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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】充填カラムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/56 20060101AFI20240807BHJP
   G01N 30/60 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
G01N30/56 A
G01N30/60 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020135320
(22)【出願日】2020-08-07
(65)【公開番号】P2022030969
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】390030188
【氏名又は名称】ジーエルサイエンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100063842
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 三雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118119
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 大典
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幸治
(72)【発明者】
【氏名】平松 由香
(72)【発明者】
【氏名】難波 健一
(72)【発明者】
【氏名】松浦 浩
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-538376(JP,A)
【文献】特許第5671065(JP,B2)
【文献】特開平11-174036(JP,A)
【文献】米国特許第05472598(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00-30/96
B01J 20/281-20/292
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラム管内に充填剤を充填した後に、フィルタが設置された、ピッチが1~1.5mmのナットを前記カラム管にねじ込んで、前記フィルタが充填層に接触した後、前記ナットを4回転以下回転させて、前記フィルタを前記カラム管内に挿入し、前記フィルタで前記充填層を圧縮することを特徴とする充填カラムの製造方法。
【請求項2】
前記ナットを前記カラム管にねじ込む前の前記カラム管内の充填剤の密度が、0.599~0.722g/cm であることを特徴とする請求項1に記載の充填カラムの製造方法。
【請求項3】
前記カラム管の一端側から前記充填層を圧縮することを特徴とする請求項1又は2に記載の充填カラムの製造方法。
【請求項4】
前記カラム管の両端側から前記充填層を圧縮することを特徴とする請求項1又は2に記載の充填カラムの製造方法。
【請求項5】
前記充填カラムは、カラム管、ナット及びフィルタを備えて構成され、前記カラム管の外側面及びナットの内側面には嵌り合うねじが構成されていることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載の充填カラムの製造方法。
【請求項6】
前記カラム管の他端側に、前記カラム管内に挿入されないフィルタを設置することを特徴とする請求項3に記載の充填カラムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填カラムの製造方法に関し、詳しくは、充填剤が充填されていないカラム管に充填剤を充填する充填カラムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体クロマトグラフ(液体クロマトグラフィー装置)を用いた分析や分取等において、試料中の目的化合物の分離を行うために、カラム管の内部空間に粒状の充填剤が詰められて構成された充填層を備えた、一定の長さ即ち固定長の分離カラムが使用されている。
【0003】
しかし、分離カラム内の充填層即ち吸収剤吸着床は、分離カラムを通る移動相(溶離液)の流れによって生じる流体の力を受ける。この流体の力によって吸収剤吸着床が圧縮され、時間とともに崩壊し、ボイド即ち死体積が生じることで、分離カラムの性能に悪影響を及ぼすことがあった。
【0004】
そこで、上記の吸収剤吸着床の圧縮を常に最小化し、分離カラムへの悪影響を防ぐため、従来の設計による固定長の分離カラムで達成される吸収剤吸着床密度(充填層の充填剤の密度)よりも高い吸収剤吸着床密度を生成するべく、突出フィルタアセンブリを使用して分離カラム内の吸収剤吸着床密度を制御出来る分離カラム及び突出フィルタアセンブリを使用して分離カラム内の吸収剤吸着床密度を制御する方法が提案されている(特許文献1)。
【0005】
又、固定長の分離カラム内に充填剤を充填した後に、更に充填層を圧縮するために、管エンドピースを有するカラム管と、1以上の調節可能なアダプターアセンブリとを備えるクロマトグラフィーカラムであって、上記アダプターアセンブリが、ねじ山によって管エンドピースに取り付けられるエンドスリーブと、エンドスリーブに回転可能に取り付けられるエンドキャップと、エンドキャップを回すことによってプランジャが縦方向に移動できるように回転可能なエンドキャップと螺合するねじ山がねじ山付きプランジャロッドの端部に配置されたプランジャロッドを有するプランジャアセンブリとを備えており、上記プランジャロッドが縦方向溝を備えていて、上記アダプターアセンブリが、上記縦方向溝と係合してプランジャの回転を防ぐ突起を有する回転防止板を備えていて、回転防止板がエンドスリーブと管エンドピースとの間に配置され、回転防止板に、管エンドピースに対する回転防止板の回転を防ぐように構成された回転ロック構造が設けられている、クロマトグラフィーカラムが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2005-538376号公報
【文献】特許第5671065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、特許文献1に開示された技術は、突出フィルタアセンブリを使用して固定長の分離カラム内の充填層を圧縮し、充填層の充填剤の密度を上げて分離カラムを作製することで、分離カラムに移動相(溶離液)が流れる際に生じる流体の力により充填層が圧縮されてボイドが生じることを低減するための技術であった。
【0008】
