IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社小松製作所の特許一覧

特許7534936ホイールローダの制御システム、方法、およびホイールローダ
<>
  • 特許-ホイールローダの制御システム、方法、およびホイールローダ 図1
  • 特許-ホイールローダの制御システム、方法、およびホイールローダ 図2
  • 特許-ホイールローダの制御システム、方法、およびホイールローダ 図3
  • 特許-ホイールローダの制御システム、方法、およびホイールローダ 図4
  • 特許-ホイールローダの制御システム、方法、およびホイールローダ 図5
  • 特許-ホイールローダの制御システム、方法、およびホイールローダ 図6
  • 特許-ホイールローダの制御システム、方法、およびホイールローダ 図7
  • 特許-ホイールローダの制御システム、方法、およびホイールローダ 図8
  • 特許-ホイールローダの制御システム、方法、およびホイールローダ 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】ホイールローダの制御システム、方法、およびホイールローダ
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/43 20060101AFI20240807BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20240807BHJP
   G05G 1/04 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
E02F3/43 F
E02F9/26 B
G05G1/04 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020196924
(22)【出願日】2020-11-27
(65)【公開番号】P2022085308
(43)【公開日】2022-06-08
【審査請求日】2023-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 裕明
(72)【発明者】
【氏名】北尾 真一
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06609315(US,B1)
【文献】米国特許第07752778(US,B2)
【文献】米国特許第08500387(US,B2)
【文献】特開平08-189056(JP,A)
【文献】国際公開第2017/126182(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/152994(WO,A1)
【文献】特開平05-247965(JP,A)
【文献】特開2000-105618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20-9/22
E02F 3/42-3/43
E02F 3/84-3/85
E02F 9/26
G05D 1/00-1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業工具と前記作業工具の姿勢を変化させる可動支持部とを含む作業機を有するホイールローダの制御システムであって、
コントローラを備え、
前記コントローラは、
前記作業工具の積荷の有無を判別し、
前記作業工具に積荷がある状態で前記作業工具を下降させる操作を受け付けた場合、前記作業工具の目標姿勢を示す目標作業機姿勢を、前記積荷を抱え込む姿勢に決定し、
前記作業工具に積荷がない状態で前記作業工具を下降させる操作を受け付けた場合、前記作業工具の目標姿勢を示す目標作業機姿勢を、前記作業工具で掘削を行うための掘削姿勢に決定する、
ホイールローダの制御システム。
【請求項2】
前記可動支持部は、さらに前記作業工具の位置を変化させ、
前記目標作業機姿勢は、前記作業工具の目標姿勢と前記作業工具の目標位置とを示す
請求項1に記載のホイールローダの制御システム。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記目標作業機姿勢となるように前記可動支持部を制御する指令を出力する、
請求項1または2に記載のホイールローダの制御システム。
【請求項4】
前記作業工具はバケットであり、
前記コントローラは、前記バケット内の前記積荷の有無を判別する
請求項1から3のいずれか1項に記載のホイールローダの制御システム。
【請求項5】
前記可動支持部を操作するための操作部を備え、
前記コントローラは、前記操作部に対して所定の操作がなされた場合に、前記目標作業機姿勢を決定する、
請求項1から4のいずれか1項に記載のホイールローダの制御システム。
【請求項6】
前記操作部は、傾動状態の保持機能を有する操作レバーであり、
前記所定の操作は、前記操作レバーを傾動状態に保持させる操作である、
請求項5に記載のホイールローダの制御システム。
【請求項7】
作業工具と前記作業工具の姿勢を変化させる可動支持部とを含む作業機を有するホイールローダを制御するためにコントローラによって実行される方法であって、
