(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】カーシェアサーバ、コンピュータプログラムおよび料金精算機
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/43 20240101AFI20240807BHJP
G06Q 30/0207 20230101ALI20240807BHJP
【FI】
G06Q50/43
G06Q30/0207
(21)【出願番号】P 2019228633
(22)【出願日】2019-12-18
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】591069086
【氏名又は名称】パーク二四株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【氏名又は名称】岩田 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【氏名又は名称】的場 成夫
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 章
【審査官】平井 嗣人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-060530(JP,A)
【文献】特開2017-199236(JP,A)
【文献】特開2010-277360(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両共有サービスを運用するために会員やシェアカーの管理を実行するためのカーシェアサーバであって、
車両共有サービスを運用するために事前に会員登録をした会員の属性データおよび当該会員が保有する交通系ICカードに係る交通系IDを蓄積する会員データベースと、
車両共有サービスにて提供するシェアカーを管理するためのデータを蓄積する車両管理データベースと、
会員へ提供するための特典データやその特典データに係る特典内容を享受するための条件データを蓄積する特典等データベースと、
を備え、
会員登録を済ませた会員へ配布されたカーシェアIDを会員に係る通信端末から受信するカーシェアID受信手段と、
そのカーシェアID受信手段が受信したカーシェアIDに紐付けられる交通系IDを前記の会員データベースから読み出し、交通系ICカードに係る各種データを管理する交通系サーバへ前記の交通系IDを送信する交通系ID送信手段と、
その交通系ID送信手段が送信した交通系IDに紐付けられる乗降等データを前記の交通系サーバから受信する乗降等データ受信手段と、
その乗降等データ受信手段が受信した乗降等データに関連する特典等データを前記の特典等データベースから抽出する特典等抽出手段と、
その特典等抽出手段が抽出した特典等データを前記の会員に係る通信端末へ送信する特典等データ送信手段と、
を備えたカーシェアサーバ。
【請求項2】
前記の乗降等データ受信手段が受信する乗降等データには、予約している予約データを含むこととした
請求項1に記載のカーシェアサーバ。
【請求項3】
前記の特典等抽出手段は、前記の会員データベースに登録した会員に係るカーシェアリングの利用履歴データに関連する特典等データを抽出することを含む
請求項1または請求項2のいずれかに記載のカーシェアサーバ。
【請求項4】
シェアカーに搭載されたデータ処理手段から当該シェアカーの車両データを受信する車両データ受信手段を備え、
前記の特典等抽出手段は、前記の車両データに関連する特典等データを抽出することとした
請求項1または請求項2のいずれかに記載のカーシェアサーバ。
【請求項5】
シェアカーに搭載されたデータ処理手段から当該シェアカーの車両データを受信する車両データ受信手段を備え、
前記の特典等抽出手段は、前記の車両データに関連する特典等データを抽出することとした
請求項3に記載のカーシェアサーバ。
【請求項6】
車両共有サービスを運用するために会員やシェアカーの管理を実行するためのカーシェアサーバを制御するコンピュータプログラムであって、
前記のカーシェアサーバは、車両共有サービスを運用するために事前に会員登録をした会員の属性データおよび当該会員が保有する交通系ICカードに係る交通系IDを蓄積する会員データベースと、
車両共有サービスにて提供するシェアカーを管理するためのデータを蓄積する車両管理データベースと、
会員へ提供するための特典データやその特典データに係る特典内容を享受するための条件データを蓄積する特典等データベースと、
を備えており、
前記のコンピュータプログラムは、
会員登録を済ませた会員へ配布されたカーシェアIDを会員に係る通信端末から受信するカーシェアID受信手順と、
そのカーシェアID受信手順にて受信したカーシェアIDに紐付けられる交通系IDを前記の会員データベースから読み出し、交通系ICカードに係る各種データを管理する交通系サーバへ前記の交通系IDを送信する交通系ID送信手順と、
その交通系ID送信手順にて送信した交通系IDに紐付けられる乗降等データを前記の交通系サーバから受信する乗降等データ受信手順と、
その乗降等データ受信手順にて受信した乗降等データに関連する特典等データを前記の特典等データベースから抽出する特典等抽出手順と、
その特典等抽出手順にて抽出した特典等データを前記の会員に係る通信端末へ送信する特典等データ送信手順と、
を前記のカーシェアサーバに実行させることとしたコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記の乗降等データ受信手順が受信する乗降等データには、予約している予約データを含むこととした
請求項6に記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記の特典等抽出手順は、前記の会員データベースに登録した会員に係るカーシェアリングの利用履歴データに関連する特典等データを抽出する手順を含む
請求項6または請求項7のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
シェアカーに搭載されたデータ処理手段から当該シェアカーの車両データを受信する車両データ受信手順を含み、
前記の特典等抽出手順においては、前記の車両データに関連する特典等データを抽出することとした
請求項6または請求項7のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
