(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】成形品取出システムのティーチング方法及び成形品取出機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/42 20060101AFI20240807BHJP
B29C 33/44 20060101ALI20240807BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
B29C45/42
B29C33/44
H04N7/18 D
(21)【出願番号】P 2020164907
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000138473
【氏名又は名称】株式会社ユーシン精機
(74)【代理人】
【識別番号】110004059
【氏名又は名称】弁理士法人西浦特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100091443
【氏名又は名称】西浦 ▲嗣▼晴
(74)【代理人】
【識別番号】100130720
【氏名又は名称】▲高▼見 良貴
(74)【代理人】
【識別番号】100130432
【氏名又は名称】出山 匡
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 文武
(72)【発明者】
【氏名】安藤 一貴
【審査官】久慈 純平
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-290154(JP,A)
【文献】特開2006-350602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/42
B29C 33/44
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定フレームと、
前記固定フレームに沿って移動する移動フレームと、
取出ヘッド等のアタッチメントを備え、前記移動フレームに移動可能に保持されて成形機の金型内に進入する進入フレームと、
予め設定した動作シーケンスに従って前記移動フレーム及び前記進入フレームを移動させることにより、成形機の開いた金型から成形品を取り出し、取り出した前記成形品を所定の位置まで搬送して開放する動作制御部と、
前記金型の周囲の画像を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置が撮影した撮像画像を表示部の表示画面に表示する画像表示装置を備え、
前記動作制御部には、作業者が前記画像表示装置に表示された前記撮像画像を見ながら前記進入フレームの位置を変えて前記動作シーケンスの教示を行うことを可能にするティーチング実行部が含まれている成形品取出システムのティーチング方法であって、
前記撮像装置を、前記進入フレームが開いた状態の前記金型に向かって進入する方向から前記金型及びその周囲を撮像することができ、しかも前記撮像画像中に開いた状態の前記金型の開口端面の画像を含んで延びる仮想平面を画定できるように配置し、
前記進入フレームに装着された状態の前記アタッチメントの三次元位置情報及び前記アタッチメントの三次元形状情報に基づいて、前記アタッチメントを前記仮想平面に投影したとしたときの投影画像または該投影映像の最大寸法仮想投影画像を作成し、
前記画像表示装置は、前記撮像画像の上に前記投影画像または前記最大寸法仮想投影画像を重ねて前記表示画面に表示
し、且つ前記撮像画像と一緒に前記撮像画像と前記投影画像または前記最大寸法仮想投影画像の寸法比率を判断するためのインジケータを前記仮想平面上に表示することを特徴とする成形品取出システムのティーチング方法。
【請求項2】
前記インジケータは、前記仮想平面の横方向及び縦方向にそれぞれ一定の間隔を開けて延びる升目状の目盛りからなる請求項
1に記載の成形品取出システムのティーチング方法。
【請求項3】
前記ティーチング実行部は、前記撮像画像の上に前記投影画像または前記最大寸法仮想投影画像が重ねて表示されたときに、前記投影画像または前記最大寸法仮想投影画像が、前記開いた状態の金型の前記開口端面の画像の一部が重なるとアラーム信号を出して、前記進入フレームの動作を停止することを特徴とする請求項1
または2に記載の形品取出システムのティーチング方法。
【請求項4】
固定フレームと、
前記固定フレームに沿って移動する移動フレームと、
取出ヘッド等のアタッチメントを備え、前記移動フレームに移動可能に保持されて成形機の金型内に進入する進入フレームと、
