IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハーの特許一覧

特許7535009生体組織の凝固および切開のためのデバイスおよび方法
<>
  • 特許-生体組織の凝固および切開のためのデバイスおよび方法 図1
  • 特許-生体組織の凝固および切開のためのデバイスおよび方法 図2
  • 特許-生体組織の凝固および切開のためのデバイスおよび方法 図3
  • 特許-生体組織の凝固および切開のためのデバイスおよび方法 図4
  • 特許-生体組織の凝固および切開のためのデバイスおよび方法 図5
  • 特許-生体組織の凝固および切開のためのデバイスおよび方法 図6
  • 特許-生体組織の凝固および切開のためのデバイスおよび方法 図7
  • 特許-生体組織の凝固および切開のためのデバイスおよび方法 図8
  • 特許-生体組織の凝固および切開のためのデバイスおよび方法 図9
  • 特許-生体組織の凝固および切開のためのデバイスおよび方法 図10
  • 特許-生体組織の凝固および切開のためのデバイスおよび方法 図11
  • 特許-生体組織の凝固および切開のためのデバイスおよび方法 図12
  • 特許-生体組織の凝固および切開のためのデバイスおよび方法 図13
  • 特許-生体組織の凝固および切開のためのデバイスおよび方法 図14
  • 特許-生体組織の凝固および切開のためのデバイスおよび方法 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】生体組織の凝固および切開のためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20240807BHJP
【FI】
A61B18/14
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021067640
(22)【出願日】2021-04-13
(65)【公開番号】P2021168917
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-10-18
(31)【優先権主張番号】20169436
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】592245823
【氏名又は名称】エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Erbe Elektromedizin GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・リップリンガー
【審査官】神ノ田 奈央
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-055175(JP,A)
【文献】特開2017-038927(JP,A)
【文献】特開2018-018226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置(21)と、前記装置(21)と電気的に接続された器具(26)とを備える、生体組織の凝固および/または切断のためのデバイス(20)であって、
前記装置(21)は、第1の装置出力部(22)に供給電圧(UV)または供給電流(IV)を提供するように構成され、前記装置(21)は、第2の装置出力部(24)に評価信号(S)を提供するように構成された評価回路(40)を備え、
前記器具(26)の動作回路(45)は、
前記第1の装置出力部(22)と接続することができる供給コネクタ(46)、および前記第2の装置出力部(24)と接続することができる信号コネクタ(48)と、
前記評価信号(S)の極性(S1、S2)に応じて制御信号(A)を生成するように構成され、手動で操作可能な第1のスイッチ(32)を備える、前記信号コネクタ(48)と接続された制御回路(70)と、
前記制御信号(A)によって制御することができ、第1のスイッチ状態と第2のスイッチ状態との間で切り替えることができ、前記供給コネクタ(46)および切断出力部(54)と接続されるスイッチユニット(53)とを備え、
前記制御回路(70)は、前記第1のスイッチ(32)の動作状態に応じて前記評価信号(S)の特性を調整するように構成され、前記評価回路(40)は、前記評価信号(S)の前記特性を検出し、前記特性に応じて前記評価信号(S)の前記極性(S1、S2)を調整するように構成される、デバイス。
【請求項2】
前記評価信号(S)の前記特性が、前記第1のスイッチ(32)が動作されたことを示す場合、前記評価信号(S)は、前記第1のスイッチ(32)の前記動作で始まる第1の位相(P1、P3)中に第1の極性(S1)のみを含み、第2の位相(P2)中に交互に前記第1の極性(S1)と、前記第1の極性(S1)とは反対の第2の極性(S2)とを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記制御回路(70)が、前記第2の位相(P2)中に前記評価信号(S)が少なくとも一時的に前記第2の極性(S2)を含む場合、前記制御信号(A)によって前記スイッチユニット(53)に前記第1のスイッチ状態をとらせるように構成され、前記第1のスイッチ状態では、生体組織の切断に適した切断電圧(US)または切断電流が前記切断出力部(54)に提供される、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記制御回路(70)が、前記第1の位相(P1)中に前記評価信号(S)が前記第1の極性(S1)のみを含む場合、前記制御信号(A)によって前記スイッチユニット(53)に前記第2のスイッチ状態をとらせるように構成され、前記第2のスイッチ状態では、切断電圧(US)および切断電流は前記切断出力部(54)に提供されない、請求項2または3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記装置(21)が、制御可能な電圧源(42)または電流源を備え、前記評価回路(40)が、起動信号(W)によって前記電圧源(42)または電流源を制御するように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記制御回路(70)が、手動で操作可能な第2のスイッチ(33)を備えることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記制御回路(70)が、前記第2のスイッチ(33)の動作条件に応じて前記評価信号(S)の前記特性を調整するように構成され、前記評価回路(40)が、前記評価信号(S)の前記特性を検出し、前記特性に応じて前記評価信号(S)の前記極性(S1、S2)を調整するように構成される、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記評価回路(40)が、前記評価信号(S)の前記特性が前記第1のスイッチ(32)および/または前記第2のスイッチ(33)が作動されたことを示す場合、制御可能な電圧源(42)または電流源が、前記第1の装置出力部(22)において前記供給電圧(UV)または前記供給電流(IV)を提供するように、起動信号(W)を生成するように構成される、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記評価回路(40)が、前記評価信号(S)の前記特性が前記第2のスイッチ(33)が作動されたことを示す場合、第1の極性(S1)のみを含む前記評価信号(S)を生成するように構成される、請求項7または8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記制御回路(70)が、前記第1のスイッチ(32)の前記動作状態に応じて、前記評価信号(S)の特性として前記評価信号(S)の量を調整するように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記器具(26)が、少なくとも1つの切断電極(38)と、少なくとも1つの第1の凝固電極(36)と、少なくとも1つの第2の凝固電極(37)とを有するツール(29)を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記切断出力部(54)が、前記少なくとも1つの切断電極(38)と接続され、前記動作回路(45)の第1の凝固出力部(50)が、前記少なくとも1つの第1の凝固電極(36)と接続され、前記動作回路(45)の第2の凝固出力部(51)が、前記少なくとも1つの第2の凝固電極(37)と接続される、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記第1のスイッチ(32)と、前記制御信号(A)を生成するように構成された制御要素(52)とが、第1の回路分岐(75)内に直列に接続され、前記第1の回路分岐(75)は、前記信号コネクタ(48)と接続されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記制御回路(70)が、第2の分岐回路(76)内に配置された手動で操作可能な第2のスイッチ(33)を備え、前記第2の分岐回路(76)は、前記信号コネクタ(24)と接続される、請求項13に記載のデバイス
