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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】データ生成システム
(51)【国際特許分類】
   G06N 20/00 20190101AFI20240807BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240807BHJP
【FI】
G06N20/00 130
G06T7/00 350B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020178805
(22)【出願日】2020-10-26
(65)【公開番号】P2022069880
(43)【公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100144440
【弁理士】
【氏名又は名称】保坂 一之
(72)【発明者】
【氏名】荒木 尊士
(72)【発明者】
【氏名】土井 千章
(72)【発明者】
【氏名】豊岡 継泰
(72)【発明者】
【氏名】檜山 聡
【審査官】渡辺 順哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-096691(JP,A)
【文献】国際公開第2019/239529(WO,A1)
【文献】特開2019-046269(JP,A)
【文献】特開2020-154564(JP,A)
【文献】特開2008-146318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 3/00-99/00
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのプロセッサを備え、
前記少なくとも一つのプロセッサが、
人の口腔を写す第1口腔画像と該口腔の状態に関するラベル情報との組合せを示す基準レコードを取得し、
口腔画像から前記口腔の状態を推定する複数の学習済みモデルであって、それぞれの学習済みモデルが、対応する画像加工が為された口腔画像を用いる機械学習によって生成される、該複数の学習済みモデルのそれぞれに前記第1口腔画像を入力して複数の出力ベクトルを算出し、
前記ラベル情報との類似度が最も高い前記出力ベクトルを得た学習済みモデルを前記複数の学習済みモデルから選択し、
前記選択された学習済みモデルに対応する前記画像加工を前記第1口腔画像に対して実行して第2口腔画像を生成し、
前記第2口腔画像と前記ラベル情報との組合せを示す追加レコードを生成し、
前記追加レコードを機械学習のための教師データの少なくとも一部として出力する、
データ生成システム。
【請求項2】
前記複数の学習済みモデルのうちの少なくとも一つが、色空間の特定の1成分により画像を表現する単色化に対応する、
請求項1に記載のデータ生成システム。
【請求項3】
前記複数の学習済みモデルのうちの少なくとも一つがグレースケール化に対応する、
請求項1または2に記載のデータ生成システム。
【請求項4】
前記複数の学習済みモデルのうちの少なくとも一つがエッジ処理に対応する、
請求項1~3のいずれか一項に記載のデータ生成システム。
【請求項5】
前記複数の学習済みモデルのうちの少なくとも一つが、複数種類の前記画像加工に対応する、
請求項1~4のいずれか一項に記載のデータ生成システム。
【請求項6】
前記ラベル情報および前記出力ベクトルのそれぞれが、口腔内の複数の部分領域に対応する複数の状態を示し、
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記出力ベクトルにより示される前記複数の状態が前記ラベル情報により示される前記複数の状態と一致する割合を前記類似度として算出する、
請求項1~5のいずれか一項に記載のデータ生成システム。
【請求項7】
前記複数の部分領域が複数の歯肉領域である、
請求項6に記載のデータ生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一側面はデータ生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
機械学習によって人の口腔の状態を判定する技術が知られている。例えば、特許文献1は、患者の口腔画像と診断基準データとに基づいて口腔の診断情報を出力する診断部と、口腔の疾患を表す疾患画像に基づいて、機械学習によってその診断基準データを更新する更新部とを備える医療用診療装置を記載する。特許文献2は、歯周病の罹患確率又は歯周病の状態を判断するための関数を学習する機械学習装置を記載する。
【0003】
機械学習で用いられる教師データを生成する技術であるアノテーションも知られている。例えば、特許文献3は、画像を解析して構造物の像の延伸方向を判定し、その延伸方向に対して垂直な方向を判定し、構造物の像のコントラスト変化および/または色変化に基づいて垂直方向における輪郭部を判定し、画像内の構造物に対して、垂直方向は輪郭部までを、構造物の延伸方向に沿って塗りつぶす画像処理を施し、塗りつぶされた画像をアノテーション情報とする機械学習装置を記載する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2018/193936号パンフレット
【文献】国際公開第2018/159712号パンフレット
【文献】特開2020-35094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
