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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】調光積層体
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20240807BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240807BHJP
   G02F 1/161 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
G02F1/1339 500
G02F1/13 101
G02F1/161
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020166852
(22)【出願日】2020-10-01
(65)【公開番号】P2022059241
(43)【公開日】2022-04-13
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 恭幸
(72)【発明者】
【氏名】脇屋 武司
(72)【発明者】
【氏名】小林 洋
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-216526(JP,A)
【文献】特開2017-181896(JP,A)
【文献】特開2003-043495(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0099412(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0091677(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1339
G02F 1/13
G02F 1/15-1/19
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置された調光層とを備え、
前記調光層が、複数のスペーサ粒子を含み、
前記スペーサ粒子が、前記第1の基板には接着せず、前記第2の基板にのみ接着しており、
前記スペーサ粒子が、前記第1の基板に接触しており、
前記第1の基板と前記スペーサ粒子との接触部の面積の、前記第2の基板と前記スペーサ粒子との接着部の面積に対する比が、0を超え0.90以下であり、
前記第2の基板と、前記スペーサ粒子とのなす角が、5°以上45°以下である、調光積層体。
【請求項2】
曲面部を有する、請求項1に記載の調光積層体。
【請求項3】
前記スペーサ粒子が、前記第2の基板に面接着している、請求項1又は2に記載の調光積層体。
【請求項4】
記第1の基板と前記スペーサ粒子との接触部の面積の、前記第2の基板と前記スペーサ粒子との接着部の面積に対する比が、0.10以上0.90以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の調光積層体。
【請求項5】
前記第1の基板と前記スペーサ粒子との接触部の面積の、前記第2の基板と前記スペーサ粒子との接着部の面積に対する比が、0.66以上0.80以下である、請求項4に記載の調光積層体。
【請求項6】
前記第1の基板及び前記第2の基板に対して水平方向に切断した際の前記スペーサ粒子の断面積の極大値が、前記第1の基板と前記第2の基板との間の位置、かつ前記第1の基板及び前記第2の基板から離れた位置に存在する、請求項1~5のいずれか1項に記載の調光積層体。
【請求項7】
前記スペーサ粒子の粒子径のCV値が10%以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の調光積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペーサ粒子を用いた調光積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置及び車載用ディスプレイ等のディスプレイ装置に、調光ガラスや調光フィルム等の調光材料が用いられることがある。調光材料は、電界の印加の有無により光透過率が変化する性質を有し、入射光量の調整が可能な材料である。近年、ディスプレイ装置の大画面化、曲面化に伴い、曲面部を有する調光材料のニーズが高まっている。
【0003】
また、調光材料により形成される調光層の厚みを均一にし、2つの基板の間隔(ギャップ)を制御するために、調光層にギャップ材(スペーサ)が配合されることがある。
【0004】
下記の特許文献1には、第1積層体と、第2積層体と、複数の柱状スペーサと、液晶層とを備える調光セルが開示されている。上記柱状スペーサ及び上記液晶層は、上記第1積層体と上記第2積層体との間に配置されている。上記液晶層は、複数の上記柱状スペーサ間に配置されている。上記柱状スペーサは、天面と側面とを有し、上記柱状スペーサの上記天面が平坦であり、上記天面と上記側面の間の角が曲率を有しない。上記柱状スペーサは、上記第1積層体と上記第2積層体とのうち、上記第2積層体のみに接着していてもよい。
【0005】
下記の特許文献2には、第1基板と、第2基板と、封止部と、複数のスペーサとを備える調光パネルが開示されている。上記第1基板と上記第2基板とは対向して配置されており、上記第1基板と上記第2基板との周縁部は、上記封止材により封止されている。上記スペーサは、上記第1基板と上記第2基板との間に配置されている。上記第1基板は、上記第2基板と対向する面に、光を透過する状態と光を反射する状態とを変化可能な調光膜を有しており、上記スペーサは、上記調光膜と点接触している。また、特許文献2では、上記スペーサを上記第2基板に接着固定する接着部材がさらに備えられていてもよいことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-003720号公報
【文献】特開2015-013776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のような柱状のスペーサを用いる場合、基板を曲面化したときに、基板と接着しているスペーサの底面の両端に大きな圧力がかかることで、スペーサが基板から剥がれたり、基板が破壊されたりするという課題がある。特に、基板における導電膜の破壊は、調光性能を大きく低下させる原因となる。
【0008】
特許文献2に記載されているような従来の調光パネルでは、封止部により第1基板と第2基板とが接着しているため、基材を曲面化したときに、封止部及びスペーサが基板から剥がれるという課題がある。
【0009】
スペーサが基板から剥がれると、スペーサ粒子が調光層中を移動して、調光層の厚みのばらつきが生じることがある。また、スペーサ粒子が固定されていない場合には、スペーサ粒子が調光層中を移動しやすく、調光層の厚みのばらつきが生じやすい。
【0010】
本発明の目的は、スペーサ粒子の移動を抑制することができ、ギャップを高精度に制御することができ、かつ導電膜の剥離を抑制することができる調光積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の広い局面によれば、第1の基板と、第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間に配置された調光層とを備え、前記調光層が、複数のスペーサ粒子を含み、前記スペーサ粒子が、前記第1の基板には接着せず、前記第2の基板にのみ接着している、調光積層体が提供される。
【0012】
本発明に係る調光積層体のある特定の局面では、前記調光積層体は、曲面部を有する。
