(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】熱交換コア
(51)【国際特許分類】
F28D 9/00 20060101AFI20240807BHJP
F28F 3/08 20060101ALI20240807BHJP
F28F 21/08 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
F28D9/00
F28F3/08 311
F28F21/08 Z
(21)【出願番号】P 2020031240
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】江口 駿作
(72)【発明者】
【氏名】原 伸英
(72)【発明者】
【氏名】中拂 博之
(72)【発明者】
【氏名】上藤 陽一
(72)【発明者】
【氏名】畑中 雅哉
(72)【発明者】
【氏名】小田 拓央
(72)【発明者】
【氏名】谷本 浩一
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第04303276(DE,A1)
【文献】特開2010-060215(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0311839(US,A1)
【文献】特開2006-322644(JP,A)
【文献】独国実用新案第202007008615(DE,U1)
【文献】韓国登録特許第10-0857976(KR,B1)
【文献】特開2004-044896(JP,A)
【文献】特開2014-035169(JP,A)
【文献】実開昭60-105967(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D7/00,9/00
F28F3/08,21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の隣り合う流路が隣り合ったまま折り重なるように形成されたコアを備え、
前記一対の隣り合う流路の少なくとも一方の流路が前記流路の折り重なる方向において他方の流路を挟むことなく隣り合う一対の流路部分を有し、
前記コアは、前記一対の流路部分の間に断熱層を有し、
前記一対の流路の折り重なる部分が前記一対の流路の直交方向からみて直線となる部分の組み合わせで構成され、
前記断熱層は、空隙であり、
前記空隙の少なくとも端部に前記空隙を支持する支柱部を有し、
前記支柱部は、前記コアと同一の金属又は樹脂材料で構成される、熱交換コア。
【請求項2】
前記一対の流路の折り重なる部分の少なくとも一方の一部分に曲げ部分を有する、請求項1に記載の熱交換コア。
【請求項3】
前記空隙は、閉鎖されている、請求項1又は2に記載の熱交換コア。
【請求項4】
前記断熱層は、少なくとも一部が開放されている、請求項1
又は2に記載の熱交換コア。
【請求項5】
前記支柱部は、ワイヤーメッシュ状の立体的格子構造を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の熱交換コア。
【請求項6】
前記一対の隣り合う流路の少なくとも一方に複数の分割流路に分割する隔壁を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の熱交換コア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換コアに関する。
【背景技術】
【0002】
板材を多数積層した板材積層体において、板材同士の間に第1流体を通過させる板間第1流体路と、板材同士の間に第2流体を通過させる板間第2流体路とが板材積層方向で交互に位置するプレート式の熱交換コアが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたプレート式の熱交換コアよりも熱交換効率の高い熱交換コアが求められている。
【0005】
本開示の少なくとも一実施形態は、上述する事情に鑑みてなされたもので、熱交換効率の高めることができる熱交換コアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る熱交換コアは、
一対の隣り合う流路が隣り合ったまま折り重なるように形成されたコアを備えた熱交コアであって、
前記一対の流路の少なくとも一方の流路が前記流路の折り重なる方向において他方の流路を挟むことなく隣り合う一対の流路部分を有し、