機械学習モデルの生成に用いられる教師データを効率的に生成することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係るデータ生成システムは少なくとも一つのプロセッサを備える。少なくとも一つのプロセッサは、人の口腔を写す第1口腔画像と該口腔の状態に関するラベル情報との組合せを示す基準レコードを取得し、口腔画像から口腔の状態を推定する複数の学習済みモデルであって、それぞれの学習済みモデルが、対応する画像加工が為された口腔画像を用いる機械学習によって生成される、該複数の学習済みモデルのそれぞれに第1口腔画像を入力して複数の出力ベクトルを算出し、ラベル情報との類似度が最も高い出力ベクトルを得た学習済みモデルを複数の学習済みモデルから選択し、選択された学習済みモデルに対応する画像加工を第1口腔画像に対して実行して第2口腔画像を生成し、第2口腔画像とラベル情報との組合せを示す追加レコードを生成し、追加レコードを機械学習のための教師データの少なくとも一部として出力する。
【0007】
このような側面においては、第1口腔画像のラベル情報と最も類似する出力ベクトルを得た学習済みモデルが選択され、その学習済みモデルに対応する画像加工によって第1口腔画像から第2口腔画像が生成される。この第2口腔画像は、第1口腔画像と同じラベル情報を持つ資格があるといえる。したがって、その第2口腔画像を用いてアノテーションを実行することで、人の口腔の状態を推定する機械学習モデルの生成に用いられる教師データを効率的に生成できる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一側面によれば、機械学習モデルの生成に用いられる教師データを効率的に生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るデータ生成システムの機能構成の一例を示す図である。
図2】実施形態に係るデータ生成システムの動作の一例を示すフローチャートである。
図3】実施形態に係るデータ生成システムによるデータ拡張の具体的な一例を示す図である。
図4】実施形態に係るデータ生成システムで用いられるコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本開示での実施形態を詳細に説明する。図面の説明において同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
実施形態に係るデータ生成システム1は、人の口腔の状態を判定するための機械学習で用いられる教師データの少なくとも一部を生成するためコンピュータシステムである。教師データを用いた機械学習、すなわち教師あり学習によって、人の口腔の状態を判定する機械学習モデルが生成される。
【0012】
機械学習とは、与えられた情報に基づいて反復的に学習することで、法則またはルールを自律的に見つけ出す手法をいう。機械学習モデルとは、機械学習で用いられる計算モデルである。機械学習モデルはアルゴリズムおよびデータ構造を用いて構築することができる。機械学習の手法は何ら限定されず、例えば、ニューラルネットワーク、ディープラーニングなどの様々な手法が用いられてよい。
【0013】
機械学習によって判定される「口腔の状態」は限定されない。例えば、「口腔の状態」は口腔全体の状態でもよいし、歯、歯肉(歯茎)、舌、口蓋、唇などのような、口腔を構成する部分領域(部位)の状態でもよい。口腔の「状態」の例として、症状の有無、症状の分類、症状の進度などが挙げられるが、「状態」に関する情報はこれらの例に限定されない。
【0014】
人の口腔の状態を判定するための機械学習モデルは、教師データを用いた学習によって自律的に生成される。教師データは、機械学習モデルに入力される入力ベクトルと、その入力ベクトルから得られるべき正しい出力ベクトル(この正解を「ラベル情報」ともいう)との多数の組合せによって構成される電子データである。本開示では、自律的に生成される機械学習モデルを「学習済みモデル」ともいう。学習済みモデルを生成する処理(学習処理)は学習フェーズに相当する。学習済みモデルは、何らかの計算を実行するために最適であると推定される計算モデルであり、“現実に最適である計算モデル”とは限らないことに留意されたい。学習済みモデルは正解が未知である入力ベクトルを処理して、推定結果を示す出力ベクトルを算出する。これは運用フェーズに相当する。学習済みモデルはコンピュータシステム間で移植可能である。したがって、或るコンピュータシステムで生成された学習済みモデルを、別のコンピュータシステムで用いることができる。もちろん、一つのコンピュータシステムが学習済みモデルの生成および利用の双方を実行してもよい。
【0015】
一般に、所望の推定精度を満たす学習済みモデルを生成するためには大量の教師データを用意する必要がある。そのため、アノテーションを人手で行うと教師データの生成に長い時間を要してしまう。データ生成システム1はそのアノテーションの少なくとも一部を自動的に実行し、これにより教師データの効率的な生成に貢献する。具体的には、データ生成システム1はアノテーションを自動的に実行するための基準レコードを処理して、別のレコードを追加レコードとして自動的に生成する。基準レコードおよび追加レコードはいずれも、人の口腔を写す画像と、口腔の状態を示すラベル情報との組合せを示す電子データであり、機械学習のための教師データとして利用可能である。したがって、データ生成システム1は教師データのレコード数を自動的に増やすデータ拡張を実現する仕組みであるといえる。ラベル情報は1以上のラベルを示す。例えば、ラベル情報のそれぞれのラベルは、口腔を構成する1以上の部分領域のそれぞれの状態を示してもよい。より具体的な例の一つとして、ラベル情報は複数の歯肉領域(歯茎領域)に対応する複数の状態(すなわち、個々の歯肉領域の状態)を示してもよい。
