(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】歩道進入検出装置及び方法、並びに、車載装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/00 20060101AFI20240807BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240807BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/16 D
G07C5/00 Z
(21)【出願番号】P 2020190788
(22)【出願日】2020-11-17
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 徹洋
(72)【発明者】
【氏名】村下 君孝
【審査官】貞光 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-25895(JP,A)
【文献】特開2013-84088(JP,A)
【文献】特開2012-68962(JP,A)
【文献】特開2011-242839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 1/16
G07C 5/00
B60R 1/20 - 1/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を有する歩道進入検出装置であって、前記制御部は、車両の操舵角情報に基づき前記車両の右折動作又は左折動作を検出する
第1処理と、
前記車両が路側帯を横断する動作を前記車両の周辺の撮影画像に基づき
特定横断動作として検出する、又は、
前記車両が段差を横断する動作を前記車両の加速度情報に基づき
前記特定横断動作として検出する
第2処理と、
前記車両の速度情報に基づき
前記車両の速度がゼロより大きい走行状態から前記車両の速度がゼロの停止状態に移行する停止動作を検出する
第3処理と、
を実行し、
前記右折動作若しくは前記左折動作により前記車両の進行方向が変化している過程において前記特定横断動作が検出され、且つ、前記特定横断動作の生じた時刻である横断時刻から所定の判定時間内に前記停止動作が検出された場合、又は、
前記右折動作若しくは前記左折動作により前記車両の進行方向が変化している過程において前記特定横断動作が検出され、且つ、前記横断時刻からの前記車両の走行距離が所定の判定距離以下である状態で前記停止動作が検出された場合、
前記制御部は、前記車両が歩道に進入する歩道進入動作があったと検出し、
前記歩道進入動作では、前記車両が前記路側帯又は前記段差を横断することで前記歩道に進入する
、歩道進入検出装置。
【請求項2】
前記歩道進入動作があったと検出した場合、前記制御部は、前記横断時刻に基づき前記車両が前記歩道に進入した歩道進入時刻を推定する
、請求項1に記載の歩道進入検出装置。
【請求項3】
前記歩道進入動作があったと検出した場合、前記制御部は、前記横断時刻を前記歩道進入時刻として推定する
、請求項2に記載の歩道進入検出装置。
【請求項4】
制御部を有する歩道進入検出装置であって、前記制御部は、車両の操舵角情報に基づき前記車両の右折動作又は左折動作を検出する
第1処理と、
前記車両が路側帯を横断する動作を前記車両の周辺の撮影画像に基づき
特定横断動作として検出する、又は、
前記車両が段差を横断する動作を前記車両の加速度情報に基づき
前記特定横断動作として検出する
第2処理と、
前記車両の速度情報に基づき
前記車両の速度がゼロの停止状態から前記車両が速度がゼロより大きい走行状態に移行する発進動作を検出する
第3処理と、
を実行し、
前記発進動作が検出された後、前記右折動作若しくは前記左折動作により前記車両の進行方向が変化している過程において前記特定横断動作が検出され、前記発進動作が検出されてから所定の判定時間内に前記特定横断動作が検出された場合、
前記発進動作が検出された後、前記右折動作若しくは前記左折動作により前記車両の進行方向が変化している過程において前記特定横断動作が検出され、且つ、前記発進動作が検出されてから前記特定横断動作が検出されるまでの前記車両の走行距離が所定の判定距離以下である場合、
前記発進動作が検出された後、前記特定横断動作の検出に続いて前記右折動作若しくは前記左折動作が検出され、且つ、前記発進動作が検出されてから所定の判定時間内に前記特定横断動作が検出された場合、又は、
前記発進動作が検出された後、前記特定横断動作の検出に続いて前記右折動作若しくは前記左折動作が検出され、且つ、前記発進動作が検出されてから前記特定横断動作が検出されるまでの前記車両の走行距離が所定の判定距離以下である場合、
前記制御部は、前記車両が歩道に進入する歩道進入動作があったと検出し、
前記歩道進入動作では、前記車両による前記発進動作の後であって且つ前記路側帯又は前記段差の横断前に前記車両が歩道に進入する
、歩道進入検出装置。
【請求項5】
前記歩道進入動作があったと検出した場合、前記制御部は、前記車両による前記路側帯又は前記段差の横断時刻を特定して、前記横断時刻に基づき前記車両が前記歩道に進入した歩道進入時刻を推定する
、請求項4に記載の歩道進入検出装置。
【請求項6】
前記歩道進入動作があったと検出した場合、前記制御部は、前記横断時刻から所定の標準時間だけ前の時刻を前記歩道進入時刻として推定する
、請求項5に記載の歩道進入検出装置。
【請求項7】
前記歩道進入動作があったと検出した場合、前記制御部は、前記歩道進入時刻を基準に前記歩道進入時刻より前の期間を含む一時停止判定期間を設定し、前記一時停止判定期間における前記車両の速度情報に基づき前記車両が前記歩道に進入する前に一時停止したか否かを検出する
、請求項2、3、5及び6の何れかに記載の歩道進入検出装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記車両が前記歩道に進入する前に前記車両が一時停止していないと検出したとき、
前記歩道進入時刻を基準に記録対象期間を設定し、前記記録対象期間における前記車両の設置カメラの撮影画像情報を
不揮発性の記録媒体に記録する
、請求項7に記載の歩道進入検出装置。
【請求項9】
歩道進入検出装置にて実行される歩道進入検出方法であって、
車両の操舵角情報に基づき前記車両の右折動作又は左折動作を検出する
第1ステップと、
前記車両が路側帯を横断する動作を前記車両の周辺の撮影画像に基づき
特定横断動作として検出する、又は、
前記車両が段差を横断する動作を前記車両の加速度情報に基づき
前記特定横断動作として検出する
第2ステップと、
前記車両の速度情報に基づき
前記車両の速度がゼロより大きい走行状態から前記車両の速度がゼロの停止状態に移行する停止動作を検出する
第3ステップと、
を備え、
前記右折動作若しくは前記左折動作により前記車両の進行方向が変化している過程において前記特定横断動作が検出され、且つ、前記特定横断動作の生じた時刻である横断時刻から所定の判定時間内に前記停止動作が検出された場合、又は、
前記右折動作若しくは前記左折動作により前記車両の進行方向が変化している過程において前記特定横断動作が検出され、且つ、前記横断時刻からの前記車両の走行距離が所定の判定距離以下である状態で前記停止動作が検出された場合、
前記車両が歩道に進入する歩道進入動作があったと検出し、
前記歩道進入動作では、前記車両が前記路側帯又は前記段差を横断することで前記歩道に進入する
、歩道進入検出方法。
【請求項10】
歩道進入検出装置にて実行される歩道進入検出方法であって、
車両の操舵角情報に基づき前記車両の右折動作又は左折動作を検出する
第1ステップと、
前記車両が路側帯を横断する動作を前記車両の周辺の撮影画像に基づき
特定横断動作として検出する、又は、
前記車両が段差を横断する動作を前記車両の加速度情報に基づき
前記特定横断動作として検出する
第2ステップと、
前記車両の速度情報に基づき
前記車両の速度がゼロの停止状態から前記車両が速度がゼロより大きい走行状態に移行する発進動作を検出する
第3ステップと、
を備え、
前記発進動作が検出された後、前記右折動作若しくは前記左折動作により前記車両の進行方向が変化している過程において前記特定横断動作が検出され、且つ、前記発進動作が検出されてから所定の判定時間内に前記特定横断動作が検出された場合、
前記発進動作が検出された後、前記右折動作若しくは前記左折動作により前記車両の進行方向が変化している過程において前記特定横断動作が検出され、且つ、前記発進動作が検出されてから前記特定横断動作が検出されるまでの前記車両の走行距離が所定の判定距離以下である場合、
前記発進動作が検出された後、前記特定横断動作の検出に続いて前記右折動作若しくは前記左折動作が検出され、且つ、前記発進動作が検出されてから所定の判定時間内に前記特定横断動作が検出された場合、又は、
前記発進動作が検出された後、前記特定横断動作の検出に続いて前記右折動作若しくは前記左折動作が検出され、且つ、前記発進動作が検出されてから前記特定横断動作が検出されるまでの前記車両の走行距離が所定の判定距離以下である場合、
前記車両が歩道に進入する歩道進入動作があったと検出し、
前記歩道進入動作では、前記車両による前記発進動作の後であって且つ前記路側帯又は前記段差の横断前に前記車両が歩道に進入する
、歩道進入検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩道進入検出装置及び方法、並びに、車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両は歩道に進入することがある。車両が歩道に進入する際には、歩道の手前で一時停止すべきことが法令(日本国では道路交通法)により定められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドライブレコーダ等にて取得された動画像情報から車両の歩道進入シーンを抽出できれば、歩道の手前で一時停止が行われていたかの確認が可能となる。歩道進入シーンを抽出する方法として、人間が、ドライブレコーダ等にて取得された動画像情報から車両の歩道進入シーンを手動で(目視で)検索及び抽出する方法が考えられる。しかしながら、手動による検索及び抽出は多くの手間を要する。
【0005】
尚、車両が歩道を跨いで駐車場等に入る際、又は、車両が駐車場等から歩道を跨いで車道に出る際においては、多くの場合、車両にて右折動作又は左折動作が行われる。これに着眼し、右折動作又は左折動作の検出を通じて歩道への進入を自動検出する方法も検討される。しかしながら、単に右折動作又は左折動作を歩道進入動作とみなすと、単なる交差点での右折動作又は左折動作と、真の歩道進入動作とを切り分けることができない。
【0006】
本発明は、車両の歩道進入動作を手動によらず安定して検出できる歩道進入検出装置及び方法並びに車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る歩道進入検出装置は、車両の操舵角情報に基づき前記車両の右折動作又は左折動作を検出する右左折検出部と、前記車両の周辺の撮影画像に基づき前記車両の路側帯横断動作を検出する、又は、前記車両の加速度情報に基づき前記車両の段差横断動作を検出する横断検出部と、前記車両の速度情報に基づき前記車両の停止動作又は発進動作を検出する停止/発進検出部と、前記右左折検出部、前記横断検出部及び前記停止/発進検出部の各検出結果に基づいて、前記車両の歩道進入動作を検出する歩道進入検出部と、を備えた構成(第1の構成)である。
【0008】
上記第1の構成に係る歩道進入検出装置において、前記歩道進入検出部は、前記車両において前記右折動作又は前記左折動作と前記路側帯横断動作又は前記段差横断動作とが検出され、その後に前記停止動作が検出されたとき、前記歩道進入動作があったと検出する構成(第2の構成)であっても良い。
【0009】
上記第2の構成に係る歩道進入検出装置において、前記歩道進入検出部は、前記右折動作又は前記左折動作により前記車両の進行方向が変化している過程において前記路側帯横断動作又は前記段差横断動作が検出され、その後に前記停止動作が検出されたとき、前記歩道進入動作があったと検出する構成(第3の構成)であっても良い。
【0010】
上記第1の構成に係る歩道進入検出装置において、前記歩道進入検出部は、前記車両の発進動作の後に、前記車両において前記右折動作又は前記左折動作と前記路側帯横断動作又は前記段差横断動作とが検出されたとき、前記歩道進入動作があったと検出する構成(第4の構成)であっても良い。
【0011】
上記第4の構成に係る歩道進入検出装置において、前記歩道進入検出部は、前記車両の発進動作の後、前記右折動作又は前記左折動作により前記車両の進行方向が変化している過程において前記路側帯横断動作又は前記段差横断動作が検出されたとき、或いは、前記路側帯横断動作又は前記段差横断動作の検出に続いて前記右折動作又は前記左折動作が検出されたとき、前記歩道進入動作があったと検出する構成(第5の構成)であっても良い。
【0012】