前記コアは、前記一対の流路部分の間に断熱層を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示にかかる熱交換コアによれば、一対の流路部分の間に設けられた断熱層が一対の流路部分の上流側部分を流れる流体と下流側部分を流れる流体との間(同じ流体の間)で熱交換することによる熱ロスを低減できる。これにより、熱交換コアの熱交換率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】AM技術で実現される熱交換コアの構成を概略的に示す縦断面図である。
【
図2】一実施形態に係る熱交換コアの構成を概略的に示す縦断面図である。
【
図3】一実施形態に係る熱交換コアの構成を概略的に示す縦断面図である。
【
図4】
図2に示した熱交換コアのIV-IV線断面図である。
【
図5】一実施形態に係る熱交換コアのコアに設けられる断熱層の構成を概略的に示す要部拡大断面図である。
【
図6】一実施形態に係る熱交換コアのコアに設けられる断熱層の構成を概略的に示す要部拡大断面図である。
【
図7】一実施形態に係る熱交換コアの断熱層を概略的に示す断面図である。
【
図8】一実施形態に係る熱交換コアの支柱部の構成を示す図である。
【
図9A】一実施形態に係る第1流路と第2流路とを示す図である。
【
図9B】他の一実施形態に係る第1流路と第2流路とを示す図である。
【
図9C】他の一実施形態に係る第1流路と第2流路とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して幾つかの実施形態に係る熱交換コアについて説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。熱交換コアは、単独で、又は熱交換器に組み込まれて用いられる構成要素であり、熱交換コアに供給される第1流体と第2流体との間で熱交換が行われる。
【0010】
図1は、AM技術で実現される熱交換コアの構成を概略的に示す図である。
熱交換コアの製造に形状自由度の高いAM(Additive Manufacturing)技術を適用することで、従来は工法の制約で実現できなかった流路や構造が製造可能となり、高効率、コンパクトな熱交換コアが実現可能となっている。例えば、
図1に示すように、第1流体FL1が流れる第1流路121と第2流体FL2が流れる第2流路122とが間隔を空けて隣り合い、第1流路121と第2流路122とが間隔を空けて隣り合ったまま折り重なるように、第1流路121と第2流路122とが形成された熱交換コア11が実現可能となっている。この熱交換コア11は、第1流路121と第2流路122が流路の折り重なる方向において他方の流路122(121)を挟むことなく隣り合う一対の流路部分1211,1212(1221,1222)を有する。この一対の流路部分1211,1212(1221,1222)は同一流路121(122)(例えば第1流路)の異なる部分(上流側部分と下流側部分)であり、上流側部分1211(1221)を流れる流体と下流側部分1212(1222)を流れる流体は同じものである。この一対の流路部分1211,1212(1221,1222)(同一流路の上流側部分と下流側部分)は他方の流路122(121)(例えば第2流路)を挟むことなく隣り合うので、上流側部分1211(1221)を流れる流体と下流側部分1212(1222)を流れる流体との間(同じ流体の間)で熱交換することによる熱ロスが発生する。そして、この熱ロスは熱交換コア101の熱交換効率が低下する一因となる。
そこで、以下に示す実施形態に係る熱交換コアでは、熱交換効率の高めることを目的としている。
【0011】
図2は一実施形態に係る熱交換コア1の構成を概念的に示す縦断面図であり、
図3は他の一実施形態に係る熱交換コア1の構成を概略的に示す図である。
図4は、
図2に示した熱交換コア1のIV-IV線断面図であるが、
図3に示した熱交換コア1のIV-IV線断面図も同一に示される。
【0012】
図2から
図4に示すように、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1は、第1流体FL1と第2流体FL2との間で熱交換する熱交換コアである。熱交換コア1はコア2を備えている。コア2には隣り合う一対の流路21,22が設けられている。隣り合う一対の流路21,22の一方が第1流路21となり、他方が第2流路となる。第1流路21は第1流体FL1が流れる流路であり、第2流路22は第2流体FL2が流れる流路である。第1流体FL1と第2流体FL2は温度差がある流体であり、例えば第1流体FL1は高温の流体であり第2流体FL2は低温の流体である。第1流体FL1と第2流体FL2は気体又は液体のどちらであってもよく、第1流体FL1と第2流体FL2のどちらか一方が気体であってどちらか他方が液体であってもよい。
