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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】カルベトシンの安定的鼻腔内製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/095 20190101AFI20240807BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240807BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20240807BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240807BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240807BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20240807BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240807BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240807BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20240807BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
A61K38/095 ZNA
A61K9/08
A61K9/10
A61K47/12
A61K47/18
A61K47/38
A61P3/04
A61P25/00
A61P25/20
A61P25/22
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021540784
(86)(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 US2019052090
(87)【国際公開番号】W WO2020061414
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-09-02
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】62/734,152
(32)【優先日】2018-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/876,857
(32)【優先日】2019-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516149181
【氏名又は名称】アカディア ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ACADIA Pharmaceuticals Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】マニング, マーク シー.
(72)【発明者】
【氏名】ホルコム, ライアン イー.
(72)【発明者】
【氏名】カタヤマ, デリック エス.
(72)【発明者】
【氏名】ブライアント, クリストファー
【合議体】
【審判長】松波 由美子
【審判官】山村 祥子
【審判官】吉田 佳代子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-532316(JP,A)
【文献】特表2002-502384(JP,A)
【文献】特開2017-061424(JP,A)
【文献】特表2013-543492(JP,A)
【文献】国際公開第2018/158234(WO,A1)
【文献】ClinicalTrials.govに登録された臨床試験「NCT03649477」について2018年8月24日付けで公開された情報,[online],2018年8月24日,検索日:2024年2月13日,URL https://www.clinicaltrials.gov/study/NCT03649477?tab=history&a=1
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K38/00
Caplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラダー・ウィリ症候群を治療するための、カルベトシンを含む組成物であって、少なくとも1か月間にわたって、プラダー・ウィリ症候群を有する対象に3.2mg/投与量のカルベトシンが1日当たり3回鼻腔内投与されることを特徴とし、前記投与はプラセボと比較した過食行動の減少をもたらし、前記カルベトシンが10mg/mL~40mg/mLの濃度で前記組成物中に存在し、前記カルベトシンが、
(a)200~500mMの濃度のニコチンアミド、
(b)サリチル酸塩、または
(c)HPMC
を含む水溶液で投与される、組成物。
【請求項2】
前記投与量は、食事の直前に投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
各投与量は、食事の30分以内に投与される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物は少なくとも2か月にわたって投与される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物は少なくとも2か月にわたって投与される、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物の前記投与が、(a)プラセボと比較した強迫性および衝動性の行動における減少、(b)プラセボと比較した不安感の減少、または(c)プラセボと比較した全般的な臨床上の印象における改善のうちの一つ以上をさらにもたらす、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物の前記投与が、(a)プラセボと比較した強迫性および衝動性の行動における減少、(b)プラセボと比較した不安感の減少、または(c)プラセボと比較した全般的な臨床上の印象における改善のうちの一つ以上をさらにもたらす、請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物の前記投与が、不安感の減少をもたらす、請求項2に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物の前記投与が、強迫性および衝動性の行動における減少をもたらす、請求項2に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物の前記投与が、過食行動の減少および強迫性および衝動性の行動における減少をもたらす、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物の前記投与が、不安感の減少をもたらす、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記対象の年齢が、7歳以上~18歳以下である、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記対象の年齢が、7歳である、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物の前記投与が、臨床試験用の過食症質問票(HQ-CT:Hyperphagia Questionnaire for Clinical Trials)統合スコアの測定における減少をもたらす、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物の前記投与が、PWS不安および苦悩に関する質問票(PADQ:PWS Anxiety and Distress Questionnaire)統合スコアの測定における減少をもたらす、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物がヒドロトロープ
を含む水溶液で投与され、前記溶液は、眼に見える固形物がほとんどないか、または全くない、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物は、5℃および/または25℃で、1、2または3日間にわたる振とう後、眼に見える固形物がほとんどないか、または全くない、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記ヒドロトロープは前記ニコチンアミドである、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物が
前記ニコチンアミド;
前記HPMC;および
)1つ以上の追加の賦形剤
を含む水溶液で投与される、請求項1に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2018年9月20日に出願された米国仮特許出願第62/734,152号明細書および2019年7月22日に出願された米国仮特許出願第62/876,857号明細書の利益を主張するものであり、それら出願はその全体で参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、様々な長期保存条件下および/またはストレス加速条件下で安定性の改善を示すものを含む、カルベトシンの安定的な鼻腔内医薬調製物に関する。本開示はまた、そうした医薬調製物の作製方法にも関する。本開示はさらにキット、ならびにプラダー・ウィリ症候群などの神経発達障害、および関連症状の治療のための鼻腔内医薬調製物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ペプチドおよびタンパク質は両方ともアミノ酸から構成されているが、ペプチドは、例えば50アミノ酸未満であるなどの短いアミノ酸配列を有するとしてタンパク質とは区別されることが多い。この大きさの違いのため、ペプチドおよびタンパク質はしばしば異なる三次元構造、異なる特性、および異なる機能を有する。ペプチドは、様々な疾患および状態を治療するために使用される。経口での生体利用効率は低いため、ほとんどのペプチドは非経口的に投与される。(Frokjaer S.et al.(2005)Nat Rev Drug Discov.4:298-306)。非経口薬剤の送達には、静脈内経路、皮下(s.c.)経路、および筋肉内経路の投与が含まれる。非経口注射の代替は、経鼻での薬剤投与である。(Pathak K.(2011)Int J Pharm Investig.1(2):62-63)。経鼻薬剤送達にはいくつかの利点があり、初回代謝を回避する全身送達であり、投与が簡単で、効果の発現が速く、そして血液脳関門を巧みに回避する可能性などが挙げられる。さらに鼻腔内投与は、患者視点(例えば、非侵襲性であり、原則として無痛であり、薬剤送達が簡単で、そして良好な忍容性プロファイルである)から、または製薬業界視点(例えば、経鼻調製物の滅菌は不要であることが多い)から、いくつかの実用的な利点ももたらしてくれる。
【0004】
効能に応じて、高濃度でペプチドを製剤化する必要があり得るが、そうすることによってペプチド凝集の可能性が増大する場合がある。(Shire S.J.et al.(2004)J Pharm Sci.93:1390-1402;Payne R.W.et al.(2006)Biopolymers 84:527-533)。ペプチド凝集を軽減する一つの方法は、その等電点から遠く離れたpHでペプチドを製剤化して、高い正味電荷を生じさせることである。しかし、イオン性の基がないペプチドについては、pH最適化が不可能な場合がある。結果として、特にペプチドは一般的に高次構造を有しておらず、したがってその物理的安定性は主にペプチド-ペプチドの相互作用の性質に依存していることから、高いペプチド濃度で充分な安定性を維持することは困難な場合がある。溶液中のペプチドはさらに、例えば、脱アミド化、オリゴマー化、および酸化を介して分解してしまう場合があり、場合によっては冷蔵を必要とする。
【0005】
カルベトシン[(1-デスアミノ-1-モノカルバ-2(O-メチル)-チロシン)オキシトシン]は、非荷電ペプチドの一例である。カルベトシンは、長期作用型の合成オキシトシンアナログである。カルベトシンの構造を以下に示す。
【化1】
【0006】
カルベトシンは通常とは異なるペプチドである。カルベトシンは小さく(8アミノ酸)、荷電がなく、環状で、高度に脂溶性である。また、カルベトシンは安定的で明確に規定される三次構造が無いことも知られている。カルベトシンは現在、米国外では帝王切開中または帝王切開後の分娩後出血を治療または予防するために使用されている。そのためカルベトシンは、100μgの投与量でゆっくりとした単回の静脈内(IV)注射により投与される。この製剤(Duratocin(商標)、Ferring社)は冷蔵を必要とし、0.1mg/mLのカルベトシン、9mgの塩化ナトリウムを含有し、氷酢酸でpH3.8にされ、および注射用水で1mLとされている。(Widmer M.et al.(2016)Trials.17:143)。カルベトシン(IV型)は現在、PABAL/DURATOCIN/LONACTENE/DURATOBALという商標名で70を超える国で登録されている。
【0007】
現在臨床試験中の別の注射用カルベトシン医薬品であるCARBETOCIN RTSは、30℃で少なくとも3年間保存することができる。(Widmer M.et al.(2016)Trials.17:143)。注射用の熱安定性オキシトシン製剤を開発する過去の他の試みは成功していない。(Hawe A.et al.(2009)Pharm Res.26(7):1679‐1688;Avanti C.et al.(2012)Mol Pharm.9(3):554‐562;Avanti C.et al.(2011)AAPSJ.13(2):284‐290;Gard J.W.et al.(2002)Am J Obstet Gynecol.186(3):496‐498)。この室温安定性(RTS:room temperature stable)のカルベトシンバリアントは最近開発され、現在、EUで承認されている。このバリアントは、その賦形剤において現行のカルベトシン製剤とは異なっている。CARBETOCIN RTSは、0.1mg/mLのカルベトシン、1.19のコハク酸、47.0mg/mLのマンニトール、1mg/mLのL-メチオニンを含有し、水酸化ナトリウム2NでpH5.45にされ、および注射用水で1mLとされている。(Widmer M.et al.(2016)Trials.17:143)。
【0008】