本発明に係る車載装置は、上記第1~第5の構成の何れかに係る歩道進入検出装置と、前記車両の速度情報に基づき、前記歩道進入動作により前記車両が歩道に進入する前に前記車両が一時停止したか否かを検出する一時停止検出部と、を備えた構成(第6の構成)である。
【0013】
上記第6の構成に係る車載装置において、前記一時停止検出部は、前記歩道進入動作により前記車両が歩道に進入する前に前記車両が一時停止していないと検出したとき、前記車両の歩道進入時刻を基準に記録対象期間を設定し、前記記録対象期間における前記車両の設置カメラの撮影画像情報を揮発性の記録媒体に記録する構成(第7の構成)であっても良い。
【0014】
本発明に係る歩道進入検出方法は、車両の操舵角情報に基づき前記車両の右折動作又は左折動作を検出する右左折検出ステップと、前記車両の周辺の撮影画像に基づき前記車両の路側帯横断動作を検出する、又は、前記車両の加速度情報に基づき前記車両の段差横断動作を検出する横断検出ステップと、前記車両の速度情報に基づき前記車両の停止動作又は発進動作を検出する停止/発進検出ステップと、前記右左折検出ステップ、前記横断検出ステップ及び前記停止/発進検出ステップの各検出結果に基づいて、前記車両の歩道進入動作を検出する歩道進入検出ステップと、を備えた構成(第8の構成)である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車両の歩道進入動作を手動によらず安定して検出できる歩道進入検出装置及び方法並びに車載装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両の概略的な上面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る車両の車室内の様子を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係り、歩道進入動作の第1~第4パターンを示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る車載システムの全体構成図である。
【
図8】点線状の白線にて形成された路側帯を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る第1及び第2段差横断動作を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る一時停止判定期間を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態に係り、記録対象期間を説明するための図である。
【
図12】本発明の実施形態に属する第1実施例に係り、歩道進入動作の検出に関わる車載システムの動作フローチャートである。
【
図13】本発明の実施形態に属する第2実施例に係り、歩道進入動作の検出に関わる車載システムの動作フローチャートである。
【
図14】本発明の実施形態に属する第3実施例に係り、一時停止が必要なシーンの検出に関わる車載システムの動作フローチャートである。
【
図15】右折又は左折動作を伴わない歩道進入動作(第3歩道進入動作)の説明図である。
【
図16】右折又は左折動作を伴わない歩道進入動作(第4歩道進入動作)の説明図である。
【
図17】本発明の実施形態に属する第5実施例に係り、車載装置及びサーバ装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の“115”によって参照される停止/発進検出部は(
図6参照)、停止/発進検出部115と表記されることもあるし、検出部115と略記されることもあり得るが、それらは全て同じものを指す。
【0018】
図1は本実施形態に係る車両CRの概略的な上面図である。車両CRに対して後述の車載システムSYS(
図4参照)が搭載される。ここでは、車両CRとして乗用車(自動車)を想定するが、車両CRは路面上を走行可能な任意の種類の車両であって良い。
図2に車両CRの車室内の一部を示す。車両CRの車室内において、運転席近傍には、運転手が操作する部品としてステアリングホイール2、シフトレバー3及びイグニッションスイッチ4が設けられる。車両CRの運転席からステアリングホイール2に向かう向きを「前方」と定義し、車両CRのステアリングホイール2から運転席に向かう向きを「後方」と定義する。前後方向に直交し且つ路面に平行な方向を左右方向と定義する。左右方向における左、右は、車両CRの運転席に座り且つ前方を向いている、車両CRの運転者から見た左、右であるとする。
【0019】
ステアリングホイール2は、運転手による回転操作を受け当該回転操作に応じて車両CRの進行方向を調整するための輪状の部品である。シフトレバー3は、運転手の操作に基づき、車両CRの進行可否及び車両CRの進行方向を設定したり、車両CRの変速を行ったりする。イグニッションスイッチ4は、運転手の操作に基づき、車両CRの各電装機器に対する電源の供給又は非供給を指定すると共に、車両CRのエンジンの始動又は停止を指定する。
【0020】
車両CRは運転手の運転操作に基づき歩道進入動作を行うことがある。歩道進入動作とは、車両CRが歩道に進入する動作を指す。
図3(a)~(d)に、歩道進入動作の第1~第4パターンを示す。
図3(a)~(d)において、符号SW1~SW4に対応するドット領域は歩道を表し、符号SS1~SS4に対応する斜線領域は停車可能スペースを表している。符号RD1~RD4に対応する領域は車道を表している。歩道進入動作の第1~第4パターンの夫々において、車道、歩道及び停車可能スペースが互いに隣接し、車道と停車可能スペースとの間に歩道が存在する。停車可能スペースは、歩道に隣接する任意のスペースであり、例えば、コンビニエンスストア等の任意の店舗に付随する駐車場や、任意のビル又は施設の駐車場が挙げられる。このため、停車可能スペース内での車両CRの停止は車両CRの駐車に相当する場合があり、停車可能スペースは駐車可能スペースであっても良い。停車可能スペースは施設等の私道を含むこともある。
【0021】
図3(a)に示す如く、歩道進入動作の第1パターンは、車道RD1上を走行していた車両CRが左折動作を行いながら車道RD1から歩道SW1に進入して歩道SW1を横断し、その後、当該歩道SW1に隣接する停車可能スペースSP1に移動してから停車可能スペースSP1内で車両CRが停止するパターンである。
【0022】
図3(b)に示す如く、歩道進入動作の第2パターンは、車道RD2上を走行していた車両CRが右折動作を行いながら車道RD2から歩道SW2に進入して歩道SW2を横断し、その後、当該歩道SW2に隣接する停車可能スペースSP2に移動してから停車可能スペースSP2内で車両CRが停止するパターンである。
【0023】
図3(c)に示す如く、歩道進入動作の第3パターンは、停車可能スペースSP3内で停止していた車両CRが発進して前方に進みながら歩道SW3を進入し、歩道SW3を横断しつつ左折動作を経て車道RD3に進み出るパターンである。
【0024】
図3(d)に示す如く、歩道進入動作の第4パターンは、停車可能スペースSP4内で停止していた車両CRが発進して前方に進みながら歩道SW4を進入し、歩道SW4を横断しつつ右折動作を経て車道RD4に進み出るパターンである。
【0025】
車道RD1~RD4を含む任意の車道として、主に任意の車両が走行可能な公道が想定される。停車可能スペースSP1~SS4を含む任意の停車可能スペースにおいて、車両CRは徐行走行することが可能であり、停車可能スペース内の所定スペースにて停車(駐車を含む)することが許容される。
【0026】
尚、歩道進入動作の各パターンでは、車両CRが歩道に進入するだけでなく車両CRが歩道を横断している。このため、歩道進入動作を歩道横断動作と読み替えても良い。
【0027】
車道と歩道との間に段差が設けられることが多い。車道と歩道との間に段差が設けられていなかったとしても、通常は、車道と歩道との間に路側帯が設けられる。路側帯は、路面上に形成された白線であり、路側帯を境界にして車道と歩道が区分けされる。
【0028】
故に、歩道進入動作の第1又は第2パターンでは、車両CRが車道(RD1、RD2)から歩道(SW1、SW2)に進入するときに車両CRが段差又は路側帯を横断する。第1及び第2パターンの歩道進入動作を、まとめて第1歩道進入動作と称する。第1歩道進入動作において、車両CRは左折動作又は右折動作を伴いながら段差又は路側帯を横断することで歩道に進入し、車両CRが歩道の横断を完了して停車可能スペース(SP1、SP2)内に進み出た後、停止する。
【0029】
同様に、歩道進入動作の第3又は第4パターンでは、車両CRが歩道(SW3、SW4)を横断して車道(RD3、RD4)に進み出るときに車両CRが段差又は路側帯を横断する。第3及び第4パターンの歩道進入動作を、まとめて第2歩道進入動作と称する。第2歩道進入動作において、車両CRは発進動作の後に歩道に進入し、歩道内を進行してから段差又は路側帯を横断する。つまり、段差又は路側帯の横断の前に車両CRの歩道への進入が開始され、車両CRによる段差又は路側帯の横断の完了を以って歩道の横断も完了する。また、第2歩道進入動作に係る車両CRは、段差又は路側帯の横断と同時期に左折動作又は右折動作を行う。
【0030】
図4に、車両CRに搭載される車載システムSYSの全体構成を示す。後の説明から明らかとなるが、車載システムSYSは、上述の第1又は第2歩道進入動作を検出することができる。車載システムSYSは、主な構成要素として、車載装置10と、カメラ部20と、GPS処理部30と、地図情報取得部40と、車載センサ部50と、を備える。
【0031】
車載装置10に対して複数の接続機器が接続される。車載装置10に接続される複数の接続機器は、カメラ部20、GPS処理部30、地図情報取得部40及び車載センサ部50を含み、各接続機器は車両CRの適所に設置される。車載装置10と任意の接続機器とは、車両CRに形成された車内ネットワークを介し、互いに双方向通信(但し必要でなければ一方向通信でも良い)が可能な態様で接続される。車内ネットワークとしてCAN(Controller Area Network)を利用できる。但し、カメラ部20、GPS処理部30、地図情報取得部40及び車載センサ部50の内、任意の1以上の要素は、車載装置10に内蔵されるものであっても良い。
【0032】
カメラ部20は車両CRに設置された1以上のカメラから成り、カメラ部20に設けられる個々のカメラを単位カメラと称する。単位カメラは、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサなどの撮像素子及び光学系を備える。単位カメラは、自身の視野(換言すれば撮影領域)内の撮影を行って、撮影により得られた画像(即ち視野内の像)を示す画像情報(換言すれば画像データ)を生成する。単位カメラにより生成された画像情報を、以下、カメラ画像情報と称しする。単位カメラの撮影画像、即ち、カメラ画像情報にて表される二次元画像をカメラ画像と称する。カメラ画像情報は車載装置10に出力される。単位カメラは所定の撮影フレームレートにて自身の視野内の撮影を周期的に繰り返し行う。撮影フレームレートは1秒間当たりの撮影の回数に相当する。撮影フレームレートは任意であるが、例えば60[フレーム/秒]である。単位カメラにおいて撮影フレームレートの逆数の時間間隔で1フレーム分のカメラ画像情報が周期的に生成され、車載装置10に出力される。1フレーム分のカメラ画像情報により1枚の静止画像としてのカメラ画像が表され、複数フレーム分のカメラ画像情報により動画像としてのカメラ画像が表される。尚、単位カメラの出力信号に対し所定の信号処理を施す信号処理部(不図示)をカメラ部20に設け、当該信号処理後の信号をカメラ画像情報として車載装置10に送るようにしても良い。
【0033】
本実施形態において、カメラ部20に設けられた単位カメラは車両CRの周辺を撮影するためのカメラであるとし、故に、カメラ画像は車両CRの周辺の撮影画像を指す。車両CRの周辺とは、車両CRの外部空間を指す。
【0034】
GPS処理部30は、GPS(Global Positioning System)を形成する複数のGPS衛星からの信号を受信することで車両CRの位置を検出し、検出位置を示す車両位置情報を生成する。検出される位置は車両CRの現在地である。車両位置情報では、車両CRの位置(現在地)が、地球上における経度及び緯度によって表現される。車両位置情報は所定周期で順次生成され、生成された車両位置情報は順次車載装置10に出力される。
【0035】
地図情報取得部40は、車道、歩道、建築物、信号機、踏切、道路標識等の、地図上における位置を示す地図情報を取得する。取得された地図情報は車載装置10に出力される。地図情報取得部40は、例えば、車両CRに搭載されたナビゲーション装置(不図示)から地図情報の提供を受ける、又は、無線通信を介して車両CRの外部装置(不図示)から地図情報を取得する。
【0036】
車載センサ部50は、車両CRに設置された複数の車載センサから成り、各車載センサを用いて車載センサ情報を検出及び取得する。車載センサ情報は所定周期で順次取得され、取得された車載センサ情報は順次車載装置10に出力される。
【0037】
以下、カメラ画像情報、車両位置情報、地図情報及び車載センサ情報を含む情報を、便宜上、CAN情報と称する。