予め設定した動作シーケンスに従って前記移動フレーム及び前記進入フレームを移動させることにより、成形機の開いた金型から成形品を取り出し、取り出した前記成形品を所定の位置まで搬送して開放する動作制御部と、
前記金型の周囲の画像を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置が撮影した撮像画像を表示部の表示画面上に表示する画像表示装置を備え、
前記動作制御部には、作業者が前記画像表示装置に表示された前記撮像画像を見ながら前記進入フレームの位置を変えて前記動作シーケンスの教示を行うことを可能にするティーチング実行部が含まれている成形品取出システムであって、
前記撮像装置は、前記進入フレームが開いた状態の前記金型に向かって進入する方向から開いた状態の前記金型及びその周囲を撮像することができ、しかも前記撮像画像中に開いた状態の前記金型の開口端面の画像を含んで延びる仮想平面を画定できるように配置されており、
前記画像表示装置は、前記進入フレームに装着された状態の前記アタッチメントの三次元位置情報及び前記アタッチメントの三次元形状情報に基づいて、前記アタッチメントを前記仮想平面に投影したとしたときの投影画像または該投影映像の最大寸法仮想投影画像を作成する投影画像作成部を含み、
前記画像表示装置は、前記撮像装置が撮影した前記撮像画像の上に前記投影画像または
前記最大寸法仮想投影画像を重ねて前記表示画面に表示するように構成され、且つ前記撮像画像と一緒に前記撮像画像と前記投影画像または前記最大寸法仮想投影画像の寸法比率を判断するためのインジケータを前記仮想平面上に表示するインジケータ表示部を更に備えていることを特徴とする成形品取出システム。
【請求項5】
前記インジケータは、前記仮想平面の横方向及び縦方向にそれぞれ一定の間隔を開けて延びる升目状の目盛りからなる請求項
4に記載の成形品取出システム。
【請求項6】
前記ティーチング実行部は、前記撮像画像の上に前記投影画像または前記最大寸法仮想投影画像が重ねて前記表示画面に表示されたときに、前記投影画像または前記最大寸法仮想投影画像が、前記開いた状態の金型の前記開口端面の画像の一部が重なるときにはアラーム信号を出して、前記進入フレームの動作を停止するように構成されていることを特徴とする請求項
4または5に記載の成形品取出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機から成形品を取り出す成形品取出機を操作しながらその動作を教示する成形品取出システムのティーチング方法及び成形品取出機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
成形品取出機では、取出ヘッドを用いて成形機の金型内の製品取出位置で成形品を受取り、この成形品を成形機外の製品開放位置に開放するという動作を繰り返し行う。この取出ロボットの動作は、いわゆるティーチングプログラムにより教示されている。製品を吸着する際、通常、横行方向(型の開閉方向及び上下方向と直交する方向)・引抜方向(型の開閉方向)・上下方向の三方向の位置決めを行うことで、成形品取出機の進入フレームの先端に取り付けられた取出ヘッドを、金型に近づける教示を行う必要がある。特に、進入フレーム先端に取り付けられたアタッチメントを金型内に進入させる際には、アタッチメントと金型の距離が離れていると、お互いの位置関係が正確に分からない。そのため、お互いの位置関係を知るためには、進入フレームを進行方向に動作させ、金型との距離を縮めることで、お互いが干渉しないか確認する必要があった。例えば、進入フレームを下降させる際に金型と干渉することが分かった場合、進入フレームを引抜方向もしくは、横行方向に動作させ、下降させる直前のティーチング位置座標も変更する必要があり、手間がかかっていた。またこの作業を行っている際に、アタッチメントと金型を衝突させてしまうこともあった。
【0003】
そのため従来は作業者の技能に依存したり、成形機の横方向から金型とアタッチメントの位置関係を見て位置合わせをすることが多かった。しかし、このような教示方法では、アタッチメントが実際の進行方向に向いているか否かを知ることは、作業者の勘に頼ることが多く、作業時間も冗長化してしまう。また作業者の技能に依存してしまう問題があった。
【0004】
そこで特開2018-114752号公報に記載された成形品取出システムのティーチング方法では、固定フレームの周囲及び移動フレームの周囲の画像を撮像する複数の撮像装置と、複数の撮像画像が撮像した画像(動画及び静止画の両方を含む )を統合して得た統合撮像画像を表示する画像表示装置を備えており、作業者は、画像表示装置に表示された統合撮像画像を見ながら動作シーケンスのティーチングを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1に記載の技術では、複数台の撮像装置を必要とする上、統合撮像画像を見ながら進入フレームのアタッチメントを金型内に進入させる際に、アタッチメントと金型とが干渉するか否かを視覚で正確に把握することが難しかった。