【0013】
第1流路21と第2流路22は間隔を空けて隣り合い、第1流路21と第2流路22とが間隔を空けて隣り合ったまま折り重なるように形成されている。第1流路21の一端と他端はコア2の側面2aに開開口し、それぞれ第1流路21の入口21aと出口21bとなる。そして、第1流路21の入口21aと隣り合う第2流路22の一端は第2流路22の出口22bとなり、第1流路21の出口21bと隣り合う第2流路22の他端は第2流路22の入口22aとなる。これにより、第1流路21を流れる第1流体FL1と第2流路22を流れる第2流体FL2とは対向流の関係となり、第1流路21を流れる第1流体FL1と第2流路22を流れる第2流体FL2とは互いに向かい合いすれ違うように流れ、第1流体FL1と第2流体FL2との間で熱交換される。
【0014】
また、第1流路21と第2流路22の少なくとも一方の流路21(22)が流路21(22)の折り重なる方向において他方の流路22(21)を挟むことなく隣り合う一対の流路部分211,212(221,222)を有する。そして、コア2には、一対の流路部分211,212(221,222)の間に断熱層23(24)が設けられている。
【0015】
このように第1流路21と第2流路22とが間隔を空けて隣り合い、第1流路21と第2流路22とが間隔を空けて隣り合ったまま折り重なるように、第1流路21と第2流路22とが形成され、かつ、他方の流路22(21)を挟むことなく隣り合う一対の流路部分211,212(221,222)に断熱層が設けられているコア2は、例えば、AM技術によって実現される。
【0016】
図2から
図4に示す例では、コア2は、横方向(
図2及び
図3においてy方向)が長く高さ方向(
図2及び
図3においてz方向)と奥行き方向(
図4においてx方向)が短い直方体状に形成されている。そして、奥行き方向(
図4においてx方向)に幅広な第1流路21と第2流路22とが間隔を空けて隣り合い、第1流路21と第2流路22とが間隔を空けて隣り合ったまま折り重なるように、第1流路21と第2流路22とが形成されている。
【0017】
また、
図2から
図4に示す例では、第1流路21と第2流路22の両方の流路21,22が流路21,22の折り重なる方向(高さ方向(
図2及び
図3においてz方向))において他方の流路22,21を挟むことなく隣り合う一対の流路部分211,212,221,222を有する。すなわち、第1流路21が流路21の重なる方向(高さ方向(
図2及び
図3においてz方向))において第2流路22を挟むことなく一対の隣り合う部分211,212を有し、第2流路22が流路22の重なる方向において第1の流路21を挟むことなく隣り合う一対の流路部分221,222を有する。そして、コア2には、第1流路21と第2流路22の両方の流路21,22において他方の流路22,21を挟むことなく隣り合う一対の流路部分211,212,221,222の間に断熱層23,24が設けられている。
【0018】
上述した幾つかの実施形態に係る熱交換コア1は、第1流路21の入口21aから第1流体FL1が供給され、第2流路22の入口22aから第2流体FL2が供給されることで、第1流体FL1と第2流体FL2とは対向流の関係となり、第1流体FL1と第2流体FL2とが互いに向かい合いすれ違うように流れ、第1流体FL1と第2流体FL2との間で熱交換される。
【0019】
上述した幾つかの実施形態に係る熱交換コア1によれば、一対の流路部分211,212,221,222の間に設けられた断熱層23,24が一対の流路部分211,212,221,222の上流側部分211,221を流れる流体と下流側部分212,222を流れる流体との間(同じ流体の間)で熱交換することによる熱ロスを低減する。これにより、熱交換コア1の熱交換率を高めることができる。
【0020】
図2に示すように、一実施形態に係る熱交換コア1Aでは、第1流路21の入口21aと出口21b、及び、第2流路22の入口22aと出口22bとがコア2Aの同一の側面2a1に設けられ、
図3に示すように、他の一実施形態に係る熱交換コア1Bでは、第1流路21の入口21aと出口21b、及び、第2流路22の出口22bと入口22aとがコア2Bの互いに反対側となる側面2a2に設けられる。このように、一実施形態に係る熱交換コア1Aでは第1流路21の入口21aと出口21b、及び第2流路22の入口22aと出口21bとがコア2Aの同一の側面2a1に設けられ、他の一実施形態に係る熱交換コア1Bでは第1流路21の入口21aと出口21b、及び第2流路22の入口22aと出口22bとがコア2Bの互いに反対側となる側面2a2に設けられるので、配管等の条件によって一実施形態に係る熱交換コア1A、又は他の一実施形態に係る熱交換コア1Bを選ぶことができる。