【0038】
図5に車載センサ部50の内部構成を示す。車載センサ部50は、操舵角センサ51、車速センサ52、加速度センサ53及びシフトレバーセンサ54を備える。
【0039】
操舵角センサ51は車両CRの操舵角を検出し、検出した操舵角を表す操舵角情報を出力する。車速センサ52は車両CRの速度を検出し、検出した速度を表す車速情報(車速パルス)を出力する。車速情報を速度情報と称することもできる。加速度センサ53は車両CRの加速度を検出し、検出した加速度を表す加速度情報を出力する。検出される加速度は、少なくとも、車両CRの上下方向における加速度を含む。車両CRの上下方向は鉛直方向(重力が働く向きに平行な方向)に相当する。
【0040】
シフトレバーセンサ54は、車両CRのシフトレバー3の状態を検出し、検出したシフトレバー3の状態を表すシフト情報を出力する。シフトレバー3の状態は、運転手の操作に基づきドライブ状態、パーキング状態及びリバース状態を含む複数の状態の何れかに設定される。シフトレバー3がドライブ状態にあるとき車両CRのアクセルペダルの踏み込みに応じて車両CRが前進し(前方に向けて走行し)、シフトレバー3がリバース状態にあるとき車両CRのアクセルペダルの踏み込みに応じて車両CRが後退する(後方に向けて走行する)。車両CRが駐車しているときには、シフトレバー3がパーキング状態とされる。シフトレバー3がパーキング状態にあるとき、車両CRのトランスミッションのギアが固定される措置などにより、車両CRは安定的に停止する。
【0041】
車載センサ部50から車載装置10に出力される車載センサ情報は、上述の操舵角情報、車速情報、加速度情報及びシフト情報を含む。但し、シフト情報が車載センサ情報に含まれることは必須ではない。この他、車両CRに設けられたアクセルペダルの踏み込み量を表すアクセル情報及び車両CRに設けられたブレーキペダルの踏み込み量を表すブレーキ情報なども車載センサ情報に含まれ得る。
【0042】
図4に示す如く、車載装置10は、制御部110、内部メモリ120、記録媒体130及び計時部140を備える。
【0043】
制御部110は、演算処理を行うことで各種の制御機能を実現するCPU(Central Processing Unit)、及び、プログラムや設定パラメータ等を不揮発的に記憶するROM(Read Only Memory)を備える。制御部110において、CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することで、制御部110の各機能ブロックの機能が実現されて良い。
【0044】
内部メモリ120は、RAM(Random Access Memory)などによる揮発性メモリであり、制御部110の演算処理におけるワーキングメモリとして機能する他、制御部110の制御の下で様々な記録処理を行う。
【0045】
記録媒体130は、不揮発性の記録媒体(不揮発性メモリ)である。記録媒体130は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスクなどにて構成される。ここでは、車載装置10に記録媒体130が内蔵されることを想定しているが、記録媒体130は車載装置10の外部に設けられ且つ車載装置10に接続された記録媒体であっても良い。車載装置10に記録媒体装着部(不図示)を設けられていても良く、この場合、記録媒体130は記録媒体装着部に対し着脱自在であっても良い。
【0046】
計時部140は、現在の日時を示す日時情報を取得する。取得された日時情報は制御部110に出力される。或る日時にて取得されたカメラ画像情報、車両位置情報及び車載センサ情報は、当該日時を示す日時情報と対応付けられ、必要に応じ、カメラ画像情報、車両位置情報、車載センサ情報及び日時情報が互いに対応付けられた状態で、内部メモリ120又は記録媒体130に記録される。尚、或る注目した1日の中で生じる事象及び実行される動作に注目した場合、日時情報は当日中の現在時刻を表す時刻情報であるとも言える。以下では、説明の便宜上、或る注目した1日の中で生じる事象及び実行される動作にのみ注目し、時刻とは、当該注目した1日の中の時刻を指すものとする。
【0047】
図6に制御部110の機能ブロック図を示す。制御部110は、複数の機能ブロックとして、情報取得部111、右左折検出部112、路側帯横断検出部113、段差横断検出部114、停止/発進検出部115、歩道進入検出部116及び一時停止検出部117を備える。
【0048】
[情報検出部111]
情報取得部111は、カメラ部20、GPS処理部30、地図情報取得部40及び車載センサ部50から、最新のカメラ画像情報、車両位置情報、地図情報及び車載センサ情報を次々と取得すると共に、計時部140から現在時刻を表す日時情報を取得する。制御部110内の任意の機能ブロックは、情報取得部111が取得した情報を自由に参照できる。情報取得部111が取得した情報は内部メモリ120に記録されても良く、制御部110内の任意の機能ブロックは、情報取得部111が取得した情報を内部メモリ120から読み出すことができる。
【0049】
[右左折検出部112]
右左折検出部112は、車載センサ情報に含まれる操舵角情報に基づき車両CRの右折動作又は左折動作を検出する。検出部112により車両CRにおいて右折動作又は左折動作があったか否かが検出される。右折動作及び左折動作は、車両CRの進行方向を変更する進行方向変更動作に属する。
【0050】
図7(a)~
図7(c)を参照し、互いに直交するX軸及びY軸から成る二次元座標系を想定して、右折動作及び左折動作の意義を説明する。X軸及びY軸は、車道、歩道及び停車可能スペースに平行であって、実空間内に固定される軸である。車道は基本的に水平面と平行であり、故にX軸及びY軸は水平面に平行である。
【0051】
図7(b)に示す如く、車両CRの右折動作では、車両CRの進行の向きが向きDR1からステアリングホイール2の回転操作に基づいて向きDR2に変更される。向きDR1はY軸に平行であって且つY軸の負側から正側に向かう向きである。向きDR1はY軸に平行であるのでX軸成分を含まない。向きDR2はX軸の負側から正側に向かう向きである。典型的には、向きDR2はY軸成分を含まない。この場合、向きDR2はX軸に平行となる。但し、向きDR2はY軸成分を多少含む向きであっても良い。車両CRにて右折動作が行われる期間を右折動作期間と称する。右折動作期間は、車両CRの進行の向きが向きDR1から変化を開始して向きDR2に達するまでの期間を指す。そうすると車両CRは右折動作期間において右折動作を行うと言える。
【0052】
図7(c)に示す如く、車両CRの左折動作では、車両CRの進行の向きが向きDR1からステアリングホイール2の回転操作に基づいて向きDR3に変更される。向きDR1については上述した通りである。向きDR3はX軸の正側から負側に向かう向きであり、向きDR2と逆の向きであって良い。典型的には、向きDR3はY軸成分を含まない。この場合、向きDR3はX軸に平行となる。但し、向きDR3はY軸成分を多少含む向きであっても良い。車両CRにて左折動作が行われる期間を左折動作期間と称する。左折動作期間は、車両CRの進行の向きが向きDR1から変化を開始して向きDR3に達するまでの期間を指す。そうすると車両CRは左折動作期間において左折動作を行うと言える。
【0053】
尚、右左折検出部112は、必要に応じ、操舵角情報以外の情報をも参照して右折動作又は左折動作を検出するようにしても良い。例えば、右左折検出部112は操舵角情報及び車速情報から車両CRの移動軌跡を推定し、推定結果に基づいて車両CRの右折動作又は左折動作を検出しても良い。
【0054】
[路側帯横断検出部113]
路側帯横断検出部113は、カメラ画像情報に基づいて車両CRの路側帯横断動作を検出する。検出部113により車両CRにおいて路側帯横断動作があったか否かが検出される。車両CRの路側帯横断動作とは、車両CRが路側帯を横断する動作(即ち車両CRが路側帯を跨いで進行する動作)を指す。
【0055】
カメラ部20には単位カメラとしてフロントカメラが設けられている。フロントカメラは車両CRの外部であって且つ車両CRの前方側領域に視野を持つカメラであり、車両CRの車体の適所に設置される。車両CRの前方側における所定領域内の路面がフロントカメラの視野に含まれるよう、フロントカメラの俯角が適切に設定される。このため、車両CRが路側帯を横断する前には路側帯の白線がフロントカメラの視野に含まれる。検出部113は、フロントカメラのカメラ画像から路側帯の白線の画像部分を検出することで、車両CRの路側帯横断動作を検出する。
【0056】
路側帯横断検出部113は、路側帯横断動作があったと検出したとき、車両CRが路側帯を横断した時刻(以下、路側帯横断時刻と称する)も日時情報に基づいて検出する。路側帯横断動作があったと検出されたとき、その旨が路側帯横断時刻と関連付けられつつ記録媒体130に記録されて良い。車両CRの車体全体が路側帯を横断しきるためには相応の時間(例えば2秒)がかかるが、ここでは、車両CRが路側帯の横断を開始する時刻(例えば、車両CRの車体の前端の内の少なくとも一部が路側帯を形成する白線上に位置する時刻)を路側帯横断時刻とみなす。
【0057】
路側帯横断検出部113は、必要に応じ、カメラ画像情報以外の情報をも参照して路側帯横断動作及び路側帯横断時刻を検出しても良い。例えば、路側帯横断検出部113は、フロントカメラのカメラ画像から路側帯の白線の画像部分が検出されたとき、その検出時刻より後の時刻の操舵角情報及び車速情報に基づいて、路側帯の白線が車両CRの前方に位置していた時刻以後の車両CRの移動軌跡を推定し、その移動軌跡の推定結果に基づいて路側帯横断動作の有無を検出すると共に路側帯横断動作があった場合の路側帯横断時刻を検出するようにしても良い。
【0058】
また例えば、カメラ部20にフロントカメラを含む複数の単位カメラが設けられている場合には、複数のカメラによる複数のカメラ画像情報に基づいて車両CRの路側帯横断動作及び路側帯横断時刻を検出しても良い。例えば、カメラ部20に、フロントカメラに加え、フロントカメラ以外の単位カメラとして、車両CRの外部であって且つ車両CRの右側領域に視野を持つライトカメラと、車両CRの外部であって且つ車両CRの左側領域に視野を持つレフトカメラと、車両CRの外部であって且つ車両CRの後方側領域に視野を持つリアカメラとが設けられていて良い。そして例えば、フロントカメラ、ライトカメラ、レフトカメラ及びリアカメラの各カメラ画像を合成することで、車両CRの上方の仮想視点から車両CRの周辺360°の様子を表現した俯瞰画像を生成し、俯瞰画像に基づいて路側帯横断動作及び路側帯横断時刻の検出を行っても良い。動画像としての俯瞰画像に基づけば、検出部113は路側帯横断の様子を容易且つ明確に認識できる。
【0059】
尚、基本的に路側帯として十分な長さを持った連続的且つ直線状の白線が想定されるが、
図8の路側帯610の如く、路側帯を形成する白線が路面上の点線(即ち、白線の存在部分と白線の非存在部分との繰り返しによる点線)にて構成されている場合がある。このような場合、検出部113は、カメラ画像上において、互いに隣接して実在する2つの白線間に仮想の白線を補完した上で路側帯横断動作の検出を行うと良い。
【0060】
また、車両CRが車道において右折動作又は左折動作を伴いながら進行するとき、自転車横断帯を横切ることがある。自転車横断帯は車道の路面上に形成された平行な2本の白線から成る。検出部113は、フロントカメラのカメラ画像において、所定距離以内の距離を隔てて平行に配置される2本の白線の画像部分を検出したとき、それらの白線は路側帯の白線ではなく自転車横断帯を構成する白線であるとみなし、当該2本の白線を車両CRが横切る動作は路側帯横断動作に該当しないと判断する。
【0061】
[段差横断検出部114]
段差横断検出部114は、車載センサ情報に含まれる加速度情報に基づいて車両CRの段差横断動作を検出する。検出部114により車両CRにおいて段差横断動作があったか否かが検出される。車両CRの段差横断動作とは、車両CRが段差を横断する動作(即ち車両CRが段差を跨いで進行する動作)を指す。
【0062】
車両CRによる段差横断動作として、
図9(a)に示すような、車両CRが相対的に低い場所から段差を乗り越えることで相対的に高い場所に移動する第1段差横断動作と、
図9(b)に示すような、車両CRが相対的に高い場所から段差を下ることで相対的に低い場所に移動する第2段差横断動作と、がある。互いに隣接する車道と歩道との間に段差が設けられている場合、基本的に、歩道は車道よりも相対的に高い場所に位置する。故に、第1段差横断動作は車両CRによる車道から歩道への進行の過程で発生し、第2段差横断動作は車両CRによる歩道から車道への進行の過程で発生する。従って、車道及び歩道間に段差が設けられているとき、
図3(a)の第1パターン又は
図3(b)の第2パターンによる歩道進入シーンにて第1段差横断動作が検出されることが期待され、
図3(c)の第3パターン又は
図3(d)の第4パターンによる歩道進入シーンにて第2段差横断動作が検出されることが期待される。
【0063】
