(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】電動車両
(51)【国際特許分類】
B60K 1/00 20060101AFI20240807BHJP
B60G 7/00 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
B60K1/00
B60G7/00
(21)【出願番号】P 2021123982
(22)【出願日】2021-07-29
【審査請求日】2024-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【氏名又は名称】真田 有
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩太郎
(72)【発明者】
【氏名】アルムガン センティル
(72)【発明者】
【氏名】ブータン ゴータム
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-132101(JP,A)
【文献】特開2019-043275(JP,A)
【文献】特開2019-189170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00
B60G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラダーフレームを備える車両の車軸に伝達される駆動力を発生させるモータと前記モータから伝達される前記駆動力を変速する変速機構とを含む駆動ユニットを備えた電動車両であって、
前記駆動ユニットの前記モータを収容するモータハウジングと、
前記車軸を前記車両に懸架するリーフスプリングと、
前記ラダーフレームと前記モータハウジングとを連結する第1連結部と、
前記第1連結部と一体的に形成される連結部材であって、前記ラダーフレームと前記リーフスプリングの端部とを連結する第2連結部と、を備え、
前記第2連結部が、車幅方向外側に突出して前記リーフスプリングの前記端部と接続されるリブ形状部を有する
ことを特徴とする、電動車両。
【請求項2】
前記第1連結部が、前記ラダーフレームにおけるサイドレールのウェブ外面に取り付けられるプレート部材と、前記サイドレールのフランジ下面から下方に延在し、前記モータハウジングと接続されるブラケット部材とを有する
ことを特徴とする、請求項1記載の電動車両。
【請求項3】
前記プレート部材が、一対設けられ、
前記リブ形状部が、一対の前記プレート部材に挟まれるように配置される
ことを特徴とする、請求項2記載の電動車両。
【請求項4】
前記ブラケット部材の前記モータハウジングとの連結位置が、車両前後方向において、前記リブ形状部の前記リーフスプリングとの連結位置と略同一の位置に設定される
ことを特徴とする、請求項
2又は3に記載の電動車両。
【請求項5】
前記リブ形状部が、車両前後方向に間隔をあけて配置される一対の面状部と前記一対の面状部の間を接続する接続部とを有する
ことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の電動車両。
【請求項6】
前記第1連結部が、車幅方向外側に突出した形状に形成された第2リブ形状部を備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ及び変速機構を含む駆動ユニットを備えたラダーフレーム構造の電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、トラックやピックアップトラックといったラダーフレーム構造の商用車分野において、環境負荷低減の観点から内燃機関を廃し、電動モータのみを駆動源とした電動車両の開発が進められている。このような電動車両に搭載される駆動ユニットとしては、例えば電動モータと複数のギヤを含む変速装置等の動力伝達機構とを備え、駆動輪に接続されるディファレンシャルギヤに電動モータの駆動力を伝達できるようにした車両用駆動ユニットが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的な電気自動車と比較して車両重量が大きい電動トラックでは、電気自動車よりも大きな駆動トルクが必要となり、駆動用モータを車体にマウントするためのモータ支持ブラケットに高い剛性が要求される。このようなモータ支持ブラケットには、左右の曲げ方向(車幅方向)に大きな荷重が入力されうることから、部材を肉厚化することが望まれる。一方、肉厚化による重量化を招くことなく信頼性を確保したいとの観点から、モータ支持ブラケットの表面にリブ(板状の補強構造)を形成して、断面二次モーメントを大きくすることが考えられる。
