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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】角度がついた太陽光屈折面
(51)【国際特許分類】
   G02B 3/08 20060101AFI20240807BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240807BHJP
   F24S 23/30 20180101ALI20240807BHJP
【FI】
G02B3/08
G02B3/00 Z
F24S23/30
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021526190
(86)(22)【出願日】2019-07-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 SG2019050348
(87)【国際公開番号】W WO2020018021
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-07-06
(31)【優先権主張番号】10201806159P
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(73)【特許権者】
【識別番号】521025898
【氏名又は名称】コン, ムン チュー
【氏名又は名称原語表記】KONG, Mun Chew
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】ニューマン, ステファン ディー.
【審査官】小西 隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0044833(US,A1)
【文献】特開平10-306946(JP,A)
【文献】特表2018-506705(JP,A)
【文献】特開2016-029883(JP,A)
【文献】中国実用新案第201173625(CN,Y)
【文献】米国特許第4312709(US,A)
【文献】特開昭58-008881(JP,A)
【文献】特開昭57-007332(JP,A)
【文献】特開昭61-018353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 1/00 - 1/08
G02B 3/00 - 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明材料を有する受光部材と、
通路を画定する交互の集光レンズであって、前記受光部材上の第1焦点を有する第1集光レンズ、及び前記受光部材上の第2焦点を有する第2集光レンズを含む集光レンズと、を備え、
前記通路の中を流体が流れるようにされており、前記流体が前記集光レンズの一部を形成するようにした、集光装置。
【請求項2】
前記受光部材が前記受光部材内に熱を保つようにされた断熱部分を含む、請求項1に記載の集光装置。
【請求項3】
前記受光部材がパイプを備える、請求項1に記載の集光装置。
【請求項4】
前記パイプが流体を搬送するようにされた、請求項3に記載の集光装置。
【請求項5】
前記パイプが前記パイプ内に熱を保つようにされた断熱層を備える、請求項3に記載の集光装置。
【請求項6】
前記断熱層の中に組み込まれた熱交換器をさらに備える、請求項5に記載の集光装置。
【請求項7】
前記受光部材の中に組み込まれたヒートスプレッダをさらに備える、請求項1に記載の集光装置。
【請求項8】
前記第1集光レンズと前記第2集光レンズは、180度でない角度を形成するように相互に傾斜して配置されている、請求項1に記載の集光装置。
【請求項9】
前記第1焦点と前記第2焦点とが前記受光部材上の同じ場所である、請求項8に記載の集光装置。
【請求項10】
受光面を有する透明材料と、
前記受光面の反対側の出光面を有する集光レンズと、
前記受光面と前記出光面との間で通路を画定するエリアと、
前記受光面と前記出光面との少なくとも一方に組み込まれた複数の屈折面と、
を含み、
前記複数の屈折面が前記透明材料を通過する光を集光焦点に向けるようにされ、
前記通路の中を流体が流れるようにされており、前記流体が前記集光レンズの一部を形成するようにした、レンズ。
【請求項11】
透明材料を有する受光部材と、
集光部材を画定する交互の集光レンズと、を備え、
前記集光部材が、
前記受光部材上の第1焦点を有する第1集光レンズと、
前記受光部材上の第2焦点を有する第2集光レンズと、
前記受光部材と前記集光部材との間の通路と、
を含み、
前記通路の中を流体が流れるようにされており、前記流体が前記集光部材の一部を形成するようにした、集光装置。
【請求項12】
前記通路がさらに、
前記受光部材に画定された第1部分と、
前記透明材料及び前記第1集光レンズによって部分的に画定された第2部分と、
を備える、請求項11に記載の集光装置。
【請求項13】
当該集光装置は、前記流体が前記通路の前記第1部分に位置するときに太陽熱を前記流体に伝達し、且つ前記流体が前記通路の前記第2部分に位置するときに太陽熱を前記流体に伝達するようにされ、
前記第1部分で伝達された太陽熱は前記第2部分で伝達された太陽熱よりもより大きな温度上昇をもたらす、請求項12に記載の集光装置。
【請求項14】
前記複数の屈折面のそれぞれがメタオプティックアレイを備える、請求項10に記載のレンズ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
太陽集光器は、広い範囲の太陽光を特定の集光スポットに向けて集めるために、レンズ、大抵はフレネルレンズを使用する。これは、フレネルレンズを通過する光線を曲げて、各光線がおおよそ同じ焦点に向けられるようにすることによってなされる。いくつかのフレネルレンズは、光線を集めるプリズムの集光リングを有する形状とされている。これらの特徴により、フレネルレンズは、太陽又は他の光源からの散乱光をタイトなビームに集光する。太陽熱の集中により焦点での温度が上昇し、これは物体を加熱したり食べ物を調理したりするために使用することができる。他の例では、フレネルレンズは、太陽電池上での光を増加させて電気に変換される光の量を増加させるために使用される。
【0002】