シェアカーに搭載されたデータ処理手段から当該シェアカーの車両データを受信する車両データ受信手順を含み、
前記の特典等抽出手順においては、前記の車両データに関連する特典等データを抽出することとした
請求項8に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道やバスや航空機など利用による移動と、鉄道やバスの駅または飛行場を降りてからの移動に利用するカーシェアリングまたはレンタカーとを、円滑に実行するための情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道サービスなどの利用料金の支払いを簡易化するために鉄道会社が発行しているICカードは、交通系ICカード、交通系電子マネー、などと呼ばれている。この交通系ICカードは、個体識別情報とそれに結びつけた個人情報、チャージされている金額情報に加え、最小限の(直近の)乗降記録を、内蔵のICチップに記録している。そして、過去の乗車履歴や入出金の情報などは、前記の個体識別情報をキーとして、専用の管理サーバへ集められて管理している。
【0003】
一方、複数の車両を複数のユーザが共同で使用する車両共有サービスがサービス運営会社から提供され、普及している。車両共有サービスには、レンタカーサービスとカーシェアリングサービスとがある。
カーシェアリングを利用する利用者は、カーシェアリングの会員登録を済ませ、カーシェアリング用の車両(サービス対象車両)をスマートフォンやパーソナルコンピュータを用いて利用予定の時間帯などを事前に連絡する予約制度を活用する(
図1、
図2参照)。
【0004】
図1に示すように、カーシェアリングの利用開始時には、会員IDを内蔵ICチップに書き込んだ会員カードをシェアカーの車載機であるカードリーダに読み込ませる(1)。カードリーダが読み込んだ会員IDは、カーシェアサーバにおいて、会員データベースと照合する(2,3)。そして、解錠判断手段が解錠の適不適を判断し(4)、適合していればドアロック解錠データを送信する(5)。
【0005】
カーシェアリングの利用前に利用時間帯などの予約内容データを送信しておき、予約を完了させている場合には、カーシェアサーバからシェアカー車載機へ予め予約完了データを送信しておき、会員ユーザによる予約遂行時には、シェアカー車載機のみでドアロック手段の解錠を実行させるようにすることも多い(
図2参照)。
【0006】
鉄道や航空機などの公共交通機関およびカーシェアリングを同時に予約すれば、別々に予約するよりも安い価格で提供される、という優待サービスも普及しつつある。
たとえば、特許文献1においては、「カーシェアリングやレンタルカーのサービスを利用する者が鉄道など他の交通機関と組み合わせた場合に受けられる優待サービスの存在を知らなくても、円滑に優待サービスが受けられる技術(車両管理サーバ)」が開示されている(
図3、
図4参照)。
【0007】
特許文献2においては、「カーシェアリングやレンタルカーのサービスを利用する者が鉄道など他の交通機関と組み合わせた場合に受けられる優待サービスに関して、ユーザへの便利性の維持向上や合理的な管理を可能とする技術(車両管理サーバ)」が開示されている。
【0008】
特許文献3においては、「空き時間活用型の駐車場を利用する者が鉄道など他の交通機関の利用やショッピングなどと組み合わせた場合に、ユーザへの便利性の維持向上や合理的な管理を可能とする技術(サービス料金精算用端末)」が開示されている。
【0009】
カーシェアリングの会員登録をしたユーザ(カーシェアユーザ)は、カーシェアリングサービスによって提供される車両(シェアカー)を、移動手段として単独でそれのみを使用することは少ない。鉄道やバスなどの公共交通機関をも使っている。すなわち、大半のカーシェアリングユーザは、交通系ICカードの保有者である。
【0010】
スマートフォンなどの携帯情報端末の普及により、交通系ICカードが提供するサービス内容をアプリケーションソフトウェアで代用する動きも盛んである。すなわち、交通系ICカードの機能を実施可能なアプリケーションソフトウェアをスマートフォンへダウンロードするとともに交通系ICのIDを入力する。そして、以下のようにして使用するのである。
すなわち、スマートフォンの近距離通信チップによって、交通系ICIDを、それを要求する機器へ送信する。または、交通系ICIDを二次元バーコードとして液晶画面へ出力し、二次元バーコードリーダへ読み取らせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特許第6473570号公報
【文献】特開2017-199236号公報
【文献】特開2018-60530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述したように、交通系ICカードには、全ての乗降記録(乗降データ)が書き込まれているわけではなく、最小限の(直近の)乗降記録に限られている。これは、内蔵されているICチップの記憶容量が大きくないためである。また、交通系ICカードのユーザとしても、全ての乗降データが書き込まれている必要性は小さいと考えられるからであろう。
【0013】
しかし、カーシェアリングサービス運営者としては、より多くの交通機関などのサービス利用履歴があれば、多彩なサービスに関わる情報を会員ユーザへ提供することが可能となる。たとえば、駐車料金の精算時のみではなく、カーシェアリングの予約時においても、広告を兼ねた電子クーポンなど特典等データを送信しておくことが可能である。
【0014】
交通サービスの提供者としたら、カーシェアリングユーザによる利用履歴のデータを取得できれば、自らが提供している他のサービス(例えば交通機関の提供など)の利用促進や、サービス内容改善に繋がるデータを提供できる可能性が高まる。
【0015】
本発明が解決しようとする課題は、交通系ICカードの保有者であるカーシェアユーザに対して、サービス利用履歴をより多く取得し、取得した乗降データを用いた特典や広告などの特典等データを提供できるようにすることである。
また、カーシェアリングの利用履歴データを他のサービスの提供者が取得し、取得したカーシェアリング利用履歴データを用いた特典や広告などの特典等データを提供できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(第一の発明)
