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特許7535051同期化デバイス、及び患者の呼吸周期の瞬間を判定する方法、及び医療ロボットを含む組立体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】同期化デバイス、及び患者の呼吸周期の瞬間を判定する方法、及び医療ロボットを含む組立体
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/20 20160101AFI20240807BHJP
   A61B 5/06 20060101ALI20240807BHJP
   A61B 5/08 20060101ALI20240807BHJP
   G01T 7/00 20060101ALI20240807BHJP
【FI】
A61B34/20
A61B5/06
A61B5/08
G01T7/00 A
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021545370
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2020060030
(87)【国際公開番号】W WO2020208078
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】1903950
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520148884
【氏名又は名称】クアンタム サージカル
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ル マール,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ブロンデル,リュシアン
(72)【発明者】
【氏名】バダノ,フェルナンド
(72)【発明者】
【氏名】ナホム,ベルタン
【審査官】神ノ田 奈央
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-239302(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0253217(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0092698(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0177280(US,A1)
【文献】特開2000-325339(JP,A)
【文献】特表2012-508035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/20
A61B 5/06
A61B 5/08
G01T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に対する医学的介入を支援するために、前記患者の呼吸周期の瞬間を判定する同期化デバイスであって、
突き止めデバイスと、
前記患者の人体に位置決めされるように構成されている、放射線不透過性マーカーを備える患者基準と、
前記突き止めデバイスによって検出可能であるように構成されている少なくとも1つの突き止め要素であって、前記少なくとも1つの突き止め要素は、マーカーを含む、少なくとも1つの突き止め要素と、
X線撮像デバイスと、
前記X線撮像デバイスと協働するように構成されているX線検出器と、
メモリと、
前記メモリに結合されているプロセッサであって、前記プロセッサは、
前記突き止めデバイス及び前記患者基準から取得されたデータを記録及び処理することであって、前記突き止めデバイスは、前記患者基準の動きを連続的に記録するように構成され、前記患者基準の動きは、前記患者の呼吸周期に対応しており、前記突き止めデバイスは、前記患者基準の動きに関わるデータを前記プロセッサに送信するように構成され、前記X線検出器は、医用画像が前記X線撮像デバイスにより取得されたときに検出し、関連するデータを前記プロセッサに送信するように構成されている、ことと、
前記呼吸周期が遮断されているときに、前記取得された医用画像における前記患者基準の標的位置を、前記患者基準に位置決めされている前記少なくとも1つの突き止め要素から及び前記X線検出器から判定することと、
前記呼吸周期が再度遮断されているときに、前記患者基準の候補位置を、前記患者基準に位置決めされている前記少なくとも1つの突き止め要素から判定することと、
前記候補位置と前記標的位置とを比較することと、
前記候補位置が前記標的位置に対して所定の許容範囲内にない場合、前記候補位置が前記標的位置に対して所定の許容範囲内になるまで、前記候補位置を判定することと、前記標的位置及び前記候補位置を比較することとを繰り返すことと、
前記患者の呼吸周期の予測モデルから、前記候補位置の判定中に前記患者の呼吸の遮断の瞬間を推定することと、
を行うように構成されているプロセッサと、
を備える同期化デバイス。
【請求項2】
前記突き止めデバイスは、光学的突き止めデバイスであり、前記患者基準は、少なくとも3つの光学的突き止め要素を更に含む、請求項1に記載の同期化デバイス。
【請求項3】
前記突き止めデバイスは、電磁気的突き止めデバイスであり、前記患者基準は、少なくとも1つの電磁気的突き止め要素を更に含む、請求項1に記載の同期化デバイス。
【請求項4】
前記X線検出器は、線量計、又はシンチレータである、請求項1に記載の同期化デバイス。
【請求項5】
前記プロセッサは、X線への暴露の期間中に前記患者基準によってとられる全位置から、前記患者基準の前記標的位置を判定するように更に構成されている、請求項1に記載の同期化デバイス。
【請求項6】
前記候補位置と前記標的位置との間の前記比較の結果を、音響信号及び/又は視覚信号を用いて、オペレーターに通知するように構成されている人間機械インターフェース器具を含む、請求項1に記載の同期化デバイス。
【請求項7】
前記人間機械インターフェース器具は、表示画面である、請求項6に記載の同期化デバイス。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記標的位置を判定することと前記候補位置を判定することとの間に、医療ロボットによって支援されている介入を計画するように更に構成されている、請求項1に記載の同期化デバイス。
【請求項9】
医療ロボットと、請求項1に記載の同期化デバイスとを含む組立体であって、前記医療ロボットは、ベースと、一端が前記ベースに接続されている多関節アームと、制御ユニットとを含む、組立体。
【請求項10】
前記医療ロボットの前記制御ユニット及び前記同期化デバイスの前記プロセッサは、同一の制御ユニットを形成する、請求項9に記載の組立体。
【請求項11】
前記医療ロボットは、人間機械インターフェース器具を有する、請求項9に記載の組立体。
【請求項12】
患者に対する医学的介入を支援するために、前記患者の呼吸周期の瞬間を判定する、同期化デバイスにより実行される、方法であって、
前記患者の標的解剖学的ゾーンの近くに置かれる患者基準の運動を連続的に記録することであって、前記患者基準の前記運動は、前記患者の前記呼吸周期に対応する、ことと、
前記患者の前記標的解剖学的ゾーンの医用画像を、X線撮像デバイスによって取得することと、
前記医用画像の取得中の前記患者基準の標的位置を、前記患者基準に位置決めされる少なくとも1つの突き止め要素から及びX線検出器から判定することと、
前記患者基準に位置決めされる前記少なくとも1つの突き止め要素から、前記患者基準の候補位置を判定することと、
前記候補位置及び前記標的位置を比較することと、
を含み、
前記候補位置が前記標的位置に対して所定の許容範囲内にある瞬間は、前記患者の前記呼吸周期の予測モデルから推定される、方法。
【請求項13】