一方、特許文献2に開示された技術は、カラムが、大きくて複雑なデバイスとなってしまい、又、高価な部品となってしまうので、実用性に欠けるという問題点があった。
【0009】
しかし、固定長の分離カラム内に充填剤を高圧充填した後に、更に突出フィルタアセンブリを取り付けて充填層を均一に圧縮するためには相当な力を必要とする。そのため、特許文献2に開示されている、可動ピストン様システムのような、大きくて複雑なデバイスではなく、安価な部品を用いて突出フィルタアセンブリを分離カラムのカラム管内に押し込んで固定するためには、それぞれにネジ溝を設けたカラム管とナットを用い、突出フィルタアセンブリをナットで覆った状態で、ナットをカラム管に回転させながらねじ込むことが適している。
【0010】
一方で、充填層の充填剤にフィルタが押し付けられた状態でナットを回転させながらねじ込むと、フィルタのカラム管側、即ち充填層側の表面が充填剤で擦られたり、フィルタのカラム管側から充填剤が食い込んだりして、又、フィルタの充填層側とは逆側の表面がナットや分散板等で擦られたりして、フィルタが損傷してしまう。そして、フィルタが損傷すると分離カラムの性能が低下してしまう。又、充填層にフィルタが押し付けられた状態でナットを回転させながらねじ込むと、充填層の充填状態が乱れてしまい、分離カラムの性能が低下してしまう。
【0011】
しかし、特許文献1では、上記問題点については触れられておらず、その解決方法についても全く開示されていなかった。
【0012】
そこで、本発明は、固定長の分離カラム内に充填剤を圧力をかけて充填した後に、更にフィルタをナットで覆った状態でナットを回転させながらカラム管にねじ込んで、フィルタが充填層を圧縮する際、フィルタの損傷を抑制し、又、充填剤の充填状態の乱れを抑制し、分離カラムの性能が低下することを抑制することを目的とする。そして、分離カラムを使用して得られるクロマトグラムにおいて、メインピーク後方に小さなピークを出現させないことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するための手段としての本発明は、カラム管内に充填剤を充填した後に、フィルタが設置されたナットを前記カラム管にねじ込んで、前記フィルタが充填層に接触した後、前記ナットを4.25回転以下回転させて、前記フィルタを前記カラム管内に挿入し、前記フィルタで前記充填層を圧縮する充填カラムの製造方法である。
【0014】
又、上記充填カラムの製造方法において、前記ナットを4.0回転以下回転させる充填カラムの製造方法である。
【0015】
又、上記充填カラムの製造方法において、前記カラム管の一端側から前記充填層を圧縮する充填カラムの製造方法である。
【0016】
又、上記充填カラムの製造方法において、前記カラム管の両端側から前記充填層を圧縮する充填カラムの製造方法である。
【0017】
又、上記充填カラムの製造方法において、前記充填カラムは、カラム管、ナット及びフィルタを備えて構成され、前記カラム管の外側面及びナットの内側面には嵌り合うねじが構成されている充填カラムの製造方法である。
【0018】
又、上記充填カラムの製造方法において、前記カラム管の他端側に、前記カラム管内に挿入されないフィルタを設置する充填カラムの製造方法である。
【発明の効果】
【0019】
以上のような本発明によれば、固定長の分離カラム内に充填剤を圧力をかけて充填した後に、更にフィルタをナットで覆った状態でナットをカラム管にねじ込んで、フィルタが充填層を圧縮する際、フィルタの損傷を抑制すること、又、充填剤の充填状態の乱れを抑制することが可能となった。又、その際に、分離カラムの性能が低下することを抑制することが可能となった。更に、分離カラムを使用して得られるクロマトグラムにおいて、メインピーク後方に小さなピークを出現させないことが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明一実施形態製造工程図
図2】本発明他実施形態製造工程図
図3】本発明他実施形態製造工程図
図4】3’-フルオロアセトアニリドの溶出パターンのクロマトグラム
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明は、カラム管内に充填剤を充填した後に、更にフィルタをナットで覆った状態で、ナットをカラム管に回転させながらねじ込んで、フィルタが、充填された充填剤で構成された充填層に接触した後、ナットを4.25回転以下回転させて、フィルタをカラム管内に挿入し、フィルタで充填層を押圧し、圧縮する充填カラムの製造方法である。尚、ナットの回転において、1回転は360度の回転を意味する。
【0022】
本発明に用いられる充填カラム1は、カラム管2、ナット3、及びフィルタ41又は/及びフィルタ42を備えて構成されている。カラム管2の外側面及びナット3の内側面には嵌り合うねじが構成され、詳しくは、カラム管2の両端外側面20には、図示しないおねじが構成され、ナット3の内側面30には、図示しないめねじが構成され、ナット3は、充填カラム1の両端にねじ込まれて設置される。
【0023】
ねじはISOメートルねじを用いるが、ユニファイ規格やウィット規格のインチねじを用いることが出来る。メートルねじはISO規格並目、ISO規格細目、旧JIS規格を用いることが出来る。又、ねじのピッチは特に限定されないが、0.5mm~1.5mmのものを用いることが好ましく、特に0.8mm~1.2mmのもの、更には、1.0mm程度のものを用いることが好ましい。
【0024】
図1に示す充填カラム1は、カラム管2の一端側21からフィルタ41で充填層100を圧縮するための構成である。カラム管2の一端側21にはパッキンの先端部512が基部511より細く構成されてカラム管2内に挿入可能且つカラム管2をシール可能に構成されたパッキン51が用いられ、フィルタ41の周縁がパッキン51で被覆されてパッキン付きフィルタ45が構成され、パッキン付きフィルタ45は、パッキンの基部511がナット3の内側の底部に設けられた凹部31に嵌め込まれて設置されている。フィルタ41の直径及びパッキン51の先端部512の直径はカラム管2の内径より短く構成され、パッキン51の基部511の直径はカラム管2の内径より長く構成されている。
【0025】
カラム管2の他端側22にはパッキンの先端部522が基部521より太く、且つカラム管2内に挿入することが出来ない太さで且つカラム管2をシール可能に構成されたパッキン52が用いられ、フィルタ42の周縁がパッキン52で被覆されてパッキン付きフィルタ54が構成され、パッキン付きフィルタ54は、パッキンの基部521がナット3の凹部31に嵌め込まれて設置されている。フィルタ42の直径は、カラム管2の内径と同一に構成され、パッキン52の先端部522の内径はカラム管2の内径と同一に構成され、基部521の直径はカラム管2の内径より長く構成されている。尚、パッキン52でカラム管2をシール可能であれば、パッキン52の内径を変化させて、フィルタ42の直径を、カラム管2の内径より長く又は短く構成することとしてもよい。
