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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20240807BHJP
【FI】
A47J27/00 109B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020211916
(22)【出願日】2020-12-22
(65)【公開番号】P2022098512
(43)【公開日】2022-07-04
【審査請求日】2023-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萱森 雅之
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 紀子
(72)【発明者】
【氏名】小林 洋一
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 卓也
(72)【発明者】
【氏名】三宅 一也
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-098004(JP,A)
【文献】特開2017-077352(JP,A)
【文献】特開2007-282939(JP,A)
【文献】特開2008-146196(JP,A)
【文献】特開2003-174965(JP,A)
【文献】特開2007-075322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被炊飯物として米と水を内部に収容する鍋と、
前記鍋を加熱する加熱手段と、
前記被炊飯物の炊飯方法の設定を選択する選択手段と、
選択された前記炊飯方法の設定に基づいて前記加熱手段を制御する制御手段と、
前記炊飯方法の設定を表示する表示手段と、
前記選択された炊飯方法の設定を記憶する記憶手段と、を備え、
前記選択手段は、品種銘柄米の炊上がり食感情報に基づいて前記炊飯方法の設定を選択可能である炊飯器であって、
情報端末と通信可能な送受信部をさらに備え、
前記送受信部は、前記炊飯器の設置されている地域の位置情報を取得可能であり、
前記記憶手段に記憶された前記炊飯方法の設定は、産地品種銘柄米に応じた炊飯方法の設定を含み、
前記表示手段は、前記位置情報の地域の産地品種銘柄米に応じた炊飯方法の設定を優先的に表示する構成としたことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記記憶手段は、複数の前記炊飯方法の設定を記憶し、
前記表示手段は、前記記憶手段に記憶された前記複数の炊飯方法の設定を全部表示することを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記記憶手段に記憶された前記炊飯方法の設定は、前記選択手段により任意に変更可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記記憶手段は、前記炊飯方法の設定として前記品種銘柄米の炊上がり食感情報を記憶し、
前記表示手段は、前記炊飯方法の設定に加えて、前記品種銘柄米の炊上がり食感情報の米の銘柄を表示することを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記炊飯方法の設定と、前記品種銘柄米の炊上がり食感情報の米の銘柄とを前記表示手段に同時に表示する構成としたことを特徴とする請求項4に記載の炊飯器。
【請求項6】
前記表示手段は、前記米の銘柄をピクトグラム化して表示することを特徴とする請求項4または5に記載の炊飯器。
【請求項7】
前記記憶手段に記憶された前記炊飯方法の設定は、産地品種銘柄米に応じた炊飯方法の設定を含み、
前記選択手段は、前記産地品種銘柄米に応じた炊飯方法を選択可能に構成することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項8】
前記炊飯方法の設定は、前記記憶手段に記憶された設定以外の設定を含み、
前記選択手段は、前記記憶手段に記憶した設定以外の設定を、公開された産地品種銘柄米の情報や食感情報を基に選択する構成としたことを特徴とする請求項4~7のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項9】
記記憶手段に記憶された前記炊飯方法の設定が前記情報端末で確認可能であり、
前記情報端末から、前記品種銘柄米の炊上がり食感情報に基づいた前記炊飯方法の設定を前記記憶手段に送信可能であることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項10】
前記記憶手段は、品種銘柄米の炊上がり食感情報をマトリクス化して前記炊飯方法をMap化した表を記憶し、
前記表示手段は、前記炊飯方法をMap化した表に基づき、前記選択された炊飯方法の設定と近い設定の銘柄の米および遠い設定の銘柄の米を表示する構成としたことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米の銘柄の特性に応じて炊飯方法を変更可能な炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
こうした、米の銘柄の特性に応じて最適な炊飯方法に変更する技術として、本願出願人は、例えば引用文献1のように、ねばりを与えることが可能な加圧炊飯と常圧炊飯とを選択的に行なう技術や、引用文献2のように、炊飯過程の沸騰後で鍋内の重量が安定したときの計量値に基づき米の吸水特性を判定する技術、引用文献3のように白米の種類などの微妙な条件に対応して炊飯を行なう技術を提案している。また、例えば引用文献4~7のように、特定の銘柄に適した炊飯方法を行なう技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開03-146014号公報
【文献】特開03-236812号公報
【文献】特開平05-115359号公報
【文献】特開2008-146196号公報
【文献】特開2008-161698号公報
【文献】特開2015-066065号公報
【文献】特開2018-143647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
世界には5~10万種ほどの品種の稲が存在するとされ、日本には略500種類くらいの稲が存在し、例えば、日本穀物検定協会の2019年(令和元年)産米の食味ランキング対象産地品種は150品種を超えるなど、多くの産地品種銘柄の米が存在する。また複数の都道府県で栽培される銘柄の米は、同じ品種であっても産地によって食感が異なり、例えば新潟県内のコシヒカリは、上越産、中越産、魚沼産、岩船産、佐渡産などで食感が異なり、産地によって食感が変わることから産地品種銘柄となっている。しかしながら、上述した従来の技術は、様々な制約により多くて50~60銘柄程度に対する炊飯方法であり、上述した産地品種銘柄の米に対して、炊上がり食感に対する炊飯方法の選択が適正に行われない虞があった。
【0005】
また産地品種銘柄は年々変化し、毎年の作柄状況に応じ変化するが、上述した従来の技術は、不要となってしまう銘柄の米や、新たに追加したい銘柄の米に対する炊飯方法について対応することができなかった。
【0006】
そこで本発明は、予め炊飯器に記憶された特定の品種銘柄米以外でも、品種銘柄米に応じた炊飯方法の設定を選択することができる炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の炊飯器は、上記目的を達成するために、被炊飯物として米と水を内部に収容する鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記被炊飯物の炊飯方法の設定を選択する選択手段と、選択された前記炊飯方法の設定に基づいて前記加熱手段を制御する制御手段と、前記炊飯方法の設定を表示する表示手段と、前記選択された炊飯方法の設定を記憶する記憶手段と、を備え、前記選択手段は、品種銘柄米の炊上がり食感情報に基づいて前記炊飯方法の設定を選択可能であり、情報端末と通信可能な送受信部をさらに備え、前記送受信部は、前記炊飯器の設置されている地域の位置情報を取得可能であり、前記記憶手段に記憶された前記炊飯方法の設定は、産地品種銘柄米に応じた炊飯方法の設定を含み、前記表示手段は、前記位置情報の地域の産地品種銘柄米に応じた炊飯方法の設定を優先的に表示する構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の炊飯器によれば、予め記憶手段に記憶された特定の品種銘柄米以外でも、品種銘柄米に応じた炊飯方法の設定を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態における炊飯器の縦断面図である。
図2】同上、電気的構成を示すブロック図である。
図3】同上、(A)炊飯器の要部の上面図である。(B)各キーの操作と設定の移り変わりとの関係を示す図である。
図4】同上、品種銘柄米の炊上がり食感情報から各産地の品種銘柄の食感に応じて該当するマトリクス欄に銘柄を配置した表である。
図5】本発明の第1の実施形態の変形例におけるLCDの画面の移り変わりを示す図である。
図6】本発明の第1の実施形態のさらなる変形例における炊飯器の要部の上面図である。
図7】本発明の第2の実施形態におけるLCDの画面の移り変わりを示す図である。
図8】本発明の第2の実施形態の変形例における炊飯器の要部の上面図である。
図9】本発明の第2の実施形態のさらなる変形例における炊飯器の要部の上面図である。
図10】本発明の第2の実施形態のさらなる変形例におけるLCDの画面の移り変わりを示す図である。
図11】本発明の第3の実施形態における炊飯器の要部の上面図である。
図12】本発明の第3の実施形態の変形例における炊飯器の要部の上面図である。
図13】本発明の第4の実施形態におけるLCDの画面の移り変わりを示す図である。
図14】同上、電源投入前から炊飯方法の設定の画面になるまでの、LCDの表示の移り変わりを示す図である。
図15】同上、お米の銘柄の表示要素の表示の一例を示す図である。
図16】本発明の第4の実施形態の変形例における炊飯器の要部の上面図である。
図17】本発明の第5の実施形態における炊飯器の電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明における炊飯器の各実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、これらの全図面にわたり、共通する部分には共通する符号を付すものとする。
【実施例1】
【0011】
図1図4は、本発明の炊飯器の第1の実施形態を示している。炊飯器全体の構成を図1に基づいて説明すると、1は炊飯器であり、上方から見て前面と後面、左側面と右側面が対向する略矩形状をなし、上面が開口された炊飯器1の本体2と、本体2の上面開口部を開閉自在に覆う蓋体3とにより全体が構成される。本体2は上面を開口した鍋収容部4を有し、蓋体3を開けたときに、被調理物である水や米を収容する容器としての有底状の鍋5が、その鍋収容部4に着脱自在に収容される構成となっている。鍋収容部4は、椀状で樹脂製の内枠6などを組み合わせて構成され、全体が有底筒状に形成される。