【0016】
図1はデータ生成システム1の機能構成の一例を示す図である。データ生成システム1は機能的構成要素として取得部11、推定部12、選択部13、画像生成部14、およびレコード生成部15を備える。一例では、データ生成システム1は、教師データを記憶する装置(記憶部)である学習用データベース2にアクセスすることができる。学習用データベース2はデータ生成システム1の一部でもよいし、データ生成システム1とは異なるコンピュータシステムに属してもよい。データ生成システム1はインターネット、イントラネット、WAN(Wide Area Network)などの通信ネットワークを介して学習用データベース2にアクセスすることができる。
【0017】
取得部11は基準レコードを取得する機能要素である。この基準レコードは、人の口腔を写す第1口腔画像と、該口腔の状態を示すラベル情報との組合せを示す。第1口腔画像は口腔の全体を写してもよいし、口腔の一部を写してもよい。口腔の一部の例として、特定の1以上の歯、特定の1以上の歯肉領域(歯茎領域)、舌の全体または一部、口蓋の全体または一部などが挙げられる。しかし、第1口腔画像に映る範囲はこれらに限定されない。
【0018】
推定部12は、複数の所与の学習済みモデルのそれぞれを用いて第1口腔画像から口腔の状態を推定する機能要素である。この学習済みモデルは、データ生成システム1により用意された教師データを用いた機械学習によって生成される機械学習モデルではなく、教師データを生成するために用いられる機械学習モデルであることに留意されたい。それぞれの学習済みモデルは、第1口腔画像を示す入力ベクトルを処理して、口腔の状態を示す出力ベクトルを算出する。すなわち、それぞれの学習済みモデルは第1口腔画像から口腔の状態を推定する。学習済みモデルは回帰問題を解くためのモデルでもよいし分類問題を解くためのモデルでもよい。それぞれの学習済みモデルは、対応する画像加工が為された口腔画像を教師データとして用いる機械学習によって生成される。画像加工とは元の画像を編集して別の画像を生成する処理をいう。したがって、その機械学習の教師データとして用いられる口腔画像は、オリジナルの口腔画像の単なるコピーではなく、該オリジナルの口腔画像から色、コントラスト、線などの視認可能な情報が変化した画像である。一つの学習済みモデルには一または複数の画像加工が対応する。或る一つの画像加工が複数の学習済みモデルに対応してもよい。
【0019】
選択部13は、基準レコードのラベル情報(言い換えると、第1口腔画像のラベル情報)との類似度が最も高い出力ベクトルを得た学習済みモデルを複数の所与の学習済みモデルから選択する機能要素である。類似度とは二つの比較対象が互いに似ている度合いをいう。出力ベクトルがラベル情報と一致する場合には、類似度は最高値(例えば、類似度を0~1の数値範囲で示す場合には、その最高値は1である)を示す。要するに、選択部13は、ラベル情報に最も近い結果が得られた学習済みモデル(すなわち、精度が最も高い学習済みモデル)を選択する。
【0020】
画像生成部14は、選択された学習済みモデルに対応する画像加工を第1口腔画像に対して実行して第2口腔画像を生成する機能要素である。したがって、第2口腔画像は第1口腔画像の単なるコピーではなく、第1口腔画像から色、コントラスト、線などの視認可能な情報が変化した画像である。第1口腔画像と同様に、第2口腔画像も人の口腔の全体または一部を写す画像である。選択された学習済みモデルはn種類(nは1以上の整数)の画像加工に対応する。画像生成部14はそのn種類の画像加工のそれぞれを第1口腔画像に対して実行してn個の第2口腔画像を生成する。n>1である場合、n個の第2口腔画像は互いに異なる。
【0021】
レコード生成部15は、生成された少なくとも一つの第2口腔画像のそれぞれについて、該第2口腔画像と基準レコードのラベル情報との組合せを示す追加レコードを生成する機能要素である。したがって、基準レコードと該基準レコードに基づいて生成される追加レコードとは同じラベル情報を有する。レコード生成部15は生成された少なくとも一つの追加レコードを出力する。
【0022】
図2を参照しながら、データ生成システム1によって実行されるデータ生成方法について説明する。図2はデータ生成システム1の動作の一例を処理フローS1として示すフローチャートである。
【0023】
ステップS11では、取得部11が、人の口腔を写す第1口腔画像と、該口腔の状態を示すラベル情報との組合せを示す一つの基準レコードを取得する。基準レコードを取得する方法は限定されない。例えば、取得部11は所与のデータベースにアクセスして基準レコードを読み出してもよいし、ユーザによって入力された基準レコードを取得してもよいし、他のコンピュータから送られてきた基準レコードを受信してもよい。第1口腔画像は静止画(写真)であってもよい。あるいは、第1口腔画像は、動画像(映像)を構成する一つのフレーム画像(すなわち、動画像から抽出された画像)であってもよい。
【0024】