【請求項15】
前記動作回路(45)が、変圧器回路(60)を備え、前記変圧器回路は、その一次側で前記供給コネクタ(46)と接続され、その二次側で前記切断出力部(54)と接続されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載のデバイス
【請求項16】
デバイス(20)を動作させるための方法であって、前記デバイス(20)は、装置(21)と、前記装置(21)と電気的に接続された器具(26)とを備え、前記装置(21)は、供給電圧(UV)または供給電流(IV)のための第1の装置出力部(22)と、第2の装置出力部(24)と接続された評価回路(40)とを備え、前記器具(26)は、動作回路(45)を備え、前記動作回路(45)は、前記第1の装置出力部(22)と接続することができる供給コネクタ(46)と、前記第2の装置出力部(24)と接続することができる信号コネクタ(48)と、前記信号コネクタ(48)と接続された制御回路(70)と、手動で操作可能な第1のスイッチ(32)と、前記供給コネクタ(46)および切断出力部(54)と接続されたスイッチユニット(53)とを備え、前記方法は、
前記評価回路(40)によって評価信号(S)を生成し、前記第2の装置出力部(24)に前記評価信号(S)を提供するステップと、
前記制御回路(70)によって、前記評価信号(S)を受信し、前記第1のスイッチ(32)の動作状態に応じて前記評価信号(S)の特性を調整するステップと、
前記評価回路(40)によって、前記評価信号(S)の前記特性を検出し、前記評価信号(S)の検出された特性に応じて前記評価信号(S)の極性(S1、S2)を調整するステップと、
前記制御回路(70)によって、前記評価信号(S)の前記極性(S1、S2)に応じて制御信号(A)を生成するステップと、
前記制御信号(A)によって、第1のスイッチ状態または第2のスイッチ状態をとるように前記スイッチユニット(53)を制御するステップとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織の凝固および切開のためのデバイスおよび方法に関する。デバイスは、器具と、器具に電気エネルギーを供給する装置とを備える。
【背景技術】
【0002】
このようなデバイスは、例えば欧州特許出願公開第3132765号明細書から知られている。器具は、切断電極および複数の凝固電極を備えたツールを有する。電極には、動作回路によって電気エネルギーが供給され得る。このために、動作回路は、変圧器を備え、この変圧器は、その二次側で電力スイッチを介して切断電極と接続される。器具は、切断起動スイッチおよび凝固起動スイッチを有する。凝固起動スイッチは、電源スイッチと機械的に結合されている。凝固起動スイッチの動作中、切断電極と変圧器との間の電気的接続は、切断電極に切断電圧が印加されないように遮断または切り替えられる。
【0003】
国際公開第2019/126370号は、生体組織の凝固および切断のためのデバイスおよび方法を記載している。デバイスは、凝固を有する連結された器具に、シーリングのための凝固電圧または切断のための切断電圧によって電気供給するためのシーリングステージおよび切断ステージを有する装置を有する。両方のステージはそれぞれ、電圧制御用のコンバータを備え、互いに独立して動作することができる。切断するために、シーリング電圧が、最初に第1の時間間隔で提供され、続いて第2の時間間隔で切断電圧が、提供される。
【0004】
凝固および切断に使用される器具は、使い捨てまたは再使用可能な器具であることができる。特に使い捨て器具では、製造コストが重要な役割を果たす。安全な取り扱いが保証されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、簡単かつ安全に取り扱うことができ、安価に製造することができる器具を提供することが、本発明の目的として考えられ得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本目的は、請求項1の特徴を有するデバイスおよび請求項16の特徴を有する方法によって解決される。
【0007】
本発明のデバイスは、装置と、装置と電気的に接続された器具とを備える。この器具によって、生体組織をシール(凝固)および/または切断(切開)することができる。このために、器具はそれぞれの電極を備える。
【0008】
装置は、装置出力部において器具のための供給電圧または供給電流を提供するように構成される。さらに、装置は、第2の装置出力部において器具に評価信号を提供するように構成された評価回路を備える。
【0009】
器具は、第1の装置出力部との接続のための供給コネクタと、第2の装置出力部との接続のための信号コネクタとを有する動作回路を有する。制御回路は、信号コネクタと電気的に接続され、装置によって提供される評価信号の極性に依存する制御信号を生成するように構成される。加えて、制御回路は、手動で操作することができる第1のスイッチを有する。この例によれば、第1のスイッチは、デバイスの切断モードを起動するように働く。
【0010】
加えて、器具の動作回路は、制御信号によって制御することができるスイッチユニットを備える。スイッチユニットは、第1のスイッチ状態または第2のスイッチ状態をとることができる。スイッチユニットは、供給コネクタと直接的または間接的に接続され、切断出力部と直接的または間接的に接続される。評価信号の極性に応じて、スイッチユニットに第1のスイッチ状態または第2のスイッチ状態のいずれかをとらせる制御信号が、生成される。
【0011】
好ましい実施形態では、スイッチユニットは、供給コネクタと切断出力部との間に直列に配置することができる。この構成では、スイッチユニットは、例えば、導通の第1のスイッチ状態とブロッキングの第2のスイッチ状態との間で切り替えることができる。あるいは、スイッチユニットはまた、導通の第1のスイッチ状態および導通の第2のスイッチ状態を含むこともでき、器具またはデバイスを凝固モードまたは切断モードのいずれで動作させるべきかに応じて、凝固電圧または切断電圧がスイッチの状態に応じて切断出力部に印可される。
【0012】
スイッチユニットの第1のスイッチ状態では、電気切断電圧または電気切断電流が、生体組織の切断に適した切断出力部に提供される。反対に、第2のスイッチ状態では、生体組織の切断に十分な電気切断電圧または電気切断電流は、切断出力部では利用できない。第2のスイッチ状態では、実質的にゼロに等しい電圧または電流を切断出力部に提供することができ、あるいは、切断には不十分であるが、例えば凝固に適切である電圧または電流を切断出力部に提供することができる。
【0013】
制御回路は、第1のスイッチの動作状態に応じて評価信号の特性を調整または変更するように構成される。例えば、評価信号の特性は、量、振幅、平均値などであることができる。特性は、評価信号の極性とは無関係であることが好ましい。好ましい実施形態では、制御回路を流れ抜ける評価電流の量は、例えば、第1のスイッチが動作しているか否かを特徴付ける特性として使用することができる。
【0014】
デバイスの装置は、さらに、制御回路によって影響されたかまたは調整された評価信号の特性、例えば評価電流の量を検出するように構成される。これにより、装置は、切断モードを起動するための第1のスイッチが動作されているか否かを決定することができる。評価信号の検出された特性に応じて、評価信号の極性が、さらに、評価回路によって調整される。
【0015】