【0013】
本発明に係る調光積層体のある特定の局面では、前記第2の基板と、前記スペーサ粒子とのなす角が、1°以上90°未満である。
【0014】
本発明に係る調光積層体のある特定の局面では、前記スペーサ粒子が、前記第2の基板に面接着している。
【0015】
本発明に係る調光積層体のある特定の局面では、前記スペーサ粒子が、前記第1の基板に接触しており、前記第1の基板と前記スペーサ粒子との接触部の面積の、前記第2の基板と前記スペーサ粒子との接着部の面積に対する比が、0.10以上0.90以下である。
【0016】
本発明に係る調光積層体のある特定の局面では、前記第1の基板及び前記第2の基板に対して水平方向に切断した際の前記スペーサ粒子の断面積の極大値が、前記第1の基板と前記第2の基板との間の位置、かつ前記第1の基板及び前記第2の基板から離れた位置に存在する。
【0017】
本発明に係る調光積層体のある特定の局面では、前記スペーサ粒子の粒子径のCV値が10%以下である。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る調光積層体は、第1の基板と、第2の基板と、上記第1の基板と上記第2の基板との間に配置された調光層とを備える。本発明に係る調光積層体では、上記調光層が、複数のスペーサ粒子を含む。本発明に係る調光積層体では、上記スペーサ粒子が、上記第1の基板には接着せず、上記第2の基板にのみ接着している。本発明に係る調光積層体では、上記の構成が備えられているので、スペーサ粒子の移動を抑制することができ、ギャップを高精度に制御することができ、かつ導電膜の剥離を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る調光積層体を示す断面図である。
図2図2は、本発明の第2の実施形態に係る調光積層体を示す断面図である。
図3図3は、本発明の第1の実施形態に係る調光積層体において、第2の基板とスペーサ粒子とのなす角を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0021】
<調光積層体>
本発明に係る調光積層体は、第1の基板と、第2の基板と、上記第1の基板と上記第2の基板との間に配置された調光層とを備える。本発明に係る調光積層体では、上記調光層が、複数のスペーサ粒子を含む。本発明に係る調光積層体では、上記スペーサ粒子が、上記第1の基板には接着せず、上記第2の基板にのみ接着している。
【0022】
本発明に係る調光積層体では、上記の構成が備えられているので、ギャップを高精度に制御することができ、かつ導電膜の剥離を抑制することができる。例えば、基板間にスペーサ粒子が配置された調光積層体において、基板間のギャップを高精度に制御することができ、基板間の厚みの均一性を高めることができる。また、導電膜の剥離を抑制することで、調光積層体の調光性能を維持することができる。
【0023】
また、本発明に係る調光積層体では、上記の構成が備えられているので、スペーサ粒子の基板からの剥離を抑制することができ、スペーサ粒子の移動を抑制することができる。特に、本発明に係る調光積層体では、スペーサ粒子の第2の基板からの剥離を抑制することができる。本発明に係る調光積層体では、例えば、調光積層体が曲面部を有していても、スペーサ粒子の基板からの剥離を抑制することができる。本発明に係る調光積層体は、曲面部を有する形態とすることができる。例えば、上記基板を曲面状態で用いることができる。本発明では、上記第1の基板を曲面状態で用いてもよく、上記第2の基板を曲面状態で用いてもよく、上記第1の基板及び上記第2の基板を曲面状態で用いてもよい。
【0024】
従来の調光材料が曲面部を有する場合には、基材間のギャップの均一性を確保し、かつ、スペーサ粒子の基板からの剥離を抑制することは非常に困難である。しかし、本発明に係る調光積層体では、上記の構成が備えられているので、例えば、上記調光積層体が曲面部を有していても、曲面部で上記調光層が押しつぶされることなく、基材間のギャップの均一性を確保することができる。また、上記調光積層体が曲面部を有していても、スペーサ粒子が調光層中を移動することを抑制することができるので、基材間のギャップの均一性を確保することができる。結果として、ギャップの不均一性から生じる色むら等の不具合の発生を抑制することができる。
【0025】
また、一般的に、柱状スペーサを用いた場合に、スペーサ粒子を用いた場合と比べて、スペーサと基板との接触面積が大きくなるため、スペーサの移動が抑制されることが予想される。これに対して、本発明者らは、スペーサが第1の基板には接着せずに第2の基板にのみ接着している場合には、スペーサ粒子を用いた場合の方がむしろ、柱状スペーサを用いた場合よりも、スペーサの移動が抑制されることを見出した。
【0026】
本発明の効果をより一層効果的に発揮する観点から、上記調光積層体は、曲面部を有することが好ましく、曲面部を有する状態で用いられることが好ましい。上記調光積層体は、折り曲げられた形状又は湾曲された形状を有することが好ましく、折り曲げられた形状又は湾曲された形状で用いられることが好ましい。上記調光積層体は、折り曲げ部又は湾曲部を有していてもよい。上記調光積層体、上記第1の基板及び上記第2の基板は、折り曲げられた形状又は湾曲された形状とすることが可能であるように、フレキシブル性を有することが好ましい。
【0027】
本発明に係る調光積層体では、上記スペーサ粒子は、上記第1の基板には接着せず、上記第2の基板にのみ接着している。上記スペーサ粒子は、上記第1の基板と接触していてもよく、接触していなくてもよい。上記スペーサ粒子は、上記第1の基板に接着せずに接触していることが好ましい。上記第1の基板と上記スペーサ粒子との接触面積を最小限に抑える観点から、上記スペーサ粒子は、上記第1の基板と点接触していることが好ましい。スペーサ粒子の移動を抑制し、ギャップをより一層高精度に制御する観点から、上記スペーサ粒子は、上記第2の基板に面接着していることが好ましい。上記スペーサ粒子は、上記第1の基板に点接触し、かつ、上記第2の基板に面接着していることが好ましい。なお、本明細書において、接着せずに接触とは、接触面に垂直な方向の98kPa未満の圧力で剥離可能な状態を意味し、接着とは、接着面に垂直な方向の98kPa以上の圧力で剥離可能な状態を意味する。また、基板とスペーサ粒子とが、面接触又は面接着している場合、スペーサ粒子は、基板にめり込まずに、スペーサ粒子が変形して基板表面と接触又は接着していることが好ましい。
【0028】
上記スペーサ粒子を、上記第1の基板には接着させず、上記第2の基板にのみ接着させる方法としては、以下の方法等が挙げられる。第2の基板にスペーサ粒子を散布し、第1の基板を配置せずに加熱してスペーサ粒子を第2の基板に接着させる方法。スペーサ粒子が接着しない第1の基板を用いて、第2の基板にスペーサ粒子を散布し、第1の基板を貼り合せて加熱してスペーサ粒子を第2の基板のみに接着させる方法。
【0029】
上記第1の基板と上記スペーサ粒子との接触部の面積(A1)は、0μmを超える。上記第1の基板と上記スペーサ粒子との接触部の面積(A1)は、好ましくは0.70×10-6μm以上、より好ましくは20.0×10-6μm以上、さらに好ましくは78.5×10-6μm以上であり、好ましくは0.785μm以下、より好ましくは0.500μm以下、さらに好ましくは0.200μm以下である。
【0030】
上記第2の基板と上記スペーサ粒子との接触部(接着部)の面積(A2)は、好ましくは0.190μm以上、より好ましくは44.0μm以上、さらに好ましくは78.0μm以上であり、好ましくは315μm以下、より好ましくは177μm以下、さらに好ましくは115μm以下である。