【0007】
本発明の目的は、1台の撮像装置を用いて、進入フレームに取り付けられたアタッチメントを金型内に下降させる前に、進入フレームを含めたアタッチメントがどの範囲に下降するか視覚的に表示させ、金型に干渉する場合は、その場で位置を修正することが容易な成形品取出システムのティーチング方法及び成形品取出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明がティーチングの対象とする成形品取出システムは、固定フレームと、固定フレームに沿って移動する移動フレームと、取出ヘッド等のアタッチメントを備え、移動フレームに移動可能に保持されて成形機の金型内に進入する進入フレームと、予め設定した動作シーケンスに従って移動フレーム及び進入フレームを移動させることにより、成形機の開いた金型から成形品を取り出し、取り出した成形品を所定の位置まで搬送して開放する動作制御部と、金型の周囲の画像を撮像する撮像装置と、撮像装置が撮影した撮像画像を表示部の表示画面上に表示する画像表示装置を備えている。そして動作制御部には、作業者が画像表示装置に表示された撮像画像を見ながら進入フレームの位置を変えて動作シーケンスの教示を行うことを可能にするティーチング実行部が含まれている。本発明の成形品取出システムのティーチング方法では、撮像装置を、前記進入フレームが開いた状態の前記金型に向かって進入する方向から開いた状態の金型及びその周囲を撮像することができ、しかも撮像画像中に開いた状態の金型の開口端面の画像を含んで延びる仮想平面を画定できるように配置する。そして進入フレームに装着された状態のアタッチメントの三次元位置情報及びアタッチメントの三次元形状情報に基づいて、アタッチメントを仮想平面に投影したとしたときの投影画像または該投影映像の最大寸法仮想投影画像を作成する。その上で、画像表示装置は、撮像画像の上に投影画像または最大寸法仮想投影画像を重ねて表示画面に表示する。
【0009】
このようにすると、進入フレームに取り付けられたアタッチメントを金型内に進入させる前に、1台の撮像装置により得た進入フレームが開いた状態の前記金型に向かって進入する方向から開いた状態の金型の開口端面の撮像画像を含んで延びる仮想平面に、アタッチメントを投影したとしたときの投影画像または該投影映像の最大寸法仮想投影画像を重ねて表示するので、アタッチメントが開いた金型のどの範囲に下降するのかを視覚で確認できるように表示することができる。その結果、金型にアタッチメントが実際に干渉する前に、アタッチメントのティーチング位置を修正することができる。
【0010】
画像表示装置は、撮像画像と一緒に、撮像画像と投影画像または最大寸法仮想投影画像の寸法比率を判断するためのインジケータを仮想平面上に表示するようにしてもよい。このようにすると、インジケータの表示をみて得た情報から、金型にアタッチメントが干渉することを避けるための位置の修正量を大まかに決定することができる。
【0011】
例えば、インジケータは、仮想平面の横方向及び縦方向にそれぞれ一定の間隔を開けて延びる升目状の目盛りから構成することができる。このようなインジケータを用いると、修正量の決定精度が高くなる。
【0012】
またティーチング実行部は、撮像画像の上に投影画像または最大寸法仮想投影画像が重ねて表示されたときに、投影画像または最大寸法仮想投影画像が、開いた状態の金型の開口端面の画像の一部が重なるとアラーム信号を出して、進入フレームの動作を停止するようにしてもよい。このようにするとアラーム信号によって金型とアタッチメントの干渉を自動的に防止できる。
【0013】
本発明の方法を実施する成形品取出システムは、固定フレームと、固定フレームに沿って移動する移動フレームと、取出ヘッド等のアタッチメントを備え、移動フレームに移動可能に保持されて成形機の金型内に進入する進入フレームと、予め設定した動作シーケンスに従って移動フレーム及び進入フレームを移動させることにより、成形機の開いた金型から成形品を取り出し、取り出した前記成形品を所定の位置まで搬送して開放する動作制御部と、金型の周囲の画像を撮像する撮像装置と、撮像装置が撮影した撮像画像を表示部の表示画面上に表示する画像表示装置を備えている。そして動作制御部には、作業者が画像表示装置に表示された撮像画像を見ながら進入フレームの位置を変えて動作シーケンスの教示を行うことを可能にするティーチング実行部が含まれている。そして撮像装置は、進入フレームが開いた状態の前記金型に向かって進入する方向から開いた状態の金型及びその周囲を撮像することができ、しかも撮像画像中に開いた状態の前記金型の開口端面の画像を含んで延びる仮想平面を画定できるように配置されている。