前記作業工具の積荷の有無を判別するステップと、
前記作業工具に積荷がある状態で前記作業工具を下降させる操作を受け付けた場合、前記作業工具の目標姿勢を示す目標作業機姿勢を、前記積荷を抱え込む姿勢に決定するステップと、
前記作業工具に積荷がない状態で前記作業工具を下降させる操作を受け付けた場合、前記作業工具の目標姿勢を示す目標作業機姿勢を、前記作業工具で掘削を行うための掘削姿勢に決定するステップと、
を備える方法。
【請求項8】
前記可動支持部は、さらに前記作業工具の位置を変化させ、
前記目標作業機姿勢は、前記作業工具の目標姿勢と前記作業工具の目標位置とを示す
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記目標作業機姿勢となるように前記可動支持部を制御する指令を出力するステップをさらに含む、
請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
作業工具と前記作業工具の姿勢を変化させる可動支持部とを有する作業機と、
前記可動支持部を操作するための操作部と、
コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記作業工具の積荷の有無を判別し、
前記作業工具に積荷がある状態で前記作業工具を下降させる操作を受け付けた場合、前記作業工具の目標姿勢を示す目標作業機姿勢を、前記積荷を抱え込む姿勢に決定し、
前記作業工具に積荷がない状態で前記作業工具を下降させる操作を受け付けた場合、前記作業工具の目標姿勢を示す目標作業機姿勢を、前記作業工具で掘削を行うための掘削姿勢に決定する、
前記目標作業機姿勢となるように前記可動支持部を制御する指令を出力する、
ホイールローダ。
【請求項11】
前記可動支持部は、さらに前記作業工具の位置を変化させ、
前記目標作業機姿勢は、前記作業工具の目標姿勢と前記作業工具の目標位置とを示す
請求項10に記載のホイールローダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイールローダの制御システム、方法、およびホイールローダに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、操作レバーを傾動させることで操作レバーの傾動量に応じた制御信号を発生するレバー式信号発生装置が開示されている。また、このレバー式信号発生装置は、操作レバーがストロークエンドに達した場合、傾動させた状態で操作レバーを保持するとともに、所定のセンサ等からの信号に応じて傾動状態を中立状態に復帰させる機能を有している。このため、このレバー式信号発生装置によれば、操作レバーがストロークエンドに達した後においてはオペレータが操作レバーから手を離しても当該操作レバーの傾動量および傾動方向に応じた制御信号が継続的に出力される。このため、例えば、このレバー式信号発生装置によってホイールローダの作業機を操作する場合、ホイールローダを走行させながら作業機を上昇させる等といった複数の異なる操作を同時に行うときにオペレータはホイールローダの走行操作に集中できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-105618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、特許文献1に記載されているレバー式信号発生装置によれば、傾動状態が保持されるまで操作レバーを傾ければ、その後手を離しても、例えばバケット等の作業工具を所定の高さまで移動させて自動的に停止させることができる。
【0005】
ところで、ある特定の作業サイクルによれば、ホイールローダは、バケット等の作業工具で土砂等の掘削対象を掘削した後、掘削物を掬い取った作業工具を上昇させて運搬車両等に積み込む。その後、作業工具を下降させかつ掘削姿勢とし、再び掘削対象の掘削と掘削物の掬い上げが行われる。このような作業サイクルにおいて、例えば、作業工具を下降させる操作に応じて、作業工具の姿勢を掘削姿勢へと自動的に変化させることができれば操作を省力化することができる。しかしながら、上昇している作業工具を下降させる操作は、作業工具が空荷状態の場合に限られず、積荷状態の場合に行われることもある。積荷状態の場合に、作業工具の姿勢を掘削姿勢へと自動的に変化させると、掘削物が不適切にこぼれ落ちることがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、作業工具の姿勢を自動で制御する場合に作業工具の目標姿勢を適切に決定することができるホイールローダの制御システム、方法、およびホイールローダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、作業工具と前記作業工具の姿勢を変化させる可動支持部とを含む作業機を有する積込機械の制御システムであって、コントローラを備える。コントローラは、以下の処理を行うようにプログラムされている。コントローラは、作業工具の積荷の有無を判別する。コントローラは、積荷の有無の判別結果に基づいて作業工具の目標姿勢を示す目標作業機姿勢を決定する。