【0031】
上記第1の基板と上記スペーサ粒子との接触部の面積(A1)は、上記第2の基板と上記スペーサ粒子との接触部(接着部)の面積(A2)とが異なっていてもよい。スペーサ粒子の基板からの剥離を効果的に抑制し、後述する導電膜の基板本体からの剥離を抑制する観点からは、上記第1の基板と上記スペーサ粒子との接触部の面積(A1)は、上記第2の基板と上記スペーサ粒子との接触部(接着部)の面積(A2)よりも小さいことが好ましい。
【0032】
上記第1の基板と上記スペーサ粒子との接触部の面積(A1)の、上記第2の基板と上記スペーサ粒子との接触部(接着部)の面積(A2)に対する比を、比(A1/A2)とする。上記比(A1/A2)は、好ましくは0を超え、より好ましくは0.1以上、さらに好ましくは0.2以上、特に好ましくは0.3以上であり、好ましくは1.0以下、より好ましくは1.0未満、さらに好ましくは0.9以下、特に好ましくは0.8以下である。上記比(A1/A2)が上記の好ましい範囲を満足すると、調光積層体が曲面部を有していても、上記第1の基板と上記第2の基板との曲率差を低くすることができるので、スペーサ粒子の基板からの剥離を効果的に抑制することができる。また、導電膜の基板本体からの剥離をより一層効果的に抑制することができる。
【0033】
上記比(A1/A2)を上記の好ましい範囲とする方法としては、以下の方法等が挙げられる。上記スペーサ粒子の接着時の変形を制御する方法。上記第1の基板、上記スペーサ粒子及び上記第2の基板の硬さを調整する方法。
【0034】
本発明の効果を効果的に発揮する観点からは、上記調光積層体では、上記第1の基板及び上記第2の基板に対して水平方向に切断した際の上記スペーサ粒子の断面積の極大値は、上記第1の基板と上記第2の基板との間の位置、かつ上記第1の基板及び上記第2の基板から離れた位置に存在することが好ましい。
【0035】
上記調光積層体では、上記第1の基板及び上記第2の基板に対して水平方向に切断した際の上記スペーサ粒子の断面積の極大値(S)の、上記第2の基板と上記スペーサ粒子との接触部(接着部)の面積(A2)に対する比を、比(S/A2)とする。上記比(S/A2)は、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2.0以上である。上記比(S/A2)は、1000以下であってもよく、100以下であってもよく、50以下であってもよい。上記比(S/A2)が上記の好ましい下限を満足すると、本発明の効果が効果的に発揮される。
【0036】
次に、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
【0037】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る調光積層体を示す断面図である。調光積層体1は、第1の基板2と、第2の基板3と、調光層4とを備える。調光層4は、第1の基板2と第2の基板3との間に配置されている。第1の基板2と、第2の基板3との間において、調光層4の周囲に、シール剤が配置されていてもよい。
【0038】
調光層4は、複数のスペーサ粒子4aを含む。スペーサ粒子4aは、球状のスペーサである。スペーサ粒子4aは、第1の基板2には接着せず、第2の基板3にのみ接着している。スペーサ粒子4aは、第1の基板2に点接触し、かつ、第2の基板3に面接着している。スペーサ粒子4aは、第1の基板2と第2の基板3とのギャップを制御している。調光積層体1では、粒子であるスペーサ粒子4a自体が、第2の基板3に接着している。
【0039】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る調光積層体を示す断面図である。調光積層体1Aは、第1の基板2Aと、第2の基板3Aと、調光層4Aとを備える。調光層4Aは、第1の基板2Aと第2の基板3Aとの間に配置されている。上記第1の基板と、上記第2の基板との間において、上記調光層の周囲に、シール剤が配置されていてもよい。
【0040】
調光積層体1Aは、曲面部を有する。調光積層体1Aは、湾曲部を有する。第1の基板2A、第2の基板3A、及び調光層4Aは、曲面部を有する。第1の基板2A、第2の基板3A、及び調光層4Aは、湾曲部を有する。調光積層体1A、第1の基板2A、及び第2の基板3Aは、フレキシブル性を有する。
【0041】
調光層4Aは、複数のスペーサ粒子4Aaを含む。スペーサ粒子4Aaは、球状のスペーサである。スペーサ粒子4Aaは、第1の基板2Aには接着せず、第2の基板3Aにのみ接着している。スペーサ粒子4Aaは、第1の基板2Aに点接触し、かつ、第2の基板3Aに面接着している。スペーサ粒子4Aaは、第1の基板2Aと第2の基板3Aとのギャップを制御している。
【0042】
上記第1の基板の表面上及び上記第2の基板の表面上には、透明電極が形成されていてもよい。上記透明電極の材料としては、インジウム錫オキサイド(ITO)等が挙げられる。
【0043】
図3は、図1に示す調光積層体1において、第2の基板3とスペーサ粒子4aとのなす角(θ)を説明するための断面図である。なお、図3では、図の明瞭化のために調光層4を省略している。調光積層体1の断面図において、第2の基板3と、スペーサ粒子4aとの、接着面の外周上の点の一つを点Pとする。点Pにおけるスペーサ粒子4aの接線Xと、第2の基板3の上面とのなす角をθとする。なお、上記調光積層体は、図2に示す調光積層体1Aのように、曲面部を有していてもよい。
【0044】
上記角θは、好ましくは5°以上、より好ましくは10°以上、さらに好ましくは15°以上であり、好ましくは60°以下、より好ましくは45°以下、さらに好ましくは30°以下である。上記角θが上記下限以上及び上記上限以下であると、第2の基板3の傷つきを防止することができる。
【0045】
上記角θを上記の範囲にする方法としては、以下の方法等が挙げられる。上記スペーサ粒子の接着時の変形を制御する方法。上記第1の基板、上記スペーサ粒子及び上記第2の基板の硬さを調整する方法。
【0046】
上記調光積層体は、上記スペーサ粒子を上記第2の基板に接着固定する接着部材を備えていないことが好ましい。上記接着部材は、上記スペーサ粒子とは異なる部材である。上記調光積層体は、上記スペーサ粒子の周囲に、接着部材を備えていないことが好ましい。
【0047】
以下、本発明の他の詳細を説明する。
【0048】
(調光層)
上記調光層は、調光性を有する。上記調光性とは、電界の印加の有無により可視光透過率が変化し、入射光量を調整することができる性質である。可視光透過率を変化させる作用機構としては、例えば、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)方式、SPD(Suspended Particle Device)方式、液晶を使用したゲストホスト型液晶方式、TN(Twisted Nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In-Plane-Switching)方式等がある。上記調光積層体は、PDLC方式の調光積層体又はSPD方式の調光積層体であることが好ましい。上記調光層の材料は、特に限定されず、調光性を有していれば、どのような材料であってもよい。
【0049】
[PDLC方式]
上記調光層は、バインダーと、上記バインダー中に分散している液晶材料とをさらに含むことが好ましい。
【0050】
上記液晶材料は、特に限定されない。上記液晶材料は、電界の印加によって配向が変化する性質を有することが好ましい。上記液晶材料は、上記バインダー中に連続相として分散していてもよく、上記バインダー中に液晶ドロップ状又は液晶カプセル状で分散してもよい。上記液晶材料としては、ネマチック液晶、及びコレステリック液晶等が挙げられる。