第一の発明は、車両共有サービスを運用するために会員やシェアカーの管理を実行するためのカーシェアサーバに係る。
車両共有サービスを運用するために事前に会員登録をした会員の属性データ等および当該会員が保有する交通系ICカードに係る交通系IDを蓄積する会員データベースと、
車両共有サービスにて提供するシェアカーを管理するためのデータ等を蓄積する車両管理データベースと、
会員へ提供するための特典データやその特典データに係る特典内容を享受するための条件データなどを蓄積する特典等データベースと、
を備える。
更に、会員登録を済ませた会員へ配布されたカーシェアIDを会員に係る通信端末から受信するカーシェアID受信手段と、
そのカーシェアID受信手段が受信したカーシェアIDに紐付けられる交通系IDを前記の会員データベースから読み出し、交通系ICカードに係る各種データを管理する交通系サーバへ前記の交通系IDを送信する交通系ID送信手段と、
その交通系ID送信手段が送信した交通系IDに紐付けられる乗降等データを前記の交通系サーバから受信する乗降等データ受信手段と、
その乗降等データ受信手段が受信した乗降等データに関連する特典等データを前記の特典等データベースから抽出する特典等抽出手段と、
その特典等抽出手段が抽出した特典等データを前記の会員に係る通信端末へ送信する特典等データ送信手段と、を備える。以上のようなカーシェアサーバである(
図6参照)。
【0017】
(用語説明)
「車両共有サービス」とは、カーシェアリングサービスおよびレンタカーサービスの両方である。ただし、会員登録を必須としている。
「シェアカー」とは、カーシェアリングサービス事業者が保有していて貸し出される車両、および/またはレンタカーサービス事業者が保有していて貸し出される車両である。
【0018】
「交通系ICカード」とは、データ書き換えやデータ保存や非接触の短距離通信が可能で、電源が不要なICを内蔵したICカードであって、電子マネー決済機能が含まれているか否かは無関係である。鉄道会社が発行した「鉄道系カード」、航空会社が発行した「航空系カード」のほか、駐車場管理会社が発行した「駐車系カード」、小売りや流通系会社が発行する「買い物カード」も含むこととする(
図3、
図14参照)。なお、前記のICカードと同様の機能を備えたチップ搭載の携帯端末などの情報端末も、ここでいう「交通系ICカード」に含むこととする(
図5参照)。
【0019】
「乗降等データ」とは、交通系カードが鉄道系カードである場合には乗降駅名とその時刻、航空系カードの場合には乗降の空港名とその便名、駐車系カードの場合には駐車場の名称などの特定情報と入出庫時刻、買い物カードの場合には買い物をした店舗名と金額などのデータとする。
【0020】
「特典等」とは、カーシェアリングの利用料金の割引、割引相当額のポイント付与、別サービスの利用時の割引や無償化、優先予約の適用、広告などがある(特典等のデータを格納したデータベースを、図中では、特典DB、広告DBなどとして図示している)。
「特典等抽出手段」は、乗降等データにおける乗降履歴によって交通系ICカードの管理者に関わる乗り物(たとえば、電車、地下鉄、航空機、バス、など)の乗車時間や乗車距離など(駐車系カードの場合には、駐車の入出庫記録など)が、特典等データに関わる条件データを具備するか否かを判断し、具備すると判断した場合に、その条件データに係る特典等データを抽出する(
図7参照)。
【0021】
「特典等データ送信手段」は、車両共有サービスを運用するために会員に係る携帯通信端末へデータ送信できる装置が一般的であるが、これに限られない。たとえば、当該会員がシェアカーを利用中であれば、そのシェアカーに搭載された通信端末(たとえば、多機能カーナビゲーション装置)へのデータ送信装置でもよいし、車両共有サービスの会員である旨を示す会員カードへの非接触無線通信装置でもよい。
【0022】
(作用)
車両共有サービスを運用するために事前に会員登録をした会員の属性データ等および当該会員が保有する交通系ICカードに係る交通系IDを、会員データベースが予め蓄積する。
車両共有サービスにて提供するシェアカーを管理するためのデータ等を、車両管理データベースが随時蓄積する。
会員へ提供するための特典データやその特典データに係る特典内容を享受するための条件データなどを、特典等データベースが随時蓄積する。
【0023】
会員登録を済ませた会員へ配布されたカーシェアIDを、会員に係る通信端末からカーシェアID受信手段が受信する。受信したカーシェアIDに紐付けられる交通系IDを前記の会員データベースから読み出し、交通系ICカードに係る各種データを管理する交通系サーバへ前記の交通系IDを、交通系ID送信手段が送信する。送信した交通系IDに紐付けられる乗降等データを、乗降等データ受信手段が交通系サーバから受信する。受信した乗降等データに関連する特典等データを、特典等抽出手段が前記の特典等データベースから抽出する。
その特典等データを、特典等データ送信手段が前記の会員に係る通信端末へ送信する。
【0024】
会員としての車両共有サービスのユーザは、交通系ICの乗降等データなど、特典を受けるための条件を気にする必要がなくなる。また、複数枚のカードをカードリーダに読み込ませるなどの作業をしなくても、特典条件に当てはまれば、特典を受けることができる。
車両共有サービスの提供者としては、届けたいサービスや特典を車両共有サービスのユーザへ届けやすくなり、且つサービス向上のためのデータ収集にも役立てることができる。
【0025】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、シェアカーに搭載されたデータ処理手段から当該シェアカーの車両データを受信する車両データ受信手段を備え、
前記の特典等抽出手段は、前記の車両データに関連する特典等データを抽出することとするのである(
図8参照)。
ここで、「車両データ」とは、GPSを用いた車両の位置データや、車両エンジンのオンオフデータ、急ハンドル急加速などの運転データなどを含む。
【0026】
(作用)
シェアカーにはGPS(位置情報取得システム)が搭載されており、車両の位置データやエンジンのオンオフデータなどを含めた車両データを定期的に取得している。その車両データを車両データ受信手段が受信する。そして、特典等抽出手段は、取得した車両データに関連する特典等データを抽出するのである。
車両データは、駐車していなければ時々刻々と変化するので、その変化に応じた特典等データが特典等データ出力手段から出力されることとなる。