評価信号の極性により、制御信号の状態がさらに定義され、必要に応じて変更される。したがって、評価信号の極性に基づいて制御信号を生成することができ、そのようにする際、デバイスが所望の凝固モードまたは切断モードで動作されるように、スイッチユニットに第1または第2のスイッチ状態をとらせることができる。
【0016】
制御回路および評価回路による信号処理は、非常に単純であり、安価に実現することができる。スイッチユニットおよび制御回路を結合するための複雑な機械的デバイスを省略することができる。制御は、制御信号によって電気的および/または光学的に実施される。デバイスは、標準的な構成要素を用いて簡単な方法で構築することができる。
【0017】
一実施形態では、スイッチユニットは、1つまたは複数の半導体スイッチを備えることができるか、または1つまたは複数の半導体スイッチによって形成することができる。スイッチユニットにおいて、少なくとも機械的スイッチを省略することができる。さらに、これにより、スイッチ状態を変更する際のスパークまたはアークの発生が回避される。
【0018】
デバイスの器具は、使い捨て器具または再使用可能な器具であることができる。どちらの場合も、器具は簡単に構成され、したがって安価に製造することができる。
【0019】
制御回路によって調整された評価信号が、第1のスイッチが動作されていることを示す場合、評価信号は、異なる位相中に異なる極性状態を含むことができる。好ましくは、第1のスイッチが動作される切断モードでは、評価信号は、第1のスイッチの動作で開始する第1の位相中に第1の極性のみを有する。特に、評価信号の量は、第1の位相中、一定であることができる。
【0020】
第2の位相が、第1の位相の直後に続くことができ、この第2の位相では、評価信号は、代替的にまたは交互に、第1の極性と、第1の極性とは反対の第2の極性とを含む。第1の極性は、例えば負であることができ、第2の極性は、例えば正であることができ、またはその逆の形であることもできる。
【0021】
例えば、評価信号は、電流または電圧であることができる。第1の位相中、例えば、直流電流または直流電圧を評価信号として提供することができ、第2の位相中、例えば、交流電圧または交流電流を評価信号として提供することができる。第2の位相中の信号形状は変化する可能性があり、例えば、方形波信号、三角形信号または正弦波信号であることができる。第2の位相中、評価信号は、等しい持続時間または異なる持続時間および/または等しい振幅または異なる振幅を含むことができる正および負の半波を有することができる。
【0022】
第2の位相中、第1の極性を有する評価信号の信号部分は、第1のスイッチの動作状態を評価するために使用することができ、第2の極性を有する信号部分は、制御信号によってスイッチユニットを所望のスイッチ状態に維持するために使用することができる。
【0023】
特に、制御回路は、評価信号が第2の位相中に少なくとも一時的に第2の極性を含む場合、スイッチユニットを制御信号によって第1のスイッチ状態に切り替えるように構成される。この第1のスイッチ状態では、切断出力部に電気切断電圧が印可されるか、または電気切断電流が、提供される。
【0024】
評価信号が第1の位相中に第1の極性のみを含む場合、スイッチユニットは、制御信号によって第2のスイッチ状態をとらされる。評価信号が第1の極性を含む場合、制御信号は、実質的に0であることができる。第2のスイッチ状態では、生体組織の切断を実施することができる切断出力部において、電圧または電流は利用可能ではない。
【0025】
好ましい実施形態では、装置は、第1の装置出力部において供給電圧または供給電流を提供するために、制御可能なエネルギー源(電流源または電圧源)を備えることができる。装置の評価回路は、起動信号によってエネルギー源を制御するように構成することができる。例えば、供給電圧または供給電流は、起動信号によってオンまたはオフに切り替えることができる。
【0026】
制御回路が、第1のスイッチに加えて手動で操作可能な第2のスイッチを備えると有利である。第2のスイッチは、凝固モードの起動のために働くことができる。本発明の一実施形態では、2つのスイッチは、互いに独立して、すなわちそれぞれ個別にまたは同時にも動作できるように構成することができる。これの代替策として、例えばロッカスイッチの場合のように、1回で2つのスイッチのうちの一方のみを動作させることができるように、両方のスイッチを機械的に結合することもできる。
【0027】
好ましい実施形態では、第1のスイッチおよび第2のスイッチは、それぞれボタンとして構成される。例えば、ボタンは、初期状態でブロッキング状態をとることができ、手動で導通状態に切り替えることができる。
【0028】
制御回路が、第2のスイッチの動作状態に応じて評価信号の特性を調整するように構成されると有利である。例えば、評価信号の量は、スイッチのいずれも動作されないか、または第1のスイッチのみ、もしくは第2のスイッチのみ、もしくは両方のスイッチが動作されるかどうかに応じて変化し得る。評価信号の特性に基づいて、装置の評価回路においてどのスイッチ動作が検出されたかに応じて、その極性が調整される。一実施形態では、評価信号の交互の極性の位相を有する切断モードは、第1のスイッチだけが動作された場合にのみ起動される。他のすべての場合において、評価信号は、第1の極性のみを有することができる。
【0029】
また、評価回路は、2つのスイッチのうちの一方が動作されたことが評価信号の特性に基づいて検出された場合に、第1の装置出力部において供給電圧または供給電流をオンにするかまたは提供するための起動信号を生成するように構成されることも有利である。
【0030】
1つの実施形態では、器具は、少なくとも1つの切断電極と、少なくとも1つの第1の凝固電極と、少なくとも1つの第2の凝固電極とを有することができる。例えば、切断出力部は、少なくとも1つの切断電極と接続することができる。動作回路の第1の凝固出力部は、少なくとも1つの第1の凝固電極と接続することができる。動作回路の第2の凝固出力部は、少なくとも1つの第2の凝固電極と接続することができる。
【0031】
好ましい実施形態では、制御回路は、制御信号を生成するように構成された制御要素を備える。
【0032】
動作回路が、送信機構成要素と、送信機構成要素からガルバニックに分離された受信機構成要素とを備える結合デバイスを備えると有利である。送信機構成要素によって、制御信号を制御回路から、スイッチユニットと接続された、またはスイッチユニットの一部である受信機構成要素に送信することができる。
【0033】
一実施形態では、送信機構成要素は、制御要素である。そのようにする際、受信機構成要素は、スイッチユニットの制御可能な半導体スイッチの制御ポートと接続することができる。
【0034】
例えば、少なくとも1つの発光ダイオードを送信機構成要素として使用することができ、少なくとも1つのフォトダイオードを受信機構成要素として使用することができる。例えば、送信機構成要素および受信機構成要素は、共通のハウジング内に共通のユニットとして配置することができる。このユニットは、例えば、光カプラであることができる。
【0035】
受信機構成要素がロードおよびアンロード回路を介してスイッチユニットの制御ポートと接続されると有利である。切断要求(例えば、第1のスイッチの動作)の場合、第1の半波が印加される持続時間中にロードおよびアンロード回路によってスイッチユニットの第1のスイッチ状態を維持することも可能である。好ましくは、ロードおよびアンロード回路はまた、第2のスイッチ状態へのスイッチユニットの切り替えを可能にするために、切断に適した切断電極に電圧が印加されるべきではない場合、スイッチユニットの少なくとも1つの制御ポート内の電荷を散逸させるように構成される。
【0036】
一実施形態では、スイッチユニットは、機械的スイッチなしで構成することができ、バイポーラトランジスタおよび/または電界効果トランジスタおよび/またはIGBTなどの半導体スイッチのみを備えることができる。
【0037】
第1のスイッチおよび制御要素が第1の回路分岐内で直列に接続されると有利である。第1の回路分岐は、信号コネクタと接続することができる。そのようにする際、第1のスイッチが開いているときに制御要素を通る電流の流れを阻止することができる。
【0038】