フレネルレンズの例は、ルイジ・サルバトーレ・フォルナリ(Luigi Salvatore Fornari)に発行された米国特許第9、097、841号公報に開示されている。この参照文献において、フレネルレンズのアレイが提供されており、このフレネルレンズのアレイにおいては、レンズ素子の垂直部分が傾斜した面に置き換えられていて、傾斜した面はそこに当たる光がアレイの隣接するレンズ素子の焦点に集光するように設計されている。その新たな面は垂直な段よりも浅いレンズ平面に対して角度を形成しているので、そのようなレンズ素子の構成はガラス系材料にレンズアレイを成型することを容易する。なぜならば、第1のレンズアレイに対して垂直なレンズ素子を有する別のアレイをレンズシートのもう一方の側に成形して、点集束レンズ(point focusing lenses)のアレイとすることができるので、その構成は円筒状のアレイに限定されない。また、レンズアレイの端(又はその単一のレンズの端)にレンズ平面に垂直な面を備えるミラーを配置することによって、端の光線が焦点に向け直されるようにできる。特に、上述のものと同様なレンズ素子の断面とその端の垂直ミラーとを有する単一の円筒状レンズはまた、コリメート光を焦点に集光することができる。
【0003】
フレネルレンズの別の例が、ヒロム・ナカムラに発行された米国特許第5、410、563号公報に開示されている。この文献において、レーザービームの光源装置が開示されており、この装置は、不均等な間隔のグレーティングを有していてレーザーダイオードに向いているフレネルレンズと、樹脂製のコンデンサレンズとを備えている。コンデンサレンズの焦点距離は、温度変化にともなうレーザーダイオードの発振波長の変動や温度変化にともなうフレネルレンズの焦点距離の変化によって誘発されるフレネルレンズの焦点距離の変化を無効にする値に設定される。また、偏向装置及び光学素子を利用して、画像情報に基づいてレーザー光源から放射されたレーザービームで走査線上をスキャンするためのレーザービームスキャニング光学システムが開示されている。このレーザースキャニング光学システムにおいては、一対のアナモルフィック・レンズが、偏向装置の前方及び後方に配置され、偏向装置の面の傾きを修正する。なお、一方のアナモルフィック・レンズはフレネルレンズであり、他方のアナモルフィック・レンズは樹脂でできている。
【0004】
フレネルレンズのさらに別の例が、シルビア・ボーイ(Silvia Booij)に発行された米国特許出願第20160265740号公報に開示されている。この文献では、光学ビーム整形配列が開示されている。一例において、光学ビーム整形配列は、光源からの光を受光してよりコリメートした出力を提供するためのコリメータと、よりコリメートした出力を受光するための光学プレートとを備え、光学プレートは入力側のレンズの二次元配列とその反対の出力側の対応するレンズの二次元配列とを含む。少なくとも1つの実施形態においては、入力側のレンズのそれぞれが出力側の対応するレンズに焦点を有し、出力側のレンズのそれぞれが入力側の対応するレンズに焦点を有し、出力側のレンズの少なくとも幾つかが光学プレートの全体平面に対して傾いている。これら文献の全てが、その開示の全てに対して参照により個々に組み込まれる。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態においては、集光レンズは透明材料を含む。前記透明材料は、前記透明材料の受光面と、前記受光面の反対側の前記透明材料の出光面と、前記受光面と前記出光面とのうちの少なくとも一方に組み込まれた複数の屈折面と、前記受光面と前記出光面とをつなぐ第1側面と、前記第1側面の反対側で前記第1側面に整合し、前記受光面と前記出光面とをつなぐ第2側面と、を有する。前記複数の屈折面は、前記透明材料を透過する光を集光焦点に向けるようにされ、前記透明材料の前記第1側面が前記透明材料の前記第2側面よりも前記集光焦点に近い。
【0006】
前記透明材料が少なくとも半透明であるようにすることができる。
【0007】
前記集光レンズが、前記受光面に垂直な光が前記集光焦点に向かう屈折しない方向に維持されるようにする前記複数の屈折面の中立屈折面を含むようにすることができる。
【0008】
前記複数の屈折面のうちの少なくともいくつかが、前記中立屈折面に向かって漸進的に異なる屈折角を含むようにすることができる。
【0009】
前記複数の屈折面が同心状であるようにすることができる.
【0010】
前記複数の屈折面が前記透明材料の第1側面と前記第2側面とのうちの少なくとも一方に整合しているようにすることができる。
【0011】
一実施形態においては、集光装置は受光部材と集光部材を含むことができる。前記集光部材は、前記受光部材上の第1焦点を有する第1集光レンズを含むことができる。前記第1集光レンズの第1側面が前記第1集光レンズの第2側面よりも前記第1焦点に近いようにすることができる。
【0012】
前記集光装置は、前記集光部材と前記受光部材との間の部分真空スペースを含むようにすることができる。
【0013】
前記受光部材が前記受光部材内に熱を保つようにされた断熱部分を含むようにすることができる。
【0014】
前記受光部材がソーラーパネルであるようにすることができる。
【0015】
前記受光部材が衣料品であるようにすることができる。
【0016】
前記受光部材が建築部材であるようにすることができる。
【0017】
前記受光部材が調理器具であるようにすることができる。
【0018】
前記受光部材が流体容器であるようにすることができる。
【0019】
前記受光部材がパイプであるようにすることができる。
【0020】
前記パイプが流体を搬送するようにすることができる。
【0021】
前記パイプが真空部分を備えるようにすることができる。
【0022】
前記パイプが前記パイプ内に熱を保つようにされた断熱層を含むようにすることができる。
【0023】
前記集光装置は、前記断熱層の中に組み込まれた熱交換器を含むことができる。
【0024】
前記集光装置は、前記受光部材の中に組み込まれたヒートスプレッダを含むことができる。
【0025】
前記集光装置は、前記第1集光レンズに近接した第2集光レンズを備えることができる。前記第1集光レンズは前記第2集光レンズからオフセットしており、前記第2集光レンズは前記受光部材上に第2焦点を有することができる。
【0026】
前記第1焦点と前記第2焦点とが前記受光部材の異なる場所であるようにすることができる。
【0027】
前記第1焦点と前記第2焦点とが前記受光部材上の同じ場所であるようにすることができる。
【0028】
