面12a、12bにはU字状の露出領域Sが形成されており、絶縁被覆層16A、16Bは外部端子電極14A、14Bを跨ぐようにして端面12a、12bに接している。
【0035】
絶縁被覆層16A、16Bは、
図6に示すように、厚さが一様ではない。具体的には、主面12dを基準にした本体部12の高さ(Z方向高さ)の中間位置における厚さdが、中間位置に対して上側の位置における厚さd1および下側の位置における厚さd2より薄くなるように設計されている。なお、絶縁被覆層16A、16Bは、均一厚さを有する態様であってもよい。
【0036】
絶縁被覆層16A、16Bは、樹脂材料で構成されている。具体的には、絶縁被覆層16A、16Bは、熱硬化型樹脂で構成されており、たとえばエポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等で構成することができる。
【0037】
上述したコイル部品10においては、本体部12が金属磁性粉含有樹脂で構成されているため、本体部12の端面12a、12bに樹脂成分(たとえばエポキシ系樹脂)が出現している。また、外部端子電極14A、14Bが導電性樹脂で構成されているため、外部端子電極14A、14Bの表面にも樹脂成分(たとえばエポキシ系樹脂)が出現している。そのため、たとえばエポキシ系樹脂で構成された絶縁被覆層16A、16Bが、外部端子電極14A、14Bを跨ぐようにして本体部12の端面12a、12bに接することで、絶縁被覆層16A、16Bは本体部12の端面12a、12bと外部端子電極14A、14Bと高い密着力で一体的に覆っている。そのため、コイル部品10によれば、本体部12と絶縁被覆層16A、16Bとの密着力の向上が実現されている。
【0038】
また、コイル部品10においては、本体部12の端面12a、12bの表面粗さが外部端子電極14A、14Bの表面粗さより大きいため、絶縁被覆層16A、16Bと本体部12の端面12a、12bとの間の高い密着力が実現されており、かつ、絶縁被覆層16A、16Bが跨ぐようにして覆っている外部端子電極14A、14Bからの剥離が抑制されている。
【0039】
さらに、コイル部品10においては、絶縁被覆層16A、16Bと外部端子電極14A、14Bとの間にはめっき層が介在しておらず、絶縁被覆層16A、16Bが外部端子電極14A、14Bに直接接しているため、外部端子電極14A、14Bと絶縁被覆層16A、16Bとの間におけるはんだの這い上がりが生じにくくなっている。
【0040】
なお、本発明は、上述した実施形態に限らず、様々な態様をとり得る。たとえば、コイルCは、第1コイル部および第2コイル部の両方を備える態様であってもよく、第1コイル部のみを備える態様であってもよい。また、素体の端面は、必ずしも実装面に対して直交する必要はなく、実装面に対して交差する方向に延びていればよい。さらに、電子部品は、本体部の内部にコイルが設けられたコイル部品に限らず、たとえばコンデンサや抵抗であってもよい。
【符号の説明】
【0041】
10…コイル部品、12…本体部、14A、14B…外部端子電極、16A、16B…絶縁被覆層、26…磁性体、C…コイル。