IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中国石油化工股▲ふん▼有限公司の特許一覧 ▶ 中国石油化工股▲ふん▼有限公司石油化工科学研究院の特許一覧

特許7535055プロピレン製造を増大させた接触転換プロセスおよびシステム
<>
  • 特許-プロピレン製造を増大させた接触転換プロセスおよびシステム 図1
  • 特許-プロピレン製造を増大させた接触転換プロセスおよびシステム 図2
  • 特許-プロピレン製造を増大させた接触転換プロセスおよびシステム 図3
  • 特許-プロピレン製造を増大させた接触転換プロセスおよびシステム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-08-06
(45)【発行日】2024-08-15
(54)【発明の名称】プロピレン製造を増大させた接触転換プロセスおよびシステム
(51)【国際特許分類】
   C07C 4/06 20060101AFI20240807BHJP
   C07C 11/06 20060101ALI20240807BHJP
   C07B 37/06 20060101ALI20240807BHJP
   B01J 29/88 20060101ALN20240807BHJP
   B01J 29/85 20060101ALN20240807BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240807BHJP
【FI】
C07C4/06
C07C11/06
C07B37/06
B01J29/88 M
B01J29/85 M
C07B61/00 300
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021556787
(86)(22)【出願日】2020-03-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-08
(86)【国際出願番号】 CN2020079655
(87)【国際公開番号】W WO2020192490
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】201910224119.X
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】509059424
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司石油化工科学研究院
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】許友好
(72)【発明者】
【氏名】白旭輝
(72)【発明者】
【氏名】温朗友
(72)【発明者】
【氏名】王新
(72)【発明者】
【氏名】何鳴元
【審査官】岩田 行剛
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109369319(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103131463(CN,A)
【文献】特表2005-520874(JP,A)
【文献】国際公開第03/078364(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第1670133(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第1923971(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0376090(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0134058(US,A1)
【文献】特表2008-524421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロピレンの製造プロセスであって、以下の工程:
1)4以上の炭素原子を有するオレフィンを含む出発材料を提供する工程と;
2)前記出発材料を前処理して、3×2の炭素原子を有するオレフィン(nは1~3の整数)を含むプロピレン前駆体を得る工程と;
3)前記プロピレン前駆体を接触分解反応に供して、プロピレンを含む反応生成物を得る工程と;
を含み、工程2)の前処理は、以下の2a)および2b)の両方:
2a)前記出発材料を分離して、3×2の炭素原子を有するオレフィンを含む第1のプロピレン前駆体、および/または以下のフラクションのうちの1つ以上:
オレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、およびCオレフィンを含むフラクション;
を得る、前処理;
2b)前記出発材料またはそのフラクションをオレフィンオリゴマー化反応に供し、また、任意で、得られたオリゴマー化生成物を分離して、3×2の炭素原子を有するオレフィンを含む第2のプロピレン前駆体(式中、mは2~3の整数である)を得る、前処理;
を含み、
前記分離工程2a)において、得られる前記第1のプロピレン前駆体が、前記第1のプロピレン前駆体の重量に基づいて40重量%以上のCオレフィン含有量を有し、
前記オリゴマー化工程2b)において、得られる前記第2のプロピレン前駆体は、第2のプロピレン前駆体の重量に基づいて40重量%以上のC12オレフィン含有量を有する、製造プロセス。
【請求項2】
前記オリゴマー化処理2b)が、以下のいずれか1つ以上:
b1)前記出発材料のCオレフィンを含むフラクションをオレフィンオリゴマー化反応に供し、また、任意で、得られたオリゴマー化生成物を分離して、C12オレフィンを含む第2のプロピレン前駆体を得ること;
b2)前記Cオレフィンを含むフラクションを前記出発材料の前記Cオレフィンを含むフラクションと組み合わせてオリゴマー化供給原料を得て、前記オリゴマー化供給原料をオリゴマー化反応に供し、また、任意で、得られたオリゴマー化生成物を分離して、C12オレフィンを含む第2のプロピレン前駆体を得ること;
b3)前記Cオレフィンを含むフラクションを前記出発材料の前記Cオレフィンを含むフラクションと組み合わせてオリゴマー化供給原料を提供し、前記オリゴマー化供給原料をオリゴマー化反応に供し、また、任意で、得られたオリゴマー化生成物を分離して、C12オレフィンを含む第2のプロピレン前駆体を得ること;
を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
各工程の前記オリゴマー化反応が、オリゴマー化触媒の存在下、および以下の条件:
50~550℃の温度、0.2~8.0MPaの圧力、および0.1~10h-1の重量時間空間速度、ならびにそれぞれの工程で使用される前記オリゴマー化触媒は、リン酸触媒、酸性樹脂、シリカ-アルミナ固体酸触媒、ゼオライト固体酸触媒、およびこれらの組み合わせからなる群から独立して選択される;
前記オリゴマー化工程b2)において、前記オリゴマー化供給原料中のCオレフィン対Cオレフィンの重量比率は1:0.7~1:3である;
および/または、前記オリゴマー化工程b3)において、前記オリゴマー化供給原料中のCオレフィン対Cオレフィンの重量比率は1:0.5~1:3である;
を含む条件下で、独立して実施される、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記リン酸触媒は、リン酸を珪藻土に担持することによって形成される触媒、リン酸を活性炭に担持することによって形成される触媒、リン酸に浸漬された珪砂から形成される触媒、リン酸をシリカゲルに担持することによって形成される触媒およびピロリン酸銅をシリカゲルに担持することによって形成される触媒からなる群から選択される1種以上であり;
前記シリカ-アルミナ固体酸触媒は、アルミナおよび/または非晶質シリカ-アルミナ担体上に金属イオンを担持することによって形成される触媒であり、前記担持された金属イオンは第VIII族金属、第IVA族金属、またはそれらの組み合わせから選択することができ;および、
前記ゼオライト固体酸触媒は、ゼオライト固体酸触媒の重量に基づいて10~100重量%のゼオライトおよび0~90重量%のマトリックスを含み、前記ゼオライトは一次元ゼオライト、二次元ゼオライト、および三次元ゼオライトからなる群から選択される1つ以上である、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記Cオレフィンを含むフラクションは、Cオレフィンを含むフラクションの重量に基づいて40~100重量%のCオレフィン含有量を有し;
前記Cオレフィンを含むフラクションは、Cオレフィンを含むフラクションの重量に基づいて40~100重量%のCオレフィン含有量を有し;
前記Cオレフィンを含むフラクションは、Cオレフィンを含むフラクションの重量に基づいて40~100重量%のCオレフィン含有量を有し;
前記Cオレフィンを含むフラクションは、Cオレフィンを含むフラクションの重量に基づいて40~100重量%のCオレフィン含有量を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記工程1)が、前記出発材料として4以上の炭素原子を有するオレフィンを含む反応生成物を得るために、炭化水素供給原料を接触転換反応に供することをさらに含み、
前記炭化水素供給原料が、石油炭化水素、他の鉱油、またはそれらの組み合わせから選択され、前記石油炭化水素は、真空軽油、常圧軽油、コーカー軽油、脱アスファルト油、真空残留物、常圧残留物、および重質芳香族ラフィネート油からなる群より選択される1つ以上であり、前記他の鉱油は、石炭液化油、オイルサンド油、およびシェール油からなる群より選択される1つ以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記工程1)の接触転換反応、および前記工程3)の接触分解反応が、別々の反応ユニットで実施され、工程1)および工程3)で使用される前記反応ユニットがそれぞれ独立して流動床反応器である、または
それに代えて、前記工程1)の接触転換反応および前記工程3)の接触分解反応が同じ流動床反応器の、同じまたは異なる部分で実施され、
前記流動床反応器はライザー反応器、または濃厚相床と組み合わせたライザーを含む複合反応器であり、前記ライザー反応器は等直径ライザー反応器または直径変換ライザー反応器である、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記工程1)の接触転換反応および前記工程3)の接触分解反応が触媒の重量に基づいて、1~50重量%のゼオライト、5~99重量%の無機酸化物、および0~70重量%の粘土を含む同じ触媒の存在下で実施され、前記ゼオライトはメソ多孔質ゼオライト、マクロ多孔質ゼオライト、またはそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記メソ多孔質ゼオライトはZSMシリーズゼオライト、ZRPゼオライト、またはそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記マクロ多孔質ゼオライトはREYゼオライト、REHYゼオライト、超安定Yゼオライト、および高シリカYゼオライトからなる群から選択される1つ以上であり;
または、それに代えて前記工程1)の接触転換反応および前記工程3)の接触分解反応が異なる触媒の存在下で実施され、工程1)および工程3)で使用される前記触媒はそれぞれ前記触媒の重量に基づいて1~50重量%のゼオライト、5~99重量%の無機酸化物、および0~70重量%の粘土を独立して含み、前記ゼオライトはメソ多孔質ゼオライト、マクロ多孔質ゼオライト、またはそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記メソ多孔質ゼオライトはZSMシリーズゼオライト、ZRPゼオライト、またはそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記マクロ多孔質ゼオライトはREYゼオライト、REHYゼオライト、超安定Yゼオライト、および高シリカYゼオライトからなる群から選択される1つ以上である;
請求項6または7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記工程1)の接触転換反応が、420~650℃の反応温度、0.05~20秒の反応時間、および3:1~15:1の触媒対供給原料重量比率、0.03:1~0.5:1の水蒸気対供給原料重量比率を含む反応条件下で、流動床反応器中で実施され;
反応条件は、480~600℃の反応温度、0.1~15秒の反応時間、4:1~12:1の触媒対供給原料重量比率、および0.05:1~0.3:1の水蒸気対供給原料重量比率を含む;
請求項6~8のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記工程1)の接触転換反応が、以下の特徴を有する気体生成物:
液化ガス(CおよびC)対乾燥ガス(C以下)の質量フラクション比率が7以上であり;
メタン収率が2.0%以下であり;
液化ガス中のプロピレン対プロパンの質量フラクション比率が3.5以上であり;
および/または、イソブチレン対イソブタンの質量フラクション比率が1.5以上である;
が得られる程度まで実施される、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記工程1)の接触転換反応が、底部から頂部まで、第1の反応ゾーンよりも大きい直径を有する第1の反応ゾーンおよび第2の反応ゾーンを含む直径変換ライザー反応器内で実施され、
前記第1の反応ゾーンにおける反応条件が、510~650℃の反応温度、0.05~1.0秒の反応時間、3:1~15:1の触媒対供給原料重量比、および0.03:1~0.3:1の水蒸気対供給原料重量比率を含み;