前記第2集光レンズが、前記第2集光レンズの第2側面よりも前記第2焦点に近い第1側面を有するようにすることができる。
【0029】
一実施形態においては、集光装置は受光部材と集光部材を含むことができ、前記集光部材は、受光部材上の第1焦点を有する第1集光レンズを含むことができる。前記第1集光レンズの第1側面が前記第1集光レンズの第2側面よりも焦点に近いようにすることができる。第2集光レンズは、前記第1集光レンズに近接して位置するようにすることができる。前記第2集光レンズは受光部材上に第2焦点を有することができる。
【0030】
前記第1焦点と前記第2焦点とが前記受光部材の異なる場所であるようにすることができる。
【0031】
前記第1焦点と前記第2焦点とが前記受光部材上の同じ場所であるようにすることができる。
【0032】
前記第2集光レンズが前記第2集光レンズの第2側面よりも前記第2焦点に近い第1側面を有するようにすることができる。
【0033】
一実施形態においては、集光装置は受光部材と集光部材を含む。前記集光部材が、前記受光部材上の第1焦点を有する第1集光レンズを含むようにすることができる。前記第1集光レンズは、光を前記第1焦点に向けるようにされ、前記第1焦点の上側で非対称に配置されているようにすることができる。
【0034】
前記集光装置が、前記集光部材と前記受光部材との間に部分真空スペースを含むようにすることができる。
【0035】
前記受光部材が、前記受光部材内に熱を保つようにされた断熱部分を含むようにすることができる。
【0036】
前記受光部材がソーラーパネルであるようにすることができる。
【0037】
前記受光部材がパイプであるようにすることができる。
【0038】
前記パイプが前記パイプ内に熱を保つようにされた断熱部分を含むようにすることができる。
【0039】
前記集光装置が、前記第1集光レンズに近接した第2集光レンズを含むようにすることができる。前記第2集光レンズが、光を第2焦点に向けるようにされ、前記受光部材上の前記第2焦点の上側で非対称に配置されているようにすることができる。
【0040】
一実施形態においては、集光装置が集光部材を含むようにすることができる。前記集光部材が、第1焦点を有する第1集光レンズを含むようにすることができる。前記第1集光レンズの第1側面が前記第1集光レンズの第2側面よりも前記第1焦点に近いようにすることができる。
【0041】
前記集光装置が受光部材を含むようにすることができる。前記焦点が前記受光部材上にあるようにすることができる。
【0042】
前記集光装置が第2集光部材を含むようにすることができる。前記第2集光部材が第2焦点を有する第2集光レンズを含むようにすることができる。
【0043】
前記第2集光レンズの前記第1側面が、前記第2集光レンズの第2側面よりも前記第2焦点に近いようにすることができる。
【0044】
前記第2焦点が前記受光部材上にあるようにすることができる。
【0045】
前記第1焦点と前記第2焦点とが距離をあけて位置するようにすることができる。
【0046】
一実施形態においては、集光レンズが透明材料を含むようにすることができる。前記透明材料が、前記透明材料の受光面と、前記受光面の反対側の前記透明材料の出光面と、少なくとも1つの集光平面を画定する、前記受光面と前記出光面との間のエリアとを含むようにすることができる。前記少なくとも1つの集光平面は中点を含むようにすることができる。前記集光レンズはまた、前記受光面と前記出光面とのうちの少なくとも一方に組み込まれた複数の屈折面を含むことができる。前記複数の屈折面が前記透明材料を通過する光を集光焦点に向けるようにすることができる。前記集光焦点から前記中点への焦点軸が、前記集光平面に対して直角でない角度を形成するようにすることができる。
【0047】
前記直角でない角度が60度から89度の間であるようにすることができる。
【0048】
一実施形態においては、集光装置は受光部材と集光部材を含む。前記集光部材が、第1透明材料と、前記受光部材上の第1焦点を有する第1集光レンズと、前記第1透明材料と前記第1集光レンズとの間の第2透明材料とを含むようにすることができる。前記第1集光レンズは、光を前記第1焦点に向けるようにされ、前記第1焦点の上側で非対称に配置されている。
【0049】
前記第2透明材料は、限定するわけではないが、カーギル(Cargille)光学オイル(較正液、浸液、光学ジェル、又は屈折率が調整されたデザイナーオイル)を含む、オイルのような流体とすることができる。
【0050】
前記集光装置が、前記受光部材に画定されて流体の流れを受け入れるようにされた通路を含むようにすることができる。
【0051】
前記通路が、前記受光部材に画定された第1部分と、前記第1透明材料及び前記第1集光レンズによって部分的に画定された第2部分とを含むようにすることができる。
【0052】
前記第2透明材料が前記通路を通って流れるようにすることができる。
【0053】
前記集光装置が、前記第2透明材料が前記通路の前記第1部分に位置するときに前記第2透明材料への太陽熱の伝達を示すようにすることができる。
【0054】
前記集光装置が、前記第2透明材料が前記通路の前記第2部分に位置するときに前記第2透明材料への太陽熱の伝達を示すようにすることができる。
【0055】
前記集光装置が、前記第2透明材料が前記通路の前記第1部分に位置するときに前記第2透明材料への太陽熱の伝達を示す第1特性と、前記第2透明材料が前記通路の前記第2部分に位置するときに前記第2透明材料への太陽熱の伝達を示す第2特性とを含むようにすることができる。前記第1熱の伝達が、前記第2太陽熱の伝達よりも大きな温度上昇を示すようにすることができる。
【0056】
前記集光装置が、受光した光を選択的に集めるための、その上に形成されたメタオプティクスを有する表面を含むようにすることができる。
【0057】
前記集光装置が、脂肪族のコーティングのような保護コーティングを含むようにすることができる。前記集光装置は、如何なるサイズを想定することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
添付の図面は、本装置の様々な実施形態を例示しており、本願明細書の一部である。図示の実施形態は、本装置の単なる例であり、本装置の範囲を限定するものではない。
【0059】
図1】従来技術のフレネルレンズの平面図を示している。
【0060】
図2】本開示に係る集光レンズの一例の側面図を示している。
【0061】
図3】本開示に係る集光装置の一例の側面図を示している。