【0012】
鍋5は、熱伝導性の良いアルミニウムを主材8とし、フェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体9が、主材8の外面の側部下部から底部にかけて接合してある。また、鍋5の側面下部から底面に対向する内枠6の外面には、鍋5の発熱体9を電磁誘導加熱する加熱手段として、加熱コイル12を備えている。
【0013】
内枠6の底部中央部には、鍋温度検出手段としての鍋センサ14が、鍋5の外面底部と弾発的に接触するように配設される。本実施形態の鍋センサ14は、鍋5の温度を検知して加熱コイル12による鍋5の底部の加熱温度を主に温度管理する構成となっている。
【0014】
蓋体3の前方上面には、蓋開ボタン15が露出状態で配設されており、この蓋開ボタン15を押すと、本体2と蓋体3との係合が解除され、本体2の上部後方に設けたヒンジバネ(図示せず)により、ヒンジ軸16を回転中心として蓋体3が自動的に開く構成となっている。そして、蓋体3の後方上面には、鍋5内の被調理物から発生する蒸気を炊飯器1の外部に排出する蒸気口ユニット17が着脱可能に装着される。
【0015】
蓋体3の上面には、蓋開ボタン15や蒸気口ユニット17の他にも、炊飯器1の表示操作ユニットとなる操作パネル20などが配設されている。操作パネル20は、調理に関わる様々な情報を表示する表示部18と、炊飯を開始させたり、時間や炊飯コ-スなどを選択させたりするための操作部19とを備えており、これらの下面には、操作パネル20の制御手段である表示・操作制御手段46を備えた制御PC(Printed Circuit:印刷回路)板47が配置される。制御PC板47はパターン形成された導電回路部を有し、この制御PC板47に操作や表示に関わる制御用IC等を実装することで、後述する加熱制御手段40と連携した表示・操作制御手段46が構成される。
【0016】
蓋体3の下側には、蓋体3の下部部材としての内蓋組立体21が配設される。内蓋組立体21は、鍋5の上方開口部と略同径の円盤状を有する金属材料からなり、鍋5の上方開口部を覆う内蓋22と、この内蓋22と鍋5との間をシールするために、内蓋22の外側全周に設けられる弾性部材としての蓋パッキン23と、鍋5の内圧力を調整する調圧部24とを備えている。環状に形成された蓋パッキン23は、図1に示されるように蓋体3を閉じた蓋閉時に、鍋5の開口部である上面に当接して、この鍋5と内蓋22との間の隙間を塞ぎ、鍋5から発生する蒸気を密閉するものである。
【0017】
蓋体3の内部には、内蓋22を加熱する蓋加熱手段としての蓋ヒータ33と、この蓋ヒータ33による内蓋22の温度管理を行なうためのサーミスタ式の蓋温度センサ34がそれぞれ設けられる。また、鍋5内で発生した蒸気を外部へ放出する通路として、蒸気口ユニット17と調圧部24とを連通する蒸気排出経路25が形成される。調圧部24には、鍋5の内部と蒸気口ユニット17との間の蒸気排出経路25を開閉する調圧弁26が設けられる。調圧弁26はボール状で、蓋体3の内部に設けたソレノイド27と連動し、鍋5内の蒸気を外部へ放出する場合には蒸気排出経路25を開放し、鍋5内を加圧または減圧状態にする場合には蒸気排出経路25を閉塞するように、ソレノイド27が調圧弁26を転動させる。そして加圧時には、加熱コイル12への高周波通電により鍋5内の被炊飯物が加熱され、鍋5の内圧が所定値に達すると、調圧弁26の自重に抗して蒸気排出経路25を開放することで、鍋5内の圧力を大気圧以上に維持する構成となっている。
【0018】
28は、蓋3を本体2に閉じた状態で、鍋5の内部を通常の大気圧よりも低くするための減圧手段である。減圧手段28は、鍋5を鍋収容体4に収容し、蓋3を閉じた後にソレノイド27を通電して、調圧弁26が蒸気排出経路25を塞いだ状態で、密閉した鍋5の内部圧力を低下させる。また、鍋5内部の圧力が大気圧よりも一定値下がった場合には、減圧手段28の動作源となる減圧ポンプ29の動作を停止し、鍋5内部を減圧状態に保っている。さらに、鍋5内部を減圧状態から外気と同じ圧力に戻す場合には、減圧ポンプ29の動作を停止し、減圧ポンプ29と鍋5の内部との間を連通する図示しない経路を開放する。つまり減圧手段28は、鍋5内部を減圧状態から外気と同じ圧力に戻す圧力戻し手段としての構成を兼用している。
【0019】
その他、本体2の内部には、加熱制御手段40を含むユニット化された加熱基板組立41が配設される。加熱制御手段40は、表示・操作制御手段46と組み合わせて炊飯器1の各部を電気的に制御するために、制御用IC42や記憶手段51(図2参照)などを備えたマイクロコンピュータ(マイコン)などを含んで構成され、ここでは鍋センサ14や蓋温度センサ34からの各温度検知信号と、操作部19からの操作信号とを受けて、炊飯時および保温時に鍋5を加熱する加熱コイル12と、蓋体3を加熱する蓋ヒータ22を各々制御すると共に、ソレノイド27と、減圧ポンプ29の動作を各々制御する。特に加熱制御手段40は、鍋センサ14の検知温度に基いて主に加熱コイル12を制御して鍋5の底部を温度管理し、蓋温度センサ34の検知温度に基いて主に蓋ヒータ22を制御して、被炊飯物に対向する内蓋24を温度管理するようになっている。
【0020】
次に、加熱制御手段40および表示・操作制御手段46の制御系統について、図2を参照しながら説明する。同図において、本体2に装備される加熱制御手段40は、マイクロコンピュータを構成する制御用IC42や記憶手段51などを備え、鍋センサ14や蓋温度センサ34からの各温度検知信号と、表示・操作制御手段46からの制御信号を受けて、炊飯時および保温時に鍋5を加熱する加熱コイル12と、内蓋24を加熱する蓋ヒータ33を各々制御すると共に、前述した調圧弁26を動かすソレノイド27や、減圧手段28の動作を各々制御するものである。特に加熱制御手段40は、鍋センサ14の検知温度に基いて主に加熱コイル12を制御して鍋5の底部を温度管理し、蓋センサ34の検知温度に基いて主に蓋ヒータ22を制御して、内蓋24を温度管理する。これらの加熱コイル12や蓋ヒータ22と、前述した胴ヒータ11は、鍋5に入れた被調理物を加熱する加熱手段52に相当する。
【0021】
加熱制御手段40は、記憶手段51から読み出したプログラムの制御シーケンス上の機能として、炊飯制御手段53および保温制御手段54を制御用IC42に備えている。炊飯制御手段53は、操作部19の、例えば炊飯キーからの炊飯開始の指示を受けて、鍋5に投入した米の吸水を促進させるひたし行程と、被炊飯物の温度を短時間に沸騰まで上昇させる昇温行程と、被炊飯物の沸騰状態を継続させる沸騰継続行程と、ご飯を焦がさない程度の高温に維持するむらし行程の各行程を順に実行して、鍋5内部の被炊飯物に対して所望の圧力で炊飯加熱するものである。また保温制御手段54は、鍋5内部のご飯を所定の保温温度に保つように制御するものである。
【0022】
一方、表示・操作制御手段46は、マイクロコンピュータを構成する制御用IC48や記憶手段57、図示しない計時手段などを備え、操作部19からの操作信号や加熱制御手段40からの制御信号を受けて表示部18の表示動作を制御し、また加熱制御手段40に制御信号を送信するものである。この表示・操作制御手段46は、記憶手段57に記憶されたプログラムの制御シーケンス上の機能として、操作部19からの操作信号に基づき、各種の制御信号を生成する操作部制御手段58と、表示部18の表示動作を制御する表示動作制御手段59と、操作部制御手段58や表示動作制御手段59と連携して、操作部43で選択できる条件の選択および設定、例えば複数の調理コースや炊飯コースの中から所望の調理コースや炊飯コースの選択および設定、を可能にする条件設定手段60と、を備えている。
【0023】
図3(A)は本実施形態の炊飯器1の操作パネル20の上面図である。蓋体3の上面には操作パネル20が配設されており、操作パネル20の表示部18の後述するLCD71において、かたさで「3」、ねばりで「3」、甘みで「4」が選択されて示されている。この図3を参照して説明すると、操作部19は、操作パネル20の右側部分に並んで配置される「かたさ」キー63と、「ねばり」キー64と、「甘み」キー65に加えて、操作パネル20の左側部分に並んで配置される「炊飯」キー66と、「切」キー67と、LCD71の上面に配設されるタッチセンサ68とで構成される。ここで、63~67の各キーはユーザのタッチ操作では操作できず、押動することにより操作可能なタクトスイッチなどの押動型操作手段として機能し、タッチセンサ68は制御PC板47に接続されることで、ユーザのタッチ操作で操作可能なタッチキーなどの非押動型操作手段として機能する。また63~67の各キーは、これらの各キーに対応して各キーの名称が印刷されている。
【0024】
切キー67は、炊飯や保温をやめる際に操作されるもので、切キー67が押圧されると、操作部制御手段58が切キー67からの操作信号を受け付けて加熱制御手段40に送出し、炊飯制御手段53が本体1内の被調理物に対する加熱を中止して切状態にする制御を行なう。
【0025】
炊飯キー66は炊飯を開始する際に操作されるもので、炊飯キー66が押圧されると、操作部制御手段58が炊飯キー66からの操作信号を受け付けて加熱制御手段40に送出し、炊飯制御手段53が本体1内の被調理物に対する炊飯開始の制御をする構成となっている。
【0026】
「かたさ」キー63は、炊飯するご飯の硬さを設定する際に操作するもので、「かたさ」キー63を押圧すると、操作部制御手段58が「かたさ」キー63からの操作信号を受け付けて、表示動作制御手段59が、後述するかたさ選択の表示要素72-2の表示を変更させるようにLCD71を制御する。また「かたさ」キー63は、このキーに対応する名称「かたさ」に加えて、記載「1 しっかり←→やわらか 5」も印刷されており、ユーザが「かたさ」キー63を操作する際に、かたさ選択の表示要素72-2の数字が大きいほどご飯が柔らかめに炊飯される、ということが感覚的に一目で把握できるようにしている。
【0027】
「ねばり」キー64は、炊飯するご飯の粘りを設定する際に操作するもので、「ねばり」キー64を押圧すると、操作部制御手段58が「ねばり」キー64からの操作信号を受け付けて、表示動作制御手段59が、後述するねばり選択の表示要素72-3の表示を変更させるようにLCD71を制御する。また「ねばり」キー64は、このキーに対応する名称「ねばり」に加えて、記載「1 あっさり←→もちもち 5」も印刷されており、ユーザが「ねばり」キー64を操作する際に、ねばり選択の表示要素72-3の数字が大きいほどご飯がもっちりに炊飯される、ということが感覚的に一目で把握できるようにしている。
【0028】
「甘み」キー65は、炊飯するご飯の甘みを設定する際に操作するもので、「甘み」キー65を押圧すると、操作部制御手段58が「甘み」キー65からの操作信号を受け付けて、表示動作制御手段59が、後述する甘み選択の表示要素74-4の表示を変更させるようにLCD71を制御する。