前記第2の反応ゾーンにおける反応条件は420~550℃の反応温度および1.5~20秒の反応時間を含む;
請求項6~10のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記分離工程2a)が、以下の:
a1)工程1)で得られ、前記出発材料として使用された接触転換生成物から、145℃未満の蒸留範囲を有するフラクション、145~260℃の蒸留範囲を有するフラクション、260℃を超える蒸留範囲を有するフラクション、任意にプロピレン生成物、および任意にCオレフィンを含むフラクションを分離することと;
a2)145℃未満の蒸留範囲を有するフラクションから、Cオレフィンを含む第1のプロピレン前駆体、および/または次のフラクション:Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、およびCオレフィンを含むフラクション、のうち1つ以上を分離することと;
a3)任意に、n-パラフィンおよびイソ-パラフィンを145℃未満の蒸留範囲を有するフラクションから分離し、n-パラフィンおよびイソ-パラフィンを工程1)の接触転換反応または他の反応デバイスに再循環させることと;
a4)任意に、145~260℃の蒸留範囲を有するフラクションを工程1)の接触転換反応に再循環させる、またはそれを他の反応デバイスに送ることと;
a5)任意に、260℃を超える蒸留範囲を有するフラクションを水素化処理に供し、次いでそれを工程1)の接触転換反応に再循環させるか、またはそれを他の反応デバイスに送り、
前記水素化処理は、水素化処理触媒の存在下で、3.0~20.0MPaの水素分圧、300~450℃の反応温度、300~2000の水素対油体積比率、および0.1~3.0h-1の体積空間速度を含む条件下で実施され;
前記水素化処理触媒は担体と、前記担体上に担持された金属成分と、任意に添加剤とを含み、前記担体はアルミナ、アモルファスシリカ-アルミナまたはそれらの組み合わせから選択され、前記金属成分は第VIB族金属、第VIII族金属またはそれらの組み合わせから選択され、前記添加剤はフッ素、リン、チタンおよび白金からなる群から選択される1つ以上であり、前記第VIB族金属はMo、Wまたはそれらの組み合わせから選択され、前記第VIII族金属はCo、Niまたはそれらの組み合わせから選択され;
前記水素化処理触媒の重量に基づいて、前記添加剤は0~10重量%の量で存在し、前記第VIB族金属は12~39重量%の量で存在し、前記第VIII族金属は1~9重量%の量で存在することと;
を含む、請求項6~11のいずれか1項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔関連出願への相互参照〕
本出願は、中国特許出願第201910224119.X号の優先権を主張する。この出願は、平成31年3月22日に出願され、「プロピレン製造を増大させた接触転換プロセス及びシステム」と題する。この出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
〔技術分野〕
本出願は炭化水素の接触転換の分野に関連し、特に、プロピレン製造が増大した接触転換プロセスおよびシステムに関する。
〔背景技術〕
プロピレンは重要な石油化学原材料であり、新たな種類のプロピレン誘導体の開発が続いており、近年、プロピレンの需要が活発になっている。現在中国では、54%のプロピレンがナフサの水蒸気分解によって製造されており、そのプロピレン収率はわずか約15重量%であり、42%のプロピレンが接触分解ユニットの副生成物として製造されており、少量(約2%)のプロピレンがプロパン脱水素化およびエチレン-ブテンメタセシス反応によって製造される。
【0002】
エチレンおよびプロピレンが石油化学産業において従来の水蒸気分解経路に沿って製造される場合、軽原料油の不足、不十分な製造能力、過剰なコストなどの複数の制限要因が存在し得る。接触分解(FCC)は広範な原材料適合性、柔軟な操作などの利点により、ますます注目されている。新しいプロピレン製造技術の開発は、プロピレンの供給源をさらに広げるために重要な実用的な意義を有する。
【0003】
国際特許出願公開第WO2001004237A2号には、軽オレフィンからプロピレンを1工程で製造するプロセスが記載されている。このプロセスは、ZSM-5ゼオライトを含有する触媒を利用するFCCプロセスの変形とみなすことができる。このプロセスの典型的な操作条件は、600℃に近い温度と0.1~0.2MPaの圧力を含む。プロピレン収率は、このような条件下で約30%であり、未反応のCおよびCフラクションの再循環により、50%まで増大できる。このプロセスの欠点は流動床技術が投資の観点から高額であること、およびプロセスの比較的厳密な制御を必要とすることである。加えて、触媒は、その消費の結果として著しく失われる。
【0004】
米国特許第6049017号にはオレフィンフラクションからエチレンおよびプロピレンを製造するためのプロセスが記載されており、a)エチレン、プロピレン、次いでジエンを(例えば、選択的水素化によって)分離する;b)酸素化物(例えば、メタノール、エタノールなど)および酸触媒を使用してイソオレフィンを変換することによりノルマルオレフィンおよびイソオレフィンを分離し、酸素化物を形成する;c)酸素化化合物を分離する;d)微孔質触媒(例えば、ゼオライト触媒または非ゼオライト触媒であって好ましくはSAPOを含む触媒)を使用してノルマルオレフィンを分解し、エチレンおよびプロピレンを製造する;工程を含む。この特許の説明によれば、イソオレフィン(イソブチレンなど)は記載された分解プロセス中にエチレンおよびプロピレンなどの生成物に容易に変換することができないので、イソオレフィンを酸素化物に変換するプロセスによって、イソオレフィンをノルマルオレフィンから分離し;ノルマルオレフィンをパラフィンと共に分解反応器に供給し、ノルマルオレフィンをその中で分解反応を行い、プロピレンおよびエチレンなどの目的生成物を製造する。この特許はまた、パラフィンは分解反応器中で反応しないため、パラフィンが分解反応器中に蓄積するのを防止するために、他の燃料の調製に使用するための反応材料の一部を抽出する、またはオリゴマー化によってオレフィンをより重質の成分に変換することが必要であること、次いで、それらをパラフィンから分離し、オリゴマー化の後に得られたオレフィン流を部分的にまたは完全に分解反応器に戻すことを記載している。上記の説明から、この特許に記載されているプロセスでは、反応器に入る材料が、主に未変換および未分離のノルマルオレフィンおよびアルカンの混合物であり、オレフィンを反応器内で反応させて、目的生成物を製造することがわかる。アルカンは、反応系中に不活性成分として存在する。同様の沸点を有するn-パラフィンからのオレフィンの分離は行われないか、またはオレフィンをオリゴマー化することによって分離が行われる。
【0005】
中国特許公開第CN103333714A号には、別のプロセス:水蒸気分解または接触分解プロセスからのC/Cオレフィンフラクションがそれぞれ選択的水素化に供されてジエンを除去し、選択的オリゴマー化に供されてイソブテン、n-ブテンおよび分離されていないアルカン成分を除去した後、共に分解反応器に送られ、そこでn-ブテンは分解されて、エチレン、プロピレンなどのような目的生成物を製造し、アルカンは変化しないままである、というプロセスが記載されている。反応器の排気口で得られたC成分は、さらなる反応のために分解反応器の入口に再循環される。このプロセスは、分解反応器中に不活性成分、すなわちアルカンが蓄積するという欠点も有することが分かる。この問題を回避するために、反応流の一部を分解反応器から回収する必要がある。従って、分解され得るCオレフィンの一部も同時に回収され、原料の利用効率に影響を及ぼす。原料中の反応性Cオレフィンの利用効率を確保するためには、アルカンおよびオレフィンの分離法を導入する必要がある。
【0006】
中国特許公開第CN101381272A号は、メタノールおよびCオレフィンからエチレンおよびプロピレンを2工程で調製するプロセスを開示している。当該プロセスにおいて、まず、メタノール、ジメチルエーテル、および4以上の炭素原子を有するオレフィンをエーテル化反応に供し、そして次いで反応流出液を分解反応に供してエチレン、およびプロピレンを製造する。しかし、このプロセスは、主にメタノールからのオレフィンの製造とCオレフィンの分解によるオレフィンの製造とを組み合わせることによって、完全な熱利用および反応温度の低減を達成するように設計されている。このプロセスはアルカンおよびオレフィンの分離を伴わず、もし接触分解デバイスを分解反応に採用する場合、システム中のアルカンの蓄積によって引き起こされるデバイスの重負荷および高エネルギー消費の問題は依然として解決するのが困難である。加えて、この特許出願に記載の4個以上の炭素原子を有するオレフィンをジメチルエーテルでエーテル化し(メチルアルキルエーテルおよびメタノールを製造した)、生成物を再循環させるというプロセスは、依然としてメタノール分解によりオレフィンを製造する工程を全反応プロセスの必要な工程としている。
【0007】
上記の概要から分かるように、接触分解または分解によって軽質オレフィンから高い収率でプロピレンを製造するための既存のプロセスにおいて、主な出発材料は、水蒸気分解または接触分解装置からの液化ガスである。液体ガスは、ガス分離装置でC、CおよびCを除去した後、エーテル化装置に通し、オレフィンリッチなイソブテンまたは軽ガソリンを含まないエーテル化したC成分をアルカン/オレフィン分離なしで直接的に分解した。アルカンがシステム中に連続的に蓄積されるので、システム中で再循環されるオレフィン含有量は低い。従って、オレフィン含有量の低いC成分の一部は、このプロセスにおいてシステムから排出され、このプロセスは分解のプロピレン選択性が低く、重負荷であり、かつエネルギー消費が高いという欠点を有する。
【0008】
中国特許公開第CN103814002A号は、炭化水素のオリゴマー化プロセスであり、1以上のC-C炭化水素を含む原料をオリゴマー化して流出物を製造すること、およびオリゴマー化流出物の少なくとも一部を再循環させてプロピレンを高い収率で製造することを含むプロセスを開示している。このプロセスにおいて、C、C、C12、C16およびC20オレフィンのような1以上のC 炭化水素が、オリゴマー化反応ゾーンで製造される。
【0009】
上記に記載された従来技術の欠点の少なくともいくつかを排除または克服しながら、高い収率でプロピレンを製造することができる接触転換プロセスおよびシステムが当技術分野において依然として必要とされている。
〔発明の概要〕
本出願の目的は、高いプロピレン収率および選択性、ならびに低いアルカン収率、特に低いメタンおよびエタン収率を提供することができる、プロピレンを高収率で製造するための接触転換プロセスおよびシステムを提供することである。
【0010】
上記目的を達成するために、一態様において、本出願は、プロピレンを製造するためのプロセスであって、以下の工程:1)4以上の炭素原子を有するオレフィンを含む出発材料を提供する工程と;2)前記出発材料を前処理して、3×2の炭素原子を有するオレフィン(nは1以上、好ましくは1~3、より好ましくは1~2の整数)を含むプロピレン前駆体を得る工程と;3)前記プロピレン前駆体を接触分解反応に供して、プロピレンを含む反応生成物を得る工程と;を含み、工程2)の前処理は、以下の2a)および2b)のいずれかまたは両方:2a)前記出発材料を分離して、3×2の炭素原子を有するオレフィンを含む第1のプロピレン前駆体、および/または以下のフラクションのうちの1つ以上:Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、およびCオレフィンを含むフラクション;を得る、前処理;2b)前記出発材料またはそのフラクションをオレフィンオリゴマー化反応に供し、また、任意で、得られたオリゴマー化生成物を分離して、3×2の炭素原子を有するオレフィンを含む第2のプロピレン前駆体(式中、mは2以上の整数であり、好ましくは2~3の整数である)を得る、前処理;を含む、製造プロセスを提供する。
【0011】
好ましくは、前記工程1)が、前記出発材料として4以上の炭素原子を有するオレフィンを含む反応生成物を得るために、炭化水素供給原料を接触転換反応に供することをさらに含む。
【0012】
別の態様では、本出願は、4以上の炭素原子を有するオレフィンを含む出発材料を前処理して3×2炭素原子を有するオレフィンを含むプロピレン前駆体(式中、nは1以上の整数であり、好ましくは1~3以上、より好ましくは1~2の整数)を得るように構成された前処理ユニットと、プロピレン前駆体を接触分解してプロピレンを含む反応生成物を得るように構成された反応ユニットとを含み、前記前処理ユニットは出発材料を分離して3×2炭素原子を有するオレフィンを含む第1のプロピレン前駆体および/または以下のフラクション:Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、およびCオレフィンを含むフラクション;のうちの1つ以上を得るように構成された第1の分離ユニット、および前記出発材料またはそのフラクションに対してオレフィンオリゴマー化反応を実施し、また、任意で、得られたオリゴマー化生成物を分離して、3×2の炭素原子を有するオレフィンを含む第2のプロピレン前駆体(式中、mは2以上の整数であり、好ましくは2~3の整数)を得るように構成されたオリゴマー化ユニットを含むプロピレン製造システムを提供する。
【0013】