車載センサ情報に含まれる加速度情報は、車両CRの前後方向における加速度を表すx軸加速度情報と、車両CRの左右方向における加速度を表すy軸加速度情報と、車両CRの上下方向における加速度を表すz軸加速度情報と、を含んでいる。検出部114は、x軸、y軸及びz軸加速度情報の内、少なくともz軸加速度情報に基づいて車両CRの段差横断動作を検出する。
【0064】
検出部114は、車載センサ情報に含まれる加速度情報に基づいて車両CRの加速度変化を示す加速度変化パターンを検出し、検出した加速度変化パターンと予め登録された加速度変化パターンとの比較に基づいて、段差横断動作があったか否かを判断する。これについて具体的な処理例を以下に挙げる。
【0065】
車載装置1には、上記予め登録された加速度変化パターンとして、登録加速度変化パターンPTNREF、PTNZ1及びPTNZ2が設定されている。各登録加速度変化パターンは、車載装置1の製造工程の中で、車載装置1内(例えば制御部110内)に設けられた不揮発性メモリに格納される。登録加速度変化パターンPTNREFは、車両CRが平坦な路面上を走行する期間において観測されることが期待される車両CRの加速度の変化パターンである。登録加速度変化パターンPTNZ1は、車両CRにて第1段差横断動作が行われている期間において観測されることが期待される車両CRの加速度の変化パターンである。登録加速度変化パターンPTNZ2は、車両CRにて第2段差横断動作が行われている期間において観測されることが期待される車両CRの加速度の変化パターンである。各登録加速度変化パターンは実験又は理論計算を通じて予め設定される。
【0066】
車載装置1の実稼働時において、検出部114は、車載センサ情報に含まれる加速度情報に基づき車両CRの加速度変化を示す加速度変化パターンを検出する。この検出された加速度変化パターンを検出加速度変化パターンと称すると共に記号“PTNDET”にて参照する。検出部114は、検出加速度変化パターンPTNDETを登録加速度変化パターンPTNREF、PTNZ1及びPTNZ2と比較し、パターンマッチングにより、パターンPTNDET及びPTNREF間の類似度SML0、パターンPTNDET及びPTNZ1間の類似度SML1、並びに、パターンPTNDET及びPTNZ2間の類似度SML2を算出する。
【0067】
そして、後述の歩道進入検出部116により、第1歩道進入動作(
図3(a)又は
図3(b)に対応)の有無が検出される場合にあっては、検出部114は、類似度SML0と類似度SML1との大小関係に基づき第1段差横断動作の有無を判断する。つまり、パターンPTN
DET及びPTN
Z1間の類似度SML1がパターンPTN
DET及びPTN
REF間の類似度SML0よりも大きければ、第1段差横断動作があったと判断し、そうでなければ第1段差横断動作が無かったと判断する。後述の歩道進入検出部116により、第2歩道進入動作(
図3(c)又は
図3(d)に対応)の有無が検出される場合にあっては、検出部114は、類似度SML0と類似度SML2との大小関係に基づき第2段差横断動作の有無を判断する。つまり、パターンPTN
DET及びPTN
Z2間の類似度SML2がパターンPTN
DET及びPTN
REF間の類似度SML0よりも大きければ、第2段差横断動作があったと判断し、そうでなければ第2段差横断動作が無かったと判断する。
【0068】
パターンPTNDET、PTNREF、PTNZ1及びPTNZ2の夫々は、車両CRの上下方向のみの加速度変化パターンであっても良いし、車両CRの上下方向及び他方向の加速度変化パターンであっても良い。ここにおける他方向とは、車両CRの前後方向及び左右方向の内の何れか一方又は双方を指す。
【0069】
段差横断検出部114は、段差横断動作があったと検出したとき、車両CRが段差を横断した時刻(以下、段差横断時刻と称する)も日時情報に基づいて検出する。段差横断動作があったと検出されたとき、その旨が段差横断時刻と関連付けられつつ記録媒体130に記録されて良い。車両CRの車体全体が段差を横断しきるためには相応の時間(例えば2秒)がかかるが、ここでは、車両CRが段差の横断を開始する時刻(例えば、第1段差横断動作においては車両CRの前輪が段差を乗り越えた時刻、第2段差横断動作においては車両CRの前輪が段差を下った時刻)を段差横断時刻とみなす。つまり例えば、第1段差横断動作については“SML1>SML0”を成立させる検出加速度変化パターンPTNDETが加速度センサ53にて得られた時刻を段差横断時刻とみなし、第2段差横断動作については“SML2>SML0”を成立させる検出加速度変化パターンPTNDETが加速度センサ53にて得られた時刻を段差横断時刻とみなす。
【0070】
[停止/発進検出部115]
停止/発進検出部115は、車載センサ情報に含まれる車速情報に基づいて車両CRの停止動作又は発進動作を検出する。検出部115により車両CRにおいて停止動作があったか否か及び発進動作があったか否かが検出される。車両CRの停止は車両CRの駐車に相当する場合もあるので、停止動作は駐車動作であり得る。検出部115による停止動作及び発進動作の有無の判断方法として第1~第3判断方法を以下に示す。検出部115において、第1~第3判断方法の内の任意の何れかを利用して良い。
【0071】
第1判断方法に係る検出部115は、単に車両CRが走行状態から停止状態に移行したとき、停止動作があったと判断する。第1判断方法に係る検出部115は、単に車両CRが停止状態から走行状態に移行したとき、発進動作があったと判断する。走行状態とは車両CRが任意の速度で走行している状態を指す。停止状態とは車両CRが停止している状態(車両CRの速度がゼロの状態)を指す。
【0072】
第2判断方法では速度情報に加えてシフトレバー3の状態を考慮する。即ち、第2判断方法に係る検出部115は、車両CRが走行状態から停止状態に移行しただけでは停止動作があったと判断せず、車両CRが走行状態から停止状態に移行した後、車両CRが走行状態に戻ることなくシフトレバー3の状態がパーキング状態に設定されたときに、停止動作があったと判断する。第2判断方法に係る検出部115は、車両CRの停止状態においてシフトレバー3の状態がパーキング状態からドライブ状態又はリバース状態に切り替えられた後、車両CRが停止状態から走行状態に移行したときに、発進動作があったと判断する。
【0073】
第3判断方法では速度情報に加えて車両CRに設けられたサイドブレーキ(不図示)の状態を考慮する。即ち、第3判断方法に係る検出部115は、車両CRが走行状態から停止状態に移行しただけでは停止動作があったと判断せず、車両CRが走行状態から停止状態に移行した後、車両CRが走行状態に戻ることなくサイドブレーキが作動したときに(即ちサイドブレーキの状態が非作動状態から作動状態に切り替えられたときに)、停止動作があったと判断する。第3判断方法に係る検出部115は、車両CRの停止状態においてサイドブレーキの状態が作動状態から非作動状態に切り替えられた後、車両CRが停止状態から走行状態に移行したときに、発進動作があったと判断する。
【0074】
尚、第2及び第3判断方法を組み合わせても良い。即ち、速度状態に加えてシフトレバー3の状態とサイドブレーキの状態に基づき、停止動作があったか否か、発進動作があったか否かを判断しても良い。この他、当該判断を、イグニッションスイッチ4の状態を考慮して行っても良い。
【0075】
検出部115は、停止動作があったと検出したとき、停止動作があった時刻(以下、停止時刻と称する)も日時情報に基づいて検出する。停止動作があったと検出されたとき、その旨が停止時刻と関連付けられつつ記録媒体130に記録されて良い。検出部115は、発進動作があったと検出したとき、発進動作があった時刻(以下、発進時刻と称する)も日時情報に基づいて検出する。発進動作があったと検出されたとき、その旨が発進時刻と関連付けられつつ記録媒体130に記録されて良い。
【0076】
[歩道進入検出部116]
歩道進入検出部116は、右左折検出部112の検出結果と、路側帯横断検出部113の検出結果又は段差横断検出部114の検出結果と、停止/発進検出部115の検出結果と、に基づいて、車両CRの歩道進入動作を検出する。検出部116において検出の対象となる歩道進入動作として、
図3(a)及び(b)に対応する第1歩道進入動作と、
図3(c)及び(d)に対応する第2歩道進入動作と、がある。
【0077】
歩道進入検出部116は、車両CRにおいて進行方向変更動作と特定横断動作とが検出され、その後に停止動作が検出されたとき、第1歩道進入動作があったと検出する。ここで、進行方向変更動作は右折動作及び左折動作の何れかである。また、特定横断動作とは、路側帯横断動作及び段差横断動作の何れかを指す。
【0078】
より具体的には、歩道進入検出部116は、進行方向変更動作(右折動作又は左折動作)により車両CRの進行方向が変化している過程において特定横断動作(路側帯横断動作又は段差横断動作)が検出され、その後に停止動作が検出されたとき、第1歩道進入動作があったと検出する。但し、この場合において、特定横断動作が生じた時刻(即ち路側帯横断時刻又は段差横断時刻)から所定の判定時間tTH1以内に車両CRの停止動作が検出されること、或いは、特定横断動作が生じた時刻(即ち路側帯横断時刻又は段差横断時刻)から車両CRの停止動作が検出されるまでの車両CRの走行距離が所定の判定距離dTH1以下であることが、第1歩道進入動作があったと検出されるための条件に含まれていて良い。判定時間tTH1は例えば数秒~数10秒であり、判定距離dTH1は数m~数10mである。
【0079】
換言すれば、歩道進入検出部116は、進行方向変更動作(右折動作又は左折動作)により車両CRの進行方向が変化(向きDR1から向きDR2又はDR3への変化;
図7(b)又は(c)参照)を開始した後に特定横断動作(路側帯横断動作又は段差横断動作)が検出され、その後に停止動作が検出されたとき、第1歩道進入動作があったと検出する。ここで、進行方向変更動作により車両CRの進行方向が変化を開始した後に特定横断動作が検出されるとは、当該変化の開始時刻から所定の判定時間t
TH1_A以内に(例えば数秒以内に)特定横断動作が検出されること、又は、当該変化の開始時刻から特定横断動作が検出されるまでの車両CRの走行距離が所定の判定距離d
TH1_A以下(例えば数m以下)であることを意味していて良い。つまり、進行方向変更動作により車両CRの進行方向が変化を開始した後に特定横断動作が検出されるとは、当該変化の開始時刻から所定の判定時間t
TH1_A以内に路側帯横断時刻又は段差横断時刻が到来すること、又は、当該変化の開始時刻から路側帯横断時刻又は段差横断時刻までの車両CRの走行距離が所定の判定距離d
TH1_A以下であることを意味していて良い。更に、特定横断動作が生じた時刻(即ち路側帯横断時刻又は段差横断時刻)から所定の判定時間t
TH1内に車両CRの停止動作が検出されること、或いは、特定横断動作が生じた時刻(即ち路側帯横断時刻又は段差横断時刻)から車両CRの停止動作が検出されるまでの車両CRの走行距離が所定の判定距離d
TH1以下であることが、第1歩道進入動作があったと検出されるための条件に含まれていて良い。
【0080】
第1歩道進入動作では、特定横断動作を通じて車両CRが歩道に進入することになる。即ち、第1歩道進入動作では、路側帯横断動作により車両CRが車道(RD1、RD2)及び歩道(SW1、SW2)間の路側帯を横断することで車両CRが歩道(SW1、SW2)に進入する、又は、段差横断動作により車両CRが車道(RD1、RD2)及び歩道(SW1、SW2)間の段差を乗り越えることで車両CRが歩道(SW1、SW2)に進入する(
図3(a)及び(b)参照)。尚、制御部10又は制御部10の各構成要素は、任意の2つの時刻間における車両CRの走行距離を、車速情報と当該2つの時刻間の時間差に基づき認識することができる。
【0081】
歩道進入検出部116は、車両CRの発進動作の後に、車両CRにおいて進行方向変更動作(右折動作又は左折動作)と特定横断動作(路側帯横断動作又は段差横断動作)とが検出されたとき、第2歩道進入動作があったと検出する。
【0082】
より具体的には例えば、歩道進入検出部116は、車両CRの発進動作の後、進行方向変更動作(右折動作又は左折動作)により車両CRの進行方向が変化している過程において特定横断動作(路側帯横断動作又は段差横断動作)が検出されたとき、第2歩道進入動作があったと検出する。但し、この場合において、発進動作が検出された時刻から所定の判定時間tTH2以内に特定横断動作が検出されること、或いは、発進動作が検出された時刻から特定横断動作が検出されるまでの車両CRの走行距離が所定の判定距離dTH2以下であることが、第2歩道進入動作があったと検出されるための条件に含まれていて良い。つまり、発進動作が検出された時刻から所定の判定時間tTH2以内に路側帯横断時刻又は段差横断時刻が到来すること、或いは、発進動作が検出された時刻から路側帯横断時刻又は段差横断時刻までの車両CRの走行距離が所定の判定距離dTH2以下であることが、第2歩道進入動作があったと検出されるための条件に含まれていて良い。判定時間tTH2は例えば数秒~数10秒であり、判定距離dTH2は数m~数10mである。
【0083】
