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特許7534948心肺蘇生法における胸部反動を評価する除細動器
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  • 特許-心肺蘇生法における胸部反動を評価する除細動器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】心肺蘇生法における胸部反動を評価する除細動器
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/39 20060101AFI20240807BHJP
   A61H 31/00 20060101ALI20240807BHJP
   A61N 1/36 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
A61N1/39
A61H31/00
A61N1/36
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020209995
(22)【出願日】2020-12-18
(65)【公開番号】P2021159742
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-11-20
(31)【優先権主張番号】2004936.7
(32)【優先日】2020-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】503338457
【氏名又は名称】ハートサイン テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】アダム ハーヴェイ
(72)【発明者】
【氏名】オリビア マカリスター
(72)【発明者】
【氏名】ディンプナ ドナヒー
(72)【発明者】
【氏名】ジョニー アンダーソン
【審査官】近藤 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-524816(JP,A)
【文献】特表2011-528584(JP,A)
【文献】特表2020-503920(JP,A)
【文献】特表2009-507609(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0169426(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/39
A61N 1/36
A61B 5/053
A61H 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者に対して救助者によって実施される心肺蘇生法(CPR)中に前記対象者の胸部反動を評価し、前記救助者にフィードバックを提供する除細動器であって、
前記対象者の生体信号を測定し、CPRが必要な時期を決定し、CPR開始信号を生成し、CPRを停止する時期を決定し、CPR停止信号を生成するよう構成された生体信号測定システムと、
前記対象者のインピーダンス信号を測定するよう構成されたインピーダンス測定システムと、
前記生体信号測定システムに接続されてCPR開始信号およびCPR停止信号を受信し、前記インピーダンス測定システムに接続されてインピーダンス信号を受信するよう構成されたCPR評価システムであって、以下のステップであって、
(i)CPR開始信号を受信し、第1のフィードバック信号を生成する、
(ii)前記救助者による複数のCPR胸部圧迫中に測定される前記対象者のインピーダンス信号を受信する、
(iii)前記インピーダンス信号を使用して、前記複数のCPR胸部圧迫中の前記対象者の胸部反動を評価する、
(iv)前記対象者の胸部反動を胸部反動閾値と比較する、
(v)前記対象者の胸部反動が前記胸部反動閾値よりも大きい場合、第2のフィードバック信号を生成し、ステップ(vii)に進む、
(vi)前記対象者の胸部反動が前記胸部反動閾値よりも小さい場合、第3のフィードバック信号を生成してステップ(vii)に進む、
(vii)前記CPR停止信号が受信されない場合は、ステップ(ii)に戻る、
(viii)前記CPR停止信号を受信すると、第4のフィードバック信号を生成する、
ステップを実行するよう構成されたCPR評価システムと、
前記CPR評価システムに接続され、前記フィードバック信号を受信して前記者にCPRフィードバックを発するよう構成されたフィードバックユニットと、
を具えることを特徴とする除細動器。
【請求項2】
請求項1に記載の除細動器において、前記CPR評価システムが、前記インピーダンス信号を使用して、少なくともいくつかの前記複数のCPR胸部圧迫の後の前記インピーダンス信号の特性を測定することによって、前記複数のCPR胸部圧迫中の前記対象者の胸部反動を評価することを特徴とする除細動器。
【請求項3】
請求項2に記載の除細動器において、前記CPR評価システムが、インピーダンス信号を使用して、少なくともいくつかの前記複数のCPR胸部圧迫の後の前記インピーダンス信号の振幅を測定することによって、前記複数のCPR胸部圧迫中の前記対象者の胸部反動を評価することを特徴とする除細動器。
【請求項4】
請求項3に記載の除細動器において、前記CPR評価システムが、少なくともいくつかの前記複数のCPR胸部圧迫の後の前記インピーダンス信号の振幅を前記対象者のインピーダンスベースラインと比較することを特徴とする除細動器。
【請求項5】
請求項4に記載の除細動器において、前記CPR評価システムが、CPR胸部圧迫後の前記インピーダンス信号の振幅が前記インピーダンスベースラインの所定の許容範囲内にない場合の不完全な胸部反動、又は、CPR胸部圧迫後の前記インピーダンス信号の振幅が前記インピーダンスベースラインの所定の許容範囲内にある完全な胸部反動のいずれかを判断することを特徴とする除細動器。
【請求項6】
請求項5に記載の除細動器において、前記CPR評価システムが、不完全な胸部反動の割合を判定し、前記不完全な胸部反動の割合を前記胸部反動閾値と比較することによって、前記対象者の胸部反動を前記胸部反動閾値と比較することを特徴とする除細動器。
【請求項7】
請求項6に記載の除細動器において、前記CPR評価システムが、前記不完全な胸部反動の割合が前記胸部反動閾値よりも大きい場合に前記第2のフィードバック信号を生成し、前記不完全な胸部反動の割合が前記胸部反動閾値よりも小さい場合に前記第3のフィードバック信号を生成することを特徴とする除細動器。
【請求項8】
請求項4~7のいずれか一項に記載の除細動器において、前記CPR評価システムが、前記救助者によってCPR胸部圧迫が行われない少なくとも1つの期間中に測定された前記対象者のインピーダンス信号を受信し、前記インピーダンス信号を使用して前記対象者の前記インピーダンスベースラインを確立するよう構成されていることを特徴とする除細動器。