好ましくは、前記反応ユニットが接触転換反応デバイス、油-触媒分離デバイス、および再生器を含み、前記接触転換反応デバイスが、触媒の存在下で炭化水素供給原料に対して接触転換反応を実施して、接触転換生成物および使用済み触媒を含む反応流出物を得るように構成され、前記接触転換生成物が4以上の炭素原子を有するオレフィン、および任意にプロピレンを含み、前記油-触媒分離デバイスが前記反応流出物中の前記使用済み触媒から前記接触転換生成物を分離し、前記接触転換生成物を前記前処理ユニットに輸送して、前記出発材料として機能するように構成され、前記再生器は前記使用済み触媒を再生し、再生触媒を前記接触転換反応デバイスに再循環させるように構成され、前記前処理ユニットは、前記出発材料を前処理して、3×2の炭素原子を有するオレフィンおよび任意にプロピレン生成物を含むプロピレン前駆体を得、前記プロピレン前駆体を前記接触転換反応デバイスに再循環させるように構成される。
【0014】
従来技術と比較して、本出願のプロセスおよびシステムは、以下の利点のうちの1つ以上を有する:(1)接触転換により得られた反応生成物から分解されやすい3×2の炭素原子を有するオレフィンを分離してプロピレンを生成させ、かつ、さらに分解してプロピレンを生成させることにより、プロピレン収率を向上させることができる;(2)特定のオレフィン(C、C、CおよびCオレフィンなど)を、接触転換で得られた反応生成物から分離し、特定のオレフィンに対して目標とするオリゴマー化を実施して、3×2の原子を有するオレフィンを得て、さらにそれらを分解して、プロピレンを生成することにより、最大限のプロピレン収率へと向上させることができる;(3)オレフィンオリゴマー化プロセスと接触転換プロセスとを組み合わせることにより、反応条件を柔軟に制御することができ、目的とする反応を効果的に促進することができ、目的生成物を増大させることができる。
【0015】
本出願のさらなる特徴および利点は、以下に詳細に記載される。
〔図面の簡単な説明〕
本明細書の一部を形成する図面は、本出願の理解を助けるために提供され、限定的であると考えられるべきではない。本出願は、以下の詳細な説明と組み合わせて図面を参照して解釈することができる。図面において:図1~4は、本出願のプロセスおよびシステムの好ましい実施形態の概略図を示す。
【0016】
【表1】
【0017】
〔発明を実施するための形態〕
以下、本出願を、その特定の実施形態および添付の図面を参照して、さらに詳細に説明する。本出願の特定の実施形態は、例示の目的のみに提供され、いかなる方法においても限定することを意図しないことに留意されたい。
【0018】
上記のように、第1の態様において、本出願は、プロピレンを製造するためのプロセスを提供し、1)4以上の炭素原子を有するオレフィンを含む出発材料を提供する工程と;2)出発材料を前処理して、3×2の炭素原子を有するオレフィン(nは1以上の整数、好ましくは1~3、より好ましくは1~2の整数)を含むプロピレン前駆体を得る工程と、3)プロピレン前駆体を接触分解反応に供して、プロピレンを含む反応生成物を得る工程と、を含む。
【0019】
ここで、工程2)の前処理は、以下の2a)および2b)のいずれかまたは両方:2a)前記出発材料を分離して、3×2の炭素原子を有するオレフィンを含む第1のプロピレン前駆体、および/または以下のフラクションのうちの1つ以上:Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、およびCオレフィンを含むフラクション;を得る、前処理;2b)前記出発材料またはそのフラクションをオレフィンオリゴマー化反応に供し、また、任意で、得られたオリゴマー化生成物を分離して、3×2の炭素原子を有するオレフィンを含む第2のプロピレン前駆体(式中、mは2以上の整数であり、好ましくは2~3の整数である)を得る、前処理;を含む。
【0020】
好ましい実施形態では、分離工程2a)において、得られる第1のプロピレン前駆体の重量に基づいて、第1のプロピレン前駆体は約40重量%以上、より好ましくは約70重量%以上、さらにより好ましくは約80重量%以上、とりわけ好ましくは約90重量%以上のCオレフィン含有量を有し、最も好ましくは本質的にCオレフィンからなる。
【0021】
好ましい実施形態では、オリゴマー化工程2b)が以下、b1)前記出発材料のCオレフィンを含むフラクション(Cオレフィン含有フラクションとも呼ばれる)をオレフィンオリゴマー化反応に供し、また、任意で、得られたオリゴマー化生成物を分離して、C12オレフィンを含む第2のプロピレン前駆体を得ることと、b2)Cオレフィン含有フラクションを前記出発材料のCオレフィン含有フラクションと組み合わせてオリゴマー化供給原料を得て、前記オリゴマー化供給原料をオリゴマー化反応に供し、また、任意で、得られたオリゴマー化生成物を分離して、C12オレフィンを含む第2のプロピレン前駆体を得ることと、b3)前記Cオレフィン含有フラクションを前記出発材料の前記Cオレフィン含有フラクションと組み合わせオリゴマー化供給原料を提供し、前記オリゴマー化供給原料をオリゴマー化反応に供し、また、任意で、得られたオリゴマー化生成物を分離して、C12オレフィンを含む第2のプロピレン前駆体を提供することと、の1つ以上を含む。
【0022】
本発明者らは3×2の炭素原子を有するオレフィン(nは1以上の整数であり、とりわけCおよびC12オレフィンである)が分解されると、プロピレンに対して高い選択性を有することを、実験の過程で予期せず発見した。従って、本出願のプロセスは反応供給原料(例えば、接触転換生成物)から3×2の炭素原子を有するオレフィンを意図的に分離し、および/または反応供給原料から特定のオレフィン(例えば、C、C、CおよびCオレフィン)を分離し、それらをオリゴマー化によって3×2の炭素原子を有するオレフィンに選択的に変換し、次いで、3×2の炭素原子を有するオレフィンの接触分解を実施することにより、より高いプロピレン収率を得ること、および、石油資源の有効利用を実現することができる。
【0023】
オリゴマー化反応は当業者には周知であり、本出願では、オリゴマー化によって、種々のオレフィンを、C12オレフィンのような3×2の炭素原子を有するオレフィンに変換するために使用される。好ましい実施形態において、本出願のプロセスに関与するオリゴマー化反応、例えば工程2b)、b1)、b2)、およびb3)に関与するオリゴマー化反応、のそれぞれは、オリゴマー化触媒の存在下で、以下:約50~550℃の温度、好ましくは約400~550℃の温度、約0.2~8.0MPaの圧力、好ましくは約0.5~4MPaの圧力、および約0.1~10h-1の重量時間空間速度、好ましくは約1~6h-1の重量時間空間速度を含む条件において、独立に実施される。
【0024】
さらなる好ましい実施形態において、オリゴマー化工程b2)において、オリゴマー化供給原料中のCオレフィン対Cオレフィンの重量比率は約1:0.7~約1:3であり;および/またはオリゴマー化工程b3)において、オリゴマー化供給原料中のCオレフィン対Cオレフィンの重量比率は約1:0.5~約1:3である。
【0025】
本出願によれば、オリゴマー化触媒は、それぞれ独立して、リン酸触媒、酸性樹脂、シリカ-アルミナ固体酸触媒、およびゼオライト固体酸触媒からなる群から選択される1つ以上であってもよい。リン酸触媒は、リン酸を珪藻土に担持することによって形成される触媒、リン酸を活性炭に担持することによって形成される触媒、リン酸に浸漬された珪砂から形成される触媒、リン酸をシリカゲルに担持することによって形成される触媒、およびピロリン酸銅をシリカゲルに担持することによって形成される触媒のうちの1つ以上とすることができる。シリカ-アルミナ固体酸触媒は、アルミナおよび/または非晶質シリカ-アルミナ担体上に金属イオンを担持することによって形成される触媒であり得、ここで、担持された金属イオンは、第VIII族金属、第IVA族金属、またはそれらの組み合わせから選択することができる。ゼオライト固体酸触媒は、ゼオライト固体酸触媒の重量に基づいて、約10~100重量%のゼオライトおよび約0~90重量%のマトリックスを含むことができる。ここで、ゼオライトは、一次元ゼオライト、二次元ゼオライト、および三次元ゼオライトからなる群から選択される1つ以上であり、好ましくは一次元ゼオライトがMTW(ZSM-12)、MTT(ZSM-23)、およびTON(ZSM-22)からなる群から選択され、二次元ゼオライトはFER(フェリエライト)、MFS(ZSM-57)、MWW(MCM-22)、およびMOR(モルデナイト)からなる群から選択され、三次元ゼオライトはベータゼオライトからなる群から選択される。さらに好ましくは、ゼオライトはZSM-5ゼオライトから選択される。本出願では、一次元、二次元および三次元ゼオライトはゼオライトのチャネルシステムの特性に従って分類され、また、その意味は当業者には周知であり、ここでは簡潔にするために詳細な説明は省略する。
【0026】
本出願に関するオリゴマー化反応は、反応条件が制御され、かつC12オレフィンの製造を最大にするように注意深く選択される反応である。例えば、オリゴマー化工程2b)、b1)、b2)およびb3)において、得られるオリゴマー化生成物のC12オレフィン含有量は、それぞれ、オリゴマー化生成物の重量に基づいて、約40重量%以上、好ましくは約50重量%以上、より好ましくは約70重量%以上、最も好ましくは約80重量%以上であってもよい。好ましくは、得られる第2のプロピレン前駆体がそれぞれ独立して、第2のプロピレン前駆体の重量に基づいて、約40重量%以上、好ましくは約50重量%以上、より好ましくは約70重量%以上、さらにより好ましくは約80重量%以上、とりわけ好ましくは約90重量%以上のC12オレフィン含有量を有し、最も好ましくは本質的にC12オレフィンからなる。
【0027】
また、本出願によれば、オレフィン含有フラクションのオレフィン含有量および不純物含有量を最適化することにより、オリゴマー化反応をより促進することができる。例えば、Cオレフィン含有フラクションは、好ましくはCオレフィン含有フラクションの重量に基づいて約40~100重量%のCオレフィン含有量を有し、Cオレフィン包含フラクションは、好ましくはCオレフィン包含フラクションの重量に基づいて、約40-100重量%のCオレフィン含有量を有し、Cオレフィン包含フラクションは、好ましくはCオレフィン包含フラクションの重量に基づいて、約40-100重量%のCオレフィン含有量を有し、および/またはCオレフィン包含フラクションは、好ましくはCオレフィン包含フラクションの重量に基づいて約40-100重量%のCオレフィン含有量を有する。
【0028】
本出願によれば、オリゴマー化反応の前に、オリゴマー化供給原料(例えば、特異化されたオレフィンを含むそれぞれのフラクション)を前処理することが好ましい。その結果、オリゴマー化供給原料は、約20μg/g以下の硫黄含有量、約0.6μg/g以下の塩基性窒化物含有量、約600~1800μg/gの水含有量、および約200μg/g以下のジエン含有量を有し得る。
【0029】
本出願によれば、オレフィンの利用率をさらに改善するために、プロセスは、C12オレフィンを含む第2のプロピレン前駆体を分離した後に得られたオリゴマー化生成物残留物をさらなるオリゴマー化反応のためのオリゴマー化反応器に再循環させること、またはC12オレフィンを含む第2のプロピレン前駆体をCオレフィン、Cオレフィン、CオレフィンおよびCオレフィンに分離した後に得られたオリゴマー化生成物残留物をさらに分離すること、ならびに次いでCオレフィン、Cオレフィン、CオレフィンおよびCオレフィンをさらなるオリゴマー化反応のために再循環させること、をさらに含んでもよい。
【0030】
好ましい実施形態では、前記工程1)が、出発材料として4個以上の炭素原子を有するオレフィンを含む反応生成物を得るために、炭化水素供給原料を接触転換反応に供することをさらに含む。本出願に含まれる接触転換反応のための供給原料は、当業者に周知であり得る。例えば、供給原料は、真空軽油(VGO)、常圧軽油(AGO)、コーカー軽油(CGO)、脱アスファルト油(DAO)、真空残留物(VR)、常圧残留物、および重質芳香族ラフィネート油から選択される石油炭化水素、石炭液化油、オイルサンド油、およびシェール油からなる群から選択される1つ以上であり得る他の鉱油、またはそれらの組み合わせから選択され得る。石油炭化水素は、水素化されていない完全なもしくは部分的なフラクション、または水素化されている完全なもしくは部分的なフラクションであり得る。
【0031】
本出願によれば、工程1)の接触転換反応および工程3)の接触分解反応に使用される反応デバイスは当業者に周知であればよく、例えば、それぞれの工程に使用される反応デバイスは流動床反応器からそれぞれ独立して選択することができる。
【0032】
本出願において、用語「流動床反応器」は、その中での化学反応のために気体供給原料を固体触媒粒子と接触させるための様々な形態の反応器を含む、最も広い意味で理解されるべきである。用語「流動床反応器」は、限定されないが、濃厚相床、バブリング床、乱流床、高速床、気相輸送床(例えば、上向き床、下向き床)などを含み、そして、定線速度流動床反応器、等直径流動床反応器、直径変換流動床反応器などであってもよく、または代替的に、直列に接続された2つ以上の異なる種類の流動床の組み合わせから得られる複合反応器であってもよく、ライザー反応器またはライザーを濃厚相床と組み合わせた複合反応器が好ましい。典型的には、濃厚相床のガス速度は約0.1~2m/sの範囲であり、一方、ライザーのガス速度は約2~30m/sの範囲である(触媒を除く)。好ましい実施形態では、ライザー反応器が等直径ライザー反応器または直径変換ライザー反応器であってもよい。
【0033】