【0062】
図4】本開示に係る集光装置の一例の側面図を示している。
【0063】
図5】本開示に係る集光装置の一例の側面図を示している。
【0064】
図6】本開示に係る集光レンズの一例の側面図を示している。
【0065】
図7】本開示に係る集光レンズ装置の一例の側面図を示している。
【0066】
図8】そこに形成されたメタオプティクスを有する表面の走査電子顕微鏡画像の例を示している。
【0067】
図面全体を通して、同一の符号は、同様ではあるが必ずしも同一とは限らない要素を指している。
【発明を実施するための形態】
【0068】
本開示の目的として、用語「整合」は、平行、実質的に平行、又は35.0度未満の角度を形成することを意味している。本開示の目的として、用語「横断」は、垂直、実質的に垂直、又は55.0と125.0度の間の角度を形成することを意味している。また、本開示の目的として、用語「長さ」は物体の最も長い寸法を意味する。また、本開示の目的として、用語「幅」は、物体の左右の寸法を意味する。大抵の場合、物体の幅は物体の長さを横断する。本明細書の目的として、集光平面は、概して、軸に平行な光線が焦点に集束するように偏向する平面をいう。本明細書の目的として、焦点軸は集光平面の中点と集光焦点とを通る軸である。
【0069】
フレネルレンズは、太陽熱収集器において、屈折によって光を集めるために使用される。従来のフレネルレンズは、おおよそ湾曲レンズに近似するが、材料がより少ない。よって、フレネルレンズは、相当する湾曲レンズよりも軽い。場合によっては、フレネルレンズは平行光を焦点に集中させる。概して、フレネルレンズは平らな側と傾斜した側とを含む。傾斜した側は屈折面を形成する傾斜したファセット(小平面)を含み、屈折面はレンズの湾曲を近似する。典型的には、ファセットが多いほど、湾曲レンズにより良く近似する。
【0070】
概して、フレネルレンズを通過する光の全てが一点に集光される。よって、フレネルレンズの表面積が大きいほど、より多くの光が一点に集光される。フレネルレンズの側部を通過する光線はフレネルレンズの中央部分を通過する光線が通る同じ焦点に集められるが、側部を通過する光線は中央を通過する光線よりも長い距離を伝搬しなければならないので、より大きな表面積を有するフレネルレンズは、大抵はより長い焦点距離を有することになる。よって、一般に、フレネルレンズの表面積が大きいほど、焦点までの焦点距離はより長くなる。これは、フレネルレンズの対称性のせいでもある。この原則に基づいて、表面積が増加すると、フレネルレンズは焦点からより遠くに配置されて、より多くのスペースを取る。
【0071】
図1は、従来のフレネルレンズ100の例を示している。ここで、フレネルレンズ100は概して平らな受光面102を含む。フレネルレンズ100の出光面104は、受光面102の反対側にあり受光面102に整合している。出光面104は、屈折面を形成する複数の傾斜面106を含む。平らな受光面102に概して垂直な光は、たとえあったとしても大きな屈折はなしに受光面に入る。出光面104上の屈折面は、光を焦点110に向かって屈折させる。フレネルレンズ100は、焦点110まで実質的に同距離であるレンズの第1側面112及び第2側面114に対して概して対称である。フレネルレンズの側部領域116を通って伝搬する屈折した光は、フレネルレンズ110の中央領域118で屈折しない光よりも、焦点110に届くまでにより遠い距離を有する。
【0072】
フレネルレンズ100の表面積は、フレネルレンズ100の長さ及び幅によって決まる。従来のフレネルレンズのこの描写では、フレネルレンズ100の幅120だけが描かれている。
【0073】
図2は、一実施形態にかかる集光レンズ200を示している。いくつかの例では、集光レンズはフレネルレンズであるが、図2に描画された原理は他のタイプの集光レンズにも適用可能である。
【0074】
集光レンズ200は、受光面202及び出光面204を含む。受光面202は概して平らであり、出光面204は、レンズ200から出ていく光線の方向に影響を与える屈折面を形成する複数の傾斜面206を含む。屈折面のそれぞれは、光を単一の焦点210に向けることに重点を置いている。
【0075】
集光レンズ200の第1側面212は、受光面202を出光面204に接続する。集光レンズ200の第2側面214は、第1側面212の反対側にあり、受光面202を出光面204に接続する。この例では、第1側面212は、第2側面214よりも焦点210に近い。この例では、集光レンズ200は実質的に平らな受光面202を有する。よって、集光レンズ200は、ある角度で傾いている。また、第1側面212は、集光レンズ200の第2側面214よりも、焦点からより大きな垂直距離又はより上に離れて配置されている。
【0076】
集光レンズ200は、水平に対して適切な如何なる角度で傾いているようにすることもできる。例えば、集光レンズ200は、少なくとも5度、少なくとも10度、少なくとも15度、少なくとも20度、少なくとも25度、少なくとも30度、少なくとも35度、少なくとも40度、少なくとも45度、少なくとも50度、少なくとも55度、少なくとも60度、少なくとも65度、少なくとも70度、少なくとも75度、少なくとも80度、少なくとも85度、少なくとも他の適切な角度、又はそれらの組み合わせの角度で傾いていてもよい。
【0077】
集光レンズ200は、少なくとも部分的に透明な材料から形成することができる。いくつかの例では、集光レンズ200の材料は、少なくとも20パーセントの全透過率、少なくとも30パーセントの全透過率、少なくとも40パーセントの全透過率、少なくとも50パーセントの全透過率、少なくとも60パーセントの全透過率、少なくとも70パーセントの全透過率、少なくとも80パーセントの全透過率、少なくとも85パーセントの全透過率、少なくとも90パーセントの全透過率、少なくとも95パーセントの全透過率、他の適切な全透過率、又はこれらの組み合わせの特性を有することができる。いくつかの例では、集光材料は、ガラス、プラスチック、樹脂、ダイアモンド、サファイア、セラミックス、他のタイプの材料、又はこれらの組み合わせとすることができる。
【0078】