【0008】
本発明の二態様は、作業工具と前記作業工具の姿勢を変化させる可動支持部とを含む作業機を有する積込機械を制御するためにコントローラによって実行される方法であって、以下のステップを備える。第1のステップは、作業工具の積荷の有無を判別することである。第2のステップは、積荷の有無の判別結果に基づいて作業工具の目標姿勢を示す目標作業機姿勢を決定することである。
【0009】
本発明の三態様は、作業車両であって、作業工具と前記作業工具の姿勢を変化させる可動支持部とを有する作業機と、前記可動支持部を操作するための操作部と、コントローラと、を備える。コントローラは、以下の処理を実行するようにプログラムされている。コントローラは、前記作業工具の積荷の有無を判別する。コントローラは、操作部に対して所定の操作がなされた場合に、積荷の有無の判別結果に基づいて前記作業工具の目標姿勢を示す目標作業機姿勢を決定する。コントローラは、目標作業機姿勢となるように可動支持部を制御する指令を出力する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、作業工具の姿勢を自動で制御する場合に作業工具の目標姿勢を適切に決定することができるホイールローダの制御システム、方法、およびホイールローダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る積込機械を示す側面図である。
図2】実施形態に係る積込機械の動作例を示す側面図である。
図3】実施形態に係る積込機械の他の動作例を示す側面図である。
図4】実施形態に係る積込機械の他の動作例を示す側面図である。
図5】実施形態に係る積込機械の制御システムの構成例を示すブロック図である。
図6】実施形態に係るブーム操作装置の構成例を示す斜視図である。
図7】実施形態に係るコントローラの構成を示す概略ブロック図である。
図8】実施形態に係る積込機械の動作例を示す模式図である。
図9】実施形態に係るコントローラの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本開示に係る実施形態について説明する。なお、各図において同一または対応する構成には同一の符号を用いて説明を適宜省略する。
【0013】
本実施形態においては、積込機械1にローカル座標系を設定し、ローカル座標系を参照しながら各部の位置関係について説明する。ローカル座標系において、積込機械1の左右方向(車幅方向)に延伸する第1軸をX軸とし、積込機械1の前後方向に延伸する第2軸をY軸とし、積込機械1の上下方向に延伸する第3軸をZ軸とする。X軸とY軸とは直交する。Y軸とZ軸とは直交する。Z軸とX軸とは直交する。+X方向は右方向であり、-X方向は左方向である。+Y方向は前方向であり、-Y方向は後方向である。+Z方向は上方向であり、-Z方向は下方向である。
【0014】
[積込機械の概要]
図1は、実施形態に係る積込機械1を示す側面図である。実施形態に係る積込機械1は、例えばホイールローダである。以下の説明において、積込機械1を適宜、ホイールローダ1、と称する。
【0015】
図1に示すように、ホイールローダ1は、車体2と、キャブ3と、走行機構4と、作業機10とを有する。ホイールローダ1は、走行機構4により、作業現場を走行する。ホイールローダ1は、作業現場において、作業機10を用いて作業を実施する。ホイールローダ1は、作業機10を用いて、掘削作業、積込作業、運搬作業、及び除雪作業等の作業を実施することができる。
【0016】
キャブ3は、車体2に支持される。キャブ3の内部には、オペレータが着座する運転席31と、後述する操作装置32と入力表示部34とが配置される。
【0017】
走行機構4は、回転可能な車輪5を有する。車輪5は、車体2を支持する。ホイールローダ1は、走行機構4によって路面RSを走行可能である。なお、図1では、左側の前輪5F及び後輪5Rのみが図示されている。
【0018】
作業機10は、車体2に支持される。作業機10は、作業工具の一例としてのバケット12と、バケット12の位置と姿勢を変化させる可動支持部17とから構成されている。図1に示す例では、可動支持部17は、ブーム11と、1対のブームシリンダ13と、バケットシリンダ14と、ベルクランク15と、リンク16とを備える。
【0019】
ブーム11は、車体2に対して回動可能に支持され、ブームシリンダ13の伸縮に応じて図1図4に示すように上下方向に移動する。ブームシリンダ13は、ブーム11を移動させるための動力を発生するアクチュエータであり、一端部は車体2に連結され、他端部はブーム11に連結される。オペレータがブーム操作装置33を操作するとブームシリンダ13が伸縮する。これにより、ブーム11は上下方向に移動する。ブームシリンダ13は、例えば油圧シリンダである。
【0020】
