(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】自転車及び自転車の電動化ユニット
(51)【国際特許分類】
B62M 6/55 20100101AFI20240807BHJP
B62K 19/34 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
B62M6/55
B62K19/34
(21)【出願番号】P 2020167683
(22)【出願日】2020-10-02
【審査請求日】2023-06-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000231350
【氏名又は名称】ジヤトコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 宗幸
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-118673(JP,A)
【文献】特開2011-006062(JP,A)
【文献】特開平11-227666(JP,A)
【文献】中国実用新案第202384906(CN,U)
【文献】特開2009-248668(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0032425(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 6/55
B62K 19/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車であって、
上端に運転者が着座するサドルが設けられて下端にハンガラグが形成されるシートチューブを有し、前輪及び後輪が回転可能に取り付けられるフレームと、
前記ハンガラグに支持されて前記フレームの外部に吊り下げられる取付部材と、
前記取付部材に取り付けられる駆動部と、
を備え、
前記駆動部は、
前記取付部材に支持される本体部と、
前記本体部に収容される電動モータと、
運転者が駆動トルクを入力するクランク部と、
前記電動モータからの出力トルクと前記クランク部からの入力トルクとが伝達される駆動軸と、
を有し、
前記駆動軸は、前記シートチューブの延長線上に位置
し、
前記取付部材は、
前記ハンガラグの少なくとも軸方向一端から締め付けられるボルトと、
前記ボルトが締め付けられることによって拡径して前記取付部材に回転不能に固定される第1コレットチャックと、
前記ボルトが締め付けられることによって拡径して前記ハンガラグに回転不能に固定される第2コレットチャックと、
を有する、
自転車。
【請求項2】
請求項1に記載の自転車であって、
前記本体部は、前記駆動軸に連結される駆動スプロケットと同軸に、かつ当該駆動スプロケットよりも小径に形成される、
自転車。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の自転車であって、
前記フレームは、前記シートチューブの下端に連結されるダウンチューブと、前記シートチューブの下端と前記後輪の回転軸とを連結するチェーンステイと、を更に有し、
前記取付部材は、
内周側で前記駆動部を支持する支持部と、
前記ハンガラグに取り付けられるフレーム取付部と、
前記支持部の外周側に設けられて前記ダウンチューブと前記チェーンステイとの少なくとも一方を下側から把持し、突出長さが調整可能な支持アームと、
を有する、
自転車。
【請求項4】
自転車の電動化ユニットであって、
上端に運転者が着座するサドルが設けられて下端にハンガラグが形成されるシートチューブを有するフレームの前記ハンガラグに支持されて前記フレームの外部に吊り下げられる取付部材と、
前記取付部材に取り付けられる駆動部と、
を備え、
前記駆動部は、
前記取付部材に支持される本体部と、
前記本体部に収容される電動モータと、
運転者が駆動トルクを入力するクランク部と、
前記電動モータからの出力トルクと前記クランク部からの入力トルクとが伝達される駆動軸と、
を有し、
前記駆動軸は、前記シートチューブの延長線上に位置
し、
前記取付部材は、
前記ハンガラグの少なくとも軸方向一端から締め付けられるボルトと、
前記ボルトが締め付けられることによって拡径して前記取付部材に回転不能に固定される第1コレットチャックと、
前記ボルトが締め付けられることによって拡径して前記ハンガラグに回転不能に固定される第2コレットチャックと、
を有する、
自転車の電動化ユニット。
【請求項5】
自転車であって、
上端に運転者が着座するサドルが設けられて下端にハンガラグが形成されるシートチューブを有し、前輪及び後輪が回転可能に取り付けられるフレームと、
前記ハンガラグに支持されて前記フレームの外部に吊り下げられる取付部材と、
前記取付部材に取り付けられる駆動部と、
を備え、
前記駆動部は、