【0021】
図5は一実施形態に係る熱交換オア1のコア2に設けられる断熱層23Aを概略的に示す要部拡大断面図であり、
図6は他の一実施形態に係る熱交換コア1のコア2に設けられる断熱層23Bを概略的に示す要部拡大断面図である。
【0022】
図5及び
図6に示すように、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、断熱層23は空隙231である。
図5に示す例では、空隙231Aは閉鎖されているが、
図6に示すように、断熱層231は少なくとも一部が開放されていてもよい。また、空隙231A,231Bには空気が内在するが、閉鎖された空隙231Aでは空気以外のガスが充填されていてもよいし、真空であってもよい。
【0023】
上述した実施形態に係る熱交換コア1によれば、他方の流路を挟むことなく隣り合う一対の流路部分211,212,221,222の間に設けられた空隙231が一対の流路部分211,212,221,222の上流側部分211,221を流れる流体と下流側部分212,222を流れる流体との間(同じ流体の間)で熱交換することによる熱ロスを低減する。これにより、熱交換コア1の熱交換率の低下を抑制できる。尚、空隙231に空気が内在する場合には空隙231が空気層となる。空気層では空気が対流することによる熱伝達が生じるが、空隙層における空気の対流による熱伝達は金属部の熱伝導に比べて熱が伝わりにくいので、一対の流路部分211,212,221,222の上流側部分211,221を流れる流体と下流側部分212,222を流れる流体の間(同じ流体の間)での熱の伝わりが抑制されることになる。これにより、一対の流路部分211,212,221,222の間に空気層を設けると断熱効果を発揮する。
【0024】
図7は、一実施形態に係る熱交換コア1の断熱層23を概略的に示す断面図である。
【0025】
図7に示すように、一実施形態に係る熱交換コア1の断熱層23は空隙231であって、空隙231の少なくとも端部に空隙231を支持する支柱部232を有する。支柱部232は空隙231の少なくとも端部に設けられれば、空隙231の端部のみに設けてもよいし、空隙231の全体に亘り設けてもよく、また、空隙231に所定のピッチ(等ピッチでもよいし不等ピッチでもよい)で設けてもよい。
【0026】
上述した一実施形態に係る熱交換コア1の断熱層23によれば、支柱部232が空隙の少なくとも端部において空隙231を支持するので、コア2に空隙があってもコア2の強度の低下を抑制できる。
【0027】
図8は、一実施形態に係る熱交換コア1の支柱部232の構成を示す図である。
ところで、上述したように空隙231に支柱部232があると支柱部232において熱伝導が生じるので空隙231が空気だけで満たされた場合に比べて伝達される熱量が大きくなり、空隙231の断熱効果が低下してしまう。
【0028】
そこで、
図8に示すように、一実施形態に係る熱交換コア1の支柱部232はワイヤーメッシュ状の立体的格子構造を有する。ワイヤーメッシュ状の立体的格子構造は立体的格子が交絡したもので、ラティス構造と称される。
【0029】
ワイヤーメッシュ状の立体的格子構造は、立体的格子を周期的に繰り返すものでもよいし、立体的格子を非周期に繰り返すものでもよい。尚、ワイヤーメッシュ状の立体的格子構造は、例えば、AM技術によってコア2を構成する金属又は樹脂と同一の材料で構成される。
【0030】
また、上述したように、支柱部232は空隙231の少なくとも端部に設けられれば、空隙231の端部のみに設けてもよいし、空隙231の全体に亘り設けてもよく、また、空隙231に所定のピッチで設けてもよいので、空隙231の端部のみにワイヤーメッシュ状の立体的格子構造の支柱部232を設けてもよいし、空隙231の全体に亘りワイヤーメッシュ状の立体的格子構造の支柱部232を設けてもよく、また、空隙231に所定のピッチでワイヤーメッシュ状の立体的格子構造の支柱部232を設けてもよい。
【0031】
ところで、空隙231にワイヤーメッシュ状の立体的格子構造を有する支柱部232を設けることにより、他方の流路を挟むことなく隣り合う一対の流路部分211,212,221,222の上流側部分211,221と下流側部分212,222との間でワイヤーを介して熱伝導が生じるが、ワイヤーメッシュ状の立体的格子構造を構成するワイヤーの断面積を小さくし長さを長くすることで、他方の流路を挟むことなる隣り合う一対の流路部分211,212,221,222の上流側部分211,221と下流側部分212,222との間で熱伝導される熱量を少なくできる。