【0026】
又、ナット3のフィルタ41、42が設置される凹部31の底部には分散スペース39を設けている。分散スペース39には、分散板を設置し或いは分散機構を設けてもよい。カラム管2の一端側21と他端側22に設置されるナット3は同一形状であり、凹部31には、カラム管2内に入り充填層100を押圧するパッキン付きフィルタ45とカラム管の開口を塞ぐパッキン付きフィルタ54の両方を設置することが出来る。尚、カラム管2の一端側21と他端側22は、どちらが充填カラム1の移動相等が流入する側である入り口側でも、流出する側である出口側であってもよい。
【0027】
カラム管2に充填剤を充填して充填カラムを製造する方法は、先ず、図1(a)に示すように、フィルタ42をナット3で覆った状態で、カラム管2の他端側22にナット3を回転させてねじ込んで、パッキン付きフィルタ54を設置する。この際、フィルタ42及びパッキン52はカラム管2の内部には挿入されない。パッキン52により、カラム管2の他端側22はシールされ、この状態で充填剤をカラム管2の内部に充填し、充填層100を形成する。この充填時には公知のパッカーを用いて、圧力を加えて、又は加えずに充填する。そして、図1(b)に示すように、フィルタ41をナット3で覆った状態で、カラム管2の一端側21に、フィルタ41が設置されたナット3を回転させながらねじ込んで、パッキン付きフィルタ45を設置し、フィルタ41が充填剤で構成された充填層100に接触した後、図1(c)に示すように、ナット3を4.25回転以下回転させて、言い換えれば4回と1/4回転以下の回転数でねじ込んで、ナット3をフィルタ41と共に矢印A方向に移動させ、フィルタ41をカラム管2内に挿入し、フィルタ41で矢印B方向に充填層100を押圧し、圧縮する。この際、パッキン51もカラム管2内に挿入され、充填層100を押圧し、圧縮すると共に、カラム管2の一端側21をシールする。図1(a)の工程での充填完了後は、充填層100の上面101は平面状にし、図1(b)の工程でフィルタ41が充填層100に接触する際には、フィルタ41と充填層100の上面101は面接触とすることが好ましい。又、ナット3のねじ込みの回転数は、1回転~4.25回転であるが、特に1回転~4.0回転が好ましい。尚、図1(b)の工程で、フィルタ41が充填層100に接触した時は、未だフィルタ41は充填層100を押圧、圧縮していない。
【0028】
ナット3を4.25回転以下或いは4.0回転以下の回転数でねじ込むことにより、充填剤やフィルタの表面の損傷を抑制することが可能となった。そして、分離カラムの性能が低下することを抑制することが可能となった。結果として、分離カラムを使用して得られるクロマトグラムにおいて、メインピーク後方に小さなピークを出現させないことが可能となった。
【0029】
以上のような図1に示す実施の形態では、カラム管2の一端側21のパッキン付きフィルタ45、即ちフィルタ41及びパッキン51と、他端側22のパッキン付きフィルタ54、即ちフィルタ42及びパッキン52は形状が異なるが、図2に示すように、カラム管2の一端側21及び他端側22のパッキン付きフィルタ、即ちフィルタ及びパッキンの形状を同一とすることも出来る。
【0030】
図2に示す充填カラム1は、カラム管2の一端側21からフィルタ41で充填層100を圧縮するための構成である。具体的には、カラム管2の一端側21及び他端側22に、パッキンの先端部512が基部511より細く構成されてカラム管2内に挿入可能且つカラム管2をシール可能に構成されたパッキン51が用いられ、フィルタ41の周縁がパッキン51で被覆されてパッキン付きフィルタ45が構成され、パッキン付きフィルタ45は、パッキンの基部511がナット3の凹部31に嵌め込まれて設置されている。フィルタ41の直径及びパッキン51の先端部512の直径はカラム管2の内径より短く構成され、パッキン51の基部511の直径はカラム管2の内径より長く構成されている。又、ナット3の凹部31の底部には分散スペース39を設けている。分散スペース39には分散板を設置し或いは分散機構を設けてもよい。
【0031】
カラム管2に充填剤を充填して充填カラム1を製造する方法は、先ず、図2(a)に示すように、フィルタ41をナット3で覆った状態で、カラム管2の他端側22にナット3を回転させながらねじ込んで、フィルタ41をカラム管2内に挿入し、パッキン付きフィルタ45を設置する。この際、フィルタ41及びパッキン51はカラム管2の内部に挿入され、カラム管2の他端側22をシールする。この状態で充填剤をカラム管2の内部に充填する。そして、充填剤で充填層100を形成する。この充填時には公知のパッカーを用いて、圧力を加えて、又は加えずに充填する。そして、図2(b)に示すように、フィルタ41をナット3で覆った状態で、カラム管2の一端側21にフィルタ41が設置されたナット3をねじ込んで、パッキン付きフィルタ45を設置し、フィルタ41が充填剤で構成された充填層100に接触した後、図2(c)に示すように、ナット3を4.25回転以下回転させて、言い換えれば4回と1/4回転以下の回転数でねじ込んで、ナット3をフィルタ41と共に矢印A方向に移動させ、フィルタ41をカラム管2内に挿入し、フィルタ41で矢印B方向に充填層100を押圧し、圧縮する。この際、パッキン51もカラム管2内に挿入され、充填層100を押圧し、圧縮すると共に、カラム管2の一端側21をシールする。又、ナット3のねじ込みの回転数は、1回転~4.25回転であるが、特に1回転~4.0回転が好ましい。
【0032】
以上のような図1及び図2に示す実施の形態は、カラム管2の一端側21からのみフィルタ41で充填層100を圧縮する方法であるが、図3に示す充填カラム1は、カラム管2の両端側、即ち一端側21及び他端側22からフィルタ41で充填層100を圧縮するための構成である。
【0033】
パッキンの先端部512が基部511より細く構成されてカラム管2内に挿入可能且つカラム管2をシール可能に構成されたパッキン51を2個と、パッキンの先端部522が基部521より太く、且つカラム管2内に挿入することが出来ない太さで且つカラム管2をシール可能に構成されたパッキン52が用いられる。
【0034】
カラム管2に充填剤を充填して充填カラムを製造する方法は、先ず、図3(a)に示すように、フィルタ42をナット3で覆った状態で、カラム管2の他端側22にナット3を回転させながらねじ込んで、パッキン付きフィルタ54を設置する。この際、フィルタ42及びパッキン52はカラム管2の内部には挿入されない。パッキン52により、カラム管2の他端側22はシールされ、この状態で充填剤をカラム管2の内部に充填する。そして、充填された充填剤で充填層100を形成する。この充填時には公知のパッカーを用いて、圧力を加えて、又は加えずに充填する。そして、図3(b)に示すように、フィルタ41をナット3で覆った状態で、カラム管2の一端側21にフィルタ41が設置されたナット3をねじ込んで、パッキン付きフィルタ45を設置し、フィルタ41が充填剤で構成された充填層100に接触した後、図3(c)に示すように、充填カラム1の上下を逆さまにし、カラム管2の他端側22からナット3を外し、パッキン付きフィルタ54を外す。
