(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】筒状構造物の移載方法
(51)【国際特許分類】
B65G 67/12 20060101AFI20240807BHJP
【FI】
B65G67/12
(21)【出願番号】P 2021019559
(22)【出願日】2021-02-10
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】中村 哉仁
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 航太郎
(72)【発明者】
【氏名】玉田 康一
(72)【発明者】
【氏名】土門 明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 知則
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-302266(JP,A)
【文献】特開昭63-101220(JP,A)
【文献】特開2014-214620(JP,A)
【文献】実開昭52-050407(JP,U)
【文献】特開2003-321195(JP,A)
【文献】特開2020-093777(JP,A)
【文献】特開平06-048579(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 67/00-67/62
B65G 63/00
B60P 3/00
B60P 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬船で運搬されてきた筒状構造物を前記運搬船から陸上の運搬車両に移載する方法であって、
一対の仮受架台を陸上に設置する仮受架台設置工程と、
筒状構造物を前記運搬船から搬出し、筒状構造物を寝かせた状態でその両端部を前記一対の仮受架台に載置する筒状構造物仮受工程と、
前記一対の仮受架台に載置された筒状構造物を前記運搬車両に移載する移載工程と、
を含む、筒状構造物の移載方法。
【請求項2】
前記運搬車両は、筒状構造物を寝かせた状態で運搬する車両であり、
前記運搬車両は、
荷台及び該荷台を昇降させるジャッキを備え、並列に配置されて横方向に連結された複数の多軸台車と、
前記複数の多軸台車の前記荷台上に跨がって固定され、上面に筒状構造物を寝かせてその両端部をはみ出させた状態で載置可能な水平架台と、
前記水平架台上に筒状構造物の載置場所を挟んで左右一対設けられ、筒状構造物の転落を防止するストッパ機構と、
を有する、請求項1に記載の筒状構造物の移載方法。
【請求項3】
前記移載工程は、
前記一対の仮受架台に載置されている筒状構造物の下方、かつ、前記一対の仮受架台間に前記運搬車両を進入させる第1工程と、
前記第1工程の後に、前記ジャッキにより前記荷台を上昇させることによって筒状構造物を持ち上げることにより、筒状構造物の両端部を前記一対の仮受架台から浮かす第2工程と、
前記第2工程の後に、前記運搬車両を前記一対の仮受架台間から退出させる第3工程と、
を含む、請求項2に記載の筒状構造物の移載方法。
【請求項4】
前記第1工程では、前記ジャッキにより前記荷台を下降させて前記水平架台を前記一対の仮受架台よりも低くした状態で、前記一対の仮受架台間に前記運搬車両を進入させる、請求項3に記載の筒状構造物の移載方法。
【請求項5】
前記左右一対のストッパ機構は、前記筒状構造物に対峙するストッパ部材と、該ストッパ部材を倒伏及び起立可能な駆動デバイスと、を備える、請求項2~請求項4のいずれか1つに記載の筒状構造物の移載方法。
【請求項6】
前記左右一対のストッパ機構の少なくとも一方が、前記水平架台に着脱可能に取り付けられている、請求項2~請求項4のいずれか1つに記載の筒状構造物の移載方法。
【請求項7】
前記移載工程は、
前記第1工程に先立って、前記左右一対のストッパ機構の少なくとも一方を前記水平架台から離脱する離脱工程と、
前記第1工程の後であって、かつ、前記第2工程に先立って、前記左右一対のストッパ機構のうち前記離脱されている方を前記水平架台に装着する装着工程と、
を更に含む、請求項6が請求項3又は請求項4に従属する場合の請求項6に記載の筒状構造物の移載方法。
【請求項8】
前記筒状構造物は、洋上風力発電設備用の杭基礎を構成する、請求項1~請求項7のいずれか1つに記載の筒状構造物の移載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬船で運搬されてきた筒状構造物を運搬船から陸上の運搬車両に移載する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
重量物の運搬車両として、特許文献1~3などに示されているように、多軸台車を用いることが知られている。多軸台車は、荷台を昇降(ジャッキアップ及びジャッキダウン)させることができる荷台昇降用のジャッキを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4004423号公報
【文献】特許第6061191号公報