【0005】
しかしながら、上記のようなリブを設けることで、リブに対応する寸法分だけモータ支持ブラケットのサイズが大きくなり、例えばモータ支持ブラケットの車両前後方向の寸法が増大してしまう。これに加えて、モータ支持ブラケットの周辺に駆動ユニットやその関連機器(E-Axle関連機器)が配置されることがある。そのため、モータ支持ブラケットと部品との干渉を避けつつリブを形成するのが困難な場合がある。
【0006】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、駆動ユニットを電動車両に支持するための構造が、他の部品の搭載性・レイアウト自由度を阻害することなく、高い剛性要求に応えることができるようにした、電動車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
(1)本適用例に係る電動車両は、ラダーフレームを備える車両の車軸に伝達される駆動力を発生させるモータと前記モータから伝達される前記駆動力を変速する変速機構とを含む駆動ユニットを備えた電動車両である。この電動車両は、前記駆動ユニットの前記モータを収容するモータハウジングと、前記車軸を前記車両に懸架するリーフスプリングと、前記ラダーフレームと前記モータハウジングとを連結する第1連結部と、前記第1連結部と一体的に形成される連結部材であって、前記ラダーフレームと前記リーフスプリングの端部とを連結する第2連結部と、を備える。また、前記第2連結部が、車幅方向外側に突出して前記リーフスプリングの前記端部と接続されるリブ形状部材を有する。
【0008】
上記の通り、モータハウジングは第1連結部によってラダーフレームに連結され、リーフスプリングの端部はリブ形状部を有する第2連結部によってラダーフレームに連結される。これらの第1連結部及び第2連結部を一体化し、リーフスプリング支持ブラケット(第2連結部)として設けられたリブ形状をモータ支持ブラケット(第1連結部)にも利用することで、モータ用支持ブラケットを大型化せずに補強でき、剛性を高めることができる。また、第1連結部及び第2連結部を含むブラケットの全体形状が小型化されることから、E-Axle関連部品や配線等の配置が必要となる後軸アクスルエリアにおいても、リーフスプリング支持ブラケットと、モータ支持ブラケットとが周囲に他の部品が干渉しにくくなり、それらの部品や配線、配管の電動車両への搭載性・レイアウト自由度が改善される。
【0009】
(2)本適用例に係る電動車両は、上記(1)において、前記第1連結部が、前記ラダーフレームにおけるサイドレールのウェブ外面に取り付けられるプレート部材と、前記サイドレールのフランジ下面から下方に延在し、前記モータハウジングと接続されるブラケット部材とを有してもよい。これにより、サイドレールのウェブとの接触面積が確保されるとともに、サイドレールのフランジ下面よりも下方でモータハウジングが第1連結部と連結される。したがって、第1連結部及び第2連結部を含むブラケットが、サイドレールに対して強固に固定されやすくなるとともに、周囲の他の部品に対してより干渉しにくくなる。
【0010】
(3)本適用例に係る電動車両は、上記(2)において、前記プレート部材が、一対設けられ、前記リブ形状部が、一対の前記プレート部材に挟まれるように配置されてもよい。これにより、リブ形状部がサイドレールのウェブ外面に対して強固に固定されやすくなり、第1連結部及び第2連結部の剛性がさらに向上する。
【0011】
(4)本適用例に係る電動車両は、上記(1)~(3)のいずれかにおいて、前記ブラケット部材の前記モータハウジングとの連結位置が、車両前後方向において、前記リブ形状部の前記リーフスプリングとの連結位置と略同一の位置に設定されてもよい。これにより、第1連結部及び第2連結部の剛性がさらに向上する。
【0012】
(5)本適用例に係る電動車両は、上記(1)~(4)のいずれかにおいて、車両前後方向に間隔をあけて配置される一対の面状部と前記一対の面状部の間を接続する接続部とを有してもよい。これにより、リブ形状部の剛性がさらに高まり、第1連結部及び第2連結部の剛性がさらに向上する。
なお、上記(3)の電動車両において、面状部の一方が一対のプレート部材の一方に接続され、面状部の他方が一対のプレート部材の他方に接続されてもよい。これにより、一対のプレート部材の各々が一対の面状部によって補強されることになり、第1連結部及び第2連結部の剛性がさらに向上する。
【0013】