例えば、第1の回路分岐において、制御要素が配置される一方向電流経路を設けることができる。この一方向電流経路では、評価信号の第2の半波が印加される場合、電流の流れは一方向、特に電流の流れ方向にのみ許容される。このために、ダイオード機能を有する少なくとも1つの構成要素が、一方向電流経路に存在する。ダイオード機能を有する構成要素は、例えば、制御要素自体であることができる。代替的または追加的に、ダイオード機能、最も簡単な場合はダイオードを有するさらなる構成要素を、一方向電流経路内に設けることができる。ダイオードの代替として、評価信号の第2の半波中のみに導通状態をとる制御された半導体スイッチを使用することもできる。
【0039】
一実施形態では、制御要素は、発光ダイオードとして構成される。発光ダイオードに加えて、好ましくは電流の流れ方向の上流で、別個のダイオードを制御要素に直列に接続することができる。
【0040】
第1の回路分岐内の一方向電流経路に並列にさらなる並列電流経路が設けられると有利であり、例えば、並列電流経路内にレジスタを配置することができる。本出願においてレジスタが言及されている場合、別段に示される限り、オーミックレジスタを意味する。好ましくは、第1のスイッチは、一方向電流経路および並列電流経路に直列に接続される。
【0041】
加えて、第2のスイッチが制御回路の第2の回路分岐内に配置されると有利である。第2の回路分岐は、信号コネクタと接続される。好ましくは、レジスタが、第2のスイッチに直列に接続される。
【0042】
一実施形態では、第2のスイッチおよび制御要素は、接続電流経路を介して結合される。例えば、接続電流経路は、第2のスイッチと制御要素との間に、切断することができない永続的な電気接続を確立することができる。接続電流経路は、構成要素なしで構成することができる。特に、第2のスイッチおよび接続電流経路は、制御要素および第1のスイッチに並列に接続される。第2のスイッチが閉じているか、または導通状態である場合、制御要素の低抵抗バイパスが、もたらされる。したがって、第2のスイッチが導通状態である場合、制御要素を通る電流の流れは生じることができない。制御要素の低抵抗バイパスとは、バイパスにおける電圧が実質的に0に等しく、特に制御要素の起動電圧、例えば発光ダイオードの順方向電圧よりも小さいような低抵抗値を有するバイパスを意味する。
【0043】
加えて、動作回路の第1の凝固出力部がスイッチなしで供給コネクタと接続されると有利である。例えば、これに関連してコンデンサを配置することができる。
【0044】
好ましくは、動作回路は、変圧器を有する変圧器回路を備える。変圧器回路は、一次側で供給コネクタと接続され、二次側で切断出力部と接続され、これらの接続は、直接的または間接的な接続であることができる。変圧器回路の変圧器は、自動変圧器としてガルバニック分離なしで構成することができる。あるいは、変圧器は、二次側からガルバニック分離された一次側を有することもできる。変圧器回路は、供給コネクタに印加される供給電圧を、例えば約100ボルトから約450ボルトの交流電圧に増加させるように特に構成される。
【0045】
上記で説明した実施形態では、動作回路は、器具の一部であり、器具のハウジング内に設けられ得る。動作回路またはその一部は、器具のハウジング内の配置に加えて、またはその代替として、例えば、器具と電気的に接続することができ、装置と器具との間を電気的に接続することができる別個のモジュール内に配置することもできる。例えば、モジュールは、装置および器具と解放可能に電気的および/または機械的に接続することができるプラグモジュールであることができる。モジュールはまた、器具の接続線またはケーブル内に配置することもできる。
【0046】
本発明の別の独立した態様は、凝固モードで生体組織をシールし、切断モードで生体組織を切断するように構成された電気外科用器具を特徴とする。器具は、少なくとも1つの半導体スイッチを備える、電子的および/または光学的に制御されるスイッチユニットを有する。スイッチユニットは、第1のスイッチ状態において、生体組織の切断に適した電気的パラメータ(切断電圧および/または切断電流)を切断電極に提供することができる。反対に、スイッチユニットの第2のスイッチ状態では、生体組織の切断に十分な電気切断電圧または電気切断電流は、切断電極において利用可能ではない。切断モードでは、スイッチユニットの制御は、スイッチユニットが少なくとも位相中、好ましくは切断前に第2のスイッチ状態をとるようなものである。凝固モードでは、スイッチユニットは、第2のスイッチ状態のままであり続ける。スイッチユニットを制御するための電気的および/または光学的制御信号は、例えば上記で説明した評価信号および/または別の信号および/または器具が接続されている、器具に電力を供給するための装置の状態に基づいて、器具によって生成することができ、この装置の状態は、器具によって、または代替として、装置から独立して検出することもできるものである。
【0047】
このさらなる態様は、上記で説明したデバイスの1つまたは複数の特徴、特に最初に説明した本発明の態様による上記で説明した器具の構成と組み合わせることができる。
【0048】
特に上記で説明した実施形態の1つを使用することによる、生体組織の凝固および切断のためのデバイスを動作させるための方法は、以下のステップを含む。
【0049】
最初に、評価信号が生成され、器具の第2の装置出力部、特に第2の装置出力部にある制御回路に提供される。好ましくは、評価信号は、初期状態では第1の極性のみを含む。
【0050】
評価信号は、信号コネクタで受信される。第1のスイッチおよび任意選択により設けられる第2のスイッチの動作状態に応じて、評価回路によって検出できる評価信号の特性が、変更される。評価回路によって検出される評価信号の特性は、例えば、評価信号に起因して制御回路を流れ抜ける評価電流の量とすることができる。この特性は、第1のスイッチまたは任意選択により設けられた第2のスイッチのいずれが動作されているかどうか、したがってデバイスが、切断モード(例えば、第1のスイッチが動作される)または凝固モード(例えば、第2のスイッチが動作される)のいずれで動作されるべきかどうかを示す。評価信号の極性は、検出された評価信号の特性に応じて、したがって少なくとも1つのスイッチの動作条件に応じて調整される。
【0051】
評価信号の調整された極性に基づいて、スイッチユニットの制御信号は、第1のスイッチ状態または第2のスイッチ状態のいずれかをスイッチユニットにとらせるように生成される。
【0052】
本発明の有利な構成は、従属請求項、明細書および図面から導かれる。その後、本発明の好ましい実施形態を添付の図を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】装置と、装置と電気的に接続された器具とを有する凝固および切断のためのデバイスの概略図である。
図2図1の器具のツールの斜視部分図である。
図3】器具の動作回路の一実施形態の回路図である。
図4】例示的な評価信号の時間経過の概略図である。
図5】デバイスの切断モードにおける凝固電圧の時間経過の概略図である。
図6】デバイスの切断モードにおける切断電圧の時間経過の概略図である。
図7】一状態における図3の動作回路の制御回路の一実施形態の回路図である。
図8】異なる状態における図3の動作回路の制御回路の一実施形態の回路図である。
図9】異なる状態における図3の動作回路の制御回路の一実施形態の回路図である。
図10】異なる状態における図3の動作回路の制御回路の一実施形態の回路図である。
図11】異なる状態における図3の動作回路の制御回路の一実施形態の回路図である。
図12】異なる状態における図3の動作回路の制御回路の一実施形態の回路図である。
図13図3の供給電圧のための任意選択の電圧上昇回路の回路図である。
図14図3の動作回路用のスイッチユニットの改変された実施形態の回路図である。
図15】トランジスタによってダイオード機能を実現するための制御回路の回路部分の変更された実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1は、凝固および切断のためのデバイス20を示している。デバイス20は、第1の装置出力部22上に供給電圧UVまたは供給電流IVを提供する装置21を備える。このために、装置は、好ましくは起動信号Wによって制御可能であるか、または少なくともオンおよびオフに切り替えることができるRF電流源またはRF電圧源42を備える。評価信号Sが、第2の装置出力部24に提供される。評価信号Sは、装置21の評価回路40によって生成される。第3の装置出力部23が、グランドMと接続される。