【文献】特許第6682332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、運搬船で運搬されてきた、重量物である筒状構造物を、水上の運搬船から陸上の運搬車両に移載するに際して、筒状構造物を運搬船からクレーンなどで吊って運搬車両上に直接降ろす場合には、運搬船の揺れによって吊荷の筒状構造物が揺れたまま運搬車両に降ろされるおそれがあり、筒状構造物が運搬車両に衝突しかねず、ひいてはその衝撃荷重が運搬車両に作用しかねない。また、運搬車両上に筒状構造物を寝かせた状態で載置するに際しては、重量バランスの観点から、筒状構造物の重心位置を運搬車両の重心位置になるべく近づけたいという要求がある。
【0005】
本発明は、このような実状に鑑み、筒状構造物を運搬船から運搬車両に移載するに際して、運搬車両に過大な荷重が作用しないようにすること、及び、筒状構造物を運搬車両上に精度よく載置することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのため本発明に係る筒状構造物の移載方法は、運搬船で運搬されてきた筒状構造物を運搬船から陸上の運搬車両に移載する方法である。本発明に係る筒状構造物の移載方法は、一対の仮受架台を陸上に設置する仮受架台設置工程と、筒状構造物を運搬船から搬出し、筒状構造物を寝かせた状態でその両端部を一対の仮受架台に載置する筒状構造物仮受工程と、一対の仮受架台に載置された筒状構造物を運搬車両に移載する移載工程と、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運搬船から搬出した筒状構造物を一対の仮受架台で一旦仮受けして、その仮受架台から運搬車両に移載する。ゆえに、筒状構造物を運搬船から運搬車両上に直接降ろす場合に比べて、運搬車両に過大な荷重が作用することを抑制できると共に、筒状構造物を運搬車両上に精度よく載置できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本発明の第1実施形態における運搬車両の全体図である。
【
図4】
図2のA-A矢視相当のジャッキアップ状態及びジャッキダウン状態を示す図である。
【
図5】
図2のB-B矢視相当のストッパ機構の起立状態を示す図である。
【
図12】本発明の第2実施形態における運搬車両の全体図である。
【
図14】
図13のC-C矢視相当のストッパ機構を示す図である。
【
図15】モノパイルを仮受架台から運搬車両に移載する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
尚、以下では、本発明の「筒状構造物」の一例として、洋上風力発電設備用の杭基礎を構成し得るモノパイルを挙げて説明するが、本発明の「筒状構造物」はこれに限らない。
【0010】
まず、洋上風力発電設備について、その代表例を、
図1の概略図に基づいて説明する。
【0011】
洋上風力発電設備70は、モノパイル1と、トランジッションピース2と、タワー3と、ナセル(発電部)4と、複数のブレード5と、を有する。
【0012】
モノパイル1は円形断面を有する筒状構造物であり、また、杭状構造物であり、水底BW以深の地盤(水底地盤)に打ち込まれて、洋上風力発電設備70用の杭基礎を構成する。モノパイル1の上端は水面DLより上方に位置させてある。尚、モノパイル1は、後述する
図2に示すように、直線状に延びるストレート部7と、ストレート部7の一端側に連続して形成されたコニカル部8とを有している。コニカル部8は、ストレート部7から離れるほど縮径するテーパ形状を有している。
【0013】
トランジッションピース2は、モノパイル1の上端部(例えばコニカル部8)に接続される鉛直度調整用の塔状構造物で、トランジッションピース2の下端部内周がモノパイル1の上端部外周に嵌合した状態で接続固定される。
【0014】
タワー3は、トランジッションピース2の上端部に立設される。尚、トランジッションピース2の上端部には、タワー3設置用及び発電設備維持管理用のデッキ(足場設備)2dが設けられる。
【0015】
ナセル4は、タワー3の頂部に設置される発電部である。
ブレード5は、ナセル4の水平軸(ロータ軸)の前端部に取り付けられて、複数、放射状に配置され、風力により回転してナセル4にて発電を行わせる。
【0016】
上記のような洋上風力発電設備70を港付近の洋上に多数基設置する場合、洋上風力発電設備70の構成部材(モノパイル1、トランジッションピース2、タワー3、ナセル4及びブレード5)を海外から運搬船で全基分搬入して、施工(モノパイル1の打設、トランジッションピース2、タワー3、ナセル4及びブレード5の設置)することが多い。
【0017】
また、基礎施工(モノパイル1の打設とトランジッションピース2の設置)と上部施工(風車部材であるタワー3、ナセル4及びブレード5の設置)とに分ける場合、基礎施工は、全基分のモノパイル1及びトランジッションピース2の搬入後に行うこととなる。
【0018】
しかしながら、全基分の基礎施工用の構成部材(モノパイル1及びトランジッションピース2)を海外から複数回に分けて運搬船で搬入するので、この搬入に1~数年かかることもある。
【0019】
従って、全基分の基礎施工用の構成部材が揃った後に施工する場合、運搬船が着くごとに、構成部材を荷下ろしして、仮置き場まで運搬し、仮置きすることになり、仮置きは数年に及ぶこともある。
【0020】
また、数年後の施工時には、仮置き場から船着き場へ運搬して、洋上風力設備据付船に直接積み込むか、運搬船に積み込んで洋上風力設備据付船に供給することになる。
【0021】