典型的なペプチド賦形剤(例えば、界面活性剤)を使用して安定した高カルベトシン製剤を作る他の試みも行われているが、試験された賦形剤はいずれもカルベトシンの凝集を妨げなかった。(Hostedt U.B.et al.(2018).J Pharm Sci.107(3):838-847)。上部空間が無い場合に限り、15mMのドデシル硫酸ナトリウム(SDS)によって、振とうにより誘導されるカルベトシンの凝集を防ぐことができた。
【0009】
それに加えて、患者への投与前にカルベトシン水溶液が製造、パッケージング、輸送、保管、および取り扱いが行われる場合、それらは機械的ストレスや化学的ストレスを受ける。これらのタイプのストレスは、様々なカルベトシン溶液にとって有害となる可能性がある。
【0010】
カルベトシンは溶液中で凝集しやすい傾向があることを考慮すると、カルベトシンの使用期間を最適化および延長し、比較的高い含量均一性の送達を行う安定的なカルベトシン医薬製剤が望ましい。例えば患者による解凍が可能で、1回の投与から次の投与まで凝集が起こらず、またはカルベトシン含量に変化なく数日間使用することができる鼻腔内製剤は、患者のコンプライアンスおよび安全性を向上させる。
したがってカルベトシンは溶液中で凝集する傾向が強いことを考慮しても、ストレスに対して安定的で、1回以上の凍結融解サイクルの前後で長期間にわたってカルベトシンの比較的高い含量均一性を示し、鼻腔内投与に適しており、利便性と患者のコンプライアンスを提供し、および/または高濃度である医薬調製物を含む、安定的なカルベトシン医薬調製物に対するニーズが依然として存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【文献】Frokjaer S.et al.(2005)Nat Rev Drug Discov.4:298-306
【文献】Pathak K.(2011)Int J Pharm Investig.1(2):62-63
【文献】Shire S.J.et al.(2004)J Pharm Sci.93:1390-1402
【文献】Payne R.W.et al.(2006)Biopolymers 84:527-533
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
驚くべきことに、高濃度のカルベトシンを含有し、およびストレス条件下で安定な医薬調製物を含む、改善されたカルベトシン医薬調製物を、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などの粘弾性ポリマーなどの特定の可溶化剤および/または表面活性剤を用いて調製できることが見出された。
【0013】
例えば本開示の医薬調製物は、比較的高濃度のカルベトシン(例えば、約10mg/mL~約70mg/mL超)で、かつストレス加速条件下であっても、予想外な安定性を維持している。本開示の一部の実施形態では、カルベトシンは、少なくとも10mg/mLの濃度で医薬調製物中に存在し、この濃度は、上記で参照されるDURATOCIN(登録商標)およびCARBETOCIN RTS製品の濃度よりも100倍高い。本明細書に開示されるカルベトシン医薬調製物はさらに機械的ストレス条件下であっても長期間にわたり改善された安定性を示す。それに加えて、本開示の医薬調製物は、鼻腔内投与に適している。
【0014】
特定の実施形態では、安定的な鼻腔内医薬調製物は、カルベトシン水溶液、ならびに可溶化剤および/または表面活性剤を含む。少なくとも一つの実施形態では、医薬調製物は、界面活性剤(例えば、n-ドデシル-D-マルトシド(DDM)、ポロキサマー188、ポリソルベート20またはポリソルベート80、ドデシル硫酸ナトリウム)を含まない。少なくとも一つの実施形態では、医薬調製物は、ヘッドスペースが減っていない、すなわち容器は完全には満杯ではない。
【0015】
少なくとも一つの実施形態では、本開示は、カルベトシン水溶液、ならびに可溶化剤および/または表面活性剤を含む安定的な鼻腔内医薬調製物を目的としており、当該溶液は、攪拌ストレス条件を受けた後に、眼に見える固形物が無い。そうした調製物は、長期間にわたるストレス条件下(例えば、振とうおよび攪拌、ポンピング、凍結融解プロセス)であっても充分に安定的であることができ、眼に見える固形物がほとんど、またはまったくない。少なくとも一部の実施形態では、医薬調製物は、写真を含む視覚的評価では、凝集物をほとんどまたは全く有さない。
【0016】
少なくとも一つの実施形態では、本開示は、カルベトシン水溶液、ならびにと可溶化剤および/または例えばHPMCなどの表面活性剤を含む安定的な鼻腔内医薬調製物を目的としており、得られる調製物は、室温で長期間にわたり、および1回以上の凍結/融解サイクルの後でもカルベトシンの比較的高い含量均一性を呈する。
【0017】
例えば、開示される調製物は、最大7日間(長い保存可能期間および/または使用期間)の解凍後でも、カルベトシン含量の均一性を示す。少なくとも一部の実施形態では、開示されるカルベトシン調製物は安定的であり、1回以上の凍結/融解サイクル後に一定期間、凝集しない。一部の実施形態では、医薬調製物は、写真を含み得る視覚的評価では、凝集物をほとんどまたは全く有さない。一部の実施形態では、開示される調製物中のカルベトシンは、調製物全体で均一に分配され、例えば一つ以上の調製物に調製物が分割された場合、得られる調製物の各々は、確かに等しい用量のカルベトシンを有する。一つの実施形態では、開示されるカルベトシン調製物は、様々な調製物バッチ間で維持される一貫したカルベトシンの用量を有し、その結果、患者は様々な投与にわたって一貫して正しい用量を投与される。少なくとも一つの実施形態では、開示されるカルベトシン調製物は、利便性と患者のコンプライアンスの向上を提供する。
【0018】
少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンの濃度は、約10mg/mL~約70mg/mLの範囲である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンの濃度は、約10mg/mL~約40mg/mLの範囲である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンの濃度は、約11mg/mL~約36mg/mLの範囲である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンの濃度は、約34.3mg/mLである。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンの濃度は、約11.4mg/mLである。一部の実施形態では、高濃度のカルベトシン医薬調製物は、室温(例えば、25℃)で長期間にわたり保存されたとき、眼に見える固形物を有さない。例えば、カルベトシン医薬調製物は、最大3年間、眼に見える固形物を有さない。一部の実施形態では、カルベトシン医薬調製物は、2年間、眼に見える固形物を有さない。一部の実施形態では、カルベトシン医薬調製物は、1年間、眼に見える固形物を有さない。一部の実施形態では、カルベトシン医薬調製物は、ヘッドスペースがゼロに近いときには、最大3年間、眼に見える固形物を有さない。一つの実施形態では、カルベトシン医薬調製物は、ヘッドスペースが実質的にゼロであるときには、最大3年間、眼に見える固形物を有さない。
【0019】
少なくとも一部の実施形態では、カルベトシン医薬調製物は、ヒドロトロープおよび/またはHPMCを含み、調製物中のカルベトシンの濃度は約1mg/mL~約15mg/mLの範囲である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンの濃度は、約1mg/mL~約10mg/mLの範囲である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンの濃度は、約1mg/mL~約5mg/mLの範囲である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンの濃度は、約1mg/mLである。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンの濃度は、約11.4mg/mLである。一部の実施形態では、カルベトシン医薬調製物は、室温(例えば、25℃)で長期間にわたり保存されたとき、眼に見える固形物を有さない。例えば、カルベトシン医薬調製物は、最大3年間、眼に見える固形物を有さない。一部の実施形態では、カルベトシン医薬調製物は、ヘッドスペースがゼロに近いときには、最大3年間、眼に見える固形物を有さない。一つの実施形態では、カルベトシン医薬調製物は、ヘッドスペースが実質的にゼロであるときには、最大3年間、眼に見える固形物を有さない。
【0020】
一部の実施形態では、医薬調製物中のカルベトシンの濃度は、経時的に変化しない(例えば、40℃で1週間、40℃で2週間、40℃で3週間、40℃で4週間、40℃で5週間の保存)。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンは、HPLCにより測定されるとき、化学的分解を受けない。例えば、カルベトシンのクロマトグラフィー純度は、98%超である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンのクロマトグラフィー純度は、99%超である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンのクロマトグラフィー純度は、99.4%超である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンのクロマトグラフィー純度は、99.5%超である。
【0021】
少なくとも一つの実施形態では、カルベトシン医薬調製物は、振とうストレスに対して安定的である。一部の実施形態では、調製物は、ヘッドスペースが限定的であるとき、少なくとも14日間にわたり振とうストレスを受け、カルベトシン水溶液は、眼に見える粒子をほとんどまたは全く有さず、透明性を維持する。一部の実施形態では、調製物は、少なくとも14日間にわたり断続的な振とうストレスを受け、カルベトシン水溶液は、眼に見える粒子をほとんどまたは全く有さず、透明性を維持する。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンは、振とうストレスの前後で化学的に分解しない。例えば、カルベトシンのクロマトグラフィー純度は、98%超である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンのクロマトグラフィー純度は、99%超である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンのクロマトグラフィー純度は、99.4以上である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンのクロマトグラフィー純度は、99.5以上である。そうしたクロマトグラフィー純度は、振とうストレスへの曝露の有無に関わらず生じる。
【0022】
開示されるカルベトシン医薬調製物は、可溶化剤および/またはHPMCを含む。可溶化剤は、アミノ酸、界面安定剤、またはヒドロトロープから選択される。少なくとも一つの実施形態では、アミノ酸は、天然アミノ酸または非天然のアミノ酸から選択されてもよい。一つの実施形態では、天然アミノ酸は、アルギニンである。少なくとも一部の実施形態では、非天然アミノ酸は、β-アミノ酸、ホモアミノ酸、プロリンおよびピルビン酸誘導体、3-置換アラニン誘導体、グリシン誘導体、環-置換フェニルアラニンおよびチロシン誘導体、直線状コアアミノ酸、またはN-メチルアミノ酸から選択されてもよい。一部の実施形態では、非天然アミノ酸は、L-2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸塩酸塩および4-グアニジノ酪酸から選択されるアルギニン誘導体である。少なくとも一つの実施形態では、界面安定剤は、シクロデキストリン誘導体である。少なくとも一つの実施形態では、シクロデキストリンは、メチル-β-シクロデキストリン、無作為メチル化-β-シクロデキストリン(RM-β-CD)、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(SBE-β-CD)、エピクロロヒドリン-β-シクロデキストリン、およびカルボキシメチルエピクロロヒドリンベータシクロデキストリンから選択されてもよい。少なくとも一つの実施形態では、シクロデキストリンは、メチル-β-シクロデキストリンである。少なくとも一つの実施形態では、ヒドロトロープは、芳香族アニオン性化合物である。少なくとも一つの実施形態では、ヒドロトロープは、ニコチンアミド、安息香酸ナトリウム、およびサリチル酸塩(例えば、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸リチウム、サリチル酸アンモニウム、サリチル酸カルシウム、およびサリチル酸マグネシウム)からなる群から選択される。
【0023】
少なくとも一つの実施形態では、医薬調製物は、ニコチンアミドを含む。別の実施形態では、医薬調製物は、サリチル酸ナトリウムを含む。一部の実施形態では、医薬調製物は、ニコチンアミド、安息香酸ナトリウム、サリチル酸塩(例えば、サリチル酸ナトリウム)、メチル-β-シクロデキストリン、またはアルギニンおよびHPMCを含む。本開示の医薬調製物はさらに、特にソルビトール、マンニトール、グリシン、ラクトース、トレハロース、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビン酸カリウム、酢酸塩、およびメチル-β-シクロデキストリンなどの追加の賦形剤を含んでもよい。少なくとも一つの実施形態では、追加の賦形剤は、ソルビトールである。
【0024】
医薬調製物中に存在する場合、可溶化剤は、シクロデキストリン誘導体から選択されてもよい。少なくとも一部の実施形態では、シクロデキストリン誘導体は、メチル-β-シクロデキストリン、無作為メチル化-β-シクロデキストリン(RM-β-CD)、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン(SBE-β-CD)、エピクロロヒドリン-β-シクロデキストリン、およびカルボキシメチルエピクロロヒドリンベータシクロデキストリンから選択される。一部の実施形態では、シクロデキストリン誘導体は、メチル-β-シクロデキストリンである。
【0025】