また画像表示装置は、進入フレームに装着された状態のアタッチメントの三次元位置情報及び前記アタッチメントの三次元形状情報に基づいて、アタッチメントを仮想平面に投影したとしたときの投影画像または該投影映像の最大寸法仮想投影画像を作成する投影画像作成部を含んでいる。その上で、画像表示装置は、撮像装置が撮影した撮像画像の上に投影画像または最大寸法仮想投影画像を重ねて表示画面に表示するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施の形態の方法を適用する成形品取出機を成形機の固定プラテンの上に実装した状態の斜視図である。
【
図2】撮像装置が撮影した画像の一例を示す図である。
【
図3】(A)は金型の開口端面を含んで延びる仮想平面を示しており、(B)は仮想平面の画像を含む撮像画像の模式図であり、(C)はインジケータの他のパターンを示している。
【
図4】撮像範囲の中心を説明するために用いる図である。
【
図6】本実施の形態で用いる成形品取出機の制御系の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の成形品取出システム及びそのティーチング方法の実施の形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態の方法を適用する成形品取出機1を成形機の固定プラテン3の上に実装した状態の斜視図である。なお
図1においては、成形機のダイプレートの部分を抜粋し且つ一部透明なものとして表示してある。
図2は、後述する撮像装置49が撮影した画像の一例を示している。成形機の固定プラテン3には、固定金型5と中間金型7が固定されており、可動プラテン9には可動金型11が固定されている。そして固定プラテン3と可動プラテン9との間には、可動プラテン9の移動をガイドする4本のタイバー13A乃至13Dが配置されている。4本のタイバー13A乃至13Dは、等間隔をあけて配置されており、4本のタイバー13A乃至13Dの中心を通る仮想中心線は固定金型5及び可動金型11の中心(ノズルセンタ)を通っている。また固定金型5,中間金型7及び可動金型11は、それぞれガイドピン15A乃至15Dによりガイドされている。4本のガイドピン15A乃至15Dも、等間隔をあけて配置されており、4本のガイドピン15A乃至15Dの中心を通る仮想中心線も固定金型5及び可動金型11の中心(ノズルセンタ)を通っている。
【0017】
成形品取出機1は、横行フレーム23と、制御ボックス25と、引き抜きフレーム27と、ランナ用昇降ユニット29と、成形品吸着用昇降ユニット31とを備えている。横行フレーム23は、図示しない成形機の長手方向に水平に直交したX軸方向に延設される片持ビーム構造を有している。制御ボックス25は、横行フレーム23に支持されており、走行体26はサーボ機構に含まれるACサーボモータ(図示していない)を駆動源として横行フレーム23に沿ってX軸方向に進退する。可動フレームである引き抜きフレーム27は、走行体26に基部が取り付けられており、成形機の長手方向と平行なY軸方向に延びている。引き抜きフレーム27には、ランナ用昇降ユニット29及び成形品吸着用昇降ユニット31がサーボ機構に含まれる図示していないACサーボモータを駆動源としてY軸方向に移動可能に走行体35及び33を介して支持されている。引き抜きフレーム27の基部には、引抜中継ボックス28が装着されている。
【0018】
ランナ用昇降ユニット29は、引き抜きフレーム27に移動可能に支持された走行体35にZ軸方向に昇降する昇降フレーム37を備えた構造を有している。走行体35は、図示しないACサーボモータにより駆動されてY軸方向に移動する。昇降フレーム37は、ACサーボモータ39によって上下方向(Z軸方向)に昇降する。昇降フレーム37は、廃棄されるランナを保持するアタッチメントとしてのチャック41を備えている。
【0019】
また成形品吸着用昇降ユニット31に含まれる走行体33は、図示していないACサーボモータにより引き抜きフレーム27上をY軸方向に移動する。成形品吸着用昇降ユニット31はACサーボモータ46によって上下方向(Z軸方向)に昇降する進入フレームとしての昇降フレーム45と、昇降フレーム45の下端に設けられた姿勢制御装置を構成するアタッチメント取付部としての反転ユニット47とを備えている。反転ユニット47には、破線で示した取出ヘッド48が装着される。本実施の形態では、反転ユニット47(アタッチメント取付部)と取出ヘッド48がアタッチメントを構成している。引き抜きフレーム27は、横方向(X軸方向)に延びる横行フレーム23に沿って横方向に移動する。そして引き抜きフレーム27には、上下方向(Z軸方向)及び横方向と直交する前後方向(Y軸方向)に移動する昇降フレーム37,45が、前後方向に移動可能に装着されている。
