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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】空気入りタイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/72 20060101AFI20240807BHJP
【FI】
B29D30/72
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020161780
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2022054638
(43)【公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 憲司
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-044760(JP,A)
【文献】特開2013-067707(JP,A)
【文献】特開2009-202471(JP,A)
【文献】特開2019-038204(JP,A)
【文献】特開2016-097559(JP,A)
【文献】特開2007-176029(JP,A)
【文献】特開2020-066166(JP,A)
【文献】特開2016-141005(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/00 - 30/72
B60C 1/00 - 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1サイドウォールゴムと、前記第1サイドウォールゴムよりも成形ドラムのドラム軸方向の幅が短い第2サイドウォールゴムとを重ね合わせる工程と、
重ね合わさった状態の前記第1サイドウォールゴム及び前記第2サイドウォールゴムを、前記成形ドラム上のタイヤ構成ゴム部材にタイヤ一周分巻き付ける工程と、
を含み、
前記第1サイドウォールゴムは、前記第2サイドウォールゴムが重なる第1部位と、前記第2サイドウォールゴムが重ならない第2部位と、を有し、
前記第2部位は、前記第1部位の最大厚みよりも厚い第3部位を有し、
前記第2部位は、前記第1部位と前記第3部位との間に、前記第1部位の最大厚みよりも薄い第4部位を有する、空気入りタイヤの製造方法。
【請求項2】
前記第1サイドウォールゴム及び前記第2サイドウォールゴムを重ね合わせた状態でタイヤ一周分の長さに切断する工程を含み、
前記第1サイドウォールゴムと前記第2サイドウォールゴムとを合わせた厚みが10mm以上となる部位を有し、
前記第1サイドウォールゴム及び前記第2サイドウォールゴムの切断面の厚み方向に対する角度は0度以上且つ30度以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記成形ドラムへ向けて搬送される前記第1サイドウォールゴムの前記ドラム軸方向の端を第1ガイドで案内する工程と、
前記成形ドラムへ向けて搬送される前記第2サイドウォールゴムの前記ドラム軸方向の端を第2ガイドで案内する工程と、を含み、
前記第1ガイドは、前記第1サイドウォールゴムの前記ドラム軸方向両側に対をなして配置され、前記第1サイドウォールゴムの搬送方向に平行であり、
前記第2ガイドは、前記第2サイドウォールゴムの前記ドラム軸方向両側に対をなして配置され、前記第2サイドウォールゴムの搬送方向に平行である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1サイドウォールゴムと前記第2サイドウォールゴムとを重ね合わせる前の工程において、前記第1サイドウォールゴムのうち前記第2サイドウォールゴムとの接触領域に対し、前記ドラム軸方向に延びる複数の溝を形成する、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
互いに重ね合わされた前記第1サイドウォールゴム及び前記第2サイドウォールゴムをワッシャローラで押圧する工程を含み、
前記ワッシャローラは、支持軸と、前記支持軸に沿って配置される複数のワッシャとを有し、前記複数のワッシャそれぞれは、他のワッシャと独立して前記支持軸の軸径方向に変位可能に前記支持軸に支持されている、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第1サイドウォールゴムに重ね合わせた状態の前記第2サイドウォールゴムに前記第1サイドウォールゴムに到達する貫通孔を形成する工程を含む、請求項1~のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気入りタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インナーライナー、カーカス、ビード、サイドウォールゴム、ベルト、トレッドなどの複数のタイヤ構成ゴム部材を成形装置によって積層させて生タイヤを製造し、その後、生タイヤをモールド内にて加熱及び加圧して加硫成形することにより空気入りタイヤが製造される。
【0003】
厚い部位と薄い部位を併せ持つ断面形状のサイドウォールゴムは、押出成形で一度に成形できないため、いわゆるリボン工法で製造している。リボン工法は、帯状のリボンを、タイヤ軸を中心として螺旋状に複数回巻き付けることで、任意の断面形状のゴム部材を成形する工法である(特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、リボン工法は、リボンゴムを何回も巻き付けるために時間を要し、サイクルタイムが増大してしまう。