バケット12は、刃先12Tを有し、土砂等の掘削対象物の掘削や、積み込みを行うための作業工具である。バケット12は、ブーム11に対して回動可能に連結されるとともに、リンク16の一端部に対して回動可能に連結されている。リンク16の他端部は、ベルクランク15の一端部に回動可能に連結されている。ベルクランク15は、中央部がブーム11に回動可能に連結され、他端部がバケットシリンダ14の一端部に回動可能に連結されている。バケットシリンダ14の他端部は車体2に回動可能に連結されている。バケット12は、バケットシリンダ14が発生する動力によって作動する。バケットシリンダ14は、バケット12を移動するための動力を発生するアクチュエータである。オペレータが所定の作業機レバーを操作するとバケットシリンダ14が伸縮する。これにより、バケット12は揺動する。バケットシリンダ14は、例えば油圧シリンダである。刃先12Tは、山刃、平刃等の形状を有し、交換可能にバケット12の端部に取り付けられている。
【0021】
なお、本実施形態では、図2に示すように刃先12Tが下を向いているバケット12の姿勢を、ダンプ姿勢という。ダンプ姿勢は、例えば、バケット12内の掘削物を運搬車両等に積み込むことができる姿勢である。また、図3に示すように刃先12Tが路面RSと水平方向(ほぼ水平方向を含む)を向いているバケット12の姿勢を、掘削姿勢(あるいは掘削時の走行姿勢)という。掘削姿勢は、例えば、土砂等の掘削対象物の掘削を開始するときや掘削対象物に向かって走行するときの姿勢(あるいは掘削を開始するときや走行するときに適した姿勢)である。また、図4に示すように刃先12Tが上を向いているバケット12の姿勢を、抱え込み姿勢(チルト姿勢)という。抱え込み姿勢は、例えば、掘削物をバケット12内に保持することができる姿勢である。ホイールローダ1は、例えば、バケット12を掘削姿勢(あるいは掘削姿勢から刃先12Tが路面RSより低くなる姿勢)とし、前方方向へ走行することで前方に位置する掘削対象物の掘削を開始する。なお、ホイールローダ1では、掘削姿勢は、刃先方向が路面RSと実質的に水平であるということから水平姿勢と呼ぶこともできる。
【0022】
[制御システムの構成]
図5は、実施形態に係るホイールローダ1の制御システムの構成例を示すブロック図である。図5に示すように、ホイールローダ1は、動力源201と、PTO(Power Take Off)202と、油圧ポンプ203と、制御弁200と、操作装置32と、入力表示部34と、コントローラ100とを備える。
【0023】
動力源201は、積込機械を作動させるための駆動力を発生する。動力源として、内燃機関や電動機が例示される。
【0024】
PTO202は、動力源201の駆動力の少なくとも一部を油圧ポンプ203に伝達する。PTO202は、動力源201の駆動力を走行機構4と油圧ポンプ203とに分配する。
【0025】
油圧ポンプ203は、動力源201によって駆動され、作動油を吐出する。油圧ポンプ203から吐出された作動油の少なくとも一部は、制御弁200を介して、ブームシリンダ13及びバケットシリンダ14のそれぞれに供給される。制御弁200は、油圧ポンプ203からブームシリンダ13及びバケットシリンダ14のそれぞれに供給される作動油の流量及び方向を制御する。作業機10は、油圧ポンプ203からの作動油により動作する。
【0026】
操作装置32は、キャブ3の内部に配置される。操作装置32は、オペレータにより操作される。オペレータは、操作装置32を操作して、ホイールローダ1の進行方向と走行速度の調整、前進または後進の切替え、および作業機10の操作を実施する。操作装置32は、例えば、ステアリング、シフトレバー、アクセルペダル、ブレーキペダル、および作業機10のブーム11を操作するためのブーム操作装置33を含む。入力表示部34は、入力装置と表示装置の組み合わせ、タッチパネル等の入力表示装置等から構成される。オペレータは、入力表示部34を用いて、例えば後述する作業機10の制御における目標位置や目標姿勢の記憶値を設定する。
【0027】
図6は、実施形態に係るブーム操作装置33を示す構成図である。図6に示すように、ブーム操作装置33は、中立位置に対して傾動操作が可能な操作レバー33Lを備える。ブーム操作装置33は、例えば、特許文献1に記載されているレバー式信号発生装置であり、操作レバー33Lを備え、操作レバー33Lを傾動位置33dで保持する保持機構を有する。傾動位置33dは、例えば操作レバー33Lがストロークエンドに達した位置である。
【0028】
ブーム操作装置33は、操作レバー33Lの傾動方向と傾動量に応じた制御信号を出力する。また、ブーム操作装置33は、操作レバー33Lが保持機構によって傾動位置33dで保持された場合にその旨を示す所定の操作パターン信号を出力する。なお、本実施形態では、操作レバー33Lが傾動位置33dで保持された状態を傾動保持状態という。
【0029】
ブーム操作装置33は、復帰指示信号が入力された場合、操作レバー33Lを傾動保持状態から中立状態に復帰させる。復帰指示信号は、例えば後述するブーム11の角度やベルクランク15の角度が所定の角度に到達したことや、後述するブームシリンダ13やバケットシリンダ14が所定の長さに到達したことを示す信号である。
【0030】
