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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】車両用空調装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/32 20060101AFI20240807BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20240807BHJP
   E02F 9/16 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
B60H1/32 614Z
B60H1/00 102P
B60H1/00 102T
E02F9/16 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020157476
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2022051153
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001845
【氏名又は名称】サンデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 太一
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-196847(JP,A)
【文献】特開2018-069854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/32
B60H 1/00
E02F 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の座席下部と床面との間に設置される車両用空調装置であって、
ブロワが配備されたブロワユニットと熱交換器が配備された熱交換器ユニットを備え、
前記ブロワユニットと前記熱交換器ユニットとは、前記車両の床面に沿って空気流路を形成するように接続され、
前記ブロワユニットは、前記熱交換器ユニットに対して前記空気流路と交差し、且つ、前記車両の床面に沿った方向に着脱可能に接続され
前記ブロワユニットの前記熱交換器ユニットとの接続面上方に、前記熱交換器ユニットの膨張を規制する規制部が設けられている、車両用空調装置。
【請求項2】
前記ブロワユニットは、前記ブロワとインテーク部品が一体的に配備されている、請求項1記載の車両空調装置。
【請求項3】
前記ブロワユニットの前記熱交換器ユニットとの接続面、又は、前記熱交換器ユニットの前記ブロワユニットとの接続面のいずれか一方に設けられ、前記空気流路と交差する方向に延びるスライドレールと、
前記ブロワユニットの前記熱交換器ユニットとの接続面、又は、前記熱交換器ユニットの前記ブロワユニットとの接続面のいずれか他方に設けられ、前記スライドレールに対応するスライド溝と、をさらに備え、
前記スライドレールを前記スライド溝に摺動させることにより、前記ブロワユニットを前記熱交換器ユニットに対して着脱可能に設けた、請求項1又は請求項2記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記ブロワユニット又は前記熱交換器ユニットのいずれか一方に設けられ、前記ブロワユニットの前記熱交換器ユニットに対する位置決め用凸部と、
前記ブロワユニット又は前記熱交換器ユニットのいずれか他方に設けられ、前記位置決め用凸部が嵌合する位置決め用凹部と、をさらに備え、
前記位置決め用凸部は、前記空気流路と交差する方向に突出している、請求項1~請求項3のいずれか1項記載の車両用空調装置。
【請求項5】
前記ブロワユニットにおいて、前記位置決め用凸部又は前記位置決め用凹部の平面視対角位置に、前記車両の床面と前記ブロワユニットとを位置決めして固定するための固定孔が設けられた請求項4記載の車両用空調装置。
【請求項6】
前記熱交換器ユニットは、前記熱交換器ユニットを前記床面に取り付けるための取付孔を有し、
前記固定孔の径は、前記取付孔の径よりも小径である請求項5記載の車両用空調装置。
【請求項7】
前記ブロワユニットの前記熱交換器ユニットとの接続面に設けられ、前記熱交換器ユニットに空気を送風する送風用開口部と、
前記熱交換器ユニットの前記ブロワユニットとの接続面に設けられ、前記送風用開口部からの空気を取り込む取入開口部と、を備え、
前記送風用開口部と前記取開口部とが嵌合する、請求項1~請求項のいずれか1項記載の車両用空調装置。
【請求項8】
前記ブロワユニットの前記熱交換器ユニットとの接続面、又は、前記熱交換器ユニットの前記ブロワユニットとの接続面のいずれか一方に設けられ、前記空気流路に沿う方向において前記ブロワユニットと前記熱交換器ユニットとを位置決めするガイドと、