【0027】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明における前記の乗降等データ受信手段が受信する乗降等データには、既に予約している予約データを含むこととすると、より好ましい(
図7、
図13参照)。
【0028】
(用語説明)
「予約データ」とは、鉄道系カードや航空系カードの場合には、乗車搭乗の予約をしている乗車搭乗の日時や場所についてのデータである。また、駐車系カードの場合には、予約している駐車の場所などの特定情報や入出庫の予定時刻についてのデータである。また、買い物系カードの場合には、購入またはサービスに関する日時、場所、購入金額などのデータである。
【0029】
(作用)
特典等抽出手段は、予約データに関連する特典等データを抽出することができる。
会員としての車両共有サービスのユーザは、予約データに関わる特典等の情報を得たり、特典そのものを得られたりする。
【0030】
(第二の発明)
第二の発明は、第一の発明に係るカーシェアサーバを制御するコンピュータプログラムに係る。
前記のカーシェアサーバは、車両共有サービスを運用するために事前に会員登録をした会員の属性データ等および当該会員が保有する交通系ICカードに係る交通系IDを蓄積する会員データベースと、
車両共有サービスにて提供するシェアカーを管理するためのデータ等を蓄積する車両管理データベースと、
会員へ提供するための特典データやその特典データに係る特典内容を享受するための条件データなどを蓄積する特典等データベースと、を備えている。
前記のコンピュータプログラムは、
会員登録を済ませた会員へ配布されたカーシェアIDを会員に係る通信端末から受信するカーシェアID受信手順と、
そのカーシェアID受信手順にて受信したカーシェアIDに紐付けられる交通系IDを前記の会員データベースから読み出し、交通系ICカードに係る各種データを管理する交通系サーバへ前記の交通系IDを送信する交通系ID送信手順と、
その交通系ID送信手順にて送信した交通系IDに紐付けられる乗降等データを前記の交通系サーバから受信する乗降等データ受信手順と、
その乗降等データ受信手順にて受信した乗降等データに関連する特典等データを前記の特典等データベースから抽出する特典等抽出手順と、
その特典等抽出手順にて抽出した特典等データを前記の会員に係る通信端末へ送信する特典等データ送信手順と、
を前記のカーシェアサーバに実行させる。
【0031】
(第二の発明のバリエーション1)
第二の発明は、以下のように形成すると、より好ましい。
すなわち、シェアカーに搭載されたデータ処理手段から当該シェアカーの車両データを受信する車両データ受信手順を含み、
前記の特典等抽出手順においては、前記の車両データに関連する特典等データを抽出することとするのである。
【0032】
(第二の発明のバリエーション2)
第二の発明は、乗降等データ受信手順が受信する乗降等データには、予約している予約データを含むこととすると、より好ましい。
【0033】
第二の発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータ(カーシェアサーバ)へインストールすることによって用いられる。たとえば、記録媒体へ記録して配布してインストールしたり、インターネットなど通信回線を介してダウンロード後にインストールしたりすることも可能である。
なお、記録媒体としては、CD-R、ハードディスク、DVD-Rなどがある。
【0034】
(第三の発明)
第三の発明は、第一の発明に係るカーシェアサーバを用いて所定の代金を精算するためのサービス料金精算機(駐車料金精算機、交通券精算機など)に係る。
すなわち、車両共有サービスを利用するために予め会員登録を済ませた場合に当該会員としてのカーシェアIDをICチップへ蓄積した会員カードを使って所定のサービス代金を精算するためのサービス料金精算機である。
そのサービス料金精算機には、前記の会員カードから前記のカーシェアIDを読み取る会員ID受信手段と、
その会員ID受信手段が受信したカーシェアIDを、前記の車両共有サービスの運営に必要なデータ管理をしているカーシェアサーバへ送信する会員ID送信手段と、
その会員ID送信手段が送信したカーシェアIDに係る会員への特典等データを前記のカーシェアサーバから受信する特典等受信手段と、
その特典等受信手段が受信した特典等データを用いて前記のサービス代金の精算額を算出する精算額算出手段と、
前記の特典等データを前記の会員に係る携帯情報端末へ出力する広告データ出力手段と、
を備える(
図10,
図11参照)。
【0035】
(用語説明)
「所定の代金」とは、たとえば、駐車料金の精算(
図10参照)、交通サービスを利用する場合や所定の施設への入場のためのチケット購入(
図11参照)などである。サービスの代金に限られず、物販用の自動販売機も含む。
「特典等データ」を出力する構成要件を「広告データ出力手段」としたのは、特典等データには割引などによって引きつける広告が含まれるという趣旨を示すためであり、特典等データを加工する意味ではない。
【0036】
(作用)
会員カードからカーシェアIDを会員ID受信手段が読み取る。
その会員ID受信手段が受信したカーシェアIDを、車両共有サービスの運営に必要なデータ管理をしているカーシェアサーバへ会員ID送信手段が送信する。送信したカーシェアIDに係る会員への特典等データを、特典等受信手段がカーシェアサーバから受信する。受信した特典等データを用いて前記のサービス代金の精算額を、精算額算出手段が算出する。前記の特典等データは、広告データ出力手段が会員に係る携帯情報端末へ出力する。
【0037】
(第四の発明)
第四の発明は、第三の発明に係る料金精算機を制御するコンピュータプログラムに係る。
サービス料金精算機は、車両共有サービスを利用するために予め会員登録を済ませた場合に当該会員としてのカーシェアIDをICチップへ蓄積した会員カードを使って所定の代金を精算するためのサービス料金精算機である。
そのサービス料金精算機を制御するコンピュータプログラムは、
前記の会員カードから前記のカーシェアIDを読み取る会員ID受信手順と、
その会員ID受信手順にて受信したカーシェアIDを、前記の車両共有サービスの運営に必要なデータ管理をしているカーシェアサーバへ送信する会員ID送信手順と、
その会員ID送信手順にて送信したカーシェアIDに係る会員への特典等データを前記のカーシェアサーバから受信する特典等受信手順と、