【0029】
タッチセンサ73は、導電性ポリマーによる透明電極部と制御PC板47に接続する接点部との間をパターン配線で繋いだ構成要素が、タッチキーとして複数配設されるものであり、タッチセンサ68下のLCD71に表示される複数の表示要素72の何れかに指先のタッチ操作を行なうことで、その表示要素72の上に配設され、当該表示要素に対応したタッチキーがタッチ操作されて、この表示要素72が選択される構成となっている。
【0030】
表示部18は現在選択された、かたさ選択、ねばり選択、甘み選択の各数値を表示するLCD71で構成される。図3(A)を参照してLCD71に配置される表示要素72を説明すると、「お好み銘柄」の表示要素72-1の下側部分に、選択されたかたさの数値を表示するかたさ選択の表示要素72-2と、選択されたねばりの数値を表示するねばり選択の表示要素72-3と、選択された甘みの数値を表示する甘み選択の表示要素72-4と、が並んで配置される。本実施形態の表示動作制御手段59は、表示要素72-1~72-4をLCD71の左下に表示するようにLCD71を制御しており、操作パネル20において、かたさ選択の表示要素72-2、ねばり選択の表示要素72-3および甘み選択の表示要素72-4が表示される個所の下側に、それぞれ「かたさ」の記載75、「ねばり」の記載76および「甘み」の記載77が印刷されており、表示要素72-2~72-4のどれが何の数値を表示しているのかをユーザが一目で把握できるようにしている。
【0031】
次に図3および図4を参照しつつ、上記構成の炊飯器1について炊飯行程における作用を説明する。本実施形態では、産地によるご飯の炊上がり食感に対する炊き方の選択を適正かつ簡便にするために、ひたし行程における、最初に米へ吸水させる水温および時間、昇圧行程における沸騰するまでの時間、沸騰継続行程における沸騰継続時間および炊き上げ温度、むらし行程におけるむらしの時間および温度など、炊飯行程において温度と時間の組み合わせを変更することにより炊飯加熱量を調整し、品種銘柄ごとに異なる米の食感特性を損なうことのない、ユーザの好みに応じた炊き方のパターンを複数設ける構成としている。
【0032】
本実施形態の炊飯時における動作を説明すると、鍋5内に被炊飯物として米および水を入れ、これを本体2の鍋収容部4にセットした後に、蓋体3を閉じる。それと前後して、炊飯器1の電源プラグをコンセントに差し込んで通電すると、炊飯器1は炊飯や保温が行われていない初期の切(待機)状態となり、表示動作制御手段59は、記憶手段57に記憶された、現在の「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定をかたさ選択の表示要素72-2、ねばり選択の表示要素72-3および甘み選択の表示要素72-4に表示させるようにLCD71を制御し、例えば図3(A)に示されるように、表示動作制御手段59は、かたさ選択の表示要素72-2に「3」、ねばり選択の表示要素72-3に「3」、甘み選択の表示要素72-4に「4」を表示させるようにLCD71を制御する。
【0033】
図4は、品種銘柄米の炊上がり食感情報から各産地の品種銘柄の食感に応じて該当するマトリクス欄に銘柄を配置した表の一例である。この産地品種銘柄米の炊上がり食感情報は、例えば雑誌、Web、米屋販売店などで公開されている情報や日本穀物検定協会の「米の情報提供システム」で公開される、タンパク質やアミローズ含有物などの理化学的な食味傾向、食味試験結果からの各銘柄米の食感データなどを基に作成される。この炊上り食感情報は、新しい銘柄の米が増えた場合や、作付け年度に応じたご飯の食感の変化の情報が網羅され、また、例えば米屋販売店が複数品種の米を食感に応じ混合したブレンド米や、JAグループが集荷、仕入れ、精米、卸売、販売している「パールライス」、例えばJAにいがたの「新潟コシヒカリ」「しらゆきまい」など収穫された米をその土地で精米する「産地精米」、また玄米、胚芽米、分つき米など、各種の銘柄米やブランド米など多様な情報が網羅される。
【0034】
この表では、各産地の品種銘柄の食感を、かたさ食感5段階、ねばり食感5段階の25パターンでマトリクス化しており、各産地の品種銘柄に適した炊飯方法をMap化している。この表は、例えば炊飯器1の取扱説明書や炊飯器1の製造業者のホームページなどに記載されており、ユーザは、この表を参照して炊飯器1の「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定を行なう。例えば、南魚沼産のコシヒカリのお米を炊飯する場合、図4の表に従い「かたさ」の設定を「3」に、「ねばり」の設定を「3」にする。また甘みの設定は、通常「3」で設定されており、甘みを増して炊飯したい場合は甘みの設定を「4」や「5」にシフトアップし、甘みを抑制したさっぱりめで炊飯したい場合は甘みの設定を「2」や「1」にシフトダウンする。なお本願発明はこれに限定されることはなく、この表の記載や数値はあくまで一例である。
【0035】
また図4の表に所望する銘柄米の炊飯方法の設定が登録されていない場合、ユーザは、例えば、「ササニシキ」はねばりが少なめであるという公開された産地品種銘柄米の情報や食感情報から、「かたさ」の設定を「3」に、「ねばり」の設定を「3」にするなど、図4の説明で上述した情報などから所望する銘柄米の「かたさ」や「ねばり」の傾向情報を得て、任意に設定を選択することができる。
【0036】
図4の表を参照すると、同一品種の「コシヒカリ」でも、例えば富山産が「かたさ」の設定が「3」、「ねばり」の設定が「2」であり、新潟産が「かたさ」の設定が「3」、「ねばり」の設定が「4」であるなど、産地によりご飯の炊上がり食感が相違することが理解されよう。また同一品種の「コシヒカリ」で同一県内でも、例えば南魚沼産が「かたさ」の設定が「3」、「ねばり」の設定が「3」であり、新潟産が「かたさ」の設定が「3」、「ねばり」の設定が「4」であるなど、産地によりご飯の炊上がり食感が相違することは周知となっている。そして、例えば「ひとめぼれ」「ヒノヒカリ」「あきたこまち」など、他の米の銘柄でも同様である。本実施形態の炊飯器1では、この産地品種銘柄米の炊上り食感に応じた炊飯方法を選択可能にし、それをLCD71に表示可能にしている。またユーザの好みにより、例えば「コシヒカリ 富山産」の「ねばり」の設定を「3」や「4」にして「もっちり」の傾向にシフトアップする、という調整もできるようにしている。
【0037】
具体的には、操作部19の「かたさ」キー63や「ねばり」キー64、「甘み」キー65を操作すると、それらの操作信号が操作部制御手段58に受け入れられ、条件設定手段60により記憶手段57に記憶された「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定が変更される。そのため「かたさ」キー63、「ねばり」キー64および「甘み」キー65は、炊飯器1の炊飯方法の設定を任意に選択する選択手段として機能している。また変更された設定は、表示動作制御手段59によりLCD71のかたさ選択の表示要素72-2、ねばり選択の表示要素72-3および甘み選択の表示要素72-4にその都度表示される。そのため、これらのかたさ選択の表示要素72-2、ねばり選択の表示要素72-3および甘み選択の表示要素72-4は、選択手段で選択された炊飯方法の設定を表示する表示手段として機能しており、ユーザはこれを目視で確認できる。
【0038】
例えば図3(A)の設定がLCD71に表示されている時、「かたさ」キー63を押動操作するたびに、図3(B)に示されるように、表示動作制御手段59はかたさ選択の表示要素72-2を「4」→「5」と変更するようにLCD71を制御し、また「5」の次は「1」に戻るようにLCD71を制御する。また条件設定手段60は、この時の設定、すなわち選択した炊飯方法の設定を記憶手段57に記憶するように構成される。これは「ねばり」キー64や「甘み」キー65を押動操作したときも同様であり、図3(B)に示されるように、「ねばり」キー64を押動操作するたびに、表示動作制御手段59はねばり選択の表示要素72-2を「4」→「5」→「1」と変更するようにLCD71を制御し、また「甘み」キー65を押動操作するたびに、表示動作制御手段59は甘み選択の表示要素72-2を「5」→「1」→「2」と変更するようにLCD71を制御して、条件設定手段60が、この時の設定を記憶手段57に記憶する。
【0039】
そして「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定後に操作部19の炊飯キー66を操作すると、その操作信号が操作部制御手段58に受け入れられ、条件設定手段60は表示部18に表示された設定を今回の炊飯コースの設定として記憶手段57に記憶し、その設定した炊飯コースに対応する加熱パターンの情報を加熱制御手段40に送出する。これを受けて、設定した炊飯コースの加熱パターンに沿って、加熱制御手段40が、制御用IC42に組み込まれた炊飯制御手段53により、鍋5内の被炊飯物に対するひたし行程、昇温行程、沸騰継続行程、むらし行程の各炊飯動作を行なう。また表示動作制御手段59は、炊飯行程の各炊飯動作の間も設定された「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定をかたさ選択の表示要素72-2、ねばり選択の表示要素72-3および甘み選択の表示要素72-4に表示させるようにLCD71を制御している。なお炊飯キー66を操作したときだけでなく、例えば「切」キー67を操作したときにも、条件設定手段60は表示部18に表示された設定を今回の炊飯コースの設定として記憶手段57に記憶するように構成してもよい。
【0040】
表示・操作制御手段46から送出された情報を受けると、炊飯制御手段53は、鍋センサ14による鍋5の底部の温度検知に基づき加熱コイル12を通断電制御して鍋5を加熱し、鍋5内の水温を所定の温度、例えば45~60℃にまで昇温させて米の吸水を促進させるひたし行程を行なう。ひたし行程は、鍋5内の水温を所定の温度に所定の時間、例えば3分間保持するように構成される。ここで炊飯制御手段53は、受け取った情報に基づき、かたさ選択の表示要素72-2の数値が高いほど、すなわち「かたさ」の設定が“やわらか”であるほど、所定の時間を長くするように加熱コイル12を通断電制御し、またねばり選択の表示要素72-3の数値が高いほど、すなわち「ねばり」の設定が“もっちり”であるほど、所定の時間を長くするように加熱コイル12を通断電制御する。
【0041】
ひたし行程中では鍋5内の圧力が大気圧よりも低い減圧状態となるように、炊飯制御手段53が、ソレノイド27や減圧手段28の動作を各々制御する。具体的には、ひたし行程が開始されると、炊飯制御手段53はソレノイド27を非通電状態から通電状態に切替えて、調圧弁26で蒸気排出経路25を閉塞する。そしてこの状態で、減圧手段28の経路を開放すると共に、減圧ポンプ29を連続動作させ、密閉した鍋5の内部の空気を減圧ポンプ29で抜き取る真空引きを行なう。その後、鍋5内部の圧力が大気圧よりも一定値下がったら減圧ポンプ29の動作を停止する。こうして、ひたし行程の全期間である所定の時間に亘って、鍋5内部を減圧状態に保っている。