【0005】
また、生タイヤを構成するゴム部材とゴム部材の間に空気溜まりが生じると、製造不良が発生するので、空気溜まりの発生を抑制することが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-22788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、サイクルタイムを低減すると共に、空気溜まりの発生による製造不良の発生を抑制する、空気入りタイヤの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の空気入りタイヤの製造方法は、第1サイドウォールゴムと、前記第1サイドウォールゴムよりも成形ドラムのドラム軸方向の幅が短い第2サイドウォールゴムとを重ね合わせる工程と、重ね合わさった状態の前記第1サイドウォールゴム及び前記第2サイドウォールゴムを、成形ドラム上のタイヤ構成ゴム部材にタイヤ一周分巻き付ける工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の製造方法で製造される空気入りタイヤを示す子午線断面図。
図2】第1組部材の成形に関する説明図。
図3】第1組部材の成形に関する説明図。
図4】本製造方法を実現する製造装置を模式的に示す図。
図5】合流部の平面図および搬送方向に直交する断面図。
図6】第2搬送装置の搬送経路において合流部よりも上流側の部分の平面図および搬送方向に直交する断面図。
図7A】第1及び第2サイドウォールゴムの切断面の厚み方向に対する角度を大きく(例えば60度)した場合の図とオーバーラップに関する説明図。
図7B】第1及び第2サイドウォールゴムの切断面の厚み方向に対する角度が0度である場合を示す図。
図7C】第1及び第2サイドウォールゴムの切断面の厚み方向に対する角度を小さく(例えば15度)した場合を示す図。
図8】第1サイドウォールゴムの厚みおよび第1サイドウォールゴムの外周上に配置した第2サイドウォールゴムの厚みを示す図。
図9】第2組部材の成形に関する説明図。
図10】第1組部材と第2組部材の結合工程に関する説明図。
図11】ワッシャローラにより第2サイドウォールゴムを押圧する工程を示す説明図。
図12】針により第2サイドウォールゴムに貫通孔を形成する工程を示す説明図。
図13】溝形成部により複数の溝を形成した第1サイドウォールゴムを示す平面図及び断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の本実施形態を、図面を参照して説明する。
【0011】
[空気入りタイヤの構造]
図1は、生タイヤを金型で加圧及び加熱して加硫した空気入りタイヤの子午線断面図である。図1には、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91のみにハッチングを付している。図1では、子午線断面においてタイヤ赤道面CLからタイヤ半分のみを図示している。図1に一部省略して示すように、空気入りタイヤは、一対のビード1と、各々のビード1からタイヤ径方向外側RD1に延びるサイドウォール2と、サイドウォール2のタイヤ径方向外側RD1端同士を連ねるトレッド3とを備える。ビード1には、ゴム被覆されたビードワイヤ(例えば、金属線)を積層して形成された環状のビードコア1aと、硬質ゴムからなるビードフィラ1bとが配置されている。ビード1は、リムのビードシート(非図示)に装着され、内圧が充填され、タイヤ内圧によりリムフランジに適切にフィッティングし、タイヤがリムに嵌合される。
【0012】
また、このタイヤは、一対のビード1の間に架け渡されるように配され、トレッド3からサイドウォール2を経てビード1に至るトロイド状のカーカス4を備える。カーカス4は、少なくとも一枚のカーカスプライにより構成され、その端部がビードコア1aを介して巻き上げられた状態で係止されている。カーカス4の内周側には、空気圧を保持するためのインナーライナーゴム5が配置されている。
【0013】
トレッド3におけるカーカス4の外周には、たが効果によりカーカス4を補強するベルト6が配置されている。ベルト6は、タイヤ周方向に対して所定角度で傾斜して延びるコードを有する2枚のベルトプライを有し、各プライはコードが互いに逆向き交差するように積層されている。ベルト6の外周側には、ベルト補強層7が配され、更にその外周側表面には、トレッドパターンが形成されたトレッドゴム8が配置されている。
【0014】
サイドウォール2におけるカーカス4の外周には、タイヤ側面を形成するサイドウォールゴム9が配置されている。タイヤ側面のうちタイヤ最大幅部位Whよりもタイヤ径方向外側RD1の領域であるバットレスには、意匠としてタイヤ周方向に沿って凹部及び凸部を有する凹凸部10が形成されている。そのため、図1に示すように、サイドウォールゴム9におけるバットレスが、サイドウォールゴム9におけるバットレスよりもタイヤ径方向内側の部位に比べてゴムのボリュームが求められる。図1は加硫成形後のタイヤを示すが、サイドウォールゴム9は、第1サイドウォールゴム90と第2サイドウォールゴム91とを含む。第1サイドウォールゴム90は、ビード1からトレッド3に至るシート状のゴム部材であり、タイヤ一周分巻き付けられている。第2サイドウォールゴム91は、第1サイドウォールゴム90よりも幅が短いシート状のゴム部材であり、第1サイドウォールゴム90の外周上にタイヤ一周分巻き付けられている。