【0035】
そして、図3(d)に示すように、フィルタ41をナット3で覆った状態で、カラム管2の他端側22にナット3を回転させながらねじ込んで、パッキン付きフィルタ45を設置し、フィルタ41が充填剤で構成された充填層100に接触した後、図3(e)に示すように、他端側22及び一端側21で、夫々ナット3を4.25回転以下回転させて、言い換えれば4回と1/4回転以下の回転数でねじ込んで、ナット3をフィルタ41と共に矢印A及び矢印A2方向に移動させ、フィルタ41をカラム管2内に挿入し、フィルタ41で矢印B1及び矢印B2方向に充填層100を押圧し、圧縮する。この際、パッキン51もカラム管2内に挿入され、充填層100を押圧し、圧縮すると共に、カラム管2の一端側21をシールする。他端側22及び一端側21の夫々で、ナット3をねじ込むが、このねじ込みは同時でもよいが時間差を設け、交互に或いは一方の終了後に他方をねじ込むこととしてもよい。又、ナット3のねじ込みの回転数は、夫々1回転~4.25回転であるが、特に1回転~4.0回転が好ましい。
【0036】
このように、カラム管2の両端側から充填層100を圧縮することにより、一端側から圧縮するよりも、同じだけ圧縮する場合に、一方のナットの回転数を半減することが出来、よりフィルタの損傷を抑制することが出来、又、充填剤の充填密度の分布をより均一にすることが出来る。
【0037】
このように、4.25回転以下、より確実には4.0回転以下の回転数でねじ込むことにより、充填剤の充填状態の乱れやフィルタの表面の損傷を抑制することが可能となった。そして、分離カラムの性能が低下することを抑制することが可能となった。結果として、分離カラムを使用して得られるクロマトグラムにおいて、メインピーク後方に小さなピークを出現させないことが可能となった。ここで、ねじの形状や規格、充填の密度にかかわらず、回転数にのみ影響を受けるのは、回転によりフィルタや充填剤の充填状態が破壊されるからである。
【実施例1】
【0038】
図1に示すように、カラム管2に充填剤を高圧充填し、内部の分散スペース39に接合するように入口側のフィルタ41が設置された入口側のナット3を、入口側のフィルタ41が充填層100に当たるまでカラム管2に回転させながらねじ込み、その後入口側のナット3を1回転~5回転させてねじ込み、入口側のフィルタ41が充填層100を圧縮するように押し込み、ねじ込みの回転数が異なる12種の分離カラムを作製した。夫々の分離カラムを、液体クロマトグラフを用いて評価した。結果を表1に示す。
【0039】
詳しくは、図1に示すように、内径20mm、長さ50mmのカラム管2、即ち空の分離カラムの出口側(ここでは他端側22)に、カラム管2出口を塞ぐ形の出口側のフィルタ42が設置された出口側のナット3をカラム管2にねじ込み、出口側のフィルタ42をカラム管2内には入れず、カラム管2出口を塞ぐように出口側のナット3を固定した。カラム管2の入口側(ここでは一端側21)に、オクタデシル化シリカゲル(Inertsil(登録商標) ODS-80A、粒子径5μm、ジーエルサイエンス社)を2-プロパノールに分散させたスラリーを入れた、図示しないパッカーを取り付け、送液ポンプPU714M(ジーエルサイエンス社)を用いて2-プロパノールを送液し、充填剤を高圧充填し、充填剤の密度が0.599g/cmの充填層100を形成した(図1(a))。その後パッカーを取り外し、カラム管2の入口側に、カラム管2内に入り充填層100を押し込める形の入口側のフィルタ41が設置された入口側のナット3を、入口側のフィルタ41が充填層100に接するまでカラム管2にねじ込んだ(図1(b))。その後入口側のナット3を、実施例として、1回転、2回転、2.5回転、3回転、3.25回転、3.5回転、3.75回転、4回転、4.25回転、比較例として、4.5回転、4.75回転、5回転させてねじ込み、入口側のフィルタ41が充填層100を圧縮するように押し込んだ、ねじ込みの回転数が異なる12種の分離カラムを作製した(図1(c))。入口側のナット3、出口側のナット3及びカラム管2のネジの形状はメートル細目ネジM25×1とし、入口側のナット3を1回転させると軸方向に1mm移動した。
【0040】
12種の分離カラムは、入口側のナット3の回転数が1回転、2回転、2.5回転、3回転、3.25回転、3.5回転、3.75回転、4回転、4.25回転、4.5回転、4.75回転、5回転の順で、充填層の長さが、夫々、49mm、48mm、47.5mm、47mm、46.75mm、46.5mm、46.25mm、46mm、45.75mm、45.5mm、45.25mm、45mmとなった。
【0041】
クロマトグラムの採取は、分取用液体クロマトグラフPLC761(ジーエルサイエンス社)を使用し、送液ポンプPU714M(ジーエルサイエンス社)を用いて移動相(アセトニトリル/水=30/70,v/v)を20mL/minの流量で送液した。分離カラム恒温槽CO705C(ジーエルサイエンス社)の設定温度は30℃とした。検出には、UV検出器(UV702、ジーエルサイエンス社)を使用した。検出波長は254nmとした。試料には、3’-フルオロアセトアニリド(20mg/mL)のアセトニトリル/水=30/70溶液を使用した。試料注入容量は50μLとした。
【0042】
【表1】
【0043】
入口側のナット3を1回転~4.25回転させて入口側のフィルタ41を充填層100に押し込んだ9種の分離カラム(充填層の長さ49mm~45.75mmの分離カラム)(実施例1-1~実施例1-9)で得られたクロマトグラムでは、一例として示す、ナット3を2回転させて作製した、充填層の長さ48mmの分離カラムで得た、図4(a)のクロマトグラムと同様に、3’-フルオロアセトアニリドのメインピーク形状は良かったが、入口側のナット3を4.5回転~5回転させて入口側のフィルタ41を充填層100に押し込んだ3種の分離カラム(充填層の長さ45.5mm~45mmの分離カラム)(比較例1-1~比較例1-3)で得られたクロマトグラムでは、一例として示す、充填層の長さ45.5mmの分離カラムで得た、図4(b)のクロマトグラムと同様に、3’-フルオロアセトアニリドのメインピークの後ろ側に小さなピークが現れた。また、小さなピークが現れ始めた後は、その小さなピークの面積値は、入口側のナット3の回転数が多くなり、入口側のフィルタ41が充填層を押し込むほど大きな値となった。尚、小さなピークは、表1から表6中においては肩ピークと表す。
【実施例2】
【0044】