ステップS12では、推定部12が複数の学習済みモデルのそれぞれを用いて第1口腔画像から口腔の状態を推定する。それぞれの学習済みモデルは予め、機械学習によって生成されて所与の記憶部に記憶されている。個々の学習済みモデルはデータ生成システム1内のメモリまたはデータベースに記憶されてもよいし、データ生成システム1の外部に存在するメモリまたはデータベースに記憶されてもよい。例えば、画像加工Kに対応する学習済みモデルMと、画像加工K,Kに対応する学習済みモデルMと、画像加工K,Kに対応する学習済みモデルMと、画像加工Kに対応する学習済みモデルMとが複数の学習済みモデルとして用意されたとする。この場合に推定部12は、学習済みモデルMに第1口腔画像を入力して出力ベクトルVを算出し、学習済みモデルMに第1口腔画像を入力して出力ベクトルVを算出し、学習済みモデルMに第1口腔画像を入力して出力ベクトルVを算出し、学習済みモデルMに第1口腔画像を入力して出力ベクトルVを算出する。
【0025】
ステップS13では、選択部13が、基準レコード(第1口腔画像)のラベル情報との類似度が最も高い出力ベクトルを得た学習済みモデルを選択する。類似度(すなわち精度)の計算方法は限定されない。例えば、選択部13は出力ベクトルにより示される1以上の状態(1以上の部分領域のそれぞれの状態)がラベル情報により示される1以上の状態と一致する割合を類似度(精度)として算出してもよい。ラベル情報との類似度が最も高い出力ベクトルを得た学習済みモデルが複数存在する場合には、選択部13は該複数の学習済みモデルを選択してもよい。
【0026】
ステップS14では、画像生成部14が選択された学習済みモデルに対応する画像加工を第1口腔画像に対して実行して第2口腔画像を生成する。例えば、上記の学習済みモデルMが選択された場合には、画像生成部14は第1口腔画像に対して画像加工Kを実行して第2口腔画像を生成する。別の例として、上記の学習済みモデルMが選択された場合には、画像生成部14は第1口腔画像に対して画像加工Kを実行して一つの第2口腔画像を生成し、第1口腔画像に対して画像加工Kを実行してもう一つの第2口腔画像を生成する。
【0027】
第2口腔画像を生成するための画像加工(すなわち、推定部12により用いられた学習済みモデルに対応する画像加工)の具体的な手法は限定されない。例えば、その画像加工は単色化、グレースケール化、回転移動、サイズ変更、およびエッジ処理のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0028】
単色化とは色空間の特定の1成分により画像を表現する手法をいい、この処理において該色空間の他の成分の情報は画像から削除される。単色化の具体的な手法は限定されない。一例として、画像生成部14はRGB色空間の特定の1成分(赤、緑、および青のうちの一つ)により画像を表現する単色化(RGB色空間に基づく単色化)を第1口腔画像に対して実行して第2口腔画像を生成してもよい。別の例として、画像生成部14はHSV色空間の特定の1成分(色相、彩度、および明度のうちの一つ)により画像を表現する単色化(HSV色空間に基づく単色化)を第1口腔画像に対して実行して第2口腔画像を生成してもよい。単色化において考慮される色空間はRGB色空間およびHSV色空間に限定されず、画像生成部14は他の色空間に基づく単色化を実行してもよい。
【0029】
グレースケール化とは、色情報を含まず明度のみによって画像を表現する手法をいう。典型的には、グレースケール化によって個々の画素値は8ビットで表現され、したがって、0(黒)から255(白)の間のいずれかの整数値を取る。
【0030】
回転移動とは、画像内の被写体を任意の基準点を中心にして任意の角度だけ回転させる手法をいう。回転移動は、画像によって表される2次元平面上で被写体を回転させる処理でもよい。あるいは、回転移動は、画像によって表される3次元空間上で被写体が3次元的に回転したように見せる処理(いわゆる3D回転)であってもよい。画像生成部14は所与の基準点、所与の角度、および所与の回転方向による回転移動を第1口腔画像(より具体的には、第1口腔画像内の被写体)に対して実行して第2口腔画像を生成する。
【0031】
サイズ変更とは、画像内における被写体を、その形状を変えることなく拡大または縮小する手法をいう。拡大率および縮小率は限定されず、任意の方針で設定されてよい。
【0032】
エッジ処理とは、画像中の画素値が不連続に変化している箇所(言い換えると、画素値が急激に変化している箇所)をエッジとして特定して、そのエッジを強調する画像を生成する処理をいう。エッジ処理の具体的な手法は限定されない。例えば、画像生成部14は微分オペレータによるエッジ検出を実行してもよいし、Sobelオペレータによるエッジ検出を実行してもよい。
【0033】
ステップS15では、レコード生成部15が生成された1以上の第2口腔画像のそれぞれに基づいて追加レコードを生成する。具体的には、レコード生成部15はそれぞれの第2口腔画像に基準レコードのラベル情報を関連付けて1以上の追加レコードを生成する。すなわち、レコード生成部15はアノテーションを実行する。
【0034】
ステップS16では、レコード生成部15が1以上の追加レコードを機械学習のための教師データの少なくとも一部として出力する。一例では、レコード生成部15はその追加レコードを学習用データベース2に格納する。基準レコードが学習用データベース2に記憶されていない場合には、レコード生成部15は基準レコードおよび1以上の追加レコードの双方を学習用データベース2に格納してもよい。追加レコードの出力方法はデータベースへの格納に限定されない。例えば、レコード生成部15は追加レコードを、モニタ上に表示してもよいし、他のコンピュータシステムに送信してもよい。いずれにしても、その追加レコードは機械学習のための教師データの少なくとも一部として用いられる。一例では、基準レコードおよび追加レコードの双方がその教師データとして用いられる。
【0035】