医薬調製物中に存在する場合、表面活性剤は、粘弾性ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)から選択されてもよい。少なくとも一部の実施形態では、表面活性剤は、セルロース誘導体である。少なくとも一つの実施形態では、セルロース誘導体は、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、およびカルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)から選択されてもよい。一部の実施形態では、セルロース誘導体は、HPMCである。医薬調製物中に存在する場合、HPMCは、0.005%~0.05%w/vの範囲の量で存在する。少なくとも一つの実施形態では、HPMCは、0.0075%~0.0125%w/vの範囲の量で存在する。そして一部の実施形態では、HPMCは、0.0075%~0.01%w/vの範囲の量で存在する。少なくとも一つの実施形態では、HPMCは、高粘度グレードである。少なくとも一つの実施形態では、高粘度HPMCは、4000cPである。
【0026】
医薬調製物中に存在する場合、ニコチンアミドは、50mM~500mMの範囲の濃度で存在する。少なくとも一つの実施形態では、ニコチンアミドの濃度は、約400mMである。少なくとも一つの実施形態では、ニコチンアミドの濃度は、約300mMである。別の実施形態では、ニコチンアミドの濃度は、約200mMである。
【0027】
医薬調製物中に存在する場合、サリチル酸ナトリウムは、50mM~500mMの範囲の濃度で存在する。少なくとも一つの実施形態では、サリチル酸ナトリウムの濃度は、約400mMである。少なくとも一つの実施形態では、サリチル酸ナトリウムの濃度は、約300mMである。別の実施形態では、サリチル酸ナトリウムの濃度は、約200mMである。
【0028】
一部の実施形態では、医薬調製物は、張性強化剤をさらに含み、オスモル濃度を約220mOsm/Kg~約370mOsm/Kgに調整する。少なくとも一つの実施形態では、オスモル濃度は、約225mOsm/Kgである。少なくとも一つの実施形態では、オスモル濃度は、約290mOsm/Kgである。少なくとも一つの実施形態では、オスモル濃度は、約352mOsm/Kgである。少なくとも一つの実施形態では、オスモル濃度は、約370mOsm/Kgである。少なくとも一つの実施形態では、張性強化剤は、ソルビトールである。一部の実施形態では、ソルビトールは、100mM~287mMの範囲の濃度で存在する。少なくとも一つの実施形態では、ソルビトールの濃度は、約110mMである。少なくとも一つの実施形態では、ソルビトールの濃度は、約130mMである。
【0029】
少なくとも一つの実施形態では、カルベトシン医薬調製物のpHは、3.0~5.8、例えば、3.5~5.75、5.15~5.65、5.25~5.55、または5.35~5.45の範囲である。少なくとも一つの実施形態では、pHは、5.4±0.5である。別の実施形態では、pHは、5.4±0.3である。一つの実施形態では、pHは、約5.4±0.1である。
【0030】
本開示の安定的医薬調製物は、容器中で製剤化されてもよい。容器は、アンプル、バイアル、または充填済み鼻腔内送達デバイスから選択される。
【0031】
本開示はまた、カルベトシン水溶液、ならびに可溶化剤および/またはHPMCを容器中で含む安定的医薬調製物を目的としており、この場合においてカルベトシンの濃度は、約1mg/mL~約70mg/mLの範囲であり、容器中のヘッドスペースは、ゼロに近い(すなわち、限定されたヘッドスペース)。一つの実施形態では、容器中のヘッドスペースは、実質的にゼロである。
【0032】
少なくとも一つの実施形態では、安定的な鼻腔内医薬調製物は、以下を含む:
(a)カルベトシン水溶液であって、カルベトシンの濃度は、約10mg/mL~約70mg/mLの範囲であるカルベトシン水溶液、および
(b)可溶化剤および/またはHPMC、この場合において溶液は、眼に見える固形物を有さない。
【0033】
少なくとも一つの実施形態では、安定的な鼻腔内医薬調製物は、以下を含む:
(a)カルベトシン水溶液であって、カルベトシンは、約10mg/mL~約70mg/mLの濃度で存在するカルベトシン水溶液、
(b)アミノ酸、ヒドロトロープ、および/またはHPMC、ならびに
(c)任意で追加の賦形剤、この場合において調製物は、約3~約5.8の範囲のpHを有する。
【0034】
少なくとも一つの実施形態では、安定的な鼻腔内医薬調製物は、以下を含む:
(a)カルベトシン水溶液であって、カルベトシンは、約1mg/mL~約70mg/mLの濃度で存在するカルベトシン水溶液、
(b)ニコチンアミド、安息香酸ナトリウム、およびサリチル酸ナトリウムからなる群から選択されるヒドロトロープ、および
(c)任意で追加の賦形剤。別の実施形態では、調製物は、約3~約5.8の範囲のpHを有する。
【0035】
少なくとも一つの実施形態では、安定的な鼻腔内医薬調製物は、以下を含む:
(a)カルベトシン水溶液であって、カルベトシンは、約1mg/mL~約70mg/mLの濃度で存在するカルベトシン水溶液、
(b)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)であって、0.005%~0.05%w/vの範囲の量で存在するHPMC、および
(c)任意で追加の賦形剤、この場合において溶液は、約3~約5.8の範囲のpHを有する。
【0036】
少なくとも一つの実施形態では、安定的な鼻腔内医薬調製物は、以下を含む:
(a)カルベトシン水溶液であって、カルベトシンは、約1mg/mL~約70mg/mLの濃度で存在するカルベトシン水溶液、
(b)ニコチンアミド、
(c)HPMC、および
(d)ソルビトール、この場合において溶液は、約3~約5.8の範囲のpHを有する。
【0037】
少なくとも一つの実施形態では、安定的な鼻腔内医薬調製物は、以下を含む:
(a)カルベトシン水溶液であって、カルベトシンは、約1mg/mL~約70mg/mLの濃度で存在するカルベトシン水溶液、
(b)メチル-β-シクロデキストリン、
(c)HPMC、および
(d)ソルビトール、この場合において溶液は、約3~約5.8の範囲のpHを有する。
【0038】
少なくとも一つの実施形態では、安定的な鼻腔内医薬調製物は、以下を含む:
(a)カルベトシンであって、約25mg/mL~約35mg/mLの濃度で存在するカルベトシン、
(b)ニコチンアミドであって、約200mM~約400mMの範囲の濃度で存在するニコチンアミド、
(c)HPMCであって、0.0075%~0.05%w/vの範囲の量で存在するHPMC、および
(d)ソルビトールであって、約110mM~約250mMの範囲の濃度で存在するソルビトール。
【0039】
少なくとも一つの実施形態では、安定的な鼻腔内医薬調製物は、以下を含む:
(a)カルベトシンであって、約34.3mg/mLの濃度で存在するカルベトシン、
(b)ニコチンアミドであって、約50mM~約500mMの範囲の濃度で存在するニコチンアミド、
(c)HPMCであって、約0.01%w/vの量で存在するHPMC、および
(d)ソルビトール、および任意で、EDTA、ソルビン酸カリウム、およびそれらの組み合わせから選択される追加の賦形剤。
【0040】
少なくとも一つの実施形態では、安定的な鼻腔内医薬調製物は、以下を含む:
(a)カルベトシンであって、約11.4mg/mLの濃度で存在するカルベトシン、
(b)ニコチンアミドであって、約50mM~約500mMの範囲の濃度で存在するニコチンアミド、
(c)HPMCであって、約0.01%w/vの量で存在するHPMC、および
(d)ソルビトール、および任意で、EDTA、ソルビン酸カリウム、およびそれらの組み合わせから選択される追加の賦形剤。
【0041】
少なくとも一つの実施形態では、安定的な鼻腔内医薬調製物は、以下を含む:
(a)カルベトシンであって、約1mg/mL~約4mg/mLの濃度で存在するカルベトシン、
(b)ニコチンアミドであって、約50mM~約500mMの範囲の濃度で存在するニコチンアミド、
(c)HPMCであって、0.01%~0.05%w/vの範囲の量で存在するHPMC、および
(d)ソルビトールであって、約100mM~約287mMの範囲の濃度で存在するソルビトール。
【0042】
少なくとも一つの実施形態では、本開示の医薬調製物は、一定期間、毎日、鼻腔内投与される。少なくとも一つの実施形態では、医薬調製物は、連用のために最大で毎日3回、鼻腔内投与される。少なくとも一つの実施形態では、医薬調製物は、約50μL~約200μLの体積で一つの鼻孔に投与され、その後、約50μL~約200μLの体積で第二の鼻孔に投与され、両方の鼻孔に対しては約100μL~約400μLの総体積となる。少なくとも一つの実施形態では、医薬調製物は、連続する20日間、毎日3回、鼻腔内投与される。少なくとも一つの実施形態では、医薬調製物は、約20μL~約200μLの体積で一つの鼻孔に投与され、その後、約20μL~約200μLの体積で第二の鼻孔に投与され、両方の鼻孔に対しては約40μL~約400μLの総体積となる。少なくとも一つの実施形態では、医薬調製物は、約25μL~約35μLの体積で一つの鼻孔に投与され、その後、約25μL~約35μLの体積で第二の鼻孔に投与され、両方の鼻孔に対しては約50μL~約70μLの総体積となる。一つの実施形態では、医薬調製物は、140μLの体積で一つの鼻孔に投与され、その後、140μLの体積で第二の鼻孔に投与され、両方の鼻孔に対しては280μLの総体積となる。
【0043】
少なくとも一つの実施形態では、本開示の医薬調製物は、その必要のある対象における神経発達障害または関連症状の治療または予防における使用(またはそのための医薬品の製造における使用)のためのものであってもよい。少なくとも一つの実施形態では、本開示の医薬調製物の治療有効量は、プラダー・ウィリ症候群と診断された対象に投与される。一つの実施形態では、医薬調製物は、対象に鼻腔内投与される。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンの1日総投与量は、約1mg/日~約30mg/日である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンの1日総投与量は、約8.0mg/日~約30.0mg/日である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンの1日総投与量は、約9.0mg/日~約29.0mg/日である。一つの実施形態では、カルベトシンの1日総投与量は、約8.0mg/日、約9.0mg/日、10.0mg/日、約11.0mg/日、約12.0mg/日、約13.0mg/日、約14.0mg/日、15.0mg/日、16.0mg/日、17.0mg/日、18.0mg/日、19.0mg/日、20.0mg/日、21.0mg/日、22.0mg/日、23.0mg/日、24.0mg/日、25.0mg/日、26.0mg/日、27.0mg/日、28.0mg/日、29.0mg/日、および約30.0mg/日から選択される。別の実施形態では、カルベトシンの1日総投与量は、約9.1mg/日、約9.2mg/日、約9.3mg/日、約9.4mg/日、約9.5mg/日、約9.6mg/日、約9.7mg/日、約9.8mg/日、および約9.9mg/日から選択される。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンの1日総投与量は、約9.6mg/日である。一つの実施形態では、カルベトシンの1日総投与量は、約11.1mg/日、約11.2mg/日、約11.3mg/日、約11.4mg/日、約11.5mg/日、約11.6mg/日、約11.7mg/日、約11.8mg/日、および約11.9mg/日から選択される。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンの1日総投与量は、約11.4mg/日である。一つの実施形態では、カルベトシンの1日総投与量は、約28.1mg/日、約28.2mg/日、約28.3mg/日、約28.4mg/日、約28.5mg/日、約28.6mg/日、約28.7mg/日、約28.8mg/日、および約28.9mg/日から選択される。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンの1日総投与量は、約28.8mg/日である。少なくとも一つの実施形態では、1日総投与量は、3回の等量の投与量に分割される。別の実施形態では、開示される医薬調製物は、安定性および生体利用効率の改善を示す。少なくとも一部の実施形態では、医薬調製物は、約10mg/mL~約70mg/mLのカルベトシンの水溶液であり、この水溶液は、カルベトシンの生理食塩水溶液の生体利用効率を75-125%(曲線下面積および最大濃度によって測定される)に保持するような濃度のヒドロトロープおよび粘弾性ポリマーを含む。
【0044】
別の態様では、本開示は、プラダー・ウィリ症候群と診断された対象にカルベトシンを投与する方法を提供し、この場合において、3.2mg/投与量のカルベトシンが1日当たり2回または3回の投与で、患者に鼻腔内投与される。この態様によると、本開示は、プラダー・ウィリ症候群と診断された対象にカルベトシンを投与する方法を提供し、この場合において、3.2mg/投与量のカルベトシンが1日当たり3回の投与で、患者に鼻腔内投与される。本開示はまた、プラダー・ウィリ症候群と診断された対象にカルベトシンを投与する方法を提供し、この場合において各投与量は、食事から30分以内に、または食事の直前に投与される。別の態様では、本開示は、プラダー・ウィリ症候群と診断された対象にカルベトシンを投与する方法を提供し、この場合においてカルベトシンは、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、またはそれ以上、投与される。
【0045】
本開示はまた、プラダー・ウィリ症候群と診断された対象にカルベトシンを投与する方法を提供し、この場合において、当該投与により、(a)任意で臨床試験用の過食症質問票(HQ-CT:Hyperphagia Questionnaire for Clinical Trials)統合スコアにより測定される、プラセボと比較した過食行動の減少、(b)任意で小児のエール-ブラウン強迫衝動性スケール(CY-BOCS:Children’Yale-Brown Obsessive-Compulsive Scale)統合スコアにより測定される、プラセボと比較した強迫性および衝動性の行動における減少、(c)任意でPWS不安および苦悩に関する質問票(PADQ:PWS Anxiety and Distress Questionnaire)統合スコアにより測定される、プラセボと比較した不安感の減少、および(d)任意で臨床全般的印象度の変化(CGI-C:Clinical Global Impression of Change)スコアにより測定される、プラセボと比較した全般的な臨床上の印象における改善、のうちの一つ以上をもたらす。この態様によると、本開示は、プラダー・ウィリ症候群と診断された対象にカルベトシンを投与する方法を提供し、この場合において、投与によって、過食行動の減少がもたらされる。この態様によると、本開示は、プラダー・ウィリ症候群と診断された対象にカルベトシンを投与する方法を提供し、この場合において、投与によって、過食行動の減少、ならびに強迫性および衝動性の行動の減少がもたらされる。