前記ブロワユニットの前記熱交換器ユニットとの接続面、又は、前記熱交換器ユニットの前記ブロワユニットとの接続面のいずれか他方に設けられ、前記ガイドに対応するガイドレールと、を備えた、請求項1~請求項のいずれか1項記載の車両用空調装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両用空調装置、特に、建設機械のキャビン内に設置される車両用空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建設機械の運転席シート直下のシートブラケットと床面(フロア)との間に設置される車両用空調装置が知られている(例えば、特許文献1)。このような車両用空調装置は、ケースの内部に車両に対して水平方向に並んで設けられるブロワ及び熱交換器を備え、ブロワによって車両内部又は車両外部の空気を取り込み、取り込んだ空気の温度及び湿度を熱交換器によって調整し、車両内に供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-276707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような車両用空調装置において、ブロワや熱交換器等に含まれる機能部品の清掃、修理及び交換等のメンテナンスを行う場合、作業者は、車両用空調装置の上に配置されているシートブラケットや運転席シートを完全に取り外し、ケースを取り出さなければメンテナンス対象の部品にアクセスすることができない。従って、メンテナンスの工数が多く煩雑であり、メンテナンスに多くの手間と時間を要してしまう。メンテナンスに時間を要すると、作業対象の建設機械の稼働を停止させる時間が長くなってしまう。特に、ブロワは、車両外部の空気を取り込むことから熱交換器に比して砂埃や粉塵が付着しやすく、熱交換器よりもメンテナンスの頻度が高いため、メンテナンスの効率化が望まれている。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、車両用空調装置において、特にブロワのメンテナンス工数を削減し、メンテナンスの効率を向上させること、などを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両の座席下部と床面との間に設置される車両用空調装置であって、ブロワが配備されたブロワユニットと熱交換器が配備された熱交換器ユニットを備え、前記ブロワユニットと前記熱交換器ユニットとは、前記車両の床面に沿って空気流路を形成するように接続され、前記ブロワユニットは、前記熱交換器ユニットに対して前記空気流路と交差し、且つ、前記車両の床面に沿った方向に着脱可能に接続されている、車両用空調装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両用空調装置において、ブロワの設置をユニット化することで、特にブロワのメンテナンス工数を削減し、メンテナンスの効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る車両用空調装置が車両に適用された場合の概略構成を示す説明図である。
図2】本発明の実施形態に係る車両用空調装置の概略構成を示す全体斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る車両用空調装置の概略構成を示す分解斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る車両用空調装置の概略構成を示す分解斜視図である。
図5図2の破線で示す部分の部分拡大図である。
図6】本発明の実施形態に係る車両用空調装置の概略構成を示す平面図である。
図7図6のX1-X1断面図である。
図8】本発明の実施形態に係る車両用空調装置の熱交換器ユニットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の説明において、同一の符号は同一の機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。また、各図において、X-Y-Zの方向は、X-Y方向が水平方向を示し、Z方向が鉛直方向を示している。
【0010】
図1に示すように、車両用空調装置1は、例えば、建設機械等車両のキャビン内の運転席シート11下部において、運転席シート11を支持するシートブラケット12と床面(フロア)13との間に設置され、車室内の温度及び湿度を調整する。各図において、Y方向は車両の前後方向、X方向は車両の左右方向(幅方向)を示す。
【0011】
図2図4は、本発明の実施形態に係る車両用空調装置1の概略構成を示す全体斜視図、図5は、図2の破線で示す部分を拡大した拡大図、図6は、車両用空調装置1の概略構成を示す平面図、図7図6のX1-X1断面図である。
【0012】
車両用空調装置1は、ブロワユニット2、及び、ブロワユニット2と接続される熱交換器ユニット3を備えている。ブロワユニット2と熱交換器ユニット3とは、キャビン内の床面に沿い、かつ、車両に設置されたときに車両の幅方向沿う空気流路F(図中のX方向)を形成するように接続される。図2図4に示すように、ブロワユニット2は、車両の床面に沿い、かつ、熱交換器ユニット3に対して空気流路Fと交差する方向(図中Y方向)に着脱可能に設けられている。
【0013】