光が受光面202に入ると、入った又は受けた光が受光面204に対して垂直でないときにはその光は屈折し得る。この場合には、概して焦点に向かって進んではいるが焦点に集中しない実質的に平行な光線は、入ってくる光と受光面202との間の相対角度のために屈折する。受光面202で生じるこの屈折は、自然の光線218を部分的に屈折した光線220へと曲げる、光線の第1屈折角216でありうる。部分的に屈折した光線220に対する傾斜面206の相対角度により、部分的に屈折した光線220は焦点上に集光する光線222へと曲げられる。よって、光はおおむね焦点に向かう方向に進みながら複数の点で屈折される。
【0079】
概して平行な光線が平らな受光面202に入るので、光は同じ角度で屈折して部分的に屈折した光線を形成する。部分的に屈折した光線は、透明材料を通って進み、透明材料内に含まれる。部分的に屈折した光線は、透明材料を出るときに、焦点に向けられる収束する光線へと屈折される。部分的に屈折した光線から収束する光線への移行が第2屈折角224を形成する。第2屈折角224は、透明材料の出光面上の傾斜面の角度に基づいて形成される。光透明材料の第1側面から光透明材料の第2側面にまで傾斜面は漸進的に角度が増加して、光線のそれぞれを集光レンズの長さに沿って焦点にまで集光する。よって、屈折角は、集光レンズの断面長さに対する光線の位置によって異なる。幾つかの傾斜面206では、第2屈折角224は概して部分的に屈折した光線220に垂直であり、ほんの僅かな屈折だけが生じて収束する光線222を形成するようになる。しかしながら、出光面204の他の部分では、傾斜面206と部分的に屈折した光線220との間の相対角度は、鋭角又は鈍角であり、より大きな屈折補正を引き起こして収束する光線222を形成する。加えて、水平に対する受光面202の全体的な所望角度位置に対して傾斜面206の相対角度を調整して、受光した光を所望の焦点210に向けるようにすることができる。
【0080】
図示の例では、集光レンズ200の第1側面212に近接した第1傾斜面226は、小さい屈折調整をもたらして、収束する光線222を形成する。傾斜面206のそれぞれは第1側面212から第2側面214に向かう方向で漸進的に顕著になっていく角度を形成し、それにより部分的に屈折した光線220と収束する光線222との間の角度変化が大きくなっていく。例えば、集光レンズ200の第2側面214に近接した最も遠い傾斜面228は、部分的に屈折した光線220に対して急な鋭角230を形成し、より大きな第2屈折角224をもたらす。いくつかの例では、集光レンズの第1側面に近接した傾斜面は、集光レンズの第2側面の傾斜面とは異なる屈折面の角度を有するが、傾斜面のそれぞれが収束する光線を焦点210に向ける。
【0081】
第1屈折角216は、適当な如何なる角度にすることもできる。例えば、第1屈折角に対して互換性のある角度の包括的でないリストには、90度未満、60度未満、50度未満、45度未満、40度未満、35度未満、30度未満、25度未満、20度未満、15度未満、10度未満、5度未満、又は他の適当な角度未満の角度が含まれうる。
【0082】
何れの個々の傾斜面の第2屈折角224も適当な如何なる角度にすることができる。例えば、傾斜面の屈折角に対して互換性のある角度の包括的でないリストには、90度未満、60度未満、50度未満、45度未満、40度未満、35度未満、30度未満、25度未満、20度未満、15度未満、10度未満、5度未満、又は他の適当な角度未満の角度が含まれうる。
【0083】
第2屈折角224は第1屈折角216の影響を受け、傾斜面206のそれぞれの相対的な横方向長さは焦点に関係することが見込まれる。例えば、傾斜面の多くは部分的に屈折した光線220と収束する光線222との間に負の角度を形成し得る。一方で、他の傾斜面は部分的に屈折した光線220と収束する光線222との間に正の角度を形成するように向けられ得る。
【0084】

図示の例では、集光レンズ200の第1側面212は、集光レンズ200の第2側面214よりも、焦点210に近い。結果として、集光レンズ200は、焦点の周りでオフセットしているか又は非対称に向けられている。よって、傾斜面206のそれぞれは、光線のそれぞれを中心からずれた焦点210に非対称に集光するように角度付けられている。
【0085】
焦点に対してある角度に向けられた集光レンズ200を有することの一つの利点は、同じ表面積を有する集光レンズを同じ設置面積の中により多く収めることが可能になることである。例えば、傾斜した集光レンズは、追加の集光レンズを同じ設置面積の中に含めることができるので、集光するために使用される全体的な表面積を増加させることができる。増加した表面積を有することにより、より多くの光をより小さなエリアに集めることができ、それによりレンズの熱効率が向上する。
【0086】
図2において、線232は、線234によって表わされた図1のフレネルレンズの幅に対する集光レンズ200の幅を表わしている。図に示すように、線234は232よりも短く、正味の幅の差分(Δ)をもたらす。この追加のスペースは追加の集光レンズを提供するために使うことができる。例えば、もし同じ量の収束した光をもたらす傾斜した集光レンズが結果として20パーセントのスペースを削減するのであれば、従来は4つの集光レンズだけが収まっていた設置面積に5つめの集光レンズを収めることが可能となる。
【0087】
図2の例において、出光面204は傾斜面206を含み、受光面202は概して平らである。しかしながら、代替例においては、出光面が概して平らであり、受光面が傾斜面を含むようにすることができる。さらに別の代替例においては、受光面と出光面のそれぞれに傾斜面と概して平らな領域とが混在している。
【0088】
図3は集光装置300の例を示している。この例では、集光装置300は、受光部材302と、複数の集光レンズを備える集光部材304とを含む。明確にすることを目的として、各集光レンズの具体的なレンズの幾何学的細部は図3には示されていない。集光部材304は、受光部材302上の第1焦点308を有する第1集光レンズ306を含む。第1集光レンズ306の第1側面310は、第1集光レンズ306の第2側面312よりも第1焦点308に近い。よって、第1集光レンズ306は、オフセットされていて、光線を中心から外れた焦点に集光する。第1集光レンズ306は第1焦点308の周りで非対称に配置されているため、第1集光レンズの設置面積は焦点の周りで対称に向けられた従来のフレネルレンズよりも小さい。
【0089】
集光装置300はまた、第2集光レンズ314を含む。この例では、第2集光レンズ314も第2焦点316の周りで非対称に向けられている。よって、第2集光レンズ314の第1側面318は、集光レンズ314の第2側面320よりも第2焦点316に近い。この例では、第2集光レンズ314は第1集光レンズ306に対して横断方向に向けられている。よって、第1及び第2集光レンズ306、314は180度でない角度を形成する。