【0015】
[空気入りタイヤの製造方法]
空気入りタイヤの製造方法は、複数のタイヤ構成ゴム部材を積層して生タイヤT3を製造する工程と、生タイヤT3をモールド内にて加熱及び加圧して加硫成形する工程と、を含む。生タイヤT3を製造する工程は、ファーストケースとも呼ばれる第1組部材T1を成形する工程と、セカンドケースとも呼ばれる第2組部材T2を成形する工程と、第1組部材T1をインフレートして第2組部材T2と結合して生タイヤT3を得る工程と、を含む。
【0016】
[第1組部材T1(ファーストケース)の成形]
第1組部材T1(ファーストケース)を成形する工程を、図2及び図3を用いて説明する。図2には、カーカス4のみにハッチングを付している。図3には、カーカス4のみにハッチングを付している。図2に示す成形ドラム50に、インナーライナーゴム5、チェーハ(非図示)及びカーカス4を巻き付ける。その後、カーカス4の成形ドラム50のドラム軸方向両端にビードフィラ1b及びビードコア1aを配置して、ブラダ(非表示)をインフレートすることによりカーカス4をビードコア1a及びビードフィラ1bに巻き上げる。このようにして、タイヤ構成ゴム部材が成形ドラム50上に配置される。次にサイドウォールゴム9をタイヤ構成ゴム部材に巻き付ける工程がある。
【0017】
ところで、サイドウォールのうちのバットレスに凹凸による意匠を設けたタイヤがある。このようなタイヤは、バットレスのゴムのボリュームがサイドウォールにおける他の部位に比べて多いことが要求される。サイドウォールゴムだけで見れば、厚い部位と薄い部位を併せ持つ断面形状となる。特許文献1のようなリボン工法に比べて、サイクルタイムを短縮するために、成形ドラム上に配置された、カーカスを含むタイヤ構成ゴム部材に、第1サイドウォールゴムをタイヤ一周分巻き付け、その後、第1サイドウォールゴムの上に第2サイドウォールゴムをタイヤ一周分巻き付けることが考えられる。しかしながら、タイヤ構成ゴム部材が有する凹凸形状が、巻き付けた後の第1サイドウォールゴムの外周面に現れてしまうおそれがある。そして、第1サイドウォールゴムの凹凸形状が現れた外周面に第2サイドウォールゴムを巻き付けるので、第1サイドウォールゴムと第2サイドウォールゴムの間に空気溜まりが発生し、製造不良が発生する恐れが考えられる。
そこで、第1組部材T1の成形を次のようにしている。
【0018】
まず、図2に示すように、第1サイドウォールゴム90と、第2サイドウォールゴム91とを重ね合わせる。第2サイドウォールゴム91は、第1サイドウォールゴム90よりもドラム軸方向ADの幅が短い。第2サイドウォールゴム91は、第1サイドウォールゴム90のドラム径方向外側に配置される。
【0019】
次に、重ね合わさった状態の第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91は、カッターでタイヤ一周分に切断される。
【0020】
次に、図2及び図3に示すように、重ね合わさった状態の第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91を、成形ドラム50上のタイヤ構成ゴム部材(インナーライナーゴム5、カーカス4など)にタイヤ一周分巻き付けて、第1組部材T1(ファーストケース)を得る。これらサイドウォールゴム9(90,91)は一対をなしている。第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91は、タイヤ一周分の長さを有する。第2サイドウォールゴム91は、第1サイドウォールゴム90よりもドラム軸方向ADに沿った幅が短い。よって、第2サイドウォールゴム91は、第1サイドウォールゴム90よりもドラム軸方向ADの幅が短い。本実施形態では、第1サイドウォールゴム90と第2サイドウォールゴム91のゴム組成は同じであるが、これに限定されない。
【0021】
図4は、第1組部材T1(ファーストケース)を成形する製造装置を示す模式図である。図4に示すように、製造装置は、タイヤ構成ゴム部材が配置される成形ドラム50と、第1サイドウォールゴム90を繰り出し可能に保持する第1台車51から成形ドラム50に向けて第1サイドウォールゴム90を繰り出しつつ搬送する第1搬送装置52と、第2サイドウォールゴム91を繰り出し可能に保持する第2台車53から成形ドラム50に向けて第2サイドウォールゴム91を繰り出しつつ搬送する第2搬送装置54と、を有する。
【0022】
第1台車51は、セパレートシート(非図示)を介して第1サイドウォールゴム90が巻き付けられたローラを回転可能に支持しており、第1搬送装置52により第1サイドウォールゴム90が引っ張られることで第1サイドウォールゴム90を繰り出す。第1台車51から繰り出された第1サイドウォールゴム90は、ローラなどのコンベアに載置された状態で成形ドラム50へ向けて搬送される。
【0023】
第2台車53は、セパレートシート(非図示)を介して第2サイドウォールゴム91が巻き付けられたローラを回転可能に支持しており、第2搬送装置54により第2サイドウォールゴム91が引っ張られることで第2サイドウォールゴム91を繰り出す。第2台車53から繰り出された第2サイドウォールゴム91は、ローラなどのコンベアに載置された状態で成形ドラム50へ向けて搬送される。