その特典等受信手順にて受信した特典等データを用いて前記のサービス代金の精算額を算出する精算額算出手順と、
前記の特典等データを前記の会員に係る携帯情報端末へ出力する広告データ出力手順と、
をービス料金精算機に実行させることとした。
【0038】
第四の発明に係るコンピュータプログラムは、料金精算機へインストールすることによって用いられる。たとえば、記録媒体へ記録して配布してインストールしたり、インターネットなど通信回線を介してダウンロード後にインストールしたりすることも可能である。
【発明の効果】
【0039】
第一の発明によれば、交通系ICカードの保有者であるカーシェアユーザに対して、サービス利用履歴(たとえば交通機関の乗降データ)をより多く取得し、取得した乗降データを用いた特典や広告などの特典等データを提供できるカーシェアサーバを提供することができた。
第二の発明によれば、交通系ICカードの保有者であるカーシェアユーザに対して、サービス利用履歴(たとえば交通機関の乗降データ)をより多く取得し、取得した乗降データを用いた特典や広告などの特典等データを提供できるカーシェアサーバを制御する制御プログラムを提供することができた。
【0040】
第三の発明によれば、交通系ICカードの保有者であるカーシェアユーザに対して、サービス利用履歴(たとえば交通機関の乗降データ)をより多く取得し、取得した乗降データを用いた特典や広告などの特典等データを提供できる料金精算機を提供することができた。
第四の発明によれば、交通系ICカードの保有者であるカーシェアユーザに対して、サービス利用履歴(たとえば交通機関の乗降データ)をより多く取得し、取得した乗降データを用いた特典や広告などの特典等データを提供できる料金精算機を制御する制御プログラムを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】一般のカーシェアリングにおいて、シェアカーを会員ユーザが利用開始する際のデータ処理を実行するハードウェアとその手順を示す概念図である。
【
図2】シェアカーを会員ユーザが予約した上で、使用を開始する際のデータ処理を実行するハードウェアとその手順を示す概念図である。
【
図3】交通系ICカードに記録されている乗車履歴データに基づいて、駐車料金を割り引くデータ処理手順を示すフローチャートである。
【
図4】交通系ICカードに記録されている乗車履歴データに基づいて、駐車料金を割り引くデータ処理手順およびハードウェア構成を示す概念図である。
【
図5】本発明に係る実施形態を実行するために必要な交通系ICカードの事前登録について説明するための概念図である。
【
図6】本発明に係る実施形態において、カーシェアユーザとカーシェアサーバと交通系サーバとの関係を示すブロック図である。
【
図7】本発明における主要部としての特典等抽出手段について、カーシェアリングの予約完了データを用いる場合のデータ処理機能を示す概念図である。
【
図8】本発明における主要部としての特典等抽出手段について、カーシェアリングのシェアカーの位置データを用いる場合のデータ処理機能を示す概念図である。
【
図9】一般のカーシェアリングにおいて、シェアカーを会員ユーザが利用終了する際のデータ処理を実行するハードウェアとその手順を示す概念図である。
【
図10】駐車場を利用したカーシェアユーザ、カーシェアサーバ、交通系サーバ、および駐車料金精算機の関係を示すブロック図である。
【
図11】交通系IDを有する交通機関ユーザが交通券を購入する際の、カーシェアサーバ、交通系サーバ、および交通券販売機の関係を示すブロック図である。
【
図12】交通券販売機と交通系サーバとにおける特典等抽出手段についてのデータ処理機能を示す概念図である。
【
図13】本発明における主要部としての特典等抽出手段について、カーシェアリングのシェアカーの位置データと、駐車場の予約データとを用いる場合のデータ処理機能を示す概念図である。
【
図14】本発明における主要部としての特典等抽出手段について、カーシェアリングのシェアカーの位置データと、買い物データ(履歴)とを用いる場合のデータ処理機能を示す概念図である。
【
図15】本発明の主要部としての特典等抽出手段について、カーシェアリングのシェアカーの位置データと、買い物データ(履歴)と、駐車場の利用履歴とを用いる場合のデータ処理機能を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
(全体の説明)
以下、本発明を実施の形態及び図面に基づいて、更に詳しく説明する。ここで使用する図面は、
図5から
図15である。しかし、
図1から
図4も、必要に応じて参照する。
【0043】
(
図5)
図5は、以下の実施形態を実行するために必要な交通系ICカードの事前登録、および交通系ICカードユーザがカーシェアリング会員になった際に取得したカーシェアIDを交通系サーバへの登録、について説明するための概念図である。
【0044】
図5(a)では、カーシェアリングサービスを利用するための会員登録を予め済ませたカーシェアユーザが、別に取得した交通系ICカードに係る交通系ICの識別情報(ID)をカーシェアサーバへ事前登録する様子を示している。
【0045】
カーシェアユーザに係る携帯情報端末(スマートフォンを図示)には、交通系ICカードの機能を使うことができるアプリケーションソフトウェアがインストールされており、ユーザに割り当てられたIDである交通系ICIDが記録されている。この交通系ICIDを、カーシェアサーバに対して登録する手続を実行する。すなわち、交通系ICID送信手段がカーシェアサーバの交通系ICID受信手段に対して、交通系ICIDを送信する。受信した交通系ICIDは、このカーシェアユーザの会員データに紐付け、会員データベースにおいて蓄積する。
【0046】
図5(b)では、交通系ICカードユーザが、カーシェアリング会員になった際に取得した会員カードに記載されたカーシェアIDを交通系サーバへ登録する様子を示している。交通系ICカードユーザは、自らの通信端末(ノートパソコンを図示)をカーシェアID送信手段として、カーシェアIDを交通系サーバへ送信する。交通系サーバでは、カーシェアIDをカーシェアID受信手段が受信し、交通系ICカードユーザの交通系ICIDに紐付けて会員データベースへ蓄積する。
【0047】
図5に示したカーシェアユーザと交通系ユーザとは同一人物である場合、カーシェアサーバおよび交通系サーバでは、それぞれの会員データベースに対して、相互の登録をしたこととなる。