前記取付部材に支持される本体部と、
前記本体部に収容される電動モータと、
運転者が駆動トルクを入力するクランク部と、
前記電動モータからの出力トルクと前記クランク部からの入力トルクとが伝達される駆動軸と、
を有し、
前記取付部材は、
前記ハンガラグの少なくとも軸方向一端から締め付けられるボルトと、
前記ボルトが締め付けられることによって拡径して前記取付部材に回転不能に固定される第1コレットチャックと、
前記ボルトが締め付けられることによって拡径して前記ハンガラグに回転不能に固定される第2コレットチャックと、
を有する、
自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車及び自転車の電動化ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フレームのダウンチューブとシートパイプとの結合部に駆動ユニットを取り付けるためのモータブラケットが設けられる駆動自転車(電動アシスト自転車)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の電動アシスト自転車では、駆動ユニットを取り付けるために専用のフレームが必要である。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、電動アシスト自転車用ではない通常の自転車用のフレームを用いて電動アシスト自転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、自転車は、上端に運転者が着座するサドルが設けられて下端にハンガラグが形成されるシートチューブを有し、前輪及び後輪が回転可能に取り付けられるフレームと、前記ハンガラグに支持されて前記フレームの外部に吊り下げられる取付部材と、前記取付部材に取り付けられる駆動部と、を備え、前記駆動部は、前記取付部材に支持される本体部と、前記本体部に収容される電動モータと、運転者が駆動トルクを入力するクランク部と、前記電動モータからの出力トルクと前記クランク部からの入力トルクとが伝達される駆動軸と、を有し、前記駆動軸は、前記シートチューブの延長線上に位置し、前記取付部材は、前記ハンガラグの少なくとも軸方向一端から締め付けられるボルトと、前記ボルトが締め付けられることによって拡径して前記取付部材に回転不能に固定される第1コレットチャックと、前記ボルトが締め付けられることによって拡径して前記ハンガラグに回転不能に固定される第2コレットチャックと、を有する。
【0007】
本発明の他の態様によれば、自転車の電動化ユニットは、上端に運転者が着座するサドルが設けられて下端にハンガラグが形成されるシートチューブを有するフレームの前記ハンガラグに支持されて前記フレームの外部に吊り下げられる取付部材と、前記取付部材に取り付けられる駆動部と、を備え、前記駆動部は、前記取付部材に支持される本体部と、前記本体部に収容される電動モータと、運転者が駆動トルクを入力するクランク部と、前記電動モータからの出力トルクと前記クランク部からの入力トルクとが伝達される駆動軸と、を有し、前記駆動軸は、前記シートチューブの延長線上に位置し、前記取付部材は、前記ハンガラグの少なくとも軸方向一端から締め付けられるボルトと、前記ボルトが締め付けられることによって拡径して前記取付部材に回転不能に固定される第1コレットチャックと、前記ボルトが締め付けられることによって拡径して前記ハンガラグに回転不能に固定される第2コレットチャックと、を有する。
【発明の効果】
【0008】
上記態様では、フレームのハンガラグに取付部材が支持され、取付部材に電動モータを含む駆動部が取り付けられる。そのため、通常の自転車ではクランクシャフトが挿通するハンガラグに取付部材と駆動部とを取り付けることで、電動アシスト自転車にすることができる。したがって、電動アシスト自転車用ではない通常の自転車用のフレームを用いて電動アシスト自転車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る電動化ユニット及び自転車の概要を説明する側面図である。
【
図3】
図3は、電動化ユニットの変形例の側面図である。
【
図4】
図4は、駆動部の概要を説明する構成図である。
【
図5】
図5は、取付部材のハンガラグへの取り付け態様について説明する概要図である。
【
図6】
図6は、取付部材のハンガラグへの取り付け態様の第1の変形例について説明する概要図である。
【
図7】
図7は、取付部材のハンガラグへの取り付け態様の第2の変形例について説明する概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る自転車1及び自転車1の電動化ユニット(以下、単に「電動化ユニット」と称する。)60について説明する。
【0011】
まず、
図1から
図4を参照して、自転車1の全体構成について説明する。