X線への暴露の期間中に前記患者基準によってとられる全位置から、前記患者基準の前記標的位置が判定される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記候補位置が前記標的位置に対して所定の許容範囲内にある場合、音響信号及び/又は視覚信号が生成される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記標的位置を判定することと前記候補位置を判定することとの間に、医療ロボットによって支援される介入を計画するステップを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
請求項12に記載の方法の実施のための組立体であって、
ベースと、一端が前記ベースに接続されている多関節アームと、制御ユニットとを含む医療ロボットと、
X線撮像デバイスと、
同期化デバイスであって、
患者基準の動きを連続的に記録するように構成されている突き止めデバイスであって、前記患者基準の動きは、前記患者の呼吸周期に対応しており、前記突き止めデバイスは、それらを前記制御ユニットに送信するように構成されている、突き止めデバイスと、
患者の人体に位置決めされるように構成されている患者基準であって、前記患者基準は、放射線不透過性マーカーと、前記突き止めデバイスによって検出可能であるように構成されている少なくとも1つの突き止め要素と、X線撮像デバイスと協働するように構成されているX線検出器とを含む、患者基準と、
前記突き止めデバイス及び前記患者基準からのデータを記録するためのプロセッサであって、
前記プロセッサは、
医用画像の取得中に及びX線への暴露の期間中に、前記患者基準の位置を、患者基準に位置決めされている前記少なくとも1つの突き止め要素から及び前記X線検出器から判定することと、
前記医用画像の取得中の前記患者基準の全位置から、前記患者基準の標的位置を判定することと、
前記患者基準に位置決めされている前記少なくとも1つの突き止め要素から、前記患者基準の候補位置を判定することと、
前記候補位置と前記標的位置とを比較することと、
前記患者の呼吸周期の予測モデルから、前記候補位置の判定中に前記患者の呼吸の遮断の瞬間を推定することと、
を行うように構成されている、プロセッサと、
を備える、同期化デバイスと、
を備える、組立体。
【請求項17】
前記医療ロボットの前記制御ユニット及び前記同期化デバイスの前記プロセッサは、同一の制御ユニットを形成する、請求項16に記載の組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、低侵襲医学的介入、特に、撮像によって誘導される低侵襲医学的介入の分野に関する。より詳細には、本発明は、医療処置を支援するために、患者の呼吸周期の瞬間を判定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術
低侵襲又は経皮的経路によって患者に実行される医学的介入(診断、治療及び/又は手術)は、罹患器官(例えば、肝臓、腎臓、肺、膵臓、乳房、前立腺など)の細胞に直接作用することによって、特に局所癌治療における腫瘍学で益々重要になっている。
【0003】
これらの医学的介入は一般的に、治療されるべき標的解剖学的ゾーンに達するために、特定の深さまで患者の人体内に医療機器を挿入するようにオペレーターに要求する。
【0004】
医療挿入処置の精度を向上させ、更に患者及び医療関係者に対する放射線量を制限するために、オペレーターを、医療ロボットによって支援することができる。医療ロボットは、例えば、医用画像で介入を計画する制御ユニットに関連付けられる場合、計画情報に従って機器ガイドを位置決めすることができる。この場合、好ましくは、患者が、計画のために使用される画像の取得中の呼吸状態と同じ呼吸状態である時に、機器を挿入すべきである。
【0005】
経皮的介入を実行するために、医用画像で検出可能なマーカーを含む「患者基準」と呼ばれる要素を、標的解剖学的ゾーンに近い、患者の人体に予め位置決めする。患者基準が与えられる患者の医用画像を、撮像デバイス(例えば、コンピュータ断層撮影)によって取得する。
【0006】
この術中医用画像を用いて、医学的介入を計画する。代わりに、術前医用画像を用いて、医学的介入を計画し、介入時に画像の再調整によって、計画データを術中医用画像に登録する。
【0007】
一般的に、患者の呼吸周期の所与の瞬間は、標的解剖学的ゾーンの所与の位置に対応すると考えられる。医用画像の取得中に、患者は、呼吸周期の特定の段階である。機器の挿入時に(画像取得の後)、患者は、呼吸周期の同じ段階である必要があり、その結果、患者の器官の位置は、医用画像の取得中のこれらの同じ器官の位置に対応する。医療機器を、患者の呼吸周期の異なる段階で挿入する場合、関心のある解剖学的組織は、呼吸の結果としてシフトしていることがあり、従って、正確に標的解剖学的ゾーンに達しない。
【0008】
欧州特許第1 123 138号には、センサー及びカメラによって測定された患者の運動に従って放射線治療を行うシステムに連結された撮像デバイスが記載されている。患者の運動が特定の閾値を超えない場合にだけ、放射線治療を行う。しかし、常に患者を撮像する必要がある。更に、システムは、使用される撮像デバイスに非常に左右される。
【0009】
米国特許第7 920 909号には、患者の呼吸周期の異なる時期に撮影された同じ患者の一連の医用画像との比較によって、医用画像を撮影する呼吸周期の時期を帰納的に判定する方法が記載されている。この方法は、患者の大量の医用画像を有する必要がある。その上、呼吸周期を非常に細かくサンプリングするように、患者の大量の医用画像が利用できる場合、患者の呼吸周期の正確な瞬間を、正確に判定できるだけである。更に、この方法は、患者の呼吸周期が規則的であることを示す。
【0010】
国際公開第2019 026089号には、患者の腹部を囲むベルトが記載されており、このベルトに、画像取得中に腹部のサイズを示す第1のセンサー、及び画像取得中に患者の位置を示す第2のセンサーが設けられている。これらの2つのセンサーは、呼吸時に、患者の最大吸入の位置を記録する。画像取得及び医学的介入中に、患者は、最大吸入のこの位置に達した場合、呼吸を遮断する必要がある。このデバイスは、医用画像の取得中に呼吸周期の正確な瞬間に関する正確な指示を与えず、患者に非常に左右される。更に、患者の呼吸周期は、規則的であると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
発明の開示
本発明の目的は、先行技術の解決策の制限、特に上述の制限の全部又は一部を克服することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このために、本発明は、患者に対する医学的介入を支援するために、前記患者の呼吸周期の瞬間を判定する同期化デバイスを提案する。このデバイスは、
-突き止めデバイスと、
-患者の人体に位置決めされるように意図されている患者基準であって、放射線不透過性マーカーと、突き止めデバイスによって検出可能であるように構成されている少なくとも1つの突き止め要素と、X線撮像デバイスと協働するように意図されているX線検出器とを含む患者基準と、
-突き止めデバイス及び患者基準からのデータを記録する制御ユニットと
を含む。
【0013】
この種の同期化デバイスは、任意の特定のX線撮像デバイスに連係されないという利点を有する。従って、任意のタイプの既存のX線撮像デバイスを、同期化デバイスに関連付けることができる。
【0014】
特定の実施形態において、突き止めデバイスは、個々に、又は技術的に実現可能な全組み合わせで実施される後述の特徴のうち1つ又は複数の特徴を有することもできる。
【0015】
特定の実施形態において、突き止めデバイスは、患者の呼吸周期に対応する患者基準の運動を連続的に記録し、制御ユニットに伝送するように構成されている。制御ユニット(30)は、
-患者基準(10)に位置決めされる少なくとも1つの突き止め要素(12)、及びX線検出器(13)から、患者の呼吸が遮断されている時に取得される医用画像において患者基準(10)のいわゆる標的位置を判定し、