【0020】
本実施の形態では、走行体33の下面にモニタ用カメラとしての撮像装置49が設置されている。この撮像装置49は、昇降フレーム37,45(進入フレーム)が開いた状態の金型(5,7,11)に向かって進入する方向から開いた状態の金型(5,7,11)及びその周囲を撮像することができ、しかも撮像画像中に開いた状態の金型の開口端面(5A,7A,11A)の画像を含んで延びる仮想平面IPを画定できるように配置されている。
図3(A)は、金型の開口端面(5A,7A,11A)を含んで延びる仮想平面IPを示しており、
図3(B)はこの仮想平面IPの画像を含む撮像画像CIの模式図である。
図3(B)には、撮像画像CIと一緒に、仮想平面IPの横方向W及び縦方向Dにそれぞれ一定の間隔を開けて延びる升目状の目盛りから構成したインジケータIGの表示仮想平面IP上に表示している。このようなインジケータIGを表示すると、撮像画像CIと投影画像PIまたは最大寸法仮想投影画像MPIの寸法比率を判断することが容易になる。またインジケータIGの表示をみて得た情報から、金型にアタッチメントが干渉することを避けるための位置の修正量を大まかに決定することができる。
図3(C)は、インジケータの他のパターンを示している。このパターンでは、投影画像PIの型の撮像画像に対する傾きの程度を簡単に認識できる。
【0021】
図3(A)の例では、撮像装置49が、金型の真上に位置しているが、撮像装置49が金型の真上からずれて、斜め方向から撮像する場合であっても、撮像画像CI中において、開いた状態の金型の開口端面(5A,7A,11A)の画像を含んで延びる仮想平面IPを画定することができる。なお
図3(A)及び(B)は、本実施の形態とは異なって、2プレート金型(7,11)を例にしたものである。
【0022】
本実施の形態では、例えば、昇降フレーム45(進入フレーム)に装着された状態のアタッチメント(47,48)の三次元位置情報及びアタッチメント(47,48)の三次元形状情報に基づいて、アタッチメント(47,48)を仮想平面IPに投影したとしたときの投影画像PIまたは該投影映像PIの最大寸法仮想投影画像MPIを作成する。その上で、撮像画像CIの上に投影画像PIまたは最大寸法仮想投影画像MPIを重ねて表示する。なお
図3(B)には、撮像画像CIの上に最大寸法仮想投影画像MPIを重ねて表示した状態を示している。
図4は、仮想平面IPに投影した撮像画像CIの上にアタッチメント(47,48)の投影画像PI及び最大寸法仮想投影画像MPI(破線で示した枠上の画像)を重ねて表示した状態の例を示している。実際には、投影画像PI及び最大寸法仮想投影画像MPIの一方を仮想平面IP上の表示する。
【0023】
ここで投影画像PI及び最大寸法仮想投影画像MPIを作成するために用いるアタッチメント(47,48)の三次元位置情報は、
図3(A)の寸法L(撮像装置49の位置)と仮想平面IPの位置情報Mであり、これらの情報のうちLは、例えば光学式の位置センサを用いたり、エンコーダを用いてて得ることができる。またMは、事前に測定することにより得ることができる。さらに撮像装置49と仮想平面IPとの間の角度θの情報も事前に測定した初期値と撮像装置49の位置情報とに基づいて、演算により求めることができる。またアタッチメント(47,48)の三次元形状情報は、反転ユニット47(アタッチメント取付部)と取出ヘッド48の設計情報またはCAD情報から得ることができる。これらの情報を事前に得ることにより、前述の仮想平面IP上の表示する投影画像PIまたは最大寸法仮想投影画像MPIを公知のコンピュータグラフィック技術を用いて作成することができる。
【0024】
ここでアタッチメントの最大寸法仮想投影画像MPIとは、昇降フレーム45(進入フレーム)に装着されている状態におけるアタッチメント(47,48)の投影画像PIを仮想平面IPに投影したときの投影画像PIの仮想平面IP上の横方向W及び縦方向Dの投影画像PIの最大寸法を横方向W及び縦方向Dの各辺SD1乃至SD4の寸法とする仮想の枠状または矩形状の画像である。
【0025】
図5に示すように、昇降フレーム45に取り付けられたアタッチメント(47,48)を開いた状態の金型(7,11)内に進入させる前に、1台の撮像装置49により得た金型7,11の開口端面7A,11Aの撮像画像CIを含んで延びる仮想平面IPに、アタッチメント(47,48)を投影したとしたときの投影画像の最大寸法仮想投影画像MPIを重ねて表示すると、アタッチメント(47,48)が開いた金型7,11のどの範囲に下降するのかを視覚で確認できる。その結果、金型7,11にアタッチメント(47,48))が実際に干渉(衝突)する前に、アタッチメント(47,48)のティーチング位置を修正することができる。