本実施形態は、上記のような場合に、モノパイル1を船着き場から仮置き場まで(あるいは仮置き場から船着き場まで)運搬車両で運搬し、仮置きするための実施形態である。
モノパイル1は、寝かせた状態(重心を低くした状態、横置き状態)で運搬し、同じく寝かせた状態で仮置きすることが求められる。
【0022】
図2は本発明の第1実施形態における運搬車両の全体図、
図3は
図2の平面図である。
図4(ア)及び(イ)は、
図2のA-A矢視相当のジャッキアップ状態及びジャッキダウン状態を示す図である。
図5は、
図2のB-B矢視相当のストッパ機構の起立状態を示す図である。
【0023】
本実施形態の運搬車両9では、
図4(及び
図5)から解るように、3台の多軸台車10を使用し、これらは並列に配置されて、連結材(H形鋼)11により横方向に連結・一体化されている。各多軸台車10は、同軸の一対の車輪10a、10aを、横方向に2組(
図4参照)、前後方向に16組(
図2参照)有しており、32軸の構成である。各一対の車輪10a、10aは、それぞれの垂直軸回りに旋回可能である。尚、各多軸台車10は、複数台の小型の多軸台車を前後方向に直列に連結することで構成されてもよい。
【0024】
多軸台車10は、荷台10bと、荷台10bを昇降させるジャッキ(荷台昇降用ジャッキ)10cとを備える。多軸台車10の荷台10bは、ジャッキ10cの伸縮動作により、昇降(ジャッキアップ及びジャッキダウン)可能である。尚、
図4(ア)は荷台10bを上昇させたジャッキアップ状態、
図4(イ)は荷台10bを下降させたジャッキダウン状態を示している。ここにおいて、
図4(ア)に示す状態は、多軸台車10のジャッキアップ状態であり、換言すれば、運搬車両9のジャッキアップ状態である。
図4(イ)に示す状態は、多軸台車10のジャッキダウン状態であり、換言すれば、運搬車両9のジャッキダウン状態である。
【0025】
並列な3台の多軸台車10によりモノパイル1を寝かせた状態(重心を低くした状態、横置き状態)で運搬するため、3台の多軸台車10の荷台10b上に水平架台12が構築される。水平架台12は、3台の多軸台車10上に跨がって固定され、その上面にモノパイル1を寝かせてその両端部をはみ出させた状態で載置可能である。
【0026】
本実施形態では、水平架台12は、複数本の鋼材(H形鋼)13により構成される。これらの鋼材13は、それぞれが、3台の多軸台車10を横断する方向に配置され、互いに、多軸台車10の前後方向に所定の間隔をあけて、平行に配置される。そして、これらの鋼材13は多軸台車10の荷台10b上に固定される。尚、本実施形態では、水平架台12を構成する鋼材13の本数が5本である例が図示されているが、水平架台12を構成する鋼材13の本数は5本に限らない(例えば、後述する
図12及び
図13参照)。
【0027】
本実施形態では、水平架台12上に載置されたモノパイル1の転落を防止するため、水平架台12上に、モノパイル1の載置場所を挟む形で、左右一対のストッパ機構14、14が設けられる。
【0028】
本実施形態では、ストッパ機構14は、水平架台12を構成する複数本の鋼材13のうち、2本の鋼材13に、それぞれ一対設けられている。従って、左右一対のストッパ機構14、14が前後方向に2組設けられる。
【0029】
ストッパ機構14については、
図6の拡大図により、更に詳しく説明する。
ストッパ機構14は、モノパイル1の周面に対峙するストッパ部材(ストッパ板)15と、このストッパ部材15を倒伏及び起立可能な駆動デバイスとしての油圧シリンダ16とを備える。
【0030】
尚、ストッパ部材15は下端側の回動軸15aを中心として回動可能であり、油圧シリンダ16は基端側の回動軸16aを中心として回動可能である。そして、ストッパ部材15の自由端側と油圧シリンダ16の出力ロッド先端とが連結ピン17により連結されている。
【0031】
ここにおいて、左右一対のストッパ機構14、14のストッパ部材15、15は、起立状態で、
図5に示されるように、モノパイル1の軸方向に見て、逆ハ字状をなす。この状態で、モノパイル1を保持し、転落を防止することができる。尚、左右一対のストッパ機構14、14のストッパ部材15、15は倒伏状態で略水平となり得る。
【0032】
モノパイル1とストッパ部材15との間には、適宜、緩衝あるいは隙間調整のため、角材(木製)18などを介在させるようにしてもよい(
図6参照)。また、ストッパ部材15又は角材18とモノパイル1との間に、例えばゴム製の板状の緩衝材を介在させるようにしてもよい。更に、例えばゴム製の板状の緩衝材を、水平架台12の上面とモノパイル1との間に介在させるようにしてもよい。
【0033】
本実施形態では、
図2、
図3、及び
図5に示すように、水平架台12を構成する複数本の鋼材13のうち、ストッパ機構14が設けられる2本の鋼材13の各々の両端部に、それぞれ、サイドバー13aが取り付けられている。サイドバー13aは、ストッパ機構14が設けられた鋼材13の端部と多軸台車10の荷台10bの側縁部とを一体化するためにこれらに跨がるように設けられている。サイドバー13aは、運搬車両9の水平架台12上に載置されたモノパイル1からストッパ機構14に作用する水平力を受け持つための反力取りとして機能し得る。
【0034】
従って、本実施形態において、運搬車両9は、モノパイル1を寝かせた状態で運搬するものであり、多軸台車10と水平架台12とストッパ機構14とサイドバー13aとを有する。
【0035】