-患者の呼吸が再度遮断されている時に、患者基準(10)に位置決めされる少なくとも1つの突き止め要素(12)から、患者基準(10)のいわゆる候補位置を判定し、
-候補位置及び標的位置を比較し、
-候補位置が標的位置に対して所定の許容範囲内にない場合、候補位置が標的位置に対して所定の許容範囲内になるまで、候補位置を判定するステップ及び標的位置及び候補位置を比較するステップを繰り返す
ように構成されている。
【0016】
有利なことに、このような同期化デバイスは、呼吸周期が規則的であると考えることなく、医用画像の取得中に呼吸周期の段階の正確な判定を行うことができる。
【0017】
更に、このような同期化デバイスは、患者の呼吸周期の段階が医用画像の取得中に正確に知られており、患者の呼吸周期の段階を医療処置中に再生して制御することができる限りにおいて、医療処置の精度を保証することができる。
【0018】
特定の実施形態において、制御ユニットは、X線への暴露の期間中に患者基準によってとられる全位置から、患者基準の標的位置を判定するように構成されている。
【0019】
特定の例示的な実施形態において、制御ユニットは、X線への暴露の期間中に患者基準によってとられる全位置の平均の計算から、標的位置を判定するように構成されている。
【0020】
別の例示的な実施形態において、制御ユニットは、各位置で受信されたX線量によって重み付けされた、X線への暴露の期間中に患者基準によってとられる全位置の平均の計算から、標的位置を判定するように構成されている。
【0021】
特定の実施形態において、制御ユニットは、患者の呼吸周期の予測モデルから、候補位置の判定中に患者の呼吸を遮断する瞬間を推定するように構成されている。
【0022】
特定の実施形態において、制御ユニットは、標的位置を判定するステップと候補位置を判定するステップとの間に、医療ロボットによって支援されている介入を計画するように構成されている。
【0023】
特定の実施形態において、突き止めデバイスは、光学的突き止めデバイスであり、患者基準は、少なくとも3つの光学的突き止め要素を有する。
【0024】
特定の例示的な実施形態において、光学的突き止めデバイスは、赤外線立体カメラであり、光学的突き止め要素は、反射球である。
【0025】
特定の実施形態において、突き止めデバイスは、電磁気的突き止めデバイスであり、患者基準は、少なくとも1つの電磁気的突き止め要素を有する。
【0026】
特定の例示的な実施形態において、電磁気的突き止めデバイスは、電磁場発生器であり、少なくとも1つの電磁気的突き止め要素は、少なくとも2つの導電コイルを有する。
【0027】
特定の実施形態において、X線検出器は、線量計又はシンチレータである。
【0028】
特定の実施形態において、同期化デバイスは、候補位置と標的位置との間の比較の結果を音響信号及び/又は視覚信号の形でオペレーターに通知するように構成されている人間機械インターフェース器具を有する。その結果、受信信号に応じて、所望の医療処置を実行するために時期が最適であるか否かをオペレーターに通知する。
【0029】
特定の例示的な実施形態において、人間機械インターフェース器具は、表示画面である。
【0030】
更に、本発明は、医療ロボットと、同期化デバイスの実施形態のうち少なくとも1つに記載の同期化デバイスとを含む組立体であって、医療ロボットは、ベースと、一端がベースに接続されている多関節アームと、制御ユニットとを含む、組立体に関する。有利なことに、医療ロボットは、オペレーターの代わりに医療処置を実行することができる。
【0031】
特定の実施形態において、組立体は、個々に、又は技術的に実現可能な全組み合わせで実施される後述の特徴のうち1つ又は複数の特徴を有することもできる。
【0032】
特定の例示的な実施形態において、医療ロボットの制御ユニット及び同期化デバイスの制御ユニットは、同一の制御ユニットを形成する。
【0033】
特定の例示的な実施形態において、医療ロボットは、人間機械インターフェース器具を有する。
【0034】
更に、本発明は、患者に対する計画医学的介入を支援するために、前記患者の呼吸周期の瞬間を判定する方法に関する。本発明による方法は、例えば、患者に対する医療処置を実行する際にオペレーターを支援することができる。方法は、
-患者の標的解剖学的ゾーンの近くに置かれる患者基準の運動を連続的に記録するステップ100であって、患者基準の運動は、患者の呼吸周期に対応するステップ100と、
-患者の前記標的解剖学的ゾーンの医用画像を、X線撮像デバイスによって取得するステップ101と、
-患者基準に位置決めされる少なくとも1つの突き止め要素、及びX線検出器から、医用画像の取得中の患者基準のいわゆる標的位置を判定するステップ102と、
-患者基準に位置決めされる少なくとも1つの突き止め要素から、患者基準のいわゆる候補位置を判定するステップ103と、
-候補位置及び標的位置を比較するステップ104と
を含む。
【0035】
ステップ100における患者基準の運動の記録を、本発明による方法の全持続期間にわたって、時間にわたって連続的に実行する。
【0036】
患者の呼吸を遮断している間、医用画像の取得のステップ101を実行することができる。患者の呼吸の遮断は、一時的であり、一旦医用画像が取得されると、患者の呼吸を遮断しない。
【0037】
代わりに、患者の呼吸を遮断することなく、医用画像の取得のこのステップ101を実行することができる。
【0038】
治療されるべき標的解剖学的ゾーンが見える、このステップ101中に取得されるこのような医用画像は、特に、オペレーター自身によって、又は医学的介入のためにオペレーターを支援する医療ロボットによって実行される医療処置をオペレーターが計画することができるように意図されている。
【0039】
突き止めデバイスによって検出されるように構成されている少なくとも1つの突き止め要素の運動、及びX線検出器によって取得されるデータから、医用画像の取得中に、患者基準の標的位置を判定する。
【0040】
候補位置を判定するステップ103の例示的な実施形態において、一旦患者基準の標的位置が判定され、医療処置の計画が準備されると、患者の呼吸を再度遮断する。患者の呼吸のこの遮断は、一時的であり、計画のために使用されている医用画像の取得中と同じ呼吸周期の段階で患者の呼吸が遮断されているかどうかを判定するために、呼吸を遮断するこの瞬間中に、患者基準のいわゆる候補位置を判定し、この候補位置を患者基準の標的位置と比較するのに必要な時間である。
【0041】
候補位置を判定するステップ103の別の例示的な実施形態において、一旦患者基準の標的位置が判定され、医療処置の計画が準備されると、患者の呼吸を遮断することなく、候補位置を判定する。候補位置が標的位置に近い瞬間を、例えば、患者の呼吸周期の予測モデルから推定することができる。
【0042】
ステップ103の例示的な実施形態は何でも、患者が同じ呼吸状態である場合にだけ、医療処置を許可して実行することができる。
【0043】
このような方法は、オペレーターが医療処置を実行することができる最適瞬間を判定することができる。従って、有利なことに、このような方法は、患者の呼吸状態が、計画のために使用されている医用画像の取得中の呼吸状態と同じである場合、医療処置を実行するので、医療挿入処置の精度を向上させることができる。
【0044】
本発明による方法は、前提条件として、呼吸周期が規則的であることを必要としない。
【0045】
有利なことに、このような方法は、単一医用画像の取得が本発明による方法を実施するのに十分であるので、患者及び医療関係者に対する放射線量を制限することもできる。
【0046】
本発明による方法は、個々に、又は技術的に実現可能な組み合わせの各々で実施される後述の特徴のうち1つ又は複数の特徴を有することもできる。
【0047】
特定の実施形態において、患者基準の候補位置が標的位置に対して所定の許容範囲内にない場合、患者基準の候補位置が標的位置に対して所定の許容範囲内になるまで、ステップ103及び104を繰り返す。
【0048】