ブロワユニット2は、ブロワ及びインテーク部品が一体的に配備され、車両の内気(内気モード)又は外気を取り込み(外気モード)、取り込んだ空気を熱交換器ユニット3に供給する。すなわち、ブロワユニット2は、ブロワケース21、ブロワケース21内に設けられたブロワ、ブロワを駆動するブロワモータ、インテークダンパ、インテークダンパを駆動するインテークアクチュエータ、内気フィルタ、及び、内気モード又は外気モードを切り替えるレバー等の切替機構(いずれも図示せず)を有している。
【0014】
図3及び図4に示すように、ブロワケース21は、上側ケース21a及び下側ケース21bから構成され、上下に分割可能となっている。
ブロワケース21には、車両内部の空気をブロワユニット2内に取り込む内気取入口22、車両外部の空気をブロワユニット2内に取り込む外気取入口23、ブロワを収容するブロワ収容部24,25、ブロワモータ収容部26、ブロワ2内に取り込んだ空気を熱交換器ユニット3に送風するための送風用開口部27、ブロワユニット2を車両の前後方向(図中、Y方向)に引き出し又は押し込むための把手28、及び、ブロワユニット2を熱交換器ユニット3に接続する際のガイド40が設けられている。
【0015】
内気取入口22には、内気フィルタ(図示せず)が設けられる。内気取入口22から車両内の空気を取り込む際に、内気フィルタによりブロワユニット2への粉塵等の侵入を抑制する。外気取入口23には、インテークダンパが設けられる。
【0016】
インテークダンパは、インテークアクチュエータにより駆動される。インテークダンパを駆動させることにより、外気を取り入れるか、又は、内気を取り入れるかを、選択的に切り替えることができる。すなわち、外気モードにおいて、インテークダンパにより外気取入口23を開放すると外気取入口23から外気を取り入れることができ、ブロワユニット2内に、例えば、概ね外気70%、内気30%の空気を取り込むことができる。また、内気モードにおいて、インテークダンパにより外気取入口23を閉塞することにより、内気取入口22から車両内の空気をブロワユニット2内に取り入れることができる。内気モードの場合は、ブロワユニット2内に内気100%の空気を取り込むことができる。ブロワユニット2内に取り込まれた空気は、ブロワにより送風用開口部27を介して熱交換器ユニット3に供給される。
【0017】
ブロワ収容部24,25には、周方向に複数のブレードを有するブロワがそれぞれ収容される。車両用空調装置1が車両に設置されたときに車両の後方に位置するブロワ収容部24及び前方に位置するブロワ収容部25は、2つのブロワの回転軸が略一直線上に位置するように、車両の前後方向(図中、Y方向)に並んで配置されている。ブロワ収容部24,25は、ブロワの周方向に沿う曲面24a,25aと、この曲面24a,25aを挟むようにブロワの回転軸方向の両端部を覆う壁24b,25bを有している。
【0018】
ブロワ収容部24の壁24bには、熱交換器ユニット3との位置合わせを行うための位置合わせピン24c(位置決め用凸部)が設けられている。位置合わせピン24cは、壁24bから車両後方(空気流路Fと交差する方向)に突出している。位置合わせピン24cは、熱交換器ユニット3に設けられた位置合わせ孔38(位置決め用凹部)に挿入され、位置合わせピン24cと位置合わせ孔38とが嵌合するようになっている。
【0019】
2つのブロワ収容部24,25の間には、ブロワモータ収容部26が設けられている。ブロワモータ収容部26に収容されるブロワモータは、ブロワ収容部24,25内の各ブロワを回転させて、ブロワユニット2内に取り込まれた空気を、送風用開口部27を介して熱交換器ユニット3に供給する。
【0020】
図5に示すように、ブロワモータ収容部26の上部には、熱交換器ユニット3の内圧が上昇して熱交換器ユニット3の上面が膨張した場合に、膨張を規制する規制部26aが設けられている。
【0021】
送風用開口部27は、ブロワ収容部24,25の側面を包含する大きさの略矩形状をなしている。熱交換器ユニット3におけるブロワユニット2との接続面に設けられた取入開口部33(詳細は後述)と嵌合し、ブロワユニット2と熱交換器ユニット3とが一体化するようになっている。
【0022】
すなわち、送風用開口部27は、取入開口部33に嵌合することにより、ブロワユニット2と熱交換器ユニット3とを接続し、ブロワユニット2から熱交換器ユニット3への空気流路Fを形成する。ブロワユニット2と熱交換器ユニット3とが接続されることによって形成される空気流路Fは、車両用空調装置1が車両に設置されたときに、車両の床面に沿い、かつ、車両の幅方向に沿う。
【0023】
ここで、ブロワユニット2の熱交換器ユニット3との接続面及び熱交換器ユニット3のブロワユニット2との接続面は、いずれも空気流路Fと交差しており、この接続面に空気流路Fと交差する方向に延びるスライドレール又はスライド溝が設けられる。本実施形態においては、ブロワユニット2の送風用開口部27の周縁部にスライドレール27aが設けられ、熱交換器ユニット3の取入開口部33の周縁部にスライド溝33aが設けられることとして説明する。
【0024】
送風用開口部27の周縁には、取入開口部33の周縁に設けられたスライド溝33aに嵌合するスライドレール27aが設けられている。スライドレール27aは、略矩形状の送風用開口部27の周縁のうち、上下の2辺に設けられている。