次に、モノパイル1の仮置き場の構成について
図7及び
図8を参照して説明する。
図7は仮置き場への搬入時の工程図である。
図8は仮置き場からの搬出時の工程図である。
【0036】
モノパイル1の仮置き場には、モノパイル1を寝かせた状態で、その両端部を支持するため、床面(地面を含む)上に、砕石を積み上げることで、一対のマウンド(砕石マウンド)20、20が設けられる。
【0037】
本実施形態では、一対のマウンド20、20は、4本のモノパイル1を並べて支持できる大きさとしている。従って、32本のモノパイルを仮置きする場合は、8対のマウンドが必要となる。
【0038】
一対のマウンド20、20の間隔は、一対のマウンド20、20間に運搬車両9が進入することができる大きさである。
【0039】
マウンド20の高さは、運搬車両9がジャッキアップしたときの水平架台12上面の高さより低く(
図7(ア)参照)、運搬車両9がジャッキダウンしたときの水平架台12上面の高さより高く(
図7(イ)参照)なるように設定される。
【0040】
従って、運搬車両9がジャッキアップ状態でモノパイル1を搭載して、一対のマウンド20、20間に進入したときに、マウンド20がモノパイル1より低くなり、マウンド20、20の上方にモノパイル1の両端部が位置するようになる(
図7(ア)参照)。
【0041】
また、一対のマウンド20、20間に進入した運搬車両9がジャッキダウンすると、モノパイル1を一対のマウンド20、20に預けることができ、運搬車両9は空荷状態で一対のマウンド20、20間から退出可能となる(
図7(イ)参照)。
【0042】
次にモノパイル1の実際の運搬と仮置きについて
図9を併せて参照して説明する。
図9は運搬及び仮置きの説明図である。
【0043】
モノパイル1の仮置き場には、その床面(地面を含む)上に、モノパイル1を寝かせた状態でその両端部を載置するための一対のマウンド(砕石マウンド)20、20を予め構築する。本工程が、マウンド構築工程に相当する。
【0044】
モノパイル1の運搬船80は、複数本のモノパイル1を寝かせた状態(横置き状態)で、搬入する。
【0045】
運搬船80が港の岸壁81に着岸すると、モノパイル1を、運搬船80から運搬車両9の水平架台12上に移載する。本工程が、運搬車両9の水平架台12上にモノパイル1をその両端部をはみ出させた状態で載置するモノパイル載置工程に相当する。これにより、運搬車両9は、モノパイル1を運搬可能となる。
【0046】
このモノパイル載置工程については、モノパイル1を運搬船80からクレーンなどで吊って運搬車両9の水平架台12上に直接降ろすと、運搬船80の揺れによって吊荷のモノパイル1が揺れたまま水平架台12上に降ろされるおそれがあり、モノパイル1が水平架台12に衝突しかねず、ひいてはその衝撃荷重が多軸台車10に作用しかねない。また、水平架台12上にモノパイル1を寝かせた状態で載置するに際しては、重量バランスの観点から、モノパイル1の重心位置を運搬車両9の重心位置(例えば多軸台車10の重心位置)になるべく近づけたいという要求がある。本実施形態では、これらに対処するために、後述するモノパイル1の移載方法を用いる。この詳細については、
図10及び
図11を用いて後述する。
【0047】
図9に戻り、モノパイル1を搭載し、かつ、左右一対のストッパ機構14、14のストッパ部材15、15が起立状態である運搬車両9は、船着き場から走行して、仮置き場へ向かい、モノパイル1を運搬する。そして、運搬車両9は、仮置き場へ到着すると、
図7(ア)に示すように、ジャッキアップ状態で、一対のマウンド20、20間に進入する。本工程が、運搬車両9を仮置き場まで移動させることにより、モノパイル1を運搬し、運搬車両9をジャッキアップ状態で一対のマウンド20、20間に進入させ、モノパイル1の両端部を一対のマウンド20、20の上方に位置させる運搬・位置決め工程に相当する。
【0048】
そして、進入後、
図7(イ)に示すように、ジャッキダウンする。これにより、モノパイル1の両端部を一対のマウンド20、20に預けて、仮置きすることができる。この後、運搬車両9は、空荷となり、一対のマウンド20、20間から退出して、次のモノパイル1の運搬のために船着き場へ戻ることができる。本工程が、運搬車両9をジャッキダウンして、モノパイル1の両端部を一対のマウンド20、20上に預けて仮置きし、運搬車両9を退出させる仮置き工程に相当する。尚、この一対のマウンド20、20間からの運搬車両9の退出時には、左右一対のストッパ機構14、14のストッパ部材15、15を倒伏状態に切り替えてもよい。
【0049】
上記では、船着き場から仮置き場へ運搬して仮置きする場合について説明したが、仮置き期間の経過後、施工に先立って、仮置き場から船着き場へ運搬する場合も、一時的には仮置きすることになるので、同様に適用することができる。
【0050】
図8は仮置き場からの搬出時の工程図である。
図8(ア)の工程では、運搬車両9は、ジャッキダウン状態で、一対のマウンド20、20間で、これらにより支持されているモノパイル1の下側に進入する。
【0051】
図8(イ)の工程では、運搬車両9は、ジャッキアップして、水平架台12によりモノパイル1を持ち上げ、モノパイル1の両端部を一対のマウンド20、20から浮かす。これにより、モノパイル1が搬出可能となる。従って、運搬車両9は、モノパイル1を搭載した状態で、一対のマウンド20、20から退出し、船着き場へ向かう。
【0052】