好ましくは、許容範囲は、標的位置の±10%である。
【0049】
特定の実施形態において、X線への暴露の期間中に、即ち、医用画像の取得の期間中に、患者基準によってとられる全位置から、患者基準の標的位置を判定する。
【0050】
例えば、X線への暴露の期間中に患者基準によってとられる全位置の平均を計算することによって、標的位置を判定する。
【0051】
特定の実施形態において、候補位置が標的位置に対して所定の許容範囲内にある瞬間を、患者の呼吸周期の予測モデルから推定する。
【0052】
特定の実施形態において、特に、患者の呼吸をステップ103で一時的に遮断する必要がある瞬間を予想する場合、患者の呼吸を遮断する瞬間を、患者の呼吸周期の予測モデルから推定する。
【0053】
特定の実施形態において、候補位置と患者基準の標的位置との間の比較の結果に従って、音響信号及び/又は視覚信号を生成する。有利なことに、このような信号は、オペレーターが医療処置を実行することができるか否かをオペレーターに警告することができる。
【0054】
特定の実施形態において、標的位置を判定するステップ102と候補位置を判定するステップ103との間で、特に医療ロボットによって支援される介入を計画するステップを実行する。
【0055】
更に、本発明は、方法の実施形態のうち少なくとも1つに記載の前記方法を実施する同期化デバイスに関する。同期化デバイスは、
-患者の呼吸周期に対応する患者基準の運動を連続的に記録し、これらの運動を制御ユニットに伝送するように構成されている突き止めデバイスと、
-患者の人体に位置決めされるように意図されている患者基準であって、放射線不透過性マーカーと、突き止めデバイスによって検出可能であるように構成されている少なくとも1つの突き止め要素と、X線撮像デバイス(40)と協働するように意図されているX線検出器とを含む患者基準と、
-突き止めデバイス及び患者基準からのデータを記録する制御ユニットと
を含む。
【0056】
このような同期化デバイスは、任意の特定のX線撮像デバイスに連係されないという利点を有する。
【0057】
このような同期化デバイスは、呼吸周期が規則的であると考えることなく、医用画像の取得中に呼吸周期の段階の正確な判定を行うことができる。
【0058】
更に、このような同期化デバイスは、患者の呼吸周期の段階が医用画像の取得中に正確に知られており、患者の呼吸周期の段階を医療処置中に再生して制御することができる限りにおいて、医療処置の精度を保証することができる。
【0059】
特定の実施形態において、突き止めデバイスは、個々に、又は技術的に実現可能な全組み合わせで実施される後述の特徴のうち1つ又は複数の特徴を更に有することができる。
【0060】
特定の実施形態において、制御ユニットは、
-患者基準に位置決めされる少なくとも1つの突き止め要素のデータ、及びX線検出器のデータから、医用画像の取得中に、即ち、X線への暴露の期間中に、患者基準の位置を判定し、
-医用画像の取得中に患者基準の全位置から、患者基準のいわゆる標的位置を判定し、
-患者基準に位置決めされる少なくとも1つの突き止め要素から、患者基準のいわゆる候補位置を判定し、
-候補位置及び標的位置を比較する
ように構成されている。
【0061】
特定の実施形態において、候補位置が標的位置に対して所定の許容範囲内にない場合、制御ユニットは、候補位置が標的位置に対して所定の許容範囲内になるまで、候補位置を判定するステップ及び標的位置及び候補位置を比較するステップを繰り返すように構成されている。
【0062】
特定の実施形態において、制御ユニットは、標的位置を判定するステップと候補位置を判定するステップとの間に、医療ロボットによって支援されている介入を計画するように構成されている。
【0063】
特定の実施形態において、突き止めデバイスは、光学的突き止めデバイスであり、患者基準は、少なくとも3つの光学的突き止め要素を含む。
【0064】
特定の例示的な実施形態において、光学的突き止めデバイスは、赤外線立体カメラであり、光学的突き止め要素は、反射球である。
【0065】
特定の実施形態において、突き止めデバイスは、電磁気的突き止めデバイスであり、患者基準は、少なくとも1つの電磁気的突き止め要素を有する。
【0066】
特定の例示的な実施形態において、電磁気的突き止めデバイスは、電磁場発生器であり、少なくとも1つの電磁気的突き止め要素は、少なくとも2つの導電コイルを有する。
【0067】
特定の実施形態において、X線検出器は、線量計又はシンチレータである。
【0068】
特定の実施形態において、同期化デバイスは、候補位置と標的位置との間の比較の結果を音響信号及び/又は視覚信号の形でオペレーターに通知するように構成されている人間機械インターフェース器具を有する。
【0069】
特定の例示的な実施形態において、人間機械インターフェース器具は、表示画面である。
【0070】
更に、本発明は、医療ロボットと、同期化デバイスの実施形態のうち少なくとも1つに記載の同期化デバイス、及び方法の実施形態のうち少なくとも1つに記載の方法による同期化デバイスとを含む組立体であって、医療ロボットは、ベースと、一端がベースに接続されている多関節アームと、制御ユニットとを有する、組立体に関する。
【0071】
特定の実施形態において、組立体は、個々に、又は技術的に実現可能な全組み合わせで実施される後述の特徴のうち1つ又は複数の特徴を更に有することができる。
【0072】
特定の例示的な実施形態において、医療ロボットの制御ユニット及び同期化デバイスの制御ユニットは、同一の制御ユニットを形成する。
【0073】
特定の例示的な実施形態において、医療ロボットは、人間機械インターフェース器具を有する。
【0074】
図面の提示
本発明の特徴及び利点は、図1図7を参照して、一例として単に与えられ、本発明を決して限定しない、下記の実施形態に照らしてより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1】本発明による同期化デバイス及び医療ロボットの略図を示す。
図2】患者基準の例示的な実施形態を示す。
図3】同期化デバイスの患者基準の別の例示的な実施形態を示す。
図4】患者に位置決めされる患者基準の時間にわたる運動のカメラによる記録を示す。
図5】患者に位置決めされる患者基準の時間にわたる運動を例示する曲線を示す。
図6】医用画像の取得中の患者に位置決めされる患者基準の時間にわたる運動を例示する曲線を示す。
図7】本発明による方法の異なるステップを例示する曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0076】
発明の実施形態の詳細な説明
医学的介入を支援するために、特に、医療処置を行う際にオペレーターを誘導するために、患者の呼吸周期における瞬間を判定する方法に関する。医学的介入は、例えば、患者の人体の標的解剖学的ゾーンにおける低侵襲タイプの医学的介入である。
【0077】
まず、本発明による方法を実施することができるデバイスの例示的な実施形態について、図1に概略的に説明及び例示する。図1は、手術台2に横たわる患者1も示す。
【0078】
好ましくは、同期化デバイスは、図1に例示のように、X線撮像デバイス40に関連付けられるようにする。
【0079】
既知の方法で、X線撮像デバイス40は、特に、治療されるべき標的解剖学的ゾーンが見える患者の医用画像を取得するように構成されている。この医用画像は、オペレーター、又は医学的介入でオペレーターを支援する医療ロボットの処置を計画することもできる。医用画像を使用して、医療機器が標的解剖学的ゾーンに対してとるべきである位置を判定することができる。
【0080】
有利なことに、本発明による同期化デバイスは、任意のタイプの医療X線撮像デバイス40で動作することができる。
【0081】
X線撮像デバイス40の限定されない例において、特に、コンピュータ断層撮影装置、又はCBCT撮像装置(「円錐ビームコンピュータ断層撮影(Cone Beam Computed Tomography)」の頭字語)について説明する。
【0082】