【0012】
図1は、電動化ユニット60及び自転車1の概要を説明する側面図である。
図2は、電動化ユニット60の側面図である。
図3は、電動化ユニット60の変形例の側面図である。
図4は、駆動部30の概要を説明する構成図である。
【0013】
図1に示すように、自転車1は、フレーム10と、取付部材20と、駆動部30と、前輪51と、後輪52と、ハンドル53と、サドル54と、駆動スプロケット55と、被駆動スプロケット56と、チェーン57と、コントローラ61と、蓄電部62と、を備える。電動化ユニット60は、取付部材20と駆動部30とによって構成される。
【0014】
自転車1は、運転者が跨ってサドル54に着座し、ペダル59を介してクランク部としてのクランクアーム58を漕いで運転するものである。自転車1は、運転者によるクランクアーム58からの入力トルクと、当該入力トルクに応じた大きさの駆動部30によるアシストトルクと、によって後輪52を駆動する電動アシスト自転車である。
【0015】
フレーム10は、トップチューブ11と、ヘッドチューブ12と、ダウンチューブ13と、シートチューブ14と、チェーンステイ15と、シートステイ16と、を有する。フレーム10は、シートチューブ14を対角線とする略平行四辺形状のいわゆるダイヤモンド型フレームである。フレーム10は、電動アシスト自転車用ではない通常の自転車用のフレームである。フレーム10には、前輪51及び後輪52が回転可能に取り付けられる。
【0016】
トップチューブ11は、ヘッドチューブ12とシートチューブ14の上端とを連結する。
【0017】
ヘッドチューブ12には、トップチューブ11の前端とダウンチューブ13の上端(前端)とが連結される。ヘッドチューブ12には、ステアリングコラム(図示省略)が挿通する。
【0018】
ダウンチューブ13は、ヘッドチューブ12とシートチューブ14の下端とを連結する。
【0019】
シートチューブ14は、トップチューブ11の後端とダウンチューブ13の下端(後端)とを連結する。シートチューブ14の上端には、運転者が着座するサドル54が設けられる。シートチューブ14の下端には、ハンガラグ18が形成される。
【0020】
チェーンステイ15は、シートチューブ14の下端と後輪52の回転軸とを連結する。チェーンステイ15は、後輪52の回転軸の両端を支持するように二股に形成される。
【0021】
シートステイ16は、シートチューブ14の上端と後輪52の回転軸とを連結する。
【0022】
フロントフォーク17は、前輪51の回転軸の両端を支持し、前輪51をフレーム10に固定する。フロントフォーク17は、ヘッドチューブ12内を軸方向に貫通するステアリングコラムと連結されている。フロントフォーク17は、ヘッドチューブ12に対して周方向に回動可能である。
【0023】
ハンガラグ18は、取付部材20を支持する。ハンガラグ18は、電動アシスト自転車でない通常の自転車では、一対のクランクアーム58間に設けられるクランクシャフト35が挿通するものであり、ボトムブラケットシェルとも呼ばれる。
【0024】
前輪51は、運転者のハンドル53の操作によってフロントフォーク17が回動することで左右に転舵される。
【0025】
後輪52には、被駆動スプロケット56が取り付けられる。被駆動スプロケット56には、後述するクランクシャフト35に取り付けられる駆動スプロケット55との間に掛け回されたチェーン57を介して駆動トルクが伝達される。
【0026】
取付部材20は、ハンガラグ18に支持されてフレーム10の外部に吊り下げられる。
図2に示すように、取付部材20は、支持部21と、フレーム取付部22と、を有する。
【0027】
支持部21は、円弧状に形成され、前後方向に延設される。支持部21は、内周側に駆動部30のケース31を支持する。支持部21の外周には、フレーム取付部22が一体に形成される。支持部21は、下方に位置するケース31の上部外周縁のみを支持する。これにより、取付部材20を必要最小限な大きさにできるので、小型化及び軽量化が可能である。また、ケース31の下方に取付部材20が突出しないので、地面との間のクリアランスを確保することができる。支持部21には、駆動部30のケース31を取付部材20に取り付けるためのボルト25(
図5参照)が挿通する複数(ここでは4個)のボルト孔23が形成される。
【0028】
フレーム取付部22は、支持部21の周方向略中央から外周に突出して形成される。フレーム取付部22は、ハンガラグ18に取り付けられる。フレーム取付部22には、取付部材20をフレーム10に取り付けるためのボルト26(
図5参照)が挿通するボルト孔24が形成される。フレーム取付部22は、ハンガラグ18に対して取付部材20がクランクシャフト35まわりに回転しないように取り付けられる。取付部材20のハンガラグ18への取り付け態様については、後で
図5から
図8を参照しながら詳細に説明する。
【0029】