換言すれば、歩道進入検出部116は、車両CRの発進動作の後、進行方向変更動作(右折動作又は左折動作)により車両CRの進行方向が変化(向きDR1から向きDR2又はDR3への変化;
図7(b)又は(c)参照)を開始した後に特定横断動作(路側帯横断動作又は段差横断動作)が検出されたとき、第2歩道進入動作があったと検出して良い。ここで、発進動作が検出された時刻から所定の判定時間t
TH2内に特定横断動作が検出されること、或いは、発進動作が検出された時刻から特定横断動作が検出されるまでの車両CRの走行距離が所定の判定距離d
TH2以下であることが、第2歩道進入動作があったと検出されるための条件に含まれていて良い。つまり、発進動作が検出された時刻から所定の判定時間t
TH2以内に路側帯横断時刻又は段差横断時刻が到来すること、或いは、発進動作が検出された時刻から路側帯横断時刻又は段差横断時刻までの車両CRの走行距離が所定の判定距離d
TH2以下であることが、第2歩道進入動作があったと検出されるための条件に含まれていて良い。また、進行方向変更動作により車両CRの進行方向が変化を開始した後に特定横断動作が検出されるとは、当該変化の開始時刻から所定の判定時間t
TH2_A以内に(例えば数秒以内に)特定横断動作が検出されること、又は、当該変化の開始時刻から特定横断動作が検出されるまでの車両CRの走行距離が所定の判定距離d
TH2_A以下(例えば数m以下に)であることを意味していて良い。つまり、進行方向変更動作により車両CRの進行方向が変化を開始した後に特定横断動作が検出されるとは、当該変化の開始時刻から所定の判定時間t
TH2_A以内に路側帯横断時刻又は段差横断時刻が到来すること、又は、当該変化の開始時刻から路側帯横断時刻又は段差横断時刻までの車両CRの走行距離が所定の判定距離d
TH2_A以下であることを意味していて良い。
【0084】
また例えば、歩道進入検出部116は、車両CRの発進動作の後、特定横断動作(路側帯横断動作又は段差横断動作)に続いて進行方向変更動作(右折動作又は左折動作)が検出されたときにも、第2歩道進入動作があったと検出して良い。但し、この場合において、発進動作が検出された時刻から所定の判定時間tTH2以内に特定横断動作が検出されること、或いは、発進動作が検出された時刻から特定横断動作が検出されるまでの車両CRの走行距離が所定の判定距離dTH2以下であることが、第2歩道進入動作があったと検出されるための条件に含まれていて良い。つまり、発進動作が検出された時刻から所定の判定時間tTH2以内に路側帯横断時刻又は段差横断時刻が到来すること、或いは、発進動作が検出された時刻から路側帯横断時刻又は段差横断時刻までの車両CRの走行距離が所定の判定距離dTH2以下であることが、第2歩道進入動作があったと検出されるための条件に含まれていて良い。特定横断動作に続いて進行方向変更動作が検出されるとは、特定横断動作が生じた時刻(即ち路側帯横断時刻又は段差横断時刻)から所定の判定時間tTH2_B以内に(例えば数秒以内に)進行方向変更動作による車両CRの進行方向の変化が開始されること、又は、特定横断動作が生じた時刻(即ち路側帯横断時刻又は段差横断時刻)から進行方向変更動作による車両CRの進行方向変化が開始されるまでの車両CRの走行距離が所定の判定距離dTH2_B以下(例えば数m以下)であることを意味していて良い。
【0085】
第2歩道進入動作では、特定横断動作の前に車両CRが歩道に進入することになる。即ち、第2歩道進入動作では、停車可能スペース(SP3、SP4)から発進した車両CRが歩道(SW3、SW4)に進入し、その後に車両CRが歩道(SW3、SW4)及び車道(RD3、RD4)間の路側帯を横断する又は歩道(SW3、SW4)及び車道(RD3、RD4)間の段差を下る(
図3(c)及び(d)参照)。
【0086】
このような検出動作により、
図3(a)~(d)に示すような各シーンにおける歩道進入動作を、手動によらず車載装置10にて安定して検出することが可能となる。
【0087】
[一時停止検出部117]
一時停止検出部117は、歩道進入検出部116の検出結果を参照しつつ、車載センサ情報に含まれる車速情報(車両CRの速度情報)に基づき、歩道進入動作にて車両CRが歩道に進入する前に車両CRが一時停止したか否かを検出する。歩道進入検出部116又は一時停止検出部117は、特定横断動作が生じた時刻(即ち路側帯横断時刻又は段差横断時刻)に基づいて車両CRが歩道に進入した時刻(以下、歩道進入時刻と称する)を推定することができ、歩道進入時刻の前に車両CRが一時停止したか否かを検出及び判断することで、歩道進入動作にて車両CRが歩道に進入する前に車両CRが一時停止したか否かを検出及び判断する。
【0088】
車両CRの歩道進入の前に車両CRが一時停止すべきことは法令より(日本国においては道路交通法により)定められており、故に車両CRの歩道進入の前に車両CRが一時停止しないことは法令違反となる。一時停止検出部117における上記の検出処理により、歩道進入に関わる法令違反の有無を手動によらず容易に検出することができる。
【0089】
歩道進入検出部116により第1歩道進入動作があったと検出されるケースCASE1を考える。ケースCASE1では、特定横断動作が生じた時刻(即ち路側帯横断時刻又は段差横断時刻)そのものを、第1歩道進入動作における車両CRの歩道進入時刻T
IN1(
図10(a)参照)として推定することができる。
【0090】
そして例えば、ケースCASE1において、一時停止検出部117は、車両CRの歩道進入時刻TIN1よりも所定時間(例えば5秒)だけ前の時刻TIN1_BFと車両CRの歩道進入時刻TIN1との間の期間を一時停止判定期間P1に設定し、一時停止判定期間P1内の車速情報に基づき、一時停止判定期間P1において車両CRが一時停止をしていたかを判断する。車両CRの一時停止とは、車両CRが所定の一時停止最小時間以上、継続して、停止することを指す。一時停止判定期間P1において車両CRが一時停止していた場合には、第1歩道進入動作にて車両CRが歩道に進入する前に車両CRが一時停止したと判断され、そうでない場合には、第1歩道進入動作にて車両CRが歩道に進入する前に車両CRが一時停止していないと判断される。
【0091】
またケースCASE1において、一時停止検出部117は、車両CRの歩道進入位置(歩道進入時刻TIN1での車両CRの位置)から見て一時停止判定距離内の領域において一時停止が行われたか否かを判断し、これによって、車両CRが歩道に進入する前に車両CRが一時停止したか否かを検出しても良い。この場合、一時停止検出部117は、時刻TIN1_BF’(不図示)から歩道進入時刻TIN1までの期間を一時停止判定期間P1に設定すれば良い。ここで、時刻TIN1_BF’は歩道進入時刻TIN1より前の時刻であって、時刻TIN1_BF’での車両CRの位置と歩道進入時刻TIN1での車両CRの位置との間の距離は、所定の一時停止判定距離(例えば数10cm~5m)と一致する。
【0092】
歩道進入検出部116により第2歩道進入動作があったと検出されるケースCASE2を考える。
図3(c)又は(d)に対応するケースCASE2では、車両CRが歩道進入して暫くしてから特定横断動作が検出される。但し、歩道の幅が或る程度決まっていること、及び、車両CRが歩道を横切る際には時速1~2km等で車両CRが徐行することを考慮すれば、特定横断動作が生じた時刻(即ち路側帯横断時刻又は段差横断時刻)を元に歩道進入時刻を推定可能である。ここでは、ケースCASE2において、特定横断動作が生じた時刻(即ち路側帯横断時刻又は段差横断時刻)から所定の歩道横断標準時間(例えば3秒)だけ前の時刻が、第2歩道進入動作における車両CRの歩道進入時刻T
IN2(
図10(b)参照)として推定されるものとする。
【0093】
そして例えば、ケースCASE2において、一時停止検出部117は、車両CRの歩道進入時刻TIN2よりも所定時間(例えば5秒)だけ前の時刻TIN2_BFと車両CRの歩道進入時刻TIN2との間の期間を一時停止判定期間P2に設定し、一時停止判定期間P2内の車速情報に基づき、一時停止判定期間P2において車両CRが一時停止をしていたかを判断する。一時停止判定期間P2において車両CRが一時停止していた場合には、第2歩道進入動作にて車両CRが歩道に進入する前に車両CRが一時停止したと判断され、そうでない場合には、第2歩道進入動作にて車両CRが歩道に進入する前に車両CRが一時停止していないと判断される。
【0094】
またケースCASE2において、一時停止検出部117は、車両CRの歩道進入位置(歩道進入時刻TIN2での車両CRの位置)から見て一時停止判定距離内の領域において一時停止が行われたか否かを判断し、これによって、車両CRが歩道に進入する前に車両CRが一時停止したか否かを検出しても良い。この場合、一時停止検出部117は、時刻TIN2_BF’(不図示)から歩道進入時刻TIN2までの期間を一時停止判定期間P2に設定すれば良い。ここで、時刻TIN2_BF’は歩道進入時刻TIN2より前の時刻であって、時刻TIN2_BF’での車両CRの位置と歩道進入時刻TIN2での車両CRの位置との間の距離は、所定の一時停止判定距離(例えば数10cm~5m)と一致する。
【0095】
一時停止検出部117は、第1又は第2歩道進入動作にて車両CRが歩道に進入する前に車両CRが一時停止していないと検出(判断)したとき、一時停止に関わる法令違反が発生したと判断して、その旨を記録媒体130に記録すると共に、対象動画像のカメラ画像情報を記録媒体130に記録する。この際、車両CRの歩道進入時刻を基準に記録対象期間P
RCD(
図11(a)参照)を設定し、記録対象期間P
RCDにおける対象動画像のカメラ画像情報を記録媒体130に記録する。対象動画像とは、記録対象期間P
RCDでのカメラ部20の撮影により得られた動画像を指す。対象動画像は、少なくともフロンカメラの撮影により得られた動画像を含んでいると良く、更に、他の単位カメラ(ライトカメラ、レフトカメラ、リアカメラ)の撮影により得られた動画像を含んでいても良い。記録対象期間P
RCDにおいて、フロントカメラの撮影により複数フレーム分のカメラ画像情報が生成され、複数フレーム分のカメラ画像情報によりフロントカメラの視野内の撮影結果を示す動画像が形成される。この動画像が対象動画像に含められる。他の単位カメラについても同様である。
【0096】
第1歩道進入動作に対応するケースCASE1において、記録対象期間P
RCDは、車両進入時刻T
IN1よりも前の時刻を含むプリ期間P
RCD1_PREを含んでいて良い(
図11(b)及び(c)参照)。
図11(b)に示す如くプリ期間P
RCD1_PREの終了時刻は車両進入時刻T
IN1と一致しても良いし、
図11(c)に示す如く車両進入時刻T
IN1より所定の微小時間だけ前の時刻がプリ期間P
RCD1_PREの終了時刻に設定されても良い。プリ期間P
RCD1_PREの時間長は固定長(例えば10秒)であって良い。或いは、車両CRの歩道進入位置(歩道進入時刻T
IN1での車両CRの位置)から見て車両CRが所定距離範囲内(例えば5m以内)に位置している期間であって、且つ、車両進入時刻T
IN1より前の期間をプリ期間P
RCD1_PREに含めても良い。つまり、車両CRが所定距離だけ走行する時間分の長さをプリ期間P
RCD1_PREに持たせても良い。
【0097】
第1歩道進入動作に対応するケースCASE1において、記録対象期間P
RCDは、車両進入時刻T
IN1よりも後の時刻を含むポスト期間P
RCD1_POSTを含んでいて良い(
図11(d)及び(e)参照)。
図11(d)に示す如くポスト期間P
RCD1_POSTの開始時刻は車両進入時刻T
IN1と一致しても良いし、
図11(e)に示す如く車両進入時刻T
IN1より所定の微小時間だけ後の時刻がポスト期間P
RCD1_POSTの開始時刻に設定されても良い。ポスト期間P
RCD1_POSTの時間長は固定長(例えば10秒)であって良い。或いは、車両CRの歩道進入位置(歩道進入時刻T
IN1での車両CRの位置)から見て車両CRが所定距離範囲内(例えば5m以内)に位置している期間であって、且つ、車両進入時刻T
IN1より後の期間をポスト期間P
RCD1_POSTに含めても良い。つまり、車両CRが所定距離だけ走行する時間分の長さをポスト期間P
RCD1_POSTに持たせても良い。
【0098】
第1歩道進入動作に対応するケースCASE1において、記録対象期間PRCDは、プリ期間PRCD1_PRE及びポスト期間PRCD1_POSTの何れか一方のみを含んでいても良いしプリ期間PRCD1_PRE及びポスト期間PRCD1_POSTの双方を含んでいても良い。プリ期間PRCD1_PRE及びポスト期間PRCD1_POSTの双方が記録対象期間PRCDに含められる場合、プリ期間PRCD1_PREの終了時刻及びポスト期間PRCD1_POSTの開始時刻を車両進入時刻TIN1と一致させると良く、これにより、切れ目なく隣接するプリ期間PRCD1_PRE及びポスト期間PRCD1_POSTにて記録対象期間PRCDが構成される。
【0099】
第2歩道進入動作に対応するケースCASE2において、記録対象期間P
RCDは、車両進入時刻T
IN2よりも前の時刻を含むプリ期間P