【0051】
上記ネマチック液晶の材料としては、シアノビフェニル系、フェニルエステル系、アゾキシベンゼン系、含フッ素ビフェニル系、炭酸エステル系及びシッフ塩基系等が挙げられる。上記ネマチック液晶の材料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0052】
上記コレステリック液晶の材料としては、ステロイド系コレステロール誘導体、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、安息香酸エステル系、ビフェニル系、ターフェニル系、シクロヘキシルカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、ビフェニルシクロヘキサン系、ピリミジン系、ジオキサン系、シクロヘキシルシクロヘキサンエステル系、シクロヘキシルエタン系、シクロヘキサン系、トラン系、アルケニル系、スチルベン系、縮合多環系等のネマチック液晶やスメクチック液晶、及びこれらの混合液晶に、シッフ塩基系、アゾ系、エステル系、ビフェニル系等の光学活性材料のカイラル成分を添加した材料等が挙げられる。上記コレステリック液晶の材料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0053】
上記バインダーは、上記液晶材料を保持し、上記液晶材料の流動を抑制する。上記バインダーは、特に限定されない。上記バインダーは、液晶材料に溶解せず、外力に耐え得る強度を持ち、さらに、反射光及び入射光に対して高い透過性を有することが好ましい。上記バインダーの材料としては、ゼラチン、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアクリル酸系ポリマー、エチレンイミン、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアミジン、イソプレン系スルホン酸ポリマー等の水溶性高分子材料、及びフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の水性エマルジョン化できる材料等が挙げられる。上記バインダーの材料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0054】
上記バインダーは、架橋剤によって架橋されていることが好ましい。上記架橋剤は、特に限定されない。上記架橋剤は、上記バインダー間で架橋が形成され、上記バインダーを硬膜化、難溶化、又は不溶化することが可能であることが好ましい。上記架橋剤としては、アセトアルデヒド、グルタルアルデヒド、グリオキサール、多価金属塩化合物のカリミョウバン水和物、アジピン酸ジヒドラジド、メラミンホルマリンオリゴマー、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアミドエピクロロヒドリン、及びポリカルボジイミド等が挙げられる。上記架橋剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0055】
[SPD方式]
上記調光層は、樹脂マトリックスと、上記樹脂マトリックス中に分散している光調整懸濁液とをさらに含むことが好ましい。
【0056】
上記光調整懸濁液は、分散媒と、分散媒中に分散した光調整粒子を含む。
【0057】
上記光調整粒子としては、ポリヨウ化物、カーボンブラック等の炭素系材料、銅、ニッケル、鉄、コバルト、クロム、チタン、アルミニウム等の金属材料、及び窒化ケイ素、窒化チタン、酸化アルミニウム等の無機化合物材料等が挙げられる。また、これらの材料がポリマーで被覆された粒子であってもよい。上記光調整粒子は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0058】
上記分散媒は、上記光調整粒子を流動可能な状態で分散させる。上記分散媒は、上記光調整粒子に選択的に付着し、上記光調整粒子を被覆し、樹脂マトリックスとの相分離の際に上記光調整粒子が相分離された液滴相に移動するように作用し、電気導電性がなく、樹脂マトリックスとは親和性がない材料であることが好ましい。さらに、上記分散媒は、調光積層体とした際に、樹脂マトリックスとの屈折率が近似した液状共重合体であることが好ましい。上記液状共重合体としては、フルオロ基又は水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーが好ましく、フルオロ基及び水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーがより好ましい。このような共重合体を使用すると、フルオロ基又は水酸基のモノマー単位が光調整粒子に向き、残りのモノマー単位が光調整懸濁液の液滴を樹脂マトリックス中で安定化させる。このため、光調整懸濁液内に光調整粒子が分散しやすく、樹脂マトリックスとの相分離の際に光調整粒子が相分離される液滴内に誘導されやすい。
【0059】
上記フルオロ基又は水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーとしては、メタクリル酸2,2,2-トリフルオロエチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2-ヒドロキシエチル共重合体、アクリル酸3,5,5-トリメチルヘキシル/アクリル酸2-ヒドロキシプロピル/フマール酸共重合体、アクリル酸ブチル/アクリル酸2-ヒドロキシエチル共重合体、アクリル酸2,2,3,3-テトラフルオロプロピル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2-ヒドロキシエチル共重合体、アクリル酸1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2-ヒドロキシエチル共重合体、アクリル酸1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2-ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸2,2,2-トリフルオロエチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2-ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸2,2,3,3-テトラフルオロプロピル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2-ヒドロキシエチル共重合体、メタクリル酸1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2-ヒドロキシエチル共重合体、及びメタクリル酸1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシル/アクリル酸ブチル/アクリル酸2-ヒドロキシエチル共重合体等が挙げられる。また、これらの(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーはフルオロ基及び水酸基の両方を有することがより好ましい。
【0060】
上記(メタ)アクリル酸エステルオリゴマーの重量平均分子量は、好ましくは1000以上、より好ましくは2000以上であり、好ましくは20000以下、より好ましくは10000以下である。
【0061】
上記調光層は、上記樹脂マトリックスを形成するための樹脂材料と、上記光調整懸濁液とを用いて、作製することができる。