更に好ましくは、同期化デバイスは、図1に例示のように、医療ロボット50に関連付けられるようにする。医療ロボット50は、医学的介入中にオペレーターによって行われる処置を支援するように構成されている。このような医療ロボットは、とりわけ、専門家が、医療機器を位置決めし、維持し、又は誘導するのに役立つことができる。医療ロボットの例を、ほんの一例として後述する。
【0083】
同期化デバイスは、下記を含む。
-患者1に位置決めされるように意図されている要素、以下、患者基準10と呼ばれる要素
-突き止めデバイス20
-突き止めデバイス20から来るデータ、及び患者基準10から来るデータを受信して処理するように構成されている制御ユニット30
【0084】
制御ユニット30は、通信の有線又は無線手段を介して、X線撮像デバイス40によって取得された医用画像を受信して前記画像を記憶するように更に構成されている。
【0085】
患者基準10は、患者の標的解剖学的ゾーンに近い、患者1の人体に位置決めされるように意図されている。患者基準10の運動が患者の呼吸運動に追従するように、患者基準10を患者の人体に位置決めする。
【0086】
患者基準10は、一方では、突き止めデバイス20によって見ることができ、他方では、X線撮像デバイス40によって取得された患者の医用画像で検出することができるように構成されている。
【0087】
有利なことに、患者基準10は、医用画像で検出可能であるように構成されている、図2及び図3に例示のような放射線不透過性マーカー11を有する。好ましくは、放射線不透過性マーカー11の数は、少なくとも3つである。医用画像上の標的解剖学的ゾーンに対する患者基準10の位置を正確に判定することができるために、前記放射線不透過性マーカー11の形状及び各位置は既知である。
【0088】
放射線不透過性マーカー11の好ましい例示的な実施形態において、前記放射線不透過性マーカー11は、放射線不透過性セラミック球又は放射線不透過性金属球である。
【0089】
更に、患者基準10は、突き止めデバイス20によって見ることができるように構成されている、図2及び図3に例示のような少なくとも1つの突き止め要素12を有する。少なくとも1つの突き止め要素12は、突き止めデバイス20と協働する。
【0090】
患者基準10上の少なくとも1つの突き止め要素12のタイプは、使用される突き止めデバイス20に左右される。少なくとも1つの突き止め要素12について、関連突き止めデバイス20に関してより正確に後述する。
【0091】
更に、患者基準10は、図2及び図3に例示のようなX線検出器13を有する。X線検出器13は、X線撮像デバイス40と協働するように意図されている。X線放出が行われている場合、即ち、医用画像が撮影されている場合、X線検出器13は、検出するように構成されている。
【0092】
図2に示すような例示的な実施形態において、X線検出器13は、線量計である。線量計は、照射線量を測定することができるセンサーを意味する。線量計は、特に、X線の有無を検出することができる。線量計は、時間にわたって受信されるX線の線量を示すこともできる。例示的な実施形態において、線量計のタイプは、シリコンで構成され、X線に敏感であるPINフォトダイオードタイプである。線量計は、有線通信手段を介して、X線の有無に関するデータ、及び時間にわたって受信されるX線の線量を、制御ユニット30に伝送するように構成されている。
【0093】
図3に例示のような別の例示的な実施形態において、X線検出器13は、シンチレータである。シンチレータは、X線撮像デバイス40によって放出されるX線を吸収し、カメラによって検出可能な光信号を放出する材料を意味するものとする。シンチレータの1つの例において、シンチレータは、CsI(TI)タイプ(タリウムがドープされたヨウ化セシウム)の無機シンチレータである。カメラは、時間にわたるX線の有無に関するデータを制御ユニット30に伝送するように構成されている。
【0094】
制御ユニット30は、X線検出器によって伝送されるデータを受信して記憶する。
【0095】
突き止めデバイス20は、前記突き止めデバイスの基準フレーム内で、患者基準10の時間位置に関するデータを取得するように構成されている。
【0096】
患者1の呼吸運動による患者基準10の運動を、前記患者基準に位置決めされた少なくとも1つの突き止め要素12に基づいて突き止めデバイス20によって追跡して記録する。
【0097】
一実施形態において、突き止めデバイスは、光学的突き止めデバイス、好ましくはカメラ20である。
【0098】
限定されない例において、カメラは、下記であることができる。
-赤外線立体カメラ
-構造化光カメラ
-飛行時間カメラ(又は「ToFカメラ」)
-深度測定カメラ(例えば、RGB-Dカメラ)など
【0099】
好ましくは、カメラ20を、患者基準10に位置決めされた少なくとも3つの光学的突き止め要素に連結する。
【0100】
一実施形態において、光学的突き止め要素は、受動マーカー、例えば、反射球である。
【0101】
別の実施形態において、光学的突き止め要素は、能動マーカー、例えば、赤外光を放出する要素である。
【0102】
1つの例示的な実施形態において、カメラ20が赤外線立体カメラである場合、光学的突き止め要素12は、反射球である。
【0103】
光学的突き止め要素の寸法は、既知であり、光学的突き止め要素を、既知の形状に従って患者基準10に置く。
【0104】
医学的介入中にオペレーターを支援するために、医療ロボット50を使用する場合、好ましくは患者基準に位置決めされた光学的突き止め要素と同じタイプの光学的突き止め要素を、医療ロボットに位置決めする。
【0105】
患者基準10の光学的突き止め要素12、及び必要に応じて医療ロボットの光学的突き止め要素を、前記カメラの測定ゾーンに設置するような方法で、カメラ20を配置する。
【0106】
カメラ20は、連続画像取得を実行するように構成されており、前記画像は、光学的突き止め要素12の座標、従って、患者基準の座標及び必要に応じて医療ロボットの座標に関する情報を含む。患者基準の座標をそこで処理し、時間にわたる患者基準の位置、及び必要に応じてロボットの位置を判定するために、患者基準の座標を、制御ユニット30に連続的に伝送する。
【0107】
光学的突き止め要素12及び光学的突き止めデバイスは、光学的ナビゲーションシステムを形成する。
【0108】
別の実施形態において、突き止めデバイスは、電磁場発生器を有する電磁気的突き止めデバイスである。
【0109】
好ましくは、電磁場発生器を、患者基準10に位置決めされた電磁センサーと呼ばれる少なくとも1つの電磁気的突き止め要素12に連結する。
【0110】
少なくとも1つの電磁センサーは、例えば、前記少なくとも1つの電磁センサーが外部電磁場を受けた場合、6自由度を測定するように構成可能な少なくとも2つの導電コイルを有する。少なくとも1つの電磁センサーの各コイルは、電磁場に対するコイルの位置及び向きに左右される特性を有する誘導電気信号を生成する。
【0111】
少なくとも1つの電磁センサーのコイルを、既知の形状に従って患者基準10に置く。
【0112】
患者基準10の少なくとも1つの電磁センサーを前記電磁場発生器の測定ゾーンに設置するような方法で、電磁場発生器を配置する。
【0113】
電磁場発生器及び少なくとも1つの電磁センサー12は、患者基準の少なくとも1つの電磁センサー12の位置に関するデータを連続的に取得することができる。
【0114】
少なくとも1つの電磁センサー12によって取得されたデータをそこで処理し、患者基準10の位置を判定するために、少なくとも1つの電磁センサー12によって取得されたデータを、制御ユニット30に伝送する。
【0115】
このような医療ロボットを医学的介入のために使用することを想定する場合、1つ又は複数の電磁センサーを、医療ロボットに位置決めすることもできる。好ましくは、これらの1つ又は複数の電磁センサーのタイプは、患者基準10に位置決めされた電磁センサーと同じタイプである。同様に、1つ又は複数の電磁センサーによって取得されたデータをそこで処理し、医療ロボットの位置を判定するために、1つ又は複数の電磁センサーによって取得されたデータを、制御ユニット30に伝送する。