【0046】
別の態様では、本開示は、プラダー・ウィリ症候群と診断された対象にカルベトシンを投与する方法を提供し、この場合において当該対象の年齢は、7歳以上~18歳以下である。この態様によると、本開示は、プラダー・ウィリ症候群と診断された対象にカルベトシンを投与する方法を提供し、この場合において当該対象は、7歳、8歳、9歳、10歳、11歳、12歳、13歳、14歳、15歳、16歳、17歳、または18歳である。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
安定的な鼻腔内医薬調製物であって、
(a)カルベトシン水溶液であって、カルベトシンの濃度は、約10mg/mL~約70mg/mLの範囲であるカルベトシン水溶液、および
(b)可溶化剤および/またはHPMC、を含み、
前記溶液が、眼に見える固形物がほとんどないか、または全くない、安定的な鼻腔内医薬調製物。
(項目2)
安定的な鼻腔内医薬調製物であって、
(a)カルベトシン水溶液であって、前記カルベトシンは、約10mg/mL~約70mg/mLの濃度で存在するカルベトシン水溶液、
(b)アミノ酸、ヒドロトロープ、および/またはHPMC、ならびに
(c)任意で追加の賦形剤、を含む、安定的な鼻腔内医薬調製物。
(項目3)
安定的な鼻腔内医薬調製物であって、
(a)カルベトシン水溶液であって、前記カルベトシンは、約1mg/mL~約70mg/mLの濃度で存在するカルベトシン水溶液、
(b)ニコチンアミド、安息香酸ナトリウム、およびサリチル酸ナトリウムからなる群から選択されるヒドロトロープ、および
(c)任意で追加の賦形剤、を含む、安定的な鼻腔内医薬調製物。
(項目4)
安定的な鼻腔内医薬調製物であって、
(a)カルベトシン水溶液であって、前記カルベトシンは、約1mg/mL~約70mg/mLの濃度で存在するカルベトシン水溶液、
(b)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)であって、0.005%~0.05%w/vの範囲の量で存在するHPMC、および
(c)任意で追加の賦形剤、を含む、安定的な鼻腔内医薬調製物。
(項目5)
安定的な鼻腔内医薬調製物であって、
(a)カルベトシン水溶液であって、前記カルベトシンは、約1mg/mL~約70mg/mLの濃度で存在するカルベトシン水溶液、
(b)ニコチンアミド、
(c)HPMC、および
(d)ソルビトール、を含む、安定的な鼻腔内医薬調製物。
(項目6)
HPMCが、前記調製物中に存在する、項目2に記載の医薬調製物。
(項目7)
前記ヒドロトロープが、芳香族アニオン性化合物である、項目2に記載の医薬調製物。
(項目8)
前記芳香族アニオン性化合物が、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、またはニコチンアミドである、項目7に記載の医薬調製物。
(項目9)
前記ヒドロトロープが、ニコチンアミドである、項目8に記載の医薬調製物。
(項目10)
前記カルベトシンの濃度が、約10mg/mL~約40mg/mLの範囲である、項目1~9のいずれか一項に記載の医薬調製物。
(項目11)
前記カルベトシンの濃度が、約11mg/mL~約15mg/mLの範囲である、項目1~9のいずれか一項に記載の医薬調製物。
(項目12)
前記カルベトシンの濃度が、約34.3mg/mLである、項目1~9のいずれか一項に記載の医薬調製物。
(項目13)
前記カルベトシンの濃度が、約11.4mg/mLである、項目1~9のいずれか一項に記載の医薬調製物。
(項目14)
前記HPMCが、0.006%~0.03%w/vの範囲の量で存在する、項目6に記載の医薬調製物。
(項目15)
前記HPMCが、0.0075%~0.0125%w/vの範囲の量で存在する、項目6に記載の医薬調製物。
(項目16)
前記HPMCが、0.0075%~0.01%w/vの範囲の量で存在する、項目6に記載の医薬調製物。
(項目17)
前記HPMCが、高粘度グレードである、項目4~6および14~16のいずれか一項に記載の医薬調製物。
(項目18)
前記HPMCの粘度が、4000cPである、項目17に記載の医薬調製物。
(項目19)
前記ニコチンアミドが、50mM~500mMの範囲の濃度で存在する、項目9に記載の医薬調製物。
(項目20)
前記ニコチンアミドの濃度が、約200mMである、項目19に記載の医薬調製物。
(項目21)
前記ニコチンアミドの濃度が、約300mMである、項目19に記載の医薬調製物。
(項目22)
前記ニコチンアミドの濃度が、約400mMである、項目19に記載の医薬調製物。
(項目23)
前記ヒドロトロープが、サリチル酸ナトリウムである、項目8に記載の医薬調製物。
(項目24)
前記サリチル酸ナトリウムが、約200mM~約400mMの範囲の濃度で存在する、項目23に記載の医薬調製物。
(項目25)
前記調製物が、張性強化剤をさらに含み、オスモル濃度を調整する、項目2~4のいずれか一項に記載の医薬調製物。
(項目26)
前記調製物が、ソルビトールをさらに含む、項目2~4のいずれか一項に記載の医薬調製物。
(項目27)
前記ソルビトールが、約100mM~約287mMの範囲の濃度で存在する、項目26に記載の医薬調製物。
(項目28)
前記ソルビトールの濃度が、約130mMである、項目5または27に記載の医薬調製物。
(項目29)
前記溶液は、5℃および25℃の両方で、少なくとも3日間にわたる振とう後、眼に見える固形物がない、項目1に記載の医薬調製物。
(項目30)
前記溶液は、5℃および25℃の両方で、1、2または3日間にわたる振とう後、眼に見える固形物がない、項目1に記載の医薬調製物。
(項目31)
前記医薬調製物は、連続する20日間にわたり1日3回、鼻腔内投与される、項目1~30のいずれか一項に記載の医薬調製物。
(項目32)
前記医薬調製物は、140μLの体積で一つの鼻孔に投与され、その後、140μLの体積で第二の鼻孔に投与され、両方の鼻孔に対しては280μLの総体積となる、項目31に記載の医薬調製物。
(項目33)
前記調製物が、
(a)カルベトシンであって、約25mg/mL~約35mg/mLの濃度で存在するカルベトシン、
(b)ニコチンアミドであって、約200mM~約400mMの範囲の濃度で存在するニコチンアミド、
(c)HPMCであって、0.0075%~0.05%w/vの範囲の量で存在するHPMC、および
(d)ソルビトールであって、約110mM~約250mMの範囲の濃度で存在するソルビトール、を含む、項目5に記載の医薬調製物。
(項目34)
前記調製物が、
(a)カルベトシンであって、約34.3mg/mLの濃度で存在するカルベトシン、
(b)ニコチンアミドであって、約200mM~約400mMの範囲の濃度で存在するニコチンアミド、
(c)HPMCであって、約0.01%w/vの量で存在するHPMC、および
(d)ソルビトール、および任意で、EDTA、ソルビン酸カリウム、およびそれらの組み合わせから選択される追加の賦形剤、を含む、項目5に記載の医薬調製物。
(項目35)
前記調製物が、
(a)カルベトシンであって、約11.4mg/mLの濃度で存在するカルベトシン、
(b)ニコチンアミドであって、約200mM~約400mMの範囲の濃度で存在するニコチンアミド、
(c)HPMCであって、約0.01%w/vの量で存在するHPMC、および
(d)ソルビトール、および任意で、EDTA、ソルビン酸カリウム、およびそれらの組み合わせから選択される追加の賦形剤、を含む、項目5に記載の医薬調製物。
(項目36)
前記調製物が、
(a)カルベトシンであって、約1mg/mL~約4mg/mLの濃度で存在するカルベトシン、
(b)ニコチンアミドであって、約200mM~約400mMの範囲の濃度で存在するニコチンアミド、
(c)HPMCであって、0.01%~0.05%w/vの範囲の量で存在するHPMC、および
(d)ソルビトールであって、約100mM~約287mMの範囲の濃度で存在するソルビトール、を含む、項目5に記載の医薬調製物。
(項目37)
前記調製物が、約5.4のpHを有する、項目1~36のいずれか一項に記載の医薬調製物。
(項目38)
前記調製物が、ニコチンアミド、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、HPMC、アルギニン、およびそれらの組み合わせから選択される可溶化剤および/または表面活性剤を含む、項目1に記載の医薬調製物。
(項目39)
前記調製物が、ソルビトール、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビン酸カリウム、酢酸塩、およびそれらの組み合わせから選択される賦形剤を含む、項目2に記載の医薬調製物。
(項目40)
その必要のある対象において神経発達障害もしくは関連症状を予防する方法または治療する方法であって、項目1~39のいずれか一項に記載の調製物の治療有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
(項目41)
前記神経発達障害が、プラダー・ウィリ症候群である、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記医薬調製物が、前記対象に鼻腔内投与される、項目40または41に記載の方法。
(項目43)
カルベトシンの1日総投与量が、28.8mg/日である、項目40~42のいずれか一項に記載の方法。
(項目44)
カルベトシンの1日総投与量が、9.6mg/日である、項目40~42のいずれか一項に記載の方法。
(項目45)
前記1日総投与量が、3回の等量の投与量に分割される、項目43および44に記載の方法。
(項目46)
プラダー・ウィリ症候群を有する対象を治療する方法であって、3.2mg/投与量のカルベトシンを1日当たり2回または3回、前記対象に鼻腔内投与することを含む、方法。
(項目47)
3.2mg/投与量のカルベトシンが1日当たり3回投与される、項目46に記載の方法。
(項目48)
各投与量が、食事から30分以内、または食事の直前に投与される、項目46または47に記載の方法。
(項目49)
前記カルベトシンは、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、またはそれ以上、投与される、項目46~48のいずれか一項に記載の方法。
(項目50)
前記投与は、(a)任意で臨床試験用の過食症質問票(HQ-CT:Hyperphagia Questionnaire for Clinical Trials)統合スコアにより測定される、プラセボと比較した過食行動の減少、(b)任意で小児のエール-ブラウン強迫衝動性スケール(CY-BOCS:Children’s Yale-Brown Obsessive-Compulsive Scale)統合スコアにより測定される、プラセボと比較した強迫性および衝動性の行動における減少、(c)任意でPWS不安および苦悩に関する質問票(PADQ:PWS Anxiety and Distress Questionnaire)統合スコアにより測定される、プラセボと比較した不安感の減少、および(d)任意で臨床全般的印象度の変化(CGI-C:Clinical Global Impression of Change)スコアにより測定される、プラセボと比較した全般的な臨床上の印象における改善、のうちの一つ以上をもたらす、項目46~49のいずれか一項に記載の方法。
(項目51)
前記投与が、過食行動の減少をもたらす、項目46~49のいずれか一項に記載の方法。
(項目52)
前記投与が、過食行動の減少、ならびに強迫性および衝動性の行動における減少をもたらす、項目46~49のいずれか一項に記載の方法。
(項目53)
前記対象の年齢が、7歳以上~18歳以下である、項目46~52のいずれか一項に記載の方法。
(項目54)
前記対象は、7歳、8歳、9歳、10歳、11歳、12歳、13歳、14歳、15歳、16歳、17歳、または18歳である、項目46~52のいずれか一項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0047】
前述の要約、ならびに以下の本開示の詳細な説明は、添付の図面と併せて読み取られたときにより深く理解されるであろう。本開示を解説する目的で添付の図面は、代替的な実施形態の一部を示すが、すべてではない。しかし本開示は、示される正確な配置および手段に限定されないことを理解されたい。これらの図面は本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するが、本開示の主旨の説明を補助するものである。
【0048】
図1図1は、6日間の連続攪拌後の400mMおよび200mMのサリチル酸ナトリウムサンプル(それぞれ左バイアルおよび右バイアル)を比較する画像例を示す。200mMサンプルは、400mMサンプルよりも多く、大きな粒子を含有する。さらに200mMのサンプルは、わずかに乳白色の外観を呈する。
【0049】
図2図2は、6日間の連続攪拌後に試験された様々なサンプルの画像例を示す。左から右に:6日間の連続攪拌後の、400mMのサリチル酸ナトリウム、200mMのサリチル酸ナトリウム、82mMのカフェイン、および160mMの安息香酸ナトリウム。
【0050】
図3-1】図3は、様々なサンプルのA350の測定値を示す。図3.(a)は、80%のヘッドスペースを有するサンプルのA350測定値を示す。
図3-2】図3.(a)は、わずかなヘッドスペースを有するサンプルのA350測定値を示す。
【0051】
図4図4は、左側の2HPMC含有サンプルの「軟質」沈殿物と、右側の2HPMCサンプルの「硬質」または顕著な沈殿物の比較の画像例を示す。
【0052】
図5図5は、350mMおよび400mMのニコチンアミドサンプル(19時間の攪拌)に見られるような、“微細”な沈殿物の画像例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本開示は、カルベトシン水溶液、ならびに可溶化剤および/またはHPMCを含む、安定的な鼻腔内医薬調製物に関する。開示される医薬調製物は、界面活性剤を含んでもよいが、必須ではない。本開示の医薬調製物は、比較的高濃度のカルベトシンであるにもかかわらず、安定性の改善を示す。例えばある実施形態では、医薬調製物は、長期間、室温にあった後に、眼に見える固形物がほとんどないか、または無い。他の実施形態では、本開示の医薬調製物は、振とうストレス後に眼に見える固形物がほとんどないか、または無い。本明細書に開示される医薬調製物は、ヘッドスペースが減少した容器中で製剤化されてもよく、当該様式は、例えば気体-水界面を最小限とするように、ゼロに近いか、または実質的にゼロのヘッドスペースを含んでもよい。しかしながらある実施形態では、安定性の改善を維持するためにヘッドスペースを減少させる必要はない。開示される医薬調製物は、比較的高濃度のカルベトシンであるにもかかわらず、安定性の改善を示す(例えば、10mg/mL以上)。ある実施形態は、例えば、機械的ストレス(例えば、振とうおよび攪拌、ポンピング、凍結融解プロセス)などのストレス条件下で安定的である。本開示の医薬調製物はまた、使用時間および/または保管寿命を患者にとって有利に延長した。例えば、本開示の医薬調製物は、1日~7日の範囲の使用時間を示し、カルベトシンの含量均一性が使用中期間を通して一貫して高いままである実施形態を含む。一部の実施形態では、本開示の医薬調製物はまた、室温で14日後、良好な局所忍容性を有する。少なくとも一部の実施形態では、本開示の医薬調製物は、室温で3~7日後で、良好な局所忍容性を有する。