図1に示すように、カラム管2に充填剤を高圧充填し、内部の分散スペース39に接合するように入口側のフィルタ41が設置された入口側のナット3を、入口側のフィルタ41が充填層100に当たるまでカラム管2に回転させながらねじ込み、その後入口側のナット3を1回転~5回転させてねじ込み、入口側のフィルタ41が充填層100を圧縮するように押し込んだ、ねじ込みの回転数が異なる12種の分離カラムを作製した。それぞれの分離カラムを、液体クロマトグラフを用いて評価した。結果を表2に示す。
【0045】
詳しくは、図1に示すように、内径20mm、長さ50mmのカラム管2、即ち空の分離カラムの出口側(ここでは他端側22)に、カラム管2出口を塞ぐ形の出口側のフィルタ42が設置された出口側のナット3をカラム管にねじ込み、出口側フィルタをカラム管2内には入れず、カラム管2出口を塞ぐように出口側のナット3を固定した。カラム管2の入口側(ここでは一端側21)に、オクタデシル化シリカゲル(Inertsil(登録商標) ODS-80A、粒子径5μm、ジーエルサイエンス社)を2-プロパノールに分散させたスラリーを入れた、図示しないパッカーを取り付け、送液ポンプPU714M(ジーエルサイエンス社)を用いて2-プロパノールを送液し、充填剤を高圧充填し、充填剤の密度が0.658g/cmの充填層100を形成した。その後パッカーを取り外し、カラム管2の入口側に、カラム管2内に入り充填層100を押し込める形の入口側のフィルタ41が設置された入口側のナット3を、入口側のフィルタ41が充填層に当たるまでカラム管にねじ込んだ。その後入口側のナット3を、実施例として、1回転、2回転、2.5回転、3回転、3.25回転、3.5回転、3.75回転、4回転、比較例として、4.25回転、4.5回転、4.75回転、5回転させてねじ込み、入口側のフィルタ41が充填層100を圧縮するように押し込んだ、ねじ込みの回転数が異なる12種の分離カラムを作製した。入口側のナット3、出口側のナット3及びカラム管のネジの形状はメートル細目ネジM25×1とし、入口側のナット3を1回転させると軸方向に1mm移動した。
【0046】
12種の分離カラムは、入口側のナット3の回転数が1回転、2回転、2.5回転、3回転、3.25回転、3.5回転、3.75回転、4回転、4.25回転、4.5回転、4.75回転、5回転の順で、充填層の長さが、夫々、49mm、48mm、47.5mム、47mm、46.75mm、46.5mm、46.25mm、46mm、45.75mm、45.5mm、45.25mm、45mmとなった。
【0047】
クロマトグラムの採取は、分取用液体クロマトグラフPLC761(ジーエルサイエンス社)を使用し、送液ポンプPU714M(ジーエルサイエンス社)を用いて移動相(アセトニトリル/水=30/70,v/v)を20mL/minの流量で送液した。分離カラム恒温槽CO705C(ジーエルサイエンス社)の設定温度は30℃とした。検出には、UV検出器(UV702、ジーエルサイエンス社)を使用した。検出波長は254nmとした。試料には、3’-フルオロアセトアニリド(20mg/mL)のアセトニトリル/水=30/70溶液を使用した。試料注入容量は50μLとした。
【0048】
【表2】
【0049】
入口側のナット3を1回転~4回転させて入口側のフィルタ41を充填層100に押し込んだ8種の分離カラム(充填層の長さ49mm~46mmの分離カラム)(実施例2-1~実施例2-8)で得られたクロマトグラムでは、3’-フルオロアセトアニリドのメインピーク形状は良かったが、入口側のナット3を4.25回転~5回転させて入口側のフィルタ41を充填層に押し込んだ4種の分離カラム(充填層の長さ45.75mm~45mmの分離カラム)(比較例2-1~比較例2-4)では、3’-フルオロアセトアニリドのメインピークの後ろ側に小さなピークが現れた。また、小さなピークが現れ始めた後は、その小さなピークの面積値は、入口側のナット3の回転数が多くなり、入口側のフィルタ41が充填層を押し込むほど大きな値となった。
【実施例3】
【0050】
図1に示すように、カラム管2に充填剤を高圧充填し、内部の分散スペース39に接合するように入口側のフィルタ41が設置された入口側のナット3を、入口側のフィルタ41が充填層に当たるまでカラム管2に回転させながらねじ込み、その後入口側のナット3を1回転~5回転させてねじ込み、入口側のフィルタ41が充填層100を圧縮するように押し込んだ、ねじ込みの回転数が異なる12種の分離カラムを作製した。それぞれの分離カラムを、液体クロマトグラフを用いて評価した。結果を表3に示す。
【0051】
詳しくは、図1に示すように、内径20mm、長さ50mmのカラム管2、即ち空の分離カラムの出口側(ここでは他端側22)に、カラム管2出口を塞ぐ形の出口側のフィルタ42が設置された出口側のナット3をカラム管2にねじ込み、出口側のフィルタ42をカラム管2内には入れず、カラム管出口を塞ぐように出口側のナット3を固定した。カラム管2の入口側(ここでは一端側21)に、オクタデシル化シリカゲル(Inertsil(登録商標) ODS-80A、粒子径5μm、ジーエルサイエンス社)を2-プロパノールに分散させたスラリーを入れた、図示しないパッカーを取り付け、送液ポンプPU714M(ジーエルサイエンス社)を用いて2-プロパノールを送液し、充填剤を高圧充填し、充填剤の密度が0.669g/cmの充填層100を形成した。その後パッカーを取り外し、カラム管2の入口側に、カラム管2内に入り充填層100を押し込める形の入口側のフィルタ41が設置された入口側のナット3を、入口側のフィルタ41が充填層に当たるまでカラム管にねじ込んだ。その後入口側のナット3を、実施例として、1回転、2回転、2.5回転、3回転、3.25回転、3.5回転、3.75回転、4回転、比較例として、4.25回転、4.5回転、4.75回転、5回転させてねじ込み、入口側のフィルタ41が充填層100を圧縮するように押し込んだ、ねじ込みの回転数が異なる12種の分離カラムを作製した。入口側のナット3、出口側のナット3及びカラム管のネジの形状はメートル細目ネジM25×1とし、入口側のナット3を1回転させると軸方向に1mm移動した。
【0052】
12種の分離カラムは、入口側のナット3の回転数が1回転、2回転、2.5回転、3回転、3.25回転、3.5回転、3.75回転、4回転、4.25回転、4.5回転、4.75回転、5回転の順で、充填層の長さが、夫々、49mm、48mm、47.5mム、47mm、46.75mm、46.5mm、46.25mm、46mm、45.75mm、45.5mm、45.25mm、45mmとなった。
【0053】
クロマトグラムの採取は、分取用液体クロマトグラフPLC761(ジーエルサイエンス社)を使用し、送液ポンプPU714M(ジーエルサイエンス社)を用いて移動相(アセトニトリル/水=30/70,v/v)を20mL/minの流量で送液した。分離カラム恒温槽CO705C(ジーエルサイエンス社)の設定温度は30℃とした。検出には、UV検出器(UV702、ジーエルサイエンス社)を使用した。検出波長は254nmとした。試料には、3’-フルオロアセトアニリド(20mg/mL)のアセトニトリル/水=30/70溶液を使用した。試料注入容量は50μLとした。