【0116】
1つ又は複数の電磁センサー及び電磁気的突き止めデバイスは、電磁気的ナビゲーションシステムを形成する。
【0117】
電磁気的突き止めデバイスを選択する場合、カメラを必要としない。従って、X線検出器として、シンチレータ(カメラを必要とする)ではなく、線量計を使用することが好ましい。
【0118】
制御ユニット30は、突き止めデバイスによって伝送されたデータ、及び患者基準のデータ、及び更に、時間にわたって患者基準によって受信されたX線の線量、又はX線の有無に関するX線検出器によって伝送されたデータを同時に受信して記録する。制御ユニット30は、後述するように、(患者の呼吸を遮断する場合、及び患者の呼吸を遮断しない場合)特に医用画像の取得中に、患者基準10の位置を判定するように構成されている。
【0119】
好ましくは、制御ユニット30は、特に、医用画像、及び時間にわたる患者基準の様々な位置を記録するメモリモジュール31を有する。
【0120】
好ましくは、同期化デバイスは、人間機械インターフェース器具32を有する。1つの例示的な実施形態において、人間機械インターフェース器具は、表示画面、好ましくは、タッチスクリーンである。
【0121】
時間にわたって、医用画像、又は患者基準10の位置の漸進的変化を表示するために、人間機械インターフェース器具32を使用することができる。
【0122】
同期化デバイスは、表示灯、例えば、発光ダイオード(LED)を有することができる。前記表示灯を、人間機械インターフェース器具の近くに位置決めすることができる。有利なことに、同期化デバイスの表示灯は、医学的介入時に視覚情報(又は視覚信号)をオペレーターに伝送するように構成されている。
【0123】
同期化デバイスは、警報を有することができる。有利なことに、前記警報は、医学的介入時に音響情報(又は音響信号)をオペレーターに伝送するように構成されている。
【0124】
上述のように、同期化デバイスを、医療ロボットに関連付けることもできる。
【0125】
図1は、医療ロボットの例を示す。医療ロボットは、ベースを有する。医療ロボットのベースに、車輪を搭載することができる。図1に例示のように、これにより、医療ロボットは、並進運動及び/又は回転運動によって異なる方向に移動することができる。医療ロボットは、一端がベースに接続されている多関節アーム51を有する。医療機器を、多関節アーム51の自由端(末端と呼ばれる)でツールホルダーに装着することができる。好ましくは、三次元空間で医療機器を位置決めする及び/又は移動させることができるために、多関節アーム51は、少なくとも6自由度を有する。多関節アームは、例えば、1つ又は複数の関節を有することができる。
【0126】
多関節アーム51を、医療ロボットの制御ユニットによって制御する。
【0127】
一実施形態において、同期化デバイスの制御ユニット30及び医療ロボットの制御ユニットは、離れているが、互いに連係されている。
【0128】
別の実施形態において、図1に例示のように、同期化デバイスの制御ユニット30及び医療ロボットの制御ユニットは、同一の制御ユニットを形成する。
【0129】
オペレーターが、ロボットデバイスを制御し、任意選択的に、実行されるべき医療処置に関する画像を見ることができるために、医療ロボット50は、人間機械インターフェース器具を有することができる。
【0130】
好ましい実施形態において、同期化デバイスの人間機械インターフェース器具32及び医療ロボットの人間機械インターフェース器具は、同一の人間機械インターフェース器具を形成する。
【0131】
医療ロボットは、表示灯、例えば、発光ダイオード(LED)を有することもできる。前記表示灯を、多関節アーム、例えば、多関節アームの末端に位置決めすることができる。医療ロボットの前記表示灯は、医学的介入時に視覚情報をオペレーターに伝送するように構成されている。
【0132】
好ましい実施形態において、同期化デバイスの表示灯及び医療ロボットの表示灯は、同一の表示灯を形成する。
【0133】
医療ロボットは、警報を有することもできる。有利なことに、前記警報は、医学的介入時に音響情報(又は音響信号)をオペレーターに伝送するように構成されている。
【0134】
好ましい実施形態において、同期化デバイスの警報及び医療ロボットの警報は、同一の警報を形成する。
【0135】
同期化デバイス及び医療ロボットは、組立体を形成する。組立体は、X線撮像デバイス40を含むこともできる。
【0136】
さて、本発明による医学的介入を支援するために、患者の呼吸周期における瞬間を判定する方法について、説明する。このような方法の目的は、医療処置(例えば、患者1の人体への医療機器の挿入)を実行する最適時期を医学的介入中にオペレーターに通知することである。
【0137】
医療処置(例えば、患者1の標的解剖学的ゾーンへの針の挿入)を、本発明による方法の後にだけオペレーターによって実行することが分かる。従って、このような医療処置の実行は、本発明による方法の一部でない。
【0138】
方法を実行する前の、介入に対して計画された日に、患者基準10を、治療されるべき患者1の標的解剖学的ゾーンのレベルで患者の人体に位置決めする。次に、患者は、手術台に置かれ、又は事前に置かれている。患者基準10の運動は、患者の呼吸周期に対応すると考えられる。
【0139】
光学的突き止めデバイス(具体的には、カメラ)の場合、方法を説明する。カメラ20は、患者基準10をカメラの測定ゾーン内に設置するような方法で患者に対して設置されると考えられる。
【0140】
最後に、オペレーターが支援のために医療ロボットを使用する場合、前記医療ロボットの多関節アームが、患者の標的解剖学的ゾーンで実行されるべき全動作を達成することができる位置で、患者の近くに医療ロボットを置くと考えられる。
【0141】
第1のステップ100で、患者基準10の運動を連続的に記録する。
【0142】
患者基準の運動を、カメラによって視覚化する。
【0143】
例示的な実施形態において、カメラ20は、カメラの測定ゾーンの画像を連続的に取得し、患者基準10に置かれた光学的突き止め要素12を用いて、患者基準の座標を、各画像に対して判定する。
【0144】
患者基準の座標を処理してメモリモジュール31に記録するために、カメラは、患者基準の座標を制御ユニット30に連続的に伝送する。
【0145】
好ましくは、カメラは、本発明による方法の少なくとも全持続期間にわたって、画像を取得する。
【0146】
各画像における患者基準の座標は、カメラの基準フレーム内の患者基準の位置に対応する。
【0147】
第2のステップ101で、患者の標的解剖学的ゾーンの医用画像、即ち、術中画像を取得する。
【0148】
第1の実施形態において、医用画像を取得している間、患者の呼吸は遮断されている。
【0149】
この第1のモードの第1の段階において、患者の呼吸を遮断する。
【0150】
この第1の段階の例示的な実施形態において、患者が全身麻酔下にある場合、例えば、吸息の終わり又は呼息の終わりに、麻酔デバイスの人工呼吸器を、一時的に切断する。患者は、いわゆる制御無呼吸に置かれる。
【0151】
この第1の段階の別の例示的な実施形態において、患者が局所麻酔下にある場合、例えば、吸息の終わり又は呼息の終わりに、息こらえの状態になるように患者に頼む。
【0152】
この第1のモードの第2の段階において、患者の術中医用画像を取得する。
【0153】
術中医用画像を、X線撮像デバイス40によって撮影する。X線撮像デバイス40(例えば、コンピュータ断層撮影)は、始動され、患者、特に、標的解剖学的ゾーンの方向にX線を放出する。
【0154】
X線撮像デバイスからの術中医用画像を、同期化デバイスの制御ユニット30のメモリモジュール31に伝送して記憶する。更に、術中医用画像を、人間機械インターフェース器具32に表示する。
【0155】
この術中医用画像の上で、放射線不透過性マーカー11の検出を介して、患者基準10を標的解剖学的ゾーンと区別することができる。
【0156】