【請求項9】
請求項8に記載の除細動器において、前記CPR評価システムが、前記救助者によるCPR胸部圧迫の前の第1の期間中に測定された前記対象者のインピーダンス信号を受信し、前記インピーダンス信号を使用して第1のインピーダンスベースラインを確立し、前記救助者によるCPR胸部圧迫後の1又はそれ以上の後続期間中に測定された前記対象者のインピーダンス信号を受信し、前記インピーダンス信号を使用して1又はそれ以上の後続のインピーダンスベースラインを確立するよう構成されていることを特徴とする除細動器。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の除細動器において、前記インピーダンス測定システムが、前記対象者の胸部に配置された前記除細動器の電極を介して信号を取得することによって、前記対象者のインピーダンス信号を測定することを特徴とする除細動器。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の除細動器において、前記ステップ(v)から(vii)が、さらに、
(v)前記対象者の胸部反動が前記胸部反動閾値よりも大きい場合、前記第2のフィードバック信号を生成し、ステップ(vii)(a)に進む、
(vi)前記対象者の胸部反動が前記胸部反動閾値よりも小さい場合、前記第3のフィードバック信号を生成し、ステップ(vii)(b)に進む、
(vii)(a)前記CPR停止信号が受信されない場合は、複数のCPR胸部圧迫を待ち、ステップ(ii)に戻る、
(vii)(b)前記CPR停止信号が受信されない場合は、ステップ(ii)に戻る、
ことを含むことを特徴とする除細動器。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の除細動器において、前記ステップ(ii)が、さらに、
(ii)(a)CPRカウンタをxに等しく設定する、
(ii)(b)前記救助者による複数のCPR胸部圧迫中に測定された前記対象者のインピーダンス信号を受信する、
(ii)(c)前記複数のCPR胸部圧迫中に測定された圧迫率を受け取る、
(ii)(d)測定された圧迫率を、必要な最小圧迫率および必要な最大圧迫率と比較する、
(ii)(e)前記測定された圧迫率が前記必要な最小圧迫率よりも大きく、前記測定された圧迫率が必要な最大圧迫率よりも小さい場合は、ステップ(iii)に進む、
(ii)(f)前記測定された圧迫率が前記必要な最小圧迫率よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第5のフィードバック信号を生成してステップ(ii)(b)に進む、
(ii)(g)前記測定された圧迫率が前記必要な最小圧迫率よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しい場合は、ステップ(iii)に進む、
(ii)(h)前記測定された圧迫率が前記必要な最大圧迫率よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第6のフィードバック信号を生成してステップ(ii)(b)に進む、
(ii)(i)前記測定された圧迫率が前記必要な最大圧迫率よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しい場合は、ステップ(iii)に進む、
ことを含むことを特徴とする除細動器。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の除細動器において、前記ステップ(ii)が、さらに、
(ii)(a)CPRカウンタをxに等しく設定する、
(ii)(b)前記救助者による複数のCPR胸部圧迫中に測定された前記対象者のインピーダンス信号を受信する、
(ii)(c)前記複数のCPR胸部圧迫中に測定された圧迫深度を受信する、
(ii)(d)測定された圧迫深度を、必要な最小圧迫深度および必要な最大圧迫深度と比較する、
(ii)(e)前記測定された圧迫深度が前記必要な最小圧迫深度よりも大きく、前記測定された圧迫深度が前記必要な最大圧迫深度よりも小さい場合は、ステップ(iii)に進む、
(ii)(f)前記測定された圧迫深度が前記必要な最小圧迫深度よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第7のフィードバック信号を生成してステップ(ii)(b)に進む、
(ii)(g)前記測定された圧迫深度が前記必要な最小圧迫深度よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しい場合は、ステップ(iii)に進む、
(ii)(h)前記測定された圧迫深度が前記必要な最大圧迫深度よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第8のフィードバック信号を生成してステップ(ii)(b)に進む、
(ii)(i)前記測定された圧迫深度が前記必要な最大圧迫深度よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しい場合は、ステップ(iii)に進む、
ことを含むことを特徴とする除細動器。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の除細動器において、
前記フィードバックユニットは、前記第1のフィードバック信号を受信して、前記救助者に「CPRの開始と強く押す」指示の形式でCPRフィードバックを発し、前記第2のフィードバック信号を受信して、前記救助者に「胸部反動不完全」指示の形式でCPRフィードバックを発し、前記第3のフィードバック信号を受信して、前記救助者に「胸部反動良好」指示の形式でCPRフィードバックを発し、前記第4のフィードバック信号を受信して、前記救助者に「CPRの停止」指示の形式でCPRフィードバックを発することを特徴とする除細動器。
【請求項15】
請求項12または請求項13に記載の除細動器において、
前記フィードバックユニットは、前記第5のフィードバック信号を受信して、前記救助者に「早く押す」指示の形式でCPRフィードバックを発し、前記第6のフィードバック信号を受信して、前記救助者に「ゆっくり押す」指示の形式でCPRフィードバックを発し、前記第7のフィードバック信号を受信して、前記救助者に「より強く押す」指示の形式CPRフィードバックを発し、前記第8のフィードバック信号を受信して、前記救助者に「より弱く押す」指示の形式でCPRフィードバックを発することを特徴とする除細動器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、救助者による対象者の心肺蘇生法(CPR)の実施中に対象者の胸部反動を評価する除細動器に関する。
【背景技術】
【0002】