画像加工によって第1口腔画像から第2口腔画像を生成する処理(ステップS14)は、特定の特徴量に着目して第2口腔画像を生成する処理であるともいえる。その特徴量は例えば、色空間の特定の1成分、グレースケール値、回転角度、拡大率、縮小率、またはエッジである。或る特定の特徴量は、口腔に関する特定の状態(例えば、歯周病、う蝕、舌がんなどの疾患)の判別に有効である。このような有効性の例の一部として、RGB色空間の青(B)は歯周病の判別に有効であり得、HSV色空間の彩度(S)はう蝕の判別に有効であり得、エッジ処理は健全な歯肉の判別に有効であり得る。第2口腔画像の生成に用いられる画像加工は、精度が最も高い出力ベクトルを得た学習済みモデルに対応するので、その第2口腔画像は、第1口腔画像と同じラベル情報を持つ資格があるといえる。したがって、第2口腔画像に第1口腔画像と同じラベル情報を付与して教師データを拡張しても、その教師データの品質を所望の基準以上に維持できる。
【0036】
データ生成システム1が複数の基準レコードを処理する場合には、データ生成システム1は処理フローS1を基準レコードの個数の分だけ繰り返し実行する。データ生成システム1は、個々の基準レコードから少なくとも一つの追加レコードを生成した場合には、基準レコード群のみで教師データを構築する場合と比べて教師データを2倍以上に拡張できる。
【0037】
図3を参照しながら、データ生成システム1によるデータ拡張についてより具体的に説明する。図3はそのデータ拡張の具体的な一例を示す図である。
【0038】
この例では、取得部11は歯列および歯肉領域(歯茎領域)を写す第1口腔画像31と、個々の歯肉領域のラベル32aの集合であるラベル情報32との組合せを示す基準レコード30を取得する(ステップS11)。個々のラベル32aを模式的に破線枠で示すが、実際には個々のラベル32aは「健常」、「歯肉炎」、「歯周炎」などのような歯肉領域の状態を示す。
【0039】
推定部12は複数の学習済みモデルのそれぞれに第1口腔画像31を入力して複数の出力ベクトルを算出する(ステップS12)。この例では、推定部12は5個の学習済みモデル41~45を用いる。学習済みモデル41は、RGB色空間の青による単色化によって得られた口腔画像と、グレースケール化された口腔画像とを用いる機械学習によって生成された計算モデルである。学習済みモデル42はRGB色空間の赤による単色化によって得られた口腔画像を用いる機械学習によって生成された計算モデルである。学習済みモデル43はグレースケール化された口腔画像を用いる機械学習によって生成された計算モデルである。学習済みモデル44はエッジ処理によって得られた口腔画像を用いる機械学習によって生成された計算モデルである。学習済みモデル45は回転移動させた口腔画像を用いる機械学習によって生成された計算モデルである。学習済みモデル41~45はいずれも、個々の歯肉領域に関する分類問題を解くためのモデルであるとする。この例では、推定部12は学習済みモデル41に第1口腔画像31を入力して出力ベクトルV41を算出し、学習済みモデル42に第1口腔画像31を入力して出力ベクトルV42を算出し、学習済みモデル43に第1口腔画像31を入力して出力ベクトルV43を算出する。さらに、推定部12は学習済みモデル44に第1口腔画像31を入力して出力ベクトルV44を算出し、学習済みモデル45に第1口腔画像31を入力して出力ベクトルV45を算出する。
【0040】
選択部13はラベル情報との類似度が最も高い出力ベクトルを得た学習済みモデル、すなわち推定の精度が最も高い学習済みベクトルを選択する(ステップS13)。この例では、選択部13はそれぞれの歯肉領域について、出力ベクトルで示される値(ベクトル要素)とラベル32aとが一致するか否かを判定し、双方が一致した歯肉領域の割合を類似度(精度)として算出する。例えば、第1口腔画像31から20個の歯肉領域が特定され、出力ベクトルで示される値とラベル32aが一致する歯肉領域の個数が12であったとする。この場合には選択部13は類似度を0.6(=12/20)と算出する。図3の例では、出力ベクトルV41,V42,V43,V44,V45の類似度はそれぞれ0.75、0.66、0.70、0.55、0.66である。したがって、選択部13は学習済みモデル41を選択する。
【0041】
画像生成部14はその学習済みモデル41に対応する画像加工を第1口腔画像31に対して実行して第2口腔画像を生成する(ステップS14)。学習済みモデル41は、RGB色空間の青による単色化、およびグレースケール化という2種類の画像加工に対応する。一例では、画像生成部14はその単色化を第1口腔画像31に対して実行して第2口腔画像51を生成し、グレースケール化を第1口腔画像31に対して実行して第2口腔画像61を生成する。
【0042】
レコード生成部15は生成された第2口腔画像に基づいて追加レコードを生成する(ステップS15)。この例では、レコード生成部15は第2口腔画像51と基準レコード30のラベル情報32との組合せを示す追加レコード50を生成し、第2口腔画像61とそのラベル情報32との組合せを示す追加レコード60を生成する。追加レコードにより示されるラベル情報は、推定部12によって算出される出力ベクトルではなく、基準レコード30と同じラベル情報32であることに留意されたい。レコード生成部15は追加レコード50,60を出力する(ステップS16)。
【0043】
選択部13は、基準レコード(第1口腔画像)のラベル情報との類似度が最も高い出力ベクトルを得た学習済みモデルに加えて、他の学習済みモデルをさらに選択してもよい。例えば、選択部13はその類似度が2番目に高い出力ベクトルを得た学習済みモデルをさらに選択してもよい。あるいは、選択部13はその類似度が所与の閾値以上である少なくとも一つの学習済みモデルを選択してもよい。
【0044】