送風用開口部27の車両後方側の1辺は、スライドレール27aと連続するレール27cが形成されている。送風用開口部27の車両前方側の1辺には、送風用開口部27と取入開口部33とが嵌合したときに、ブロワユニット2と熱交換器ユニット3との気密性を保持する閉塞片27bが設けられている。
【0025】
把手28は、ブロワユニット2を車両前方に引き出すために、ブロワユニット2において、車両前後方向に対して外気取入口23の反対側に設けられている。
図6は、車両用空調装置1の平面図である。図6に示すように、ブロワケース21の側面であって、把手28と内気取入口22との間には、ブロワユニット2を車両の床面13に固定するための固定孔29が設けられている。
【0026】
固定孔29と床面13の対応する固定孔とを螺子等の締結手段によって締結することにより、ブロワユニット2が床面13に位置合わせされて固定される。固定孔29は、ブロワケース21において、位置合わせピン24aと対角となる位置に設けられている。また、固定孔29の内径は、後述する熱交換器ユニット3の取付孔39(後述)の内径よりも小径となっている。
【0027】
ガイド40は、下側ケース21bにおいて、下側ケース21bの底面と送風用開口部27と外気取入口23との間の角部に突出するように設けられている。ガイド40は、ブロワユニット2を熱交換器ユニット3に接続する際に、熱交換器ユニット3に設けられたガイドレール41上を摺動する。これにより、ブロワユニット2の熱交換器ユニット3に対する車両の左右方向(図中X方向)に対する位置決めを容易に行うことができる。
【0028】
熱交換ユニット3は、熱交換器ケース31と、熱交換器ケース31に収容されるエバポレータ及びヒータコア(いずれも図示せず)を有している。エバポレータ及びヒータコアは、熱交換器ケース31内において空気流路Fに沿って並んで設けられる。熱交換器ケース31の、ブロワケース21との接続面には、ブロワケース21の送風用開口部27と嵌合する取入開口部33が設けられている。取入開口部33は、送風用開口部27に対応する略矩形状をなしている。
【0029】
取入開口部33の周縁には、送風用開口部27のスライドレール27aに対応するスライド溝33aが設けられている。スライド溝33aは、略矩形状の取入開口部33の周縁のうち、上下の2辺に設けられている。
【0030】
取入開口部33の車両後方側の1辺は、スライド溝33aと連続する溝33cであり、送風用開口部27と取入開口部33とが嵌合したときに、送風用開口部27のレール27cと嵌合する。取入開口部33の車両前方側の1辺には、スライドレール27aを挿入させるためのレール開口部33bが設けられている。レール開口部33bは、送風用開口部27と取入開口部33とが嵌合したときに、送風用開口部27の閉塞片27bによって閉塞される。
【0031】
取入開口部33の上方側中央部には、熱交換器ケース31の上面から連続するフランジ32がブロワユニット2側に突出している。フランジ32は、ブロワケース21の規制部26aに下方から係合し、熱交換器ユニット3の上面が膨張した場合に、規制部26aによって上方への変位を規制される。
【0032】
熱交換器ケース31において、ブロワユニット2との接続面の下方に、ガイド40を摺動させるガイドレール41が設けられている。ガイドレール41の車両後方となる端部には、ガイド40が当接するストッパ42が設けられている。ガイド40がストッパ42に当接することで、ブロワユニット2が熱交換器ユニット3に対して車両前後方向に位置決めされる。
【0033】
熱交換器ケース31には、ブロワユニット2から送られてエバポレータ及びヒータコアによって温度が調節された空気を、車両前方に吹き出す前方吹出口34,35,36と、車両後方に吹き出す後方吹出口37とが設けられている。
取入開口部33の車両後方側の上方部近傍には位置合わせピン24cに対応する位置合わせ孔38が設けられている。
【0034】
熱交換器ケース31には、床面13に車両用空調装置1を取り付けるための取付孔39が4箇所に設けられている。取付孔39と床面13の対応する取付孔とを螺子などを用いて締結することにより、車両用空気調和機1が床面13に固定される。
【0035】
以上のように構成された車両用空調装置1は、ブロワユニット2を熱交換器ユニット3に対して車両前後方向に着脱することができる。具体的には、ブロワユニット2を熱交換器ユニット3に対して以下のように着脱することができる。
【0036】
(ブロワユニット2を熱交換器ユニット3に取り付ける場合)
熱交換器ユニット3の取入開口部33のレール開口部33bから、ブロワユニット2の送風用開口部27のスライドレール27aを挿入し、ブロワユニット2を熱交換器ユニット3に対して押し込む。このとき、ガイド40を、ガイドレール41の車両前方側の端部に位置合わせし、ブロワユニット2を熱交換器ユニット3に対して押し込むことにより、スライド溝33aにスライドレール27aを摺動させると共に、ガイドレール41にガイド40を摺動させる。スライドレール27aの車両後方側の辺とスライド溝33aの車両後方側の辺とが嵌合し、ガイド40がストッパ42に当接するまで、ブロワユニット2を熱交換器ユニット3に対して押し込む。