【0032】
また、他方の流路を挟むことなく隣り合う一対の流路部分211,212,221,222の上流側部分211,221と下流側部分212,222とでは温度差が生じるので空隙231において空気の対流が生じるが、ワイヤーメッシュ状の立体的格子構造によって対流が抑制される効果も期待される。
【0033】
上述した一実施形態に係る熱交換コア1の支柱部232によれば、支柱部232が熱伝導を抑制しつつコア2A,2Bの強度の低下を抑制できる。
【0034】
図4に示すように、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1は、第1流路21又は第2流路22の少なくとも一方に複数の分割流路213,223,(マルチホール)に分割する隔壁214,224を有する。例えば、熱交換コア1は、第1流路21及び第2流路22の両方に複数の分割流路213,223に分割する隔壁214,215を有する。例えば、隔壁214,224の数は、第1流路21と第2流路22とで同一であり、第1流路21に設けられる分割流路213の数と第2流路22に設けられる分割流路223の数は同一である。
【0035】
上述した幾つかの実施形態に係る熱交換コア1によれば、隔壁214,224が第1流路21又は第2流路22の少なくとも一方を複数の分割流路213,223に分割するので、一つ一つの流路径が小さくなるので、熱伝達率が高められ、熱交換効率を高めることができる。また、分割流路213,223に分割した流路(第1流路21又は第2流路22)に流れる流体の流速が遅くすることで、熱交換性能を高めることができる。
【0036】
図9に示すように、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、一対の流路の折り重なる部分の少なくとも一方の一部分に曲げ部分を有する。一対の流路21,22の折り重なる部分は一対の流路21,22が折り返される部分以外の部分である。
図9に示す例では、第1流路21及び第2流路22の折り重なる部分の両方の一部分に曲げ部分を有する。曲げ部分は、流路が真っ直ぐに延びる部分以外の部分を広く含み、例えば、
図9Aに示すように山なりに湾曲した形状も含まれるし、
図9Bに示すように山型に屈曲した形状も含まれる。また、
図9Cに示すように、矩形状に折れ曲がった形状も含まれる。
【0037】
上述した幾つかの実施形態に係る熱交換コア1によれば、一対の流路21,22の折り重なる部分の少なくとも一方の一部の曲げ部分において流路長が長くなり、流路が真っ直ぐな場合よりも熱交換量を増やすことができる。
【0038】
また、
図2及び
図3に示すように、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、一対の流路21,22の折り重なる部分が一対の流路21,22の直交方向からみて直線となる部分の組み合わせで構成される。
【0039】
上述した幾つかの実施形態に係る熱交換コア1によれば、一対の流路21,22の折り重なる部分が一対の流路21,22の直交方向からみて直線部分の組み合わせで構成されるので、流路がまげ部分を有する場合よりも圧力損失を低減できる。
【0040】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、上述した実施形態では第1流路21を流れる第1流体FL1と第2流路22を流れる第2流体FL2は対向流の関係となるが、第1流体FL1と第2流体FL2が並流の関係となるように第1流路21の入口21aと第2流路22の入口22aを設定してもよい。
【0041】
また、例えば、一対の流路の折り重なる部分の少なくとも一方の一部分にねじれ部分を有してもよい。ねじれ部分は面が湾曲状にねじれ形状を含む部分であり、例えば、らせん状にねじれた形状を含む。
【0042】
また、一対の隣り合う通路が隣り合ったまま折り重なる構造は同一断面に表すことができるものに限られるものではなく、同一断面に表すことができないものも含まれる。例えば、三次元空間で折り返されるものも含まれる。
【0043】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば、以下のように把握される。
【0044】
(1)一の態様に係る熱交換コア1は、
一対の隣り合う流路(21,22)が隣り合ったまま折り重なるように形成されたコア(2)を備え、