なお、ブーム操作装置33は、例えば操作レバーを傾動位置33dで保持する保持機能を有しない操作レバーであってもよい。操作レバーをストロークエンドまで傾ける操作がなされた場合を、操作レバー33Lを傾動位置33dで保持された状態にさせる操作(傾動保持操作)が行われた場合としてもよい。この場合、このオペレータの手が操作レバーから離れると操作レバーは中立状態に復帰するが、作業機10の位置や姿勢が所定の状態となるまで傾動保持状態が継続しているとして所定の操作パターン信号を出力することができる。あるいは、操作装置32にブーム下げ保持操作に対応する押しボタン等の所定の操作子を設けてもよい。その押しボタン等を押す操作がなされた場合、傾動保持操作が行われた場合としてもよい。
【0031】
また、ホイールローダ1は、作業機負荷センサ71と、ブーム角センサ72と、バケット角センサ73とを有する。
【0032】
作業機負荷センサ71は、作業機10にかかる負荷を検出する。作業機負荷センサ71は、例えば、作業機10の少なくとも一部に配置された歪ゲージやロードセル等の荷重測定デバイスである。作業機負荷センサ71により検出された負荷データは、コントローラ100へ出力される。なお、作業機10にかかる負荷は、例えば、ブームシリンダ13を駆動させる圧油の圧力を検出する油圧センサ又はバケットシリンダ14を駆動させる圧油の圧力を検出する油圧センサを用いて検出してもよい。この場合、掘削物がバケット12に保持されている状態と保持されていない状態とで、作業機10に掛かる負荷が変化する。作業機負荷センサ71は、作業機10に掛かる負荷の変化を検出することによって、バケット12内に保持された掘削物の有無を検出することができる。
【0033】
ブーム角センサ72は、車体2に対するブーム11の角度を検出し、検出データをコントローラ100へ出力する。ブーム角センサ72は、例えば、車体2とブーム11との連結部に配置される角度センサである。なお、ブーム11の角度は、ブームシリンダ13のストローク量から算出してもよい。
【0034】
バケット角センサ73は、バケット12の角度を検出するためのセンサである。バケット角センサ73は、例えば、ブーム11とベルクランク15との連結部に配置される角度センサである。バケット角センサ73は、ブーム11に対するベルクランク15の角度を検出し、検出データをコントローラ100へ出力する。ブーム角センサ72が検出した車体2に対するブーム11の角度と、バケット角センサ73が検出したブーム11に対するベルクランク15の角度とに基づいて、ブーム11(および車体2)に対するバケット12の角度を算出することができる。なお、ブーム11に対するバケット12の角度は、例えば、バケット12とブーム11との連結部において、ブーム11に対するバケット12の角度を検出するセンサを用いて検出してもよい。また、ブーム11に対するベルクランク15の角度やブーム11に対するバケット12の角度は、ブームシリンダ13のストローク量とバケットシリンダ14のストローク量から算出してもよい。
【0035】
[コントローラの構成]
図7は、実施形態に係るホイールローダ1のコントローラ100を示す構成図である。コントローラ100は、例えば、プロセッサ、主記憶装置、補助記憶装置、入出力装置等を有するFPGA(Field Programmable Gate Array)やマイクロコンピュータを用いて構成される。コントローラ100は、ハードウェアまたはハードウェアとプログラム等のソフトウェアの組み合わせから構成される機能的構成として、操作信号検出部101と、ブーム角取得部102と、バケット積荷状態推定部103と、バケット角取得部104と、記憶部105と、目標ブーム角決定部106と、目標バケット角決定部107と、ブームシリンダ制御部108と、バケットシリンダ制御部109とを備える。また、目標ブーム角決定部106と、目標バケット角決定部107が、決定部110を構成する。また、ブームシリンダ制御部108と、バケットシリンダ制御部109が、制御部111を構成する。
【0036】
本実施形態のコントローラ100は、バケット12とバケット12の位置と姿勢を変化させる可動支持部17とを有する作業機10を制御する装置である。そして、コントローラ100は、バケット12内の積荷の有無を判別するバケット積荷状態推定部103(判別部)と、積荷の有無の判別結果に基づいてバケット12の制御における目標位置と目標姿勢を示す目標作業機姿勢を決定する決定部110とを備える。また、コントローラ100は、目標作業機姿勢となるように作業機10を制御する制御部111を備える。
【0037】
なお、図7は、コントローラ100が有する複数の機能のうち、操作装置32(操作部)が有するブーム操作装置33の操作に応じた制御に対応する構成のみを示している。また、後述するコントローラ100の動作例では、ブーム操作装置33の操作に応じた制御のうち、図6に示すブーム操作装置33を前方方向へ傾動保持状態(操作レバー33Lが傾動位置33dで保持された状態)にさせる操作(ブーム下げ保持操作という)が行われた場合について説明する。
【0038】