本開示において、「少なくとも一つのプロセッサが、第1の処理を実行し、第2の処理を実行し、…第nの処理を実行する。」との表現、またはこれに対応する表現は、第1の処理から第nの処理までのn個の処理の実行主体(すなわちプロセッサ)が途中で変わる場合を含む概念を示す。すなわち、この表現は、n個の処理のすべてが同じプロセッサで実行される場合と、n個の処理においてプロセッサが任意の方針で変わる場合との双方を含む概念を示す。
【0045】
上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0046】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)または送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0047】
例えば、本開示の一実施の形態におけるデータ生成システム1は、本開示の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図4は、データ生成システム1で用いられるコンピュータ100のハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ100は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含んでもよい。
【0048】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。データ生成システム1のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0049】
データ生成システム1における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0050】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。
【0051】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、データ生成システム1の各機能要素は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されてもよい。
【0052】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施の形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0053】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0054】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)及び時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。
【0055】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカ、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0056】
また、プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007によって接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0057】
また、コンピュータ100は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0058】
以上説明したように、本開示の一側面に係るデータ生成システムは少なくとも一つのプロセッサを備える。少なくとも一つのプロセッサは、人の口腔を写す第1口腔画像と該口腔の状態に関するラベル情報との組合せを示す基準レコードを取得し、口腔画像から口腔の状態を推定する複数の学習済みモデルであって、それぞれの学習済みモデルが、対応する画像加工が為された口腔画像を用いる機械学習によって生成される、該複数の学習済みモデルのそれぞれに第1口腔画像を入力して複数の出力ベクトルを算出し、ラベル情報との類似度が最も高い出力ベクトルを得た学習済みモデルを複数の学習済みモデルから選択し、選択された学習済みモデルに対応する画像加工を第1口腔画像に対して実行して第2口腔画像を生成し、第2口腔画像とラベル情報との組合せを示す追加レコードを生成し、追加レコードを機械学習のための教師データの少なくとも一部として出力する。
【0059】
このような側面においては、第1口腔画像のラベル情報と最も類似する出力ベクトルを得た学習済みモデルが選択され、その学習済みモデルに対応する画像加工によって第1口腔画像から第2口腔画像が生成される。この第2口腔画像は、第1口腔画像と同じラベル情報を持つ資格があるといえる。したがって、その第2口腔画像を用いてアノテーションを実行することで、人の口腔の状態を推定する機械学習モデルの生成に用いられる教師データを効率的に生成できる。
【0060】
他の側面に係るデータ生成システムでは、複数の学習済みモデルのうちの少なくとも一つが、色空間の特定の1成分により画像を表現する単色化に対応してもよい。色空間の特定の1成分は口腔に関する特定の状態の判別に有効であり得る。したがって、単色化によって、教師データとして有効な口腔画像を得ることができる。
【0061】
他の側面に係るデータ生成システムでは、複数の学習済みモデルのうちの少なくとも一つがグレースケール化に対応してもよい。グレースケール画像は口腔に関する特定の状態の判別に有効であり得る。したがって、グレースケール化によって、教師データとして有効な口腔画像を得ることができる。