【0054】
【表3】
【0055】
入口側のナット3を1回転~4回転させて入口側のフィルタ41を充填層に押し込んだ8種の分離カラム(充填層の長さ49mm~46mmの分離カラム)(実施例3-1~実施例3-8)で得られたクロマトグラムでは、3’-フルオロアセトアニリドのメインピーク形状は良かったが、入口側のナット3を4.25回転~5回転させて入口側のフィルタ41を充填層に押し込んだ4種の分離カラム(充填層の長さ45.75mm~45mmの分離カラム)(比較例3-1~比較例3-4)では、3’-フルオロアセトアニリドのメインピークの後ろ側に小さなピークが現れた。また、小さなピークが現れ始めた後は、その小さなピークの面積値は、入口側のナット3の回転数が多くなり、入口側のフィルタ41が充填層を押し込むほど大きな値となった。
【実施例4】
【0056】
図1に示すように、カラム管2に充填剤を高圧充填し、内部の分散スペース39に接合するように入口側のフィルタ41が設置された入口側のナット3を、入口側のフィルタ41が充填層に当たるまでカラム管2に回転させながらねじ込み、その後入口側のナット3を1回転~5回転させてねじ込み、入口側のフィルタ41が充填層を圧縮するように押し込んだ、ねじ込みの回転数が異なる12種の分離カラムを作製した。それぞれの分離カラムを、液体クロマトグラフを用いて評価した。結果を表5に示す。
【0057】
詳しくは、図1に示すように、内径20mm、長さ50mmのカラム管、即ち空の分離カラムの出口側(ここでは他端側22)に、カラム管2出口を塞ぐ形の出口側のフィルタ42が設置された出口側のナット3をカラム管にねじ込み、出口側のフィルタ42をカラム管2内には入れず、カラム管出口を塞ぐように出口側のナット3を固定した。カラム管2の入口側(ここでは一端側21)に、オクタデシル化シリカゲル(Inertsil(登録商標) ODS-80A、粒子径5μm、ジーエルサイエンス社)を2-プロパノールに分散させたスラリーを入れた、図示しないパッカーを取り付け、送液ポンプPU714M(ジーエルサイエンス社)を用いて2-プロパノールを送液し、充填剤を高圧充填し、充填剤の密度が0.669g/cmの充填層100を形成した。その後パッカーを取り外し、カラム管2の入口側に、カラム管2内に入り充填層100を押し込める形の入口側のフィルタ41が設置された入口側のナット3を、入口側のフィルタ41が充填層に当接するまでカラム管2にねじ込んだ。その後入口側のナット3を、実施例として、1回転、2回転、2.5回転、3回転、3.25回転、3.5回転、3.75回転、4回転、4.25回転、比較例として、4.5回転、4.75回転、5回転させてねじ込み、入口側のフィルタ41が充填層を圧縮するように押し込んだ、ねじ込みの回転数が異なる12種の分離カラムを作製した。入口側のナット3、出口側のナット3及びカラム管のネジの形状はメートル細目ネジM30×1.5とし、入口側のナット3を1回転させると軸方向に1.5mm移動した。
【0058】
12種の分離カラムは、入口側のナット3の回転数が1回転、2回転、2.5回転、3回転、3.25回転、3.5回転、3.75回転、4回転、4.25回転、4.5回転、4.75回転、5回転の順で、充填層の長さが、夫々、48.5mm、47mm、46.25mm、45.5mm、45.22mm、44.75mm、44.37mm、44mm、43.62mm、43.25mm、42.87mm、42.5mmとなった。
【0059】
クロマトグラムの採取は、分取用液体クロマトグラフPLC761(ジーエルサイエンス社)を使用し、送液ポンプPU714M(ジーエルサイエンス社)を用いて移動相(アセトニトリル/水=30/70,v/v)を20mL/minの流量で送液した。分離カラム恒温槽CO705C(ジーエルサイエンス社)の設定温度は30℃とした。検出には、UV検出器(UV702、ジーエルサイエンス社)を使用した。検出波長は254nmとした。試料には、3’-フルオロアセトアニリド(20mg/mL)のアセトニトリル/水=30/70溶液を使用した。試料注入容量は50μLとした。
【0060】
【表4】
【0061】
入口側のナット3を1回転~4.25回転させて入口側のフィルタ41を充填層に押し込んだ9種の分離カラム(充填層の長さ48.5mm~43.62mmの分離カラム)(実施例4-1~実施例4-9)で得られたクロマトグラムでは、3’-フルオロアセトアニリドのメインピーク形状は良かったが、入口側のナット3を4.5回転~5回転させて入口側のフィルタ41を充填層に押し込んだ3種の分離カラム(充填層の長さ43.25mm~42.5mmの分離カラム(比較例4-1~比較例4-3))では、3’-フルオロアセトアニリドのメインピークの後ろ側に小さなピークが現れた。また、小さなピークが現れ始めた後は、その小さなピークの面積値は、入口側のナット3の回転数が多くなり、入口側のフィルタ41が充填層を押し込むほど大きな値となった。
【実施例5】
【0062】
図1に示すように、カラム管2に充填剤を高圧充填し、内部の分散スペース39に接合するように入口側のフィルタ41が設置された入口側のナット3を、入口側のフィルタ41が充填層に当たるまでカラム管2に回転させながらねじ込み、その後入口側のナット3を1回転~5回転させてねじ込み、入口側のフィルタ41が充填層を圧縮するように押し込んだ、ねじ込みの回転数が異なる12種の分離カラムを作製した。それぞれの分離カラムを、液体クロマトグラフを用いて評価した。結果を表5に示す。
【0063】
図1に示すように、内径20mm、長さ100mmのカラム管2、即ち空の分離カラムの出口側(ここでは他端側22)に、カラム管2出口を塞ぐ形の出口側のフィルタ42が設置された出口側のナット3をカラム管にねじ込み、出口側のフィルタ42をカラム管2内には入れず、カラム管2出口を塞ぐように出口側のナット3を固定した。カラム管2の入口側(ここでは一端側21)に、オクタデシル化シリカゲル(Inertsil(登録商標) ODS-80A、粒子径5μm、ジーエルサイエンス社)を2-プロパノールに分散させたスラリーを入れた、図示しないパッカーを取り付け、送液ポンプPU714M(ジーエルサイエンス社)を用いて2-プロパノールを送液し、充填剤を高圧充填し、充填剤の密度が0.668g/cmの充填層100を形成した。その後パッカーを取り外し、カラム管2の入口側に、カラム管2内に入り充填層100を押し込める形の入口側のフィルタ41が設置された入口側のナット3を、入口側のフィルタ41が充填層に接触するまでカラム管2にねじ込んだ。その後、入口側のナット3を、実施例として、1回転、2回転、2.5回転、3回転、3.25回転、3.5回転、3.75回転、4回転、比較例として、4.25回転、4.5回転、4.75回転、5回転させてねじ込み、入口側のフィルタ41が充填層を圧縮するように押し込んだ、ねじ込みの回転数が異なる12種の分離カラムを作製した。入口側のナット3、出口側のナット3及びカラム管2のネジの形状はメートル細目ネジM25×1とし、入口側のナット3を1回転させると軸方向に1mm移動した。