(6)本適用例に係る電動車両は、上記(1)~(5)のいずれかにおいて、前記第1連結部が、車幅方向外側に突出した形状に形成された第2リブ形状部を備えてもよい。これにより、第1連結部のブラケット部材の剛性がさらに高まり、第1連結部及び第2連結部の剛性がより強化される。
【発明の効果】
【0014】
本適用例に係る電動車両によれば、駆動ユニットを電動車両に支持するための構造が、他の部品の搭載性を阻害することなく、高い剛性要求に応えることができるようにした、電動車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本適用例に係る電動車両のラダーフレーム構造を透視して示す斜視図。
【
図2】
図1に示す一体型ブラケットの構造を示す分解斜視図。
【
図3】
図2に示す一体型ブラケットの三面図であり、(A)は上面図、(B)は側面図、(C)は正面図。
【
図4】変形例に係る一体型ブラケットの構造を示す分解斜視図。
【
図5】
図4に示す一体型ブラケットの三面図であり、(A)は上面図、(B)は側面図、(C)は正面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[1.構成]
以下、図面を参照して実施形態(適用例)としての電動車両10を説明する。
図1~
図3(A)~(C)は、本適用例に係る電動車両10の構成を説明するための図である。図中の前後,左右,上下方向は、電動車両10の運転者を基準として定められる方向を表す。
図1に示すように、この電動車両10は、ボディがラダーフレーム1(シャシフレーム)によって支持される形式の電動トラックである。ラダーフレーム1とは、梯子状に形成されたフレーム部材である。電動車両10の駆動ユニット3(電動パワートレイン),キャブ11,荷室12,駆動輪13などは、ラダーフレーム1に対して取り付けられる。
【0017】
シャシフレーム1には、前後方向(車長方向)に延在するサイドレール2と、車幅方向(左右方向)に延在するクロスメンバとが設けられる。サイドレール2は、車幅方向に間隔をあけて一対設けられる。また、クロスメンバは、前後方向に間隔をあけて、左右のサイドレール2の各々に接合される。クロスメンバが配設される位置は、シャシフレーム1に搭載される部品や荷重分布に応じて設定される。サイドレール2の断面形状は、例えばチャンネル形状とされる。
図1に例示するサイドレール2は断面形状がコ字断面のチャンネル形状であり、法線が車幅方向を向くように配置された平面状のウェブ2Aと、ウェブ2Aの上端及び下端から車幅方向内側に向かって延設されるフランジ2Bとを備える。
【0018】
駆動ユニット3は、電動車両10を駆動するための電動パワートレイン(電動トラクションユニット)である。この駆動ユニット3には、例えばモータ4と変速機構6とが含まれる。モータ4は、電力を消費して駆動輪13の車軸7に伝達される駆動力を発生させる電動機であり、モータハウジング5の内部に収容される。モータ4で消費される電力は、図示しないバッテリーに蓄えられている。また、変速機構6は、モータ4から伝達される回転駆動力を変速するものであり、例えば減速ギヤ,変速用歯車機構など複数のギヤがこれに含まれる。モータ4で発生した駆動力は、変速機構6を介して車軸7が連結されたディファレンシャルギヤ(差動装置)に伝達されることにより、電動車両10を駆動可能に構成される。また、駆動ユニット3においては、変速機構6よりも車両前方側にモータ4が配置される。
【0019】
駆動輪13の車軸7は、リーフスプリング8を介してラダーフレーム1に懸架される。リーフスプリング8は、複数の帯状の弾性体を重ねて束ねた構造を持つサスペンション用のスプリングである。このリーフスプリング8は、前後方向に延びた形状に形成されるとともに、前後方向の中央部が端部よりも下方に突出した湾曲形状に形成される。駆動輪13の車軸7は、この前後方向の中央部の下方に取り付けられる。また、リーフスプリング8の両端のうち、片方の端部(例えば前端部)にはブッシュが挿入されるとともに、後述する一体型ブラケット9を介してサイドレール2に支持される。一方、リーフスプリング8の両端のうち、他方の端部(例えば後端部)は、図示しないリンク機構を介してサイドレール2に支持される。なお、リーフスプリング8や車軸7の具体的な構造については、公知の構造を適用可能である。
【0020】
一体型ブラケット9は、駆動ユニット3の車両前方側ハウジングであるモータハウジング5及びリーフスプリング8をラダーフレーム1に取り付けるための部材である。