【0062】
他の側面に係るデータ生成システムでは、複数の学習済みモデルのうちの少なくとも一つがエッジ処理に対応してもよい。エッジ処理された画像は口腔に関する特定の状態の判別に有効であり得る。したがって、エッジ処理によって、教師データとして有効な口腔画像を得ることができる。
【0063】
他の側面に係るデータ生成システムでは、複数の学習済みモデルのうちの少なくとも一つが、複数種類の画像加工に対応してもよい。この場合には、複数種類の画像加工に対応する学習済みモデルが選ばれることに応答して、一つの第1口腔画像から複数の第2口腔画像が生成される。したがって、追加レコードをその分だけより多く生成できる。
【0064】
他の側面に係るデータ生成システムでは、ラベル情報および出力ベクトルのそれぞれが、口腔内の複数の部分領域に対応する複数の状態を示してもよい。少なくとも一つのプロセッサは、出力ベクトルにより示される複数の状態がラベル情報により示される複数の状態と一致する割合を類似度として算出してもよい。この場合には、そのような割合を求めることで類似度をより客観的に得ることができる。
【0065】
他の側面に係るデータ生成システムでは、複数の部分領域が複数の歯肉領域であってもよい。この場合には、歯肉領域の状況に関する類似度を客観的に得て、その類似度に基づいて、歯肉領域の状況を推定する機械学習のための教師データを効率的に生成することが可能になる。
【0066】
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0067】
情報の通知は、本開示において説明した態様/実施形態に限られず、他の方法を用いて行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block)))、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージなどであってもよい。
【0068】
本開示において説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G(4th generation mobile communication system)、5G(5th generation mobile communication system)、FRA(Future Radio Access)、NR(new Radio)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及びこれらに基づいて拡張された次世代システムの少なくとも一つに適用されてもよい。また、複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE及びLTE-Aの少なくとも一方と5Gとの組み合わせ等)適用されてもよい。
【0069】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0070】
本開示において基地局によって行われるとした特定動作は、場合によってはその上位ノード(upper node)によって行われることもある。基地局を有する1つ又は複数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークにおいて、端末との通信のために行われる様々な動作は、基地局及び基地局以外の他のネットワークノード(例えば、MME又はS-GWなどが考えられるが、これらに限られない)の少なくとも1つによって行われ得ることは明らかである。上記において基地局以外の他のネットワークノードが1つである場合を例示したが、複数の他のネットワークノードの組み合わせ(例えば、MME及びS-GW)であってもよい。
【0071】
情報等は、上位レイヤ(又は下位レイヤ)から下位レイヤ(又は上位レイヤ)へ出力され得る。複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
【0072】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0073】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0074】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0075】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0076】
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0077】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0078】
なお、本開示において説明した用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、チャネル及びシンボルの少なくとも一方は信号(シグナリング)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、コンポーネントキャリア(CC:Component Carrier)は、キャリア周波数、セル、周波数キャリアなどと呼ばれてもよい。
【0079】
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0080】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスによって指示されるものであってもよい。