尚、本実施形態では、
図8(ア)の工程に先立って、左右一対のストッパ機構14、14のストッパ部材15、15を倒伏状態とし、
図8(イ)の工程に先立って(例えば上述のジャッキアップの直前に)左右一対のストッパ機構14、14のストッパ部材15、15を起立状態としているが、この他、
図8(ア)及び(イ)に示す工程にわたって、左右一対のストッパ機構14、14のストッパ部材15、15を起立状態のままとしてもよい。
【0053】
図9には、運搬船80により立てたままで搬入したトランジッションピース2を、別の多軸台車25により運搬して、トランジッションピース仮置き場に立てた状態で仮置きする様子なども示されている。
【0054】
図10及び
図11は、モノパイル1を運搬船80から運搬車両9に移載する方法を示す。
【0055】
まず、
図10(ア)に示すように、岸壁81に隣接する床面(地面を含む)上に、一対の仮受架台50、50を設置する。この仮受架台50は仮設のものである。この工程が、本発明の「仮受架台設置工程」に相当する。尚、仮受架台50の一例については、
図16~
図19を用いて後述する。
【0056】
本実施形態では、一対の仮受架台50、50は、1本のモノパイル1を支持できる大きさとしている。一対の仮受架台50、50の間隔は、一対の仮受架台50、50間に運搬車両9が進入することができる大きさである。
【0057】
仮受架台50の高さは、運搬車両9がジャッキアップしたときの水平架台12上面の高さより低く(
図11(オ)及び(カ)参照)、運搬車両9がジャッキダウンしたときの水平架台12上面の高さより高く(
図10(ウ)及び(エ)参照)なるように設定される。
【0058】
次に、
図10(イ)に示すように、クレーンなどの揚重手段を用いてモノパイル1を運搬船80から搬出し、モノパイル1を寝かせた状態でその両端部を一対の仮受架台50、50に載置する。この工程が、本発明の「筒状構造物仮受工程」に相当する。一対の仮受架台50、50は、モノパイル1を寝かせた状態で、その両端部を支持する。
【0059】
次に、
図10(ウ)及び(エ)に示すように、一対の仮受架台50、50に載置されているモノパイル1の下方、かつ、一対の仮受架台50、50間に、運搬車両9をジャッキダウン状態で進入させる。この工程が本発明の「第1工程」に相当する。この工程では、ジャッキ10cにより荷台10bを下降させて水平架台12を一対の仮受架台50、50よりも低くした状態で、一対の仮受架台50、50間に運搬車両9を進入させる。この進入時には、モノパイル1の重心位置の直下に運搬車両9の重心位置(例えば多軸台車10の重心位置)がくるように進入させることが好ましい。
【0060】
次に、
図11(オ)に示すように、ジャッキ10cにより荷台10bを上昇させることによって水平架台12を介してモノパイル1を持ち上げることにより(すなわちジャッキアップしてモノパイル1を持ち上げることにより)、モノパイル1の両端部を一対の仮受架台50、50から浮かす。この工程が本発明の「第2工程」に相当する。これにより、モノパイル1が搬出可能となる。
【0061】
次に、
図11(カ)に示すように、モノパイル1を搭載した運搬車両9を一対の仮受架台50、50間から退出させる。この工程が本発明の「第3工程」に相当する。
【0062】
ここにおいて、
図10(ウ)~
図11(カ)に示す工程が、本発明の「移載工程」に相当する。この移載工程は、一対の仮受架台50、50に載置されたモノパイル1を運搬車両9に移載する工程であり、上述の第1工程~第3工程を含む。
【0063】
尚、本実施形態では、
図10(ウ)に示す工程に先立って、左右一対のストッパ機構14、14のストッパ部材15、15を倒伏状態とし、
図10(エ)に示す状態から
図11(オ)に示す状態に至る途中で(例えば上述のジャッキアップの直前に)左右一対のストッパ機構14、14のストッパ部材15、15を起立状態としているが、この他、
図10(ウ)~
図11(カ)に示す工程にわたって、左右一対のストッパ機構14、14のストッパ部材15、15を起立状態のままとしてもよい。
【0064】
以上のようにして、モノパイル1を運搬船80から一対の仮受架台50、50を介して運搬車両9に移載する。
【0065】
本実施形態によれば、筒状構造物(例えばモノパイル1)の移載方法は、運搬船80で運搬されてきた筒状構造物(例えばモノパイル1)を運搬船80から陸上の運搬車両9に移載する方法である。この方法は、一対の仮受架台50、50を陸上に設置する仮受架台設置工程(
図10(ア)参照)と、筒状構造物(例えばモノパイル1)を運搬船80から搬出し、筒状構造物(例えばモノパイル1)を寝かせた状態でその両端部を一対の仮受架台50、50に載置する筒状構造物仮受工程(
図10(イ)参照)と、一対の仮受架台50、50に載置された筒状構造物(例えばモノパイル1)を運搬車両9に移載する移載工程(
図10(ウ)~
図11(カ)参照)と、を含む。ゆえに、運搬船80から搬出した筒状構造物(例えばモノパイル1)を一対の仮受架台50、50で一旦仮受けして、その仮受架台50、50から運搬車両9に移載することができる。従って、筒状構造物(例えばモノパイル1)を運搬船80から運搬車両9上に直接降ろす場合に比べて、運搬車両9に過大な荷重が作用することを抑制できる。
【0066】