図1には、モータハウジング5の左側部と左側のリーフスプリング8の前端部とを左側のサイドレール2に取り付けるための一体型ブラケット9を例示する。同様の一体型ブラケット9は、右側のサイドレール2にも配置されうる。本適用例では、左側のサイドレール2に取り付けられる一体型ブラケット9に着目して、その構造を詳述する。
【0021】
図2,
図3(A)~(C)に示すように、一体型ブラケット9には、第1連結部21と第2連結部22とが設けられる。第1連結部21は、ラダーフレーム1のサイドレール2とモータハウジング5とを連結する部位である。モータハウジング5は、第1連結部21に対して軸状部材33(あるいは、ボルト,ナット,リベットなどの締結具)を介して支持される。また、第2連結部22は、第1連結部21と一体的に形成される連結部材であり、ラダーフレーム1のサイドレール2とリーフスプリング8の端部とを連結する部位である。リーフスプリング8の端部は、第2連結部22に対して軸状部材40(あるいは締結具)を介して支持される。
【0022】
第1連結部21には、プレート部材24とブラケット部材25とが設けられる。プレート部材24は、サイドレール2のウェブ2Aの外面に取り付けられる平面状の部位である。
図2に示す例では、車両前後方向に間隔をあけて一対のプレート部材24が設けられ、これらが同一平面上に位置している。プレート部材24は、サイドレール2のウェブ2Aの外面に対して面接触した状態で、締結具を介して固定される。
図3(A)~(C)に示すように、プレート部材24には締結具が挿通される複数の孔が形成される。
【0023】
ブラケット部材25は、サイドレール2のフランジ2Bの下面から下方に延在し、モータハウジング5と接続される部位である。このブラケット部材25には、プレート部材24に対して直交する平面状に形成された平面部30と、平面部30に対して直交する平面状に形成された第1壁部31及び第2壁部32とが設けられる。平面部30は、サイドレール2のフランジ2Bの下面に対して面接触した状態で取り付けられる。
図3(A),(B)に示すように、平面部30にも締結具が挿通される複数の孔が形成される。平面部30は、図示しない締結具を介してフランジ2Bの下面に固定される。
【0024】
第1壁部31は、プレート部材24と同一平面上に配置される平板状の部位である。
図3(C)に示すように、第1壁部31の位置は、側面視で第2連結部22の下方に設定される。また、第1壁部31の形状は、側面視で一対のプレート部材24に挟まれる部位から下方に向かって延びた形状に形成される。第1壁部31の下端部近傍には、モータハウジング5に連結される軸状部材33が挿通される孔が設けられる。
【0025】
第2壁部32は、第1壁部31よりも車幅方向内側に配置される平板状の部位である。第2壁部32は、平面部30から下方に向かって延びた形状に形成され、第1壁部31に対して略平行に配置される。第2壁部32の下端部近傍には、モータハウジング5に連結される軸状部材33が挿通される孔が設けられる。モータハウジング5は、第1壁部31と第2壁部32との間で軸状部材33を介して第1連結部21に連結される。
【0026】
第2連結部22には、リブ形状部23が設けられる。リブ形状部23とは、車幅方向外側に突出してリーフスプリング8の端部と接続される部位である。リブ形状部23は、
図2,
図3(C)に示す通り、一対のプレート部材24に挟まれるように配置される。また、リブ形状部23の概形は、
図3(B)に示すように、プレート部材24から外側に向かって突設されるとともに、先端が下方を向くように配置された鉤形に準えられる。リブ形状部23には、一対の面状部41,接続部42,第3壁部43,第4壁部44が設けられる。
【0027】
図3(A)~(C)に示すように、一対の面状部41は、車両前後方向に間隔をあけて配置される平面状の部位である。面状部41の各々は、一対のプレート部材24の各々と一体形成され、プレート部材24に対して垂直な向きに配置される。言い換えれば、一対の面状部41の一方は一対のプレート部材24の一方に接続され、面状部41の他方はプレート部材24の他方に接続されている。これにより、面状部41がプレート部材24の前後方向の端辺を補強するフランジとして機能し、一体型ブラケット9の剛性が向上する。また、一対のプレート部材24の各々が一対の面状部41によって補強されることになり、第1連結部21及び第2連結部22の剛性がさらに向上する。
【0028】
接続部42は、一対の面状部41の間を接続する面状の部材である。接続部42の向きは、例えば一対の面状部41の各々に対して略垂直に設定される。
図3(B)に示す例では、接続部42の形状が鉤形のリブ形状部23に対応するように、曲面状に形成される。例えば、接続部42のうち車幅方向内側〔