【0024】
第1搬送装置52及び第2搬送装置54の下流部には、第1搬送装置52の搬送経路と第2搬送装置54の搬送経路とが合流する合流部55が設けられている。この合流部55によって、第1サイドウォールゴム90のドラム径方向外側(上方)に第2サイドウォールゴム91が重ね合わされる。本実施形態では、合流部55において、第1サイドウォールゴム90と第2サイドウォールゴム91とをタイヤ一周分重ね合わせるために、合流部55の搬送方向の寸法L1は、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91のタイヤ一周分の長さ以上であることが好ましい。重ね合わされた状態の第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91は、カッター56によってタイヤ一周分の長さに切断される。図4に示すように、合流部55には、第1サイドウォールゴム90に重ねた第2サイドウォールゴム91を押さえる押圧ローラ59が設けられている。押圧ローラ59は、第2サイドウォールゴム91よりもドラム軸方向ADの寸法が大きいが、第1サイドウォールゴム90よりもドラム軸方向ADの寸法が小さい。第2サイドウォールゴム91と第1サイドウォールゴム90の間の空気を抜くために第2サイドウォールゴム91を押圧できればよいためである。
【0025】
図5は、合流部55の平面図および搬送方向TDに直交する断面図である。図5の平面図には、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91の表面のみにハッチングを付している。図5の断面図には、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91のみにハッチングを付している。図5に示すように、第1サイドウォールゴム90は、第1搬送装置52のローラなどのコンベアに載置されて成形ドラム50へ向けて搬送される。第1ガイド57は、第1サイドウォールゴム90のドラム軸方向両側に対をなして配置され、搬送方向TDに平行である。第1ガイド57は、第1サイドウォールゴム90の搬送方向TDに平行な案内面57aを有し、案内面57aを第1サイドウォールゴム90に接触させて第1サイドウォールゴム90を案内する。案内面57aにより第1サイドウォールゴム90は搬送方向TDに対して平行な姿勢に維持される。これにより、第1サイドウォールゴム90が搬送方向TDに対してスキュー(傾斜)することを防止可能となる。
【0026】
図6は、第2搬送装置54の搬送経路において合流部55よりも上流側の部分(合流部55に合流する直前部分)の平面図および搬送方向TDに直交する断面図である。図6の平面図には、第2サイドウォールゴム91の表面のみにハッチングを付している。図6の断面図には、第2サイドウォールゴム91のみにハッチングを付している。図6に示すように、第2サイドウォールゴム91は、第2搬送装置54のローラなどのコンベアに載置されて成形ドラム50へ向けて搬送される。第2サイドウォールゴム91は、第1サイドウォールゴム90の上(成形ドラム50の径方向外側)へ合流する。第2ガイド58は、第2サイドウォールゴム91のドラム軸方向両側に対をなして配置され、搬送方向TDに平行である。第2ガイド58は、第2サイドウォールゴム91の搬送方向TDに平行な案内面58aを有し、案内面58aを第2サイドウォールゴム91に接触させて第2サイドウォールゴム91を案内する。案内面58aにより第2サイドウォールゴム91は搬送方向TDに対して平行な姿勢に維持される。これにより、第2サイドウォールゴム91が搬送方向TDに対してスキュー(傾斜)することを防止可能となる。
【0027】
図7Aに示すように、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91は、重ね合わさった状態でカッター56(図4参照)によりタイヤ一周分の長さに切断される。そして、成形ドラム50上のタイヤ構成ゴム部材に巻き付けられ、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91のドラム周方向両端の切断面9a同士が接合される。しかし、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91などのサイドウォールゴム9の厚みが薄ければ、サイドウォールゴム9の切断面9a同士の接着が弱く、適切な接合ができない。その場合は、図7Aに示すように、サイドウォールゴム9の切断面9aの厚み方向DDに対する角度θを大きく(例えば60度)にし、切断面9aを大きくすることで接着力を確保可能となる。しかし、図7Aに示すように、サイドウォールゴム9のタイヤ周方向の端部(切断面9a)同士がずれた場合に、切断面9aの厚み方向DDに対する角度θが大きいと、切断面9a同士が互いに押し戻しせずに一方の切断面9aが他方の切断面9aを超えてオーバーラップLp1が発生し、ユニフォミティが悪化するおそれがある。なお、厚み方向DDは、サイドウォールゴム9の底面(タイヤ径方向内面)に直交する方向である。
【0028】
図8は、第1サイドウォールゴム90の厚みおよび第1サイドウォールゴム90の外周上に配置した第2サイドウォールゴム91の厚みを示す。計測点を丸で示し、計測点間は直線で結んでいる。
【0029】