RCD2_PREを含んでいて良い(
図11(f)及び(g)参照)。
図11(f)に示す如くプリ期間P
RCD2_PREの終了時刻は車両進入時刻T
IN2と一致しても良いし、
図11(g)に示す如く車両進入時刻T
IN2より所定の微小時間だけ前の時刻がプリ期間P
RCD2_PREの終了時刻に設定されても良い。プリ期間P
RCD2_PREの時間長は固定長(例えば10秒)であって良い。或いは、車両CRの歩道進入位置(歩道進入時刻T
IN2での車両CRの位置)から見て車両CRが所定距離範囲内(例えば5m以内)に位置している期間であって、且つ、車両進入時刻T
IN2より前の期間をプリ期間P
RCD2_PREに含めても良い。つまり、車両CRが所定距離だけ走行する時間分の長さをプリ期間P
RCD2_PREに持たせても良い。
【0100】
第2歩道進入動作に対応するケースCASE2において、記録対象期間P
RCDは、車両進入時刻T
IN2よりも後の時刻を含むポスト期間P
RCD2_POSTを含んでいて良い(
図11(h)及び(i)参照)。
図11(h)に示す如くポスト期間P
RCD2_POSTの開始時刻は車両進入時刻T
IN2と一致しても良いし、
図11(i)に示す如く車両進入時刻T
IN2より所定の微小時間だけ後の時刻がポスト期間P
RCD2_POSTの開始時刻に設定されても良い。ポスト期間P
RCD2_POSTの時間長は固定長(例えば10秒)であって良い。或いは、車両CRの歩道進入位置(歩道進入時刻T
IN2での車両CRの位置)から見て車両CRが所定距離範囲内(例えば5m以内)に位置している期間であって、且つ、車両進入時刻T
IN2より後の期間をポスト期間P
RCD2_POSTに含めても良い。つまり、車両CRが所定距離だけ走行する時間分の長さをポスト期間P
RCD2_POSTに持たせても良い。
【0101】
第2歩道進入動作に対応するケースCASE2において、記録対象期間PRCDは、プリ期間PRCD2_PRE及びポスト期間PRCD2_POSTの何れか一方のみを含んでいても良いしプリ期間PRCD2_PRE及びポスト期間PRCD2_POSTの双方を含んでいても良い。プリ期間PRCD2_PRE及びポスト期間PRCD2_POSTの双方が記録対象期間PRCDに含められる場合、プリ期間PRCD2_PREの終了時刻及びポスト期間PRCD2_POSTの開始時刻を車両進入時刻TIN2と一致させると良く、これにより、切れ目なく隣接するプリ期間PRCD2_PRE及びポスト期間PRCD2_POSTにて記録対象期間PRCDが構成される。
【0102】
上記のような記録媒体130への記録動作により、一時停止に関わる法令違反の様子を不揮発的に残しておくことができる。記録媒体130への記録内容を、安全運転への支援活動、自動車保険料金の算定、事故があった場合の検証などに役立てることができる。
【0103】
記録媒体130への記録は、サイクリック記録処理にて内部メモリ120に記録された内容に基づいて行われるものであって良い。制御部110にて実行されるサイクリック記録処理について説明する。サイクリック記録処理において、制御部110は、車載システムSYSにおいて順次得られるCAN情報を順次内部メモリ120に記録してゆく。上述したように、CAN情報は、カメラ部20の撮影にて得られるカメラ画像情報を含む他、車両位置情報、地図情報及び車載センサ情報を含む。但し、内部メモリ120に記録されるCAN情報から地図情報が除外されて良い。尚、CAN情報は、車載装置10が取得可能なあらゆる情報を含んでいて良く、例えば、車両CRのサイドブレーキの状態を表す情報や、イグニッションスイッチ4の状態を表す情報もCAN情報に含まれていて良い。
【0104】
内部メモリ120は、所定の最大記録時間分のCAN情報を格納可能な記録領域を有する。CAN情報は、それらの取得日時を表す日時情報と対応付けられた上で、内部メモリ120に記録される。サイクリック記録処理において、最大記録時間分のCAN情報が内部メモリ120に記録されている状態で、カメラ部20、GPS処理部30及びセンサ部50により新たなCAN情報が取得されると、内部メモリ120において最新のCAN情報を過去のCAN情報に上書き記録する。第1の情報を第2の情報に上書き記録するとは、第2の情報を内部メモリ120から消去して、代わりに第1の情報を内部メモリ120に記録することを指す。上書きの対象となる過去のCAN情報は、内部メモリ120に記録されている全てのCAN情報の内、最も古い時刻にて取得及び記録されたCAN情報である。
【0105】
このようなサイクリック記録処理が常時実行されることで、最新且つ最大記録時間分のCAN情報が常に内部メモリ120に記録される。主制御部110における各検出部112~117は、内部メモリ120の記憶情報に基づき、各検出部112~117が実行すべき検出処理を実行できる。一時停止検出部117は、記録対象期間PRCDにおける対象動画像のカメラ画像情報を記録媒体130に記録する際、記録対象期間PRCDにおける対象動画像のカメラ画像情報を内部メモリ120から読み出し、一時停止の法令違反があった旨を示す情報と記録対象期間PRCDにおける対象動画像のカメラ画像情報を互いに関連付けて記録媒体130に記録する。この際、車両位置情報及び車載センサ情報も併せて記録媒体130に記録するようにも良い。つまり、一時停止検出部117は、記録対象期間PRCDにおけるCAN情報を内部メモリ120から読み出し、一時停止の法令違反があった旨を示す情報と記録対象期間PRCDにおけるCAN情報を互いに関連付けて記録媒体130に記録しても良い。但し、記録メモリ130に記録されるCAN情報から地図情報は除外されて良い。
【0106】
第1及び第2歩道進入動作が行われるシーン以外にも、法令により一時停止が義務付けられるシーン(踏切横断シーンなど)がある。一時停止検出部117は、後者のシーンを含む、法令により一時停止が義務付けられる各シーンにおいて、車両CRが必要な一時停止をしていたかを検出する機能も有していて良い。この場合、法令により一時停止が義務付けられる各シーンにおいて、車両CRが必要な一時停止をしていなかった場合、一時停止検出部117は、一時停止を行うべき時刻を基準に、当該基準の時刻よりも前の期間及び当該基準の時刻よりも後の期間の少なくとも一方を含む記録対象期間PRCDを設定し、一時停止の法令違反があった旨を示す情報と記録対象期間PRCDにおけるCAN情報(対象動画像のカメラ画像情報を少なくとも含む)とを互いに関連付けて記録媒体130に記録して良い。
【0107】
以下、複数の実施例の中で、上述の構成及び動作を基本とする、幾つかの具体的な動作例、応用技術、変形技術等を説明する。本実施形態にて上述した事項は、特に記述無き限り且つ矛盾無き限り、以下の各実施例に適用される。各実施例において、上述の事項と矛盾する事項がある場合には、各実施例での記載が優先されて良い。また矛盾無き限り、以下に示す複数の実施例の内、任意の実施例に記載した事項を、他の任意の実施例に適用することもできる(即ち複数の実施例の内の任意の2以上の実施例を組み合わせることも可能である)。
【0108】
<<第1実施例>>
第1実施例を説明する。
図12は、第1実施例に係り、第1又は第2歩道進入動作の検出に関わる車載システムSYSの動作フローチャートである。車載システムSYSが起動すると、上述のサイクリック記録処理により各時刻のCAN情報が内部メモリ120に順次記録されてゆく。制御部110内の各機能ブロックは内部メモリ120に記録されたCAN情報に基づいて後述のステップS11~S20の各処理を実行できる。
【0109】
まずステップS11において、制御部110によりCAN情報に基づく車両CRの動作解析が行われる。続くステップS12にて、当該動作解析の結果により車両CRにおいて進行方向変更動作(右折動作又は左折動作)があったか否かが確認される。進行方向変更動作があったと検出された場合には(ステップS12のY)ステップS13に進み、そうでない場合には(ステップS12のN)ステップS11に戻る。
【0110】
ステップS13では、CAN情報に基づき進行方向変更動作の後において車両CRの停止動作があったか否かが確認される。進行方向変更動作の後において車両CRの停止動作があった場合には(ステップS13のY)ステップS14に進み、そうでない場合には(ステップS13のN)ステップS17に進む。
【0111】
ステップS14において、CAN情報に基づき停止動作の前に特定横断動作(路側帯横断動作又は段差横断動作)があったか否かが確認される。停止動作の前に特定横断動作があったと検出された場合には(ステップS14のY)ステップS15に進み、そうでない場合には(ステップS14のN)ステップS11に戻る。
【0112】
ステップS15において、歩道進入検出部116は、検出された進行方向変更動作、特定横断動作及び停止動作の関係が、上述した第1歩道進入動作に適合するかを判断する。その関係が第1歩道進入動作に適合する場合には(ステップS15のY)ステップS16に進み、そうでない場合には(ステップS15のN)ステップS11に戻る。ステップS16において、一時停止検出部117は第1歩道進入動作があったと検出(判断)する。その後、ステップS11に戻る。
【0113】
ステップS17において、CAN情報に基づき進行方向変更動作の前に発進動作があったか否かが確認される。進行方向変更動作の前に発進動作があったと検出された場合には(ステップS17のY)ステップS18に進み、そうでない場合には(ステップS17のN)ステップS11に戻る。
【0114】
ステップS18において、CAN情報に基づき発進動作の後に特定横断動作(路側帯横断動作又は段差横断動作)があったか否かが確認される。発進動作の後に特定横断動作があったと検出された場合には(ステップS18のY)ステップS19に進み、そうでない場合には(ステップS18のN)ステップS11に戻る。
【0115】
ステップS19において、歩道進入検出部116は、検出された発進動作、特定横断動作及び進行方向変更動作の関係が、上述した第2歩道進入動作に適合するかを判断する。その関係が第2歩道進入動作に適合する場合には(ステップS19のY)ステップS20に進み、そうでない場合には(ステップS19のN)ステップS11に戻る。ステップS20において、一時停止検出部117は第2歩道進入動作があったと検出(判断)する。その後、ステップS11に戻る。
【0116】
<<第2実施例>>
第2実施例を説明する。
図13は、第2実施例に係り、第1又は第2歩道進入動作の検出に関わる車載システムSYSの動作フローチャートである。車載システムSYSが起動すると、上述のサイクリック記録処理により各時刻のCAN情報が内部メモリ120に順次記録されてゆく。制御部110内の各機能ブロックは内部メモリ120に記録されたCAN情報に基づいて後述のステップS11~S23の各処理を実行できる。
図13の動作フローチャートは、
図12の動作フローチャートに対してステップS21~S23の処理が追加されたものであり、ステップS11~S20から或る処理群の内容は第1実施例で述べたものと同じである。但し、第2実施例では、ステップS16の後、及び、ステップS20の後、ステップS21に進む。
【0117】
ステップS21において、一時停止検出部117は、CAN情報(主に車両CRの速度情報)に基づき第1又は第2歩道進入動作にて車両CRが歩道に進入する前に車両CRが一時停止したか否かを検出する。第1又は第2歩道進入動作にて車両CRが歩道に進入する前に車両CRが一時停止したと判断した場合には(ステップS21のY)ステップS22に進み、第1又は第2歩道進入動作にて車両CRが歩道に進入する前に車両CRが一時停止していないと判断した場合には(ステップS21のN)ステップS23に進む。
【0118】
ステップS22において、一時停止検出部117は、一時停止に関わる法令が順守されたと判断し、後述の法令違反処理を行うことなくステップS11への遷移を生じさせる。尚、ステップS22において、一時停止の法令が順守された旨を示す情報を記録媒体130に記録しても良い。
【0119】
ステップS23において、一時停止検出部117は、一時停止に関わる法令が違反されたと判断し、法令違反処理を実行する。法令違反処理では、上述の如く記録対象期間PRCDを設定し、一時停止の法令違反があった旨を示す情報と、記録対象期間PRCDにおけるCAN情報を記録媒体130に記録する。その後、ステップS11に戻る。記録媒体130への記録の対象となるCAN情報は、少なくとも対象動画像のカメラ画像情報を含み、更に車両位置情報及び車載センサ情報を含んでいて良い。
【0120】
第2実施例によれば、一時停止を行うべき歩道進入シーンにおいて一時停止が実際に行われていたかを車載装置10にて検出でき、また、一時停止の法令違反があった場合には、法令違反の様子を記録媒体130に残しておくことができる。
【0121】
<<第3実施例>>
第3実施例を説明する。上述したように、第1及び第2歩道進入動作が行われるシーン以外にも、法令により一時停止が義務付けられるシーンがある。法令により一時停止が義務付けられるシーンの主だったものとして、以下の第1~第6シーンがある。
【0122】
第1シーンは、車両CRの進行方向の前方において、一時停止の道路標識(一時停止をすべきことを指定する道路標識)があるシーンである。