【0055】
評価信号Sは、例えば、電圧または電流である。これは、第1の極性S1または第1の極性S1とは反対の第2の極性S2を有することができる。例えば、第1の極性は負であり、第2の極性は正である。評価信号Sの極性S1、S2は、位相中一定であることができ、位相中交互であることができる(図4)。評価信号Sは、図4に方形波信号として示されている。これの代わりに、評価信号Sは、交互の極性S1、S2を有する位相中に任意の他の波形、例えば、正および負の半波を有する正弦波または三角波の形状を有することもできる。交互の極性S1、S2を有する位相中、評価信号Sは、周期的または非周期的であることができる。第1の極性を有する半波の持続時間および第2の極性を有する半波の持続時間が異なる長さを有することも可能である。
【0056】
好ましくは、評価信号Sは、1つの極性、例えば初期状態では第1の極性S1のみを有する。これにより、評価信号は一定量を有することができる。
【0057】
凝固および切断のための器具26が、多芯ケーブル25を介して装置21と接続される。器具26は、ハンドル28およびツール29を有するハウジング27を有する。この実施形態では、ツール29は、接続部30によってハウジング27と接続される。接続部30は、棒状に構成することができる。ツール29のための操作要素31が、ハンドル28上に存在する。操作要素31は、ツール29の機械的および電気的操作のために働く。操作要素31には、手動で操作可能な第1のスイッチ32および手動で操作可能な第2のスイッチ33が設けられている。この実施形態では、2つのスイッチ32、33は押しボタンとして構成され、それらの非動作の初期状態で非導通状態をとる。
【0058】
図2では、図1の器具26のツール29が、部分斜視図で示されている。ツール29は、互いに対して移動することができ、ヒンジ41によってヒンジ式に互いに接続された2つのジョー34、35を有する。ジョー34、35は、操作要素31によって互いに対して枢動することができる。一方のジョー34には少なくとも1つの第1の凝固電極36が配置され、その一方で他方のジョー35には少なくとも1つの第2の凝固電極37が設けられている。1つの第1の凝固電極36および1つの割り当てられた第2の凝固電極37はそれぞれ、凝固電極対を形成する。複数の凝固電極対をジョー34、35に設けることができる。
【0059】
さらに、一方のジョー34は、切断電極38をさらに備える。この実施形態では、切断電極38は、ジョー35の溝様凹部内にインサートとして配置され、2つの第1の凝固電極36に隣接している。切断電極38は、第1の凝固電極36から電気的に絶縁されてツール39上に配置される。複数の第1の凝固電極36は、互いに電気的に接続され得る。
【0060】
切断電極38のための対向支持体39が、ジョー38上に配置される。操作要素31によってツール29が閉じられると、1つの第1の凝固電極36および1つの第2の凝固電極37が、それぞれ互いに対向して配置される。切断電極38は、対向支持体39に隣接して配置されるか、または接触している。電極36、37、38の電気的機能は、スイッチ32、33によって動作させることができる。
【0061】
器具26の動作回路45の一実施形態が、図3に示されている。動作回路45は、動作回路45を第1の装置出力部22にそれによって接続することができる供給コネクタ46と、動作回路45を第3の装置出力部23にそれによって接続することができるグランドコネクタ47とを有する。動作回路45の信号コネクタ48は、第2の装置出力部24と接続することができる。したがって、装置21の評価信号Sは、信号コネクタ48に提供される。動作回路45は、グランドコネクタ47を介してグランドMと接続される。供給コネクタ46は、動作回路45に供給電流IVまたは供給電圧UVを提供するために、装置21のRF電流源またはRF電圧源42にこの例に従って接続される。
【0062】
供給コネクタ46は、第1のコンデンサ49を介して凝固出力部50と接続される。第1の凝固出力部50は、少なくとも1つの第1の凝固電極36と接続される。第2の凝固出力部51は、少なくとも1つの第2の凝固電極37と接続される。この実施形態では、第2の凝固出力部51は、グランド出力部として構成される。このために、第2の凝固出力部51は、グランドコネクタ47と接続され、したがってグランドMと接続される。
【0063】
加えて、動作回路45は、制御要素52の制御信号Aによって切り替えることができるスイッチユニット53を備える。スイッチユニット53は、供給コネクタ46と切断出力部54との間を電気接続して接続される。スイッチユニット53は、切断電極38を使用して切断するように構成された第1のスイッチ状態において切断出力部54に切断電圧USおよび/または切断電流を供給し、第2のスイッチ状態において切断出力部54に電気エネルギーを実質的に供給しないように構成される。この例によれば、供給コネクタ46と切断出力部54との間の接続は、第2のスイッチ状態において遮断される。
【0064】
スイッチユニット53は、機械的スイッチなしで構成され、少なくとも1つの半導体スイッチ55、この実施形態では、直列に接続された2つの半導体スイッチ55を備える。この例によれば、半導体スイッチ55のそれぞれは、ここでは通常非導通のnチャネルMOSFETとして示されている電界効果トランジスタである。各半導体スイッチ55は、この実施形態により、MOSFETのゲートによって形成された制御ポート56を有する。
【0065】
2つの制御ポート56は、互いに接続されていることが好ましい。加えて、MOSFETの2つのソース接続部を互いに接続することができる(図13)。
【0066】
2つのMOSFETのドレイン接続は、いずれの場合もスイッチユニット53のスイッチポート57を形成する。スイッチユニット53の切り替え経路は、2つのスイッチポート57間に形成される。スイッチユニット53のスイッチポート57の1つは、供給コネクタ46と接続される。それぞれの他方のスイッチポート57は、切断出力部54と接続している。
【0067】
この例によれば、スイッチユニット53は、少なくとも1つの半導体スイッチ55のためのロードおよびアンロード回路58を備える。ロードおよびアンロード回路58は、第1のスイッチ32が動作されている限り、評価信号Sの交互の極性S1、S2を有する位相中にスイッチユニット53の第1のスイッチ状態を維持するために、制御ポート56における電荷を十分に長く維持することができるように構成される。この例によれば、第1のスイッチ状態を維持するための制御信号Aは、評価信号Sが2つの極性S1またはS2のうちの一方を有し、この例によれば第2の極性S2を有する場合にのみ生成される。この結果、評価信号Sの交互の極性S1、S2を有する位相中、制御信号Aもその状態を交互に変化させる。そのような位相中、ロードおよびアンロード回路58は、第1のスイッチ状態と第2のスイッチ状態との間のスイッチユニット53の交互の切り替えを回避する。
【0068】
加えて、ロードおよびアンロード回路58は、半導体スイッチ55が再び(この実施例によれば第2のスイッチ状態に対応する)それらの非導通状態に移行できるように第1のスイッチ32が動作しなくなる場合、制御ポート56に存在する電荷を散逸させるように構成される。
【0069】
この実施形態では、動作回路45は、変圧器60を有する変圧器回路を有する。変圧器60は、一次巻線61と、二次巻線62とを備える。この実施形態では、変圧器60は、自動変圧器として構成される。これにより、一次巻線61および二次巻線62は、直列に接続され、タップ63が、スイッチユニット53の割り当てられたスイッチポート57と接続される。タップ63から開始して、一次巻線61および第2のコンデンサ64の直列接続が、グランドMと接続される。タップ63から開始して、二次巻線62および第3のコンデンサ65の直列接続が、切断出力部54と接続される。第1のレジスタ66が、第3のコンデンサ65に並列に接続される。第3のコンデンサ65および第1のレジスタ66の並列接続は、スパーク検出回路を形成する。スパークが発生した場合、供給電流IVは、直流成分を含むか、または供給電圧UVは、オプションとして装置21内で評価および検出することができる直流電圧成分を含む。このようなスパーク検出が不要であれば、スパーク検出回路を省略することもできる。
【0070】