本実施形態では、図8に示すように、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91を合わせた厚みが10mm以上となる部位Ar0を有する。これにより、例えば図7Bに示すように、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91の切断面9aの厚み方向DDに対する角度θを0度にしても、接合された後の切断面同士の接着力を確保するのに必要な切断面9aの大きさを確保でき、適切に接合可能となる。さらに、本実施形態では、図7B及び図7Cに示すように、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91の切断面9aの厚み方向DDに対する角度θは0度以上且つ30度以下にしている。特に、角度θは0度以上且つ15度以下が好ましい。これにより、サイドウォールゴム9のドラム周方向の端部(切断面9a)同士がずれた場合に、切断面9a同士が互いに押し戻して一方の切断面9aが他方の切断面9aを超えにくく、オーバーラップLp1の発生を抑制でき、ユニフォミティの悪化を抑制できる。さらに好ましくは、角度θが0度である。角度θが0度であれば、一方の切断面9aが他方の切断面9aを超えないので、オーバーラップの発生を抑制でき、ユニフォミティの悪化を防止可能となる。
【0030】
図8に示すように、第1サイドウォールゴム90は、第2サイドウォールゴム91が重なる第1部位Ar1と、第2サイドウォールゴム91が重ならない第2部位Ar2と、を有する。第2部位Ar2は、第1部位Ar1の最大厚みDmaxよりも厚い第3部位Ar3を有する。これにより、第1部位Ar1と第3部位Ar3の少なくとも二箇所で切断面9a同士の接着力を確保でき、切断面9aの厚み方向DDに対する角度θを30度以下にすることが可能となる。
【0031】
また、第2部位Ar2は、第1部位Ar1と第3部位Ar3との間に、第1部位Ar1の最大厚みDmaxよりも薄い第4部位Ar4を有する。これにより、サイドウォールゴム9の全体を厚くしなくても、切断面9a同士の接着力の確保と、ユニフォミティの悪化の抑制とを両立でき、かつ、サイドウォールゴムに適した形状を得ることが可能となる。
【0032】
なお、図3及び図8に示す実施形態では、タイヤ全体のボリュームを減らして軽量化を図りつつも、意匠を設けたい部分のゴムボリュームを多くするために、第2サイドウォールゴム91が第1サイドウォールゴム90よりも厚いが、これに限定されない。例えば、第1サイドウォールゴム90が第2サイドウォールゴム91よりも厚くてもよく、第1サイドウォールゴム90と第2サイドウォールゴム91の厚みが同じでもよい。
【0033】
[第2組部材T2(セカンドケース)の成形]
第2組部材T2(セカンドケース)を成形する工程を、図9を用いて説明する。図9には、ベルト6の表面にハッチングを付している。図9に示すように、ベルトドラム151にベルト6及びベルト補強層7(図9では非図示)を巻き付けた後、トレッドゴム8をタイヤ一周分巻き付けて第2組部材T2(セカンドケース)を得る。
【0034】
[第1組部材T1と第2組部材T2の結合]
図10に示すように、成形装置152において、第1組部材T1の外周に第2組部材T2を配置し、ブラダで第1組部材T1をインフレートさせながら第1組部材T1のビード部同士を近づけ、ステッチャで第2組部材T2を第1組部材T1に押さえつけて第2組部材T2と第1組部材T1とを結合して、生タイヤT3を成形する。この方法によれば、図10及び図1に示すように、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91のタイヤ径方向外側にトレッドゴム8が乗る構造となる。
【0035】
<変形例>
(1)本実施形態では、第1サイドウォールゴム90と第2サイドウォールゴム91とをタイヤ一周分の長さ重ねた後に切断し、重ね合わせた第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91のドラム周方向の先端部を成形ドラム50上のタイヤ構成ゴム部材に貼り付けて、成形ドラム50を回転させることで、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91を巻き付けるが、これに限定されない。
例えば、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91のドラム周方向の先端部を重ねた後に、重ね合わせた第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91の先端部をタイヤ構成ゴム部材に貼り付け、成形ドラムを回転させ、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91を巻き付ける。第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91を巻き付けながら、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91がタイヤ一周分重ね合わさったことを契機に、カッター56で切断してもよい。このとき、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91のドラム周方向の先端部が成形ドラム50上のタイヤ構成ゴム部材に巻き付けられた状態で、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91のドラム周方向の末端部が切断されることになる。すなわち、重ね合わせた状態の第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91を成形ドラム50上のタイヤ構成ゴム部材に巻き付けること、その上流において第1サイドウォールゴム90に第2サイドウォールゴム91を重ね合わせることが同時に発生する。このようにすれば、合流部55の寸法にサイドウォールゴム9のタイヤ一周分の長さが不要となり、合流部55をサイドウォールゴム9のタイヤ一周分の長さよりも短くすることができるので、装置の大型化を回避可能となる。