【0081】
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々なチャネル(例えば、PUCCH、PDCCHなど)及び情報要素は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々なチャネル及び情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的な名称ではない。
【0082】
本開示においては、「基地局(BS:Base Station)」、「無線基地局」、「固定局(fixed station)」、「NodeB」、「eNodeB(eNB)」、「gNodeB(gNB)」、「アクセスポイント(access point)」、「送信ポイント(transmission point)」、「受信ポイント(reception point)、「送受信ポイント(transmission/reception point)」、「セル」、「セクタ」、「セルグループ」、「キャリア」、「コンポーネントキャリア」などの用語は、互換的に使用され得る。基地局は、マクロセル、スモールセル、フェムトセル、ピコセルなどの用語で呼ばれる場合もある。
【0083】
基地局は、1つ又は複数(例えば、3つ)のセルを収容することができる。基地局が複数のセルを収容する場合、基地局のカバレッジエリア全体は複数のより小さいエリアに区分でき、各々のより小さいエリアは、基地局サブシステム(例えば、屋内用の小型基地局(RRH:Remote Radio Head)によって通信サービスを提供することもできる。「セル」又は「セクタ」という用語は、このカバレッジにおいて通信サービスを行う基地局及び基地局サブシステムの少なくとも一方のカバレッジエリアの一部又は全体を指す。
【0084】
本開示においては、「移動局(MS:Mobile Station)」、「ユーザ端末(user terminal)」、「ユーザ装置(UE:User Equipment)」、「端末」などの用語は、互換的に使用され得る。
【0085】
移動局は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、又はいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
【0086】
基地局及び移動局の少なくとも一方は、送信装置、受信装置、通信装置などと呼ばれてもよい。なお、基地局及び移動局の少なくとも一方は、移動体に搭載されたデバイス、移動体自体などであってもよい。当該移動体は、乗り物(例えば、車、飛行機など)であってもよいし、無人で動く移動体(例えば、ドローン、自動運転車など)であってもよいし、ロボット(有人型又は無人型)であってもよい。なお、基地局及び移動局の少なくとも一方は、必ずしも通信動作時に移動しない装置も含む。例えば、基地局及び移動局の少なくとも一方は、センサなどのIoT(Internet of Things)機器であってもよい。
【0087】
また、本開示における基地局は、ユーザ端末で読み替えてもよい。例えば、基地局及びユーザ端末間の通信を、複数のユーザ端末間の通信(例えば、D2D(Device-to-Device)、V2X(Vehicle-to-Everything)などと呼ばれてもよい)に置き換えた構成について、本開示の各態様/実施形態を適用してもよい。この場合、基地局が有する機能をユーザ端末が有する構成としてもよい。また、「上り」及び「下り」などの文言は、端末間通信に対応する文言(例えば、「サイド(side)」)で読み替えられてもよい。例えば、上りチャネル、下りチャネルなどは、サイドチャネルで読み替えられてもよい。
【0088】
同様に、本開示におけるユーザ端末は、基地局で読み替えてもよい。この場合、ユーザ端末が有する機能を基地局が有する構成としてもよい。
【0089】
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0090】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で使用する場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及びプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
【0091】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0092】
本開示において使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみが採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0093】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0094】
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0095】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0096】
1…データ生成システム、2…学習用データベース、11…取得部、12…推定部、13…選択部、14…画像生成部、15…レコード生成部、30…基準レコード、31…第1口腔画像、32…ラベル情報、32a…ラベル、41~45…学習済みモデル、50…追加レコード、51…第2口腔画像、60…追加レコード、61…第2口腔画像。
図1
図2
図3
図4