第2シーンは、車両CRの進行方向の前方において、踏切があるシーンである。
第3シーンは、車両CRの進行方向の前方において、信号機が赤信号にて点滅しているシーンである。
第4シーンは、車両CRの進行方向の前方において横断歩道があり、且つ、当該横断歩道に沿って歩行者又は自転車が当該横断歩道を通過しようとしているシーンである。
第5シーンは、車両CRの進行方向の前方において横断歩道があり、且つ、当該横断歩道の手前に停止している他の車両があり、且つ、車両CRが当該他の車両を追い越すシーンである。他の車両とは車両CRとは異なる車両(車道を走行できる自動車等)を指す。
第6シーンは、車両CRが歩道を進入するシーン(歩道進入シーン)である。
【0123】
図14は、車載システムSYSの動作の内、第1~第6シーンの検出に関連する動作のフローチャートである。車載システムSYSが起動すると、上述のサイクリック記録処理により各時刻のCAN情報が内部メモリ120に順次記録されてゆく。制御部110内の各機能ブロックは内部メモリ120に記録されたCAN情報に基づいて後述のステップS31~S44の各処理を実行できる。
【0124】
まずステップS31において、制御部110により地図情報及び車両位置情報に基づく位置解析処理が実行され、その位置解析処理の結果に基づきステップS32及びS33の各分岐処理が実行される。ステップS31の位置解析処理は、一時停止検出部117にて行われても良いし、制御部110内の図示されない解析処理部にて行われても良い。ステップS31の位置解析処理では、地図情報及び車両位置情報に基づき、車両CRの進行方向の前方において車両CRの現在地から見て所定距離範囲内に一時停止の道路標識又は踏切が存在しているかを判定する。その判定が肯定である場合には(ステップS32のY又はステップS33のY)ステップS42に進み、その判定が否定である場合には(ステップS32のN且つステップS33のN)ステップS34に進む。
【0125】
ステップS34において、制御部110によりカメラ画像情報に基づく画像解析処理が実行され、その画像解析処理の結果に基づきステップS35~S39の各分岐処理が実行される。ステップS34の画像解析処理は、一時停止検出部117にて行われても良いし、制御部110内の図示されない解析処理部にて行われても良い。ステップS34の画像解析処理では、カメラ画像情報に基づき、車両CRの進行方向の前方において、一時停止の道路標識、踏切又は赤信号にて点滅している信号機が存在しているかを判定する(この判定を、便宜上、第1判定と称する)。また、ステップS34の画像解析処理では、カメラ画像情報に基づき、車両CRの進行方向の前方において横断歩道があり、且つ、当該横断歩道に沿って歩行者又は自転車が当該横断歩道を通過しようとしているかを判定する(この判定を、便宜上、第2判定と称する)。更に、ステップS34の画像解析処理では、車両CRの進行方向の前方において横断歩道があり且つ当該横断歩道の手前に停止している他の車両があり且つ車両CRが当該他の車両を追い越したかを判定する(この判定を、便宜上、第3判定と称する)。
【0126】
第1~第3判定の何れかが肯定である場合には(ステップS35~S39の何れかにおいてY)ステップS42に進み、第1~第3判定の何れもが否定である場合には(ステップS35~S39の全ておいてN)ステップS40に進む。ステップS34の画像解析処理で参照されるカメラ画像情報は、少なくともフロントカメラのカメラ画像情報を含む。フロントカメラは車両CRの進行方向の前方側に所定の視野を有しているため、フロントカメラのカメラ画像情報に基づく画像解析処理により、第1~第3判定を行うことができる。尚、一時停止の道路標識及び踏切の存否はステップS31の位置解析処理でも検出されるが、地図情報に反映されていない一時停止の道路標識及び踏切も存在すると考えられる。このため、ステップS34でも画像解析処理を利用して、一時停止の道路標識及び踏切の存否を補完的に検出する。
【0127】
ステップS40において歩道進入検出部116により歩道進入解析処理が実行され、歩道進入解析処理の結果に基づきステップS41の分岐処理が実行される。歩道進入解析処理では、上述の方法に基づき、車両CRによる第1又は第2歩道進入動作があったかが検出される。第1又は第2歩道進入動作があったと検出された場合には(ステップ41のY)ステップS42に進み、そうでない場合にはステップS31に戻る。
【0128】
ステップS42において、一時停止検出部117により一時停止検出処理が実行される。一時停止検出処理では、法令により一時停止が義務付けられるシーン(第1~第6シーンの何れか)において法令に従う態様で車両CRが一時停止していたかが判定される。車両CRが法令に従う態様で一時停止していたと判定される場合にはステップS43に進む一方、車両CRが法令に従う態様で一時停止していなかったと判定される場合にはステップS44に進む。
【0129】
ステップS43において、一時停止検出部117は、一時停止に関わる法令が順守されたと判断し、後述の法令違反処理を行うことなくステップS31への遷移を生じさせる。尚、ステップS43において、一時停止の法令が順守された旨を示す情報を記録媒体130に記録しても良い。
【0130】
ステップS44において、一時停止検出部117は、一時停止に関わる法令が違反されたと判断し、法令違反処理を実行する。法令違反処理では、一時停止に関わる法令が違反される前の期間、及び、一時停止に関わる法令が違反された後の期間の内、少なくとも一方を含む記録対象期間PRCDを設定し、一時停止の法令違反があった旨を示す情報と、記録対象期間PRCDにおけるCAN情報を記録媒体130に記録する。記録媒体130への記録の対象となるCAN情報は、少なくとも対象動画像のカメラ画像情報を含み、更に車両位置情報及び車載センサ情報を含んでいて良い。
【0131】
第1~第6シーンの夫々についてステップS42及びS44における具体的な処理方法を説明する。以下の具体的な処理方法は例に過ぎず、上述のステップS42及びS44の処理の主旨を実現できるのであれば、各処理を様々に変更可能である。
【0132】
ステップS31の位置解析処理により、車両CRの進行方向の前方において車両CRの現在地から見て所定距離範囲内に一時停止の道路標識が存在していると判定されたケースCASEA1を考える。ケースCASEA1は上記第1シーンに対応する。ケースCASEA1において、一時停止判定部117は、地図情報及び車両位置情報に基づき一時停止推奨領域RA1を設定する。一時停止推奨領域RA1は、車両CRが走行する車道内の領域であって、車両CRが一時停止の道路標識の横を通過するにあたり車両CRが一時停止すべき位置(二次元の広がりを持つ位置)である。ケースCASEA1において、一時停止判定部117は、一時停止推奨領域RA1内にて車両CRが一時停止をしていたかをCAN情報(特に車両位置情報及び車速情報)に基づいて判定する。そして、その判定が肯定であればステップS43への移行を発生させ、否定であればステップS44への移行を発生させる。ケースCASEA1においてステップS44へ移行したとき、車両CRが一時停止推奨領域RA1内に存在していた時刻を基準に記録対象期間PRCDを設定すれば良く、基準となる時刻と記録対象期間PRCDとの関係は、上述の歩道進入時刻(例えばTIN1)と記録対象期間PRCDとの関係を同じであって良い。
【0133】
ステップS31の位置解析処理により、車両CRの進行方向の前方において車両CRの現在地から見て所定距離範囲内に踏切が存在していると判定されたケースCASEA2を考える。ケースCASEA2は上記第2シーンに対応する。ケースCASEA2において、一時停止判定部117は、地図情報及び車両位置情報に基づき一時停止推奨領域RA2を設定する。一時停止推奨領域RA2は、踏切の手前に設定される領域であって、車両CRが踏切を通過するにあたり車両CRが一時停止すべき位置(二次元の広がりを持つ位置)である。ケースCASEA2において、一時停止判定部117は、一時停止推奨領域RA2内にて車両CRが一時停止をしていたかをCAN情報(特に車両位置情報及び車速情報)に基づいて判定する。そして、その判定が肯定であればステップS43への移行を発生させ、否定であればステップS44への移行を発生させる。ケースCASEA2においてステップS44へ移行したとき、車両CRが一時停止推奨領域RA2内に存在していた時刻を基準に記録対象期間PRCDを設定すれば良く、基準となる時刻と記録対象期間PRCDとの関係は、上述の歩道進入時刻(例えばTIN1)と記録対象期間PRCDとの関係を同じであって良い。
【0134】
ステップS34の画像解析処理により、車両CRの進行方向の前方において一時停止の道路標識が存在していると判定されたケースCASEB1を考える。ケースCASEB1は上記第1シーンに対応する。ケースCASEB1において、一時停止判定部117は、車両CRが一時停止の道路標識の横を通過するにあたり車両CRが一時停止すべき位置(二次元の広がりを持つ位置)にて、車両CRが一時停止をしていたかをCAN情報(特にフロントカメラのカメラ画像情報及び車速情報)に基づいて判定する。そして、その判定が肯定であればステップS43への移行を発生させ、否定であればステップS44への移行を発生させる。
【0135】
ステップS34の画像解析処理により、車両CRの進行方向の前方において踏切が存在していると判定されたケースCASEB2を考える。ケースCASEB2は上記第2シーンに対応する。ケースCASEB2において、一時停止判定部117は、車両CRが踏切の横を通過するにあたり車両CRが一時停止すべき位置(二次元の広がりを持つ位置)にて、車両CRが一時停止をしていたかをCAN情報(特にフロントカメラのカメラ画像情報及び車速情報)に基づいて判定する。そして、その判定が肯定であればステップS43への移行を発生させ、否定であればステップS44への移行を発生させる。
【0136】
ステップS34の画像解析処理により、車両CRの進行方向の前方において赤信号にて点滅している信号機(以下、赤点滅信号機と称する)が存在していると判定されたケースCASEB3を考える。ケースCASEB3は上記第3シーンに対応する。ケースCASEB3において、一時停止判定部117は、赤点滅信号機に従い車両CRが一時停止すべき位置(二次元の広がりを持つ位置)にて、車両CRが一時停止をしていたかをCAN情報(特にフロントカメラのカメラ画像情報及び車速情報)に基づいて判定する。そして、その判定が肯定であればステップS43への移行を発生させ、否定であればステップS44への移行を発生させる。
【0137】
ステップS34の画像解析処理により、車両CRの進行方向の前方において横断歩道があり、且つ、当該横断歩道に沿って歩行者又は自転車が当該横断歩道を通過しようとしていると判定されたケースCASEB4を考える。ケースCASEB4は上記第4シーンに対応する。ケースCASEB4に係る第4シーンにおいて、一時停止判定部117は、車両CRが一時停止すべき位置(二次元の広がりを持つ位置)にて車両CRが一時停止をしていたかをCAN情報(特にフロントカメラのカメラ画像情報及び車速情報)に基づいて判定する。そして、その判定が肯定であればステップS43への移行を発生させ、否定であればステップS44への移行を発生させる。
【0138】
ステップS34の画像解析処理により、車両CRの進行方向の前方において横断歩道があり且つ当該横断歩道の手前に停止している他の車両があり且つ車両CRが当該他の車両を追い越したと判定されたケースCASEB5を考える。ケースCASEB5は上記第5シーンに対応する。ケースCASEB5に係る第5シーンにおいて、一時停止判定部117は、車両CRが一時停止すべき位置(二次元の広がりを持つ位置)にて車両CRが一時停止をしていたかをCAN情報(特にフロントカメラのカメラ画像情報及び車速情報)に基づいて判定する。そして、その判定が肯定であればステップS43への移行を発生させ、否定であればステップS44への移行を発生させる。
【0139】
ケースCASEB1~CASEB5の何れかにおいてステップS44へ移行したとき、法令に従い車両CRが一時停止すべき位置に存在していた時刻を基準に記録対象期間PRCDを設定すれば良く、基準となる時刻と記録対象期間PRCDとの関係は、上述の歩道進入時刻(例えばTIN1)と記録対象期間PRCDとの関係を同じであって良い。
【0140】
ステップS40の歩道進入解析処理により、車両CRにて第1歩道進入動作があったと判定されるケースCASE
C1及び車両CRにて第2歩道進入動作があったと判定されるケースCASE
C2は、上記第6シーン(歩道進入シーン)に対応する。第1又は第2歩道進入動作の有無の検出方法は既に詳説した通りであり、第1又は第2歩道進入動作について一時停止の法令違反が生じた場合にステップS44にて実行される法令違反処理は、
図13のステップS23での法令違反処理と同じである。
【0141】
ここで、上記第6シーン(歩道進入シーン)に対応する他のシーンとして
図15のシーンを考える。