決定部110は、例えば、ブーム操作装置33に対してブーム下げ保持操作が行われた際に、積荷が有る場合、バケット12が抱え込み姿勢となるように目標作業機姿勢を決定し、積荷が無い場合、バケット12が掘削姿勢となるように目標作業機姿勢を決定する。図8は、決定部110による目標作業機姿勢の決定の例を示す。図8(a)は、図1に示す作業機姿勢(ただし積荷状態(積荷20がある状態)とする)で、ブーム操作装置33に対してブーム下げ保持操作が行われた場合の、目標作業機姿勢(目標位置と目標姿勢)の決定例を示す。この場合、目標姿勢は抱え込み姿勢であり、目標位置はブーム下げ停止位置であって路面RSから高さH(例えばバケット12の最低高さ)の位置である。また、図8(b)は、図2に示す作業機姿勢(空荷状態(積荷20がない状態))で、ブーム下げ保持操作が行われた場合の、目標作業機姿勢(目標位置と目標姿勢)の決定例を示す。この場合、目標姿勢は掘削姿勢であり、目標位置は路面RSから高さH(例えばバケット12の最低高さ)のブーム下げ停止位置である。
【0039】
制御部111は、ブーム操作装置33の手動の操作に応じて作業機10を制御するとともに、ブーム下げ保持操作が行われた場合、決定部110が決定した目標作業機姿勢となるように作業機10を制御する。ブーム下げ保持操作が行われた場合、制御部111は、目標作業機姿勢となるように、例えば、ブームシリンダ13の長さであるブームシリンダ長と、バケットシリンダ14の長さであるバケットシリンダ長を制御する。図7に示す例では、制御部111は、現在の作業機姿勢が目標作業機姿勢となるように、制御弁200に対して所定の制御信号(ブームシリンダ指令という)を出力することでブームシリンダ長を制御するとともに、制御弁200に対して所定の制御信号(バケットシリンダ指令という)を出力することでバケットシリンダ長を制御する。
【0040】
操作信号検出部101は、操作装置32内のブーム操作装置33の操作信号を受信し、ブーム下げ保持操作が行われた場合、ブーム下げ保持操作が行われたことを示す信号を出力する。操作信号検出部101は、ブーム下げ保持操作が行われたことを示す信号の出力を、例えば、傾動状態が保持されている間、継続的に行ってもよいし、傾動状態の開始或いは終了のタイミングで行ってもよい。
【0041】
ブーム角取得部102は、ブーム角センサ72が検出したデータを受信し、現在のブーム角を取得する。ブーム角取得部102は、取得した現在のブーム角データをブームシリンダ制御部108へ出力する。現在のブーム角データは、例えば、現在のブームシリンダ長を示すデータであってもよい。
【0042】
バケット積荷状態推定部103は、作業機負荷センサ71からの信号とブーム角センサ72とからの信号を受信し、作業機負荷を推定する。さらに、バケット積荷状態推定部103は、推定した作業機負荷と所定の閾値とを比較し、作業機負荷がその閾値を超える場合に積荷が有ると判別し、超えない場合に積荷が無いと判別する。そして、バケット積荷状態推定部103は、目標バケット角決定部107に対して判別結果を出力する。
【0043】
バケット角取得部104は、ブーム角センサ72が検出したデータとバケット角センサ73が検出したデータとを受信し、現在のバケット角を取得する。バケット角取得部104は、取得した現在のバケット角データをバケットシリンダ制御部109へ出力する。現在のバケット角データは、例えば、現在のバケットシリンダ長を示すデータであってもよい。
【0044】
記憶部105は、入力表示部34を用いて設定された積荷が有る場合と積荷が無い場合の目標作業機姿勢(目標位置と目標姿勢)の各設定値や初期値等を記憶値として記憶する。目標位置の記憶値は例えば路面RSからの高さを示す数値(ブーム下げ停止位置等)とすることができる。また、目標姿勢の記憶値は例えば、掘削姿勢、抱え込み姿勢、ダンプ姿勢等の姿勢を示す識別符号としたり、刃先方向を示す角度情報としたりすることができる。なお、目標位置については、積荷が有る場合と積荷が無い場合で同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0045】
目標ブーム角決定部106は、ブーム下げ保持操作が行われた場合、記憶部105に記憶されている目標位置の記憶値に基づいて、ブーム角の目標値である目標ブーム角を決定し、決定した目標ブーム角データをブームシリンダ制御部108へ出力する。この目標ブーム角は、ブーム下げ保持操作が行われている間にのみ有効な目標値である。なお、下記の動作例では、目標ブーム角決定部106は、ブーム下げ保持操作が行われた場合に、積荷の有無に関わらず、記憶部105に記憶されているブーム下げ停止位置に基づいて目標ブーム角を決定する。目標ブーム角データは、例えば、ブームシリンダ長の目標値である目標ブームシリンダ長を示すデータであってもよい。
【0046】
目標バケット角決定部107は、ブーム下げ保持操作が行われた場合、積荷の有無の判別結果と、記憶部105に記憶されている目標位置の記憶値と目標姿勢の記憶値と、目標ブーム角決定部106で決定された目標ブーム角データとに基づいて、バケット角の目標値である目標バケット角を決定し、決定した目標バケット角データをバケットシリンダ制御部109へ出力する。この目標バケット角は、ブーム下げ保持操作が行われている間にのみ有効な目標値である。目標バケット角データは、例えば、バケットシリンダ長の目標値である目標バケットシリンダ長を示すデータであってもよい。