【0048】
(
図6)
図6では、カーシェアユーザが自らの携帯通信端末(図中ではスマートフォン)を用いて、カーシェアサーバへカーシェアリングの予約をした場合に、特典等データを受信するまでを示している。
携帯通信端末には、カーシェリングの会員カードとしての機能が予めインストールされ、カーシェアIDも記録されている。会員カードが携帯通信端末に含まれるように想像線で示しているのは、そのことを示している。
【0049】
カーシェアユーザは、シェアカーを利用したい時間帯や乗車地や返却地などを含んだ予約データと、自らが会員であることを示すカーシェアIDをカーシェアサーバへ送信する。送信された予約データおよびカーシェアIDは、カーシェアID受信手段が受信する。
【0050】
カーシェアIDは、会員データベースにて照合し、正式な会員からの予約データであるか否かを判断した上で、そのカーシェアIDに紐付けられている交通系IDを会員データベースから抽出する。
なお、正式な会員からの予約データである場合には、シェアカーの管理データを蓄積している車両管理データベースにて予約データに係る予約が可能か否かを判断し、予約ができる場合には予約完了データ出力手段から予約完了データを返信する。
【0051】
抽出した交通系IDは、交通系ID送信手段から交通系サーバへ送信し、交通系サーバにおける交通系ID受信手段が受信する。そして、その交通系IDに紐付けられている乗降データを乗降データベースから抽出し、抽出した乗降データをカーシェアサーバへ返信する。
【0052】
交通系サーバから送信された乗降データは、カーシェアサーバにおける乗降データ受信手段が受信する。そして、その乗降データおよび前記の予約完了データに相応しい特典等データを、特典データベースおよび広告データベースから、特典等抽出手段が抽出する。その抽出の実例については、
図7を用いて後述する。
抽出された特典等データは、特典等データ出力手段から、前記の携帯通信端末へ送信される。
【0053】
前述した特典データベースおよび広告データベースについては、便宜上、ひとつのデータベースとして図示している。所定の条件(条件データ)を満たした場合に得られる特典についての特典内容が特典データであり、前記の条件データおよび特典データを蓄積したのが特典データベースである。所定のターゲット顧客を特定するためのデータおよびそのターゲット顧客に対して商品やサービスの内容を示すデータが広告データであり、その広告データを蓄積したのが広告データベースである。
【0054】
(
図7)
図7では、特典等抽出手段が、どのように特典等データを抽出しているか、についての例を示している。カーシェアサーバにおける特典等抽出手段を中心に、特典データベース、広告データベース、予約完了データ出力手段、乗降データ受信手段、および特典等出力手段を図示し、他の構成については省略している。
【0055】
特典データベース、広告データベースには、「鉄道A社へ11月中に5回以上、乗車した場合に10%オフのクーポン進呈」といった販売促進を兼ねたデータが蓄積されている。
予約完了データとしては、予約日(12月8日)、使用開始時刻(15時)、使用終了時刻(17時30分)、予約場所(豊洲)、返却場所(豊洲)といったデータを含んでいる。
乗降データとしては、乗車履歴が数週間分と、乗降予約データとを含んでいる。
【0056】
前述したカーシェアリングの予約完了データのうち、予約場所および返却場所が豊洲である旨、乗降履歴が所定の鉄道会社にて所定の回数または金額を利用している旨の条件を満たしたと、特典等抽出手段が判断し、特典等データとして、「a」の割引クーポンを抽出した。
「a」の割引クーポンは、豊洲の鮮魚レストランにおける20%割引クーポンであり、その趣旨は、タクシーを使わずに鉄道を使ってもらった感謝、としたものである。
【0057】
また、乗降データのうち、乗降予約データを用いて、特典等抽出手段が特典等データとして、「a」の割引クーポンを抽出した。
「b」のクーポンは、乗降予約データから福島での下車予定を把握し、福島でのレンタカー利用を15%割り引く旨のクーポンである。クリスマスシーズンの予約を固めるため、申込締め切り日も設定してある。
【0058】
上述したように、特典等抽出手段は、広告データや特典データにおける適用期間、適用地域、適用条件などと、予約完了データおよび乗降データとを照らし合わせ、最適な広告やクーポンを抽出する。最適なクーポンの数については上限(たとえば5つ)を定めておく。そして、上限の中では優先順位も付けることとすると好ましい。
【0059】
図示は省略するが、会員データベースにおける会員の使用履歴データを用いることで、前記の優先順位付けをすることとしても良い。たとえば、地方都市でのレンタカー使用履歴があれば、前述の「b」を「a」よりも優先順位を繰り上げる。
【0060】
(
図8)
図8もまた、特典等抽出手段が、どのように特典等データを抽出しているか、についての例を示している。ここでは、シェアカーの位置データ(またはエンジンが停止した旨のオフデータとの組み合わせ)を用いることで、特典等抽出手段が所定の特典等データを抽出している。
なお、
図8では、カーシェアサーバ内に備えられた時計を図示しているが、他の実施形態においてもサーバには時計は内蔵されており、特典等抽出手段における抽出条件として適宜用いることとしている。
【0061】
シェアカーはGPS衛星からの電波を受信することで車両の位置データを随時取得している。その位置データは所定間隔でカーシェアサーバへ送信している。送信されてきた位置データは、カーシェアサーバの位置データ受信手段が受信し、車両管理データベースへ蓄積するとともに、特典等抽出手段が特典等データを抽出するのに用いることができる。
【0062】
車両の位置データが東京都五反田区内を示しており、シェアカーの返却地が五反田であり、返却予定時刻(15時30分)も迫っている、という状況であるとする。この場合、「c」の広告データが最適であると特典等データ抽出手段が判断して抽出している。「c」は、五反田で新規開店したカフェにおいて本日限りの飲み物無料、ケーキ半額のキャンペーンである。
【0063】
抽出された広告データとしての特典等データは、特典等出力手段からシェアカーへ送信され、シェアカーに搭載されている多機能カーナビゲーション装置を介してシェアカー利用者に伝えられる。カフェにはシェアカーを返却後に訪れることも想定し、シェアカー利用者に係る携帯情報端末へも特典等出力手段からこの特典等データを送信する(図示は省略)。