本出願によれば、工程1)の接触転換反応および工程3)の接触分解反応は、別々の反応デバイスで実施されてもよく、または同じ反応デバイスの同じまたは異なる部分で実施されてもよい。好ましい実施形態において、工程1)の接触転換反応と、工程3)の接触転換反応とは、同一の反応デバイス内で実施される。反応デバイスは、直列に接続されたライザーおよび濃厚相床からなる複合反応器または直径変換ライザー反応器から選択することができる。例えば、その全体が本明細書に参考として援用される中国特許出願公開第CN1237477A号に開示されているように、この2つは直径変換ライザー反応器中で実施することができる。
【0034】
本出願によれば、工程1)の接触転換反応と、工程3)の接触分解反応とを、同一または異なる触媒の存在下で実施することができ、好ましくは同一の反応器内で同一の触媒の存在下で実施することができる。
【0035】
本出願の工程1)の接触転換反応および工程3)の接触分解反応の触媒は、当業者に周知であればよい。例えば、工程1)の接触転換反応および工程3)の接触分解反応に使用される触媒は、それぞれ独立して、触媒の重量に基づいて、約1~50重量%のゼオライト、約5~99重量%の無機酸化物、および約0~70重量%の粘土を含むことができる。触媒において、ゼオライトは活性成分として使用され、ゼオライトは、メソ多孔質ゼオライト、マクロ多孔質ゼオライト、またはそれらの組み合わせから選択され得る。好ましくは、メソ多孔質ゼオライトが約50~100重量%、好ましくは約70~100重量%を占めることができ、マクロ多孔質ゼオライトはゼオライトの総重量の約0~50重量%、好ましくは約0~30重量%を占めることができる。メソ多孔質ゼオライトは、ZSMシリーズのゼオライト、ZRPゼオライト、またはそれらの組み合わせから選択することができる。場合により、メソ多孔質ゼオライトは、リンなどの非金属元素および/または鉄、コバルト、またはニッケルなどの遷移金属元素で修飾されてもよい。ZRPゼオライトのより詳細な説明については、米国特許第5,232,675号を参照することができ、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。ZSMシリーズゼオライトは、ZSM-5、ZSM-11、ZSM-12、ZSM-22、ZSM-35、ZSM-38、ZSM-48、類似の構造を有する他のゼオライト、またはそれらの混合物からなる群から選択され得る。ZSM-5などのより詳細な説明は米国特許第3,702,886号に見出すことができ、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。マクロ多孔質ゼオライトは、REYゼオライト、REHYゼオライト、超安定Yゼオライトおよび高シリカYゼオライトからなる群から選択される1つ以上であり得る。触媒中、無機酸化物は、バインダーとして使用され、二酸化ケイ素(SiO)および/または酸化アルミ(AlSiO)から選択されてもよい。触媒中、粘土はマトリックス(すなわち担体)として使用され、カオリンおよび/またはハロイサイトから選択されてもよい。
【0036】
本出願によれば、工程1)の接触転換反応および工程3)の接触分解反応のために、従来の反応条件を採用することができ、当業者は、反応器の差に従って反応条件を調整することができる。例えば、工程1)の接触転換反応、工程3)の接触分解反応、および/または他の接触転換デバイスへの反応条件は、約420~750℃の反応温度、約0.1~800h-1の重量時間空間速度、約1:1~約150:1の触媒対供給原料の重量比率、約0.03:1~約1:1の水蒸気対供給原料の重量比率を含むことができる。
【0037】
好ましい実施形態では、工程1)の接触転換反応および/または工程3)の接触分解反応が流動床反応器中で、約420~650℃の反応温度、約0.05~20秒の反応時間、および約3:1~約15:1のメソ多孔質ゼオライト含有触媒対供給原料重量比率、および約0.03:1~約0.5:1の水蒸気対供給原料重量比率を含む条件下で実施される。さらに好ましくは、反応条件が約480~600℃の反応温度、約0.1~15秒の反応時間、および約4:1~約12:1のメソ多孔質ゼオライト含有触媒対供給原料重量比率、および約0.05:1~約0.3:1の水蒸気対供給原料重量比率を含む。
【0038】
さらなる好ましい実施形態では、工程1)の前記接触転換反応が以下の特徴を1つ以上有する気体生成物:液化ガス(CおよびC)対乾燥ガス(C以下)の質量フラクション比率が約7以上であり、好ましくは約10以上であり;メタン収率が約2.0%以下であり、好ましくは約1.0%以下であり;液化ガス中のプロピレン対プロパンの質量フラクション比率が約3.5以上であり、好ましくは約5.0以上であり;およびイソブチレン対イソブタンの質量フラクション比率が約1.5以上であり、好ましくは約4.0以上である;が得られるまで実施される。本出願の発明者らは、このさらなる好ましい態様において、工程1)の接触転換反応が高いオレフィン収率(例えば、C-C12オレフィン)および低いアルカン収率(例えば、C-C12アルカン)を達成することができることを見出した。従って、本出願によるプロセスのプロピレン収率の改善に有利である。
【0039】
さらなる好ましい実施形態では、工程1)の接触転換反応および/または工程3)の接触分解反応が、底部から頂部まで、巨大分子の分解反応が主に実施される第1の反応ゾーンと、分解、水素転移および異性化反応が主に行われる第1の反応ゾーンの直径より大きい直径を有する第2の反応ゾーンと、を含む直径変換ライザー反応器中で実施される。第1の反応ゾーンにおける反応条件は、約510~650℃の反応温度、約0.05~1.0秒の反応時間、および約3:1~約15:1の触媒対供給原料重量比率、約0.03:1~約0.3:1の水蒸気対供給原料重量比率、および約130~450KPaの圧力を含む。第2の反応ゾーンにおける反応条件は、約420~550℃の反応温度、および約1.5~20秒の反応時間を含む。さらに好ましくは、第1の反応ゾーンにおける反応条件は、約520~600℃の反応温度、約0.1~1秒、好ましくは約0.1~0.5秒の反応時間、および約4:1~約12:1の触媒対供給原料重量比率、約0.05:1~約0.2:1の水蒸気対供給原料重量比率を含み、第2の反応ゾーンにおける反応条件は約460~530℃の反応温度および約2~10秒の反応時間を含む。
【0040】
本出願によれば、接触転換反応デバイスの下流部分における触媒対油比率を増大させ、かつ、触媒、高温または低温再生触媒、半再生触媒、使用済み触媒または新鮮な触媒の分解活性を改善するために、第2の反応ゾーンの底部のような、接触転換反応デバイスの中央部分に補充することができる。冷却された再生触媒および冷却された半再生触媒は、それぞれ、使用済み触媒の2段階再生および1段階再生の後に得られた結果物を冷却することによって得られる。再生触媒は約0.1重量%未満、好ましくは約0.05重量%未満の炭素含有量を有し、半再生触媒は約0.1~0.9重量%、好ましくは約0.15~0.7重量%の炭素含有量を有し、使用済み触媒は、約0.9重量%以上、好ましくは約0.9~1.2重量%の炭素含有量を有する。
【0041】
いくつかの好ましい実施形態では、分離工程2a)が、a1)工程1)で、前記出発材料として得られた接触転換生成物から、145℃未満の蒸留範囲を有するフラクション、約145~260℃の蒸留範囲を有するフラクション、260℃を超える蒸留範囲を有するフラクション、任意にプロピレン生成物、および任意にCオレフィンを含むフラクションを分離することと、a2)Cオレフィンを含む第1のプロピレン前駆体、および/または次のフラクション:Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、およびCオレフィンを含むフラクション、のうち1つ以上を、145℃未満の蒸留範囲を有するフラクションから分離することと、を含む。
【0042】
さらなる好ましい実施形態において、分離工程2a)は、以下の1つ以上:a3)n-パラフィンおよびイソ-パラフィンを145℃未満の蒸留範囲を有するフラクションから分離し、n-パラフィンおよびイソ-パラフィンを工程1)の接触転換反応またはそれらを他の反応デバイスに送って再循環させることと;a4)約145~260℃の蒸留範囲を有するフラクションを工程1)における接触転換反応に再循環させる、またはそれを他の反応デバイスに送ることと;a5)260℃を超える蒸留範囲を有するフラクションを水素化処理に供し、次いでそれを工程1)における接触転換反応に再循環させる、またはそれを他の反応デバイスに送ることと、をさらに含み得る。
【0043】
好ましくは、水素化処理は、水素化処理触媒の存在下で、約3.0~20.0MPaの水素分圧、約300~450℃の反応温度、約300~2000の水素対油体積比率、および約0.1~3.0h-1の体積空間速度を含む条件下で実施され、水素化処理触媒は担体と、担体上に担持された金属成分と、任意に添加剤とを含み、担体はアルミナ、アモルファスシリカ-アルミナまたはそれらの組み合わせから選択され、金属成分は第VIB族金属、第VIII族金属またはそれらの組み合わせから選択され、添加剤はフッ素、リン、チタンおよび白金からなる群から選択される1つ以上であり、第VIB族金属はMo、Wまたはそれらの組み合わせから選択され、第VIII族金属はCo、Niまたはそれらの組み合わせから選択され、水素化処理触媒の重量に基づいて、添加剤は約0~10重量%の量で存在し、第VIB族金属は約12~39重量%の量で存在し、第VIII族金属は約1~9重量%の量で存在する。
【0044】
本出願によれば、接触転換生成物は上述のフラクションに加えて、乾燥ガス、プロパン、プロピレン、BTX等に分離することができ、各種フラクション、芳香族炭化水素およびオレフィンの分離は、当業者に周知の方法で実施することができる。Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、およびCオレフィンを含むフラクションを分離する方法は、当業者には周知であり、ここでは簡潔にするために詳細な説明を省略する。加えて、触媒はジエン類に被毒されやすく、過度に高レベルの硫黄、特にメルカプタンおよび硫化水素は、オリゴマー化触媒の活性を低下させ、かつ、オリゴマー化ガソリン中の樹脂の形成を促進する可能性がある。そのため、オレフィンを含む各フラクションを、選択的水素化によりジエン類を除去するため、エタノールアミンを用いた脱硫のため、アルカリ洗浄や水洗のため、および塩基性窒化物化合物を除去するためなどの前処理ユニットで処理し、次いでオリゴマー化に供することができる。上述の処理は当業者には周知であり、ここでは簡潔にするためにその詳細な説明は省略する。
【0045】
特に好適な実施形態において、本出願は、プロピレンを高収率で製造するためのプロセスを提供し、プロセスは以下の工程;1)接触転換反応器に炭化水素供給原料を注入して、接触転換反応用の接触転換触媒と接触させ、接触転換生成物を得ること、2)得られた反応生成物を以下の操作の1つ以上に供することを含み、「以下の操作」とは(i)反応生成物から少なくとも、Cオレフィンを含むフラクションを分離し、Cオレフィンを含むフラクションおよび/またはCオレフィンを含む外部フラクションをオリゴマー化反応器に導入し、オリゴマー化反応用のオリゴマー化触媒と接触させて、C12オレフィンを含むオリゴマー化生成物を得る、(ii)Cオレフィンを含むフラクションとCオレフィンを含むフラクションとを分離し、Cオレフィンを含むフラクションとCオレフィンを含むフラクションと、および/またはCオレフィンを含む外部フラクションとCオレフィンを含む外部フラクションと、をオリゴマー化反応器に導入し、オリゴマー化反応用のオリゴマー化触媒と接触させて、C12オレフィンを含むオリゴマー化生成物を得る、(iii)Cオレフィンを含むフラクションとCオレフィンを含むフラクションとを分離し、Cオレフィンを含むフラクションとCオレフィンを含むフラクションと、および/またはCオレフィンを含む外部フラクションとCオレフィンを含む外部フラクションと、をオリゴマー化反応器に導入し、オリゴマー化反応用のオリゴマー化触媒と接触させて、C12オレフィンを含むオリゴマー化生成物を得て;得られたオリゴマー化生成物からC12オレフィンを分離し、得られたC12オレフィンを、接触転換用の接触転換反応デバイス(好ましくは中央部分または底部において)および/または他の接触転換デバイスに導入する、である。
【0046】
本出願によれば、得られたオリゴマー化生成物を濾過デバイスに送って、担持された触媒粉末を除去し、次いでさらなる反応のために触媒化反応デバイスに導入することができる。接触転換反応デバイスおよび/または他の接触転換デバイスに導入されるC12オレフィンは、接触転換反応デバイスおよび他の接触転換デバイスに導入される接触転換供給原料の約1重量%~約90重量%、好ましくは約1重量%~約40重量%を占めることができる。接触転換供給原料は、全ての新鮮な炭化水素供給原料および再循環C12オレフィンのような再循環流を含む。
【0047】
さらなる好ましい実施形態では、プロセスは、Cオレフィンを含むフラクションを接触転換生成物から分離することと、Cオレフィンを含む得られたフラクションを、接触転換反応用の接触転換反応デバイスおよび/または他の接触転換デバイスに導入することと、をさらに含むことができる。ここで、接触転換用の接触転換反応デバイスおよび/または他の接触転換デバイスに導入されるCオレフィンは接触転換供給原料の約1重量%~約30重量%を占める。
【0048】
さらなる好ましい実施形態では、プロセスは、得られた接触転換生成物から145℃未満の蒸留範囲を有するフラクションを分離することと、145℃未満の蒸留範囲を有する得られたフラクションからn-パラフィンおよびイソパラフィンを分離することと、得られたn-パラフィンおよびイソパラフィンを接触転換反応デバイスおよび/または他の接触転換デバイスに再循環させ、それによってこのフラクションの利用率を改善することと、さらに含んでもよい。
【0049】