【0042】
その後、所定の時間のひたし行程が終了し、次の昇温行程に移行すると、被調理物の沸騰検知を行なうまでの加熱で、炊飯制御手段53は、加熱コイル12を連続通電する制御を行なうことにより、ひたし行程よりも鍋5内の被調理物を強く加熱し、被調理物を短時間で沸騰の温度まで上昇させる。ここで炊飯制御手段53は、受け取った情報に基づき、「ねばり」の設定が“もっちり”であるほど、沸騰の温度まで上昇させる時間を長くして、ゆっくり沸騰するように加熱コイル12を制御し、また甘み選択の表示要素72-4の数値が高いほど、すなわち「甘み」の設定が甘い方であるほど、沸騰の温度まで上昇させる時間を長くして、ゆっくり沸騰するように加熱コイル12を制御する。
【0043】
また炊飯制御手段53は、ひたし行程から引き続いて鍋5の内部を大気圧よりも低い減圧状態に維持するために、減圧手段28の経路を閉塞するように制御している。そのため、ひたし行程から昇温行程に移行した後も、暫くの間は減圧ポンプ29を動作させることなく減圧状態を維持している。こうして、ひたし行程の後の昇温行程でも鍋5内部の被調理物が減圧状態に保持されることで、昇温行程中は100℃以下の温度で水が沸騰する。そのため、米の糊化温度とされる60℃~100℃で被調理物を減圧状態で沸騰させることで、沸騰時の泡で米を舞わせて加熱ムラがなくなり、併せて被調理物を減圧状態にすることで米の芯まで短時間に吸水させることができる。
【0044】
次に、炊飯制御手段53は鍋センサ14からの温度検知信号を取り込んで、鍋5の底部の検知温度が所定温度となる100℃に達したら、鍋5内部の被調理物が減圧状態で沸騰したと判断して、減圧手段28の経路を閉塞させて減圧ポンプ29を動作させないまま、ソレノイド27を一時的に非通電状態にして調圧弁26を退避させる。これにより蒸気排出経路25は、鍋5の内外を密閉せずに連通させた開放状態となり、鍋5内部は直ちに外気と同じ常圧に戻る。その後、炊飯制御手段53がソレノイド27を短時間で通電状態に切替え、鍋5の内部を再び密閉した状態にすると、引き続き、鍋5内部で被調理物を強く加熱しているため、この被調理物が大気圧以上、例えば1.2気圧に達するまで鍋5内部で加圧され、その加圧状態で被調理物を沸騰させることができる。こうして炊飯制御手段53は、昇温行程中に鍋5内部の被調理物が減圧状態で沸騰したと判断したら、鍋5内部を減圧状態から大気圧よりも高い加圧状態へ一気に切替えて、被調理物に圧力ショックを加えるために、ソレノイド27、ひいては調圧部24を構成する調圧弁26の動作を制御して、蒸気排出経路25を一時的に開放している。これにより、加圧状態における米の糊化最適温度である105℃(1.2気圧の場合)で被調理物を沸騰させることで、米の硬さと粘りのバランスを確保し、芯まで一気に米を糊化させることができる。
【0045】
その後、炊飯制御手段53は、鍋5の底部の温度が所定温度以上、例えば90℃以上になったことを鍋センサ14からの温度検知信号により検出し、それに加えて内蓋22の温度が所定温度以上、例えば90℃以上になったことを蓋温度センサ34からの温度検知信号により検出すると、被調理物の加圧状態での沸騰を検知する沸騰検知を開始する。具体的には、引き続き、加熱コイル12や胴ヒータ11を連続通電する制御を行なって鍋5内部で被調理物を強く加熱する一方で、蓋温度センサ34の検知温度が所定の時間にどの程度上昇するのかという検知温度の傾きを算出する。そして炊飯制御手段53は、この蓋温度センサ34の検知温度の傾きが一定値以下になって安定したら、鍋5内部の被調理物が加圧状態で沸騰したと判断して、次の沸騰継続行程に移行する。
【0046】
沸騰継続行程に移行すると、炊飯制御手段53は蓋ヒータ33を制御して蓋加熱を開始させる。ここでの蓋加熱は、内蓋22の温度が所定の温度、例えば100℃になるように、蓋温度センサ34の検知温度により蓋ヒータ33からの加熱量が管理されている。また沸騰継続行程に移行したら、炊飯制御手段53は鍋5内を常圧と大気圧よりも高い温度との間に繰り返し変化させるために、ソレノイド27を周期的に通断電制御して、調圧弁26で蒸気排出経路25を周期的に開閉している。ここで炊飯制御手段53は、受け取った情報に基づき、「ねばり」の設定が“もっちり”であるほど、沸騰を継続させる時間を長くするように加熱コイル12を制御する。
【0047】
そして炊飯制御手段53は、沸騰継続行程で鍋5内部の水が無くなり、鍋センサ14からの鍋5の底部の温度検知信号により所定の温度上昇を生じたことを検出することで、鍋センサ14の検知温度に基づき被調理物の炊き上げを検知する。ここでは、鍋センサ14の検知温度が所定のドライアップ温度に達すると、鍋5内部の被調理物の炊き上がりを検知して沸騰継続行程が終了する。ここで炊飯制御手段53は、受け取った情報に基づき、かたさ選択の表示要素72-2の数値が低いほど、すなわち「かたさ」の設定が“しっかり”であるほど、所定のドライアップ温度を高くするように制御している。沸騰加熱行程が終了すると、次のむらし行程に移行する。
【0048】
むらし行程中は、炊飯制御手段53が蓋温度センサ34の検知温度により、蓋ヒータ22を通断電制御して温度管理を行ない、内蓋22への露付きを防止すると共に、鍋5内部のご飯が焦げない程度に高温が保持されるように、加熱コイル12を通断電制御して鍋5の底部の温度を管理する。むらし行程は所定時間、例えば12分間続けられる。ここで炊飯制御手段53は、受け取った情報に基づき、「かたさ」の設定が“しっかり”であるほど所定時間を長くするように加熱コイル12を通断電制御し、またまた甘み選択の表示要素72-4の数値が低いほど、すなわち「甘み」の設定が甘みを抑制したさっぱりめの方であるほど所定時間を長くするように加熱コイル12を通断電制御する。むらし行程が終了したら、保温制御手段54による保温行程に移行する。
【0049】
以上のように、本実施形態の炊飯器1では、被炊飯物として米と水を内部に収容する鍋5と、鍋5を加熱する加熱手段としての加熱コイル12と、被炊飯物の炊飯方法の設定である「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定を選択する選択手段としての「かたさ」キー63、「ねばり」キー64および「甘み」キー65と、選択された「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定に基づいて加熱コイル12を制御する制御手段としての炊飯制御手段54と、「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定を表示する表示手段として、かたさ選択の表示要素72-2、ねばり選択の表示要素72-3および甘み選択の表示要素72-4を表示するLCD71と、選択された「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定を記憶する記憶手段57と、を備え、「かたさ」キー63、「ねばり」キー64および「甘み」キー65は、品種銘柄米の炊上がり食感情報である、例えば図4の表に基づいて「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定を選択可能である構成としている。そのため、予め記憶手段57に記憶された特定の品種銘柄米以外でも、例えば図4の表に記載されたすべての品種銘柄米に応じた炊飯方法である「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定を選択することができる。
【0050】
また本実施形態の炊飯器1では、記憶手段57に記憶された「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定は、「かたさ」キー63、「ねばり」キー64および「甘み」キー65により任意に変更可能である構成としており、「炊飯」キー66や「切」キー67を操作することで変更された設定を記憶手段57に自動的に記憶する構成であるため、ユーザが変更された設定を改めて記憶手段57に記憶させる操作を行なう必要がなく、ユーザの手間を省くことができる。
【0051】
また本実施形態の炊飯器1では、記憶手段57に記憶された「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定は、例えば「コシヒカリ 南魚沼」や「コシヒカリ 富山」などの産地品種銘柄米に応じて、例えば図4の表から設定可能であり、この産地品種銘柄米に応じた設定を「かたさ」キー63、「ねばり」キー64および「甘み」キー65により選択可能である構成としている。そのため、産地により炊上り食感が異なる品種銘柄米に応じた炊飯方法の設定の選択をすることができる。
【0052】
また本実施形態の炊飯器1では、「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定は、例えば図4の表に登録されていない「ササニシキ」の「かたさ」および「ねばり」の設定など、記憶手段57に記憶された「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の以外の設定も含み、「かたさ」キー63、「ねばり」キー64および「甘み」キー65は、この記憶手段57に記憶された以外の設定を、例えば雑誌、Web、米屋販売店などで公開されている情報や日本穀物検定協会の「米の情報提供システム」で公開される、タンパク質やアミローズ含有物などの理化学的な食味傾向、食味試験結果からの各銘柄米の食感データなどを基に作成され、公開された産地品種銘柄米の情報や食感情報を基に選択する構成としている。そのため、公開された産地品種銘柄米の情報や食感情報を参考に、ユーザの好みに応じた炊飯方法の設定を任意に選択することができる。
【0053】
図5は、第1の実施形態の変形例を示している。この変形例では、「かたさ」キー63や「ねばり」キー64の代わりに「炊き方」キー78、増加調整用キー79および減少調整用キー80により「かたさ」および「ねばり」の設定を選択している。その他の構成は第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0054】
図5(A)~図5(C)は、本実施形態の炊飯器1の変形例の要部の上面図である。「炊き方」キー78は操作パネル20の右側部分に配置され、その下に記載「▲」が印刷された増加調整用キー79と、記載「▼」が印刷された減少調整用キー80とが並んで配置されている。上記構成の炊飯器1についてその作用を説明すると、図5(A)のときに「かたさ」および「ねばり」の設定を選択する場合、操作部19の「炊き方」キー78を1回押圧操作すると、その操作信号が操作部制御手段58に受け入れられ、図5(B)に示されるように、表示動作制御手段59はかたさ選択の表示要素72-2を点滅させるようにLCD71を制御する。そして表示動作制御手段59は、かたさ選択の表示要素72-2の点滅時に、増加調整用キー79を押動操作するたびにかたさ選択の表示要素72-2に表示された数値を増加させるようにLCD71を制御し、また減少調整用キー80を押動操作するたびに当該数値を減少させるようにLCD71を制御する。このようにして増加調整用キー79や減少調整用キー80を操作し、かたさ選択の表示要素72-2の数値をアップダウンさせることで「かたさ」の設定を選択する。