除細動器が救助者に治療対象者のCPRを実行するように指示すると、様々な状況が発生する可能性がある。CPRは、救助者による対象者の胸部の複数回の圧迫を伴い、対象者の心臓にその循環系の至る所に血液を送り込ませ、主に対象者の心臓と脳に酸素化された血液を供給する。胸部圧迫に続いて、救助者が次の胸部圧迫を開始する前に、救助者が対象者の胸部を完全に反動させる、すなわち通常の位置に戻すことができることが重要である。そうでない場合、対象者の心臓は完全に血液で満たされず、心臓は十分な酸素化された血液を送り出さず、心臓と脳組織は死に始める。効果的なCPRのために、現在のガイドラインでは、対象者の胸部を完全に反動させることを推奨している。実際、成人の一次救命処置と自動体外式除細動に関する欧州蘇生協議会のガイドラインでは、救助者は次のようにすべきであると述べている。すなわち、「各圧迫の後、胸部を完全に反動させる。」しかしながら、多くの救助者は胸部を完全に反動させることができない。対象者の胸部反動を評価し、そのフィードバックを提供する除細動器は、救助者が提供するCPRの質を向上させる可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明によれば、対象者に対して救助者によって実施される心肺蘇生法(CPR)中に前記対象者の胸部反動を評価し、前記救助者にフィードバックを提供する除細動器が提供され、この除細動器が、
前記対象者の生体信号を測定し、CPRが必要な時期を決定し、CPR開始信号を生成し、CPRを停止する時期を決定し、CPR停止信号を生成するよう構成された生体信号測定システムと、
前記対象者のインピーダンス信号を測定するよう構成されたインピーダンス測定システムと、
前記生体信号測定システムに接続されてCPR開始信号およびCPR停止信号を受信し、前記インピーダンス測定システムに接続されてインピーダンス信号を受信するよう構成されたCPR評価システムであって、以下のステップであって、
(i)CPR開始信号を受信し、第1のフィードバック信号を生成する、
(ii)前記救助者による複数のCPR胸部圧迫中に測定される前記対象者のインピーダンス信号を受信する、
(iii)前記インピーダンス信号を使用して、前記複数のCPR胸部圧迫中の前記対象者の胸部反動を評価する、
(iv)前記対象者の胸部反動を胸部反動閾値と比較する、
(v)前記対象者の胸部反動が前記胸部反動閾値よりも大きい場合、第2のフィードバック信号を生成し、ステップ(vii)に進む、
(vi)前記対象者の胸部反動が前記胸部反動閾値よりも小さい場合、第3のフィードバック信号を生成してステップ(vii)に進む、
(vii)前記CPR停止信号が受信されない場合は、ステップ(ii)に戻る、
(viii)前記CPR停止信号を受信すると、第4のフィードバック信号を生成する、
ステップを実行するよう構成されたCPR評価システムと、
前記CPR評価システムに接続され、前記フィードバック信号を受信して前記者にCPRフィードバックを発するよう構成されたフィードバックユニットと、
を具える。
【0004】
本発明の目的は、各CPR胸骨圧迫後に可能な限り完全に近い胸部反動を達成することであり、除細動器はこれを達成するために救助者に適切なフィードバックを提供することである。
【0005】
CPR評価システムは、インピーダンス信号を使用して、少なくともいくつかの複数のCPR胸部圧迫の後のインピーダンス信号の特性を測定することによって、複数のCPR胸部圧迫中の対象者の胸部反動を評価する。CPR評価システムが、インピーダンス信号を使用して、少なくともいくつかの複数のCPR胸部圧迫の後のインピーダンス信号の振幅を測定することによって、複数のCPR胸部圧迫中の対象者の胸部反動を評価する。
【0006】
CPR評価システムは、少なくともいくつかの前記複数のCPR胸部圧迫の後の前記インピーダンス信号の振幅を前記対象者のインピーダンスベースラインと比較する。インピーダンス信号は、救助者による複数のCPR胸部圧迫に対応する一連の山と谷を含む。CPR評価システムは、少なくともいくつかの複数のCPR胸部圧迫の後のインピーダンス信号の谷の振幅を、対象者のインピーダンスベースラインと比較する。CPR評価システムは、少なくともいくつかの複数のCPR胸部圧迫の後のインピーダンス信号の山の振幅を、対象者のインピーダンスベースラインと比較する。
【0007】
CPR評価システムは、CPR胸部圧迫後の前記インピーダンス信号の振幅が前記インピーダンスベースラインに等しくない場合の不完全な胸部反動、又は、CPR胸部圧迫後の前記インピーダンス信号の振幅が少なくともいくつかの複数のCPR胸部圧迫の後についての前記インピーダンスベースラインに等しい場合の完全な胸部反動のいずれかを判断する。前記CPR評価システムが、CPR胸部圧迫後の前記インピーダンス信号の振幅が前記インピーダンスベースラインの所定の許容範囲内にない場合の不完全な胸部反動、又は、CPR胸部圧迫後の前記インピーダンス信号の振幅が少なくともいくつかの複数のCPR胸部圧迫の後についての前記インピーダンスベースラインの所定の許容範囲内にある完全な胸部反動のいずれかを判断する。所定の許容範囲は、CPR胸部圧迫の後のインピーダンス信号の振幅の10%である。
【0008】
CPR評価システムは、少なくともいくつかの複数のCPR胸部圧迫について、不完全な胸部反動の割合を判定する。前記CPR評価システムは、前記不完全な胸部反動の割合を前記胸部反動閾値と比較することによって、前記対象者の胸部反動を前記胸部反動閾値と比較する。前記CPR評価システムは、前記不完全な胸部反動の割合が前記胸部反動閾値よりも大きい場合に前記第2のフィードバック信号を生成し、前記不完全な胸部反動の割合が前記胸部反動閾値よりも小さい場合に前記第3のフィードバック信号を生成する。胸部反動閾値は、不完全な胸部反動の割合の25%である。
【0009】
インピーダンスベースラインは、救助者がCPR胸部圧迫を行わない少なくとも1つの期間中に確立することができる。インピーダンス測定システムは、救助者によってCPR胸部圧迫が行われない少なくとも1つの期間中にインピーダンス信号を測定するように構成され得る。前記CPR評価システムは、前記救助者によってCPR胸部圧迫が行われない少なくとも1つの期間中に測定された前記対象者のインピーダンス信号を受信し、前記インピーダンス信号を使用して前記対象者の前記インピーダンスベースラインを確立するよう構成されている。CPR評価システムは、対象者のインピーダンスベースラインを確立するために、少なくとも1つの期間中に測定されるインピーダンス信号の振幅を使用する。CPR評価システムは、救助者によるCPR胸部圧迫の前の期間中に測定された対象者のインピーダンス信号を受信し、インピーダンス信号を使用してインピーダンスベースラインを確立するように構成される。CPR評価システムは、救助者によるCPR胸部圧迫後の1またはそれ以上の期間中に測定された対象者のインピーダンス信号を受信し、インピーダンス信号を使用して1またはそれ以上のインピーダンスベースラインを確立するように構成される。CPR評価システムが、前記救助者によるCPR胸部圧迫の前の第1の期間中に測定された前記対象者のインピーダンス信号を受信し、前記インピーダンス信号を使用して第1のインピーダンスベースラインを確立し、前記救助者によるCPR胸部圧迫後の1又はそれ以上の後続期間中に測定された前記対象者のインピーダンス信号を受信し、前記インピーダンス信号を使用して1又はそれ以上の後続のインピーダンスベースラインを確立するよう構成されている。