さらなる好ましい実施形態では、プロセスは、得られた接触転換生成物から145~260℃の蒸留範囲を有するフラクションを分離することと、145~260℃の蒸留範囲を有する得られたフラクションを接触転換反応デバイス(好ましくは底部において)および/または他の接触転換デバイスに導入し、それによってこのフラクションの利用率を改善することと、をさらに含んでもよい。
【0050】
さらなる好ましい実施形態では、プロセスは、得られた接触転換生成物から260℃を超える蒸留範囲を有するフラクションを分離することと、得られた260℃を超える蒸留範囲を有するフラクションを水素化処理用の水素化処理触媒と接触させることと、得られた水素化生成物を接触転換供給原料として使用することと、をさらに含んでもよい。
【0051】
第2の態様では、本出願は、4以上の炭素原子を有するオレフィンを含む出発材料を前処理して3×2炭素原子を有するオレフィンを含むプロピレン前駆体(式中、nは1以上の整数であり、好ましくは1~3以上、より好ましくは1~2の整数)を得るように構成された前処理ユニットと、プロピレン前駆体を接触分解してプロピレンを含む反応生成物を得るように構成された反応ユニットとを含み、前記前処理ユニットは出発材料を分離して3×2炭素原子を有するオレフィンを含む第1のプロピレン前駆体および/または以下のフラクション:Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、およびCオレフィンを含むフラクション;のうちの1つ以上を得るように構成された第1の分離ユニット、および前記出発材料またはそのフラクションに対してオレフィンオリゴマー化反応を実施し、また、任意で、得られたオリゴマー化生成物を分離して、3×2の炭素原子を有するオレフィンを含む第2のプロピレン前駆体(式中、mは2以上の整数であり、好ましくは2~3の整数)を得るように構成されたオリゴマー化ユニットを含むプロピレン製造システムを提供する。
【0052】
好ましい実施形態において、前記前処理ユニットが前記第1の分離ユニットおよび前記オリゴマー化ユニットを含み、前記第1の分離ユニットが前記出発材料を分離して、以下のフラクション:Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、およびCオレフィンを含むフラクション、および任意にCオレフィンを含む前記第1のプロピレン前駆体;のうちの1つ以上を得るように構成され;並びに、前記オリゴマー化ユニットは、Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクションとCオレフィンを含むフラクションとを組み合わせることによって得られるオリゴマー化供給原料、および/またはCオレフィンを含むフラクションとCオレフィンを含むフラクションとを組み合わせることによって得られるオリゴマー化供給原料それぞれに対して、オレフィンオリゴマー化反応を実施するように構成され、得られるオリゴマー化生成物をそれぞれ、および任意に分離して、C12オレフィンを含む前記第2のプロピレン前駆体を得るように構成される。
【0053】
好ましい実施形態では、前記反応ユニットが接触転換反応デバイス、油-触媒分離デバイス、および再生器を含み、前記接触転換反応デバイスが、触媒の存在下で炭化水素供給原料に対して接触転換反応を実施して、接触転換生成物および使用済み触媒を含む反応流出物を得るように構成され、前記接触転換生成物が4以上の炭素原子を有するオレフィン、および任意にプロピレンを含み、前記油-触媒分離デバイスが前記反応流出物中の前記使用済み触媒から前記接触転換生成物を分離し、前記接触転換生成物を前記前処理ユニットに輸送して、前記出発材料として機能するように構成され、前記再生器は前記使用済み触媒を再生し、再生触媒を前記接触転換反応デバイスに再循環させるように構成され、前記前処理ユニットは、前記出発材料を前処理して、3×2の炭素原子を有するオレフィンおよび任意にプロピレン生成物を含むプロピレン前駆体を得、前記プロピレン前駆体を前記接触転換反応デバイスに再循環させるように構成される。
【0054】
好ましい実施形態では、前記前処理ユニットが、生成物分離ユニットおよびオレフィン分離デバイスを含む第1の分離ユニットと、少なくとも1つのオリゴマー化反応器および少なくとも1つの精留カラムを含むオリゴマー化ユニットとを含み、前記生成物分離ユニットが、4以上の炭素原子を有するオレフィンを含み、かつ、145℃未満の蒸留範囲を有するフラクションを得るために前記出発材料として機能したプロピレンを任意に含む前記接触転換生成物、任意にプロピレン生成物、ならびに任意にCオレフィンを含むフラクションを分留するように構成され、前記オレフィン分離デバイスが、以下の:Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクションおよびCオレフィンを含むフラクションからの1つ以上のフラクションと、任意にCオレフィンを含む前記第1のプロピレン前駆体と、を得るために、145℃未満の蒸留範囲を有するフラクションを分離するように構成され、前記1つ以上のオリゴマー化反応器が、C12オレフィンを含むオリゴマー化生成物を得るために、前記Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクションとCオレフィンを含むフラクションとを組み合わせることによって得られるオリゴマー化供給原料、および/またはCオレフィンを含むフラクションとCオレフィンを含むフラクションとを組み合わせることによって得られるオリゴマー化供給原料のそれぞれに対して、オレフィンオリゴマー化反応を実施するように構成され、前記1つ以上の精留カラムは、C12オレフィンを含む第2のプロピレン前駆体を得るために、1つ以上のオリゴマー化反応器からオリゴマー化生成物を別々に分離するように構成される。
【0055】
特に好適な具体例では、本出願のシステムは、接触転換反応器、油-触媒分離デバイス、再生器、生成物分離ユニット、オレフィン分離デバイス、オリゴマー化反応器、精留カラム、および任意に他の接触転換デバイスを含む。接触転換反応器は供給原料油入口、触媒入口、油触媒出口、およびC12オレフィン入口を備える。油触媒分離デバイスは油触媒入口、触媒出口、および反応生成物出口を備える。再生器は触媒入口および触媒出口を備える。生成物分離ユニットは反応生成物入口および少なくとも1つのフラクション出口を備える。オレフィン分離デバイスはフラクション入口および少なくとも1つのオレフィン出口を備える。オリゴマー化反応器は供給原料入口およびオリゴマー化生成物出口を備える。精留カラムはオリゴマー化生成物入口、C12オレフィン出口、および分離生成物出口を備える。前記他の接触転換デバイスは供給原料油入口、触媒入口、および油触媒出口を備える。接触転換反応器の油触媒出口は油触媒分離デバイスの油触媒入口と流体連通し、接触転換反応器の触媒入口は再生器の触媒出口と流体連通し、再生器の触媒出口は油触媒分離デバイスの触媒出口と流体連通し、油触媒分離デバイスの反応生成物出口は生成物分離ユニットの反応生成物入口と流体連通し、生成物分離ユニットの少なくとも1つのフラクション出口はオレフィン分離デバイスのフラクション入口と流体連通し、オレフィン分離デバイスのオレフィン出口はオリゴマー化反応器の供給原料入口と流体連通し、オリゴマー化反応器のオリゴマー化生成物出口は精留カラムの油ガス入口と流体連通し、精留カラムのC12オレフィン出口は接触転換反応器のC12オレフィン入口および/または前記他の接触転換デバイスの供給原料油入口と流体連通する。システムは、以下の(a)~(c)の1つ、2つ、または3つの方法でさらに構成される。
【0056】
(a)生成物分離ユニットはCフラクション出口をさらに備え、生成物分離ユニットのCフラクション出口はオリゴマー化反応器の供給原料入口と流体連通している。
【0057】
(b)オレフィン分離デバイスは少なくとも、Cオレフィン出口およびCオレフィン出口を備えており、オレフィン分離デバイスのCオレフィン出口およびCオレフィン出口は、オリゴマー化反応器の供給原料入口と流体連通するようになっている。
【0058】
(c)オレフィン分離デバイスには少なくともCオレフィン出口が設けられており、生成物分離ユニットにはさらに、Cフラクション出口、オレフィン分離デバイスのCオレフィン排気口、および、オリゴマー化反応器の供給原料入口と流体連通している生成物分離ユニットのCフラクション排気口が設けられている。
【0059】
さらなる好ましい実施形態において、生成物分離ユニット、オレフィン分離デバイスおよびオリゴマー化反応器が、(a)~(c)の方法のうちの2つ以上で構成される場合、1つ以上のオリゴマー化反応器、好ましくは複数のオリゴマー化反応器が提供されてもよい。例えば、(a)~(c)の方法のそれぞれについて、オリゴマー化反応器を提供して、別々にオリゴマー化を実施する。
【0060】
さらなる好ましい実施形態において、反応器が2つの反応ゾーンを含む直径変換ライザー反応器である場合、オレフィン分離デバイスはCオレフィン出口をさらに設けることができ、Cオレフィン出口は直径変換ライザー反応器の第2の反応ゾーンの供給原料入口と連通することができる。さらに好ましくは、生成物分離ユニットが145~260℃のフラクション出口をさらに備えることができ、145~260℃のフラクション出口は直径変換ライザー反応器の第1の反応ゾーンの供給原料入口と連通することができる。
【0061】
さらなる好ましい実施形態において、システムが水素化処理反応器をさらに含んでもよく、水素化処理反応器は供給原料入口および生成物出口を備えてもよい。生成物分離ユニットは260℃を超えるフラクション出口をさらに備えてもよく、260℃を超えるフラクション出口は水素化処理反応器の供給原料入口と流体連通してもよい。水素化処理反応器の生成物出口は直径変換ライザー反応器の第2の反応ゾーンの供給原料入口と流体連通してもよい。
【0062】
本出願のプロセスは図面を参照してさらに説明されるが、それらに限定されない。
【0063】
第1のタイプの実施形態
図1に示すように、予備昇降媒体がパイプライン1を通って直径変換ライザー反応器2の底部に注入され、パイプライン16からの再生接触転換触媒が予備昇降媒体の作用下でライザー反応器2に沿って上方に移動し、予備加熱された供給原料油がパイプライン4からの霧化水蒸気と共にパイプライン3を通ってライザー反応器2の第1の反応ゾーンIの底部に注入され、ライザー反応器2内のプロセス流と混合され、次いで供給原料油が高温触媒上で反応を受けて上方に移動する。軽質供給原料油はパイプライン6からの霧化水蒸気と共にパイプライン5を通ってライザー反応器2の第2の反応ゾーンIIの底部に注入され、ライザー反応器内で油-触媒流と混合され、次いで、軽質供給原料油はある量の炭素を含有する触媒上で反応を受け、上方に移動する。生成された反応生成物および不活性化された使用済み触媒は、出口セクション7を通ってディスエンゲージャ8内のサイクロン分離器に送られ、使用済み触媒および反応生成物の分離が実施され、反応生成物はガス収集チャンバ9に送られ、触媒微粉末はディップレッグを通ってディスエンゲージャに戻される。ディスエンゲージャー内の使用済み触媒はストリッピングセクション10に流れ、そこでパイプライン11からの水蒸気と接触する。使用済み触媒からストリップされた石油ガスは、サイクロン分離器を通過した後、ガス収集チャンバ9に送られる。ストリッピングされた使用済み触媒はスタンドパイプ12を介して再生器13に送られ、主空気がパイプライン14を介して再生器に導入されて、使用済み触媒上のコークスを燃焼除去し、不活性化された使用済み触媒を再生する。得られた排ガスはパイプライン15を通って排ガスエキスパンダー(図には示されていない)に送られ、再生触媒はパイプライン16を介してライザー反応器の底部に注入される。
【0064】
ガス収集チャンバ9内の石油ガスは蒸気線17を通って次の生成物分離ユニット18に送られ、分離によって得られた乾燥ガスはパイプライン19を通って回収され、エチレングリコールはパイプライン20を通って回収され、プロピレンはパイプライン21を通って回収され、プロパンはパイプライン22を通って回収され、Cオレフィンはパイプライン23を通って回収され、ブタンはパイプライン24を通って回収され、145℃未満の蒸留範囲を有するフラクションはパイプライン25を通ってオレフィン分離デバイス31に導入され、145~260℃の蒸留範囲を有するフラクションはパイプライン26を通って回収され、または再使用のために第1の反応ゾーンIに導入され、260℃を超える蒸留範囲を有するフラクションはパイプライン27を通って回収され、または水素化処理反応器54に送られる。水素化処理反応器から分離された軽質成分はパイプライン55を通って取り出され、水素化生成物はパイプライン56を通って第2の反応ゾーンIIに再循環されて、さらにプロピレンを製造する。145℃未満の蒸留範囲を有するフラクションは分離のためにオレフィン分離デバイス31に送られ、得られたCオレフィンはパイプライン32を介して回収され、得られたCオレフィンはパイプライン33を介して回収され、得られたCオレフィンはパイプライン34を介して回収され、得られたCオレフィンはパイプライン35を介して回収され、得られたBTXはパイプライン36を介して回収され、得られたn-/イソ-パラフィンはパイプライン37を介して回収される。
【0065】
オレフィンはパイプライン23を介してオリゴマー化反応器41および42に導入され、Cオレフィンはパイプライン32を介してオリゴマー化反応器43に導入され、Cオレフィンはパイプライン34を介してオリゴマー化反応器43に導入され、Cオレフィンはパイプライン35を介してオリゴマー化反応器42に導入される。
【0066】