これに代えて、
図3に示す変形例のように、フレーム取付部22が、支持部21の一端部21aから外周に突出するように形成してもよい。例えば、
図2に示す取付部材20を用いるとフレーム取付部22が後輪52と干渉するような場合には、
図3に示す取付部材20を用いることで、フレーム取付部22と後輪52との干渉を避けることができる。ただし、この場合には、後述するようにクランクシャフト35をシートチューブ14の延長線上に位置するように設けることはできなくなる。
【0030】
図1に示すように、駆動部30は、取付部材20に取り付けられる。
図1及び
図4に示すように、駆動部30は、本体部としてのケース31と、トルクセンサ32と、電動モータ33と、減速機34と、駆動軸としてのクランクシャフト35と、一対のクランクアーム58と、一対のペダル59と、を有する。
【0031】
図4に示すように、ケース31は、略円筒状に形成されて取付部材20に支持される。ケース31は、取付部材20を介してフレーム10に取り付けられる。ケース31は、トルクセンサ32と電動モータ33と減速機34とワンウェイクラッチ(図示省略)と、を収容する。トルクセンサ32と電動モータ33と減速機34とワンウェイクラッチとは、中心軸が共通するように同軸に設けられる。
【0032】
また、ケース31は、クランクシャフト35に連結される駆動スプロケット55と同軸に、かつ当該駆動スプロケット55よりも小径に形成される。これにより、駆動スプロケット55の外側にケース31が突出しないので、ケース31と地面との間のクリアランスを確保でき、ケース31と後輪52との干渉を避けることができる。
【0033】
トルクセンサ32は、運転者がペダル59を介してクランクアーム58を漕いで発生しクランクシャフト35に伝達された駆動トルクを検出する。トルクセンサ32は、例えば、磁気によって計測したクランクシャフト35のねじれに基づいてトルクを検出する非接触式トルクセンサである。
【0034】
電動モータ33は、コントローラ61からの指令によって駆動される。電動モータ33は、蓄電部62から供給される電力によって回転力を発生する。
【0035】
減速機34は、電動モータ33が発生した回転力を減速してクランクシャフト35に伝達する。減速機34は、例えば、遊星歯車機構によって構成される。
【0036】
クランクシャフト35には、クランクアーム58及びペダル59が取り付けられる。また、クランクシャフト35には、駆動スプロケット55が取り付けられる。クランクシャフト35には、電動モータ33からの出力トルクとクランクアーム58からの入力トルクとが伝達される。
【0037】
図1に示すように、クランクシャフト35は、シートチューブ14の延長線上に位置するように設けられる。これにより、運転者は、サドル54の高さを調整するだけで、ハンガラグ18にクランクシャフト35を設けてクランクアーム58及びペダル59を取り付けて通常の自転車とした場合と同じ姿勢でペダル59を漕ぐことができる。
【0038】
ペダル59は、運転者が駆動トルクを入力するものである。ペダル59は、クランクアーム58を介してクランクシャフト35に連結されている。
【0039】
以上のように、フレーム10のハンガラグ18に取付部材20が支持され、取付部材20に電動モータ33を含む駆動部30が取り付けられる。そのため、通常の自転車ではクランクシャフト35が挿通するハンガラグ18に取付部材20と駆動部30とを取り付けることで、電動アシスト自転車にすることができる。したがって、電動アシスト自転車用ではない通常の自転車用のフレーム10を用いて電動アシスト自転車を提供することができる。
【0040】
コントローラ61は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えたマイクロコンピュータで構成される。コントローラ61は、複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。コントローラ61は、CPUがROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することで各種の処理を行う。具体的には、コントローラ61は、トルクセンサ32から入力された駆動トルクの大きさに対応する電気信号に基づいてアシスト力を演算し、当該アシスト力を電動モータ33が発生するように指令信号を出力する。
【0041】
蓄電部62は、ニッケル水素蓄電池やリチウムイオン蓄電池等の充放電可能な二次電池である。蓄電部62は、フレーム10から取り外し可能に設けられる。
【0042】
次に、
図5から
図8を参照して、取付部材20のハンガラグ18への取り付け態様について説明する。
【0043】
図5は、取付部材20のハンガラグ18への取り付け態様について説明する概要図である。
図6は、取付部材20のハンガラグ18への取り付け態様の第1の変形例について説明する概要図である。