【0010】
CPR評価システムは、約6秒の期間にわたって救助者による複数のCPR胸部圧迫の間に測定された対象者のインピーダンス信号を受信する。CPR評価システムは、約2秒の期間にわたって救助者によってCPR胸部圧迫が実行されない期間中にインピーダンス信号を受信する。
【0011】
CPR評価システムは、救助者による少なくともいくつかの複数のCPR胸部圧迫の速度および深さを評価するよう構成される。
【0012】
前記インピーダンス測定システムが、前記対象者の胸部に配置された前記除細動器の電極を介して信号を取得することによって、前記対象者のインピーダンス信号を測定する。
【0013】
生体信号測定システムは、ECG生体信号の形式で対象者の生体信号を測定するように構成される。生体信号測定システムは、ECG生体信号のアルゴリズムを使用して、対象者が除細動ショックを必要とする状態またはCPRを必要とする状態を示しているかどうかを判断する。
【0014】
前記ステップ(v)から(vii)が、さらに、
(v)前記対象者の胸部反動が前記胸部反動閾値よりも大きい場合、前記第2のフィードバック信号を生成し、ステップ(vii)(a)に進む、
(vi)前記対象者の胸部反動が前記胸部反動閾値よりも小さい場合、前記第3のフィードバック信号を生成し、ステップ(vii)(b)に進む、
(vii)(a)前記CPR停止信号が受信されない場合は、複数のCPR胸部圧迫を待ち、ステップ(ii)に戻る、
(vii)(b)前記CPR停止信号が受信されない場合は、ステップ(ii)に戻る、
ことを含む。
【0015】
前記ステップ(ii)が、さらに、
(ii)(a)CPRカウンタをxに等しく設定すること、
(ii)(b)前記救助者による複数のCPR胸部圧迫中に測定された前記対象者のインピーダンス信号を受信する、
(ii)(c)前記複数のCPR胸部圧迫中に測定されたCPR胸部圧迫率を受け取る、
(ii)(d)測定された圧迫率を、必要な最小圧迫率と比較する、
(ii)(e)前記測定された圧迫率が前記必要な最小圧迫率よりも大きい場合は、ステップ(iii)に進む、
(ii)(f)前記測定された圧迫率が前記必要な最小圧迫率よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第5のフィードバック信号を生成してステップ(ii)(b)に進む、
(ii)(g)前記測定された圧迫率が前記必要な最小圧迫率よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しい場合は、ステップ(iii)に進む、
ことを含む。
【0016】
前記ステップ(ii)(f)は、さらに、前記測定された圧迫率が前記必要な最小圧迫率よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第5のフィードバック信号を生成し、複数の圧迫を待ち、ステップ(ii)(b)に進む、ことを含む。
【0017】
代替的に、前記ステップ(ii)が、さらに、
(ii)(a)CPRカウンタをxに等しく設定する、
(ii)(b)前記救助者による複数のCPR胸部圧迫中に測定された前記対象者のインピーダンス信号を受信する、
(ii)(c)前記複数のCPR胸部圧迫中に測定された圧迫率を受け取る、
(ii)(d)測定された圧迫率を、必要な最大圧迫率と比較する、
(ii)(e)前記測定された圧迫率が必要な最大圧迫率よりも小さい場合は、ステップ(iii)に進む、
(ii)(f)前記測定された圧迫率が前記必要な最小圧迫率よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第6のフィードバック信号を生成してステップ(ii)(b)に進む、
(ii)(g)前記測定された圧迫率が前記必要な最大圧迫率よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しい場合は、ステップ(iii)に進む、
ことを含む。
【0018】
ステップ(ii)(f)が、さらに、前記測定された圧迫率が前記必要な最大圧迫率よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第6のフィードバック信号を生成し、複数の圧迫を待ち、ステップ(ii)(b)に進む、ことを含む。
【0019】
代替的に、ステップ(ii)が、さらに、
(ii)(a)CPRカウンタをxに等しく設定する、
(ii)(b)前記救助者による複数のCPR胸部圧迫中に測定された前記対象者のインピーダンス信号を受信する、
(ii)(c)前記複数のCPR胸部圧迫中に測定された圧迫率を受け取る、
(ii)(d)測定された圧迫率を、必要な最小圧迫率および必要な最大圧迫率と比較する、
(ii)(e)前記測定された圧迫率が前記必要な最小圧迫率よりも大きく、前記測定された圧迫率が必要な最大圧迫率よりも小さい場合は、ステップ(iii)に進む、
(ii)(f)前記測定された圧迫率が前記必要な最小圧迫率よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第5のフィードバック信号を生成してステップ(ii)(b)に進む、
(ii)(g)前記測定された圧迫率が前記必要な最小圧迫率よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しい場合は、ステップ(iii)に進む、
(ii)(h)前記測定された圧迫率が前記必要な最大圧迫率よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第6のフィードバック信号を生成してステップ(ii)(b)に進む、
(ii)(i)前記測定された圧迫率が前記必要な最大圧迫率よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しい場合は、ステップ(iii)に進む、
ことを含む。
【0020】
ステップ(ii)(f)は、さらに、前記測定された圧迫率が前記必要な最小圧迫率よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第5のフィードバック信号を生成し、複数の圧迫を待ち、ステップ(ii)(b)に進む、ことを含む。
【0021】