オリゴマー化反応器41では、Cオレフィンをオリゴマー化反応に供して、C12オレフィンを含むオリゴマー化生成物を得、これを精留カラム51に送ってC12オレフィンを分離する。得られたC12オレフィンはプロピレンのさらなる製造のために、接触転換反応デバイスおよび/または他の接触転換デバイスにパイプライン38を通して導入される。オリゴマー化反応器42において、CオレフィンおよびCオレフィンをオリゴマー化反応に供して、C12オレフィンを含むオリゴマー化生成物を得て、次いでこれを精留カラム52に送ってC12オレフィンを分離する。得られたC12オレフィンはプロピレンのさらなる製造のために、接触転換反応デバイスおよび/または他の接触転換デバイスにパイプライン38を通して導入される。オリゴマー化反応器43では、CオレフィンとCオレフィンとをオリゴマー化反応に供して、C12オレフィンを含むオリゴマー化生成物を得て、これを精留カラム53に通してC12オレフィンを分離する。得られたC12オレフィンは接触転換反応デバイスおよび/またはプロピレンのさらなる製造のための他の接触転換デバイスに導入され、Cオレフィンはプロピレンのさらなる製造のためにパイプライン33を介して第2の反応ゾーンIIに導入される。
【0067】
第2のタイプの実施形態
このタイプの実施形態の好ましい技術的解決策は、以下のステップを含む:
図2に示すように、パイプライン216からの高温再生触媒はパイプライン201からの予備昇降水蒸気の作用下でライザーユニット2Aに沿って上方に移動し、パイプライン203からの供給原料油は、パイプライン204からの霧化水蒸気によって霧化され、ライザーユニット2A内のプロセス流と接触するようにライザーユニット2Aに導入され、約500~650℃の反応温度、約0.5~4秒の反応時間、約0.15~0.30MPa(絶対)の反応圧力、約1~100の接触転換触媒対供給原料の重量比率で、接触転換反応に供される。任意に、パイプライン205からの軽質供給原料(例えばディーゼルオイルおよびプロパン)を、パイプライン206からの霧化水蒸気によって霧化し、ライザーユニット2Aに供給し;ライザーユニット2Aで得られた反応流を、約480~620℃の反応温度、約0.2~30h-1の重量時間空間速度、および約0.15~0.30MPa(絶対)の反応圧力で、さらなる接触転換反応のために濃厚相床ユニット2Bに送って、使用済み触媒および反応生成物を得る。使用済み触媒と反応生成物はディスエンゲージャー208で分離され、反応生成物はガス収集チャンバ209に送られ、蒸気線217を通って回収される。使用済み触媒はパイプライン211からのストリッピング水蒸気による向流ストリッピングのためにストリッピングセクション210に送って、ストリップされた使用済み触媒はパイプライン214からの空気でコークスを燃焼させることによる再生のためにスタンドパイプ212を介して再生器213に送られる。得られた排ガスはパイプライン215から再生器213から排出され、再生触媒は接触転換触媒としてパイプライン216を通ってライザーユニット2Aに再循環される。反応生成物は、少なくともC、C、CおよびCのオレフィンフラクションを得るために分離され、それらはC12オレフィンを製造するためにオリゴマー化と分離に供される。得られたC12オレフィンはプロピレン収率を増大させるためのさらなる分解のために、パイプライン207を介して濃厚相床ユニット2Bに導入される。任意に、Cオレフィンフラクションを反応生成物からさらに分離し、プロピレン収率を増大させるためのさらなる分解のために濃厚相床ユニット2Bに導入する。
【0068】
第3のタイプの実施形態
このタイプの実施形態の好ましい技術的解決策は、以下のステップを含む:
図3に示すように、パイプライン316からの高温再生触媒はパイプライン301からの予備昇降媒体の作用下で、直径変換ライザー反応器302の第1の反応ゾーン3Aに沿って上方に移動し、パイプライン303からの供給原料油はパイプライン304からの霧化水蒸気によって霧化され、第1の反応ゾーン3A内のプロセス流に接触するように第1の反応ゾーン3Aに導入され、まず第1の反応ゾーン3A、および次いで第2の反応ゾーン3Bにおいて接触転換反応に供される。ここで、第1の反応ゾーン3Aにおける反応条件は、約520~600℃の反応温度、約0.1~1秒の反応時間、および約4:1~約12:1の触媒対供給原料重量比率、約0.05:1~約0.2:1の水蒸気対供給原料重量比率を含み、第2の反応ゾーン3Bにおける反応条件は、約460~530℃の反応温度および約2~10秒の反応時間を含む。得られた反応生成物およびコークス化した使用済み触媒はライザー反応器の出口セクション307から分離のためのディスエンゲージャ308に送られ、反応生成物はガス収集チャンバ309に送られ、蒸気線317を通って回収され、使用済み触媒はパイプライン311からのストリッピング蒸気による向流ストリッピングのためにストリッピングセクション310に送られる。ストリップされた使用済み触媒はパイプライン314からの空気でコークスを燃焼させることによる再生のためにスタンドパイプ312を介して再生器313に導入され、得られた排ガスはパイプライン315を介して再生器313から排出され、再生触媒は接触転換触媒としてパイプライン316を介して直径変換ライザー反応器302に再循環される。反応生成物は、少なくともC、C、CおよびCのオレフィンフラクションを得るために分離され、それらはC12オレフィンを製造するためにオリゴマー化と分離に供される。得られたC12オレフィンは、パイプライン306からの霧化水蒸気によって霧化され、次いでパイプライン305を介して第2の反応ゾーン3Bおよび/またはプロピレン収率を増大させるためのさらなる分解のための他の接触転換デバイスに導入される。任意に、Cオレフィンフラクションを反応生成物からさらに分離し、さらなる分解のために第2の反応ゾーン3Bに導入して、プロピレン収率を増大させる。
【0069】
第4のタイプの実施形態
このタイプの実施形態の好ましい技術的解決策は、以下のステップを含む:
供給原料油はパイプライン403を通して第1のライザー反応器4Aの底部に導入され、パイプライン415からの高温再生触媒はパイプライン401からの予備昇降水蒸気によって上昇された後に供給原料油と接触され、反応は約450~600℃の反応温度、約0.5~5秒の反応時間、約0.15~0.40MPa(絶対)の反応圧力、および約5~20の接触転換触媒対供給原料の重量比率を含む条件下で実施される。任意に、パイプライン404からの軽質供給原料(例えば、ディーゼル油およびプロパン)は反応のために第1のライザー反応器4Aに導入され、得られた使用済み触媒および反応生成物は油-触媒分離のために出口セクション407に沿ってディスエンゲージャ408に通される。得られた反応生成物はガス収集チャンバ409に送られ、蒸気ライン410を通って回収され、使用済み触媒はパイプライン405からのストリッピング蒸気による向流ストリッピングのためにストリップセクション406に送られ、次いで、パイプライン413からの空気でコークスを燃焼させることによる再生のためにスタンドパイプ411を介して再生器412に導入される。得られた排ガスはパイプライン414を通って再生器412から排出され、再生触媒は接触転換触媒としてパイプライン415を通って前記第1のライザー反応器4Aに再循環される。第1のライザー反応器4Aからの反応生成物を分離して、少なくともCオレフィン含有フラクションおよびオレフィンリッチガソリンフラクションを得る。Cオレフィンはオリゴマー化および分離に供されて、C12オレフィン含有フラクションを製造し、これはパイプライン431を通って第2のライザー反応器4Bの中央部分に導入され、オレフィンリッチガソリンフラクションはパイプライン423を通って第2のライザー反応器4Bの底部に導入される。パイプライン416からの高温再生触媒はパイプライン421からの予備昇降水蒸気によって上昇させられた後、オレフィンリッチガソリンフラクションおよびC12オレフィン含有フラクションと連続的に接触させられて、約350~660℃の反応温度、約1.0~8秒の反応時間、約0.15~0.40MPa(絶対)の反応圧力、および約3~45の接触転換触媒対供給原料の重量比率を含む条件下でさらなる分解を行い、プロピレン収率を増大させる。得られた反応流出物は油-触媒分離のために出口セクション427に沿ってディスエンゲージャ428に送られ、得られた反応生成物はガス収集チャンバ429に送られ、蒸気ライン430を通って回収され、使用済み触媒はパイプライン425からのストリッピング蒸気で向流ストリッピングするためにストリッピングセクション426に送られ、次いで、パイプライン413からの空気でコークスを燃焼させることによる再生のためにスタンドパイプ417を介して再生器412に導入される。得られた排ガスは、パイプライン414を介して再生器412から排出される。場合により、Cオレフィンを含むフラクションを、第1のライザー反応器4Aから得られた反応生成物からさらに分離し、第2のライザー反応器4Bの中央部分に導入して、さらに分解してプロピレン収率を増大させる。
【0070】
特に好適な具体例では、本出願は以下の技術的解決策を提供する。
【0071】
1.高収率でプロピレンを製造するための接触転換プロセスであって、以下の工程を含む:炭化水素供給原料を接触転換反応器に注入して、接触転換反応のための接触転換触媒と接触させて、反応生成物および使用済み触媒を得る;得られた使用済み触媒を、コークス燃焼による再生のために再生器に導入し、再生触媒を接触転換触媒として接触転換反応器に再循環させる;得られた反応生成物を、以下の操作のうち1、2または3つに供する:(i)反応生成物から少なくとも、Cオレフィンを含むフラクションを分離し、Cオレフィンを含むフラクションおよび/またはCオレフィンを含む外部フラクションを、オリゴマー化反応器に導入し、オリゴマー化反応のためのオリゴマー化触媒と接触させて、C12オレフィンを含むオリゴマー化生成物を得る操作;(ii)反応生成物から少なくとも、Cオレフィンを含むフラクションおよびCオレフィンを含むフラクションを分離し、Cオレフィンを含むフラクションおよびCオレフィンを含むフラクション、ならびに/またはCオレフィンを含む外部フラクションおよびCオレフィンを含む外部フラクションをオリゴマー化反応器に導入し、オリゴマー化反応のためのオリゴマー化触媒と接触させてC12オレフィンを含むオリゴマー化生成物を得る操作;(iii)反応生成物から少なくとも、Cオレフィンを含むフラクションおよびCオレフィンを含むフラクションを分離し、Cオレフィンを含むフラクションおよびCオレフィンを含むフラクション、ならびに/またはCオレフィンを含む外部フラクションおよびCオレフィンを含む外部フラクションをオリゴマー化反応器に導入し、オリゴマー化反応のためのオリゴマー化触媒と接触させてC12オレフィンを含むオリゴマー化生成物を得る操作;得られたオリゴマー化生成物からC12オレフィンを分離し、得られたC12オレフィンを接触転換用の接触転換反応器および/または他の接触転換デバイスに導入する。
【0072】
2.Cオレフィンを含むフラクションの反応生成物からの分離と、Cオレフィンを含むフラクションの、接触転換反応用の接触転換反応器および/または他の接触転換デバイスへの導入と、をさらに含み、接触転換のための接触転換反応器におよび/または他の接触転換デバイスに導入されるCオレフィンは、供給原料の約1~30重量%を占める、項目1に記載のプロセス。
【0073】
3.操作(i)~(iii)に関与する前記オリゴマー化条件が、それぞれ独立して、約50~550℃の温度、約0.2~8.0MPaの圧力、および約0.1~10h-1の重量時間空間速度を含み;操作(ii)において、Cオレフィン対Cオレフィンの重量比率は、約1:0.7~約1:3であり;操作(iii)において、Cオレフィン対Cオレフィンの重量比率は、約1:0.5~約1:3であり;操作(i)~(iii)に関与するオリゴマー化触媒は、それぞれ独立して、リン酸触媒、酸性樹脂、シリカ-アルミナ固体酸触媒、およびゼオライト固体酸触媒からなる群から選択される1つ以上である;項目1に記載のプロセス。
【0074】
4.前記リン酸触媒が、リン酸を珪藻土に担持することによって形成される触媒、リン酸を活性炭に担持することによって形成される触媒、リン酸に浸漬された珪砂から形成される触媒、リン酸をシリカゲルに担持することによって形成される触媒、およびピロリン酸銅をシリカゲルに担持することによって形成される触媒のうちの1つ以上であり;前記シリカ-アルミナ固体酸触媒は、アルミナおよび/または非晶質シリカ-アルミナ担体上に金属イオンを担持することによって形成される触媒であり、前記担持された金属イオンは、第VIII族金属、第IVA族金属、またはそれらの組み合わせから選択することができ;前記ゼオライト固体酸触媒は、前記ゼオライト固体酸触媒の重量に基づいて、約10~100重量%のゼオライトと、約0~90重量%のマトリックスとを含み、前記ゼオライトは、Y-ゼオライト、ZSM-5ゼオライト、およびベータゼオライトのうちの1つ以上である;項目3に記載のプロセス。
【0075】
5.工程(i)~(iii)で得られるオリゴマー化生成物がそれぞれ、オリゴマー化生成物の重量に基づいて、約40重量%以上、より好ましくは約70重量%以上、最も好ましくは約80重量%以上のC12オレフィン含量を有する、項目1に記載のプロセス。
【0076】