なお、車両データ受信手段が、車両データとしてのエンジンオフデータを受信し、そのエンジンオフデータを受信した時刻に近い位置データが東京都五反田区内である場合に限って、シェアカー利用者に係る携帯情報端末への特典等データの送信をすることとしても良い。そのことで、データ送信の総量を削減することで通信料金を節約し、またはシェアカー利用者に対する余分なデータ送信を抑制するのである。
【0064】
(
図9)
図9は、シェアカーの利用終了時に会員ユーザが行う動作と、シェアカーのデータ処理装置と、カーシェアサーバとの関係を示している。
シェアカーの多機能カーナビゲーション装置は、車両の位置データを取得し、データ送信手段を介してカーシェアサーバへ送信している。そのため、カーシェアサーバでは、返却地付近にシェアカーがあることを把握できている。また、データ送信手段は、車両からエンジンが停止した旨のエンジンオフデータを取得してカーシェアサーバへ送信している。したがって、カーシェアサーバは、エンジンオフデータを含む車両データを受信する。
【0065】
シェアカーを返却地へ停車させた会員ユーザは、シェアカーを降車し、カーシェアリングの会員カードを車両解錠センサへタッチして短距離無線通信にてカーシェアIDを送信し、シェアカーを施錠する。車両解錠センサへ送信されたカーシェアIDは、データ送信手段を介してカーシェアサーバへ送信され、車両管理データベースへ蓄積される。
【0066】
カーシェアサーバにおいては、車両管理データベースにおける利用データから利用開始時刻や終了時刻などのデータや、会員データベースに蓄積された各種の履歴データなどを用いて、広告データベースや特典データベースに蓄積された割引データを抽出し、料金算出手段が、シェアカーの利用代金を算出する。そして、算出した利用料金を会員ユーザに係る携帯情報端末へ送信する。利用料金とともに、次回利用時の特典など、特典データベースや広告データベースの情報を送信する。
【0067】
(
図10)
図10では、交通系IDの登録を予め済ませているカーシェアユーザが、駐車場を利用した際に、駐車料金精算機とカーシェアサーバと交通系サーバと間で、どのようなデータ処理がなされるかを示している。
【0068】
カーシェアユーザがシェアカーを駐車場に停め、その駐車料金を支払う場合、駐車料金精算機は、駐車券の投入と、会員カードのタッチを要求する。カーシェアユーザは、駐車場の利用開始時に受け取った駐車券を駐車券データ読み取り手段に読み取らせる。また、会員カード(図中に携帯情報端末を破線で示しているように、携帯情報端末へデータとしてインストールされている場合を含む。)を会員ID受信手段(カードリーダ)へタッチする。タッチすると、短距離無線通信によって会員カード内のICチップに格納されているカーシェアIDを会員ID受信手段が読み取る。
【0069】
読み取ったカーシェアIDは、会員ID送信手段がカーシェアサーバへ送信する。送信されたカーシェアIDは、カーシェアID受信手段が受信し、会員データベースと照合する。そして、そのカーシェアIDに紐付けられた交通系IDを交通系サーバへ送信する。
【0070】
交通系サーバにおいては、交通系IDを交通系ID受信手段が受信し、乗降データが蓄積された乗降データベースにアクセスし、交通系IDに紐付けられる乗降データを抽出する。そして、抽出した乗降データを乗降データ送信手段がカーシェアサーバへ送信する。
【0071】
カーシェアサーバにおいては、乗降データを乗降データ受信手段が受信し、その乗降データに相応しい特典データや広告データを、特典データベースや広告データベースから抽出する。そして抽出した特典等データを、駐車料金精算機へ送信する。
【0072】
駐車料金精算機においては、特典等データを特典等データ受信手段が受信する。そして、駐車券から読み取った入庫時刻データ等を用いて精算額算出手段が精算額を算出する。たとえば、特典等データに駐車料金の割引が含まれている場合には、その割引を踏まえた精算額を算出することとなる。
算出された精算額は、精算額出力手段(例えば電光表示、スピーカ)を介してカーシェアユーザに伝えられる。精算額出力手段を視聴したカーシェアユーザは、精算額を精算する(
図4参照)。なお、この駐車料金の精算は、カーシェアリングの利用を終了する際に合算させる(この場面での支払いを省略する)こととしてもよい。
【0073】
なお、駐車料金精算機に携帯情報端末への無線通信が可能な広告データ出力手段が備えられている場合には、前記の特典等データのうち、精算に用いなかったような広告データを送信する。図中では、広告データを無線通信によって送信している状態を示しているが、これに限らない。たとえば、二次元バーコードを液晶パネルに出力させ、カーシェアユーザに係る携帯情報端末のカメラ機能にてその二次元バーコードを読み取らせることとしてもよい。
【0074】
(
図11)
図11では、カーシェアIDの登録を予め済ませている交通系ユーザ(鉄道サービスを提供している会社が発行する交通系IDを携帯するユーザ)が、交通サービスを利用するための交通券(チケット)を購入する際に、交通券販売機とカーシェアサーバと交通系サーバと間で、どのようなデータ処理がなされるかを示している。交通券販売機としては鉄道チケットに限られず、たとえば、バス、フェリー等も含まれる。
【0075】
この交通系ユーザがその交通券の料金を支払う場合、交通券販売機は、交通系カードのタッチを要求する。交通系ユーザは、交通系カードを会員ID受信手段(カードリーダ)へタッチする。タッチすると、短距離無線通信によって会員カード内のICチップに格納されている交通系IDを会員ID受信手段が読み取る。
【0076】
交通券販売機が読み取った交通系IDは、会員ID送信手段が交通系サーバへ送信する。送信された交通系IDは、交通系ID受信手段が受信し、会員データベースと照合する。そして、その交通系IDに紐付けられたカーシェアIDをカーシェアサーバへ送信する。
【0077】
カーシェアサーバにおいては、交通系IDに紐付けられたカーシェアIDをカーシェアID受信手段が受信し、カーシェアリングの利用履歴データが蓄積された会員データベースにアクセスし、カーシェアIDに紐付けられる利用履歴データを抽出する。そして、抽出した利用履歴データを利用履歴送信手段が交通系サーバへ送信する。
【0078】