【0054】
少なくとも一つの実施形態では、本開示は、カルベトシン水溶液ならびに可溶化剤および/または例えばHPMCなどの粘弾性ポリマーを含む安定的な医薬調製物を目的としており、この場合においてカルベトシン濃度は、約1mg/mL~約70mg/mLの範囲である。少なくとも一部の実施形態では、調製物にHPMCを添加することで、HPMCを含有しないカルベトシン水溶液と比較して、カルベトシンの水溶液の凝集を減少させる。一部の実施形態では、カルベトシン調製物中のHPMCは、HPMCを含有しないカルベトシン水溶液と比較して、少なくとも20%~最大で50%までカルベトシン溶液の凝集を減少させる。他の実施形態では、カルベトシン調製物中のHPMCは、HPMCを含有しないカルベトシン水溶液と比較して、少なくとも20%までカルベトシン溶液の凝集を減少させる。一部の実施形態では、カルベトシン調製物中のHPMCは、HPMCを含有しないカルベトシン水溶液と比較して、少なくとも30%までカルベトシン溶液の凝集を減少させる。一部の実施形態では、カルベトシン調製物中のHPMCは、HPMCを含有しないカルベトシン水溶液と比較して、少なくとも40%までカルベトシン溶液の凝集を減少させる。一部の実施形態では、カルベトシン調製物中のHPMCは、HPMCを含有しないカルベトシン水溶液と比較して、少なくとも50%までカルベトシン溶液の凝集を減少させる。
【0055】
例えば、カルベトシンの濃度は、1mg/mL~70mg/mL、例えば5~65mg/mL、10mg/mL~50mg/mL、15mg/mL~35mg/mL、または30mg/mL~34mg/mLの範囲である。少なくとも一つの実施形態では、溶液中のカルベトシンの濃度は、約40mg/mLである。別の実施形態では、カルベトシンの濃度は、約10mg/mL~約45mg/mLの範囲である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンの濃度は、約20mg/mL~約40mg/mLの範囲である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンの濃度は、例えば、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、約30mg/mL、約33mg/mL、約34mg/mL、約35mg/mL、36mg/mL、約37mg/mL、約38mg/mL、約39mg/mL、または約40mg/mLであってもよい。別の実施形態では、カルベトシンの濃度は、例えば、34.1mg/mL、34.2mg/mL、34.3mg/mL、34.4mg/mL、34.5mg/mL、34.6mg/mL、34.7mg/mL、34.8mg/mL、34.9mg/mL、または40mg/mLであってもよい。一つの実施形態では、カルベトシンの濃度は、約34.3mg/mLである。
【0056】
本開示の医薬調製物に関し、少なくとも一つの可溶化剤および/またはHPMCが、医薬調製物に含まれる。
【0057】
少なくとも一つの実施形態では、ヒドロトロープは、芳香族アニオン性化合物、芳香族カチオン性化合物、または脂肪族および直鎖状の化合物である。ヒドロトロープの例としては、限定されないが、ニコチンアミド、安息香酸ナトリウム、サリチル酸塩(例えば、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸リチウム、サリチル酸アンモニウム、サリチル酸カルシウム、サリチル酸マグネシウムなど)、N,N-ジエチルニコチンアミド、またはN,N-ジメチルベンズアミドが挙げられる。ある実施形態では、ヒドロトロープは、ニコチンアミド、安息香酸ナトリウム、またはサリチル酸ナトリウムである。ヒドロトロープはまた、例えば、カフェインおよびプロカイン塩酸塩などの芳香族カチオン性化合物であってもよい。他の実施形態では、ヒドロトロープは、N,N-ジメチル尿素、尿素、またはアルカン酸ナトリウムから選択される脂肪族および直鎖状の化合物であってもよい。
【0058】
医薬調製物中に存在する場合、ニコチンアミドは、50mM~500mMの範囲の濃度で存在する。少なくとも一つの実施形態では、ニコチンアミドの濃度は、約50mM~約350mM、例えば100mM~220mM、240mM~260mM、280mM~300mM、または320mM~340mMの範囲である。少なくとも一つの実施形態では、ニコチンアミドの濃度は、例えば、約200mM、約210mM、約220mM、約230mM、約240mM、約250mM、約260mM、約270mM、約280mM、約290mM、約300mM、約310mM、約320mM、約330mM、約340mM、約350mM、約360mM、約370mM、約380mM、約290mM、または約400mMである。少なくとも一つの実施形態では、ニコチンアミドの濃度は、約400mMである。少なくとも一つの実施形態では、ニコチンアミドの濃度は、約350mMである。少なくとも一つの実施形態では、ニコチンアミドの濃度は、約300mMである。少なくとも一つの実施形態では、ニコチンアミドの濃度は、約250mMである。別の実施形態では、ニコチンアミドの濃度は、約200mMである。
【0059】
医薬調製物中に存在する場合、サリチル酸ナトリウム塩(例えば、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸リチウム、サリチル酸アンモニウム、サリチル酸カルシウム、サリチル酸マグネシウムなど)は、50mM~500mMの範囲の濃度で存在する。少なくとも一部の実施形態では、サリチル酸塩は、200mM~400mMの範囲の濃度で存在するサリチル酸ナトリウムである。少なくとも一つの実施形態では、サリチル酸ナトリウムの濃度は、約200mM~約300mM、例えば200mM~220mM、240mM~260mM、または280mM~300mMの範囲である。少なくとも一つの実施形態では、サリチル酸ナトリウムの濃度は、約400mMである。少なくとも一つの実施形態では、サリチル酸ナトリウムの濃度は、約300mMである。別の実施形態では、サリチル酸ナトリウムの濃度は、約200mMである。
【0060】
医薬調製物中に存在する場合、安息香酸ナトリウムは、100mM~400mMの範囲の濃度で存在する。少なくとも一つの実施形態では、安息香酸ナトリウムの濃度は、約160mM~約400mM、例えば160mM~200mM、250mM~300mM、または350mM~400mMの範囲である。少なくとも一つの実施形態では、安息香酸ナトリウムの濃度は、約160mMである。少なくとも一つの実施形態では、安息香酸ナトリウムの濃度は、約400mMである。
【0061】
医薬調製物中に存在する場合、メチル-β-シクロデキストリンは、15mM~50mMの範囲の濃度で存在する。少なくとも一つの実施形態では、メチル-β-シクロデキストリンの濃度は、約17.5mM~約40mM、例えば17.5mM~25mM、30mM~35mM、または35mM~40mMの範囲である。少なくとも一つの実施形態では、メチル-β-シクロデキストリンの濃度は、約17.5mMである。少なくとも一つの実施形態では、メチル-β-シクロデキストリンの濃度は、約2.5mMである。少なくとも一つの実施形態では、メチル-β-シクロデキストリンの濃度は、約35mMである。
【0062】
医薬調製物中に存在する場合、HPMCは、0.005%~0.05%w/vの範囲の量で存在する。少なくとも一つの実施形態では、HPMCは、0.0075%~0.0125%w/vの範囲の量で存在する。別の実施形態では、HPMCは、0.0075%~0.01%w/vの範囲の量で存在する。少なくとも一つの実施形態では、HPMCは、0.01%w/vの量で存在する。少なくとも一つの実施形態では、HPMCのグレードは、低粘度(例えば、10-20cP)、中粘度(例えば、40-60cP)、および高粘度(例えば、80-120cP、4000cP)から選択される。少なくとも一つの実施形態では、HPMCは、高粘度グレードである。少なくとも一つの実施形態では、高粘度HPMCは、4000cPの粘度を有する。
【0063】
本開示の医薬調製物は、可溶化剤およびHPMCを含んでもよい。したがってある実施形態では、ニコチンアミド、安息香酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、アルギニン、メチル-β-シクロデキストリン、およびそれらの組み合わせは、HPMCとともに医薬調製物中に存在する。そうした調製物は、任意で追加の賦形剤を含有してもよい。追加の賦形剤の非限定的な例としては、ソルビトール、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビン酸カリウム、マンニトール、および酢酸ナトリウムまたは酢酸カリウムが挙げられる。これらの追加の賦形剤は、可溶化剤またはHPMCのみが単独で存在する場合であっても含まれ得る。具体的には、少なくとも一つの実施形態では、医薬調製物は、少なくとも一つの追加の賦形剤とともに、少なくとも一つの可溶化剤またはHPMCを含有する。
【0064】
一部の実施形態では、カルベトシン製剤中にHPMCまたはニコチンアミドのいずれかが単独で存在しても、長時間の攪拌の際のカルベトシンの沈殿を軽減するのに充分であり得る。これが可能な理由は、HPMCとニコチンアミドは独立した作用機序を有するためである。HPMCがバイアルのガラス表面に結び付くこと、この結びつきによって、この界面とカルベトシンの相互作用が最小化され得ることが見出された。対照的に、ニコチンアミドは驚くべきことに、攪拌中に形成された凝集物を可溶化できることが見出され、これによって、カルベトシンが凝集し、その後に小さい沈殿物や大きな沈殿物を形成させる傾向が減少される。さらに、カルベトシン調製物にニコチンアミドおよびHPMCの両方を添加すると、カルベトシンの凝集およびその後の溶液中での沈殿を妨げ、減らし、または予防する相乗効果が生じることが見出された。ニコチンアミドおよびHPMCを含む、得られたカルベトシン調製物は、長期間のストレス加速条件下で驚くほど安定的である。
【0065】
少なくとも一部の実施形態では、本開示は、カルベトシン水溶液、ならびにと可溶化剤および/または例えばHPMCなどの表面活性剤を含む安定的な鼻腔内医薬調製物を目的としており、得られる調製物は、長期間にわたり、および1回以上の凍結/融解サイクルの後でもカルベトシンの驚くべき高い含量均一性を呈する。例えば、開示される調製物は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、および7日から選択される期間にわたり、1回以上の凍結/融解サイクル後でもカルベトシンの含量均一性を示す。少なくとも一部の実施形態では、医薬調製物は、溶解後、最大7日間にわたり、視覚的評価では、凝集物をほとんどまたは全く有さない。一部の実施形態では、開示される調製物中のカルベトシンは、調製物全体で均一に分配され、例えば一つ以上の調製物に調製物が分割された場合、得られる調製物の各々は、確かに等しい用量のカルベトシンを有する。一つの実施形態では、開示されるカルベトシン調製物は、様々な調製物バッチ間で維持される一貫したカルベトシンの用量を有し、その結果、患者は様々な投与にわたって一貫して正しい用量を投与される。少なくとも一つの実施形態では、開示されるカルベトシン調製物は、利便性と患者のコンプライアンスの向上を提供する。
【0066】
張性強化剤/調節剤は、必須ではないが、等張性の製剤(例えば、300mOsm/Kg)を提供し得る。少なくとも一つの実施形態では、医薬組成物のオスモル濃度は、活性成分の安定性を最大化し、および/または投与時の患者への不快感を最小化するよう調整されることが好ましい。少なくとも一つの実施形態では、患者への直接投与のための医薬組成物は等張性であり、等張性は、例えばソルビトールなどの張性調節剤を添加することにより実現され得る。張性調節剤の他の非限定的な例としては、アミノ酸(例えば、システイン、アルギニン、ヒスチジン、グリシンなど)、塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウムなど)または非電解質(例えば、糖類またはポリオール類、例えば、スクロース、グルコースおよびマンニトールなど)が挙げられる。
【0067】
本開示の医薬調製物中に存在する場合、張性強化剤/調節剤は、例えば、約225mOsm/Kg、約226mOsm/Kg、約227mOsm/Kg、約228mOsm/Kg、約229mOsm/Kg、約230mOsm/Kg、約231mOsm/Kg、約232mOsm/Kg、約233mOsm/Kg、約234mOsm/Kg、約235mOsm/Kg、約236mOsm/Kg、約237mOsm/Kg、約238mOsm/Kg、約239mOsm/Kg、約240mOsm/Kg、約241mOsm/Kg、約242mOsm/Kg、約243mOsm/Kg、約244mOsm/Kg、約245mOsm/Kg、約246mOsm/Kg、約247mOsm/Kg、約248mOsm/Kg、約249mOsm/Kg、約250mOsm/Kg、約251mOsm/Kg、約252mOsm/Kg、約253mOsm/Kg、約254mOsm/Kg、約255mOsm/Kg、約256mOsm/Kg、約257mOsm/Kg、約258mOsm/Kg、約259mOsm/Kg、約260mOsm/Kg、約261mOsm/Kg、約262mOsm/Kg、約263mOsm/Kg、約264mOsm/Kg、約265mOsm/Kg、約266mOsm/Kg、約267mOsm/Kg、約268mOsm/Kg、約269mOsm/Kg、約270mOsm/Kg、約271mOsm/Kg、約272mOsm/Kg、約273mOsm/Kg、約274mOsm/Kg、約275mOsm/Kg、約276mOsm/Kg、約277mOsm/Kg、約278mOsm/Kg、約279mOsm/Kg、約280mOsm/Kg、約281mOsm/Kg、約282mOsm/Kg、約283mOsm/Kg、約284mOsm/Kg、約285mOsm/Kg、約286mOsm/Kg、約287mOsm/Kg、約288mOsm/Kg、約289mOsm/Kg、約290mOsm/Kg、約291mOsm/Kg、約292mOsm/Kg、約293mOsm/Kg、約294mOsm/Kg、約295mOsm/Kg、約296mOsm/Kg、約297mOsm/Kg、約298mOsm/Kg、約299mOsm/Kg、約300mOsm/Kg、約310mOsm/Kg、約320mOsm/Kg、約330mOsm/Kg、約340mOsm/Kg、約350mOsm/Kg、約360mOsm/Kg、約370mOsm/Kg、約380mOsm/Kg、約390mOsm/Kg、約400mOsm/Kg、約410mOsm/Kg、約420mOsm/Kg、約430mOsm/Kg、約440mOsm/Kg、約450mOsm/Kg、約460mOsm/Kg、約470mOsm/Kg、約480mOsm/Kg、約490mOsm/Kg、約500mOsm/Kg、約510mOsm/Kg、約520mOsm/Kg、約530mOsm/Kg、約540mOsm/Kg、約550mOsm/Kg、約560mOsm/Kg、約570mOsm/Kg、約580mOsm/Kg、約600mOsm/Kg、約610mOsm/Kg、約620mOsm/Kg、約630mOsm/Kg、約640mOsm/Kg、約650mOsm/Kg、約660mOsm/Kg、約670mOsm/Kg、約680mOsm/Kg、約700mOsm/Kg、約710mOsm/Kg、約720mOsm/Kg、約730mOsm/Kg、約740mOsm/Kg、約750mOsm/Kg、約760mOsm/Kg、約770mOsm/Kg、約780mOsm/Kg、または約800mOsm/Kgにオスモル濃度を調整するよう添加される。一部の実施形態では、オスモル濃度は、800mOsm/Kgを超えてもよい。