図5及び
図6は、シートチューブ14の中心軸に沿った断面を自転車1の前方から見た図である。
図7は、取付部材20のハンガラグ18への取り付け態様の第2の変形例について説明する概要図である。
図8は、
図7の取付部材20の斜視図である。
【0044】
図5に示すように、取付部材20は、ボルト26とナット27とが締結されることで、フレーム10のハンガラグ18に取り付けられる。このとき、ボルト26とナット27とが締め付けられることで、取付部材20のフレーム取付部22とハンガラグ18の側面とが面接触し、ナット27のネック部27aとハンガラグ18の側面とが面接触する。これらの接触面に作用する摩擦力によって、取付部材20がハンガラグ18に対してクランクシャフト35まわりに回転しないように固定される。
【0045】
図6に示す第1の変形例では、取付部材20は、ボルトとしてのテーパボルト126と、テーパナット127と、第1コレットチャックとしてのコレットチャック128と、第2コレットチャックとしてのコレットチャック129と、を有する。
【0046】
テーパボルト126は、取付部材20を貫通してハンガラグ18の軸方向一端に挿入される。テーパボルト126は、ハンガラグ18の内周に挿入されるほど縮径するようなテーパ状に形成されるテーパ部126aを有する。
【0047】
テーパナット127は、ハンガラグ18の軸方向他端に挿入される。テーパナット127は、ハンガラグ18の内周に挿入されるほど縮径するようなテーパ状に形成されるテーパ部127aを有する。
【0048】
コレットチャック128は、取付部材20のボルト孔124の内周に設けられる。コレットチャック128は、周方向の少なくとも一か所が切断されている略筒状部材である。コレットチャック128の内周には、テーパボルト126のテーパ部126aが挿入される。
【0049】
コレットチャック129は、ハンガラグ18の凹部18aの内周に設けられる。コレットチャック129は、周方向の少なくとも一か所が切断されている略筒状部材である。コレットチャック129の内周には、テーパナット127のテーパ部127aが挿入される。
【0050】
テーパボルト126とテーパナット127とが締め付けられると、テーパ部126aがコレットチャック128内に進入し、テーパ部127aがコレットチャック129内に進入する。これにより、コレットチャック128,129は拡径して、取付部材20の内周とハンガラグ18の内周とに各々押し付けられる。同時に、テーパ部126aの外周は、コレットチャック128の内周に押し付けられ、テーパ部127aの外周は、コレットチャック129の内周に押し付けられる。このとき、コレットチャック128,129の内外周面に作用する摩擦力によって、取付部材20とハンガラグ18とがクランクシャフト35まわりに回転しないように固定される。
【0051】
このように、テーパボルト126が締め付けられると、コレットチャック128は、拡径して取付部材20に回転不能に固定される。同時に、テーパボルト126が締め付けられると、コレットチャック129は、拡径してハンガラグ18に回転不能に固定される。よって、コレットチャック128,129によって、取付部材20とハンガラグ18とが固定される。
【0052】
なお、ハンガラグ18の内周に円筒状のナットを設けて、ハンガラグ18の軸方向両端から各々テーパボルトを挿入して締め付けるようにしてもよい。即ち、テーパボルト126は、ハンガラグ18の少なくとも軸方向一端から締め付けられればよい。
【0053】
図7及び
図8に示す第2の変形例では、取付部材20は、一対の支持アーム225,226を有する。
【0054】
支持アーム225は、ボルト部225aと、把持部225bと、を有する。支持アーム226は、ボルト部226aと、把持部226bと、を有する。
【0055】
ボルト部225a,226aは、支持部21に外周からねじ込まれて取り付けられる。支持アーム225,226は、ボルト部225a,226aがねじ込まれる長さによって、支持部21からの突出長さが調整される。
【0056】
把持部225bは、チェーンステイ15の外周に沿った円弧状に形成され、チェーンステイ15を下側から把持する。把持部225bは、二股のチェーンステイ15にまたがるように設けられる。把持部226bは、ダウンチューブ13の外周に沿った円弧状に形成され、ダウンチューブ13を下側から把持する。このように、取付部材20が支持アーム225,226によってチェーンステイ15及びダウンチューブ13に支持されることで、取付部材20がハンガラグ18に対してクランクシャフト35まわりに回転しないように固定される。
【0057】
なお、取付部材20がダウンチューブ13とチェーンステイ15との少なくとも一方に支持されるように、支持アーム225と支持アーム226との少なくとも一方が設けられればよい。
【0058】