【0036】
(2)上記実施形態も上記(1)の工法も、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91の重ね合わせ工程と、重ね合わせた第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91を成形ドラム50上のタイヤ構成ゴム部材に巻き付ける工程と、を同一ラインで行っている。これを別ラインで行ってもよい。しかし、別ラインよりも同一ラインの方が好ましい。別ラインであれば、重ね合わせた第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91を台車に巻き付ける必要が生じ、そうすると、各々のサイドウォールゴムの形状(プロファイル)が崩れてしまうためである。すなわち、本実施形態又は上記(1)の工法のように、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91の重ね合わせた後に、重ね合わせた第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91を台車などの保持具に巻き取ることなく、重ね合わせた第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91を成形ドラム50上のタイヤ構成ゴム部材に巻き付ける工程を開始することが好ましい。
【0037】
(3)図13に示すように、第1サイドウォールゴム90と第2サイドウォールゴム91とを重ね合わせる前の状態において、第1サイドウォールゴム90のうちの第2サイドウォールゴム91が重なる予定面90aに対して、ドラム軸方向ADに延びる複数の溝90bを溝形成部300で形成してもよい。複数の溝90bは、予定面90aのドラム軸方向ADの端から端まで連続して形成されている。溝形成部300は、例えばローレット加工に用いられる治具などが挙げられる。このような複数の溝90bが形成されていれば、これらの溝90bを空気抜きに用いることが可能となる。図13の例では、溝90bは、ドラム軸方向ADに平行に伸びているが、ドラム軸方向ADに交差するのであれば、ドラム軸方向ADに平行でなくてもよい。もちろん、第1サイドウォールゴム90のドラム径方向内側となる面に、ドラム軸方向ADに延びる複数の溝を形成してもよい。
【0038】
(4)上記実施形態のように、互いに重ね合わされた第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91を押圧ローラ59で押圧する工程を含んでいるが、押圧ローラ59を図11に示すワッシャローラ159に変更してもよい。図11に示すように、ワッシャローラ159は、支持軸159aと、支持軸159aに沿って配置される複数のワッシャ159bとを有する。複数のワッシャ159bそれぞれは、他のワッシャ159bと独立して支持軸159aの軸径方向に変位可能に支持軸159aに支持されている。ワッシャ159bを軸径方向に変位可能に支持する構成としては、ワッシャ159bの円環部と支持軸159aとの間をゴムなどの筒状弾性部材で連結するか、支持軸159aを中心として螺旋状に回転する巻きバネなどのバネ体でワッシャ159bの円環部と支持軸159aとの間を連結することが挙げられる。1つのワッシャ159bの外径は5~10mmであることが挙げられる。ワッシャ159bは金属製であることが挙げられる。
【0039】
(5)図12に示すように、第1サイドウォールゴム90に重ね合わせた状態の第2サイドウォールゴム91に、第2サイドウォールゴム91から第1サイドウォールゴム90に向けて針200を刺して、第2サイドウォールゴム91に第1サイドウォールゴム90まで到達する貫通孔9cを形成してもよい。この貫通孔9cが、特に加硫時に空気抜き効果を発揮するためである。針200の長さは、例えば10mm以上が挙げられる。
【0040】
以上のように、本実施形態の空気入りタイヤの製造方法は、第1サイドウォールゴム90と、第1サイドウォールゴム90よりもドラム軸方向ADの幅が短い第2サイドウォールゴム91とを重ね合わせる工程と、重ね合わさった状態の第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91を、成形ドラム50上のタイヤ構成ゴム部材にタイヤ一周分巻き付ける工程と、を含む。