【0090】
第1及び第2集光レンズ306、314の間に形成される角度は適当な如何なる角度とすることもできる。いくつかの例では、その角度は、5度よりも大きい、10度よりも大きい、15度よりも大きい、20度よりも大きい、25度よりも大きい、30度よりも大きい、40度よりも大きい、45度よりも大きい、50度よりも大きい、60度よりも大きい、70度よりも大きい、80度よりも大きい、90度よりも大きい、100度よりも大きい、105度よりも大きい、110度よりも大きい、120度よりも大きい、130度よりも大きい、140度よりも大きい、150度よりも大きい、160度よりも大きい、170度よりも大きい、別の適当な角度よりも大きい、又はそれらの組み合わせの角度である。
【0091】
図3に示す例において、第1焦点308と第2焦点316は互いに距離をあけて離れている。第1焦点308と第2焦点316は、適当な如何なる距離をあけて離れていても良い。いくつかの例では、第1焦点308と第2焦点316は、1.0インチ(2.54センチ)未満、2.0インチ(5.08センチ)未満、3インチ(7.62センチ)未満、5インチ(12.7センチ)未満、7インチ(17.78センチ)未満、10インチ(25.4センチ)未満、15インチ(38.1センチ)未満、20インチ(50.8センチ)未満、25インチ(63.5センチ)未満、別の適当は距離、又はそれらの組み合わせの距離をあけて離れている。いくつかの例では、第1及び第2集光レンズ306、314は、受光部材302上の全く同じ点に光を集める。
【0092】
第1及び第2集光レンズ306、314の両方がオフセットしているこれらの例では、傾斜したレンズの設置面積の低減は加算的である。よって、より多くの量の光の恩恵が、受光部材302により小さなエリアで集められる。追加の集光レンズを受光部材302の周りの利用可能な空いたスペースに加えることができ、これにより受光部材302に集められる光の全体量が増加する。
【0093】
図示の例では、複数の集光レンズがジグザグの断面を形成する。図3の例は集光レンズのそれぞれが対称な断面を形成するように向けられて示されているが、少なくとも1つの集光レンズが複数の集光レンズのうちの少なくとも2つの他のレンズとは異なるオフセット角度で向けられていてもよい。また、図3の例は集光レンズのそれぞれが同じ長さ又は寸法を有するように示されているが、代替例においては、少なくとも1つ集光レンズが少なくとも1つの他の集光レンズとは異なる長さを有する。
【0094】
受光部材302は、適当は如何なる物体又は流体とすることもできる。一例では、受光部材302は光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池である。より多くの光をある面積内の太陽電池上に集めることによって、太陽電池は同じ面積でより多くの電気に変換することができる。よって、太陽電池や集光装置の設置面積を増加させることなく、太陽電池の生産性を増加させることが可能となる。集光装置がソーラーファームの一部であるこれらの例では、ソーラーファームはソーラーファームの設置面積を増加させることなく生産性をより高くすることが可能となる。
【0095】
別の例では、受光部材302は、気体もしくは流体を保持したり搬送したりすることができるパイプ又は他のタイプの管とすることができる。いくつかの例では、流体は気体である。他の例では、流体は水性液及び/又は油性液である。個人の家、建物、又は地域社会で、水を温めるために集光装置を使用することができる。そのような温められた水は、シャワー、食器洗い機、洗濯機、又は他の家庭用もしくは工業用の機器で使用することができる。さらに別の例では、水は、発電のためのタービンに動力を供給するために使用することが可能な蒸気に変換することができる。さらに別の例では、温められた水は、建物の冷暖房、発電、プールの温め、歩道の温め、道路の温め、建物内の環境の調整、他の物体の温め、他の物体の温度の調整、又はこれらの組み合わせ、に使用される熱交換器において使用することができる。
【0096】
別の実施形態においては、受光部材302は、そこでの熱エネルギーの変換が望まれる如何なる物品とすることもできる。例えば、受光部材は、衣料品;屋根、窓、又は壁のような建物の要素;テントの表面;自動車の表面;ボートの表面;又は他の構造要素とすることができる。加えて、集光装置は、熱エネルギーを所望の物品に効果的且つ効率的に伝達するために適当な如何なる大きさを想定することもできる。一実施形態においては、集光装置は複数の又はアレイ状の集光レンズを含む。集光レンズは、衣料品のような環境内に組み込むことが可能なレンズのマイクロアレイとすることができる。
【0097】
図4は、集光装置400の例を示している。この例では、集光装置400はオフセット角度が互いに交互になる集光レンズ402を含む。この例では、交互にオフセットしたレンズ402のそれぞれが、光を受光部材406上のオフセット焦点404に向ける。しかしながら、代替例においては、集光レンズ402は、少なくとも2つの焦点を同じ場所に向けることができる。
【0098】
図示の例では、集光レンズ402と受光部材406との間のスペースは囲まれている。いくつかの例では、この囲まれたスペース407は、光伝達環境を制御する不活性物質または他の気体で満たされている。これらの例では、囲いは、ほこり、破片、又は他の光干渉粒子によって集光レンズ402から受光部材406への光伝達の効率が低下することを防止することができる。この例は囲みとともに説明されているが、代替の実施形態では、集光装置は囲みを含んでおらず、空気又は他の気体が集光レンズと受光部材との間のスペースを通過するようにすることができる。
【0099】
別の例では、集光レンズ402と受光部材406との間のスペースは部分真空とすることができる。この例では、部分真空は、光の伝達に干渉し得る気体分子でできる限り妨げられない環境、又は少なくとも周囲条件の気体の量よりも低減された気体の量を有する環境を維持することができる。光は、固体、液体、又は気体透明媒質中よりも、真空中を速く伝搬する。透明媒質を通る光の減速は、エネルギー輸送の一つ形態であり、物質の原子による光エネルギーの吸収及び再放出を含む。光のエネルギーのいくらかは、透明物質の分子による吸収及び再放出で失われる。場合によっては、このエネルギー損失は透明材料の温度上昇によって明らかにされる。