6.前記Cオレフィン包含フラクションのCオレフィン量は約40~100重量%であり、前記Cオレフィン包含フラクションのCオレフィン量は約40~100重量%であり、前記Cオレフィン包含フラクションのCオレフィン量は約40~100重量%であり、前記Cオレフィン包含フラクションのCオレフィン量は約40~100重量%であり;Cオレフィン含有フラクションは、Cオレフィン含有フラクションの重量に基づいて、約20μg/g以下の硫黄含有量、約0.6μg/g以下の塩基性窒化物含有量、約600~1800μg/gの水含有量、および約200μg/g以下のジエン含有量を有し;Cオレフィン含有フラクションは、Cオレフィン含有フラクションの重量に基づいて、約20μg/g以下の硫黄含有量、約0.6μg/g以下の塩基性窒化物含有量、約600~1800μg/gの水含有量、および約200μg/g以下のジエン含有量を有し;Cオレフィン含有フラクションは、Cオレフィン含有フラクションの重量に基づいて、約20μg/g以下の硫黄含有量、約0.6μg/g以下の塩基性窒化物含有量、約600~1800μg/gの水含有量、および約200μg/g以下のジエン含有量を有し;Cオレフィン含有フラクションは、Cオレフィン含有フラクションの重量に基づいて、約20μg/g以下の硫黄含有量、約0.6μg/g以下の塩基性窒化物含有量、約600~1800μg/gの水含有量、および約200μg/g以下のジエン含有量を有する;項目1に記載の方法。
【0077】
7.接触転換のための前記接触転換反応器および/または他の接触転換デバイスに導入されるC12オレフィンが、供給原料の1~90重量%、例えば1~40重量%を占める、項目1に記載のプロセス。
【0078】
8.前記供給原料が石油炭化水素、他の鉱油、またはそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記石油炭化水素が真空軽油、常圧軽油、コーカー軽油、脱アスファルト油、真空残留物、常圧残留物、および重質芳香族ラフィネート油からなる群から選択される1つ以上であり、前記他の鉱油が石炭液化油、オイルサンド油、およびシェール油から選択される1つ以上である、項目1に記載のプロセス。
【0079】
9.前記接触転換触媒が、接触転換触媒の重量に基づいて約1~50重量%のゼオライト、約5~99重量%の無機酸化物、および約0~70重量%の粘土を含み、前記ゼオライトはメソ多孔質ゼオライト、マクロ多孔質ゼオライト、またはそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記メソ多孔質ゼオライトはZSMシリーズゼオライト、ZRPゼオライト、またはそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記マクロ多孔質ゼオライトはREYゼオライト、REHYゼオライト、超安定Yゼオライト、および高シリカYゼオライトからなる群から選択される1つ以上である、項目1に記載のプロセス。
【0080】
10.前記接触転換反応器および前記他の接触転換デバイスがそれぞれ独立して、ライザー反応器、定線速度流動床、等直径流動床、上方輸送床、下方輸送床、またはそれらの2つ以上が直列に接続された組み合わせから選択され、前記ライザー反応器が等直径ライザー反応器または直径変換ライザー反応器である、項目1に記載のプロセス;
11.直径変換ライザー反応器が2つの反応ゾーンを含み、第1の反応ゾーンにおける反応条件は約510~650℃の反応温度、約0.05~1.0秒の反応時間、約3:1~約15:1の触媒対供給原料重量比率、および約0.03:1~約0.3:1の水蒸気対供給原料重量比率を含み、第2の反応ゾーンにおける反応条件は、約420~550℃の反応温度、および約1.5~20秒の反応時間を含む、項目10に記載のプロセス。
【0081】
12.直径変換ライザー反応器が2つの反応ゾーンを含み、第1の反応ゾーンにおける反応条件が約520~600℃の反応温度、約0.1~1秒の反応時間、約4:1~約12:1の触媒対供給原料重量比率、および約0.05:1~約0.2:1の水蒸気対供給原料重量比率を含み、第2の反応ゾーンにおける反応条件が、約460~530℃の反応温度および約2~10秒の反応時間を含む、項目11に記載のプロセス。
【0082】
13.145℃未満のフラクション、145~260℃のフラクションおよび260℃を超えるフラクションを得るために、反応生成物を分離することをさらに含む、項目11に記載のプロセス;
n-パラフィンおよびイソパラフィンを145℃未満の得られたフラクションから分離し、得られたn-パラフィンおよびイソパラフィンを接触転換反応器および/または他の接触転換デバイスに再循環させる;
145~260℃の得られたフラクションを接触転換反応器および/または他の接触転換デバイスに再循環させる;
260℃を超える蒸留範囲を有する得られたフラクションを水素化処理に供し、次いで、水素化処理されたフラクションを接触転換反応器および/または他の接触転換デバイスに再循環させた。水素化処理は担体、担体に担持された金属成分、および任意に添加剤を含む水素化処理接触を用いて実施された。担体はアルミナ、非晶質シリカ-アルミナまたはそれらの組合せから選択され、金属成分は第VIB族金属、第VIII族金属またはそれらの組合せから選択され、添加剤はフッ素、リン、チタンおよび白金からなる群から1つ以上が選択され、第VIB族金属はMo、Wまたはそれらの組合せから選択され、第VIII族金属はCo、Niまたはそれらの組合せから選択され;水素化処理触媒の重量に基づいて、添加剤は約0-10重量%の量で存在し、第VIB族金属は約12-39重量%の量で存在し、第VIII族金属は第VIII族金属がa族中に存在する約1~9重量%の量で存在し;水素化処理条件が約3.0~20.0MPaの水素分圧、約300~450℃の反応温度、約300~2000の水素対油体積比率、および約0.1~3.0h-1の体積空間速度を含む。
【0083】
14.接触転換反応器、再生器、油-触媒分離デバイス、生成物分離ユニット、オレフィン分離デバイス、オリゴマー化反応器、精留カラムおよび任意に他の接触転換デバイスを含む、プロピレンを高収率で製造するための接触転換システムであり;
接触転換反応器は供給原料油入口、触媒入口、油触媒出口、およびC12オレフィン入口を備え、油触媒分離デバイスは油触媒入口、触媒出口、および反応生成物出口を備え、オレフィン分離デバイスはフラクション入口およびオレフィン出口を備え、前記他の接触転換デバイスは供給原料油入口、触媒入口、および油触媒出口を備え、再生器は触媒入口および触媒出口を備え、オリゴマー化反応器は供給原料入口およびオリゴマー化生成物出口を備え、精留カラムは油ガス入口、C12オレフィン出口、および分離生成物出口を備え、生成物分離ユニットは少なくとも反応生成物入口を備え、接触転換反応器の油触媒出口は油触媒分離デバイスの油触媒入口と流体連通し、油触媒分離デバイスの反応生成物出口は流動的に連通する。生成物分離ユニットの反応生成物入口と精留カラムのC12オレフィン出口が接触転換反応器のC12オレフィン入口および/または前記他の接触転換デバイスの供給原料油入口と流体連通しており、接触転換反応器の触媒入口は再生器の触媒出口と流体連通しており、再生器の触媒入口は油-触媒分離デバイスの触媒出口と流体連通しており、オレフィン分離デバイスのオレフィン出口はオリゴマー化反応器の供給原料入口と流体連通しており、オリゴマー化反応器のオリゴマー化生成物出口は精留カラムの油-ガス入口と流体連通している;
システムは、以下の(a)~(c)の1つ、2つ、または3つの方法でさらに構成される:
(a)生成物分離ユニットは少なくともCフラクション出口をさらに備え、生成物分離ユニットのCフラクション排気口はオレフィン分離デバイスのフラクション入口と流体連通する;
(b)生成物分離ユニットは少なくともCフラクション出口およびCフラクション出口をさらに備えており、生成物分離ユニットのCフラクション出口およびCフラクション出口は、オレフィン分離デバイスのフラクション入口と流体連通する;
(c)生成物分離ユニットには少なくともCフラクション出口およびCフラクション出口がさらに設けられており、生成物分離ユニットのCフラクション出口およびCフラクション出口はオレフィン分離デバイスのフラクション入口と流体連通する。
【0084】
〔実施例〕
本出願は以下の実施例に関連してさらに例示されるが、これに限定されない。
【0085】
実施例に用いた供給原料A、B、C、Dの特性を表1に示す。
【0086】
【表2】
【0087】
実施例で使用される接触転換触媒Aの調製について簡単に説明すると、次の通りである:1)NHCl 20kgを1000kgの水に溶解し、結晶化生成物としてZRP-1ゼオライト(Qilu Branch of Sinopec Catalyst Co., Ltd.より入手可能、SiO/Al=100、希土類含有量RE=2.0重量%)100kg(乾燥基準)を加え、90℃で0.5時間交換し、ろ過してろ過ケーキを得た。HPO4.0g(85%濃度)とFe(NO4.5gとを加え、水90gに溶解した後、ろ過ケーキと混合して含浸し、乾燥した。その後、550℃で2時間焼成して、リンおよび鉄を含むMFI構造を有するメソ多孔質ゼオライトを得た。ここで、化学的組成は元素分析によって次のように決定された。
【0088】
0.1NaO・5.1Al・2.4P・1.5Fe・3.8RE・88.1SiO
2)75.4kgのハロイサイト(固形分71.6重量%、Suzhou China Clay Companyより利用可能な工業製品)を250kgの脱カチオン水でスラリー化し、次いで54.8kgの擬ベーマイト(Shandong Aluminum Plantから利用可能な工業製品、固形分63重量%)を加えた。塩酸でpH2~4に調製し、均一に撹拌し、60~70℃で1時間熟成させ、pH2~4に保ち、60℃未満に冷却した。その後、41.5kgのアルミナゾル(Al含有量21.7重量%、Qilu Branch of Sinopec Catalyst Co., Ltd.から利用可能)を加え、40分間撹拌して混合スラリーを得た。
【0089】
3)工程1)で得られたMFI構造を有するリンおよび鉄含有メソ多孔質ゼオライト(乾燥重量24.5kg)を、工程2)で得られた混合スラリーに加え、均一に撹拌し、噴霧乾燥し、リン酸二水素アンモニウム溶液(リン含有量1重量%)で洗浄して遊離Naを除去し、乾燥して、触媒Aと呼ばれる接触転換触媒を得た。この触媒は、乾燥基準で、20重量%のMFI構造を有するリンおよび鉄含有メソ多孔質ゼオライトと、32重量%の擬ベーマイトと、7重量%のアルミナゾルと、残りのカオリンとを含む。
【0090】
本実施例において使用される水素化処理触媒の調製は、以下のように簡単に記載される:メタタングステン酸アンモニウム((NH13・18HO、化学的に純粋)と硝酸ニッケル(Ni(NO・18HO、化学的に純粋)とを計量し、水と共に200mlの溶液に配合した。この溶液をアルミナ担体50gに加え、室温で3時間浸漬し、浸漬中に浸漬液を超音波で30分間処理し、冷却し、濾過し、電子レンジ中で約15分間乾燥させて触媒Fと称される触媒を得た。触媒は次の組成である:30.0重量%のWO、3.1重量%のNiOおよび残部のアルミナ。
【0091】
本実施例で使用した接触転換触媒A、B、C、Dおよびオリゴマー化触媒Eの特性を表2に示す。触媒Bは商標名MMC-1でQilu Branch of Sinopec Catalyst Co., Ltd.から利用可能な接触分解触媒であり、触媒Cは商標名RAG-1でQilu Branch of Sinopec Catalyst Co., Ltd.から利用可能な高いプロピレンおよびガソリン収率を有する触媒であり、触媒Dは商標名MLC-500でQilu Branch of Sinopec Catalyst Co., Ltd.から利用可能な従来の接触分解触媒であり、オリゴマー化触媒Eは、商標名RGW-1でQilu Branch of Sinopec Catalyst Co., Ltd.から利用可能なゼオライト固体酸触媒である。
【0092】
【表3】
【0093】
<実施例1>
この実施例は、図1に示すプロセスの流れに従って、接触転換用の供給原料として直接的に供給原料油Aを用いて、直径変換ライザー反応器のパイロットプラントで行った。供給原料油Aを第1の反応ゾーンIの底部に供給し、第1の反応ゾーンIの底部で触媒Aと接触させ、第1の反応ゾーンIおよび第2の反応ゾーンIIにおいて連続的に接触転換反応に供した。得られた反応生成物および炭素と共に堆積した使用済み触媒をディスエンゲージャー中で分離した。反応生成物を生成物分離ユニット中で蒸留範囲に従って分割して、乾燥ガス、エチレン、プロピレン、プロパン、ブタン、Cオレフィンを含むフラクション、145℃未満の蒸留範囲を有するフラクション、145~260℃の蒸留範囲を有するフラクション、および260℃を超える蒸留範囲を有するフラクションを得た。145℃未満の蒸留範囲を有するフラクションをオレフィン分離デバイスに通して、BTX、Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンおよびn-/イソパラフィンを含むフラクションをさらに分離した。Cオレフィン包含フラクション中のCオレフィンの含有量は90重量%、Cオレフィン包含フラクション中のCオレフィンの含有量は90重量%、Cオレフィン包含フラクション中のCオレフィンの含有量は90重量%、Cオレフィン包含フラクション中のCオレフィンの含有量は90重量%、および、Cオレフィン包含フラクション中のCオレフィンの含有量は90重量%であった。
【0094】
得られた種々のオレフィンフラクションを、それぞれ、図1に示すプロセスフローに従ってオリゴマー化するために、異なるオリゴマー化反応器に供給した。オリゴマー化反応器43およびオリゴマー化反応器42において、Cオレフィン対Cオレフィンの重量比率は1:0.7であり、Cオレフィン対Cオレフィンの重量比率は1:0.5である。C12オレフィンを含むフラクションを精留カラムを使用して分離し、直径変換ライザー反応器の第2の反応ゾーンIIに再循環させ、Cオレフィンを含むフラクションを第2の反応ゾーンIIに直接導入した。145~260℃の蒸留範囲を有するフラクションを再循環させ、260℃を超える蒸留範囲を有するフラクションを、水素分圧18.0MPa、反応温度350℃、水素対油体積比率1500および体積空間速度1.5h-1を含む条件下で水素化し、水素化生成物およびn-/イソパラフィンを接触転換反応のための直径変換ライザー反応器の底部の第1の反応ゾーンIに再循環させた。直径変換ライザー反応器の第2の反応ゾーンIIに導入されたCオレフィンは総接触転換供給原料の10重量%を占め、直径変換ライザー反応器の第2の反応ゾーンIIに導入されたC12オレフィンは総接触転換供給原料の26.9重量%を占めた。操作条件および生成物分布を表3に示す。