また本実施形態によれば、運搬車両9は、筒状構造物(例えばモノパイル1)を寝かせた状態で運搬する車両である。運搬車両9は、荷台10b及び荷台10bを昇降させるジャッキ10cを備え、並列に配置されて横方向に連結された複数の多軸台車10と、複数の多軸台車10の荷台10b上に跨がって固定され、上面に筒状構造物(例えばモノパイル1)を寝かせてその両端部をはみ出させた状態で載置可能な水平架台12と、水平架台12上に筒状構造物(例えばモノパイル1)の載置場所を挟んで左右一対設けられ、筒状構造物(例えばモノパイル1)の転落を防止するストッパ機構14、14と、を有する。ゆえに、筒状構造物(例えばモノパイル1)を多軸台車10を用いて寝かせた状態で安全に運搬することができる。
【0067】
また本実施形態によれば、上述の移載工程(
図10(ウ)~
図11(カ)参照)は、一対の仮受架台50、50に載置されている筒状構造物(例えばモノパイル1)の下方、かつ、一対の仮受架台50、50間に運搬車両9を進入させる第1工程(
図10(ウ)及び(エ)参照)と、この第1工程の後に、ジャッキ10cにより荷台10bを上昇させることによって筒状構造物(例えばモノパイル1)を持ち上げることにより、筒状構造物(例えばモノパイル1)の両端部を一対の仮受架台50、50から浮かす第2工程(
図11(オ)参照)と、この第2工程の後に、運搬車両9を一対の仮受架台50、50間から退出させる第3工程(
図11(カ)参照)と、を含む。ゆえに、筒状構造物(例えばモノパイル1)を運搬車両9上に精度よく載置できる。
【0068】
また本実施形態によれば、上述の第1工程(
図10(ウ)及び(エ)参照)では、ジャッキ10cにより荷台10bを下降させて水平架台12を一対の仮受架台50、50よりも低くした状態で、一対の仮受架台50、50間に運搬車両9を進入させる。ゆえに、仮受架台50の高さを抑えることができる。
【0069】
また本実施形態によれば、左右一対のストッパ機構14、14は、筒状構造物(例えばモノパイル1)に対峙するストッパ部材15、15と、ストッパ部材15を倒伏及び起立可能な駆動デバイス(例えば油圧シリンダ16)と、を備える。これにより、簡易な構成で、ストッパ部材15の倒伏と起立とを切り替えることができる。
【0070】
また本実施形態によれば、筒状構造物(例えばモノパイル1)は、洋上風力発電設備70用の杭基礎を構成する。このような重量物である筒状構造物(例えばモノパイル1)を運搬船80から運搬車両9に移載するに際して、本実施形態における移載方法(
図10及び
図11参照)を用いることで、運搬車両9に過大な荷重が作用することを抑制できると共に、筒状構造物(例えばモノパイル1)を運搬車両9上に精度よく載置できる。
【0071】
次に、本発明の第2実施形態について、
図12~
図14を用いて説明する。
図12は、本実施形態における運搬車両9’の全体図である。
図13は、
図12に示す運搬車両9’の拡大図である。
図14は、
図13のC-C矢視相当のストッパ機構を示す。
上述の第1実施形態と異なる点について説明する。
【0072】
本実施形態においても、水平架台12は、複数本の鋼材(H形鋼)13により構成される。この点、本実施形態では、水平架台12を構成する鋼材13の本数が31本である例が図示されているが、水平架台12を構成する鋼材13の本数は31本に限らない。
【0073】
本実施形態では、運搬車両9’の水平架台12上に載置されたモノパイル1の転落を防止するため、水平架台12上に、モノパイル1の載置場所を挟む形で、左右一対のストッパ機構30、30が設けられる。
【0074】
本実施形態では、水平架台12には、左右一対のストッパ機構30、30が、前後方向に2組設けられる。ストッパ機構30は、水平架台12に着脱可能に取り付けられている。
【0075】
各ストッパ機構30は、例えば、複数本(例えば3本)の水平繋ぎ材31と、複数本(例えば2本)の水平材32と、複数本(例えば2本)の柱材33と、1本の頭繋ぎ材34と、複数本(例えば2本)の斜材35と、1本の斜材繋ぎ材36とを備える。水平繋ぎ材31、水平材32、柱材33、頭繋ぎ材34、斜材35、及び、斜材繋ぎ材36は、例えば鋼材(H形鋼)により構成される。
【0076】
複数本(例えば3本)の水平繋ぎ材31は、それぞれが、複数本(例えば3本)の鋼材13に跨がるように、多軸台車10の前後方向に延びており、互いに、多軸台車10の横方向に所定の間隔をあけて、平行に配置されている。そして、これらの水平繋ぎ材31は、例えばボルトなどを含む締結手段を介して、水平架台12上に着脱可能に固定される。
【0077】
複数本(例えば2本)の水平材32は、それぞれが、複数本(例えば3本)の水平繋ぎ材31に跨がるように、多軸台車10の横方向に延びており、互いに、多軸台車10の前後方向に所定の間隔をあけて、平行に配置されている。そして、これらの水平材32は複数本(例えば3本)の水平繋ぎ材31上に固定されている。
【0078】
水平材32のうちモノパイル1の載置場所に臨む側の端部には、柱材33が立設されている。複数本(例えば2本)の柱材33は、それぞれが上下方向に延びており、互いに、多軸台車10の前後方向に所定の間隔をあけて、平行に配置されている。
【0079】
柱材33の上部のうちモノパイル1の載置場所に臨む側の面には、例えばゴム製の板状の緩衝材37が取り付けられている。この緩衝材37は、モノパイル1の周面に当接し得るものであり、また、モノパイル1と柱材33との間に介在し得るものである。
【0080】