図3(B)中の左側〕の部分は、プレート部材24と同一平面をなすように、略鉛直に形成される。また、接続部42のうち車幅方向外側〔
図3(B)中の右側〕の部分は、面状部41と同様に、プレート部材24から外側に向かって突設されるとともに、先端が下方を向くように形成される。
【0029】
第3壁部43は、接続部42と同様に一対の面状部41の間を接続する平面状の部位であって、リブ形状部23の先端部に設けられる。第3壁部43の向きは、プレート部材24に対して略平行に設定される。
図2に示すように、第3壁部43には、リーフスプリング8に連結される軸状部材40が挿通される孔が設けられる。また、第4壁部44は、リブ形状部23の基端部に設けられる平面状の部位であり、第3壁部43に対して略平行に配置される。好ましくは、第4壁部44が一対のプレート部材24と同一平面をなすように、一対のプレート部材24と一体形成される。また、第4壁部44には、軸状部材40が挿通される孔が設けられる。リーフスプリング8は、第3壁部43と第4壁部44との間で軸状部材40を介して第2連結部22に連結される。
【0030】
図2,
図3(C)に示すように、モータハウジング5に連結される軸状部材33の車両前後方向の位置は、リーフスプリング8に連結される軸状部材40の車両前後方向の位置と略同じ位置に設定される。つまり、ブラケット部材25のモータハウジング5の連結位置が、車両前後方向において、リブ形状部23のリーフスプリング8との連結位置と略同一の位置(換言すれば、近傍)に設定される。これらの連結位置が車両前後方向にずれていると仮定した場合、二つの連結位置の各々に作用する荷重(例えば、駆動ユニットの自重による荷重や駆動ユニットの動作に由来する荷重)によって、サイドレール2に局所的なモーメントが作用し、各々の連結状態の安定性が低下しうる。一方、本適用例では車両前後方向の連結位置が揃っているため、上記のようなモーメントがサイドレール2に生じにくくなり、各々の連結状態の安定性が向上する。
【0031】
[2.作用,効果]
(1)上記の電動車両10では、駆動ユニット3のモータ4を収容するモータハウジング5が第1連結部21によってラダーフレーム1に連結される。一方、リーフスプリング8の端部は、リブ形状部23を有する第2連結部22によってラダーフレーム1に連結される。これらの第1連結部21及び第2連結部22を一体化し、リーフスプリング支持ブラケット(第2連結部22)として設けられたリブ形状をモータ支持ブラケット(第1連結部21)にも利用することで、これらを過度に大型化することなく互いに補強することができ、剛性を高めることができる。また、第1連結部21及び第2連結部22を含む一体型ブラケット9の全体形状が小型化されることから、E-Axle関連部品や配線等の配置が必要となる後軸アクスルエリアにおいても、リーフスプリング支持ブラケット(第2連結部22)と、モータ支持ブラケット(第1連結部21)とが干渉しにくくなり、それらの部品の電動車両10への搭載性を改善することができる。したがって、上記の電動車両10によれば、駆動ユニット3を電動車両10に支持するための部材(一体型ブラケット9)が、他の部品や配線、配管の搭載性・レイアウト自由度を阻害することなく、高い剛性要求に応えることができる。
【0032】
(2)上記の電動車両10では、一体型ブラケット9の第1連結部21にプレート部材24とブラケット部材25とが設けられる。プレート部材24は、サイドレール2のウェブ2Aの外面に取り付けられる。また、ブラケット部材25は、サイドレール2のフランジ2Bの下面から下方に延在し、モータハウジング5と接続される。このような構造により、ウェブ2Aに対して一体型ブラケット9を堅固に固定できるとともに、サイドレール2の下方で一体型ブラケット9とモータハウジング5とを連結して、モータ4を確実に支承させることができる。また、第1連結部21とモータハウジング5との連結位置がサイドレール2のフランジ2Bの下面よりも下方であることから、モータハウジング5とリーフスプリング8との干渉を防止することができ、これらの部品の車両搭載性を向上させることができる。
【0033】
(3)上記の電動車両10では、第2連結部22のリブ形状部23が一対のプレート部材24に挟まれるように配置される。例えば