ステップ(ii)(h)は、さらに、前記測定された圧迫率が前記必要な最大圧迫率よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第6のフィードバック信号を生成し、複数の圧迫を待ち、ステップ(ii)(b)に進む、ことを含む。
【0022】
ステップ(ii)は、さらに、
(ii)(a)CPRカウンタをxに等しく設定する、
(ii)(b)前記救助者による複数のCPR胸部圧迫中に測定された前記対象者のインピーダンス信号を受信する、
(ii)(c)前記複数のCPR胸部圧迫中に測定された圧迫深度を受信する、
(ii)(d)測定された圧迫深度を、必要な最小圧迫深度と比較する、
(ii)(e)前記測定された圧迫深度が前記必要な最小圧迫深度より大きい場合は、ステップ(iii)に進む、
(ii)(f)前記測定された圧迫深度が前記必要な最小圧迫深度よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第7のフィードバック信号を生成してステップ(ii)(b)に進む、
(ii)(g)前記測定された圧迫深度が前記必要な最小圧迫深度よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しい場合は、ステップ(iii)に進む、
ことを含む。
【0023】
ステップ(ii)(f)は、さらに、前記測定された圧迫深度が前記必要な最小圧迫深度よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第7のフィードバック信号を生成し、複数の圧迫を待ち、ステップ(ii)(b)に進む、ことを含む。
【0024】
代替的に、ステップ(ii)は、さらに、
(ii)(a)CPRカウンタをxに等しく設定する、
(ii)(b)前記救助者による複数のCPR胸部圧迫中に測定された前記対象者のインピーダンス信号を受信する、
(ii)(c)前記複数のCPR胸部圧迫中に測定された圧迫深度を受信する、
(ii)(d)測定された圧迫深度を、必要な最大圧迫深度と比較する、
(ii)(e)前記測定された圧迫深度が前記必要な最大圧迫深度よりも小さい場合は、ステップ(iii)に進む、
(ii)(f)前記測定された圧迫深度が前記必要な最大圧迫深度よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第8のフィードバック信号を生成してステップ(ii)(b)に進む、
(ii)(g)前記測定された圧迫深度が前記必要な最大圧迫深度よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しい場合は、ステップ(iii)に進む、
ことを含む。
【0025】
ステップ(ii)(f)は、さらに、前記測定された圧迫深度が前記必要な最大圧迫深度よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第8のフィードバック信号を生成し、複数の圧迫を待ち、ステップ(ii)(b)に進む、ことを含む。
【0026】
代替的に、ステップ(ii)は、さらに、
(ii)(a)CPRカウンタをxに等しく設定する、
(ii)(b)前記救助者による複数のCPR胸部圧迫中に測定された前記対象者のインピーダンス信号を受信する、
(ii)(c)前記複数のCPR胸部圧迫中に測定された圧迫深度を受信する、
(ii)(d)測定された圧迫深度を、必要な最小圧迫深度および必要な最大圧迫深度と比較する、
(ii)(e)前記測定された圧迫深度が前記必要な最小圧迫深度よりも大きく、前記測定された圧迫深度が前記必要な最大圧迫深度よりも小さい場合は、ステップ(iii)に進む、
(ii)(f)前記測定された圧迫深度が前記必要な最小圧迫深度よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第7のフィードバック信号を生成してステップ(ii)(b)に進む、
(ii)(g)前記測定された圧迫深度が前記必要な最小圧迫深度よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しい場合は、ステップ(iii)に進む、
(ii)(h)前記測定された圧迫深度が前記必要な最大圧迫深度よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第8のフィードバック信号を生成してステップ(ii)(b)に進む、
(ii)(i)前記測定された圧迫深度が前記必要な最大圧迫深度よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しい場合は、ステップ(iii)に進む、
ことを含む。
【0027】
ステップ(ii)(f)は、さらに、前記測定された圧迫深度が前記必要な最小圧迫深度よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第7のフィードバック信号を生成し、複数の圧迫を待ち、ステップ(ii)(b)に進む、ことを含む。
【0028】
ステップ(ii)(h)は、さらに、前記測定された圧迫深度が前記必要な最大圧迫深度よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第8のフィードバック信号を生成し、複数の圧迫を待ち、ステップ(ii)(b)に進む、ことを含む。
【0029】
前記フィードバックユニットは、前記第1のフィードバック信号を受信して、救助者に「CPRの開始と強く押す」指示の形式でCPRフィードバックを発する。フィードバックユニットは、第2のフィードバック信号を受信して、前記救助者に「胸部反動不完全」指示の形式でCPRフィードバックを発する。フィードバックユニットは、第3のフィードバック信号を受信して、前記救助者に「胸部反動良好」指示の形式でCPRフィードバックを発する。フィードバックユニットは、第4のフィードバック信号を受信して、前記救助者に「CPRの停止」指示の形式でCPRフィードバックを発する。フィードバックユニットは、第5のフィードバック信号を受信して、前記救助者に「早く押す」指示の形式でCPRフィードバックを発する。フィードバックユニットは、前記第6のフィードバック信号を受信して、前記救助者に「ゆっくり押す」指示の形式でCPRフィードバックを発する。フィードバックユニットは、前記第7のフィードバック信号を受信して、前記救助者に「より強く押す」指示の形式CPRフィードバックを発する。フィードバックユニットは、前記第8のフィードバック信号を受信して、前記救助者に「より弱く押す」指示の形式でCPRフィードバックを発する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
次に、本発明の実施形態を、単に一例として、以下の図面を参照して説明する。
図1図1は、本発明による除細動器の概略図である。