図15のシーンでは、所謂T字路を形成する1つの車道630上を車両CRが所定の向きに直進し、車両CRの走行の向きを所定の向きから変えることなく車両CRが当該車道630から飛び出して歩道640上に移動し、更に車両CRが歩道640を横断してスペース650に至る。スペース650は停車可能スペースであって良い。上記所定の向きに沿って、車道630及びスペース650間に歩道640が挟まれる態様で、車道630、歩道640及びスペース650が互いに隣接する。例えば、車道630は公道であって、スペース650は会社等の施設内の私道又は駐車場である。
【0142】
図15のシーンでは、左折運動又は右折運動を伴わずに車両CRが歩道に進入するため第1及び第2歩道進入動作に該当しない。
図15のシーンにおける車両CRの走行により車両CRが歩道に進入する動作を第3歩道進入動作と称する。ステップS40の歩道進入解析処理において第3歩道進入動作の有無も検出するようにしても良い。
【0143】
具体的には例えば、ステップS40の歩道進入解析処理において、歩道進入検出部116は、地図情報及び車両位置情報に基づき、車両CRの走行に伴い車両CRが車道(ここでは車道630)から歩道(ここでは歩道640)への進み出たかを判定し、その判定が肯定である場合には第3歩道進入動作があったと判定してステップS42への移行を発生させれば良い。第3歩道進入動作があったと判定されたケースCASE
C3において、一時停止判定部117は、地図情報及び車両位置情報に基づき一時停止推奨領域R
C3を設定する。一時停止推奨領域R
C3は、車両CRが車道から歩道に進入するにあたり車両CRが一時停止すべき位置(二次元の広がりを持つ位置)であり、
図15の例では、車両CRの走行経路上において車両CRが歩道640上に進入する直前の位置に相当する。ケースCASE
C3において、一時停止判定部117は、一時停止推奨領域R
C3内にて車両CRが一時停止をしていたかをCAN情報(特に車両位置情報及び車速情報)に基づいて判定する。そして、その判定が肯定であればステップS43への移行を発生させ、否定であればステップS44への移行を発生させる。ケースCASE
C3においてステップS44へ移行したとき、車両CRが一時停止推奨領域R
C3内に存在していた時刻を基準に記録対象期間P
RCDを設定すれば良く、基準となる時刻と記録対象期間P
RCDとの関係は、上述の歩道進入時刻(例えばT
IN1)と記録対象期間P
RCDとの関係を同じであって良い。
【0144】
図16のシーンは
図15のシーンとは逆のシーンである。
図16のシーンも上記第6シーン(歩道進入シーン)に対応する。
図16のシーンでは、車両CRがスペース650上を所定の向き(
図15のシーンにおける向きとは逆向き)に直進し、車両CRの走行の向きを所定の向きから変えることなく車両CRがスペース650から歩道640に進入し、更に歩道640を横断して車道630に進み出る。
【0145】
図16のシーンも、左折運動又は右折運動を伴わずに車両CRが歩道に進入するため第1及び第2歩道進入動作に該当しない。
図16のシーンにおける車両CRの走行により車両CRが歩道に進入する動作を第4歩道進入動作と称する。ステップS40の歩道進入解析処理において第4歩道進入動作の有無も検出するようにしても良い。
【0146】
具体的には例えば、ステップS40の歩道進入解析処理において、歩道進入検出部116は、地図情報及び車両位置情報に基づき、車両CRの走行に伴い車両CRが歩道以外の場所(ここではスペース650)から歩道(例えば歩道640)への進み出たかを判定し、その判定が肯定である場合には第4歩道進入動作があったと判定してステップS42への移行を発生させれば良い。第4歩道進入動作があったと判定されたケースCASE
C4において、一時停止判定部117は、地図情報及び車両位置情報に基づき一時停止推奨領域R
C4を設定する。一時停止推奨領域R
C4は、車両CRが歩道以外の場所から歩道に進入するにあたり車両CRが一時停止すべき位置(二次元の広がりを持つ位置)であり、
図16の例では、車両CRの走行経路上において車両CRが歩道640上に進入する直前の位置に相当する。ケースCASE
C4において、一時停止判定部117は、一時停止推奨領域R
C4内にて車両CRが一時停止をしていたかをCAN情報(特に車両位置情報及び車速情報)に基づいて判定する。そして、その判定が肯定であればステップS43への移行を発生させ、否定であればステップS44への移行を発生させる。ケースCASE
C4においてステップS44へ移行したとき、車両CRが一時停止推奨領域R
C4内に存在していた時刻を基準に記録対象期間P
RCDを設定すれば良く、基準となる時刻と記録対象期間P
RCDとの関係は、上述の歩道進入時刻(例えばT
IN1)と記録対象期間P
RCDとの関係を同じであって良い。
【0147】
第3実施例によれば、一時停止を行うべき様々なシーンにおいて一時停止が実際に行われていたかを車載装置10にて検出でき、また、一時停止の法令違反があった場合には、法令違反の様子を記録媒体130に残しておくことができる。
【0148】
<<第4実施例>>
第4実施例を説明する。第4実施例では、上述の事項に関する変形技術や補足事項等を説明する(後述の第5実施例でも同様)。
【0149】
車載装置10は歩道進入検出装置を内包している。歩道進入検出装置は、本実施形態では制御部110により構成され、特に例えば検出部112~116を含んで構成される(
図6参照)。但し、上述した事項と関連するが、検出部113及び114の内、任意の一方の検出部が歩道進入検出装置に含まれないことがあっても良い。内部メモリ120も歩道進入検出装置の構成要素に含まれる、という考え方も採用できる。
【0150】
制御部110に符号111~117にて参照される機能ブロックが備えられていることを想定したが(
図6)、それらの機能ブロックの内、任意の1以上の機能ブロックは制御部110から省略されることがあっても良い。例えば、路側帯横断検出部113及び段差横断検出部114の内、任意の一方の検出部を制御部110から省略しても良い。つまり、制御部110に設けられる横断検出部は、路側帯横断検出部113及び段差横断検出部114の内、少なくとも一方を有するものであって良い。路側帯横断検出部113が省略される場合、第1又は第2歩道進入動作に伴う特定横断動作は段差横断動作のみとなり、段差横断検出部114が省略される場合、第1又は第2歩道進入動作に伴う特定横断動作は路側帯横断動作のみとなる。但し、多くのシーンでの歩道進入動作を検出可能とするべく、路側帯横断検出部113及び段差横断検出部114の双方を設けておくことが好ましい。
【0151】
車載装置10は、車両CRに搭載された任意の装置(例えばドライブレコーダ、ナビゲーション装置)に組み込まれるものであって良い。
【0152】
歩道進入動作の検出結果の利用例として以下のような利用例も考えられる。即ち例えば、車載装置1により歩道進入動作(第1~第4歩道進入動作の何れか)が検出されたとき、その歩道進入動作の過程のCAN情報を、教師データとして、車載装置1とは異なるコンピュータ装置(不図示)に供給する。この際、歩道進入の前に法令順守の態様で一時停止が行われたときのCAN情報を法令順守教師データとして、歩道進入の前に一時停止が行われなかったときのCAN情報を法令違反教師データとして、コンピュータ装置に供給する。そうすると、コンピュータ装置は、法令順守教師データ及び法令違反教師データに基づき、どのようなシーンが法令順守のシーンであるのか、どのようなシーンが法令違反のシーンであるのかを機械学習することができる。
【0153】
また例えば、車両CRが一時停止を行うべき各シーンにおいて一時停止を行った否かを記録媒体130に記録してゆき、その記録内容に基づき、車両CRに関わる自動車保険料を増減させるといった利用例も考えられる。
【0154】
また例えば、車載システムSYSが各々に搭載された複数の車両CRについて、1以上の車両CRが第1又は第3歩道進入動作により特定のスペースに入っていく、又は、1以上の車両CRが第2又は第4歩道進入動作により特定のスペースから出ていく状況を考える。特定のスペースは歩道以外の場所であって、例えば、飲食店の駐車場である。特定のスペースと車道との間に歩道が設置され、第1~第4歩道進入動作の各過程において各車両CRが特定のスペースと車道との間を走行する際、各車両CRは歩道を横切る。このような状況において、各車載装置10は、対応する車両CRが第1又は第3歩道進入動作により特定のスペースに入っていったとき、その旨を示す第1信号を上位システム(不図示)に無線通信にて送信し、対応する車両CRが第2又は第4歩道進入動作により特定のスペースから出ていったとき、その旨を示す第2信号を上位システム(不図示)に無線通信にて送信する。上位システムは、例えば、インターネットを含むネットワークに接続されたサーバ装置(不図示)であって良い。上位システムは第1信号及び第2信号の受信状態に基づき、特定のスペース内に存在している車両CRの台数を認識でき、この結果を、他の任意の車両に送信するといったことが可能である。例えば、特定のスペースが飲食店の駐車場である場合、上位システムは第1信号及び第2信号の受信状態に基づき、当該駐車場が満車状態であるかなどを認識できる(但し、特定のスペースにおける最大駐車台数を上位システムが認識していると仮定)。
【0155】
<<第5実施例>>
第5実施例を説明する。車載装置10にて実現されるものとして上述した機能の一部を、車載装置10とは異なる任意の他の装置で実現するようにしても良い。当該他の装置は、例えば
図17に示す如く、サーバ装置SVであっても良い。サーバ装置SVは、インターネットを含むネットワークに接続される。サーバ装置SVはサーバ制御部SV110を備える。サーバ制御部SV110は、演算処理を行うことで各種の制御機能を実現するCPU(Central Processing Unit)、及び、プログラムや設定パラメータ等を不揮発的に記憶するROM(Read Only Memory)を備える。サーバ制御部SV110において、CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することで、サーバ制御部SV110の各機能が実現されて良い。所謂クラウドコンピューティングを利用してサーバ装置SVが形成されていても良い。
【0156】
図6に示される情報取得部111、右左折検出部112、路側帯横断検出部113、段差横断検出部114、停止/発進検出部115、歩道進入検出部116及び一時停止検出部117の内、任意の一部を車載装置10の制御部110に設け、残部をサーバ制御部SV110に設けておくことができる。
【0157】
例えば、車載装置10の制御部110に情報取得部111を設けておく一方、右左折検出部112、路側帯横断検出部113、段差横断検出部114、停止/発進検出部115、歩道進入検出部116及び一時停止検出部117をサーバ制御部SV110に設けておくといったことができる。この場合、サーバ装置SVが歩道進入検出装置として機能する一方、車載装置10は単にドライブレコーダとして機能して情報取得部111にて取得された情報を内部メモリ120又は記録媒体130に記録する。
【0158】
図17の構成において、車載装置10及びサーバ装置SVは、所定の無線通信回線を通じ、双方向通信が可能とされる。サーバ装置SVは、情報取得部111にて取得された情報を車載装置10からリアルタイムで又は任意のタイミングで取得できる。サーバ装置SVは、情報取得部111にて取得された情報を内部メモリ120又は記録媒体130から読み出すことで取得するようにしても良い。何れにせよ、サーバ制御部SV110において、情報取得部111にて取得された情報に基づき、右左折検出部112、路側帯横断検出部113、段差横断検出部114、停止/発進検出部115、歩道進入検出部116及び一時停止検出部117の各機能を実現すれば良い。
【0159】
本発明に係る任意の装置(例えば歩道進入検出装置又は車載装置)を、便宜上、対象装置と称する。対象装置を、集積回路等のハードウェア、或いは、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって構成することができる。対象装置にて実現される機能の全部又は一部である任意の特定の機能をプログラムとして記述して、該プログラムを対象装置に搭載可能なメモリに保存しておいても良い。そして、該プログラムをプログラム実行装置(例えば、対象装置に搭載可能なマイクロコンピュータ)上で実行することによって、その特定の機能を実現するようにしても良い。上記プログラムは任意の記録媒体に記憶及び固定されうる。上記プログラムを記憶及び固定する記録媒体は対象装置と異なる機器(サーバ機器等)に搭載又は接続されても良い。
【0160】
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。
【符号の説明】
【0161】
SYS 車載システム
10 車載装置
20 カメラ部
30 GPS処理部
40 地図情報取得部
50 車載センサ部
110 制御部
120 内部メモリ
130 記録媒体
140 計時部
111 情報取得部
112 右左折検出部
113 路側帯横断検出部
114 段差横断検出部
115 停止/発進検出部
116 歩道進入検出部
117 一時停止検出部