【0100】
完全な真空は、地球上で達成することが難しい。よって、場合によっては部分真空が使用される。少なくとも部分真空を作り出すために、少なくとも部分的に集光レンズと受光部材とによって形成された囲いの中の空気が、真空ポンプを使用して取り除かれて、外圧よりも小さい、一例においては1気圧未満の、減圧環境が得られる。囲いは、適切な如何なるタイプの材料からでも作ることができる。使用され得る材料の包括的でないリストには、ステンレス鋼、アルミニウム、軟鋼、真ちゅう、高密度セラミックス、ガラス、アクリル、他のタイプの材料、又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0101】
集光装置400はまた、破片や集光レンズの透明性を低下させうる他の少なくとも部分的に不透明な材料から集光レンズ402を保護する保護透明バリア408を含む。一実施形態によると、保護透明バリア408は、ここに開示のシステムの何れにおいても含まれうるし、また対化学性、柔軟性、天候及びUV安定性を追加するコーティングを含み得る。一実施形態においては、透明バリアは、脂肪族のコーティング、より詳細には、脂肪族ウレタンのコーティング又は脂肪族ポリウレタンのコーティングである。このコーティングは、集光装置400の表面の耐候性能を増加させ、かすみ又は他の集光装置の効率及び光伝達性を減少させうる他の光を遮る要因を防止する。光は、屈折変化を伴うか又は伴うこと無く、保護透明バリア408を通過することができる。図4に示された例は実質的に平らなバリアであるが、バリアは適当な如何なる形状又は幾何学的配置を含むこともできる。
【0102】
図示の例において、受光部材406は動的な又は静的な流体を搬送するパイプとすることもできる。場合によっては、受光部材406は熱を保持する高い熱容量を有する材料とすることができる。受光部材406が流れる動的流体に熱を伝達するこれらの例では、流体はパイプの中を通って流れるときに温められる。温められた流体は、受光部材406を出た後に有用な用途のために使用することができる。場合によっては、受光部材は流体が通過できる多孔質材料である。多孔質材料は流体の表面積を増加させて熱伝達を向上させる。さらに別の実施形態においては、受光部材406は、熱伝達を向上させるために、受光部材406内に複数のパイプ及び/又は複数の流体通路を含む。
【0103】
受光部材406は適当な如何なる色とすることもできる。いくつかの例では、受光部材406は、光を吸収ように黒色又は少なくとも暗い色の表面を含む。代わりに、受光部材406は、集光レンズによって集められた熱エネルギーの全てがその中に収められた流体に送られるように透明とすることができる。
【0104】
受光部材406内にヒートスプレッダを組み込むことができる。ヒートスプレッダは、受光部材406上のホットスポットが最小となるように熱伝導材から作ることができる。熱が材料全体に広がるので、一般にヒートスプレッダ全体の温度は比較的に均一になる。場合によっては、ヒートスプレッダは金属又は熱伝達セラミックから作られる。さらに別の例では、受光部材406の全体が、熱エネルギーが焦点から受光部材の材料全体に広がることによってホットスポットを最小にする熱伝導材から作られる。
【0105】
受光部材を断熱層410で囲んで、熱を受光部材402に閉じ込めるようにすることができる。断熱層410は、適当な如何なる材料からでも作ることができ、また適当な如何なる厚さを有するようにすることもできる。場合によっては、断熱層は、熱を受光部材406内に戻すための反射表面を含む。
【0106】
場合によっては、断熱層410の中に熱交換器412及び/又は吸熱体を組み込むことができる。熱交換器412は、受光部材406の中の熱を生産的用途に伝達するために使用される。いくつかの例では、熱交換器412は、熱を伝導によって伝達する伝導熱交換器である。これらのタイプの熱交換器は、断熱層410の中に組み込まれた金属とすることができる。他の例では、熱交換器は熱を対流によって伝達する。
【0107】
図示の例は1つの受光部材を参照して説明されているが、集光レンズは集光装置内の複数の受光部材の上に焦点を映すようにできる。
【0108】
図5は、第1集光レンズ504と第2集光レンズ506の上側に透明な保護バリア502を有する集光装置500の例を示している。第1及び第2集光レンズ504、506のそれぞれが、それらの各自の焦点を受光部材510上の同じ場所508に向けている。この例では、受光部材510は調理なべである。光からの熱は、調理鍋の中の食べ物を調理するために使用される。この例では、集光レンズ504、506と受光部材510との間に閉じた囲いはない。
【0109】
図6は、集光レンズ600の代替例を示している。この例では、集光レンズ600は受光面602と出光面604を含む。集光レンズ600の第1側面606は、受光面602と出光面604を接続する。集光レンズ600の第2側面608は、第1側面の反対側にあり、同様に受光面602と出光面604を接続する。出光面604は、屈折面を形成する傾斜面610を含む。
【0110】
受光面602は、隣接する第1平面612と第2平面614を分ける屈曲部611含むが、それでも一体の材料である。第1平面612は第1焦点面を部分的に画定し、第2平面614は第2焦点面を部分的に画定する。屈曲部611はある角度を形成する。結果として、平行な光線が受光面602に入ったときに、第1平面612に入った光線は第2平面614に入った光線とは異なる屈折変化を受ける。よって、全ての光線を単一の焦点に集めるように、第1平面612の反対側の傾斜面は、第2平面614の反対側の傾斜面とは異なるセットの屈折角を有する。
【0111】
屈曲部611は、適当な如何なる角度を形成することもできる。例えば屈曲部は、5度未満、10度未満、15度未満、20度未満、25度未満、30度未満、35度未満、40度未満、45度未満、55度未満、65度未満、75度未満、90度未満、他の適当な角度未満、又はそれらの組み合わせ、の角度を形成することができる。
【0112】
この実施形態は第1及び第2平面だけを備えるように描かれているが、ここに記載の原理に従って如何なる数の平面を使用することもできる。例えば、受光面は、受光面の相対的傾斜が徐々に急になるようにする第1屈曲部と第2屈曲部を含むことができる。
【0113】