動作回路45は、制御回路70をさらに備え、制御要素52は、その一部である。制御回路70は、制御信号Aを制御回路70からスイッチユニット53に伝達するために、結合デバイス71を介してスイッチユニット53に結合される。このために、結合デバイス71は、制御回路70内の少なくとも1つの送信機構成要素72と、スイッチユニット53の少なくとも1つの制御ポート56と接続された少なくとも1つの受信機構成要素73とを有する。この実施形態では、少なくとも1つの送信機構成要素72は、発光ダイオードであり、少なくとも1つの受信機構成要素73は、フォトダイオード、あるいはフォトトランジスタである。結合デバイス71は、光カプラ74によって形成することができる。図示する実施形態では、送信機構成要素72は、制御要素52によって具現化される。
【0071】
図3に示す実施形態では、制御回路70は、第1のスイッチ32を有する第1の回路分岐75と、第2のスイッチ33を有する第2の回路分岐76と、第3の回路分岐77とを備える。3つの回路分岐75、76、77は、グランドコネクタ47と信号コネクタ48との間に互いに並列に接続される。
【0072】
この実施形態では、第3の回路分岐77は、第1のダイオード78および第2のレジスタ79の直列接続として定義される。第1のダイオード78のカソードは、信号コネクタ48と接続され、アノードは、第2のレジスタ79と接続される。第2のレジスタ79の他方の接続は、グランドMと接続される。
【0073】
第2の回路分岐76は、第2のスイッチ33に加えて、第2のスイッチ33に直列に接続された第3のレジスタ80を備える。
【0074】
第1の回路分岐75は、第1のスイッチ32に直列に接続された一方向電流経路81と、一方向電流経路に並列に接続された並列電流経路82とを有する。一方向電流経路81では、制御要素52は、第1のスイッチ32に直列に接続される。一方向電流経路81は、第1のスイッチ32が閉じられている場合、電流が一方向電流経路81を通って、この例によれば信号コネクタ48からグランドコネクタ47に向かって一方向にのみ流れることができるように、ダイオード機能を有する少なくとも一つの構成要素を備える。図示するこの実施形態では、ダイオード機能を有する追加の構成要素、例えば第2のダイオード83が、制御要素52に直列に接続される。第2のダイオード83のアノードは、信号コネクタ48と接続され、第2のダイオード83のカソードは、制御要素52、この例によれば、制御要素52を形成する発光ダイオードのアノードと接続される。
【0075】
加えて、図示する実施形態では、第2のダイオード83と制御要素52との間の接続点は、接続電流経路84を介して第2のスイッチ33と接続され、それにより、接続電流経路84および第2のスイッチ33は、制御要素52および第1のスイッチ32に並列に接続される。
【0076】
並列電流経路82内には、第4のレジスタ85が、第2のダイオード83および制御要素52に並列に接続される。
【0077】
動作回路45の機能は、図4図12に基づいて後で説明される。区別する目的で、第1の回路分岐75を通って流れる電流は第1の電流I1として参照され、第2の回路分岐76を通って流れる電流は第2の電流I2として参照され、第3の回路分岐77を通って流れる電流は第3の電流I3として参照される(図7図12)。回路分岐75、76、77内のレジスタ79、85、および80の抵抗値は、装置21の評価回路40が電流I1、I2、I3の量に基づいて、第1のスイッチ32、第2のスイッチ33、または両方のスイッチ32、33が導通状態にあるか否かを検出するように選択される。特に、第3のレジスタ80および第4のレジスタ85の抵抗値は、異なる量を有する。
【0078】
制御回路70は、評価回路40によって提供される評価信号Sの特性に影響を与えるように構成される。この実施形態では、第2の装置出力部24と第3の装置出力部23との間に流れる評価電流の量は、この目的のために、2つのスイッチ32、33のスイッチ状態に応じて制御回路70によって変更される。評価回路40は、例えば測定レジスタによって、第2の装置出力部24と第3の装置出力部23(グランドM)との間を流れる評価電流の量を測定することができる。
【0079】
制御回路70を通る評価電流の量を変化させるこうした可能性により、第1のスイッチ32および第2のスイッチ33のスイッチ状態を簡単に検出することが可能になる。これの代替として、例えば、回路分岐75、76内の異なる寸法のツェナーダイオードによって、または電圧もしくは電流を異なる方法で変調する回路分岐内の能動構成要素などによって電圧レベルを変化させることによって、回路分岐75、76のいずれを通って電流が流れるかに応じて、評価信号Sの他の特性を変更することもできる。
【0080】
すべての場合において、装置21の評価回路40は、制御回路70によって調整された評価信号Sの特性に基づいて、第1のスイッチ32および/または第2のスイッチ33が動作され、したがって導通状態に切り替えられたかどうかを検出することができ、それにより、オペレータが切断モードまたは凝固モードのどちらを要求しているかを検出することができる。第1のスイッチ32を動作させることにより、切断モードが要求され、第2のスイッチ33を動作させることにより、凝固モードが要求される。
【0081】
この実施形態では、評価信号Sは初期状態で一定であり、図4に概略的に示すように、この例によれば負である第1の極性S1のみを含む。
【0082】
評価信号Sの初期状態では、スイッチ32、33の両方は動作されておらず、したがって非導通状態であると仮定される(図7)。信号コネクタ48の負電位により、グランドコネクタ47から信号コネクタ48に向かう電流の流れのみが発生し得る。第1の回路分岐75および第2の回路分岐76は、非導通状態のスイッチ32および33によって遮断される。したがって、第3の電流I3のみが、第3の回路分岐77を通って流れることができる。第3の電流I3の量が評価回路40内で評価され、それによって、2つのスイッチ32、33が動作されず、したがって非導通状態であることが認識される。
【0083】
オペレータは、第1の時間t1で切断モードを要求するために第1のスイッチ32を作動させ、それにより、第1のスイッチがその導通状態に切り替えられると仮定する(図8)。第3の回路分岐77を通って流れる第3の電流I3に加えて、第1の電流I1が、ここで、第1のスイッチ32を介して、並列電流経路82内の第4のレジスタ85を通って流れることができる。したがって、制御回路70の全抵抗は、実質的に第2のレジスタ79および第4のレジスタ85の並列接続から得られる。評価電流の量は、非作動状態(図7)と比較して変化する第1の電流I1および第2の電流I3の量の合計に対応する。この変化は、評価回路40内で検出することができる。
【0084】
したがって、装置21において、オペレータが第1のスイッチ32を作動させたことが認識される。評価回路40は、この場合、切断モードを開始し、それに応じて器具26を制御するように構成される。最初に、第1の時間t1において、供給電圧UVは起動信号Wを介して第1の装置出力部22に提供され、それにより、凝固電圧UKは、RF電圧源42によって提供されて第1の凝固出力部50と第2の凝固出力部51との間に印加される(図5)。
【0085】
第1のスイッチ32が作動されている第1の時間t1で始まり、第1の位相P1が、切断モードで開始する。この第1の位相P1中、評価信号Sは、第1の極性S1を維持し、それによってスイッチユニット53はその第2のスイッチ状態をとる。そのため、切断出力部52には、切断電圧USまたは切断電流は提供されない。この例によれば、スイッチユニット53の第2のスイッチ状態では、切断出力部54において電圧および電流は実質的にゼロに等しい。変更された実施形態では、スイッチユニット53は、第2のスイッチ状態において、供給コネクタ46と切断出力部54との間に接続を確立することができ、この接続では変圧器60がバイパスされ、それにより、凝固電圧UKは、切断出力部54にも印可される。
【0086】
第1の位相P1は、第1の位相P1の終了条件、例えば所定の持続時間の終了が満たされた場合に終了する。加えて、または代替として、凝固電圧UKによってもたらされる装置21を通る凝固電流を評価することができ、凝固電流が閾値を下回る場合、第1の位相P1を終了することができる。
【0087】