図2図2は、図1の除細動器のCPR評価システムによって実行されるステップのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1を参照すると、除細動器20は、生体信号測定システム22と、インピーダンス測定システム24と、CPR評価システム26と、フィードバックユニット28とを具える。除細動器20は、対象者(図示せず)に対して救助者(図示せず)によって実行されるCPRを評価して、対象者の胸部反動を評価し、救助者にCPRフィードバックを提供する。
【0032】
除細動器20は、活性化機構、生体信号処理システム、除細動ショック発生回路、電源、及び対象者に取り付けられるよう構成された感知ユニットなどの他の要素を含むことが理解されよう。
【0033】
生体信号測定システム22は、対象者の生体信号、この実施形態では、ECG生体信号を測定するよう構成される。アルゴリズムは、ECG生体信号を使用して、対象者が除細動ショックを必要とする状態を示しているのか、又は、CPRを必要とする状態を示しているのかを判断する。CPRが必要な場合、生体信号測定システム22は、CPR開始信号を生成するよう構成される。CPRが停止される場合、生体信号測定システム22は、CPR停止信号を生成するよう構成される。
【0034】
インピーダンス測定システム24は、対象者の胸部に配置された除細動器の電極を介して信号を取得することにより、対象者のインピーダンス信号を測定する。
【0035】
CPR評価システム26は、CPR開始信号およびCPR停止信号を受信するために生体信号測定システム22に接続されている。CPR開始信号を受信すると、CPR評価システム26は、インピーダンス信号を受信し、救助者による多くの複数のCPR胸部圧迫にわたる対象者の胸部反動の評価を開始する。これは、図2を参照して以下に説明するいくつかのステップの実行を含む。CPR停止信号を受信すると、CPR評価システム26は、対象者の胸部反動の評価を停止する。
【0036】
CPR評価システム26は、インピーダンス測定システム24に接続され、経胸腔インピーダンス信号を含むCPR胸部圧迫を示すインピーダンス信号を受信し、これらを使用して、対象者に救助者によって実施された多くの複数のCPR胸部圧迫に対する対象者の胸部反動を評価する。
【0037】
対象者の胸部反動の評価中に、CPR評価システム26は様々なフィードバック信号を生成する。フィードバックユニット28は、CPR評価システム26に接続され、フィードバック信号を受信し、その者にCPRフィードバックを発するように構成される。
【0038】
図2を参照して、図1の除細動器20のCPR評価システム26によって実行されるステップを説明する。
【0039】
CPR開始信号を受信すると、CPR評価システム26は、第1のフィードバック信号を生成する。これは、「CPRを開始し、強く押す」という指示の形でCPRフィードバックを発するフィードバックユニット28によって、対象者に対してCPRを実行する救助者に受け取られる。
【0040】
CPR評価システム26は、約6秒の期間にわたって救助者によって複数のCPR胸部圧迫中に測定された対象者のインピーダンス信号を受信し、そのインピーダンス信号を使用して、複数のCPR胸部圧迫中の対象者の胸部反動を評価する。CPR評価システム26は、インピーダンス信号を使用して、複数のCPR胸部圧迫の少なくともいくつかの後の、好ましくはそれぞれのCPR胸部圧迫の後の、振幅を含むインピーダンス信号の特性を測定することによって、胸部反動を評価する。
【0041】
次に、CPR評価システム26は、複数のCPR胸部圧迫の少なくともいくつかの後の、好ましくはそれぞれのCPR胸部圧迫の後の、インピーダンス信号の振幅を、対象者のインピーダンスベースラインと比較する。対象者のインピーダンス信号は、救助者による複数のCPR胸部圧迫に対応する一連の山および谷を含み、CPR評価システム26は、複数のCPR胸部圧迫の少なくともいくつかの後の、好ましくはそれぞれのCPR胸部圧迫の後の、インピーダンス信号の谷又は山の振幅と、対象者のインピーダンスベースラインとを比較する。
【0042】
次に、CPR評価システム26は、CPR胸部圧迫後のインピーダンス信号の振幅がインピーダンスベースラインに等しくない場合の不完全な胸部反動であるか、または、CPR胸部圧迫後のインピーダンス信号の振幅がインピーダンスベースラインに等しい場合の完全な胸部反動であるかのいずれかを判断する。CPR評価システム26は、CPR胸部圧迫後のインピーダンス信号の振幅がインピーダンスベースラインの所定の許容範囲内にない場合の不完全な胸部反動、又は、CPR胸部圧迫後のインピーダンス信号の振幅が、インピーダンスベースラインの所定の許容範囲内にない場合の完全な胸部反動のいずれかを判断できることが理解されよう。CPR胸骨圧迫後の信号は、インピーダンスベースラインの所定の許容範囲内にありません。所定の許容誤差は、CPR胸部圧迫後のインピーダンス信号の振幅の約10%である。
【0043】
CPR評価システム26は、不完全な胸部反動の割合を決定し、不完全な胸部反動の割合を、25%の不完全な胸部反動の割合である胸部反動閾値と比較することによって、対象者の胸部反動を胸部反動閾値と比較する。CPR評価システム26は、不完全な胸部反動の割合が胸部反動閾値よりも大きい場合に、第2のフィードバック信号を生成する。これは、フィードバックユニット28によって受け取られ、フィードバックユニット28は、対象者に対してCPRを実行する救助者に、「胸部反動不完全」命令の形で、CPRフィードバックを発する。代替的に、CPR評価システム26は、不完全な胸部反動の割合が胸部反動閾値よりも小さい場合に、第3のフィードバック信号を生成する。これは、「胸部反動良好」命令の形でCPRフィードバックを発するフィードバックユニット28によって、対象に対してCPRを実行する救助者に受け取られる。
【0044】
次に、CPR評価システム26は、生体信号測定システム22からのCPR停止信号の受信をチェックする。CPR停止信号が受信されていない場合、CPR評価システム26は、救助者による複数のCPR胸部圧迫中にインピーダンス信号を受信するステップに戻る。CPR停止信号が受信されると、CPR評価システム26は第4のフィードバック信号を生成する。フィードバックユニット28は、第4のフィードバック信号を受信し、対象者に対してCPRを実行する救助者に「CPR停止」命令の形でCPRフィードバックを発する。
【0045】