図2に示すように、一対のプレート部材24がリブ形状部23を車両前後方向に挟んで配置され、これらの両方のプレート部材24に対してリブ形状部23が連設される。このような構造により、一対のプレート部材24をリブ形状部23で補強することができ、第1連結部21の剛性を高めることができる。また、第2連結部22を一対のプレート部材24で補強することができるとともに、リブ形状部23をウェブ2Aの外面に対して強固に固定することができ、第2連結部22の剛性を高めることができる。したがって、一体型ブラケット9の剛性を高めることができ、サイドレール2に対する一体型ブラケット9の取り付け状態をより確実なものにすることができる。
【0034】
(4)上記の電動車両10では、ブラケット部材25のモータハウジング5との連結位置が、車両前後方向において、リブ形状部23のリーフスプリング8との連結位置と略同一の位置に設定される。例えば
図2,
図3(C)に示すように、モータハウジング5に連結される軸状部材33の車両前後方向の位置は、リーフスプリング8に連結される軸状部材40の車両前後方向の位置と略同じ位置である。このような構造により、第1連結部21及び第2連結部22の剛性をさらに向上させることができる。
【0035】
(5)上記の電動車両10では、第2連結部22のリブ形状部23に、一対の面状部41と接続部42とが設けられる。一対の面状部41は、車両前後方向に間隔をあけて配置される。また、接続部42は、一対の面状部41の間を接続するように設けられる。このような構造により、リブ形状部23の剛性がさらに高まり、第1連結部21及び第2連結部22の剛性をさらに向上させることができる。また、
図2に示すように、一対の面状部41が一対のプレート部材24の各々と一体形成されるため、第1連結部21及び第二連結部22の剛性をさらに向上させることができる。
【0036】
[3.その他]
上記の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、上記の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。上記の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて複数の要素の一部分を取捨選択することができ、あるいは他の公知技術と組み合わせることができる。
【0037】
図4,
図5(A)~(C)は、変形例に係る電動車両10に適用される一体型ブラケット9を示す図であり、上記の実施形態に含まれる要素に対応する要素ついては、同一符号を付している。この一体型ブラケット9の第1連結部21には、第2リブ形状部50が設けられる。第2リブ形状部50とは、第1連結部21を補強するために形成された部位であり、車幅方向外側または下方に突出した形状に形成される。
【0038】
図4に示す第2リブ形状部50には、一対の第2面状部51が設けられる。一対の第2面状部51は、車両前後方向に間隔をあけて配置される平面状の部位である。第2面状部51の各々は、平面部30と一体形成され、平面部30に対して垂直な向きに配置される。これにより、第1連結部21が第2面状部51によって補強され、一体型ブラケット9の剛性が向上する。また、
図4,
図5(A)~(C)に示す第1壁部31及び第2壁部32は、上記の実施形態における第1壁部31及び第2壁部32よりも車幅方向内側に配置される。これに対応するように、一対の第2面状部51の各々は、第1壁部31に対して垂直な向きに配置され、第1壁部31の両側面(車両前方側に位置する縦向きの側辺と車両後方側に位置する縦向きの側辺)に対して一体的に接続される。
【0039】
これにより、第2面状部51が第1壁部31の前後方向の端辺を補強するフランジとして機能し、第1連結部21の剛性がさらに向上する。また、第2面状部51は、平面部30やこれに一体形成されるプレート部材24を補強するようにも機能するため、第2連結部22の剛性がさらに向上する。したがって、第1連結部21及び第2連結部22の剛性をより強化することができる。さらに、ブラケット部材25がサイドレール2に対して堅固に固定されるため、モータハウジング5の連結状態をさらに安定させることができる。
【符号の説明】
【0040】
1 シャシフレーム(ラダーフレーム)
2 サイドレール
2A ウェブ
2B フランジ
3 駆動ユニット
4 モータ
5 モータハウジング
6 変速機構
7 車軸
8 リーフスプリング
9 一体型ブラケット
10 電動車両(車両)
11 キャブ
12 荷室
13 駆動輪
21 第1連結部
22 第2連結部
23 リブ形状部
24 プレート部材
25 ブラケット部材
30 平面部
31 第1壁部
32 第2壁部
33 軸状部材
40 軸状部材
41 面状部
42 接続部
43 第3壁部
44 第4壁部
50 第2リブ形状部
51 第2面状部