頭繋ぎ材34は、複数本(例えば2本)の柱材33に跨がるように、多軸台車10の前後方向に延びている。そして、頭繋ぎ材34は、柱材33の上部のうちモノパイル1の載置場所に臨む側の面と反対の側の面に固定されている。
【0081】
複数本(例えば2本)の斜材35は、互いに、多軸台車10の前後方向に所定の間隔をあけて、平行に配置されている。斜材35は、その上端部が、柱材33の上部のうちモノパイル1の載置場所に臨む側の面と反対の側の面に固定され、下端部が、水平材32のうちモノパイル1の載置場所に臨む側と反対の側の端部に固定されている。
【0082】
斜材繋ぎ材36は、複数本(例えば2本)の斜材35の各々の上下方向中央部に跨がるように、多軸台車10の前後方向に延びている。
【0083】
水平架台12の上面(鋼材13の上面)のうちモノパイル1の載置場所に対応する部分には、例えばゴム製の板状の緩衝材38が取り付けられている。この緩衝材38は、モノパイル1の周面に当接し得るものであり、また、モノパイル1と水平架台12との間に介在し得るものである。
【0084】
本実施形態では、水平架台12を構成する複数本の鋼材13のうち、左右一対のストッパ機構30、30が着脱可能に固定される2本の鋼材13の各々の両端部に、それぞれ、サイドバー13aが取り付けられている。サイドバー13aは、ストッパ機構30が設けられた鋼材13の端部と多軸台車10の荷台10bの側縁部とを一体化するためにこれらに跨がるように設けられている。サイドバー13aは、運搬車両9’の水平架台12上に載置されたモノパイル1からストッパ機構30に作用する水平力を受け持つための反力取りとして機能し得る。
【0085】
従って、本実施形態において、運搬車両9’は、モノパイル1を寝かせた状態で運搬するものであり、多軸台車10と水平架台12とストッパ機構30とサイドバー13aとを有する。
【0086】
図15は、一対の仮受架台50、50に載置されているモノパイル1を仮受架台50、50から運搬車両9’に移載する方法を示す。
【0087】
まず、
図15(ア)に示すように、一対の仮受架台50、50に載置されているモノパイル1の右側方に運搬車両9’を配置する。この配置に先立って、又は、この配置の後に、前後2つの左側のストッパ機構30を水平架台12から離脱する。この工程が、本発明の「離脱工程」に相当する。
【0088】
次に、
図15(ア)及び(イ)に示すように、一対の仮受架台50、50に載置されているモノパイル1の下方、かつ、一対の仮受架台50、50間に、多軸台車10をジャッキダウン状態で進入させる。この工程が本発明の「第1工程」に相当する。この工程では、ジャッキ10cにより荷台10bを下降させて水平架台12を一対の仮受架台50、50よりも低くした状態で、一対の仮受架台50、50間に運搬車両9’を進入させる。この進入時には、モノパイル1の重心位置の直下に運搬車両9’の重心位置(例えば多軸台車10の重心位置)がくるように進入させることが好ましい。ここで、上述の「離脱工程」は、上述の「第1工程」に先立って実行され得る。
【0089】
次に、
図15(ウ)に示すように、上述の「離脱工程」にて離脱されていた前後2つの左側のストッパ機構30を水平架台12に装着する。この工程が、本発明の「装着工程」に相当する。
【0090】
次に、
図15(エ)に示すように、ジャッキ10cにより荷台10bを上昇させることによって水平架台12を介してモノパイル1を持ち上げることにより(すなわちジャッキアップしてモノパイル1を持ち上げることにより)、モノパイル1の両端部を一対の仮受架台50、50から浮かす。この工程が本発明の「第2工程」に相当する。これにより、モノパイル1が搬出可能となる。ここで、上述の「装着工程」は、上述の「第1工程」の後であって、かつ、上述の「第2工程」に先立って実行され得る。
【0091】
次に、モノパイル1を搭載した運搬車両9’を一対の仮受架台50、50間から退出させる。この工程が本発明の「第3工程」に相当する。
【0092】
このようにして、本実施形態では、一対の仮受架台50、50に載置されているモノパイル1を仮受架台50、50から運搬車両9’に移載することができる。尚、この
図15を用いた説明において左右が逆であってもよいことは言うまでもない。
【0093】
ここにおいて、
図15(ア)~(エ)に示す工程が、本発明の「移載工程」を構成し得る。この移載工程は、一対の仮受架台50、50に載置されたモノパイル1を運搬車両9’に移載する工程であり、上述の第1工程~第3工程に加えて、上述の離脱工程及び装着工程を含む。
【0094】
特に本実施形態によれば、左右一対のストッパ機構30、30の少なくとも一方が、水平架台12に着脱可能に取り付けられている(
図15参照)。筒状構造物(例えばモノパイル1)の移載方法を構成する上述の移載工程は、上述の第1工程に先立って、左右一対のストッパ機構30、30の少なくとも一方を水平架台12から離脱する離脱工程(
図15(ア)及び(イ)参照)と、上述の第1工程の後であって、かつ、上述の第2工程に先立って、左右一対のストッパ機構30、30のうち上記離脱されている方を水平架台12に装着する装着工程(
図15(ウ)及び(エ)参照)とを含む。尚、このストッパ機構30については、上述のストッパ機構14の故障時のバックアップとして(換言すれば予備品として)準備されてもよい。
【0095】
尚、本実施形態において、
図8に示す仮置き場からのモノパイル1の搬出時に、