【0055】
「かたさ」の設定の選択後、操作部19の「炊き方」キー78を1回押圧操作すると、その操作信号が操作部制御手段58に受け入れられ、図5(C)に示されるように、表示動作制御手段59は、かたさ選択の表示要素72-2の点滅を点灯に変更させ、ねばり選択の表示要素72-3を点滅させるようにLCD71を制御する。そして表示動作制御手段59は、ねばり選択の表示要素72-3の点滅時に、増加調整用キー79を押動操作するたびにねばり選択の表示要素72-3に表示された数値を増加させるようにLCD71を制御し、また減少調整用キー80を押動操作するたびに当該数値を減少させるようにLCD71を制御する。このようにして増加調整用キー79や減少調整用キー80を操作し、ねばり選択の表示要素72-3の数値をアップダウンさせることで「ねばり」の設定を選択している。「甘み」の設定の選択や、この後の作用については第1の実施形態で説明した通りである。したがって本変形例の構成でも、第1の実施形態と同様の作用効果を発揮し、予め記憶手段57に記憶された特定の品種銘柄米以外でも品種銘柄米に応じた炊飯方法である「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定を選択することができる。
【0056】
図6は、本実施形態の炊飯器1のさらなる変形例を示している。この変形例では、上述した変形例の「炊き方」キー78のみを使用して、「かたさ」および「ねばり」の設定を選択している。その他の構成は第1の実施形態および変形例と同様であるので、説明を省略する。
【0057】
上記構成の炊飯器1について、図6を参照しながらその作用を説明すると、図6のときに「かたさ」および「ねばり」の設定を選択する場合、操作部19の「炊き方」キー78を押圧操作するたびに、その操作信号が操作部制御手段58に受け入れられ、表示動作制御手段59はかたさ選択の表示要素72-2やねばり選択の表示要素72-3に表示された数値を変更するようにLCD71を制御する。例えば、図6のときに「炊き方」キー78を押圧操作するたび、例えば、かたさ選択の表示要素72-2の数値が「4」→「5」→「1」と変化していき、かたさ選択の表示要素72-2の数値が「2」のときに「炊き方」キー78を押圧操作すると、かたさ選択の表示要素72-2の数値が「3」に変化し、合わせてねばり選択の表示要素72-3の数値が「4」に変化する。
【0058】
こうして「炊き方」キー78を押圧操作するたびに、かたさ選択の表示要素72-2やねばり選択の表示要素72-3の数値が変化し、「炊き方」キー78を25回押圧操作すると、元の設定であるかたさ選択の表示要素72-2の数値が「3」、ねばり選択の表示要素72-3の数値が「3」になる。このようにして「炊き方」キー78を操作し、かたさ選択の表示要素72-2の数値やねばり選択の表示要素72-3の数値を変化させることで、所望の「かたさ」および「ねばり」の設定を選択する。したがって本変形例の構成でも、第1の実施形態や変形例と同様の作用効果を発揮し、予め記憶手段57に記憶された特定の品種銘柄米以外でも品種銘柄米に応じた炊飯方法である「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定を選択することができる。
【実施例2】
【0059】
図7は、第2の実施形態を示している。本実施形態では、複数の炊飯方法の設定を記憶手段57に記憶しており、これらの設定をLCD71に表示して、「お好み銘柄」キー83により選択する構成にしている。その他の構成は第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0060】
図7(A)を参照して説明すると、「お好み銘柄」キー83は、操作パネル20の下側部分の、「かたさ」の記載75、「ねばり」の記載76および「甘み」の記載77の下に配置される。またLCD71に配置される表示要素72を説明すると、表示要素72-1の代わりに「お好み銘柄(1)」の表示要素72-1’が配置され、その右側に「お好み銘柄(2)」の表示要素72-5が配置される。この表示要素72-5の下側部分に、第2のかたさ選択の表示要素72-6と、第2のねばり選択の表示要素72-7と、第2の甘み選択の表示要素72-8と、が並んで配置される。また本実施形態の表示動作制御手段59は、表示要素72-5~72-8をLCD71の右下に表示するようにLCD71を制御しており、操作パネル20において、第2のかたさ選択の表示要素72-6、第2のねばり選択の表示要素72-7および第2の甘み選択の表示要素72-8が表示される個所の下側に、それぞれ「かたさ」の記載84、「ねばり」の記載85および「甘み」の記載86が印刷されており、表示要素72-6~72-8のどれが何の数値を表示しているのかをユーザが一目で把握できるようにしている。
【0061】
次に上記構成の炊飯器1についてその作用を説明すると、図7(A)のときに「かたさ」および「ねばり」の設定を選択する場合、操作部19の「お好み銘柄」キー83を1回押圧操作すると、その操作信号が操作部制御手段58に受け入れられ、図7(B)に示されるように、表示動作制御手段59は「お好み銘柄(1)」の表示要素72-1’を点滅させるようにLCD71を制御する。そして第1の実施形態で説明したように、操作部19の「かたさ」キー63や「ねばり」キー64、「甘み」キー65を操作すると、それらの操作信号が操作部制御手段58に受け入れられ、条件設定手段60により記憶手段57に記憶された「お好み銘柄(1)」の「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定が変更され、また変更された設定が、表示動作制御手段59によりLCD71のかたさ選択の表示要素72-2、ねばり選択の表示要素72-3および甘み選択の表示要素72-4にその都度表示される。ここで「炊飯」キー66を押圧操作すると、その操作信号が操作部制御手段58に受け入れられ、条件設定手段60は表示部18に表示された「お好み銘柄(1)」の設定を今回の炊飯コースの設定として記憶手段57に記憶し、その設定した炊飯コースに対応する加熱パターンの情報を加熱制御手段40に送出する。
【0062】
その一方で、「炊飯」キー66ではなく「お好み銘柄」キー83を1回押圧操作すると、その操作信号が操作部制御手段58に受け入れられ、表示動作制御手段59は、「お好み銘柄(1)」の表示要素72-1’の点滅を点灯に変更させ、「お好み銘柄(2)」の表示要素72-5を点滅させるようにLCD71を制御する。このとき、操作部19の「かたさ」キー63や「ねばり」キー64、「甘み」キー65を操作すると、それらの操作信号が操作部制御手段58に受け入れられ、条件設定手段60により記憶手段57に記憶された「お好み銘柄(2)」の「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定が変更され、また変更された設定が、表示動作制御手段59によりLCD71の第2のかたさ選択の表示要素72-6、第2のねばり選択の表示要素72-7および第2の甘み選択の表示要素72-8にその都度表示される。ここで「炊飯」キー66を押圧操作すると、その操作信号が操作部制御手段58に受け入れられ、条件設定手段60は表示部18に表示された「お好み銘柄(2)」の設定を今回の炊飯コースの設定として記憶手段57に記憶し、その設定した炊飯コースに対応する加熱パターンの情報を加熱制御手段40に送出する。
【0063】
以上のように、本実施形態の炊飯器1では、記憶手段57は複数の炊飯方法の設定である「お好み銘柄(1)」「お好み銘柄(2)」を記憶し、LCD71は、記憶手段57に記憶された「お好み銘柄(1)」の「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定を、LCD71のかたさ選択の表示要素72-2、ねばり選択の表示要素72-3および甘み選択の表示要素72-4に表示し、かつ、記憶手段57に記憶された「お好み銘柄(2)」の「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定を、第2のかたさ選択の表示要素72-6、第2のねばり選択の表示要素72-7および第2の甘み選択の表示要素72-8に表示して、記憶手段57に記憶された「お好み銘柄(1)」「お好み銘柄(2)」をLCD71に全部表示する構成としている。そのため、例えば図4の表に示された所望の品種銘柄米の炊飯方法の設定を複数記憶することができ、「お好み銘柄(1)」「お好み銘柄(2)」を選択するだけで、毎回「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定をし直す必要がなくなり、ユーザの手間を省くことができる。
【0064】
なお本実施形態では、「お好み銘柄(1)」および「お好み銘柄(2)」の2つの設定で説明したが、3つ以上設定を設ける構成にしてもよい。
【0065】
図8は、第2の実施形態の変形例を示している。この変形例では、「かたさ」および「ねばり」の設定を行なうと、表示動作制御手段59は銘柄選択の表示要素72-10,72-12に、図4の表に基づいて、その「かたさ」および「ねばり」の設定の品種銘柄米の名前を表示するようにLCD71を制御している。
【0066】
図8を参照してLCD71に配置される表示要素72を説明すると、「お好み銘柄(1)」の表示要素72-1’の下に第1の銘柄選択の表示要素72-10が配置され、その下に「甘み」の表示要素72-11と甘み選択の表示要素72-4とが並べて配置される。また「お好み銘柄(2)」の表示要素72-5の下に第2の銘柄選択の表示要素72-12が配置され、その下に「甘み」の表示要素72-13と第2の甘み選択の表示要素72-8とが並べて配置される。そして操作パネル20において、「かたさ」の記載75,84、「ねばり」の記載76,85および「甘み」の記載77,86が印刷されていない。また記憶手段57は、例えば図4に示される品種銘柄米の表を記憶するように構成される。その他の構成は第2の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0067】
次に上記構成の炊飯器1についてその作用を説明すると、図8のときに「かたさ」および「ねばり」の設定を選択する場合、操作部19の「お好み銘柄」キー83を1回押圧操作すると、その操作信号が操作部制御手段58に受け入れられ、表示動作制御手段59は「お好み銘柄(1)」の表示要素72-1’を点滅させ、例えば第1の銘柄選択の表示要素72-10の場所に、かたさ選択の表示要素72-2およびねばり選択の表示要素72-3を表示させるようにLCD71を制御する。そして第2の実施形態と同様に、操作部19の「かたさ」キー63や「ねばり」キー64、「甘み」キー65を操作すると、条件設定手段60により記憶手段57に記憶された「お好み銘柄(1)」の「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定が変更される。