【0068】
一部の実施形態では、ソルビトールは、100mM~300mMの範囲の濃度で存在する。一部の実施形態では、ソルビトールは、110mM~287mMの範囲の濃度で存在する。一部の実施形態では、ソルビトールは、約105mM、約110mM、約115mM、約120mM、約125mM、約130mM、約135mM、約140mM、約145mM、約150mM、約155mM、約160mM、約165mM、約170mM、約175mM、約180mM、約185mM、約190mM、約195mM、約200mM、205mM、約210mM、約215mM、約220mM、約225mM、約230mM、235mM、約240mM、約245mM、約250mM、約255mM、約260mM、265mM、約270mM、約275mM、約280mM、約285mM、約290mM、または約300mMにオスモル濃度を調整するように添加される。少なくとも一つの実施形態では、ソルビトールの濃度は約110mM、約120mM、約150mM、約200mM、約250mM、または約287mMから選択される。少なくとも一つの実施形態では、ソルビトールの濃度は、約110mMである。少なくとも一つの実施形態では、ソルビトールの濃度は、約130mMである。
【0069】
本開示はさらに、カルベトシンの安定的な凍結乾燥調製剤の実現も目的とする。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシン凍結乾燥物は、水中で可溶化剤および/またはHPMCと混合されて、医薬調製医薬品が取得される。任意の特定の学説に拘束されないが、可溶化剤および/またはHPMCは、従来的な希釈剤(例えば、増量剤および糖安定剤など)を用いた典型的なゆっくりとした再構成と比較して、凍結乾燥されたカルベトシンの溶解を早める。少なくとも一つの実施形態では、本開示の可溶化剤および/またはHPMCを含む等張性溶液は、カルベトシン凍結乾燥物を効率的に可溶化させる。一つの実施形態では、例えば、アルギニンおよび/またはニコチンアミド(ヒドロトロープ)の等張性溶液は、カルベトシン凍結乾燥物を効率的に可溶化させる。少なくとも一つの実施形態では、本開示の可溶化剤および/またはHPMCは、凍結乾燥カルベトシンの溶解速度を増加させる。少なくとも一つの実施形態では、可溶化剤は、凍結乾燥カルベトシンの溶解速度を改善するニコチンアミドである。例えば、ニコチンアミドおよび/またはHPMCなどの可溶化剤の使用により、凍結乾燥カルベトシン(40mg/mL)の溶解時間がわずか数分間で、凍結乾燥型医薬品に対して一般的に許容可能とみなされる時間にまで短縮された。
【0070】
少なくとも一つの実施形態では、可溶化剤は、アルギニン塩(例えば、HCl塩)である。一部の実施形態では、アルギニン塩は、50mM~300mMの範囲の濃度で医薬調製物中に存在する。少なくとも一つの実施形態では、アルギニン濃度は、約100mM~約300mM、例えば100mM~150mM、200mM~250mM、または250mM~300mMの範囲である。少なくとも一つの実施形態では、アルギニン塩の濃度は、約100mMである。少なくとも一つの実施形態では、アルギニン塩の濃度は、約200mMである。
【0071】
少なくとも一つの実施形態では、可溶化剤は、ニコチンイミドである。一部の実施形態では、ニコチンイミドは、50mM~500mMの範囲の濃度で医薬調製物中に存在する。少なくとも一つの実施形態では、ニコチンアミド濃度は、約50mM~約350mM、例えば200mM~220mM、240mM~280mM、または300mM~350mMの範囲である。少なくとも一つの実施形態では、ニコチンイミドの濃度は、約200mMである。少なくとも一つの実施形態では、ニコチンアミドの濃度は、約300mMである。少なくとも一つの実施形態では、ニコチンイミドの濃度は、約400mMである。
【0072】
少なくとも一つの実施形態では、可溶化剤は、メチル-β-シクロデキストリンである。一部の実施形態では、メチル-β-シクロデキストリンは、10mM~40mMの範囲の濃度で医薬調製物中に存在する。少なくとも一つの実施形態では、メチル-β-シクロデキストリンの濃度は、約15mM~約35mM、例えば17.5mM~19.5mM、24mM~28mM、または30mM~35mMの範囲である。少なくとも一つの実施形態では、メチル-β-シクロデキストリンの濃度は、約35mMである。少なくとも一つの実施形態では、メチル-β-シクロデキストリンの濃度は、約25mMである。少なくとも一つの実施形態では、メチル-β-シクロデキストリンの濃度は、約17.5mMである。
【0073】
本開示はさらに、カルベトシン水溶液、ならびに可溶化剤および/またはHPMCを容器中で含む医薬調製物を目的としており、この場合において容器中のヘッドスペースは、ゼロに近い(すなわち、限定されたヘッドスペース)。別の実施形態では、ヘッドスペースが低下した医薬調製物は、界面活性剤を含まない。すなわち本開示は、カルベトシン水溶液ならびに可溶化剤および/または任意でHPMCを容器中に含む医薬調製物を含み、この場合において当該容器中のヘッドスペースはほぼゼロであり、調製物は、界面活性剤(例えば、非イオン性界面活性剤、例えば、n-ドデシル-β-D-マルトシド(DDM)、ポロキサマー188、ポリソルベート20またはポリソルベート80)を実質的に含まず、例えばそれによって、医薬調製物は界面活性剤を含まない。少なくとも一つの実施形態では、表面活性剤は、開示される調製物中に存在しない。
【0074】
「ヘッドスペース」という用語は、当分野でよく理解されている用語であり、溶液を含有する密封容器内の気体空間を指す。ヘッドスペースの体積は、容器の全内部体積および容器が含有する溶液の量に応じて変化し得る。
【0075】
例えば、少なくとも一つの実施形態では、ヘッドスペースは、カルベトシン溶液を含む容器の体積の約2.0mL、1.9mL、1.8mL、1.7mL、1.6mL、1.5mL、1.4mL、1.3mL、1.2mL、1.1mL、1.0mL、0.9mL、約0.8mL、約0.7mL、約0.6mL、約0.5mL、約0.4mL、約0.3mL、約0.2mL、約0.18mL、約0.15mL、約0.12mL、約0.1mL、約0.08mL、約0.07mL、約0.06mL、約0.05mL、約0.04mL、約0.03mL、約0.020mL、または約0.01mLとなる。少なくとも一つの実施形態では、ヘッドスペースは、カルベトシン溶液を含む容器の体積の約80%、約70%、約60%、約50%、約45%、約40%、約35%、約30%、約25%、約20%、約15%、約12%、約10%、約9%、約8%、約7%、約6%、約5%、約4%、約3%、約2%、約1.5%、約1%、約0.75%、約0.5%、約0.25%、または約0.1%となる。少なくとも一つの実施形態では、ヘッドスペースは、容器の総体積の0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.001%未満、または0.0%となる。本開示の少なくとも一つの実施形態では、容器のヘッドスペースは、実質的にゼロである。
【0076】
本開示の医薬調製物は、例えば、約34mg/mLを含む、約10mg/mL~約70mg/mLの範囲の濃度などの高濃度のカルベトシンでさえ安定的であり得るため、有益である。
【0077】
少なくとも一つの実施形態では、医薬調製物は凝集物形成に抵抗し、水溶液は眼に見える固形物(例えば、粒子)がほとんどないか、または全くないために、医薬調製物の安定性は明白である。一部の実施形態では、溶液中のカルベトシンは、室温(例えば、約25℃)で長期間にわたり保存されたとき、眼に見える固形物がほとんどないか、または全くない。例えば、一部の実施形態では、カルベトシン溶液は、最大5年間、眼に見える固形物がほとんどないか、または全くない。一部の実施形態では、カルベトシン溶液は、最大4年間、眼に見える固形物がほとんどないか、または全くない。一部の実施形態では、カルベトシン溶液は、最大3年間、眼に見える固形物がほとんどないか、または全くない。一部の実施形態では、水溶液中のカルベトシンの濃度は、経時的に(例えば、3、4、または5年にわたり)変化しない。
【0078】
本開示の医薬調製物は、振とうストレスに対して安定性を維持する。例えば、カルベトシン水溶液は、一定期間の振とうストレスに対して安定的である。一部の実施形態では、調製物は、5℃および25℃の両方で、14日間にわたり一定の振とうストレスを受け(例えば、200以上のRPM)、カルベトシン水溶液は、眼に見える粒子をほとんどまたは全く有さず、透明性を維持する。一部の実施形態では、調製物は、5℃および25℃の両方で、1、2、3、4、5、6または7日間にわたり振とうストレスを受け、カルベトシン水溶液は、眼に見える粒子をほとんどまたは全く有さず、透明性を維持する。少なくとも一つの実施形態では、調製物は、5日間にわたり振とうストレスを受け、カルベトシン水溶液は、眼に見える粒子をほとんどまたは全く有さず、透明性を維持する。一部の実施形態では、調製物は、少なくとも3日間にわたり振とうストレスを受け、カルベトシン水溶液は、眼に見える粒子をほとんどまたは全く有さず、透明性を維持する。少なくとも一つの実施形態では、医薬調製物は、少なくとも1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、25時間、26時間、27時間、28時間、29時間、30時間、31時間、32時間、33時間、34時間、35時間、36時間、37時間、38時間、39時間、40時間、41時間、42時間、43時間、44時間、45時間、46時間、47時間、または48時間にわたり振とうストレスに対して安定的であり、カルベトシン水溶液は、眼に見える粒子をほとんどまたは全く有さず、透明性を維持する。
【0079】
本明細書に記載される医薬調製物の安定性は、カルベトシンのクロマトグラフィー純度により測定されてもよい。少なくとも一つの実施形態では、1日以上での対照は、カルベトシンのクロマトグラフィー純度が、95%よりも高いことを保証する。少なくとも一つの実施形態では、1日以上での対照は、カルベトシンのクロマトグラフィー純度が、96%よりも高いことを保証する。少なくとも一つの実施形態では、1日以上での対照は、カルベトシンのクロマトグラフィー純度が、97%よりも高いことを保証する。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンのクロマトグラフィー純度は、98%超である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンのクロマトグラフィー純度は、99%超である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンのクロマトグラフィー純度は、99.4%超である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンのクロマトグラフィー純度は、99.5%超である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンのクロマトグラフィー純度は、99.6%超である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンのクロマトグラフィー純度は、99.7%超である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンのクロマトグラフィー純度は、99.8%超である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンのクロマトグラフィー純度は、99.9%超である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンは化学的分解を受けない、すなわち、振とうストレスの前後で、カルベトシンのクロマトグラフィー純度には最小限の変化であるか、または変化がない。さらに本開示の医薬調製物は、溶液中のカルベトシンの濃度が、振とうストレス条件下を含む、経時的な変化をしないという点で安定性を呈する。
【0080】
少なくとも一つの実施形態では、開示される可溶化剤および/または表面活性剤を含む溶液中のカルベトシンのクロマトグラフィー純度は、24時間のストレス後で98%よりも高い。少なくとも一つの実施形態では、開示される可溶化剤および/または表面活性剤を含む溶液中のカルベトシンのクロマトグラフィー純度は、36時間のストレス後で98%よりも高い。少なくとも一つの実施形態では、開示される可溶化剤および/または表面活性剤を含む溶液中のカルベトシンのクロマトグラフィー純度は、48時間のストレスで98%よりも高い。少なくとも一つの実施形態では、開示される可溶化剤および/または表面活性剤を含む、溶液中のカルベトシンのクロマトグラフィー純度は、72時間のストレスで98%よりも高い。
【0081】
少なくとも一つの実施形態では、開示される可溶化剤および/または表面活性剤を含む溶液中のカルベトシンのクロマトグラフィー純度は、24時間のストレス後で99%よりも高い。少なくとも一つの実施形態では、開示される可溶化剤および/または表面活性剤を含む溶液中のカルベトシンのクロマトグラフィー純度は、36時間のストレス後で99%よりも高い。少なくとも一つの実施形態では、開示される可溶化剤および/または表面活性剤を含む溶液中のカルベトシンのクロマトグラフィー純度は、48時間のストレスで99%よりも高い。少なくとも一つの実施形態では、開示される可溶化剤および/または表面活性剤を含む溶液中のカルベトシンのクロマトグラフィー純度は、72時間のストレスで99%よりも高い。