【0064】
12種の分離カラムは、入口側のナット3の回転数が1回転、2回転、2.5回転、3回転、3.25回転、3.5回転、3.75回転、4回転、4.25回転、4.5回転、4.75回転、5回転の順で、充填層の長さが、夫々、99mm、98mm、97.5mm、97mm、96.75mm、96.5mm、96.25mm、96mm、95.75mm、95.5mm、95.25mm、95mmとなった。
【0065】
クロマトグラムの採取は、分取用液体クロマトグラフPLC761(ジーエルサイエンス社)を使用し、送液ポンプPU714M(ジーエルサイエンス社)を用いて移動相(アセトニトリル/水=30/70,v/v)を20mL/minの流量で送液した。分離カラム恒温槽CO705C(ジーエルサイエンス社)の設定温度は30℃とした。検出には、UV検出器(UV702、ジーエルサイエンス社)を使用した。検出波長は254nmとした。試料には、3’-フルオロアセトアニリド(20mg/mL)のアセトニトリル/水=30/70溶液を使用した。試料注入容量は50μLとした。
【0066】
【表5】
【0067】
入口側のナット3を1回転~4回転させて入口側のフィルタ41を充填層に押し込んだ8種の分離カラム(充填層の長さ99mm~96mmの分離カラム)(実施例5-1~実施例5-8)で得られたクロマトグラムでは、3’-フルオロアセトアニリドのメインピーク形状は良かったが、入口側のナット3を4.25回転~5回転させて入口側のフィルタ41を充填層に押し込んだ4種の分離カラム(充填層の長さ95.75mm~95.0mmの分離カラム)(比較例5-1~比較例5-4)では、3’-フルオロアセトアニリドのメインピークの後ろ側に小さなピークが現れた。また、小さなピークが現れ始めた後は、その小さなピークの面積値は、入口側のナット3の回転数が多くなり、入口側のフィルタ41が充填層を押し込むほど大きな値となった。
【実施例6】
【0068】
図1に示すように、カラム管2に充填剤を高圧充填し、内部の分散スペース39に接合するように入口側のフィルタ41が設置された入口側のナット3を、入口側のフィルタ41が充填層100に当たるまでカラム管2に回転させながらねじ込み、その後入口側のナット3を1回転~5回転させてねじ込み、入口側のフィルタ41が充填層100を圧縮するように押し込んだ、ねじ込みの回転数が12種の分離カラムを作製した。それぞれの分離カラムを、液体クロマトグラフを用いて評価した。結果を表6に示す。
【0069】
詳しくは、図1に示すように、内径20mm、長さ150mmのカラム管2、即ち空の分離カラムの出口側(ここでは他端側22)に、カラム管2出口を塞ぐ形の出口側のフィルタ42が設置された出口側のナット3をカラム管2にねじ込み、出口側のフィルタ42をカラム管2内には入れず、カラム管2出口を塞ぐように出口側のナット3を固定した。カラム管の入口側(ここでは一端側21)に、オクタデシル化シリカゲル(Inertsil(登録商標) ODS-80A、粒子径5μm、ジーエルサイエンス社)を2-プロパノールに分散させたスラリーを入れた、図示しないパッカーを取り付け、送液ポンプPU714M(ジーエルサイエンス社)を用いて2-プロパノールを送液し、充填剤を高圧充填し、充填剤の密度が0.722g/cmの充填層100を形成した。その後パッカーを取り外し、カラム管2の入口側に、カラム管2内に入り充填層100を押し込める形の入口側のフィルタ41が設置された入口側のナット3を、入口側のフィルタ41が充填層100に当たるまでカラム管2にねじ込んだ。その後入口側のナット3を、実施例として、1回転、2回転、2.5回転、3回転、3.25回転、3.5回転、3.75回転、4回転、比較例として、4.25回転、4.5回転、4.75回転、5回転させてねじ込み、入口側のフィルタ41が充填層100を圧縮するように押し込んだ、ねじ込みの回転数が異なる12種の分離カラムを作製した。入口側のナット3、出口側のナット3及びカラム管2のネジの形状はメートル細目ネジM25×1とし、入口側のナット3を1回転させると軸方向に1mm移動した。
【0070】
12種の分離カラムは、入口側のナット3の回転数が1回転、2回転、2.5回転、3回転、3.25回転、3.5回転、3.75回転、4回転、4.25回転、4.5回転、4.75回転、5回転の順で、充填層の長さが、夫々、149mm、148mm、147.5mm、147mm、146.75mm、146.5mm、146.25mm、146mm、145.75mm、145.5mm、145.25mm、145mmとなった。
【0071】
クロマトグラムの採取は、分取用液体クロマトグラフPLC761(ジーエルサイエンス社)を使用し、送液ポンプPU714M(ジーエルサイエンス社)を用いて移動相(アセトニトリル/水=30/70,v/v)を20mL/minの流量で送液した。分離カラム恒温槽CO705C(ジーエルサイエンス社)の設定温度は30℃とした。検出には、UV検出器(UV702、ジーエルサイエンス社)を使用した。検出波長は254nmとした。試料には、3’-フルオロアセトアニリド(20mg/mL)のアセトニトリル/水=30/70溶液を使用した。試料注入容量は50μLとした。
【0072】
【表6】
【0073】
入口側のナット3を1回転~4回転させて入口側のフィルタ41を充填層に押し込んだ8種の分離カラム(充填層の長さ149mm~146mmの分離カラム)(実施例6-1~実施例6-8)で得られたクロマトグラムでは、3’-フルオロアセトアニリドのメインピーク形状は良かったが、入口側のナット3を4.25回転~5回転させて入口側のフィルタ41を充填層に押し込んだ4種の分離カラム(充填層の長さ145.75mm~145mmの分離カラム)(比較例6-1~比較例6-4)では、3’-フルオロアセトアニリドのメインピークの後ろ側に小さなピークが現れた。また、小さなピークが現れ始めた後は、その小さなピークの面積値は、入口側のナット3の回転数が多くなり、入口側のフィルタ41が充填層を押し込むほど大きな値となった。
【0074】
以上の実施例1~実施例6の結果より、以下のことがわかる。即ち、充填密度、ネジ規格、カラム長さ、充填層の長さが異なる場合でも、ナットを4.25回転以下、実施例によっては4回転以下回転させてフィルタを充填層に押し込んだ分離カラムで得られたクロマトグラムのメインピーク形状は良いが、ナットを4.5回転以上、実施例によっては4.25回転以上回転させてフィルタを充填層に押し込んだ分離カラムで得られたクロマトグラムでは、ピーク割れが起こり、ピーク形状が悪くなることが分かった。