図7は、別の集光装置700の例を示している。この例では、集光装置700は、上述のように、互いに対してオフセット角度が交互になる集光レンズ702を含む。この例では、交互オフセットレンズ702のそれぞれが、光を受光部材706上のオフセット焦点704に向ける。
【0114】
受光部材706は、光電池、衣料品、容器、建築部材などとすることができる。しかしながら、図7に示されるように、受光部材706は、流体の流れを収容するようにされた通路の一部を形成するパイプとすることができる。受光部材706は、オイル、水、気体、又は他のタイプの流体のような流体を適当な如何なる供給源から受けることもできる。通路は、流体を適当な如何なる通路を通して送ることもできる。図示の例では、通路の第1部分708は受光部材706に形成されている。通路の第2部分710は交互の集光レンズ702によって部分的に画定されている。通路の第2部分710は、透明材料によっても部分的に画定され、共同で流体通路を画定している。
【0115】
透明材料712と集光レンズ702は通路の第2部分710を構成するスペースを画定する。第1バルブ714は通路の第2部分710に入る流体の流れを制御し、第2バルブ716は通路の第2部分710から出ていく流体の流れを制御する。第2部分710内の流体圧は第2部分710内の満たされていないスペースを減らすのに適切にされ、集光装置700の効率に影響し得る気泡や他の不純物を無くすことを目的とした排気口(図示しない)又は他の機構を含むことができる。第2部分710内の各光学的境界は少なくとも小さな屈折を生じさせうる。また、第2部分710に入ることによる液体の慣性によって表面角度が動的に変化するので、液体表面が通路の第2部分710に入った時に屈折が生じうる。満たされていない隙間がないように第2部分710内の流体圧を制御することによって、光学的境界の数を低減させ、それらの角度を制御して、液体が第2部分710内でレンズの一体となっている部分を形成する。
【0116】
透明材料712を通して送られた太陽エネルギーは、流体が通路の第2部分714内にある間に、その流体を温めることができる。太陽エネルギーは受光部材706の上に集められるので、流体が通路の第1部分708に到達したときにその流体の温度はさらにいっそう上昇する。このようにして、流体は少なくとも二段階で温められる。
【0117】
上述の例は傾斜面が集光レンズの出光面にあるものとして説明されているが、いくつかの例では、傾斜面が受光面に組み込まれる。このようなタイプの例では、傾斜面は受光面と出光面の両方に組み込まれる。他の例では、傾斜面は受光面だけに組み込まれる。
【0118】
代わりに、上述の例は傾斜した屈折面を使用して光をレンズを通して所望の物体上に制御して向けるという文脈で説明しているが、如何なる数の光屈折又は変更した幾何学的形状若しくは表面を、受光面で受けた光を予想どおりに向けるために使用することができる。1つの例示的な実施形態によると、メタオプティクスは、ここでの例示的なシステムによると、ソーラーパネルとともに使用するため、加熱のため、又は他の集光目的のために、制御可能に光を向けるために使用可能である。メタオプティクスは、それを通過するときに少なくとも可視光を曲げるメタサーフェス(meta-surfaces)として知られる1つ以上の微小導波路の極小アレイ(ultrathin arrays of tiny waveguidies)を含むことができる。図8は、例示的なメタオプティクスの走査電子顕微鏡画像を示している。図8に示されるように、メタオプティクスのレンズ800は、上述のように、複数段階での加熱のためのチャンバーの構造を有するか又は有さないフラットパネルに形成することができる。導波路のメタサーフェスは、高い屈折率によって光を強く閉じ込めることができるさまざまな材料で作ることもでき、その材料には、これらに限定するわけではないが、二酸化チタン、二酸化銀、又はグラフェンが含まれる。加えて、メタサーフェスは、受光した光を所望の表面上に選択的にかつ精確に集光するように、形成、構造化、及び調整することができる。メタサーフェスは、これらに限定するわけではないが、パターニング、ドライエッチング、ウェットエッチング、電子ビームリソグラフィー、及び/又は3Dプリンティングを含むさまざまな相加法又減法を使用して形成することができる。したがって、従来のレンズシステムに比べて、効率を向上させながら、重量及び厚さを低減することが可能である。
【0119】
当該システムのさまざまな使用及び形態を個々に説明してきたが、システム及び形態のそれぞれはハイブリッドシステムを作り出すように組み合わせることができる。例えば、図7に示される流体で満たされた第2部分710は、単一システムにおいて、光電池の受光部材706に組み込むことができる。このシステムによれば、流体は、効率的に光を光電池の受光部材706に伝達及び集光しながら、流体が満たされた第2部分710の中で温められる。加えて、上述のコンポーネントは、限定するわけではないが、衣料品、建物及び建築部材、窓、乗り物、調理器具、ヒートポンプ、殺菌システム、並びに他の熱エネルギー消費システムの加熱を含むさまざまな環境及びターゲットに適用するために、さまざまな形態及び(マクロレベルからマイクロスケールまでの)サイズで組み合わせることができる。
【0120】
他の例及び実施が、明細書及び添付の請求項の範囲及び精神の中にある。例えば、機能を実現するための特徴は、機能部が異なる物理的位置で実装されるように分散することを含む、さまざまな位置で物理的に配置することもできる。また、特許請求の範囲を含むここでの使用において、「少なくとも1つの」で始まるアイテムのリストにおける「又は」は、例えば、「A、B、又はCの少なくとも1つ」が、A、B、C、AB、AC、BC、又はABC(すなわちAとBとC)を意味するように、選言的なリストを示している。さらに、「例示」との用語は、説明した例が好ましいか又は他の例よりも良いことを意味するわけではない。
【0121】
説明目的のための上述の記載は、説明した実施形態の完全な理解を提供するために具体的な名称を使用している。しかしながら、説明した実施形態を実施するために具体的詳細が要求されないことは当業者にとって明らかである。よって、ここに説明した具体的な実施形態の上記説明は、例示および説明の目的で提示されている。それらは、網羅的であることや、実施形態を説明した正確な形態に限定することを目的とはしていない。上記教示を考慮して多くの変更や変形が可能であることは、当業者にとって明らかであろう。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8