交通系サーバにおいては、利用履歴データを利用履歴受信手段が受信し、その利用履歴データに相応しい特典データや広告データを、特典データベースや広告データベースから抽出する。そして抽出した特典等データを、交通券販売機へ送信する。
【0079】
交通券販売機においては、特典等データを特典等データ受信手段が受信する。そして、交通系ユーザが入力した行き先データなどを用いて精算額算出手段が精算額を算出する。たとえば、特典等データにカーシェアリング利用履歴に基づく割引が含まれている場合には、その割引を踏まえた精算額を算出することとなる。
算出された精算額は、精算額出力手段(例えば電光表示、スピーカ)を介して交通系ユーザに伝えられる。精算額出力手段を視聴した交通系ユーザは、精算額を精算する。
【0080】
交通券販売機に携帯情報端末への無線通信が可能な広告データ出力手段が備えられている場合には、前記の特典等データのうち、精算に用いなかったような広告データを送信する。図中では、広告データを無線通信によって送信している状態を示しているが、これに限らない。たとえば、二次元バーコードを液晶パネルに出力させ、カーシェアユーザに係る携帯情報端末のカメラ機能にてその二次元バーコードを読み取らせることとしてもよい。
【0081】
(
図12)
図12は、
図11に示した特典等抽出手段が、どのような特典等データを抽出するかについての例を示している。
【0082】
交通券販売機における行き先データ入力手段としてのタッチパネルを用いて、交通系ユーザが行き先データを入力する。この行き先データについては、販売日が12月8日、乗車日が12月24日であり、乗車駅が大宮、下車駅が喜多方であり、それによって定まった発車時刻が13時、到着時刻が17時30分であり、その乗車券を購入できたとする。
【0083】
この乗車券の乗車日や行き先に基づいて、福島県でのカーシェアリング利用時20%割引クーポンという特典等データを、特典等抽出手段が抽出し、交通券販売機へ出力するのである。交通券販売機の特典等出力手段は、その特典等データを文字や図柄として画面出力したり、精算をするユーザが自らに掛かる携帯情報端末によって取得しやすい二次元バーコードとして出力したりする(図示は省略)。
【0084】
カーシェアサーバから受信したカーシェアの利用履歴には、利用履歴の他に、予約データが含められるとする。その予約データが、12月4日の17時30分から19時30分と、12月5日の12時30分から14時30分で入っていたとする。
具体例は省略するが、利用履歴のみならず、予約データを用いて特典等抽出手段が適切な広告や特典を抽出することもできる。
【0085】
(
図13)
図13は、駐車場管理サーバにおける駐車履歴・予約データを用いて特典等データを抽出する手順を示している。
位置データ受信手段が位置データを受信し、駐車場管理サーバから駐車履歴・予約データを受信する。駐車履歴・予約データの中に駐車予約として、12月11日の12時から15時に名古屋市東区というものがあったとする。位置データ受信手段が受信している車両位置が名古屋市付近である場合に、特典等抽出手段は、「d」である名古屋市の地下街ランチのクーポンを抽出した。
【0086】
上記の例では、カーシェアリングの会員ユーザがシェアカー使用中を想定して説明したが、シェアカーの予約時に名古屋でのシェアカー使用を予約した場合に、上記の「d」を抽出しても良い。
【0087】
(
図14)
図14は、小売りサーバにおける買い物データを用いて特典等データを抽出する手順を示している。
小売り系サーバとは、コンビニエンスストア、ショッピングセンターなどの小売業者が発行している会員カードに基づき、買い物履歴データや還元ポイントなどを管理するサーバである。
【0088】
買い物データ受信手段が小売り系サーバの買い物履歴データを受信し、その買い物履歴データにおいて11月の総額が34,500円だったする。また、位置データ受信手段が受信したシェアカーの位置データが東京都品川区だったとする。
この場合、特典等抽出手段は、「11月の買い物総額が税別2万円以上の顧客」という条件データに合致するとして、「e」の品川のショッピングモールでの歳末セールで会員限定割引クーポンを抽出する。そして、シェアカーユーザの携帯情報端末へそのクーポンを送信する。
【0089】
(
図15)
図15は、小売りサーバにおける買い物データと、駐車場管理サーバを用いて特典等データを抽出する手順を示している。カーシェアリングの会員ユーザがシェアカーを利用して買い物へ行く際、買い物をする店の近傍で駐車場を利用した場合を想定している。カーシェアサーバがシェア会員ユーザに係る小売りIDや駐車IDを予め取得している旨や、小売りIDや駐車IDを小売りサーバや駐車場管理サーバへ送信している旨の手順は、省略している。
【0090】
特典等抽出手段は、位置データ、買い物履歴データ、駐車履歴・予約データなどを用いることで、最適な特典等データを抽出するのである。
本発明は、
図15に示す実施形態のように、カーシェアリングサービス以外の複数のサービスに関わるIDを取得しての特典等データの抽出が実行可能である。ユーザとしては、複数枚の会員カードを精算時に提示する必要がない。
【0091】
(割引サービスの併用)
図7の説明でも記載しているが、特典等抽出手段が抽出する特典データや広告データは、一つに限られるものではなく、複数でよい。また、ユーザが使用する割引クーポンが併用される場合もある。
たとえば、カーシェアリングの乗車記録によって200円の割引、買い物による割引が400円となっている場合、標準駐車料金が1000円であっても、600円の割引をしての精算となり、ユーザは400円の駐車料金を支払えばよい。
【0092】
前述してきた実施形態によれば、車両共有サービスの提供者としては、車両共有サービスの会員ユーザによる他のサービス業者(交通機関、駐車場、物販など)の利用履歴や利用予約のデータを用いて、数多くある広告や特典の情報を選択して会員ユーザへ届けることができる。
他のサービス業者としても、会員ユーザによる車両共有サービスの利用履歴や利用予約データを用いて、数多くある広告や特典の情報を選択して会員ユーザへ届けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、カーシェアリング事業またはレンタカー事業、交通サービス業、駐車場の管理サービス業、小売業、およびカーシェアリング、レンタカー、駐車場などのデータ管理を実行するデータ通信業、データ通信に関わるソフトウェア開発業などにおいて、利用可能性を有する。