【0047】
ブームシリンダ制御部108は、ブーム操作装置33に対してブーム下げ保持操作が行われていない場合、手動によるブーム操作装置33の操作に対応するブームシリンダ流量を算出し、制御弁200における流量が目標ブームシリンダ流量となるようにブームシリンダ指令を出力する。また、ブームシリンダ制御部108は、ブーム操作装置33に対してブーム下げ保持操作が行われた場合、ブーム角取得部102が取得した現在のブーム角と目標ブーム角決定部106が決定した目標ブーム角との偏差に基づいて目標ブームシリンダ流量を算出し、目標ブームシリンダ流量に基づいてブームシリンダ指令を出力する。
【0048】
バケットシリンダ制御部109は、ブーム操作装置33に対してブーム下げ保持操作が行われた場合、バケット角取得部104が取得した現在のバケット角と目標バケット角決定部107が決定した目標バケット角との偏差に基づいて目標バケットシリンダ流量を算出し、目標バケットシリンダ流量に基づいてバケットシリンダ指令を出力する。
【0049】
[コントローラの動作例]
図9は、実施形態に係るコントローラ100の動作例を示すフローチャートである。図9に示す処理は、所定の周期で繰り返し実行される。ステップS11では、コントローラ100は、ブーム角センサ72からの信号により現在のブーム角を取得する。
【0050】
ステップS12では、コントローラ100は、ブーム角センサ72からの信号およびバケット角センサ73からの信号により現在のバケット角を取得する。
【0051】
ステップS13では、コントローラ100は、ブーム操作装置33のブーム下げ保持操作が行われたか否かを判定する。コントローラ100は、ブーム操作装置33からのブーム下げ保持操作が行われたことを示す信号により、ブーム下げ保持操作が行われたか否かを判定する。コントローラ100は、ブーム下げ保持操作が行われていないと判定した場合(ステップS13で「No」の場合)、ステップS14において、現在のブーム操作装置33の操作量に対応するブームシリンダ指令を制御弁200へ出力する。コントローラ100は、ブーム操作装置33のブーム下げ保持操作が行われたと判定した場合(ステップS13で「Yes」の場合)、処理はステップS16に進む。
【0052】
ステップS16では、コントローラ100は、記憶値に基づいて目標ブーム停止位置を決定する。
【0053】
ステップS17では、コントローラ100は、バケット12の積荷の有無を判定する。コントローラ100は、作業機負荷センサ71からの信号とブーム角センサ72からの信号とにより、バケット12の積荷の有無を判定する。バケット12が積荷状態ではないと判定した場合(ステップS17で「No」の場合)、ステップS18において、コントローラ100は、記憶値(積荷が無い場合の目標姿勢)とステップS16で決定された目標ブーム停止位置とに基づいて、目標バケット停止位置Aを決定する。ここで、目標バケット停止位置Aは、積荷20が無い場合(掘削姿勢の場合)のバケット12の停止位置(例えば刃先12Tの停止位置)の目標値に対応する。
【0054】
一方、バケット12が積荷状態であると判定した場合(ステップS17で「Yes」の場合)、ステップS19において、コントローラ100は、記憶値(積荷が有る場合の目標姿勢)とステップS16で決定された目標ブーム停止位置とに基づいて、目標バケット停止位置Bを決定する。ここで、目標バケット停止位置Bは、積荷20が有る場合(抱え込み姿勢の場合)のバケット12の停止位置(例えば刃先12Tの停止位置)の目標値に対応する。
【0055】
ステップS20では、コントローラ100は、現在のブーム角とステップS16で決定された目標ブーム停止位置に対応する目標ブーム角とに基づいて、ブームシリンダ指令を出力する。また、コントローラ100は、現在のバケット角と、ステップS18およびステップS19で決定された目標バケット停止位置(AまたはB)のそれぞれに対応する目標バケット角とに基づいて、バケットシリンダ指令を出力する。
【0056】
ステップS21では、コントローラ100は、バケット位置とブーム位置が各目標停止位置に到達したか否かを判定する。バケット位置とブーム位置の少なくとも一方が目標停止位置に到達していない場合(ステップS21で「No」の場合)、ステップS21の判断を再度実行する。一方、バケット位置とブーム位置の両方が各目標停止位置に到達した場合(ステップS21で「Yes」の場合)、コントローラ100は、図9に示す処理を終了する。
【0057】
以上の処理によってコントローラ100は、ブーム操作装置33に対してブーム下げ保持操作が行われた場合、バケット12内の積荷の有無を判別し、判別結果に基づいて適切に目標作業機姿勢を決定することができる。また、コントローラ100は、作業機10の姿勢が目標作業機姿勢となるように、ブームシリンダ13とバケットシリンダ14を協調制御することができる。ここで協調制御とは、ブームを動かしながらバケットを積荷の有無に応じた角度に自動的に動かす制御である。
【0058】
[実施形態の作用・効果]