対象者のインピーダンスベースラインを決定するために、インピーダンス測定システム24は、救助者によってCPR胸部圧迫が行われない少なくとも1つの期間中にインピーダンス信号を測定するように構成される。CPR評価システム26は、救助者によってCPR胸部圧迫が行われない少なくとも1つの期間中に測定された対象者のインピーダンス信号を受信し、このインピーダンス信号を使用して対象者のインピーダンスベースラインを確立するように構成される。好ましい実施形態では、CPR評価システム26は、救助者によるCPR胸部圧迫の前の第1の期間中に測定された対象者のインピーダンス信号を受信し、インピーダンス信号を使用して第1のインピーダンスベースラインを確立し、救助者によるCPR胸部圧迫後の1又はそれ以上の後続期間中に測定された対象者のインピーダンス信号を受信し、インピーダンス信号を使用して1又はそれ以上の後続のインピーダンスベースラインを確立します。後続の各インピーダンスベースラインは、前のインピーダンスベースラインを置き換える。第1の期間は、除細動器20が、対象者が除細動ショックを必要とする状態を示しているか、またはCPRを必要とする状態を示しているかについて決定を下しているときである。1又はそれ以上のその後の期間は、除細動器20が救助者にCPR胸部圧迫を停止するように指示するときである。
【0046】
CPR評価システム26は、救助者によってCPR胸部圧迫が行われていない期間中に測定された対象者のインピーダンス信号を受信し、このインピーダンス信号の振幅を使用して、対象者のインピーダンスベースラインを確立する。対象者が除細動ショックを必要とする状態、すなわち心室細動または心室頻拍を経験している場合、救助者がCPR胸部圧迫を行わない期間中に測定された対象者のインピーダンス信号は、実質的に平坦な線である。
【0047】
本発明の目的は、各CPR胸部圧迫後に可能な限り完全に近い胸部反動を達成することであり、除細動器はこれを達成するために救助者に適切なフィードバックを提供することである。
【0048】
CPR評価システム26によって実行されるステップは、以下をさらに含む。
【0049】
前記ステップ(v)から(vii)が、さらに、
(v)前記対象者の胸部反動が前記胸部反動閾値よりも大きい場合、前記第2のフィードバック信号を生成し、ステップ(vii)(a)に進む、
(vi)前記対象者の胸部反動が前記胸部反動閾値よりも小さい場合、前記第3のフィードバック信号を生成し、ステップ(vii)(b)に進む、
(vii)(a)前記CPR停止信号が受信されない場合は、複数のCPR胸部圧迫を待ち、ステップ(ii)に戻る、
(vii)(b)前記CPR停止信号が受信されない場合は、ステップ(ii)に戻る、
ことを含む。
【0050】
CPR評価システム26は、救助者による複数のCPR胸部圧迫の少なくともいくつかの速さおよび深さを評価するように構成される。
【0051】
前記ステップ(ii)が、さらに、
(ii)(a)CPRカウンタをxに等しく設定する、
(ii)(b)前記救助者による複数のCPR胸部圧迫中に測定された前記対象者のインピーダンス信号を受信する、
(ii)(c)前記複数のCPR胸部圧迫中に測定されたCPR胸部圧迫率を受け取る、
(ii)(d)測定された圧迫率を、必要な最小圧迫率と比較する、
(ii)(e)前記測定された圧迫率が前記必要な最小圧迫率よりも大きい場合は、ステップ(iii)に進む、
(ii)(f)前記測定された圧迫率が前記必要な最小圧迫率よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第5のフィードバック信号を生成してステップ(ii)(b)に進む、
(ii)(g)前記測定された圧迫率が前記必要な最小圧迫率よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しい場合は、ステップ(iii)に進む、
ことを含む。
【0052】
前記ステップ(ii)(f)は、さらに、前記測定された圧迫率が前記必要な最小圧迫率よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第5のフィードバック信号を生成し、複数の圧迫を待ち、ステップ(ii)(b)に進む、ことを含む。
【0053】
代替的に、前記ステップ(ii)が、さらに、
(ii)(a)CPRカウンタをxに等しく設定する、
(ii)(b)前記救助者による複数のCPR胸部圧迫中に測定された前記対象者のインピーダンス信号を受信する、
(ii)(c)前記複数のCPR胸部圧迫中に測定された圧迫率を受け取る、
(ii)(d)測定された圧迫率を、必要な最大圧迫率と比較する、
(ii)(e)前記測定された圧迫率が必要な最大圧迫率よりも小さい場合は、ステップ(iii)に進む、
(ii)(f)前記測定された圧迫率が前記必要な最小圧迫率よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第6のフィードバック信号を生成してステップ(ii)(b)に進む、
(ii)(g)前記測定された圧迫率が前記必要な最大圧迫率よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しい場合は、ステップ(iii)に進む、
ことを含む。
【0054】
ステップ(ii)(f)が、さらに、前記測定された圧迫率が前記必要な最大圧迫率よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第6のフィードバック信号を生成し、複数の圧迫を待ち、ステップ(ii)(b)に進む、ことを含む。
【0055】
代替的に、ステップ(ii)が、さらに、
(ii)(a)CPRカウンタをxに等しく設定する、
(ii)(b)前記救助者による複数のCPR胸部圧迫中に測定された前記対象者のインピーダンス信号を受信する、
(ii)(c)前記複数のCPR胸部圧迫中に測定された圧迫率を受け取る、
(ii)(d)測定された圧迫率を、必要な最小圧迫率および必要な最大圧迫率と比較する、
(ii)(e)前記測定された圧迫率が前記必要な最小圧迫率よりも大きく、前記測定された圧迫率が必要な最大圧迫率よりも小さい場合は、ステップ(iii)に進む、
(ii)(f)前記測定された圧迫率が前記必要な最小圧迫率よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第5のフィードバック信号を生成してステップ(ii)(b)に進む、
(ii)(g)前記測定された圧迫率が前記必要な最小圧迫率よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しい場合は、ステップ(iii)に進む、
(ii)(h)前記測定された圧迫率が前記必要な最大圧迫率よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第6のフィードバック信号を生成してステップ(ii)(b)に進む、
(ii)(i)前記測定された圧迫率が前記必要な最大圧迫率よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しい場合は、ステップ(iii)に進む、
ことを含む。
【0056】