図8(ア)の工程に先立って、左右一対のストッパ機構30、30の少なくとも一方を水平架台12から離脱し、
図8(イ)の工程に先立って(例えば上述のジャッキアップの直前に)、左右一対のストッパ機構30、30のうち上記離脱されている方を水平架台12に装着してもよい。
【0096】
また、
図7に示す仮置き場へのモノパイル1の搬入時において、モノパイル1の両端部を一対のマウンド20、20上に預けて仮置きした後に、この一対のマウンド20、20間からの運搬車両9’の退出するときには、左右一対のストッパ機構30、30の少なくとも一方を水平架台12から離脱してもよい。
【0097】
次に、上述の第1及び第2実施形態に適用可能な仮受架台50の一例について、
図16~
図19を用いて説明する。
図16は、一対の仮受架台50s、50cを示す図である。
図17は、
図16の部分Dの部分拡大図である。
図18は、
図16のE-E矢視相当の仮受架台50sを示す図である。
図19は、
図16の部分Fの部分拡大図である。
【0098】
仮受架台50sは、モノパイル1のストレート部7を支持するものである。仮受架台50cは、モノパイル1のコニカル部8を支持するものである。
【0099】
仮受架台50sは、床面(地面を含む)上に配置される基台部51と、基台部51の上面に設置されるモノパイル受け部52とを備える。
【0100】
基台部51は、下から上に向かって第1層41、第2層42、第3層43の順に積層された3層構造をなしている。
【0101】
最下層である第1層41は、複数本(例えば7本)の鋼材(H形鋼)45により構成されている。複数本(例えば7本)の鋼材45は、例えば、仮受架台50s、50cに載置されるモノパイル1の延在方向と平行に延び、互いに、横方向(左右方向)に所定の間隔をあけて、平行に配置されている。
【0102】
中間層である第2層42は、複数本(例えば8本)の鋼材(H形鋼)46により構成されている。複数本(例えば8本)の鋼材46は、それぞれ、複数本(例えば7本)の鋼材45に跨がるように、鋼材45の延在方向に直交する方向に延び、互いに、鋼材45の延在方向に所定の間隔をあけて、平行に配置されている。
【0103】
最上層である第3層43は、複数本(例えば10本)の鋼材(H形鋼)47により構成されている。複数本(例えば10本)の鋼材47は、それぞれ、複数本(例えば8本)の鋼材46に跨がるように、鋼材46の延在方向に直交する方向に延び、互いに、鋼材46の延在方向に所定の間隔をあけて、平行に配置されている。
【0104】
モノパイル受け部52は例えば直方体状であり、鋼製である。モノパイル受け部52は第3層43上に固定されており、モノパイル受け部52の上面53には、円弧状断面を有する凹部54が形成されている。この凹部54は、モノパイル1のストレート部7の周面の一部を受け入れることが可能な大きさで形成されている。
【0105】
凹部54には、例えばゴム製の板状の緩衝材55が取り付けられている。この緩衝材55は、モノパイル1のストレート部7の周面に当接し得るものであり、また、モノパイル1のストレート部7と凹部54との間に介在し得るものである。
【0106】
仮受架台50cは仮受架台50sと略同様の構成であるが、モノパイル受け部52の上部(上面53及び凹部54)がモノパイル1のコニカル部8の周面の形状に応じて傾斜している点で仮受架台50sと異なっている。
【0107】
上述の仮受架台50s、50cは簡素な構成であるので、容易に製作することができ、また、床面(地面を含む)上に容易に仮設することができる。
【0108】
上述の第1及び第2実施形態において、水平架台12上に載置されたモノパイル1の転がりを防止するために、水平架台12とモノパイル1との間に例えば木製のキャンバーを挿入してもよい。
【0109】
上記の説明では、運搬・仮置き対象の筒状構造物を洋上風力発電設備のモノパイルとしたが、本発明はこれに限るものではなく、筒状構造物一般に適用可能である。
【0110】
上記の説明では、筒状構造物の断面形状を円形としたが、当該断面形状は円形に限らず、例えば、楕円形又は矩形であってもよい。
【0111】
図示の実施形態はあくまで本発明を概略的に例示するものであり、本発明は、説明した実施形態により直接的に示されるものに加え、特許請求の範囲内で当業者によりなされる各種の改良・変更を包含するものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0112】
1…モノパイル(筒状構造物)、2…トランジッションピース、2d…デッキ、3…タワー、4…ナセル、5…ブレード、7…ストレート部、8…コニカル部、9、9’…運搬車両、10…多軸台車、10a…車輪、10b…荷台、10c…ジャッキ、11…連結材、12…水平架台、13…鋼材、13a…サイドバー、14…ストッパ機構、15…ストッパ部材、15a…回動軸、16…油圧シリンダ(駆動デバイス)、16a…回動軸、17…連結ピン、18…角材、20…マウンド、25…多軸台車、30…ストッパ機構、31…水平繋ぎ材、32…水平材、33…柱材、34…頭繋ぎ材、35…斜材、36…斜材繋ぎ材、37、38…緩衝材、41…第1層、42…第2層、43…第3層、45~47…鋼材、50、50c、50s…仮受架台、51…基台部、52…モノパイル受け部、53…上面、54…凹部、55…緩衝材、70…洋上風力発電設備、80…運搬船、81…岸壁、BW…水底、DL…水面