本実施形態によれば、バケット12の姿勢を自動で制御する場合にバケット12の目標姿勢を適切に決定することができる。
【0059】
なお、本実施形態の背景として、積込機械(作業車両)には、作業機を構成するブームやバケット等を操作するための複数のレバーを備えているため、複数のレバーによる作業機の複合操作が運転者の負担となる場合がある。この対策として、例えば特許文献1に記載されているように、操作レバーに傾動位置で保持する保持機構を取り付け、作業機を定位置まで自動操作する機能(キックアウト)がある。しかしながら、このような背景技術では、バケット内の積荷の有無で作業条件判別ができないため、例えば、頻出回数の多い定常的な作業機姿勢である『掘削姿勢(掘削時の走行姿勢)』と『砂利・土砂等を掘削後にとる姿勢(バケット抱え込み姿勢)』のいずれか一方しか自動操作ができない。そこで、本実施形態では、バケット内の積荷の有無から、次に移行する作業条件の判別を行い、その作業条件に合った定常的な作業機姿勢となるように作業機を制御する。その際、本実施形態では、バケット内の積荷の有無を判別し、判別結果に基づいて目標作業機姿勢を決定し、ブームとバケットを協調制御する。
【0060】
また、本実施形態は、以下の態様を有する。(1)本実施形態のコントローラ100は、バケット12とバケット12の位置と姿勢を変化させる可動支持部17とを有する作業機10を制御する装置であって、バケット12内の積荷の有無を判別するバケット積荷状態推定部(判別部)103と、積荷の有無の判別結果に基づいてバケット12の目標位置と目標姿勢を示す目標作業機姿勢を決定する決定部110とを備える。(2)また、コントローラ100は、目標作業機姿勢となるように作業機10を制御する制御部111をさらに備える。(3)また、決定部110は、積荷20が有る場合、バケット12が抱え込み姿勢となるように目標作業機姿勢を決定し、積荷20が無い場合、バケットが掘削姿勢となるように目標作業機姿勢を決定する。(4)また、決定部110は、可動支持部17を操作するための所定の操作部(ブーム操作装置33や押しボタン等の操作子)に対して所定の操作がなされた場合に、目標作業機姿勢を決定する。(5)また、(4)の操作部は、傾動状態の保持機能を有する操作レバーであり、所定の操作は、操作レバーを傾動状態に保持させる操作とすることができる。
【0061】
また、本実施形態の方法(制御方法)は、バケット12とバケット12の位置と姿勢を変化させる可動支持部17とを有する作業機10を制御する方法であって、バケット12内の積荷の有無を判別するステップ(ステップS17)と、積荷の有無の判別結果に基づいてバケットの目標位置と目標姿勢を示す目標作業機姿勢を決定するステップ(ステップS18~S20)とを含む。
【0062】
[本実施形態の変形例または他の実施形態]
以上、この発明の実施形態について図面を参照して説明してきたが、具体的な構成は上記実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0063】
例えば、ホイールローダ1は、遠隔操作できるものとしてもよい。この場合、コントローラ100の一部または全部と、操作装置32とを、例えば、遠隔操作を行う場所に設けることができる。
【0064】
また、例えば、積込機械(あるいは作業車両)は、ホイールローダに限定されず、作業工具と作業工具の可動支持部とを有する作業機を備える油圧ショベル等の他の積込機械とすることができる。例えば積込機械を油圧ショベルとする場合、例えば土砂等の積み込み作業時に、バケットの位置を変化させるときに、バケットが積荷状態のときにはバケットの位置を変化させながらバケットの姿勢を抱え込み姿勢とし、バケットが空荷状態のときにはバケットの位置を変化させながらバケットの姿勢を掘削姿勢とするように、バケットとアームやブームを協調制御するようにする。
【0065】
また、可動支持部は、バケット12の位置と姿勢を変化させるものに限らず、バケット12の姿勢を変化させるものであってもよい。この場合、目標作業機姿勢は目標姿勢を示すものとして、決定部110は、目標姿勢を示す目標作業機姿勢を決定するものとすることができる。また、作業工具は、バケットに限られない。作業機械は、例えばアタッチメントとしてホイールローダに交換可能に取り付けられるフォーク、ベールグラブ等としてもよい。
【0066】
また、上記実施形態でコンピュータが実行するプログラムの一部または全部は、コンピュータ読取可能な記録媒体や通信回線を介して頒布することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 ホイールローダ(積込機械)、2 車体、3 キャブ、4 走行機構、5 車輪、6 タイヤ、10 作業機、11 ブーム、12 バケット(作業工具)、12T 刃先、13 ブームシリンダ、14 バケットシリンダ、15 ベルクランク、16 リンク、17 可動支持部、100 コントローラ、103 バケット積荷状態推定部(判別部)、110 決定部、111 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9