【0062】
上記樹脂材料は、エネルギー線を照射することにより硬化する樹脂材料であることが好ましい。エネルギー線を照射することにより硬化する樹脂材料としては、光重合開始剤及び、紫外線、可視光線、電子線等のエネルギー線により硬化する高分子化合物を含む高分子組成物が挙げられる。上記高分子組成物としては、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体及び光重合開始剤を含む高分子組成物が挙げられる。上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
【0063】
上記非架橋性の単量体としては、ビニル化合物として、スチレン、α-メチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル化合物;塩化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリル化合物として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート化合物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート化合物;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート等のハロゲン含有(メタ)アクリレート化合物;α-オレフィン化合物として、ジイソブチレン、イソブチレン、リニアレン、エチレン、プロピレン等のオレフィン化合物;共役ジエン化合物として、イソプレン、ブタジエン等が挙げられる。
【0064】
上記架橋性の単量体としては、ビニル化合物として、ジビニルベンゼン、1,4-ジビニロキシブタン、ジビニルスルホン等のビニル単量体;(メタ)アクリル化合物として、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物;アリル化合物として、トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル;シラン化合物として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、n-デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のシランアルコキシド化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルビニルシシラン、ジメトキシエチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジエトキシエチルビニルシラン、エチルメチルジビニルシラン、メチルビニルジメトキシシラン、エチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、エチルビニルジエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性二重結合含有シランアルコキシド;デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状シロキサン;片末端変性シリコーンオイル、両末端シリコーンオイル、側鎖型シリコーンオイル等の変性(反応性)シリコーンオイル;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体等が挙げられる。
【0065】
上記光重合開始剤としては、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、及び(1-ヒドロキシシクロヘキシル)フェニルケトン等が挙げられる。
【0066】
上記樹脂材料は、有機溶剤可溶型樹脂、熱可塑性樹脂、及びポリ(メタ)アクリル酸等を含んでいてもよい。また、上記樹脂材料は、着色防止剤、酸化防止剤、及び密着性付与剤等の各種添加剤を含んでいてもよく、溶剤を含んでいてもよい。
【0067】
(スペーサ粒子)
上記調光層は、複数のスペーサ粒子を含む。上記スペーサ粒子は、調光積層体に用いられるスペーサ粒子である。上記スペーサ粒子は、調光積層体用スペーサ粒子である。
【0068】
本発明に係る調光積層体において、スペーサ粒子は粒子であるので、上記スペーサ粒子の形状は、例えば球状であり、柱状スペーサと異なる。上記スペーサ粒子が球状以外の形状(例えば、柱状)であると、基板を曲面化したときに、基板と接着しているスペーサの底面の両端にのみ圧力がかかることで、スペーサが基板から剥がれたり、調光層が破壊されたりすることがある。柱状としては、円柱状及び多角柱状等が挙げられる。上記調光積層体では、上記スペーサ粒子が球状であることにより、調光積層体を製造する際に、ロールツーロールプロセスを適用することができ、調光積層体の製造コストを低減することができる。なお、球状は、真球状に限定されず、略球状も含まれ、例えば、アスペクト比(長径/短径)が1.5以下である形状も含まれる。
【0069】
上記スペーサ粒子の材料は、有機材料であることが好ましい。上記有機材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート及びポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ジビニルベンゼン重合体、並びにジビニルベンゼン共重合体等が挙げられる。上記ジビニルベンゼン共重合体等としては、ジビニルベンゼン-スチレン共重合体及びジビニルベンゼン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
【0070】
上記スペーサ粒子の材料は、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ウレタン樹脂、イソシアネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フェノール樹脂、又はエチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。上記スペーサ粒子の材料は、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、フェノール樹脂、又はエチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることがより好ましい。上記スペーサ粒子の材料は、熱硬化性樹脂であることが好ましく、エポキシ樹脂であることが特に好ましい。上記スペーサ粒子の材料が、上記の好ましい態様を満足すると、スペーサ粒子の圧縮特性を好適な範囲により一層容易に制御することができる。
【0071】
上記スペーサ粒子の材料としてエポキシ樹脂を用いる場合には、上記エポキシ樹脂は多官能エポキシ樹脂であることが好ましい。上記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びビスフェノールF型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂、トリアジン型エポキシ樹脂、及びグリシジルアミン型エポキシ樹脂等の3官能エポキシ樹脂、並びに、テトラキスフェノールエタン型エポキシ樹脂、及びグリシジルアミン型エポキシ樹脂等の4官能エポキシ樹脂等が挙げられる。上記エポキシ樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0072】