ステップ(ii)(f)は、さらに、前記測定された圧迫率が前記必要な最小圧迫率よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第5のフィードバック信号を生成し、複数の圧迫を待ち、ステップ(ii)(b)に進む、ことを含む。
【0057】
ステップ(ii)(h)は、さらに、前記測定された圧迫率が前記必要な最大圧迫率よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第6のフィードバック信号を生成し、複数の圧迫を待ち、ステップ(ii)(b)に進む、ことを含む。
【0058】
ステップ(ii)は、さらに、
(ii)(a)CPRカウンタをxに等しく設定する、
(ii)(b)前記救助者による複数のCPR胸部圧迫中に測定された前記対象者のインピーダンス信号を受信する、
(ii)(c)前記複数のCPR胸部圧迫中に測定された圧迫深度を受信する、
(ii)(d)測定された圧迫深度を、必要な最小圧迫深度と比較する、
(ii)(e)前記測定された圧迫深度が前記必要な最小圧迫深度より大きい場合は、ステップ(iii)に進む、
(ii)(f)前記測定された圧迫深度が前記必要な最小圧迫深度よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第7のフィードバック信号を生成してステップ(ii)(b)に進む、
(ii)(g)前記測定された圧迫深度が前記必要な最小圧迫深度よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しい場合は、ステップ(iii)に進む、
ことを含む。
【0059】
ステップ(ii)(f)は、さらに、前記測定された圧迫深度が前記必要な最小圧迫深度よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第7のフィードバック信号を生成し、複数の圧迫を待ち、ステップ(ii)(b)に進む、ことを含む。
【0060】
代替的に、ステップ(ii)は、さらに、
(ii)(a)CPRカウンタをxに等しく設定する、
(ii)(b)前記救助者による複数のCPR胸部圧迫中に測定された前記対象者のインピーダンス信号を受信する、
(ii)(c)前記複数のCPR胸部圧迫中に測定された圧迫深度を受信する、
(ii)(d)測定された圧迫深度を、必要な最大圧迫深度と比較する、
(ii)(e)前記測定された圧迫深度が前記必要な最大圧迫深度よりも小さい場合は、ステップ(iii)に進む、
(ii)(f)前記測定された圧迫深度が前記必要な最大圧迫深度よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第8のフィードバック信号を生成してステップ(ii)(b)に進む、
(ii)(g)前記測定された圧迫深度が前記必要な最大圧迫深度よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しい場合は、ステップ(iii)に進む、
ことを含む。
【0061】
ステップ(ii)(f)は、さらに、前記測定された圧迫深度が前記必要な最大圧迫深度よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第8のフィードバック信号を生成し、複数の圧迫を待ち、ステップ(ii)(b)に進む、ことを含む。
【0062】
代替的に、ステップ(ii)は、さらに、
(ii)(a)CPRカウンタをxに等しく設定する、
(ii)(b)前記救助者による複数のCPR胸部圧迫中に測定された前記対象者のインピーダンス信号を受信する、
(ii)(c)前記複数のCPR胸部圧迫中に測定された圧迫深度を受信する、
(ii)(d)測定された圧迫深度を、必要な最小圧迫深度および必要な最大圧迫深度と比較する、
(ii)(e)前記測定された圧迫深度が前記必要な最小圧迫深度よりも大きく、前記測定された圧迫深度が前記必要な最大圧迫深度よりも小さい場合は、ステップ(iii)に進む、
(ii)(f)前記測定された圧迫深度が前記必要な最小圧迫深度よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第7のフィードバック信号を生成してステップ(ii)(b)に進む、
(ii)(g)前記測定された圧迫深度が前記必要な最小圧迫深度よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しい場合は、ステップ(iii)に進む、
(ii)(h)前記測定された圧迫深度が前記必要な最大圧迫深度よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第8のフィードバック信号を生成してステップ(ii)(b)に進む、
(ii)(i)前記測定された圧迫深度が前記必要な最大圧迫深度よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しい場合は、ステップ(iii)に進む、
ことを含む。
【0063】
ステップ(ii)(f)は、さらに、前記測定された圧迫深度が前記必要な最小圧迫深度よりも小さい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第7のフィードバック信号を生成し、複数の圧迫を待ち、ステップ(ii)(b)に進む、ことを含む。
【0064】
ステップ(ii)(h)は、さらに、前記測定された圧迫深度が前記必要な最大圧迫深度よりも大きい場合、前記CPRカウンタがゼロに等しくない場合、前記CPRカウンタを1減らし、第8のフィードバック信号を生成し、複数の圧迫を待ち、ステップ(ii)(b)に進む、ことを含む。
【0065】
前記フィードバックユニットは、前記第1のフィードバック信号を受信して、救助者に「CPRの開始と強く押す」指示の形式でCPRフィードバックを発する。フィードバックユニットは、第2のフィードバック信号を受信して、前記救助者に「胸部反動不完全」指示の形式でCPRフィードバックを発する。フィードバックユニットは、第3のフィードバック信号を受信して、前記救助者に「胸部反動良好」指示の形式でCPRフィードバックを発する。フィードバックユニットは、第4のフィードバック信号を受信して、前記救助者に「CPRの停止」指示の形式でCPRフィードバックを発する。フィードバックユニットは、第5のフィードバック信号を受信して、前記救助者に「早く押す」指示の形式でCPRフィードバックを発する。フィードバックユニットは、前記第6のフィードバック信号を受信して、前記救助者に「ゆっくり押す」指示の形式でCPRフィードバックを発する。フィードバックユニットは、前記第7のフィードバック信号を受信して、前記救助者に「より強く押す」指示の形式CPRフィードバックを発する。フィードバックユニットは、前記第8のフィードバック信号を受信して、前記救助者に「より弱く押す」指示の形式でCPRフィードバックを発する。
図1
図2