【0026】
[制御系ブロック図]
図6は、本実施の形態で用いる成形品取出機の制御系の構成を示すブロック図である。図に示すように、この制御系は、撮像装置49と、動作制御部51と表示部57を含む画像表示装置55を含んでいる。動作制御部51は、動作シーケンスに従って制御ボックス25及び引抜中継ボックス28に制御指令を送信する。また本実施の形態の動作制御部51は、作業者が画像表示装置55の表示部57に表示された撮像画像を見ながら進入フレームを構成する昇降フレーム45の位置を変えながら動作シーケンスの教示を行うことを可能にするティーチング実行部53を含んでいる。また画像表示装置55は、昇降フレーム45(進入フレーム)に装着された状態のアタッチメント(アタッチメント取付部としての反転ユニット47と取出ヘッド48)の三次元位置情報及びアタッチメントの三次元形状情報に基づいて、アタッチメント(47,48)を仮想平面IPに投影したとしたときの投影画像PIまたは該投影映像PIの最大寸法仮想投影画像MPIを作成する投影画像作成部56を含んでいる。その上で、画像表示装置55は、撮像装置49が撮影した撮像画像CIの上に投影画像PIまたは最大寸法仮想投影画像MPIを重ねて表示画面に表示するように構成されている。
【0027】
このようなシステムを用いて本発明の方法を実施する場合には、昇降フレーム45(進入フレーム)に取り付けられたアタッチメント(47,48)を金型(7,11)内に進入させる前に、1台の撮像装置49により得た昇降フレーム45が開いた状態の金型(7,11)に向かって進入する方向から開いた状態の金型(47,48)の開口端面(7A,11A))の撮像画像CIを含んで延びる仮想平面IPに、アタッチメント(47,48)を投影したとしたときの投影画像PIまたは該投影映像PIの最大寸法仮想投影画像MPIを重ねて表示する。そしてアタッチメント(47,48)が開いた金型(7,11)のどの範囲に下降するのかを視覚で確認する。この確認により、金型7,11にアタッチメント(47,48)が干渉(衝突)ことが判ったときには、アタッチメント(47,48)のティーチング位置を修正する。この修正は、ティーチング実行部53により行う。なおその他のティーチングも、ティーチング実行部53により行う。
【0028】
[変型例]
上記の実施の形態では、上下方向から成形品を取り出す成形品取出システムに本発明を適用したものであるが、成形機の横方向から成形品を取り出すタイプの成形品取出システムに本発明を適用できるのは勿論である。
【0029】
また既存の成形品取出機に、撮像装置49を設置し、既存のコントローラまたは携帯通信端末器を画像表示装置として用いるようにしてもよい。このようにすると、既存の成形品取出機に対しても本発明の方法を適用することができる。
【0030】
撮像装置49は、取り外し可能または取付位置変更可能に設けられていてもよい。このようにすれば、撮像装置が邪魔な場合は、撮像装置を取り外したり、位置調整できる。またティーチングが終わったら撮像装置を引抜方向に一気に傾けて、周囲の監視に使うこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の方法によれば、進入フレームに取り付けられたアタッチメントを金型内に進入させる前に、1台の撮像装置により得た進入フレームが開いた状態の前記金型に向かって進入する方向から開いた状態の金型の開口端面の撮像画像を含んで延びる仮想平面に、アタッチメントを投影したとしたときの投影画像または該投影映像の最大寸法仮想投影画像を重ねて表示するので、アタッチメントが開いた金型のどの範囲に下降するのかを視覚で確認できるように表示することができる。その結果、金型にアタッチメントが実際に干渉する前に、アタッチメントのティーチング位置を修正することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 成形品取出機
3 固定プラテン
5 固定金型
5A 開口端面
7 中間金型
7A 開口端面
9 可動プラテン
11 可動金型
11A 開口端面
13A乃至13D タイバー
15A乃至15D ガイドピン
23 横行フレーム(固定フレーム)
25 制御ボックス
27 引き抜きフレーム(移動フレーム)
28 引抜中継ボックス
29 ランナ用昇降ユニット
31 成形品吸着用昇降ユニット
33,35 走行体
45 昇降フレーム(進入フレーム)
47 反転ユニット(アタッチメント取付部)
48 取出ヘッド
49 撮像装置
51 動作制御部
53 ティーチング実行部
55 画像表示装置
56 投影画像作成部
57 表示部