また、上記スペーサ粒子の材料としてエポキシ樹脂を用いる場合には、エポキシ樹脂とともに硬化剤を用いることが好ましい。上記硬化剤は、上記エポキシ樹脂を熱硬化させる。上記硬化剤は特に限定されない。上記硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤等のチオール硬化剤、及び酸無水物硬化剤等が挙げられる。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記スペーサ粒子の圧縮特性を好適な範囲に容易に制御する観点からは、上記硬化剤は、アミン硬化剤であることが好ましい。
【0073】
上記イミダゾール硬化剤は特に限定されない。上記イミダゾール硬化剤としては、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン及び2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-ベンジル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-パラトルイル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-メタトルイル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-メタトルイル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-パラトルイル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール等における1H-イミダゾールの5位の水素原子がヒドロキシメチル基で置換され、かつ、2位の水素原子がフェニル基又はトルイル基で置換されたイミダゾール化合物等が挙げられる。
【0074】
上記チオール硬化剤は特に限定されない。上記チオール硬化剤としては、トリメチロールプロパントリス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ-3-メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
【0075】
上記アミン硬化剤は特に限定されない。上記アミン硬化剤としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ノルボルナンジアミン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、フェニレンジアミン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノフェニルエーテル、メタキシレンジアミン、ジアミノナフタレン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。上記スペーサ粒子の圧縮特性を好適な範囲に容易に制御する観点からは、上記アミン硬化剤は、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、フェニレンジアミン、又は2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパンであることが好ましい。上記スペーサ粒子の圧縮特性を好適な範囲に容易に制御する観点からは、上記アミン硬化剤は、エチレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミン、又は2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパンであることがより好ましい。
【0076】
上記酸無水物硬化剤は特に限定されず、エポキシ化合物等の熱硬化性化合物の硬化剤として用いられる酸無水物であれば広く用いることができる。上記酸無水物硬化剤としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、フタル酸誘導体の無水物、無水マレイン酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、無水グルタル酸、無水コハク酸、グリセリンビス無水トリメリット酸モノアセテート、及びエチレングリコールビス無水トリメリット酸等の2官能の酸無水物硬化剤、無水トリメリット酸等の3官能の酸無水物硬化剤、並びに、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、及びポリアゼライン酸無水物等の4官能以上の酸無水物硬化剤等が挙げられる。
【0077】
上記スペーサ粒子を、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させて得る場合には、上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
【0078】
上記非架橋性の単量体としては、上述した非架橋性の単量体が挙げられる。上記架橋性の単量体としては、上述した架橋性の単量体が挙げられる。
【0079】
上記スペーサ粒子は、上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させることによって得ることができる。上記の重合方法としては特に限定されず、ラジカル重合、イオン重合、重縮合(縮合重合、縮重合)、付加縮合、リビング重合、及びリビングラジカル重合等の公知の方法が挙げられる。また、他の重合方法としては、ラジカル重合開始剤の存在下での懸濁重合が挙げられる。
【0080】
上記スペーサ粒子は、コアシェル粒子であってもよい。上記スペーサ粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを有するコアシェル型の粒子であることが好ましい。上記スペーサ粒子は、コアと上記コアの表面上に配置されたシェルとを有するスペーサ粒子であることが好ましい。
【0081】
上記コアの材料としては、特に限定されない。上記コアの材料としては、上述したスペーサ粒子の材料を用いることができる。上記コアの材料は、有機材料であってもよく、無機材料であってもよい。上記無機材料は、金属を除く無機材料であってもよい。
【0082】
上記シェルの材料としては、上述したスペーサ粒子の材料として挙げた有機材料が挙げられる。上記有機シェルの材料は、熱硬化性樹脂であることが好ましく、エポキシ樹脂であることが好ましい。
【0083】
ギャップをより一層高精度に制御する観点からは、基板間に配置される前の上記スペーサ粒子の粒子径のCV値は、好ましくは10%以下、より好ましくは7%以下である。ギャップをより一層高精度に制御する観点からは、上記調光積層体中での上記スペーサ粒子の粒子径のCV値は、好ましくは10%以下、より好ましくは7%以下である。従来のスペーサ粒子の役割から鑑みると、上記スペーサ粒子の粒子径のCV値は小さいほど好ましいとされる。一方、本発明の調光積層体においては、上記スペーサ粒子の粒子径のCV値が上記上限以下であることが好ましく、それによって、特に調光積層体が曲面部を有する場合や調光積層体を折り曲げる等の操作を行った場合に、スペーサ粒子が調光積層体に追従することができ、スペーサ粒子の移動を抑制することができる。上記スペーサ粒子の粒子径のCV値の上限は、特に限定されない。上記スペーサ粒子の粒子径のCV値は、30%以下であってもよい。
【0084】
上記スペーサ粒子の粒子径のCV値(変動係数)は、以下のようにして測定できる。
【0085】
CV値(%)=(ρ/Dn)×100
ρ:上記スペーサ粒子の粒子径の標準偏差
Dn:上記スペーサ粒子の粒子径の平均値
【0086】