第1の位相P1の終了後(第2の時間t2)、第2の位相P2が、すぐに開始する。この第2の位相P2では、切断電圧USが、切断出力部54に印加される。このために、スイッチユニット53を第2のスイッチ状態から第1のスイッチ状態に切り替えなければならない。この例によれば、これは、評価回路40が、第2の位相P2中、交互の極性S1、S2を含むように評価信号Sを変化させることで達成される。評価信号Sは、この第2の位相P2中、正および負の半波を有する交流電圧であることができる。正および負の半波の振幅は、等しい量または異なる量を有することができる。正の半波および負の半波の持続時間は、等しいまたは異なる長さを有することができる。
【0088】
正の半波中、評価信号Sが第2の極性S2を有する場合、電流の流れ方向は、制御回路70内で反転され、評価電流は、信号コネクタ48からグランドコネクタ47に流れる(図9)。第2の回路分岐76は、第2のスイッチ33が動作されていないことによって遮断され、第3の回路分岐77を通ってグランドコネクタ47に向かう方向に電流を流すことは、第1のダイオード78により、不可能である。第1の電流I1のみが、第1の回路分岐75を通って流れる。
【0089】
これにより、第1の電流I1は、一方向電流経路81を通る部分電流I11と、並列電流経路82を通る第2の部分電流I12とを含む。一方向電流経路81を通る部分電流I11は、第4のレジスタ85の抵抗値と比較してその抵抗値が小さいことにより、並列電流経路82を通る第2の部分電流I12よりも著しく高い。部分電流I11は、この実施形態では同時に送信機構成要素72である制御要素52を通って流れる。そのようにする際、制御信号Aが生成され、受信機構成要素73に送信される。これを受けて、受信機構成要素73は、スイッチユニット53の第2のスイッチ状態から第1のスイッチ状態への切り替えを開始する。この第1のスイッチ状態では、少なくとも1つの半導体スイッチ55は導通状態であり、それにより、スイッチユニット53のスイッチポート57間の電気的接続が、確立される。供給コネクタ46と変圧器60のタップ63との間の電気的接続が、確立される。この電気的接続は、切断出力部54に設けられた変圧器60によって、供給コネクタ46に印加される供給電圧UVを切断電圧USに変換する(図6)。
【0090】
制御信号Aは、この例による光カプラの発光ダイオード(送信機構成要素72)から送信される光によって形成される。光カプラ74の発光ダイオードは、発光ダイオードに電流が流れた場合にのみ発光する。発光された光(制御信号A)は、次に、ロードおよびアンロード回路58によるドレインソース電圧またはベース-エミッタ電圧の生成のためのソースとして働く、光カプラ74の少なくとも1つのフォトダイオードによる電圧の生成を提供し、それにより、少なくとも1つの半導体スイッチ55を導通状態に切り替えることができるか、または導通状態に維持することができる。
【0091】
第2の位相P2の終了条件が満たされた場合、第2の位相P2は終了する。これは、例えば、第2の位相P2のための所定の持続時間の終了であることができる。第2の位相P2の終了条件は、切断出力部54から組織を通って流れる切断電流が、装置21によって評価することができる閾値を下回る場合にも満たされ得る。
【0092】
図6に示すように、第2の位相P2は、第3の時間t3で終了する。この時間t3において、第3の位相P3が開始する。第3の位相P3中、評価回路40は、初期状態に対応し、したがってこの例によれば一定量を有する第1の極性S1のみを含む評価信号Sを生成する。第3の位相P3は、第3の位相P3の終了条件が満たされた場合、例えば所定の持続時間が終了した場合に終了する。
【0093】
第3の位相P3中、凝固電圧UKは、2つの凝固出力部50、51間で維持される。第3の位相P3の終了後(第4の時間t4)、評価回路40は、起動信号Wによって供給電圧UVをオフに切り替える。切断が完了する。
【0094】
第3の位相P3は任意であり、省略することもできる。
【0095】
評価信号Sは、少なくとも位相P1、P2、P3の各々の期間中にも第1の極性S1を含むので、この少なくとも1つの期間を使用して、第1のスイッチ32が依然として動作しているかどうかを決定することができる。切断の終了前にオペレータが第1のスイッチ32を解放すると、これが決定され、器具26の供給電圧UVが、起動信号Wによってオフにされる。したがって、切開の各位相P1、P2、P3内で切断プロセスを遮断することができる。
【0096】
一例として、図10には、評価信号Sがその初期状態(第1の極性S1のみ)で印加されている間、オペレータが第2のスイッチ33を操作する状況が示されている。そのようにする際、第2の回路分岐76を通る第2の電流I2と、第3の回路分岐77を通る第3の電流I3とを含む評価電流が、生成される(図10)。既に説明したように、評価回路40は、第2の電流I2と第3の電流I3との和によって形成される評価電流の量を検出することができ、第2のスイッチ33が動作されたことを検出することができる。制御回路70の総抵抗は、この状況では、実質的に第2のレジスタ79および第3のレジスタ80の並列接続によって得られる。
【0097】
第2のスイッチ33を閉じることは、オペレータが凝固モードを要求することを意味する。図4図6を参照すると、一例として、第2のスイッチ33が第1の時間t1において動作されたと仮定される。切断モードと同様に、第1の装置出力部22における供給電圧UVの印加は、評価回路40によって起動信号Wによって開始され、それにより、凝固電圧UKは、第1の凝固出力部50(図5)に印加される。評価信号Sは、凝固モードの要求の場合には変更されず、その初期状態を維持する。したがって、スイッチユニット53は、その第2のスイッチ状態のままであり、切断出力部54に切断電圧USは印加されない(図6の一点鎖線)。
【0098】
切断モードと同様に、凝固モードにおいても、凝固電圧UKの生成は、終了条件に関連付けることができ、切断モードに関連して既に説明したように、この例によれば、凝固電流の評価によって、または持続時間の終了後に終了させることができる。
【0099】
評価信号Sが第1の極性S1のみを有する初期状態を含む場合に、オペレータが第1のスイッチ32および第2のスイッチ33を操作する状況が図11に示されている。この場合、評価電流の量は、第1の回路分岐75を通る第1の電流I1、第2の回路分岐76を通る第2の電流I2、ならびに第3の回路分岐77を通る第3の電流I3の量の合計からなる。制御回路70の総抵抗は、実質的に第2のレジスタ79、第3のレジスタ80、および第4のレジスタ85の並列接続によって得られる。したがって、装置21の評価回路40は、評価電流の量が評価されるという点で、両方のスイッチ32、33が作動されたと決定することができる。
【0100】
そのような場合の1つの可能性は、評価信号Sが第1の極性S1のみを有する状態を維持し、上記で説明したように凝固モードのみが起動されることである。評価信号Sが第2の極性S2を有する部分を含まない場合、スイッチユニット53を第1のスイッチ状態に切り替えることができる制御信号Aは、生成されない。切断のための切断電圧USの生成は、省略される。
【0101】
たとえ切断モードと同様に、評価信号Sが交互の極性S1、S2を有する期間を含む場合でも、第1のスイッチ状態へのスイッチユニット53の切り替えは、妨げられる(図12を比較されたい)。第2のスイッチ33が制御要素52をバイパスすることで、制御要素52を通る電流の流れが回避され、そのようにする際、第1のスイッチ状態へのスイッチユニット53の切り替えを開始し得る制御信号Aは、生成されない。この場合も、切断電圧USの生成が、回避される。
【0102】
少なくとも1つの受信機構成要素73は、ロードおよびアンロード回路58を介して各半導体スイッチ55の制御ポート56と接続され、それによって一方では(少なくとも第1の極性S1を有する第1の半波の持続時間中)制御ポート56内の電荷を十分長く維持し、他方では、スイッチユニット53が第2のスイッチ状態に切り替えられるべきである場合、そこに存在する電荷を再度散逸させることができるようになる。
【0103】
この実施形態では、MOSFETのゲート接続内の電荷は、ロードおよびアンロード回路58を介して維持され、それにより、第2の位相P2中に第1の極性S1を有する半波が存在する場合にも、スイッチユニット53はその第2のスイッチ状態(導通状態)のままである。少なくとも第1の極性S1を有する半波の持続時間の間、第1のスイッチ32が第2の半波S2中導通状態である場合に光カプラ74のフォトダイオードが光カプラ74の発光ダイオードによって再び制御される場合、MOSFETのゲート内の電荷は、ロードおよびアンロード回路58によって維持される。