【0068】
ここで表示動作制御手段59は、変更された「かたさ」および「ねばり」の設定を、記憶手段57に記憶された品種銘柄米の表と照らし合わせ、該当する米の銘柄を第1の銘柄選択の表示要素72-10に表示させるようにLCD71を制御する。例えば「お好み銘柄(1)」の「かたさ」の設定を「3」、「ねばり」の設定を「3」にした場合、品種銘柄米の表では「コシヒカリ 南魚沼」が該当するので、表示動作制御手段59は「コシヒカリ 南魚沼」を第1の銘柄選択の表示要素72-10に表示させるようにLCD71を制御する。なお品種銘柄米の表に該当する米の銘柄が無い場合は、第2の実施形態と同様に、表示動作制御手段59は変更された「かたさ」および「ねばり」の設定をかたさ選択の表示要素72-2およびねばり選択の表示要素72-3に表示させるようにLCD71を制御してもよい。
【0069】
「お好み銘柄(2)」の設定も同様にして行われ、「お好み銘柄(2)」の表示要素72-5の点滅時に操作部19の「かたさ」キー63や「ねばり」キー64、「甘み」キー65を操作すると、条件設定手段60により記憶手段57に記憶された「お好み銘柄(1)」の「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定が変更される。ここで表示動作制御手段59は、変更された「かたさ」および「ねばり」の設定を、記憶手段57に記憶された品種銘柄米の表と照らし合わせ、該当する米の銘柄を第2の銘柄選択の表示要素72-12に表示させるようにLCD71を制御し、例えば「お好み銘柄(2)」の「かたさ」の設定を「3」、「ねばり」の設定を「2」にした場合、品種銘柄米の表では「ひとめぼれ」が該当するので、条件設定手段60は「ひとめぼれ」を第1の銘柄選択の表示要素72-10に表示させるようにLCD71を制御する。その後の作用は第2の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0070】
以上のように、本実施形態の炊飯器1では、記憶手段57は複数の炊飯方法の設定である「お好み銘柄(1)」「お好み銘柄(2)」を記憶し、LCD71は、記憶手段57に記憶された「お好み銘柄(1)」の「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定を、LCD71の第1の銘柄選択の表示要素72-10および甘み選択の表示要素72-4に表示し、かつ、記憶手段57に記憶された「お好み銘柄(2)」の「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定を、第2の銘柄選択の表示要素72-12および第2の甘み選択の表示要素72-8に表示する構成としている。そのため、「お好み銘柄(1)」の設定および「お好み銘柄(2)」の設定が米の銘柄と「甘み」の設定とで表示され、ユーザが炊飯方法の設定をより把握できるようになる。
【0071】
図9は、第2の実施形態のさらなる変形例を示している。この変形例では第1の実施形態の変形例と同様に、「炊き方」キー78のみを使用して、「お好み銘柄(1)」の設定および「お好み銘柄(2)」の設定を選択している。その他の構成は第2の実施形態および変形例と同様であるので、説明を省略する。
【0072】
上記構成の炊飯器1について、図9を参照しながらその作用を説明すると、図9のときに「お好み銘柄(1)」の設定を選択する場合、操作部19の「お好み銘柄」キー83を1回押圧操作すると、表示動作制御手段59は「お好み銘柄(1)」の表示要素72-1’を点滅させるようにLCD71を制御する。このとき、「炊き方」キー78を押圧操作するたび、表示動作制御手段59は第1の銘柄選択の表示要素72-10が、例えば「コシヒカリ 南魚沼」→「ひとめぼれ」→「ヒノヒカリ」と表示を変化させるようにLCD71を制御する。
【0073】
「お好み銘柄(2)」の設定も同様にして行われ、「お好み銘柄(2)」の表示要素72-5の点滅時に「炊き方」キー78を押圧操作するたび、表示動作制御手段59は第2の銘柄選択の表示要素72-12が、例えば「ひとめぼれ」→「ヒノヒカリ」→「ななつぼし」と表示を変化させるようにLCD71を制御する。その他の構成は第2の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0074】
以上のように本変形例の炊飯器1では、記憶手段57に記憶された「お米の銘柄」および「甘み」の設定は、「炊き方」キー78および「甘み」キー65により任意に変更可能である構成としており、「炊飯」キー66や「切」キー67を操作することで変更された設定を記憶手段57に自動的に記憶する構成であるため、ユーザが変更された設定を改めて記憶手段57に記憶させる操作を行なう必要がなく、ユーザの手間を省くことができる。
【0075】
図10は、第2の実施形態のさらなる変形例を示している。この変形例では「お好み銘柄(1)」の設定のみ、もしくは「お好み銘柄(2)」の設定のみを表示するようにLCD71を制御し、「お好み銘柄(1)」の設定および「お好み銘柄(2)」の設定を「お好み銘柄」キー83で切り替える構成としている。
【0076】
図10(A)を参照して、LCD71に表示される「お好み銘柄(1)」の設定の表示要素72を説明すると、「お好み銘柄(1)」の表示要素72-1’の下に第1の銘柄選択の表示要素72-10が配置され、それらの右側に「甘み」の表示要素72-11と甘み選択の表示要素72-4とが並べて配置される。また本実施形態の表示動作制御手段59は、表示要素72-1’および表示要素72-10をLCD71の左下に表示し、表示要素72-11および表示要素72-4をLCD71の右下に表示するようにLCD71を制御している。
【0077】
また図10(B)を参照してLCD71に表示される「お好み銘柄(2)」の設定の表示要素72を説明すると、「お好み銘柄(2)」の設定の配置と同様に、「お好み銘柄(1)」の表示要素72-5の下に第1の銘柄選択の表示要素72-12が配置され、それらの右側に「甘み」の表示要素72-13と甘み選択の表示要素72-8とが並べて配置され、表示要素72-5および表示要素72-12がLCD71の左下に表示され、表示要素72-13および表示要素72-8がLCD71の右下に表示されている。
【0078】
次に上記構成の炊飯器1についてその作用を説明すると、図10(A)のときに「お好み銘柄(2)」の設定を選択する場合、操作部19の「お好み銘柄」キー83を1回押圧操作すると、その操作信号が操作部制御手段58に受け入れられ、図10(B)に示されるように、表示動作制御手段59は「お好み銘柄(2)」の設定を表示させるようにLCD71を制御する。また図10(B)のときに「お好み銘柄(1)」の設定を選択する場合、操作部19の「お好み銘柄」キー83を1回押圧操作すると、その操作信号が操作部制御手段58に受け入れられ、図10(A)に示されるように、表示動作制御手段59は「お好み銘柄(1)」の設定を表示させるようにLCD71を制御する。そのため、「お好み銘柄(1)」「お好み銘柄(2)」を選択するだけで、毎回「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定をし直す必要がなくなり、ユーザの手間を省くことができる。
【0079】
ここで、「お好み銘柄(1)」の設定や「お好み銘柄(2)」の設定を変更する場合、その変更したい設定がLCD71に表示されているときに操作部19の「かたさ」キー63や「ねばり」キー64、「甘み」キー65を操作すると、それらの操作信号が操作部制御手段58に受け入れられ、条件設定手段60により記憶手段57に記憶された「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定が変更され、また変更された設定が、表示動作制御手段59によりLCD71にその都度表示される。その他の構成は第2の実施形態および変形例と同様であるので、説明を省略する。
【実施例3】
【0080】
図11は、第3の実施形態を示している。本実施形態では、お好み銘柄の設定に加えて品種銘柄米の一覧をLCD71に表示し、そこから「銘柄」キー87で米の銘柄を選択することで、炊飯方法の「かたさ」および「ねばり」の設定を行なう構成にしている。その他の構成は第1の実施形態および第2の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0081】
図11を参照して説明すると、「銘柄」キー87は操作パネル20の右側部分に配置され、操作パネル20の下側部分に「お好み銘柄」キー83、「炊き方」キー78および「甘み」キー65が並べて配置される。またLCD71に配置される表示要素72を説明すると、品種銘柄米の一覧である「コシヒカリ」の表示要素72-15、「ひとめぼれ」の表示要素72-16、「ヒノヒカリ」の表示要素72-17、「あきたこまち」の表示要素72-18、「ななつぼし」の表示要素72-19、「キヌヒカリ」の表示要素72-20、「にこまる」の表示要素72-21および「つや姫」の表示要素72-22がLCD71の上部に配置される。そして、これらの銘柄の米は記憶手段57に記憶された品種銘柄米の表の中にもあり、本実施形態では、表示動作制御手段59は、この品種銘柄米の表にある銘柄の米がすべて表示されるようにLCD71を制御している。なお、これらの米の銘柄は一例であり、他の米の銘柄が表示されてもよい。また本実施形態では、記憶手段57に記憶された表にある銘柄の米がすべて表示されるが、例えば8~12銘柄に限定して表示するように構成してもよい。
【0082】
記憶手段57に記憶された品種銘柄米の表は、作付けの多い品種銘柄の米や複数の都道府県産地品種銘柄の米、人気のある銘柄米や日本全土の地元産品種銘柄米が登録されるが、特に日本各地の地元が推奨する品種銘柄米が登録されていることが好ましく、例えば地元のスーパーや米の販売店、デパートなどでの販売量が多く、地元の需要も多い品種銘柄米を「お好み銘柄」の設定と合わせて表示することができる。
【0083】
次に上記構成の炊飯器1についてその作用を説明すると、図11のときに「かたさ」および「ねばり」の設定を選択する場合、操作部19の「銘柄」キー87を押圧操作するたびに、その操作信号が操作部制御手段58に受け入れられ、表示動作制御手段59は表示要素72-15~72-22でカーソル表示を移動させるようにLCD71を制御する。例えば、図11のときに「銘柄」キー87を1回押圧操作すると、表示動作制御手段59は「コシヒカリ」の表示要素72-15の背景を黒くして文字を白抜きにするカーソル表示を行ない、併せて第1の銘柄選択の表示要素72-10に「コシヒカリ 南魚沼」と表示するようにLCD71を制御する。この状態のときに「銘柄」キー87をもう1回押圧操作すると、表示動作制御手段59は「コシヒカリ」の表示要素72-15の背景を白くして文字を黒くする元の表示に戻し、「ひとめぼれ」の表示要素72-16をカーソル表示にして、第1の銘柄選択の表示要素72-10に「ひとめぼれ」と表示するようにLCD71を制御する。その後の作用は第2の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0084】