本実施形態の空気入りタイヤの製造装置は、タイヤ構成ゴム部材が配置される成形ドラム50と、第1サイドウォールゴム90を搬送する第1搬送装置52と、第1サイドウォールゴム90よりも成形ドラム50のドラム軸方向ADの幅が短い第2サイドウォールゴム91を搬送する第2搬送装置54と、を備え、第1搬送装置52の搬送経路と第2搬送装置54の搬送経路との合流部55において第1サイドウォールゴム90と第2サイドウォールゴム91とを重ね合わせ、重ね合わさった状態の第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91を成形ドラム50上のタイヤ構成ゴム部材にタイヤ一周分巻き付ける。
【0041】
このように、重ね合わせた状態の第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91を成形ドラム50上のタイヤ構成ゴム部材に巻き付けるので、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91の間に空気溜まりが発生することを抑制でき、空気だまりによる製造不良の発生を抑制可能となる。また、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91をタイヤ一周分巻き付けるので、リボンゴムをタイヤ複数周分巻き付けるリボン工法に比べてサイクルタイムを低減可能となる。
【0042】
特に限定されないが、本実施形態の製造方法のように、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91を重ね合わせた状態でタイヤ一周分の長さに切断する工程を含み、第1サイドウォールゴム90と第2サイドウォールゴム91とを合わせた厚みが10mm以上となる部位を有し、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91の切断面9aの厚み方向DDに対する角度θは0度以上且つ30度以下である、としてもよい。
特に限定されないが、本実施形態の製造装置のように、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91を重ね合わせた状態でタイヤ一周分の長さに切断するカッター56を備え、第1サイドウォールゴム90と第2サイドウォールゴム91とを合わせた厚みが10mm以上となる部位を有し、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91の切断面9aの厚み方向DDに対する角度θは0度以上且つ30度以下である、としてもよい。
【0043】
第1サイドウォールゴム90と第2サイドウォールゴム91とを合わせた厚みが10mm以上あれば、接合された後の切断面9a同士の接着力を確保でき、適切に接合可能となる。それでいて、切断面9aの厚み方向DDに対する角度θが0度以上且つ30度以下であれば、サイドウォールゴム9の端部がずれた場合であってもオーバーラップLp1が発生することを低減でき、ユニフォミティの悪化を抑制可能となる。
【0044】
特に限定されないが、本実施形態の製造方法又は製造装置のように、第1サイドウォールゴム90は、第2サイドウォールゴム91が重なる第1部位Ar1と、第2サイドウォールゴム91が重ならない第2部位Ar2と、を有し、第2部位Ar2は、第1部位Ar1の最大厚みDmaxよりも厚い第3部位Ar3を有する、としてもよい。
【0045】
サイドウォールゴム9が薄ければ、接合された後の切断面9a同士の接着力が弱くなる。第1部位Ar1は、第1サイドウォールゴム90と第2サイドウォールゴム91が重ね合わされて接着に必要な厚みが確保できており、かつ、第3部位Ar3が第1部位Ar1の最大厚みDmaxよりも厚いので、第1部位Ar1と同等に接着に必要な厚みを確保できる。よって、第1部位Ar1と第3部位Ar3の少なくとも二箇所で切断面9a同士の接着力を確保できるので、切断面9aの厚み方向DDに対する角度θを30度以下の小さな値にできる。これにより、切断面9a同士の接着力の確保と、ユニフォミティの悪化の抑制とを両立可能となる。
【0046】
特に限定されないが、本実施形態の製造方法又は製造装置のように、第2部位Ar2は、第1部位Ar1と第3部位Ar3との間に、第1部位Ar1の最大厚みDmaxよりも薄い第4部位Ar4を有する、としてもよい。
【0047】
この構成によれば、第1部位Ar1では第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91の両方によって十分なゴムボリュームが確保できると共に切断面9a同士の接着力を確保できる。また、第3部位Ar3が切断面9a同士の接着力を確保する厚みを有し、第1部位Ar1と第3部位Ar3の間にサイドウォールゴム9が薄い第4部位Ar4を有するので、サイドウォールゴム9の全体を厚くしなくても、切断面9a同士の接着力の確保と、ユニフォミティの悪化の抑制とを両立でき、かつ、サイドウォールゴム9に適した形状を得ることが可能となる。例えば、第1部位Ar1をバットレスに、第3部位Ar3をビード1付近に、第4部位Ar4をバットレスとビード1の間のタイヤのくびれ部分にすることが可能である。
【0048】
特に限定されないが、本実施形態の製造方法のように、成形ドラム50へ向けて搬送される第1サイドウォールゴム90のドラム軸方向ADの端を第1ガイド57で案内する工程と、成形ドラム50へ向けて搬送される第2サイドウォールゴム91のドラム軸方向ADの端を第2ガイド58で案内する工程と、を含み、第1ガイド57は、第1サイドウォールゴム90のドラム軸方向両側に対をなして配置され、第1サイドウォールゴム90の搬送方向TDに平行であり、第2ガイド58は、第2サイドウォールゴム91のドラム軸方向両側に対をなして配置され、第2サイドウォールゴム91の搬送方向に平行である、としてもよい。