以上の本実施形態の構成及び作用効果について、まとめて説明する。
【0059】
自転車1は、上端に運転者が着座するサドル54が設けられて下端にハンガラグ18が形成されるシートチューブ14を有し、前輪51及び後輪52が回転可能に取り付けられるフレーム10と、ハンガラグ18に支持されてフレーム10の外部に吊り下げられる取付部材20と、取付部材20に取り付けられる駆動部30と、を備え、駆動部30は、取付部材20に支持されるケース31と、ケース31に収容される電動モータ33と、運転者が駆動トルクを入力するクランクアーム58と、電動モータ33からの出力トルクとクランクアーム58からの入力トルクとが伝達されるクランクシャフト35と、を有する。
【0060】
また、自転車1の電動化ユニット60は、フレーム10のハンガラグ18に支持されてフレーム10の外部に吊り下げられる取付部材20と、取付部材20に取り付けられる駆動部30と、を備え、駆動部30は、取付部材20に支持されるケース31と、ケース31に収容される電動モータ33と、運転者が駆動トルクを入力するクランクアーム58と、電動モータ33からの出力トルクとクランクアーム58からの入力トルクとが伝達されるクランクシャフト35と、を有する。
【0061】
これらの構成によれば、フレーム10のハンガラグ18に取付部材20が支持され、取付部材20に電動モータ33を含む駆動部30が取り付けられる。そのため、通常の自転車ではクランクシャフト35が挿通するハンガラグ18に取付部材20と駆動部30とを取り付けることで、電動アシスト自転車にすることができる。したがって、電動アシスト自転車用ではない通常の自転車用のフレーム10を用いて電動アシスト自転車を提供することができる。
【0062】
更に、取付部材20は、駆動部30のケース31を支持する。そのため、取付部材20を必要最小限な大きさにできるので、小型化及び軽量化が可能である。また、ケース31の下方に取付部材20が突出しないので、地面との間のクリアランスを確保することができる。
【0063】
また、ケース31は、クランクシャフト35に連結される駆動スプロケット55と同軸に、かつ当該駆動スプロケット55よりも小径に形成される。
【0064】
この構成によれば、駆動スプロケット55の外側にケース31が突出しないので、ケース31と地面との間のクリアランスを確保でき、ケース31と後輪52との干渉を避けることができる。
【0065】
また、クランクシャフト35は、シートチューブ14の延長線上に位置する。
【0066】
この構成によれば、運転者は、サドル54の高さを調整するだけで、ハンガラグ18にクランクシャフト35を設けてクランクアーム58及びペダル59を取り付けて通常の自転車とした場合と同じ姿勢でペダル59を漕ぐことができる。
【0067】
また、取付部材20は、ハンガラグ18の少なくとも軸方向一端から締め付けられるテーパボルト126と、テーパボルト126が締め付けられることによって拡径して取付部材20に回転不能に固定されるコレットチャック128と、テーパボルト126が締め付けられることによって拡径してハンガラグ18に回転不能に固定されるコレットチャック129と、を有する。
【0068】
この構成によれば、テーパボルト126が締め付けられると、コレットチャック128は、拡径して取付部材20に回転不能に固定される。同時に、テーパボルト126が締め付けられると、コレットチャック129は、拡径してハンガラグ18に回転不能に固定される。よって、コレットチャック128,129によって、取付部材20とハンガラグ18とが固定される。
【0069】
また、フレーム10は、シートチューブ14の下端に連結されるダウンチューブ13と、シートチューブ14の下端と後輪52の回転軸とを連結するチェーンステイ15と、を更に有し、取付部材20は、ダウンチューブ13とチェーンステイ15との少なくとも一方に支持される支持アーム225(226)を有する。
【0070】
この構成によれば、取付部材20が支持アーム225(226)によってチェーンステイ15(又はダウンチューブ13)に支持されることで、取付部材20がハンガラグ18に対してクランクシャフト35まわりに回転しないように固定される。
【0071】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0072】
1 自転車
10 フレーム
13 ダウンチューブ
14 シートチューブ
15 チェーンステイ
18 ハンガラグ
20 取付部材
30 駆動部
31 ケース(本体部)
33 電動モータ
35 クランクシャフト(駆動軸)
51 前輪
52 後輪
54 サドル
55 駆動スプロケット
58 クランクアーム(クランク部)
60 電動化ユニット
126 テーパボルト(ボルト)
128 コレットチャック(第1コレットチャック)
129 コレットチャック(第2コレットチャック)
225 支持アーム
226 支持アーム