なお本実施形態では、「銘柄」キー87を操作することで米の銘柄を選択する構成としているが、LCD71に表示された表示要素72-15~72-22の上に配置されたタッチセンサ68をタッチ操作することにより、米の銘柄を直接選択する構成にしてもよい。
【0085】
以上のように、本実施形態の炊飯器1では、記憶手段57は、炊飯方法の設定として、例えば図4の表のような品種銘柄米の炊上がり食感情報を記憶し、LCD71は、炊飯方法の設定としての「お好み銘柄」の設定に加えて、品種銘柄米の炊上がり食感情報の米の銘柄である表示要素72-15~72-22を表示する構成としている。そのため、品種銘柄米の炊上がり食感情報に作付けの多い品種銘柄の米や複数の都道府県産地品種銘柄の米、人気のある銘柄米や日本全土の地元産品種銘柄米を予め品種銘柄米の表に登録することで、例えば「かたさ」および「ねばり」の設定をしておけば、LCD71の表示を選択するだけで炊飯方法の設定をすることができ、例えば取扱説明書や炊飯器1の製造業者のホームページで品種銘柄米の炊上がり食感情報の表を確認する手間を省くことができる。
【0086】
図12は、第3の実施形態の変形例を示している。この変形例では、第2の実施形態の炊飯器1に第3の実施形態の炊飯器1の機能を追加している。
【0087】
上記構成の炊飯器1について、図12を参照してその作用を説明すると、図12のときに「かたさ」および「ねばり」の設定を選択する場合、「お好み銘柄」キー83を1回押圧操作すると、第2の実施形態で説明したように、表示動作制御手段59は「お好み銘柄(1)」の表示要素72-1’を点滅させるようにLCD71を制御する。ここで、「銘柄」キー87を押圧操作するたびに、その操作信号が操作部制御手段58に受け入れられ、表示動作制御手段59は表示要素72-15~72-22でカーソル表示を移動させるようにLCD71を制御する。そして表示動作制御手段59は、カーソル表示された銘柄の米の「かたさ」および「ねばり」の設定を、かたさ選択の表示要素72-2およびねばり選択の表示要素72-3に表示させるようにLCD71を制御する。このように構成することでも、LCD71の表示を選択するだけで炊飯方法の設定をすることができ、例えば取扱説明書や炊飯器1の製造業者のホームページで品種銘柄米の炊上がり食感情報の表を確認する手間を省くことができる。
【実施例4】
【0088】
図13は、第4の実施形態を示している。本実施形態では、第3の実施形態に加えて、「お好み銘柄(2)」の表示要素72-5も同時に表示され、「お好み銘柄(2)」の表示要素72-5の炊飯方法の設定は、第2のかたさ選択の表示要素72-6および第2のねばり選択の表示要素72-7を表示する構成にしている。その他の構成は第1の実施形態~第3の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0089】
図13(A)を参照してLCD71に配置される表示要素72を説明すると、第3の実施形態の表示要素72に加えて、「お好み銘柄(1)」の表示要素72-1’と「甘み」の表示要素72-11との間に「お好み銘柄(2)」の表示要素72-5が配置され、第1の銘柄選択の表示要素72-10と甘み選択の表示要素72-4との間に、第2のかたさ選択の表示要素72-6および第2のねばり選択の表示要素72-7が並んで配置される。また第2のかたさ選択の表示要素72-6の左側に「かたさ」の表示要素72-26が配置され、第2のねばり選択の表示要素72-7の左側に「ねばり」の表示要素72-27が配置される。また本実施形態の甘み選択の表示要素72-4は、数値に加えて、「やや強め」という甘みの評価も表示する構成となっている。
【0090】
次に上記構成の炊飯器1についてその作用を説明すると、図13(A)のときに米の銘柄を選択して「かたさ」および「ねばり」の設定を行なう場合、第3の実施形態で説明したように、例えば「あいちのかおり」の表示要素72-24の上に配置されたタッチセンサ68をタッチ操作すると、その操作信号が操作部制御手段58に受け入れられ、図13(B)に示されるように、表示動作制御手段59は「あいちのかおり」の表示要素72-24のカーソル表示を行ない、併せて第1の銘柄選択の表示要素72-10に「コシヒカリ 南魚沼」と表示するようにLCD71を制御する。また、お好みで「かたさ」および「ねばり」の設定を行なう場合、操作部19の「お好み銘柄」キー83を1回押圧操作すると、その操作信号が操作部制御手段58に受け入れられ、表示動作制御手段59は「お好み銘柄(2)」の表示要素72-5、第2のかたさ選択の表示要素72-6および第2のねばり選択の表示要素72-7をカーソル表示するようにLCD71を制御する。このときの「かたさ」および「ねばり」の設定の方法は第1の実施形態~第3の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0091】
図14は、本実施形態の炊飯器1のコンセントを挿入して電源投入する前から電源を投入して「お好み銘柄(1)」の設定の画面になるまでの、LCD71の表示の移り変わりを示している。図14(A)を参照して説明すると、「メニュー」キー88は、後述する炊飯メニューを選択する際に操作されるもので、「メニュー」キー88を押圧操作すると、操作部制御手段58が「メニュー」キー88からの操作信号を受け付けて、表示動作制御手段59は図14(B)に示されるような炊飯メニューの選択画面を表示するようにLCD71を制御する。また炊飯メニューの選択画面のときに、「→」と印刷されたすすむキー89を押圧操作するたびに炊飯コースの表示要素のカーソル表示を右に移動させるようにLCD71を制御し、また「←」と印刷されたもどるキー90を押圧操作するたびに炊飯コースの表示要素のカーソル表示を左に移動させるようにLCD71を制御する。
【0092】
またLCD71に表示される表示要素72を説明すると、現在時刻を表示する時計用表示要素72-29がLCD71の左上に配置され、その右側に、お米の銘柄の表示要素である表示要素72-15~72-24が縦横に並べて配置される。「お好み銘柄(1)」の表示要素72-1’および第1の銘柄選択の表示要素72-10の右側には、炊飯コースの表示要素である「白米」の表示要素72-30が配置される。そして「お好み銘柄(1)」の表示要素72-1’、第1の銘柄選択の表示要素72-10および「白米」の表示要素72-30がカーソル表示されている。
【0093】
上記構成の炊飯器1についてその作用を説明すると、炊飯器1の電源投入前は、図示しない電池などを電源として、LCD71は図14(A)に示されるような表示を行なう。このとき、炊飯器1のコンセントを挿入して電源投入すると、図14(B)に示されるように、表示動作制御手段59は「白米」の表示要素72-30に加えて、炊飯コースの表示要素である「炊込み」の表示要素72-31、「おかゆ」の表示要素72-32、「玄米」の表示要素72-33、「白米早炊き」の表示要素72-34、「リゾット」の表示要素72-35および「パエリア」の表示要素72-36を縦横に並べて表示する炊飯メニューの選択画面を表示するようにLCD71を制御し、お米の銘柄の表示要素である表示要素72-15~72-24を消灯させるようにLCD71を制御する。
【0094】
図14(B)のときに「お好み銘柄」キー83を操作すると、操作部制御手段58が「お好み銘柄」キー83からの操作信号を受け付けて、図14(B)に示されるように、表示動作制御手段59が、お米の銘柄の表示要素72-15~72-24を点灯させるようにLCD71を制御し、併せて炊飯コースの表示要素である表示要素72-30~72-36を消灯させて、「お好み銘柄(2)」の表示要素72-5、「かたさ」の表示要素72-26、第2のかたさ選択の表示要素72-6、「ねばり」の表示要素72-27、第2のねばり選択の表示要素72-7、「甘み」の表示要素72-11および甘み選択の表示要素72-4が表示されるようにLCD71を制御する。その結果、ユーザは予め記憶手段57に記憶された品種銘柄米の全てと、ユーザがお好みで登録した「お好み銘柄(2)」の設定とを、LCD71の画面を切り替えることなく視認することができ、炊飯方法の設定をするときにLCD71の画面を切り替える必要がないのでユーザの煩わしさを解消することができる。
【0095】
また本実施形態のお米の銘柄の表示要素である表示要素72-15~72-24は、例えば図14(A)(C)や図15に示されるように、ピクトグラム化して簡素化して表示している。そのため、品種銘柄米の名称をコンパクトにして表示することができ、限られたLCD71の表示スペースの中でお米の銘柄をより多く表示でき、またLCD71の小型化が可能になる。その一方で、品種銘柄米の名称のサイズを大きく表示することもでき、また同種の文字の羅列よりも視認しやすいメリハリのある表示にすることができ、表示要素72-15~72-24の視認性を向上させることができる。
【0096】
以上のように、本実施形態の炊飯器1では、炊飯方法の設定である第2のかたさ選択の表示要素72-6および第2のねばり選択の表示要素72-7と、品種銘柄米の炊上がり食感情報の米の銘柄であるお米の銘柄の表示要素72-15~72-24とをLCD71に同時に表示する構成としている。そのため、ユーザは予め記憶手段57に記憶された品種銘柄米の全てと、ユーザがお好みで登録した「お好み銘柄(2)」の設定とを、LCD71の画面を切り替えることなく視認することができ、炊飯方法の設定をするときにLCD71の画面を切り替える必要がないのでユーザの煩わしさを解消することができる。
【0097】
また本実施形態の炊飯器1では、LCD71がお米の銘柄の表示要素72-15~72-24をピクトグラム化して表示する構成としており、限られたLCD71の表示スペースの中で、表示要素72-15~72-24をメリハリのある表示にすることができ、これらの表示要素72-15~72-24の視認性を向上させることができる。
【0098】
図16は本発明の炊飯器の第4の実施形態の変形例を示している。本変形例では、おすすめ銘柄の産地品種銘柄米および異なる食感の産地品種銘柄米をLCD71に表示する構成にしている。
【0099】
図16を参照してLCD71に配置される表示要素72を説明すると、第3の実施形態における品種銘柄米の炊上がり食感情報の米の銘柄である表示要素72-15~72-22の代わりに、「おすすめ銘柄」の表示要素72-38、おすすめ銘柄選択の表示要素72-39、「いつもと違う食感」の表示要素72-40および異なる食感選択の表示要素72-41が縦横に並べて配置される。
【0100】