特に限定されないが、本実施形態の製造装置のように、成形ドラム50へ向けて搬送される第1サイドウォールゴム90のドラム軸方向ADの端を案内する第1ガイド57と、成形ドラム50へ向けて搬送される第2サイドウォールゴム91のドラム軸方向ADの端を案内する第2ガイド58と、を備え、第1ガイド57は、第1サイドウォールゴム90のドラム軸方向両側に対をなして配置され、第1サイドウォールゴム90の搬送方向TDに平行であり、第2ガイド58は、第2サイドウォールゴム91のドラム軸方向両側に対をなして配置され、第2サイドウォールゴム91の搬送方向に平行である、としてもよい。
【0049】
このように、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91がそれぞれ第1ガイド57及び第2ガイド58で案内されるので、第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91がスキューすることを抑制又は防止して、両者を適切に重ね合わせることが可能となる。
【0050】
特に限定されないが、本実施形態の変形例(3)の製造方法のように、第1サイドウォールゴム90と第2サイドウォールゴム91とを重ね合わせる前の工程において、第1サイドウォールゴム90のうち第2サイドウォールゴム91との接触領域90aに対し、ドラム軸方向ADに延びる複数の溝90bを形成する工程を含む、としてもよい。
特に限定されないが、本実施形態の変形例(3)の製造装置のように、第1サイドウォールゴム90と第2サイドウォールゴム91とを重ね合わせる前の工程において、第1サイドウォールゴム90のうち第2サイドウォールゴム91との接触領域90aに対し、ドラム軸方向ADに延びる複数の溝90bを形成する溝形成部300を備える、としてもよい。
【0051】
このようにすれば、第1サイドウォールゴム90と第2サイドウォールゴム91の間に空気だまりが発生しても、溝90bを介して空気を抜くことが可能となり、空気だまりを抑制可能となる。
【0052】
特に限定されないが、本実施形態の製造方法のように、互いに重ね合わされた第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91をワッシャローラ159で押圧する工程を含み、ワッシャローラ159は、支持軸159aと、支持軸159aに沿って配置される複数のワッシャ159bとを有し、複数のワッシャ159bそれぞれは、他のワッシャ159bと独立して支持軸159aの軸径方向に変位可能に支持軸159aに支持されている、としてもよい。
特に限定されないが、本実施形態の製造装置のように、互いに重ね合わされた第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91を押圧するワッシャローラ159を備え、ワッシャローラ159は、支持軸159aと、支持軸159aに沿って配置される複数のワッシャ159bとを有し、複数のワッシャ159bそれぞれは、他のワッシャ159bと独立して支持軸159aの軸径方向に変位可能に支持軸159aに支持されている、としてもよい。
【0053】
ワッシャローラ159が、重ね合わさった状態の第1サイドウォールゴム90及び第2サイドウォールゴム91の形状に追従して変位するので、サイドウォールゴム9の凹凸形状に合致するように圧力を均一に加えることができ、空気溜まりの発生を抑制可能となる。
【0054】
特に限定されないが、本実施形態の製造方法は、第1サイドウォールゴム90に重ね合わせた状態の第2サイドウォールゴム91に第1サイドウォールゴム90に到達する貫通孔9cを形成する工程を含む、としてもよい。
特に限定されないが、本実施形態の製造装置は、第1サイドウォールゴム90に重ね合わせた状態の第2サイドウォールゴム91に刺されることで、第1サイドウォールゴム90に到達する貫通孔9cを形成する針200を備える、としてもよい。
【0055】
このように、貫通孔9cを形成することで、特に加硫時に空気を抜くことが可能となる。
【0056】
以上、本開示の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0057】
例えば、特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現できる。特許請求の範囲、明細書、および図面中のフローに関して、便宜上「まず」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実行することが必須であることを意味するものではない。
【0058】
上記の各実施形態で採用している構造を他の任意の実施形態に採用することは可能である。各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0059】
4…カーカス(タイヤ構成ゴム部材)、5…インナーライナーゴム(タイヤ構成ゴム部材)、50…成形ドラム、57…第1ガイド、58…第2ガイド、9…サイドウォールゴム、9a…切断面、90…第1サイドウォールゴム、91…第2サイドウォールゴム、159…ワッシャローラ、159a…支持軸、159b…ワッシャ、DD…厚み方向、AD…ドラム軸方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
図13