【実施例7】
【0075】
図2に示すように、カラム管2に充填剤を高圧充填し、内部の分散スペース39に接合するように入口側のフィルタ41が設置された入口側のナット3を、入口側のフィルタ41が充填層100に当たるまでカラム管2に回転させながらねじ込み、その後入口側のナット3を4回転させてねじ込み、入口側のフィルタ41が充填層100を圧縮するように押し込んだ分離カラムを作製した。分離カラムは液体クロマトグラフを用いて評価した。
【0076】
詳しくは、図2に示すように、内径20mm、長さ58mmのカラム管2、即ち空の分離カラムの出口側に、カラム管2内に入り充填層100を押し込める形の出口側のフィルタ41が設置された出口側のナット3をカラム管2にねじ込み、出口側のフィルタ41をカラム管2内に4mm挿入して固定した。カラム管2の入口側に、オクタデシル化シリカゲル(Inertsil(登録商標) ODS、粒子径5μm、ジーエルサイエンス社)を2-プロパノールに分散させたスラリーを入れた、図示しないパッカーを取り付け、送液ポンプPU714M(ジーエルサイエンス社)を用いて2-プロパノールを送液し、充填剤を高圧充填し、充填剤の密度が0.669g/cmの充填層100を形成した(図2(a))。その後パッカーを取り外し、カラム管2の入口側に、カラム管2内に入り充填層100を押し込める形のフィルタ41が設置された入口側のナット3を、フィルタ41が充填層100に当たるまでカラム管2にねじ込んだ(図2(b))。その後入口側のナット3を4回転させてねじ込み、フィルタ41が充填層100を圧縮するように押し込んだ分離カラムを作製した(図2(c))。入口側のナット3、出口側のナット3及びカラム管2のネジの形状はメートル細目ネジM25×1とし、入口側のナット3を1回転させると軸方向に1mm移動した。分離カラムは充填層の長さが、50mmとなった。
【0077】
クロマトグラムの採取は、分取用液体クロマトグラフPLC761(ジーエルサイエンス社)を使用し、送液ポンプPU714M(ジーエルサイエンス社)を用いて移動相(アセトニトリル/水=30/70,v/v)を20mL/minの流量で送液した。分離カラム恒温槽CO705C(ジーエルサイエンス社)の設定温度は30℃とした。検出には、UV検出器(UV702、ジーエルサイエンス社)を使用した。検出波長は254nmとした。試料には、3’-フルオロアセトアニリド(20mg/mL)のアセトニトリル/水=30/70溶液を使用した。試料注入容量は50μLとした。
【0078】
入口側のナット3を4回転させて充填層100に押し込んだ分離カラム(充填層の長さ50mmの分離カラム)で得られたクロマトグラムでは、3’-フルオロアセトアニリドのメインピーク形状は良く、3’-フルオロアセトアニリドのメインピークの後ろ側に小さなピークは現れなかった。
【実施例8】
【0079】
図3に示すように、空の分離カラム、即ちカラム管2に充填剤を高圧充填し、内部の分散スペース39に接合するようにフィルタ41が設置された入口側のナット3と出口側のナット3を、フィルタが充填層100に当たるまでカラム管2に回転させながらねじ込み、その後入口側のナット3と出口側のナット3をそれぞれ夫々4回転させてねじ込み、フィルタ41が充填層100を圧縮するように押し込んだ分離カラムを作製した。分離カラムは液体クロマトグラフを用いて評価した。
【0080】
詳しくは、図3に示すように、内径20mm、長さ58mmのカラム管2、即ち空の分離カラムの出口側(ここでは他端側22)に、カラム管2出口を塞ぐ形の出口側のフィルタ42が設置された出口側のナット3をカラム管2にねじ込み、出口側のフィルタ42をカラム管2内には入れず、カラム管2出口を塞ぐように出口側のナット3を固定した。カラム管2の入口側(ここでは一端側21)に、オクタデシル化シリカゲル(Inertsil(登録商標) ODS、粒子径5μm、ジーエルサイエンス社)を2-プロパノールに分散させたスラリーを入れた、図示しないパッカーを取り付け、送液ポンプPU714M(ジーエルサイエンス社)を用いて2-プロパノールを送液し、充填剤を高圧充填し、充填剤の密度が0.669g/cmの充填層100を形成した(図3(a))。その後パッカーを取り外し、カラム管2の入口側に、カラム管2内に入り充填層100を押し込める形の入口側のフィルタ41が設置された入口側のナット3を、入口側のフィルタ41が充填層100に当たるまでカラム管2にねじ込んだ(図3(b))。続いてカラム管2の出口側から出口側のナット3を取り外し(図3(c))、カラム管2の出口側に、カラム管2内に入り充填層100を押し込める形の出口側のフィルタ41が設置された出口側のナット3を、出口側のフィルタ41が充填層100に当たるまでカラム管2にねじ込んだ(図3(d))。その後入口側のナット3と出口側のナット3それぞれを4回転させてねじ込み、入口側のフィルタ41と出口側のフィルタ41それぞれが充填層100を圧縮するように押し込んだ分離カラムを作製した(図3(e))。入口側のナット3、出口側のナット3及びカラム管のネジの形状はメートル細目ネジM25×1とし、入口側のナット3、出口側のナット3それぞれを1回転させると軸方向に1mm移動した。
【0081】
クロマトグラムの採取は、分取用液体クロマトグラフPLC761(ジーエルサイエンス社)を使用し、送液ポンプPU714M(ジーエルサイエンス社)を用いて移動相(アセトニトリル/水=30/70,v/v)を20mL/minの流量で送液した。分離カラム恒温槽CO705C(ジーエルサイエンス社)の設定温度は30℃とした。検出には、UV検出器(UV702、ジーエルサイエンス社)を使用した。検出波長は254nmとした。試料には、3’-フルオロアセトアニリド(20mg/mL)のアセトニトリル/水=30/70溶液を使用した。試料注入容量は50μLとした。
【0082】
入口側のナット3、出口側のナット3それぞれを4回転させて充填層に押し込んだ分離カラム(充填層の長さ50mmの分離カラム)で得られたクロマトグラムでは、3’-フルオロアセトアニリドのメインピーク形状は良く、3’-フルオロアセトアニリドのメインピークの後ろ側に小さなピークは現れなかった。
【産業上の利用可能性】
【0083】
以上のような本発明によれば、分離カラムに移動相が流れる際に生じる流体の力により充填層が圧縮されてボイドが生じることを低減すると共に、フィルタの損傷を抑制し、分離カラムの性能が低下することを抑制することができるので、液体クロマトグラフを用いた分析や分取での利用価値が高く、液体クロマトグラフを用いた分析や分取を利用するさまざまな産業において利用される。
【符号の説明】
【0084】
1 充填カラム
100 充填層
2 カラム管
20 カラム管の外側面
21 カラム管の一端側
22 カラム管の他端側
3 ナット
31 凹部
39 分散スペース
41 フィルタ
42 フィルタ
51 パッキン
52 パッキン
図1
図2
図3
図4