次に上記構成の炊飯器1についてその作用を説明すると、第4の実施形態で説明したように、炊飯器1の電源投入前は、図示しない電池などを電源として、LCD71は図14(A)に示されるような表示を行なう。このとき、炊飯器1のコンセントを挿入して電源投入すると、図16に示されるように、表示動作制御手段59は、記憶手段57に記憶され、前回選択された米の銘柄の設定に近い設定の米の銘柄、例えば「かたさ」の設定が「1」以内であり、ねばりの設定が「1」以内の米の銘柄を記憶手段57に記憶された図4の表から選出し、おすすめ銘柄選択の表示要素72-39に表示するようにLCD71を制御する。例えば、前回選択された米の銘柄が「かたさ」の設定が「3」、ねばりの設定が「3」の「コシヒカリ 南魚沼」である場合、表示動作制御手段59は、「かたさ」の設定が「4」、ねばりの設定が「4」の「ゆめぴりか」をおすすめ銘柄選択の表示要素72-39に表示するようにLCD71を制御する。このように構成することで、ユーザがいつも食べているご飯の食感に近い食感の米の銘柄をユーザに提案できる。
【0101】
また表示動作制御手段59は、記憶手段57に記憶され、前回選択された米の銘柄の設定と遠く異なる設定の米の銘柄を記憶手段57に記憶された図4の表から選出し、異なる食感選択の表示要素72-41に表示するようにLCD71を制御する。例えば前述の「コシヒカリ 南魚沼」である場合、表示動作制御手段59は、「かたさ」の設定が「1」、「ねばり」の設定が「2」の「あきたこまち」を異なる食感選択の表示要素72-41に表示するようにLCD71を制御する。このように構成することで、ユーザがいつも食べているご飯とは異なる食感の米の銘柄をユーザに提案できる。
【0102】
その後、図16のときに「お好み銘柄」キー83を操作すると、操作部制御手段58が「お好み銘柄」キー83からの操作信号を受け付けて、図14(B)に示されるように、表示動作制御手段59が、「おすすめ銘柄」の表示要素72-38、おすすめ銘柄選択の表示要素72-39、「いつもと違う食感」の表示要素72-40および異なる食感選択の表示要素72-41を消灯させて、お米の銘柄の表示要素72-15~72-24を点灯させるようにLCD71を制御する。この後の作用は第4の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0103】
以上のように本変形例の炊飯器1では、記憶手段57は、品種銘柄米の炊上がり食感情報をマトリクス化して前記炊飯方法をMap化した、例えば図4に示される表を記憶し、LCD71は、この図4に示される表に基づき、選択された炊飯方法の設定と近い設定の銘柄の米および遠い設定の銘柄の米を表示する構成としている。そのため、ユーザがいつも食べているご飯の食感に近い食感の米の銘柄をユーザに提案でき、またユーザがいつも食べているご飯とは異なる食感の米の銘柄をユーザに提案できる。
【実施例5】
【0104】
図17は本発明の炊飯器の第5の実施形態を示している。本実施形態では、表示・操作制御手段46は、情報端末と通信可能な送受信部91をさらに有しており、記憶手段57に記憶された「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定の情報を、この情報端末で確認でき、またこの情報端末から「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定の情報を記憶手段57に送信できるようにしている。
【0105】
図17は本実施形態の炊飯器1の電気的構成を示すブロック図である。同図において、表示・操作制御手段46は送受信部91をさらに備えている。その他の構成は第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0106】
次に上記構成の炊飯器1について、その作用を説明すると、例えばユーザが情報端末で「かたさ」および「ねばり」の設定の送信依頼の信号を炊飯器1に送信すると、その信号が送受信部91に受け入れられ、条件設定手段60が、記憶手段57に記憶された「かたさ」および「ねばり」の設定の情報を情報端末に送信するように送受信部91を制御する。そのため、送信された産地品種銘柄米の炊上がり食感情報である「かたさ」および「ねばり」の設定の情報を情報端末で受信することで、ユーザは記憶手段57に記憶された「かたさ」および「ねばり」の設定の情報を確認することができる。なお条件設定手段60は、記憶手段57に記憶された「かたさ」および「ねばり」の設定の情報だけでなく、現在記憶手段57に記憶され、LCD71に表示されている「甘み」の設定も情報端末に送信するように送受信部91を制御してもよい。またユーザの情報端末に専用のアプリをインストールし、送受信部91から情報を受信したときに、その情報をユーザに見やすいように情報端末の画面に表示するように構成してもよい。
【0107】
またユーザが情報端末で、産地品種銘柄米の炊上がり食感情報に基づき「かたさ」、および「ねばり」の設定の情報を炊飯器1に送信すると、その情報が送受信部91に受け入れられ、条件設定手段60が、送信された「かたさ」、「ねばり」および「甘み」の設定の情報を記憶手段57に記憶する。そのため、記憶手段57に追加の情報を入れるために炊飯器1を製造業者に送付することなく、ユーザが購入した炊飯器1のままで、記憶手段57に記憶されていない産地品種銘柄米の「かたさ」および「ねばり」の設定の情報を記憶手段57に取り込んで更新でき、またその情報を使用して「かたさ」および「ねばり」の設定をすることができ、ユーザの手間を省くことができる。なお、ユーザの情報端末に専用のアプリをインストールし、産地品種銘柄米の炊上がり食感情報に基づき「かたさ」、および「ねばり」の設定の情報を送受信部91に送信しやすくしてもよい。
【0108】
なお、炊飯器1の送受信部91と通信可能なスマートフォンなどの情報端末が、例えばGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)などの位置情報取得手段を有している場合、この位置情報取得手段で取得した情報端末の位置情報を送受信部91が受信できる構成にしてもよい。この場合、情報端末の位置情報取得手段で取得した情報端末の位置情報を送受信部91に受け入れられると、条件設定手段60が、送信された位置情報を記憶手段57に記憶する。そして表示動作制御手段59は、この位置情報がユーザの生活空間内、すなわち炊飯器1の設置されている地域であると判断し、例えば図14(B)に示される、第4の実施形態の電源投入後のときに、この位置情報の地域の銘柄をおすすめの米の銘柄として、デフォルトで優先的に第1の銘柄選択の表示要素72-10に表示させるようにLCD71を制御してもよい。また表示動作制御手段59は、例えば図14(C)に示される米の銘柄を選択する画面で、この位置情報の地域の銘柄を、例えば一番左上などの目のつく位置に優先的に表示するようにLCD71を制御してもよい。これらの場合、記憶手段57が記憶した表の品種銘柄米の炊上がり食感情報には、米の銘柄に関する「かたさ」の設定や「ねばり」の設定に加えて、「地域」の設定も組み込まれる構成にしてもよい。このように構成することにより、ユーザの所在地の地域で生産される産地品種銘柄米を優先的にLCD71に表示することができ、また米の銘柄を選択する画面でこの産地品種銘柄米を容易に選択することができる。
【0109】
また炊飯器1が位置取得手段を有する構成にしてもよい。この場合、条件設定手段60は、位置取得手段で取得した位置情報を記憶手段57に記憶する。そして表示動作制御手段59は、この位置情報が炊飯器1の設置されている地域であると判断し、上述の様な制御を行なう。このように構成することでも、ユーザの所在地の地域で生産される産地品種銘柄米を優先的にLCD71に表示することができ、また米の銘柄を選択する画面でこの産地品種銘柄米を容易に選択することができる。
【0110】
以上のように、本実施形態の炊飯器1では、例えばスマートフォンなどの情報端末と通信可能な送受信部91をさらに備え、記憶手段57に記憶された「かたさ」および「ねばり」の設定が情報端末で確認可能であり、またこの情報端末から、品種銘柄米の炊上がり食感情報に基づいた「かたさ」および「ねばり」の設定を記憶手段57に送信可能である構成にしている。そのため、例えば新しい銘柄の米が増えた場合や、作付け年度に応じたご飯の食感の変化など、変化する産地品種銘柄米やブランド米、米屋販売店が推奨するブレンド米や精米までを管理した「産地精米」、また玄米、胚芽米、分つき米など、炊飯器1の記憶手段57に予め記憶した特定の品種銘柄米以外の産地品種銘柄米の炊飯情報を、ユーザの好みに応じて記憶手段57に記憶させて更新することができ、また記憶手段57に記憶された「かたさ」および「ねばり」の設定の情報を確認することができる。
【0111】
また本実施形態の炊飯器1では、情報端末と通信可能な送受信部91をさらに備え、送受信部91は、情報端末と通信することにより炊飯器1の設置されている地域の位置情報を取得可能であり、記憶手段57に記憶された炊飯方法の設定は、産地品種銘柄米に応じた炊飯方法の設定を含み、LCD71は、位置情報の地域の産地品種銘柄米に応じた米の銘柄である表示要素72-15~72-22を優先的に表示する構成にしている。そのため、ユーザの所在地の地域で生産される産地品種銘柄米を優先的にLCD71に表示することができ、また米の銘柄を選択する画面でこの産地品種銘柄米を容易に選択することができる。
【0112】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば第1の実施形態~第5の実施形態で特徴となる構成を組み合わせてもよい。また、実施形態中で例示した数値などはあくまでも一例にすぎず、炊飯器の仕様などに応じて適宜変更してかまわない。
【符号の説明】
【0113】
1 炊飯器
5 鍋
12 加熱コイル(加熱手段)
53 炊飯制御手段(制御手段)
57 記憶手段
63 「かたさ」キー(選択手段)
64 「ねばり」キー(選択手段)
65 「甘み」キー(選択手段)
71 LCD(表示手段)
72-2 かたさ選択の表示要素(炊飯方法の設定)
72-3 ねばり選択の表示要素(炊飯方法の設定)
72-4 甘み選択の表示要素(炊飯方法の設定)
72-6 第2のかたさ選択の表示要素(炊飯方法の設定)
72-7 第2のねばり選択の表示要素(炊飯方法の設定)
72-8 第2の甘み選択の表示要素(炊飯方法の設定)
72-10 第1の銘柄選択の表示要素(炊飯方法の設定)
72-12 第2の銘柄選択の表示要素(炊飯方法の設定)
72-15 「コシヒカリ」の表示要素(品種銘柄米の炊上がり食感情報の米の銘柄)
72-16 「ひとめぼれ」の表示要素(品種銘柄米の炊上がり食感情報の米の銘柄)
72-17 「ヒノヒカリ」の表示要素(品種銘柄米の炊上がり食感情報の米の銘柄)
72-18 「あきたこまち」の表示要素(品種銘柄米の炊上がり食感情報の米の銘柄)
72-19 「ななつぼし」の表示要素(品種銘柄米の炊上がり食感情報の米の銘柄)
72-20 「キヌヒカリ」の表示要素(品種銘柄米の炊上がり食感情報の米の銘柄)
72-21 「にこまる」の表示要素(品種銘柄米の炊上がり食感情報の米の銘柄)
72-22 「つや姫」の表示要素(品種銘柄米の炊上がり食感情報の米の銘柄)
72-23 「きぬむすめ」の表示要素(品種銘柄米の炊上がり食感情報の米の銘柄)
72-24 「あいちのかおり」の表示要素(品種銘柄米の炊上がり食感情報の米の銘柄)
78 「炊き方」キー(選択手段)
91 送受信部
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