X線撮像デバイス40によるX線の放出中に、同期化デバイスの患者基準10がシンチレータを含む場合、前記X線撮像デバイス40によって放出された前記X線を、前記シンチレータによって吸収する。この吸収に応じて、シンチレータは、カメラによって検出される光信号を放出する。
【0157】
X線の有無に関するデータを、カメラ20によって制御ユニット30に伝送する。
【0158】
変型例の実施形態において、X線撮像デバイス40によるX線の放出中に、同期化デバイスの患者基準10が線量計を含む場合、前記X線撮像デバイス40によって放出されたX線を、前記線量計によって吸収する。この吸収に応じて、線量計は、線量計が吸収するX線の線量を記録する。
【0159】
線量計によって単位時間毎に受信されるX線の線量に関するデータを、線量計によって制御ユニット30に伝送する。
【0160】
この第1の実施形態の第3の段階において、術中医用画像の取得の後、患者の呼吸を遮断しない。
【0161】
この第3の段階の例示的な実施形態において、患者が全身麻酔下にある場合、人工呼吸器を再接続する。
【0162】
この第3の段階の別の例示的な実施形態において、患者が局所麻酔下にある場合、再度呼吸を始めるように患者に頼む。
【0163】
第2の実施形態において、医用画像の取得中に、患者の呼吸は遮断されていない。
【0164】
この場合、第1の実施形態の第2の段階の方法に等しい方法で、画像を取得する。医用画像の取得中に、患者は、正常に呼吸する。
【0165】
方法の第3のステップ102で、術中医用画像の取得中の患者基準10の標的位置を判定する。
【0166】
制御ユニット30は、カメラの基準フレームにおける患者基準の座標を連続的に受信し、座標から時間にわたって患者基準の位置、従って、患者の呼吸周期を推測することができる。
【0167】
患者基準10の座標、従って、患者基準の位置を、カメラの基準フレームで取得する。しかし、地面に対する向きに左右される患者基準は、地面に垂直な垂直運動に必ずしも追従するとは限らない。更に、カメラのX軸が地面に必ずしも垂直であるとは限らないように、カメラは、方向付けられていることがある。患者基準の運動を、カメラの各軸上の成分によって表すことができる。
【0168】
図4は、カメラによって1分間撮影された、患者に対する患者基準の運動の実際の記録の例を示す。各点は、XY平面内の患者基準の時間にわたる位置に対応する。この例において、患者基準の運動は、図4における点線で描かれた軸に沿って行われることが分かる。
【0169】
患者基準の運動を一層良く説明するために、患者の呼吸周期の類推によって、患者基準、従って、時間にわたる患者の呼吸周期の振動運動を例示する一次元曲線を取得することが好ましい。この一次元曲線を取得する様々な方法がある。このような方法は、当業者に知られていると考えられる。
【0170】
特に、患者基準の運動が垂直であると考える、及びカメラのX軸が地面に垂直でない場合でもカメラのX軸だけを考えることである方法について説明する。しかし、この場合、患者基準の運動の範囲の一部が失われる。
【0171】
更に、患者基準の位置の主成分分析を実行することである一層正確な方法について説明する。これらの位置を、呼吸運動が行われる軸に対応する主成分(例えば、図4における点線で示す)と呼ばれる運動の主軸に対して分析する。この主成分に従って、患者基準の位置を表示する。このような方法により、患者の呼吸運動が同じである場合でも、患者基準の座標の変更を生じることがあるカメラのあり得る運動を回避することができる。
【0172】
図5における実線の曲線は、患者基準の運動の表現、従って、時間にわたる患者の呼吸周期の表現の例を示す。
【0173】
この曲線を、人間機械インターフェース器具32に表示することができる。同時に、他方では、制御ユニットは、X線検出器13から情報を連続的に受信する。
【0174】
患者基準10がシンチレータを含む場合、制御ユニットは、更にカメラから、X線の有無に関するデータを受信する。制御ユニット30は、X線が検出されている患者基準の位置を判定し、これらの位置をメモリモジュール31に記憶する。
【0175】
患者基準10が線量計を含む場合、制御ユニットは、有線通信手段を介して前記線量計から、線量計が受信しているX線量に関するデータを受信する。制御ユニット30は、X線量が0を超える患者基準の位置を判定し、これらの位置をメモリモジュール31に記憶する。
【0176】
メモリモジュール31に記憶された位置は、X線への暴露の期間中、即ち、医用画像の取得中の位置に対応する。
【0177】
X線への暴露の期間中に、患者の呼吸を遮断する場合であろうと患者の呼吸を遮断しない場合であろうと、患者基準の幾つかの位置を一般的に検出する。これらの位置は、必ずしも同じである必要はないが、図6に例示のように、互いに非常に近い。これらの位置は、患者の呼吸を遮断する時に、互いに益々近い。
【0178】
医用画像の取得中に患者基準の標的位置を取得するために、1つの解決策は、X線への暴露の期間中に判定された前記位置の平均をとることである。有利なことに、この解決策は、カメラの測定ノイズを回避することができる。
【0179】
患者基準が線量計を含む場合にだけ適用できる別の解決策は、X線への暴露の期間中に判定され、各位置で受信されたX線量によって重み付けされた前記位置の平均をとることである。
【0180】
別の解決策は、X線への暴露の期間中に判定された前記位置のメジアンを計算することである。有利なことに、この解決策は、異常な位置を克服することができる。
【0181】
医用画像の取得中に点物体によって時間にわたって受信された線量曲線の演繹的知識に基づいて、別の解決策は、暴露の特定の段階中に患者基準の位置又は複数の位置を判定することである。この解決策は、医用画像の形成に対して最大の寄与を行う暴露の段階中に患者基準の位置を正確に選択することができる。
【0182】
この第3のステップ102の最後に、術中医用画像の取得中の患者基準10の標的位置を判定する。
【0183】
患者基準10の運動は、患者の呼吸周期の運動に等しく、患者基準10の標的位置は、時間にわたる呼吸周期のいわゆる標的段階に対応する。
【0184】
さて、オペレーターは、医用画像から医学的介入(例えば、患者の人体への針の挿入)を計画することができる。
【0185】
一実施形態において、オペレーター自身は、医療挿入処置を実行する。
【0186】
別の実施形態において、オペレーターを、医療ロボット50によって支援し、医療処置を、前記医療ロボットによって実行する。次に、医療ロボット50は、制御ユニット30のメモリモジュール31に記憶された介入計画に従って構成されている。医療ロボット自体は、介入計画に従って、及び光学的ナビゲーションシステムによって、患者に対して位置決めされる。
【0187】
介入計画を、医用画像から生成する。
【0188】
例示的な実施形態において、介入計画を、方法の第2のステップ101中にX線撮像デバイス40によって取得された術中医用画像から生成する。
【0189】
別の例示的な実施形態において、介入計画を、いわゆる術前医用画像から生成する。この術前医用画像は、医学的介入の前に、例えば、医学的介入の数日前又は数時間前に、撮影されている。この場合、介入時における患者の関心のある解剖学的組織の実際の位置は、術前計画段階中に予測又はモデル化されている位置に必ずしも対応するとは限らない。従って、介入時に患者1の標的解剖学的ゾーンの位置を正確に示す術中画像を用いて、標的解剖学的ゾーンで実行されるべき動作を計画する術前画像を再調整することができるのが有利である。
【0190】
1つの画像を別の画像に再調整する様々な方法がある。このような方法は、当業者に知られていると考えられる。
【0191】
第4のステップ103で、患者基準10の候補位置を判定する。
【0192】
この第4のステップの第1の実施形態において、患者の呼吸の一時的な遮断中に、候補位置を判定する。
【0193】
この第1の実施形態の第1の段階において、患者の呼吸を再度遮断する。好ましくは、医用画像の取得中と呼吸周期の同じ段階で、呼吸を遮断すべきである。