前記一対の隣り合う流路(21,22)の少なくとも一方の流路(21(22))が前記流路(21(22))の折り重なる方向において他方の流路(22(21))を挟むことなく隣り合う一対の流路部分211,212(221,222)を有し、
前記コア(2)は、前記一対の流路部分(211,212)の間に断熱層(23)を有する。
【0045】
このような構成によれば、一対の流路部分(211,212(221,222)の間に設けられた断熱層(23(24))が一対の流路部分(211,212(221,222))の上流側部分(211(221))を流れる流体と下流側部分(212(222))を流れる流体(第1流体(FL1)(第2流体(FL2)))との間(同じ流体の間)で熱交換することによる熱ロスを低減する。これにより、熱交換コア(1)の熱交換率を高めることができる。
【0046】
(2)別の態様に係る熱交換コア1は、(1)に記載の熱交換コアであって、
前記一対の流路の折り重なる部分の少なくとも一方の一部分に曲げ部分を有する。
【0047】
このような構成によれば、一対の流路の折り重なる部分の少なくとも一方の一部分の曲げ部分において流路長が長くなり、流路が真っ直ぐな場合よりも熱交換量を増やすことができる。
【0048】
(3)別の態様に係る熱交換コア1は、(1)に記載の熱交換コアであって、
前記一対の流路の折り重なる部分が前記一対の流路の直交方向からみて直線となる部分の組み合わせで構成される。
【0049】
このような構成によれば、一対の流路の折り重なる部分が一対の流路の直交方向から視て直線となる部分の組み合わせで構成されるので、流路が曲げ部分を有する場合よりも圧力損失を低減できる。
【0050】
(4)別の態様に係る熱交換コア1は、(1)から(3)のいずれか一つに記載の熱交換コアであって、
前記断熱層(23(24))は、空隙(231)である。
【0051】
このような構成によれば、一対の流路部分(211,212(221,222))の間に設けられた空隙(231)が一対の流路部分の上流側部分(211(221)を流れる流体(第1流体FL1(第2流体FL2))と下流側部分(212(222))を流れる流体(第1流体FL1(第2流体FL2))との間(同じ流体の間)で熱交換することによる熱ロスを低減する。これにより、熱交換コア(1)の熱交換率を高めることができる。
【0052】
(5)別の態様に係る熱交換コア1は、(4)に記載の熱交換コアであって、
前記空隙は、閉鎖されている。
【0053】
このような構成によれば、空隙が閉鎖されるので、空隙を真空にしたり、ガスを充填したりできる。
【0054】
(6)別の態様に係る熱交換コア1は、(1)から(4)のいずれか一つに記載の熱交換コアであって、前記断熱層は、少なくとも一部が開放されている。
【0055】
このような構成によれば、断熱層の空気が入れ換えられるので、断熱効果を高めることができる。
【0056】
(7)さらに別の態様に係る熱交換コア(1)は、(4)に記載の熱交換コアであって、
前記空隙(231)の少なくとも端部に前記空隙(231)を支持する支柱部(232)を有する。
【0057】
このような構成によれば、支柱部(232)が空隙(231)の少なくとも端部を支持するので、コア(2)に空隙(231)があってもコア(2)の強度の低下を抑制できる。
【0058】
(8)さらに別の態様に係る熱交換コア(1)は、(7)に記載の熱交換コアであって、
前記支柱部(232)は、ワイヤーメッシュ状の立体的格子構造を有する。
【0059】
このような構成によれば、支柱部(232)が熱伝導を抑制ししつつコア(2)の強度の低下を抑制できる。
【0060】
(9)さらに別の態様に係る熱交換コア(1)は、(1)から(8)のいずれか一つに記載の熱交換コアであって、
前記第1流路(21)又は前記第2流路(22)の少なくとも一方に複数の分割流路(213(223))に分割する隔壁(214(224))を有する。
【0061】
このような構成によれば、分割流路(213(223))に流れる流体の流速を遅くすることで、熱交換性能を高めることができる。
【符号の説明】
【0062】
1,1A,1B 熱交換コア
2,2A,2B コア
2a,2a1,2a2 側面
21 第1流路
21a 入口
21b 出口
211 流路部分(上流側部分)
212 流路部分(下流側部分)
213 分割流路
214 隔壁
22 第2流路
22a 入口
22b 出口
221 流路部分(上流側部分)
222 流路部分(下流側部分)
223 分割流路
224 隔壁
23,23A,23B 断熱層
231,231A,231B 空隙
232 支柱部
24 断熱層
241 空隙
FL1 第1流体
FL2 第2流体