【0082】
少なくとも一つの実施形態では、開示される可溶化剤および/または表面活性剤を含む溶液中のカルベトシンのクロマトグラフィー純度は、24時間のストレス後で99.5%よりも高い。少なくとも一つの実施形態では、開示される可溶化剤および/または表面活性剤を含む溶液中のカルベトシンのクロマトグラフィー純度は、36時間のストレス後で99.5%よりも高い。少なくとも一つの実施形態では、開示される可溶化剤および/または表面活性剤を含む溶液中のカルベトシンのクロマトグラフィー純度は、48時間のストレスで99.5%よりも高い。少なくとも一つの実施形態では、開示される可溶化剤および/または表面活性剤を含む溶液中のカルベトシンのクロマトグラフィー純度は、72時間のストレスで99.5%よりも高い。
【0083】
概して、本開示の医薬調製物は、約3.0~約5.8のpHを有する。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシン水溶液のpHは、3.5~5.7、例えば4.2~5.6、または例えば5.3~5.4でありうる。本開示の一部の実施形態では、医薬調製物のpHは、約5.3~約5.5、約5.3±3、5.4±3、または5.5±3である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシン水溶液のpHは、5.4±0.5である。別の実施形態では、カルベトシン水溶液のpHは、5.4±0.3である。別の実施形態では、カルベトシン水溶液のpHは、5.4±0.1である。
【0084】
本開示の医薬調製物は、容器を含んでもよい。容器の非限定的な例としては、アンプル、バイアル、充填済み充填済み鼻腔内ディスペンサーが挙げられる。少なくとも一つの実施形態では、容器は、アンプルまたはバイアルである。少なくとも一つの実施形態では、容器は、バイアルである。
例示的な医薬調製物
【0085】
少なくとも一つの実施形態では、安定的な鼻腔内医薬調製物は、以下を含む:
(a)カルベトシン水溶液であって、カルベトシンの濃度は、約10mg/mL~約70mg/mLの範囲であるカルベトシン水溶液、および
(b)可溶化剤および/またはHPMC、この場合において溶液は、眼に見える固形物を有さない。
【0086】
少なくとも一つの実施形態では、安定的な鼻腔内医薬調製物は、以下を含む:
(a)カルベトシン水溶液であって、カルベトシンは、約10mg/mL~約70mg/mLの濃度で存在するカルベトシン水溶液、
(b)アミノ酸、ヒドロトロープ、および/またはHPMC、ならびに
(c)任意で追加の賦形剤、この場合において調製物は、約3~約5.8の範囲のpHを有する。
【0087】
少なくとも一つの実施形態では、安定的な鼻腔内医薬調製物は、以下を含む:
(a)カルベトシン水溶液であって、カルベトシンは、約1mg/mL~約70mg/mLの濃度で存在するカルベトシン水溶液、
(b)ニコチンアミド、安息香酸ナトリウム、およびサリチル酸ナトリウムからなる群から選択されるヒドロトロープ、および
(c)任意で追加の賦形剤。別の実施形態では、調製物は、約3~約5.8の範囲のpHを有する。
【0088】
少なくとも一つの実施形態では、安定的な鼻腔内医薬調製物は、以下を含む:
(a)カルベトシン水溶液であって、カルベトシンは、約1mg/mL~約70mg/mLの濃度で存在するカルベトシン水溶液、
(b)ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)であって、0.005%~0.05%w/vの範囲の量で存在するHPMC、および
(c)任意で追加の賦形剤、この場合において溶液は、約3~約5.8の範囲のpHを有する。
【0089】
少なくとも一つの実施形態では、安定的な鼻腔内医薬調製物は、以下を含む:
(a)カルベトシン水溶液であって、カルベトシンは、約1mg/mL~約70mg/mLの濃度で存在するカルベトシン水溶液、
(b)ニコチンアミド、
(c)HPMC、および
(d)ソルビトール、この場合において溶液は、約5~約5.8の範囲のpHを有する。
【0090】
少なくとも一つの実施形態では、安定的な鼻腔内医薬調製物は、以下を含む:
(a)カルベトシン水溶液であって、カルベトシンは、約1mg/mL~約70mg/mLの濃度で存在するカルベトシン水溶液、
(b)メチル-β-シクロデキストリン、
(c)HPMC、および
(d)ソルビトール、この場合において溶液は、約5~約5.8の範囲のpHを有する。
【0091】
少なくとも一つの実施形態では、安定的な鼻腔内医薬調製物は、以下を含む:
(a)カルベトシンであって、約25mg/mL~約35mg/mLの濃度で存在するカルベトシン、
(b)ニコチンアミドであって、約50mM~約500mMの範囲の濃度で存在するニコチンアミド、
(c)HPMCであって、0.0075%~0.05%w/vの範囲の量で存在するHPMC、および
(d)ソルビトールであって、約110mM~約250mMの範囲の濃度で存在するソルビトール。
【0092】
少なくとも一つの実施形態では、安定的な鼻腔内医薬調製物は、以下を含む:
(a)カルベトシンであって、約34.3mg/mLの濃度で存在するカルベトシン、
(b)ニコチンアミドであって、約50mM~約500mMの範囲の濃度で存在するニコチンアミド、
(c)HPMCであって、約0.01%w/vの量で存在するHPMC、および
(d)ソルビトール、および任意で、EDTA、ソルビン酸カリウム、およびそれらの組み合わせから選択される追加の賦形剤。
【0093】
少なくとも一つの実施形態では、安定的な鼻腔内医薬調製物は、以下を含む:
(a)カルベトシンであって、約11.4mg/mLの濃度で存在するカルベトシン、
(b)ニコチンアミドであって、約50mM~約500mMの範囲の濃度で存在するニコチンアミド、
(c)HPMCであって、約0.01%w/vの量で存在するHPMC、および
(d)ソルビトール、および任意で、EDTA、ソルビン酸カリウム、およびそれらの組み合わせから選択される追加の賦形剤。
【0094】
少なくとも一つの実施形態では、安定的な鼻腔内医薬調製物は、以下を含む:
(a)カルベトシンであって、約1mg/mL~約4mg/mLの濃度で存在するカルベトシン、
(b)ニコチンアミドであって、約50mM~約500mMの範囲の濃度で存在するニコチンアミド、
(c)HPMCであって、0.01%~0.05%w/vの範囲の量で存在するHPMC、および
(d)ソルビトールであって、約100mM~約287mMの範囲の濃度で存在するソルビトール。
【0095】
これら例示的な実施形態の各々において、容器のヘッドスペースは、任意で減少されてもよい。さらにヘッドスペースは、これらの例示的な実施形態のそれぞれに関し、実質的にゼロであってもよい。
【0096】
本明細書に開示される医薬調製物は、任意で一つ以上の薬学的に許容可能な溶媒を含み得る。少なくとも一つの実施形態では、一つ以上の溶媒は、例えば、薬学的に許容可能なアルコールおよび水など、水との混合物として存在し得る。
【0097】
本開示はまた、カルベトシンと、可溶化剤および/または表面活性剤を含有する液状(例えば、水性)医薬組成物、および当該組成物用の容器を、任意で個別注射手段(例えば、投与に必要な場合)とともに、任意で当該組成物の投与に関する説明書とともに含む、キット部分を提供するものであり、この場合において当該組成物のpHは、3.0~5.8である。組成物のpHは、3.5~5.75、例えば、4.0~5.65であってもよい。組成物のpHは、5.15~5.75、例えば、5.2~5.65であってもよい。組成物のpHは、5.30~5.8、例えば、5.40~5.70、例えば、5.50~5.6であってもよい。少なくとも一つの実施形態では、組成物のpHは、約5.4である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシン水溶液のpHは、5.4±0.5である。別の実施形態では、カルベトシン水溶液のpHは、5.4±0.3である。別の実施形態では、カルベトシン水溶液のpHは、5.4±0.1である。少なくとも一つの実施形態では、医薬組成物のpHは、適切な量の塩基を添加することにより、望ましいpH(例えば、5.4)に調整される。一つの実施形態では、塩基は、NaOHである。少なくとも一つの実施形態では、塩基は、5M NaOHである。
調製方法
【0098】
少なくとも一つの実施形態では、本開示は、比較的高濃度のカルベトシンを有し、室温で、および/またはストレス条件下で安定性の向上を示す、カルベトシンの医薬調製物を調製する方法を提供する。少なくとも一つの実施形態では、水性カルベトシンの安定的な医薬調製物は、例えば、容器中で調製される。少なくとも一つの実施形態では、本開示は、水性カルベトシンと容器の安定的な医薬調製物を調製する方法を提供し、この場合においてカルベトシンの濃度は、約10mg/mL~約70mg/mLの範囲であり、当該方法は、以下を含む:(a)カルベトシン水溶液を容器に加えること、および任意で、加えられた溶液は、ヘッドスペースを減少させるのに充分な量であり得ること(例えば、20%のヘッドスペース、10%のヘッドスペース、5%のヘッドスペース、ゼロに近いヘッドスペース(すなわち限定されたヘッドスペース))、ならびに(b)可溶化剤および/またはHPMCを当該溶液に加えること。少なくとも一つの実施形態では、本明細書に開示される方法により調製される水性カルベトシンの医薬調製物は、24時間の水平振とう後、眼に見える固形物がほとんどないか、または全くない。少なくとも一つの実施形態では、本明細書に開示される方法により調製される水性カルベトシンの医薬調製物は、48時間の水平振とう後、眼に見える固形物がほとんどないか、または全くない。少なくとも一つの実施形態では、本明細書に開示される方法により調製される水性カルベトシンの医薬調製物は、72時間の水平振とう後、眼に見える固形物がほとんどないか、または全くない。少なくとも一つの実施形態では、本明細書に開示される方法により調製される水性カルベトシンの医薬調製物は、96時間の水平振とう後、眼に見える固形物がほとんどないか、または全くない。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンは、振とうストレスの前後で化学的な分解を受けない。少なくとも一つの実施形態では、1日以上での対照は、カルベトシンのクロマトグラフィー純度が、98%よりも高いことを保証する。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンのクロマトグラフィー純度は、99%超である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンのクロマトグラフィー純度は、99.4±0.0%である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンのクロマトグラフィー純度は、99.4±0.1%である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンのクロマトグラフィー純度は、99.4±0.2%である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンのクロマトグラフィー純度は、99.5±0.0%である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンのクロマトグラフィー純度は、99.5±0.1%である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンのクロマトグラフィー純度は、99.5±0.2%である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンのクロマトグラフィー純度は、99.8±0.3%である。少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンのクロマトグラフィー純度は、99.9±0.1%である。
治療方法
【0099】
少なくとも一つの実施形態では、カルベトシンの安定的高濃度医薬調製物によって有益に治療される疾患に罹患する、または罹患しやすい対象を治療する方法を提供するものであり、当該方法は、当該対象に、本開示の医薬調製物の有効量を投与する工程を含む。
【0100】
少なくとも一つの実施形態では、本開示の医薬調製物は、その必要のある哺乳動物対象におけるプラダー・ウィリ症候群または関連症状を含む、神経発達障害の治療または予防における使用(またはそのための医薬品の製造における使用)のためのものであってもよい。少なくとも一つの実施形態では、本開示の医薬調製物の治療有効量は、プラダー・ウィリ症候群に罹患する対象に投与される。
【実施例
【0101】
本開示は、実施例を参照することにより、さらによく理解され得る。以下の実施例は、説明目的のみを意図しており、本開示の範囲を限定するとは決して解釈されないものとする。さらに本明細書において使用されるセクションの見出しは、構成上の目的のためのみであり、開示される内容を限定するとはみなされない。
【0102】
方法:
【0103】
外観検査
【0104】
保管安定性および攪拌のサンプルを、白色および黒色の背景の両方に対してライトボックス中で粒子に関し分析した。これらのサンプルで形成されたすべての粒子/沈殿物を記録するために写真が撮影された。
【0105】
A350
【0106】
350nmでの吸光度をモニタリングして、保管安定性および攪拌のサンプルにおける大きな可溶性の凝集物の形成を追跡した。これらの測定については、300μLの溶液を、1cm経路長の小容量の石英キュベットにおいて測定した。MQ水が、すべての測定のブランクとして使用された。注:A350は光散乱技術であるため、大きな可溶性凝集物を含有する溶液、または不溶性粒子の均一な分散を伴う溶液における散乱を測定するのが最も効果的である。
【0107】
実施例1
【0108】
カルベトシンを粉末として取得して、使用準備が整うまで20℃以下で保存した。製剤は、40mg/mLまたは20mg/mLのカルベトシンを、可溶化剤および/またはHPMCを含有する水溶液中に溶解することにより調製された。各製剤のpHを、適切な量の5M NaOHを添加することによって5.4±0.1に調整した。すべての調製物は、複数公定書収載グレードの賦形剤および試薬、ならびに超純水(Millipore MilliQ、18MΩ)を使用して調製した。各調製物のオスモル濃度を、最終製剤を調製する前に測定して、理論的に決定されたオスモル濃度と類似していることを確認した。各製剤(バルク材料)を、Millipore Millex-GVシリンジフィルター(0.22μm)を使用して滅菌濾過した。1.2mLの各滅菌濾過製剤を、3mLのガラスバイアルに充填し、13mmのFluorotecコーティングされた血清ストッパーでストッパーし、圧着した。すべての材料(すなわち、バイアル、ストッパーなど)は、充填前に滅菌された。ヘッドスペースが減少または限定されたサンプルについては、3mLバイアルの代わりに1mLバイアルを使用した。滅菌調製後、サンプルを軌道プレートシェーカー(Labnet社、3mm軌道)上に水平に配置し、所定の時間にわたって200rpmで連続的に振とうした(表1を参照)。攪拌中にサンプルを周囲光から遮蔽した。本試験で使用したすべてのサンプルは、室温で攪拌された。この実験の結果は、以下の表1に要約される。