ギャップをより一層高精度に制御し、基板の傷付きを防止する観点からは、基板間に配置される前の上記スペーサ粒子の10%K値は、好ましくは10000N/mm以下、より好ましくは7000N/mm以下である。上記調光積層体中での上記スペーサ粒子の10%K値は、好ましくは10000N/mm以下、より好ましくは7000N/mm以下である。上記スペーサ粒子の10%K値の下限は特に限定されない。上記スペーサ粒子の10%K値は、10N/mm以上であってもよい。上記調光積層体中での上記スペーサ粒子の10%K値を測定する場合に、上記調光積層体から、上記スペーサ粒子を取り出してもよい。
【0087】
上記スペーサ粒子の10%K値は、以下のようにして測定できる。
【0088】
微小圧縮試験機を用いて、円柱(直径50μm、ダイヤモンド製)の平滑圧子端面で、25℃、最大試験荷重20mNを60秒かけて負荷する条件下でスペーサ粒子を圧縮する。このときの荷重値(N)及び圧縮変位(mm)を測定する。得られた測定値から、上記10%K値を下記式により求めることができる。上記微小圧縮試験機として、例えば、フィッシャー社製「フィッシャースコープH-100」等が用いられる。
【0089】
10%K値(N/mm)=(3/21/2)・F・S-3/2・R-1/2
F:スペーサ粒子が10%圧縮変形したときの荷重値(N)
S:スペーサ粒子が10%圧縮変形したときの圧縮変位(mm)
R:スペーサ粒子の半径(mm)
【0090】
実用性の観点からは、基板間に配置される前の上記スペーサ粒子の平均粒子径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは8μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下である。ギャップをより一層高精度に制御する観点からは、上記調光積層体中での上記スペーサ粒子の平均粒子径は、好ましくは1μm以上、より好ましくは8μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは30μm以下である。
【0091】
上記スペーサ粒子の粒子径は、上記スペーサ粒子が真球状である場合には直径を意味し、上記スペーサ粒子が真球状以外の形状である場合には、その体積相当の真球と仮定した際の直径を意味する。
【0092】
また、上記スペーサ粒子の粒子径は、上記スペーサ粒子を粒子径測定装置により測定した平均粒子径を意味する。粒子径測定装置としては、例えば、レーザー光散乱、電気抵抗値変化、撮像後の画像解析等の原理を用いた粒度分布測定機等が挙げられる。具体的には上記スペーサ粒子の粒子径の測定方法としては、例えば、粒度分布測定装置(ベックマンコールター社製「Multisizer4」)を用いて、約100000個の粒子径を測定し、平均粒子径を測定する方法が挙げられる。上記平均粒子径は、数平均粒子径を示す。
【0093】
基板間に配置される前の上記スペーサ粒子のアスペクト比は、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下である。上記調光積層体中での上記スペーサ粒子のアスペクト比は、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下である。上記アスペクト比は、長径/短径を示す。上記スペーサ粒子のアスペクト比は、任意のスペーサ粒子10個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、最大径と最小径をそれぞれ長径、短径とし、各スペーサ粒子の長径/短径の平均値を算出することにより求められる。
【0094】
スペーサの移動をより一層抑制する観点、及びギャップをより一層高精度に制御する観点からは、基板間に配置される前の上記スペーサ粒子の球形度は、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.85以上、さらに好ましくは0.9以上、特に好ましくは0.95以上である。スペーサの移動をより一層抑制する観点、及びギャップをより一層高精度に制御する観点からは、上記調光積層体中での上記スペーサ粒子の球形度は、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.85以上、さらに好ましくは0.9以上、特に好ましくは0.95以上である。
【0095】
調光積層体の視認性を高める観点からは、上記スペーサ粒子の可視光透過率は、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上である。
【0096】
上記スペーサ粒子の可視光透過率は、以下のようにして測定できる。
【0097】
スペーサ粒子と同一組成の板状サンプルを作製し、分光測定等を実施し、ISO13837:2008に準拠して可視光透過率を測定することができる。また、JIS K6714規格に準拠した方法等によって測定することもできる。
【0098】
上記スペーサ粒子は、調光積層体に用いられる。上記スペーサ粒子は調光ガラス用スペーサとして用いられてもよく、調光フィルム用スペーサとして用いられてもよい。
【0099】
(第1の基板及び第2の基板)
上記第1の基板及び上記第2の基板は、光透過性を有する基材(光透過性基材)であることが好ましい。上記第1の基板及び上記第2の基板は、透明基材であることが好ましい。例えば、透明基材の一方側から、透明基材を介して他方側に光が透過する。例えば、透明基材の一方側から、透明基材を介して他方側にある物質を目視したときに、物質を視認可能である。透明には、半透明も含まれる。透明基材は、無色透明であってもよく、有色透明であってもよい。
【0100】
上記第1の基板及び上記第2の基板の材料は、特に限定されない。上記第1の基板の材料と上記第2の基板の材料とは同一であってもよく、異なっていてもよい。上記基板の材料としては、ガラス及び樹脂フィルム等が挙げられる。上記ガラスとしては、一般建築用のソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、硼珪酸ガラス、及びその他用途における各種組成のガラス等、並びに熱反射ガラス、熱吸収ガラス、及び強化ガラス等の機能ガラスが挙げられる。上記樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、アクリル樹脂系フィルム等の樹脂フィルムが挙げられる。透明性、成形性、接着性、加工性等に優れていることから、上記透明基材は、樹脂基材であることが好ましく、樹脂フィルムであることがより好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムであることがさらに好ましい。
【0101】
上記第1の基板及び上記第2の基板は、調光のための電界を印加可能であるように、基板本体と、基板本体の表面に形成された透明導電膜とを備えることが好ましい。上記透明導電膜としては、インジウム錫オキサイド(ITO)、SnO、及びIn等が挙げられる。本発明に係る調光積層体では、上記の構成が備えられているので、上記調光積層体が曲面部を有していても、導電膜の上記基板本体からの剥離を抑制することができる。
【0102】
調光積層体の視認性を高める観点からは、上記第1の基板及び第2の基板の可視光透過率は、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上である。
【0103】
上記基板の可視光透過率は、分光測定等を実施し、ISO13837:2008に準拠して測定することができる。また、JIS K6714規格に準拠した方法等によって測定することもできる。
【0104】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0105】
以下の材料を用意した。
【0106】