【0037】
スライドレール27aの車両後方側の辺とスライド溝33aの車両後方側の辺とが嵌合すると、スライドレール27aの上側の辺とスライド溝33aの上側の辺とが嵌合し、同様にスライドレール27aの下側の辺とスライド溝33aの下側の辺とが嵌合する。さらに、送風用開口部27の閉塞片27bがレール開口部33bを閉塞し、送風用開口部27と取入開口部33と全周に亘って気密に接続される。このとき、規制部26aがフランジ32に上側から係合し、位置合わせピン24cが位置合わせ孔38に挿入される。
このようにして、ブロワユニット2と熱交換器ユニット3とが接続されて一体化されることにより車両用空調装置1を構成する。
【0038】
車両用空調装置1では、スライド溝33aにスライドレール27aが嵌合し、レール開口部33bを閉塞片27bが閉塞することで、送風用開口部27と取込用開口部33とが全周に亘って気密に接続され、送風用開口部27と取入開口部33とを通る空気が外部に漏れることがないようになっている。これにより、ブロワユニット2と熱交換器ユニット3とが接続され、車両用空調装置1の内部には、ブロワユニット2から熱交換器ユニット3への空気流路Fが形成される。
【0039】
この状態において、位置合わせピン24cは位置合わせ孔38に挿入されることで、熱交換器ユニット3にブロワユニット2が所望の位置により強固に固定される。規制部26aがフランジ32に上側から係合するので、熱交換器ユニット3の内圧が上昇して熱交換器ケース31の上面が膨張した場合にも、フランジ32が規制部26aにより上方から押さえられ、膨張が規制される。
【0040】
このような車両用空調装置1を車両に取り付ける場合には、固定孔29及び取付孔39を、床面13に設けられた取付孔との位置を合わせて螺子等の締結手段により締結する。これにより床面13に車両用空調装置1が車両に設置される。
【0041】
ブロワユニット2において固定孔29の対角線上に位置合わせピン24aが設けられているため、締結手段を用いなくても、ブロワユニット2は床面13及び熱交換器ユニット3に対して強固に固定される。
【0042】
(ブロワユニット2を熱交換器ユニット3から取り外す場合)
車両正面側のシートブラケット12の開口部から、固定孔29と床面13の対応する取付孔との締結をドライバなどによって解除する。これにより、車両とブロワユニット2との結合が解除される。
【0043】
ブロワユニット2と熱交換器ユニット3とは、スライドレール27aとスライド溝33aとの嵌合、及び、位置合わせ孔38への位置合わせピン24cの挿入によって固定されているため、固定孔29と床面13との締結を解除するだけで、把手28を掴んで車両前方に引き出すことにより、ブロワユニット2を熱交換器ユニット3から容易に取り外すことができる。
【0044】
このため、例えば、ブロワユニット2のメンテナンス時には、運転席シート11やシートブラケット12等を取り外す必要がなく、ブロワユニット2を取り出すだけで、ブロワユニット2に含まれる全ての機能部品について修理、交換、清掃等のメンテナンスを実施することができる。このように、特に、ブロワユニット2のメンテナンス工数を削減し、メンテナンスの効率を向上させることができる。また、ブロワユニット2を取り出すことにより、熱交換器ユニット3の開口部から、熱交換器ユニット3に含まれるエバポレータ等の部品の状態を作業者による目視で確認することができ、熱交換器ユニット3のメンテナンスの必要性を判断する補助となる。
【0045】
車両に設置された車両用空調装置1において、メンテナンスなどのためにブロワユニット2を取り外した状態から、再びブロワユニット2をシートブラケット12下部の熱交換器ユニット3に取り付ける場合、上記と同様に、レール開口部33aから、ブロワユニット2の送風用開口部27のスライドレール27aを挿入し、ブロワユニット2を熱交換器ユニット3に対して押し込む。このとき、固定孔29は、取付孔39よりも小径であることから、ブロワユニット2を熱交換器ユニット3及び床面13に対して正確に位置合わせしながら固定することができる。
【0046】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1:車両用空調装置、2:ブロワユニット,3:熱交換器ユニット,11:運転席シート,12:シートブラケット,13:床面,21:ブロワケース,21a:上側ケース,21b:下側ケース,22:内気取入口,23:外気取入口,24,25:ブロワ収容部,24a,25a:曲面,24b,25b:壁,24c:位置合わせピン,26:ブロワモータ収容部,26a:規制部,27:送風用開口部,27a:スライドレール,27b:閉塞片,27c:レール,28:把手,29:固定孔,31:熱交換器ケース,32:フランジ,33:取入開口部,33a:スライド溝,33b:レール開口部,33c:溝,34,35,36:前方吹出口,37:後方吹出口,38:位置合わせ孔,39:取付孔,40:ガイド,41:ガイドレール,42:ストッパ,F:空気流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8