【0194】
この第1の段階の例示的な実施形態において、例えば、患者が全身麻酔下にある場合、患者の呼吸を遮断すべき時を決定するために、医用画像の取得のために呼吸を遮断した場合、肺の位置と実質的に同じ位置に肺を位置決めすることによって、オペレーターは、例えば、麻酔システムの人工呼吸器の肺の位置を当てにすることができる。
【0195】
この第1の段階の別の例示的な実施形態において、患者の呼吸周期の予測モデルを使用することができる。時間にわたる患者基準の運動、従って、患者の呼吸運動の記録から、呼吸周期の予測モデルを推定することができる。この予測モデルを、制御ユニット30によって判定する。
【0196】
図5は、患者基準の時間にわたる予測位置、従って、患者の予測呼吸周期を、破線で例示する。
【0197】
この予測から、患者の呼吸を遮断すべきである瞬間を予想することができる。
【0198】
制御ユニット30は、例えば、音響信号又は視覚信号の形で、オペレーターが患者の呼吸を遮断することができることを示す情報をオペレーターに伝送することができる。
【0199】
第1の実施形態の第2の段階において、患者の呼吸を遮断した後、患者基準10の候補位置を判定する。
【0200】
この候補位置を、方法の第3のステップ102中に記載のように、カメラによって取得される患者基準の座標から判定する。
【0201】
第4のステップの第2の実施形態において、患者の呼吸を一時的にでも遮断することなく、候補位置を判定する。
【0202】
この第2の段階の例示的な実施形態において、患者の呼吸周期の予測モデルを使用することができる。時間にわたる患者基準の運動、従って、患者の呼吸運動の記録から、呼吸周期の予測モデルを推定することができる。この予測モデルを、制御ユニット30によって判定する。
【0203】
この予測から、患者基準が標的位置に近い瞬間を予想することができる。
【0204】
次に、患者基準10の候補位置を判定する。この候補位置を、方法の第3のステップ102中に記載のように、カメラによって取得される患者基準の座標から判定する。
【0205】
第5のステップ104で、患者基準10の候補位置を、標的位置と比較する。
【0206】
メモリモジュール31に記憶される、標的位置との候補位置の比較を、制御ユニットによって実行する。
【0207】
患者の呼吸の遮断中に候補位置を判定する場合(第4のステップの第1の実施形態)
患者基準10の候補位置が標的位置に対して所定の許容範囲内にある場合、適切な瞬間に、即ち、医用画像の取得中と呼吸周期の同じ段階で、患者の呼吸は遮断されていると考えられる。許容範囲は、好ましくは標的位置の±10%、より好ましくは標的位置の±5%である。次に、介入を開始することができること、即ち、医療処置(例えば、患者の標的解剖学的ゾーンの方への医療機器の挿入)を実行するために時期が最適であることを合図するために、情報を伝送する。
【0208】
1つの例示的な実施形態において、情報をオペレーターに伝送する。
【0209】
この情報は、例えば、オペレーターを前記医療ロボットによって支援する場合、人間機械インターフェース器具32で、及び/又はLEDタイプの表示灯(例えば、医療ロボットの表示灯)を介して、同期化デバイスの表示灯を介した音響信号、及び/又は同期化デバイスの警報を介した視覚信号の形で、伝送可能である。同期化デバイス及び/又は医療ロボットの表示灯は、例えば、固定色の光を放出することができる。
【0210】
別の例示的な実施形態において、オペレーターを医療ロボット50によって支援する場合、情報を医療ロボットに直接伝送する。医療処置を、医療ロボットによって、自動的に作動させて実行する。医学的介入が完了すると、患者の呼吸を遮断しない。
【0211】
患者基準10の候補位置が標的位置に対して所定の許容範囲内にない場合、医用画像の取得中と呼吸周期の同じ段階で、患者の呼吸は遮断されていないと考えられる。次に、オペレーターが手術を開始しないように、即ち、医療処置を実行するために時期が最適でないことを合図するために、情報をオペレーターに伝送する。この情報は、例えば、オペレーターを前記医療ロボットによって支援する場合、人間機械インターフェース器具32で、又はLEDタイプの表示灯(例えば、医療ロボットの表示灯)を介して、同期化デバイスの警報を介した音響信号、又は同期化デバイスの表示灯を介した視覚信号の形で、伝送可能である。同期化デバイス及び/又は医療ロボットの表示灯は、例えば、点滅色光を放出することができる。
【0212】
次に、患者の呼吸を遮断しない。
【0213】
患者基準10の候補位置が標的位置に対して所定の許容範囲内になるまで、ステップ103及び104を繰り返す。
【0214】
医学的介入が完了すると、患者の呼吸を遮断しない。
【0215】
患者の呼吸を遮断することなく候補位置を判定する場合(第4のステップの第2の実施形態)
患者基準10の候補位置が標的位置に対して所定の許容範囲内にある場合、患者の呼吸周期の段階は、医用画像の取得中と呼吸周期の同じ段階に近いと考えられる。許容範囲は、例えば、標的位置の±10%の間、好ましくは標的位置の±5%の間、又はより好ましくは標的位置の-10%~-5%との間である。次に、介入を開始することができること、即ち、医療処置(例えば、患者の標的解剖学的ゾーンの方への医療機器の挿入)を実行するために時期が最適であることを合図するために、情報を伝送する。
【0216】
1つの例示的な実施形態において、情報をオペレーターに伝送する。この情報は、例えば、オペレーターを前記医療ロボットによって支援する場合、人間機械インターフェース器具32で、及び/又はLEDタイプの表示灯(例えば、医療ロボットの表示灯)を介して、同期化デバイスの表示灯を介した音響信号、及び/又は同期化デバイスの警報を介した視覚信号の形で、伝送可能である。同期化デバイス及び/又は医療ロボットの表示灯は、例えば、固定色の光を放出することができる。
【0217】
別の例示的な実施形態において、オペレーターを医療ロボット50によって支援する場合、情報を医療ロボットに直接伝送する。医療処置を、医療ロボットによって、自動的に作動させて実行する。
【0218】
患者基準10の候補位置が標的位置に対して所定の許容範囲内にない場合、患者の呼吸周期の段階は、呼吸周期の開始時に、医用画像の取得中と呼吸周期の同じ段階に近いと考えられる。次に、オペレーターが手術を開始しないように、即ち、医療処置を実行するために時期が最適でないことを合図するために、情報をオペレーターに伝送する。この情報は、例えば、オペレーターを前記医療ロボットによって支援する場合、人間機械インターフェース器具32で、又はLEDタイプの表示灯(例えば、医療ロボットの表示灯)を介して、同期化デバイスの警報を介した音響信号、又は同期化デバイスの表示灯を介した視覚信号の形で、伝送可能である。同期化デバイス及び/又は医療ロボットの表示灯は、例えば、点滅色光を放出することができる。
【0219】
呼吸をまだ遮断することなく、患者基準10の候補位置が標的位置に対して所定の許容範囲内になるまで、ステップ103及び104を繰り返す。
【0220】
上述のように考えられている方法及び同期化デバイスの実施形態は、限定されない例として説明されており、従って、他の変型例を想定することができる。
【0221】
特に、方法は、光学的突き止めデバイス(具体的には、カメラ)の場合、説明されている。方法を、本発明の範囲から逸脱することなく、類推によって、電磁気的突き止めデバイスに適用することができる。
【0222】
様々な特徴及び特徴の利点によって、本発明が設定目的を達成することを、以上の説明は明確に示す。特に、方法は、医用画像の取得中に患者の呼吸周期の正確な瞬間を検出し、医療処置を実行する際にオペレーターを支援するために、呼吸周期の最適瞬間を判定することができる。
図1
図2
図3
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図5
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図7