スペーサ:
スペーサ粒子1(樹脂粒子、平均粒子径12μm、CV値3.8%、下記の合成例1に従って作製)
スペーサ粒子2(コアシェル粒子、平均粒子径14μm、CV値4.7%、下記の合成例2に従って作製)
柱状スペーサ3(コアシェル型マイクロロッド、平均ロッド径10.3μm、CV値1.9%、下記の合成例3に従って作製)
スペーサ粒子4(積水化学工業社製「SP-220」、平均粒子径20.0μm、CV値4.7%)
スペーサ粒子5(積水化学工業社製「EZ3P-020」、平均粒子径20.0μm、CV値5%)
【0107】
(合成例1)
温度計、撹拌機、冷却管を備えた反応容器に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC社製「EXA-850-CRP」)15重量部と、分散安定剤としてポリビニルピロリドン7.5重量部と、エタノール250重量部とを投入し、65℃で1時間撹拌することで均一に溶解させた。次に、4,4’-ジアミノジフェニルメタン2.1重量部と、エタノール35重量部とを混合し、均一に溶解させた後、反応容器内に添加し、65℃及び20時間の条件で反応させ、反応生成物を得た。得られた反応生成物をメタノールで洗浄した後、分級操作を行ってスペーサ粒子1を回収した。
【0108】
(合成例2)
温度計、撹拌機、冷却管を備えた反応容器に、コアの材料として、樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP-210」)50重量部と、水500重量部と、分散安定剤としてポリアリルアミン100重量部とを入れて、均一に溶解させた後に、25℃及び1時間の条件で反応させ、反応生成物を得た。得られた反応生成物を洗浄し、乾燥させて、コアを得た。得られたコア30重量部と、シェルの材料として、2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパン20重量部及び2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン16.5重量部と、分散安定剤として、ポリビニルピロリドン6.8重量部及びエタノール250重量部とを混合し、均一に溶解させた。その後、65℃及び24時間の条件で反応させ、反応生成物を得た。得られた反応生成物をメタノールにて数回洗浄した後、分級操作を行ってスペーサ粒子2を回収した。
【0109】
(合成例3)
温度計、撹拌機、冷却管を備えた反応容器に、コアの材料として、マイクロロッド(日本電気硝子社製「PF-90S」)50重量部と、水500重量部と、分散安定剤としてポリアリルアミン100重量部とを入れて、均一に溶解させた後に、25℃及び1時間の条件で反応させ、反応生成物を得た。得られた反応生成物を洗浄し、乾燥させて、コアを得た。上記で得られたコア30重量部と、シェルの材料として、2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパン20重量部及び2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン16.5重量部と、分散安定剤として、ポリビニルピロリドン6.8重量部及びエタノール250重量部とを混合し、均一に溶解させた。その後、65℃及び24時間の条件で反応させ、反応生成物を得た。得られた反応生成物をメタノールにて数回洗浄した後、分級操作を行って柱状スペーサ3を得た。
【0110】
(実施例1)
PDLC方式の調光積層体の作製
第1の基板、第2の基板として、表面に透明導電膜(ITO)を有するPETフィルムを用意した。第2の基板の表面上に、スペーサ粒子1を15個/cmとなるように散布した。スペーサ粒子1が散布された第1の基板を、0.05kgf/cmの圧力で、120℃で100分間加熱して、スペーサ粒子1を第2の基板上に接着させた。次いで、調光材料(「Macromolecules」、第26巻第6132~6134頁(1993年)に記載の方法に準拠して作製)を積層し、第1の基板を積層して、調光積層体を得た。このとき、加圧は行わなかった。
【0111】
(実施例2~3、参考例4及び比較例1)
調光積層体の構成を表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、調光積層体を作製した。
【0112】
(比較例2~6)
第2の基板の表面上に各スペーサ粒子を散布した後、加圧及び加熱を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、調光積層体を作製した。
【0113】
(比較例7)
第2の基板の表面上にスペーサ粒子1を散布した。スペーサ粒子1が散布された第1の基板の表面上に、上記調光材料を積層し、第1の基板を積層した後に、0.05kgf/cmの圧力で、120℃で100分間加熱したこと以外は、実施例1と同様にして、調光積層体を作製した。
【0114】
(評価)
(1)角θの測定
得られた調光積層体について、上述した方法で、上記第2の基板と上記スペーサ粒子とのなす角θを測定した。
【0115】
(2)比(A1/A2)の測定
得られた調光積層体について、上述した方法で、第1の基板とスペーサとの接触部の面積(A1)の、第2の基板とスペーサとの接着部の面積(A2)に対する比を計算した。
【0116】
(3)ギャップ制御性
得られた調光積層体を、曲率0.1の円筒板を用いて湾曲させ、曲面部を有する調光積層体を得た。該調光積層体について、調光層の厚みを走査型電子顕微鏡を用いて測定した。調光層の厚みの最小値の、調光層の厚みの最大値に対する比(調光層の厚みの最小値/調光層の厚みの最大値)を計算し、ギャップ制御性を、下記の基準で判定した。
【0117】
[ギャップ制御性の判定基準]
○○:比(調光層の厚みの最小値/調光層の厚みの最大値)が0.95以上
○:比(調光層の厚みの最小値/調光層の厚みの最大値)が0.90以上0.95未満
△:比(調光層の厚みの最小値/調光層の厚みの最大値)が0.70以上0.90未満
×:比(調光層の厚みの最小値/調光層の厚みの最大値)が0.70未満
【0118】
(4)スペーサの残存性
得られた調光積層体を、曲率0.1の円筒板を用いて湾曲させ、曲面部を有する調光積層体を得た。該調光積層体において、スペーサが移動又は剥離せず、調光層内に均一に残存しているか否かを、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製「VHX-2000」)を用いて観察した。第2の基板表面の任意の5箇所の1cmの領域において、残存しているスペーサの個数を計測した。残存しているスペーサの個数の標準偏差を求め、スペーサの残存性を、下記の基準で判定した。
【0119】
[スペーサの残存性]
○○:標準偏差が2未満
〇:標準偏差が2以上4未満
△:標準偏差が4以上6未満
×:標準偏差が6以上
【0120】
(5)導電膜の剥がれ
得られた調光積層体の任意の200箇所において、導電膜が第1の基板及び第2の基板から剥がれているか否かを、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製「VHX-2000」)を用いて確認した。導電膜の剥がれを、下記の基準で判定した。
【0121】
[導電膜の剥がれ]
○○:導電膜の剥がれが2箇所以下
○:導電膜の剥がれが3箇所以上10箇所以下
△:導電膜の剥がれが11箇所以上30箇所以下
×:導電膜の剥がれが31箇所以上
【0122】
結果を下記の表1に示す。
【0123】
【表1】
【符号の説明】
【0124】
1,1A…調光積層体
2,2A…第1の基板
3,3A…第2の基板
4,4A…調光層
4a,4Aa…スペーサ粒子
図1
図2
図3