【0095】
<比較例1>
操作は慣用の接触分解触媒Dを使用し、生成物を従来の接触分解プロセスで必要とされるように分割して、乾燥ガス、液化ガス、プロピレン、ガソリン、ディーゼル油およびスラリー油を得て、かつ、接触転換生成物のリサイクルを行わなかったことを除いて、実施例1と実質的に同じであった。操作条件および生成物分布を表3に示す。
【0096】
【表4】
【0097】
<実施例2>
試験は、直列に接続されたライザーおよび濃厚相床を含む図2に示されるような複合反応器上で、接触転換用の供給原料として供給原料油Bを使用して行った。供給原料油Bを触媒Bと接触させ、反応温度650℃、反応時間0.8秒、触媒対油の重量比率は20、および水蒸気対油の重量比率0.8を含む条件下で複合反応器のライザーユニット中で反応を実施した。得られた反応水蒸気を複合反応器の濃厚相床ユニットに通し、反応温度580℃、重量時間空間速度10h-1でさらに反応させて、使用済み触媒および反応生成物を得た。使用済み触媒を再生し、再生触媒を接触転換触媒としてライザーユニットに再循環させた。反応生成物を生成物分離ユニット内で蒸留範囲に従って分離して、乾燥ガス、エチレン、プロピレン、プロパン、ブタン、Cオレフィンを含むフラクション、145℃未満の蒸留範囲を有するフラクション、145~260℃の蒸留範囲を有するフラクションおよび260℃を超える蒸留範囲を有するフラクションを得た。145℃未満の蒸留範囲を有するフラクションをオレフィン分離デバイスに通して、BTX、Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクションおよびn-/イソパラフィンをさらに分離した。Cオレフィン包含フラクション中のCオレフィンの含有量は90重量%であり、Cオレフィン包含フラクション中のCオレフィンの含有量は90重量%であり、Cオレフィン包含フラクション中のCオレフィンの含有量は90重量%であり、Cオレフィン包含フラクション中のCオレフィンの含有量は90重量%であり、また、Cオレフィン包含フラクション中のCオレフィンの含有量は90重量%であった。
【0098】
得られた種々のオレフィンフラクションを、それぞれ、図1に示す方法の流れに従ってオリゴマー化するために、異なるオリゴマー反応器であるオリゴマー化反応器43およびオリゴマー化反応器42中に供給した。Cオレフィン対Cオレフィンの重量比率は1:0.7であり、Cオレフィン対Cオレフィンの重量比率が1:0.5であった。C12オレフィンを含むフラクションを精留カラムを用いて分離し、濃厚相床ユニットに再循環させ、Cオレフィンを含むフラクションを濃厚相床ユニットに直接的に導入した。さらなる分解のために濃厚相床ユニットに導入されたCオレフィンは総接触転換供給原料の6.6重量%を占め、C12オレフィンは総接触転換供給原料の25.5重量%を占めた。操作条件および生成物分布を表4に示す。
【0099】
<比較例2>
操作は、接触転換生成物を分離及び分割して乾燥ガス、液化ガス、プロピレン、ガソリン、ディーゼル油及びスラリー油を得て、かつ接触転換生成物のリサイクルは行わなかったこと以外は実施例2と実質的に同じであった。操作条件および生成物分布を表4に示す。
【0100】
【表5】
【0101】
<実施例3>
試験は、直列に接続されたライザーおよび濃厚相床を含む図2に示すような複合反応器上での接触転換用の供給原料として供給原料油Cを使用して行った。供給原料油Cを触媒Cと接触させ、反応温度530℃、反応時間3.5秒、触媒対油の重量比率8、および水蒸気対油の重量比率0.1を含む条件下で複合反応器のライザーユニット中で反応を実施した。得られた反応水蒸気を複合反応器の濃厚相床ユニットに通し、反応温度500℃、重量時間空間速度10h-1でさらに反応させて、使用済み触媒および反応生成物を得た。使用済み触媒を再生し、再生触媒を接触転換触媒としてライザーユニットに再循環させた。接触転換生成物を分離して、乾燥ガス、エチレングリコール、プロピレン、プロパン、ブタン、Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、およびn-/イソパラフィンを得た。Cオレフィン包含フラクション中のCオレフィンの含有量は90重量%、Cオレフィン包含フラクション中のCオレフィンの含有量は90重量%、Cオレフィン包含フラクション中のCオレフィンの含有量は90重量%、Cオレフィン包含フラクション中のCオレフィンの含有量は90重量%、および、Cオレフィン包含フラクション中のCオレフィンの含有量は90重量%であった。
【0102】
得られた種々のオレフィンフラクションを、図1に示すプロセスフローに従ってオリゴマー化するためにそれぞれ異なったオリゴマー化反応器であるオリゴマー化反応器43およびオリゴマー化反応器42中に供給した。Cオレフィン対Cオレフィンの重量比率は1:0.7であり、Cオレフィン対Cオレフィンの重量比率は1:0.5であり、C12オレフィンを含むフラクションを精留カラムを用いて分離し、濃厚相床ユニットに再循環させ、Cオレフィンを含むフラクションを濃厚相床ユニットに直接的に導入した。さらなる分解のために濃厚相床ユニットに導入されたCオレフィンは総接触転換供給原料の7.8重量%を占め、C12オレフィンは総接触転換供給原料の29.4重量%を占めた。操作条件および生成物分布を表5に示す。
【0103】
<比較例3>
操作は、接触転換生成物を生成物分離ユニットにおいて蒸留範囲に応じて分割して、乾燥ガス、液化ガス、プロピレン、ガソリン、ディーゼル油およびスラリー油を得て、かつ、接触転換生成物のリサイクルを行わなかったことを除いて、実施例3と実質的に同じであった。操作条件および生成物分布を表5に示す。
【0104】
【表6】
【0105】
<実施例4>
試験は図3に示されるような直径変換ライザー反応器のパイロットプラント上で接触転換用の供給原料として供給原料Aを用いて実施した。供給原料油Aを第1の反応ゾーンIの底部に供給し、第1の反応ゾーンIの底部で触媒Aと接触させ、第1の反応ゾーンIおよび第2の反応ゾーンIIにおいて連続的に接触転換反応に供した。得られた反応生成物および炭素と共に堆積した使用済み触媒をディスエンゲージャー中で分離し、反応生成物を生成物分離ユニット中で蒸留範囲に従って分割して、乾燥ガス、エチレン、プロピレン、プロパン、ブタン、Cオレフィンを含むフラクション、145℃未満の蒸留範囲を有するフラクション、145~260℃の蒸留範囲を有するフラクションおよび260℃を超える蒸留範囲を有するフラクションを得た。145℃未満の蒸留範囲を有するフラクションをオレフィン分離デバイスに通して、BTX、Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンを含むフラクション、Cオレフィンおよびn-/イソパラフィンを含むフラクションをさらに分離した。Cオレフィン包含フラクション中のCオレフィンの含有量は90重量%、Cオレフィン包含フラクション中のCオレフィンの含有量は90重量%、Cオレフィン包含フラクション中のCオレフィンの含有量は90重量%、およびCオレフィン包含フラクション中のCオレフィンの含有量は90重量%であった。
【0106】
得られた種々のオレフィンフラクションを、それぞれ、図1に示すプロセスフローに従ってオリゴマー化するために、異なるオリゴマー化反応器であるオリゴマー化反応器43およびオリゴマー化反応器42中に供給した。Cオレフィン対Cオレフィンの重量比率は1:0.7であり、Cオレフィン対Cオレフィンの重量比率は1:0.5であった。C12オレフィンを含むフラクションを精留カラムを使用して分離し、直径変換ライザー反応器の第2の反応ゾーンIIに再循環させた。145~260℃の蒸留範囲を有するフラクションを再循環させ、260℃を超える蒸留範囲を有するフラクションを、水素分圧18.0MPa、反応温度350℃、水素対油体積比率1500および体積空間速度1.5h-1を含む条件下で水素化した。水素化生成物およびn-/イソパラフィンを、接触転換反応のために直径変換ライザー反応器の第1の反応ゾーンIに再循環させた。直径変換ライザー反応器の第2の反応ゾーンIIに導入されたC12オレフィンは、総接触転換供給原料の26.9重量%を占めた。操作条件および生成物分布を表6に示す。
【0107】
<比較例4>
反応器が直列に接続されたライザーと流動床とを含む合成反応器であり、触媒が接触分解触媒Bであり、操作は接触分解処理の要件に従って実施され、生成物を接触分解処理の要件に従って分割して、乾燥ガス、液化ガス、プロピレン、ガソリン、ディーゼル油およびスラリー油を得て、かつ、接触転換生成物の再循環を行わなかったことを除いて、操作は実質的に実施例4と同じであった。操作条件および生成物分布を表6に示す。
【0108】
【表7】
【0109】
<実施例5>
試験は図4に示すように、二重ライザー反応器のシステムで接触転換用の供給原料として供給原料油Dを用いて実施した。供給原料油Dを触媒Dと接触させ、第1のライザー反応器の出口での反応温度530℃、反応時間3.0秒、触媒対油の重量比率6、および水蒸気対油の重量比率0.10を含む条件下で第1のライザー反応器中で反応させて、使用済み触媒および反応生成物を得た。使用済み触媒を再生し、再生触媒を接触転換触媒として第1のライザー反応器に再循環させた。生成物を生成物分離ユニット内で蒸留範囲に従って分割し、乾燥ガス、エチレン、プロピレン、プロパン、ブタン、Cオレフィンを含むフラクション、オレフィンにおいてリッチなガソリンフラクション、ディーゼル油およびスラリー油を得た。オレフィンにおいてリッチなガソリンフラクションを第2のライザー反応器の底部に供給し、530℃の反応温度、2.0秒の反応時間、触媒対油の重量比率6および水蒸気対油の重量比率0.10を含む条件下で第2のライザー反応器中で反応させた。
【0110】
オレフィンを含むフラクションを、図1に示すプロセスフローに従ってオリゴマー化のためにオリゴマー化反応器41に供給し、C12オレフィンを含むフラクションを精留カラムを用いて分離し、反応のために第2のライザー反応器の中央部分に導入した。第1および第2のライザー反応器の反応生成物を組み合わせることによって得られた最終生成物の操作条件および生成物分布を表7に列挙する。
【0111】
<比較例5>
操作は、第1のライザー反応器の接触転換生成物を蒸留範囲に従って生成物分離ユニット中で分割して、乾燥ガス、液化ガス、プロピレン、ガソリン、ディーゼル油およびスラリー油を得、総接触転換供給原料の36.6重量%を占めるガソリンを第2のライザー反応器に再循環させたことを除いて、実施例5と実質的に同じであった。第1および第2のライザー反応器の反応生成物を組み合わせることによって得られた最終生成物の操作条件および生成物分布を表7に列挙する。
【0112】
【表8】
【0113】
表3~7の結果からわかるように、プロピレン収率は、本発明において、接触転換生成物のC、C、CおよびCのオレフィンを分離し選択的にオリゴマー化し、生成されたC12オレフィンを再循環することによって、1.5~4倍に増大することができる。加えて、表3の結果は比較例1と比較して、実施例1自体の接触転換反応は、より低いアルカン収率およびより高いプロピレン収率を提供することができ、同時に、プロピレン収率は特定のオレフィンのオリゴマー化、ならびにCおよびC12オレフィンの再循環によってさらに大幅に増大させることができることを示す。
【0114】
<比較例6>
操作はCオレフィンを接触転換生成物から分離し、Cオレフィンをさらなる分解のために直径変換ライザー反応器の第2の反応ゾーンIIに再循環させ;Cオレフィンをオリゴマー化のためにオリゴマー化反応器に供給し、Cオレフィンを含むフラクションを精留カラムを使用して分離し、第2の反応ゾーンIIに再循環させ;Cオレフィンをオリゴマー化のためにオリゴマー化反応器に供給し、C10オレフィンを含むフラクションを精留カラムを使用して分離し、第2の反応ゾーンIIに再循環させ;Cオレフィンをオリゴマー化のためにオリゴマー化反応器に供給し、C14オレフィンを含むフラクションを精留カラムを使用して分離し、直径変換ライザー反応器の第2の反応ゾーンIIに再循環させたことを除いて、実施例1と実質的に同じであった。操作条件および生成物分布を表8に示す。
【0115】
【表9】
【0116】
表3~8から、本発明におけるC、C12オレフィンの再循環は、C、C10、C14オレフィンの再循環よりも高いプロピレン収率を示していることがわかる。
【0117】
本出願は好ましい実施形態を参照して上記に詳細に説明されているが、これらの実施形態に限定されることを意図していない。本出願の発明思想に従い、様々な変更が可能であり、これらの変更は本出願の範囲内である。
【0118】
なお、上記の実施形態で説明した種々の技術的特徴は矛盾することなく適宜組み合わせることが可能であり、不必要な繰り返しを避けるために、本出願では種々の可能な組み合わせを記載していないが、その組み合わせも本出願の範囲に含まれるものとする。
【0119】
加えて、本出願の様々な実施形態は、本出願の精神から逸脱しない限り任意に組み合わせることができ、そのような組み合わせた実施形態は、本出願の開示とみなすべきである。
【図面の簡単な説明】
【0120】
図1】本出願のプロセスおよびシステムの好ましい実施形態の概略図を示す。
図2】本出願のプロセスおよびシステムの好ましい実施形態の概略図を示す。
図3】本出願のプロセスおよびシステムの好ましい実施形態の概略図を示す。
図4】本出願のプロセスおよびシステムの好ましい実施形態の概略図を示す。
図1
図2
図3
図4