【0104】
ロードおよびアンロード回路58の一実施形態が、図13に示されている。他のロードおよびアンロード回路も使用できることは明らかである。
【0105】
少なくとも1つの受信機構成要素73は、より高い電位の第1のポート73a(ここでは少なくとも1つのフォトダイオードのアノード側)と、より低い電位の第2のポート73b(ここでは少なくとも1つのフォトダイオードのカソード側)とを有する。送信機構成要素72による起動中、第1のポート73aでは、第2のポート73bよりも高い電位が、印加される。
【0106】
第5のレジスタ90が、少なくとも1つの受信機構成要素73に並列に接続される。第3のダイオード91のアノードは、第1のポート73aと接続され、そのカソードは、第4のコンデンサ92と接続される。第4のコンデンサ92の他方側は、第2のポート73bと接続される。第5のレジスタ90は、第3のダイオード91および第4のコンデンサ92の直列接続に並列に接続される。
【0107】
第4のダイオード93および第5のコンデンサ94の直列接続が、第3のダイオード91に並列に接続され、第4のダイオード93のアノードは、第3のダイオード91のカソードと接続される。第4のダイオード93のカソードは、第5のダイオード95のアノードと接続される。第5のダイオード95のカソードは、第6のコンデンサ96と接続される。第6のコンデンサ96の他方の接続は、第2のポート73bと接続される。加えて、第6のコンデンサ96は、制御ポート56(ドレイン接続)と、直列に接続された2つの半導体スイッチ55(ソース接続)間の接続点との間に接続される。第6のレジスタ97は、第6のコンデンサ96に並列に接続される。
【0108】
直列に接続されたダイオード91およびコンデンサ92、ダイオード93およびコンデンサ94、ダイオード95およびコンデンサ96の複数のカスケードはそれぞれ、送信機構成要素72による起動中に少なくとも1つの受信機構成要素73に印加される電圧の電圧乗算のために働く。コンデンサが設けられているため、半導体スイッチ55の起動、およびこの例によれば、電界効果トランジスタのゲート内の電荷は、短い期間中、第1の極性S1を有する半波の間に少なくとも1つの受信機構成要素73に電圧が印加されない場合でも、維持され得る。したがって、コンデンサは、バッファコンデンサとして働く。アンロードを可能にするために、ロードおよびアンロード回路58のレジスタ90、97が設けられる。第1のスイッチ32が起動されない場合、制御ポート56内の電荷はレジスタ90、97を介して平準化することができ、半導体スイッチ55は、それらのブロッキング状態に戻ることができる。非導通状態への第1のスイッチ32の切り替えから半導体スイッチ55のブロッキングまでの持続時間は、ロードおよびアンロード回路58内に存在する構成要素の寸法に依存する。
【0109】
上記で説明したロードおよびアンロード回路58の変更において、多かれ少なかれ、ダイオードおよびコンデンサのカスケードも使用することができる。これは、半導体スイッチ55の起動に必要な電圧に依存する。
【0110】
図14は、スイッチユニット53の変更された実施形態を示す。半導体スイッチ55は、バイポーラトランジスタ103を備え、半導体制御スイッチ102によってそれぞれ制御される。半導体制御スイッチ102は、電界効果トランジスタ、この例によれば通常は非導通のnチャネルMOSFETである。半導体制御スイッチ102の制御ポート56は、ロードおよびアンロード回路58と接続される。加えて、バイポーラトランジスタ103の2つのコレクタは、ロードおよびアンロード回路58と接続される。一方のバイポーラトランジスタ103の各エミッタは、スイッチポート57を形成する。加えて、バイポーラトランジスタ103のコレクタは、半導体制御スイッチ102を形成する電界効果トランジスタのソース接続部と接続される。各バイポーラトランジスタ103のベースは、それぞれ割り当てられた電界効果トランジスタのドレイン接続と接続される。ゲートソース電圧が十分に高くなるとすぐに、半導体制御スイッチ102は導通するようになり、それにより、ベース電流は、PNPバイポーラトランジスタ103から流れて、これらのスイッチはその導通状態に移行する。
【0111】
第3の回路分岐77の変更された実施形態が、図15に示されている。第1のダイオード78の代わりに、トランジスタ、特にバイポーラトランジスタを使用することができ、そのコレクタ接続は、第2のレジスタ79と接続され、そのエミッタ接続は、信号コネクタ48と接続される。トランジスタのベース接続は、第7のレジスタ101を介してグランドと接続される。
【0112】
本発明は、生体組織の凝固および/または切開のためのデバイス20ならびに方法に関する。デバイス20は、装置21と、装置21と電気的に接続された器具26とを備える。器具26には、動作回路45の一部である手動操作用の少なくとも第1のスイッチ32が設けられる。装置21の評価回路40は、器具26に評価信号Sを提供する。加えて、装置21は、供給電圧UVまたは代替的に供給電流IVを生成し、これを器具26に提供することができる。初期状態では、評価信号Sは、1つの極性のみを含み、初期状態では常に0以上または0以下のいずれかであるが、連続的ではなく、せいぜい一時的に0に等しい。評価信号Sは、第1のスイッチ32の動作状態に応じて評価信号Sの特性が調整される器具26の制御回路70に提供される。装置21の評価回路40は、この特性を検出し、その結果、オペレータが第1のスイッチ32を介して切断モードを起動したかどうかを判断することができる。その結果、評価回路40は、装置21が器具26に供給電圧UVまたは供給電流IVを提供するようにさせることができ、評価信号Sは、要求された切断モードに従って、特にその極性S1、S2に関して変更される。切断モードでは、評価信号Sは、少なくとも一時的に第2の極性S2も含む。
【符号の説明】
【0113】
20 凝固および切断のためのデバイス
21 装置
22 第1の装置出力部
23 第3の装置出力部
24 第2の装置出力部
25 ケーブル
26 器具
27 ハウジング
28 ハンドル
29 ツール
30 接続部
31 操作要素
32 第1のスイッチ
33 第2のスイッチ
34 ジョー
35 ジョー
36 第1の凝固電極
37 第2の凝固電極
38 切断電極
39 対向支持体
40 評価回路
41 ヒンジ
42 電圧源
45 動作回路
46 供給コネクタ
47 グランドコネクタ
48 信号コネクタ
49 第1のコンデンサ
50 第1の凝固出力部
51 第2の凝固出力部
52 制御要素
53 スイッチユニット
54 切断出力部
55 半導体スイッチ
56 制御ポート
57 スイッチポート
58 ロードおよびアンロード回路
60 変圧器
61 一次巻線
62 二次巻線
63 タップ
64 第2のコンデンサ
65 第3のコンデンサ
66 第1のレジスタ
70 制御回路
71 結合デバイス
72 送信機構成要素
73 受信機構成要素
73a 第1のポート
73b 第2のポート
74 光カプラ
75 第1の回路分岐
76 第2の回路分岐
77 第3の回路分岐
78 第1のダイオード
79 第2のレジスタ
80 第3のレジスタ
81 一方向電流経路
82 並列電流経路
83 第2のダイオード
84 接続電流経路
85 第4のレジスタ
90 第5のレジスタ
91 第3のダイオード
92 第4のコンデンサ
93 第4のダイオード
94 第5のコンデンサ
95 第5のダイオード
96 第6のコンデンサ
97 第6のレジスタ
100 トランジスタ
101 第7のレジスタ
102 半導体制御スイッチ
103 バイポーラトランジスタ
A 制御信号
I 電流
I1 第1の電流
I11 部分電流
I12 部分電流
I2 第2の電流
I21 部分電流
I22 部分電流
I3 第3の電流
IV 供給電流
M グランド
P1 第1の位相
P2 第2の位相
P3 第3の位相
S 評価信号
S1 第1の極性
S2 第2の極性
t1 第1の時間
t2 第2の時間
t3 第3の時間
t4 第4の時間
UK 凝固電圧
US 切断電圧
UV 供給電圧
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15