【表1】
【0109】
表1に示された結果から、様々な賦形剤を含む純水(pH5.4)中のこれらの高濃度カルベトシン調製物(すなわち、40mg/mL、20mg/mL)は、沈殿の視覚的兆候を示すが、賦形剤および賦形剤の濃度に応じて、沈殿の挙動に差異が観察されたことを示す。選択された条件下では(上記の表1を参照)、アルギニンおよびプロリンの両方が、検証された濃度範囲において粒子形成の抑制に有効ではなかったことが分かる。対照的に、300mMのニコチンアミドは、単独の製剤賦形剤として使用されたときに粒子形成を顕著に抑制した。さらにニコチンアミドは、製剤中のカルベトシンの濃度が40mg/mLから20mg/mLに低下したときに、粒子形成の抑制効果が高かった。しかし検証された条件下では、ニコチンアミドは、その濃度が100mMにまで低下したときには粒子形成の抑制に有効ではなかった。
【0110】
また、300mMのニコチンアミド溶液で形成された粒子の形態は、試験された他のカルベトシン製剤で見られる形態とは異なっていたことも観察された。攪拌ニコチンアミド製剤において生成された粒子は性質的に顆粒/微粉であり、溶液の攪拌が延長されると実質的に進行しないようであった。
【0111】
結果から、ニコチンアミド単独、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)との組み合わせが、長時間の攪拌時にカルベトシンの沈殿の軽減に効果的であったことが示される。粒子/沈殿物は、これらの賦形剤の両方でも形成される場合があるが、形成される量は、試験された他の賦形剤の量よりも有意に少ない。
【0112】
実施例2
【0113】
実施例1に提示された一般的手順を使用してサンプルを調製した。本実施例で試験されたヒドロトロープは、以下の濃度で製剤化されたことに留意されたい:160mM(等張性)および400mMの安息香酸ナトリウム、200mM(等張性)および400mMのサリチル酸ナトリウム、ならびに82mMのカフェイン(溶解限界に近い)、ならびに35mg/mLのカルベトシン。再び実施例1と同様に攪拌試験を実施して、これら溶液が攪拌時に粒子形成を抑制する能力を評価した。14時間および24時間の攪拌後に観察を行った。
【0114】
14時間後、以下が観察された:安息香酸塩調製物/サンプル(160mMおよび400mM)は、硬質の沈殿物を形成した。カフェイン調製物は、バイアル壁上にカルベトシン膜を形成した。サリチル酸塩調製物は、いくつかの微細粒子を形成したが、それがなければ全体として透明であった。24時間の攪拌後、200mMのサリチル酸塩調製物には、400mMのカウンターパートよりも若干多くの粒子/沈殿物があった。それに加えて200mMのサリチル酸塩調製物は、わずかに乳白色の外観を呈する。
【0115】
さらに、カフェイン調製物は、400mMのサリチル酸塩調製物と類似した外観を有することが観察された。結果として、サンプル攪拌が継続された。5日間のさらなる攪拌の後、サンプルは粒子形成についてもう一度観察された。サリチル酸塩調製物は両方とも、早い時点(すなわち24時間での外観)から最小限の変化であった(図1を参照)。一方でカフェインサンプルは硬質の沈殿物を形成した。6日間の攪拌後のサリチル酸塩、カフェイン、および安息香酸塩のサンプルを比較する画像を、図2に示す。
【0116】
この攪拌試験の結果から、攪拌時の粒子形成の抑制において、サリチル酸塩はニコチンアミドと同様に作用し得ることが示された。ニコチンアミドは、その張性から、サリチル酸塩(200mMが等張性)よりもはるかに高い濃度(すなわち、400mMが等張性)で利用され得ることに留意されたい。
【0117】
実施例3
【0118】
製剤は、所望量の40mg/mLのカルベトシンを、異なる賦形剤またはHPMCを含有する水溶液中に溶解することによって、実施例1に記載の方法に従って調製された。各製剤のpHを、適切な量の5M NaOHを添加することによって5.4±0.1に調整した。実施例1に記載される同方法に従って滅菌調製した後、サンプルは軌道プレートシェーカー(Labnet社、3mm軌道)上に水平に配置され、所定の時間にわたって200rpmで連続的に振とうされた。攪拌中にサンプルを周囲光から遮蔽した。本試験で使用したすべてのサンプルは、室温で攪拌された。この実験の結果は、以下の表2および3に要約される。
【表2】
【0119】
表2から分かるように、ポロキサマー188(非イオン性ブロックコポリマー界面活性剤)およびヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンは両方とも溶液中でのタンパク質の界面損傷の抑制に効果的であることが示されているが、カルベトシンの安定化には失敗した。これらの賦形剤の両方を用いて製剤化された場合、カルベトシンの沈殿は17時間の攪拌の内に生じた。さらに、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)は、17時間の攪拌後に溶液をゲル化させた。逆にHPMCは、沈殿の軽減に比較的有効であるように思われ、17時間の攪拌後、バイアル中に数片の大きな「軟質」の沈殿物のみが存在していた。
【表3-1】
【表3-2】
【0120】
表3の攪拌結果の精密な調査により、すべての製剤が24時間の攪拌の内に軟質の沈殿物を形成したことを示す。沈殿物の量は、調べられたHPMCの全濃度について本質的に同じであり、各製剤は24時間で数片の“軟質”の沈殿物を含有した。さらに、ヘッドスペースが減少したサンプル(充填体積67%)について、沈殿量がわずかに少ないかのように見えた。保存剤のソルビン酸カリウムの存在は、粒子形成に負の影響を与えるとは思われなかった。これらのサンプルに攪拌を継続しても(最大1週間)、存在する軟質沈殿物の量は、ゆっくりと増加するのみであった。
【0121】
また、攪拌中の保護的な利益を提供するという点では、0.005%(w/v)のHPMCがこの賦形剤の実用的な下限であることも判明した。0.001%(w/v)のHPMC濃度は、粒子形成の抑制において0.005%よりも低い有効性を示した。
【0122】
実施例4
【0123】
この実験に関し、カルベトシンは実施例1に記載の方法に従ってpH5.4±0.1の400mM ニコチンアミドの水溶液中に、15、25、および35mg/mLで製剤化された。A350の測定および視覚的観察を、14日間の時間経過にわたって行った。サンプルは、5℃および25℃の両方で攪拌され(水平方向)、測定はゼロ時間、3日、および14日で行われた。対応する対照セット(攪拌なし)は、試験終了時に測定された。ゼロ時間、3日、および14日でのA350測定の結果は、以下の表4に列挙され、視覚的観察の結果は以下の表5に示されている。ヘッドスペースの有無のサンプルについて、A350値のグラフ図を、それぞれ図3(a)および図3(b)に示す。
【表4】
【表5】
【0124】
表4のA350データ、ならびに図3(a)および3(b)は、A350値が、カルベトシン濃度が増加するにつれ、上昇する傾向があることを示す。さらにヘッドスペースサンプルについては、凝集物/沈殿物を形成する傾向は、濃度依存性および温度依存性の両方を有し、25℃、35mg/mLのサンプルは、ゼロ時間と比較した最大のA350の上昇を示す。ヘッドスペースをほぼゼロに制限する効果は、A350測定値から、測定可能な利益を有するように思われるが、5℃および25℃の両方の攪拌条件の複数のサンプルに、14日間の攪拌後に眼に見える粒子/沈殿物があった。5日間の連続攪拌の後、実験された調製物に眼に見える沈殿の兆候は見られず、結果として最終時点は14日まで延長された。これらのサンプルにおいて、7日間の攪拌後にのみ、目に見える粒子/沈殿物の兆候があった。
【0125】
カルベトシンの沈殿挙動に対するカルベトシンの充填/濃度、温度、およびバイアルのヘッドスペースの効果が実験された。この実験から、沈殿傾向は濃度依存性であり、高濃度のサンプルは、低濃度サンプルよりも急速に沈殿することが判明した。さらにヘッドスペースを含有するサンプルについて、温度が高まるにつれ、沈殿傾向も増すように思われた。バイアルのヘッドスペースを限定することで、攪拌中に形成される凝集物/沈殿物の量も減少し得る。
【0126】
実施例5
【0127】
製剤は、実施例1に記載の方法に従って調製された。すべての製剤のカルベトシン濃度は、35mg/mLであり、pHは5.4±0.1に調整された。実施例5で調査された製剤を、以下の表6に列挙する。
【表6】
【0128】
凍結/融解(F/T)攪拌試験
表6に列挙された製剤を用いて、F/T攪拌試験を実施した。本試験では、二つの異なるヘッドスペース構成(12%および70%)を検証した。この試験に関し、サンプルは-20℃で24時間以上にわたって凍結され、その後に融解された。融解後、サンプルは室温に平衡化され、次いで穏やかに回転させて混合し(凍結濃縮が明白であった)、その後に攪拌を開始した。サンプルを水平方向に攪拌し、5時間および19時間での粒子/沈殿物の形成をモニタリングした。この攪拌試験からの視覚的観察結果を、以下の表7に示す。
【表7-1】
【表7-2】
【0129】
表7から分かるように、サンプル/調製物の大部分は、5時間の攪拌後でのみ、沈殿を示した。さらに、二つの異なるヘッドスペースサンプルの沈殿挙動に顕著な差異はなかった。非凍結対照サンプル(5℃で保存)は、凍結サンプルと同じタイプの沈殿挙動を示した。
【0130】
HPMC、ニコチンアミド、およびメチル-β-シクロデキストリンを含有するサンプルは、これらの賦形剤を含有しないサンプルよりも沈殿傾向が低かったことが判明した。メチル-β-シクロデキストリンとニコチンアミドを用いて製剤化されたサンプルの沈殿挙動は類似していると思われ、両タイプのサンプルが、長時間の攪拌時に微細/顆粒状の沈殿物を形成した。さらにこれらの溶液(メチル-β-シクロデキストリンおよびニコチンアミド)は、19時間の攪拌後に乳白色の色合いを有した。乳白色であったことから、これらの溶液が、まだ沈殿していない、大きな可溶性凝集物を含有する可能性が示唆される。この実験の結果から、粒子形成を抑制する際のニコチンアミドの有効性は濃度依存性であり、200mMよりも300mMのほうが効果が高いことが示される。ニコチンアミドを用いて実施された追加の攪拌試験では、粒子形成を抑制する際には、400mM>350~300mM>200mMであることが示された。表7においてグレーで強調されたサンプルに対する視覚的なランク順序は、以下のとおりである:(F11、F12)≧(F10、F14、F15)>(F5、F8、F13、F16)>(F7、F9)。このランク順序は、視覚的な観察結果に基づく。
【0131】
F/T攪拌試験で最も性能の高い製剤を可溶化剤として使用し、35mg/mLの純粋な凍結乾燥カルベトシンを再構成させた。これらの可溶化剤を使用した凍結乾燥カルベトシンの再構成時間は、表8に列挙される。
【表8】
【0132】
表8に見られるように、可溶化剤を含有するすべてのサンプルは、5分以下の再構成時間であった。しかし可溶化剤を含まないサンプル(すなわち、F11)は、非常に長い再構成時間であった(すなわち、>30分)。
【0133】
再構成後、これらのサンプルに、F/Tサンプルについて前述した試験と同じ攪拌試験を行った。この攪拌試験からの視覚的観察結果を、以下の表9に示す。
【表9-1】
【表9-2】
【0134】
19時間の攪拌後に再構成された凍結乾燥サンプルの視覚的なランク順序は、以下の通りであった:F15>(F13、F14)≧(F12、F8)≧(F11、400mMニコチンアミド>(F05、F07、F09、F16、350mMニコチンアミド)。このランクは、視覚的な観察結果を使用して行われた。
【0135】
HPMC、メチル-β-シクロデキストリン、およびニコチンアミドを含有する製剤は、攪拌時の沈殿に対して最も耐性であったが、最終的にはいくつかの沈殿物を形成することが判明した。これらの賦形剤で形成された沈殿物の形態は様々であり、HPMCは数個の大きな「軟質」粒子を形成する(図4を参照)。一方でニコチンアミドおよびメチル-β-シクロデキストリンは小さく、より顆粒状の粒子を形成する。ニコチンアミドに対する濃度範囲実験は、沈殿抑制時の可溶化剤の有効性が、ニコチンアミドの濃度が増加するにつれ増すことを示した(図5を参照)。
【0136】
実施例6
【0137】
追加の再構成実施例を表10に提示する。アルギニン、ならびにプロリンおよびニコチンアミドなどのヒドロトロープを選択して、溶解時間を改善した。それに加えて、溶解に対する固形分含量の効果も検証した。これらの再構成試験の結果を表10に示す。
【表10-1】
【表10-2】
【0138】
純粋なカルベトシン凍結乾燥材料(再凍結乾燥カルベトシン、ケーキ形態)の溶解を促進する条件を表10に提示する。200mMのアルギニンおよび300mMのニコチンアミドの両方が、凍結乾燥カルベトシンの溶解速度を劇的に改善したことが判明した。これらの可溶化剤を利用して、再凍結乾燥カルベトシン(40mg/mL)の溶解時間を、ほんの数分にまで短縮した。これらの特定の賦形剤の可溶化力は濃度依存性であり、賦形剤の濃度を上昇させると、溶解時間が短縮された。プロリンは、本試験で検証された濃度(400mM)では可溶化剤として有効ではなかった。
【0139】
結果はさらに、ソルビン酸カリウムは凍結乾燥カルベトシンの溶解を促進しなかったが、溶解に悪影響もなかったことを示している(表10を参照)。
【0140】
溶解速度に対する固形物含量の影響に関して、高い固形物含量で凍結乾燥されたカルベトシンよりも、低い固形物含量で凍結乾燥されたカルベトシンの再構成のほうが、体積が減少すると溶解速度が速まることが見出された(表10を参照)。さらに、低固形物含量の材料の溶解速度は、可溶化剤(ニコチンアミドまたはアルギニンなど)の溶解速度と類似していたが、優れてはいなかったことが見出された。
【0141】
アルギニンおよびニコチンアミドの等張性溶液は、カルベトシン凍結乾燥物を効率的に可溶化することができた。したがって凍結乾燥カルベトシンの可溶化剤として利用できる可能性が見いだされた。
【0142】
実施例7
【0143】
カルベトシンの例示的な安定的医薬調製物
【0144】
カルベトシンの例示的な医薬調製物を、表11~13に提示する。
【表11-1】
【表11-2】
【表12】
【表13】
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4
図5